IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社3D Printing Corporationの特許一覧

特開2024-16019製造実行システム、方法、及び、製造システム
<>
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図1
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図2
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図3
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図4
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図5
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図6
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図7
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図8
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図9
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図10
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図11
  • 特開-製造実行システム、方法、及び、製造システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016019
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】製造実行システム、方法、及び、製造システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20240130BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240130BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150320
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2022118258の分割
【原出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】519321683
【氏名又は名称】株式会社3D Printing Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋一郎
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA11
5B146BA04
5B146DL08
5B146EA15
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする製造実行システム、方法、及び、製造システムを提供する。
【解決手段】ユーザ識別情報に関連付けられてユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含む複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶するデータベースサーバが複数の製造実行システムに通信可能に接続される製造システムに用いられる製造実行システムであって、基本形状情報を個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に含まれている場合、所定の特徴情報を抽出し、所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、所定の特徴情報が含まれていない場合はインタフェースを通じて所定の特徴情報を取得してパーソナル情報データベース内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる種類の立体物を提供する複数の製造実行システムにデータベースサーバが通信ネットワークを介して通信可能に接続される製造システムに用いられる製造実行システムであって、
前記データベースサーバは、複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶し、
前記パーソナル情報は、ユーザ識別情報に関連付けられ、ユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含み、
前記製造実行システムは、
立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を前記立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報の複数の特徴情報に含まれている場合、前記複数の特徴情報から前記所定の特徴情報を抽出し、前記所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、
前記所定の特徴情報が前記複数の特徴情報に含まれていない場合、インタフェースを通じて前記所定の特徴情報を取得し、前記パーソナル情報データベース内の前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する、
製造実行システム。
【請求項2】
前記製造実行システムは、前記所定の特徴情報が前記複数の特徴情報に含まれていない場合、前記インタフェースを通じて前記所定の特徴情報の入力の要求を送信し、前記所定の特徴情報の入力の要求に応じて前記端末装置に入力された前記所定の特徴情報を、前記端末装置から受け取る、
請求項1に記載の製造実行システム。
【請求項3】
前記パーソナル情報に前記所定の特徴情報が含まれているかどうかの判定にあたっては、前記所定の特徴情報が前記パーソナル情報に直接的に含まれているかどうかに加えて、前記所定の特徴情報が前記パーソナル情報に間接的に含まれているかどうかも判定され、
前記所定の特徴情報が前記パーソナル情報に直接的に含まれているとは、前記所定の特徴情報それ自体が前記パーソナル情報に含まれていることであり、
前記所定の特徴情報が前記パーソナル情報に間接的に含まれているとは、前記所定の特徴情報それ自体は前記パーソナル情報に含まれていないが、前記パーソナル情報に含まれる他の特徴情報から求めることができることである、
請求項1に記載の製造実行システム。
【請求項4】
前記基本形状情報は、前記立体物の形状の決定のための1以上の形状パラメータの基本値を含み、
前記基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を、前記パーソナル情報に基づく個別値に変更することで、前記基本形状情報が前記個別形状情報に変換され、
前記所定の特徴情報は、前記基本立体物情報の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用される、
請求項1に記載の製造実行システム。
【請求項5】
異なる種類の立体物を提供する複数の製造実行システムにデータベースサーバが通信ネットワークを介して通信可能に接続される製造システムに用いられる製造実行システムで実行される方法であって、
前記データベースサーバは、複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶し、
前記パーソナル情報は、ユーザ識別情報に関連付けられ、ユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含み、
前記方法は、
立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を前記立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報の複数の特徴情報に含まれている場合、前記複数の特徴情報から前記所定の特徴情報を抽出し、前記所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、
前記所定の特徴情報が前記複数の特徴情報に含まれていない場合、インタフェースを通じて前記所定の特徴情報を取得し、前記パーソナル情報データベース内の前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する、
方法。
【請求項6】
異なる種類の立体物を提供する複数の製造実行システムと、
前記複数の製造実行システムに通信ネットワークを介して通信可能に接続されるデータベースサーバと、
を備え、
前記データベースサーバは、複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶し、
前記パーソナル情報は、ユーザ識別情報に関連付けられ、ユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含み、
前記複数の製造実行システムの各々は、
立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を前記立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報の複数の特徴情報に含まれている場合、前記複数の特徴情報から前記所定の特徴情報を抽出し、前記所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、
前記所定の特徴情報が前記複数の特徴情報に含まれていない場合、インタフェースを通じて前記所定の特徴情報を取得し、前記パーソナル情報データベース内の前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する、
製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造実行システム、方法、及び、製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用して製造される立体物の製造工程を容易に決定可能とするための工程決定支援装置を開示する。特許文献1に開示された工程決定支援装置は、材料を付加する加工装置と材料を除去する加工装置とを含む複数の加工装置について、各加工装置の加工性能を示す加工性能データを格納する加工性能データ格納部と、加工性能データを參照して、複数の加工装置のいずれかの加工装置の組み合わせによる加工工程を順序付けて割り当てることによって、製品を製造可能な加工工程の組み合わせである工程パターンを生成する工程パターン生成部と、工程パターン生成部によって生成された工程パターンの内容を出力する出力部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/234898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された工程決定支援装置は、製品の工程パターン(立体物の製造工程)を容易に決定可能とする。しかしながら、立体物の形状をユーザの身体に合わせて変更することはできない。
【0005】
本開示は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする製造実行システム、方法、及び、製造システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる製造システムは、異なる種類の立体物を提供する複数の製造実行システムにデータベースサーバが通信ネットワークを介して通信可能に接続される製造システムに用いられる製造実行システムであって、データベースサーバは、複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶し、パーソナル情報は、ユーザ識別情報に関連付けられ、ユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含み、製造実行システムは、立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報の複数の特徴情報に含まれている場合、複数の特徴情報から所定の特徴情報を抽出し、所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、所定の特徴情報が複数の特徴情報に含まれていない場合、インタフェースを通じて所定の特徴情報を取得し、パーソナル情報データベース内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する。
【0007】
本開示の一態様にかかる方法は、異なる種類の立体物を提供する複数の製造実行システムにデータベースサーバが通信ネットワークを介して通信可能に接続される製造システムに用いられる製造実行システムで実行される方法であって、データベースサーバは、複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶し、パーソナル情報は、ユーザ識別情報に関連付けられ、ユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含み、方法は、立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報の複数の特徴情報に含まれている場合、複数の特徴情報から所定の特徴情報を抽出し、所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、所定の特徴情報が複数の特徴情報に含まれていない場合、インタフェースを通じて所定の特徴情報を取得し、パーソナル情報データベース内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する。
【0008】
