(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160212
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】半導体素子における放射線誘発エラー検出
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20241106BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20241106BHJP
G11C 29/52 20060101ALI20241106BHJP
H03K 19/003 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 T
H10B99/00 491
G11C29/52
H03K19/003
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024070337
(22)【出願日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】18/307,743
(32)【優先日】2023-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クレーメン, マーク ジョーセフ, ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】キャノン, イーサン
(72)【発明者】
【氏名】カバナス-ホルメン, マニュエル エフ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体素子における放射線誘発エラーを検出する方法及び該半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子100は、イオン化放射線90、90aを受ける基板102、複数の論理回路104、複数の完全セル106及び収集回路108を有する。複数の論理回路は、複数の論理機能105を実行し、基板上のエリア112内に配置され、イオン化放射線による可能な破損を個々に被り易い。各完全セルは、所定の状態109に初期化され、基板上のエリア内に配置され、複数の論理回路に隣接するパターンに配置され、イオン化放射線に応じて所定の状態の破壊を個々に被り易い。収集回路は、基板上に配置され、複数の完全セルを読み出し、複数の完全セルのうちの隣接する1つにおける不正確な状態を読み出したことに応じて、イオン化放射線による複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を特定するレポート信号116をアサートする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子(100)であって、
イオン化放射線(90a)を受ける基板(102)、
複数の論理機能(105)を実行するように動作可能な複数の論理回路(104)であって、
前記基板(102)上のエリア(112)内に配置され、
前記イオン化放射線(90a)による可能な破損(181)を個々に被り易い、複数の論理回路(104)、
複数の完全セル(106)であって、各々が所定の状態(109)に初期化され、前記複数の完全セル(106)は、
前記基板(102)上の前記エリア(112)内に配置され、
前記複数の論理回路(104)に隣接するパターン(120)に配置され、
前記イオン化放射線(90a)に応じて前記所定の状態(109)の破壊を個々に被り易い、複数の完全セル(106)、及び
前記基板(102)上に配置された収集回路(108)であって、
前記複数の完全セル(106)を読み出し、
前記複数の完全セル(106)のうちの隣接する1つにおける不正確なビット(111)を読み出したことに応じて、前記イオン化放射線(90a)による前記複数の論理回路(104)のサブセット(124)における前記可能な破損(181)を特定するレポート信号(116)をアサートするように動作可能である、収集回路(108)を備える、半導体素子(100)。
【請求項2】
前記複数の完全セル(106)は、前記複数の論理回路(104)よりも低い電源電圧(136b)によって給電され、
より低い前記電源電圧(136b)は、前記複数の完全セル(106)が、前記イオン化放射線(90a)による前記複数の論理回路(104)の前記可能な破損(181)よりも前記イオン化放射線(90a)による破壊を被り易くなることをもたらす、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項3】
前記収集回路(108)は、前記複数の完全セル(106)のうちの特定の完全セル(106a)から前記不正確なビット(111)を読み出したことに応じて、前記特定の完全セル(106a)を前記所定の状態(109)にリセットするように更に動作可能である、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項4】
前記レポート信号(116)に応じて、前記複数の論理回路(104)の前記サブセット(124)における前記可能な破損(181)を検証するように動作可能なエラー検出及び修正回路(110)を更に備える、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項5】
前記エラー検出及び修正回路(110)は、実際の破損(187)の検証に応じて、前記複数の論理回路(104)の前記サブセット(124)における前記可能な破損(181)を修正するように更に動作可能である、請求項4に記載の半導体素子(100)。
【請求項6】
前記エラー検出及び修正回路(110)は、(i)前記複数の論理回路(104)の冗長サブセット(124b)の選択、(ii)前記サブセット(124)内のデータへのエラー修正コードの適用、(iii)前記サブセット(124)内の前記データのスクラビング、並びに(iv)前記サブセット(124)内の前記データのリセット、のうちの1以上によって、前記可能な破損(181)に応答するように動作可能である、請求項5に記載の半導体素子(100)。
