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特開2024-160230小便サンプルを用いた腎臓疾患診断用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160230
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】小便サンプルを用いた腎臓疾患診断用組成物
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20241106BHJP
   G01N 33/493 20060101ALI20241106BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALN20241106BHJP
【FI】
G01N33/53 D ZNA
G01N33/493 A
G01N33/53 D
C12Q1/6876 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024111723
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2022562345の分割
【原出願日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0043706
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514171197
【氏名又は名称】バイオニア コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BIONEER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】8-11, Munpyeongseo-ro, Daedeok-gu, Daejeon 34302, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522397709
【氏名又は名称】サーナゲン セラピューティックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SIRNAGEN THERAPEUTICS CORPORATION
(71)【出願人】
【識別番号】510314208
【氏名又は名称】スンチュンヒャン ユニバーシティ インダストリー アカデミー コオペレーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】ソン スンソプ
(72)【発明者】
【氏名】キム テリム
(72)【発明者】
【氏名】ユン スンイル
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュンホン
(72)【発明者】
【氏名】パク ハンオ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ナムジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ウンヨン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、小便サンプルを用いた腎臓疾患診断用組成物に関し、より詳細には、小便サンプルからアンフィレグリンを特異的に検出する剤を含む、腎臓疾患診断のための小便検査用組成物、キット及び前記組成物を用いた腎臓疾患診断方法に関する。
【解決手段】小便サンプルから5pg/mgCr以上のアンフィレグリン又はそのmRNAを特異的に検出する剤を含む、腎臓線維化または腎不全診断用組成物。
【効果】本発明によれば、早期診断が重要な腎臓疾患に対して小便サンプルを用いて非侵襲的方法で簡便に腎臓疾患を診断できる長所がある他、慢性腎不全症と診断された患者に本発明を適用すれば、末期腎不全への進行可能性をあらかじめ予測できる長所がある。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンフィレグリン又はそのmRNAを特異的に検出する剤を含む、腎臓疾患診断用組成物。
【請求項2】
前記剤は、小便サンプルからアンフィレグリンを特異的に検出することを特徴とする、請求項1に記載の腎臓疾患診断用組成物。
【請求項3】
前記アンフィレグリンは、配列番号1のアミノ酸配列で表されることを特徴とする、請求項1に記載の腎臓疾患診断用組成物。
【請求項4】
前記アンフィレグリンを特異的に検出する剤は、アンフィレグリン特異的抗体又はアプタマーであることを特徴とする、請求項1に記載の腎臓疾患診断用組成物。
【請求項5】
前記腎臓疾患は、腎臓線維化、腎症候群、腎臓癌、慢性腎不全、糖尿病性腎症、急性腎盂腎炎、急性腎不全、末期腎不全、高血圧性腎臓疾患、ライ症候群、痛風、シェーグレン症候群、ベーチェット病、ループス、カンジダ症、腎症候性出血熱、レプトスピラ症、レジオネラ症、常染色体優性多発性嚢胞腎及び水腎症からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の腎臓疾患診断用組成物。
【請求項6】
請求項1~4に記載のいずれか一項の組成物を含む、腎臓疾患診断用キット。
【請求項7】
前記キットは、タンパク質チップキット又は免疫診断キットであることを特徴とする、請求項6に記載の腎臓疾患診断用キット。
【請求項8】
前記腎臓疾患は、腎臓線維化、腎症候群、腎臓癌、慢性腎不全、糖尿病性腎症、急性腎盂腎炎、急性腎不全、末期腎不全、高血圧性腎臓疾患、ライ症候群、痛風、シェーグレン症候群、ベーチェット病、ループス、カンジダ症、腎症候性出血熱、レプトスピラ症、レジオネラ症、常染色体優性多発性嚢胞腎及び水腎症からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の腎臓疾患診断用キット。
【請求項9】
次の段階を含む腎臓疾患診断のための情報提供方法:
(a)個体から小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリンを検出する段階:及び
(c)小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上の場合に、前記個体は腎臓疾患があると判断する段階。
【請求項10】
前記アンフィレグリンの検出は、アンフィレグリン特異的抗体又はアプタマーを用いたアンフィレグリン特異的反応によって行われることを特徴とする、請求項9に記載の腎臓疾患診断方法。
【請求項11】
前記腎臓疾患は、腎臓線維化、腎症候群、腎臓癌、慢性腎不全、糖尿病性腎症、急性腎盂腎炎、急性腎不全、末期腎不全、高血圧性腎臓疾患、ライ症候群、痛風、シェーグレン症候群、ベーチェット病、ループス、カンジダ症、腎症候性出血熱、レプトスピラ症、レジオネラ症、常染色体優性多発性嚢胞腎及び水腎症からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項9に記載の腎臓疾患診断方法。
【請求項12】
次の段階を含む末期腎不全の進行可能性を予測するための情報提供方法:
(a)腎臓疾患を患っている患者の小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリン量を測定する段階:及び
