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特開2024-160206入力量を処理するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160206
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】入力量を処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/065 20230101AFI20241106BHJP
   G06F 17/10 20060101ALI20241106BHJP
   G06F 17/16 20060101ALI20241106BHJP
   G06F 7/49 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G06N3/065
G06F17/10 S
G06F17/16 M
G06F7/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063157
(22)【出願日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】10 2023 203 274.0
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】タハ・ソリマン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・キルヒナー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】入力量を処理するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】装置100において、コントロール装置130は、第1の入力量E1を第1のトランジスタ110-1の制御電極110-1aに印加し、第2の入力量E2を電流導出機構120に印加し、電流導出機構120が第2の入力量E2をベースとして、第1のトランジスタの負荷区間110-1-LSを選択的に第1の回路節点N1又は第2の回路節点N2と接続し、第1の回路節点N1を通って流れる電流I-N1の特徴をなしている量を、第1の、電流ベース、または電流駆動型のアナログ/デジタル変換機構ADC1を使って確定し、第2の回路節点N2を通って流れる電流I-N2の特徴をなしている量を、第2の、電流ベースのアナログ/デジタル変換機構ADC2を使って確定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力量を処理するための方法、例えばコンピュータに実装された方法であって、第1の入力量(E1)を第1のトランジスタ(110-1)の制御電極(110-1a)に印加するステップ(200;230)、第2の入力量(E2)を電流導出機構(120)に印加するステップ(202;232)を有し、前記電流導出機構(120)が、前記第2の入力量(E2)をベースとして前記第1のトランジスタ(110-1)の負荷区間(110-1-LS)を選択的に第1の回路節点(N1)または第2の回路節点(N2)と接続するために形成されている、方法。
【請求項2】
以下の要素、すなわちa)前記第1の回路節点(N1)を通って流れる電流(I-N1)の特徴をなしている量(G-I-N1)、b)前記第2の回路節点(N2)を通って流れる電流(I-N2)の特徴をなしている量(G-I-N2)、の少なくとも1つをベースとして、出力量(A1)を確定するステップ(204)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の回路節点(N1)を通って流れる前記電流(I-N1)の特徴をなしている前記量(G-I-N1)を、第1の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構(ADC1)を使って確定するステップ(210)、前記第2の回路節点(N2)を通って流れる前記電流(I-N2)の特徴をなしている前記量(G-I-N2)を、第2の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構(ADC2)を使って確定するステップ(212)を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の回路節点(N1)を通って流れる前記電流(I-N1)の特徴をなしている前記量(G-I-N1)と、前記第2の回路節点(N2)を通って流れる前記電流(I-N2)の特徴をなしている前記量(G-I-N2)との差(DIFF)を、差動型の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構(ADC’)を使って確定するステップ(220)を有する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の入力量(E1)がバイナリ量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の入力量(E2)がバイナリ量であり、例えば前記第2の入力量(E2)が、符号、例えば「プラス」または「マイナス」の特徴をなしている、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の入力量(E1)を第2のトランジスタ(110-2)の制御電極(110-2a)に印加するステップ(234)を有し、これに関し、前記電流導出機構(120a)は、前記第2の入力量(E2)が第1の状態を有する場合に、前記第1のトランジスタ(110-1)の前記負荷区間(110-1-LS)を前記第1の回路節点(N1)と、前記第2のトランジスタ(110-2)の負荷区間(110-2-LS)を前記第2の回路節点(N2)と接続するために形成されており、かつ前記電流導出機構(120a)は、前記第2の入力量(E2)が第2の状態を有する場合に、前記第1のトランジスタ(110-1)の前記負荷区間(110-1-LS)を前記第2の回路節点(N2)と、前記第2のトランジスタ(110-2)の前記負荷区間(110-2-LS)を前記第1の回路節点(N1)と接続するために形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電界効果トランジスタFETを、前記第1のトランジスタ(110-1)および/または1つのもしくは前記第2のトランジスタ(110-2)として使用するステップ(240)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
