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特開2024-16022皮膚炎および炎症性皮膚状態のためのカンナビノイド投薬レジメン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016022
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】皮膚炎および炎症性皮膚状態のためのカンナビノイド投薬レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20240130BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240130BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240130BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240130BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P17/00
A61P29/00
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/06
A61K47/14
A61K47/34
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170088
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2020540528の分割
【原出願日】2019-01-24
(31)【優先権主張番号】2018900226
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】62/621,225
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2018903600
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】62/736,052
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519296521
【氏名又は名称】ボタニクス ファーマシューティカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】キャラハン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トゥルン,マイケル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための局所用組成物の製造のためのカンナビノイドの使用を提供する。
【解決手段】i)4%w/wから15%w/wの間で、カンナビジオール、ii)50%w/wから95%w/wの間で、1分子当たり2または3個のケイ素原子を含んだ揮発性の非高分子シロキサンを含む溶媒、およびiii)2から20%w/wの間で、脂肪酸、脂肪族アルコール、グリコールもしくはアルカン、もしくはこれらのうちのいずれかのエステル、または脂肪酸アルコールエステルから選択される、低揮発性の残留溶媒の使用であって、前記局所用組成物は、各投与において対象の皮膚565cm当たり50mgから3000mgの間で投与される用途に使用されるとともに、皮膚に適用される1日当たりのカンナビジオールの総用量が200mgから500mgの間で投与される用途に使用される、使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するための処置レジメンであって

a)1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む、局所用液状またはゲル
状組成物であって、前記カンナビノイドが溶解している局所用液状またはゲル状組成物が
50mgから3000mgの間で投与されることを含む、処置レジメン。
【請求項2】
前記局所用の組成物が、1日当たり1回から5回の間で皮膚に投与される、請求項1に
記載の処置レジメン。
【請求項3】
前記局所用の組成物が、1回の投与当たり20mgから400mgの間のカンナビノイ
ドを送達する、請求項1に記載の処置レジメン。
【請求項4】
皮膚に適用される1日当たりの総用量が、20mgから2000mgの間のカンナビノ
イドである、請求項1に記載の処置レジメン。
【請求項5】
a)前記局所用の組成物が、4%w/wのカンナビノイドを含む、および/または
b)前記レジメンが、1日当たり180mgのカンナビノイドを送達する、請求項1に
記載の処置レジメン。
【請求項6】
前記カンナビノイドが、(i)揮発性溶媒、および(ii)(i)よりも揮発性が低い
残留溶媒を含む組成物において送達される、請求項1に記載の処置レジメン。
【請求項7】
前記揮発性溶媒が、非高分子シロキサンである、請求項6に記載の処置レジメン。
【請求項8】
前記揮発性溶媒が、非高分子シロキサンおよびC~Cアルコールの組合せである、
請求項6に記載の処置レジメン。
【請求項9】
前記組成物が、85~95%w/wのシロキサンおよび1~10%wt/wtのC
アルコールを含む、請求項8に記載の処置レジメン。
【請求項10】
前記シロキサンが、1分子当たり2個または3個のケイ素原子を有する、請求項9に記
載の処置レジメン。
【請求項11】
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサンである、請求項10に記載の処置レジメ
ン。
【請求項12】
前記残留溶媒が、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪アルコール、グリコール、アルカン
、これらのうちのいずれかのエーテル、およびこれらの組合せを含むリストからの化合物
である、請求項6に記載の処置レジメン。
【請求項13】
前記組成物が、1~10%wt/wtの残留溶媒を含む、請求項12に記載の処置レジ
メン。
【請求項14】
前記残留溶媒が、アルキルポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールエーテ
ル、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール、2
-ヘキシルデシルアルコール、イソヘキサデカンを含むリストからの化合物である、請求
項13に記載の処置レジメン。
【請求項15】
皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための方法であって、
a)1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む局所用液状またはゲル状
組成物であって、前記カンナビノイドが溶解している前記局所用液状またはゲル状組成物
を50mgから3000mgの間で投与されることを含む、方法。
【請求項16】
皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置するための1%w/wから15%w/wの間のカン
ナビノイドを含む50mgから3000mgの間の局所用の組成物の使用であって、前記
カンナビノイドが前記液状またはゲル状組成物中に溶解している、使用。
【請求項17】
皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための局所用液状またはゲル状組成
物を製造するための1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドの使用であって、
前記局所用の組成物が50mgから3000mgの間で投与され、前記カンナビノイドが
前記液状またはゲル状組成物中に溶解している、使用。
【請求項18】
皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するための1%w/wから15%
w/wの間のカンナビノイドを含む、局所用液状またはゲル状組成物の製造品であって、
前記局所用の組成物が50mgから3000mgの間で投与され、前記カンナビノイドが
前記液状またはゲル状組成物中に溶解している、製造品。
【請求項19】
前記皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するための1%w/wから1
5%w/wの間のカンナビノイドを含む、局所用液状またはゲル状組成物であって、前記
カンナビノイドが前記液状またはゲル状組成物中に溶解しており、前記局所用の組成物が
50mgから3000mgの間で投与される、局所用液状またはゲル状組成物。
【請求項20】
前記組成物が、1日当たり1回から5回の間で皮膚に投与される、請求項15に記載の
方法、請求項16または17に記載の使用、請求項18に記載の製造品または請求項19
に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、1回の投与当たり20mgから400mgの間のカンナビノイドを送達
する、請求項15に記載の方法、請求項16または17に記載の使用、請求項18に記載
の製造品または請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
1日当たりの総用量が20mgから2000mgの間のカンナビノイドが、皮膚に適用
される、請求項15に記載の方法、請求項16または17に記載の使用、請求項18に記
載の製造品または請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
a)前記局所用の組成物が、2.5%w/wまたは5%w/wカンナビノイドを含む、
および/または
b)1日当たり37.5mg、75mgまたは150mgのカンナビノイドが送達され
る、請求項15に記載の方法、請求項16または17に記載の使用、請求項18に記載の
製造品または請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
前記カンナビノイドが、(i)揮発性溶媒、および(ii)(i)よりも揮発性が低い
残留溶媒を含む組成物において送達される、請求項15に記載の方法、請求項16または
17に記載の使用、請求項18に記載の製造品または請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
前記揮発性溶媒が非高分子シロキサンである、請求項24に記載の方法、使用、製造品
または組成物。
【請求項26】
前記揮発性溶媒が、非高分子シロキサンおよびC~Cアルコールの組合せである、
請求項24に記載の方法、使用、製造品または組成物。
【請求項27】
前記組成物が、85~95%w/wのシロキサンおよび1~10%wt/wtのC
アルコールを含む、請求項26に記載の方法、使用、製造品または組成物。
【請求項28】
前記シロキサンが、1分子当たり2個または3個のケイ素原子を有する、請求項27に
記載の方法、使用、製造品または組成物。
【請求項29】
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサンである、請求項28に記載の方法、使用
、製造品または組成物。
【請求項30】
前記残留溶媒が、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪アルコール、グリコール、アルカン
、これらのうちのいずれかのエーテル、およびこれらの組合せを含むリストからの化合物
である、請求項24に記載の方法、使用、製造品または組成物。
【請求項31】
前記組成物が、1~10%wt/wtの残留溶媒を含む、請求項30に記載の方法、使
用、製造品または組成物。
【請求項32】
前記残留溶媒が、アルキルポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールエーテ
ル、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール、2
-ヘキシルデシルアルコール、イソヘキサデカンを含むリストからの化合物である、請求
項31に記載の方法、使用、製造品または組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カンナビノイドを使用して皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための局
所投薬レジメン。
【背景技術】
【0002】
ヒト皮膚を含む哺乳動物皮膚の大部分は、(i)表皮層、(ii)真皮層、および(i
ii)皮下組織層の3つの層を含む。表皮自体は、外側の角質層および内側の表皮基底層
の2つの層で構成されている。
【0003】
皮膚状態の大部分は、皮膚に対するいくつかの傷害によって引き起こされた炎症を伴う
。ケラチノサイトは、サイトカイン(例えば、IL-I、TNF-アルファ、およびIL
-6)およびケモカイン(例えば、IL-8)を含むさまざまな炎症性メディエータを産
生することにより、環境刺激(例えば、UV照射(UVR)、アレルゲン、刺激物質また
は物理的損傷)に対して素早く応答する。最も活性のある炎症性メディエータのうちの1
つとしては、PGE-2(プロスタグランジンE2)であり、当然ながら、多くの局所用
皮膚科薬は、PGE-2レベルを低下させるように設計されている。真皮中の線維芽細胞
も、PGE-2およびさまざまなケモカイン、サイトカインおよびマトリックス破壊酵素
、例えばコラゲナーゼ(MMP-I)を生成する。
【0004】
湿疹は、皮膚炎としても知られ、炎症を伴う多数のタイプの皮膚状態に関する一般的な
用語である。アトピー性皮膚炎は、多数のタイプの湿疹のうちの最も一般的なものである
。いくつかの他の形態が非常に似た症状を有する。多様なタイプの湿疹のうちのいくつか
を以下に示し、簡潔に記載する。
【0005】
アトピー性皮膚炎は、皮膚が非常に痒くなり、炎症を起こして、発赤、腫れ、亀裂、滲
出、痂皮や鱗屑をもたらす慢性皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎は、大部分は乳児およ
び低年齢小児が罹患することが多いが、成人期で続くこともあれば、高齢期に最初に現れ
ることもある。30歳以降の発病は、一般的ではなく、皮膚を過酷な条件に曝露した後に
生じることが多い。大抵の場合、疾患が悪化した場合は増悪または再燃と呼ばれる期間が
存在し、皮膚が改善または完全にきれいになった場合は完解と呼ばれる期間が続く。アト
ピー性皮膚炎の原因は未知であるものの、疾患は遺伝および環境要因の組合せに起因する
と思われる。アトピー性皮膚炎は、非常に一般的であり、男女が等しく罹患し、皮膚科医
