(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016004
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】締固め進捗状況の決定部を備えた締固めシステム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/08 20060101AFI20240130BHJP
G01N 11/00 20060101ALI20240130BHJP
G01N 11/16 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
E04G21/08
G01N11/00 E
G01N11/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119706
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 541.9
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ランゲ
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ ベルガー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディラー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ジビラ
(72)【発明者】
【氏名】マークス マーティン
(72)【発明者】
【氏名】アルト ヴァイスコプフ
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172FA13
2E172FA18
2E172FA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】それぞれの作業状態を識別し、締固め過程を評価することを可能にする、媒体を締固めるための締固めシステムを提供する。
【解決手段】媒体を締固めるための締固めシステムであって、締固めシステムは、締固め運動を生成するための電気モーター(5)を有する締固め装置(1)と、電気モーター(5)用の電気的エネルギーを提供するためのエネルギー装置(2)と、電気モーター(5)によって消費された電流を測定するための測定装置(13)と、測定装置(13)によって測定された電流消費を評価し、そこから締固めるべき媒体における締固め進捗状況を決定するための評価装置(16)とを備え、ここで、評価装置(16)は、少なくとも部分的にエネルギー装置(2)および/または締固め装置(1)から空間的に分離されて外部装置(15)に配置されている、締固めシステムが示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を締固めるための締固めシステムであって、該締固めシステムは、
締固め運動を生成するための電気モーター(5)を有する締固め装置(1)と、
前記電気モーター(5)用の電気的エネルギーを提供するためのエネルギー装置(2)と、
前記電気モーター(5)によって消費された電流を測定するための測定装置(13)と、
前記測定装置(13)によって測定された電流消費を評価し、そこから締固めるべき媒体における締固め進捗状況を決定するための評価装置(16)と、
を備え、
前記評価装置(16)は、少なくとも部分的に前記エネルギー装置(2)および/または前記締固め装置(1)から空間的に分離されて外部装置(15)に配置されている、
締固めシステム。
【請求項2】
前記エネルギー装置(2)は、バッテリー(11)を有しており、
前記バッテリー(11)は、該バッテリー(11)と空間的に1つのユニットを形成するバッテリー制御電子系を有し、
前記測定装置(13)は、少なくとも部分的に前記バッテリー制御電子系に統合されている、
請求項1記載の締固めシステム。
【請求項3】
前記エネルギー装置(2)は、前記エネルギー装置(2)から受け取られた電流を前記電気モーター(5)に適した電流に変換するために変換器(12)を有し、
前記変換器(12)は、該変換器(12)と空間的に1つのユニットを形成する変換器制御電子系を有し、
前記測定装置(13)は、少なくとも部分的に前記変換器制御電子系に統合されている、
請求項1または2記載の締固めシステム。
【請求項4】
前記評価装置(16)は、前記測定装置(13)によってそれぞれ現下で捕捉された電流に基づいて、前記締固め装置(1)の作業状態を決定するように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項5】
前記評価装置(16)は、それぞれ現下で捕捉された電流および/またはそれぞれ決定可能な電流勾配を考慮に入れてそれぞれの作業状態を決定するように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項6】
前記評価装置(16)は、予め設定された締固め進捗状況が達成されたかどうかを識別するように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項7】
前記測定装置(13)と前記評価装置(16)との間でデータを上り方向伝送および/または下り方向伝送するために、前記測定装置(13)と前記評価装置(16)との間に通信インターフェース(18)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項8】
前記外部装置(15)は、操作者のための情報を表示するために、かつ/または操作者からの情報の問い合わせのためにマンマシンインターフェースを有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項9】
操作者のための信号を生成するための信号装置が設けられており、
前記信号装置は、方法状態に依存して信号を生成するように構成されており、
前記方法状態は、
締固め目標達成、
締固め目標未達成、
締固め不良、
エラー通知
から選択される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項10】