強誘電体電界効果トランジスタFeFETを、前記第1のトランジスタ(110-1)および/または1つのもしくは前記第2のトランジスタ(110-2)として使用するステップ(242)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
以下の要素、すなわちa)前記第1の入力量(E1)をベースとした、少なくとも前記第1のトランジスタ(110-1)の閾値電圧(UTH)の調整(250)、例えばプログラミング、b)前記第1のトランジスタ(110-1)の閾値電圧の、第1の、例えば比較的低い値(W1)への調整(252)、c)前記第2のトランジスタ(110-2)の閾値電圧の、第2の、例えば比較的高い値(W2)への調整(254)、の少なくとも1つを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも前記第1のトランジスタ(110-1)および/または前記第1の入力量(E1)を使ってターナリ量の数値(BETR)を特徴づける、例えばコード化するステップ(260)、前記第2の入力量(E2)を使って前記ターナリ量の符号(VZ)を特徴づける、例えばコード化するステップ(262)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置(100;100a)。
【請求項13】
前記第1のトランジスタ(110-1)、前記電流導出機構(120;120a)、および任意選択で少なくとも1つのまたは前記第2のトランジスタ(110-2)を有し、例えば前記装置(100;100a)が、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法の少なくとも1つの態様をコントロールするためのコントロール装置(130;300)を有する、請求項12に記載の装置(100;100a)。
【請求項14】
前記第1のトランジスタ(110-1)および前記第2のトランジスタ(110-2)が設けられており、前記第1のトランジスタ(110-1)および前記第2のトランジスタ(110-2)の制御電極(110-1a、110-2a)に前記第1の入力量(E1)を印加でき、例えば、前記第1のトランジスタ(110-1)と前記第2のトランジスタ(110-2)の前記制御電極(110-1a、110-2a)が相互に接続されている、請求項12または13に記載の装置(100a)。
【請求項15】
a)前記第1のトランジスタ(110-1)の負荷区間(110-1-LS)の第1の端子(110-1b)が、前記電流導出機構(120a)の第1の端子(120a-1)と接続されており、かつ/またはb)前記第1のトランジスタ(110-1)の負荷区間(110-1-LS)の第2の端子(110-1c)が、第1の基準電位(BP-1)、例えば接地電位と接続されており、かつ/またはc)前記第2のトランジスタ(110-2)の負荷区間(110-2-LS)の第1の端子(110-2b)が、前記電流導出機構(120a)の第2の端子(120a-2)と接続されており、かつ/またはd)前記第2のトランジスタ(110-2)の負荷区間(110-2-LS)の第2の端子(110-2c)が、前記第1の基準電位(BP-1)と接続されている、請求項14に記載の装置(100a)。
【請求項16】
前記電流導出機構(120a)が第1のトランジスタ(122a)を有し、前記電流導出機構(120a)の前記第1の端子(120a-1)が、前記第1のトランジスタ(122a)により、前記第2の入力量(E2)をベースとして選択的に前記第2の回路節点(N2)と接続可能であり、前記電流導出機構(120a)が第2のトランジスタ(122b)を有し、前記電流導出機構(120a)の前記第1の端子(120a-1)が、前記第2のトランジスタ(122b)により、前記第2の入力量(E2)をベースとして選択的に前記第1の回路節点(N1)と接続可能である、請求項15に記載の装置(100a)。
【請求項17】
前記電流導出機構(120a)が第3のトランジスタ(122c)を有し、前記電流導出機構(120a)の前記第2の端子(120a-2)が、前記第3のトランジスタ(122c)により、前記第2の入力量(E2)をベースとして選択的に前記第2の回路節点(N2)と接続可能であり、前記電流導出機構(120a)が第4のトランジスタ(122d)を有し、前記電流導出機構(120a)の前記第2の端子(120a-2)が、前記第4のトランジスタ(122d)により、前記第2の入力量(E2)をベースとして選択的に前記第1の回路節点(N1)と接続可能である、請求項16に記載の装置(100a)。
【請求項18】
請求項12~17のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(100;100a)を有する計算機構、例えばベクトル行列乗算機構(VMM)。
【請求項19】
コンピュータ(302)による実行時に前記コンピュータ(302)に請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令(PRG’)を含むコンピュータ可読のメモリ媒体(SM)。
【請求項20】
コンピュータ(302)によるプログラム(PRG)の実行時に前記コンピュータ(302)に請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム(PRG)。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラム(PRG)を伝送し、かつ/または請求項20に記載のコンピュータプログラム(PRG)の特徴をなしているデータキャリア信号(DCS)。
【請求項22】
以下の態様、すなわち、
a)例えばターナリ値の、例えば重みのコード化(401)、
b)例えば二項または三項の乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)を実行するための回路の提供(402)、
