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  • 特開-カール状繊維の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160231
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】カール状繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/06 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
D01F8/06
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024112302
(22)【出願日】2024-07-12
(62)【分割の表示】P 2021527077の分割
【原出願日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】62/769,618
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ、アカンクシャ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、インロン
(72)【発明者】
【氏名】リン、イージャン
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス、サンジブ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラヴァラ、パバン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ラリオス、ファブリコ アルテガ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ジル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】強化されたカール性を有する繊維の形成プロセスを提供する。
【解決手段】少なくとも第1の領域および第2の領域をそれぞれ有する繊維を形成することを含むプロセスであり、第1の領域は、密度が0.930~0.965g/cmの範囲であり、メルトインデックス(I2)が10~60g/10分の範囲であり、分子量分布が1.5~2.6の範囲であり、1ラジアン/秒におけるタンデルタが少なくとも45であり、改善されたコモノマー組成分布(ICCD)法による溶出プロフィール上の低温ピークおよび高温ピーク、および高温ピークの半値全幅が6.0℃未満であり、繊維を少なくとも20%の伸びまで延伸し、それによって繊維のカール性を増加させることを特徴とするエチレン/αオレフィンインターポリマー組成物を含むプロセスを提供する。このプロセスは、繊維から不織布を形成することをさらに含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の領域および第2の領域をそれぞれ有する繊維を形成することを含む
プロセスであり、前記第1の領域は、0.930~0.965g/cmの範囲の密度、
10~60g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)を特徴とするエチレン/αオ
レフィンインターポリマー組成物を含み、前記I2は、ASTM D1238によって、
190C、2.16kgで測定され、GPCにより測定された重量平均分子量と数平均分
子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表される分子量分布が1.5~2.
6の範囲であり、1ラジアン/秒におけるタンデルタが少なくとも45であり、改善され
たコモノマー組成分布(ICCD)法による溶出プロフィール上の低温ピークおよび高温
ピーク、および高温ピークの半値全幅が6.0℃未満であり、前記繊維を少なくとも20
%の伸びまで延伸し、それによって前記繊維のカール性を増加させる、プロセス。
【請求項2】
前記エチレン/αオレフィンインターポリマー組成物は、以下:密度が0.930~
0.940g/cmの範囲にある、前記エチレン/α-オレフィンインターポリマー組
成物が60~80℃の範囲の低温ピークのピーク温度、25~65%の低温ピークの重量
分率、90℃を超える高温ピークのピーク温度、および35~75%の高温ピークの重量
分率、のうちの1つ以上を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1の領域は第1の2%割線モジュラスEおよび第1の降伏応力σy1を有し
、前記第2の領域は第2の2%割線モジュラスEおよび第2の降伏応力σy2を有し、
前記第1の2%割線モジュラスEは前記第2の2%割線モジュラスEと異なるか、ま
たは前記第1の降伏強度σy1は前記第2の降伏強度σy2と異なるか、またはその両方
である、請求項1~2のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第1および第2の領域の材料の降伏応力の差を、前記第2の領域の降伏応力で割
った値は、少なくとも0.4である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1および第2の領域の材料の2%割線モジュラスの差を、第2の領域の2%割
線モジュラスで割った値は少なくとも0.4である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
|σy1/E-σy2/E|/(σy2/E)は、少なくとも0.01である
、請求項3に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記第1の領域の前記エチレン/αオレフィンインターポリマー
組成物とは異なるポリオレフィンまたはポリエステルを含む、請求項1~6のいずれか一
項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第2の領域はポリプロピレンを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1の領域は、前記第2の領域のコアの周りのシースであるか、または前記第2
の領域は、前記第1の領域のコアの周りのシースである、請求項1~8のいずれか一項に
記載のプロセス。
【請求項10】
延伸の前または後に前記繊維を加熱することをさらに含む、請求項1~9のいずれか
一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記延伸は、5~90℃の範囲の温度で行われる、請求項1~10のいずれか一項に
記載のプロセス。
【請求項12】
前記繊維は不織布ウェブに形成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロ
セス。
【請求項13】
前記延伸は、前記不織布ウェブを形成した後に行われる、請求項12に記載のプロセ
ス。
【請求項14】
前記不織布のロフトは、少なくとも10%延伸後に増加する、請求項12~13のい
ずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年11月20日に出願された米国出願第62/769618号の
利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、カール状繊維およびそのような繊維を有する不織布を製造する方法
であり、この方法は延伸を含む。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレン系繊維は、消費者製品、特に不織布に使用される。このような繊維は、
そのドレープ性および平滑性のために望ましい。不織布には、フィルター、医療用途の使
い捨て材料、おむつストックなど、さまざまな用途がある。最終製品の重量を減らすため
に、繊維の捲縮またはカーリングが提案されている。
【0004】
強化されたカール性(捲縮としても知られている)を有する繊維を形成し、それを効
率的に行うことができることが依然として望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、多成分繊維で使用するための特定の材料を選択することによって、ま
たそれらの繊維を伸ばすことによって、カール性または捲縮が強化されることを発見した
。したがって、本明細書に開示されるのは、少なくとも第1の領域および第2の領域をそ
れぞれ有する繊維を形成することを含むプロセスであり、第1の領域は、0.930~0
.965g/cmの範囲の密度、10~60g/10分の範囲のメルトインデックス(
I2)を特徴とするエチレン/αオレフィンインターポリマー組成物を含み、I2は、A
STM D1238によって、190C、2.16kgで測定され、GPCにより測定さ
れた重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表さ
れる分子量分布が1.5~2.6の範囲であり、1ラジアン/秒におけるタンデルタが少
なくとも45であり、改善されたコモノマー組成分布(ICCD)法による溶出プロフィ
ール上の低温ピークおよび高温ピーク、および高温ピークの半値全幅が6.0℃未満であ
り、繊維を少なくとも20%の伸びまで延伸し、それによって繊維のカール性を増加させ
る。このプロセスは、繊維から不織布を形成することをさらに含むことができ、繊維の延
伸は、不織布の形成の前または後に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、試料1のエチレン/α-オレフィン組成物のICCD溶出プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第1の領域および第2の領域を有する繊維から繊維および/または不織布を製造する
ための効率的な方法が本明細書に開示され、これらの領域は、延伸後に繊維のカールまた
は捲縮が増加するように、延伸および弛緩に対する異なる応答によって特徴付けられる。
この領域のうちの1つは、特定の他のエチレン系樹脂系と比較した場合に驚くほど良好な
カールまたは捲縮を提供するエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物を含む。
延伸は、不織布の形成の前または後に行い得る。
【0008】
このプロセスで有用な繊維は、少なくとも第1の領域および第2の領域を有するとい
う点で多成分繊維である。繊維は二成分繊維であり得るか、または繊維は3つ以上の成分
(多成分繊維)を有し得る。繊維は、繊維の断面が、別の領域であるシースに囲まれた1
つの領域であるコアを示すコアシース構成を有することができる。多成分繊維中には、1
つ以上の内部コア、1つ以上の内部シースおよび外部シースが存在し得る。繊維は、繊維
の断面が一部、例えば、断面の4分の1、3分の1、半分を占める1つの領域を示し、第
2の領域が断面の残りを占めるセグメント化されたパイ構成を有することができる。多成
分繊維では、第3または第4の領域がパイ断面の一部を占める場合がある。多成分繊維で
は、コアシース構成は、セグメント化されたパイと組み合わせられ得る。例えば、コアは
、シースで囲まれたセグメント化されたパイ構造内に2つの成分を有し得る。多成分系で
は、第3の成分は、海島構造の第1または第2の領域内に含まれ得る。例えば、第3の成
分は、コアを形成し、シースによって囲まれる第1の領域内に別個の領域を形成し得る。
繊維の各領域には重心を有し、繊維自体も重心を有する。本明細書で使用される場合、重
心は、繊維の断面の領域または繊維の特定の領域の全ての点の算術平均を意味する。同心
コアシースの場合、コアとシースの重心は同じである。第1および第2の領域は、同じ重
心を有することができる。第1および第2の領域の重心は、繊維全体の重心と同じであっ
てもよい。あるいは、第1および第2の領域は、重心が異なっていてもよい。この構成は
偏心と呼ばれる。この領域の少なくとも1つは、繊維の重心とは異なる重心を有すること
ができる。
【0009】
各領域は、それぞれ、2%割線モジュラスE、および降伏応力σを有する異なる材
料を含む。各領域の2%割線モジュラス、各領域の降伏強度、またはその両方が互いに異
なる。第1および第2の領域の材料の降伏応力を第2の領域の降伏応力で割った差は、少
なくとも0.4、または少なくとも0.45、または少なくとも0.5、または少なくと
も0.55または少なくとも0.6であってよく、1.0以下であってもよい。第1およ
び第2領域の材料の2%割線モジュラスを第2領域の2%割線モジュラスで割った差は、
少なくとも0.4または少なくとも0.45、または少なくとも0.5または少なくとも
0.55であってよく、1.0以下であってもよい。第1の降伏応力を第1の2%割線モ
ジュラスで割った商から第2の降伏応力を第2の2%割線モジュラスで割った商を引いた
ものの絶対値、|σy1/E-σy2/E|/(σy2/E)は、少なくとも0.