前記測定装置(13)と前記評価装置(16)とによって生成されたデータを記録するために文書化装置が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【請求項11】
電流経過についての予め定められたプロファイルに基づいて前記締固め装置を識別するために識別装置(17)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の締固めシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、締固め過程の期間中に締固め進捗状況を決定することができる、媒体を締固めるための締固めシステムに関する。
【0002】
この種の締固めシステムは、特に一実施形態では、まだ流動性のあるコンクリートを締固めるためのコンクリート締固めシステムとして、例えば内部加振装置(内部加振機)などとして適している。他の実施形態では、締固めシステムは、例えば、土壌締固め用の振動板または加振板または突固め機を備えた土壌締固めシステムとして構成されていてよい。
【0003】
コンクリート締固めシステム、特に、いわゆる内部加振機は公知である。これらの内部加振機は、いわゆる加振シリンダ(加振ハウジング)内に配置された不均衡励振機を備え、この不均衡励振機は、まだ流動性のある締固めるべきコンクリート内に振動の導入によってこのコンクリートを締固めるために浸漬される。
【0004】
不均衡励振機は、通常、加振シリンダ内に同様に配置された電気モーターによって回転駆動される。この目的のために、電気モーターには適切な電流、特に適切な電圧と適切な周波数とが供給されなければならない。この目的のために、供給される電流を適切な手法で変換する周波数変換器が上流側に接続されている。その際、電気的エネルギー供給は、公共の電力網もしくは工事現場に既存の電力網を介して行うことができる。
【0005】
しかしながら、最近では、蓄電池技術が発達し、電気的エネルギー供給は、電気的エネルギー蓄積器(蓄電池)を用いて行うことも可能になった。
【0006】
独国特許出願公開第102018118552号明細書からは、エネルギー蓄積器および電気的変換器を備えた担持装置が公知である。この担持装置は、背嚢のような態様で構成されていてよく、例えば、内部加振機に適切な電流を供給するために、蓄電池ならびに変換器を備え得る。
【0007】
内部加振機自体は、操作ホースを有しており、このホースには加振シリンダが固定され、さらにこのホースは、締固めるべきコンクリート内に加振シリンダを浸漬するために操作者によって保持することが可能である。操作ホースの内部には、加振シリンダ内の電気モーターへの給電路も延びている。それに応じて、操作ホースは、保護ホースとしても用いられる。操作ホースの端部と周波数変換器まで案内される接続ケーブルとの間の移行部には、操作者に内部加振機を起動および停止可能にさせるスイッチが存在している。
【0008】
例えば背嚢として担持可能な蓄電池システムは多数の機器に使用することができ、内部加振機を動作させるための担持可能な周波数変換器もその1つである。その際、蓄電池システムは、周波数変換器と通信することができる。
【0009】
欧州特許出願公開第2574916号明細書からは、内部加振機における締固め過程の位置と持続時間とを記録するための装置が公知である。ここでは、締固め結果を内部加振機のデューティサイクルに基づいて評価することが可能である。しかしながら、デューティサイクルでは、締固めの品質についての推論しかできない。様々な作業状態の区別や実際の締固めの考慮は行われないため、締固めの品質は、最終的には、非常に不正確にしか決定することができない。さらに、付加的な測定システムが必要とされる。
【0010】
本発明が基礎とする課題は、それぞれの作業状態を識別し、締固め過程を評価することを可能にする、媒体を締固めるための締固めシステムを提供することである。この目的のために必要な付加的ハードウェア構成部品は最小限であることが望ましく、それにより実質的には既存のハードウェアを用いることができる。特に、付加的な測定システムの使用は避けるべきである。
【0011】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する締固めシステムによって解決される。好適な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0012】
媒体を締固めるための締固めシステムであって、締固め運動を生成するための電気モーターを有する締固め装置と、電気モーター用の電気的エネルギーを提供するためのエネルギー装置と、電気モーターによって消費された電流を測定するための測定装置と、測定装置によって測定された電流消費を評価し、そこから締固めるべき媒体における締固め進捗状況を決定するための評価装置とを備え、ここで、評価装置は、少なくとも部分的にエネルギー装置および/または締固め装置から空間的に分離されて外部装置に配置されている、締固めシステムが示される。
【0013】
締固めるべき媒体としては、ここでは、コンクリートまたは土壌を処理することができるので、用途に応じてコンクリートまたは土壌の締固めであり得る。
【0014】
それに応じて、締固め装置は、例えば1つまたは複数の不均衡シャフトを有する不均衡励振機を備えることができ、この不均衡シャフトは、電気モーターによって回転させられる。その結果、適切な手法で締固めるべき媒体に導入可能な強い振動力が発生する。
【0015】
コンクリート締固めの場合、電気モーターおよび不均衡励振機は、加振ハウジング、いわゆる加振シリンダ内に配置されていてよく、この加振シリンダは、保護および操作ホースを用いて締固めるべきコンクリート内に吊り下げられる。不均衡励振機の振動は、加振シリンダを介してコンクリート内にその締固めのために伝達される。
【0016】
土壌締固め装置の場合、不均衡励振機は、1つまたは多くの場合2つ(またはそれ以上)の不均衡シャフトを有する。ここで生じる振動力は、土壌接触板を介して締固めるべき土壌に導入される。
【0017】
エネルギー装置は、バッテリー(蓄電池)を有するか、または電気モーターを公共の電力網に接続するためのネットワーク接続部を提供することも可能である。
【0018】
測定装置は、特に電流を測定するように構成されていてよいが、電圧や電力を測定するように構成されてもよい。これにより、電気モーターによって消費された電力を中心的な測定基準として捕捉することができ、この電力は、締固め過程、特に締固め進捗状況についての推論を可能にする。
