(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016003
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】締固め状態に関するフィードバック機能を備えたコンクリート締固めシステム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/08 20060101AFI20240130BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
E04G21/08
H02P27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119705
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 543.5
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディラー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン プフェチュ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン グランツ
(72)【発明者】
【氏名】アルト ヴァイスコプフ
【テーマコード(参考)】
2E172
5H505
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172FA13
2E172FA18
2E172FA29
5H505AA13
5H505CC04
5H505FF02
5H505FF05
5H505FF10
5H505GG10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505KK05
5H505LL22
5H505LL28
5H505MM12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】終了した締固めもしくは締固め進捗状況に関して明確なフィードバックを得ることができるコンクリート締固めシステム、特に内部加振機を提供する
【解決手段】コンクリート締固めシステムであって、コンクリート締固めシステムは、コンクリート締固めのための不均衡励振機(6)、締固め識別装置(13,16)、触覚的フィードバックを生成するための振動装置(14)とを備えている。不均衡励振機(6)を駆動する電気モーター(5)、電気的エネルギー供給源(11)、電気的エネルギー供給源(11)、変換装置(12)とが設けられていてよい。締固め識別装置は電気モーター(5)によって受け取られた電流を測定するための測定装置(13)を有し、締固め識別装置は測定装置(13)によって測定された電流消費を評価しそこからコンクリート内の締固め進捗状況を決定、さらに予め設定された締固め進捗状況が達成されたかどうかを識別する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート締固めシステムであって、該コンクリート締固めシステムは、
コンクリート締固めのための不均衡励振機(6)と、
コンクリート内の締固め進捗状況を識別するための締固め識別装置(13,16)と、
予め設定された締固め進捗状況の達成が締固め識別装置によって識別された場合に、触覚的フィードバックを生成するための振動装置(14)と、
を備えている、コンクリート締固めシステム。
【請求項2】
前記コンクリート締固めシステムは、
前記不均衡励振機(6)を駆動する電気モーター(5)と、
電気的エネルギー供給源(11)と、
前記電気的エネルギー供給源(11)から受け取った電流を前記電気モーター(5)用に変換するための変換装置(12)と、
を備え、
前記締固め識別装置は、前記電気モーター(5)によって受け取られた電流を測定するための測定装置(13)を有し、
前記締固め識別装置は、前記測定装置(13)によって測定された電流消費を評価し、そこからコンクリート内の締固め進捗状況を決定し、さらに予め設定された締固め進捗状況が達成されたかどうかを識別するための評価装置(16)を有する、請求項1記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項3】
前記不均衡励振機(6)は、ハウジング(4)内に配置されており、
前記ハウジング(4)に、操作者による前記ハウジング(4)の案内のための操作ホース(3)が固定されている、請求項1または2記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項4】
前記電気的エネルギー供給源は、電気的エネルギー蓄積器(11)を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項5】