へのすべての紹介患者のうちの10から20%を占めており、米国では1500万を超え
る人々が疾患の症状を有する。都市部および湿度が低い気候に住む人々が、アトピー性皮
膚炎を発症するリスクが高いように思われる。
【0006】
皮膚炎は、動物、特に飼育動物、例えばペット(イヌ、ネコ)においても増加している
問題である。イヌは、殆どの場合、アトピー性疾患の皮膚段階が続く傾向にある。ヒトと
同様に、イヌのアトピー性皮膚炎(AD)はますます一般的になってきている。
【0007】
皮膚がアレルゲン(アレルギーをもたらす物質)、または刺激物、例えば酸、洗剤(石
鹸、ボディーウォッシュ)、または他の化学物質と接触した場合の接触性湿疹は、発赤、
そう痒、および灼熱感を含む局所的な反応である。
【0008】
アレルギー性接触性湿疹は、免疫系が、異物として認識する物質、例えば有毒ウルシ、
またはクリームおよびローション中のある特定の防腐剤と皮膚が接触した場合に、赤み、
痒み、滲出を伴う反応である。
【0009】
脂漏性湿疹は、原因不明の皮膚炎症の形態であるものの、皮膚上に生存するある特定の
タイプの酵母と関連している。脂漏性湿疹は、頭皮、顔面、場合によっては他の身体部分
の上に黄色がかった油性のうろこ状の皮膚の斑点として出現する(乳児では新生児頭部皮
膚炎と呼ばれる。)。
【0010】
貨幣状湿疹は、刺激を受けた皮膚の、最も一般的には腕、背中、臀部や下肢上のコイン
型の斑点であり、痂皮、鱗屑、および重度の痒みを伴う場合がある。
【0011】
神経皮膚炎は、局所的な痒み(例えば、虫刺され)によって引き起こされる皮膚の頭部
、下肢、手首、または前腕上のうろこ状の斑点であり、ひっかいた場合に強烈な刺激を受
ける。
【0012】
うっ血性皮膚炎は、下肢上の皮膚刺激状態であり、一般的に循環器系の問題と関連する
ものである。
【0013】
異汗性湿疹は、皮膚の手のひらおよび足の裏上の刺激状態であり、痒みおよび灼熱感を
伴う透明で大きな水疱によって特徴付けられる。
【0014】
放射線療法は、皮膚の炎症および放射線皮膚炎を含むいくつかの不快な副作用を有する
場合がある。照射療法の急性と慢性の両方の特定の副作用は、処置される身体の部分なら
びに与えられる線量に依存する。一般的に、最初の変化は、日焼けに似た皮膚の発赤であ
る。これはすべて多くの患者が経験することである。しかし、大部分の患者では、灼熱感
は重度であり、多くの場合II度の火傷と同等な場合がある。日焼けのように、関与する
領域は高感受性であり、さらに、触れると痛みがあることが多い。また、覆っている皮膚
が破壊される場合があり、その領域は、放射線療法の治療単位が完了した後、数日から数
週間開いたままの場合がある。照射療法の治療単位が完了すると、発赤は徐々に消えるこ
とになり、任意の開いている領域は通常は治癒することになる。しかし、この領域におけ
る皮膚は、目立ったしわ、皮膚の菲薄化、こわばりおよび/または乾燥を含む老化した皮
膚の特徴を発症させる可能性が最も高く、ならびに色素が変化する可能性がある。
【0015】
放射線皮膚炎に関する現在の処置の選択肢の大部分は、皮膚の保湿を維持することを意
図し、皮膚軟化剤またはアロエゲルの使用を伴う。しかし、保湿は皮膚の乾燥を助けるも
のの、炎症により引き起こされる疼痛または発赤を減少させることはない。
【0016】
酒さは、人口のおよそ5%が罹患する血管炎症性皮膚障害(vascular, inflammatory s
kin disorder)であり、毛細血管の過度な活性化により引き起こされる顔面の発赤または
潮紅の期間が高頻度であることによって、特徴付けられる。皮膚炎症のこの慢性的な状況
は、経時的に多様な酒さ症状を引き起こす。酒さは、患者が赤くなった顔面および座瘡様
症状を呈するために、ときとして大人ニキビと誤って特徴付けられる。しかし、この皮膚
疾患に罹患している人も持続的な発赤を有し、領域、例えば額、顎、鼻、耳、胸部および
背部に疼痛やそう痒を伴う場合がある。疾患が進行するにつれて、小さな血管および小さ
な面皰(丘疹または膿疱と呼ばれる)が赤くなった領域上やその周辺に出現し始める。重
度の場合では、酒さは眼に影響を及ぼし(眼性酒さ)、鼻の外観を損なわせる(鼻瘤)場
合がある。酒さと関連する身体症状に加えて処置せずに放置した場合、患者は、重大な心
理的および社会的問題にも苦しめられる。酒さの主な形態は、赤血球性毛細血管拡張型(
erythrotelangiectatic)酒さ(紅斑性毛細血管拡張型(erythematotelangiectatic)酒
さまたは血管性酒さとしても知られる)である。
【0017】
酒さには4種類のサブタイプが存在しており、患者は1種類を超えるサブタイプを有す
る場合がある。
i)赤血球性毛細血管拡張型酒さは、永続的な発赤(紅斑)を示し、ほてりおよび紅潮
が容易に生じる傾向にある。皮膚の表面付近に見える小さな拡大した血管(毛細血管拡張
症)、場合により強烈な灼熱感、刺痛感、またはそう痒を有することも一般的である。こ
のタイプを呈する人は、敏感肌を有することが多い。皮膚は非常に乾燥しており、フレー
ク状になる場合がある。顔面に加えて、耳、頸部、胸部、上背や頭皮上にも徴候が出現す
る場合がある。
ii)丘疹膿疱型酒さは、多少の永続的な発赤を示し、赤色の隆起(丘疹)を伴い、一
部の膿が詰まった膿疱が1~4日以上続く場合がある。このサブタイプは座瘡と混同され
ることが多い。
iii)瘤腫型酒さは、鼻の腫脹である鼻瘤と通常関連する。徴候としては、肥厚な皮
膚、不規則な表面結節や腫脹がある。瘤腫型酒さは、顎(顎粉瘤)、額(額粉瘤)、頬、
瞼(眼瞼粉瘤)や耳(耳粉瘤)にも影響を及ぼす。毛細血管拡張症が存在している場合が
ある。
iv)毛細血管拡張症および炎症のために、罹患した眼および瞼に赤みがあるように見
える場合、および乾燥、刺激、またはざらざらしたような感触がある場合、眼性酒さであ
る。他の症状としては、異物感、そう痒感、灼熱感、刺痛感や光過敏症がある。眼が感染
症を起こしやすくなる場合がある。サブタイプ1~3を呈する人の約半分が眼症状も有す
る。角膜が罹患した場合、視界不良や失明が生じる場合がある。
【0018】
カンナビノイドは、皮膚状態、例えば座瘡のための処置として提案されている。しかし
、利用可能な局所用クリーム中の活性薬剤の量は、通常非常に少なく、治療上有用な用量
が使用者に提供されているという証拠はほぼ存在していない。
【0019】
本発明は、このような事情に照らして開発されたものである。本発明は、皮膚炎および
炎症性皮膚状態を処置または阻止するために局所的に使用するためのカンナビノイドの高
投薬量の組成物を提供すること、または有用な治療的または商業的選択肢を消費者に提供
することを目的とする。
【0020】
上述した背景技術についての考察は、本発明の理解を促進することのみを意図している
。考察は、言及される材料のうちのいずれかが、本出願の優先日における周知の一般的な
知識の一部であるかまたはあったことの承認または認可ではない。
【発明の概要】
【0021】
本発明によれば、皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するためのレジ
メンであって、
a)1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む50mgから3000m
gの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投与され
ることを含む、前記レジメンが提供される。
【0022】
好ましくは、組成物は、2%w/wから7%w/wの間、より好ましくは4%w/wの
カンナビノイドを含む。
【0023】
好ましくは、処置レジメンの組成物は、1日当たり1回から5回の間で、より好ましく
は1日当たり1回または2回皮膚に投与される。
【0024】
好ましくは、処置レジメンの組成物は、1回の投与当たり20mgから400mgの間
のカンナビノイド、より好ましくは1回の投与当たり90mgのカンナビノイドを送達す
る。
【0025】
好ましくは、皮膚に適用される1日当たりの総用量は、カンナビノイドとして20mg
から2000mgの間、より好ましくは180mgである。
【0026】
処置レジメンを適用する対象は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、類人猿、ヒツジ、ウ
シ、ヤギ、イヌ、ネコ、齧歯動物等であってもよい。最も好ましくは、処置レジメンを適
用する対象は、ヒト、猫または犬である。
【0027】
本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための方法であって、
a)1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む50mgから3000m
gの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投与され
ることを含む、前記方法をさらに提供する。
【0028】
本発明は、このような処置または阻止を必要とする対象において皮膚炎および炎症性皮
膚状態を処置または阻止するための、1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイド
を含む50mgから3000mgの間の局所用組成物の使用をさらに提供する。
【0029】
本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための局所用組成物の製
造のための1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドの使用であって、50mg
から3000mgの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の
皮膚に投与される、1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドの使用をさらに提
供する。
【0030】
本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するための1%w/w
から15%w/wの間のカンナビノイドを含む局所用組成物であって、50mgから30
00mgの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投
与される局所用組成物の製造品(manufacture)をさらに提供する。
【0031】
本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するための1%w/w
から15%w/wの間のカンナビノイドを含む局所用組成物であって、50mgから30
00mgの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投
与される局所用組成物をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、炎症性皮膚疾患を処置するために利用可能な局所用クリーム中のカンナビノ
イドの量は、通常非常に少なく、治療上有用な用量が使用者に提供されているという証拠
がほぼないという発見に基づく。平均的な局所カンナビノイドクリーム剤は、クリーム剤
の120mLの広口瓶1個当たり約300mgから750mgの間のカンナビノイドを含
むことが表示され、表示が正しい場合、皮膚に適用すると、1用量当たり約5mgから1
5mgの平均用量が提供される。
【0033】
カンナビノイドという用語は、カンナビノイド受容体と相互作用する化合物、ならびに
さまざまなカンナビノイド模倣物質、例えばある特定のテトラヒドロピラン類似体(例え
ば、Δ-テトラヒドロカンナビノール、Δ-テトラヒドロ-カンナビノール、6,6
,9-トリメチル-3-ペンチル-6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-1-オール、3-
(1,1-ジメチルヘプチル)-6,6a,7,8,10,10a-ヘキサヒドロ-1-
ヒドロキシ-6,6-ジメチル-9H-ジベンゾ[b,d]ピラン-9-オン、(-)-
(3S,4S)-7-ヒドロキシ-Δ6-テトラヒドロカンナビノール-1,1-ジメチ
ルヘプチル、(+)-(3S,4S)-7-ヒドロキシ-Δ6-テトラヒドロカンナビノ
ール-1,1-ジメチルヘプチル、11-ヒドロキシ-Δ-テトラヒドロカンナビノー
ル、およびΔ8-テトラヒドロカンナビノール-11-酸(-oic acid)))、ある特定
のピペリジン類似体(例えば、(-)-(6S,6aR,9R,10aR)-5,6,6
a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロ-6-メチル-3-[(R)-1-メチル
-4-フェニルブトキシ]-1,9-フェナントリジンジオール-1-アセテート))、
ある特定のアミノアルキルインドール類似体(例えば、(R)-(+)-[2,3-ジヒ
ドロ-5-メチル-3-(-4-モルホリニルメチル)-ピロロ[1,2,3-de]-
1,4-ベンズオキサジン-6-イル]-1-ナフタレニル-メタノン)、ならびにある
特定の開環ピラン類似体(例えば、2-[3-メチル-6-(1-メチルエテニル)-2
-シクロヘキセン-1-イル]-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオールおよび4-(
1,1-ジメチルヘプチル)-2,3’-ジヒドロキシ-6’アルファ-(3-ヒドロキ
シプロピル)-1’,2’,3’,4’,5’,6’-ヘキサヒドロビフェニル)を含む
【0034】
本明細書にて、カンナビジオールは、2-[3-メチル-6-(1-メチルエテニル)
-2-シクロヘキセン-1-イル]-5-ペンチル-1,3-ベンゼンジオールを指す。
カンナビジオールの合成は、例えば、Petilka et al.,Helv.Chi
m.Acta,52:1102(1969)およびMechoulam et al.,
J.Am.Chem.Soc.,87:3273(1965)に記載されており、これら
は引用により本明細書の一部を成すものとする。
【0035】
CB受容体に対する多くの外因性リガンドの発見および/または合理的設計に加えて、
主要なカンナビノイド受容体(CB1およびCB2)、これらの内因性脂質リガンド(内
因性カンナビノイド)、生合成経路および代謝酵素(纏めてECSと呼ばれることもある
。)の同定によって、研究において指数関数的な成長がもたらされ、継続的に成長してい
る、健康と疾患の両方におけるこの新たに発見された生理学的システムの調節機能が探求
される。
【0036】
最も広く研究されている内因性カンナビノイドは、アナンダミド(Nアラキドノイルエ
タノールアミン、AEA)および2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)である。