【請求項7】
前記パターン(120)は、前記複数の完全セル(106)の各々を前記複数の論理回路(104)のうちの1つ目から8つ目に隣接するように配置する、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項8】
前記複数の完全セル(106)は、技術(130b)とレイアウト(132b)のうちの1以上における前記複数の論理回路(104)との差異を有し、
前記差異は、前記複数の完全セル(106)が、前記イオン化放射線(90a)による前記複数の論理回路(104)の前記可能な破損(181)よりも前記イオン化放射線(90a)による破壊を被り易くなることをもたらす、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項9】
前記複数の完全セル(106)の各々は、前記基板(102)内の約1立法マイクロメートルの体積(114)の前記イオン化放射線(90a)に感応する、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項10】
前記複数の論理回路(104)のより低い電源電圧(136b)に対する前記複数の完全セル(106)のより高い電源電圧(136a)は、複数の電界(144)を規定し、
前記複数の電界(144)は、前記イオン化放射線(90a)によって生成された複数のイオン(146、148)を前記複数の論理回路(104)から離れるように導く、請求項1に記載の半導体素子(100)。
【請求項11】
半導体素子(100)における放射線誘発エラーを検出するための方法(160)であって、
前記半導体素子(100)の基板(102)内にイオン化放射線(90a)を受けること(172)、
複数の論理回路(104)を用いて複数の論理機能(105)を実行すること(170)であって、前記複数の論理回路(104)は、
前記基板(102)上のエリア(112)内に配置され、
前記イオン化放射線(90a)による可能な破損(181)を個々に被り易い、複数の論理機能(105)を実行すること(170)、
複数の完全セル(106)の各々を所定の状態(109)に初期化すること(168)であって、前記複数の完全セル(106)は、
前記基板(102)上の前記エリア(112)内に配置され、
前記複数の論理回路(104)に隣接するパターン(120)に配置され、
前記イオン化放射線(90a)に応じて前記所定の状態(109)の破壊を個々に被り易い、所定の状態(109)に初期化すること(168)、
前記基板(102)上に配置された収集回路(108)を用いて前記複数の完全セル(106)を読み出すこと(182)、及び
前記複数の完全セル(106)のうちの隣接する1つにおける不正確なビット(111)を読み出したことに応じて、前記イオン化放射線(90a)による前記複数の論理回路(104)のサブセット(124)における前記可能な破損(181)を特定するレポート信号(116)をアサートすること(184)を含む、方法(160)。
【請求項12】
前記複数の論理回路(104)よりも低い電源電圧(136b)で前記複数の完全セル(106)に給電すること(164)を更に含み、
より低い前記電源電圧(136b)は、前記複数の完全セル(106)が、前記イオン化放射線(90a)による前記複数の論理回路(104)の前記可能な破損(181)よりも前記イオン化放射線(90a)による破壊を被り易くなることをもたらす、請求項11に記載の方法(160)。
【請求項13】
前記複数の完全セル(106)のうちの特定の完全セル(106a)から前記不正確なビット(111)を読み出したことに応じて、前記特定の完全セル(106a)を前記所定の状態(109)にリセットすること(200)を更に含む、請求項11に記載の方法(160)。
【請求項14】
前記レポート信号(116)に応じて、エラー検出及び修正回路(110)を用いて前記複数の論理回路(104)の前記サブセット(124)における前記可能な破損(181)を検証すること(186)を更に含む、請求項11に記載の方法(160)。
【請求項15】
前記エラー検出及び修正回路(110)による実際の破損(187)の検証に応じて、前記複数の論理回路(104)の前記サブセット(124)における前記可能な破損(181)を修正すること(188)を更に含む、請求項14に記載の方法(160)。
【請求項16】
前記複数の完全セル(106)の各々を用いて、前記基板(102)内の約1立法マイクロメートルの体積のイオン化放射線(90a)を検知すること(180)を更に含む、請求項11に記載の方法(160)。
【請求項17】
半導体素子(100)であって、
イオン化放射線(90a)を受ける基板(102)、
複数の論理機能(105)を実行するように動作可能な複数の論理回路(104)であって、
前記基板(102)上のエリア(112)内に配置され、
前記イオン化放射線(90a)を個々に被り易い、複数の論理回路(104)、及び
複数の完全セル(106)であって、
前記基板(102)上の前記エリア(112)内に配置され、
前記複数の論理回路(104)に隣接するパターン(120)に配置され、
前記複数の論理回路(104)に対して電圧バイアスされて、複数の電界(144)を規定し、
前記複数の電界(144)は、前記イオン化放射線(90a)によって生成された複数のイオンを前記複数の論理回路(104)から離れるように導く、複数の完全セル(106)を備える、半導体素子(100)。
【請求項18】
前記イオン化放射線(90a)は、前記基板(102)内に複数の負イオン(146)と複数の正イオン(148)を生成し、
前記複数の完全セル(106)は、前記複数の論理回路(104)よりも高い電源電圧(136a)を受け取り、
より高い前記電源電圧(136a)によって生成された前記複数の電界(144)は、前記複数の負イオン(146)を前記複数の論理回路(104)から引き離す、請求項17に記載の半導体素子(100)。
【請求項19】