本開示の一態様にかかる製造システムは、異なる種類の立体物を提供する複数の製造実行システムと、複数の製造実行システムに通信ネットワークを介して通信可能に接続されるデータベースサーバと、を備え、データベースサーバは、複数のパーソナル情報を記憶するパーソナル情報データベースを記憶し、パーソナル情報は、ユーザ識別情報に関連付けられ、ユーザの身体的な特徴に関する複数の特徴情報を含み、複数の製造実行システムの各々は、立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換するために使用される所定の特徴情報が指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報の複数の特徴情報に含まれている場合、複数の特徴情報から所定の特徴情報を抽出し、所定の特徴情報以外の特徴情報を抽出せず、所定の特徴情報が複数の特徴情報に含まれていない場合、インタフェースを通じて所定の特徴情報を取得し、パーソナル情報データベース内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に追加する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の製造実行システムを備える製造システムの構成例のブロック図
図2図1の製造実行システムの構成例のブロック図
図3図1の製造実行システムの製造実行動作の一例のフローチャート
図4図1の製造システムで製造される第1立体物の基本形状の説明図
図5図4の第1立体物の個別形状の説明図
図6図1の製造システムで製造される第2立体物の基本形状の説明図
図7図6の第2立体物の個別形状の説明図
図8図1の製造実行システムの情報管理動作の一例のフローチャート
図9図1の製造システムの管理システムの構成例のブロック図
図10図1の製造システムの端末装置の構成例のブロック図
図11】実施の形態2の製造実行システムを備える製造システムの構成例のブロック図
図12図11の製造実行システムの取得処理の一例のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.実施の形態]
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、一実施の形態の製造実行システム2を備える製造システム1の構成例のブロック図である。図1の製造システム1は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用した立体物の製造のためのシステムである。特に、製造システム1は、アディティブマニュファクチャリング技術及びアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用した立体物の製造のためのシステムである。
【0012】
立体物(造形物)は、実体のある物(有体物)である。立体物は、食器、文房具、装身具、家具、工具、電化製品、乗り物等の種々の製品又は試作品であってよい。立体物の具体例としては、ヘルメット、マットレス、眼鏡のレンズ、自転車、時計のベルト、枕及びソールが挙げられる。立体物は、完成品に限らず、部品であってもよい。完成品の例としては、コップ、ねじ、コンテナが挙げられる。部品の例としては、自動車及び航空機の基幹部品(ピストン、シリンダヘッド)やスペアパーツが挙げられる。
【0013】
図1の製造システム1は、複数の施設3にある複数の設備5を利用して、立体物の製造を可能とする。施設3は、少なくとも一つの設備5が設置され、設備5による作業が可能な場所である。施設3は、建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでいてもよい。施設3の例としては、工場、店舗、ビル(ビル全体、フロア内)が挙げられる。施設3は、非住宅施設に限定されず、戸建住宅及び集合住宅等の住宅施設であってもよい。
【0014】
複数の設備5は、製造工程の実行に用いられる。複数の設備5は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の付加製造設備と、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の補助製造設備とを含む。
【0015】
付加製造設備の例としては、3Dプリンタ及び3Dプリンタ複合機が挙げられる。アディティブマニュファクチャリング技術による造形方法は特に限定されないが、例えば、国際標準化団体のASTMインターナショナルが規定する材料押出(material extrusion)、液槽光重合(vat photopolymerization)、材料噴射(material jetting)、結合剤噴射(binder jetting)、粉末床溶融結合(powder bed fusion)、シート積層(sheet lamination)、指向性エネルギ堆積(directed energy deposition)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。3Dプリンタは、複数の造形方法を選択的又は並列的に実行可能であってよい。3Dプリンタ複合機は、3Dプリンタの機能を含む複数の機能を有する装置である。例えば、3Dプリンタ複合機は、補助製造設備と同様にアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用可能であってよい。
【0016】
補助製造設備は、付加製造設備を除く製造設備、すなわち、既存の製造設備である。アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術の例としては、サブトラクティブマニュファクチャリング(除去製造)技術、フォーマティブ(フォーミング)マニュファクチャリング技術(射出成形、押出成形等)、表面処理技術(コーティング、塗装、メッキ、研磨等)、熱処理技術(焼結、冷却等)、接合技術(超音波接合、熱溶着、機械的接合、接着等)、組立技術(部品の組み立て、微細転写(インプリント)、含浸(インプリグネーション)等)が挙げられる。サブトラクティブマニュファクチャリングの例としては、切削加工、研削加工、放電加工、鋳造加工、ダイキャスト加工、プレス加工、鍛造加工、板金加工が挙げられる。
【0017】
本実施の形態では、立体物の製造工程は、複数の工程を含む。複数の工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する付加工程を含む。複数の工程は、必要に応じて、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する補助工程を含む。複数の工程は、付加工程及び補助工程のいずれにも分類されないその他の工程を含んでいてもよい。
【0018】
付加工程は、立体物の一部又は全部の造形を行う工程であってよい。付加工程は、予め用意された基礎(例えば、基板等)に立体物の一部又は全部の造形を行うことも含む。立体物の一部の造形は、立体物の複数のパーツの一つの全部又は途中までの造形、及び、立体物の途中までの造形を含む。製造工程は、複数の異なる付加工程を含んでもよい。例えば、複数の付加工程が異なるアディティブマニュファクチャリング技術を利用する場合、これらは複数の異なる付加工程であるといえる。
【0019】
補助工程は、付加工程で得られた造形物を対象とする工程であってよい。補助工程は、少なくとも一つの付加工程の後に実行されてよい。なお、複数の工程が複数の付加工程を含む場合、補助工程は、複数の付加工程の間に実行され得る。補助工程は、付加工程で途中まで造形された立体物を更に加工して完成品にする工程であってよい。補助工程は、付加工程で最後まで造形された立体物に表面処理や熱処理を施して完成品にする工程であってよい。補助工程は、1以上の付加工程で造形された複数のパーツから立体物を組み立てる工程であってよい。複数の工程は、複数の異なる補助工程を含んでもよい。例えば、複数の補助工程が異なる製造技術を利用する場合、これらは複数の異なる補助工程であるといえる。
【0020】
本実施の形態では、付加工程を実行可能な設備5を「第1設備」といい、必要に応じて符号51を付す。付加工程はアディティブマニュファクチャリング技術を利用する工程であるから、第1設備51は、上述の付加製造設備から選択される。補助工程を実行可能な設備5を「第2設備」といい、必要に応じて符号52を付す。補助工程はアディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する工程であるから、第2設備52は、上述の補助製造設備から選択される。
【0021】
図1に示すように、製造システム1は、製造実行システム2と、1以上(図1では、複数)の管理システム4と、1以上(図1では、複数)の端末装置6とを備える。製造実行システム2は、複数の管理システム4と通信ネットワーク71を介して通信可能に接続される。製造実行システム2は、複数の端末装置6と通信ネットワーク72を介して通信可能に接続される。
【0022】
[1.1.1.1 製造実行システム]
製造実行システム2は、製造システム1において、立体物の製造に必要な設備5が存在する施設3の管理システム4に製造実行指示を送って、施設3にいる又は所属する作業者に立体物の製造を実行させるために利用される。
【0023】
図2は、製造実行システム2の構成例のブロック図である。図2に示すように、製造実行システム2は、インタフェース(入出力装置21及び通信装置22)と、記憶装置23と、演算回路24と、を備える。製造実行システム2は、例えば、1台のサーバで実現される。
【0024】
製造実行システム2は、形状変更システム2Aと実行システム2Bとを備える。形状変更システム2Aは、仮想空間上で、立体物の形状をパーソナライズするために用いられる。特に、形状変更システム2Aは、仮想空間上で、立体物の形状をユーザの身体により適合するように変更する。実行システム2Bは、仮想空間上で形状変更システム2Aにより変更された形状を有する立体物を製造するために製造実指示を出力する。これによって、製造実行システム2は、ユーザの身体に適合するようにパーソナライズされた立体物を提供することが可能となる。
【0025】
形状変更システム2A及び実行システム2Bの各々は、インタフェース(入出力装置21及び通信装置22)と、記憶装置23と、演算回路24とにより実現される。
【0026】
入出力装置21は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、及び、ユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。つまり、入出力装置21は、製造実行システム2への情報の入力、及び、製造実行システム2からの情報の出力に利用される。入出力装置21は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0027】
通信装置22は、外部装置又はシステムと通信可能に接続される。通信装置22は、通信ネットワーク71を通じた管理システム4との通信及び通信ネットワーク72を通じた端末装置6との通信に用いられる。通信装置22は、1以上の通信インタフェースを備える。通信装置22は、通信ネットワーク71,72に接続可能であり、通信ネットワーク71,72を通じた通信を行う機能を有する。通信装置22は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0028】
記憶装置23は、演算回路24が利用する情報及び演算回路24で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置23は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS(network-attached storage)型のいずれであってもよい。なお、製造実行システム2は、複数の記憶装置23を備えてよい。複数の記憶装置23には情報が分散されて記憶されてよい。
【0029】
記憶装置23に記憶される情報は、立体物情報データベースDB11と、パーソナル情報データベースDB12と、個別立体物情報D13と、製造工程情報D21と、設備情報D22と、利用スケジュール情報D23とを含む。図2では、図面を見やすくするためだけに、「立体物情報データベース」を「立体物情報DB」と表記し、「パーソナル情報データベース」を「パーソナル情報DB」と表記する。
【0030】
立体物情報データベースDB11と、パーソナル情報データベースDB12とは、形状変更システム2Aで利用される。個別立体物情報D13と、製造工程情報D21と、設備情報D22と、利用スケジュール情報D23とは、実行システム2Bで利用される。
【0031】
図2では、記憶装置23が、立体物情報データベースDB11と、パーソナル情報データベースDB12と、個別立体物情報D13と、製造工程情報D21と、設備情報D22と、利用スケジュール情報D23との全てを記憶している状態を示している。立体物情報データベースDB11と、パーソナル情報データベースDB12と、個別立体物情報D13と、製造工程情報D21と、設備情報D22と、利用スケジュール情報D23とは常に記憶装置23に記憶されている必要はなく、演算回路24で必要とされるときに記憶装置23に記憶されていればよい。
【0032】
立体物情報データベースDB11は、複数の基本立体物情報D11を含む。本実施の形態では、複数の基本立体物情報D11は、互いに異なる立体物に関する。
【0033】
基本立体物情報D11は、立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を含む。基本形状は、立体物の形状をパーソナライズする場合の基準として設定された形状である。
【0034】
基本形状情報は、立体物の形状の決定のための1以上の形状パラメータの基本値を含む。基本値は、立体物の基本形状を表す値である。
【0035】
