(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160186
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】カテーテルおよび塞栓物装填済みカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 17/135 20060101AFI20241106BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61B17/135
A61M25/00 532
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021152293
(22)【出願日】2021-09-17
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】生野 恵理
(72)【発明者】
【氏名】水田 亮
(72)【発明者】
【氏名】柴田 秀彬
(72)【発明者】
【氏名】川村 将郎
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD62
4C267AA05
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB40
4C267CC10
4C267DD08
4C267GG24
4C267HH08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プライミング操作時にカテーテルに装填された塞栓物の意図しない飛び出しを防止するカテーテルおよび塞栓物装填済みカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテルは、塞栓物10を装填可能に構成される装填用ルーメンと、装填用ルーメンの先端と連通した先端開口部を含む先端部を有するカテーテル本体21と、カテーテル本体の先端部に設けられた先端部材70を備える。先端部材は、装填用ルーメンに装填された塞栓物の先端部に当接することによって、塞栓物の先端部を除く本体部分が先端開口部から突出することを抑制するように構成された抑制部と、プライミング液をカテーテル本体の先端部から排出可能な流路を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の瘤内に挿入され留置される塞栓物を装填可能に構成される装填用ルーメンと、前記装填用ルーメンの先端と連通した先端開口部を含む先端部と、を有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記先端部に設けられた先端部材と、を備え、
前記先端部材は、
前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の先端部に当接することによって、前記塞栓物の前記先端部を除く本体部分の前記カテーテル本体の前記先端開口部からの突出を抑制するように構成された抑制部と、
前記抑制部が前記塞栓物の前記本体部分の前記先端開口部からの突出を抑制している状態において、前記装填用ルーメンを基端側から先端側に向かって移動する前記プライミング液を前記カテーテル本体の前記先端部から排出可能に構成される流路と、を有し、
(a)前記先端部材を前記カテーテル本体から取り外す、または、(b)前記抑制部に向かって押し出される前記塞栓物によって前記抑制部を変形させて前記流路を含む前記塞栓物が通過可能な塞栓物排出口を形成する、のいずれかにより、前記先端開口部を介して前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物を前記カテーテル本体から排出可能となる、カテーテル。
【請求項2】
前記先端部材は、前記カテーテル本体の前記軸方向に交差するように配置される本体部と、前記本体部から延在し、前記カテーテル本体の前記先端部の側面を覆うように配置される延在部と、を備え、
前記抑制部は、前記本体部に形成され、前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の前記先端部が、前記プライミング操作時に生じる前記水圧によって当接するように構成される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記流路は、前記本体部に形成される1つ以上の第1孔部からなる第1排出口を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1孔部の大きさは、前記カテーテル本体の前記軸方向に交差する方向から視たときに、前記塞栓物の大きさよりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記流路は、前記延在部に形成される1つ以上の第2孔部からなる第2排出口を含み、
前記第2排出口は、前記カテーテル本体の前記軸方向及び/又は周方向に沿って形成される、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記流路は、前記本体部と前記カテーテル本体との間に形成され、前記装填用ルーメンと連通する第1内部空間と、前記延在部と前記カテーテル本体の前記先端部の外周面との間に形成され、前記第1内部空間と連通する1つ以上の第2内部空間と、前記第2内部空間の各々と連通する第3排出口を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記先端部材は、前記カテーテル本体と別体に構成され、取り付け可能、又は取り外し可能に構成される、請求項2~5のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記抑制部に当接した前記塞栓物が前記流路の前記断面サイズを規定する前記抑制部を変形させて前記流路を含む前記塞栓物排出口を形成することにより、前記先端開口部を介して前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物を前記カテーテル本体から排出可能であり、
前記先端部材は、前記第1孔部から延在する1つ以上の切込み部を備え、
前記抑制部は、前記切込み部によって前記本体部に画成され、前記流路の前記断面サイズを規定するフラップ部を備え、
前記フラップ部は、前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の前記先端部が前記プライミング操作時に生じる前記水圧によって当接するとともに、前記フラップ部の基端面への前記水圧よりも強い外力の付与により変形し、前記第1孔部を含む前記塞栓物排出口を形成するように構成される、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カテーテル本体の先端側の少なくとも一部は、送達用カテーテルの基端部に設けられたシースハブの連通路に挿入可能であり、
前記先端部材は、前記カテーテル本体の前記先端部が前記シースハブの前記連通路に挿入されるときに、前記シースハブと当接することにより、前記フラップ部が前記カテーテル本体の前記先端開口部の先端側に配置された第1の位置から、前記フラップ部が前記カテーテル本体の前記先端開口部の基端側に配置された第2の位置まで、前記カテーテル本体の軸に沿って移動可能であり、
前記先端部材が前記第1の位置から前記第2の位置まで移動するときに、前記カテーテル本体の前記先端部が前記フラップ部の前記基端面に前記外力を及すことによって、前記塞栓物排出口が形成され、
前記カテーテル本体の前記先端開口部は、前記塞栓物排出口を通過することによって前記抑制部の先端側に突出するように構成される、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記抑制部に当接した前記塞栓物が前記流路の前記断面サイズを規定する前記抑制部を変形させて前記流路を含む前記塞栓物排出口を形成することにより、前記先端開口部を介して前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物を前記カテーテル本体から排出可能であり、
前記先端部材の前記本体部は、前記第1孔部と前記カテーテル本体の前記先端開口部とを連通する第3内部空間と、前記第3内部空間の少なくとも一部を画成するテーパ部と、をさらに備え、
前記抑制部は、前記テーパ部に形成され、前記テーパ部が前記本体部の先端に向かって前記第3内部空間の前記カテーテル本体の前記軸方向と直交する方向における最小径を漸減するように構成されることによって、前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の前記先端部が前記プライミング操作時に生じる前記水圧によって当接するように構成され、かつ、前記水圧よりも強い先端方向への外力が前記テーパ部に付与されることによって前記第3内部空間の前記最小径を拡大するように変形し、前記第1孔部および前記第3内部空間を含む前記塞栓物排出口を形成するように構成される、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記カテーテル本体及び/又は前記先端部材の少なくとも一部は、送達用カテーテルの基端部に設けられたシースハブの連通路に挿入可能であり、
前記先端部材は、前記カテーテル本体の先端側の少なくとも一部が前記シースハブの前記連通路に挿入されるときに、前記シースハブと当接することにより、前記テーパ部が前記カテーテル本体の前記先端開口部の先端側に配置された第1の位置から、前記テーパ部が前記カテーテル本体の前記先端開口部の基端側に配置された第2の位置まで、前記カテーテル本体の軸に沿って移動可能であり、
前記カテーテル本体の前記先端部は、前記先端部材が前記第1の位置から前記第2の位置まで移動するときに、前記テーパ部に前記外力を及すことによって前記塞栓物排出口を形成し、前記カテーテル本体の前記先端開口部が前記塞栓物排出口を通過して前記抑制部の先端側に突出するように構成される請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記先端部材は、前記カテーテル本体と別体に構成されるとともに、前記カテーテル本体に装着されている、請求項8~11のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記カテーテル本体は、前記先端開口部の近傍に、前記カテーテル本体の側壁を貫通する1つ以上の貫通孔を有し、
前記貫通孔の少なくとも一部は、前記延在部よりも基端側に位置し、
前記貫通孔の少なくとも一部は、前記流路と連通する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記先端部材は、前記カテーテル本体の軸方向に交差するように配置される第2本体部と、前記第2本体部から延在し、前記装填用ルーメンに少なくとも部分的に挿入される第2延在部と、を備え、かつ、前記カテーテル本体と別体に構成されて前記カテーテル本体の前記先端部から取外し可能に構成されており、
前記抑制部は、前記第2延在部に形成され、前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の先端側が、前記プライミング操作時に生じる前記水圧によって当接するように構成され、
前記流路は、前記第2延在部と前記カテーテル本体との間に形成される1つ以上の第4内部空間と、前記第2本体部と前記カテーテル本体との間に形成され、前記第4内部空間の各々と連通する第5内部空間と、前記第5内部空間と連通する第5排出口を含み、
前記先端部材が前記カテーテル本体から取り外されると、前記先端開口部を介して前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物を排出可能である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記先端部材は、前記カテーテル本体の軸方向に交差するように配置される第3本体部と、前記第3本体部から延在し、前記装填用ルーメンに少なくとも部分的に挿入される第3延在部と、を備え、かつ、前記カテーテル本体と別体に構成されて前記カテーテル本体の前記先端部から取外し可能に構成されており、
前記抑制部は、前記第3延在部に形成され、前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の先端側が、前記プライミング操作時に生じる前記水圧によって当接するように構成され、
前記カテーテル本体は、前記先端開口部の近傍に、前記カテーテル本体の側壁を貫通するとともに、前記第3延在部よりも基端側に位置する1つ以上の貫通孔を有し、