c)三項の乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)を実行するための、例えばFeFETタイプのトランジスタの利用(403)、
d)ターナリ人工ニューラルネットワークの推論の加速(404)、例えばハードウェアベースの加速、
の少なくとも1つのための、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法および/または請求項12~17のいずれか一項に記載の装置(100;100a)および/または請求項18に記載の計算機構(VMM)および/または請求項19に記載のコンピュータ可読のメモリ媒体(SM)および/または請求項20に記載のコンピュータプログラム(PRG)および/または請求項21に記載のデータキャリア信号(DCS)の使用(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力量を処理するための方法に関する。
本開示はさらに、入力量を処理するための装置に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
例示的な実施形態は、入力量を処理するための方法、例えばコンピュータに実装された方法であって、第1の入力量を第1のトランジスタの制御電極に印加するステップ、第2の入力量を電流導出機構に印加するステップを有し、この電流導出機構が、第2の入力量をベースとして第1のトランジスタの負荷区間を選択的に第1の回路節点または第2の回路節点と接続するために形成されている、方法に関する。これは、さらなる例示的な実施形態では、入力量の処理を可能にする。
【0003】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、以下の要素、すなわちa)第1の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量、b)第2の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量、の少なくとも1つをベースとして、出力量を確定するステップを有することが企図されている。
【0004】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、第1の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量を、第1の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構を使って確定するステップ、第2の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量を、第2の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構を使って確定するステップを有することが企図されている。
【0005】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、第1の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量と、第2の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量との差を、差動型の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構を使って確定するステップを有することが企図されている。
【0006】
さらなる例示的な実施形態では、第1の入力量はバイナリ量であることが企図されている。
さらなる例示的な実施形態では、第2の入力量はバイナリ量であり、例えば第2の入力量は、符号、例えば「プラス」または「マイナス」の特徴をなしていることが企図されている。したがってこのようにして例えばターナリ(3進数)量を処理でき、このターナリ量は、例えば3つの値「-1」、「0」、「1」をとり得る。
【0007】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、第1の入力量を第2のトランジスタの制御電極に印加するステップを有し、これに関し電流導出機構は、第2の入力量が第1の状態を有する場合に、第1のトランジスタの負荷区間を第1の回路節点と、第2のトランジスタの負荷区間を第2の回路節点と接続するために形成されており、かつ電流導出機構は、第2の入力量が第2の状態を有する場合に、第1のトランジスタの負荷区間を第2の回路節点と、第2のトランジスタの負荷区間を第1の回路節点と接続するために形成されていることが企図されている。
【0008】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、電界効果トランジスタFET、例えばMOSFETを、第1のトランジスタおよび/または1つのもしくは第2のトランジスタとして使用するステップを有することが企図されている。
【0009】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、強誘電体電界効果トランジスタFeFETを、第1のトランジスタおよび/または1つのもしくは第2のトランジスタとして使用するステップを有することが企図されている。
【0010】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、以下の要素、すなわちa)第1の入力量をベースとした、少なくとも第1のトランジスタの閾値電圧の調整、例えばプログラミング、b)第1のトランジスタの閾値電圧の、第1の、例えば比較的低い値への調整(例えば第1の入力量の可能な値に対して)、c)第2のトランジスタの閾値電圧の、第2の、例えば比較的高い値への調整(例えば第1の入力量の可能な値に対して)、の少なくとも1つを有することが企図されている。
【0011】
さらなる例示的な実施形態では、本方法は、少なくとも第1のトランジスタおよび/または第1の入力量を使ってターナリ量の数値を特徴づける、例えばコード化するステップ、第2の入力量を使ってターナリ量の符号(例えばプラス、「+」またはマイナス、「-」)を特徴づける、例えばコード化するステップを有することが企図されている。