形状パラメータの決定に用いられる情報としては、立体物の形状を直接的に特定する情報と、立体物の形状を間接的に特定する情報とが挙げられる。立体物の形状を直接的に特定する情報の例としては、立体物の形状を表現した3Dデータ(例えば、3DCADデータ、3DCGデータ)が挙げられる。立体物の形状を間接的に特定する情報の例としては、立体物の形状の特性の要求値を含む情報が挙げられる。特性は、立体物がその形状によって実現する性質又は性能である。立体物が車両や航空機のボディの一部であれば、特性としては、強度、空気抵抗、揚力が挙げられる。立体物の形状の特性の要求値が与えられれば、要求値を満たす立体物の形状の設計が可能(設計空間を絞り込んで設計解を導くことが可能)であるから、立体物の形状を決定することができる。
【0036】
形状パラメータの例としては、概略形状パラメータ、詳細形状パラメータ及び特性形状パラメータが挙げられる。
【0037】
概略形状パラメータは、立体物の概形の決定のための形状パラメータである。立体物の概形は、立体物の細部の形状というよりは、立体物の全体の概略形状を表す。概略形状パラメータは、例えば、立体物の全体的な大きさを決める寸法を表す。下記表1に、立体物と、概略形状パラメータで決定される寸法との組み合わせの一例を示す。
【0038】
【表1】

【0039】
詳細形状パラメータは、立体物の局所的な形状の決定のための形状パラメータである。局所的な形状は、立体物においてユーザの身体に接触する接触部位の形状を含む。特に、接触部位は、立体物の使用時においてユーザの身体の所定部位に接触する。詳細形状パラメータは、例えば、立体物の局所的な形状を表す3DCADデータのパラメータを表す。下記表2に、立体物と、詳細形状パラメータで決定される局所的な形状との組み合わせの一例を示す。
【0040】
【表2】

【0041】
特性形状パラメータは、立体物の特性の決定のための形状パラメータである。より詳細には、特性形状パラメータは、立体物においてユーザの身体能力に関連する特性を決める特性部位の形状の決定のための形状パラメータである。下記表3に、立体物と、特性形状パラメータで決定される特性との組み合わせの一例を示す。
【0042】
【表3】
【0043】
立体物の特性は、立体物をメタマテリアル化することにより変更可能である。立体物の複数の部位に異なる特性のメタマテリアルを用いることで、立体物の部位毎に異なる特性を持たせることができる。メタマテリアルは、所定の材料で形成された微小な単位素子が並んだ構造を有することで、所定の材料の物性とは異なる物性を有する人工的に構成された材料である。単位素子は、メタアトム(メタ原子)とも呼ばれる。メタマテリアルは、単位素子の種類、形状、及び配列により、様々な物性を示すことが知られている。物性の種類としては、機械的性質(力学的性質)、熱力学的性質、電磁気学的性質(磁性、光物性等)及び流体力学的性質が挙げられる。メタマテリアルの種類としては、電磁メタマテリアル、触覚メタマテリアル、熱放射メタマテリアル、及び、音響メタマテリアルが挙げられる。
【0044】
特性形状パラメータは、立体物を設計領域とするメタマテリアル構造を決定するためのパラメータを含む。立体物の特性は、力学的特性、熱力学的特性、電磁気学的特性及び流体力学的特性の少なくとも一つを含むことができる。力学的特性の例としては、強度、剛性、降伏伸び及び振動特性が挙げられる。熱力学的特性の例としては、線膨張係数、熱伝導率及び比熱が挙げられる。電磁気学的特性の例としては、透磁率、誘電率及び導電率が挙げられる。流体力学的特性の例としては、流体抵抗及び熱伝達率が挙げられる。
【0045】
基本立体物情報D11は、基本形状情報に加えて、立体物の形状以外の属性を特定するための補助情報を必要に応じて含む。立体物の形状以外の属性は、大きさ、色彩、材料等を含んでよい。
【0046】
パーソナル情報データベースDB12は、複数のパーソナル情報D12を含む。パーソナル情報DBにおいて、パーソナル情報D12は、ユーザ識別情報に関連付けられる。
【0047】
パーソナル情報D12は、基本立体物情報D11に対応する立体物のパーソナライズに利用される。パーソナル情報D12は、ユーザの身体的な特徴に関する特徴情報を含む。パーソナル情報D12は、複数の特徴情報を含んでもよい。必ずしも複数の特徴情報の全てが一つの立体物のパーソナライズに利用される必要はない。複数の特徴情報は、異なる立体物のパーソナライズに利用されてよい。例えば、立体物情報データベースDB11に記憶される複数の基本立体物情報が、第1基本立体物情報及び第2基本立体物情報を含む場合、パーソナル情報D12の複数の特徴情報は、第1基本立体物情報の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を個別値に変更するための第1特徴情報と、第2基本立体物情報の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を個別値に変更するための第2特徴情報とを含んでよい。
【0048】
特徴情報は、身体属性情報、身体形状情報及び身体能力情報の少なくとも一つを含む。
【0049】
身体属性情報は、ユーザの身体属性を示す。身体属性は、例えば、ユーザの身体そのものに備わっている性質又は特徴である。身体属性の例としては、性別、年齢、身長、体重、座高、頭囲、胸囲、腹囲、病歴及びアレルギー体質が挙げられる。なお、身体属性は、ユーザの身体に関するが、身体形状及び身体能力に含まれない性質又は特徴を含み得る。
【0050】
身体形状情報は、ユーザの身体形状を示す。ユーザの身体形状は、ユーザの身体の全部又は一部の形状であってよい。ユーザの身体の一部の例としては、頭部、胸部、手、指、足、首、肩、腰が挙げられる。身体形状情報の例としては、ユーザの身体の3Dデータ(例えば、3Dスキャンデータ)及びユーザの身体の断面を示す画像が挙げられる。ユーザの身体の3Dデータの例としては、ユーザの全身の3Dデータ、ユーザの身体の一部(頭部等)の3Dデータ、ユーザの口腔内の3Dデータ、身体欠損部位の3Dデータが挙げられる。3Dデータの例としては、3DCADデータ及び3DCGデータが挙げられる。ユーザの身体の断面を示す画像の例としては、CT画像及びMRI画像が挙げられる。
【0051】
身体能力情報は、ユーザの身体能力を示す。身体能力は、例えば、ユーザが特定の行動を実行した結果の評価値又はユーザの身体の機能の評価値である。身体能力の例としては、声紋、視力、聴力、肺活量、骨密度、筋力及び圧力分布が挙げられる。圧力分布は、ユーザが特定の体位を取ったときに計測される。圧力分布の例としては、立位での足裏の圧力分布、座位での臀部の圧力分布及び仰臥位での背面の圧力分布が挙げられる。
【0052】
パーソナル情報D12は、特徴情報として、暗示的(又は潜在的)な特徴情報を含み得る。暗示的な特徴情報とは、別の特徴情報から求めることが可能な特徴情報をいう。一例として、パーソナル情報D12が特徴情報としてユーザの全身の3Dデータを含む場合、ユーザの全身の3Dデータから、ユーザの各部の寸法(例えば、頭囲、腕の長さ、股下寸法、鼻の高さ)を演算により求めることが可能である。ユーザの全身の3Dデータは、ユーザの各部の寸法を直接的に提供するものではないが、ユーザの各部の寸法を間接的に提供し得る。このような場合には、パーソナル情報D12は、ユーザの各部の寸法(例えば、頭囲、腕の長さ、股下寸法、鼻の高さ)を暗示的な特徴情報として含んでいるといえる。暗示的な特徴情報は、ユーザの全身の3Dデータだけではなく、相関関係があると考えられる特徴情報から演算又は推定等によっても求められ得る。例えば、ユーザの各部の寸法(例えば、頭囲、腕の長さ、股下寸法、鼻の高さ)において、有意な相関関係が認められる寸法同士については、一方から他方を高精度に推定することができる。
【0053】
パーソナル情報D12は、特徴情報に加えて、立体物の形状以外の属性を特定するための付加情報を必要に応じて含む。付加情報は、趣向情報及び履歴情報の少なくとも一方を含み得る。趣向情報は、ユーザの趣向を示す情報である。ユーザの趣向は、ユーザの好きな色、透明度、材質、フォント及びテクスチャ等である。履歴情報は、ユーザの過去の立体物の注文履歴に関する情報である。履歴情報の例としては、ユーザが過去に選択した、デザイン変更オプション、加工工程の組み合せ(塗装、メッキ等)、施設(作業者、機器、工場)、材料、立体物に関する優先事項及び仕様情報(固さ、長さ、柔らかさ等)が挙げられる。
【0054】
個別立体物情報D13は、立体物の個別形状を決定するための個別形状情報を含む。個別形状は、基本形状よりもユーザの身体に適合しており基本形状の少なくとも一部をパーソナル情報D12に基づいて変更して得られる。個別形状情報は、立体物の形状の決定のための1以上の形状パラメータの個別値を含む。個別値は、立体物の個別形状を表す値である。個別値は、パーソナル情報D12に基づいて設定される。基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を、パーソナル情報D12に基づく個別値に変更することで、基本形状情報が個別形状情報に変換される。なお、パーソナル情報D12によっては、基本値と固定値とが一致する場合があり、この場合には、結果として、個別形状情報の内容は、基本形状情報の内容と同じになる。
【0055】
個別立体物情報D13は、基本立体物情報D11とパーソナル情報D12とに基づいて生成される。一例として、基本立体物情報D11が基本形状情報と補助情報とを有する場合、基本形状情報が、パーソナル情報D12に基づいて個別形状情報に変換される。個別立体物情報D13は、基本立体物情報D11の基本形状情報からパーソナル情報D12に基づいて変換される個別形状情報と、基本立体物情報D11の補助情報とを含む情報として生成される。
【0056】
製造工程情報D21は、立体物の製造工程を示す情報である。上述したように、製造工程は、複数の工程を含み、複数の工程は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する1以上の付加工程、及び、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する1以上の補助工程を少なくとも含む。製造工程は、個別立体物情報D13に基づいて決定される。本実施の形態では、演算回路24が、後述する決定処理S40によって、個別立体物情報D13から製造工程を決定して、製造工程情報D21を生成する。
【0057】
製造工程は、必要に応じて、品質確認工程を含む。品質確認工程は、品質の確認のための工程である。品質確認工程の例としては、付加工程の後に実行される品質確認工程(第1品質確認工程)と、補助工程の後に実行される品質確認工程(第2品質確認工程)とが挙げられる。第1品質確認工程では、例えば、付加工程により得られた造形物の形状を確認する。第2品質確認工程では、例えば、補助工程での加工や処理、組み立て結果を確認する。製造工程は、必要に応じて、輸送工程を含む。立体物に関する輸送のための工程である。輸送工程は、立体物(又は立体物の製造途中の造形物)の一部又は全部の輸送の工程であり得る。立体物の一部の輸送の工程は、立体物が複数のパーツで構成される場合に、立体物の複数のパーツの一つを輸送する工程である。輸送の例としては、設備5間の輸送と、設備5から立体物の届け先への輸送とが挙げられる。設備5間の輸送は、第1設備51と第2設備52との間の輸送、第1設備51間の輸送、及び第2設備52間の輸送を含む。
【0058】
設備情報D22は、製造システム1で利用可能な設備5のリストである。設備情報D22は、アディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備(付加製造設備)のリスト(第1リスト)と、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術を利用する設備(補助製造設備)のリスト(第2リスト)とを含む。
【0059】
第1リストは、各付加製造設備の属性情報を含む。属性情報は、例えば、付加製造設備で実行可能な工程と、付加製造設備で利用できる材料と、付加製造設備が造形可能な物のサイズと、付加製造設備の場所(例えば、付加製造設備のある施設3の地理的な場所)と、を含む。付加製造設備で実行可能な工程は、例えば、アディティブマニュファクチャリング技術による造形方法を用いた工程である。付加製造設備で利用できる材料は、合成樹脂、金属等種々あり、造形方法によって使用できる材料が制限される場合もある。
【0060】
第2リストは、各補助製造設備の属性情報を含む。属性情報は、例えば、補助製造設備で実行可能な工程と、補助製造設備の場所(例えば、補助製造設備のある施設3の地理的な場所)と、を含む。補助製造設備で実行可能な工程は、例えば、アディティブマニュファクチャリング技術とは異なる製造技術、例えば、サブトラクティブマニュファクチャリング技術、フォーマティブマニュファクチャリング技術、表面処理技術、熱処理技術、接合技術、組立技術を用いた工程である。
【0061】
利用スケジュール情報D23は、製造システム1で利用可能な設備5の利用のスケジュールを示す。例えば、製造システム1で利用可能な設備5から、付加工程を実行可能な第1設備51及び補助工程を実行可能な第2設備52が選択される。利用スケジュール情報D23は、付加工程を実行可能な第1設備51の利用のスケジュール及び補助工程を実行可能な第2設備52の利用のスケジュールを示す。
【0062】
設備5の利用のスケジュールは、任意の単位時間を基準にして定めることができる。一例として、設備5の利用のスケジュールは1時間単位で設定され得る。単位時間は、1時間に限定されず、15分、30分、6時間、12時間、1日等であってもよい。
【0063】
設備5の利用のスケジュールは、設備5自体の利用スケジュールであってもよいが、設備5自体の利用スケジュールと設備5を操作できる人(作業者)の利用スケジュールとの組み合わせであってもよい。例えば、ある時間帯において、設備5自体は使用されていなくても、設備5を操作できる人がいなければ、設備5は利用不可であるとしてよい。
【0064】