【0019】
電気モーターの動作期間中、測定は、例えば5秒未満、特に2秒未満、1秒未満、0.5秒未満の適切なサンプリング間隔で行うことができ、あるいは1/10秒未満の適切なサンプリング間隔で行うこともできる。
【0020】
評価装置は、測定装置によって測定された電流消費に基づき、締固めについての、ひいては締固めるべき媒体における締固め進捗状況についての推論を行うことができる。特に、評価装置は、捕捉された電流測定値および電流測定値経過を、事前にわかっている基準およびプロファイルに関連付け、そこから推論を導き出すことができる。これは、電流勾配(電流消費の経時変化)の評価によっても可能である。
【0021】
評価装置は、少なくとも部分的に外部装置に配置されており、この外部装置は、エネルギー装置および/または締固め装置から空間的に分離されている。外部装置は、エネルギー装置および締固め装置から空間的に分離されて設けられるモバイル装置であってよい。外部装置は、特に、移動無線装置、スマートフォン、タブレット、コンピュータ(ポータブルコンピュータも可能)であり得る。同様に、クラウド用途のためのインターネットへのデータ伝送も可能である。例えば、評価装置は、外部のハードウェア、例えばクラウドでも提供される人工知能に基づいた解決手段を含むことができる。これにより、外部装置を用いることで計算能力を提供することができ、その支援によって、評価装置は、非常に正確にかつ非常に効率的に作業状態および締固め進捗状況を決定することができる。外部装置を用いた計算能力の提供により、計算能力を締固め装置またはエネルギー装置に直接提供することは不要となる。むしろ、これらの装置は、実質的に従来方式で構築されていてよい。
【0022】
エネルギー装置は、バッテリー(特に蓄電池)を有することができ、ここで、バッテリーは、バッテリーと空間的に1つのユニットを形成するバッテリー制御電子系を有することができ、ここで、測定装置は、少なくとも部分的にバッテリー制御電子系に統合されている。バッテリー制御電子系は、通常、バッテリーの効果的かつ安全な充電だけでなく、バッテリーの穏やかな放電も開ループ制御および閉ループ制御するためにバッテリーを監視するように設けられているバッテリー管理システムである。
【0023】
バッテリー制御電子系は、通常、バッテリーから受け取られた電流を捕捉するための測定装置を有する。この測定装置は、本発明による締固めシステムの一部である。そのため、付加的な測定装置は不要である。なぜなら、測定装置は、いずれにせよ既存のバッテリーによって提供されるからである。
【0024】
エネルギー装置は、エネルギー装置から受け取られた電流を電気モーターに適した電流に変換するために変換器をさらに有することができ、ここで、変換器は、この変換器と空間的に1つのユニットを形成する変換器制御電子系を有し、ここで、測定装置は、少なくとも部分的に変換器制御電子系に統合されている。変換器は、特に、電気モーターに適切な電流と適切な電圧とを供給するために周波数変換器であってよい。変換器制御電子系は、自身の側でも本発明による測定装置を提供し、ひいては電気モーターによる電流消費を高精度にかつ高いサンプリングレートで捕捉するように構成されてもよい。場合によっては、測定装置を、バッテリーおよび変換器の制御電子系に分散させること、もしくはこれらの制御電子系によって共同で形成することも可能である。
【0025】
実施形態に応じて、エネルギー装置は、共通の制御電子系によって駆動制御されるバッテリーおよび変換器を有する1つのユニットを有することも可能である。
【0026】
評価装置は、測定装置によってそれぞれ現下で捕捉された電流に基づいて、締固め装置の作業状態を決定するように構成されていてよい。
【0027】
締固め装置は、コンクリート締固め装置として構成されていてよく、該装置は、流動性のあるコンクリート内に浸漬するための加振ハウジングと、電気モーターによって駆動され、加振ハウジング内に配置された不均衡励振機と、電気モーターによって消費された電流を捕捉するための、測定装置として用いられる電流捕捉装置と、それぞれ現下で捕捉された電流に基づいてコンクリート締固め装置の作業状態を決定するための評価装置とを備え、ここで、作業状態は、以下のグループ、すなわち、加振ハウジングを空中で位置決めすること(電気モーターをアイドリング動作させること)、加振ハウジングをコンクリート内に浸漬すること、コンクリート内に浸漬した加振ハウジングを用いて締固め過程を実施すること、加振ハウジングをコンクリートから引き上げることから選択され、ここで、評価装置は、前述の作業状態のすべてを識別するように構成されている。
【0028】
したがって、これらの作業状態は、特に、対応する高いサンプリングレートでそれぞれ正確に捕捉された電流経過に基づいて識別することができる。ここでは、それぞれ現下の電流値だけでなく、電流値の経時変化(例えばサンプリングレートを用いて捕捉可能)も重要な役割を果たすため、それぞれ特定の電流プロファイルが捕捉および識別可能になる。電流経過の傾向に基づいて、評価装置は、様々な作業状態を認識することができ、(意味がある限り)相互に区別することもできる。この目的のために、それぞれ現下で捕捉された電流プロファイルを、電流値および電流経過もしくは電流勾配、例えば既知の値もしくはパターンと比較することができ、この比較結果からそれぞれの作業状態についての推論を導き出すことができる。
【0029】
ここでは、「加振ハウジングを空中で位置決めする」作業状態と、「電気モーターをアイドリング動作させる」作業状態とは同一と見なされ得る。この場合、加振ハウジングはまだ空中にあり、まだコンクリート内には浸漬されていない。その際、電気モーターは、アイドリング状態かもしくはほぼアイドリング状態で動作させることができる。なぜなら、不均衡励振機をまだ自由に回転させることができるからである。
【0030】
締固め作業は、「加振ハウジングをコンクリート内に浸漬する」作業状態で開始される。その際、加振ハウジングは、流動性のあるコンクリート内に徐々に沈められ、コンクリートは加振ハウジングの揺動を受容し減衰させる。その中で、依然として不均衡励振機を駆動できるようにするために電気モーターの電流消費が増加する。
【0031】