【0012】
さらなる例示的な実施形態は、実施形態に基づく方法を実行するための装置に関する。
さらなる例示的な実施形態では、本装置は、第1のトランジスタ、電流導出機構、および任意選択で少なくとも1つのまたは第2のトランジスタを有し、例えば本装置は、実施形態に基づく方法の少なくとも1つの態様をコントロールするためのコントロール装置を有することが企図されている。
【0013】
さらなる例示的な実施形態では、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタが設けられており、この第1のトランジスタおよび第2のトランジスタの制御電極に第1の入力量を印加でき、例えば、第1のトランジスタと第2のトランジスタの制御電極が相互に接続されていることが企図されている。
【0014】
さらなる例示的な実施形態では、a)第1のトランジスタの負荷区間の第1の端子が、電流導出機構の第1の端子と接続されており、かつ/またはb)第1のトランジスタの負荷区間の第2の端子が、第1の基準電位、例えば接地電位と接続されており、かつ/またはc)第2のトランジスタの負荷区間の第1の端子が、電流導出機構の第2の端子と接続されており、かつ/またはd)第2のトランジスタの負荷区間の第2の端子が、第1の基準電位と接続されていることが企図されている。
【0015】
さらなる例示的な実施形態では、電流導出機構が第1のトランジスタを有し、電流導出機構の第1の端子は、この第1のトランジスタにより、第2の入力量をベースとして選択的に第2の回路節点と接続可能であり、電流導出機構が第2のトランジスタを有し、電流導出機構の第1の端子は、この第2のトランジスタにより、第2の入力量をベースとして選択的に第1の回路節点と接続可能であることが企図されている。
【0016】
さらなる例示的な実施形態では、電流導出機構が第3のトランジスタを有し、電流導出機構の第2の端子は、この第3のトランジスタにより、第2の入力量をベースとして選択的に第2の回路節点と接続可能であり、電流導出機構が第4のトランジスタを有し、電流導出機構の第2の端子は、この第4のトランジスタにより、第2の入力量をベースとして選択的に第1の回路節点と接続可能であることが企図されている。
【0017】
さらなる例示的な実施形態は、実施形態に基づく少なくとも1つの装置を有する計算機構、例えばベクトル行列乗算機構に関する。
さらなる例示的な実施形態は、コンピュータによる実行時にコンピュータに実施形態に基づく方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読のメモリ媒体に関する。
【0018】
さらなる例示的な実施形態は、コンピュータによるプログラムの実行時にコンピュータに実施形態に基づく方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
さらなる例示的な実施形態は、実施形態に基づくコンピュータプログラムを伝送し、かつ/または実施形態に基づくコンピュータプログラムの特徴をなしているデータキャリア信号に関する。
【0019】
さらなる例示的な実施形態は、以下の態様、すなわちa)例えばターナリ値の、例えば重みのコード化、b)例えば二項または三項の乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)を実行するための回路の提供、c)三項の乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)を実行するための、例えばFeFETタイプのトランジスタの利用、d)ターナリ人工ニューラルネットワークの推論の加速、例えばハードウェアベースの加速、の少なくとも1つのための、実施形態に基づく方法および/または実施形態に基づく装置および/または実施形態に基づく計算機構および/または実施形態に基づくコンピュータ可読のメモリ媒体および/または実施形態に基づくコンピュータプログラムおよび/または実施形態に基づくデータキャリア信号の使用に関する。
【0020】
本発明のさらなる特徴、適用可能性、および利点は、図面の図に示した本発明の例示的実施形態の以下の説明から明らかである。これに関し、全ての説明されるまたは図示される特徴は、請求項またはその関連部分でのまとまりとは関係なく、および明細書または図面での表現または表示とは関係なく、単独でまたは任意の組合せで、本発明の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。
図2】例示的な実施形態に基づく簡易ブロック図を概略的に示す図である。
図3】例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。
図4】例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。
図5】例示的な実施形態に基づく簡易回路図を概略的に示す図である。
図6】例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。
図7】例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。
図8図8Aは例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。図8Bは例示的な実施形態に基づく簡易フロー図を概略的に示す図である。
図9】例示的な実施形態に基づく簡易回路図を概略的に示す図である。
図10】例示的な実施形態に基づく簡易ブロック図を概略的に示す図である。
図11】さらなる例示的な実施形態に基づく簡易ブロック図を概略的に示す図である。
図12】例示的な実施形態に基づく使用の態様を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示的な実施形態(図1図2を参照)は、入力量を処理するための方法、例えばコンピュータに実装された方法であって、第1の入力量E1を第1のトランジスタ110-1の制御電極110-1a(図2)に印加するステップ200、第2の入力量E2を電流導出機構120に印加するステップ202(図1)を有し、この電流導出機構120が、第2の入力量E2をベースとして第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LSを選択的に第1の回路節点N1または第2の回路節点N2と接続するために形成されている方法に関する。これは、さらなる例示的な実施形態では、例えば後で例示的に詳しく解説する計算を実行するための、入力量E1、E2の処理を可能にする。