(c)測定されたアンフィレグリン量が30pg/mgCr以上の場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断する段階。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便サンプルを用いた腎臓疾患診断用組成物に関し、より詳細には、小便サンプルからアンフィレグリンを特異的に検出する剤を含む、腎臓疾患診断のための小便検査用組成物、キット及び前記組成物を用いた腎臓疾患診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活を含む生活習慣の大きな変化及び高齢化により、高血圧や糖尿病などの生活習慣疾病の発生率が増加し、それに伴って腎臓疾患、さらには腎不全の危険が増加している。
【0003】
腎臓は、老廃物の排泄、体液、電解質及び酸塩基バランスの調節などによって内部環境の恒常性を維持するのに重要な臓器である。腎臓は、水素、ナトリウム、カリウム及びケイ素などの血液中の様々な化合物の濃度を制御し、老廃物を小便で排出する。腎臓機能の低下はいずれも、血液において代謝産物を十分に除去する身体能力を妨害し、身体の電解質バランスを破壊することがある。腎臓機能の低下又は不全は、その症状が致命的である。
【0004】
慢性腎不全とは、このような腎臓機能が単方向(不可逆性)に漸次減少し、生体の恒常性を維持できない状態である。慢性腎不全は、糖尿病性腎不全、慢性糸球体腎炎、悪性腎臓硬化症、多発性嚢胞腎などが原因となって発生するものと知られている。腎臓疾患はいずれも腎臓の線維化を伴い、結局として末期腎不全に至ってしまう。特に、慢性的な腎臓機能低下は腎臓線維化の進行と深く関連しており、線維化の進行抑制によって慢性腎不全の進行抑制ができる考えられる。
【0005】
一般に、腎臓線維症は内皮細胞障害による炎症反応を伴い、結局、過剰生産された細胞外マトリックス(Extracellular matrix;ECM)は線維化の発生によって起きるものである。例えば、糸球体硬化症において、源糸球体(protoglomerular)内皮細胞障害によって発生し、ケモカイン(chemokine)増殖因子などのサイトカインを分泌し、単球細胞やマクロファージ(macrophage)が炎症反応を起こす。次いで、メサンギウム(mesangial)細胞の活性化、増殖、形質転換が起き、メサンギウム(mesangial)細胞などの細胞外マトリックス生産細胞において過量の細胞外マトリックスが生産されて線維化が発生し、糸球体硬化症に至る。
【0006】
特に、糖尿病性腎不全は、慢性腎不全に至る最大の原因であり、糖尿病の深刻な合併症の一つである。糖尿病性腎不全の特徴は、糸球体メサンギウム(mesangial)を増殖させ、これは、主にI型及びIV型コラーゲン、フィブロネクチン(fibronectin)、ラミニン(laminin)などのECMタンパク質の蓄積増加と関連がある(Verena Klemis et al.,Kidney International(2017)91,1374-1385)。
【0007】
慢性腎不全が悪化して腎臓が全く機能できない程度まで進行すると、末期腎不全(ESRD)に至るが、末期腎不全になると回復は不可能であり、末期腎不全患者たちは、腎臓機能を復元するために透析(血液透析又は腹膜透析)をするか、移植によって新しい腎臓をもらう必要がある。
【0008】
一方、アンフィレグリンは、上皮細胞成長因子受容体に結合して上皮細胞受容体経路(EGFR pathway)を活性化させ、細胞増殖に関与するという事実が知られており、アンフィレグリン特異的siRNAによってアンフィレグリンの発現を阻害させることができ、これは、特定タイプの乳癌に治療効果を奏すると開示されている(Cancer Res 2008;68:225-2265)。また、アンフィレグリンに対するshRNAを用いて炎症性乳癌における細胞侵入を抑制でき(J Cell Physiol 2011 226(10):2691-2701)、アンフィレグリン特異的shRNAを用いてアンフィレグリン発現を抑制すると、タバコ煙に露出されたネズミにおいて肺動脈再形成(pulmonary artery remodeling)が抑制されるという事実が報告されたことがある。気道平滑筋(airway smooth muscle;ASM)過増殖(hyperplasia)と血管新生にアンフィレグリンが関連があり、特に、喘息患者の気道再形成(airway remodeling)を促進するということと、急性喘息による組織再形成において過剰分泌される表皮細胞成長因子(EGF)とアンフィレグリンが関与すること、が報告されたことがある。
【0009】
アンフィレグリンを用いた診断方法には、絨毛羊膜炎(chorioamnionitis)診断方法(WO2008-029664)、炎症性疾患診断方法(US2006-0286586)が公知されているが、アンフィレグリンを用いて腎臓疾患を診断した研究は未だない現状である。
【0010】
そこで、本発明者らは、腎臓疾患が重症に進行すると回復が難しいという点から初期診断の重要性を認知し、侵襲的な行為無しで採取可能な小便から簡便に腎臓疾患を診断できる方法を模索しているなか、小便中のアンフィレグリン濃度を確認することによって容易に腎臓疾患を診断し、末期腎不全進行の有無を予測できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、小便サンプルから腎臓疾患を早期に簡便に診断できる腎臓疾患診断用組成物、キット、診断のための情報提供方法、及び末期腎不全進行可能性を予測するための情報提供方法を提供することにある。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、アンフィレグリン又はそのmRNAを特異的に検出する剤を含む、腎臓疾患診断用組成物を提供する。
【0013】
本発明は、また、前記組成物を含む腎臓疾患診断用キットを提供する。
【0014】
本発明は、また、次の段階を含む、腎臓疾患診断のための情報提供方法を提供する;
(a)個体から小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリンを検出する段階;及び
(c)小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上の場合に、前記個体は腎臓疾患があると判断する段階。
【0015】
本発明は、また、次の段階を含む、末期腎不全進行可能性を予測するための情報提供方法を提供する:
(a)腎臓疾患を患っている患者の小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリン量を測定する段階:及び
(c)測定されたアンフィレグリン量が30pg/mgCr以上の場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断する段階。
【0016】
本発明は、また、アンフィレグリンを特異的に検出する剤を含む組成物の腎臓疾患診断用途を提供する。
【0017】
本発明は、また、アンフィレグリンを特異的に検出する剤を含む腎臓疾患診断用試薬を製造するための用途を提供する。
【0018】
本発明は、また、次の段階を含む、腎臓疾患の診断方法を提供する:
(a)個体から小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリンを検出する段階:及び
(c)小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上の場合に、前記個体は腎臓疾患があると判断する段階。
【0019】
本発明は、また、次の段階を含む、末期腎不全進行可能性予測方法を提供する:
(a)腎臓疾患を患っている患者の小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリン量を測定する段階:及び