「締固め過程を実施する」作業状態では、加振ハウジングは十分完全にコンクリート内に浸漬され、使用者によって実質的に定位置に保持され、それによって、加振ハウジングはコンクリート内に留まる。コンクリート内の締固め効果に基づいて、加振ハウジングに対するコンクリートの減衰効果が変化し、このことも、不均衡励振機に作用する反力もしくは反モーメントの形態で作用する。これにより、電気モーターによる電流消費が変化し、これは評価装置によって捕捉することができる。
【0032】
「加振ハウジングをコンクリートから引き上げる」作業状態では、加振ハウジングは、コンクリートから引き抜かれて持ち上げられる。このことは、加振ハウジングがますます自由に振動できるようになることにつながる。なぜなら、コンクリートの減衰効果が徐々に低下するからである。それに応じて、電気モーターも再び自由に回転可能になるので、電気モーターによって消費された電力が減少し、電力消費は低減される。
【0033】
評価装置は、それぞれサンプリングされた電流値、電流値の勾配もしくは電流値の発展傾向を用いて、内部加振機がそれぞれどの作業状態にあるのかを識別することができる。締固め過程の期間中(「締固め過程を実施する」)、評価装置は、電流プロファイル、つまり電流値および勾配経過に基づいてコンクリートの締固め状態を識別し、例えば限界値と比較することができる。所定の限界値に達した場合、このことは、コンクリートがこの箇所において十分に締固められたことの基準として評価される。
【0034】
さらなる作業状態として、1つの変形形態では、評価装置によって「電気モータースイッチオフ」および「電気モーターおよび/または不均衡励振機不良」との作業状態を識別することができる。この場合、電気モーターは、電流を消費しないか、または例えば過度に少ない電流消費または過度に高い電流消費など、通常の作業状態のパターンに適合しない電流消費または電流プロファイルが識別される。
【0035】
電流捕捉装置は、電流に加えて電気モーターに印加される電圧も捕捉するように構成されていてよい。これにより、測定精度をさらに高めることができる。
【0036】
評価装置は、現下で捕捉された電流および/またはそれぞれ決定可能な電流勾配を有するそれぞれ現下で捕捉された電流プロファイルを考慮に入れて、それぞれの作業状態を決定するように構成されていてよい。電流勾配は、ここでは、現下の電流値の経時変化である。したがって、捕捉された絶対電流値に応じて、場合によっては電流勾配との組み合わせにおいて、評価装置は、作業状態を捕捉し、コンクリートの締固め度合いも捕捉することができる。その際には、電流値と電流勾配とを一緒に評価することも、あるいは別個に評価することも可能である。評価についての例は、以降の図面の説明の枠内で説明する。
【0037】
「締固め過程を実施する」作業状態が識別される期間中、電流経過を解釈するために、解釈装置が設けられてよく、ここで、この解釈装置は、電流経過の解釈のためにそれぞれ現下の電流勾配を評価するように構成されていてよく、ここで、電流勾配が値ゼロに近づくことは、締固め進捗状況のための基準として有効である。電流勾配がゼロに近づくことは、現下の電流経過の曲線がより平坦になることを意味する。このことは、締固め過程の経過において観察することができ、この場合、電流勾配がゼロに近づくということは、それぞれ現下で消費されている電流がほとんど変化していないことを意味する。このことは、加振シリンダの領域内のコンクリートが十分に締固められたことに対する基準とみなされる。
【0038】
評価装置は、予め設定された締固め進捗状況が達成されたかどうかを識別するように構成されていてよい。この目的のために、どの電流プロファイルもしくは電流経過および電流勾配の際にどの締固め進捗状況が達成されたかについて様々な基準が予め定められてよい。
【0039】
「締固め過程を実施する」作業状態が識別される期間中、電流経過を解釈するために解釈装置が設けられてよく、ここで、この解釈装置は、電流経過の解釈のためにそれぞれ現下の電流勾配を評価するように構成されていてよく、ここで、電流勾配が値ゼロに近づくことは、締固め進捗状況に対する基準として有効である。電流勾配がゼロに近づくことは、現下の電流経過の曲線がより平坦になることを意味する。このことは、締固め過程の経過において観察することができ、この場合、電流勾配がゼロに近づくということは、それぞれ現下で消費されている電流がほとんど変化していないことを意味する。このことは、加振シリンダの領域内のコンクリートが十分に締固められたことに対する基準とみなされる。
【0040】
ここでは、電流勾配が値ゼロに近づくことについての限界値が予め設定されていてよく、この場合、電流勾配が限界値に到達した際に操作者のための信号を生成するための信号装置が設けられていてよい。したがって、電流勾配が実際に値ゼロに達することは必ずしも必要なことではない。むしろ、値ゼロへの接近、ひいては限界値への到達で十分である。限界値への到達は、その箇所におけるコンクリートが十分に締固められたことを意味する。この状態は、解釈装置によって確定することができ、それに従って、解釈装置は、コンクリートが十分に締固められたことを信号装置を介して操作者に信号で伝え、それによって、操作者は、加振ハウジングをコンクリート内の他の箇所に移動させることができる。
【0041】
測定装置によって捕捉された測定結果の評価には、測定装置、エネルギー蓄積器、または周波数変換器に存在しない、些細ではない計算機容量が必要になる可能性がある。これに対して、スマートフォン、ラップトップ、またはタブレットは、十分な計算機容量を提供するのに問題なく適している。必要な計算機容量は、特に、締固め進捗状況の識別の基礎とされる計算モデルに依存する。電流消費の経過が所定期間にわたって評価されることから出発した場合、より高い計算機容量を必要とする非常に多くのデータが生じる可能性がある。同様に、コンクリート締固め期間中に生じる電力消費のパターンに基づいて、締固め度合いに関する推論を導き出すために、評価装置が、少なくとも部分的にAIベースのシステムを使用することも考えられる。
【0042】
それゆえ、上記で説明したように、評価装置を少なくとも部分的に外部装置に、例えばモバイル装置に移設することも有利である。モバイル装置は、特に、エネルギー蓄積器または変換器に依存することなく移動させることができる。
【0043】