【0023】
例えば、電流導出機構120は、負荷区間110-1-LSの第1の端子(図2では示されていない)と接続されており、負荷区間110-1-LSの第2の端子は、基準電位BP-1、例えば接地電位と接続されている。こうすることで、例えば必要に応じて負荷区間110-1-LSを通って流れる電流I-110-LS(例えば第1の入力量E1による第1のトランジスタ110-1の相応の制御の場合に)が、第2の入力信号E2をベースとして、選択的に第1の回路節点N1または第2の回路節点N2から導出され得る(図2に基づく電流I-N1、I-N2を参照)。
【0024】
さらなる例示的な実施形態、図1では、本方法は、以下の要素、すなわちa)第1の回路節点N1(図2)を通って流れる電流I-N1の特徴をなしている量G-I-N1、b)第2の回路節点N2を通って流れる電流I-N2の特徴をなしている量G-I-N2、の少なくとも1つをベースとして、出力量A1を確定するステップ204を有することが企図されている。さらなる例示的な実施形態では、出力量A1または出力量A1の値は、以下の要素、すなわちa)第1の入力量E1、b)第2の入力量E2、c)第1のトランジスタ110-1の特性、の少なくとも1つに依存する。
【0025】
さらなる例示的な実施形態では、量G-I-N1、G-I-N2は、例えば直接的にそれぞれの電流、例えば電流のそれぞれの経時的推移であり得る。さらなる例示的な実施形態では、量G-I-N1、G-I-N2は、例えばそれぞれの電流I-N1、I-N2と関連付けられた電圧であってもよい。
【0026】
さらなる例示的な実施形態、図3では、本方法は、第1の回路節点N1を通って流れる電流I-N1の特徴をなしている量G-I-N1を、第1の、例えば電流ベースの(または電流駆動型の)アナログ/デジタル変換機構ADC1(図2)を使って確定するステップ210、第2の回路節点N2を通って流れる電流I-N2の特徴をなしている量G-I-N2を、第2の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構ADC2を使って確定するステップ212を有することが企図されている。図3に基づく任意選択のブロック214は、例えばブロック210およびブロック212に基づいて得られた情報をベースとした、出力量A1の確定を象徴している。
【0027】
さらなる例示的な実施形態、図4では、本方法は、第1の回路節点N1を通って流れる電流I-N1の特徴をなしている量G-I-N1と、第2の回路節点N2を通って流れる電流I-N2の特徴をなしている量G-I-N2との差DIFFを、差動型の、例えば電流ベースのアナログ/デジタル変換機構ADC’を使って確定するステップ220を有することが企図されている。図4に基づく任意選択のブロック222は、例えばブロック220に基づいて得られた情報DIFFをベースとした、出力量A1の確定を象徴している。
【0028】
さらなる例示的な実施形態では、第1の入力量E1はバイナリ量であり、例えば値1もしくは0または論理的1もしくは論理的0をとり得ることが企図されている。これにより、さらなる例示的な実施形態では、制御電極110-1aが第1の入力量の値「1」に基づいて制御される場合、第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LSが例えば低抵抗になる。これにより、さらなる例示的な実施形態では、制御電極110-1aが第1の入力量の値「0」に基づいて制御される場合、第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LSが例えば高抵抗になる。
【0029】
さらなる例示的な実施形態では、第2の入力量E2はバイナリ量であり、例えば第2の入力量は、符号、例えば「プラス」または「マイナス」の特徴をなしていることが企図されている。したがってこのようにして、図2に基づく装置100により、例えばターナリ量を処理でき、このターナリ量は、例えば3つの値「-1」、「0」、「1」をとり得る。
【0030】
さらなる例示的な実施形態では、図2に基づく構成110-1、120を、例えばさらなるトランジスタおよび/または電流導出機構(不図示)と組み合わせることができ、この場合、例えば、さらなるトランジスタおよび/または電流導出機構も、(例えばさらなる電流導出機構に対する相応の第2の入力量をベースとして)第1または第2の回路節点N1、N2に作用し、これにより例えば、異なるトランジスタの電流を組み合わせる、例えば足し算することができる。これにより、さらなる例示的な実施形態では、例えば乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)演算が、ハードウェアベースで実行され得る。
【0031】
さらなる例示的な実施形態(図5図6を参照)では、装置100aにおいて例示的に2つのトランジスタ110-1、110-2が使用され、これらのトランジスタ110-1、110-2が両方とも電流導出機構120a(図5)と接続されている。例示的な方法は図6で象徴されている。例えば、本方法は、第1の入力量E1を第2のトランジスタ110-2の制御電極110-2a(図5)に印加するステップ234を有し、これに関し電流導出機構120aは、第2の入力量E2が第1の状態を有する場合に、第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LSを第1の回路節点N1と、第2のトランジスタ110-2の負荷区間110-2-LSを第2の回路節点N2と接続するために形成されており、電流導出機構120aは、第2の入力量E2が第2の状態を有する場合に、第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LSを第2の回路節点N2と、第2のトランジスタ110-2の負荷区間110-2-LSを第1の回路節点N1と接続するために形成されていることが企図されている。