前記貫通孔の少なくとも一部は、前記第3延在部よりも基端側に位置し、
前記貫通孔の少なくとも一部は、前記流路と連通し、
前記先端部材が前記カテーテル本体から取り外されると、前記先端開口部を介して前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物を排出可能である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のカテーテルと、
前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物と、を備える、塞栓物装填済みカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルおよび塞栓物装填済みカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の大動脈に生じた瘤(大動脈瘤)は、瘤径の増大、破裂を防ぐ薬物的治療はなく、破裂の危険を伴う瘤径のものに対しては、一般的に外科的療法(手術)が行われる。また、大動脈瘤の手術は、従来、開腹または開胸して人工血管を移植する人工血管置換術が主流であったが、近年では、より低侵襲なステントグラフト内挿術(Endovascular Aneurysm Repair;EVAR)の適用が急速に拡大しつつある。
【0003】
一例として、腹部大動脈瘤(AAA:Abdominal aortic aneurysm)に対するステントグラフト内挿術においては、先端にステントグラフトを収納したカテーテルを患者の末梢血管から挿入し、ステントグラフトを動脈瘤患部に展開・留置することにより、動脈瘤への血流が遮断されて動脈瘤の破裂が防止され得る。
【0004】
一般的に、ステントグラフト内挿術で使用されるステントグラフトは、略Y字状に分岐した分岐部を備える「主本体部」と、分岐部に装着されると共に右腸骨動脈および左腸骨動脈にそれぞれ装着される「脚部」の2種類の部材を組み立てられる構造を有している。
【0005】
そのため、ステントグラフト内挿術において、内挿したステントグラフトの密着不足によるステントグラフト周囲からの血液漏れ、動脈瘤から枝分れした細い血管(分枝血管)からの血液の逆流などにより、動脈瘤内に血流が残存する、所謂「エンドリーク」が生じることがある。この場合、動脈瘤内に浸入した血流によって動脈瘤壁に圧がかかってしまうため、動脈瘤破裂の危険性が潜在する。
【0006】
下記特許文献1には、エンドリークを起因とする大動脈瘤内への血流残存を遮断するため、圧縮した比較的細長なスポンジ(塞栓物)をその管腔内に保持可能なカテーテルと、カテーテル内に保持された塞栓物を血液で満たされた動脈瘤内に押し出すプランジャーとを備えたデバイスについて開示されている。このデバイスに使用されるスポンジは、血液に曝されると直ちに拡張するため、動脈瘤内に押し出されて瘤内の血液を吸収すると膨張(膨潤)し、その状態で動脈瘤内に留置されて血流を遮断して破裂を防止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されるデバイスのような管腔に塞栓物を装填した状態のカテーテルは、管腔内に空気が存在する場合があり、瘤内に塞栓物を吐出した際、空気も一緒に排出されることがある。瘤内に排出された空気は、瘤の側枝血管に流れ込んでエアーエンボリズムを引き起こす可能性がある。そのため、術者は、塞栓物を装填した状態のカテーテルに対し、生理食塩水などのプライミング液をカテーテル内に注入して管腔内の空気を排出させるプライミング操作を行う。
【0009】
しかし、特許文献1に開示されるデバイスでは、カテーテルに塞栓物を装填した状態でプライミング操作を行うと、プライミング液の押圧力(水圧)によって塞栓物がカテーテルから意図せず飛び出してしまうことがある。塞栓物を装填するカテーテルは、血管などの生体管腔内に挿入して使用するため径サイズが小さく、一度カテーテルから飛び出た塞栓物を再び装填し直すのは困難であり、かつ、塞栓物を破損するリスクもあり、また、飛び出した塞栓物を再装填することは衛生的にも好ましくなく、改善の余地がある。
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態は、上記課題に鑑みてなされたものであり、プライミング操作時にカテーテルに装填された塞栓物の意図しない飛び出しを防止できるカテーテルおよび塞栓物装填済みカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施形態に係るカテーテルは、生体内の瘤内に挿入され留置される塞栓物を装填可能に構成される装填用ルーメンと、前記装填用ルーメンの先端と連通した先端開口部を含む先端部と、を有するカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記先端部に設けられた先端部材と、を備え、前記先端部材は、前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物の先端部に当接することによって、前記塞栓物の前記先端部を除く本体部分の前記カテーテル本体の前記先端開口部からの突出を抑制するように構成された抑制部と、前記抑制部が前記塞栓物の前記本体部分の前記先端開口部からの突出を抑制している状態において、前記装填用ルーメンを基端側から先端側に向かって移動する前記プライミング液を前記カテーテル本体の前記先端部から排出可能に構成される流路と、を有し、(a)前記先端部材を前記カテーテル本体から取り外す、または、(b)前記抑制部に向かって押し出される前記塞栓物によって前記抑制部を変形させて前記流路を含む前記塞栓物が通過可能な塞栓物排出口を形成する、のいずれかにより、前記先端開口部を介して前記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物を前記カテーテル本体から排出可能となる。
【0012】
また、本実施形態に係る塞栓物装填済みカテーテルは、上述したカテーテルと、記装填用ルーメンに装填された前記塞栓物と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、プライミング操作時にカテーテルに装填された塞栓物の意図しない飛び出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る医療器具セットおよびデリバリーシステムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの構成を示す図である。
【
図3A】本発明の第1実施形態に係る先端部材を示す図である。
【
図3B】本発明の第1実施形態に係るカテーテルの先端側を示す図である。
【
図5A】先端部材の第1孔部の変形例を示す図である。
【
図5B】先端部材の第1孔部の変形例を示す図である。
【
図5C】先端部材の第1孔部の変形例を示す図である。
【
図5D】先端部材の第1孔部の変形例を示す図である。
【
図6A】先端部材の第1孔部の変形例を示す図である。
【
図6B】先端部材の第1孔部の変形例を示す図である。
【
図8A】先端部材の第1内部空間および第3排出口の変形例を示す断面図である。
【
図8B】先端部材の第1内部空間および第3排出口の変形例を示す断面図である。
【
図9A】医療器具セットの係合部の一形態例を示す概略断面図である。
【
図10A】送達用プッシャーのハンドル部近傍の部分拡大図である。
【
図10B】送達用プッシャーの挿入状態を示す部分拡大図である。
【
図11A】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、送達用カテーテルが瘤内に送達された状態を示す図である。
【
図11B】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、瘤内にステントグラフトが展開された状態を示す図である。
【
図11C】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、塞栓物装填済カテーテルを送達用カテーテルに装着する前の状態を示す図である。
【
図11D】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、塞栓物装填済カテーテルを送達用カテーテルに装着した状態を示す図である。
【
図11E】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、送達用プッシャーを塞栓物装填済カテーテルに挿入中の状態を示す図である。
【
図11F】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、送達用プッシャーによって塞栓物が瘤内に押し出された状態を示す図である。
【
図11G】本発明の一実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システムの動作例であって、送達用カテーテルから塞栓物装填済カテーテルを離脱させる状態を示す図である。
【
図12】第1実施形態の変形例に係るカテーテルの先端側を示す図である。
【
図13A】第2実施形態に係る先端部材を示す図である。
【
図13B】第2実施形態に係るカテーテルの先端側を示す図である。
【
図13C】第2実施形態に係る係合部の係合状態を示す概略断面図である。
【
図15A】第2実施形態の変形例に係るカテーテルの先端側を示す図である。
【
図15B】第2実施形態の変形例に係る係合部の係合状態を示す概略断面図である。
【
図18A】第3実施形態に係る先端部材を示す図である。
【
図18B】第3実施形態に係るカテーテルの先端側を示す図である。
【
図19B】
図19Aに示す先端部材を取り付けたカテーテルの先端側を示す図である。
【
図21】第3実施形態に係る先端部材を
図12に示すカテーテルに適用した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0016】
また、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0017】
また、本明細書において、塞栓物10を瘤内に送達可能な塞栓物デリバリー医療システム300を構成する各部の操作方向は、例えば、塞栓物装填済みカテーテル20Mを瘤内に送達させるための送達用カテーテル40の軸方向に沿った方向であって、塞栓物10が瘤内に搬送される側を「先端側(または先端部)」とし、先端側と軸方向で反対側に位置して術者が手元で操作する側(送達用カテーテル40が抜去される側)を「基端側(または基端部)」とする。なお、「先端」とは、最先端を含む軸方向の一定の範囲を意味し、「基端」とは、最基端を含む軸方向の一定の範囲を意味するものとする。
【0018】
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0019】
[構成]
本実施形態に係る医療器具セット100、デリバリーシステム200および塞栓物デリバリー医療システム300について説明する。
【0020】
本実施形態に係る医療器具セット100、デリバリーシステム200、および塞栓物デリバリー医療システム300は、一例として血管内に生じた瘤(例えば動脈瘤)の破裂を防止するための治療法である、腹部大動脈瘤(AAA)のステントグラフト内挿術に対するエンドリーク塞栓術に適用され得る。また、本実施形態に係る医療器具セット100、デリバリーシステム200、および塞栓物デリバリー医療システム300が適用可能な治療法としては、上記エンドリーク塞栓術に限らず、血管内に生じた瘤の破裂を防止させるための他のインターベンション治療法にも適用可能である。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係る医療器具セット100およびデリバリーシステム200の構成を示す図であり、
図2は、塞栓物デリバリー医療システム300の構成を示す図である。また、
図3A~
図8Bは、先端部材70の構成を示す図であり、
図3Aは、説明の便宜上、先端部材70のみを示している。なお、
図3A(A)は、先端部材70の斜視図であり、
図3A(B)は、軸方向から視た平面図である。また、
図9A~
図10Bは、各構成の接続状態を示す図である。
【0022】
図面に付した矢印Xは、塞栓物装填済カテーテルのカテーテル本体の「軸方向(長手方向)」を示し、矢印Yは、カテーテル本体の「幅方向(奥行方向)」を示し、矢印Zは、カテーテル本体の「高さ方向」を示す。
【0023】
<医療器具セット>
医療器具セット100は、