前記電気的エネルギー蓄積器(11)および前記変換装置(12)は、担持装置(9)に配置されており、
前記担持装置(9)は、ユーザーが前記担持装置(9)を持ち運ぶための少なくとも1つのベルト(10)を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項6】
前記振動装置は、前記触覚的フィードバックを生成するために、以下の特徴:
前記電気モーター(5)の回転数を変更すること、
前記電気モーター(5)の回転数を短時間変更した後、再び先行の回転数に設定すること、
前記電気モーター(5)の回転数をゼロに低減すること、
前記電気モーター(5)の回転数を急激に変更すること、
前記電気モーター(5)の回転方向を変更すること、
前記電気モーター(5)の回転方向を数回変更すること、
前記コンクリート締固めシステムの動作中に操作者によって知覚可能な振動を発生させること、
前記担持装置(9)に振動を発生させること、
前記エネルギー蓄積器(11)に振動を発生させること、
前記変換装置(12)に振動を発生させること、
前記操作ホース(3)に振動を発生させること、
切替装置(7)に振動を発生させること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項7】
前記測定装置(13)は、電流を測定するために、前記エネルギー蓄積器(11)または前記変換装置(12)に結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項8】
前記評価装置(16)は、前記エネルギー蓄積器(11)および前記変換装置(12)から空間的に分離されてモバイル装置(15)内に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項9】
前記測定装置(13)と前記評価装置(16)との間でデータを上り方向伝送および/または下り方向伝送するために、前記測定装置(13)と前記評価装置(16)との間にデータ伝送路(18)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載のコンクリート締固めシステム。
【請求項10】
コンクリート締固めのための方法であって、
締固めるべきコンクリート内に不均衡励振機(6)を浸漬するステップと、
前記不均衡励振機(6)の動作によりコンクリートを締固めるステップと、
締固め進捗状況を監視するステップと、
予め設定された締固め進捗状況の達成が確定された場合に、操作者に対して触覚的フィードバックを発生させるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート締固めシステムに関する。
【0002】
コンクリート締固めシステム、特に、いわゆる内部加振機は公知である。これらの内部加振機は、いわゆる加振シリンダ内に配置された不均衡励振機を備え、この不均衡励振機は、振動の導入によるコンクリートの締固めのために、まだ流動性のある締固めるべきコンクリート内に浸漬される。
【0003】
不均衡励振機(Unwuchterreger)は、通常、加振シリンダ内に同様に配置された電気モーターによって回転駆動される。この目的のために、電気モーターには適切な電流、特に適切な電圧と適切な周波数とが供給されなければならない。この目的のために、供給される電流を適切な手法で変換する周波数変換器が上流側に接続されている。その際、電気的エネルギー供給は、公共の電力網もしくは工事現場に既存の電力網を介して行うことができる。
【0004】
しかしながら、最近では、蓄電池技術が発達し、電気的エネルギー供給は、電気的エネルギー蓄積器(蓄電池)を用いて行うことも可能になった。
【0005】
独国特許出願公開第102018118552号明細書からは、エネルギー蓄積器および電気的変換器を備えた担持装置が公知である。この担持装置は、背嚢のような態様で構成されていてよく、例えば、内部加振機に適切な電流を供給するために、蓄電池ならびに変換器を備え得る。
【0006】
内部加振機自体は、操作ホースを有しており、このホースには加振シリンダが固定され、さらにこのホースは、締固めるべきコンクリート内に加振シリンダを浸漬するために操作者によって保持することが可能である。操作ホースの内部には、加振シリンダ内の電気モーターへの給電路も延びている。それに応じて、操作ホースは、保護ホースとしても用いられる。操作ホースの端部と周波数変換器まで案内される接続ケーブルとの間の移行部には、操作者に内部加振機を起動および停止可能にさせるスイッチが存在している。
【0007】