【0032】
任意選択で、図6に基づく方法は、例えば図1に基づくステップ200、202に相当するさらなるステップ230、232を有する。
例示的に、ブロック230、232、234をベースとして、図6に基づくブロック236で出力量A1’を確定でき、出力量A1’は、例えば図1のブロック204に基づく出力量A1の確定に倣って、例えば入力量E1、E2および場合によってはトランジスタ110-1、110-2の特性(例えば閾値電圧、低抵抗状態の抵抗...)に依存する。
【0033】
さらなる例示的な実施形態、図7では、本方法は、電界効果トランジスタFET、例えばMOSFETを、第1のトランジスタ110-1および/または1つのもしくは第2のトランジスタ110-2として使用するステップ240を有することが企図されている。
【0034】
さらなる例示的な実施形態、図7では、本方法は、強誘電体電界効果トランジスタFeFETを、第1のトランジスタ110-1および/または1つのもしくは第2のトランジスタ110-2として使用するステップ242を有することが企図されている。
【0035】
さらなる例示的な実施形態、図8Aでは、本方法は、以下の要素、すなわちa)第1の入力量E1をベースとした、少なくとも第1のトランジスタ110-1(または例えば両方のトランジスタ110-1、110-2)の閾値電圧UTHの調整、例えばプログラミング250(例えばトランジスタ110-1、110-2をFeFETとして形成する場合)、b)第1のトランジスタ110-1の閾値電圧の、第1の、例えば比較的低い値W1への調整252(例えば第1の入力量E1の可能な値に対して)、c)第2のトランジスタ110-2の閾値電圧の、第2の、例えば比較的高い値W2への調整254(例えば第1の入力量E1の可能な値に対して)、の少なくとも1つを有することが企図されている。
【0036】
さらなる例示的な実施形態、図8Bでは、本方法は、少なくとも第1のトランジスタ110-1および/または第1の入力量E1を使ってターナリ量の数値BETRを特徴づける、例えばコード化するステップ260、第2の入力量E2を使ってターナリ量の符号VZ(例えばプラス、「+」またはマイナス、「-」)を特徴づける、例えばコード化するステップ262を有することが企図されている。
【0037】
さらなる例示的な実施形態、図2図5は、実施形態に基づく方法を実行するための装置100、100aに関する。
さらなる例示的な実施形態では、装置100、100aは、第1のトランジスタ110-1、電流導出機構120、120a、および任意選択で少なくとも1つのまたは第2のトランジスタ110-2を有し、例えば装置100、100aは、実施形態に基づく方法の少なくとも1つの態様をコントロールするための任意選択のコントロール装置130を有することが企図されている。
【0038】
さらなる例示的な実施形態、図5では、第1のトランジスタ110-1および第2のトランジスタ110-2が設けられており(例えばそれぞれFeFETとして形成される)、この第1のトランジスタ110-1および第2のトランジスタ110-2の制御電極110-1a、110-2aに第1の入力量E1を印加でき、例えば、第1のトランジスタ110-1と第2のトランジスタ110-2の制御電極110-1a、110-2aが相互に接続されていることが企図されている。
【0039】
さらなる例示的な実施形態では、a)第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LS(例えばドレイン・ソース区間)の第1の端子110-1bが、電流導出機構120aの第1の端子120a-1と接続されており、かつ/またはb)第1のトランジスタ110-1の負荷区間110-1-LSの第2の端子110-1cが、1つのもしくは第1の基準電位、例えば接地電位BP-1と接続されており、かつ/またはc)第2のトランジスタ110-2の負荷区間110-2-LSの第1の端子110-2bが、電流導出機構120aの第2の端子120a-2と接続されており、かつ/またはd)第2のトランジスタ110-2の負荷区間110-2-LSの第2の端子110-2cが、第1の基準電位BP-1と接続されていることが企図されている。これにより、トランジスタ110-1、110-2は、なかでも第1の入力量E1を、および第2の入力量E2をベースとして、必要に応じて電流を、電流導出機構120aを介して回路節点N1、N2から接地電位BP-1へ導出し得る。
【0040】
さらなる例示的な実施形態、図5では、電流導出機構120aが第1のトランジスタ122aを有し、電流導出機構120aの第1の端子120a-1は、この第1のトランジスタ122aにより、第2の入力量E2をベースとして選択的に第2の回路節点N2と接続可能であり、電流導出機構120aが第2のトランジスタ122bを有し、電流導出機構120aの第1の端子120a-1は、この第2のトランジスタ122bにより、第2の入力量E2をベースとして選択的に第1の回路節点N1と接続可能であることが企図されている。
【0041】
さらなる例示的な実施形態、図5では、電流導出機構120aが第3のトランジスタ122cを有し、電流導出機構120aの第2の端子120a-2は、この第3のトランジスタ122cにより、第2の入力量E2をベースとして選択的に第2の回路節点N2と接続可能であり、電流導出機構120aが第4のトランジスタ122dを有し、電流導出機構120aの第2の端子120a-2は、この第4のトランジスタ122dにより、第2の入力量E2をベースとして選択的に第1の回路節点N1と接続可能であることが企図されている。
【0042】
さらなる例示的な実施形態では、電流導出機構120aの第1のトランジスタ122aが、例えばPMOSタイプの例えばFETである。さらなる例示的な実施形態では、電流導出機構120aの第2のトランジスタ122bが、例えばNMOSタイプの例えばFETである。さらなる例示的な実施形態では、電流導出機構120aの第3のトランジスタ122cが、例えばNMOSタイプの例えばFETである。さらなる例示的な実施形態では、電流導出機構120aの第4のトランジスタ122dが、例えばPMOSタイプの例えばFETである。
【0043】
さらなる例示的な実施形態では、第1のトランジスタ110-1が、例えばNMOSベースのFeFETであり、例えば第2のトランジスタ110-2も同様である。