複数の経路が、これらの脂質メディエータの合成および細胞取込みに関与する。AEAお
よび2-AGに関する最も一般的な分解経路は、脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)
およびモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)酵素である。Δ-テトラヒドロカ
ンナビノール(THC;植物カンナビス サティバ(Cannabis sativa))の主要な活性
成分)と類似している内因性カンナビノイドは、2つの主要なG-タンパク質共役カンナ
ビノイド受容体を介して主にその生理学的効果を与えるが、多くの追加のシグナル伝達メ
カニズムおよび受容体系(例えば一過性の受容体潜在的な陽イオンチャネル、サブファミ
リーV、メンバー1;TRPV1)も関与する場合がある。最初に、CB1が介在する効
果が中心的に記載され、CB1受容体が中枢神経系に限定されると考えられ、一方、CB
2は免疫細胞の末梢において最初に同定された。
【0037】
CBDは、
・ケラチノサイトの過剰増殖を阻害する場合がある、
・普遍的な抗炎症作用に影響を及ぼす場合がある、例えば、
- 抗原刺激されたT細胞活性を低下させ、その後のB細胞応答も阻害する場合があ
る、
- 複数のT細胞集団を抑制し、一般的なT細胞活性化を阻害する場合がある、
- 炎症促進性メディエータの濃度を減少させ、抗炎症性サイトカインの放出も増加
させる場合がある、
- IFN-γの効果を阻害し、および/またはIFN-γレベルを低下させる場合
がある、
- Th17、Th1、およびTh2免疫応答に関与する遊走、増殖および細胞成熟
プロセスを阻害する場合がある、ならびに
・直接的な抗酸化効果を有する場合がある、
と考えられる。
【0038】
いかなる理論に拘束されないものの、炎症性皮膚疾患に対するCBDの作用様式は、炎
症応答のメディエータの抑制に関与していると考えられる。皮膚および付属器(例えば毛
包、皮脂腺)の多様な細胞タイプの増殖、分化、アポトーシス、ならびにサイトカイン、
メディエータおよびホルモン産生において、内因性カンナビノイドシステム(ECS)の
生理学的調節機能が存在する。
【0039】
in vitro研究によって、CBDはヒトバニロイド1型受容体(VR1)を刺激
し、アナンダミド(内因性CBD神経伝達物質)を阻害することが示されている。これら
の発見は、CBDの抗炎症特性に関する作用様式を示唆している。感作モルモットにおけ
るCBDの静脈内投与を用いたin vivo研究では、気道閉塞が軽減され、免疫誘発
性炎症性反応の軽減におけるCBDの潜在的な役割が示されている。同様に、CBDをラ
ットに注射すると、心臓の炎症が軽減される。
【0040】
[処置レジメン]
炎症性皮膚状態は、皮膚科学における最も一般的な問題である。これらは、そう痒およ
び発赤を伴う時折の発疹から、慢性状態、例えば皮膚炎(湿疹)、酒さ、脂漏性皮膚炎、
および乾癬まで多くの形態で出現する。しかしこれらは、1つの共通の要因である炎症に
よってすべて関連付けられる。皮膚および免疫細胞によって産生され、炎症応答、例えば
アトピー性皮膚炎および放射線皮膚炎の発症に必要である炎症性マーカー(サイトカイン
)が見出されている。本発明は、培養皮膚細胞(ケラチノサイトおよび線維芽細胞)およ
び免疫細胞(単球およびTリンパ球)、ならびに無傷の生存皮膚において多様な炎症応答
の生成を抑制する、カンナビノイドの形態の活性薬剤を含む。皮膚におけるこれらの炎症
性プロセスをブロックした結果、カンナビノイドの形態の本発明に係る化合物は、一般的
な皮膚問題に伴って生じる多様な炎症性症状を効果的に軽減または排除することができる
(Kupczyk et al(2009) Cannabinoid system
in the skin-a possible target for future
therapies in dermatology Exp Dermatol.1
8(8):669-79を参照のこと。)。
【0041】
カンナビジオールを含む高濃度の溶解カンナビノイドは、(固形状カンナビノイドとは
対照的に)皮膚、特に表皮(表皮基底層を含む)への適切な範囲の送達を強化し、真皮に
ある程度浸透する点で有利であることが予想される。皮膚の外表面における高濃度の溶解
カンナビノイドが、カンナビノイドの皮膚、特に表皮および真皮への浸透を強化する濃度
勾配をもたらすと思われる。
【0042】
先行技術とは対照的に、本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使
用するためのレジメンであって、
a)1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む50mgから3000m
gの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投与され
ることを含む、前記レジメンを提供する。
【0043】
処置レジメンを適用する対象は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、類人猿、ヒツジ、ウ
シ、ヤギ、イヌ、ネコ等であってもよい。最も好ましくは、処置レジメンを適用する対象
は、ヒト、猫または犬である。
【0044】
好ましくは、1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む局所用組成物は
、液状またはゲル状組成物である。
【0045】
好ましくは、50mgから3000mgの間、50mgから2000mgの間、50m
gから1000mgの間、50mgから500mgの間、50mgから400mgの間、
50mgから300mgの間、50mgから200mgの間、50mgから100mgの
間の量の組成物を、各投与において対象の皮膚に投与してもよい。例えば、50mg、1
00mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg
、800mg、900mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg
または3000mgの組成物を、各投与において対象の皮膚に投与してもよい。好ましく
は、約100mgの量が、各投与において対象の皮膚に投与される。
【0046】
好ましくは、50mgから3000mgの間、50mgから2000mgの間、50m
gから1000mgの間、50mgから500mgの間、50mgから400mgの間、
50mgから300mgの間、50mgから200mgの間、50mgから100mgの
間の量の組成物を、各投与において対象の顔面に投与してもよい。例えば、50mg、1
00mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg
、800mg、900mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg
または3000mgの組成物を、各投与において対象の顔面に投与してもよい。好ましく
は、約100mgの量が、各投与において対象の顔面に投与される。
【0047】
好ましくは、50mgから3000mgの間、50mgから2000mgの間、50m
gから1000mgの間、50mgから500mgの間、50mgから400mgの間、
50mgから300mgの間、50mgから200mgの間、50mgから100mgの
間の量の組成物を、各投与において565cmの対象の皮膚に投与してもよい。例えば
、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600m
g、700mg、800mg、900mg、1000mg、1500mg、2000mg
、2500mgまたは3000mgの組成物を、各投与において565cmの対象の皮
膚に投与してもよい。好ましくは、約100mgの量が、各投与において565cm
対象に投与される。
【0048】
好ましくは、組成物は、1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイド、1%w/
wから14%w/wの間、1%w/wから13%w/wの間、1%w/wから12%w/
wの間、1%w/wから11%w/wの間、1%w/wから10%w/wの間、1%w/
wから9%w/wの間、1%w/wから8%w/wの間、1%w/wから7%w/wの間
、1%w/wから6%w/wの間、1%w/wから5%w/wの間、2%w/wから5%
w/wの間、2%w/wから4%w/wの間、3%w/wから5%w/wの間、4%w/
wから5%w/wの間のカンナビノイドを含む。例えば、組成物は、1%w/w、2%w
/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9
%w/w、10%w/w、11%w/w、12%w/w、13%w/w、14%w/w、
または15%w/wのカンナビノイドを含んでいてもよい。
【0049】
ある特定の実施形態にて、本発明に係る局所用組成物中のカンナビノイドの濃度は、少
なくとも2%w/w、少なくとも3%w/w、少なくとも4%w/w、少なくとも5%w
/w、少なくとも6%w/w、少なくとも7%w/w、少なくとも8%w/w、少なくと
も9%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも11%w/w、少なくとも12%w
/w、少なくとも13%w/w、少なくとも14%w/w、および少なくとも15%w/
wからなる群から選択してもよい。
【0050】
ある特定の実施形態にて、局所用組成物中のカンナビノイドの濃度は、1%w/w、2
%w/w、3%w/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w
、9%w/w、10%w/w、11%w/w、12%w/w、13%w/w、14%w/
w、および15%w/wからなる群から選択される下限値、ならびに2%w/w、3%w
/w、4%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、1
0%w/w、11%w/w、12%w/w、13%w/w、14%w/wおよび15%w
/wからなる群から選択される上限値を含む範囲内であってもよい。
【0051】
より好ましくは、局所用組成物中のカンナビノイドの濃度は、4%w/wである。
【0052】
好ましくは、処置レジメンの組成物は、1回の投与当たり20mgから400mgの間
のカンナビノイドを送達する。例えば、処置レジメンの組成物は、1回の投与当たり20
mgから400mgの間、20mgから35000mgの間、20mgから300mgの
間、20mgから250mgの間、20mgから200mgの間、20mgから1500
mgの間、20mgから100mgの間、20mgから50mgの間、30mgから10
0mgの間、40mgから100mgの間、50mgから100mgの間、60mgから
100mgの間、70mgから100mgの間、80mgから100mgの間のカンナビ
ノイドを送達することができる。
【0053】
ある特定の実施形態にて、処置レジメンの組成物は、1回の投与当たり20mg、30
mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、1
10mg、120mg、130mg、140mg、150mg、200mg、250mg
、300mgおよび350mgからなる群から選択される下限値、ならびに30mg、4
0mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg
、120mg、130mg、140mg、150mg、200mg、250mg、300
mg、350mgおよび400mgからなる群から選択される上限値を含む量のカンナビ
ノイドを送達する。
【0054】
より好ましくは、1回の投与当たりのカンナビノイドの量は、90mgである。
【0055】
ある特定の実施形態によれば、組成物は、罹患した領域に、軽減が得られるまで定期的
に適用する。1つの好ましい実施形態にて、組成物は、1時間ごと、2時間ごと、3時間
ごと、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、週1回、週2回、隔週1回
、および月1回からなる群から選択される投薬レジメンを使用して、このような処置を必
要とする患者の皮膚に投与される。しかし、他の適用スケジュールを本発明に従って利用
してもよい。好ましくは、処置レジメンの組成物は、1日当たり1回から5回の間で、よ
り好ましくは1日当たり1回または2回皮膚に投与される。
【0056】
好ましくは、局所用組成物が投与されることによって皮膚に適用される1日当たりの総
用量は、20mgから2000mgの間のカンナビノイド、好ましくは、20mgから2
000mgの間、50mgから1500mgの間、20mgから200mgの間、100
mgから1000mgの間、150mgから500mgの間、200mgから500mg
の間、200mgから400mgの間のカンナビノイドである。
【0057】
ある特定の実施形態にて、局所用組成物が投与されることによって皮膚に適用される1
日当たりのカンナビノイドの総用量は、20mg、30mg、35mg、40mg、45
mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、
120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、200m
g、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、27
0mg、280mg、290mg、300mg、320mg、350mg、400mg、
500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、150
0mgおよび1900mgからなる群から選択される下限値、ならびに30mg、50m
g、70mg、100mg、150mg、200mg、210mg、220mg、230
mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、3
00mg、320mg、350mg、400mg、500mg、600mg、700mg
、800mg、900mg、1000mg、1500mgおよび2000mgからなる群
から選択される上限値を有する。
【0058】
最も好ましくは、局所用組成物が投与されることによって皮膚に適用される1日当たり
のカンナビノイドの総用量は、180mgである。
【0059】
このように、本発明に係る組成物について、好ましくは、
・50mgから3000mgの間の量の組成物を皮膚に投与し、
・投与された組成物は、1%から15%の間のカンナビノイドを含み、