測定装置と評価装置との間でデータを上り方向伝送および/または下り方向伝送するために、測定装置と評価装置との間に通信インターフェースが設けられていてよい。それにより、この通信は、単方向または双方向で行うことができる。通信インターフェースのデータ伝送のために、例えばBluetooth(登録商標)、WLAN、または移動無線などの無線区間が使用できる。
【0044】
測定装置がエネルギー装置に統合されている場合、データ伝送は、相応にエネルギー装置と評価装置との間の通信インターフェースを介することが想定されていてよい。これらのデータは、特に締固め進捗状況の識別に関係するか、もしくは締固め進捗状況の決定のために使用される。
【0045】
測定装置がエネルギー装置内に設けられている場合、測定装置は、通信インターフェースを介してデータを外部装置に送信することができる。
【0046】
測定装置と評価装置との配置に応じて、バッテリーと外部装置との間、あるいは変換器と外部装置との間で通信が可能になる。測定装置が変換器に配置されている場合には、さらに測定装置からバッテリー制御電子系にデータを伝送することも可能であり、このバッテリー制御電子系は、通信インターフェースの一部を自身側に有し、その限りでは外部装置へのデータ伝送のためのゲートウェイとして用いることができる。
【0047】
外部装置は、操作者のための情報を表示するために、かつ/または操作者からの情報の問い合わせのためにマンマシンインターフェースを有することができる。このマンマシンインターフェースは、例えば、アプリケーションとして構成されていてよく、外部装置にインストールされていてよい。その際には、測定された値を処理された形態で、例えば締固めの進捗状況だけでなく、コンクリートの軟度や使用された締固め装置のタイプなども表示することが可能である。逆に、締固めシステム内のパラメータを設定するために、操作者入力も可能である。
【0048】
操作者のための信号を生成するための信号装置が設けられてよく、ここで、信号装置は、方法状態に依存して信号を生成するように構成されていてよく、ここで、方法状態は、以下のグループ、すなわち、締固め目標達成、締固め目標未達成、締固め不良、エラー通知から選択されていてよい。信号装置は、評価装置によって決定された結果を信号または警告の形態で操作者に伝送するために、評価装置によって駆動制御することができる。この目的のために、信号装置は、例えば、締固めシステムの動作中に操作者が良好に知覚することができる光学的、音響的、または機械的(触覚的)信号を生成することができる。このようにして、自身の作業の進捗状況に関して操作者に非常に容易に情報通知することができる。このことは特に、操作者が自身の締固め目標を達成したことが操作者に伝達されるときに関心をひく。そうでない限り、操作者は締固めを継続しなければならないが、目標を達成次第、操作者は別の箇所で締固めを実施することができる。
【0049】
信号装置は、例えば外部装置に配置されていてよいが、同様に信号装置をエネルギー装置または締固め装置に設けることも可能である。
【0050】
測定装置と評価装置とによって生成されたデータを記録するために、文書化装置が設けられていてよい。締固め過程の実施の際には、文書化装置によって適切な方式で記録することができる非常に多くのデータが生じる可能性がある。この場合、それらは純粋な(生の)測定結果でもあり得るが、評価装置によって決定されたデータと推論とを同様に記録することも可能である。
【0051】
特に、ここでは、締固め過程の数および締固め過程の評価も記録することができる。さらに、特に締固め装置の位置データは、それらが締固め過程の期間中に捕捉される場合、記憶することができる。これらの位置データは、例えばGPSデータであり得る。
【0052】
文書化は、外部装置を介してもしくは外部装置を用いて行うことができ、例えば外部装置自体で、または外部装置によって提供されるインターネット接続を使用して行うこともできる。後者の場合、それらのデータは、引き続きクラウドサーバーに直接記憶することができる。これにより、例えば、工事現場全体のすべての締固め過程を中央で文書化することができる。
【0053】
電流経過についての予め定められたプロファイルに基づいて締固め装置を識別するために識別装置が設けられていてよい。特に、例えばコンクリート締固めシステムでは、締固め装置を交換し、様々な加振シリンダを有する締固め装置を連結することができる。電流経過(空中での動作/コンクリート内での電流上昇)についての格納されているプロファイルに基づいて、識別装置は、どの加振シリンダタイプが現下で接続されているかを識別することができる。したがって、この目的のために、関係する内部加振機がシステムにわかっている限り、別個のユーザー入力は不要である。
【0054】
以下では本発明のこれらのおよびさらなる利点と特徴とを、実施例に基づき図面を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明による締固めシステムとして用いられるコンクリート締固めシステムの概略図である。
【
図2】
図1の締固めシステムの変形形態を示した図である。
【
図3】コンクリート締固め装置の異なる作業状態に依存した電流消費の変化についての一例を示した図である。
【0056】
図1は、内部加振機1と担持可能なエネルギー装置2とを備えた締固めシステムとして用いられるコンクリート締固めシステムを概略図で示したものである。
【0057】
内部加振機1は、操作ホース3を有し、その一方の端部にはハウジングとして用いられる加振シリンダ4が取り付けられている。加振シリンダ4の内部には、電気モーター5が設けられており、この電気モーター5は、不均衡励振機6を回転駆動する。不均衡励振機6は、例えば、不均衡質量体が偏心的に取り付けられた不均衡シャフトであってよく、そのため、不均衡シャフトの回転の際に揺動が生成され、この揺動が、加振シリンダ4のハウジング外壁を介して、締固めるべきコンクリート内に導入される。電気モーター5と不均衡励振機6とを有するこの種の加振シリンダ4の構造自体は公知である。
【0058】
操作ホース3は、数メートルの長さを有することができ、そのため、操作者は、締固め作業の際に加振シリンダ4をより長い距離にわたって締固めるべきコンクリート内に吊り下げることができる。ちなみに
図1は、縮尺通りではなく、操作ホース3の実際の長さを再現したものではない。
【0059】