図1に示すように、塞栓物10が装填された塞栓物装填済みカテーテル20Mと、送達用プッシャー30を備えている。
【0024】
〈塞栓物〉
塞栓物10は、血管内に生じた動脈瘤のような瘤内に留置され、瘤内に流入される血液を含む液体を吸収して膨張する。塞栓物10は、カテーテル20に装填され、塞栓物装填済みカテーテル20Mが送達用カテーテル40に装着された状態で送達用プッシャー30により押し出されて瘤内に留置される。
【0025】
塞栓物10は、生理条件下で血液を含む水性液体との接触により膨脹する膨張性材料(高分子材料(吸水ゲル材料)など)からなる細長い繊維状の線体(線状体)である。
【0026】
ここで、「生理条件」とは、哺乳動物(例えば、ヒト)の体内または体表面における少なくとも1つの環境特性を有する条件を意味する。そのような特性は、等張環境、pH緩衝環境、水性環境、中性付近(約7)のpH、又はそれらの組み合わせを包含する。また、「水性液体」は、例えば、等張液、水;血液、髄液、血漿、血清、ガラス体液、尿などの哺乳動物(例えば、ヒト)の体液を包含する。塞栓物10の外径は、塞栓物装填済みカテーテル20Mおよび送達用カテーテル40の内径に収容可能であればよく、例えばこれらカテーテルの内径と略同等とすることができる。また、塞栓物10の全長は、特に制限はないが、装填容易性と手技時間の短縮化などを考慮しつつ留置先となる瘤の大きさなどによって適宜決定されてよい。
【0027】
なお、塞栓物10の構成材料は、少なくとも血液のような液体を吸収して膨張し、かつ瘤内に留置された状態でも人体への有害性がない(または極めて低い)材料であれば、特に限定されない。また、塞栓物10は、X線、蛍光X線、超音波、蛍光法、赤外線、紫外線などの確認方法によって生体内の存在位置が確認可能な可視化材料が添加されていてよい。
【0028】
〈塞栓物装填済みカテーテル〉
塞栓物装填済みカテーテル20Mは、長尺状のカテーテル本体21と、カテーテル本体21の先端部に設けられた先端部材70と、カテーテル本体21の基端側に設けられる基端ハブ23と、一端が基端ハブ23の基端側と接続されて他端が活栓25のポート26と接続される可撓性を有するチューブ24を備えるカテーテル20と、塞栓物10を備えている。
【0029】
カテーテル本体21は、軸方向に沿って先端側の開口部から基端側の開口部にかけて連通する孔が形成された管状部材であり、塞栓物10を装填可能に構成される装填用ルーメン22と、装填用ルーメン22の先端と連通した先端開口部21aを含む先端部を有している。カテーテル本体21の延在方向の長さは、適宜規定されるが、少なくとも塞栓物10が収容可能な長さを有していればよい。
【0030】
装填用ルーメン22の内径は、送達用カテーテル40のシースルーメン42の内径と略同等に設計されている。これにより、塞栓物10の外径は、塞栓物装填済みカテーテル20Mおよび送達用カテーテル40の内径と略同等にできる。
【0031】
カテーテル20は、主として予め塞栓物10が装填された状態で供されるが、カテーテル本体21に装填される塞栓物10は、術者などが塞栓物10を把持してカテーテル本体21内に装填してもよい。塞栓物10の装填方法としては、術者が塞栓物10を把持してカテーテル20の先端接続部27側または基端ハブ23側から挿入することができる。
【0032】
先端接続部27側に配置された先端部材70は、カテーテル本体21から取り外すことができる。カテーテル本体21から先端部材70が取り外されると、カテーテル本体21は、塞栓物10が収容された状態で先端接続部27を介して送達用カテーテル40のシースハブ43と係合して装着される。この装着状態において、送達用プッシャー30が基端ハブ23から挿入されることにより、装填される塞栓物10は、送達用カテーテル40に向けて押し出される。
【0033】
塞栓物装填済みカテーテル20Mの構成材料は、少なくとも送達用カテーテル40よりも剛性を有し、包装時などに装填される塞栓物10の破損が防止される程度の適度な硬さが得られる材料であれば、特に限定されない。カテーテル本体21の構成材料の一例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエーテルケトンなどの高分子材料またはこれらの混合物のような樹脂材料、形状記憶合金、ステンレス、タンタル、チタン、プラチナ、金、タングステンのような金属材料を好適に用いることができる。
【0034】
なお、カテーテル本体21は、塞栓物10の破損防止の観点からシース41よりも剛性を有していればよいため、材料自体を硬質なものにする他、シース41と同材料を採用したときには肉厚を厚くしてキンクし難い形態としてもよい。肉厚を可変した形態の場合、カテーテル本体21の外径がシース41の外径よりも太径となるが、塞栓物装填済みカテーテル20Mは送達用カテーテル40と係合部60を介して装着されるため、特に問題とはならない。
【0035】
基端ハブ23は、カテーテル本体21の装填用ルーメン22とチューブ24を連通させる挿通路23a(ルーメン)を備え、活栓25から流入する流体(生理食塩水などのプライミング液)を、チューブ24を介してカテーテル本体21に流通させる中間部材である。基端ハブ23は、塞栓物装填済みカテーテル20Mの装填用ルーメン22にプライミング液を注入可能な注入用ハブとして機能する。装填用ルーメン22に装填された塞栓物10は、送達用プッシャー30が基端ハブ23の挿通路23aを介して装填用ルーメン22に挿通されることにより、送達用カテーテル40に向けて押し出される。
【0036】
基端ハブ23の構成材料としては、硬質樹脂のような硬質材料であれば、特に限定されない。基端ハブ23の構成材料の一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどを好適に用いることができる。
【0037】
また、基端ハブ23の基端側の内方には、図示しない止血弁が取り付けられている。止血弁は、例えば弾性部材であるシリコーンゴム、ラテックスゴム、ブチルゴム、イソプレンゴムなどで構成された略楕円形の膜状(円盤状)の弁体を用いてよい。
【0038】
チューブ24は、一端が基端ハブ23の基端側と連結され、他端が活栓25のポート26と連結される。チューブ24は、ポート26に連結される図示しないプライミング用シリンジから流出される生理食塩水などの液体が流通する管路である。
【0039】
チューブ24は、操作性を考慮して可撓性を有する樹脂材料であれば、特に限定されない。チューブ24の構成材料の一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどを好適に用いることができる。
【0040】
活栓25は、基端ハブ23の挿通路23aと、チューブ24を介してカテーテル本体21の装填用ルーメン22と連通する。活栓25のポート26には、チューブ24の基端側が接続される他、カテーテル本体21の装填用ルーメン22をプライミング操作するためのプライミング用シリンジを接続することもできる。本実施形態において、活栓25は、三方活栓を採用している。しかし、活栓25は、三方活栓に限定されず、他の形態(例えば二方活栓やポートが4つ以上の多方活栓など)を採用してもよい。
【0041】
先端部材70は、
図3Aに示すように、カテーテル本体21の軸方向に交差するように配置される本体部71と、本体部71から延在し、カテーテル本体21の先端部の外周面(側面)21Sを覆うように配置される延在部72を備えている。
【0042】
また、先端部材70は、
図3Bに示すように、抑制部80と、流路90を有している。
【0043】
抑制部80は、
図3Bに示すように、本体部71に形成され、術者がプライミング操作を行う際に生じる水圧によって塞栓物10が装填用ルーメン22の先端まで移動した際に、塞栓物10の先端部が当接するように構成されている。そのため、抑制部80は、装填用ルーメン22内をプライミング液で満たすプライミング操作時に生じる水圧により塞栓物10がカテーテル本体21の先端開口部21aに向かって移動する際に、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10の先端部を除く本体部分がカテーテル本体21の先端開口部21aから突出することを抑制することができる。
【0044】
流路90は、
図3A、
図3Bに示すように、本体部71に形成される第1孔部91からなる第1排出口と、延在部72に形成される複数の第2孔部92からなる第2排出口と、本体部71とカテーテル本体21との間に形成される第1内部空間93を含み、先端部材70の先端側から基端側にかけて連通している。
【0045】
第1孔部91は、
図3Aに示すように、略円形であり、本体部71の略中心に形成されている。第1孔部91の大きさは、
図3A(B)に示すように、カテーテル本体21の軸方向に交差する方向から視たときに、塞栓物10の大きさよりも小さくなるように構成されている。また、第2孔部92の各々は、
図3A(A)に示すように、略円形であり、カテーテル本体21の周方向に沿って形成されている。また、第1内部空間93は、
図3Bに示すように、延在部72によって形成され、装填用ルーメン22と各孔部91、92に連通している。そのため、流路90は、術者がプライミング操作を行う際に、装填用ルーメン22を基端側から先端側に向かって移動するプライミング液を第1排出口(第1孔部91)及び/又は第1排出口(第2孔部92)から排出することができ、かつ、塞栓物10がカテーテル本体21の先端開口部21aから突出することを抑制することができる。
【0046】
したがって、先端部材70が取り付けられている塞栓物装填済みカテーテル20Mは、プライミング操作時にプライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0047】
また、先端部材70は、上述したように、カテーテル本体21から取り外すことができる。そのため、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10は、先端部材70がカテーテル本体21から取り外されると、カテーテル本体21の先端開口部21aから突出することができる。したがって、先端部材70が取り外された塞栓物装填済みカテーテル20Mは、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10をカテーテル本体21から排出することができる。
【0048】
先端部材70の構成材料は、特に限定されず、ゴム材料を含む樹脂材料や金属材料などを好適に用いることができる。また、先端部材70は、デンプンやプルランなど、造膜性を有する水溶性多糖類によって構成することができる。この場合、プライミング操作時には塞栓物10の飛び出しを防止し、プライミング操作を終えた後には接触しているプライミング液によって溶けるように先端部材70を構成することができるため、術者は、プライミング操作を終えた後に、先端部材70を外す必要がない。また、先端部材70は、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックによって構成することができる。この場合、誤って体内に入ってしまった場合も、体内で分解されて消失するように先端部材70を構成することができる。
【0049】
なお、先端部材70の構成は、以下に説明するように、適宜変更することができる。
【0050】
例えば、先端部材70の先端側の形状は、特に限定されない。
図4に示すように、先端部材70Aは、突起部73をさらに備えていてもよい。このように構成することによって、術者は、突起部73を把持しながら先端部材70Aを動かすことができる。そのため、術者は、先端部材70Aをカテーテル本体21から取り外す(または先端部材70Aをカテーテル本体21に取り付ける)動作を容易に行うことができる。
【0051】
また、第1孔部91の形状は、特に限定されない。第1孔部の形状は、略真円、楕円形を含む円形(
図3Aを参照)であってもよく、多角形であってもよい。例えば、先端部材70Bの第1孔部91Bは矩形(
図5Aを参照)、先端部材70Cの第1孔部91Cは十字型(
図5Bを参照)、先端部材70Dの第1孔部91Dは斜方形(
図5Cを参照)、先端部材70Eの第1孔部91Eは星形多角形(星形八角形、
図5Dを参照)とすることができる。
【0052】
また、第2孔部92の形状は、特に限定されない。第2孔部の形状は、略真円や楕円形を含む円形(
図3Aを参照)であってもよく、矩形であってもよい。
【0053】
また、第1孔部91および第2孔部92の個数は1つ以上であればよく、特に限定されない。また、先端部材に複数の第1孔部(又は複数の第2孔部)を形成する場合、各第1孔部(又は各第2孔部)の配置は特に限定されない。例えば、