・投与された組成物は、20mgから400mgの間のカンナビノイドを送達し、
・組成物は、1日当たり1回から5回の間で投与され、
・皮膚に適用される1日当たりの総用量は、20mgから2000mgの間のカンナビ
ノイドである。
【0060】
より好ましくは、
・100mgから120mgの間の量の組成物を皮膚に投与し、
・投与された組成物は、3%から5%の間のカンナビノイドを含み、
・投与された組成物は、80mgから120mgの間のカンナビノイドを送達し、
・組成物は、1日1回または2回投与され、
・皮膚に適用される1日当たりの総用量は、150mgから350mgの間のカンナビ
ノイドである。
【0061】
最も好ましくは、
・100mgから120mgの間の量の組成物が皮膚に投与され、
・投与された組成物は4%カンナビノイドを含み、
・投与された組成物は90mgのカンナビノイドを送達し、
・組成物は、1日1回または2回投与され、
・皮膚に適用される1日当たりの総用量は180mgのカンナビノイドである。
【0062】
皮膚に送達される高濃度のカンナビノイドは、皮膚、特に表皮(表皮基底層を含む)へ
の適切な範囲の送達を強化し、真皮にある程度浸透する点で有利であることが予想される
。皮膚の外表面における高濃度のカンナビノイドが、カンナビノイドの皮膚、特に表皮お
よび真皮への浸透を強化する濃度勾配をもたらすと思われる。
【0063】
炎症性皮膚疾患を処置するための局所分布を達成するために、表皮に浸透し、好ましく
はそこに留まることは、大部分のカンナビノイド、例えばカンナビジオール(CBD)に
とって有利であり、真皮および皮下層にさらに浸透し、全身的に吸収されることは、一部
のカンナビノイドにとって有利である。このような場合、カンナビジオールは、表皮に主
に集中することになり、したがってその局所的な効果が最大化される。局所的な効果は潜
在的な治療的利点を高めるだけではなく、患者体内を循環する活性化合物の量が減少する
ために、カンナビノイドの全身投与と関連する任意の潜在的な副作用の頻度および重症度
を潜在的に低下させる。
【0064】
[皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置および阻止]
ある特定の実施形態にて、カンナビノイド、例えばカンナビジオールの本発明に係る組
成物による局所適用は、炎症性皮膚疾患の発生および/または重症度を減少させることが
期待される。本発明に係る治療効果としては、これらに限定されないものの、発赤、痒み
、疼痛または刺激の減少、水疱または膿疱の減少、感染症の減少、腫れ、亀裂、滲出、痂
皮、および鱗屑の減少、ならびに/または炎症の普遍的な減少がある。
【0065】
炎症性皮膚疾患および皮膚炎ならびに炎症性皮膚状態という用語は、区別せずに使用さ
れる。
【0066】
ある特定の実施形態にて、カンナビノイド、例えばカンナビジオールの本発明に係る組
成物による局所適用は、炎症性皮膚疾患の症状を改善することが期待される。
【0067】
「改善する(improve)」という用語は、本発明が、それが提供、適用または投与される
組織の外観、形態、特性および/または物理的性質のいずれかを変化させることを伝える
ために使用する。形態の変化は、皮膚の外観の向上、皮膚の炎症の減少、炎症または水疱
の阻止、水疱の伝播の減少、皮膚の潰瘍の減少、発赤の減少、瘢痕の減少、病変の減少、
水疱の治癒、皮膚肥厚の減少、創傷および病変の閉鎖、これらに限定されないものの、疼
痛、炎症、そう痒、汗疹もしくは炎症状態と関連する他の症状、または類似のものを含む
症状の減少のうちのいずれかを単独でまたは組合せて実証してもよい。
【0068】
本発明における主な利点は、従来の治療法の典型的な副作用なしに皮膚の状態を改善す
ることが期待される。本発明の可能性は広範であり、カンナビノイドの局所適用は、炎症
性皮膚疾患処置の興味深い新規の方法としての有望性を示す。
【0069】
本発明の実施形態による皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置によって、皮膚治癒の改善
がもたらされることが期待される。例えば、炎症性皮膚疾患の処置において使用した場合
、処置された腫れ、亀裂または鱗屑がある皮膚は、治療されていないままの場合と比較し
て、素早くおよび/または完全に治癒することが期待される。
【0070】
本発明に従って投与した場合、処置は、1つまたは複数の治療効果をもたらすことが期
待される。患部における治療効果としては、これらに限定されないものの、発赤、痒み、
疼痛もしくは刺激、皮膚炎病変の数および重症度の減少、感染症の減少、腫れ、亀裂、滲
出、痂皮、および鱗屑の減少、ならびに/または炎症の普遍的な減少がある。これらの治
療効果のうちの1つまたは複数は、本発明による処置が適切な状態のうちのいずれかに行
われた場合に観察されることが期待される。
【0071】
このように、本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための方法
であって、
a)1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む50mgから3000m
gの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投与され
ることを含む、前記方法を提供する。
【0072】
好ましくは、1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイドを含む局所用組成物は
、液状またはゲル状組成物である。好ましくは、組成物は、非水性である。
【0073】
処置レジメンを適用する対象は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、類人猿、ヒツジ、ウ
シ、ヤギ、イヌ、ネコ等であってもよい。最も好ましくは、処置レジメンを適用する対象
は、ヒト、猫または犬である。
【0074】
本発明は、このような処置または阻止を必要とする対象において皮膚炎および炎症性皮
膚状態を処置または阻止するための、1%w/wから15%w/wの間のカンナビノイド
を含む50mgから3000mgの間の局所用組成物の使用をさらに提供する。
【0075】
本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための局所用組成物であ
って、50mgから3000mgの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必
要とする対象の皮膚に投与される局所用組成物の製造のための、1%w/wから15%w
/wの間のカンナビノイドの使用をさらに提供する。
【0076】
1つの態様にて、本発明は、カンナビジオールを含む局所用カンナビノイドを使用して
皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止する方法を対象とする。ある特定の実施形
態によれば、カンナビノイド、例えばカンナビジオールを含む本発明に係る局所用組成物
は、好ましくは、炎症性皮膚疾患に罹患した領域に局所的に適用する。好ましくは、ある
特定の実施形態によるカンナビノイドの適用は、発赤、痒み、疼痛もしくは刺激の減少、
水疱もしくは膿疱の減少、感染症の減少、皮膚中のコラーゲンおよびエラスチンの破壊お
よび損失の減少、腫れ、亀裂、滲出、痂皮、および鱗屑の減少、ならびに/または炎症の
普遍的な減少をもたらす。
【0077】
このように、本発明に係る方法について、好ましくは、
・50mgから3000mgの間の量の組成物を皮膚に投与し、
・投与された組成物は1%から15%の間のカンナビノイドを含み、
・投与された組成物は、20mgから400mgの間のカンナビノイドを送達し、
・組成物は、1日当たり1回から5回の間で投与され、
・皮膚に適用される1日当たりの総用量は、20mgから2000mgの間のカンナビ
ノイドである。
【0078】
より好ましくは、
・100mgから120mgの間の量の組成物を皮膚に投与し、
・投与された組成物は3%から5%の間のカンナビノイドを含み、
・投与された組成物は、80mgから120mgの間のカンナビノイドを送達し、
・組成物は、1日1回または2回投与され、
・皮膚に適用される1日当たりの総用量は、150mgから350mgの間のカンナビ
ノイドである。
【0079】
最も好ましくは、
・100mgから120mgの間の量の組成物が皮膚に投与され、
・投与された組成物は4%カンナビノイドを含み、
・投与された組成物は、90mgのカンナビノイドを送達し、
・組成物は、1日1回または2回投与され、
・皮膚に適用される1日当たりの総用量は180mgカンナビノイドである。
【0080】
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「炎症性皮膚状態(inflammatory skin conditi
on)」という用語は、皮膚疾患および皮膚障害を含み、一連の臨床的徴候および症状、例
えば痒み、浮腫、紅斑および擦り傷が伴い、皮膚に一連の炎症反応をもたらすさまざまな
刺激因子によって誘発された状態を意味している。いくつかの態様にて、炎症性皮膚状態
は、皮膚の潰瘍、炎症、または水疱形成によって特徴付けてもよい。いくつかの実施形態
にて、炎症性皮膚状態は、遺伝的構成成分、自己免疫構成成分、循環構成成分またはこれ
らの組合せによって特徴付けてもよい。
【0081】
1つの実施形態にて、「炎症性皮膚状態」は、酒さ、皮膚炎(放射線皮膚炎、アトピー
性皮膚炎、アレルギー性および刺激性接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、うっ血性皮膚炎)、紅
斑(日焼け)、紫外線角膜炎(光線口唇炎を含む)、瘢痕、色素沈着過剰症、エリテマト
ーデス、類天疱瘡、蕁麻疹、湿疹、扁平苔癬、先端皮膚炎、皮膚筋炎、皮膚感染症(足白
癬および癜風、帯状疱疹、口腔内潰瘍(口内炎、口唇潰瘍を含む)、おむつかぶれ、丹毒
、膿痂疹、皮膚カンジダを含む)に起因する炎症性皮膚状態、または咬傷および刺傷(ハ
チ刺傷、アリ咬傷、スズメバチ刺傷、ダニ咬傷、ノミ咬傷、疥癬感染症を含む)に起因す
る炎症のリストから選択される。
【0082】
1つの実施形態にて、「炎症性皮膚状態」は、皮膚ポルフィリン症、強皮症、表皮水疱
症、褥瘡性潰瘍、圧迫潰瘍、糖尿病性潰瘍、静脈うっ血性潰瘍、鎌状赤血球潰瘍(sickle
cell ulcers)、火傷、蕁麻疹、疱疹状皮膚炎、関節炎、痛風、脱毛症、癌腫、汗疹、皮
膚感染症、切開の術後ケア、任意のさまざまな形成外科手術後の皮膚ケア、放射線処置後
の皮膚ケア、乾燥、亀裂または老化した皮膚およびしわのケアによって引き起こされる潰
瘍、ならびに皮膚に影響を与え、炎症性構成成分を有する他の状態、これらの症状、また
はこれらの組合せのリストから選択される。処置される症状としては、疼痛、炎症、発赤
、そう痒、瘢痕、皮膚肥厚、汗疹、またはこれらの組合せがあり得る。
【0083】
1つの実施形態にて、「炎症性皮膚状態」は、皮膚疼痛、皮膚炎、細菌性皮膚感染症、
真菌性皮膚感染症、ウイルス性皮膚感染症、寄生虫性皮膚感染症、皮膚新形成、皮膚新生
物、掻痒、蜂巣炎、急性リンパ管炎、リンパ節炎、丹毒、皮膚膿瘍、壊死性皮下感染症、
熱傷皮膚症候群、毛包炎、せつ、汗腺膿瘍、よう、ひょう疽感染症、発疹、紅色陰癬、膿
痂疹、膿瘡、酵母皮膚感染症、いぼ、伝染性軟属腫、皮膚の外傷または損傷、術後性また
は外科手術後性の皮膚状態、シラミ寄生症、皮膚爬行症、バラ色粃糠疹、毛孔性紅色粃糠
疹、浮腫、多形紅斑、結節性紅斑、環状肉芽腫、表皮壊死症、日焼け、光線過敏症、天疱
瘡、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、毛孔性角化、タコ、ウオノメ、魚鱗癬、皮膚潰瘍、
虚血性壊死、汗疹、多汗症、ほくろ、カポジ肉腫、黒色腫、悪性黒色腫、基底細胞癌腫、
扁平上皮細胞癌腫、有毒ウルシ、有毒オーク、紫斑病、モニリア症、カンジダ症、脱毛症
、男性型脱毛症、ベーチェット症候群、真珠腫、ダーカム病、外胚葉異形成、味覚性発汗
、爪膝蓋骨症候群、休止期脱毛症、ヘイリーヘイリー疾患、化学的または熱的皮膚火傷、
強皮症、老化皮膚、しわ、ソバカス(sun spot)、壊死性筋膜炎、壊死性筋炎、壊疽、瘢
痕、および白斑のリストから選択される。
【0084】
ある特定の実施形態にて、「炎症性皮膚状態」という用語は、酒さ、放射線皮膚炎、紅
斑(日焼け)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性および刺激性接触皮膚炎、紫外線角膜炎
、瘢痕、色素沈着過剰症、および脂漏性皮膚炎または湿疹、または他の湿疹、またはおよ
び円形脱毛症を意味している。
【0085】
好ましくは、炎症性皮膚状態は、アトピー性皮膚炎または酒さから選択される。
【0086】
[医薬組成物]
本発明は、皮膚炎および炎症性皮膚状態の処置または阻止に使用するための1%w/w
から15%w/wの間のカンナビノイドを含む組成物であって、50mgから3000m
gの間の局所用組成物が、このような処置または阻止を必要とする対象の皮膚に投与され
る局所用組成物を提供する。好ましくは、皮膚に投与される組成物は、1日当たり1回か
ら5回の間で投与し、好ましくは局所用組成物を投与されることによって皮膚に適用され
る1日当たりの総用量は、20mgから2000mgの間のカンナビノイドである。
【0087】
好ましくは、本発明に係る組成物の各局所用量において、カンナビノイドの治療有効量
が存在する。治療有効量は、治療効果をもたらすのに必要な量を意味している。
【0088】
本発明のある特定の実施形態は、任意選択的な局所的に許容される担体ビヒクルを含む
。好ましい局所的に許容されるビヒクルとしては、ゲル、軟膏、および液体があるが、こ
れらに限定されない。好ましい実施形態の投与は、選択された局所的に許容される形態に
対して最も適した様式によって行う。例えば、ゲル剤、ローション剤、クリーム剤および
軟膏剤は、好ましくは、塗布することによって投与される。局所用組成物は、水を含んで
いても、いなくてもよく、すなわち、水性組成物であっても、非水性組成物であってもよ
い。
【0089】
局所用組成物におけるカンナビノイドの希釈は、重要な検討事項であり得る。組成物中
のカンナビノイド濃度は、組成物が乾燥するために過剰に長い時間患者が待つ必要がない
ように十分に高くするべきである。一方、カンナビノイド濃度は、患者に患部を効果的に
被覆させることができるように十分に希釈するべきである。さらに、組成物は、空気また
は紫外線への曝露に対し応答して重合する構成成分を含んでいてもよい。
【0090】
適用することになる組成物の量は変動するであろう。カンナビノイド、例えばカンナビ
ジオールを、薬物溶液を噴霧することによって投与した場合、1回用量の総容量は、0.