01、または少なくとも0.02、または少なくとも0.05、または少なくとも0.0
7、または少なくとも0.1であってよく、1.0以下、または0.8以下、または0.
7以下、または0.5以下、または0.4以下、または0.3以下であってもよく、ここ
で、Eは第1の領域材料の2%割線モジュラスであり、Eは第2の領域材料の2%割
線モジュラスであり、σy1は第1の領域材料の降伏応力であり、σy2は第2の領域材
料の降伏応力である。2%割線モジュラスと降伏応力は、ASTM D638に従って射
出成形された試料で測定される。
【0010】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物
インターポリマーとは、ポリマーが2つ、3つ、またはそれ以上のモノマーのポリマ
ー、すなわちコポリマー、ターポリマーなどであることを意味する。この場合、最初のモ
ノマーはエチレンである。2番目のモノマーはα-オレフィンである。このようなα-オ
レフィンは、少なくとも3個の炭素原子を有し、例えば、最大20個、最大10個、また
は最大8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピ
レン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノ
ネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定され
ない。任意で、第3、第4、またはそれ以上のモノマーは、α-オレフィンであり得る。
インターポリマー組成物は二峰性であり、以下により詳細に記載されるように、異なる分
子量および/または異なる密度および/またはICCD溶出における少なくとも2つの異
なるピークを有する2つのエチレン/αオレフィンインターポリマーを組み合わせること
によって簡便に作製することができる。
【0011】
インターポリマーはランダムインターポリマーであり得る。インターポリマーは、イ
ンターポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づいて、少なくとも50モルパーセント
または少なくとも60モルパーセントまたは少なくとも70モルパーセントのエチレン系
繰り返し単位を含むことができる。インターポリマーは、インターポリマー中の繰り返し
単位の総モル数に基づいて、99.9以下、または99.5以下、または99以下、また
は95以下、または90以下、または85モルパーセント以下のエチレン系繰り返し単位
を含むことができる。インターポリマーは、インターポリマー中の繰り返し単位の総モル
数に基づいて、少なくとも0.1または少なくとも0.5または少なくとも1または少な
くとも5または少なくとも10モルパーセントのα-オレフィン系繰り返し単位(すなわ
ち、第2および任意で第3および第4のモノマー)を含むことができる。インターポリマ
ーは、インターポリマー中の繰り返し単位の総モル数に基づいて、50以下または30モ
ルパーセント以下のα-オレフィン系繰り返し単位(すなわち、第2および任意で第3お
よび第4のモノマー)を含むことができる。
【0012】
これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、特定の実施形態にお
いて、少なくとも0.930g/cmおよび0.965g/cm以下、または0.9
60以下、または0.955以下、または0.950以下、または0.945以下、また
は0.940g/cm以下の密度によって特徴付けられる。密度は、ASTM D79
2に従って測定する。開示されたエチレン/αオレフィンインターポリマーを含む二成分
繊維は、より高い曲率を示すことができる。二峰性ポリマー組成物は、約0.900~約
0.940g/cmの範囲の密度を有する低密度画分、および少なくとも約0.950
g/cm3の密度を有する高密度画分によって特徴付けることができる。
【0013】
これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、10~60g/10
分の範囲のメルトインデックス(I2)によって特徴付けることができ、I2は、AST
M D1238に従って、190°C、2.16kgで測定される。さらに、I10/I
2の比は、6.9または6.8または6.7未満であってよく、ここで、I10は、AS
TM D1238に従って、190°C、10kgで測定される。より低いI10/I2
比は、より良好な紡糸性/加工性をもたらすより低い長鎖分岐を示し得る。
【0014】
これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、2.6以下または2
.5以下、および少なくとも1.5または少なくとも1.7、または少なくとも2.0の
範囲の重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw(GPC)/Mn(GPC))として表
される、以下に記載される方法による分子量分布によって特徴付けることができる。この
範囲の分子量分布を有するインターポリマー組成物は、より高い分子量分布を有するイン
ターポリマーよりも優れた加工性(例えば、繊維紡糸)を有すると考えられている。エチ
レン/αオレフィンインターポリマーは、(I10/I2)-4.63より大きいMw(
GPC)/Mn(GPC)によって特徴付けることができる。
【0015】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、15,000g/モル、20
,000g/モル、または30,000g/モルの下限から100,000g/モル、1
20,000g/モル、または150,000g/モルの上限までの重量平均分子量を有
することができる。Mz(GPC)/Mw(GPC)は、3.0未満または2.0未満で
あってよく、1.0を超えてもよい。二峰性ポリマー組成物は、ICCD溶出において2
つの異なるピークを示し得る。高温画分は、70,000g/モル以下または50,00
0g/モル以下のピーク位置分子量を有することができる。高温画分は、少なくとも15
,000g/モルまたは少なくとも20,000g/モルのピーク位置分子量を有するこ
とができる。低温画分は、少なくとも30000、または少なくとも40,000または
少なくとも50,000g/モルのピーク位置分子量を有することができる。低温画分は
、250,000、または200,000、または150,000g/モル以下のピーク
位置分子量を有することができる。
【0016】
これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、1ラジアン/秒で少
なくとも45または少なくとも50のタンデルタ(tanδ)によって特徴付けることが
できる。さらに、これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、1ラジアン/
秒および190℃でのタンデルタと100ラジアン/秒および190℃でのタンデルタの
比が、少なくとも12であることによって特徴付けることができる。これらの特性は、動
的機械分析(DMS)によって測定できる。
【0017】
これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、改善されたコモノマ
ー組成分布(ICCD)の溶出プロフィール上の35℃~110℃の間の少なくとも2つ
の区別可能なピークによって特徴付けることができ、ピーク間の明確な谷(より小さいピ
ークのピーク高さと比較して少なくとも10%の低下)を有し、ピーク位置は少なくとも
10℃離れていなければならない。各ピークは、隣接する谷の最も低い高さの点で垂直線
で分離される。
【0018】
低温ピークのピーク温度は、少なくとも50℃または少なくとも60℃であってよく
、90℃未満または75℃未満であってもよい。高温ピークのピーク温度は、少なくとも
90℃または少なくとも95℃であってよく、110℃、または105℃または100℃
未満であってよい。本発明者らは、50~75℃の範囲の低温ピークがカール状繊維を作
製するのに特に有用であり得ることを見出した。
【0019】
低温ピーク画分の重量分率は、溶出されたポリマーの総重量に基づいて、少なくとも
25または少なくとも30、および65未満、または60未満または55重量パーセント
未満であり得る。高温ピーク画分の重量分率は、溶出されたポリマーの総重量に基づいて
、少なくとも35または少なくとも40、または少なくとも45および75重量パーセン
ト以下であり得る。
【0020】
高温ピークの半値全幅は6.0℃未満であり得る。高密度画分の狭いピークは、紡糸
性能を妨げたり、抽出物を生成したりする可能性のある超高分子量または超低分子量種の
ない、より狭い組成分布を示す。
【0021】
エチレン/αオレフィン組成物は、0.5未満(すなわち50%未満)、0.3(3
0%)未満、0.25(25%)未満、0.22(22%未満)、または0.2未満(2
0%)の組成分布幅指数(CDBI)を有し得る。
【0022】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、100未満、好ましくは30
~80のコモノマー分配定数(CDC)を有し得る。
【0023】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、0.20を超える、または0
.25を超える、または0.30を超える、または0.35を超える、または0.40を
超える、または0.45を超える、または0.50を超える分子加重コモノマー分布指数
(MWCDI)によって特徴付けることができる。MWCDIは、従来のゲル浸透クロマ
トグラフィーから得られる分子量の関数としてのコモノマー組み込みの傾きの尺度である
。MWCDIが0.25より大きい場合(分子量範囲20,000~200,000g/
モル)、樹脂構造は、分布の高分子量側により多くのコモノマーが組み込まれた、有意な
逆コモノマーの取り込みを有すると考えられる。
【0024】
本明細書に開示されるエチレン/αオレフィンインターポリマー組成物は、少量の長
鎖分岐(LCB)によって特徴付けることができる。これは、ゼロせん断粘度比(ZSV
R)が低いことで示される。具体的には、ZSVRは1.35未満または1.30以下で
あり得る。ZSVRは少なくとも1.10であり得る。
【0025】
エチレン/αオレフィンインターポリマー組成物は、H-NMRによって決定され
る、230未満、または210未満、または190未満、または170未満、または15
0未満の1,000,000炭素原子あたりのビニル飽和数によって特徴付けることがで
きる。
【0026】
任意の従来の重合プロセスを用いてエチレン/α-オレフィンインターポリマー組成
物を生成してもよい。このような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器
、例えば、ループ反応器、等温反応器、撹拌槽型反応器、並列、直列のバッチ式反応器、
