(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160237
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】癌および転移を処置するための低エネルギーの免疫刺激
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20241106BHJP
A61N 7/02 20060101ALI20241106BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20241106BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20241106BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20241106BHJP
A61N 5/00 20060101ALI20241106BHJP
A61B 8/08 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61N7/00
A61N7/02
A61B18/18 100
A61B18/12
A61B17/00 700
A61N5/00
A61B8/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114274
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2020544365の分割
【原出願日】2018-11-09
(31)【優先権主張番号】62/584,064
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/596,715
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
2.VISUAL BASIC
(71)【出願人】
【識別番号】512201731
【氏名又は名称】モンテフィオーレ メディカル センター
【氏名又は名称原語表記】MONTEFIORE MEDICAL CENTER
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グハ,チャンダン
(72)【発明者】
【氏名】バリー,ステファン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低エネルギーの免疫刺激を使用して、癌および転移を処置するためのシステム、デバイス、および方法が開示される。
【解決手段】低エネルギーの免疫刺激は免疫刺激エネルギーを施すことを含む。低エネルギーの免疫刺激は補助療法と組み合わせられ得る。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響刺激治療システムであって、前記システムは:
プロセッサーと;
前記プロセッサーにつながれた1つ以上の超音波トランスデューサーであって、前記超音波トランスデューサーは、1つ以上の超音波ビームの周波数波形が、10~900W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)および少なくとも0.5cm3のビーム量を有するように、1つ以上の超音波ビームを生成するように構成される、1つ以上の超音波トランスデューサーと;
前記プロセッサーにつながれたプローブであって、前記プローブは患者をモニタリングするように構成される、プローブと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサーおよび前記超音波トランスデューサーは、毎秒少なくとも約0.5cm3の速度で組織を体積に関して走査するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
全組織体積の走査の速度は、毎秒約0.5cm3~約50cm3の範囲内である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
組織全体の体積が走査される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
全組織体積は少なくとも約2cm3である、請求項2~4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
全組織体積は約0.5cm3~約1000cm3の範囲内である、請求項2~5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
全組織体積は、約1cm3~約500cm3の範囲内である、請求項2~6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
全組織体積は、約1cm3~約250cm3の範囲内である、請求項2~7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
強度は、約20W/cm2~約500W/cm2の範囲内である、請求項2~8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサーは、複数の位置を重複させるための命令で構成される、請求項1~9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサーは、超音波トランスデューサーが超音波ビームを送信している間に、第1の体積測定領域に対応する第1の位置から第2の体積測定領域に対応する第2の位置に超音波トランスデューサーを移動させるための命令で構成される、請求項1~10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の超音波トランスデューサーにつながれたリンケージであって、前記プロセッサーは前記リンケージにつながれ、かつ前記1つ以上の超音波トランスデューサーを複数の位置に移動させるための命令で構成される、請求項2~11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