1mlまで低下する場合がある。カンナビノイド、例えばカンナビジオールをゲル剤また
はクリーム剤で投与した場合、総容量は、3mlに達する場合がある。逆に、炎症性皮膚
疾患が散在した病変を含む場合、各病変部に適用される容量は、少なくてもよい。選択す
る担体およびその適用様式は、好ましくは、患者の要求および投与する医師の優先度を考
慮して選択する。
【0091】
1つの好ましい実施形態にて、組成物は、好ましくは、ゲルを患部に塗布することによ
って投与されるゲル剤を含む。他の好ましい実施形態にて、組成物は、液体を患部に噴霧
、そうでなければ適用することによって投与されることができる液剤を含む。
【0092】
ある特定の実施形態にて、本発明に係る組成物は、これらに限定されないものの、液剤
、クリーム剤またはゲル剤を含む群から選択される形態で提供してもよい。組成物は、リ
ーブオン調製物であっても、ウォッシュオフ調製物であってもよい。1つの好ましい形態
にて、組成物は、クリーム剤またはゲル剤である。別の好ましい形態にて、組成物は噴霧
剤である。組成物は、水を含んでいても、含んでいなくてもよい。好ましくは、組成物は
水を含まない、すなわち非水性である。
【0093】
カンナビノイドは、皮膚の外観および/または水和を改善することができる追加の活性
部分と共に組成物中に組み込むことができる。
【0094】
さらに、本発明に係る組成物は、炎症性皮膚疾患を処置するための他の局所的に適用す
る鎮痛剤および/または全身的に利用可能な薬剤と組み合わせて使用できる。
【0095】
このような鎮痛剤の例としては、これらに限定されないものの、モルヒネ、シクラゾシ
ン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルフィセプチン、メペリジン、トリフルア
ドム(trifluadom)、ベンゼンアセタミン、ジアシルアセトアミド、ベンゾモルファン、
アルカロイド、ペプチド、フェナントレン、およびこれらの薬学的に許容される塩、プロ
ドラッグまたは誘導体がある。本発明において好適であると考えられる化合物の特定の例
としては、これらに限定されないものの、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシ
モルホン、レボファノール、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コデイン、ヒドロコ
ドン、オキシコドン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ペンタ
ゾシンおよびナルブフィンがある。本明細書にて、オピオイド剤の文脈において使用する
「薬学的に許容される塩、プロドラッグおよび誘導体(pharmaceutically acceptable sal
ts, prodrugs and derivatives)」は、例えば、これらの塩の酸または塩基を作製するこ
とによって、または修飾が所定の操作またはin vivoのいずれかで開裂すると、鎮
痛薬の活性親化合物を生成するような方法で化合物に存在する官能基を修飾することによ
って、修飾されたオピオイド鎮痛化合物の誘導体を指す。例としては、アミン等の酸性残
基の無機または有機塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリまたは有機塩、アセテート、
ホルメート、スルフェート、酒石酸塩およびベンゾエート誘導体などがあるが、これらに
限定されない。好適なオピオイド鎮痛剤としては、特に上述のものがあり、Goodma
n and Gilman,ibid,chapter 28,pp.521-555に
も記載されている。
【0096】
さらに、他の活性薬剤、例えば局所的に有効な麻酔薬、例えばキシロカイン、コカイン
、リドカイン、ベンゾカイン等が、本発明に係る組成物中に含まれていてもよく、これら
は長期的には効果が低くても、鎮痛剤が完全に有効になるまで疼痛レベルを迅速に軽減す
ることができる。
【0097】
局所的に投与したカンナビジオールの効果を強化するために、さらに他の薬剤も、好ま
しくは局所的に投与してもよい。例えば、非常用性オピオイド化合物であるデキストロメ
トルファンを、好ましくは局所的に同時投与してもよいが、非経口投与も、局所的に投与
した薬剤の有効性を強化するために効果的である。理論に束縛されることを望むものでは
ないが、デキストロメトルファンは、以前には認められていなかった末梢神経における鎮
痛特性を有すると考えられる。デキストロメトルファンの好適な濃度は、当業者であれば
通常確定可能であり、従来の目的で、例えば、鎮咳薬として非経口で投与される標準的な
治療量以下を含み、局所投与のために通常決定可能な量、例えばデキストロメトルファン
1gを、本明細書に記載される組成物に添加し、炎症性皮膚疾患のための追加の処置を提
供することができる。
【0098】
1つの実施形態にて、本発明に係る医薬組成物は、皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置
するための、サリチル酸;レゾルシノール;スルファセタミド;尿素;イミダゾール、例
えばケトコナゾールおよびエルビオール;精油;アルファ-ビサボロール;グリチルリチ
ン酸二カリウム;カンフアー;ベータ-グルカン;アラントイン;ナツシロギク;フラボ
ノイド、例えば大豆イソフラボン;ノコギリパルメット;キレート化剤、例えばEDTA
;リパーゼ阻害剤、例えば銀および銅イオン;植物タンパク質加水分解物;塩化物、ヨウ
化物、フッ化物の無機イオン、およびこれらの非イオン性塩素、ヨウ素、フッ素誘導体;
合成リン脂質および天然リン脂質;ステロイド性抗炎症剤、例えばヒドロコルチゾン、ヒ
ドロキシルトリアムシノロン アルファ-メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン
、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デオキシメタゾン
、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾンジア
セテート、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド、フ
ルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド
、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレニ
リデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、ブチル酸ヒドロ
コルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルト
ドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラド
レナロンアセトニド、メドリゾン、アムシアフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、ク
ロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリ
ゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペ
ロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒ
ドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン
、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリア
ムシノロン、モノプロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、
ブデソニド、シクレソニドならびにこれらの塩およびプロドラッグ;イブプロフェン、ナ
プロキセン、サリチル酸、ケトプロフェン、ヘトプロフェン(hetprofen)およびジクロ
フェナクを含む非ステロイド性抗炎症薬物(NSAIDs)、例えばCOX阻害剤、LO
X阻害剤、p38キナーゼ阻害剤;疼痛および痒みを処置するための鎮痛活性薬剤、例え
ばサリチル酸メチル、メントール、サリチル酸トロラミン、カプサイシン、リドカイン、
ベンゾカイン、塩酸プラモキシン、およびヒドロコルチゾン;抗生剤、例えばムピロシン
、硫酸ネオマイシン バシトラシン、ポリミキシンB、1-オフロキサシン、リン酸クリ
ンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化
メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティーツリー油、テト
ラサイクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシン;免疫抑制剤、例えばシクロスポリ
ンおよびサイトカイン合成阻害剤、テトラサイクリン、ミノサイクリン、およびドキシサ
イクリン、またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数をさらに含む。
【0099】
本発明の好ましい形態にて、製剤は、固形製剤、例えばパッチ剤または絆創膏剤ではな
い。本発明の好ましい形態にて、組成物は、液体製剤である。
【0100】
組成物は、カンナビノイドが皮膚上で濃縮されることが好ましい。これを達成するため
に、1つの好ましい方法としては、揮発性溶媒および残留(揮発性が低い)溶媒の混合物
を含む組成物の状態でカンナビノイドを提供することである。
【0101】
[揮発性溶媒]
揮発性溶媒を使用することによって、非晶質の(すなわち溶液の状態で)はるかに高濃
度のカンナビノイドを達成することができる。カンナビノイドは、はるかに高濃度の揮発
性溶媒に溶解することができ、その後皮膚に適用されると、揮発性溶媒が蒸発し、カンナ
ビノイドは高濃度で皮膚に残留する。揮発性溶媒は、例えば、C2-6低分子量アルコー
ル、例えばメタノール、イソプロパノール、プロパノール、2-ブタノール、n-ブタノ
ールおよびエタノールであってもよい。あるいは、揮発性溶媒は、シロキサンであっても
よい。他の好適な揮発性溶媒は当業者であれば明白であろう。
【0102】
本発明の好ましい形態にて、組成物は、C2-6低分子量アルコールおよびシロキサン
の組合せを含む。
【0103】
有利には、いくつかの実施形態にて、揮発性溶媒は、室内温度で液体である。好ましく
は、揮発性溶媒は、約30℃以下または約25℃で、液体である。好ましくは、揮発性溶
媒の揮発性レベルは、イソプロピルアルコールのものとほぼ同じである。好ましくは、揮
発性溶媒の沸点は大気圧で約70℃から110℃の間である。好ましくは、揮発性溶媒の
沸点は、大気圧で約80℃から105℃の間である。好ましくは、揮発性溶媒の沸点は、
大気圧で約85℃から105℃の間である。
【0104】
有利には、いくつかの実施形態にて、揮発性溶媒は、C2-6アルコールおよびこれら
の組合せからなる群から選択される。有利には、いくつかの実施形態にて、揮発性溶媒は
、C2-4アルコールおよびこれらの組合せからなる群から選択される。特定の実施形態
にて、揮発性溶媒は、エチルアルコール(またはエタノール)、n-プロパノール、イソ
プロピルアルコール、ブタノール、およびこれらの組合せからなる群から選択される。他
の揮発性溶媒は、当業者であれば明白であろう。
【0105】
あるいは、揮発性溶媒は、シロキサンを含む。好ましくは、揮発性溶媒は、非高分子シ
ロキサンを含む。
【0106】
本発明の好ましい形態にて、シロキサンは、1分子当たり1から8個のケイ素原子を含
む。本発明の好ましい形態にて、シロキサンは、1分子当たり2から5個のケイ素原子を
含む。1つの実施形態にて、シロキサンは、2または3個のケイ素原子を含む。
【0107】
シロキサンは、1から8個の間のメチル基を有していてもよい。1つの実施形態にて、
シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびこれらの
組合せからなる群から選択される。これらは最も揮発性の高いシロキサンであり、したが
って、最も有利である。好ましくは、シロキサンの揮発レベルは、イソプロピルアルコー
ルのものとほぼ同じである。
【0108】
別の実施形態にて、シロキサンは、4または5個のケイ素原子を含み、例えば、デカメ
チルテトラシロキサンまたはドデカメチルペンタシロキサンである。別の実施形態にて、
シロキサンは、オクタメチルシクロテトラシロキサン(CAS番号556-67-2)ま