加振シリンダ4に対向する操作ホース3の端部には、切替装置7が取り付けられており、この切替装置7を介して電気モーター5のスイッチオン/スイッチオフが可能である。切替装置7は、電流線路8(電力ケーブル)用の連結箇所として用いることも可能である。電流線路8の給電路は、操作ホース3の内部において加振シリンダ4まで案内されており、そのため、操作ホース3は、保護ホースの機能も担っている。
【0060】
切替装置7に対向する電流線路8の端部には、
図1には示されていないプラグがそれ自体公知の手法で設けられていてよい。このプラグは、エネルギー装置2に差し込まれていてよい。
【0061】
図1に示されている実施例では、エネルギー装置2の主要部品は、例えばユーザーが担持ベルト10を用いて背嚢のように自身の背中に背負うことができる担持装置9に配置されている。ここでは、担持装置9は、自身に固定された構成部品を確実に担持する担持フレームを有することができる。このことは、例えば独国特許出願公開第102018118552号明細書にも記載されている。
【0062】
担持装置9には蓄電池11が、電気的エネルギー蓄積器として固定されている。この蓄電池11は、エネルギー装置2の中心的部品であり、交換可能であってよく、消耗した場合には新しい蓄電池11に交換され得る。
【0063】
蓄電池11の代わりに、給電を、公共の電力網または工事現場に既存の電力網を介して提供することも可能である。
【0064】
さらに、担持装置9は変換器12を支持しており、この変換器12は、特に、蓄電池11から受け取られた電流を、電圧および周波数に関して電気モーター5に適した方式で変換する。次いで、この変換された電流は、変換器12から電流線路8を介して電気モーター5に供給される。
【0065】
象徴的に、さらに担持装置9には、測定装置13と振動装置14とが配置されている。これらの測定装置13および振動装置14は、実体的に別個の構成部品として担持装置9に配置される必要はない。むしろ、これらの装置は、蓄電池11内もしくは蓄電池11のバッテリー管理部内に、あるいは変換器12内または他の箇所に配置されていてもよい。
【0066】
空間的に分離した外部装置として用いられるモバイル装置15、例えばスマートフォンまたはタブレットが設けられており、その中には評価装置16が設けられていてよい。測定装置13および評価装置16は、一緒に締固め識別装置を形成する。特に、評価装置16は、プログラムもしくはアプリケーションとしてモバイル装置15にインストールされていてよい。
【0067】
モバイル装置15をエネルギー装置2に結合するために、蓄電池11には送受信装置17が設けられている。この送受信装置17を用いることにより、モバイル装置15、特に評価装置16との通信インターフェースとして用いられるデータ伝送路18を得ることができる。
【0068】
測定装置13および評価装置16は、コンクリート内の締固め進捗状況を識別するための締固め識別装置を一緒に形成している。そのため、測定装置13は、締固め動作期間中の電気モーター5の電流消費を監視することができる。最近の蓄電池システムは、多くの場合、電流消費を非常に正確に文書化するバッテリー管理システムを備えているので、測定装置13は、それに応じて蓄電池11に統合されるか、もしくはそこにあるバッテリー管理システムを使用することができる。その際に生じるデータは、データ伝送路18、例えば無線区間(Bluetooth)を介してモバイル装置15に伝送され、そこから評価装置16に伝送される。モバイル装置15は、評価装置16が必要な計算を実施できるように、十分な計算機容量を提供する。例えば、評価装置16は、アプリケーションとしてモバイル装置15にインストールされ、計算を実施することができる。
【0069】
評価装置16によって、締固め進捗状況が満足のいくものであること、予め設定された締固め度合いが達成されたことが識別されると、評価装置16は、信号を振動装置14に与える。振動装置14は、内部加振機の操作者が触覚的に知覚することができる適切な触覚的フィードバック信号を生成することができる。また、振動装置14は、実体的に別個の構成部品である必要はなく、他の構成部品、特に例えば変換器12もしくは変換器12の制御部(図示せず)に統合されていてもよい。振動装置14は、触覚的フィードバック信号を生成するという機能的タスクに用いられるだけである。
【0070】
この目的のために、予め設定された締固め進捗状況への到達に関する評価装置16からの信号は、蓄電池11における送受信装置17によって受信可能でかつ変換器12に転送可能であり、この変換器12は、それに従って、電気モーター5の回転数を増加または低減させる。回転数の増加または低減は、ここでは跳躍的にまたは連続的に行うことができ、あるいは締固めの進捗状況を使用者に通知するために可変の期間と組み合わせることもできる。例えば、締固めの進捗状況に関して操作者に情報通知するために、回転数の変化によってモールスコード状の信号を生成することも可能である。
【0071】
モーター回転数の変化は、内部加振機1における揺動周波数の変化につながる。操作者は、操作ホース3または切替装置7において内部加振機1を手動で案内するため、変化した揺動周波数は、振動として直接知覚され、次いで、操作者によって相応に解釈可能である。
【0072】
システムが、内部加振機1もしくは加振シリンダ4の現下の位置においてさらなる締固めがもはや可能でないか、もしくは有用でないことを検出した場合、内部加振機1を他の位置でさらに使用すべきであることを操作者に信号通知するために、変動する周波数から繰り返しパターンを設定することができる。操作者は、それに従って、操作ホース3を用いて加振シリンダ4をまだ締固められていないコンクリートの領域に移動させることができる。
【0073】
一変形形態では、振動装置14は、スマートフォンでの振動アラームと同様に、モーター回転数の変化から切り離されて独立した揺動を生成することもできる。この目的のために、振動装置14は、例えば、担持装置9または切替装置7にも設けられた小型の不均衡励振機(図示せず)を起動させることができ、それにより、操作者は、自身の背中または手で振動を感じることができる。
【0074】
モバイル装置15は、必ずしも必要というわけではない。同様に、評価装置16は、そこに十分な計算機容量が存在している場合、エネルギー装置2、例えば蓄電池11のバッテリー管理システムに統合することも可能である。
【0075】