前記基板(102)に配置された導電性平面(138)であって、前記複数の正イオン(148)を前記複数の論理回路(104)から引き離すように動作可能な導電性平面(138)を更に備える、請求項18に記載の半導体素子(100)。
【請求項20】
前記複数の完全セル(106)は、前記複数の論理回路(104)よりも前記イオン化放射線(90a)によってアップセットされる可能性が高い、請求項17に記載の半導体素子(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、半導体素子のデータ完全性に関し、特に、半導体素子における放射線誘発エラー検出に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 最近の半導体電子機器の中には、メモリ、論理ゲート、デジタルクロック、及びサポート回路のアレイを高度に集積したものがある。放射線環境では、電子回路が、アップセット(不調)などの「ソフト」エラーや、信頼性に影響を与える「ハード」エラーを被り易く、それらは単一ビットや単一ゲート位置に局在する可能性がある。単一の重イオン(宇宙環境などで入射する可能性がある)又は単一の二次的な重イオン(宇宙、大気中、若しくは地上で陽子や中性子などによって散乱される可能性がある)は、軌道に沿って重度にイオン化された電荷の堆積を引き起こす。この軌道は、論理回路におけるメモリエラーや機能エラーを引き起こすのに十分であり得る。
【0003】
[0003] したがって、当業者は、放射線環境において誘発されるエラーを被る半導体素子を開発する分野で研究開発の努力を続けている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 半導体素子が本明細書で提供される。半導体素子は、基板、複数の論理回路、複数の完全セル、及び収集回路を含む。基板は、イオン化放射線を受ける。複数の論理回路は、複数の論理機能を実行するように動作可能である。複数の論理回路は、基板上のエリア内に配置され、イオン化放射線による可能な破損を個々に被り易い。複数の完全セルは、各々、所定の状態に初期化されている。複数の完全セルは、基板上のエリア内に配置され、複数の論理回路に隣接するパターンに配置され、イオン化放射線に応じて所定の状態の破壊を個々に被り易い。収集回路は、基板上に配置されている。収集回路は、複数の完全セルを読み出し、複数の完全セルのうちの隣接する1つにおける不正確なビットを読み出したことに応じて、イオン化放射線による複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を特定するレポート信号をアサートするように動作可能である。
【0005】
[0005] 半導体素子の1以上の実施形態では、複数の完全セルが、複数の論理回路よりも低い電源電圧によって給電され、より低い電源電圧は、複数の完全セルが、イオン化放射線による複数の論理回路の可能な破損よりもイオン化放射線による破壊を被り易くなることをもたらす。
【0006】
[0006] 半導体素子の1以上の実施形態では、収集回路が、複数の完全セルのうちの特定の完全セルから不正確なビットを読み出したことに応じて、特定の完全セルを所定の状態にリセットするように更に動作可能である。
【0007】
[0007] 半導体素子の1以上の実施形態では、半導体素子が、レポート信号に応じて複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を検証するように動作可能なエラー検出及び修正回路を含む。
【0008】
[0008] 半導体素子の1以上の実施形態では、エラー検出及び修正回路が、実際の破損の検証に応じて複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を修正するように更に動作可能である。
【0009】
[0009] 半導体素子の1以上の実施形態では、エラー検出及び修正回路が、(i)複数の論理回路の冗長サブセットの選択、(ii)サブセット内のデータへのエラー修正コードの適用、(iii)サブセット内のデータのスクラビング、並びに(iv)サブセット内のデータのリセット、のうちの1以上によって、可能な破損に応答するように動作可能である。
【0010】
[0010] 半導体素子の1以上の実施形態では、パターンが、複数の完全セルの各々を複数の論理回路のうちの1つ目から8つ目に隣接するように配置する。
【0011】
[0011] 半導体素子の1以上の実施形態では、複数の完全セルが、技術とレイアウトのうちの1以上における複数の論理回路との差異を有し、その差異は、複数の完全セルが、イオン化放射線による複数の論理回路の可能な破損よりもイオン化放射線による破壊を被り易くなることをもたらす。
【0012】
[0012] 半導体素子の1以上の実施形態では、複数の完全セルの各々が、基板内の約1立法マイクロメートルの体積のイオン化放射線に感応する。
【0013】
[0013] 半導体素子の1以上の実施形態では、複数の論理回路のより低い電源電圧に対する複数の完全セルのより高い電源電圧が、複数の電界を規定し、その電界が、イオン化放射線によって生成された複数のイオンを複数の論理回路から離れるように導く。
【0014】
[0014] 半導体素子における放射線誘発エラーを検出するための方法が、本明細書で提供される。該方法は、半導体素子の基板内にイオン化放射線を受けること、及び複数の論理回路を用いて複数の論理機能を実行することを含む。複数の論理回路は、基板上のエリア内に配置され、イオン化放射線による可能な破損を個々に被り易い。該方法は、複数の完全セルの各々を所定の状態に初期化することを含む。複数の完全セルは、基板上のエリア内に配置され、複数の論理回路に隣接するパターンに配置され、イオン化放射線に応じて所定の状態の破壊を個々に被り易い。該方法は、基板上に配置された収集回路を用いて複数の完全セルを読み出すこと、及び、複数の完全セルのうちの隣接する1つにおける不正確なビットを読み出したことに応じて、イオン化放射線による複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を特定するレポート信号をアサートすることを更に含む。