たはデカメチルシクロペンタシロキサン(CAS番号541-02-6)のような4また
は5個のケイ素原子の環状化合物である。
【0109】
本発明の1つの形態にて、揮発性溶媒は、ヘキシルメチルジシロキサンであり、揮発性
の低いポリメチルシロキサンと組み合わされる。
【0110】
本発明の好ましい形態にて、組成物は、C2-6低分子量アルコールおよび非高分子シ
ロキサンの組合せを含む。
【0111】
本発明の好ましい形態にて、カンナビノイドは、揮発性溶媒中に溶解している。
【0112】
特定の実施形態にて、揮発性溶媒の相対量は、少なくとも2%w/w、3%w/w、4
%w/w、5%w/w、6%w/w、7%w/w、8%w/w、9%w/w、10%w/
w、11%w/w、12%w/w、13%w/w、14%w/w、15%w/w、20%
w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/w、5
0%w/w、55%w/w、60%w/w、65%w/w、70%w/w、75%w/w
、80%w/w、85%w/w、90%w/w、95%w/wまたは97%w/wから選
択される。特定の実施形態にて、揮発性溶媒の最大濃度は、50%w/w、60%w/w
、70%w/w、80%w/w、90%w/w、95%w/wまたは97%w/wである
。揮発性溶媒の相対量は、1%w/wから97%w/wの間、10%w/wから97%の
間、10%w/wから90%w/wの間、50%w/wから97%w/wの間、50%w
/wから95%w/wの間であってもよい。
【0113】
好ましくは、揮発性溶媒は、85~95%w/w非高分子シロキサンおよび1~10%
wt/wt C~Cアルコールとして提供される。
【0114】
[残留溶媒]
カンナビノイドは、揮発性が低い溶媒を添加することによって揮発性溶媒が蒸発した後
に、好ましくは皮膚上に非結晶形態で維持される。この揮発性が低い溶媒は、揮発性溶媒
が蒸発した後に皮膚に残留し、揮発性溶媒が蒸発した後にカンナビノイドを非晶質の状態
に維持する場合があるために残留溶媒と称される。好ましくは、残留溶媒は、5%未満が
24時間以上皮膚温度で蒸発することになるように、揮発性が低い。好ましくは、残留溶
媒は、疎水性末端および親水性末端を有する鎖構造を有する。好ましくは、残留溶媒は、
32℃以下で液体である。好ましくは、残留溶媒は揮発性溶媒に溶解する。好ましくは、
残留溶媒は、20%から最大70%w/wのカンナビノイド濃度で、非結晶形態の、すな
わち溶液の状態のカンナビノイドを維持させる。
【0115】
残留溶媒の目的は、揮発性溶媒が蒸発すると、カンナビノイドのための溶媒として作用
することである。残留溶媒は、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪アルコール、グリコール
またはアルカン、またはこれらのうちのいずれかのエーテルを含むリストからの化合物で
あってもよい。それは、好ましくはC12-22化合物である。残留溶媒は、例えばアル
キルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテルの混合物、および/ま
たは脂肪酸アルコール、および/または脂肪アルコールを含んでいてもよい。特定の実施
形態にて、残留溶媒はC12-22脂肪アルコールである。特定の実施形態にて、残留溶
媒はC16-22脂肪アルコールである。特定の実施形態にて、残留溶媒は、オレイルア
ルコール、イソステアリルアルコール、イソヘキサデカン、オクチルドデシルアルコール
、2-ヘキシルデシルアルコールからなる群から選択される。最も好ましくは、残留溶媒
は、イソヘキサデカンである。
【0116】
特定の実施形態にて、残留溶媒の相対量は、少なくとも1%w/w、少なくとも2%w
/w、少なくとも3%w/w、少なくとも4%w/w、少なくとも5%w/w、少なくと
も6%w/w、少なくとも7%w/w、少なくとも8%w/w、少なくとも9%w/w、
少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、少なくと
も40%w/w、少なくとも50%w/wから選択してもよい。特定の実施形態にて、残
留溶媒の最大濃度は50%w/wである。特定の実施形態にて、残留溶媒の最大濃度は8
0%w/wである。残留溶媒の相対量は、1%w/wから80%w/wの間、1%w/w
から50%w/wの間、1%w/wから40%w/wの間、1%w/wから30%w/w
の間、1%w/wから20%w/wの間、1%w/wから10%w/wの間、2%w/w
から80%w/wの間、2%w/wから50%w/wの間、2%w/wから20%w/w
の間、2%w/wから10%w/wの間から選択してもよい。好ましくは、残留溶媒の量
は、1~10%w/wの間である。
【0117】
好ましくは、残留溶媒の量は、揮発性が高い溶媒を一部または完全に蒸発した後に、非
結晶形態の、すなわち溶液の状態のカンナビノイドを皮膚上に維持するのに十分な量であ
る。
【0118】
組成物が、残留溶媒および揮発性溶媒を含む場合、組成物は、揮発性溶媒および残留溶
媒の混合物中にカンナビノイド溶液を含む。組成物は、揮発性溶媒および残留溶媒の混合
物中のカンナビノイド溶液からなっていても、揮発性溶媒および残留溶媒の混合物中のカ
ンナビノイド溶液を固形状カンナビノイドと組み合わせて、例えば揮発性溶媒および残留
溶媒の混合物中のカンナビノイド飽和溶液の状態で固形状カンナビノイド懸濁液として含
んでいてもよい。本発明の好ましい形態にて、組成物は、固形状カンナビノイドを含まな
いものである。
【0119】
揮発性溶媒、および存在する場合は残留溶媒の必要とされる総量は、組成物を皮膚に適
用すると、カンナビノイドが、約2~8時間の間の室温で、非晶質で、すなわち溶液の状
態で維持するのに十分な量である。
【0120】
カンナビノイド対シロキサン対残留溶媒の好ましい比率は、
・0.5~20%の間のカンナビノイド、1~99%の間のシロキサンおよび0.1~
98.5%の間の残留溶媒、
・5~20%の間のカンナビノイド、4~70%の間のシロキサンおよび1%~70%
の間の残留溶媒、
・1~10%の間のカンナビノイド、20~98%の間のシロキサンおよび1~10%
の間の残留溶媒、
からなる範囲(w/w%)から選択される。
【0121】
カンナビノイド対ヘキサメチルジシロキサン対残留溶媒の好ましい比率は、
・0.5~20%の間のカンナビノイド、1~99%の間のヘキサメチルジシロキサン
および0.1~98.5%の間の残留溶媒、
・5~20%の間のカンナビノイド、4~70%の間のヘキサメチルジシロキサンおよ
び1%~70%の間の残留溶媒、
・1~10%の間のカンナビノイド、20~98%の間のヘキサメチルジシロキサンお
よび1~10%の間の残留溶媒、
からなる範囲(w/w%)から選択される。
【0122】
上記のように、本発明の特に好ましい形態にて、組成物は、4%w/wのカンナビジオ
ールを含む。
【0123】
組成物が4%w/wのカンナビジオールを含む場合、組成物は、好ましくは、85~9
5%w/wの揮発性溶媒を非高分子シロキサンの形態で含む。本発明の好ましい形態にて
、非高分子シロキサンは、1分子当たり2から3個のケイ素原子を含む。本発明の好まし
い形態にて、非高分子シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサンである。
【0124】
本発明の好ましい形態にて、シロキサン、好ましくはヘキサメチルジシロキサンの粘度
は、0.5cStから0.7cStの間である。
【0125】
組成物が、4%w/wカンナビジオール、および85~95%w/wの非高分子シロキ
サンを揮発性溶媒の形態で含む場合、組成物は、任意選択的に、揮発性溶媒を1~10%
w/wの濃度で、C2-6低分子量アルコールの形態でさらに含む。本発明の好ましい形
態にて、濃度は15%w/wである。本発明の好ましい形態にて、濃度は2~4%w/w
である。本発明の好ましい形態にて、C2-6低分子量アルコールは、1分子当たり2か
ら4個の間の炭素原子を含むアルコールである。本発明の好ましい形態にて、C2-6
分子量アルコールは、イソプロピルアルコールである。
【0126】
組成物が、4%w/wのカンナビジオール、85~95%w/wの非高分子シロキサン
を揮発性溶媒の形態で、および1~10%w/wのC2-6低分子量アルコールを揮発性
溶媒の形態で含む場合、組成物は、任意選択的に、1~10%w/wの残留溶媒を、脂肪
酸、脂肪酸アルコール、脂肪アルコール、グリコール、アルカン、これらのうちのいずれ
かのエーテル、ならびにこれらの組合せの形態をさらに含む。本発明の好ましい形態にて
、残留溶媒は、イソヘキサデカンである。
【0127】
[粘度調節剤]
本発明は、粘度調節剤を含んでもよい。粘度調節剤は、組成物からの活性カンナビノイ
ドの送達について殆ど効果を有するものではないものの、組成物の触覚特性を改善するこ
とによって患者のコンプライアンスに大きく寄与する場合がある。
【0128】
本発明の1つの形態にて、粘度調節剤は、シリコーン流体である。本発明の1つの形態
にて、粘度調節剤は、ポリシロキサンである。粘度調節剤がポリシロキサンである場合、
粘度調節剤は、好ましくはポリジメチルシロキサンである。好ましくは、粘度調節剤が、
ポリジメチルシロキサンを含むポリシロキサンである場合、粘度調節剤は、10,000
cStから15,000cStの間、さらに好ましくは11,500cStから13,5
00cStの間の粘度を有する。特に好ましい本発明の形態にて、粘度調節剤は、およそ
12,500cStの粘度を有する。
【0129】
ポリシロキサン粘度調節剤が10,000cStから15,000cStの間の粘度を
有する場合、ポリシロキサン粘度調節剤の濃度は、好ましくは、0.2%w/wから2%
w/wの間である。さらに好ましくは、ポリシロキサン粘度調節剤の濃度は、0.5%w
/wから1.5%w/wの間である。さらに好ましくは、ポリシロキサン粘度調節剤の濃
度は、0.8%w/wから1.2%w/wの間である。
【0130】
ポリシロキサン粘度調節剤は、ジメチコノールガムの形態で提供してもよい。ジメチコ
ノールガムは単独で、または他のポリシロキサン粘度調節剤、例えばポリジメチルシロキ
サンと共に使用してもよい。本発明の好ましい形態にて、ジメチコノールガムは、ポリジ
メチルシロキサン粘度調節剤と共に使用する。好ましくは、組成物中のジメチコノールガ
ム粘度調節剤の濃度は3%w/wから7%w/wの間である。好ましくは、組成物中のジ
メチコノールガム粘度調節剤の濃度は4%w/wから6%w/wの間である。好ましくは
、組成物中のジメチコノールガム粘度調節剤の濃度は4.5%w/wから5.5%w/w
の間である。
【0131】
このような投与は、カンナビノイド、例えばカンナビジオールの、皮膚の表皮および真
皮への強化された送達をもたらすことが予想され、このような処置を必要とする患者にお
いて座瘡を顕著に減少させ、その結果処置するのに効果的であることが期待される。
【0132】
1つの好ましい実施形態にて、組成物は非水性である。別の好ましい実施形態にて、組
成物は保存剤を含まない。
【0133】
[概要]
本明細書全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)
」という単語または変形形態、例えば「含む(comprises)」または「含むこと(compris
ing)」は、述べられた整数または整数の群を包含するものの、その他の整数または整数
の群を除外することを示唆するものではないことを理解されたい。
【0134】
本明細書にて使用し選択された用語に関する他の定義は、発明を実施するための形態に
より見出されることができ、明細書全体を通して適用され得る。特に定義されない限り、
本明細書にて使用するすべての他の科学的および技術的用語は、本発明が属する技術分野
の当業者であれば通常理解するものと同じ意味を有する。
【0135】
当業者であれば、本明細書に記載の発明は、具体的に記載されるもの以外は、変形およ
び修飾を受けやすいことは理解するであろう。本発明は、すべてのこのような変形物およ
び修飾物を含む。本発明はまた、明細書にて個々にまたは集合的に言及または示す、ステ
ップ、特徴、組成物および化合物のすべて、ならびにステップまたは特徴のうちの任意の
かつすべての組合せまたは任意の2つ以上を含む。
【0136】
本文に挙げる各文書、参考文献、特許出願または特許は、その全体が引用により本明細
書の明示的な一部を成すものとし、これは、本文の一部として当業者が読み取り、考慮す
るべきであることを意味している。本文で挙げる文書、参考文献、特許出願または特許を
本文で繰り返さないのは、単に簡潔とするためにすぎない。