前記リンケージは、複数のジョイントを含むロボットアームを備え、前記複数のジョイントの各々は、ジョイントの角度を制御するためにアクチュエーターにつながれ、および、前記プロセッサーは、複数の位置に超音波ビームを向けるために、前記複数のジョイントの複数の角度を決定するための命令で構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ロボットアームは複数の指を備え、前記複数の指の各々は、その上に取り付けられたトランスデューサーにつながれ、前記複数の指の各々は、標的位置に超音波ビームを向けるために、前記指の上に取り付けられた前記トランスデューサーからの超音波ビームの前記トランスデューサーの角度を制御するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサーは、複数の位置の各々で前記超音波トランスデューサーを患者の皮膚の表面と位置合わせするために、前記複数の位置の各々で前記超音波トランスデューサーの配向を制御するように構成される、請求項2~14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサーは、複数の位置の各々で前記超音波トランスデューサーを患者の皮膚の表面と位置合わせするために、前記複数の位置の各々で前記超音波トランスデューサーの配向を制御するように構成され、随意に、ここで、前記複数の位置の各々は、6自由度で前記超音波トランスデューサーを配置するために、三次元の位置および三次元の配向に対応する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
超音波処置と組み合わせられる補助療法をユーザーが指定するためのユーザー入力であって、ここで、前記プロセッサーは、組織への超音波ビームの処置時間を記録し、前記補助療法のための時間を出力するための命令で構成され、随意に、前記補助療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)、マイクロ波療法、低密度焦点式超音波(LOFU)、および高密度焦点式超音波(HIFU)からなる群から選択され、ならびに、随意に、出力時間は前記補助療法のための時間枠を含む、請求項1~16のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサーは、ユーザーにユーザーインタフェースを提供するための命令で構成され、前記ユーザーインタフェースは、患者の腫瘍の画像および入力処置の位置を含む、請求項1~17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサーは、全組織体積の組織エラストグラフィを実施するように構成される、請求項1~18のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサーは、拡散パラメーターを入力として受け取るように構成される、請求項1~19のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項21】
前記プローブはイメージングプローブである、請求項1~20のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項22】
前記プローブは温度計である、請求項1~20のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項23】
前記プローブは熱電対である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プローブは光ファイバー温度プローブである、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサーは温度読み出し値を出すように構成される、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記プロセッサーは温度警報を発するように構成される、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項27】
前記プローブは、超音波を測定する別個のトランスデューサーを含む、請求項1~26のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項28】
前記プローブは、エラストグラフィを使用して組織に対する処置効果をモニタリングする、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
冷却システムをさらに含む、請求項1~28のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項30】
前記補助療法は放射線療法である、請求項17~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項31】
前記放射線療法は補助的切除型である、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記補助療法はIREである、請求項17~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項33】
IREは約30秒~約180秒の期間にわたって施される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記補助療法はマイクロ波療法である、請求項17~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項35】
前記マイクロ波療法は、約1秒~約60秒の期間にわたって施され、パワーは約1W~約10Wである、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記補助療法はLOFUである、請求項17~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項37】
LOFUは、約1~1,000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)を有する、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記LOFUは約3W~32Wの音響パワーを有する、請求項36または37に記載のシステム。
【請求項39】
前記LOFUは約0.5秒~約5秒の期間にわたって施される、請求項36~38のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項40】
前記補助療法はHIFUである、請求項17~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項41】
前記HIFUは約1,000~2,000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)を有する、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記HIFUは、約1W~20Wの音響パワーを有する、請求項40または41に記載のシステム。
【請求項43】