【0015】
[0015] 1以上の実施形態では、該方法が、複数の論理回路よりも低い電源電圧で複数の完全セルに給電することを含む。より低い電源電圧は、複数の完全セルが、イオン化放射線による複数の論理回路の可能な破損よりもイオン化放射線による破壊を被り易くなることをもたらす。
【0016】
[0016] 1以上の実施形態では、該方法が、特定の完全セルから不正確なビットを読み出したことに応じて、複数の完全セルのうちの特定の完全セルを所定の状態にリセットすることを含む。
【0017】
[0017] 1以上の実施形態では、該方法が、レポート信号に応じて、エラー検出及び修正回路を用いて複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を検証することを含む。
【0018】
[0018] 1以上の実施形態では、該方法が、エラー検出及び修正回路による実際の破損の検証に応じて、複数の論理回路のサブセットにおける可能な破損を修正することを含む。
【0019】
[0019] 1以上の実施形態では、該方法が、複数の完全セルの各々を用いて基板内の約1立法マイクロメートルの体積のイオン化放射線を検知することを含む。
【0020】
[0020] 半導体素子が本明細書で提供される。半導体素子は、基板、複数の論理回路、及び複数の完全セルを含む。基板は、イオン化放射線を受ける。複数の論理回路は、複数の論理機能を実行するように動作可能である。複数の論理回路は、基板上のエリア内に配置され、イオン化放射線を個々に被り易い。複数の完全セルは、基板上のエリア内に配置され、複数の論理回路に隣接するパターンに配置され、複数の論理回路に対して電圧バイアスされて、複数の電界を規定する。複数の電界は、イオン化放射線によって生成された複数のイオンを複数の論理回路から離れるように導く。
【0021】
[0021] 半導体素子の1以上の実施形態では、イオン化放射線が、基板内に複数の負イオンと複数の正イオンを生成し、複数の完全セルが、複数の論理回路よりも高い電源電圧を受け取り、より高い電源電圧によって生成された複数の電界が、複数の負イオンを複数の論理回路から引き離す。
【0022】
[0022] 1以上の実施形態では、半導体素子が、基板に配置された導電性平面であって、複数の正イオンを複数の論理回路から引き離すように動作可能な導電性平面を含む。
【0023】
[0023] 半導体素子の1以上の実施形態では、複数の完全セルが、複数の論理回路よりもイオン化放射線によってアップセットされる可能性が高い。
【0024】
[0024] 本開示の上記の特徴及び利点、ならびに他の特徴及び利点は、本開示を実行するための最良のモードの以下の詳細な説明を、添付の図面と併せて考慮したときに、容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】[0025] 1以上の例示的な実施形態によるビークルの周りの環境の概略斜視図である。
【
図2】[0026] 1以上の例示的な実施形態による半導体素子の概略斜視図である。
【
図3】[0027] 1以上の例示的な実施形態による論理回路及び完全セルのパターンの概略平面図である。
【
図4】[0028] 1以上の例示的な実施形態による回路の冗長セットの概略図である。
【
図5】[0029] 1以上の例示的な実施形態による一組の回路の概略断面図である。
【
図6】[0030] 1以上の例示的な実施形態による電圧バイアスの概略図である。
【
図7】[0031] 1以上の例示的な実施形態による放射線誘発エラーを検出する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0032] 本開示の複数の実施形態は、放射線環境において半導体論理及びデータ完全性を支援するシステム及び/又は方法を含む。このシステム/方法は、放射線によって引き起こされる局所的なエラーに対する統合された故障検出機構を提供する。この統合された故障検出は、完全セルのパターンであり得る。完全セルのパターンは、放射線によって引き起こされたイオン化に応じて状態破壊(例えば、ビット反転)を個々に被り易い。イオン化によって完全セルが破壊された場合、物理的に隣接する論理回路は、エラーを含むことが疑われる。このようなエラーの修正は、放射線が検出された局所的な近傍に焦点が当てられ得る。様々な実施形態では、放射線誘発イオンを論理回路から完全セルに引き離すように誘導する電界を素子基板内に生成することによって、イオン破壊が低減され得る。
【0027】
[0033]
図1を参照すると、1以上の例示的な実施形態によるビークル80の周りの環境70の例示的な一実施態様の概略斜視図が示されている。環境70は、ビークル80と相互作用する放射線90を含み得る。ビークル80は、概して、半導体素子100を含む。放射線90は、半導体素子100と相互作用し得る。
【0028】
[0034] 環境70は、概して、大気環境と、大気圏上空の宇宙環境(例えば、真空)とを含む。ビークル80は、環境70内に存在する。ビークル80は、非限定的に、地上のビークル、空中のビークル、及び/又は宇宙のビークルを含み得る。ビークル80は、1人以上の乗員(又は乗務員)を運ぶように構成されている。
【0029】
[0035] 放射線90は、概して、素粒子や電磁放射線の形態を採る。放射線90は、非限定的に、ガンマ線、X線、高エネルギー紫外線、陽子、中性子、アルファ粒子、ベータ粒子、及び重イオンを含み得る。放射線90は、イオン化損傷や変位損傷の形態を採る損傷を半導体素子100に引き起こし得る。イオン化損傷は、イオン化放射線90aによって引き起こされる。イオン化放射線90aは、半導体素子100を通過しながら、イオン対の飛跡を生成するように動作可能である。絶縁層と基板102とにおいて電子イオン化によって吸収されたエネルギーは、電荷キャリアを解放する。この電荷キャリアは、拡散したり及び/又はトラップされる他の場所にドリフトしたり、或いは局所的に蓄積された電荷濃度を変化させたりして、回路の機能を不適切にする。変位損傷では、放射線90、90aが、基板102内の原子を格子サイトから変位させ得る。結果として生じる欠陥は、結晶の電子特性や内部に作られた回路を変化させる。誘発された欠陥又は損傷がなくても、放射線粒子との相互作用は、電子状態の破壊を引き起こし得る。