【0137】
本明細書にてまたは引用により本明細書に組み込まれる任意の文書にて述べる任意の製
品に関する任意の製造業者の取扱説明書、説明、製品仕様書、および製品シートは、引用
することによりそのすべてが本明細書の一部を成すものとし、本発明の実施に際して用い
られてもよい。
【0138】
本明細書に記載の発明は、1つまたは複数の値(例えば、濃度)の範囲を含んでもよい
。様々な値が、範囲を定義する値を含む範囲内のすべての値、および範囲の境界を定義す
る値に直接的に隣接する値と同じまたは実質的に同様の結果をもたらす範囲に近接する値
を含むことは理解されるであろう。
【実施例0139】
本発明に係る更なる特徴を、いくつかの非限定的な実施形態の以下の説明により、さら
に詳しく説明する。以下の実施例は、例示するためのものにすぎず、本開示の残りの箇所
について限定するためのものでは決してないと解釈されたい。本記載は、単に本発明を例
証する目的で含めるものである。上述の広範な要約、開示内容または発明内容を実施する
ための形態(description of the invention)を限定するものとして理解されるべきでは
ない。
【0140】
[実施例1]
<カンナビジオールを含む組成物の透過性を確認するための技術>
単一のドナーからダーマトームで採取した(dermatomed)皮膚を、フランツ型拡散セル
(レセプターの流体曝露表面積0.55cm)にマウントし、揮発性溶媒(ヘキシルメ
チルジシロキサン/ポリメチルシロキサン-93%w/w)および残留溶媒(アラモール
E-2%w/w)の混合物中に5.0%(w/w;35.5mg/ml)の濃度で製剤化
したCBD5μlを投薬した。投薬後、レセプター相試料(receptor phase sample)を
、研究が終了してから4、10、24および48時間後に採取した。
【0141】
残留製剤をテープストリッピングによって除去し、表皮および真皮を鈍的剥離(blunt
dissection)によって分離した。次いで、表皮、真皮、およびレセプター流体試料中のC
BDレベルを、LC-MS/MS検出を用いた生物学的分析法を使用して分析した。
【0142】
データによって、皮膚浸透(すなわち、試験系のレセプター相への浸透)は、48時間
の曝露時間にわたってごくわずかであり、レセプター相中では0.081%(278ng
/cm)未満であったことが示された。
【0143】
皮膚のさまざまな層が、48時間にわたって異なる量の吸収用量を示し、CBDの表皮
沈着は適用用量の13.17%であり、同時にCBDの真皮沈着は適用用量の4.54%
であった。CBD混合物の適用後、真皮濃度は、8,408ng/cm組織または1,
933ng/g組織(~1,933ng/mL)であった。
【0144】
これらの結果によって、CBDに関する全身曝露レベルは、in vivoでの局所投
与後は非常に低い可能性が高いことが示唆された。
【0145】
[実施例2]
<中等度アトピー性皮膚炎を呈する患者におけるBTX1204の安全性、忍容性および
有効性の無作為化二重盲検ビヒクル対照研究>
本研究の目的は、中等度アトピー性皮膚炎(AD)を呈する12から70歳の年齢の対
象におけるBTX1204の安全性、忍容性および有効性を判定することである。
【0146】
(方法論)
対象の数:1:1(100名の対象対BTX1204 4%および100名の対象対ビ
ヒクル)に無作為化した200名の対象が登録される。
【0147】
(診断および主な組入れ基準)
この研究は、12歳から70歳の間の年齢(包含的)の男女を含むことになる。対象は
、総合的な健康は良好であり、臨床的に重大な疾患はなく、HanifinおよびRaj
ka[Hannifin 1980]に従って慢性的な(1年以上の)安定したアトピー
性皮膚炎(AD)の診断を受ける。
(アトピー性皮膚炎(AD)に関するHanifinおよびRajka診断基準)
(主な基準)
i)掻痒
ii)典型的な形態および分布
・成人では屈側の苔癬化または紋理(linearity)
・乳児および小児では顔面および伸筋病変
iii)慢性または慢性再発性皮膚炎
iv)アトピー(喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)の既往歴または家族歴
のうちの3つ以上を有すること。
(小基準)
i)乾皮症
ii)魚鱗癬、手掌の多紋理、または毛孔性角化
iii)即時型(1型)皮膚試験反応性
iv)高IgE血清
v)若年齢での発病
vi)皮膚感染症(特に黄色ブドウ球菌および単純性疱疹)の傾向または細胞介在性免
疫の低下
vii)非特異的な手または足の皮膚炎の傾向
viii)乳頭湿疹
ix)口唇炎
x)再発性結膜炎
xi)Dennie-Morgan下眼瞼皺襞
xii)円錐角膜
xiii)前嚢下白内障
xiv)眼瞼色素沈着
xv)顔面蒼白または顔面紅斑
xvi)白色粃糠疹
xvii)前頸部皺襞
xviii)発汗時掻痒
xix)羊毛および脂質溶媒に対する不耐性
xx)毛包周囲顕著化
xxi)食物不耐性
xxii)環境または感情因子によって影響される経過
xxiii)白色皮膚描記症または遅延性蒼白
のうちの3つ以上を有すること。
【0148】
対象は、
・頭皮および鼠径部を除く5%以上および30%以下のAD病変体表面積(BSA)、
・治験責任医師による総合評価(IGA)のスコアが5ポイントIGA(0~4)スケ
ールで中等度(3)のアトピー性皮膚炎
を有する。
【0149】
選択した写真撮影部位に関しては、対象は、体幹、上肢または下肢の表面領域に25~
200cm2の標的病変部を有し、ベースライン徴候のADスコアが6以上および12以
下である。
【0150】
対象は、治験薬の適用前の5分以内または適用後1時間は、医薬処置可能なAD病変部
を洗浄または剃毛してはならない。対象は、処置可能なAD病変部周囲の乾燥皮膚領域を
処理するために低刺激の皮膚軟化剤を使用してもよいが、そこと重ねてはいけない。日焼
け止めは、処置可能なAD病変部周囲の皮膚領域に適用してもよいが、そこと重ねてはい
けない。
【0151】
さらに、水泳、激しい運動、または日焼け止めの適用は、被験薬物を吸収させる時間を
最大限にするために、被験薬物を適用してから4時間禁止した。対象は、日焼け止め、保
湿剤、および顔のメイクアップの定期的な使用を研究課程全体にわたって維持し、被験薬
物の適用前の4時間以内または適用後1時間は、日焼け止め、保湿剤、または顔のメイク
アップを適用しないことに同意した。
【0152】
対象には、日光浴または日焼けする間に経験することがある過度の紫外線曝露を回避す
ることも指示した。被験薬物で処理した領域を試験全体にわたって保護するために、帽子
、サングラス、および他の防護服を着用させた。
【0153】
研究全体にわたって、併用療法の個々の使用を一貫して維持するためにすべての試みを
行った。有効性および/または安全性評価に干渉する場合がある医薬は禁止した。
【0154】
(試験製品、用量および投与様式)
BTX1204 4%(w/w)液体製剤各1ミリリットルは、CBD 30.0mg
を含む。ビヒクルは、BTX1204 4%(w/w)と同一であるが、CBDを含まな
いことになる。賦形剤としてはヘキサメチルジシロキサン、シリコーンガム、ポリプロピ
レングリコール(PPG)15ステアリルエーテル、およびイソプロピルアルコール(I
PA)がある。溶液は容易に広がり、素早く蒸発し、CBDを皮膚上に残存させる。
【0155】
活性物質およびビヒクルの被験薬物は、1回の作動当たり0.5mLを送達する125
mLの複数回用量の定量ポンプで供給されることになる。各ポンプは、被験薬物およそ1
00mLを含む。各対象は、1回の用量当たり各1%のBSA当たり約0.7mLが適用
される。例えば10%のBSAを有する対象は、すべてのAD病変部を覆うために(頭皮
および鼠径部は除く)、各用量を用いて被験薬物7mLを適用する。これは、0.5mL
のポンプで14回の作動を必要とする。
【0156】
被験薬物は、AD病変部に直接適用し、AD病変部およびその周囲最大1cmの非病変
皮膚を覆うように塗布する。直接適用することができない病変部位に関しては、被験薬物
を一方の手のひらに噴出し、AD病変部に適用する。
【0157】
被験薬物は、1日2回適用し、被験薬物の最初の適用は、毎朝ほぼ同じ時間に行い、2
回目の適用はおよそ8から12時間後に行う。
【0158】
(投与)
標的病変部位は組み入れ基準に基づいて同定される。標的病変部位およびAD病変の総
体表面積(BSA)の測定値が得られる。
【0159】
選択した部位のベースライン写真を得る。治験医師による総合評価(IGA)、アトピ
ー性皮膚炎(AD)徴候のスコア、ADの体表面積(BSA)、湿疹領域および重症度指
数(EASI)のスコア、および掻痒の変化が測定される。診療所側の職員が被験薬物の
初回用量を適用する。皮膚忍容性の評価は、最初の適用の前およびおよそ15分後に行う
【0160】
すべての対象に関しては、全血球数(CBC)、化学、および尿検査をベースラインお
よび85日目の訪問で行う。以下を評価する。
CBC:白血球(WBC)数(自動分類装置を用いる絶対的好中球、リンパ球、単球、
好酸球、および好塩基球)、赤血球(RBC)数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均
赤血球容量(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃
度(MCHC)、および血小板数、
化学:グルコース、アルブミン、総タンパク質、カルシウム、ナトリウム、カリウム、
塩化物、CO(重炭酸塩)、血液尿素窒素(BUN)、クレアチニン、アルカリホスフ
ァターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパルテートアミントラン
スフェラーゼ(AST)、および総ビリルビン、
尿検査:色、透明度、比重、pH、タンパク質、グルコース、および白血球エステラー
ゼ。結果が異常であるかまたは部位によって更なる分析が必要とされる場合、試料は、赤
血球、白血球、および扁平上皮細胞に関して顕微分析が行われることになる。
【0161】
1日目の訪問では、対象は、ベースライン訪問中に臨床施設において対象の最初の被験
薬物の適用を受ける。対象は、被験薬物の正しい適用の訓練を受け、28日目までBID
(1日2回)の投薬を完了するのに十分な被験薬物を供給される。被験薬物の最初の適用
を朝に行い、第2の適用をおよそ8から12時間後に行う。日誌は、自己投与による適用
の適用順守と毎日の掻痒スコアとの記録を維持する。29日目の訪問では、対象は、56
日目までの投薬を完了するのに十分な被験薬物が供給される。57日目の訪問では、対象
は、84日目までの投薬を完了するのに十分な被験薬物が供給される。被験薬物の最終的
な適用は、対象が84日目の夜に適用するか、または85日目の訪問が遅れる場合は、8
5日目の訪問の前夜に適用する。
【0162】
有効性は、IGA、AD徴候のスコア、ADのBSA、EASIのスコア、および掻痒
の変化の収集を通して評価する。IGAは、スクリーニング時に行い、対象の適格性を確
実にし、ベースライン日(スクリーニング訪問日と同じではない場合)および15、29
、57および85日目に再び行う。IGAによって、評価時におけるAD病変の全体的な
状態が評価される。通院のたびに同じ治験医師/副治験医師によってIGAが行われるよ
うにあらゆる努力を払う必要がある。以前の評価に対する比較は行わない。IGAは、表
2で提供されるスコアリングシステムに基づいて0(ない)から4(重度の)にスコア化
する。
【0163】
IGA標的病変スコアがない(0)またはほぼない(1)、および2グレード以上の減
少を有する参加者の割合が示される。
【0164】
【表1】
【0165】
ADスコアの徴候は、紅斑、滲出、擦過傷、硬化/丘疹、および苔癬化の有無に関して
対象のすべての病変を検査する。各記号は、表に示されるグレードおよび定義に従って等
級付けする。
【0166】
【表2】
【0167】
EASIスコアは、ADの範囲(領域)および重症度を測定するためのスコアを得るた
めに、主任治験医師または適切に訓練された被指名人によって実施する。EASIは、身
体の4つの領域(頭頚部、体幹、上肢、および下肢)をそれぞれ使用してスコア化する。
領域スコアは、身体領域ごとのアトピー性皮膚炎(湿疹)に罹患した皮膚の百分率である
【0168】
【表3】
【0169】
I-NRS
治験の通院のたびに、対象は、痒みのNumeric Rating Score(I
-NRS)を完成させる。
【0170】
対象は、「過去24時間の痒みの平均を、0から10までのスケールでどのように評価