図6Aに示すように、先端部材70Fは、複数の第1孔部91Fを有し、各第1孔部91Fは放射線状に配置されていてもよい。また、
図6Bに示すように、先端部材70Gは、複数の第1孔部91Gを有し、各第1孔部91Gは格子状に配置されていてもよい。また、先端部材の延在部に複数の第2孔部を形成する場合、各第2孔部は、カテーテル本体21の軸方向及び/又は周方向に沿って形成されていればよく、延在部に対して規則的に配置されていてもよいし、不規則的に配置されていてもよい(図示省略)。
【0054】
また、先端部材70は、第1排出口(第1孔部91)および第2排出口(第2孔部92)を有していると説明したが、少なくとも、第1排出口および第2排出口のうちいずれかの排出口を有していればよい。
【0055】
また、先端部材70とカテーテル本体21の接続形態は、特に限定されない。例えば、先端部材70とカテーテル本体21は螺合することによって接続されていてもよく、先端部材70がカテーテル本体21に圧入されることによって接続されていてもよい。なお、先端部材70の本体部71とカテーテル本体21の先端開口部21aとの距離d(
図3Bを参照)の値は、特に限定されず、予め設定された距離dの値によって、カテーテル本体21に接続される延在部72の範囲を適宜変更することができる。先端部材70が第2排出口(第2孔部92)を有している場合は、プライミング液を第2排出口から排出するために、先端部材70の本体部71とカテーテル本体21の先端開口部21aとの間に一定の距離(すなわち距離d)を確保する必要がある。しかし、先端部材70が第2排出口(第2孔部92)を有さず、第1排出口(第1孔部91)のみを有している場合は、距離dを確保する必要がない。そのため、先端部材70の本体部71は、先端部材70とカテーテル本体21に接続されたときに、カテーテル本体21の先端開口部21aに当接していてもよい。
【0056】
また、先端部材70は、流路90が、延在部72とカテーテル本体21の先端部の外周面(側面)21Sとの間に形成され第1内部空間93と連通する内部空間と、該内部空間と連通する排出口をさらに含むように、配置されていてもよい。
【0057】
例えば、
図7Aに示すように、先端部材70Hの流路90Hは、本体部71Hとカテーテル本体21との間に形成され、装填用ルーメン22と連通する第1内部空間93Hと、延在部72Hとカテーテル本体21の先端部の側面21Sとの間に形成され、第1内部空間93Hと連通する複数の第2内部空間94と、第2内部空間94の各々と連通する第3排出口95を含んでいる。先端部材70Hは、カテーテル本体21に取り付け(または取り外し)可能に構成され、先端部材70Hがカテーテル本体21に取り付けられると、先端部材70Hの延在部72Hは少なくとも部分的にカテーテル本体21に接続される。先端部材70Hの第1内部空間93Hの形状(第1内部空間93Hを軸方向から視たときの断面サイズ)は、三角形であり、先端部材70Hは、3つの第3排出口95を備えることができる(
図7Bを参照)。
【0058】
なお、第1内部空間の形状は特に限定されず、第3排出口の個数は第1内部空間の形状によって定義される。例えば、
図8Aに示すように、先端部材70Iの第1内部空間の形状が、カテーテル本体21の軸方向に交差する方向から視たときに、十字型である場合、先端部材70Iは、8つの第3排出口95Iを備えることができる。
【0059】
また、
図8Bに示すように、先端部材70Jの第1内部空間の形状が、カテーテル本体21の軸方向に交差する方向から視たときに、星形八角形である場合、先端部材70Jは、8つの第3排出口95Jを備えることができる。なお、第1内部空間の形状は、星形五角形などのその他の星形多角形であってもよい。
【0060】
〈塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態〉
図9A、
図9Bに示すように、カテーテル20の先端側には、送達用カテーテル40のシースハブ43と接続される先端接続部27(接続部に相当)が設けられている。先端接続部27には、シースハブ43の基端側に設けられる第1係合部48と係合する第2係合部28が設けられている。
【0061】
本実施形態に係る医療器具セット100において、第1係合部48と第2係合部28は、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40との接続状態を維持するための係合部60を構成する。
【0062】
図9A、
図9Bには、係合部60の形態例が示されている。係合部60において、第1係合部48は雌部として機能し、第2係合部28が雄部として機能する。
【0063】
係合部60は、
図9Bに示すように、係合部60は、塞栓物装填済みカテーテル20Mが送達用カテーテル40に対して外側嵌合する形態としてよい。この形態において、第1係合部48は、シースハブ43の基端側の外周面に周方向に沿って設けられた溝部48aとし、第2係合部28は、カテーテル本体21の先端部の外周面上に固定された別体のスカート部材として設けられ、カテーテル本体21の先端部の外周の少なくとも一部を覆うように設けられた複数の係合爪28aを有する。
図5Bに示すように、係合部60は、第2係合部28の係合爪28aが第1係合部48となる溝部48aと嵌合されることにより、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態を維持する。塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40が接続状態となることにより、装填用ルーメン22とシースルーメン42は連通する。
【0064】
なお、係合部60は、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態が維持される構成であれば、
図9A、
図9Bに示すような嵌合形態に限定されず、例えばねじ込み式のような他の接続構成を採用することもできる。また、係合部60は、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40との装着状態を維持するための構成であり、手技中に両者の装着状態が外れることを防止する。しかし、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40は、必ずしも係合部60を介して係合させなくてもよい。例えば先端接続部27がシースハブ43に挿入された状態を、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40との装着状態としてもよい。
【0065】
図9Bに示すように、装填用ルーメン22の内径とシースルーメン42の内径は略同等に設計され、それに合わせて塞栓物10の外径も設計されるため、塞栓物10は、径サイズを比較的太径にすることができる。これにより、エンドリーク塞栓術において、塞栓物10の挿入本数を減らすことができ、その結果、手技時間を短縮することができる。また、装填用ルーメン22とシースルーメン42の内径が略同等なため、係合部60による塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態において、先端開口部27bと連通先端部43bの基端側の開口部との段差(クリアランス)を限りなくゼロにすることができる。そのため、送達用プッシャー30のプッシャー本体31が装填用ルーメン22からシースルーメン42へと挿通される際、塞栓物10は、塞栓物装填済みカテーテル20Mから送達用カテーテル40の間をスムーズに移動することができる。
【0066】
先端接続部27は、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40が接続状態のときに、シースハブ43の内部に設けられた連通拡径部43c内に挿入される挿入部27aを有している。挿入部27aは、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態において、装填用ルーメン22とシースルーメン42が軸方向で揃うようにシースハブ43に挿入される。これにより、塞栓物10は、装填用ルーメン22からシースハブ43を介して外部に露出されることなく、シースルーメン42へと押し出される。
【0067】
また、挿入部27aは、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態において、その先端側に連通拡径部43cに設けられたテーパ部43dの内面と当接する先端当接部を先端開口部27bに有している。挿入部27aを連通拡径部43c内に挿入させた際に、先端当接部がテーパ部43dと当接することにより、装填用ルーメン22とシースルーメン42は、連通拡径部43cの空間を含む他の空間と交わらないように連通される。そのため、塞栓物10は、塞栓物装填済みカテーテル20Mから送達用カテーテル40に押し出された際に、シースハブ43の内壁面に突き当たることによる破損(折れ曲がりまたは先端側の潰れ)が防止されると共に、シースハブ43内の他の空間への誤挿入(シースハブ43と接続されるチューブ44への迷入など)が防止され、シースルーメン42へと確実に送出される。
【0068】
〈送達用プッシャー〉
送達用プッシャー30は、基端ハブ23に挿通されてカテーテル本体21に収容された塞栓物10を押し出し、送達用カテーテル40のシースルーメン42を介して瘤内へと送達させるための長尺な棒状部材である。送達用プッシャー30は、棒状のプッシャー本体31と、プッシャー本体31の基端側に設けられて塞栓物10を瘤内に送達する際に術者が把持するハンドル部32を備えている。
【0069】
送達用プッシャー30は、塞栓物装填済みカテーテル20Mを送達用カテーテル40に装着した状態において、術者によりハンドル部32が把持された状態で所定操作されると、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10を、送達用カテーテル40のシースルーメン42を介して瘤内へと押し出す。具体的に、送達用プッシャー30は、塞栓物装填済みカテーテル20Mおよび送達用カテーテル40の軸方向に沿って押し出し操作されることにより、塞栓物装填済みカテーテル20Mに装填された塞栓物10を外部(瘤内)へと押し出す。
【0070】
送達用プッシャー30のプッシャー本体31の本体長は、塞栓物装填済みカテーテル20Mが送達用カテーテル40に装着された装着状態において、基端ハブ23の挿通路23aの基端から、送達用カテーテル40のシース41の先端開口部41a(シースルーメン42と連通する先端側の開口部)に至るまでの距離よりも長い。そのため、塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の装着させた状態で送達用プッシャー30を基端ハブ23から挿入させれば、一度の押し出し操作によって、装填用ルーメン22内に装填された塞栓物10を、先端開口部27b→シースハブ43→シースルーメン42の順で通過させて瘤内に押し出すことができる。
【0071】
図10Aに示すように、ハンドル部32は、先端側に大径傘部32aを有し、大径傘部32aの基端側に延在する小径柄部32bを有する略キノコ型の形状をなしており、ハンドル部32の最大外径となる大径傘部32aの外径寸法は、基端ハブ23の挿通路23aの内径寸法よりも大きく設計されている。これにより、
図10Bに示すように、送達用プッシャー30を塞栓物装填済みカテーテル20Mに挿入した際に、大径傘部32aが基端ハブ23の挿通路23aに挿入されないため、送達用プッシャー30の挿入長を制限することができる。また、ハンドル部32は、大径傘部32aによって基端ハブ23に入り込むことがないため、送達用プッシャー30により塞栓物10の押し出し操作が終了した際に、塞栓物装填済みカテーテル20Mの離脱操作に連れて挿入状態のまま同時に引き抜き易く、離脱操作が簡便となる。なお、送達用プッシャー30は、塞栓物装填済みカテーテル20Mの離脱操作前に、塞栓物装填済みカテーテル20Mから引き抜いてもよい。
【0072】
なお、ハンドル部32は、塞栓物装填済みカテーテル20Mに挿入した際に、大径傘部32aが基端ハブ23の基端側と嵌合可能な構成とすることもできる。このような構成とすることにより、塞栓物装填済みカテーテル20Mの離脱の際に、送達用プッシャー30が塞栓物装填済みカテーテル20Mから外れることなく確実に引き抜くことができる。
【0073】