(c)測定されたアンフィレグリン量が30pg/mgCr以上の場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断する段階。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の腎臓と肺組織においてアンフィレグリンのmRNA発現率を示す結果である。
【0021】
図2】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の腎臓と肺組織においてコラーゲン1のmRNA発現率を示す結果である。
【0022】
図3】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の腎臓と肺組織においてフィブロネクチンのmRNA発現率を示す結果である。
【0023】
図4】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の小便においてELISAを用いてアンフィレグリン/クレアチニンの比率を示す結果である。
【0024】
図5】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の小便においてELISAを用いてアルブミン/クレアチニンの比率を測定した結果である。
【0025】
図6A】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の肺組織をH&E染色又はMT染色した結果である。
【0026】
図6B】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の腎臓組織をH&E染色又はMT染色した結果である。
【0027】
図7】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の血清サンプルでの血中尿素窒素を示すグラフである。
【0028】
図8】正常動物(Normal)と肺線維化の動物モデル(BLM)の血清サンプルでのクレアチニン数値を示すグラフである。
【0029】
図9】腎臓組織検査を行った患者のうち、微小糸球体異常(minor glomerular change)が酷い腎臓病理所見を有するIgA腎症(immunoglobulin A nephropathy)、糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)と診断された患者の血清(A)及び小便(B)のアンフィレグリン濃度を比較したグラフである。
【0030】
図10図9の患者群を対象に、腎臓線維化と関連した組織検査所見(A:間質性線維症(Interstitial fibrosis)、B:内膜肥厚(intimal thickening)、C:管状萎縮(Tubular atrophy)、C:血管間拡大(mesangial expansion))の重症度による小便アンフィレグリン濃度を比較して示すグラフである。
【0031】
図11図11Aは、正常対照群と第2型糖尿患者群を対象に血漿でアンフィレグリン濃度を分析したものであり、図11Bは、追加的に第2型糖尿患者群をアルブミン尿程度によって3つのグループに区分し、血漿でアンフィレグリン濃度を分析したものであり、図11Cは、正常対照群と第2型糖尿患者群を対象に小便でアンフィレグリン濃度を分析したものであり、図11Dは、追加的に第2型糖尿患者群をアルブミン尿程度によって3つのグループに区分して小便でアンフィレグリン濃度を分析したものである。
【0032】
図12】腎臓組織検査を行った患者群の慢性腎疾患段階による小便のアンフィレグリン量を確認した結果である。
【0033】
図13】腎臓組織検査を行った患者群においてアンフィレグリン濃度による末期腎不全進行を比較したカプラン-マイヤー生存曲線グラフである。小便アンフィレグリン濃度を三分位数によって3個の群に分け、濃度の低い順にT1、T2、T3と命名した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
別に断りのない限り、本明細書で使われる技術的及び科学的用語はいずれも、本発明の属する技術の分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書における命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使われるものである。
【0035】
本発明では、各種疾患によって腎臓損傷が疑われる患者に腎臓組織検査を行い、この患者群の小便中アンフィレグリンが腎臓内部の線維化程度を反映することを確認することができた。
【0036】
したがって、本発明は、一観点において、アンフィレグリン又はそのmRNAを特異的に検出する剤を含む、腎臓疾患診断用組成物に関する。
【0037】
本発明において、前記剤は、小便サンプルからアンフィレグリンを特異的に検出することを特徴とし得る。
【0038】
本発明において、前記アンフィレグリンを特異的に検出する剤は、アンフィレグリン特異的抗体又はアプタマーであることを特徴とし得るが、これに限定されるものではなく、小便サンプルからアンフィレグリンmRNA又はタンパク質の有無を検出できる或いはその量を測定できる剤であればいずれも使用可能である。本発明の実施例では、アンフィレグリン特異的抗体が適用されたELISA方法を用いているが、アンフィレグリンmRNA量を測定するためのプライマー及び/又はPNAプローブなどを用いたPCR法を用いることもできよう。
【0039】
本発明において、“アンフィレグリンを特異的に検出する剤”とは、腎臓機能異常によって発現が変化するバイオマーカー(すなわち、アンフィレグリンのmRNA又はタンパク質)の発現レベルを測定することによってマーカーの検出に利用可能な分子のことを意味する。当該バイオマーカーの発現レベルは、マーカーmRNA又はタンパク質の発現レベルを確認することによって分かる。
【0040】
本発明において用語“抗体”とは、当該分野に公知の用語であり、抗原性部位に対して指示される特異的なタンパク質分子を意味する。本発明の目的上、抗体は、本発明のバイオマーカータンパク質に対して特異的に結合する抗体を意味し、このような抗体は、各遺伝子を通常の方法によって発現ベクターにクローニングして、前記マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質を得、得られたタンパク質から通常の方法によって製造されてよい。ここには、前記タンパク質で作られ得る部分ペプチドも含まれ、本発明の部分ペプチドには、少なくとも7個のアミノ酸、好ましくは9個のアミノ酸、より好ましくは12個以上のアミノ酸を含む。
【0041】
本発明の抗体の形態は特別に限定されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又は抗原結合性を有するものであれば、それの一部も本発明の抗体に含まれ、全ての免疫グロブリン抗体が含まれる。さらに、本発明の抗体にはヒト化抗体などの特殊抗体も含まれる。
【0042】
本発明の腎臓機能診断用マーカーの検出に用いられる抗体は、2本の全長の軽鎖及び2本の全長の重鎖を有する完全な形態の他に、抗体分子の機能的な断片も含む。抗体分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2及びFvなどがある。
【0043】
