(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160200
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】接着テープ、接着テープの製造方法、結合されたアセンブリ、および結合アセンブリを電気的に分離するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20241106BHJP
C09J 7/28 20180101ALI20241106BHJP
C09J 9/02 20060101ALI20241106BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20241106BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20241106BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241106BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20241106BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20241106BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J7/28
C09J9/02
B32B7/025
B32B27/18 Z
B32B27/30 A
B32B15/08 N
B32B5/18
H01B1/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024042076
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】23169917
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】トールステン・クラーヴィンケル
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シュワン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】接着テープが少なくとも1つの基材から残余なく再剥離可能であり、製造が比較的簡便である接着テープ、その製造方法、結合されたアセンブリ、結合されたアセンブリを電気的に分離する方法、および電子機器、自動車、医療機器、歯科機器における部品の接着のための接着テープの使用を提供する。
【解決手段】接着テープは、少なくとも次のような層からなる:
・接着剤の第1の層D、ただし、接着剤の層Dは少なくとも1つの電解質を含む;および
・接着剤の第2の層C、ただし、接着剤の層Cは導電性である;および
・導電性キャリア層Tであって、接着剤の第1の層Dと接着剤の第2の層Cとの間に配置される導電性キャリア層T;
を含み、かつ、ここで、層D、TおよびCは、好ましくは、いずれの層も他のいずれの層よりも横方向に突出しないように、積層されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の層:
・接着剤の第1の層D、ただし、接着剤の層Dは少なくとも1つの電解質を含む;および
・接着剤の第2の層C、ただし、接着剤の層Cは導電性である;および
・導電性キャリア層Tであって、接着剤の第1の層Dと接着剤の第2の層Cとの間に配置される導電性キャリア層T;
を含み、かつ、
・ここで、層D、TおよびCは、好ましくは、いずれの層も他のいずれの層よりも横方向に突出しないように、積層されている、接着テープ。
【請求項2】
接着剤の層Dの電解質が、イオン液体および金属塩からなる群から選択され、イオン液体が特に好ましい、請求項1に記載の接着テープ。
【請求項3】
イオン液体のアニオンが、
Br-、AlCl4
-、Al2Cl7
-、NO3
-、BF4
-、PF6
-、CH3COO-、CF3COO-、CF3CO3
-、CF3SO3
-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6
-、SbF6
-、CF3(CF2)3SO3
-、(CF3CF2SO2)2N-、CF3CF2CF2COO-,および(FSO2)2N-からなる群から選択され、ここでは、(CF3SO2)2N-および(FSO2)2N-から選択されることが特に好ましい、請求項2に記載の接着テープ。
【請求項4】
イオン液体のカチオンは、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン、およびアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択され、ここで特に好ましくは、カチオンは、イミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択され、特に好ましくは、カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、就中好ましくは、カチオンは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムである、請求項2または3に記載の接着テープ。
【請求項5】
接着剤の層Dの電解質が、次のイオン液体、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)および1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1つに記載の接着テープ。
【請求項6】
接着剤の第1の層Dがポリ(メタ)アクリレートベースである、請求項1~5のいずれか1つに記載の接着テープ。
【請求項7】
接着剤の第1の層Dが、含まれるポリマー100質量%を基準として、2質量%~10質量%、好ましくは4質量%~6質量%の電解質、好ましくはイオン液体を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の接着テープ。
【請求項8】
導電性キャリア層Tが、少なくとも1種の金属を含み、特に好ましくは、金属が、銅、ニッケル、亜鉛、スズ、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、およびこれらの金属の合金からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1つに記載の接着テープ。
【請求項9】
導電性キャリア層Tが、a)少なくとも1つの金属箔、好ましくはアルミニウム箔、および/または、b)少なくとも1つの金属、好ましくは銅およびニッケルからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの導電性テクスタイル、および/または、c)蒸着によって塗布された少なくとも1つの金属、好ましくは銅およびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属の1つ以上の層、および/または、d)金属の少なくとも1つのメッシュを含む、請求項8に記載の接着テープ。
【請求項10】
接着剤の導電性層Cが、少なくとも1つの金属、例えば、より具体的にはニッケル、銅、銀を、好ましくは導電性金属粒子および/または金属化粒子の形態で含み、導電性粒子が、好ましくはニッケル粒子、銅粒子、および銀化銅粒子からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1つに記載の接着テープ。
【請求項11】
接着剤の第1の層Dおよび/または接着剤の第2の層Cが発泡されており、発泡は好ましくはマイクロバルーンによって生成され、マイクロバルーンはその表面にシリケートまたはアルミノシリケートの層を有する、請求項1~10のいずれか1つに記載の接着テープ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の接着テープの製造方法であって、少なくとも
a)接着剤の第1の層Dを提供するステップであって、接着剤の層Dは、少なくとも1つの電解質を含むステップ;および
b)導電性キャリア層Tを提供するステップ;および
c)接着剤の第二の層Cを提供するステップであって、接着剤の層Cは導電性であるステップ;、
d)層D、層T、層Cを配置し、両面接着テープとして層状アセンブリDTCを得るステップ;
e)任意に、層状アセンブリDTCを成形、より具体的にはダイカットまたはスリット加工するステップ、
を含むことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項13】
少なくとも以下の層:
・第1の基材A、ここで基材Aは導電性であり;および
・基材Aの少なくとも一方の面上に配置された接着剤の第1の層D、ここで、接着剤の層Dは少なくとも1つの電解質を含み;および
・基材Aの反対側の接着剤の第1の層Dの面上に配置された導電性キャリア層T;および
・接着剤の第2の層C、ここで、接着剤の層Cは導電性であり、接着剤の第1の層Dとは反対側にあるキャリア層Tの面上に配置されており;および
・キャリア層Tの反対側にある接着剤の第2の層Cの面上に配置されている第2の基材B、
を含む接着結合されたアセンブリであって、
・接着剤の第2の層Cは、層平面の少なくとも1つの広がり方向において基材Bを越えて横方向に突出しており、接着剤の層Cが自由面を有し、かつ、
層D、TおよびCは、好ましくは、層D、T、Cのいずれもが他の層D、T、Cのいずれを超えて横方向に突出しないように、積層されている、
前記アセンブリ。
【請求項14】
少なくとも以下のステップ:
i.)導電性基材Aと接着剤の第2の層Cとの間に電圧を印加し、その電圧は好ましくは2~20V、特に好ましくは3~15Vであるステップ、
を含む請求項13に記載のアセンブリを電気的に分離するための方法。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか1つに記載の接着テープの、電子機器、自動車、医療機器、歯科医療機器における部品の結合のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープ、接着テープの製造方法、結合されたアセンブリ、結合されたアセンブリを電気的に分離する方法、および電子機器、自動車、医療機器、歯科機器における部品の接着のための接着テープの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
接着テープの手段の大半は、基材を全く剥離できないか、あるいは基材を損傷することなく剥離できない。近年、「デボンディング(剥離)-オンデマンド」機能への関心が高まっている。これは、環境法および/または持続可能性に対する最終顧客の意識、および生産に影響するコスト圧力の増大によるものである。剥離プロセスの応用シナリオは、再加工、補修、リサイクル、加工助剤に分類される。
【0003】
剥離技術は、接着剤層の凝集分割または接着剤層の基材からの剥離を達成することを目的としている。前者は再接着前に基材を洗浄する必要があるが、後者は洗浄なしで対処できる。
【0004】
しかし、必要とされる高い信頼性かつ持続的な信頼性のある接着強度を保証する接着剤分離技術は、一般に実現が難しく、また、例えば、アンダーマイニング溶剤による剥離のように、適用に非常に長い時間を要する。
【0005】
そのため、現在、特に、例えばスマートフォンやタブレット型コンピュータのような電子機器の再加工や修理において、使用される接着結合は主に凝集分割結合であり、多くの場合、感圧接着テープの形態で実施され、温度上昇により凝集分割結合が手作業で凝集分割できる程度まで凝集力が低下する。その結果、接着剤の残りで汚染された基材表面を再接着のために準備するための大規模な再加工となる。
【0006】
熱を媒介とする分離プロセスと並んで、電気的分離プロセスも議論されている。例えば、EP3363873B1には、このような電気的分割プロセスおよび対応する両面接着テープが開示されており、これにより、互いに接着された基材の電気的分割が可能になる。特にこの意図は、剛性の基材の分割を可能にすることである。この目的のために、EP3363873B1で提案された接着テープは、2層の接着剤で囲まれた中央に配置された導電層を特徴とし、そのうちの1つの接着剤層は電解質を含むため、導電層または導電性基材から電気的に分離することができる。しかし、中央に配置された導電層から接着剤層を分離するには、分離が接着テープ内で行われるため、接着テープの残余物が両方の基材に残るという欠点がある。さらに、EP3363873B1で提案された接着テープの場合、中央に配置された導電層の延長部分が設けられており、この層に電圧を印加することが可能である。しかし、この種の延長部分の欠点は、導電層と接着剤の層の寸法が不均一であるため、接着テープの製造が比較的複雑であることである。その理由は、層は互いに別々にダイカットされなければならず、適切な寸法を有する接着テープを得るためには、その後に組み立てるしかないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、先行技術から進んで、接着テープが少なくとも1つの基材から残余なく再剥離可能であり、製造が比較的簡便である接着テープおよびその製造方法を提供することである。同時に、接着される基材に対する接着テープの剥離接着力が、剥離前に悪影響を受けないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的は、本発明によれば、請求項1に記載の接着テープおよび請求項12に記載の接着テープの製造方法によって達成される。