プッシャー本体31の構成材料は、塞栓物10が搬送可能な適度な硬さと可撓性が得られる材料であれば、特に限定されない。プッシャー本体31の構成材料の一例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ETFEなどのフッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエーテルケトンなどの高分子材料またはこれらの混合物のような樹脂材料、形状記憶合金、ステンレス、タンタル、チタン、プラチナ、金、タングステンのような金属材料を好適に用いることができる。
【0074】
<デリバリーシステム>
次に、本実施形態に係るデリバリーシステム200について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るデリバリーシステム200は、医療器具セット100に加えて、生体管腔内に留置された状態で塞栓物装填済みカテーテル20Mが着脱される送達用カテーテル40を備えている。
【0075】
〈送達用カテーテル〉
送達用カテーテル40は、例えば生体管腔内に留置可能な既存のカテーテルを利用することもできる。そのため、本実施形態に係るデリバリーシステム200において、医療器具セット100および送達用カテーテル40をセット販売して市場に供給することもできるが、医療器具セット100のみを販売して市場に供給したとしても、既存のカテーテルを送達用カテーテル40として利用することにより、デリバリーシステム200として機能させることができる。
【0076】
送達用カテーテル40は、例えば軸方向に沿って先端側の開口部から基端側の開口部にかけて連通する孔(シースルーメン42)が形成された長尺な管状部材からなるシース41を備え、生体管腔内に留置されて塞栓物10を瘤内まで送達させるための導入路として機能する。シース41は、その全長に亘って後述する挿通補助部材50の本体51が挿通可能である。したがって、シース41の軸方向の長さは、少なくとも挿通補助部材50の本体51よりも短く設定される。
【0077】
シースルーメン42の内径は、装填用ルーメン22の内径と略同等に設計されている。これにより、先端接続部27による塞栓物装填済みカテーテル20Mと送達用カテーテル40の接続状態において装填用ルーメン22からシースルーメン42へと塞栓物10をスムーズに移動させることができる。
【0078】
シース41の構成材料は、蛇行や湾曲といった生体管腔の曲がり形状に追従できる程度の可撓性および剛性を有する材料であれば、特に限定されない。シース41の構成材料の一例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエーテルケトンなどの高分子材料、またはこれらの混合物のような樹脂材料を好適に用いることができる。
【0079】
また、送達用カテーテル40は、シース41の基端側に連結されるシースハブ43と、一端がシースハブ43の基端側と接続されて他端が活栓45と接続される可撓性を有するチューブ44を備える。
【0080】
シースハブ43は、シースルーメン42とチューブ44との間、および装填用ルーメン22とシースルーメン42との間を連通させる連通路43aを備え、活栓45から流入する流体(プライミング液など)を、チューブ44を介してシース41に流通させると共に、塞栓物装填済みカテーテル20Mから押し出された塞栓物10をシースルーメン42内に導くための中間部材である。シースハブ43は、送達用カテーテル40を生体管腔内に留置させる際に挿通補助部材50が挿通される。
【0081】
なお、シースハブ43の構成材料は、上述した基端ハブ23の構成材料として例示した材料と同様のものを用いることができる。
【0082】
シースハブ43は、塞栓物装填済みカテーテル20Mの先端接続部27と接続される。シースハブ43と先端接続部27の接続状態において、装填用ルーメン22とシースルーメン42は、軸方向で揃う。これにより、カテーテル本体21から押し出された塞栓物10は、シースハブ43の内壁面に突き当たることによる破損(折れ曲がりまたは先端側の潰れ)が防止される。
【0083】
チューブ44は、一端がシースハブ43の基端側と連結され、他端が活栓45のポート46と連結される。チューブ44は、ポート46に連結される図示しないプライミング用シリンジから流出される生理食塩水などの液体が流通する管路である。なお、チューブ44の構成材料は、上述したチューブ24の構成材料として例示した材料と同様のものを用いることができる。
【0084】
活栓45は、シースハブ43の連通路43aと、チューブ44を介してシース41のシースルーメン42と連通する。活栓45のポート46には、チューブ44の基端側が接続される他、シース41のシースルーメン42をプライミング操作するためのプライミング用シリンジ、造影剤または薬剤などを注入する液剤投入用シリンジを接続することもできる。本実施形態において、活栓45は、三方活栓を採用している。しかし、活栓45は、三方活栓に限定されず、他の形態(例えば二方活栓やポートが4つ以上の多方活栓など)を採用してもよい。
【0085】
また、シースハブ43の基端側の内方には、止血弁47が取り付けられている。止血弁は、例えば弾性部材であるシリコーンゴム、ラテックスゴム、ブチルゴム、イソプレンゴムなどで構成された略楕円形の膜状(円盤状)の弁体を用いてよい。
【0086】
ここで、本実施形態に係るデリバリーシステム200を構成する各デバイスの寸法例について説明する。なお、以下に示される数値は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0087】
本実施形態に係るデリバリーシステム200において、送達用カテーテル40を外径5Frサイズ(内径1.5mm)のカテーテルとし、適用される術式を腹部大動脈瘤(AAA)のステントグラフト内挿術に対するエンドリーク塞栓術とした場合、塞栓物10の外径を0.4~1.5mm(好ましくは1.3mm程度)、塞栓物装填済みカテーテル20Mの内径を送達用カテーテル40の内径と同等の1.0~1.8mm(好ましくは1.5mm程度)とすることができる。また、塞栓物装填済みカテーテル20Mのカテーテル本体21の本体長は30~105cm(好ましくは42cm程度)、送達用カテーテル40のシース41の本体長は39~90cm(好ましくは70cm程度)、送達用プッシャー30のプッシャー本体31の本体長は79~205cm(好ましくは119cm程度)とすることができる。また、塞栓物10の全長は、瘤サイズによって適宜決定されるが、塞栓物装填済みカテーテル20Mへの装填容易性と手技時間短縮の観点から10~100cmの範囲(好ましくは40cm程度)とすることができる。
【0088】
<塞栓物デリバリー医療システム>
次に、本実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システム300の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システム300は、デリバリーシステム200に加えて、生体管腔内に送達用カテーテル40を送達させる挿通補助部材50を備えている。
【0089】
〈挿通補助部材〉
挿通補助部材50は、本体51の軸方向に沿って先端側から基端側にかけて挿通するガイドワイヤルーメン52が形成され、事前に生体管腔内に挿通されたガイドワイヤに沿って送達用カテーテル40を瘤内まで送達させる際の挿入を補助するための補助具である。
【0090】
挿通補助部材50は、生体管腔内に送達用カテーテル40を挿入する際の折れ曲がりなどを防ぐため、送達用カテーテル40に挿入して組み付けられる。また、ガイドワイヤルーメン52は、送達用カテーテル40のシースルーメン42よりも内径が小さい。このため、送達用カテーテル40を瘤内に送達させる際に、送達用カテーテル40のガイドワイヤに対する軸ずれを小さくでき、より送達が容易になる。
【0091】
挿通補助部材50の構成材料は、送達用カテーテル40よりも硬質で可撓性を有する材料であれば、特に限定されない。挿通補助部材50の構成材料の一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ETFEなどのフッ素系樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリイミドのような樹脂材料、形状記憶合金、ステンレス、タンタル、チタン、プラチナ、金、タングステンのような金属材料を好適に用いることができる。
【0092】
[動作]
次に、
図11A~
図11Gを適宜参照しながら、本実施形態に係る塞栓物デリバリー医療システム300の動作について説明する。
【0093】
以下の説明では、塞栓物デリバリー医療システム300を、腹部大動脈瘤(AAA)のステントグラフト内挿術に対するエンドリーク塞栓術に適用した際の動作例であり、塞栓物10は、
図5Aに示す断面形状が略円形のものを用いている。また、
図11C~
図11Gにおいて、瘤内を「A」、血管内を「V」、体外を「O」とし、塞栓物デリバリー医療システム300の各デバイスの配置位置が体系的に把握可能なように表現した。
【0094】
まず、術前の準備工程として、術者は、
図11Aに示すように、挿通補助部材50を挿入した送達用カテーテル40のシース41を、穿刺部位となる患者の肢体からイントロデューサー(例えば
図11Aの二点鎖線で示された部材)を介して経皮的に生体管腔へと挿入し、送達用カテーテル40の先端開口部41aを腹部大動脈瘤(以下、単に「動脈瘤」と称する)まで送達させる。そして、術者は、先端開口部41aが瘤内まで送達されると、挿通補助部材50を抜去する。なお、術者は、挿通補助部材50を使用せずに、予め動脈瘤内に挿入したガイドワイヤを用いることによって、送達用カテーテル40を動脈瘤患部まで送達させてもよい。また、術者は、送達用カテーテル40を生体管腔へ導入する前に、送達用カテーテル40に対してプライミング操作を行う。
【0095】
次に、術者は、
図11Bに示すように、イントロデューサーを介してステントグラフトSGを圧縮挿入したカテーテル(ステントグラフトデバイス)を生体管腔内に挿入し、予め動脈瘤内に挿入したガイドワイヤを用いて動脈瘤患部まで移動させる。その後、患部にてカテーテルからステントグラフトSGを展開し留置する。これにより、
図11Bに示すように、送達用カテーテル40は、ステントグラフトSGの脚部と血管壁との間を介して、送達用カテーテル40の先端部がステントグラフトSGと動脈瘤の血管壁との間、すなわち動脈瘤内に挿入され、先端開口部41aが瘤内に位置した状態で生体管腔内に留置される。
【0096】
次に、
図11Cに示すように、塞栓物10が装填された塞栓物装填済みカテーテル20Mを準備する。
図11Cは、塞栓物装填済みカテーテル20Mが、送達用カテーテル40に装着される前の状態が示されている。
【0097】
術者は、塞栓物装填済みカテーテル20Mを送達用カテーテル40に装着する前に、塞栓物装填済みカテーテル20Mに対してプライミング操作を行う。プライミング操作において、プライミング液は、ポート26から注入されると装填用ルーメン22内を流通した後、先端部材70の各排出口から排出される。また、塞栓物10の先端側は、術者がプライミング操作を行う際に生じる水圧によって装填用ルーメン22の先端まで移動した場合、先端部材70の抑制部80に当接するように構成されている。そのため、先端部材70は、塞栓物10の先端部を除く本体部分が、カテーテル本体21の先端開口部21aから突出することを抑制することができる。したがって、先端部材70が取り付けられている塞栓物装填済みカテーテル20Mは、プライミング操作時における意図しない飛び出しを防止することができる。
【0098】
塞栓物装填済みカテーテル20Mのプライミング操作が終わると、先端部材70をカテーテル本体21から取り外す。そして、術者は、
図11Dに示すように、送達用カテーテル40のシースハブ43の基端に、塞栓物装填済みカテーテル20Mの先端接続部27を装着させる。この際、装填用ルーメン22の軸中心は、シースルーメン42の軸中心と揃う。
【0099】
次に、術者は、
図11Eに示すように、ハンドル部32を把持した状態でプッシャー本体31の先端を基端ハブ23の基端側から挿入する。基端ハブ23から挿入された送達用プッシャー30の先端は、塞栓物装填済みカテーテル20M内に装填された塞栓物10の基端と当接し、術者の押し出し操作によって、塞栓物10を送達用カテーテル40のシースルーメン42へと押し出して移動させる。
【0100】
そして、術者は、
図11Fに示すように、基端ハブ23から挿入された送達用プッシャー30を押し出し操作してシースルーメン42から塞栓物10を瘤内へと押し出す。その後、術者は、