演算回路24は、製造実行システム2の動作を制御する回路である。特に、演算回路24は、製造実行システム2の形状変更システム2A及び実行システム2Bの動作を制御する回路である。演算回路24は、入出力装置21及び通信装置22に接続され、記憶装置23にアクセス可能である。演算回路24は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置23に記憶された)プログラムを実行することで、演算回路24としての機能を実現する。プログラムは、ここでは記憶装置23に予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0065】
図3は、製造実行システム2の製造実行動作の一例のフローチャートである。製造実行動作は、立体物の製造に必要な設備5が存在する施設3の管理システム4に製造実行指示を送って、施設3にいる又は所属する作業者に立体物の製造を実行させる。図3に示すように、演算回路24は、取得処理S10と、変更処理S20と、生成処理S30と、決定処理S40と、選択処理S50と、実行処理S60とを実行するように構成される。取得処理S10と、変更処理S20と、生成処理S30とは、形状変更システム2Aの機能に関連する。決定処理S40と、選択処理S50と、実行処理S60とは、実行システム2Bの機能に関連する。
【0066】
取得処理S10は、基本立体物情報D11を取得する。取得処理S10は、立体物情報データベースDB11から、指定された立体物に対応する基本立体物情報D11を取得する。取得処理S10は、インタフェース(入出力装置21及び通信装置22)を通じて基本立体物情報D11を取得してもよい。製造実行システム2では、入出力装置21と通信装置22を利用して基本立体物情報D11の入力が可能である。製造実行システム2は、通信装置22によって、通信ネットワーク72を通じて端末装置6と通信可能に接続される。製造実行システム2は、取得処理S10によって、端末装置6に入力される基本立体物情報D11を、端末装置6から取得できる。
【0067】
取得処理S10は、パーソナル情報D12を取得する。取得処理S10は、パーソナル情報データベースDB12から、指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12を取得する。取得処理S10は、インタフェース(入出力装置21及び通信装置22)を通じてパーソナル情報D12を取得してもよい。製造実行システム2では、入出力装置21と通信装置22を利用してパーソナル情報D12の入力が可能である。製造実行システム2は、通信装置22によって、通信ネットワーク72を通じて端末装置6と通信可能に接続される。製造実行システム2は、取得処理S10によって、端末装置6に入力されるパーソナル情報D12を、端末装置6から取得できる。
【0068】
パーソナル情報D12は、複数の特徴情報を含む場合がある。取得処理S10は、パーソナル情報D12に含まれる複数の特徴情報の全てではなく、パーソナル情報D12に含まれる複数の特徴情報のうち必要な特徴情報だけを抽出して取得してよい。より詳細には、取得処理S10は、パーソナル情報D12に含まれる前記複数の特徴情報から、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を個別値に変更するために必要な特徴情報を抽出し、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を個別値に変更するのに使用されない特徴情報を抽出しない。基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を個別値に変更するために必要な特徴情報を特定するための情報は、基本立体物情報D11に形状パラメータと関連付けて含まれてよい。
【0069】
取得処理S10では、パーソナル情報D12に含まれる特徴情報から必要な特徴情報だけが抽出されるため、処理負荷の軽減が図れる。パーソナル情報データベースDB12を複数の製造実行システム2で共有する場合に、パーソナル情報データベースDB12からは、個別値の決定に必要な特徴情報だけを含むパーソナル情報D12が、製造実行システム2に提供される。そのため、個人情報の保護が図れる。
【0070】
変換処理S20は、取得処理S10で取得されたパーソナル情報D12に含まれる特徴情報に基づいて、基本立体物情報D11の基本形状情報を、立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換する。基本形状情報は、立体物の形状の決定のための1以上の形状パラメータを含む。基本形状情報では、形状パラメータは、基本形状に対応する基本値に設定されている。変換処理S20は、基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を、パーソナル情報D12に基づく個別値に変更することで、基本形状情報を個別形状情報に変換する。
【0071】
パーソナル情報D12の特徴情報は、ユーザの身体属性を示す身体属性情報を含み得る。基本形状情報の1以上の形状パラメータは、前記立体物の概形の決定のための1以上の概略形状パラメータを含み得る。1以上の概略形状パラメータの個別値は、身体属性情報に基づいて、立体物がユーザの身体属性に対応する概形を有するように設定されてよい。これにより、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性が高くなる。
【0072】
パーソナル情報D12の特徴情報は、ユーザの身体形状を示す身体形状情報を含み得る。基本形状情報の1以上の形状パラメータは、立体物の局所的な形状の決定のための1以上の詳細形状パラメータを含み得る。1以上の詳細形状パラメータの個別値は、身体形状情報に基づいて、立体物の局所的な形状がユーザの身体の形状に対応する形状となるように設定されてよい。これにより、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性が高くなる。局所的な形状は、立体物においてユーザの身体に接触する接触部位の形状を含み得る。この場合、1以上の詳細形状パラメータの個別値は、身体形状情報に基づいて、接触部位がユーザの身体に密着する形状を有するように設定されてよい。これにより、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性が高くなる。
【0073】
パーソナル情報D12の特徴情報は、ユーザの身体能力を示す身体能力情報を含み得る。基本形状情報の1以上の形状パラメータは、立体物の特性の決定のための1以上の特性形状パラメータを含み得る。1以上の特性形状パラメータの個別値は、身体能力情報に基づいて、立体物の特性がユーザの身体能力に基づく条件を満たすように設定されてよい。これにより、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性が高くなる。ユーザ230の身体能力に基づく条件の例としては、立体物200の特性がユーザ230の身体能力に対応する特性となることが挙げられる。ユーザ230の身体能力に基づく条件の別の例としては、1以上の特性形状パラメータの値を設計変数として与えられる目的関数の値が所定の許容範囲に収まることが挙げられる。目的関数は、例えば、1以上の特性形状パラメータによって決まる立体物の性能に関し、この場合には、立体物の性能がユーザ230の身体能力に対応する性能となるように目的関数の所定の許容範囲が設定される。立体物の性能は、種々あり得るが、複数の特性形状パラメータによって総合的判断される値であってよい。
【0074】
1以上の特性形状パラメータは、立体物を設計領域とするメタマテリアル構造を決定するためのパラメータを含んでよい。これにより、広範な範囲で立体物の特性の変更が可能となる。立体物の特性は、力学的特性、熱力学的特性、電磁気学的特性及び流体力学的特性の少なくとも一つを含んでよい。これにより、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性が高くなる。
【0075】
以下に、変換処理S20について、図4図7を参照して説明する。
【0076】
図4及び図5は、製造システム1で製造される第1例の立体物100に関する。図4は、立体物100の基本形状の説明図である。図5は、立体物100の個別形状の説明図である。
【0077】
立体物100は、ユーザ130が着用するヘルメットである。立体物100は、帽体110と、緩衝材120とを備える。帽体110は、頭部を覆い保護する部品である。緩衝材120は、帽体110に衝撃が加わった際に頭部に伝わる衝撃を緩和するための部品である。
【0078】
立体物100の場合、基本立体物情報D11の基本形状情報の形状パラメータは、例えば、ヘルメットのサイズを決定する概略形状パラメータと、緩衝材120の形状を決定する詳細形状パラメータとを含む。
【0079】
ヘルメットのサイズを決定する概略形状パラメータの個別値は、身体属性に含まれる頭囲に基づいて、立体物100がユーザの身体属性に対応する概形を有するように設定される。例えば、ヘルメットのサイズを決定する概略形状パラメータの基本値が50cmの頭囲に対応する場合に、パーソナル情報D12から得られた頭囲が53cmであれば、ヘルメットのサイズが基本形状のサイズより大きくなるように個別値が決定される。
【0080】
緩衝材120の形状を決定する詳細形状パラメータの個別値は、身体形状情報に基づいて、緩衝材120の形状がユーザの身体の形状に対応する形状となるように設定される。特に、緩衝材120は、立体物100においてユーザ130の身体に接触する接触部位である。緩衝材120の形状を決定する詳細形状パラメータの個別値は、身体形状情報に基づいて、緩衝材120がユーザ130の頭部に密着する形状を有するように設定される。
【0081】
図4の立体物100では、緩衝材120の形状を決定する詳細形状パラメータが基本値に設定されており、緩衝材120の形状は、緩衝材120がユーザ130の頭部に強く押し当るような形状である。図4の立体物100は、ユーザ130にとって装着感が悪い可能性が高い。図5の立体物100では、緩衝材120の形状を決定する詳細形状パラメータが固定値に設定されており、緩衝材120の形状は、緩衝材120がユーザ130の頭部に密着するような形状である。図5の立体物100は、ユーザ130にとって装着感が良い可能性が高い。
【0082】
このように、変換処理S20では、基本立体物情報D11の基本形状情報の形状パラメータが基本値から固定値に変更されることで、個別形状情報が生成される。
【0083】
図6及び図7は、製造システム1で製造される第2例の立体物200に関する。図6は、立体物200の基本形状の説明図である。図7は、立体物200の個別形状の説明図である。
【0084】
立体物200は、ユーザ230が使用するマットレスである。立体物200は、矩形板状であり、長さ、幅、及び厚さを有する。立体物200は、立体物200の長さ方向に並ぶ複数(図示例では12)の領域211~222を有する。
【0085】
立体物200の場合、基本立体物情報D11の基本形状情報の形状パラメータは、例えば、マットレスの長さを決定する概略形状パラメータと、マットレスの複数の領域211~222の柔らかさを決定する特性形状パラメータとを含む。
【0086】
マットレスの長さを決定する概略形状パラメータの個別値は、身体属性に含まれる身長に基づいて、立体物100がユーザ230の身体属性に対応する概形を有するように設定される。例えば、マットレスの長さが、ユーザ230の身長に基づいて設定される。マットレスの長さを決定する概略形状パラメータの基本値が、160cmの身長に対応する場合に、パーソナル情報D12から得られた身長が170cmであれば、マットレスの長さが基本形状の長さより大きくなるように個別値が決定される。
【0087】
マットレスの複数の領域211~222の柔らかさを決定する特性形状パラメータの個別値は、身体能力情報に基づいて、ユーザ230の身体能力に基づく条件の例としては、立体物200の特性がユーザ230の身体能力に対応する特性となることが挙げられる。例えば、複数の領域211~222の柔らかさが、ユーザ230の仰臥位での身体の圧力分布に基づいて設定される。特に、複数の領域211~222の柔らかさは、ユーザ230が仰臥位において背筋が伸びた状態となるように、圧力が高くなるほど硬く設定される。一例として、ユーザ230の仰臥位での身体の圧力が、レベル1~4に分類される。レベルが高いほど圧力が高いことを示す。マットレスの各領域211~222の柔らかさを決定する特性形状パラメータの値が大きいほど各領域211~222が硬いことを示す。マットレスの所定位置にユーザ230がいるとした場合のユーザ230の仰臥位での身体の圧力分布に基づいて、複数の領域211~222に対応するレベルが決定される。例えば、領域211~214はレベル1に対応し、領域215,218はレベル3に対応し、領域216,217はレベル4に対応し、領域219~222はレベル2に対応する。この場合、マットレスは、領域216,217で最も硬く、領域215,218、領域219~222及び領域211~214の順に柔らかくなるように、複数の領域211~222の柔らかさを決定する特性形状パラメータの個別値が設定される。図7において、領域211~222については、色が濃いほど硬いことを示している。
【0088】
図6の立体物200では、複数の領域211~222の柔らかさを決定する特性形状パラメータが基本値に設定されており、マットレスは全体的に柔らかく、ユーザ230が仰臥位において背筋が丸まった姿勢となりやすい。図6の立体物200は、ユーザ230にとって負担が大きい可能性が高い。図7の立体物200では、複数の領域211~222の柔らかさを決定する特性形状パラメータが固定値に設定されており、マットレスの複数の領域211~222の柔らかさは、ユーザ230が仰臥位において背筋が伸びた状態となるような柔らかさである。図7の立体物200は、ユーザ230にとって負担が小さい可能性が高い。
【0089】
このように、変換処理S20では、基本立体物情報D11の基本形状情報の形状パラメータが基本値から固定値に変更されることで、個別形状情報が生成される。
【0090】