【0010】
本発明の接着テープは、少なくとも以下の層を含む:
・接着剤の第1の層D、ただし、接着剤の層Dは少なくとも1つの電解質を含む;および
・接着剤の第2の層C、ただし、接着剤の層Cは導電性である;および
・導電性キャリア層Tであって、接着剤の第1の層Dと接着剤の第2の層Cとの間に配置される導電性キャリア層T;
を含み、かつ、
・ここで、層D、TおよびCは、好ましくは、いずれの層も他のいずれの層よりも横方向に突出しないように、積層されている。
【0011】
本発明の接着テープは両面接着テープである。簡単のため、本発明の両面接着テープは、本発明の記載では「接着テープ」とも呼ばれる。
【0012】
第1の層の接着剤を含む接着テープは少なくとも1つの電解質を含むため、電気的に再剥離可能である。
接着剤の第2層Cとキャリア層Tは導電性であるため、接着剤の第2層Cと接着剤の第1の層Dに接着された導電性基材に電圧を印加し、接着剤の第1の層Dを介して接着テープを基材から分離することが可能である。
したがって、剥離可能な接着剤層Dと導電層TおよびCの組み合わせにより、接着テープを少なくとも1つの基材から粘着剥離することができる。これには、同じ基材上に接着テープの残存物が残らないという利点がある。
【0013】
層D、T、Cは、好ましくは、どの層も他の層のいずれよりも横方向に突出しないように、積層される(互いの上に1つずつ配置される)。その結果、接着テープは比較的簡単に製造できる。その理由は、層T、C、Dを本発明に従って互いに相対的に配置し、その後、層状アセンブリを共同で、または接着テープをダイカットまたは他の方法で所望の形状にすることができるからである。その結果、層D、T、およびCの接着も、互いに対してより容易に最適に調整することができ、したがって、これは後の時点で行われる必要はない。
【0014】
それゆえ、本発明の接着テープを製造するための本発明の方法は、少なくとも以下の工程ステップを含む:
a)接着剤の第1の層Dを提供するステップ、接着剤の層Dは少なくとも1つの電解質を含む;および
b)導電性キャリア層Tを提供するステップ;および
c)接着剤の第2の層Cを提供するステップ:接着剤の層Cは導電性である;
d)層D、層T、層Cを配置し、両面接着テープとして層状アセンブリDTCを得るステップ;
e)任意に、層状アセンブリDTCを成形、特にダイカットまたはスリットするステップ。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、層D、TおよびCは既に所望の均一な寸法で提供されており、この場合、追加の型抜きまたはスリットは必要ないことを意味することになり、そのため、ステップe)における成形、より特にダイカッティングまたはスリットは任意である。
【0016】
しかしながら、多数の産業用途のために、さらなる好ましい実施形態による接着テープは、経済的な保管および使用を可能にするような方法で、より詳細にはロールの形態で製造される。その場合、特に電子機器、自動車、医療機器、歯科機器における部品の接着のための接着テープの使用のために、特定の寸法への個別の適合が必要とされる。
【0017】
「スリット(slitting)」においては、レーザーが好ましくは採用される。
【0018】
a)からe)までのステップの詳細については、後述する。
【0019】
本発明のさらなる主題は、少なくとも以下のような層を含む接着結合アセンブリである:
・第1の基材A、ここで、基材Aは導電性であり;および
・基材Aの少なくとも一方の面上に配置された接着剤の第1の層D、ここで、接着剤の層Dは少なくとも1つの電解質を含む;および
・基材Aとは反対側の接着剤の第1の層Dの面に配置されている導電性キャリア層T;および
・接着剤の第2の層C、ここで、接着剤の層Cは導電性であり、接着剤の第1の層Dとは反対側にあるキャリア層Tの面上に配置されており;および
・キャリア層Tの反対側にある接着剤の第2の層Cの面上に配置される第2の基材B、
・ここで、接着剤の第2の層Cは、層平面の少なくとも1つの広がり方向において基材Bを越えて横方向に突出しており、かつ、
ここで、層D、TおよびCは、好ましくは、層D、T、Cのいずれもが他の層D、T、Cのいずれを超えて横方向に突出しないように、積層されている。
【0020】
したがって、本発明の結合されたアセンブリ(結合アセンブリ)は、本発明の接着テープと、当該テープを介して互いに結合された基材AおよびBとを含む。
【0021】
接着剤の第2の層Cは、層平面の少なくとも1つの広がり方向において基材Bを越えて横方向に突出しており、したがって、自由面または自由面部分を有するので、層TおよびDを越える層Cの延長部分を必要とすることなく、この接着剤の第2の層Cに電圧を印加することができる。これに対応して、本発明の接着テープおよび結合アセンブリにおいて、層D、TおよびCのいずれもが、他の層D、TおよびCのいずれをも越えて横方向に突出していないことが好ましい。
【0022】
本発明によれば、第1の基材Aは導電性であるため、ここに電圧を印加することができる。
第2の基材Bは導電性である必要はない。
したがって、本発明の接着テープによって、基材を互いに接着し、両方の基材が導電性である必要なく、再び互いに電気的に分離することができる。
導電性基材Aは、例えば携帯電話のケージングであってもよい。
基材Bは、特にバッテリーや、例えばスピーカーのような導電性でない他の部品であってもよい。
【0023】
本発明のさらなる課題は、本発明のアセンブリを電気的に分離するための方法である。
この方法は、少なくとも以下の工程ステップを含む:
i.)導電性基材Aと接着剤の第2層Cとの間に電圧を印加し、その電圧は好ましくは2~20V、特に好ましくは3~15Vであるステップ。
【0024】
本発明の方法のステップi.)に従って電圧を印加し、アセンブリを電気的に分離する。
ここでの電圧は、特に直流電圧である。
【0025】
ここでのステップi.)で電圧が印加される時間的持続時間は、数秒、より詳細には2秒、最大300秒、好ましくは最大120秒とすることができる。
【0026】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは以下のようなメカニズムを想定している:電圧が印加された結果、電解液は接着剤の層Dにおいて、移動、特にイオン液体のアニオン(陰イオン)とカチオン(陽イオン)の分離を起こす。これにより、接着剤層Dの基材Aに対する接着力が大幅に低下し、これらの層が互いに分離する。
【0027】
電圧が印加された後の層が、さらなる老浴なしに互いに分離しない場合、本発明の方法は、少なくとも以下のさらなる工程ステップを含む:
ii.)接着剤の層Dおよび/または基材Aに力を加えて、AとDの間の距離を広げるステップ。
【0028】
本発明のアセンブリを電気的に分離するための本発明の方法により、接着テープの残りが基材Aの表面に残ることなく、簡便な方法で接着テープを基材Aから分離することができる。
【0029】
本発明のさらなる主題は、電子機器、自動車、医療機器、歯科機器における部品の接着のための本発明の接着テープの使用である。本発明による使用の過程で、特に、接着剤の第2の層Cが、層平面の少なくとも1つの広がり方向において基材Bを越えて横方向に突出している、本発明のアセンブリが生成される。
【0030】
本発明は、任意の所望の変換された形態をとることができる接着テープに関し、接着テープロールが好ましい。接着テープ、より詳細にはウェブの形態の接着テープは、ロールの形態、すなわちそれ自体に巻き取られたアルキメデス螺旋の形態、または例えばダイカットの形態で得られる種類の接着ストリップとして製造することができる。
【0031】
本発明の接着テープは、特にウェブの形態で存在する。ウェブとは、長さ(x方向の範囲)が幅(y方向の範囲)よりも何倍も大きく、幅が全長にわたってほぼ、好ましくは正確に同一である物体を指す。
【0032】
「接着テープ」(粘着テープ)という一般的な表現は、同義的に「接着ストリップ」とも呼ばれ、本発明の意味では、二次元的に延びたフィルムまたはフィルム部分、長さが延び幅が制限されたテープ、テープ部分などのすべてのシート状構造物を包含し、最終的にはダイカットまたはラベルも包含する。
【0033】
接着テープは、長さ方向(x方向)および幅方向(y方向)と同様に、両範囲に垂直に延びる厚さ(z方向)も有し、幅方向および長さ方向の範囲は、厚さよりも数倍大きい。厚みは、長さと幅で定義される接着テープの二次元的な範囲全体にわたって、ほぼ同じであり、好ましくは全く同じである。
【0034】
この記述は、接着テープの一体構成要素としてx方向とy方向に層を形成するキャリアにも同様に適用される。
【0035】
個々の層はz方向に沿って互いの上に配置されていることが理解されよう。
【0036】
「横方向に突出する」という表現は、本発明の記載において、問題の層または層のあらゆる種類の横方向の突出を意味し、問題の特定の層が、参照層よりも、特に「xy」平面内、したがって横方向、すなわちスタック方向に垂直に、さらに延びることを意味する。用語「横方向の突出部」の代わりに、本発明の記載で使用される用語には、「横方向伸長部」または「横方向伸長部分」が含まれる。
【0037】
用語「横方向」は、ここでは、層の積層方向「z」に対して垂直な層平面「xy」の任意の広がり方向を指す。したがって、この用語は、特に「xy」平面における接着テープの幾何学的形状とは無関係であり、例えば、接着テープの通常の形状(上記参照)のように長方形であってもよく、正方形または円形であってもよい。
【0038】
ダイカットプロセスまたは類似の成形プロセスに起因する、「xy」面における個々の層の寸法のわずかな変動は、特に、寸法を考慮して、材料のこのようなわずかな突起は、計画通りにそれに適用される電圧を受けることができず、そしてそれらは、生産におけるいかなる追加の労力も意味せず、したがって追加的な工程ステップによってもたらされないので、本明細書では扱われない。
【0039】
本明細書中の記載はすべて、本発明の接着テープ、接着テープを製造するための本発明の方法、本発明の接着結合されたアセンブリ、当該アセンブリを電気的に分離するための方法、および本発明の接着テープの使用に適用される。
【0040】
さらに、本発明は、従属請求項の主題であるすべての特徴を包含する。さらに、本発明は、異なる好ましい事項を含む、個々の特徴の相互の組み合わせを包含する。したがって、本発明は、例えば、「好ましい」と特定された第一の特徴と「特に好ましい」と特定された第二の特徴との組み合わせを包含する。この記載では、「実施形態」の一部として特定される対象も、同様に異なる好ましい事項で包含される。
【0041】
以下の記載では、個々のレイヤー層D、T、Cについてさらに詳しく説明する。
【0042】
接着剤の層Dは、少なくとも1つの電解質を含む。
「電解質」とは、現在のところ、2023年1月4日付のドイツ語版ウィキペディアの項目“Electrolyte“ of January 4, 2023 and correspondingly in Carl H. Hamann, Wolf Vielstich: Elektrochemie I:および、Elektrolytische Leitfaehigkeit, Potentiale, Phasengrenzen [Electrochemistry I: Electrolytic conductivity, Potentials, Phase boundaries], 2nd edition, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Oldenburg/Bonn 1985, ISBN 3-527-21100-4, p. 4に記載されているように、「固体、液体、または溶解状態でイオンに解離し、電界の影響下で指向性運動を起こす」化学化合物を指す。
【0043】
接着剤層Dの電解質は、イオン液体および金属塩からなる群から選択されることが好ましく、イオン液体が特に好ましい。
特に、電解質として1種以上のイオン液体を用いると、接着テープの接着特性に悪影響を与えることなく、簡単な方法で接着テープを再剥離することができる。イオン液体は、接着剤のポリマーマトリックス中に容易かつ均質に分散させることができ、再剥離が他の電解質よりも迅速に機能するという利点がある。
【0044】
さらに、イオン液体の成分は、特に室温では揮発しない。さらに、イオン液体は比較的熱に安定で不燃性であり、化学的にも比較的安定である。
【0045】
本発明でいうイオン液体とは、室温、すなわち23℃で液体である塩のことである。したがって、イオン液体はアニオンとカチオンを含む。
【0046】
したがって、イオン液体は、本発明の分離工程または電気的分離のための工程における電解質として特に適している。