図11Gに示すように、空になった塞栓物装填済みカテーテル20Mを送達用プッシャー30と共に、送達用カテーテル40から離脱させる。送達用プッシャー30は、塞栓物装填済みカテーテル20Mに挿入した状態で送達用カテーテル40から離脱させることができる。これにより、瘤内に対する塞栓物10の1回目の挿入動作が完了する。なお、挿入動作において、送達用プッシャー30は、塞栓物装填済みカテーテル20Mの離脱操作前に、塞栓物装填済みカテーテル20Mから引き抜いてもよい。
【0101】
エンドリーク塞栓術では、
図11Cから
図11Gに示す一連の塞栓物留置動作を、瘤内に塞栓物10が必要量だけ装填されるまで繰り返し行う。なお、塞栓物10の必要量は、患者のCTデータを基に動脈瘤の体積を計算し、その値から当該動脈瘤に展開した場合のステントグラフトSGの体積分を引いた値として算出する。
【0102】
動脈瘤内に必要量の塞栓物10の留置が完了すると、術者は、送達用カテーテル40を瘤内および生体管腔から引き抜く。この際、塞栓物装填済みカテーテル20Mが送達用カテーテル40に装着され、かつ、送達用プッシャー30が送達用カテーテル40に挿入された状態で、送達用カテーテル40を瘤内および生体管腔から引き抜いてもよい。また、送達用カテーテル40を瘤内および生体管腔から引き抜く前に、送達用カテーテル40から塞栓物装填済みカテーテル20Mを離脱させつつ、送達用プッシャー30を送達用カテーテル40から引き抜いてもよい。また、送達用カテーテル40を瘤内および生体管腔から引き抜く前に、送達用プッシャー30を送達用カテーテル40および塞栓物装填済みカテーテル20Mから引き抜いた後に、送達用カテーテル40から塞栓物装填済みカテーテル20Mを離脱させてもよい。なお、何れの場合でも、塞栓物10の留置後のバルーンによるステントグラフトSGの追加拡張や造影操作などのために、イントロデューサーは生体管腔内に留置したままにする。
【0103】
その後、動脈瘤内に留置された塞栓物10は、瘤内の血液などの液体と接触して徐々に膨潤し、完全に膨脹した塞栓物10が動脈瘤内面とステントグラフト外面との間の空間が埋まって瘤内が閉塞される。これにより、動脈瘤は、破裂が防止されることとなる。
【0104】
なお、上述した実施形態は、以下のような構成に改変することができる。
【0105】
また、以下の変形例(または実施形態)を本発明の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。なお、以下に説明する変形例(または実施形態)は、上述した実施形態と同一の機能を有する構成要件について同一の符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材などについては、上述した実施形態と同様のものとしてよい。
【0106】
(第1実施形態の変形例)
図12は、第1実施形態の変形例に係る先端部材70Kおよびカテーテル本体521の構成を示す図である。
【0107】
第1実施形態の変形例において、先端部材70Kは、カテーテル本体521と別体に構成され、カテーテル本体521に取り付け可能またはカテーテル本体521から取り外し可能に構成されている。
【0108】
また、カテーテル本体521は、先端開口部521aの近傍に、カテーテル本体521の側壁を貫通するとともに、先端部材70Kがカテーテル520に装着されているときに先端部材70Kの延在部72Kよりも基端側に位置する貫通孔521bを有している。
【0109】
貫通孔521bの少なくとも一部は、先端部材70Kの延在部72Kよりも基端側に位置し、先端部材70Kの流路90Kは貫通孔521bの少なくとも一部と連通している。そのため、先端部材70Kを装着している塞栓物装填済みカテーテル520Mは、プライミング操作時に装填用ルーメン(図示省略)に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0110】
また、先端部材70Kは、カテーテル本体521から取り外すことができるため、装填用ルーメンに装填された塞栓物は、先端部材70Kがカテーテル本体521から取り外されると、カテーテル本体21の先端開口部521aから突出することができる。そのため、先端部材70が取り外された塞栓物装填済みカテーテル520Mは、先端開口部521aを介して装填用ルーメンに装填された塞栓物10を、カテーテル本体521から排出することができる。
【0111】
なお、第1実施形態において、先端部材70は、少なくとも、第1排出口(第1孔部91)および第2排出口(第2孔部92)のうちいずれかの排出口を有していると説明したが、塞栓物装填済みカテーテル520Mに先端部材を装着する場合は、先端部材にプライミング液を排出するための孔を設ける必要がない。そのため、先端部材70Kは、第1排出口(第1孔部)および第2排出口(第2孔部)を有していなくてもよい。
【0112】
また、貫通孔521bの個数は特に限定されない。
【0113】
(第2実施形態)
第1実施形態では、先端部材70がカテーテル本体21から取り外された状態で、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部が接続されると説明したが、以下のように構成することもできる。
【0114】
図13A、
図13B、
図13Cは、第2実施形態に係る先端部材670の構成を説明するための図であり、
図13Aは、説明の便宜上、先端部材670のみを示している。なお、
図13A(A)は、先端部材670の斜視図であり、
図13A(B)は、軸方向から視た平面図である。
図13A(B)は、先端部材670をカテーテル本体21に取り付けた場合の第1孔部691に対するカテーテル本体21の先端開口部21aの位置を二点鎖線で示し、第1孔部691に対する塞栓物10の位置を点線で示している。
【0115】
本実施形態において先端部材670は、カテーテル本体21と別体に構成されている。また、カテーテル620の先端側には、
図13Cに示すように、第2係合部628が設けられ、先端部材670がカテーテル20に装着されている状態で、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部が接続される。なお、第2係合部628は、係合部のスカート部材が第2係合部28より長く形成されている。
【0116】
先端部材670は、
図13A(A)、(B)に示すように、カテーテル本体21の軸方向に交差するように配置される本体部671と、本体部671から延在し、カテーテル本体21の先端部の側面21Sを覆うように配置される延在部672と、第1孔部691から延在する複数の切込み部691aを備えている。
【0117】
また、先端部材670は、
図13Aに示すように、抑制部680と、流路690を有し、抑制部680は、切込み部691aによって本体部671に画成され、流路690の断面サイズを規定するフラップ部681を備えている。フラップ部681の基端面681Sは、
図13Bに示すように、カテーテル本体21の先端開口部21aに当接するように配置されている。このため、本実施形態において、流路690は第1内部空間を含まず、第1孔部691および切込み部691aとからなる。なお、フラップ部681の基端面681Sがカテーテル本体21の先端開口部21aに当接しないように配置されることで、流路690が第1内部空間を含むようにしてもよい。
【0118】
フラップ部681は、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10の先端部がプライミング時に生じる水圧によって装填用ルーメン22の先端まで移動した際に、塞栓物10の先端部が当接するとともに、フラップ部681の基端面681Sへの水圧よりも強い外力の付与により変形し、第1孔部691を含む塞栓物排出口を形成するように構成されている。そのため、先端部材670を装着している塞栓物装填済みカテーテル620Mは、プライミング操作時にカテーテル620に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができ、かつ、プライミング操作時に生じる水圧よりも強い外力の付与されたときには、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10をカテーテル本体21から排出することができる。
【0119】
また、先端部材670は、
図13Bに示すように、カテーテル本体21の先端部がシースハブ43の連通路43aに挿入されるときに、シースハブ43と当接することにより、フラップ部681がカテーテル本体21の先端開口部21aの先端側に配置された第1の位置L1から、フラップ部681がカテーテル本体21の先端開口部21aの基端側に配置された第2の位置L2まで、カテーテル本体21の軸に沿って移動可能に構成されている。
【0120】
先端部材670が第1の位置L1から第2の位置L2(
図13Aおよび
図13Bを参照)まで移動すると、カテーテル本体21の先端部がフラップ部681の基端面681Sに外力を及して塞栓物排出口が形成され、カテーテル本体21の先端開口部21aが塞栓物排出口を通過して抑制部680の先端側に突出する。そのため、術者は、先端部材670をカテーテル620から取り外すことなく、先端部材670をカテーテル620側の係合部とシースハブ43との間に配置した状態で、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部を接続することができる。また、先端部材670をカテーテル620から取り外す必要がないため、先端部材670が術野などに誤って置かれてしまうことを防止できる。
【0121】
なお、切込み部691aの個数は特に限定されない。
【0122】
また、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部の接続方法は、シースハブ43の連通路43aにカテーテル本体21の先端部が挿入可能である限り、特に限定されない。送達用カテーテル40の基端部にカテーテル本体21の先端部が装着されたときに、第2の位置L2まで移動した先端部材670がシースハブ43の連通路43aより基端側に配置されるように各部を構成していてもよく、先端部材670がシースハブ43の連通路43aより先端側(シース41側)に配置されるように各部を構成していてもよい。例えば、シースハブ43Aの弁体43eを先端部材670が通過可能な形状に変更した場合、術者は、先端部材670をシースハブ43Aの内部に配置した状態でカテーテル20のカテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40Aの基端部を接続することができる(
図14を参照)。
【0123】
(第2実施形態の変形例)
また、上述した第2実施形態は、以下のような構成に改変することができる。
【0124】
図15A、
図15Bは、第2実施形態の変形例に係る先端部材670Aの構成を説明するための図である。
【0125】
第2実施形態の変形例に係る先端部材670Aには、
図15Aに示すように、第2係合部628Aが設けられ、先端部材670Aは、カテーテル620に装着されている状態で送達用カテーテル40の基端部に接続される。
【0126】
先端部材670Aは、本体部671Aと、延在部672Aを有し、本体部671Aは、第1孔部691Aとカテーテル本体621の先端開口部621aを連通する第3内部空間696と、第3内部空間696の少なくとも一部を画成するテーパ部683を備えている。
【0127】
また、先端部材670Aは、
図15Aに示すように、抑制部680Aと、流路690Aを有している。抑制部680Aは、テーパ部683に形成され、本体部671Aの先端に向かって第3内部空間696の最小径d2(カテーテル本体621の軸方向と直交する方向に延在する長さ)が漸減するように構成されている。
【0128】
また、
図15Aに示すように、カテーテル本体621の先端側には段差が設けられている。先端部材670Aは、カテーテル本体621の先端部がシースハブ43の連通路43aに挿入されるときに、シースハブ43と当接することにより、抑制部680Aがカテーテル本体621の先端開口部621aの先端側に配置された第1の位置L3から、フラップ部681がカテーテル本体621の先端開口部621aの基端側に配置された第2の位置L4まで、カテーテル本体621の軸に沿って移動可能に構成されている。
【0129】
そのため、先端部材670Aは、装填用ルーメン622に装填された塞栓物10の先端部がプライミング時に生じる水圧によって抑制部680Aに当接するように構成される。また、先端部材670Aは、抑制部680Aにテーパ部683に対する水圧よりも強い先端方向への外力が付与されると、流路690Aの最小径d2を拡大するように変形し、第1孔部691Aおよび第3内部空間696を含む塞栓物排出口を形成することができる。
【0130】