蓄電池11は、接続された変換器12ならびにモバイル装置15と通信できるように構成されていてよい。蓄電池11には、電力消費を十分正確に感知するために必要な測定装置を統合してよい。
【0076】
一方の蓄電池11もしくは蓄電池11の送受信装置17と、他方のモバイル装置15との間の通信は、データ伝送路18(通信インターフェース)を介して双方向に伝搬されるため、計算結果またはそれに基づく信号を、外部のモバイル装置15から蓄電池11に、もしくはそれに接続された変換器12にもフィードバックすることができる。
【0077】
その結果、コンクリート締固めシステムは、内部加振機1もしくは加振シリンダ4の現下の位置において十分に締固められたことが操作者に感じ取れるように信号通知することができる。これにより、締固めプロセスを効率的に実施することができる。
【0078】
図2は、内部加振機1およびエネルギー装置2を備えた、
図1とは異なるが類似のコンクリート締固めシステムを概略図で示す。
図1および
図2のコンクリート締固めシステムの同一もしくは類似の特徴には、同一の参照符号が付されている。同一または類似の構成部品についての説明の繰り返しは省くことができる。
【0079】
象徴的に、
図2ではエネルギー装置2に、電流捕捉装置13、評価装置16、および解釈装置17が設けられている。これらの構成部品は、内部加振機1もしくはコンクリート締固め装置の他の箇所に配置されてもよい。しかしながら、そこにおいて電気モーター5によって消費された電流を正確に捕捉し、解釈するためには、蓄電池11もしくは変換器12の近傍へのそれらの配置が提案される。
【0080】
電流捕捉装置13、評価装置16、および解釈装置17は、実体的に別個の構成部品として存在する必要はない。むしろ、これらの装置は、蓄電池11内もしくは蓄電池11のバッテリー管理部内に、あるいは変換器12内またはその他の箇所に配置されてもよい。例えば、評価装置16および解釈装置17は、空間的に他の箇所に配置されてもよく、例えば、ソフトウェアアプリケーションとして、内部加振機の操作者に携帯され外部装置として用いられるモバイル装置15(例えばスマートフォン)に配置されていてよい。この場合は、電流捕捉装置13によって捕捉された電流値を評価装置16に伝送するために、通信区間もしくは通信インターフェースをデータ伝送路18の形態で提供する必要がある。
【0081】
電流捕捉装置13は、電気モーター5によって消費された電流を捕捉するために用いられる。その際に、可及的に正確な電流プロファイルを得るために、短いサンプリング間隔で電流を捕捉することが可能である。
【0082】
電流捕捉装置13の測定結果は評価装置16に転送され、この評価装置16は、以下でさらに
図3に基づいて説明するように、それぞれ現下で捕捉された電流(電流値および電流経過もしくは電流勾配)に基づいて、それぞれ内部加振機の作業状態を捕捉することができる。
【0083】
解釈装置17は、締固め過程の期間中の電流経過を解釈するために設けられている。特に、解釈装置17は、締固め過程の期間中の締固め状態を識別して分類すべきである。
【0084】
解釈装置17により、コンクリートが現下で十分締固められたことが確定された場合、図示されていない信号装置を介して信号を内部加振機1の操作者に与えることができ、それに伴って操作者は、対応する箇所での締固めを終了し、他の場所において継続する。
【0085】
締固め状態に関する情報は、様々な方式で操作者に伝達することができる。例えば、操作者には支援システムを介して、例えばスマートフォンにインストールされたアプリケーションを介して対応するデータを表示することができる。さらに、後からの文書化のために測定結果をプロトコル化することも容易に可能である。
【0086】
図3は、内部加振機1の様々な作業状態の間の電気モーター5によって消費された電流の経時変化を例示的に示している。それぞれの電流値は、電流捕捉装置13によって短いサンプリング間隔で捕捉することができる。
【0087】
位相aの間、内部加振機は空中で動作し、コンクリート内には浸漬されていない(アイドリング位相、アイドリング状態で電気モーターを動作させる、加振ハウジングを空中で位置決めする)。この位相では、消費された電流は恒常的に低い。
【0088】
加振ハウジングをコンクリート内に浸漬する間(位相b)、電流消費は増加し、検出可能な最大値に達する。
【0089】
それに続いて、内部加振機がコンクリート内に留まると(締固め過程)、コンクリートは、加振シリンダ4の有効範囲内で締固められる(位相c)。その際には負の電流勾配を用いることによって部分的に降下する電流経過を識別することができる。
【0090】
変化する電流勾配(電流降下)に基づいて、解釈装置17と連携した評価装置16により、締固め過程の進捗状況を推論することができる。締固めが進むほど、曲線経過は平坦になり、すなわち電流勾配はゼロに近づく。消費された電流は、この場合常に、空中でのアイドリング位相(位相a)よりも高いままであるので、アイドリング状態(位相a)と「浸漬」もしくは「締固め」状態(位相c)とは、常に相互に明確に区別することができる。
【0091】
加振シリンダ4がコンクリートから引き上げられる場合(位相d)、加振シリンダ4の位置変化による短時間の電流の上昇が観察される。それに続いて、内部加振機が再び空中に存在すると同時に消費電流は、アイドリングに対応する値まで下がる。最終的に、電流消費は、改めてアイドリング位相(位相e)に移行する。
【0092】
特に、内部加振機の動作のために使用することができるエネルギー蓄積器を有し、担持可能に背嚢システムに設けられたエネルギー装置の場合、通常は既に複数の測定装置が、例えばバッテリー制御電子系に存在しており、これらの測定装置を用いることにより、内部加振機を動作させるための電流および電圧の形態の入力電力を測定することができる。付加的なセンサ系、特に加振シリンダまたは保護ホース内のセンサ系は、ここでは不要である。
【0093】
高い測定精度とサンプリングレートとにより、電流経過から作業状態(アイドリング、浸漬、滞留、引き上げ)ならびにコンクリート内の内部加振機の締固め進捗状況を推論することが可能になる。そのつどの作業状態を求めるために、測定された値もしくはその経過および変化が既知の値もしくはパターンと比較される。
【0094】
測定は、蓄電池動作モードの内部加振機においてだけでなく、電力網動作モードの内部加振機においても適切な手法で実現することができる。
【0095】