および/またはそれらの任意の組み合わせを用いた、溶液重合プロセスが挙げられるが、
これらに限定されない。このような重合プロセスとしては、当該技術分野において既知で
ある任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、溶液、もしくはスラリー重
合、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0027】
一般に、溶液相重合プロセスは、115~250℃、例えば、115~200℃の範
囲の温度で、かつ300~1000psi、例えば400~750psiの範囲の圧力で
、1つ以上の十分に撹拌された反応器、例えば、1つ以上の等温ループ反応器または1つ
以上の球形反応器中で行われる。二重反応器では、例えば、第1の反応器内の温度は、1
15~190℃、または115~150℃の範囲であってよく、第2の反応器温度は、1
50~200℃、または170~195℃の範囲であってよい。単一の反応器において、
反応器内の温度は、115~190℃、または115~150℃の範囲であり得る。溶液
相重合プロセスにおける滞留時間は、典型的には、2~30分、例えば、10~20分の
範囲である。エチレン、溶媒、水素、1つ以上の触媒系、任意で1つ以上の助触媒、およ
び任意で1つ以上のコモノマーは、1つ以上の反応器に連続的に供給される。例示的な溶
媒としては、イソパラフィンが挙げられるが、これに限定されない。例えば、そのような
溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.(Houston,Tex)
からISOPAR Eの名称で市販されている。次いで、得られたエチレン/α-オレフ
ィンインターポリマーと溶媒との混合物を反応器から取り出し、エチレン/α-オレフィ
ンインターポリマーを単離する。溶媒は、典型的には、溶媒回収ユニット、すなわち熱交
換器および気液分離器ドラムを介して回収され、次いで重合系に再循環される。
【0028】
エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、二重反応器系、例えば、二重
ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、お
よび任意で1つ以上のα-オレフィンは、1つ以上の助触媒の存在下で重合される。さら
に、1つ以上の助触媒が存在してもよい。
【0029】
エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、単一反応器系、例えば、単一ループ
反応器系において、溶液重合によって生成することができ、ここで、エチレン、および任
意で1つ以上のα-オレフィンは、1つ以上の助触媒の存在下で重合される。二重反応器
系では、2つの異なる触媒を使用できる。2つの異なる触媒の一方または両方は、以下に
示すような式(I)を有する。これにより、上記のような二峰性インターポリマー組成物
の製造が可能になる。
【0030】
第1のエチレン/α-オレフィンインターポリマーを生成するのに好適な例示的な触
媒系は、式(I)の金属-配位子錯体を含む前駆触媒成分を含む触媒系であり得る:
【化1】
【0031】
式(I)において、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムから選択される
金属であり、この金属は、+2、+3、または+4の形式酸化状態にあり、nは、0、1
、または+2であり、nが1である場合、Xは、単座配位子または二座配位子であり、n
が2である場合、各Xは、単座配位子であり、同じかまたは異なり、金属-配位子錯体は
、全体的に電荷中性であり、各Zは、-O-、-S-、-N(R)-、または-P(R
)-から独立して選択され、Lは、(C-C40)ヒドロカルビレンまたは(C
40)ヘテロヒドロカルビレンであり、RおよびRは、(C-C30)ヒドロカ
ルビルまたは(C-C30)ヘテロヒドロカルビルであり、ここで、(C-C40
ヒドロカルビレンは、式(I)の2つのZ基を連結する1炭素原子から10炭素原子のリ
ンカー骨格(Lが結合する)を含む部分を有するか、または(C-C40)ヘテロヒド
ロカルビレンは、式(I)の2つのZ基を連結する1原子から10原子のリンカー骨格を
含む部分を有し、ここで、(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンの1原子から10原
子のリンカー骨格の1から10原子の各々は、独立して炭素原子またはヘテロ原子であり
、ここで、各ヘテロ原子は、独立してO、S、S(O)、S(O)2、Si(R)2、
Ge(R)2、P(R)、またはN(R)であり、ここで、独立して、各Rは、
(C-C30)ヒドロカルビルまたは(C-C30)ヘテロヒドロカルビルであり、
およびRは、-H(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒド
ロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R
-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)
、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R
-、(RNC(O)-、ハロゲン、および式(II)、式(III)、または式(
IV)を有するラジカルからなる群から独立して選択される。
【化2】
【0032】
式(II)、(III)、および(IV)において、R31-35、R41-48、ま
たはR51-59の各々は、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロ
ヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R
、-N=CHR、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)
-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、R
C(O)N(R)-、(RNC(O)-、ハロゲン、または-Hから独立して
選択され、ただし、RまたはRの少なくとも1つは、式(II)、式(III)、ま
たは式(IV)を有するラジカルであり、式中、RC、、およびRは上記で定義し
たとおりである。
【0033】
式(I)において、いて、R2-4、R5-7、またはR9-16の各々は、(C
-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R
、-Ge(R、-P(R、-N(R、-N=CHR、-OR、-
SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、(R
C=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(R
NC(O)-、ハロゲン、または-Hから独立して選択され、式中、RC、、およ
びRは上記で定義したとおりである。
【0034】
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系は、オレフィン重合反応の金属系触媒を活
性化するための当該技術分野で既知の任意の技術によって触媒的に活性化され得る。例え
ば、式(I)の金属-配位子錯体を含むものは、錯体を活性化助触媒と接触させるか、ま
たは錯体を活性化助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性化され得る。本明細
書に使用する活性化助触媒としては、アルキルアルミニウム、ポリマーまたはオリゴマー
アルモキサン(アルミノキサンとしても知られる)、中性ルイス酸、および非ポリマー、
非配位、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含む)が挙げられ
る。活性化技術の1つには、バルク電気分解がある。前述の活性化助触媒および技術のう
ちの1つ以上の組み合わせもまた企図される。「アルキルアルミニウム」という用語は、
モノアルキルアルミニウムジヒドリドもしくはモノアルキルアルミニウムジハライド、ジ
アルキルアルミニウムヒドリドもしくはジアルキルアルミニウムハライド、またはトリア
ルキルアルミニウムを意味する。ポリマーまたはオリゴマーアルモキサンの例としては、
メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサン、およびイソ
ブチルアルモキサンが挙げられる。
【0035】
ルイス酸活性化剤(助触媒)は、本明細書に記載されているように1~3つの(C
-C20)ヒドロカルビル置換基を含有する第13族金属化合物を含む。第13族金属化
合物の例には、トリ((C-C20)ヒドロカルビル)-置換アルミニウム、またはト
リ((C-C20)ヒドロカルビル)-ホウ素化合物、トリ((C-C20)ヒドロ
カルビル)-ホウ素化合物、トリ((C-C10)アルキル)アルミニウム、トリ((
-C18)アリール)ホウ素化合物、およびのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘
導体がある。第13族金属化合物の他の例は、トリス(フルオロ置換フェニル)ボラン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。活性化助触媒は、トリス((C-C
20)ヒドロカルビルボレート(例えば、トリチルテトラフルオロボレート)またはトリ
((C-C20)ヒドロカルビル)アンモニウムテトラ((C-C20)ヒドロカル
ビル)ボラン(例えば、ビス(オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)ボラン)がある。本明細書で使用される場合、「アンモニウム」という
用語は、((C-C20)ヒドロカルビル)、((C-C20)ヒドロカルビ
ル)N(H)、((C-C20)ヒドロカルビル)N(H) 、(C-C
)ヒドロカルビルN(H) 、またはN(H) である窒素カチオンを意味し、各
(C-C20)ヒドロカルビルは、2つ以上存在する場合、同じであっても、異なって
いてもよい。
【0036】
中性ルイス酸活性剤(助触媒)の組み合わせには、トリ((C-C)アルキル)
アルミニウムおよびハロゲン化トリ((C-C18)アリール)ホウ素化合物、特にト
リス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、またはそのような中性ルイス酸混合物とポリマ
ーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、および単一の中性ルイス酸、特にトリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマーまたはオリゴマーアルモキサンとの組み
合わせが挙げられる。(金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオロ-フェニルボラ