生成処理S30は、変換処理S20で変換された個別形状情報を含む個別立体物情報D13を生成する。生成処理S30は、基本立体物情報D11が基本形状情報を変換処理S20で変換された個別形状情報に入れ替えて、個別立体物情報D13を生成する。基本立体物情報D11が基本形状情報と補助情報を有する場合、個別形状情報は、個別形状情報と補助情報とを含む情報として生成される。
【0091】
このように、形状変更システム2Aは、基本立体物情報D11及びパーソナル情報D12が指定されると、基本立体物情報D11の形状パラメータの基本値を、パーソナル情報D12に含まれる特徴方法に基づいて固定値に変更することで、パーソナル情報D12に対応する個別形状を有する立体物を製造するためのデータである個別立体物情報D13を生成する。
【0092】
決定処理S40は、個別立体物情報D13に基づいて立体物の製造工程を決定して製造工程情報D21を生成する。決定処理S40は、個別立体物情報D13に基づいて立体物の製造に必要な付加工程を含む1以上の工程を特定する。必要な工程が複数ある場合には、複数の工程の順番を決定する。決定処理S40は、順番が決められた複数の工程に必要に応じて品質確認工程と輸送工程とを加えて、製造工程を決定する。
【0093】
例えば、立体物の製造に、3Dプリンタで樹脂材料から造形物を形成する工程と、表面処理装置による造形物の表面処理をする工程とが必要であるとする。この例では、前者の工程が付加工程、後者の工程が補助工程として特定される。補助工程の実行には付加工程の完了が必要であるから、付加工程と補助工程との順番は、付加工程が先、補助工程が後になる。付加工程に第1品質確認工程と第1輸送工程とが付され、補助工程に第2品質確認工程と第2輸送工程とが付されて、付加工程、第1品質確認工程、第1輸送工程、補助工程、第2品質確認工程、第2輸送工程を順番に実行する製造工程が得られる。
【0094】
決定処理S40は、個別立体物情報D13の個別形状情報で特定される立体物の個別形状を、アディティブマニュファクチャリング技術とアディティブマニュファクチャリング技術と異なる製造技術との組み合わせでの造形に適した形状に変換する処理を含んでよい。ただし、当該処理によって、個別形状の特徴が失われないようにする必要がある。この場合、決定処理S40は、変換後の立体物の形状に基づいて製造工程を決定してよい。例えば、立体物を複数のパーツに分解し、各パーツに組み立て用の部分(凹凸部分等)を付加した形状としてよい。例えば、立体物の形状を、立体物から不要な部分を除去した形状又は必要な部分を付加した形状としてもよい。不要な部分又は必要な部分は、個別立体物情報D13に含まれる個別形状情報、属性情報、優先情報等に基づいて決定されてよい。個別立体物情報D13に含まれる個別形状情報が立体物の個別形状を間接的に特定する情報である場合には、個別形状情報から立体物の個別形状を表現したデータを作成する処理が決定処理S40に含まれてよい。
【0095】
選択処理S50は、製造工程情報D21に基づいて立体物の製造に利用する設備5を設備情報D22から選択する。例えば、製造工程が付加工程と補助工程とを含む場合、選択処理S50は、設備情報D21の製造システム1で利用可能な設備5のリストから、付加工程を実行可能な1以上の第1設備51と、補助工程を実行可能な1以上の第2設備52とを選択する。
【0096】
より詳細には、選択処理S50は、製造工程情報D21に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術を利用する設備のリスト(設備情報D22の第1リスト)を検索して、付加工程を実行可能な1以上の第1設備51を選択する。選択処理S50は、製造工程情報D21に基づいてアディティブマニュファクチャリング技術以外の製造技術を利用する設備のリスト(設備情報D22の第2リスト)を検索して、補助工程を実行可能な1以上の第2設備52を選択する。
【0097】
選択処理S50は、付加工程を実行可能な第1設備51が複数ある場合、利用スケジュール情報D23を参照して、立体物の製造にかかる時間が最も短くなる(立体物の納期が最も早くなる)第1設備51を選択してよい。選択処理S50は、補助工程を実行可能な第2設備52が複数ある場合、利用スケジュール情報D23を参照して、立体物の製造にかかる時間が最も短くなる(立体物の納期が最も早くなる)第2設備52を選択してよい。
【0098】
実行処理S60は、立体物の製造を実行させる。実行処理S60は、立体物の製造をするための製造実行指示を出力する。製造実行指示は、製造工程情報D21に基づいて生成される。製造実行指示は、例えば、選択処理S50で選択された設備5を用いた対応する工程の実行の指示である。したがって、実行処理S60は、作業者に、選択処理S50で選択された設備5を用いて対応する工程を実行するように指示を与える。実行処理S60は、選択処理S50で選択された設備5がある施設3の管理システム4に、製造実行指示を送る。実行処理S60は、必要な情報(製造実行指示)を必要な管理システム4に与えることで、立体物の製造を行わせる。
【0099】
図8は、製造実行システム2の情報管理動作の一例のフローチャートである。情報管理動作は、特徴情報を取得した場合にパーソナル情報データベースDB12の管理をする。図8の情報管理動作は、入力情報取得処理S70と、管理処理S80とを含む。入力情報取得処理S70と管理処理S80とは、演算回路24により実行される。入力情報取得処理S70及び管理処理S80は、形状変更システム2Aの機能に関連する。
【0100】
入力情報取得処理S70は、入力情報を取得する。入力情報は、ユーザ識別情報と特徴情報とを含む。製造システム1において、入力情報は、端末装置6を用いて入力されてよい。例えば、入力情報を端末装置6から製造実行システム2に入力することができる。この場合、演算回路24は、インタフェース(入出力装置21及び通信装置22)を通じて入力情報を取得することができる。演算回路24は、ユーザ識別情報と特徴情報とを含む入力情報に基づいてパーソナル情報データベースDB12を管理する管理処理S80を実行する。なお、入力情報は、入出力装置21を用いて入力されてもよい。
【0101】
管理処理S80は、パーソナル情報データベースDB12が入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報を含むかどうかを判定する(S81)。
【0102】
管理処理S80は、パーソナル情報データベースDB12が入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報を含む場合に(S81:YES)、更新処理S82を実行する。更新処理S82は、入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報を入力情報に含まれる特徴情報を用いて更新する。より詳細には、更新処理S82は、入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報に入力情報に含まれる特徴情報が含まれていない場合には、入力情報に含まれる特徴情報を追加する。更新処理S82は、入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報を入力情報に含まれる特徴情報が含まれている場合には、特徴情報の内容を入力情報に含まれる特徴情報の内容に変更する。
【0103】
管理処理S80は、パーソナル情報データベースDB12が入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報を含まない場合に(S81:NO)、登録処理S83を実行する。登録処理S83は、入力情報に含まれる特徴情報を含む新規のパーソナル情報を入力情報に含まれるユーザ識別情報と関連付けてパーソナル情報データベースDB12に登録する。
【0104】
[1.1.1.2 管理システム]
以下、管理システム4について詳細に説明する。製造システム1において、管理システム4は、例えば、施設3にいる又は所属するユーザ(施設3の管理者、設備5の作業者等)により使用される。主に、管理システム4は、施設3の管理者から製造実行システム2への情報の入力、及び、製造実行システム2から管理者への情報の出力に用いられる。
【0105】
図9は、管理システム4の構成例のブロック図である。図9に示すように、管理システム4は、インタフェース(入出力装置41及び通信装置42)と、記憶装置43と、演算回路44と、を備える。管理システム4は、例えば、1台の端末装置で実現される。端末装置は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)等により実現され得る。
【0106】
入出力装置41は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、及び、ユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置41は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0107】
通信装置42は、外部装置又はシステムと通信可能に接続される。通信装置42は、通信ネットワーク71を通じた製造実行システム2との通信に用いられる。通信装置42は、1以上の通信インタフェースを備える。通信装置42は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0108】
記憶装置43は、演算回路44が利用する情報及び演算回路44で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置43は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS型のいずれであってもよい。
【0109】
演算回路44は、管理システム4の動作を制御する回路である。演算回路44は、入出力装置41及び通信装置42に接続され、記憶装置43にアクセス可能である。演算回路44は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置43に記憶された)プログラムを実行することで、演算回路44としての機能を実現する。プログラムは、ここでは記憶装置43に予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0110】
演算回路44は、通信ネットワーク71を通じて製造実行システム2から立体物の製造をするための製造実行指示を通信装置42で受け取る。演算回路44は、受け取った製造実行指示を記憶装置43に記憶し、必要に応じて入出力装置41により提示する。
【0111】
このように、管理システム4は、製造実行システム2の実行システム2Bからの製造実行指示を表示する表示システムとして機能する。施設3では、管理システム4で表示される製造実行指示により、立体物の製造が可能となる。
【0112】
[1.1.1.3 端末装置]
以下、端末装置6について詳細に説明する。製造システム1において、端末装置6は、例えば、立体物の製造を依頼する依頼者により使用される。製造システム1において、端末装置6は、立体物の製造の依頼者から製造実行システム2への情報の入力、及び、製造実行システム2から依頼者への情報の出力に用いられる。
【0113】
図10は、端末装置6の構成例のブロック図である。図10に示すように、端末装置6は、インタフェース(入出力装置61及び通信装置62)と、記憶装置63と、演算回路64とを備える。端末装置6は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ)、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)等により実現され得る。
【0114】
入出力装置61は、ユーザからの情報の入力のための入力装置、及び、ユーザへの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力装置61は、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0115】
通信装置62は、外部装置又はシステムと通信可能に接続される。通信装置62は、通信ネットワーク72を通じた製造実行システム2との通信に用いられる。通信装置62は、1以上の通信インタフェースを備える。通信装置62は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0116】
記憶装置63は、演算回路64が利用する情報及び演算回路64で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置63は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS型のいずれであってもよい。
【0117】
記憶装置63に記憶される情報は、パーソナル情報D12及び個別立体物情報D13を含む。図13は、記憶装置63が、パーソナル情報D12及び個別立体物情報D13を記憶している状態を示す。パーソナル情報D12及びB個別立体物情報D13は常に記憶装置63に記憶されている必要はなく、演算回路64で必要とされるときに記憶装置63に記憶されていればよい。
【0118】
演算回路64は、端末装置6の動作を制御する回路である。演算回路64は、入出力装置61及び通信装置62に接続され、記憶装置63にアクセス可能である。演算回路64は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置63に記憶された)プログラムを実行することで、演算回路64としての機能を実現する。プログラムは、ここでは記憶装置63に予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0119】
演算回路64は、例えば、入出力装置61によりパーソナル情報D12を入力するための画面を提示し、依頼者は画面の指示にしたがってパーソナル情報D12を入力することが可能である。パーソナル情報D12の入力は、外部装置からパーソナル情報D12を端末装置6に入力することだけではなく、端末装置6が記憶しているデータからパーソナル情報D12として使用するデータを特定することも含んでよい。演算回路64は、入力されたパーソナル情報D12を製造実行システム2に通信装置62を通じて送信する。これによって、依頼者は、パーソナル情報D12を、端末装置6を通じて製造実行システム2に入力することが可能である。