前記HIFUは約1秒~約10秒の期間にわたって施される、請求項40~42のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項44】
前記補助療法は化学療法である、請求項17~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項45】
前記化学療法は化学療法剤を投与することを含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記化学療法剤は、プロテアソーム阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、オートファジー阻害剤、mTOT阻害剤、PPARγアゴニスト、Cox-2阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤、ERストレス誘導物質、CHOPモジュレーター、ヌクレオシドアナログ、eIF2αホスファターゼ阻害剤、タンパク質リガンド、あるいはHSP90阻害剤である、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記化学療法剤は、ボルテゾミブ、3-メチルアデニン、ポリフェノール(緑茶)エピガロカテキンガレート、ゲニステイン、クルクミン、レスベラトロール、15,16-ジヒドロタンジン I(タンシェンルート)、クロロキン、ラパマイシン、テムシロリムス、4-O-カルボキシメチルアスコクロリン、セレコキシブ、ベラパミル、リトナビル、3-チア脂肪酸、テトラデシルチオ酢酸、ネルフィナビル、シスプラチン、ゲムシタビン、サルブリナール、シクロヘキシミド、TRAIL、4-フェニル酪酸、ゲルダナマイシン、17-アリアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン(17AAG)、17-ジメチルアミノ-エチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17DMAG)、あるいはバキュオリンである、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記化学療法剤はHSP90阻害剤である、請求項45に記載のシステム。
【請求項49】
前記化学療法剤は、17-アリアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン(17AAG)である、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記補助療法は免疫療法である、請求項1~29のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項51】
前記免疫療法は、樹状細胞標的療法、エフェクターT細胞標的、免疫チェックポイント阻害からなる群から選択される、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記樹状細胞標的療法は、Flt3L、CD40L、GM-CSF、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR、TLRリガンド、INF-α、およびTNF-βからなる群から選択される、樹状細胞標的療法の免疫療法剤を含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記エフェクターT細胞標的は、抗OX40、4-1BBL、抗foxp40、TGF-β阻害剤、抗CD137、T細胞活性化のための人工の免疫シナプス、抗CD47、抗CD27、および抗GD2からなる群から選択されるT細胞標的の免疫療法剤を含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記免疫チェックポイント阻害は、抗CTL4、抗PD1、抗VISTA、tim3、IDO阻害剤、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX-2阻害剤、1-メチルトリプトファン、エパカドスタット、およびナボキシモドからなる群から選択される免疫チェックポイントの免疫療法剤を含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項55】
患者を処置する方法であって、前記方法は:
不可逆的エレクトロポレーション(IRE)、マイクロ波、低密度焦点式超音波(LOFU)、高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波エネルギー、および寒冷療法からなる群から選択される、免疫刺激エネルギーを施す工程と;
樹状細胞標的療法、エフェクターT細胞標的、免疫チェックポイント阻害からなる群から選択される免疫療法を施す工程と、
を含む、方法。
【請求項56】
前記樹状細胞標的療法は、Flt3L、CD40L、GM-CSF、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR、TLRリガンド、INF-α、およびTNF-βからなる群から選択される樹状細胞標的療法の免疫療法剤を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記エフェクターT細胞標的は、抗OX40、4-1BBL、抗foxp40 TGF-β阻害剤、抗CD137、T細胞活性化のための人工の免疫シナプス、抗CD47、抗CD27、および抗GD2からなる群から選択されるT細胞標的の免疫療法剤を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記免疫チェックポイント阻害は、抗CTL4、抗PD1、抗VISTA、tim3、IDO阻害剤、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX-2阻害剤、1-メチルトリプトファン、エパカドスタット、およびナボキシモドからなる群から選択される免疫チェックポイントの免疫療法剤を含む、請求項55に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2017年11月9日出願の米国仮特許出願第62/584,064号、および2017年12月8日出願の米国仮特許出願第62/596,715号の利益を主張するものであり、参照によって本明細書に組み込まれる。本出願の主題はPCT/US2016/035440に関するものであり、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
<政府の支援についての声明>
本発明は、生物工学研究所(NIBIB)よって与えられたRO1EB009040の下で政府の支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