さらなる例示的な実施形態では、図5に基づく装置100aを、例えばMAC演算の実行に使用でき、このMAC演算は、例えばニューラルネットワークの評価(推論)に使用可能である。例えば、ターナリ入力特徴が、(例えば数値、例えば1または0のための)第1の入力量E1および(例えば符号「+」または「-」のための)第2の入力量E2によってコード化可能であり、これに関し、例えばFeFETの閾値電圧の相応のプログラミングにより、例えば重みをFeFET110-1、110-2によってコード化可能である。
【0044】
さらなる例示的な実施形態、図5では、両方のFeFETが、それらが例えば論理的「1」の値の特徴をなすべき場合、例えば論理的「1」の値を記憶するべき場合に、比較的低い閾値電圧(low voltage threshold mode、LVT)へプログラミングされる。この状況ではFeFET110-1、110-2は、例えば、ゼロにならない(nichtverschwindend)ゲート電圧が当該ゲート電極110-1a、110-2aに印加される場合にアクティブ化し得る(低抵抗状態に移り得る)。
【0045】
さらなる例示的な実施形態、図5では、両方のFeFETが、それらが例えば論理的「0」の値の特徴をなすべき場合、例えば論理的「0」の値を記憶するべき場合に、例えば比較的高い閾値電圧(high voltage threshold mode、HVT)へプログラミングされる。この状況ではFeFET110-1、110-2は、例えば、ゼロにならないゲート電圧が印加される場合にアクティブ化し得ない。
【0046】
さらなる例示的な実施形態では、「1」は、例えば、両方のFeFETの第1のFeFET、ここでは例えば第1のFeFET110-1がLVTで、つまり比較的低い閾値電圧へプログラミングされ、かつ両方のFeFETの第2のFeFET、ここでは例えば第2のFeFET110-2がHVTで、つまり比較的高い閾値電圧へプログラミングされることによってコード化される。
【0047】
さらなる例示的な実施形態では、例えば、値「論理的1」がFeFET110-1のLVTへのプログラミングおよびFeFET110-2のHVTへのプログラミングによってコード化されると仮定する場合、例えば「-1」の値は、両方のFeFET110-1、110-2の状態の反転によって、つまりFeFET110-1のHVTへのプログラミングおよびFeFET110-2のLVTへのプログラミングによってコード化され得る。
【0048】
上で既に説明したように、電流導出機構120aは、例示的な実施形態では、第2の入力量E2をベースとして、FeFET110-1、110-2のそれぞれの負荷区間110-1-LS、110-2-LSの、回路節点N1、N2との選択的な接続を可能にする。これにより、さらなる例示的な実施形態では、両方の回路節点N1、N2の第1の回路節点が、例えば、正の値、例えば「+1」と関連付けられた処理結果または計算結果を「集める」、つまり組み合わせることができ(それぞれの電流の足し算により)、両方の回路節点N1、N2の第2の回路節点が、例えば、負の値、例えば「-1」と関連付けられた処理結果または計算結果を「集める」、つまり組み合わせることができる(それぞれの電流の足し算により)。
【0049】
さらなる実施形態では、例えば、上で例示的に説明した2つのFeFET110-1、110-2より多く設けることができ、その際、さらなるFeFETはそのそれぞれの負荷区間を、図5と同等のやり方で、例えば相応のさらなる電流導出機構を介し、回路節点N1、N2と接続可能であり(不図示、図5の右側の鉛直な点々を参照)、これにより、回路節点N1、N2でそれぞれの電流が合計される。
【0050】
さらなる例示的な実施形態では、回路節点N1、N2を通る電流I-N1、I-N2を捕捉するために、差動型アナログ/デジタル変換機構ADC’が使用されることが好ましく、なぜならこれにより、例えば一時的に非アクティブ化されたFeFETによるリーク電流を排除でき、したがって出力量A1、A1’がこれによって害されないからである。
【0051】
さらなる例示的な実施形態では、FeFET110-1、110-2を、例えば、そのそれぞれの閾値電圧に関するさらなる(例えば上で例示的に挙げた2つとは)異なる値でプログラミングすることもでき、これにより、入力量の処理にさらなる自由度が生じる。例示的に、このような構成では例えば値「-2」、「-1」、「0」、「1」、「2」がコード化可能である。
【0052】
さらなる例示的な実施形態、図9では、少なくとも1つのトランジスタ110-1(図2図5も参照)に、メモリスティブ要素12bを割り当てることができ、メモリスティブ要素12bは、例えば、そのメモリ値または抵抗値をベースとして、トランジスタ110-1のゲート電極110-1aのための充電電流I-Lに影響を及ぼし得る。図9は、これに加えて例示的に電圧源12aを示しており、電圧源12aは、トランジスタ110-1のゲート電極110-1aのための充電電圧V-1を提供し、この充電電圧V-1は、図示したように、トランジスタ110-1のゲート電極110-1aのためのメモリスティブ要素12bを介して提供可能である。例示的に図9に示した構成12は、さらなる例示的な実施形態では、例えば第1の入力量E1(図2)の提供のためまたは影響を及ぼすために、装置100、100aの1つまたは複数のトランジスタ110-1、110-2、...に使用され得る。
【0053】
図10は、例示的な実施形態に基づく構成300の簡易ブロック図を概略的に示しており、構成300を使って、例えば、任意選択のコントロール装置130(図2図5)が実現可能である。
【0054】
構成または装置300は、例えば、少なくとも1つの計算コアを備えた計算機構(「コンピュータ」)302を有し、計算機構302に割り当てられたメモリ機構304を、以下の要素、すなわちa)データDAT(例えば第1の入力量E1および/または第2の入力量E2および/または出力量A1、A1’に関連付けられたデータ)、b)例えば実施形態に基づく方法を実行するためのコンピュータプログラムPRG、の少なくとも1つを少なくとも一時的に記憶するために有する。
【0055】