締固め過程の実施期間中に内部加振機を使用する場合、浸漬の持続時間および頻度は使用者の経験値に基づく。特に経験の浅い使用者にとって、ここでの適正な締固め持続時間を確定することは困難である。コンクリートの締固め時間が短すぎると、セメントペーストで満たされない気泡や砂利ポケットがコンクリート中に残留してしまう。一方、コンクリートの締固め時間が長すぎると、コンクリートミックスが分離し、この場合、大きくて重い成分が底に沈んだり、上面に空洞が生じたりする可能性がある。
【0008】
工事現場の環境条件(騒音、汚れ、コンクリート)に基づいて、十分な締固め度合いに関する情報を使用者に届けることは困難である。光学的信号や音響的信号は、知覚されないことが多い。
【0009】
英国特許出願公告第1097651号明細書には、浸漬過程後の(モーターの1つの相で測定された)消費電流が、所定の閾値を下回って低下した場合に、内部加振機への電流供給を遮断し、ならびに光源を用いて光学的に信号通知するためのシステムが記載されている。ただしこの場合は、スイッチオフ状態の内部加振機をコンクリートから引き抜かなければならない。しかしながらその場合、コンクリートの流動性が低下しているため、この引き抜きは困難である。さらに、エアポケットが改めて形成される可能性があり、これらのエアポケットは、コンクリートの品質を低下させてしまう。
【0010】
本発明は、操作者が、終了した締固めもしくは締固め進捗状況に関して明確なフィードバックを得ることができるコンクリート締固めシステム、特に内部加振機を提供するという課題に基づいている。
【0011】
この課題は、請求項1の特徴を有するコンクリート締固めシステム、および独立請求項による方法によって解決される。好適な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0012】
ここでは、コンクリート締固めシステムであって、該コンクリート締固めシステムは、コンクリート締固めのための不均衡励振機と、コンクリート内の締固め進捗状況を識別するための締固め識別装置と、予め設定された締固め進捗状況の達成が締固め識別装置によって識別された場合に、触覚的フィードバックを生成するための振動装置とを備えている、コンクリート締固めシステムが示される。
【0013】
不均衡励振機は、締固めるべきコンクリート内に浸漬するために用いられる。不均衡加振機が動作した場合、揺動が発生し、この揺動は、まだ流動性のあるコンクリートの締固めをそれ自体公知の手法で生じさせる。
【0014】
締固め過程の期間中は、締固め進捗状況が監視される。この場合は、特に、コンクリートの締固め状態もしくは締固め度合いである。不均衡励振機が該当箇所においてコンクリートを締固める時間が長ければ長いほど、より多くの気泡を放出させることができる。ただしその反面、過度な締固めの場合、コンクリート成分の分離に至る可能性があり、このことは回避しなければならない。
【0015】
締固め進捗状況を決定するために、従来技術からは様々な手段が公知であり、例えば、英国特許出願公告第1097651号明細書もその1つである。ここでは、不均衡励振機を駆動する電気モーターの電流消費を監視することができ、そこから締固め進捗状況に関する推論を導き出すことができる。欧州特許第1165907号明細書および国際公開第00/57000号からは、加振シリンダに加速度センサを配置することが公知であり、この加速度センサを用いて、締固めるべきコンクリート内の加振シリンダの加速度値を受け取ることができ、これに基づいて、締固め進捗状況についての推論が可能となる。
【0016】
予め設定されたもしくは予め定められた締固め進捗状況が達成された場合、つまり所望の締固め度合いが達成された場合、コンクリート締固めシステムの操作者が触覚的に知覚できる触覚的フィードバックが生成される。それにより、この触覚的フィードバックは、荒れた工事現場の条件下でも操作者が知覚できる触覚的フィードバック信号もしくは触覚的振動信号である。このことは、特に、操作者が、例えば自身の手または背中を介してコンクリート締固めシステムの構成部品と身体的に接触しているため可能である。また、操作者が、聴覚器官保護具を装着して集中的に作業を行い、その際の締固めを引き起こす振動にさらされている場合でも、触覚的フィードバックに対応する振動の発生は、操作者によって知覚可能である。
【0017】
振動装置は、この目的のために、対応する振動を生成することができ、あるいは生じている振動に変化を与えることができる。また、振動の発生と振動の変化とを組み合わせることも可能である。
【0018】
1つの変形形態では、不均衡励振機は、電気的エネルギー供給源から自身の電気的エネルギーを受け取る電気モーターによって駆動される。また、電気的エネルギー供給源から受け取った電流を電気モーター用に変換するための変換装置が設けられていてよい。締固め識別装置は、電気モーターによって受け取られた電流を測定するための測定装置を有することができ、この場合、締固め識別装置は、測定装置によって測定された電流消費を評価し、そこからコンクリート内の締固め進捗状況を決定し、さらに予め設定された締固め進捗状況が達成されたかどうかを識別するための評価装置を有することもできる。この測定装置は、特に、電力消費量を測定するために用いることができる。