【0030】
[0036] 半導体素子100は、1以上の半導体基板上(又は内)に作製された1以上の回路を実装する。半導体素子100は、論理回路や配電回路を含む。論理回路は、概して、放射線90、90aによる破壊を被り易い。様々な実施形態では、論理回路が、放射線90、90aによる性能低下や故障の影響を受ける。例えば、論理セルの1以上のゲートは、様々なタイミングで2つの論理レベルの間を遷移する代わりに、固定された論理レベルにスタックし得る。他の複数の実施形態では、メモリ型論理回路が、放射線90、90aによる状態破壊の影響を受ける。例えば、特定の論理レベル(例えば、論理ゼロ又は論理1)にプログラムされた(又は書き込まれた)メモリセルは、放射線90、90aによって、プログラムされた特定の論理レベルとは反対の論理レベルとして読み出されるように変更され得る。
【0031】
[0037]
図2を参照すると、1以上の例示的な実施形態による半導体素子100の例示的な一実施形態の概略斜視図が示されている。半導体素子100は、概して、基板102、複数の論理回路104、複数の完全セル106、収集回路108、並びにエラー検出及び修正(EDC)回路110を含む。
【0032】
[0038] 論理回路104は、基板102の表面上のエリア112内に配置され得る。完全セル106は、所定のパターンで論理回路104の間に点在して配置されている。収集回路108は、基板102上に配置され、エリア112の外側に配置され得る。エラー検出及び修正回路110は、基板102上に配置され、これもまたエリア112の外側に配置され得る。
【0033】
[0039] 基板102は、半導体で形成されている。半導体は、概して、シリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、炭化ケイ素、窒化ガリウム、リン化インジウムなどを含む。基板は、半導体ダイ、半導体タイル、又は半導体ウエハの形態を採り得る。
【0034】
[0040] 論理回路104は、基板102上(又は内)に形成されたデジタル及び/又はアナログ機能回路を実装する。論理回路104は、1以上の論理機能105を実行し得る。論理回路104は、非限定的に、メモリセル、演算回路、フリップフロップ、ブール論理、クロック回路、入/出力回路、増幅器、電圧レベル変換回路、コンバータ、発振器などを含む。論理回路104は、基板102に衝突する放射線90、90aによって破壊を被り易い。
【0035】
[0041] 完全セル106は、基板102上(又は内)に形成されたイオン化収集及び/又は検出回路を実装する。完全セル106は、1以上の完全機能107を実行し得る。完全セル106は、所定の状態109(例えば、所定の論理ビット)に初期化され得る。放射線90、90aによって破損した場合、完全セル106は、不正確なビット111を有し得る。完全セル106は、非限定的に、メモリセル、フリップフロップ、電荷結合セルなどを含み得る。完全セル106は、基板102に衝突する放射線90、90aによって破壊を被り易い。様々な実施形態では、完全セル106が、正常な状態にプログラムされるように動作可能である。正常な状態は、正常なビットとして検出可能である。イオン化放射線90aによって生成された近傍のイオンの飛跡に曝露されると、所与の完全セル106は、破損し、破損した状態に変化し得る。破損した状態は、不正確なビットとして検出可能である。その後、所与の完全セル106は、正常な状態に戻るように命令され得る。完全セル106は、完全セル106の下の基板102内の約1立法マイクロメートルの体積114のイオン化放射線90aに感応する。完全セル106は、イオン化放射線90aによってアップセットされる可能性が論理回路104よりも高い。
【0036】
[0042] 収集回路108は、基板102上(又は内)に形成されたサンプリング回路を実装する。収集回路108は、完全セル106の状態を読み出す(又はサンプリングする)ように動作可能である。収集回路108は、幾つかの論理回路104に隣接する特定の完全セル106における不正確なビットを読み出したことに応じて、レポート信号116をアサートし得る。不正確なビットは、イオン化放射線90aによる隣接する論理回路104のサブセットにおける可能な破損を特定する。収集回路108はまた、不正確なビットをレポートする完全セル106を正常な状態に戻すように命令する(又はプログラムする)ように動作可能であり得る。
【0037】
[0043] EDC回路110は、基板102上(又は内)に形成された回路におけるエラー修正技法を実装する。EDC回路110は、完全セル106に隣接する幾つかの論理回路104の状態を読み出す(又はサンプリングする)ように動作可能である。読み出しは、完全セルについてのレポート信号116のアサートによって、周期的に、及び/又は完全セル106の周りの幾つかの論理回路104のうちの1以上を読み出すことを試みる別のイベントによってトリガされ得る。幾つかの論理回路104の状態が読み出されると、EDC回路110は、エラーが存在するかどうかを検証してよく、エラーが存在する場合、一般的なエラー修正技法を使用して、幾つかの論理回路104の中のエラーを修正し、元々のエラーなしのデータを再構築し得る。エラーなしのデータは、修正信号118内に提示される。
【0038】
[0044] 論理回路104がメモリ回路である設計を考慮すると、幾つかのメモリ回路内の状態が、エラー修正コードで書かれたデータビットである場合、EDC回路110は、エラー修正コードを使用して、データ内の単一ビットのエラーを検出し修正する。別の一実施例では、単一の機能又はメモリワード内のメモリビットが、機能又はワード内の複数セルの破損を回避するために、メモリセルの間で広い間隔を空けて配置され得る。EDC回路110は、広く間隔を空けられたビット内の単一セルエラーを検出し修正するように動作可能であり得る。幾つかの実施形態では、メモリセルが、メモリの残りの部分と並行して読み出されてよく、完全セル106は、データが破損している可能性があるか否かを示す「パリティのような」ビットとして作用する。メモリセル内のデータは、EDC回路110がエラー検出及び修正を実行することでインターリーブされ得る。幾つかの場合では、EDC回路110が、メモリセルに巡回冗長検査(CRC)を強制し、巡回冗長検査が修正不可能な状況を示す場合、信頼できるソースからのメモリ更新を強制することができる。