本発明において、“タンパク質の発現レベル測定”とは、腎臓疾患を診断するために個体の生物学的試料において腎臓機能異常マーカータンパク質の存在有無と発現程度を確認する過程であり、例えば、前記該当マーカータンパク質に対して特異的に結合する抗体を用いた抗原-抗体複合体の検出によってタンパク質の量を確認することができる。具体的な分析方法の例示には、ウェスタンブロット、ELISA(enzyme linked immunosorbent asay)、放射線免疫分析(RIA:Radioimmunoassay)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、オークターロニー(Ouchterlony)免疫拡散法、ロケット(rocket)兔役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析法(Immunoprecipitation assay)、補体固定分析法(Complement Fixation Assay)、FACS、タンパク質チップ(protein chip)などがあるが、これに限定されない。
【0044】
本発明において、“診断”とは、病理状態の存在又は特徴を確認することを意味する。本発明の目的上、前記診断は、腎臓疾患の発病有無を確認することと解釈されてよい。
【0045】
本発明において、“診断用マーカー、診断するためのマーカー、又は診断マーカー”とは、腎臓機能異常が発生した又は発生可能性がある試料を健康な個体からの試料と区分できる物質であり、腎臓機能異常がある個体からの試料は、診断用マーカー(すなわち、アンフィレグリン)が健康な個体からの試料と比較して増加を示すポリペプチド又は核酸(例えば、mRNAなど)、タンパク質を含む。
【0046】
本発明で提供する腎臓疾患診断用バイオマーカーのタンパク質又は遺伝子情報は、公知の遺伝子データベースを用いて容易に入手できる。例えば、前記バイオマーカータンパク質アンフィレグリンのアミノ酸配列は、公知の遺伝子データベースであるNCBI(National Center for Biotechnology Information)に登録されており、下記の通りである。
【0047】
配列番号1
MRAPLLPPAPVVLSLLILGSGHYAAGLDLNDTYSGKREPFSGDHSADGFEVTSRSEMSSGSEISPVSEMPSSSEPSSGADYDYSEEYDNEPQIPGYIVDDSVRVEQVVKPPQNKTESENTSDKPKRKKKGGKNGKNRRNRKKKNPCNAEFQNFCIHGECKYIEHLEAVTCKCQQEYFGERCGEKSMKTHSMIDSSLSKIALAAIAAFMSAVILTAVAVITVQLRRQYVRKYEGEAEERKKLRQENGNVHAIA
【0048】
本発明において、前記アンフィレグリンは、配列番号1のアミノ酸配列で表されることを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。
【0049】
本発明において、腎臓疾患は、腎臓線維化、腎症候群、腎臓癌、慢性腎不全、糖尿病性腎症、急性腎盂腎炎、急性腎不全、末期腎不全、高血圧性腎臓疾患、ライ症候群、痛風、シェーグレン症候群、ベーチェット病、ループス、カンジダ症、腎症候性出血熱、レプトスピラ症、レジオネラ症、常染色体優性多発性嚢胞腎及び水腎症からなる群から選ばれることを特徴とし得るが、これに限定されるものではない。
【0050】
本発明は、他の観点において、前記組成物を含む、腎臓疾患診断用キットに関する。
【0051】
本発明のキットは、腎臓疾患診断用マーカータンパク質の発現レベルを確認することによってマーカーを検出することができる。本発明の腎臓疾患診断用キットには、腎臓機能診断用マーカーの発現レベルを測定するために選択的にマーカーを認知する抗体の他にも、分析方法に適した1種又はそれ以上の他の構成成分組成物溶液又は装置が含まれてよい。
【0052】
具体的な一例として、本発明において腎臓疾患診断用タンパク質発現レベルを測定するためのキットは、抗体の免疫学的検出のために、基質、適当な緩衝溶液、発色酵素又は蛍光物質で標識された2次抗体、及び発色基質などを含むことができる。ここで、基質は、ニトロセルロース膜、ポリビニル樹脂で合成された96ウェルプレート、ポリスチレン樹脂で合成された96ウェルプレート及びガラスからなるスライドグラスなどが用いられてよく、発色酵素は、ペルオキシダーゼ(peroxidase)、アルカリンホスファターゼ(alkaline phosphatase)が使用されてよく、蛍光物質は、FITC、RITCなどが使用されてよく、発色基質液は、ABTS(2,2’-アジノー-ビス-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸))又はOPD(o-フェニレンジアミン)、TMB(テトラメチルベンジジン)などが使用されてよい。
【0053】
本発明において、前記キットは、タンパク質チップキット又は免疫診断キットであることを特徴とし得るが、これに限定されない。
【0054】
本発明は、さらに他の観点において、次の段階を含む腎臓疾患診断のための情報提供方法に関する:
(a)個体から小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリンを検出する段階:及び
(c)小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上の場合に、前記個体は腎臓疾患があると判断する段階。
【0055】
本発明において、小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上である場合に、好ましくは6pg/mgCr以上である場合に、より好ましくは6.3pg/mgCr以上である場合に、最も好ましくは6.5pg/mgCr以上である場合に、前記個体は腎臓疾患があると判断されてよい。
【0056】
本発明において、前記アンフィレグリンの検出は、アンフィレグリン特異的抗体又はアプタマーを用いたアンフィレグリン特異的結合反応によって行われることを特徴とし得るが、これに限定されない。
【0057】
本発明は、さらに他の観点において、腎臓疾患を診断するために必要な情報を提供するために個体の小便サンプルからアンフィレグリンを検出する方法を提供する。
【0058】
具体的には、遺伝子の発現をタンパク質レベルで検出でき、生物学的試料からのタンパク質の分離は、公知の工程を用いて行うことができる。
【0059】
本発明において用語“個体”とは、自然系に存在する生命体のうち、身体臓器として腎臓を持っている動物を意味し、好ましくは哺乳類を意味し、より好ましくはヒトを意味する。前記哺乳類の例には、ネズミ(ラット、マウスなど)、ウサギ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル及びヒトなどがあるが、これらの例によって本発明の個体の種類が限定されるものではない。
【0060】
本発明において、アンフィレグリンを検出する試料は、アンフィレグリンのmRNA又はタンパク質発現レベルが、正常人と腎臓疾患を持つ個体において異なる組織、細胞、全血、血清、血漿、唾液、喀痰、脳脊髓液又は小便のような試料などを含むが、中でも小便サンプルが好ましい。
【0061】
本発明において、マーカータンパク質を検出するための分析方法には、ウェスタンブロット、ELISA、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オークターロニー免疫拡散法、ロケット兔役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析法、補体固定分析法、FACS、タンパク質チップなどがあるが、これに限定されるものではない。これらの分析方法により、正常対照群における抗原-抗体複合体の形成量と、腎臓疾患の疑われる個体における抗原-抗体複合体の形成量とを比較でき、腎臓疾患診断用マーカー遺伝子においてタンパク質での有意な発現量の増加有無を判断し、腎臓疾患の疑われる個体の実際腎臓疾患発生の有無を予測又は確認することができる。前記抗原-抗体複合体とは、腎臓疾患診断用マーカータンパク質とこれに特異的な抗体の結合物を意味し、抗原-抗体複合体の形成量は、検出ラベル(detection label)のシグナルの大きさによって定量的に測定可能である。