【0120】
演算回路64は、通信ネットワーク72を通じて製造実行システム2から個別立体物情報D13を通信装置42で受け取る。演算回路64は、個別立体物情報D13が示す個別形状を有する立体物を入出力装置61により表示することが可能である。
【0121】
このように、端末装置6は、パーソナル情報D12を入力するための入力システムとして機能する。端末装置6は、個別立体物情報D13で特定される立体物を表示する表示システムとして機能する。依頼者は、端末装置6で表示される画面により、個別形状を有する立体物の把握が可能となる。
【0122】
[1.1.2 効果等]
以上述べた形状変更システム2Aは、立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を含む基本立体物情報D11を記憶する1以上の記憶装置23と、取得処理S10と、変換処理S20と、生成処理S30とを実行する演算回路24と、を備える。取得処理S10は、ユーザの身体的な特徴に関する特徴情報を含むパーソナル情報D12を取得する。変換処理S20は、取得処理S10で取得されたパーソナル情報D12に含まれる特徴情報に基づいて、基本形状情報を、立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換する。生成処理S30は、変換処理S20で変換された個別形状情報を含む個別立体物情報D13を生成する。個別形状は、基本形状よりもユーザの身体に適合しており、基本形状の少なくとも一部をパーソナル情報D12に基づいて変更して得られる。この構成は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0123】
形状変更システム2Aにおいて、基本形状情報は、立体物の形状の決定のための1以上の形状パラメータの基本値を含む。変換処理S20は、基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を、パーソナル情報D12に基づく個別値に変更することで、基本形状情報を個別形状情報に変換する。この構成は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを容易にする。
【0124】
形状変更システム2Aにおいて、特徴情報は、ユーザの身体属性を示す身体属性情報を含む。1以上の形状パラメータは、立体物の概形の決定のための1以上の概略形状パラメータを含む。1以上の概略形状パラメータの個別値は、身体属性情報に基づいて、立体物がユーザの身体属性に対応する概形を有するように設定される。この構成は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0125】
形状変更システム2Aにおいて、特徴情報は、ユーザの身体形状を示す身体形状情報を含む。1以上の形状パラメータは、立体物の局所的な形状の決定のための1以上の詳細形状パラメータを含む。1以上の詳細形状パラメータの個別値は、身体形状情報に基づいて、立体物の局所的な形状がユーザの身体の形状に対応する形状となるように設定される。この構成は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0126】
形状変更システム2Aにおいて、局所的な形状は、立体物においてユーザの身体に接触する接触部位の形状を含む。1以上の詳細形状パラメータの個別値は、身体形状情報に基づいて、接触部位がユーザの身体に密着する形状を有するように設定される。この構成は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0127】
形状変更システム2Aにおいて、特徴情報は、ユーザの身体能力を示す身体能力情報を含む。1以上の形状パラメータは、立体物の特性の決定のための1以上の特性形状パラメータを含む。1以上の特性形状パラメータの個別値は、身体能力情報に基づいて、立体物の特性がユーザの身体能力に基づく条件を満たすように設定される。この構成は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0128】
形状変更システム2Aにおいて、1以上の特性形状パラメータは、立体物を設計領域とするメタマテリアル構造を決定するためのパラメータを含む。この構成は、広範な範囲での立体物の特性の変更を可能にする。
【0129】
形状変更システム2Aにおいて、立体物の特性は、力学的特性、熱力学的特性、電磁気学的特性及び流体力学的特性の少なくとも一つを含む。この構成は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0130】
形状変更システム2Aにおいて、形状変更システム2Aは、情報の入力のための入力装置21、及び、外部装置と通信可能に接続される通信装置22の少なくとも一方を有するインタフェースを備える。取得処理S10は、インタフェースを通じてパーソナル情報D12を取得する。この構成は、パーソナル情報D12の取得を容易にする。
【0131】
形状変更システム2Aにおいて、パーソナル情報D12は、ユーザ識別情報に関連付けられる。1以上の記憶装置23は、複数のパーソナル情報D12を記憶するパーソナル情報データベースDB12を記憶する。取得処理S10は、パーソナル情報データベースDB12から、指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12を取得する。この構成は、パーソナル情報D12の取得を容易にする。
【0132】
形状変更システム2Aにおいて、演算回路24は、ユーザ識別情報と特徴情報とを含む入力情報に基づいてパーソナル情報データベースDB12を管理する管理処理S80を実行する。管理処理S80は、パーソナル情報データベースDB12が入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12を含む場合に更新処理S82を実行し、パーソナル情報データベースDB12が入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12を含まない場合に登録処理S83を実行する。更新処理S82は、入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12を入力情報に含まれる特徴情報を用いて更新する。登録処理S83は、入力情報に含まれる特徴情報を含む新規のパーソナル情報D12を入力情報に含まれるユーザ識別情報と関連付けてパーソナル情報データベースDB12に登録する。この構成は、パーソナル情報D12の管理を容易にする。
【0133】
換言すれば、形状変更システム2Aは、以下の方法(形状変更方法)を実行しているといえる。形状変更方法は、1以上の記憶装置23にアクセス可能な演算回路24により実行される。1以上の記憶装置23は、立体物の基本形状を決定するための基本情報を含む基本立体物情報D11を記憶する。形状変更方法は、ユーザの身体的な特徴に関する特徴情報を含むパーソナル情報D12を取得する取得処理S10と、取得処理S10で取得されたパーソナル情報D12に含まれる特徴情報に基づいて、基本情報を、立体物の個別形状を決定するための個別情報に変換する変換処理S20と、変換処理S20で変換された個別情報を含む個別立体物情報D13を生成する生成処理S30と、を含む。個別形状は、基本形状よりもユーザの身体に適合しており、基本形状の少なくとも一部をパーソナル情報D12に基づいて変更して得られる。この構成は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0134】
形状変更システム2Aは、演算回路24を利用して実現されている。つまり、形状変更システム2Aが実行する方法(形状変更方法)は、演算回路24がプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、形状変更方法を、演算回路24に実行させるための、コンピュータプログラムである。この構成は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0135】
以上述べた製造実行システム2は、形状変更システム2Aと、個別立体物情報D13に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する付加工程を含む複数の工程を含む立体物の製造工程を示す製造工程情報D21にしたがって立体物の製造をするための製造実行指示を出力する実行システム2Bと、を備える。この構成は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0136】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図11は、実施の形態2の製造システム1Aの構成例のブロック図である。図11の製造システム1Aは、複数(図示例では3つ)の製造実行システム20A~20C(以下、総称して符号20を付す)を備える。各製造実行システム20は、複数の管理システム4と通信ネットワーク71を介して通信可能に接続される。各製造実行システム20は、複数の端末装置6と通信ネットワーク72を介して通信可能に接続される。なお、図11では、通信ネットワーク71と通信ネットワーク72との区別を容易にするためだけに通信ネットワーク71を実線で示し、通信ネットワーク72を破線で示す。
【0137】
各製造実行システム20は、データベースサーバ8と通信ネットワーク73を介して通信可能に接続される。データベースサーバ8は、パーソナル情報データベースDB12Aを記憶する。データベースサーバ8は、例えば、1以上の記憶装置により構成される。
【0138】
各製造実行システム20の構成は、図2に示す製造実行システム2と同様である。つまり、各製造実行システム20は、入出力装置21と、通信装置22と、記憶装置23と、演算回路24とを備える。入出力装置21と、通信装置22と、記憶装置23と、演算回路24とが、形状変更システム2A及び実行システム2Bを実現する。
【0139】
複数の製造実行システム20は、例えば、異なる事業主体により管理されてよい。例えば、複数の製造実行システム20の立体物情報データベースDB11内の基本立体物情報D11の種類が、互いに異なってよい。一例として、製造実行システム20Aの基本立体物情報D11の種類が装身具であり、製造実行システム20Bの基本立体物情報D11の種類が寝具であり、製造実行システム20Cの基本立体物情報D11の種類がスポーツ用品であってよい。このように、複数の製造実行システム20は、異なる種類の立体物を提供することが可能であってよい。
【0140】
複数の製造実行システム20は、通信ネットワーク73を介してデータベースサーバ8にアクセスして、データベースサーバ8に記憶されたパーソナル情報データベースDB12Aを利用できる。なお、製造実行システム20は、製造実行システム20の記憶装置23内のパーソナル情報データベースDB12を利用することもできる。
【0141】
各製造実行システム20の演算回路24は、図2の製造実行システム2の演算回路24と同様に、図3に示すように、取得処理S10、変換処理S20、生成処理S30、決定処理S40、選択処理S50及び実行処理S60を実行可能である。ただし、各製造実行システム20の演算回路24は、取得処理S10に加えて、又は、取得処理S10に替えて、図12の取得処理S10Aを実行してよい。
【0142】
図12は、図11の製造実行システム20の取得処理S10Aの一例のフローチャートである。製造実行システム20においては、立体物の形状の変更にあたって、形状を変更する立体物を特定するために、基本立体物情報D11が指定される。さらに、立体物の形状に反映させるパーソナル情報D12を特定するために、ユーザ識別情報が指定される。
【0143】
取得処理S10Aは、データベースサーバ8に記憶されたパーソナル情報データベースDB12Aにアクセスし、パーソナル情報データベースDB12A内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12に所定の特徴情報が含まれているかどうかを判定する(S11)。所定の特徴情報は、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用される特徴情報である。一例として、図4及び図5の立体物100の場合、立体物100のサイズの決定に使用される頭囲が、所定の特徴情報である。
【0144】
所定の特徴情報は、明示的な特徴情報だけではなく、暗示的な特徴情報からも選択され得る。具体的には、パーソナル情報D12に所定の特徴情報が含まれているかどうかの判定にあたっては、所定の特徴情報がパーソナル情報D12に直接的に含まれているかどうかに加えて、所定の特徴情報がパーソナル情報D12に間接的に含まれているかどうかも判定されてよい。所定の特徴情報がパーソナル情報D12に直接的に含まれているとは、所定の特徴情報それ自体がパーソナル情報D12に含まれていることを意図している。例えば、図4及び図5の立体物100の場合、立体物100のサイズの決定に使用される頭囲が、所定の特徴情報である。パーソナル情報D12が頭囲を含む場合、所定の特徴情報がパーソナル情報D12に直接的に含まれているといえる。所定の特徴情報がパーソナル情報D12に間接的に含まれているとは、所定の特徴情報それ自体はパーソナル情報D12に含まれていないが、パーソナル情報D12に含まれる他の特徴情報から求めることができることを意図している。例えば、図4及び図5の立体物100の場合、立体物100のサイズの決定に使用される頭囲が、所定の特徴情報である。パーソナル情報D12に含まれる特徴情報が、ユーザの全身の3Dデータを含む場合、パーソナル情報D12は頭囲を含んでいないが、ユーザの全身の3Dデータから、ユーザの各部の寸法(例えば、頭囲、腕の長さ、股下寸法、鼻の高さ)を演算により求めることが可能である。このような場合には、所定の特徴情報がパーソナル情報D12に間接的に含まれているといえる。所定の特徴情報を求めることができる特徴情報は、ユーザの全身の3Dデータに限定されず、例えば、所定の特徴情報と相関関係があると考えられる特徴情報であってよい。所定の特徴情報は、場合によっては、パーソナル情報D12に含まれる1以上の特徴情報から推定により求められてもよい。