癌は、遺伝的に変異した細胞が制御不能に増殖し、栄養素を排出し、および、健康な組織の機能を破壊する疾患である。手術、化学療法、および放射線などの従来の癌処置は、癌細胞とそれが存在する腫瘍を根絶することができるが、癌を十分に抑制するのに役立たない場合がある。癌細胞を探し出して、排除する免疫系の細胞を関わらせる免疫療法の使用が提案されてきたが、このアプローチは、少なくともいくつかの例では、理想的とは言えない結果をもたらし得る。例えば、腫瘍は、免疫療法を回避することができる特権部位である、微小環境を生成することがある。さらに、癌細胞による抗原の提示は、少なくともいくつかの点で理想的とは言えない場合がある。
【0004】
超音波は癌の処置のために他の治療と組み合わせて提案されてきたが、先の超音波の方法および装置は少なくともいくつかの点で理想とは言えない場合がある。例えば、高密度焦点式超音波は、腫瘍を処置するのに理想より時間がかかる可能性があり、および、凝固壊死と呼ばれるプロセスによって腫瘍微小環境を瞬間的に破壊し、それにより、腫瘍における免疫細胞浸潤を防ぎ、腫瘍関連抗原(TAA)を取り込んで提示する。したがって、癌を処置するための他のタイプの補助的切除型(sub-ablative)エネルギーを使用することができれば有用である。
【0005】
上記に照らして、癌を処置する改善された方法および装置が必要である。理想的には、方法および装置は、患者の免疫系が癌を処置するためのインサイチュワクチン(in situ vaccine)を生成する、癌に対する免疫応答を生成する。方法および装置は、他の治療と組み合わせた場合に免疫原性応答を生成するように、補助的切除量(sub-ablative dose)のエネルギーを用いて癌を処置するように構成することができる。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態において、音響刺激治療システムが本明細書に開示され、上記システムは:プロセッサーと;上記プロセッサーにつながれた1つ以上の超音波トランスデューサーであって、上記超音波トランスデューサーは、上記1つ以上の超音波ビームの周波数波形が、10~900W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)および少なくとも0.5cm3のビーム体積を有するように、1つ以上の超音波ビームを生成するように構成される、1つ以上の超音波トランスデューサーと;上記プロセッサーにつながれたプローブであって、上記プローブは患者をモニタリングするように構成される、プローブと、を備える。いくつかの実施形態において、プロセッサーおよび超音波トランスデューサーは、毎秒少なくとも約0.5cm3の速度で組織を体積に関して走査するように構成される。いくつかの実施形態において、走査速度は、走査される組織の総体積にして、毎秒約0.5cm3~約50cm3の範囲内である。いくつかの実施形態において、組織全体の体積が走査された。いくつかの実施形態において、組織の総体積は少なくとも約2cm3である。いくつかの実施形態において、組織の総体積は約0.5cm3~約1000cm3の範囲内である。いくつかの実施形態において、組織の総体積は、約1cm3~約500cm3の範囲内である。いくつかの実施形態において、組織の総体積が、約1cm3~約250cm3の範囲内である。いくつかの実施形態では、強度は、約20W/cm2~約500W/cm2の範囲内である。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、複数の位置を重複させるための命令で構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、超音波トランスデューサーが超音波ビームを送信している間に、第1の体積領域(volumetric region)に対応する第1の位置から第2の体積領域に対応する第2の位置に超音波トランスデューサーを移動させるための命令で構成される。いくつかの実施形態において、システムは、1つ以上の超音波トランスデューサーにつながれたリンケージをさらに含み、上記プロセッサーは上記リンケージにつながれ、かつ1つ以上の超音波トランスデューサーを複数の位置に移動させるための命令で構成される。いくつかの実施形態において、リンケージは、複数のジョイントを含むロボットアームを備え、上記複数のジョイント各々は、ジョイントの角度を制御するためにアクチュエーターにつながれ、および、上記プロセッサーは、複数の位置に超音波ビームを向けるために、複数のジョイントの複数の角度を決定するための命令で構成される。いくつかの実施形態において、ロボットアームは、複数の指を備え、複数の指の各々は、その上に取り付けられたトランスデューサーにつながれ、複数の指の各々は、標的位置に超音波ビームを向けるために、上記指上に取り付けられたトランスデューサーからの超音波ビームのトランスデューサーの角度を制御するように構成される。いくつかの実施形態において、上記プロセッサーは、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーを患者の皮膚の表面と位置合わせするために、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーの配向を制御するように構成される。いくつかの実施形態において、上記プロセッサーは、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーを患者の皮膚の表面と位置合わせするために、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーの配向を制御するように構成され、任意に、ここで、複数の位置の各々は、6自由度でトランスデューサーを配置するために三次元の位置および三次元の配向に対応する。いくつかの実施形態において、システムは、超音波処置と組み合わせられる補助療法をユーザーが指定するためのユーザー入力さらに含み、ここで、上記プロセッサーは、組織への超音波ビームの処置時間を記録し、補助療法のための時間を出力するための命令で構成され、随意に、補助療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)、マイクロ波療法、低密度焦点式超音波(LOFU)、および高密度焦点式超音波(HIFU)からなる群から選択され、ならびに、随意に、出力時間は補助療法のための時間枠を含む。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、ユーザーにユーザーインタフェースを提供するための命令で構成され、上記ユーザーインタフェースは、患者の腫瘍の画像および入力処置の位置を含む。