ン):(アルモキサン)[例えば(第4族金属-配位子錯体):(トリス(ペンタフルオ
ロ-フェニルボラン):(アルモキサン)]のモル数の比は、1:1:1~1:10:3
0であり、他の実施形態では1:1:1.5~1:5:10である。
【0037】
式(I)の金属-配位子錯体を含む触媒系を活性化して、1つ以上の助触媒、例えば
、カチオン形成助触媒、強ルイス酸、またはそれらの組み合わせを組み合わせることによ
って、活性触媒組成物を形成することができる。好適な活性化助触媒としては、ポリマー
またはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、ならびに不活性、相溶性
、非配位性、イオン形成性化合物が挙げられる。好適な助触媒の例としては、変性メチル
アルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化獣脂アルキル)メチル、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)ボレート(1)アミン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが
、これらに限定されない。
【0038】
前述の活性化助触媒のうちの1つ以上は、互いに組み合わせて使用され得る。好まし
い組み合わせは、トリ((C1-)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C
)ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムとオリゴマーもしくはポリマ
ーアルモキサン化合物との混合物である。式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モ
ル数と1つ以上の活性化助触媒の総モル数との比は、1:10,000~100:1であ
り得る。例えば、比率は少なくとも1:5000、または少なくとも1:1000、およ
び10:1以下、または1:1以下であってよい。アルモキサンを単独で活性化助触媒と
して使用する場合、好ましくは、用いられるアルモキサンのモル数は、式(I)の金属-
配位子錯体のモル数のうちの少なくとも100倍であり得る。トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボランを単独で活性化助触媒として使用するとき、式(I)の1つ以上の金属-
配位子錯体の総モル数に対して用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのモ
ル数は、0.5:1~10:1、1:1~6:1、または1:1~5:1であり得る。残
りの活性化助触媒は一般に、式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル量におおよ
そ等しいモル量で用いられる。
【0039】
繊維および不織布
繊維の第1成分の少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも8
5%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも97%、ま
たは少なくとも98%、または少なくとも99%、または100%(全て重量パーセント
)は、エチレン/α-オレフィンインターポリマーであってよい。第1成分の残りの部分
は1つ以上の他のポリマーおよび/または1つ以上の添加剤などの追加成分であり得る。
他のポリマーは、別のポリエチレン(例えば、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン
/α-オレフィンインターポリマー)、プロピレンベースのポリマー(例えば、ポリプロ
ピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンコポリマー、またはプロピレン/α-オレフ
ィンインターポリマー)であり得る。他のポリマーの量は最大25%であり得る。可能な
添加剤としては、帯電防止剤、カラーエンハンサ、染料、潤滑剤、TiOまたはCaC
などの充填剤、乳白剤、核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、
加工助剤、UV安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤
、臭気低減剤、抗真菌剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定され
ない。エチレン/α-オレフィンインターポリマー組成物は、そのような添加剤を含むエ
チレン/α-オレフィンインターポリマー組成物の重量に基づいて、そのような添加剤を
その合計重量として約0.01、または0.1、または1~約25、または約20、また
は約15または、約10重量パーセント、混合して含有し得る。
【0040】
他の領域は、異なるポリオレフィンまたはポリエステルを含むことができる。例えば
、他の領域は、ポリプロピレン系ポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、またはポリブチレンテレフタレートであり得る。第2の領域の残りの部分は1つ以上
の他のポリマーおよび/または1つ以上の添加剤などの追加成分であり得る。他のポリマ
ーは、上記のような添加剤を含むまたは含まないポリプロピレン、またはポリエステル(
例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート)などの別のポ
リオレフィンまたは別のポリエステルであってよい。可能な添加剤としては、帯電防止剤
、カラーエンハンサ、染料、潤滑剤、TiOまたはCaCOなどの充填剤、乳白剤、
核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、UV安定剤、ブロ
ッキング防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、お
よびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン/α-オレフ
ィンインターポリマーポリマー組成物は、そのような添加剤を含むエチレン/α-オレフ
ィンインターポリマー組成物の重量に基づいて、約0.01、または約0.1、または1
~約25、または約20、または約15または、約10重量パーセントの重量でそのよう
な添加剤を混合して含有し得る。
【0041】
第1成分または領域と第2成分または領域との重量比は、少なくとも5/95、また
は少なくとも10/90、または少なくとも20/80、または少なくとも30/70、
または少なくとも40/60であってよく、95/5以下、または90/10、以下また
は80/20以下、または70/30以下、または60/40以下であってもよい。
【0042】
本明細書で教示される繊維は、任意の従来の紡糸技術によって形成され得る。本明細
書に開示される繊維は、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる:繊維は、少
なくとも5マイクロメートル、または少なくとも10マイクロメートル、および50マイ
クロメートル未満、または30マイクロメートル未満の直径を有し得る。繊維は、50g
/9000m未満の範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得る。50g/9000
m未満の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例
えば、フィラメント当たりのデニールは、下限値0.1、0.5、1、5、10、15、
17、20、25、30、33、40、または44g/9000m~上限値0.5、1、
5、10、15、17、20、25、30、33、40、44、または50g/9000
mであり得る。例えば、繊維は、40g/9000m未満の範囲のフィラメント当たりの
デニールを有し得るか、あるいは繊維は、30g/9000m未満の範囲のフィラメント
当たりのデニールを有し得るか、あるいは繊維は、20g/9000m未満の範囲のフィ
ラメント当たりのデニールを有し得るか、あるいは繊維は、10g/9000m未満の範
囲のフィラメント当たりのデニールを有し得るか、あるいは繊維は、0.5~10g/9
000mの範囲のフィラメント当たりのデニールを有し得る。
【0043】
二成分繊維は、紡糸口金と呼ばれる金属プレート中の微細なオリフィスを通して空気
または他のガス中に紡糸することができ、そこで冷却され、固化されて連続的な本発明の
二成分繊維が形成される。次に、連続繊維は、異なる回転速度を有する一組の回転ローラ
ーまたはゴデット内に案内され、それらの間で延伸される。繊維は、ローラーまたはゴデ
ットの間で、少なくとも20%、または少なくとも30%または少なくとも40%または
少なくとも50%または少なくとも75%の伸びまで延伸することができる。繊維は、8
00%以下、または700%以下、または600%以下、または500%以下、または4
00%以下、または250%以下、または200%以下、または150%以下、または1
00%以下の伸びまで延伸することができる。延伸は、周囲温度で繊維に対して行うこと
ができる。
【0044】
繊維は短い繊維に切断することができる。あるいは、切断後に延伸を行ってもよいが
、切断前の延伸が効率的である。切断された繊維は、例えば、少なくとも0.2、または
少なくとも0.5または少なくとも1cm、および16または12または10cm以下の
長さを有し得る。得られた短繊維は、続いて、カードウェブプロセス、エアレイドプロセ
スによって不織布に加工することができ、結合プロセスは、熱カレンダプロセス、接着結
合プロセス、熱風結合プロセス、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、およびこ
れらの組み合わせであってよいが、これらに限定されない。
【0045】
二成分繊維は、紡糸口金と呼ばれる金属プレート中の微細なオリフィスを通して空気
または他のガス中に紡糸することができ、そこで冷却され、固化されて連続的な本発明の
二成分繊維が形成される。固化した繊維は、空気流を通して空気圧で引き抜かれ、次にコ
ンベヤーベルト上に置かれて不織布ウェブが形成され得る。不織布ウェブは、結合プロセ
スの前または後に、MDO(縦方向配向)プロセスまたはリング圧延プロセスによって延
伸され得る。結合プロセスとしては、熱カレンダプロセス、接着剤結合プロセス、熱風結
合プロセス、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、およびそれらの組み合わせが
挙げられるが、これらに限定されない。不織布ウェブは、少なくとも20%、または少な
くとも30%または少なくとも40%、または少なくとも50%または少なくとも75%
の伸びまで延伸することができる。不織布ウェブは、特定の実施形態によれば、800%