電圧を印加すると、アニオンはアノード側に、カチオンはカソード側に移動する。その結果、イオン液体を含む接着剤層、現在の層Dの基材、現在の特に基材Aに対する剥離接着力が低下し、接着剤層Dと基材Aとの接着分割が達成される。
【0047】
本発明においては、原則としてすべてのイオン液体が適している。
本発明において使用されるイオン液体は、少なくとも1つのアニオンおよび少なくとも1つのカチオンを含む。ここで、イオン液体が2種類以上のアニオンおよび/または2種類以上のカチオンを含むことも考えられる。さらに、2種類以上の異なるイオン液体を接着剤の層Dに添加することも考えられ、これは、接着剤の層Dが2種類以上の異なるイオン液体を含むことを意味する。
【0048】
イオン液体のアニオンは、好ましくは以下からなる群から選択される。
Br-、AlCl4
-、Al2Cl7
-、NO3
-、BF4
-、PF6
-、CH3COO-、CF3COO-、CF3CO3
-、CF3SO3
-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6
-、SbF6
-、CF3(CF2)3SO3
-、(CF3CF2SO2)2N-、CF3CF2CF2COO-,および(FSO2)2N-。これらのアニオンは、(メタ)アクリル酸エステルのような接着剤に使用されるポリマーに特に溶けやすく、マトリックス中を素早く拡散することができるため、比較的短時間で分離することができる。同時に、残留物を残さない。
【0049】
特に好ましくは、アニオンは、(CF3SO2)2N-および(FSO2)2N-からなる群から選択される。
これらのアニオンは、最も優れた電気的剥離性を達成するため、特に適している。特に、これらのアニオンによる(再)剥離は特に迅速で、残留物は残らない。
【0050】
イオン液体のカチオンは、好ましくは、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン、およびアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択される。
【0051】
これらのカチオンは、(メタ)アクリレートのような接着剤に使用されるポリマーに特に溶けやすく、マトリックス中を素早く拡散することができるため、比較的短時間で分離することができる。同時に、残留物が残らない。
【0052】
特に好ましくは、カチオンはイミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択される。
これらのカチオンは、電気的剥離性が最も優れているため、特に適している。特に、これらのカチオンによる(再)剥離は特に迅速で、残留物が残らない。
【0053】
特に好ましくは、カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択される。特に好ましくは、カチオンは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムである。
【0054】
特に好ましくは、接着剤の層Dの電解質は、イオン液体、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)および1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択される。これらのイオン液体は、(メタ)アクリレートなどの接着剤に使用されるポリマーに特に溶解しやすく、マトリックス中を素早く拡散するため、比較的短時間で分離することができる。同時に、残留物を残さない。
【0055】
接着剤の第1の層Dの組成物は、好ましくは少なくとも1つのポリマーを含む。
接着剤の第1の層Dは、特に好ましくはポリ(メタ)アクリレートベースである。
本発明の記載における「(メタ)アクリレートベース」という表現は、ポリ(メタ)アクリレートが接着剤の主ポリマーを構成し、それに応じて接着剤の層D中に90質量%~100質量%含有されることを意味するものであり、ここでは100質量%、すなわち接着剤の層D中に含有されるポリマーの総量を基準としている。接着剤の層Dに含まれる粘着付与樹脂は、100質量%のポリマーには計算されない。
【0056】
接着剤層がポリ(メタ)アクリレートを100質量%未満(含まれるポリマーの総量に基づく)しか含まない場合、少なくとも1種類のさらなるポリマーを含む。
【0057】
特に好ましくは、接着剤の層Dに含まれるポリマーの100質量%がポリ(メタ)アクリレートである。
【0058】
すべての実施形態のポリ(メタ)アクリレートは、原則として、接着剤に使用するのに適したポリ(メタ)アクリレートであればいずれであってもよい。
【0059】
「ポリ(メタ)アクリレート」とは、特に、アクリルモノマーおよび/またはメタクリルモノマー、ならびに任意に、さらに共重合可能なモノマーのラジカル重合またはアニオン重合によって得られるポリマーを指す。「ポリ(メタ)アクリレート」とは、より詳細には、モノマーベースが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルから少なくとも50質量%の範囲で構成され、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが、当該ポリマーのモノマーベース全体に基づいて、少なくとも部分的に、好ましくは少なくとも30質量%の範囲で含まれるポリマーを指す。
【0060】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、少なくとも分別して共重合された官能性モノマーを含み、特に好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基、酸無水物基、エポキシド基、およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種のモノマーを含む。
【0061】
エポキシド基を除く記載された基は、エポキシド基との反応性を示すので、ポリ(メタ)アクリレートは、導入されたエポキシドとの熱架橋に有利に作用する。
【0062】
特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートは、少なくとも分別して共重合された官能性モノマーを含み、特に好ましくは、カルボン酸基、およびエポキシド基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する少なくとも1種のモノマーを含み;より特に好ましくは、少なくとも1種のカルボン酸基を含む。
【0063】
特に有利な実施形態によれば、ポリ(メタ)アクリレートは、分別して共重合されたアクリル酸および/またはメタクリル酸を含む。カルボン酸基のおかげで、これはポリ(メタ)アクリレートにエポキシド基との反応性を与えるので、ポリ(メタ)アクリレートは、導入されたエポキシドとの熱架橋に有利に作用する。
【0064】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは以下のモノマー組成から得られる:
a)下記式(1)の少なくとも1種のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル(1)
(1) CH2=C(RI)(COORII)、
ここで、RI=HまたはCH3、RIIは4~18個の炭素原子を有するアルキル基である;
b)カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ヒドロキシル基、酸無水物基、エポキシド基、およびアミノ基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1種のオレフィン性不飽和モノマー;
c)任意に、成分(a)と共重合可能な、さらなるアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルおよび/またはオレフィン性不飽和モノマー。
【0065】
特に有利な一実施形態によれば、ポリ(メタ)アクリレートは、93質量%~99質量%の割合のグループa)のモノマーおよび1質量%~7質量%の割合のグループb)のモノマーを含むモノマー組成物をベースとする。
【0066】
本発明の接着テープの接着剤の層Dにこの種のポリ(メタ)アクリレートを用いると、得られる物性のプロファイルは、タック(粘着性)、耐衝撃性、および残り物のない剥離能力を包含し、特に良好である。
【0067】
成分a)のモノマーは、一般に可塑性の比較的非極性のモノマーである。より好ましくは、モノマーa)におけるRIIは、4~10個の炭素原子を有するアルキル基である。式(1)のモノマーは、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ペンチルメタクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-ヘプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、および2-プロピルヘプチルメタクリレートからなる群からより特に選択される。
【0068】
特に好ましくは、式(1)またはグループa)のモノマーは、n-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、および2-プロピルヘプチルアクリレートからなる群から選択される。
【0069】
記載されたモノマーは特に重合しやすく、製造されたポリ(メタ)アクリレートのガラス転移温度は特に調整しやすい。その結果、流動性およびタックの点で最適化された特性を達成することができ、これは接着される特定の基材または部品にも適合する。
【0070】
ここで、式(1)またはグループa)のモノマーは、好ましくは、n-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートからなる群から選択される。
【0071】
特に好ましくは、式(1)またはグループa)のモノマーとして、n-ブチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレートを使用することである。
【0072】
グループb)のモノマーは、特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β-アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルホスホン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、
2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートからなる群から選択される。
【0073】
グループb)のモノマーは、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレートから選択される。
【0074】
グループb)のモノマーとしては、アクリル酸を特に優先的に使用する。
【0075】
成分c)の例示的モノマーは以下の通りである:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、tert-ブチルフェニルアクリレート、tert-ブチルフェニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n-ウンデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート、2-ブトキシエチルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,5-ジメチルアダマンチルアクリレート、4-クミルフェニルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、4-ビフェニルアクリレート、4-ビフェニルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチル3-メトキシアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノメチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート500、プロピレングリコールモノメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8、8-ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N-(1-メチルウンデシル)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N-(エトキシメチル)アクリルアミド、N-(n-オクタデシル)アクリルアミド;N,N-ジアルキル置換アミド、例えばN,N-ジメチルアクリルアミド、およびN,N-ジメチルメタクリルアミド;N-ベンジルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;ビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルフタルイミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルピロリドン、スチレン、α-およびp-メチルスチレン、α-ブチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレン、3,4-ジメトキシスチレン;マクロモノマー。例えば、2-ポリスチレンエチルメタクリレート(GPCによる重量平均分子量Mwが4000~13000g/mol)、ポリ(メチルメタクリレート)エチルメタクリレート(Mwが2000~8000g/mol)。