【0062】
タンパク質発現レベル測定は、好ましくは、ELISA法を利用する。ELISAは、固体支持体に付着した抗原を認知する標識された抗体を利用する直接的ELISA、固体支持体に付着した抗原を認知する抗体の複合体において捕獲抗体を認知する標識された抗体を利用する間接的ELISA、固体支持体に付着した抗体と抗原の複合体において抗原を認知する標識されたさらに他の抗体を利用する直接的サンドウィッチELISA、固体支持体に付着した抗体と抗原の複合体において抗原を認知するさらに他の抗体と反応させた後、この抗体を認知する標識された2次抗体を利用する間接的サンドウィッチELISAなど、様々なELISA方法を含む。より好ましくは、固体支持体に抗体を付着させて試料を反応させた後に、抗原-抗体複合体の抗原を認知する標識された抗体を付着させて酵素的に発色させるか、抗原-抗体複合体の抗原を認知する抗体に対して標識された2次抗体を付着させて酵素的に発色させるサンドウィッチELISA方法によって検出する。腎臓疾患診断用マーカータンパク質と抗体の複合体形成の程度を確認し、腎臓疾患発生の有無を確認することができる。
【0063】
また、好ましくは、前記腎臓疾患診断用マーカーに対する一つ以上の抗体を用いたウェスタンブロットを利用する。例えば、試料から全体タンパク質を分離し、これを電気泳動してタンパク質をサイズによって分離した後、ニトロセルルーローズ膜に移動させて抗体と反応させる。生成された抗原-抗体複合体の量を、標識された抗体を用いて確認する方法により、遺伝子の発現によって生成されたタンパク質の量を確認し、腎臓機能異常発生の有無を確認することができる。前記検出方法は、対照群におけるマーカー遺伝子の発現量と腎臓機能異常が発生した細胞におけるマーカー遺伝子の発現量を調べる方法によってなされる。タンパク質レベルは、上述したマーカータンパク質の絶対的(例えば、μg/ml)又は相対的(例えば、シグナルの相対強度)差で示すことができる。
【0064】
また、好ましくは、前記腎臓疾患診断用マーカーに対する一つ以上の抗体が、基板上の定められた位置に配列されて高密度で固定化されているタンパク質チップを利用する。例えば、タンパク質チップを用いて試料を分析する方法は、試料からタンパク質を分離し、分離したタンパク質をタンパク質チップと混成化させて抗原-抗体複合体を形成させ、これを判読することにより、タンパク質の存在又は発現程度を確認し、腎臓機能異常発生の有無を確認することができる。
【0065】
これらの検出方法により、正常対照群におけるタンパク質発現レベルを、腎臓疾患の疑われる個体における遺伝子発現レベルと比較することによって、腎臓疾患の疑われる患者の実際腎臓機能異常の有無を確認又は予測することができる。すなわち、腎臓疾患が予想される個体の小便サンプルから本発明のマーカーの発現レベルを測定し、健康な個体の小便サンプルから本発明のマーカーの発現レベルを測定して両者を比較した後、本発明のマーカーの発現レベルが健康な個体のそれよりも有意に増加していることが確認されるとき、当該個体は腎臓疾患があると予測できる。
【0066】
一方、本発明者らの実験結果によれば、小便中アンフィレグリンは基底腎機能をよく反映しており、測定当時の腎臓損傷の程度を予測でき、追跡観察資料を用いた分析により、測定当時の他、未来の腎臓損傷の進行も予測できることを確認することができた。小便中アンフィレグリン量の測定は、腎臓疾患患者において末期腎不全を予測する生体標識子として適用可能である。
【0067】
したがって、本発明は、さらに他の観点において、次の段階を含む、末期腎不全進行可能性を予測するための情報を提供する方法を提供する:
(a)腎臓疾患を患っている患者の小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリン量を測定する段階:及び
(c)測定されたアンフィレグリン量が30pg/mgCr以上の場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断する段階。
【0068】
本発明において、前記測定されたアンフィレグリン量は、30pg/mgCr以上である場合に、好ましくは35pg/mgCr以上である場合に、より好ましくは39pg/mgCr以上である場合に、最も好ましくは39.9pg/mgCr以上である場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断されてよい。
【0069】
本発明において、前記腎臓疾患を患っている患者は、慢性腎不全患者であることを特徴とし得るが、これに限定されない。
【0070】
本発明において、前記(c)段階において、前記末期腎不全への進行可能性は、小便アンフィレグリンを測定して2年以内に末期腎不全に進行する確率が50%、好ましくは60%以上であると判断することを特徴とし得るが、これに限定されない。
【0071】
さらに他の観点において、本発明は、アンフィレグリン又はアンフィレグリンを特異的に検出する剤を含む組成物の腎臓疾患診断用途に関する。
【0072】
さらに他の観点において、本発明は、アンフィレグリンを特異的に検出する剤を含む腎臓疾患診断用試薬を製造するための用途に関する。
【0073】
さらに他の観点において、本発明は、次の段階を含む、腎臓疾患の診断方法に関する:
(a)個体から小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリンを検出する段階:及び
【0074】
(c)小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上の場合に、前記個体は腎臓疾患があると判断する段階。
【0075】
本発明は、さらに他の観点において、次の段階を含む、末期腎不全進行可能性予測方法に関する:
(a)腎臓疾患を患っている患者の小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリン量を測定する段階:及び
(c)測定されたアンフィレグリン量が30pg/mgCr以上の場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断する段階。
【0076】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例1.腎臓機能が正常である肺線維化動物モデル小便サンプルにおいてアンフィレグリンの発現検証
【0078】
肺線維化動物モデルの小便サンプルを用いて腎臓機能の異常有無を判断するために、小便サンプルにおいてアンフィレグリンを検出する実験を行った。
【0079】
1.1.動物実験方法
【0080】
肺線維化動物モデルを作製するために、C57BL/6(マウス)ブレオマイシン(Bleomycin,BLM)(B5507,Sigma,USA)15ユニットストック(stock)を5ml PBSで溶かして3ユニット/mlに作った後、マウス体重を基準に1.5ユニット/kgとなるように50ulをC57BL/6(マウス)に気管内注入(Intra-Tracheal Instillation)経路で投与した。ブレオマイシン誘導によって肺線維化動物モデルを作製した後、14日経過後に次の媒介変数を測定した:体重(Weight)、小便(Urinary)中アルブミン/クレアチニン比率(albumin/creatinine ratio)、血清クレアチニン(Serum creatinine)。さらに、肺組織及び腎臓組織に対して組織学的分析(Histological analysis)を行った。また、肺組織と腎臓組織で線維化が起きたかを確認するために、フィブロネクチン(Fibronectin)、コラーゲン1(Collagen 1)を分析した。そして、アンフィレグリンが各組織でどれくらい発現しているかを確認するために、遺伝子発現分析を行った。