以下、または700%以下、または600%以下、または500%以下、または400%
以下、または250%以下、または200%以下、または150%以下、または100%
以下の伸びまで延伸することができる。延伸は、周囲温度で繊維に対して行うことができ
る。
【0046】
本明細書に開示される不織布は、任意の既知の方法によって作製することができる。
このような方法としては、スパンボンドプロセス、メルトブローイングプロセス、カード
ウェブプロセス、エアレイドプロセス、熱カレンダプロセス、接着剤結合プロセス、熱風
結合プロセス、ニードルパンチプロセス、ハイドロエンタングルプロセス、エレクトロス
ピニングプロセス、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される不織布は、スパンボンド加工によって構成ポリマー材料から直接形
成することができる。スパンボンドプロセスでは、不織布の製造は以下のステップを含む
:(a)紡糸口金から1つ以上のポリマー組成物を押し出すステップ、(b)溶融したス
トランドの固化を促進するために一般に冷却される空気流で1つ以上のポリマー組成物の
ストランドを急冷するステップ、(c)フィラメントを空気流中で空気的に引き込むか、
または織物繊維業界で一般的に使用される型の機械式延伸ロールに巻き付けることにより
適用する延伸張力で、急冷区域を通ってそれらを前進させることによりフィラメントを細
くするステップ、(d)延伸ストランドを有孔表面、例えば、移動スクリーンまたは多孔
性ベルト上のウェブに集めるステップ、および(e)緩いストランドのウェブを不織布に
結合するステップ。結合は、熱カレンダプロセス、接着結合プロセス、熱風結合プロセス
、ニードルパンチプロセス、水流交絡プロセス、およびそれらの組み合わせを含むが、こ
れらに限定されない、さまざまな手段によって達成することができる。
【0047】
ステープル繊維は、ブレンドされ、多段階プロセスで「開かれ」、コンベヤーベルト
上に分散され、均一なウェットレイド、エアレイド、またはカーディング/クロスラッピ
ングプロセスで均一なウェブに広げられ得る。ウェットレイド操作では、通常、長さ約0
.2~2cmの繊維を使用しますが、繊維が硬い場合や太い場合はさらに長くなることも
ある。エアレイド加工では、通常、長さ約1~約10cmの繊維を使用する。カーディン
グ操作では通常、長さ3~4cmの繊維を使用する。ステープル不織布は、熱的に、また
は樹脂を使用して結合される。結合は、樹脂飽和または全体的な熱結合によってウェブ全
体にわたって、または樹脂印刷または熱スポット結合によって別個のパターンで行うこと
ができる。ステープル繊維との適合とは、通常、通常、ハイエンドの織物絶縁材において
しばしば使用されるメルトブローとの組み合わせを指す。
【0048】
不織布の形成後、不織布は少なくとも一方向に延伸される。例えば、不織布は、リン
グ圧延または異なる速度の2つのローラーを使用して延伸され得る。ウェブを収集するた
めにローラー速度が調整される場合、これを使用して機械方向(MD)に延伸することが
できる。横方向に延伸するために、ウェブをウェブ全体のロールまたは機構に取り付ける
ことができる。延伸は、好ましくは、少なくとも5、または少なくとも10、または少な
くとも15℃の温度、および90以下、または80以下、または60以下、または50以
下、または30℃以下の温度で行われる。不織布は、少なくとも20%の伸び、または少
なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも75%であって、800%
以下、700%以下、500%以下、400%以下、または300%以下に延伸されるべ
きである。
【0049】
望ましくは、不織布を延伸する際に、繊維の少なくとも一部は、少なくとも20%、
または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少
なくとも75%の伸びまで延伸され、700%以下、または600%以下、または500
%以下、または400%以下、または300%以下、または250%以下、または200
%以下、または150%以下、または以下100%の伸びまで延伸され得る。
【0050】
特定の実施形態によれば、繊維は、1より大きいか、または1.5より大きいか、ま
たは2より大きいか、または2.5より大きいか、または3mm-1より大きいカール性
によって特徴付けられる。
【0051】
スパンボンド不織布は、多層または積層構造に形成することができる。このような多
層構造は、少なくとも2つ以上の層を含み、ここで少なくとも1つ以上の層は、本明細書
に開示されるようにスパンボンド不織布であり、1つ以上の他の層は、1つ以上のメルト
ブロー不織布層、1つ以上のウェットレイド不織布層、1つ以上のエアレイド不織布層、
任意の不織布またはメルトスピニングプロセスによって生成された1つ以上のウェブ、1
つ以上のフィルム層から選択される。キャストフィルム、インフレーションフィルム、例
えば、押出コーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、印刷、浸漬、
キスローリング、またはブレードコーティングを介してコーティング組成物から誘導され
る1つ以上のコーティング層など。積層構造は、任意の数の結合方法、熱結合、接着剤積
層、水流交絡、ニードルパンチを介して結合され得る。構造は、SからSX、またはSX
X、またはSXXX、またはSXXXX、またはSXXXXXの範囲であってよく、ここ
で、Sは本明細書に開示されるように不織布であり、Xはフィルム、コーティング、また
は任意の組み合わせの不織布材料であってよく、Xのうちの1つ以上はSであってもよい
。追加のスパンボンド層は、本明細書に記載されるように、エチレン/α-オレフィンイ
ンターポリマー組成物から、および任意選択で1つ以上のポリマーおよび/または添加剤
と組み合わせて作製され得る。
【0052】
試験方法
密度
エチレン/α-オレフィンインターポリマーの密度測定を、ASTM D792、方
法Bに従って行った。
【0053】
メルトインデックス(I2)および(I10)
エチレン/α-オレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I2)値を、A
STM D1238に従って、190℃、2.16kgで測定した。同様に、エチレン/
α-オレフィンインターポリマーのメルトインデックス(I10)値を、ASTM D1
238に従って、190℃、10kgで測定した。値をg/10分で報告し、これは10
分あたりに溶出したグラムに対応する。
【0054】
動的機械分光法(DMS)
試料を、10MPaの圧力下で、177℃で5分間、厚さ3mm×直径25mmの円
形プラークに圧縮成形する。次いで、試料を圧縮機から取り出し、カウンター上に配置し
て、冷却する。窒素パージ下で、25mm平行プレートを備えたARES歪み制御レオメ
ーター(TA Instruments)を用いて、圧縮成形プラークに対して一定温度
、周波数掃引測定を行う。各測定について、間隙をゼロにする前に、レオメーターを少な
くとも30分間熱的に平衡化する。試料ディスクをプレート上に置き、190℃で5分間
溶融させる。次いで、プレートを2mmの間隔まで閉じ、試料をトリミングしてから試験
を開始する。その方法は、温度平衡を可能にするために、さらに5分間遅延させることが
できる。本実験は、190℃で、10回間隔あたり、5箇所で0.1~100ラジアン/
秒の周波数範囲にわたって行う。歪み振幅は、10%で一定である。振幅および相に関し
て、応力応答を分析し、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性
率(G)、動的粘度(η)、およびtanδ(またはタンデルタ)を計算する。1ラ
ジアン/秒でのタンデルタと100ラジアン/秒でのタンデルタが得られる。
【0055】
改善されたコモノマー組成分布(ICCD)
改善されたコモノマー組成分布(ICCD)試験を、IR-5検出器(スペイン国の
PolymerChar)および二角光散乱検出器モデル2040(Precision
検出器、現在はAgilent Technologies)を備えるCrystall
ization Elution Fractionation機器(CEF)(Pol
ymerChar、スペイン)を用いて行う。ICCDカラムには、金でコーティングさ
れたニッケル粒子(Bright 7GNM8-NiS、Nippon Chemica
l Industrial Co.)を15cm(長さ)×1/4インチ(ID)のステ
ンレス管に詰める。カラムの充填およびコンディショニングは、参考文献(Cong,R
;Parrott,A.;Hollis,C.;Cheatham,M.WO20170
40127A1)によるスラリー法を用いる。トリクロロベンゼン(TCB)スラリーパ
ッキングの最終圧力は150バールである。カラムを、検出器オーブンのIR-5検出器
の直前に取り付ける。オルトジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレード又はテク
ニカルグレード)を溶出液として使用した。EMD Chemicalsからシリカゲル
40(粒子径0.2mm~0.5mm、カタログ番号10181-3)を入手し、ODC
B溶媒の乾燥に使用することができる。ICCD装置には、窒素(N)パージ機能を備
えたオートサンプラーが装備されている。ODCBを、使用前に1時間、乾燥Nでスパ
ージする。試料調製は、160℃で1時間振とうしながら、4mg/ml(別段の指定が
ない限り)でオートサンプラーを用いて行う。注入体積は300μlである。ICCDの
温度プロファイルは、105℃から30℃まで3℃/分で結晶化させ、次いで30℃で2
分間熱平衡させ(2分設定した可溶性画分溶出時間を含む)、続いて30℃から140℃
まで3℃/分で加熱する。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1つの
データ点/秒で収集する。カラム温度較正は、標準物質の線状ホモポリマーポリエチレン
(コモノマー含有量が0、メルトインデックス(I)が1.0g/10分、多分散度M
w(GPC)/Mn(GPC)が従来のゲル浸透クロマトグラフィーで約2.6(1.0
mg/ml)を有する)およびODCB中のエイコサン(2mg/ml)の混合物を使用
して行うことができる。ICCD温度較正は、4つのステップから構成される:(1)測
定されたエイコサンのピーク溶出温度から30.00℃を差し引いた、温度オフセットと
して定義される、遅延体積を計算すること;(2)溶出温度の温度オフセットをICCD
生温度データから差し引くこと。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量等の実験条
件の関数であることに留意されたい;(3)線状ホモポリマーポリエチレン参照が101
.0℃でピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、30