【0076】
成分c)のモノマーは、有利には、その後の放射化学的架橋(例えば、電子線またはUV照射による)を補助する官能基を含むように選択することもできる。適切な共重合可能な光重合開始剤は、例えば、ベンゾインアクリレートおよびアクリレート官能化ベンゾフェノン誘導体である。電子線照射による架橋を補助するモノマーとしては、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート、N-tert-ブチルアクリルアミド、アリルアクリレートなどが挙げられる。
【0077】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、n-ブチルアクリレートおよび/またはn-ヘキシルアクリレートおよび/またはn-オクチルアクリレートおよび/またはイソオクチルアクリレートおよび/または2-エチルヘキシルアクリレートおよび/または2-プロピルヘプチルアクリレートとアクリル酸との重合によって調製されるポリアクリレートである。
【0078】
ポリ(メタ)アクリレートは、特に好ましくは、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸の重合によって調製されるポリアクリレートである。
【0079】
これにより、本発明の接着テープは特に高い剥離接着力を持つ。
【0080】
ポリ(メタ)アクリレートの調製は、好ましくは、慣用のラジカル重合または制御されたラジカル重合によって達成される。ポリ(メタ)アクリレートは、慣用の重合開始剤および任意選択で連鎖移動剤を使用したモノマーの共重合、慣用の温度でのバルクでの、エマルジョン中での、例えば水または液体炭化水素中での重合、または溶液中での重合によって調製することができる。
【0081】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、モノマーを溶媒中、より好ましくは50~150℃、特に60~120℃の沸点範囲を有する溶媒中で、モノマーの総重量に基づいて0.01質量%~5質量%、特に0.1質量%~2質量%の重合開始剤を用いて共重合することによって調製される。
【0082】
すべての慣用的な開始剤が原理的に適している。ラジカル源の例は、過酸化物、ヒドロペルオキシドおよびアゾ化合物、例えばビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、t-ブチルペルオクトエートおよびベンゾピナコールである。好ましいラジカル開始剤は、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(デュポン社製Vazo(登録商標)67TM)または2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル;AIBN;デュポン社製Vazo(登録商標)64TM)である。
【0083】
好ましい実施形態によれば、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートが使用される。
【0084】
ポリ(メタ)アクリレートの調製のための好ましい溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-およびイソプロパノール、n-およびイソブタノール、特にイソプロパノールおよび/またはイソブタノール;炭化水素、例えば、トルエン、特に沸点が60~120℃のベンジン;ケトン、特にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;エステル、例えば、酢酸エチル、および前述の溶媒の混合物が挙げられる。特に好ましい溶媒は、使用される溶媒混合物を基準として、2質量%~15質量%、特に3質量%~10質量%のイソプロパノールを含む混合物である。
【0085】
ポリ(メタ)アクリレートの調製後、溶液からさらに処理するか、濃縮が行われ、ポリ(メタ)アクリレートのさらなる処理は実質的に無溶媒で行われる。ポリマーの濃縮は、架橋剤および促進剤の非存在下で行われる。しかし、濃縮の前でも、これらのクラスの化合物の1つをポリマーに添加することも可能であり、その場合、濃縮はこれらの1つ以上の物質の存在下で行われる。
【0086】
濃縮工程の後、ポリマーはコンパウンダーに移される。適切な場合、濃縮とコンパウンド(compounding)は同じ反応器内で行われることもある。
【0087】
1つ以上のポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量(分子量分布の重量平均)Mwは、好ましくは20000~2000000g/molの範囲内、より好ましくは100000~1500000g/molの範囲内、特に好ましくは150000~1000000g/molの範囲内である。この目的のために、所望の平均分子量を確立するために、チオール、ハロゲン化合物および/またはアルコールのような適切な連鎖移動剤の存在下で重合を実施することが有利であり得る。
【0088】
1種以上のポリ(メタ)アクリレートの、すべての好ましい範囲を含むこのようなMwでは、接着剤において、良好な流動性および良好な接着性とともに十分な凝集性が達成されるが、その際、記載された特性のプロファイルの観点から、好ましい範囲のレベルがより高い場合に接着剤がより高度に最適化されることが理解される。
【0089】
Mwは、試験方法に記載されているように、GPCによって決定される。
【0090】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、トルエン(1%溶液、21℃)中で測定したK値が30~90、より好ましくは40~70である。FikentscherのK値は、ポリマーの分子量と粘度の尺度である。
【0091】
この方法の原理は、キャピラリー粘度計による相対溶液粘度の測定に基づいている。この目的のために、被験物質を30分間振とうしてトルエンに溶解し、1%溶液を得る。Vogel-Ossag粘度計で、25℃で、流動時間を測定し、これを純溶媒の粘度に対する試料溶液の相対粘度を決定するのに使用する。Fikentscher[P.E.Hinkamp,Polymer,1967,8,381]によると、K値は表から読み取ることができる(K=1000k)。
【0092】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは多分散度PD<4であり、したがって比較的狭い分子量分布を有する。これに基づく組成物は、比較的低い分子量にもかかわらず、架橋後、特に良好なせん断強度を有する。さらに、比較的低い多分散性は、ほぼ同じ用途特性を有する、より広い分布を有するポリ(メタ)アクリレートと比較して、流動粘度がより低いので、溶融物からのより容易な加工を可能にする。狭い分布を有するポリ(メタ)アクリレートは、アニオン重合または制御されたラジカル重合法によって有利に調製することができ、後者は特に好適である。N-オキシルを介して対応するポリ(メタ)アクリレートを調製することも可能である。さらに、狭い分布のポリ(メタ)アクリレートの合成のために、原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用することが有利に可能であり、好ましくは、開始剤として単官能性または二官能性、2級または3級ハロゲン化物、およびハロゲン化物の抽出のためのCu、Ni、Fe、Pd、Pt、Ru、Os、Rh、Co、Ir、AgまたはAuの錯体を使用する。また、RAFT重合も適している。
【0093】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、そこに存在する官能基、例えばより特にカルボン酸基と熱架橋剤との連結反応-特に付加反応または置換反応の形で-によって架橋される。この方法の利点は、接着剤が柔らかすぎず、高すぎない低温フローを示すことである。このことは、接着剤の凝集力にとって有益であり、また接着剤の保存性や作業性にとっても有益である。
【0094】
-両者とも、加工作業中、特に押出作業中にゲル化が生じないよう、十分に長い作業時間を保証する熱架橋剤、
-そして、処理温度よりも低い温度、特に室温において、ポリマーを所望の架橋度まで迅速に後架橋させることにつながる熱架橋剤
を使用することが可能である。
【0095】
例えば、カルボキシル基(カルボン酸)、アミノ基および/またはヒドロキシル基を含有するポリマーと、架橋剤としてのイソシアネート、より詳細には脂肪族またはブロック化イソシアネート、例としてアミン不活性化三量体化イソシアネートとの組み合わせが可能である。好適なイソシアネートは、特に、MDI[4,4-メチレンジ(フェニルイソシアネート)]、HDI[ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキシレンジイソシアネート]、およびIPDI[イソホロンジイソシアネート、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン]の三量体化(トリマー化)誘導体である。
【0096】
熱架橋剤は、架橋されるポリマーの総量を基準として、0.1質量%~5質量%、より特に0.2質量%~1質量%で使用するのが好ましい。
【0097】
もう1つの可能性は、キレートとも呼ばれる錯化剤を介した架橋である。好ましい錯化剤の例は、アルミニウムアセチルアセトナートである。
【0098】
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくはエポキシド、またはエポキシド基を含有する1つ以上の物質によって架橋される。これにより、持続的で不可逆的な架橋が保証される。
【0099】
エポキシド基を含有する物質は、より詳細には多官能性エポキシド、すなわち少なくとも2つのエポキシド基を有するものであり、したがって、全体的な結果は、官能基を有するポリ(メタ)アクリレート中の単位の間接的な連結である。エポキシド基を含有する物質は、芳香族化合物および脂肪族化合物のいずれであってもよい。
【0100】
特に好適な多官能エポキシドは、エピクロロヒドリンのオリゴマー、多価アルコールのエポキシエーテル、特にエチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコールなどのエポキシエーテル;
多水酸基のフェノールのエポキシエーテル、特にレゾルシン、ヒドロキノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジフルオロフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4’-メチルフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2,2-トリクロロエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-クロロフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホンのエポキシエーテル、およびそれらのヒドロキシエチルエーテル;
フェノール-ホルムアルデヒド縮合生成物、例えばフェノールアルコールおよびフェノール-アルデヒド樹脂;
S-およびN-含有エポキシド、例えばN,N-ジグリシジルアニリン、N,N’-ジメチルジグリシジル-4,4-ジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-メタ-キシリレンジアミン;および多価不飽和カルボン酸または不飽和アルコールの一価不飽和カルボン酸エステルから慣用の方法で調製されたエポキシドグリシジルエステル;
および不飽和酸のグリシジルエステルの重合または共重合によって得ることができ、または他の酸性化合物、例えばシアヌル酸、ジグリシジルスルフィドまたは環状トリメチレントリスルホンまたはそれらの誘導体から得ることができるポリグリシジルエステルが挙げられる。
【0101】
非常に好適なエーテルの例としては、ブタン-1,4-ジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセリン-3グリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、および、ビスフェノールFジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0102】