【0019】
これにより、締固め識別装置は、測定装置および評価装置を用いて電流消費、特に、締固め過程の期間中に変化する電気モーターの電力消費を監視する。この変化は、締固め進捗状況と密接に関係する。なぜなら、締固めの期間中のコンクリートは、自身の軟度、特に粘稠度が変化し、このことは不均衡励振機の駆動のために、対応する反力および反力モーメントが必要になるからである。不均衡励振機の作動に必要な電気モーターのトルクは、電力消費を介して決定することができる。電力消費について予め設定された所定の限界値の上回りもしくは下回りは、締固め進捗状況の基準として用いることができる。ここでは、評価装置の構成に応じて、限界値を定めることができる。ただし、締固め進捗状況や予め設定された締固め度合いの到達について特徴的である経過もしくは勾配を予め設定することも可能である。
【0020】
評価装置の結果、特に、予め設定された締固め進捗状況に達したことの認識は、その後の触覚的フィードバックの生成のために適切な手法で振動装置に伝送することができる。
【0021】
不均衡励振機は、ハウジング内に配置されていてよく、この場合、ハウジングに、操作者によるハウジングの案内のための操作ホースが固定されていてよい。このハウジングは、典型的には、いわゆる加振シリンダであり得る。その内部には、不均衡励振機と、多くの場合この不均衡励起装置を駆動する電気モーターとが配置されている。ハウジングと操作ホースとの組み合わせは、典型的な内部加振機に相当し、これは操作者による操作ホースの把持により案内することができる。
【0022】
電気モーターの動作に必要な電気的エネルギー供給は、少なくとも部分的に操作ホースの内部を延在する、例えば変換装置と接続された電力ケーブルもしくは電流線路を用いて行うことができる。したがって、電気的エネルギー供給部として、電気的エネルギー蓄積器(蓄電池)、または公共の電力網もしくは工事現場の電力網に接続するためのネットワーク接続部を用いることができる。
【0023】
それに応じて、操作ホースは、電気モーターがハウジング内に配置されている場合、ハウジングへの給電線路を保護するための保護ホースであってもよい。
【0024】
好適な実施形態では、電気的エネルギー供給部は、電気的エネルギー蓄積器を有することができる。この場合は、特に、交換可能な蓄電池であり得る。
【0025】
変換装置は、電気モーターに予め設定された電圧および/または周波数の電流を供給するように構成されていてよい。
【0026】
電気モーターのスイッチオンとスイッチオフとを切り替えるために切替装置が設けられていてよい。この切替装置は、エネルギー蓄積器と変換器との間、または変換器と電気モーターとの間に配置されていてよい。特に、切替装置は、不均衡励振機を収容し、操作ホースの他の端部に保持されるハウジングの対向側の操作ホースの端部に配置されていてよい。これにより、切替装置は、一方の側が操作ホースに接続されていてよく、それに対して他方の側には不均衡励振機への給電ケーブルが案内される。
【0027】
電気的エネルギー蓄積器および変換装置は、担持装置に配置されていてよく、この場合、担持装置は、ユーザーが担持装置を持ち運ぶための少なくとも1つのベルトを有する。この種の担持装置は、例えば独国特許出願公開第102018118552号明細書から公知である。
【0028】
特に、担持装置は、背嚢のタイプで実行されていてよく、それにより、ユーザーは、この担持装置をエネルギー蓄積器および変換装置と一緒に背中に背負えるようになる。したがって、変換装置からは、電力ケーブルが操作ホースもしくは操作ホースに設けられた切替装置まで延在する。
【0029】
エネルギー蓄積器は、担持装置に交換可能に固定されていてよい。これにより、エネルギー蓄積器が使い果たされた場合に、新しいエネルギー蓄積器と引き替えに交換し補充することが可能になる。
【0030】
操作者は、この場合、コンクリート締固めシステムと2箇所で身体接触することになる、詳細には、一方で操作ホースもしくは切替装置を把持する場合には自身の手で接触することになり、また他方で担持装置を背負うことによって自身の背中で接触することになるため、振動装置は、操作者が自身の身体接触(手、背中)を通じて知覚できるような触覚的信号を生成するように構成されていてよい。
【0031】