.00℃~140.00℃の範囲にわたる溶出温度を変換する線形較正直線を作成するこ
と;(4)30℃で等温的に測定された可溶性画分について、30.0℃未満の溶出温度
で、参考文献(Cerk and Cong et al.、米国特許第9,688,7
95号)に従って3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって直線的に外挿すること
【0056】
コモノマー含有量の検量線(ICCDのモルパーセント対溶出温度(T)でのコモノ
マー含有量は、12の参照物質(線状エチレンホモポリマーおよびシングルサイトメタロ
セン触媒で作製された11のエチレン-オクテンランダムコポリマー、35000~12
8000の範囲の重量平均分子量を有する)を既知のコモノマー含有量で使用することで
構築される。これらの標準物質は全て、4mg/mLで以前に指定したのと同じ方法で分
析する。モルパーセントで表したコモノマー含有量と溶出曲線上のピーク温度は以下のと
おりである。
【数1】
【0057】
ICCD溶出プロファイルにおけるピークと半値全幅の決定
最低および最高溶出温度(典型的には35℃~119℃)においてゼロ相対質量で開
始および終了する相対質量溶出プロフィールプロットを作成するために、単一ベースライ
ンをIR測定シグナルから差し引く。便宜上、これは、1に等しい全体面積に対する正規
化された量として提示される。ICCDからの相対質量-溶出プロファイルプロットにお
いて、各温度(T)重量分率(w(T))を得ることができる。プロファイル(w
T)対T)は、0.200℃の段階的な温度上昇を伴って、35.0℃~119.0℃の
ICCDからのものであり、以下のとおりである。
【数2】
【0058】
(T)対T溶出プロファイルにおいて、単一ピークは、中央に1つの最高点を有
し、両側(低温側および高温側)に2つの最低点を有する曲線として定義される。2つの
最低点の両方の高さは、最高点の高さより少なくとも10%低くする必要がある。最低点
の一方または両方が最高点の高さよりも10%未満の低さを有する場合、すなわち、最低
点の一方または両方が最高点の高さの90%を超える高さを有する場合、そのような曲線
は、別のピークに関連するショルダーと考えられるが、ピーク自体ではない。次いで、各
別個のピークを、w(T)対T溶出プロフィールプロットにおけるそのピークの最大高
さの50%における幅(℃)について測定する。この幅は、ピークの半値全幅と呼ばれる
【0059】
ICCD溶出プロファイルに複数のピークがある場合、ピーク間の分離点(T分離
は、隣接する2つのピークの最低点として定義できる。n番目のピーク(WTピークn
の重量分率は、以下の式に従って計算できる。
【数3】
式中、ピーク1、ピーク2、…、ピークnは低温から高温の順のピークであり、T
離nはnピークとn+1ピークの間の分離点である。半値全幅は、その個々のピークの最
大ピーク高さの半分での前部温度の最初の交点と後部温度の最初の交点の間の温度差とし
て定義される。最大ピークの半値での前部温度は、35.0℃から前方で検索され、最大
ピークの半値での後部温度は119.0℃から逆方向で検索される。
【0060】
コモノマー分布定数(CDC)
コモノマー分布定数(CDC)は、図1にグラフで示されている以下の工程に従って
、ICCDによるw(T)対T溶出プロファイルから計算される。
(1)0.200℃の段階的温度上昇を伴って、35.0℃~119.0℃の範囲で
ICCDからw(T)対T溶出プロファイルを得る。35℃~119℃の総重量分率が
1.0に正規化され、式2に従うはずである。
(2)以下の式に従って、累積重量分率0.500での温度中央値(Tmedian
)を計算する:
【数4】
(3)式1に従って、コモノマー含有量較正曲線を使用して、温度中央値(T中央値
)でのモル%での対応するコモノマー含有量中央値(C中央値)を計算する。
(4)組成分布幅指数(CDBI)は35.0℃~119.0℃の範囲の0.5
中央値~1.5中央値の範囲のコモノマー含有量を有するポリマー鎖の総重量分率と
して定義される。式1に基づいて、0.5*C中央値に対応する温度T1と1.5*C
央値に対応する温度T2を求める。組成分布幅指数(CDBI)は、T1とT2との間の
重量分率(w(T))対温度(T)プロットから、
【数5】
として得ることができる。T中央値が98.0℃より高い場合、組成分布幅指数(CD
BI)は0.95と定義される。
(5)ICCDのw(T)対Tプロファイルから、最大ピーク高さ(T)におけ
る温度を、35.0℃~119.0℃の最高ピークについて各データ点を検索することに
よって得る(2つのピークの高さが同一である場合、低温ピークが選択される)。ピーク
温度の差が各ピークの半値全幅の合計の1.1倍以上である場合、インターポリマー組成
物の半値全幅は、各ピークの半値全幅の算術平均として計算される。ピーク温度の差が各
ピークの半値全幅の合計の1.1倍未満である場合、インターポリマー組成物の半値全幅
は、最高温度ピークの半値全幅として定義される。
(6)以下の式に従って温度の標準偏差(Stdev)を計算する。
【数6】
(7)コモノマー分布定数(CDC)は、以下の式から計算される。
【数7】
【0061】
従来のゲル浸透クロマトグラフィー(従来型GPC)およびMWCDI
クロマトグラフのシステムは、内蔵型IR5赤外線検出器(IR5)を備えたPol
ymerChar GPC-IR(Valencia、スペイン)高温GPCクロマトグ
ラフからなる。オートサンプラーのオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラ
ムコンパートメントを150℃に設定する。使用されるカラムは、4つのAgilent
「Mixed A」30cm、20ミクロンの線状混合床カラムである。使用されるクロ
マトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル
化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有するものである。溶媒源は窒素注入される。使用
される注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分で
ある。
【0062】
GPCカラムセットの較正は、580~8,400,000g/モルの範囲の分子量
を有する少なくとも20個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々
の分子量の間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に該標準を
配置する。標準物質はAgilent Technologiesから購入する。ポリス
チレン標準物質は、1,000,000g/モル以上の分子量においては50ミリリット
ルの溶媒中0.025グラムで、および1,000,000g/モル未満の分子量におい
ては50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準物質を80
℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解する。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、
以下の等式を使用してエチレン/α-オレフィンインターポリマー分子量に変換する(W
illiams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.
,6,621(1968)に記載されている)。
【数8】
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0063】
五次多項式を使用して、それぞれのエチレン/α-オレフィンインターポリマー等価
較正点に適合する。NIST標準NBS1475を52,000g/molの分子量で得
られるように、Aに対してわずかな調整(約0.39~0.44)を行い、カラム分解能
およびバンド広がり効果を補正する。
【0064】
GPCカラムセットの総プレートカウントは、(50ミリリットルのTCB中0.0
4gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)エイコサンを用いて行う。プレ
ートカウント(式8)および対称性(式9)を、以下の等式に従って200マイクロリッ
トルの注入で測定する。
【数9】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピ
ーク最大値はピークの最大高さであり、半分の高さはピーク最大値の1/2の高さである

【数10】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピ
ーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さ
であり、リアピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロン
トピークはピーク最大値よりも前の保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフ
ィーシステムのプレートカウントは22,000超であるべきであり、対称性は0.98
~1.22であるべきである。
【0065】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウ
ェアを用いて半自動式で調製する。これは、試料の目標重量を2mg/mlとし、Pol
ymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素注入されたセプタキャップ付き
バイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加する。160℃の「低速」振盪下
で3時間、試料を溶解させる。
【0066】
n(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、Polymer
Char GPCOne(商標)ソフトウェア、等間隔の各データ収集点i(IR)で
ベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式7からの点iの狭い標準較正曲
線から得られたエチレン/α-オレフィンインターポリマー等価分子量(g/モルで示さ
れるMポリエチレン、i)を使用して、式11a~cに従うPolymerChar G
PC-IRクロマトグラフの内蔵型IR5検出器(測定チャネル)を使用したGPCの結
果に基づく。続いて、GPC分子量分布(GPC-MWD)プロット(wtGPC(lg
MW)対lgMWプロット、ここで、wtGPC(lgMW)はlgMWの分子量を有す
るインターポリマー分子の重量分率である)を得ることができる。分子量はg/モルであ
り、wtGPC(lgMW)は式10に従う。
【数11】
【0067】