他の好ましいエポキシドは、シクロ脂肪族エポキシドであり、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(UVACure1500)などである。
【0103】
好ましい実施形態においては、架橋剤としてテトラグリシジル-メタ-キシリレンジアミンを使用する。
【0104】
好ましい実施形態によれば、ポリ(メタ)アクリレートは、作業時間、架橋速度論および架橋の程度についてより良好な制御を得るために、架橋剤-促進剤系(「架橋系」)によって架橋される。架橋剤-促進剤系は、好ましくは、架橋剤として、エポキシド基を含有する少なくとも1種の物質と、促進剤として、エポキシド基を含有する化合物により、架橋されるポリマーの溶融温度未満の温度で架橋反応を促進する作用を有する少なくとも1種の物質とを含む。
【0105】
本発明で使用される促進剤は、より好ましくはアミンである。これらは形式的な意味ではアンモニアの置換生成物とみなすべきであり;置換基には特にアルキルおよび/またはアリールラジカルが含まれる。特に好ましくは、架橋されるポリマーと、もしあったとしても低レベルの反応しかしないアミンを使用することである。
【0106】
原則として、選択される促進剤は、1級アミン(NRH2)、2級アミン(NR2H)、または3級アミン(NR3)であってもよく、もちろん、複数の1級および/または2級および/または3級アミノ基を有するものであってもよい。特に好ましい促進剤は、3級アミンであり、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6-トリス(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、およびN,N’-ビス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)尿素である。さらに好ましい促進剤は、多官能性アミンであり、ジアミン、トリアミンおよび/またはテトラミン、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンなどである。
【0107】
さらに好ましい促進剤は、アミノアルコール、特に2級および/または3級アミノアルコールであり、ここで、1分子当たり2つ以上のアミノ官能基の場合、好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは全てのアミノ官能基が2級および/または3級である。特に好ましいこのような促進剤としては、トリエタノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)エタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、2-アミノシクロヘキサノール、ビス(2-ヒドロキシシクロヘキシル)メチルアミン、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、N-ブチルジエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、および、N,N,N’-トリメチルアミノプロピルエタノールアミンが挙げられる。
【0108】
さらに好適な促進剤は、ピリジン、イミダゾール、例えば2-メチルイミダゾール、および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデック-7-エンである。シクロ脂肪族ポリアミンを促進剤として使用することも可能である。また、リンベースの促進剤も好適で、例えば、ホスフィンおよび/またはホスホニウム化合物、例えばトリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどである。
【0109】
4級アンモニウム化合物を促進剤として使用することも可能であり、その例としては、水酸化テトラブチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。
【0110】
接着剤の第1の層Dは、含まれるポリマーの100質量%を基準として、好ましくは2質量%~10質量%、特に好ましくは4質量%~6質量%の電解質、好ましくはイオン液体を含み、好ましくはポリマーの100質量%がポリ(メタ)アクリレートである。
【0111】
このような好ましい、または特に好ましい量の電解質、特にイオン液体を用いると、比較的迅速な電気的剥離が可能になり、同時に剥離前の接着剤の層の基材への接着に悪影響はない。
【0112】
接着剤の第1の層Dの接着剤は、粘着付与樹脂、可塑剤、相溶化剤、充填剤(フィラー)などの慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。
使用される相溶化剤は、好ましくは、接着剤と均質に混和する、低分子量ポリエーテル、ポリアミン、ポリビニルピロリドンまたは脂肪族ポリエステルである。
ある種の可塑剤は同時に相溶化剤でもあり、その一例がポリエチレングリコール(PEG)である。
【0113】
特に好ましい実施形態によれば、接着剤の第1の層Dの接着剤は、少なくとも1つのポリエーテル、好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、およびポリテトラヒドロフランからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含み、PEGおよびPPGが特に好ましい。これにより、剥離性に対して特に効果的な補助が得られる。特定の理論に縛られることを望むものではないが、記載された物質、特にPEGが、組成物の層を通して1つ以上の電解質からのイオンの流れを加速することが考えられる。
【0114】
ここに記載した物質の分子量(GPCによる)は、好ましくは100~5000g/mol、特に好ましくは200~2000g/molである。
当業者であれば、PEGおよびPPGは、例えばPEG400またはPPG600のように、様々な分子量Mwで入手可能であり、数字はMwを示すことを認識している。
【0115】
キャリア層Tは導電性である。
導電性キャリア層Tは、好ましくは少なくとも1つの金属を含む。
特に好ましくは、金属は、銅、ニッケル、亜鉛、スズ、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、およびこれらの金属の合金からなる群から選択される。特に好ましくは、金属はアルミニウム、銅、ニッケルからなる群から選択される。
【0116】
導電性キャリア層Tは、好ましくは、z方向、すなわち層状配列の積層方向に平行に測定した層厚が、10nm(ナノメートル)~50μm(マイクロメートル)aufである。
【0117】
本発明の好ましい実施形態によれば、導電性キャリア層Tは、a)少なくとも1つの金属箔(金属ホイル)、好ましくはアルミニウム箔、および/またはb)少なくとも1つの金属、好ましくは銅およびニッケルからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの導電性テクスタイル、および/またはc)蒸着によって適用される少なくとも1つの金属、好ましくは銅およびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属の1つ以上の層、および/またはd)少なくとも1つの金属のメッシュを含む。
また、原理的には、層Tが2つ以上の可能性の組み合わせを含むことも考えられる。
【0118】
金属箔、例えば、好ましくは、アルミニウム箔は、当業者に公知である。金属箔、例えば好ましくは、アルミニウム箔は、好ましくは、z方向、すなわち層状配列の積層方向に平行に測定した層厚が5~50μm、特に好ましくは10~30μmである。
【0119】
導電性テクスタイルは、当業者には特に「導電性メッシュ」として知られている。これは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)の織物(テクスタイル)生地に金属、例えば銅やニッケルをコーティングしたもので、生地の導電性を確立する。
【0120】
当業者は同様に、金属を単層または多層として、ここでの接着剤層の表面のような面に、蒸着によって直接塗布してもよいことを認識する。
本発明の記載において、キャリア層Tは、接着剤の層Dまたは層C上への金属の蒸着によって提供され得る。この場合、層Tの層厚は、好ましくは10nm(ナノメートル)以上であり、好ましくは50~200nmである。
【0121】
さらに、当業者にとって様々な寸法の金属メッシュが既知である。適切な層厚を有する金属メッシュは、例えば、適切に細い金属糸の敷設スクリム(laid scrim)によって、または適切な層厚の少なくとも1つの箔のダイカットによって製造することができる。
【0122】
本発明によれば、接着テープは接着剤の第2の層Cを含み、接着剤の層Cは導電性である。
この目的のための接着剤の導電性層Cは、好ましくは少なくとも1つの金属、例えば特にニッケル、銅、銀を、好ましくは導電性金属粒子および/または金属化粒子の形態で、特に好ましくは金属化粒子を含む。
金属化粒子は、特に好ましくは、少なくとも1つの金属で金属化されたガラスまたはポリマー粒子であり、金属化の結果、これまで電気的に非導電性であった粒子を導電性にする。
【0123】
特に好ましくは、接着剤の導電性層Cは、ニッケル粒子、銅粒子、および銀付き銅粒子からなる群から選択される導電性粒子を含む。
特に好ましい実施形態によれば、接着剤の導電層はニッケル粒子を含む。
【0124】
接着剤の導電性層Cは、含まれるポリマーおよび粘着付与樹脂100質量%を基準として、好ましくは5質量%~40質量%、特に好ましくは20質量%~40質量%、特に好ましくは25質量%~35質量%の導電性粒子、特に金属粒子および/または金属化粒子を含む。
【0125】
導電性粒子は、好ましくは、光学顕微鏡で測定したz方向の接着剤の層Cの厚さよりも大きくないか、著しく大きくないことが望ましい。
導電性粒子は、好ましくは1~20μm、特に好ましくは1~10μm、順に好ましくは3~5μm、より特に好ましくは4μmの平均粒径を有する。
【0126】
層Cは、少なくともz方向に導電性を有する。
しかしながら、それはまた、xy平面において導電性であってもよい。層Cがz方向にのみ導電性を有するように構成され、xy方向には必ずしも導電性を有さない場合、導電性を達成するために金属、より詳細には金属粒子が添加される好ましい実施形態によれば、必要とされるこれらの材料の量が少なくなる。その結果、接着剤は、要求される導電性、剥離接着性、流動特性、およびコストの点で最適化される。
【0127】
本発明の記載において、層は、特に、MIL-DTL-83528C規格に従って、それぞれの方向、ここでは特にz方向で測定した抵抗が1Ω(1オーム)未満である場合に、「導電性」であるとみなされる。
【0128】
接着剤の層Cの組成物は、導電性にすることができ、好ましくは金属粒子を均質に分散させることができる接着剤であれば、原理的にはどのようなものでもよい。
【0129】
本発明の好ましい実施形態においては、ここでの接着剤の層Cは、接着剤の層Dと同様に、ポリ(メタ)アクリレートベースである。それぞれポリ(メタ)アクリレートベースおよびポリ(メタ)アクリレートの定義および性質と量に関する上記の記述のすべてに従うものである。
【0130】
好ましい実施形態においては、接着剤層Cに使用されるポリ(メタ)アクリレートは、接着剤の層Dに使用されるポリ(メタ)アクリレートと同じである。
その結果、特に、ここではAおよびBとして特定されている類似の基材を互いに接着することができる。その結果、さらに、接着テープの耐老化性と温度安定性が向上する。
【0131】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、接着剤の層Cには、接着剤の層Dに使用されるポリ(メタ)アクリレートとは異なるポリマーが使用される。
これにより、導電層の特性を、接着剤層Cを介して接着される基材に特に良好に適合させることができる。接着剤層Cは、イオン液体のような電解質を含まないか、含む必要がないため、この点で構成要素を調和させる必要はない。
【0132】
したがって、本発明のさらに好ましい実施形態においては、接着剤の層Cには、接着剤の層Dに使用されるポリ(メタ)アクリレートとは異なるポリ(メタ)アクリレートが使用される。
【0133】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、少なくとも1つのビニル芳香族ブロックコポリマーが接着剤の層Cに含まれる。
【0134】
本発明の好ましい実施形態においては、接着剤の層Cは、ビニル芳香族ブロックコポリマーをベースとし、すなわち、これらの実施形態においては、ビニル芳香族ブロックコポリマーは、接着剤の層Cの主ポリマーを構成し、その場合、層Cに含まれるポリマー100質量%を基準として、70質量%~100質量%で含まれる。
接着剤層Cに含まれる粘着付与樹脂は、この計算では、含まれるポリマー100質量%にはカウントされない。
【0135】
1つ以上のビニル芳香族ブロックコポリマーは、原則として、当業者に公知のいかなる種類であってもよい。
【0136】