振動装置は、触覚的フィードバックを生成するために、以下の特徴:電気モーターの回転数を変更すること、電気モーターの回転数を短時間変更した後、再び先行の回転数に設定すること、電気モーターの回転数をゼロに低減すること、電気モーターの回転数を急激に変更すること、電気モーターの回転方向を変更すること、電気モーターの回転方向を数回変更すること、コンクリート締固めシステムの動作中に操作者によって知覚可能な振動を発生させること、担持装置に振動を発生させること、エネルギー蓄積器に振動を発生させること、変換器装置に振動を発生させること、操作ホースに振動を発生させること、切替装置に振動を発生させることのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0032】
したがって、特に、振動装置は、操作者によって触覚的信号として知覚可能である揺動変化を引き起こすことができる。モーター回転数を変更することは、内部加振機における揺動周波数の変更につながり、これは、例えば操作ホースを把持している場合、操作者によって触覚的に知覚することができる。
【0033】
振動の変化は、この場合、例えばモールスコード状のパターンに従うことができる。例えば、モーター回転数を数回にわたって短時間だけ増減させることによって、操作者のための振動、ひいては触覚的信号を達成することができる。
【0034】
モーター回転数の変更は、特に、変換器から到来する電流の周波数の変更か、モーター電圧の変更によって引き起こすことができる。
【0035】
1つの変形形態では、電気モーターの回転数をゼロに、つまり停止状態まで低減することが可能である。その後、電気モーターは、通常の動作方向か逆方向に加速させることができる。操作者は、このことをガイドホースにおけるねじれで気づく。
【0036】
代替的に、例えば変換器周波数をゼロに設定したり、かつ/または位相シーケンスを取り替えたりすることによって、内部加振機に積極的にブレーキをかけることも可能である。
【0037】
同様に、スマートフォンにおける振動アラームのように、それぞれのモーター回転数に依存することなく所期の振動を発生させることも可能である。そのために、振動装置は、例えば、(コンクリートの締固めのために使用される不均衡励振機に比べて小さい)固有の不均衡励振機によって生成された振動が操作者によって知覚できるようにするために、適切な箇所に位置付けされた固有の不均衡励振機を備えることもできる。
【0038】
測定装置は、電流もしくは電力消費を測定するために、エネルギー蓄積器または変換装置に結合されていてよい。それに応じて、上述の変形形態においてエネルギー蓄積器および変換装置が担持装置に配置される場合には、測定装置も同様に担持装置に配置されることが合目的的であり得る。この場合、測定装置をエネルギー蓄積器に統合し、例えばエネルギー蓄積器のバッテリー管理システムの一部として使用することも可能である。最新の蓄電池システムは、多くの場合、電力消費に関する情報、ひいては蓄電池の容量に関する情報を得るために対応する測定装置を有する。これらの情報は、締固め識別装置の測定装置の一部として利用可能になる。
【0039】
評価装置も測定装置と一緒に統合されていてよく、適切な手法で、例えばエネルギー蓄積器の近傍にもしくは存在する限り同様に担持装置に配置されていてよい。
【0040】
一変形形態では、評価装置は、エネルギー蓄積器および変換装置から空間的に分離されてモバイル装置内に配置されていてよい。モバイル装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、またはラップトップであり得る。
【0041】
測定装置によって捕捉された測定結果の評価には、測定装置、エネルギー蓄積器、または周波数変換器に存在しない、些細ではない計算機容量が必要になる可能性がある。これに対して、スマートフォン、ラップトップ、またはタブレットは、十分な計算機容量を提供するのに問題なく適している。必要な計算機容量は、特に、締固め進捗状況の識別の基礎とされる計算モデルに依存する。電流消費の経過が所定期間にわたって評価されることから出発した場合、より高い計算機容量を必要とする非常に多くのデータが生じる可能性がある。同様に、コンクリート締固め期間中に生じる電力消費のパターンに基づいて、締固め度合いに関する推論を導き出すために、評価装置が、少なくとも部分的にAIベースのシステムを使用することも考えられる。
【0042】
モバイル装置は、特に、エネルギー蓄積器または変換器に依存することなく移動させることができる。
【0043】
測定装置と(場合によっては空間的に離間された)評価装置との間でデータを上り方向伝送および下り方向伝送するために、測定装置と評価装置との間にデータ伝送路が設けられていてよい。測定装置がエネルギー蓄積器(蓄電池)に統合されている場合、データ伝送路は、それに応じてエネルギー蓄積器と評価装置との間に設けられていてもよい。これらのデータは、特に締固め進捗状況の識別に関係するか、もしくは締固め進捗状況の決定のために使用される。
【0044】