したがって、先端部材670Aを装着している塞栓物装填済みカテーテル620MAは、プライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができ、プライミング操作時に生じる水圧よりも強い外力の付与されたときには、先端開口部621aを介して装填用ルーメン622に装填された塞栓物10をカテーテル本体621から排出することができる。また、術者は、先端部材670Aをカテーテル621から取り外すことなく、先端部材670Aのみがシースハブ43の内部に配置された状態でシースハブ43の第1係合部48に第2係合部628が係合することによって、装填用ルーメン622とシースルーメン42を連通させることができる(
図15Bを参照)。
【0131】
なお、先端部材670Aの構成は、種々改変することができる。例えば、先端部材670Aの変形例である先端部材670Bは、
図16Aに示すように、本体部671Bと、延在部672Bを有し、本体部671Bは、第1孔部691Bとカテーテル本体621の先端開口部621aを連通する第3内部空間696Bと、第3内部空間696Bの少なくとも一部を画成するテーパ部683Bを備えている。また、先端部材670Bは、抑制部680Bと流路690Bを有し、抑制部680Bは、本体部671Bの先端に向かって第3内部空間696Bの最小径d3が漸減するように構成されている。先端部材670Bには、第2係合部628Bが設けられているが、第2係合部628Bがテーパ部683Bより基端側に設けられているという点で先端部材670Aと相違する。術者は、先端部材670Bを塞栓物装填済みカテーテル620MBのカテーテル621から取り外すことなく、カテーテル本体621の先端部と送達用カテーテル40の基端部を接続することができるが、このとき、術者は、先端部材670Bの先端側を先端部材670B側の係合部とシースハブ43との間に配置した状態で、カテーテル本体621の先端部と送達用カテーテル40の基端部を接続することができる(
図16Bを参照)。なお、カテーテル本体621の先端部と送達用カテーテル40の基端部の接続方法は、シースハブ43の連通路43aにカテーテル本体621の先端部が挿入可能である限り、特に限定されない。送達用カテーテル40の基端部にカテーテル本体621の先端部が装着されたときに、第2の位置まで移動した先端部材670Bがシースハブ43の連通路43aより基端側に配置されるように各部を構成していてもよく、先端部材670Bがシースハブ43の連通路43aより先端側(シース41側)に配置されるように各部を構成していてもよい。例えば、シースハブの弁体を先端部材670Bが通過可能な形状に変更した場合、術者は、先端部材670Bをシースハブの内部に配置した状態でカテーテルのカテーテル本体の先端部と送達用カテーテルの基端部を接続することができる。
【0132】
また、先端部材670Aは、カテーテル620に一体的に設けられていてもよい。例えば、テーパ部683の変形例であるテーパ部683Cは、
図17に示すように、塞栓物装填済みカテーテル620MCのカテーテル本体621Cの先端部に一体的に設けられている。このように構成された塞栓物装填済みカテーテル620MCによれば、プライミング操作時にカテーテル620Cに装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができ、プライミング操作時に生じる水圧よりも強い外力の付与されたときには、テーパ部683Cを介して装填用ルーメン622Cに装填された塞栓物10をカテーテル本体621Bから排出することができる。
【0133】
(第3実施形態)
上述した実施形態では、先端部材(例えば先端部材70)が、本体部(本体部71)と、本体部から延在し、カテーテル本体21の先端部の側面を覆うように配置される延在部(延在部72)を備えていると説明したが、以下のように構成することもできる。
【0134】
図18A、
図18Bは、第3実施形態に係る先端部材770の構成を説明するための図であり、
図18Aは、説明の便宜上、先端部材770のみを示している。
【0135】
本実施形態において先端部材770は、カテーテル本体21と別体に構成されており、先端部材770がカテーテル本体21から取り外された状態で、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部が接続される。
【0136】
先端部材770は、
図18Aに示すように、カテーテル本体21の軸方向に交差するように配置される本体部771(「第2本体部」に相当する)と、本体部771から延在し、装填用ルーメン22に少なくとも部分的に挿入される延在部772(「第2延在部」に相当する)を備えている。また、先端部材770は、
図18Aに示すように、延在部772に形成される切り欠き部774を備えている。
【0137】
また、先端部材770は、
図18Bに示すように、抑制部780と、流路790を有している。
【0138】
抑制部780は、延在部772に形成され、術者がプライミング操作を行う際に生じる水圧によって装填用ルーメン22の先端まで移動した際に塞栓物10の先端部が当接するように構成されている。
【0139】
流路790は、
図18Bに示すように、延在部772とカテーテル本体21との間に形成される1つ以上の第4内部空間797と、本体部771とカテーテル本体21との間に形成され、第4内部空間797の各々と連通する第5内部空間798と、第5内部空間798と連通する第5排出口799を含んでいる。なお、第4内部空間797、第5内部空間798、および第5排出口799は、先端部材770がカテーテル本体21に取り付けられた際に、装填用ルーメン22と外部とを連通する切り欠き部774と、カテーテル本体21と、の間に生じる隙間よって構成される。
【0140】
したがって、先端部材770が取り付けられている塞栓物装填済みカテーテル720Mは、プライミング操作時にプライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0141】
また、先端部材770は、カテーテル本体21から取り外すことができるため、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10は、先端部材770がカテーテル本体21から取り外されると、カテーテル本体21の先端開口部21aから突出することができる。そのため、先端部材770が取り外された塞栓物装填済みカテーテル720Mは、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10をカテーテル本体21から排出することができる。
【0142】
なお、延在部772の形状(延在部772を軸方向から視たときの断面サイズ)は、延在部772とカテーテル本体21との間に第4内部空間797を形成することができる限り、特に限定されない。例えば、延在部772の断面形状として、略真円や楕円形を含む円形、多角形、十字型、斜方形、星形多角形などの図形を適宜採用することができる。
【0143】
また、先端部材770は、突起部をさらに備えていてもよい。
図19Aおよび
図19Bに示すように、先端部材770の変形例に係る先端部材770Aは、突起部773を備える本体部771Aと、延在部772Aを備えている。また、本体部771Aおよび延在部772Aは、扁平形状である。そのため、術者は、突起部773を把持しながら先端部材770Aを動かすことができ、先端部材770Aを塞栓物装填済みカテーテル720MAのカテーテル本体21から取り外す(または先端部材70Aをカテーテル本体21に取り付ける)動作を容易に行うことができる。また、先端部材770Aは、抑制部780Aと、流路790Aを有している。抑制部780Aは、本体部771Aに形成され、術者がプライミング操作を行う際に生じる水圧によって装填用ルーメン22の先端まで移動した際に塞栓物10の先端部が当接するように構成されている。流路790Aは、
図19Bおよび
図19Cに示すように、延在部772Aとカテーテル本体21との間に形成される複数の第4内部空間797Aを含んでいる。第4内部空間797Aは、外部と連通しているため、第5排出口として機能することもできる。術者は、扁平形状である延在部772Aを利用して、流路を確保しながらカテーテル本体21の内面に嵌合させることでき、プライミング操作を行う際に生じる水圧によって先端部材770が抜け落ちることを防止することができる。
【0144】
なお、延在部772Aの形状は、流路を確保しながらカテーテル本体21の内面に嵌合させることできる形状である限り、特に限定されない。例えば、
図20に示すように、先端部材770Aの変形例に係る先端部材770Bの延在部772Bは、基端に向かってその外径d4が漸減するように構成されるテーパ形状である。延在部は、基端から先端にかけてカテーテル本体21の内面と嵌合している必要がなく、先端部材770Bの延在部772Bは、先端側のみがカテーテル本体21の内面と嵌合している。このように構成することによって、術者は、先端部材770Bを塞栓物装填済みカテーテル720MBのカテーテル本体21内に挿入し易くなる。
【0145】
また、先端部材770は、
図21示すように、貫通孔521bを有する塞栓物装填済みカテーテル520Mに適用することができる。なお、
図21では、説明の便宜上、先端部材770に濃淡を付している。塞栓物装填済みカテーテル520Mに先端部材770を取り付ける場合、延在部772とカテーテル本体521との間に流路を確保しなくとも、貫通孔521bを介してプライミング液を排出することができる。そのため、延在部772の形状(延在部772を軸方向から視たときの断面サイズ)は、カテーテル本体521の内径と略同一の形状にすることができる。
【0146】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係るカテーテル20は、生体内の瘤内に挿入され留置される塞栓物10を装填可能に構成される装填用ルーメン22と、装填用ルーメン22の先端と連通した先端開口部21aを含む先端部と、を有するカテーテル本体21と、カテーテル本体21の先端部に設けられた先端部材70と、を備え、先端部材70は、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10の先端部に当接することによって、塞栓物10の先端部を除く本体部分のカテーテル本体21の先端開口部21aからの突出を抑制するように構成された抑制部80と、抑制部80が塞栓物10の本体部分の先端開口部21aからの突出を抑制している状態において、装填用ルーメン22を基端側から先端側に向かって移動するプライミング液をカテーテル本体21の先端部から排出可能に構成される流路90と、を有する。また、カテーテル20は、(a)先端部材70をカテーテル本体21から取り外す、または、(b)抑制部80に向かって押し出される塞栓物10によって抑制部80を変形させて流路90を含む塞栓物10が通過可能な塞栓物排出口を形成する、のいずれかにより、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10をカテーテル本体21から排出可能となる。
【0147】
このような構成によれば、先端部材70が取り付けられているカテーテル20は、術者がプライミング操作を行う際に、装填用ルーメン22を基端側から先端側に向かって移動するプライミング液をカテーテル本体21の先端部から排出し、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10は装填用ルーメン22に留めることができる。そのため、先端部材70が取り付けられているカテーテル20は、プライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0148】
また、先端部材70は、カテーテル本体21の軸方向に交差するように配置される本体部71と、本体部71から延在し、カテーテル本体21の先端部の側面を覆うように配置される延在部72と、を備え、抑制部80は、本体部71に形成され、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10の先端部が、プライミング操作時に生じる水圧によって当接するように構成される。
【0149】
このような構成によれば、先端部材70が取り付けられているカテーテル20は、プライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の先端側の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0150】
また、流路90は、本体部71に形成される1つ以上の第1孔部91からなる第1排出口を含む。
【0151】