さらなる例示的な実施形態では、メモリ機構304は、揮発性メモリ(例えばメインメモリ(RAM))304a、および/もしくは不揮発性(NVM)メモリ(例えばフラッシュEEPROM)304b、またはこれらの組合せもしくはその他の明確には挙げていないメモリタイプとの組合せを有する。
【0056】
さらなる例示的な実施形態、図10は、コンピュータ302による実行時にコンピュータ302に実施形態に基づく方法を実行させる命令PRG’を含むコンピュータ可読のメモリ媒体SMに関する。
【0057】
さらなる例示的な実施形態は、コンピュータ302によるプログラムPRG、PRG’の実行時にコンピュータ302に実施形態に基づく方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムPRG、PRG’に関する。
【0058】
さらなる例示的な実施形態はデータキャリア信号DCSに関し、データキャリア信号DCSは、実施形態に基づくコンピュータプログラムPRG、PRG’の特徴をなしており、かつ/または実施形態に基づくコンピュータプログラムPRG、PRG’を伝送する。データキャリア信号DCSは、例えば、装置300の任意選択のデータインターフェイス306を介して受信可能である。
【0059】
さらなる例示的な実施形態では、装置300が、例えば少なくとも一時的に、以下の態様、すなわちa)第1の入力量E1の提供、b)第2の入力量E2の提供、c)出力量A1、A1’の確定、d)場合によっては存在するFeFETのプログラミング(例えばFeFETの閾値電圧)、e)場合によっては存在するメモリスティブ要素12bのプログラミング、の少なくとも1つをコントロールし得る。
【0060】
さらなる例示的な実施形態、図11は、実施形態に基づく少なくとも1つの装置100、100aを有する計算機構、例えばベクトル行列乗算機構VMMに関する。さらなる例示的な実施形態では、第1および/または第2の入力量E1、E2を、例えばベクトル行列乗算の態様または部分態様に割り当てることができ、このベクトル行列乗算の態様または部分態様は、(場合によっては相応の数のさらなるトランジスタおよび/または電流導出機構を補充した)装置100、100aを使用して実行でき、例えばハードウェアベースで実行できる。
【0061】
さらなる例示的な実施形態、図12は、以下の態様、すなわちa)例えばターナリ値の、例えば人工ニューラルネットワークのための例えば重みのコード化401、b)例えば二項または三項の乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)を実行するための回路の提供402、c)三項の乗算演算および/または累算演算、例えばmultiply and accumulate(MAC)を実行するための、例えばFeFETタイプのトランジスタの利用403、d)例えばターナリ人工ニューラルネットワークの推論の加速404、例えばハードウェアベースの加速、の少なくとも1つのための、実施形態に基づく方法および/または実施形態に基づく装置100、100aおよび/または実施形態に基づく計算機構VMMおよび/または実施形態に基づくコンピュータ可読のメモリ媒体SMおよび/または実施形態に基づくコンピュータプログラムPRG、PRG’および/または実施形態に基づくデータキャリア信号DCSの使用400に関する。
【0062】
例示的に、図5に基づく装置100aは、例えば以下の計算、すなわち1*1=1を実行するために使用でき、これに関し「*」はスカラー乗算演算子であり、0*1=0、1*0=0、0*-1=0、-1*0=0、1*-1=-1、-1*1=-1、-1*-1=1である。
【0063】
当出願を主導するプロジェクトはECSEL協同事業(JU)の助成合意書番号826655で助成を受けている。同協同事業は、欧州連合の研究・イノベーションプログラム「ホライズン2020」およびベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スイスからの支援を受けている。
【符号の説明】
【0064】
100;100a 装置
110-1 第1のトランジスタ
110-1a 第1のトランジスタの制御電極
110-1b 第1のトランジスタの負荷区間の第1の端子
110-1c 第1のトランジスタの負荷区間の第2の端子
110-1-LS 第1のトランジスタの負荷区間
110-2 第2のトランジスタ
110-2a 第2のトランジスタの制御電極
110-2b 第2のトランジスタの負荷区間の第1の端子
110-2c 第2のトランジスタの負荷区間の第2の端子
110-2-LS 第2のトランジスタの負荷区間
120;120a 電流導出機構
120a-1 電流導出機構の第1の端子
120a-2 電流導出機構の第2の端子
122a 電流導出機構の第1のトランジスタ
122b 電流導出機構の第2のトランジスタ
122c 電流導出機構の第3のトランジスタ
122d 電流導出機構の第4のトランジスタ
130;300 コントロール装置
300 構成または装置
302 コンピュータ
304 メモリ機構
306 データインターフェイス
A1;A1’ 出力量
ADC1 第1のアナログ/デジタル変換機構
ADC2 第2のアナログ/デジタル変換機構
ADC’ 差動型アナログ/デジタル変換機構
BETR ターナリ量の数値
BP-1 第1の基準電位
DCS データキャリア信号
DIFF 第1の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量と、第2の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量との差
E1 第1の入力量
E2 第2の入力量
G-I-N1 第1の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量
G-I-N2 第2の回路節点を通って流れる電流の特徴をなしている量
I-N1 第1の回路節点を通って流れる電流
I-N2 第2の回路節点を通って流れる電流
N1 第1の回路節点
N2 第2の回路節点
PRG コンピュータプログラム
PRG’ 命令
SM メモリ媒体
UTH 閾値電圧
VMM ベクトル行列乗算機構
VZ ターナリ量の符号
W1 第1の値
W2 第2の値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】