データ伝送路のために、例えばBluetooth(登録商標)などの無線区間が使用できる。
【0045】
評価装置は、上記で説明したモバイル装置の中に設けられていてもよいし、あるいはエネルギー蓄積器または変換器に直接設けられていてもよい。
【0046】
測定装置がエネルギー蓄積器に設けられている場合、測定装置は、データをモバイル装置に送信することができる。同様に、これらのデータは、変換器において捕捉することもでき、この場合、エネルギー蓄積器は、特にデータ伝送用の装置を有しているのであれば、モバイル装置へのデータ伝送のためのゲートウェイとして使用することもできる。
【0047】
コンクリート締固めのための方法であって、該方法は、以下のステップ、すなわち
締固めるべきコンクリート内に不均衡励振機を浸漬するステップと、
不均衡励振機の動作によりコンクリートを締固めるステップと、
締固め進捗状況を監視するステップと、
予め設定された締固め進捗状況の達成が確定された場合に、操作者に対して触覚的フィードバックを発生させるステップとを含む、方法が示される。
【0048】
以下ではこれらのおよびさらなる利点と特徴とを、実施例に基づき図面を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明によるコンクリート締固めシステムの概略図である。
【0050】
図1は、内部加振機1と担持可能なエネルギー装置2とを備えたコンクリート締固めシステムを概略図で示したものである。
【0051】
内部加振機1は、操作ホース3を有し、その一方の端部にはハウジングとして用いられる加振シリンダ4が取り付けられている。加振シリンダ4の内部には、電気モーター5が設けられており、この電気モーター5は、不均衡励振機6を回転駆動する。不均衡励振機6は、例えば、不均衡質量体が偏心的に取り付けられた不均衡シャフトであってよく、そのため、不均衡シャフトの回転の際に揺動が生成され、この揺動が、加振シリンダ4のハウジング外壁を介して、締固めるべきコンクリート内に導入される。電気モーター5と不均衡励振機6とを有するこの種の加振シリンダ4の構造自体は公知である。
【0052】
操作ホース3は、数メートルの長さを有することができ、そのため、操作者は、締固め作業の際に加振シリンダ4をより長い距離にわたって締固めるべきコンクリート内に吊り下げることができる。ちなみに
図1は、縮尺通りではなく、操作ホース3の実際の長さを再現したものではない。
【0053】
加振シリンダ4に対向する操作ホース3の端部には、切替装置7が取り付けられており、この切替装置7を介して電気モーター5のスイッチオン/スイッチオフが可能である。切替装置7は、電流線路8(電力ケーブル)用の連結箇所として用いることも可能である。電流線路8の給電路は、操作ホース3の内部において加振シリンダ4まで案内されており、そのため、操作ホース3は、保護ホースの機能も担っている。
【0054】
切替装置7に対向する電流線路8の端部には、
図1には示されていないプラグがそれ自体公知の手法で設けられていてよい。
【0055】
このプラグは、エネルギー装置2に差し込まれていてよい。
【0056】
図1に示されている実施例では、エネルギー装置2の主要部品は、例えばユーザーが担持ベルト10を用いて背嚢のように自身の背中に背負うことができる担持装置9に配置されている。ここでは、担持装置9は、自身に固定された構成部品を確実に担持する担持フレームを有することができる。このことは、例えば独国特許出願公開第102018118552号明細書にも記載されている。
【0057】
担持装置9には蓄電池11が、電気的エネルギー蓄積器として固定されている。この蓄電池11は、エネルギー装置2の中心的部品であり、交換可能であってよく、消耗した場合には新しい蓄電池11に交換され得る。
【0058】
蓄電池11の代わりに、給電を、公共の電力網または工事現場に既存の電力網を介して提供することも可能である。
【0059】
さらに、担持装置9は変換器12を支持しており、この変換器12は、特に、蓄電池11から受け取られた電流を、電圧および周波数に関して電気モーター5に適した方式で変換する。次いで、この変換された電流は、変換器12から電流線路8を介して電気モーター5に供給される。
【0060】
象徴的に、さらに担持装置9には、測定装置13と振動装置14とが配置されている。これらの測定装置13および振動装置14は、実体的に別個の構成部品として担持装置9に配置される必要はない。むしろ、これらの装置は、蓄電池11内もしくは蓄電池11のバッテリー管理部内に、あるいは変換器12内または他の箇所に配置されてもよい。
【0061】
空間的に分離されてモバイル装置15、例えばスマートフォンまたはタブレットが設けられており、その中には評価装置16が設けられていてよい。測定装置13および評価装置16は、一緒に締固め識別装置を形成する。特に、評価装置16は、プログラムもしくはアプリケーションとしてモバイル装置15にインストールされていてよい。