このような構成によれば、術者がプライミング操作を行う際に、装填用ルーメン22を基端側から先端側に向かって移動するプライミング液をカテーテル本体21の先端部の第1排出口から排出することができ、かつ、塞栓物10がカテーテル本体21の先端開口部21aから突出することを抑制することができる。
【0152】
また、第1孔部91の大きさは、カテーテル本体21の軸方向に交差する方向から視たときに、塞栓物10の大きさよりも小さいことを特徴とする。
【0153】
このような構成によれば、流路90は、術者がプライミング操作を行う際に、塞栓物10がカテーテル本体21の先端開口部21aから突出することを抑制することができる。
【0154】
また、流路90は、延在部72に形成される1つ以上の第2孔部92からなる第2排出口を含み、第2排出口は、カテーテル本体21の軸方向及び/又は周方向に沿って形成される。
【0155】
このような構成によれば、流路90は、第2孔部92を介してプライミング液をより効率的にカテーテル本体21から排出することができる。
【0156】
また、先端部材70Hの流路90Hは、本体部71Hとカテーテル本体21との間に形成され、装填用ルーメン22と連通する第1内部空間93Hと、延在部72Hとカテーテル本体21の先端部の側面21Sとの間に形成され、第1内部空間93Hと連通する1つ以上の第2内部空間94と、第2内部空間94の各々と連通する第3排出口95を含む。
【0157】
このような構成によれば、流路90は、第3排出口95を介してプライミング液をより効率的にカテーテル本体21から排出することができる。
【0158】
また、先端部材70は、カテーテル本体21と別体に構成され、取り付け可能、又は取り外し可能に構成される。
【0159】
このような構成によれば、カテーテル本体21は、先端部材70が取り外されると、塞栓物10が収容された状態で先端接続部27を介して送達用カテーテル40のシースハブ43と係合することができる。
【0160】
また、カテーテル620は、抑制部680に当接した塞栓物10が流路690の断面サイズを規定する抑制部680を変形させて流路690を含む塞栓物排出口を形成することにより、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10をカテーテル本体21から排出可能に構成される。また、先端部材670は、第1孔部676から延在する1つ以上の切込み部691aを備え、抑制部680は、切込み部691aによって本体部671に画成され、流路690の断面サイズを規定するフラップ部681を備え、フラップ部681は、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10の先端部がプライミング操作時に生じる水圧によって当接するとともに、フラップ部681の基端面681Sへの水圧よりも強い外力の付与により変形し、第1孔部676を含む塞栓物排出口を形成するように構成される。
【0161】
このような構成によれば、先端部材670は、プライミング操作時にカテーテル620に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができ、かつ、プライミング操作時に生じる水圧よりも強い外力の付与されたときには、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10をカテーテル本体21から排出することができる。
【0162】
また、カテーテル本体21の先端側の少なくとも一部は、送達用カテーテル40の基端部に設けられたシースハブ43の連通路43aに挿入可能に構成される。また、先端部材670は、カテーテル本体21の先端部がシースハブ43の連通路43aに挿入されるときに、シースハブ43と当接することにより、フラップ部681がカテーテル本体21の先端開口部21aの先端側に配置された第1の位置L1から、フラップ部681がカテーテル本体21の先端開口部21aの基端側に配置された第2の位置L2まで、カテーテル本体21の軸に沿って移動可能であり、先端部材670が第1の位置L1から第2の位置L2まで移動するときに、カテーテル本体21の先端部がフラップ部681の基端面681Sに外力を及すことによって、塞栓物排出口が形成され、カテーテル本体21の先端開口部21aは、塞栓物排出口を通過することによって抑制部680の先端側に突出するように構成される。
【0163】
このような構成によれば、術者は、プライミング操作が終了すると、先端部材670を第1の位置L1から第2の位置L2まで移動させることによって、先端部材670をカテーテル20から取り外すことなく、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部を接続することができる。また、先端部材670をカテーテル620から取り外す必要がないため、先端部材670が術野などに誤って置かれてしまうことを防止できる。
【0164】
また、カテーテル20は、抑制部680Aに当接した塞栓物10が流路690Aの断面サイズを規定する抑制部680Aを変形させ流路690Aを含む塞栓物排出口を形成することにより、先端開口部621aを介して装填用ルーメン622に装填された塞栓物10をカテーテル本体621から排出可能に構成される。また、先端部材670Aの本体部671Aは、第1孔部691Aとカテーテル本体621の先端開口部621aとを連通する第3内部空間696と、第3内部空間696の少なくとも一部を画成するテーパ部683と、をさらに備え、抑制部680Aは、テーパ部683に形成され、テーパ部683が本体部671Aの先端に向かって第3内部空間696のカテーテル本体21の軸方向と直交する方向における最小径d2を漸減するように構成されることによって、装填用ルーメン622に装填された塞栓物10の先端部がプライミング操作時に生じる水圧によって当接するように構成され、かつ、水圧よりも強い先端方向への外力がテーパ部683に付与されることによって第3内部空間696の最小径d2を拡大するように変形し、第1孔部691Aおよび第3内部空間696を含む塞栓物排出口を形成するように構成される。
【0165】
このような構成によれば、先端部材670Aは、プライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができ、プライミング操作時に生じる水圧よりも強い外力の付与されたときには、先端開口部621aを介して装填用ルーメン622に装填された塞栓物10をカテーテル本体621から排出することができる。
【0166】
また、カテーテル本体621及び/又は先端部材670Aの少なくとも一部は、送達用カテーテル40の基端部に設けられたシースハブ43の連通路43aに挿入可能に構成される。また、先端部材670Aは、カテーテル本体621の先端側の少なくとも一部がシースハブ43の連通路43aに挿入されるときに、シースハブ43と当接することによりテーパ部683がカテーテル本体621の先端開口部621aの先端側に配置された第1の位置からテーパ部683がカテーテル本体621の先端開口部621aの基端側に配置された第2の位置まで、カテーテル本体621の軸に沿って移動可能であり、カテーテル本体621の先端部は、先端部材670Aが第1の位置L3から第2の位置L4まで移動するときに、テーパ部683に外力を及すことによって塞栓物排出口を形成し、カテーテル本体621の先端開口部621aが塞栓物排出口を通過して抑制部680Aの先端側に突出するように構成される。
【0167】
このような構成によれば、術者は、プライミング操作が終了すると、先端部材670Aを第1の位置L3から第2の位置L4まで移動させることによって、先端部材670Aをカテーテル20から取り外すことなく、カテーテル本体621の先端部と送達用カテーテル40の基端部を接続することができる。また、先端部材670Aをカテーテル620から取り外す必要がないため、先端部材670Aが術野などに誤って置かれてしまうことを防止できる。
【0168】
また、先端部材(例えば先端部材670)は、カテーテル本体21と別体に構成されるとともに、カテーテル本体21に装着されている。
【0169】
このような構成によれば、術者は、プライミング操作が終了すると、先端部材670がカテーテル20に装着されている状態で、カテーテル本体21の先端部と送達用カテーテル40の基端部を接続することができる。
【0170】
また、カテーテル本体521は、先端開口部521aの近傍に、カテーテル本体521の側壁を貫通する1つ以上の貫通孔521bを有し、貫通孔521bの少なくとも一部は、先端部材70Kの延在部73Kよりも基端側に位置し、貫通孔521bの少なくとも一部は、先端部材70Kの流路90Kと連通する。
【0171】
このような構成によれば、カテーテル本体521は、貫通孔521bを介してプライミング液を排出することができ、先端部材70Kは、プライミング操作時に装填用ルーメンに装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0172】
また、先端部材770は、カテーテル本体21の軸方向に交差するように配置される本体部771(第2本体部)と、本体部771から延在し、装填用ルーメン22に少なくとも部分的に挿入される延在部772(第2延在部)と、を備え、かつ、カテーテル本体21と別体に構成されてカテーテル本体21の先端部から取外し可能に構成される。また、抑制部780は、延在部772に形成され、装填用ルーメン22に装填された塞栓物10の先端側が、プライミング操作時に生じる水圧によって当接するように構成され、流路790は、延在部772とカテーテル本体21との間に形成される1つ以上の第4内部空間797と、本体部771とカテーテル本体21との間に形成され、第4内部空間797の各々と連通する第5内部空間798と、第5内部空間798と連通する第5排出口799を含み、カテーテル本体21は、先端部材770がカテーテル本体21から取り外されると、先端開口部21aを介して装填用ルーメン22に装填された塞栓物10を排出可能である。
【0173】
このような構成によれば、先端部材770は、プライミング操作時にプライミング操作時にカテーテル20に装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【0174】
また、先端部材770は、カテーテル本体521の軸方向に交差するように配置される本体部771(「第3本体部」に相当する)と、本体部771から延在し、装填用ルーメンに少なくとも部分的に挿入される延在部772(「第3延在部」に相当する)と、を備え、かつ、カテーテル本体521と別体に構成されてカテーテル本体521の先端部から取外し可能に構成されており、抑制部780は、延在部772に形成され、装填用ルーメンに装填された塞栓物10の先端側が、プライミング操作時に生じる水圧によって当接するように構成され、カテーテル本体521は、先端開口部521aの近傍に、カテーテル本体521の側壁を貫通するとともに、第3延在部よりも基端側に位置する1つ以上の貫通孔521bを有する。また、貫通孔521bの少なくとも一部は、延在部772よりも基端側に位置し、貫通孔521bの少なくとも一部は、流路790と連通し、カテーテル本体521は、先端部材770がカテーテル本体521から取り外されると、先端開口部521aを介して装填用ルーメンに装填された塞栓物10を排出可能である。
【0175】
このような構成によれば、延在部772とカテーテル本体521との間に流路を確保しなくとも、貫通孔521bを介してプライミング液を排出することができる。
【0176】
また、塞栓物装填済みカテーテルは、上述したカテーテルと、装填用ルーメンに装填された塞栓物10と、を備える。
【0177】
このような構成によれば、先端部材が取り付けられているカテーテルは、術者がプライミング操作を行う際に、装填用ルーメンを基端側から先端側に向かって移動するプライミング液をカテーテル本体の先端部から排出し、装填用ルーメンに装填された塞栓物10は装填用ルーメンに留めることができる。そのため、先端部材が取り付けられているカテーテルは、プライミング操作時にカテーテルに装填された塞栓物10の意図しない飛び出しを防止することができる。
【符号の説明】
【0178】
10 塞栓物、
20 カテーテル、
20M 塞栓物装填済みカテーテル、
21 カテーテル本体、
22 装填用ルーメン、
70 先端部材、
71 本体部、
72 延在部、
80 抑制部、
90 流路、
91 第1孔部(第1排出口)、
92 第2孔部(第2排出口)、
93 第1内部空間、
100 医療器具セット、
200 デリバリーシステム、
300 塞栓物デリバリー医療システム、
X 軸方向、
Y 幅方向、
Z 高さ方向。