ビニル芳香族ブロックコポリマーは、好ましくはA-B、A-B-Aおよび/または(A-B)nXの構造を有する。ここで、Xはカップリング試薬または開始剤のラジカルであり、nは2以上である。
【0137】
特に好ましくは、1種以上のビニル芳香族ブロックコポリマーはA-B-A構造を有し、任意にA-Bの部分とのブレンドで、後者はジブロック部分を構成する。
【0138】
特に好ましくは、1種以上のビニル芳香族ブロックコポリマーは、構造A-B-Aのポリマーと構造A-Bのポリマーとのブレンドとして存在する。
【0139】
ブロックAは、ビニル芳香族モノマーから調製されたブロックを構成する。
【0140】
ブロックAは、好ましくは少なくともスチレンとα-メチルスチレンを含む重合混合物から調製され、好ましくは少なくともスチレンを含む重合混合物から調製される。特に好ましくは、ブロックAはスチレンから調製されたブロックであり、したがってポリスチレンブロックである。
【0141】
ブロックBは、ブロックコポリマーの残りのブロックを構成する。ブロックBは、好ましくは1,3-ジエンおよびイソブチレンなどのモノマーを含む重合混合物から調製され、より好ましくはブタジエンおよび/またはイソプレンを含む重合混合物から調製される。特に好ましくは、ブロックBはブタジエンから調製されたブロックであり、したがってポリブタジエンブロックである。
【0142】
特に好ましくは、1種以上のビニル芳香族ブロックコポリマーはスチレンブロックコポリマーであり、好ましくは、A-B-A構造のスチレン-ブタジエンブロックコポリマーおよびA-Bの任意の部分であるスチレンブロックコポリマーである。
これにより、本発明のベースとなる課題が特に良好に達成される。
【0143】
特に有利な実施形態においては、感圧接着剤の層中のビニル芳香族ブロックコポリマーは、少なくとも2種のスチレン-ブタジエンブロックコポリマーの混合物であり、第1のブロックコポリマーは50%~85%のジブロック部分A-Bを有し、第2のブロックコポリマーは5%~35%のジブロック分率A-Bを有する。
これにより、本発明のベースとなる課題が特に良好に達成される。
【0144】
ジブロック部分はGPCによって決定されるが、当業者には認識できるように、適切な調製プロセスを選択することによってカスタマイズすることができる。
【0145】
含まれる1種以上のビニル芳香族ブロックコポリマー中のA-B-Aポリマー鎖の分子量分布Mw(GPCによる)の重量平均は、好ましくは50000g/mol~300000g/molであり、特に好ましくは80000~180000g/molである。
【0146】
本発明の好ましい実施形態においては、接着剤の層Cは、特に層がビニル芳香族ブロックコポリマーを主ポリマーとする場合、少なくとも1種の粘着付与樹脂を含む。
【0147】
これにより、接着剤のタックが向上し、本発明の基礎となる目的に反することなく、接着剤のタックが向上する。したがって、接着剤の層Cは依然として導電性である。
【0148】
当業者の理解に従って「粘着付与樹脂」とは、粘着付与樹脂を含まない接着剤層と比較して、接着剤層の接着性(タック、本質的な粘着性)を増加させるオリゴマーまたはポリマー樹脂を指す。
【0149】
少なくとも1種の粘着付与樹脂は、好ましくは400~15000g/mol、特に好ましくは400~5000g/mol、特に好ましくは500~2000g/molの重量平均分子量Mwを有する。
【0150】
少なくとも1種の粘着付与樹脂は、好ましくは、ロジンまたはロジン誘導体をベースとする非水素化または部分的もしくは完全に水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー、C-5、C-5/C-9またはC-9モノマー混合物をベースとする非水素化または部分的、選択的もしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、およびα-ピネンおよび/またはβ-ピネンおよび/またはδ-リモネンをベースとするポリテルペン樹脂からなる群から選択される。
【0151】
当業者には、特に1種以上のビニル芳香族ブロックコポリマーと均質に混合できる粘着付与樹脂を選択できることは明らかである。
【0152】
第2の層Cの接着剤は、可塑剤や充填剤などの他の慣用添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0153】
好ましい実施形態においては、接着剤の第1の層Dおよび接着剤の第2の層Cのいずれか一方または両方が発泡されている。
発泡により、本発明の接着テープの耐衝撃性が向上し、したがって結合アセンブリの耐衝撃性も向上する。これにより、特に、例えば落下などの結果、結合アセンブリが力にさらされても、基材が早期に不要に剥離することがない。
【0154】
発泡は好ましくはマイクロバルーンによって生成され、電気的に剥離可能な層Dの場合、マイクロバルーンはその表面にシリケートまたはアルミノシリケートの層を有する。
【0155】
「マイクロバルーン」とは、熱可塑性ポリマーのシェル(殻)を持つ、弾力性があり基本状態で膨張可能な中空の微小球のことである。この球体に低沸点液体や液化ガスを充填する。使用されるシェル材料は、特にポリアクリロニトリル、PVDC、PVC、ポリアクリレートなどである。適切な低沸点液体またはガスは、特に低級アルカンの炭化水素、例えばイソブタンまたはイソペンタンであり、これらはポリマーシェル内に加圧下で液化ガスとして封入される;イソペンタンが特に好ましい。
【0156】
マイクロバルーンが暴露、特に熱にさらされると、外側のポリマーシェルが軟化する。同時に、シェル内の液体推進剤ガスは気体状態に移行する。マイクロバルーンは不可逆的に膨張し、その膨張は三次元的である。内圧が外圧と一致すると膨張は終了する。ポリマーのシェルは保持されるため、結果的にクローズドセルフォームとなる。
【0157】
マイクロバルーンは、その大きさ(未膨張状態で直径6~45μm)と膨張に必要な開始温度(75~220℃)によって基本的に区別され、様々なタイプが市販されている。市販されているマイクロバルーンの例としては、Nouryon社のExpancel(登録商標)DU製品(DU=ドライ未膨張)やMatsumoto社のMicrosphere(登録商標)FN製品がある。
【0158】
安定化のために、マイクロバルーンはその表面に無機層を有することが多い。これは例えば、シリケート(ケイ酸塩)やアルミノシリケートである。あるいは、炭酸カルシウムのような炭酸塩や、様々な酸化物を使用することもできる。
【0159】
その目的のために電解質を含み、同時に発泡している電気的に剥離可能な接着剤の層Dは、その表面にシリケートやアルミノシリケートの層を有するマイクロバルーンを用いてのみ製造できることが、本発明において驚くべきことに明らかになった。
【0160】
シリケートは、オルト珪酸(Si(OH)4)の塩およびその縮合物である。これらの塩はすべてSiO4四面体からなる化合物であるが、四面体は様々な方法で互いに結合することができる。結合していない四面体上の位置は、金属カチオンの電荷補償に寄与するか、水酸化物イオン(OH-)の形で存在することがある。
アルミノシリケートとは、SiO4四面体とAlO4四面体を基本単位とするシリケート化合物の総称である。
【0161】
さらに、未膨張のマイクロバルーンと予備膨張のマイクロバルーンを区別することもできる。
本発明の記載において、未膨張および/または予備膨張マイクロバルーンを使用することは原理的に可能である。
【0162】
未膨張のマイクロバルーンは、通常、膨張されていない状態で組成物に添加され、膨張はその後、特に加熱の結果としてのみ生じる。
【0163】
未膨張マイクロバルーンのタイプは、約40質量%~45質量%の固形分またはマイクロバルーン分率を有する水性分散液の形態でも入手可能であり、また、ポリマー結合マイクロバルーン(マスターバッチ)の形態でも入手可能であり、例えば、エチレン-酢酸ビニル中約65質量%のマイクロバルーン濃度を有する。マイクロバルーン分散液もマスターバッチも、DUタイプと同様、発泡接着剤の製造に適している。
【0164】
接着剤の発泡層は、予備膨張(プレエキスパンド)マイクロバルーンと呼ばれるものを使用して製造することもできる。予備膨張マイクロバルーンの場合、ポリマーマトリックスに組み込まれる前の早い段階で膨張が生じる。予備膨張マイクロバルーンは、例えばDualite(登録商標)の名称で市販されている。予備膨張マイクロバルーンを加工する場合、マイクロバルーンは、組み込まれるポリマーマトリックス中で密度が低いために浮遊する傾向がある。このため、マイクロバルーンは層中で不規則に分布する。層の上部領域(z方向)では、層の下部領域よりも多くのマイクロバルーンが存在し、層の厚さにわたって密度勾配が形成される。
【0165】
このような密度勾配をほとんどあるいは実質的に完全に防止するために、本発明においては、接着剤層のポリマーマトリックスにマイクロバルーンを組み込むことが優先される。マイクロバルーンは、接着剤層に組み込まれた後に初めて膨張する。その結果、ポリマーマトリックス中のマイクロバルーンの分布がより均一になる。
【0166】
膨張性マイクロバルーンの膨張は、組込まれた後または直接組込まれた時にのみ起こり、発泡を生じる。溶媒含有組成物の場合、マイクロバルーンは、好ましくは、組み込み、コーティング、乾燥(溶媒の蒸発)の後にのみ膨張する。
【0167】
したがって、本発明の好ましい実施形態においては、接着剤の第1の層Dおよび/または接着剤の第2の層Cは発泡され、発泡は膨張可能なマイクロバルーンの膨張を介して生成され、膨張可能なマイクロバルーンはその表面にシリケートまたはアルミノシリケートの層を有する。
【0168】
1つ以上の発泡した接着剤層中のマイクロバルーンによって形成された空洞の平均直径は、好ましくは10~200μm、特に好ましくは15~200μm、非常に好ましくは15~150μm、好ましくは順に20~100μm、特に好ましくは順に25~70μmである。記載された好ましいサイズ範囲および特に好ましいサイズ範囲により、達成される耐衝撃性は特に良好である。同時に、サイズは接着剤の層または層の層厚の観点から適応される。
【0169】
ここでは、発泡した接着剤層中のマイクロバルーンによって形成された空洞の直径を測定しているので、直径とは、膨張したマイクロバルーンによって形成された空洞の直径である。ここでいう平均直径とは、接着剤層中のマイクロバルーンによって形成された空洞の直径の算術平均を意味する。接着剤の層中のマイクロバルーンによって形成された空洞の平均直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて500倍の倍率で、接着テープの5つの異なる凍結破壊端部を基準として決定される。顕微鏡写真上に見えるマイクロバルーンの直径は、調査中の接着剤層内の個々のマイクロバルーンについて、SEM顕微鏡写真から任意の(二次元)方向におけるその最大範囲を取り出し、そのマイクロバルーンの直径とみなす方法で、図式的に確認される。
【0170】
マイクロバルーンを用いて発泡させる場合、マイクロバルーンはバッチ状、ペースト状、混合粉末状またはニート粉末状で製剤に供給することができる。さらに、溶媒に懸濁させることもできる。
【0171】
本発明の好ましい実施形態において、接着剤の層または層中のマイクロバルーンの割合は、当該層の全体組成(組み込まれたマイクロバルーンを含む)を基準として、それぞれの場合において、0質量%超12質量%以下、特に好ましくは0.25質量%~5質量%、特に好ましくは0.5質量%~3質量%である。この数値は、いずれの場合も未膨張のマイクロバルーンを基準としている。
【0172】
記載された量は、タック、流動特性、起泡性という特性間の目的の対立を特に良好に解消したものである。
【0173】
膨張可能な中空微小球を含む層または層の接着剤のポリマー組成物は、さらに、膨張不可能な中空微小球も含むことができる。重要なことは、この膜が弾性的で熱可塑的に伸長可能なポリマー混合物からなるか否か、プラスチック加工で可能な温度範囲にわたって非熱可塑性である例えば弾性ガラスからなるか否かに関わらず、実質的にすべての気体を含有する空洞が永久的に不浸透性の膜によって閉鎖されていることである。また、接着剤層には、固体ポリマービーズ、例えば、PMMAビーズ、中空ガラスビーズ、固体ガラスビーズ、フェノール樹脂ビーズ、中空セラミックビーズ、固体セラミックビーズおよび/または固体カーボンビーズ(「カーボンマイクロバルーン」)などが適しており、他の添加剤とは無関係に選択される。
【0174】
接着剤の発泡層または層の絶対密度は、好ましくは350~950kg/m3、より好ましくは450~930kg/m3、非常に好ましくは570~880kg/m3。相対密度は、それぞれの発泡層の密度と、同一式を有する対応する未発泡層の密度の比を表す。接着剤の層または層の相対密度は、好ましくは0.35~0.99、より好ましくは0.45~0.97、特に0.50~0.90である。
【0175】
接着剤の層Dの接着剤は好ましくは感圧接着剤であり、したがって接着剤の層Dは好ましくは感圧接着剤の層Dである。
これにより、熱活性化接着剤システムと比較して、特に熱の導入が必要ないため、接着テープをこの側で容易に接着することができる。さらに、電解質の成分、特にイオン液体のイオンは、架橋密度が比較的低いため、感圧接着剤中でより迅速に移動する。