【0039】
[0045] 幾つかの論理回路104は、論理回路104の冗長バンクに関連付けられ得る。このような場合では、EDC回路110が、2つの並列なデータのセットをフェッチし、完全セル106に基づいて、どのバンクが破損していないかをワード単位で選択する。更なる他の設計では、アレイ内の機能論理回路から選択することもできる。EDC回路110は、完全セル106の状態を使用して、放射線90、90aによって破損していないと思われる機能論理回路を選択することができる。幾つかの実施形態では、主たる論理回路104が、隣接する完全セル106に基づいて可能な破損を示す場合、同じ機能を実行するバックアップ論理回路104の状態が、代わりに使用され得る(例えば、「重複」投票)。両方の論理回路104(主たる及び重複バックアップ)が破損を示す場合、EDC回路110による大規模なリセット又はスクラビングが保証される。EDC回路110の他の設計がまた、局所的なデータスクラビングや局所的なエラー修正などを含む、検出された破損のより精巧な帰結を課すように適用され得る。
【0040】
[0046]
図3を参照すると、1以上の例示的な実施形態による論理回路及び完全セルの例示的なパターン120の概略的な平面図が示されている。この一実施例では、論理回路104が、隣接するN×N(例えば、3×3)のセット122として格子状パターン120に配置されている。各セット122は、セット122の中央に配置された完全セル106を取り囲み、その完全セル106に隣接する幾つかの(例えば、1つ目から8つ目の)論理回路104のサブセット124を配置する。セット122は、概して、放射線90、90aがセット122の中央に衝突した場合、放射線90、90aによって影響を被り易い体積114に一致する大きさである。したがって、セット122の中央にある完全セル106は、それぞれのセット122内の放射線の衝突を検出するはずである。検出された放射線の衝突は、隣接する論理回路104のサブセット124内の機能/データを疑わしいものにする。セット122の縁部付近の放射線の衝突は、対応する完全セル106及び近傍の完全セル106によって検出され得る。その場合、論理回路104の両方のサブセット124が、破損したとして扱われ得る。
【0041】
[0047] 基板102の表面における論理回路104のサイズが、その一実施例よりも小さい状況では、N×Nパターン120は、論理回路104の3×4パターン、3×5パターン、4×5パターン、又は5×5パターンであり得る。5×5パターンの場合では、24個の論理回路104が、単一の完全セル106を完全に取り囲み得る。完全セル106が、放射線90、90aを検出した場合、そのセット内の24個の論理回路104は、危険に晒される可能性がある。
【0042】
[0048]
図4を参照すると、1以上の例示的な実施形態による冗長セットの例示的な一実施態様の概略図が示されている。論理回路104のセット122a~122cは、互いの冗長コピーとして並列に動作させることができる。各セット122a~122cは、論理回路104のサブセット124a~124cと対応する完全セル106とを含む。所与のセット122a~122c内のデータは、論理回路104からのデータと完全セル106からのデータとを含み得る。所与のサブセット124a~124c内のデータは、論理回路104からのデータに限定され得る。
【0043】
[0049] EDC回路110は、有効なデータ/結果126aを生成するために、いずれにしても単一セット(例えば、主たるセット122a又は主たるサブセット124a)に依存し得る。EDC回路110は、修正信号118内に有効なデータ/結果126aを提示し得る。主たるセット122a/サブセット124aが、放射線90、90aによって破損した可能性がある場合(それぞれの完全セル106によってレポートされるように)、EDC回路110は、修正信号118内に有効なデータ/結果126bを生成するために、別のセット(例えば、冗長セット122b又は冗長サブセット124b)に依存することができる。他の複数の実施形態では、EDC回路110が、複数の(例えば、3つの)セット122a~122c又はサブセット124a~124cから、データ/結果126a~126cを受け取り得る。3つのデータ/結果126a~126cのうちの2つが、互いに一致する場合、一致するデータ/結果126a~126cは、有効であるとして選択され、修正信号118内に提示される。
【0044】
[0050]
図5を参照すると、1以上の例示的な実施形態によるセット122の例示的な一実施態様の概略断面図が示されている。この一実施例は、基板102内の3×3のパターン120を示し、完全セル106(例えば、特定の完全セル106a)は、論理回路104によって各側において取り囲まれている。様々な実施形態では、論理回路104が、第1の技術130a及び/又は第1のレイアウト132aを使用して製造される。特定の完全セル106aは、第2の技術130b及び/又は第2のレイアウト132bを使用して製造される。幾つかの実施形態では、論理回路104が、第1の電力134aを受け取ってよく、特定の完全セル106aが、第2の電力134bを受け取る。
【0045】
[0051] 特定の完全セル106aは、論理回路104よりも放射線90、90aに感応するように作製される。特定の完全セル106aを作製するために使用される第2の技術130bは、論理回路104を作製するために使用される第1の技術130aとは異なり得る。例えば、特定の完全セル106aにおいて使用されるメモリセル設計は、論理回路104において使用されるゲート酸化物よりも厚いトランジスタ用のゲート酸化物を有し得る。ゲート酸化物が厚くなるほど、ゲートの下により小さなチャネルができるため、通常の状態ではより少ない電荷が蓄積される。したがって、イオン化放射線90aは、論理回路104におけるよりも容易にメモリセル設計の状態を反転(又は変化)させ得る。