数平均分子量Mn(GPC)、重量平均分子量Mw(GPC)およびz平均分子量M
z(GPC)は、次の式のように計算することができる。
【数12】
【0068】
経時的な偏差をモニタリングするために、PolymerChar GPC-IRシ
ステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入する
。この流量マーカー(FM)を使用して、試料(RV(FM試料))内のそれぞれのデカ
ンピークのRVを、狭い標準較正(RV(FM較正))内のデカンピークのRVと整列さ
せることによって、各試料のポンプ流量(流量(公称))を線形に補正する。次いで、デ
カンマーカーピークの時間におけるあらゆる変化は、実験全体の流量(流量(有効))に
おける線形シフトに関連すると仮定する。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促
進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマト
グラムのピークを二次方程式に適合する。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真
のピーク位置を求める。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標
準較正に関して)有効流量を式12のように計算する。流量マーカーピークの処理は、P
olymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行う。許容可能な流
量補正は、有効流量が公称流量の0.5%以内であるようになされる。
【数13】
【0069】
IR5検出器比の較正は、ホモポリマー(0SCB/1000個の総C)からおよそ
50SCB/1000個の総C(式中、総C=主鎖中の炭素+分岐中の炭素)までの範囲
の既知の短鎖分岐(SCB)頻度(13C NMR法で測定される)の少なくとも8個の
エチレン/α-オレフィンインターポリマー標準物質(1個のポリエチレンホモポリマー
および7個のエチレン/オクテンコポリマー)を使用して行うことができる。各標準物質
の重量平均分子量は、GPCで測定した場合、36,000g/モル~126,000g
/モルである。各標準物質の分子量分布(Mw(GPC)/Mn(GPC))は、GPC
で測定した場合、2.0~2.5である。「IR5メチルチャネルセンサーのベースライ
ンを差し引いた領域応答」対「IR5測定チャネルセンサーのベースラインを差し引いた
領域応答」の「IR5領域比(または「IR5メチルチャネル領域/IR5測定チャネル
領域」)」(PolymerCharによって供給される標準フィルターおよびフィルタ
ーホイール:Part Number IR5_FWM01はGPC-IR機器の一部と
して含まれていた)を、「SCB」標準の各々について計算する。SCB頻度対「IR5
領域比」の直線近似は、以下の式の形態で構築する。
【数14】
式中、Aはゼロの「IR5領域比」における「SCB/1000個の総C」の切片
であり、Aは「SCB/1000個の総C」対「IR5領域比」の傾きであり、「IR
5領域比」の関数としての「SCB/1000合計C」の増加を表す。
【0070】
「IR5メチルチャネルセンサー」によって生成されたクロマトグラムについての一
連の「直線的なベースラインを差し引いたクロマトグラフィー高さ」を、カラム溶出体積
の関数として確立して、ベースライン補正クロマトグラム(メチルチャネル)を生成する
。「IR5測定チャネル」によって生成されたクロマトグラムについての一連の「直線的
なベースラインを差し引いたクロマトグラフィー高さ」を、カラム溶出体積の関数として
確立して、ベースライン補正クロマトグラム(測定チャネル)を生成する。
【0071】
「ベースライン補正クロマトグラム(メチルチャネル)」対「ベースライン補正クロ
マトグラム(測定チャネル)」の「IR5高さ比」は、試料積分境界にわたって各カラム
溶出体積インデックス(各々等間隔で離間されたインデックス、1ml/分の溶出におけ
る1秒あたり1データポイントを表す)において計算する。「IR5高さ比」に係数A1
を掛け、係数A0をこの結果に加えて、試料の予測SCB頻度を得る。以下の式14のよ
うに、結果をモルパーセントコモノマーに変換する。
モルパーセントコモノマー={SCBf/[SCBf+((1000-SCBf*コ
モノマーの長さ)/2)]}*100(式14)、
式中、「SCB」は、「1000個の総CあたりのSCB」であり、「コモノマー
の長さ」は、コモノマーの炭素数であり、例えばオクテンでは8であり、ヘキセンは6な
どである。
【0072】
Williams and Wardの方法(上記の式7)を使用して各溶出体積イ
ンデックスを分子量値(Mwi)に変換する。モルパーセントコモノマー」は、lg(M
wi)の関数としてプロットされ、傾きは、20,000のMwi~200,000g/
モルのMwiで計算される(鎖末端に対する末端基の補正はこの計算のために省略される
)。線形回帰を使用して、20,000~200,000g/モルのMwi間およびそれ
を含む傾きを計算し、ここで、濃度クロマトグラムの高さ(wtGPC(lgMW)対l
gMWプロット)は、クロマトグラムのピーク高さの少なくとも10%である。この傾き
は、分子量コモノマー分布インデックス(MWCDI)として定義される。
【0073】
ゼロせん断粘度比(ZSVR)
ゼロせん断粘度比は、以下の式従って、等価重量平均分子量(Mw(GPC))にお
ける分岐ポリエチレン材料のゼロせん断粘度(ZSV)対直鎖ポリエチレン材料のZSV
の比として定義される(下記のANTEC議事録を参照)。
【数15】
【0074】
インターポリマーの
【数16】
は、以下の方法によって190℃でのクリープ試験から得られる。Mw(GPC)値は
、上述のように、従来のGPC法(式11b)によって決定される。線状ポリエチレンの
【数17】
とそのMw(GPC)との間の相関は、一連の線状ポリエチレン参照材料に基づいて確
立される。ZSV-Mw(GPC)の関係についての説明は、ANTECの議事録:Ka
rjalaら,Detection of Low Levels of Long-c
hain Branching in Polyolefins,Annual Tec
hnical Conference-Society of Plastics En
gineers(2008),66th 887-891に見出すことができる。
【0075】
クリープ試験
インターポリマーの
【数18】
は、DHR(TA Instrument)を使用して、窒素環境で190℃の一定応
力レオメータクリープ試験から得る。試料を、互いに平行に配置された2つの直径25m
mのプレート固定具の間で流動させる。試料を、インターポリマーのペレットを約1.5
~2.0mmの厚さの円形プラークに圧縮成形することによって調製する。プラークをさ
らに直径25mmのディスクに切断し、TA Instrumentのプレート固定具の
間に挟む。TA instrumentのオーブンを、試料装填後、プレート固定具間の
間隙を1.5mmに設定する前に、5分間閉じ、オーブンを開いて試料の縁部をトリミン
グし、オーブンを再び閉じる。クリープ試験の前後に、190℃で0.1~100ラジア
ン/秒、300秒の浸漬時間、10%の歪みの対数周波数掃引を行い、試料が劣化したか
どうかを判定する。定常状態のせん断速度がニュートン領域になる十分な低さを確実にす
るために、試料の全てに20Paの一定の低せん断応力を加える。定常状態は、「lg(
J(t))対lg(t)(式中、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリ
ープ時間である)」のプロットの最後の10%の時間ウィンドウ内のデータについて線形
回帰を取ることによって決定する。線形回帰の傾きが0.97より大きい場合、定常状態
に達したと見なし、次いでクリープ試験を停止する。この試験における全ての場合におい
て、傾きは、1時間以内に基準を満たす。定常状態のせん断速度を、「ε対t(εは歪み
である)」のプロットの最後の10%の時間窓におけるデータの全ての線形回帰の傾きか
ら決定する。ゼロせん断粘度を、加えられた応力の定常状態のせん断速度に対する比から
決定する。
【0076】
H NMR法
原液(3.26g)を10mmのNMR管中の0.133gのポリマー試料に添加す
る。原液は、テトラクロロエタン-d2(TCE)およびペルクロロエチレン(50:5
0重量)と0.001MのCr3+との混合物である。管内の溶液を5分間Nでパージ
して酸素量を減少させる。蓋をした試料管を室温で一晩放置して、ポリマー試料を膨潤さ
せた。試料を110℃で周期的にボルテックスを混合しながら溶解する。試料は、不飽和
の一因となり得る添加剤、例えばエルカミドなどのスリップ剤を含まない。各H NM
R分析は、Bruker AVANCE 400MHz分光計で120℃において10m
mの凍結プローブを用いて実行する。
【0077】
不飽和度を測定するために2つの実験を実行し、1つは対照実験、もう1つは二重前
飽和実験である。対照実験では、データを1Hzの線拡大を有する指数窓関数で処理し、
ベースラインは約7~-2ppmに補正する。TCEの残留Hからの信号を100に設
定し、対照実験においてポリマー全体からの信号として約-0.5~3ppmの積分値(
合計)を使用する。ポリマー中の総炭素数NCを、式16で以下のように計算する。
NC=I合計/2(式16)
【0078】
二重前飽和実験では、データを1Hzの線拡大を有する指数窓関数で処理し、ベース
ラインを約6.6~4.5ppmに補正する。TCEの残留Hからの信号を100に設
定し、不飽和についての対応する積分(Iビニレン、Iトリ置換、Iビニル、およびI
ニリデン)を積分する。ポリエチレン不飽和を決定するためにNMR分光法を使用するこ
とは周知であり、例えば、Busico,V.,ら,Macromolecules,2
005,38,6988を参照されたい。ビニレン、三置換体、ビニル、およびビニリデ
ンの不飽和単位の数を以下のように計算する。
【数19】
総炭素数1,000あたりの不飽和単位、つまり、骨格と分岐を含む全てのポリマー
炭素は、以下のように計算する。
【数20】
TCE-d2からの残留プロトンからのH信号について化学シフト基準を6.0p
pmに設定する。制御は、ZGパルス、NS=4、DS=12、SWH=10,000H
z、AQ=1.64秒、D1=14秒で実行する。二重前飽和実験は、O1P=1.35
4ppm、O2P=0.960ppm、PL9=57db、PL21=70db、NS=
100、DS=4、SWH=10,000Hz、AQ=1.64s、D1=1s(D1は
前飽和時間)、D13=13sで実行する。
【0079】
13 C NMR法
試料は、0.025MのCr(AcAc)を含有するテトラクロロエタン-d2/
オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ3gを、Norell 1001-