【0176】
好ましい実施形態においては、接着剤層Cの接着剤は感圧接着剤ではない。
【0177】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、接着剤の層Cの接着剤は感圧接着剤であり、したがって接着剤の層Cは感圧接着剤の層Cである。
【0178】
接着剤の層Dと接着剤の層Cの両方が感圧接着剤の層である実施形態においては、本発明の接着テープは感圧接着テープである。
【0179】
現在、本発明に従って「感圧接着剤」という用語の意味は、一般に受け入れられている意味である:特に室温において、耐久性のある粘着性かつ接着性を有する物質である。感圧接着剤組成物は、圧力によって基材に塗布することができ、その上に接着し続けるという特徴を有する;必要とされる圧力も、前記圧力への曝露期間も、より詳細に定義されていない。場合によっては、感圧接着剤の正確なタイプ、温度と湿度、および基材によっては、短時間の穏やかな接触を超えない最小限の圧力に短時間曝露することで接着効果を得るのに十分であり;他の場合には、より長時間高圧に曝露する必要もある場合もある。
【0180】
感圧接着剤(PSA)は、耐久性のあるタック(粘着性)と接着力をもたらす、特殊で特徴的な粘弾性特性を持つ。機械的変形は粘性流動過程だけでなく、弾性回復力の蓄積をももたらすという特徴がある。この2つのプロセスによって提供されるそれぞれの成分の間には特別な関係があり、これは感圧接着剤の正確な組成、構造、架橋度だけでなく、変形速度や変形時間、温度にも依存する。
【0181】
粘着性を得るためには、粘性流動成分が必要である。比較的運動自由度の高い高分子に由来する粘性成分は、接着を必要とする基材への良好な濡れ性と良好な流動性をもたらす。大きな粘性流動成分は、高いタック(表面タックとも呼ばれる)をもたらし、これによってしばしば高い剥離接着性ももたらされる。高度に架橋された系や結晶性あるいはガラス状のポリマーは、一般に流動性成分が不十分なため、タックを示さないか、少なくともほとんどタックを示さない。
【0182】
弾性回復力を提供する成分は、凝集を達成するために必要である。それらは、例えば、非常に長い鎖を有し、高度に絡み合った高分子、および/または物理的もしくは化学的に架橋された高分子に由来することができ、接着結合に作用する力の伝達を可能にする。これらは、接着結合が、例えば長期せん断荷重のような形でさらされる長期荷重に、長期にわたって十分な程度耐えることを可能にする。
【0183】
弾性成分と粘性成分の大きさ、およびその成分の比率は、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)という変数を使用することで、より正確に記述および定量化することができ、これらは動的機械分析(DMA、DINENISO6721に準拠)によって測定することができる。G’は物質の弾性成分の尺度であり、G’’は粘性成分の尺度である。どちらの変数も変形周波数と温度に依存する。
【0184】
この変数は、レオメータの助けを借りて決定することができる。ここで調査する材料は、正弦波状に振動するせん断応力に平板上に配置されて曝されたものを例とする。せん断応力制御装置の場合、変形は時間の関数として測定され、この変形の時間ベースのオフセットは、せん断応力の導入に対する相対値として測定される。この時間ベースのオフセットは位相角δと呼ばれる。
【0185】
貯蔵弾性率G’は以下のように定義される:G’=(τ/γ)-cos(δ)(τ=せん断応力、γ=変形、δ=位相角=せん断応力ベクトルと変形ベクトルの位相のずれ)。損失弾性率G’’は次のように定義される:G’’=(τ/γ)-sin(δ)(τ=せん断応力、γ=変形、δ=位相角=せん断応力ベクトルと変形ベクトルの位相のずれ)。
【0186】
室温(ここでは23℃と定義)において、100から101rad/secの変形周波数範囲において、G’が103から107Paの範囲に少なくともある程度あり、G’’も同様に前記範囲に少なくともある程度ある場合、物質は一般にタックを示すとみなされ、本発明の意味で定義される。「ある程度」とは、G’曲線の少なくとも一部が、100~101 rad/sec(横軸)の変形周波数範囲と、103~107Pa(縦軸)のG’値の範囲によって定義されるウィンドウ内にあることを意味する。G’’についても同様である。
【0187】
好ましくは、23℃で100~101rad/secの変形周波数範囲において、PSAは、DINENISO6721に従って決定される103~107Paの範囲の貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’を有する。
【0188】
粘弾性特性を達成するために、PSAの親ポリマーをベースとするモノマー、およびPSA中に存在する任意のさらなる成分は、特に、PSAが使用温度以下(すなわち、通常、室温(23℃)未満)のガラス転移温度(DIN53765による)を有するように選択される。例えば架橋反応(高分子間の架橋形成結合の形成)のような適切な凝集力-増強手段を介して、ポリマー組成物が感圧接着特性を示す温度範囲を拡大および/またはシフトすることが可能である。したがって、PSAの使用範囲は、組成物の流動性と凝集力との間の調整によって最適化され得る。
【0189】
PSAは、好ましくは、DIN53765に従って決定される≦23℃のガラス転移温度を有する。
【0190】
感圧接着剤とは異なり、例えばポリアミド、ポリウレタンまたは変性ポリエチレンをベースとするホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤組成物においても、室温(23℃)ではタックを全く有さない。
【0191】
本発明の接着テープを製造するための本発明の方法は、すでに述べたように、以下のステップを含む:
a)接着剤の第1の層Dを提供するステップであって、接着剤の層Dは、少なくとも1つの電解質を含み;および
b)導電性キャリア層Tを設けるステップ;および
c)接着剤の第二の層Cを提供するステップ、接着剤の層Cは導電性であり;、
d)層D、層T、層Cを配置し、両面接着テープとして層状アセンブリDTCを得るステップ;
e)任意に、層状アセンブリDTCを成形、特にダイカットまたはスリットするステップ。
【0192】
ステップa)による接着剤の第1の層Dの提供は、特に、少なくとも1つの接着剤を提供し、この接着剤に少なくとも1つの電解質を添加することによって達成される。接着剤と電解質は、上記のすべての記述に従う。
接着剤は、公知の方法、特にコーティングされることによって層状に成形される。
さらに、任意で、1つ以上の乾燥工程があってもよい。
【0193】
ステップc)による接着剤の第2の層Cの提供は、特に、導電性である少なくとも1つの接着剤を提供することによって達成される。この目的のために、接着剤は、好ましくは少なくとも1つの金属、より詳細には導電性金属粒子および/または金属化粒子と混合され、金属、より詳細には導電性金属粒子および/または金属化粒子は、混合によって接着剤中に均質に分散される。接着剤および金属は、上記のすべての記載に従う。
【0194】
接着剤は、公知の方法、特にコーティングされることによって層状に成形される。
さらに、任意で、1つ以上の乾燥工程があってもよい。
【0195】
ステップb)によるキャリア層Tの提供は、すでに上記で述べたように、様々な方法で達成することができる。
【0196】
例えば、a)金属箔、特にアルミニウム箔、および/またはb)導電性ネットを層DとCの間に配置することが考えられる。
【0197】
さらに、c)金属粒子を接着剤の層DまたはCの表面に直接蒸着によって塗布することも可能である。
【0198】
したがって、a)~c)までのステップは、必ずしも時系列を表すものではない。
【0199】
ステップd)による層が、層状アセンブリDTCが得られるように三次元的に配置されることが、本発明にとって必須である。
接着テープは、好ましくは層状アセンブリDTCからなる。
【0200】
本発明の接着テープは、より詳細には、両面接着テープを構成し、接着剤の第1の層Dの面と接着剤の第2層Cの面とがそれぞれ基材の接着に利用可能である。
【0201】
本発明の接着テープの接着剤の層DおよびCの外側の露出面は、有利には、ライナーとも呼ばれる剥離紙または剥離フィルムのような非粘着性材料を備えることができる。ライナーは、少なくとも片面、好ましくは両面に非粘着性コーティングが施された材料、例えば両面シリコーン化された材料から構成することもできる。本発明の接着テープ上の接着剤のD層およびC層の外部露出面には、剥離紙または剥離フィルムなどの非粘着材料を有利に備えることができ、ライナーとも呼ばれる。ライナーはまた、例えば、複側シリコン化された材料のように、少なくとも片側、好ましくは両側に非粘着性コーティングを有する材料を含むこともできる。ライナー、または、より一般的には、一時的なキャリアは、接着テープの一部ではなく、その製造、保管、および/または、ダイカットによるさらなる加工のための手段にすぎない。さらに、恒久的キャリアとは異なり、ライナーは接着剤層に固定的に接合されるのではなく、一時的なキャリアとして、すなわち接着剤層から取り外し可能なキャリアとして機能する。本出願では、「恒久的キャリア」は、単に同義的に「キャリア」とも呼ばれる。
【0202】
接着剤の個々の層または層の厚さ(z方向)は、好ましくは15~150μm、特に好ましくは20~100μm、特に好ましくは25~70μmである。
ここでの接着剤の2つの層DおよびCは、好ましい実施形態においては、異なる層厚を有し、例えば接着剤の層Dの厚さは、接着剤の層Cの厚さよりも薄い。
さらに好ましい実施形態においては、層DおよびCは同じ層厚を有する。
【0203】
層Dの層厚が厚すぎると、電解質を含むため採算がとれなくなる可能性がある。
層Cの層厚に関しても、層厚が大きくなると、特にz方向の導電性を確保するために、より多くの導電性粒子が必要となることに留意しなければならない。
【0204】
上に述べたように、存在する寸法と所望の寸法に応じて、層状アセンブリDTCのダイカット(型抜き)の任意ステップe)がある。
【0205】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付の図を参照してより詳細に説明する:
【図面の簡単な説明】
【0206】
【
図1】
図1は、好ましい実施形態における本発明の両面接着要素を通る簡略化された概略断面を示す。
【
図2】
図2は、好ましい実施形態における本発明の接合アセンブリを通る簡略化された概略断面を示す。
【
図3】
図3は、好ましい実施形態において、電圧が印加される本発明の接合アセンブリを通る簡略化された概略断面を示す。
【
図4】
図4は、電圧が印加され接着分割が生じた後の、本発明の結合アセンブリを通る簡略化した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0207】
図1で認識されるように、接着剤の層D1は、その一方の面によってキャリア層T2に接合されている。接着剤の第2の層C3は、キャリア層Tの層Dとは反対側の面に配置されている。
【0208】
図1でも認識されるように、層状アセンブリは両面接着テープを構成し、接着剤の第1の層Dの面と接着剤の第2層Cの面がそれぞれ接着可能である。
【0209】
図2は、好ましい実施形態における本発明の結合アセンブリの概略図である。
図2から認識され得るように、接着テープは、接着剤の層D1によって第1の基材A4の面上に配置され、第1の基材は、前述のように、導電性である。
【0210】
さらに、接着テープは、第2の基材B5の面上に第2の-導電性の-接着剤層C3を介して配置される。この場合、接着剤の第2の層Cは、層面の少なくとも1つの広がり方向において横方向に基材Bを越えて突出しているため、z方向の接着剤の層C3は部分的に露出しているか、自由面3aを有している。
この自由面3aによって、
図3による概略図に示すように、電圧を印加することができる。
【0211】
電圧の印加により、接着剤の層Dにおいて電解質が移動し、より詳細にはイオン液体の陰イオンとカチオンが分離する。その結果、接着剤の層Dの基材Aへの接着力は大幅に低下し、
図4による概略図から認識されるように、これらの層は互いに分離する。
【0212】
図1~
図4の表現は、前述のように、概略的な表現である。特に、個々の層D、T、Cの層厚は、互いにずれていてもよい。さらに、基材AおよびBも、さらなる層として単に模式的に表されている。これらの基材は、もちろん他の三次元形状を有していてもよい。
【0213】
以下に、本発明をさらに明確にするために、いくつかの実施例を記載する。
【実施例0214】
試験方法
すべての測定は、特に断りのない限り、23℃、相対湿度50%で行った。機械的および技術的な接着データは、以下のように確認した:
【0215】
分子量MnMw