【0046】
[0052] 特定の完全セル106aを作製するために使用される第2のレイアウト132bは、論理回路104を作製するために使用される第1のレイアウト132aとは異なり得る。実施例として、論理回路104の第1のレイアウト132aは、回路の感応エリアへのイオンのドリフトを最小限に抑える絶縁トレンチを含み得る。対照的に、特定の完全セル106aの第2のレイアウト132bは、絶縁トレンチを欠いており、したがって、ドリフトするイオンによって破損する可能性が高い。
【0047】
[0053] 完全セル106は、論理回路104よりも低い電源電圧によって給電され得る。論理回路104の第1の電力134a(又は第1のバイアス電圧)は、特定の完全セル106aの第2の電力134b(又は第2のバイアス電力)よりも高くなり得る。第1の電力134aは、第2の電力134bのより低い電源電圧136bよりも高い電源電圧136aを有し得る。したがって、より高い電圧の論理回路104は、より低い電圧の完全セル106よりも放射線誘発イオンによって破損する可能性が低い。それは、第1の技術130aが第2の技術130bに一致し、及び/又は、第1のレイアウト132aが第2のレイアウト132bに一致するとしてもである。
【0048】
[0054]
図6を参照すると、1以上の例示的な実施形態による例示的な電圧バイアスの概略断面図が示されている。論理回路104と完全セル106とにおいて設計されたバイアス電圧は、放射線誘発イオンを論理回路104から(1以上の)完全セル106へ偏向させることにおいて助けとなるように、基板102内に電界を立ち上げるために生成され得る。
【0049】
[0055] 論理回路104の反対側の基板102の(下)側には、導電性平面138が形成され得る。導電性平面138は、接地140され得る。基板102の(上)側の論理回路104は、より低い電源電圧136b(例えば、1.8ボルト)を受け取り得る。完全セル106は、より高い電源電圧136a(例えば、7.2ボルト)を受け取り得る。より低い電源電圧136bに対するより高い電源電圧136aは、導電性平面138に近接するゼロボルト付近(例えば、0.2ボルト)から、より高い電源電圧136aに近接するフルボルト付近(例えば、7.2ボルト)までの範囲の、基板102内の電圧勾配142を規定する。電圧勾配142は、基板102内に電界144を生成する。電界144は、一部(例えば、負)のイオン146を論理回路104から完全セル106向けて引き離すように、及び、他(例えば、正)のイオン148を論理回路104から導電性平面138に向けて引き離すように整列している。したがって、イオン放射線90aによって生成されるイオン対146、148は、完全セル106が存在しない設計と比較して、論理回路104を破損する可能性が低減され得る。
【0050】
[0056]
図7を参照すると、1以上の例示的な実施形態による放射線誘発エラーを検出するための例示的な方法160のフロー図が示されている。方法160(又はプロセス)は、半導体素子100によって実行される。方法160は、図示されているように、ステップ162から202を含む。ステップのシーケンスは、代表的な一実施例として図示されている。特定の用途の基準を満たすために、他のステップ順序が実施されてよい。
【0051】
[0057] ステップ162では、基板102の下面の導電性平面138が接地140される(例えば、ゼロボルト)。ステップ164では、電力134a~134bが、異なる電圧(複数)136a~136bで完全セル106と論理回路104に印加される。ステップ166では、異なる電圧136a~136bが、基板内に電界144を規定する。
【0052】
[0058] ステップ168では、完全セル106が、所定の状態109に初期化される。ステップ170では、論理回路104が、概して、論理機能105を実行する。ステップ171では、完全セル106が、完全機能107を実行する。
【0053】
[0059] ステップ172では、半導体素子100が、基板102内にイオン化放射線90aを受ける。ステップ174では、イオン化放射線90aが、基板102内に負イオン146と正イオン148を生成する。ステップ176では、基板102内の電界144が、負イオン146を完全セル106に向けて、したがって、論理回路104から離れるように引き寄せる。ステップ178では、電界144がまた、正イオン148を論理回路104から引き離す。ステップ180では、完全セル106に隣接する基板102の体積114内のイオン化放射線90aの通過が、完全セル106によって検知され得る。ステップ181では、イオン化放射線90aが、1以上の完全セル106の可能な破損を引き起こし得る。完全セル106がメモリセルを実装する場合、破損は保存されているデータのビット反転であり得る。
【0054】
[0060] ステップ182では、収集回路108が、完全セル106を読み出す。ステップ184では、収集回路108が、完全セル106のうちの1以上から不正確な(破損した)ビット111を読み出した場合、収集回路108は、レポート信号116をアサートする。レポート信号116は、不正確なビット111を有する完全セル106を特定し得る。不正確なビット111は、概して、破損した完全セル106に近接する論理回路104のサブセットもまた、イオン化放射線90aによって破損し得ることを示す。
【0055】
[0061] ステップ185では、EDC回路110が、論理回路104及び任意選択的に完全セル106を読み出す。ステップ186では、レポート信号116のアサートに応じて、EDC回路110が、論理回路104のサブセット(又は論理回路104と完全セル106とのセット)における可能な破損を検証する。ステップ187では、放射線90、90aが、セット/サブセット内の論理回路104の1以上を破損した場合、EDC回路110は実際の破損を検出する。その後、ステップ188では、EDC回路110が、実際の破損の検証に応じてセット/サブセットにおける可能な破損を修正する。