【0145】
パーソナル情報データベースDB12A内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12に所定の特徴情報が含まれている場合(S11:YES)、取得処理S10Aは、パーソナル情報データベースDB12A内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12から所定の特徴情報を取得する(S12)。所定の特徴情報がパーソナル情報D12に間接的に含まれている場合には、パーソナル情報D12から所定の特徴情報を求める処理が実行される。一例としては、パーソナル情報D12に含まれるユーザの全身の3Dデータから、ユーザの各部の寸法(例えば、頭囲、腕の長さ、股下寸法、鼻の高さ)を演算により求める処理が実行され得る。
【0146】
ステップS12において、取得処理S10Aは、パーソナル情報D12に含まれる複数の特徴情報から、所定の特徴情報を抽出し、所定の特徴情報以外の特徴情報、つまり、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用されない特徴情報を抽出しない。これにより、パーソナル情報D12に含まれる特徴情報から必要な特徴情報だけが抽出されるため、処理負荷の軽減が図れる。
【0147】
パーソナル情報データベースDB12A内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12に所定の特徴情報が含まれていない場合(S11:NO)、取得処理S10Aは、インタフェースを通じて、所定の特徴情報を取得する。一例として、取得処理S10Aは、端末装置6に、所定の特徴情報の入力の要求を送信する。所定の特徴情報の入力の要求に応じて、端末装置6にてユーザが所定の特徴情報を入力すると、端末装置6に入力された所定の特徴情報が形状変更システム2Aに送信される。これにより、取得処理S10Aは、インタフェースを通じて、所定の特徴情報を取得することができる。
【0148】
取得処理S10Aは、インタフェースを通じて取得した所定の特徴情報を、データベースサーバ8のパーソナル情報データベースDB12A内の指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12に追加する(S14)。パーソナル情報D12が所定の特徴情報を含むように更新される。このように、取得処理S10Aは、新たな特徴情報が得られる毎にパーソナル情報を更新する。そのため、ユーザが同じ特徴情報を何回も入力する必要がなくなり、使い勝手が向上する。
【0149】
所定の特徴情報が全て得られれば(S15:YES)、取得処理S10Aは終了する。このように、取得処理S10Aは、不足している特徴情報だけを外部から取得する。そのため、ユーザは必要な特徴情報の全てではなく、不足している特徴情報だけを入力すればよいから、使い勝手が向上する。
【0150】
以上述べた図11の製造システム1Aでは、複数の製造実行システム20の形状変更システム2Aが、データベースサーバ8に記憶されたパーソナル情報データベースDB12Aを共有している。そのため、複数の製造実行システム20の形状変更システム2Aが複数の端末装置6から得たパーソナル情報D12を、パーソナル情報データベースDB12Aで集約して管理することが可能となる。例えば、製造実行システム20Aの形状変更システム2Aが、端末装置6から得たパーソナル情報D12がデータベースサーバ8に記憶されたパーソナル情報データベースDB12Aに登録されることで、製造実行システム20Aとは別の製造実行システム20B,20Cの形状変更システム2Aが、製造実行システム20Aの形状変更システム2Aが端末装置6から得たパーソナル情報D12を利用可能となる。
【0151】
特に、パーソナル情報D12の特徴情報は、ユーザの身体的な特徴に関し、例えば、上述したように、身体属性情報、身体形状情報及び身体能力情報の少なくとも一つを含む。このような特徴情報は、ユーザが管理するには負担が大きい場合が多い。身体形状情報は、例えば、ユーザの身体の一部又は全部の3Dデータであり、ユーザが自身の端末装置6等に保管するような性質の情報ではない。身体能力情報は、例えば、声紋、視力、聴力、肺活量、骨密度、筋力及び圧力分布等であって、ユーザが逐一把握している性質の情報ではない。したがって、このような特徴情報は、複数の形状変更システム2Aが共有するパーソナル情報データベースDB12Aにて集約して管理することで、利便性の向上が図れる。
【0152】
[1.2.2 効果等]
以上述べた製造実行システム20の形状変更システム2Aでは、パーソナル情報D12は、複数の特徴情報を含む。取得処理S10Aは、パーソナル情報D12に含まれる複数の特徴情報から、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用される特徴情報を抽出し、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用されない特徴情報を抽出しない。この構成は、パーソナル情報に含まれる特徴情報から必要な特徴情報だけが抽出されるため、処理負荷の軽減が図れる。
【0153】
形状変更システム2Aは、情報の入力のための入力装置21、及び、外部装置と通信可能に接続される通信装置22の少なくとも一方を有するインタフェースを備える。取得処理S10Aは、指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12に、基本立体物情報D11の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用される所定の特徴情報が含まれていない場合に、インタフェースを通じて、所定の特徴情報を取得する。この構成は、不足している特徴情報だけを外部から取得する。そのため、ユーザは必要な特徴情報の全てではなく、不足している特徴情報だけを入力すればよいから、使い勝手が向上する。
【0154】
形状変更システム2Aにおいて、取得処理S10Aは、インタフェース(入力装置21、通信装置22)を通じて取得した所定の特徴情報を、指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報D12に追加する。この構成は、新たな特徴情報が得られる毎にパーソナル情報を更新する。そのため、ユーザが同じ特徴情報を何回も入力する必要がなくなり、使い勝手が向上する。
【0155】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0156】
立体物は、装身具であってよい。装身具の例としては、指輪、ネックレス、ペンダント、イヤリング、ネイル、リストバンド、アンクレット、ブレスレット、時計のベルトが挙げられる。例えば、指輪のサイズに関連する概略形状パラメータをパーソナル情報D12の身体属性情報(例えば、指のサイズ)により決定することができる。イヤリングの留め具に関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、耳たぶの形状)により決定することができる。時計のベルトに関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の特徴情報(例えば、手の大きさ、手首の太さ、ベルトの硬さ)により決定することができる。
【0157】
立体物は、家具又は寝具であってよい。家具の例としては、机、椅子が挙げられる。例えば、椅子の座面に関する詳細形状パラメータ(例えば、座面の表面形状)をパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、臀部の形状)により決定することができる。寝具の例としては、ネックピローが挙げられる。例えば、ネックピローに関する形状パラメータ(例えば、ネックピローの硬さの分布、重さ、通気性)をパーソナル情報D12の特徴情報(例えば、頭部及び首の形状、首の圧力分布)により決定することができる。
【0158】
立体物は、スポーツ器具であってよい。スポーツ器具の例としては、自転車(例えば、フレーム、ハンドル、サドル)、スノーボード、スキー板、ストック、ゴルフクラブ、グローブ、プロテクタ、ヘルメットが挙げられる。例えば、自転車のフレームに関連する形状パラメータをパーソナル情報D12の特徴情報(例えば、身長、体重、脚力、脚の長さ)により決定することができ、これによってユーザ毎に自転車のフレームの最適設計が可能である。
【0159】
立体物は、被服又は履物であってよい。履物の例としては、スニーカが挙げられる。例えば、スニーカのインソールに関連する特性形状パラメータ(例えば、インソールの硬さの分布)をパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、足裏の圧力分布)により決定することができる。
【0160】
立体物は、人体の補助用具であってよい。補助用具の例としては、補聴器、眼鏡のレンズ、コンタクトレンズ、リペアパーツ、義肢(義足、義手)、陥没骨折部のプロテクタ、ギプス(例えば、軽量ギプス)及びドアノブの拡張機器が挙げられる。例えば、コンタクトレンズの光学性能(度数等)に関連する特性形状パラメータをパーソナル情報D12の身体能力情報(例えば、視力、乱視の度数)により決定することができる。例えば、義肢の留め具に関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、義肢を付ける部分の形状)により決定することができる。ドアノブの拡張機器は、例えば、ひじでドアを開けられるようにドアノブに取り付けられる機器である。ドアノブの拡張機器のひじとの接触部分の形状に関する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、ひじの形状)により決定することができる。
【0161】
立体物は、電気機器であってよい。電気機器の例としては、キーボード及びポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)等のユーザインタフェースが挙げられる。例えば、キーボードのキーの配列に関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、手指の形状)により決定することができる。例えば、マウスの表面形状に関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、手指の形状)により決定することができる。
【0162】
立体物は、置物又は飾り物であってよい。このような例としては、肖像、人体模型、胸像、銅像又はフィギュアが挙げられる。例えば、胸像の形状に関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、顔及び胸部の形状)により決定することができる。
【0163】
立体物は、医療用具であってよい。医療用具の例としては、外科手術シミュレーション用動脈瘤モデル、臓器モデル及びフェイスシールドが挙げられる。例えば、臓器モデルの形状に関連する詳細形状パラメータをパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、臓器の形状)により決定することができる。この場合、CTスキャン3D画像の重ね合わせによる3Dデータ作成と3Dプリント化、AIによる色付け等が行われる。フェイスシールドの形状に関連する詳細形状パラメータ(フェイスシールドのサイズ、フェイスシールドの取り付け具の形状)をパーソナル情報D12の身体形状情報(例えば、顔の形状)により決定することができる。
【0164】
パーソナル情報D12は、基本立体物情報D11の基本形状情報だけではなく、補助情報の変更に利用されてもよい。補助情報は、立体物の形状以外の属性として、大きさ、色彩、材料等を含み得る。パーソナル情報D12の身体属性情報に身体属性としてアレルギー体質に関する情報が含まれている場合には、立体物の材料を、アレルギー体質を考慮した材料に変更可能である。つまり、立体物においてユーザと接触する部分、例えば、ゴルフクラブのグリップ、自転車のハンドル又は工具の持ち手の材料を、アレルギー反応が起きない材料に変更することで、ユーザが立体物を安全に使用できる。また、立体物の色彩を、色盲者の色覚に配慮して決定することができる。
【0165】
パーソナル情報D12が趣向情報又は履歴情報を含む場合には、趣向情報又は履歴情報は、基本立体物情報D11の基本形状情報だけではなく、補助情報の変更に利用されてもよい。パーソナル情報D12の趣向情報は、立体物がスマホケースである場合には、スマホケースの外観のパーソナライズに利用できる。このように、パーソナル情報D12の趣向情報は、ユーザの好みに応じた立体物の外観のパーソナライズに利用され得る。
【0166】
一変形例では、製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6は、それぞれ、入出力装置21,41,61と通信装置22,42,62との両方を備える必要はない。
【0167】
一変形例では、形状変更システム2Aと実行システム2Bとは、単一のコンピュータシステムで実現されている必要はなく、別個のコンピュータシステムで実現されてよい。
【0168】
一変形例では、製造システム1において、製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6がそれぞれ異なるコンピュータシステムで実現されることは必須ではない。製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6は単一のコンピュータシステムで実現されてもよい。
【0169】