【0081】
1.2RNA分離及び線維化疾患遺伝子及びアンフィレグリン遺伝子発現分析
【0082】
犠牲させたネズミの肺と腎臓組織を得てホモゲナイザー(Homogenizer)を用いて組織を粉砕した。RNA抽出キット(AccuPrep Cell total RNA extraction kit,BIONEER,韓国)を用いて全体RNAを抽出した。抽出されたRNAは、分光光度計で1ugを定量した。RNA逆転写酵素(AccuPower(R) RocketScriptTMRT Premix with o
ligo(dT)20,Bioneer,韓国)を用いて、メーカー指示にしたがってcDNAを製造した。製造されたcDNAを鋳型にしてSYBR green方式の実時間qPCRを用いて、各群の全体mRNAの相対的発現率を、下記のような方法で分析した。96ウェルプレートの各ウェルに、製造されたcDNAを蒸留水で5倍希釈し、各遺伝子mRNA発現量分析のために、希釈されたcDNA 3μl、AccuPower(R) GreenStarTM(韓国)25μl、蒸留水19μl、及び各遺伝子特異的qPCRプライマー(10pmole/μl)(BIONEER,韓国)3μlを入れて混合液を作った。一方、フィブロネクチン、コラーゲン1及びアンフィレグリン遺伝子を正規化するために、ハウスキーピング遺伝子(housekeeping gene、以下、HK遺伝子)であるRPL13Aを標準遺伝子として使用した。各組織の遺伝子発現を確認するためのプライマー配列は、次の通りである。
【0083】
【表1】
【0084】
その結果、図1のように、腎臓組織では、ブレオマイシン誘導マウスと健康なマウスにおける遺伝子発現差が存在しないが、肺組織では、ブレオマイシン誘導マウスにおいてAREGの差が統計的に有意に増加した。一方、図2及び図3のように、各組織において線維化が進行したか否かを確認するために、線維化疾患マーカー(Marker)であるコラーゲン1とフィブロネクチンを確認した結果、コラーゲン1とフィブロネクチンは、腎臓組織では、健康なマウスとブレオマイシン誘導マウスにおいて発現差がなかったが、肺組織では、ブレオマイシンで肺線維化を誘導したマウスにおいて健康なマウスに比べて統計的に有意に増加していることが確認できた。したがって、ブレオマイシンで誘導した肺線維化マウスでは、遺伝子発現分析により、肺組織でのみ線維化が起き、腎臓組織では線維化が誘導されていないことを確認した。
【0085】
1.3.小便サンプルのアンフィレグリン及びアルブミン/クレアチニン比率検出
【0086】
1-3-1.マウスアンフィレグリンELISA方法
【0087】
マウス小便においてアンフィレグリンを検出するために、マウスアンフィレグリンデュオセット(Mouse Amphiregulin Duoset)ELISA(DY989,R&D systems,USA)を使用した。マウス捕獲アンフィレグリン抗体(DY989,R&D systems,USA)を800ng/ml濃度で各ウェルに100ulずつ入れてコーティングした。その後、1% BSAを各ウェルに100ulずつ入れた後、1時間、常温で反応させ、サンプル-抗体の反応以外の非特異的な反応を除去した。Tween20が0.05%入っているPBSTを洗浄バッファー(Washing buffer)として各ウェルを3回ずつ洗浄した。その後、コーティングされている96ウェル-プレートに、マウスの小便を100ulずつ各ウェルに入れて2時間常温で反応した。反応後、小便サンプルを各ウェルから除去した後、Tween20が0.05%入っているPBSTを洗浄バッファーとして各ウェルを3回ずつ洗浄した。そして、各ウェルに検出(Detection)抗体(DY989,R&D systems,USA)を濃度25.0ng/mlで100ulずつ入れ、2時間常温で反応させた。反応後、検出抗体溶液を除去し、PBSTで3回ずつ洗浄した。ストレプトアビジン(Streptavidin)-HRP(DY989,R&D systems,USA)である2次抗体を1:200の比率で希釈して各ウェルに100ulずつ入れ、常温で20分間反応させた。反応後、PBSTを用いて各ウェル当たりに5分ずつ3回洗浄した。そして1-step Ultra TMB(34028,Thermo,USA)を各ウェルに100ul入れて常温で反応させた。その後、硫酸(HSO)を各ウェルに100ulずつ入れて反応を停止させた後、分光光度計を用いて450nm波長で各ウェルの吸光度を測定した。測定した吸光度値を用いて標準曲線に対する式を作り、各サンプルの定量的な値を計算した。その結果、クレアチニン値で補正したアンフィレグリン/クレアチニン比率は、健康なマウスと肺線維化誘導されたマウスにおいて大差は見られず、腎臓機能が正常である肺線維化モデルでは、小便中アンフィレグリン/クレアチニン数値が健康なマウスと比較して大差がないことが確認された(図4)。
【0088】
1-3-2.小便中マウスアルブミン/クレアチニン比率検出
【0089】
アルブミンELISAキット(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1011)を用いて実験を行った。アルブミンを測定するためにNHEバッファー(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1011)を用いて小便サンプルを1:13の比率で希釈し、各ウェルに50ul入れた。そして、各ウェルに 1次抗体(Primary Ab)(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1011)を50ulずつ入れ、常温で1時間反応させた。その後、蒸留水を用いて10回洗浄し、2発色現像液(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1011)を各ウェルに100ulずつ入れ、常温で20分間反応した。2発色ストッパー(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1011)を100ulずつ入れて反応を停止させ、分光光度計を用いて450nmで吸光度値を測定した。測定した吸光度値を用いて標準曲線に対する計算式を作り、各サンプルの定量的な値を計算した。
【0090】
小便中クレアチニンを測定する理由は、小便の濃縮程度によって小便アンフィレグリン(urine amphiregulin)の量が測定ごとに変わることがあり、これを補正するためである。そこで、次のように、クレアチニンを測定するためにクレアチニンELISAキット(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1012)を用いた。蒸留水を用いて小便サンプルを1:10の比率で希釈し、各ウェルに入れた。そして、ピクリン酸溶液(Picrate solution)(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1012)を作り、各ウェルに100ulずつ入れて常温で反応させた後、分光光度計を用いて500nmで1次に吸光度を測定した後、酸試薬(Acid Reagent)(Excocell,Phila,PA19103,Cat:1012)を100ulずつウェルに入れ、5分後に2次に吸光度を測定した。最終結果値は、1次吸光度値から2次吸光度を引いた値を用いた。クレアチニンスタンダード濃度である10mg/dL、3mg/dL、1mg/dL測定した吸光度値を用いて標準曲線に対する計算式を作り、各サンプルの定量的な値を計算した。