7 10mmのNMR管中の0.25gのポリマー試料に添加することによって、調製す
る。窒素で管ヘッドスペースをパージすることにより、試料から酸素を除去する。次いで
、加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、管およびその内容物を150℃に加熱する
ことにより、試料を、溶解し、均質化する。各試料を目視検査して、均質性を確実にする
。分析の直前に試料を完全に混合し、加熱したNMRプローブに挿入する前に冷却させな
い。これは、試料が均質で全体を代表するものであることを確認するために必要である。
全てのデータは、Brukerクライオローブを備えるBruker 400MHz分光
計を使用して収集する。データは、6秒パルス繰り返し遅延、90度フリップ角、および
120℃の試料温度を用いた逆ゲート付きデカップリングを使用して収集する。全ての測
定は、ロックモードで非回転試料に対して行う。試料を、データ取得前に7分間熱平衡化
させる。13C NMR化学シフトは30ppmでのEEEトライアドを内部参照とする
【0080】
C13 NMRコモノマー含有量:ポリマー組成物を決定するためにNMR分光法を
使用することはよく知られている。ASTM D 5017-96、J.C.Randa
ll et al.,in「NMR and Macromolecules」 ACS
Symposium series 247;J.C.Randall,Ed.,Am
.Chem.Soc.,Washington,D.C.,1984,Ch.9;および
J.C.Randall in 「Polymer Sequence Determi
nation」,Academic Press,New York(1977)は、N
MR分光法によるポリマー分析の一般的方法を提供している。
【0081】
デニールの測定
繊維サイズを光学顕微鏡で測定する。デニール(かかる繊維の9000メートルでの
重量として定義される)を、各ポリマー成分の密度と繊維サイズに基づいて計算する。
【0082】
2%割線モジュラス(E)および降伏応力(σ
降伏応力および2%割線モジュラスを、以下のように測定する。試験片を、Hita
chi Toyo Si-90 Plastar射出成形機を使用して、ASTMD36
41に従って射出成形する。これは、直径1.1インチ(すなわち28mm)のスクリュ
ーを備え、90米トンのクランプ力を有する。温度プロファイルは、スロートからノズル
まで48℃/121℃/175℃/204℃/204℃に設定した。溶融温度は200℃
であった。射出圧力は2000バールであり、射出時間は1.43秒であった。射出速度
は40mm/秒であった。保持圧力を300バールに設定し、保持時間は25秒であった
。冷却時間は20秒であり、回復時間はPEで12.49秒、PPで9.84秒であった
。スクリュー速度は90rpmであった。
【0083】
ASTM D638試験手順に従って、射出成形されたタイプI ASTMバーに対
して、2インチ/分の引張速度および室温で引張試験を行う。降伏応力(σ)および2
%割線モジュラス(E)を、引張応力-歪み曲線から得る。2%割線モジュラスは、E=
2%歪みでの応力/2%として定義される。降伏応力は、応力-歪み曲線の0%歪み~5
0%歪みの範囲での最高応力である。5つの試験片を測定し、平均値を報告した。
【0084】
カール性
カール性は光学顕微鏡で測定する。カール性(繊維の曲率として定義)は、繊維によ
って形成される繊維によって形成された近似螺旋の半径の逆数として計算する。これは、
繊維によって形成された近似螺旋をそれに垂直な表面に投影することによって形成される
円の半径に等しくなる。少なくとも5つ試料の平均値を報告する。
実施例
使用材料
・ASPUN(商標)6835は、Dow Chemical Company製の
単峰性(すなわち、ICCD溶出で1つのピークのみを示すユニモーダルまたはモノモー
ダル)のエチレン/オクテン共重合体である。
・ASPUN(商標)6000は、Dow Chemical Company製の
エチレン/オクテン共重合体である。
・試料1は、二峰性のエチレン/α-オレフィン共重合体であり、以下のように合成
する。
・試料2は、二峰性のエチレン/α-オレフィン共重合体であり、以下のように合成
する。
・Exxon 3854ポリプロピレンは、Exxon Mobil製である。
これらの試料の降伏応力および2%割線モジュラスを表1にまとめている。
【表1】
【0085】
実施例1―エチレン/αオレフィンインターポリマー組成物の合成とその特性
反応環境に導入する前に、全原料(エチレンモノマー、1-オクテンコモノマー)お
よびプロセス溶媒(ExxonMobil ChemicalからIsopar E(商
品名)で市販されている狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒)を分子篩で精製する
。水素は、高純度グレードとして加圧して供給し、それ以上精製しない。反応器エチレン
供給流を、機械的圧縮機を介して反応圧力より高い圧力まで加圧する。溶媒およびコモノ
マーの供給物を、ポンプを介して反応圧力より高い圧力まで加圧する。個々の触媒成分を
、精製された溶媒を用いて手動で好適な成分濃度までバッチ希釈し、反応圧力より高い圧
力まで加圧する。全ての反応供給流を質量流量計で測定し、コンピュータ自動弁制御シス
テムで独立して制御する。
【0086】
2つの反応器システムを直列構成で使用する。各連続溶液重合反応器は、熱を除去す
る連続撹拌タンク反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ル
ープ反応器からなる。全ての新鮮な溶媒、エチレン、水素および触媒成分供給物の独立し
た制御が可能である。各反応器(溶媒、エチレン、1-オクテン、および水素)への全新
鮮供給流は、供給流を熱交換器に通過させることによって単一溶液相を維持するように温
度制御する。各重合反応器への未使用の全供給物を、各注入位置間でほぼ等しい反応器体
積で、2つの位置で反応器に注入する。新鮮供給物を、各注入器が全新鮮供給物質量流量
の半分を受け取るように制御する。触媒成分を、特別に設計された注入ストリンガーを通
って重合反応器に注入する。主要な触媒成分供給物(プレ触媒)は、特定の目標で各反応
器のエチレン転化を維持するためにコンピュータ制御する。助触媒成分は、計算され指定
された、主触媒(プレ触媒)成分に対するモル比に基づいて供給する。各々の反応器供給
注入場所の直後に、供給流を循環重合反応器の内容物と静的混合要素を用いて混合する。
各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特
定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各
反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供する。
【0087】
二重直列反応器構成では、第1の重合反応器からの(溶媒、エチレン、1-オクテン
、水素、触媒成分、およびポリマーを含有する)流出物を、第1の反応器ループを出て、
第2の反応器ループに添加する。
【0088】
第2の反応器流出物は、それが水の添加および水との反応により不活性化される区域
に入る。触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポ
リマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物をペレット化
して収集する。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの大部分を分離するさ
まざまな機器を通過する。溶媒および未反応1-オクテンの大部分を、精製システムを通
過した後に反応器に再循環させる。少量の溶媒および1-オクテンを、プロセスからパー
ジする。
【0089】
実施例を生成するために、表2の値に対応する反応器流供給データフローを使用する
。データは、溶媒再循環システムの複雑さが考慮され、反応システムが貫流フローダイア
グラムとしてより簡単に処理できるように表示される。使用した触媒成分を表3に示す。
作製された各ポリマーを、上記の方法に従ってさまざまな特性について試験した。結
果を表4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0090】
実施例2-紡糸および延伸された偏心繊維
Exxon3854PPコアおよびシースとしてエチレンコポリマーのうちの1つを
用いて、高度に偏心したコアシース構成を有する二成分繊維を作製した。繊維を、以下の
条件に従ってヒルズラインで紡糸した。押出機のプロファイルを、240℃の溶融温度を
達成するように調整する。スループット率は、0.6ghm(グラム/穴/分)である。
Hillsの二成分ダイを、重量比40/60 コア/シースで動作させ、1つの押出機
でExxon 3854 PPを使用し、別の押出機でエチレンコポリマーを使用する。
ダイ構成は、0.6mmの穴の直径、および4/1の長さ/直径(L/D)を有し、14
4個の穴で構成される。急冷空気の温度と流量を、23℃および520cfm(立方フィ
ート/分)に設定する。急冷区域の後、空気流でスロットユニット内のフィラメントを空
気的に引き込むことにより144のフィラメントに延伸張力を適用する。空気流の速度を
、スロットアスピレータの圧力によって制御し、スロットアスピレータの圧力を20ps
iに設定する。
【0091】
得られた繊維を、インストロン引張機を使用して室温で100%/分の延伸速度で5
0%の伸びまで延伸した。次に、延伸した繊維をインストロンから取り外し、曲率を測定
する前に弛緩した。結果を表5に示す。
【表5】
【0092】
実施例3-ステープル繊維として使用する紡糸延伸同心繊維
ポリプロピレンコアおよびシース(同心のコア-シース形状を有する)を有するよう
に二成分繊維を作製した。シースの材料は、ASPUN(商標)6835、または試料1
、試料2であった。Hillsの二成分連続フィラメント繊維スピニングラインで、0.
5ghm(グラム/穴/分)のスループット率で繊維を紡糸する。Hillsの二成分ダ
イを、重量比40/60 コア/シースで動作し、1つの押出機でExxon 3854
PPを使用し、別の押出機でエチレン/α-オレフィンインターコポリマーを使用する
。使用した穴の直径は0.5mmであって、長さ/直径 L/Dは4/1であった。急冷
空気の温度と流量を、25℃および520cfm(立方フィート/分)に設定する。押出
機のプロファイルを、240℃の溶融温度を達成するように調整する。急冷区域の後、1
44本の繊維をデニールロールによって収集し、次に、2つの延伸ロールに案内する。2
つの延伸ロールは異なる速度で回転しており、繊維をそれらの間で延伸する。繊維の延伸
後、ボビンに巻き付ける。その後、顕微鏡下でカール性を調べる前に、繊維をボビンから
外した。繊維紡糸条件を表6に示す。曲率の結果を表7に示す。
【表6】
【表7】

図1
【外国語明細書】