一変形例では、製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6の各々は、複数台のサーバ等のコンピュータシステムで実現されてもよい。つまり、製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6の各々における複数の機能(構成要素)が、1つの筐体内に集約されていることは必須ではなく、製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6の各々の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、製造実行システム2、管理システム4及び端末装置6の各々の少なくとも一部の機能、例えば、演算回路24,44,64の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0170】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0171】
第1の態様は、形状変更システム(2A)であって、立体物の基本形状を決定するための基本形状情報を含む基本立体物情報(D11)を記憶する1以上の記憶装置(23)と、取得処理(S10)と、変換処理(S20)と、生成処理(S30)とを実行する演算回路(24)と、を備える。前記取得処理(S10)は、ユーザの身体的な特徴に関する特徴情報を含むパーソナル情報(D12)を取得する。前記変換処理(S20)は、前記取得処理(S10)で取得された前記パーソナル情報(D12)に含まれる前記特徴情報に基づいて、前記基本形状情報を、前記立体物の個別形状を決定するための個別形状情報に変換する。前記生成処理(S30)は、前記変換処理(S20)で変換された前記個別形状情報を含む個別立体物情報(D13)を生成する。前記個別形状は、前記基本形状よりも前記ユーザの身体に適合しており、前記基本形状の少なくとも一部を前記パーソナル情報(D12)に基づいて変更して得られる。この態様は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0172】
第2の態様は、第1の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第2の態様において、前記基本形状情報は、前記立体物の形状の決定のための1以上の形状パラメータの基本値を含む。前記変換処理(S20)は、前記基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値を、前記パーソナル情報(D12)に基づく個別値に変更することで、前記基本形状情報を前記個別形状情報に変換する。この態様は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを容易にする。
【0173】
第3の態様は、第2の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第3の態様において、前記特徴情報は、前記ユーザの身体属性を示す身体属性情報を含む。前記1以上の形状パラメータは、前記立体物の概形の決定のための1以上の概略形状パラメータを含む。前記1以上の概略形状パラメータの個別値は、前記身体属性情報に基づいて、前記立体物が前記ユーザの身体属性に対応する概形を有するように設定される。この態様は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0174】
第4の態様は、第2又は第3の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第4の態様において、前記特徴情報は、前記ユーザの身体形状を示す身体形状情報を含む。前記1以上の形状パラメータは、前記立体物の局所的な形状の決定のための1以上の詳細形状パラメータを含む。前記1以上の詳細形状パラメータの個別値は、前記身体形状情報に基づいて、前記立体物の局所的な形状が前記ユーザの身体の形状に対応する形状となるように設定される。この態様は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0175】
第5の態様は、第4の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第5の態様において、前記局所的な形状は、前記立体物において前記ユーザの身体に接触する接触部位の形状を含む。前記1以上の詳細形状パラメータの個別値は、前記身体形状情報に基づいて、前記接触部位が前記ユーザの身体に密着する形状を有するように設定される。この態様は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0176】
第6の態様は、第2~第5の態様のいずれか一つに基づく形状変更システム(2A)である。第6の態様において、前記特徴情報は、前記ユーザの身体能力を示す身体能力情報を含む。前記1以上の形状パラメータは、前記立体物の特性の決定のための1以上の特性形状パラメータを含む。前記1以上の特性形状パラメータの個別値は、前記身体能力情報に基づいて、前記立体物の特性が前記ユーザの身体能力に基づく条件を満たすように設定される。この態様は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0177】
第7の態様は、第6の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第7の態様において、前記1以上の特性形状パラメータは、前記立体物を設計領域とするメタマテリアル構造を決定するためのパラメータを含む。この態様は、広範な範囲での立体物の特性の変更を可能にする。
【0178】
第8の態様は、第7の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第8の態様において、前記立体物の特性は、力学的特性、熱力学的特性、電磁気学的特性及び流体力学的特性の少なくとも一つを含む。この態様は、個別形状が基本形状よりもユーザの身体に適合する可能性を高くできる。
【0179】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく形状変更システム(2A)である。第9の態様において、前記形状変更システム(2A)は、情報の入力のための入力装置(21)、及び、外部装置と通信可能に接続される通信装置(22)の少なくとも一方を有するインタフェースを備える。前記取得処理(S10;S10A)は、前記インタフェースを通じて前記パーソナル情報(D12)を取得する。この態様は、パーソナル情報(D12)の取得を容易にする。
【0180】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか一つに基づく形状変更システム(2A)である。第10の態様において、前記パーソナル情報(D12)は、ユーザ識別情報に関連付けられる。前記1以上の記憶装置(23;8)は、複数の前記パーソナル情報(D12)を記憶するパーソナル情報データベース(DB12;DB12A)を記憶する。前記取得処理(S10)は、前記パーソナル情報データベース(DB12;DB12A)から、指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報(D12)を取得する。この態様は、パーソナル情報(D12)の取得を容易にする。
【0181】
第11の態様は、第10の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第11の態様において、前記パーソナル情報(D12)は、複数の特徴情報を含む。前記取得処理(S10;S10A)は、前記パーソナル情報(D12)に含まれる前記複数の特徴情報から、前記基本立体物情報(D11)の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用される特徴情報を抽出し、前記基本立体物情報(D11)の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用されない特徴情報を抽出しない。この態様は、パーソナル情報に含まれる特徴情報から必要な特徴情報だけが抽出されるため、処理負荷の軽減が図れる。
【0182】
第12の態様は、第10又は第11の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第12の態様において、前記形状変更システム(2A)は、情報の入力のための入力装置(21)、及び、外部装置と通信可能に接続される通信装置(22)の少なくとも一方を有するインタフェースを備える。前記取得処理(S10A)は、前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報(D12)に、前記基本立体物情報(D11)の基本形状情報の1以上の形状パラメータの基本値の個別値への変更に使用される所定の特徴情報が含まれていない場合に、前記インタフェースを通じて、前記所定の特徴情報を取得する。この態様は、不足している特徴情報だけを外部から取得する。そのため、ユーザは必要な特徴情報の全てではなく、不足している特徴情報だけを入力すればよいから、使い勝手が向上する。
【0183】
第13の態様は、第12の態様に基づく形状変更システム(2A)である。第13の態様において、前記取得処理(S10A)は、前記インタフェース(21,22)を通じて取得した前記所定の特徴情報を、前記指定されたユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報(D12)に追加する。この態様は、新たな特徴情報が得られる毎にパーソナル情報を更新する。そのため、ユーザが同じ特徴情報を何回も入力する必要がなくなり、使い勝手が向上する。
【0184】
第14の態様は、第10~第13の態様のいずれか一つに基づく形状変更システム(2A)である。第14の態様において、前記演算回路(24)は、前記ユーザ識別情報と前記特徴情報とを含む入力情報に基づいて前記パーソナル情報データベース(DB12;DB12A)を管理する管理処理(S80)を実行する。前記管理処理(S80)は、前記パーソナル情報データベース(DB12;DB12A)が前記入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報(D12)を含む場合に更新処理(S82)を実行し、前記パーソナル情報データベース(DB12;DB12A)が前記入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報(D12)を含まない場合に登録処理(S83)を実行する。前記更新処理(S82)は、前記入力情報に含まれるユーザ識別情報に関連付けられたパーソナル情報(D12)を前記入力情報に含まれる特徴情報を用いて更新する。前記登録処理(S83)は、前記入力情報に含まれる特徴情報を含む新規のパーソナル情報(D12)を前記入力情報に含まれるユーザ識別情報と関連付けて前記パーソナル情報データベース(DB12;DB12A)に登録する。この態様は、パーソナル情報(D12)の管理を容易にする。
【0185】
第15の態様は、1以上の記憶装置(23)にアクセス可能な演算回路(24)により実行される形状変更方法である。前記1以上の記憶装置(23)は、立体物の基本形状を決定するための基本情報を含む基本立体物情報(D11)を記憶する。前記形状変更方法は、ユーザの身体的な特徴に関する特徴情報を含むパーソナル情報(D12)を取得する取得処理(S10;S10A)と、前記取得処理(S10;S10A)で取得された前記パーソナル情報(D12)に含まれる前記特徴情報に基づいて、前記基本情報を、前記立体物の個別形状を決定するための個別情報に変換する変換処理(S20)と、前記変換処理(S20)で変換された前記個別情報を含む個別立体物情報(D13)を生成する生成処理(S30)と、を含む。前記個別形状は、前記基本形状よりも前記ユーザの身体に適合しており、前記基本形状の少なくとも一部を前記パーソナル情報(D12)に基づいて変更して得られる。この態様は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0186】
第16の態様は、第15の態様の形状変更方法を、前記演算回路(24)に実行させるための、プログラムである。この態様は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0187】
第17の態様は、製造実行システム(2;20A~20C)であって、第1~第14の態様のいずれか一つに基づく形状変更システム(2A)と、前記個別立体物情報(D13)に基づいて決定されアディティブマニュファクチャリング技術を利用する付加工程を含む複数の工程を含む前記立体物の製造工程を示す製造工程情報(D21)にしたがって前記立体物の製造をするための製造実行指示を出力する実行システム(2B)と、を備える。この態様は、ユーザの身体に応じた立体物のカスタマイズを可能にする。
【0188】
上記の第2~第14の態様は必須ではない。上記の第2~第14の態様は、第15の態様に、適宜変更して組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本開示は、製造実行システム、方法、及び、製造システムに関する。具体的には、立体物の形状を仮想空間上で変更するための製造実行システム、方法、及び、製造システムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0190】
2,20A,20B,20C 製造実行システム
2A 形状変更システム
21 入出力装置(入力装置)
22 通信装置
23 記憶装置
24 演算回路
2B 実行システム
D11 基本立体物情報
D12 パーソナル情報
D13 個別立体物情報
D21 製造工程情報
DB11 立体物情報データベース
DB12,DB12A パーソナル情報データベース
S10,S10A 取得処理
S20 変換処理
S30 生成処理
S80 管理処理
S82 更新処理
S83 登録処理
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12