【0062】
モバイル装置15をエネルギー装置2に結合するために、蓄電池11には送受信装置17が設けられている。この送受信装置17を用いることにより、モバイル装置15と、特に評価装置16とのデータ伝送路18を得ることができる。
【0063】
測定装置13および評価装置16は、コンクリート内の締固め進捗状況を識別するための締固め識別装置を一緒に形成している。そのため、測定装置13は、締固め動作期間中の電気モーター5の電流消費を監視することができる。最近の蓄電池システムは、多くの場合、電流消費を非常に正確に文書化するバッテリー管理システムを備えているので、測定装置13は、それに応じて蓄電池11に統合されるか、もしくはそこにあるバッテリー管理システムを使用することができる。その際に生じるデータは、データ伝送路18、例えば無線区間(Bluetooth)を介してモバイル装置15に伝送され、そこから評価装置16に伝送される。モバイル装置15は、評価装置16が必要な計算を実施できるように、十分な計算機容量を提供する。例えば、評価装置16は、アプリケーションとしてモバイル装置15にインストールされ、計算を実施することができる。
【0064】
評価装置16によって、締固め進捗状況が満足のいくものであること、予め設定された締固め度合いが達成されたことが識別されると、評価装置16は、信号を振動装置14に与える。振動装置14は、内部加振機の操作者が触覚的に知覚することができる適切な触覚的フィードバック信号を生成することができる。また、振動装置14は、実体的に別個の構成部品である必要はなく、他の構成部品、特に例えば変換器12もしくは変換器12の制御部(図示せず)に統合されていてもよい。振動装置14は、触覚的フィードバック信号を生成するという機能的タスクに用いられるだけである。
【0065】
この目的のために、予め設定された締固め進捗状況への到達に関する評価装置16からの信号は、蓄電池11における送受信装置17によって受信可能でかつ変換器12に転送可能であり、この変換器12は、それに従って、電気モーター5の回転数を増加または低減させる。回転数の増加または低減は、ここでは跳躍的にまたは連続的に行うことができ、あるいは締固めの進捗状況を使用者に通知するために可変の期間と組み合わせることもできる。例えば、締固めの進捗状況に関して操作者に情報通知するために、回転数の変化によってモールスコード状の信号を生成することも可能である。
【0066】
モーター回転数の変化は、内部加振機1における揺動周波数の変化につながる。操作者は、操作ホース3または切替装置7において内部加振機1を手動で案内するため、変化した揺動周波数は、振動として直接知覚され、次いで、操作者によって相応に解釈可能である。
【0067】
システムが、内部加振機1もしくは加振シリンダ4の現下の位置においてさらなる締固めがもはや可能でないか、もしくは有用でないことを検出した場合、内部加振機1を他の位置でさらに使用すべきであることを操作者に信号通知するために、変動する周波数から繰り返しパターンを設定することができる。操作者は、それに従って、操作ホース3を用いて加振シリンダ4をまだ締固められていないコンクリートの領域に移動させることができる。
【0068】
一変形形態では、振動装置14は、スマートフォンでの振動アラームと同様に、モーター回転数の変化から切り離されて独立した揺動を生成することもできる。この目的のために、振動装置14は、例えば、担持装置9または切替装置7にも設けられた小型の不均衡励振機(図示せず)を起動させることができ、それにより、操作者は、自身の背中または手で振動を感じることができる。
【0069】
モバイル装置15は、必ずしも必要というわけではない。同様に、評価装置16は、そこに十分な計算機容量が存在している場合、エネルギー装置2、例えば蓄電池11のバッテリー管理システムに統合することも可能である。
【0070】
蓄電池11は、接続された変換器12ならびにモバイル装置15と通信できるように構成されていてよい。蓄電池11には、電力消費を十分正確に感知するために必要な測定装置を統合してよい。
【0071】
一方の蓄電池11もしくは蓄電池11の送受信装置17と、他方のモバイル装置15との間の通信は、双方向に伝搬されるため、計算結果またはそれに基づく信号を、外部のモバイル装置15から蓄電池11に、もしくはそれに接続された変換器12にもフィードバックすることができる。
【0072】
その結果、コンクリート締固めシステムは、内部加振機1もしくは加振シリンダ4の現下の位置において十分に締固められたことが操作者に感じ取れるように信号通知することができる。これにより、締固めプロセスを効率的に実施することができる。
【外国語明細書】