本明細書における数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwのデータは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づく。測定は、100μlの透明濾過サンプル(サンプル濃度4g/l)に対して行われる。使用する溶離液は、0.1体積%のトリフルオロ酢酸を含むテトラヒドロフランである。測定は25℃で行われる。使用したプレカラムは、PSS-SDV、5μm、
103Å、8.0mm*50mmのカラムである(ここと以下のデータは以下の順である:タイプ、粒子径、気孔率、内径*長さ;1Å=10-10m)。分離は、PSS-SDV、5μm、103Å、および8.0mm*300mmの105Åと106Åの各タイプのカラムを組み合わせて使用する(Polymer Standards Service製カラム;Shodex RI71示差屈折計による検出)。流速は毎分1.0ml。校正は、ポリウレタンの出発物質のような極性分子の場合は、例えばPMMA標準物質(ポリメチルメタクリレート校正)に対して行い、そうでない場合はPS標準物質(ポリスチレン校正)に対して行う。
【0216】
粘着付与樹脂の軟化温度
粘着付与樹脂の軟化温度は、リング&ボールとして知られ、ASTM E28に従って標準化されている対応する方法に従って実施される。
【0217】
厚さ
接着剤層の厚さは、ライナーに塗布されたそのような接着剤層の長さおよび幅で定義される部分の厚さから、使用されるライナーの同じ寸法の部分の(既知または別途確認可能な)厚さを差し引いたものを決定することによって決定することができる。接着剤層の厚さは、市販の厚さ計(センサー試験装置)を用いて、偏差1μm以下の精度で確認することができる。厚みの変動が検出された場合は、代表的な3箇所以上の測定値の平均値が報告されるため、特にピンチ、折り目、斑点などでは測定されない。
【0218】
接着テープ(粘着ストリップ)またはキャリアの厚さは、その前の接着剤層の厚みと同様に、市販の厚みゲージ(センサー試験装置)を使用して、偏差1μm未満の精度で確認することができる。厚みの変動が検出された場合は、3箇所以上の代表的な場所での測定値の平均値を報告されるため、特にピンチ、折り目、斑点などでは測定されない。
【0219】
剥離接着
180°剥離接着試験:
電気的に剥離可能な層Dの鋼に対する剥離接着性を試験する:厚さ23μmのPETフィルムに、幅20mmの本発明の接着テープの導電性接着面(C層)を、接着剤がわずかにはみ出るように接着する。このアセンブリを、予めアセトンで2回、イソプロパノールで1回洗浄した鋼板に、電気的に剥離可能な面(層D)で貼り付ける。感圧接着剤ストリップを、2kgの重さに相当する押し付け圧力で2回、基材に押し付ける。その後、接着テープを300mm/分の速度で、180°の角度で直ちに基材から剥離した。測定はすべて室温で行った。
【0220】
測定結果は、3回の測定結果の平均値としてN/cm単位で報告されている。
導電層Cの鋼板への剥離接着性を試験するために:測定は、まず、本発明の接着テープの20mm幅のストリップを、電気的に剥離可能な接着面(層D)によって、接着剤がわずかに突出するように厚さ23μmのPETフィルムに接着し、その後、このアセンブリを導電面(層C)によって鋼板に貼り付けるなどして、同様に実施する。
【0221】
発明例1
接着剤の層Dは以下のように設けられる:
アクリレートをベースとするベースポリマーは次のように調製する:従来のラジカル重合用反応器に、48kgの2-エチルヘキシルアクリレート、48kgのn-ブチルアクリレート、4kgのアクリル酸、および66kgのベンジン/アセトン(70/30)を装入する。撹拌しながら窒素ガスを45分間反応器に通した後、反応器を58℃に加熱し、50gのAIBNを加える。その後、外部加熱槽を75℃に加熱し、この外部温度で常時反応を行う。1時間後、さらに50gのAIBNを加え、4時間後、反応混合物を20kgのベンジン/アセトン混合物で希釈する。5.5時間後、そして再び7時間後、反応混合物に150gのビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボナートで再開する。反応時間22時間後に重合を中止し、反応混合物を室温まで冷却する。このポリアクリレートは平均分子量Mw=386000g/mol、多分散度PD(Mw/Mn)=3.6であった。
【0222】
溶媒を含まないアクリレートベースポリマーの量を基準にして100質量%に、5.5質量%のイオン液体1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)および4質量%のSigma Aldrichからのポリエチレングリコール400を添加する。
さらに、溶媒を含まないアクリレートポリマーの量を基準として、0.1質量%の架橋剤Erysis GA240を添加する。
【0223】
得られた混合物は、コーティングバーを使って、シリコーン・リリースを備えたPETライナー上にコーティングされ、110℃での乾燥後に50μmの層厚となる。
【0224】
接着剤の導電層Cは以下のように設けられる:
アクリレートベースポリマーは、接着剤の層Dについて上述したように調製される。
溶媒を含まないアクリレートポリマーの量を基準にして0.1質量%の架橋剤Erysis GA240を添加する。
このアクリレート系ポリマー100質量%に対し、溶媒、架橋剤を含まないポリマーの量を基準として、30質量%のニッケル粒子を添加する。
【0225】
導電性キャリア層Tとして、層厚20μmのアルミニウム箔を設ける。
【0226】
次に、接着剤の第2層Cをアルミニウム箔上にコーティングバーを用いてコーティングする。この導電性接着剤の層Cの層厚は、同様に50μmである。
【0227】
続いて、キャリア層Tと導電性接着剤層Cのアセンブリのアルミニウム側に、電気的に剥離可能な接着剤の層Dが積層され、層状配列DTCを有する接着テープを得る。接着テープの全体の厚さは120μmである。
【0228】
上記のように決定されたアセンブリの鋼に対する剥離接着力は、電気的に剥離可能な側、すなわち接着剤の層Dの自由面では4.5N/cmであり、電気的に導電性の側、すなわち層Cでは5.3N/cmである。
【0229】
分離能力の試験においては、接着テープを次のように結合する:接着テープの分離可能な面を、導電性基材Aの代表として導電性表面、この場合は鋼板に接着する。方法の説明であう「剥離粘着」も参照。反対側の面には厚さ23μmのPETフィルムが接着され、プラスチック部分は接着テープまたは接着剤層Cの面より小さく、接着テープはプラスチック部分より突出する(はみ出す)。結合後、電圧が印加され、具体的には、カソードを鋼板に、アノードを突起または接着剤の導電層Cの自由面に印加される。
この場合の電圧は12Vで、60秒間印加される。
【0230】
次に、サンプルを直ちに測定装置にクランプし、接着テープの接着剤の層Dの鋼板に対する剥離接着力をさらに測定する。このときの剥離接着力はわずか0.7N/cmであった。
電圧の印加により、剥離接着力の大幅な低下が可能になった。
【0231】
発明例2
第2の例においては、接着剤の層Dの電気的に剥離可能な接着剤は、使用されるアクリレートの比率をシフトするように変更される。
アクリル酸2-エチルヘキシル30kg、アクリル酸n-ブチル64kg、アクリル酸6kgを使用した。
イオン液体として、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)を、溶媒を含まないアクリレートポリマー100質量%を基準として5質量%の量で添加する。
【0232】
さらに、Sigma Aldrich社製のポリプロピレングリコール600を、アクリレートポリマー(溶媒なし)100質量%を基準として、4質量%添加する。
さらに、溶媒を含まないアクリレートポリマーの量を基準として、0.1質量%の架橋剤Erysis GA240を添加する。
この組成物は、シリコーン化されたライナー上に50μmの層厚でコーティングされる。
【0233】
接着剤層Cの導電性組成物としては、スチレンブロックコポリマーをベースとする組成物が使用される。
使用した接着剤はKraton D111833%、Kraton D110217%、Piccolyte A11550%の組成である。
この場合、組成物はベンジンとアセトンの混合物(3:1)に溶解する。溶媒を含まないポリマーと粘着付与樹脂(Kraton D 1118:33%、Kraton D 1102:17%、Piccolyte A115:50%)の合計量100質量%に対して、30質量%のニッケル粒子を添加する。
【0234】
この組成物を、実施例1と同様に、キャリア層Tとして、20μmの層厚を有するアルミニウム箔上に、得られた層厚50μmでコーティングする。
電気的に剥離可能な層Dは、その後、アルミニウムキャリアの残りの自由面に再び積層される。
得られた接着テープの鋼材に対する剥離接着力は、電気的に剥離可能な面で4.2N/cm、電気的に導電性の面で7.7N/cmであった。
再剥離性試験のための接着は、上記のように実施する。12Vの電圧を60秒間印加した後、剥離可能な面(層D)の鋼に対する剥離接着力を再度測定する。剥離接着力は0.4N/cmまで低下する。
【0235】
使用された物質
・Kraton D1102;A-B-AおよびA-B構造を有するスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーのブレンド、スチレンの割合30%、ジブロックの割合(A-B)15%、Kraton製
・Kraton D1118;A-B-AおよびA-B構造を有するスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーのブレンド、スチレンの割合31%、ジブロックの割合(A-B)78%、Kraton製
・Piccolyte A115粘着付与樹脂:α-ピネンのテルペン樹脂、軟化点115℃、DRT社製
・ポリエチレングリコール400(SigmaAldrich社製)
・ポリプロピレングリコール600(SigmaAldrich社製)
・ニッケル粒子、平均粒径4μm:Vale Canada Ltd製T123
・Erysis(登録商標)GA240:テトラグリシジル-メタ-キシリレンジアミン、Huntsman社製
【0236】
参考記号一覧
1 接着剤の第1の層D
2 キャリア層T
3 接着剤の第2の層C
3a 接着剤の第2層のCの自由面
4 第1の基材A
5 第2の基材B
イオン液体のカチオンは、イミダゾリウムベースのカチオン、ピリジニウムベースのカチオン、ピロリジンベースのカチオン、およびアンモニウムベースのカチオンからなる群から選択され、ここで特に好ましくは、カチオンは、イミダゾリウムベースのカチオンからなる群から選択され、特に好ましくは、カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムおよび1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムからなる群から選択され、就中好ましくは、カチオンは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムである、請求項2または3に記載の接着テープ。
接着剤の層Dの電解質が、次のイオン液体、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM-TFSI)および1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(EMIM-FSI)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の接着テープ。
接着剤の第1の層Dが、含まれるポリマー100質量%を基準として、2質量%~10質量%、好ましくは4質量%~6質量%の電解質、好ましくはイオン液体を含む、請求項1または2に記載の接着テープ。
導電性キャリア層Tが、少なくとも1種の金属を含み、特に好ましくは、金属が、銅、ニッケル、亜鉛、スズ、銀、金、アルミニウム、鉄、クロム、およびこれらの金属の合金からなる群から選択される、請求項1または2に記載の接着テープ。
導電性キャリア層Tが、a)少なくとも1つの金属箔、好ましくはアルミニウム箔、および/または、b)少なくとも1つの金属、好ましくは銅およびニッケルからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む少なくとも1つの導電性テクスタイル、および/または、c)蒸着によって塗布された少なくとも1つの金属、好ましくは銅およびアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属の1つ以上の層、および/または、d)金属の少なくとも1つのメッシュを含む、請求項8に記載の接着テープ。
接着剤の導電性層Cが、少なくとも1つの金属、例えば、より具体的にはニッケル、銅、銀を、好ましくは導電性金属粒子および/または金属化粒子の形態で含み、導電性粒子が、好ましくはニッケル粒子、銅粒子、および銀化銅粒子からなる群から選択される、請求項1または2に記載の接着テープ。
接着剤の第1の層Dおよび/または接着剤の第2の層Cが発泡されており、発泡は好ましくはマイクロバルーンによって生成され、マイクロバルーンはその表面にシリケートまたはアルミノシリケートの層を有する、請求項1または2に記載の接着テープ。