【0091】
また、アルブミン/クレアチニン比率も、肺線維化誘導されたマウスと健康なマウスにおいて大差が見られず(図5)、肺線維化誘導されたマウスにおいて腎臓機能が正常に維持されることが分かった。
【0092】
1.4.組織病理学的分析
【0093】
前記製造された動物モデルにおいて肺組織と腎臓組織に対して組織病理学的な検証のために免疫組織化学染色を行った。動物モデルを各群別に犠牲させ、組織固定、水洗、脱水、透明、浸透、包埋及び薄切過程によってパラフィン切片を作製した。パラフィン切片を薄切器で薄く切って組織をスライドに接着させた。接着させた組織を脱パラフィン、含水、水洗、染色、脱水、透明、封入を経てヘマトキシリン及びエオシン染色を行い、また、マッソントリクローム(Masson’s trichrome)染色を行った。次に、組織染色はKPNT分析機関に依頼して行った。
【0094】
その結果、肺線維化誘導されたマウスでは、健康なマウスに比べて肺組織の線維化細胞が多く分化されていることが分かり、MT染色を用いたコラーゲン1の発現量分析の結果、健康なマウスに比べて肺線維化誘導されたマウスにおいてコラーゲンが多く沈着していることが確認できた(図6A)。しかし、腎臓組織では、健康なマウスと肺線維化誘導されたマウスとの間に大差は確認されず、類似の組織状態が維持されたし、肺線維化誘導されたマウスにおいてコラーゲン1の沈着も確認されなかった(図6B)。
【0095】
1-5.血中尿素窒素及びクレアチニン数値測定
【0096】
腎臓機能が悪化すると、腎臓を通じて排泄される物質が体内に蓄積されるが、BUN、クレアチニンが最も代表的な物質であり、これらの物質の濃度が腎臓機能をよく反映すると知られている。そこで、腎臓機能を確認するために、血清サンプルでの血中尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Creatinine)数値を測定した。
【0097】
図7に見られるように、ブレオマイシンで誘導したマウスと健康なマウスの血中尿素窒素を比較したとき、統計的に有意の差がないことが確認された。また、図8に見られるように、クレアチニン数値を比較したとき、健康なマウスとブレオマイシンで誘導したマウスにおいても差がなかった。したがって、ブレオマイシンで誘導された肺線維化動物モデルの腎臓機能は正常に維持されていることを確認した。
【0098】
実施例2.腎臓組織検査を行った患者群を対象に血清及び小便においてアンフィレグリン発現検証
【0099】
腎臓組織検査を行った患者群の血清及び小便においてELISA方法によってアンフィレグリンの濃度を測定した。正常腎臓と類似の病理所見を有する微小糸球体異常(Minor glomerular change)患者と、より進行した病理所見を持つIgA腎症(immunoglobulin A nephropathy)、糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)患者とを比較して血清及び小便アンフィレグリン発現を分析した。また、これらの患者を対象に腎臓組織検査結果を検討し、腎臓線維化と関連した組織所見程度によって4つのグループに分け、このグループによって小便のアンフィレグリン発現程度を比較した。
【0100】
2-1.患者血清と小便サンプルにおいてELISAを用いたアンフィレグリン分析
【0101】
ヒト血清又は小便からアンフィレグリンを検出するために、ヒトアンフィレグリンデュオセット(Human Amphiregulin Duoset)ELISA(DY262,R&D systems,USA)を用いた。具体的に、アンフィレグリン抗体を2.00ug/ml濃度で96ウェルプレートの各ウェルに100ulずつ入れてコーティングした。その後、1% BSAを各ウェルに100ulずつ入れた後、1時間常温で反応させ、サンプル-抗体の反応以外の非特異的な発現を抑制した。Tween20が0.05%入っているPBSTを洗浄バッファーとして各ウェルを3回ずつ洗浄した。患者血清又は小便原液サンプル100ulずつを各ウェルに入れて2時間常温で反応させた後、血清又は小便サンプルを各ウェルから除去し、Tween20が0.05%入っているPBSTを洗浄バッファーとして各ウェルを3回ずつ洗浄した。PBSTを用いて各ウェルを3回ずつ洗浄し、検出抗体(DY262,R&D systems,USA)を100ng/ml濃度で各ウェルに100ulずつ入れ、2時間常温で反応させた。その後、検出抗体の溶液を除去し、PBSTで3回ずつ洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(DY262,R&D systems,USA)2次抗体を1:200の比率で希釈して各ウェルに100ulずつ入れ、常温で20分間反応させた。反応後、PBSTを用いて各ウェル当たりに5分ずつ3回洗浄し、1-step Ultra TMB(34028,Thermo,USA)を各ウェルに100ul入れて常温で反応させた。その後、硫酸(HSO)を各ウェルに100ulずつ入れて反応を停止させた。分光光度計を用いて450nm波長における各ウェルの吸光度を測定し、測定した吸光度値を用いて標準曲線に対する式を作って各サンプルの定量的な値を計算した。
【0102】
その結果、微小糸球体異常(minor glomerular change)患者、IgA腎症(immunoglobulin A nephropathy)患者、及び糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)患者の血清アンフィレグリンの発現には大差が見られないのに対し、小便アンフィレグリンは、さらに深刻な腎臓病理所見を持つIgA腎症(immunoglobulin A nephropathy)と糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)患者群において、微小糸球体異常(minor glomerular change)患者に比べてその発現が増加していることが分かった(図9)。
【0103】
一方、前記患者群を対象に、腎臓線維化と関連した組織検査所見を、重症度によって比較し、線維化所見無し(absent)、軽症(mild)、重症(moderate)、深刻(severe)のグループに分け、患者の小便サンプルからアンフィレグリンの濃度を確認した。間質性線維症(Interstitial fibrosis)と内膜肥厚(intimal thickening)は、線維化所見無し(absent)に比べて重症(moderate)段階の患者において小便アンフィレグリンの発現が有意に増加した。管状萎縮(Tubular atrophy)と血管間拡大(mesangial expansion)は、線維化所見無し(absent)に比べて重症(moderate)、深刻(severe)段階の患者において小便アンフィレグリンの発現が有意に増加していることを確認した。したがって、腎臓組織において腎臓線維化がより深刻に進行するほど、小便アンフィレグリンの発現がさらに増加することが分かった(図10)。
【0104】
前記組織検査から、腎臓線維化を反映する代表的な尺度である間質性線維症結果に基づいて、患者を腎臓線維化が全くない患者(間質性線維症が観察されない。)と腎臓線維化が確認される患者(間質性線維症が観察される。)の2グループに分け、小便アンフィレグリン濃度によってROC(Receiver operating characteristic)曲線解析(curve analysis)を行った。その結果、アンフィレグリンの最適カットオフ値は、敏感度と特異度の和を最大化させる値であって、6.55pg/mgが導出された。