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、全組織体積の組織エラストグラフィ(tissue elastography)を実施するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、拡散パラメーターを入力として受け取るように構成される。いくつかの実施形態において、プローブはイメージングプローブである。いくつかの実施形態において、プローブは温度計である。いくつかの実施形態において、プローブは熱電対である。いくつかの実施形態において、プローブは光ファイバー温度プローブである。いくつかの実施形態において、プロセッサーは温度読み出し値を出すように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサーは温度警報を発するように構成される。いくつかの実施形態において、プローブは、超音波を測定する別個のトランスデューサーを含む。いくつかの実施形態において、プローブは、エラストグラフィを使用して組織に対する処置効果をモニタリングする。いくつかの実施形態において、システムは冷却システムをさらに備える。いくつかの実施形態において、補助療法は放射線療法である。いくつかの実施形態において、放射線治療は補助的切除型(sub-ablative)である。いくつかの実施形態において、補助療法はIREである。いくつかの実施形態において、IREは約30秒~約180秒の期間にわたって施される。いくつかの実施形態において、補助療法はマイクロ波療法である。いくつかの実施形態において、マイクロ波療法は、約1秒~約60秒の期間にわたって施され、パワーは約1W~約10Wである。いくつかの実施形態において、補助療法はLOFUである。いくつかの実施形態において、LOFUは、約1~1,000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)を有する。いくつかの実施形態において、LOFUは約3W~32Wの音響パワーを有する。いくつかの実施形態において、LOFUは約0.5秒~約5秒の期間にわたって施される。いくつかの実施形態において、補助療法はHIFUである。いくつかの実施形態において、HIFUは約1,000~2,000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)を有する。いくつかの実施形態において、HIFUは、約1W~20Wの音響パワーを有する。いくつかの実施形態において、HIFUは約1秒~約10秒の期間にわたって施される。いくつかの実施形態において、補助療法は化学療法である。いくつかの実施形態において、化学療法は化学療法剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、プロテアソーム阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、オートファジー阻害剤、mTOT阻害剤、PPARγアゴニスト、Cox-2阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤、ERストレス誘導物質、CHOPモジュレーター、ヌクレオシドアナログ、eIF2αホスファターゼ阻害剤、タンパク質リガンド、あるいはHSP90阻害剤である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、ボルテゾミブ、3-メチルアデニン、ポリフェノール(緑茶)エピガロカテキンガレート、ゲニステイン、クルクミン、レスベラトロール、15,16-ジヒドロタンジン I(タンシェンルート(Tanshen root))、クロロキン、ラパマイシン、テムシロリムス、4-O-カルボキシメチルアスコクロリン、セレコキシブ、ベラパミル、リトナビル、3-チア脂肪酸、テトラデシルチオ酢酸、ネルフィナビル、シスプラチン、ゲムシタビン、サルブリナール、シクロヘキシミド、TRAIL、4-フェニル酪酸、ゲルダナマイシン、17-アリアミノ(allyamino)-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン(17AAG)、17-ジメチルアミノ-エチルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17DMAG)、あるいはバキュオリン(vacuolin)である。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、HSP90阻害剤である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は17-アリアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン(17AAG)である。いくつかの実施形態において、補助療法は免疫療法である。いくつかの実施形態において、免疫療法は、樹状細胞標的療法、エフェクターT細胞標的、免疫チェックポイント阻害からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、樹状細胞標的療法は、Flt3L、CD40L、GM-CSF、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR、TLRリガンド、INF-α、およびTNF-βからなる群から選択される樹状細胞標的療法の免疫療法剤を含む。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞標的は、抗OX40、4-1BBL、抗foxp40 TGF-β阻害剤、抗CD137、T細胞活性化のための人工の免疫シナプス、抗CD47、抗CD27、および抗GD2からなる群から選択されるT細胞標的の免疫療法剤を含む。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害は、抗CTL4、抗PD1、抗VISTA、tim3、IDO阻害剤、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX-2阻害剤、1-メチルトリプトファン、エパカドスタット(Epacadostat)、およびナボキシモド(navoximod)からなる群から選択される免疫チェックポイントの免疫療法剤を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、患者を処置する方法が本明細書に開示され、上記方法は:不可逆的エレクトロポレーション(IRE)、マイクロ波、低密度焦点式超音波(LOFU)、高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波エネルギー、および寒冷療法からなる群から選択される、免疫刺激エネルギーを施す工程と;樹状細胞標的療法、エフェクターT細胞標的、免疫チェックポイント阻害からなる群から選択される免疫療法を施す工程と、を含む。