しますか? 0は、痒みがなく、10は、想像することができる最もひどい痒みです。」
と質問される。被験薬物を朝適用する前に、対象が最もひどい痒みのNumeric R
ating Score(WI-NRS)を自身の日誌に記録する。
【0171】
WI-NRS
毎日、対象は最もひどい痒みのNumeric Rating Score(WI-N
RS)を完成させる。
【0172】
日誌の質問には、「過去24時間の最もひどい痒みを0から10までのスケールでどの
ように評価しますか? 0は、痒みがなく、10は、想像することができる最もひどい痒
みです。」と書かれているであろう。
【0173】
すべての対象に関しては、自身の毎日の投与を記録することになる治験日誌を収集する
ことによって、被験薬物適用順守の評価が行われる。さらに、対象は、通院のたびに、す
べての使用済みおよび未使用の被験薬物を返却することを求められ、治験側が順守を評価
する。各治験通院時に、診療所側が対象に分配し、対象から返却された各ポンプを秤量し
、使用された被験薬物の量を算出する。
【0174】
(統計および分析計画)
この第2a相研究の目的は、中等度アトピー性皮膚炎を呈する対象におけるBTX12
04 4%液体製剤対ビヒクルをBIDの投薬で用いた処置に関する安全性および有効性
を記載することである。被験薬物のADへの効果の探索的分析を評価する。これらの評価
は、その処置効果を評価するための仮説検定を使用しない。
【0175】
この研究は、intent-to-treat(ITT)、per protocol
(PP)、および安全性の3つの分析セットを使用して評価する。有効性の結論は、IT
T分析セットから得られる。ITT分析セットは、少なくとも1つのポストベースライン
有効性評価を有する無作為化されたすべての対象からなることになり、受け取った被験薬
物にかかわらず、無作為化された研究群に基づく。PP分析セットは、ITT分析におい
て有効性の発見をサポートするために使用することになり、主要なプロトコールの逸脱が
ない対象が含まれている。安全性の結論は、安全性分析セットから得られることになる。
安全性分析セットは、被験薬物のうちの少なくとも1つの適用を受け、無作為化群にかか
わらず受けた被験薬物に基づいた処置を用いた少なくとも1つのポストベースライン安全
性評価を有するすべての対象を含む。
【0176】
人口統計は、ベースライン年齢、性別、人種、民族、身長、および体重による安全性分
析セットを使用して要約した。主な有効性分析は、ITT母集団に対して行うことになる
。連続的変数に関しては、平均、標準偏差(SD)、中央値、および範囲が、95%信頼
区間(CI)と共に示される。カテゴリー変数は、95%CIと共に比率によって要約さ
れる。
【0177】
有効性変数は、スクリーニング/ベースライン時に収集したIGA、ADのBSA、A
D徴候のスコア、EASIスコア、および掻痒スコア(I-NRS)、ならびにその後の
すべての治験通院、ならびに対象が毎日記録したWI-NRSを含む。
【0178】
研究に関する有効性のプライマリーエンドポイントは、IGAスコアがない(0)また
はほぼない(1)として定義され、85日目にベースラインから少なくとも2グレード改
善された、IGAが成功した対象の割合である。IGAは、研究15、29、57、およ
び85日目に「成功」および「失敗」に二分される。ない(0)またはほぼない(1)の
スコアとして定義されるIGAに関する成功、および15、29、57、および85日目
のベースラインから少なくとも2グレードの改善は、ロジスティック回帰を使用して分析
され、ベースラインIGAに対して調整する。
【0179】
15、29、57、および85日目にADに罹患したBSAのパーセントにおけるベー
スラインからの変化に関する要約統計量を作成する。ADのBSAにおけるベースライン
からの変化は、ADのベースラインBSAと共変量としての処置とを用いたANCOVA
を使用して分析する。
【0180】
各時点(15、29、57および85日目)でのAD徴候のスコア(紅斑、滲出、擦過
傷、硬化/丘疹、および苔癬化)それぞれにおけるベースラインからの変化に関する要約
統計量が示される。合計スコアは、ADの各徴候(0、1、2、または3、最大スコア1
5)の合計に基づいて計算することになり、ベースラインからの変化を、各時点に関して
要約する。15、29、57、および85日目のAD徴候のスコアにおけるベースライン
からの変化を、ベースラインAD徴候のスコアと共変量としての処置とを用いたANCO
VAを使用して分析する。
【0181】
EASI 50およびEASI 75スコアを有する対象の割合を、15、29、57
、および85日目に要約し、ロジスティック回帰を使用して比較し、ベースラインEAS
Iスコアに対して調整する。要約統計量は、各時点(15、29、57および85日目)
でのEASIスコアおよびI NRSにおけるベースラインからの変化に関して示す。
【0182】
要約統計量を、各時点(15、29、57および85日目)での標的病変部(選択した
部位)に関するAD徴候のスコアにおけるベースラインからの変化に関して作成する。
【0183】
毎日の患者日誌で対象によって報告された掻痒スコア(WI-NRS)の要約は、処置
による毎日の平均を使用し、グラフ表示と共に示す。
【0184】
ベースラインEASIからの変化百分率は、患者日誌から得た対象の掻痒の報告と共に
示す。掻痒を改善するための時間およびベースラインから85日目までの自身のADにお
ける変化に対する対象の評価を示す。
【0185】
(結果)
BTX1204 4%(w/w)の有効性は、処置する皮膚科医によって記入されたア
トピー性皮膚炎に関する検証済みの治験医師による総合評価規模(vIGA-AD(商標
)、以前はIGA)、ADの体表面積(BSA)、ADの徴候(紅斑、滲出、擦過傷、硬
化/丘疹、および苔癬化)、および湿疹領域重症度指数(EASI)スコアを、対象によ
って報告されたItching-Numerical Rating Score(I-
NRS)およびWorst Itching NRS(WI-NRS)スコアと共に使用
して評価する。選択した部位において、ADの徴候を伴う標的病変部を同定し、写真撮影
し、スコア化する。
【0186】
研究に関する有効性の一次エンドポイントは、IGAスコアの「ない」(0)または「
ほぼない」(1)として定義されるIGAの成功を有し、85日目にベースラインから少
なくとも2グレードの改善を有する対象の割合ということになる。
【0187】
研究に関する二次エンドポイントは、
・85日目にEASI75スコアを有する対象の割合、
・85日目にEASI50スコアを有する対象の割合、
・85日目のAD徴候のスコアにおけるベースラインからの変化、
・85日目にIGAがないか、またはほぼないを有する対象の割合、
・85日目にISGAにおいてベースラインから少なくとも2グレードの改善を有する
対象の割合、
・85日目のADに罹患したBSA百分率におけるベースラインからの変化、
・IGAの成功を達成するための時間、および
・85日目のI-NRSにおけるベースラインからの変化、
である。
【0188】
探索的エンドポイントは、
・15、29、および57日目のAD徴候のスコアにおけるベースラインからの変化、
・15、29、および57日目のADに罹患したBSA百分率におけるベースラインか
らの変化、
・15、29、および57日目のIGAスコアが「ない」(0)または「ほぼない」(
1)として定義されるIGAの成功を有し、ベースラインから少なくとも2グレードの改
善を有する対象の割合、
・85日目のEASIスコアにおけるベースラインからの変化百分率、
・患者日誌で毎日得られた対象の掻痒の報告におけるベースラインからの変化。
・掻痒を改善するための時間(Worst Itch Numerical Rati
ng Scoreにおいて4以上の変化[WI-NRS、0~10スコア])、
・ベースラインから85日目までの自身のADにおける変化に対する患者報告アウトカ
ム(Patient Reported Outcome[PRO])、および
・標的病変部(選択した部位のみにおける)に関するAD徴候のスコアにおけるベース
ラインから29日目まで、および57日目まで、および85日目までの変化、
である。
【0189】
[実施例3
組成物に係る範囲について残留カンナビジオール濃度を測定してから、以下の表5に要
約したように、本発明に係る投薬レジメンにおいて使用するのに最も好適な組成物を同定
した。
【0190】
【表4】
【0191】
【表5】
【0192】
本発明の様々な実施形態を行う上述の様式の多くの変形形態および改良形態は、基本的
な発明の概念を逸脱することなく、開示する発明と関連する上記の教示に基づいて当業者
であれば明白であろう。前述の本発明の実施形態は例示にすぎず、決して限定と解釈する
べきではなく、すべてのこのような変形形態および改良形態は本発明の範囲内と考えられ
るべきであり、本発明における性質は前述の説明から判定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
残留溶媒の目的は、揮発性溶媒が蒸発すると、カンナビノイドのための溶媒として作用することである。残留溶媒は、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪アルコール、グリコールまたはアルカン、またはこれらのうちのいずれかのエステルを含むリストからの化合物であってもよい。それは、好ましくはC12-22化合物である。残留溶媒は、例えばアルキルポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールエーテルの混合物、および/または脂肪酸アルコール、および/または脂肪アルコールを含んでいてもよい。特定の実施形態にて、残留溶媒はC12-22脂肪アルコールである。特定の実施形態にて、残留溶媒はC16-22脂肪アルコールである。特定の実施形態にて、残留溶媒は、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、イソヘキサデカン、オクチルドデシルアルコール、2-ヘキシルデシルアルコールからなる群から選択される。最も好ましくは、残留溶媒は、イソヘキサデカンである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0126
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0126】
組成物が、4%w/wのカンナビジオール、85~95%w/wの非高分子シロキサンを揮発性溶媒の形態で、および1~10%w/wのC2-6低分子量アルコールを揮発性溶媒の形態で含む場合、組成物は、任意選択的に、1~10%w/wの残留溶媒を、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪アルコール、グリコール、アルカン、これらのうちのいずれかのエステル、ならびにこれらの組合せの形態をさらに含む。本発明の好ましい形態にて、残留溶媒は、イソヘキサデカンである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚炎および炎症性皮膚状態を処置または阻止するための局所用組成物の製造のための、
i)4%w/wから15%w/wの間で、カンナビジオール、
ii)50%w/wから95%w/wの間で、1分子当たり2または3個のケイ素原子を含んだ揮発性の非高分子シロキサンを含む溶媒、および
iii)2から20%w/wの間で、脂肪酸、脂肪族アルコール、グリコールもしくはアルカン、もしくはこれらのうちのいずれかのエステル、または脂肪酸アルコールエステルから選択される、低揮発性の残留溶媒
の使用であって、
前記局所用組成物は、各投与において対象の皮膚565cm 当たり50mgから3000mgの間で投与される用途に使用されるとともに、皮膚に適用される1日当たりのカンナビジオールの総用量が200mgから500mgの間で投与される用途に使用される、使用。
【請求項2】
前記局所用組成物が、1日当たり1回から5回の間で皮膚に投与される用途に使用される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
15%w/wでカンナビジオールを使用する、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記局所用組成物は、50mgの前記局所用組成物が1日当たり2回皮膚に投与される用途に使用されるとともに、皮膚に適用される1日当たりのカンナビジオールの総用量が200mgから500mgの間で投与される用途に使用される、請求項1に記載の使用。
【外国語明細書】