【0105】
したがって、個体の小便サンプルで発現するアンフィレグリンが6.55pg/mgCr以上である場合に、腎臓疾患の中でも特に腎臓線維化が進行していることが確認された(敏感度、0.84;特異度、0.78)。
【0106】
実施例3.糖尿患者群を対象に血漿及び小便においてアンフィレグリン発現検証
【0107】
正常対照群と第2型糖尿患者から分離された血漿と小便サンプルのアンフィレグリン発現様相を確認した。第2型糖尿患者は、アルブミン尿の量によって糖尿病性腎症の重症度が分かるので、これらの患者をアルブミン尿程度によって正常蛋白尿(normoalbuminuria)、微細アルブミン尿(microalbuminuria)、蛋白尿(macroalbuminuria)のグループに分け、グループ別に血漿と小便のアンフィレグリン発現程度を比較した。ELISA分析は、実施例2-1に記述された方法と同一製品(DY262,R&D systems,USA)で行った。
【0108】
その結果、図11に示すように、血漿アンフィレグリンは、正常対照群と第2型糖尿患者間に濃度差が明確でなかったし、アルブミン尿グループによっても有意の濃度差を示さなかった。これに対し、小便アンフィレグリン濃度は、正常対照群と比較して第2型糖尿患者において明確に増加したし、第2型糖尿患者においてもアルブミン尿が深刻になるにつれて、すなわち糖尿病性腎症の重症度が増加するにつれて、小便アンフィレグリンの濃度も共に増加する様相を確認した。
【0109】
実験群に対するアンフィレグリン対クレアチニン比(Amphiregulin-to-creatinine ratio)値は、次のように分析された。
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
実施例4.腎臓組織検査を行った患者群を対象に、小便中アンフィレグリン濃度を用いて末期腎不全進行予測検証
【0113】
腎臓組織検査を行った患者のうち、微小糸球体異常(minor glomerular change)、IgA腎症(immunoglobulin A nephropathy)、糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)と診断された72名の患者を対象に、組織検査当時の小便サンプルを用いて、小便中アンフィレグリンをELISA方法で定量化した。その後、患者たちの予後を観察しながら慢性腎不全段階によって分類した。慢性腎不全の分類は、慢性腎不全診断及び治療において代表的なガイドラインの一つであるKDIGOガイドラインを参考した(Kidney Int Suppl 2012;2013:1-150)。
【0114】
慢性腎不全段階による組織検査当時の分析した小便中アンフィレグリン濃度を図式化し、この患者群を、小便アンフィレグリン濃度の三分位数によって3個の群(T1:0.598-9.472pg/mgCr、T2:9.473-39.904pg/mgCr、T3:39.905-597.252pg/mgCr)に分けた。3つの群において今後の末期腎不全進行確率に差があるかを確認するために、カプラン-マイヤー生存分析を行った。ELISA分析方法は、実施例2-1に記述の方法と同一に行った。
【0115】
その結果は、図12のように現れ、腎臓組織検査を行った患者群の慢性新疾患は1~4段階に分布しており、比較的腎機能が良好な1~2段階患者に比べて腎機能が低下している3~4段階患者において、小便中アンフィレグリンの濃度が高く測定された。また、図13に示すように、カプラン-マイヤー生存曲線を見ると、組織検査当時の小便アンフィレグリン濃度の三分位数において高い小便アンフィレグリン濃度を示したT3グループにおいて末期腎不全発生率が有意に高く示された(1000人年(person-years)当たりのESRD発生率:T1,0.0[95% CI,0.0-117.3];T2,71.4[95% CI,14.2-229.0];T3,600.0[95% CI,296.3-1095.1])。
【0116】
一方、実験の正確度を向上させるために、年齢、性別、小便ベースライン24hrタンパク質(クレアチン)、ベースラインGFR補正を行った結果、三分位グループのうちT1/T2を統合したグループとT3グループを比較すると、末期腎不全進行率がT3グループで有意に高く示された(T3グループとT1/T2グループ間のハザード比(hazard ratio):11.7[95% CI 1.6-86.5])。また、小便アンフィレグリン(Log urine amphiregulin-to-creatinine ratio)を連続変数に設定して分析したとき、それらの変数の補正後にも有意に慢性腎不全発生と連関性があることが分かった(Log urine amphiregulin-to-creatinine ratio)が1増加する度にハザード比:5.1[95% CI 1.814.8])。本実験に参加した患者群を対象にしたとき、小便アンフィレグリン量が39.905pg/mgCr以上である場合に、2年後に末期腎不全に発展する確率が62.2%と示された(図13参照)。
【0117】
以上、本発明内容の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的記述は単に好ましい実施様態であり、これによって本発明の範囲が限定されない点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付する請求項とそれらの等価物によって定義されるといえよう。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、早期診断が重要な腎臓疾患に対して小便サンプルを用いて非侵襲的方法で簡便に腎臓疾患を診断できる長所がある。また、慢性腎不全症と診断された患者に本発明を適用すれば、末期腎不全の進行可能性をあらかじめ予測できる長所がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2024160230000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便サンプルから5pg/mgCr以上のアンフィレグリン又はそのmRNAを特異的に検出する剤を含む、腎臓線維化または腎不全診断用組成物。
【請求項2】
前記アンフィレグリンは、配列番号1のアミノ酸配列で表されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アンフィレグリンを特異的に検出する剤は、アンフィレグリン特異的抗体又はアプタマーであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
請求項1~に記載のいずれか一項の組成物を含む、腎臓線維化または腎不全診断用キット。
【請求項5】
前記キットは、タンパク質チップキット又は免疫診断キットであることを特徴とする、請求項に記載のキット。
【請求項6】
次の段階を含む腎臓線維化診断のための情報提供方法:
(a)個体から小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリンを検出する段階:及び
(c)小便サンプルから検出されたアンフィレグリンが5pg/mgCr以上の場合に、前記個体は腎臓線維化があると判断する段階。
【請求項7】
次の段階を含む末期腎不全の進行可能性を予測するための情報提供方法:
(a)腎臓疾患を患っている患者の小便サンプルを採取する段階;
(b)小便サンプルのアンフィレグリン量を測定する段階:及び
(c)測定されたアンフィレグリン量が30pg/mgCr以上の場合に、前記患者は末期腎不全への進行可能性があると判断する段階。
【外国語明細書】