【0056】
[0062] 様々な実施形態では、修正が1以上の形態を採り得る。幾つかの設計では、ステップ190において、EDC回路110が、論理回路104の冗長セット/サブセット122b/124bを、有効なデータを有するものとして選択し得る。他の設計では、ステップ192において、EDC回路110が、セット/サブセット内のデータにエラー修正コードを適用する。ステップ194では、EDC回路110がまた、セット/サブセット内のデータをスクラブすることも試み得る。時には、放射線90、90aが、エラー修正コードが元々のデータを復元できない程度に十分な数の論理回路104を破壊することもある。したがって、ステップ196では、EDC回路110が、セット/サブセット内のデータをリセットし、バックアップデータソースからセット/サブセットを再ロードしてもよい。
【0057】
[0063] ステップ198では、EDC回路110が、修正信号118内に修正後のエラーなしのデータを提示し得る。ステップ200では、収集回路108が、不正確なビット111を読み出したことに応じて、破損した完全セル106を所定の状態109に戻すようにリセットする。ステップ202では、破損した論理回路104がリセット可能である場合、EDC回路110が、データに適用された(1以上の)修正に基づいて、破損した論理回路104を任意選択的にリセットし得る。
【0058】
[0064] 本開示の複数の実施形態は、概して、隣接するメモリ及び/又は機能セルを隣接するものに対して電圧バイアスして、イオン化電荷を意図的に遠ざけることによって、機能半導体素子内のイオン化堆積により誘発される放射線エラーを低減させるための技法を提供する。隣接するメモリ及び/又は機能セルを隣接するものに対して電圧バイアスすることによって、バイアスされたセル内に意図的に影響を及ぼし、隣接するセルからのイオン化ドリフトがなくても、放射線アップセットに対する感受性を高めることができる。完全セルがメモリセルである場合、完全セルは、メモリの残りの部分に並行して読み出されてよく、データが破損している可能性があるかどうかを示す「パリティのような」ビットとして作用し得る。破損した完全セルの検出は、メモリの2つのバンクの間での選択を可能にし、2つの並列なデータのセットをフェッチし、どのセットが破損していないかをワード単位で選択することができる。同様に、破損した完全セルの検出は、アレイ内の機能論理回路の中から選択することを可能にし得る。論理回路が、隣接する「検出器」完全セルによって可能な破損を示す場合、同じ機能を実行する冗長論理回路の状態が、代わりに使用され得る(例えば「重複」投票)。両方の論理回路(主たる及びバックアップ)が破損を示す場合、大規模なリセット又はスクラビングが保証される。別個のエラー検出や修正「エンジン」がまた、局所的なデータスクラビングや局所的なエラー修正などを含む、検出された破損のより精巧な帰結を課すように適用され得る。
【0059】
[0065] 様々な実施形態は、局所的な電界強化が堆積されたイオン化電荷を重要な電子機器から離れた収集ポイントに迂回させることによって、放射線誘発破損を緩和するための技術を提供する。電界の強化は、堆積されたイオン化電荷を完全セルに流し込む。完全セルは、隣接する論理回路とは別にバイアスされている。局所的なバイアス強化や内部バイアスは、概して、完全セルのアップセット脆弱性を高める。完全セルはまた、総イオン化線量による損傷/故障の指標としても使用され得る。
【0060】
[0066] 本開示は、多くの異なる形態にある実施形態を受け入れる余地がある。本開示の代表的な複数の実施形態が、図面で示され、本明細書で説明される。これらの実施形態は、本開示の原理の例示として提供され、本開示の態様の範囲を限定しないことを理解されたい。その程度において、例えば、要約、背景、概要、及び詳細な説明のセクションで説明されているが、特許請求の範囲内で明示的に説明されていない実施例及び限定は、単一で又は集合的に、言外の意味で、推論によって、又はそれ以外の方法で、特許請求の範囲の中に組み込まれるべきではない。
【0061】
[0067] この詳細な説明の目的では、特に示されていない場合、単一形は複数形を含み、その逆もその通りである。「及び」と「又は」という用語は、接続的であるとともに離接的でもある。「任意の」と「全ての」という用語は、両方とも、「任意の且つ全ての」を意味し、「含む」、「包含する」、「備える」、「有する」などの用語は、各々、「非限定的に含む」ことを意味する。更に、「約」、「ほとんど」、「実質的に」、「近似的に」、及び「概して」などの、近似的な単語は、本明細書で、「において、近くで、若しくは近くにおいて」又は「その0~5%の範囲内」又は「許容可能な製造誤差の範囲内」或いは他のそれらの論理的な組み合わせの意味で使用されてよい。図面を参照すると、同様な数値が同様な構成要素を指す。
【0062】
[0068] 詳細な説明及び図面又は図は、本開示をサポートし説明するが、本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。本開示を実行するためのベストモード及び他の実施形態のうちの幾つかが詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲内で規定される本開示を実施するための様々な代替的な設計及び実施形態が存在する。更に、図面内で示された実施形態又は本説明内で述べられた様々な実施形態の特徴は、必ずしも互いに無関係な実施形態として理解される必要はない。むしろ、一実施形態の複数の実施例のうちの1つにおいて説明された各特徴は、他の実施形態からの他の所望の特徴のうちの1以上と組み合わされてよく、言葉において又は図面を参照することによって説明されていない他の実施形態をもたらすことが可能である。したがって、そのような他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の枠組内に含まれる。
【外国語明細書】