この締固めシステムでは、複数の組み合わせや作業方式が可能であるが、以下ではこれらを上記の補足としてさらに掘り下げて説明する。
【0096】
蓄電池と周波数変換器とからなるシステム(接続された内部加振機はアクチュエーターとみなされ、ユーザーによってスイッチオンもしくはスイッチオフできる)起動している間、電流通流ならびに入力電圧が高いサンプリングレートで捕捉される。このために必要な測定技術は、バッテリー管理システムかまたは代替的に周波数変換器に内蔵されていてよい。
【0097】
解釈のために、測定されたデータは、蓄電池システム内の通信インターフェースを用いて、必要な計算能力ならびに評価に適したアプリケーションを有する、ユーザー側に既存のさらなる機器(例えば、スマートフォン、コンピュータ、スマートウォッチなど)に送信することができる。評価の種類に応じて、算術演算および/または格納されたプロファイル、特に電流もしくは電流経過プロファイルとの比較演算が可能である。
【0098】
電力網動作モードを有する機器の場合、測定装置および通信インターフェースは、変換器に統合されていてよい。
【0099】
外部機器(外部装置)は、同時に、例えばコンクリートの軟度や使用された内部加振機のタイプなど、締固め進捗状況を求めたりそれらを文書化したりするために必要となる情報および境界条件を表示ならびに問い合わせするための拡張されたマンマシンインターフェースとして用いることができる。
【0100】
用途に適した締固め度合いの達成も、外部機器を介して、特に音響的、光学的に信号通知することができ、あるいは振動発生器が機器内に存在する場合はそれを使用して信号通知することができる。
【0101】
直近の締固め過程(内部加振機の浸漬で開始され、引き上げで終了する)が不十分であったか、あるいは不良であった場合、それに関してユーザーに情報通知することもでき、そのためユーザーは必要に応じて締固め過程を繰り返すことができる。
【0102】
文書化は、例えば、締固め過程の数を記録すること、ならびにどの締固め過程が成功したかを評価することによって可能となってよい。外部機器のインターネット接続を使用することにより、締固めデータをさらなる機器または対応するクラウドに伝送することができる。これにより、集中的な文書化の他に、締固めプロセスの同時制御および継続的な適合化も可能になる。
【0103】
欧州特許出願公開第2574916号明細書に記載された構想とは対照的に、締固め品質を求めることは、内部加振機のデューティサイクルに基づいて行われるだけでなく、電流経過の解釈に基づき、ならびに使用された内部加振機およびコンクリートの種類もしくはコンクリートの軟度に対するユーザーから提供されたデータを用いて、締固め進捗状況および機器の状態を求めることに基づいて行われる。
【0104】
蓄電池と外部機器との間の通信は、双方向に伝搬することができるため、計算の結果またはそれに基づく信号を、外部機器から蓄電池に、もしくはこれに接続された周波数変換器にもフィードバックすることができる。
【0105】
電力網動作モードを有する、すなわち蓄電池なしの締固めシステムの場合,パラメータの測定は周波数変換器内で行うことができ,外部装置との直接通信を伴う。
【0106】
パラメータの測定は、周波数変換器においても可能であり、この場合、データは蓄電池を介して外部装置に通信可能である。この蓄電池は、この場合はゲートウェイの役割も担っている。
【0107】
締固め進捗状況を決定する際、電流値もしくは電流プロファイルを評価および解釈するために人工知能または機械学習を使用することができる。
【0108】
一変形形態では、電流経過(空中での動作/コンクリート内での上昇)について格納されているプロファイルに基づいて、接続された加振シリンダタイプの自動識別が可能になる。この場合、内部加振機タイプがシステムにわかっている限り、ユーザー入力は不要である。
【0109】
さらに、一変形形態では、コンクリート種類は、生じた電流経過に基づいて識別することができる。したがって、ここでもユーザー入力は不要である。
【0110】
データは、外部ネットワークにおいてもしくはネットワーク化されたシステムからの組み合わせにおいてもしくはクラウドにおいて評価および処理することができる。
【0111】
土壌締固め用機器(振動板、振動突固め機、振動ローラー)の締固め進捗状況の解釈および/または文書化は、測定された電流経過に基づいて可能である。
【0112】
特に、締固め進捗状況および/または締固め機械の状態の決定は、測定された電気的パラメータおよび対応する算術演算および比較演算に基づいて行うことができる。
【0113】
締固め品質を求めることは、ここでは、代理的な測定変数の依存性シミュレーションによって、特に既存の蓄電池システムにおいて捕捉された電流経過に基づいて実施することができる。締固め度合いとの比率における内部加振機1の電流経過もしくは消費電力の依存性は、複数のパラメータから影響を受ける。すべてのパラメータ(例えば使用される内部加振機1の特性曲線)が既知であるならば、現下の締固め度合いは、既知の値と現下で測定された値とに基づいて計算もしくはシミュレートすることができる。
【0114】
本発明によれば、例えば自己保護のために対応する機器(例えば内部加振機)内にいずれにせよ組み込まれている測定装置を使用することができる。これにより、加振シリンダ内または保護ホース内の付加的センサ系を省くことが可能になる。
【0115】
ここでは、コストのかかる付加的ハードウェアを使用することなく、内部加振機を用いたコンクリート締固め過程の十分に自動化された文書化が可能である。また、既存の内部加振機の使用も可能になる。なぜなら、センサ系の追加装備が不要になるからである。必要な算術演算は、例えば、スマートフォンなどの外部端末上で実施することができる。
【0116】
この締固めシステムは、内部加振機の現下の位置において十分に締固められたことがユーザーに信号通知される支援システム用の基盤であり得る。これにより、締固めプロセスの際の効率向上と、担持する構成部品についての安全性向上とが達成可能になる。
【0117】
重要な考察は、ここでは、いずれにせよユーザーが多くの場合、例えば自身のスマートフォンなどの形態で携帯している計算能力の利用にある。これにより、特に評価装置や場合によっては解釈装置に必要な計算能力のためにさらなるコストはかからず、リソースを節約することができる。
【外国語明細書】