いくつかの実施形態において、樹状細胞標的療法は、Flt3L、CD40L、GM-CSF、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR、TLRリガンド、INF-α、およびTNF-βからなる群から選択される樹状細胞標的療法の免疫療法剤を含む。いくつかの実施形態において、エフェクターT細胞標的は、抗OX40、4-1BBL、抗foxp40 TGF-β阻害剤、抗CD137、T細胞活性化のための人工の免疫シナプス、抗CD47、抗CD27、および抗GD2からなる群から選択されるT細胞標的の免疫療法剤を含む。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害は、抗CTL4、抗PD1、抗VISTA、tim3、IDO阻害剤、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX-2阻害剤、1-メチルトリプトファン、エパカドスタット、およびナボキシモドからなる群から選択される免疫チェックポイントの免疫療法剤を含む。
【0008】
<引用による組み込み>
本明細書で言及される出願公開、特許、および特許出願は全て、あたかも個々の出願公開、特許、あるいは特許出願がそれぞれ参照により組み込まれるように具体的かつ個々に指示されるように同じ程度にまで、参照により本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【
図1】メラノーマ腫瘍は、CD4+T細胞のサイトカイン産出を抑制する。A-B:3x10
5 B16-F1メラノーマ細胞をC57Bl/6マウスの腰部の側腹部に投与した。腫瘍を7-8mm
3のサイズまで成長させた。CD4+T細胞を腫瘍DLNと遠位の反対側のNDLNから単離し、抗CD3および抗CD28の抗体で刺激した。IL-2およびIFNγをELISAによって測定した。腫瘍のないマウスからのCD4+T細胞を対照として用いた。C-D:OTIIマウスに、記載されているように3x10
5 B16-Fl-OVAメラノーマ細胞を投与した。T細胞をOVA323-339ペプチド負荷脾細胞で刺激し、IL-2およびIFNγの産生をELISAによって測定した。E-F:上に記載されているように、B16-F1細胞を用いてTyrp1マウス中で腫瘍を誘発した。単離したCD4+T細胞を抗CD3および抗CD28の抗体で刺激し、IL-2ならびにIFNγの産生をELISAによって測定した。グラフは、4(A-B)あるいは3(C-F)の独立した実験からの平均+SEMを示す。結果は各実験につき3-5匹のマウスからの平均+SEMとして示される。チューキーの検定(Tukey post-test)(
***P<0.01;
**P<0.01;
*P<0.05)を用いたANOVAを使用してデータを分析した。
【
図2】LOFUを用いるメラノーマ腫瘍の処置は、腫瘍誘発性のCD4+T細胞寛容を克服する。A-B:皮下注射によってC57Bl/6マウスにおいて腫瘍を誘発した。腰部の側腹部に3x10
5 B16-F1メラノーマ細胞を注射した。腫瘍を未処置のままにするか、あるいはLOFUで処置した。FUS処置の36時間後に、CD4+T細胞を腫瘍DLNあるいはNDLNから単離し、抗CD3および抗CD28の抗体で刺激した。IL-2およびIFNγの産生をELISAによって評価した。結果(総サイトカイン産生、および各群中のNDLNおよびDLNからのT細胞によって産生されたサイトカインレベルの比率)を、1つの条件当たり3つの異なるマウスからの平均+SEMとして表示する。処置していないマウスあるいは処置されたマウス中のDLN T細胞のサイトカイン産生間の差を両側検定(
*P<0.05)を使用して分析した。C:マウスに3x10
5 B16メラノーマ細胞を投与して腫瘍を誘発した。腫瘍の発生後、担癌マウスと腫瘍のない対照マウスのDLNおよびNDLNから単離したCD4+T細胞から、総RNAサンプルを抽出した。アネルギーに関連する遺伝子の発現を、定量的RT-PCRによって測定した。結果は、腫瘍がないマウスから単離されたT細胞と比較して、担癌マウス中のDLNまたはNDLNの常在性T細胞における遺伝子発現の誘発倍率(fold induction)として示される。データは、3つの独立した実験からの平均+SEMを表す。D:Tyrp1マウスにおいてB16-F1メラノーマ腫瘍を誘発し、その後、未処置のままにするか、あるいはLOFUで処置した。様々なアネルギーに関連する遺伝子の発現を、DLNおよびNDLNから単離されたCD4+T細胞においてRT-PCRによって測定した。アネルギーに関連する遺伝子の発現は、腫瘍がないTyrp1マウスからのT細胞中で得られた値を上回る誘発倍率(5つの独立した実験からの平均+SEM)として表される。
【
図3】LOFUで処置されたB16-F1メラノーマ腫瘍からの溶解産物は、アネルギーT細胞の反応性低下状態を覆すことができる。A:ナイーブCD4+T細胞をTyrp1マウスの脾臓およびリンパ節から単離し、TH1細胞に分化した。その後、細胞を未処置のままにするか、あるいは抗CD3のみで16時間処置することで、アネルギーを誘発した。その後、細胞をIL-2が厳密には存在しない状態で72時間静止させ、抗CD3および抗CD28の抗体で再度刺激した。IL-2レベルをELISAによって測定した。結果は2つの独立した実験からの平均+SEMとして示される。B:CD11c+樹状細胞を腫瘍がないTyrp1マウスの脾臓から単離した。(A)に記載されるTyrp1マウス由来CD4+T細胞から生成されたアネルギーTH1細胞を、未処置の、あるいはLOFUで処置されたB16-F1メラノーマ腫瘍に由来する樹状細胞および腫瘍溶解産物で共培養した。24時間後に上清を集め、ELISAによってIL-2について分析した。結果は、各実験で使用される腫瘍溶解産物の3つの独立したセットを用いた2つの独立した実験からの平均+SEMとして示される。チューキーの検定(
**P<0.01)を用いる分散分析を使用してデータを分析した。
【
図4】FUS処置は、Hsp70の発現ならびに細胞分布の変化、およびB16-F1メラノーマ細胞のカルレティキュリンの変化を引き起こす。A:未処置の、およびLOFUで処置されたB16-F1メラノーマを有するマウスからの総DLN常在細胞を単離させ、CD11cについて免疫染色することで、樹状細胞をゲートした。その後、B7.1、B7.2、およびMHCIIの表面発現をフローサイトメトリーによって評価した。適切なアイソタイプ対照を各一次抗体に使用した。代表的なヒストグラムを示す。B:未処置の、あるいはLOFUで処置されたマウスから得られたB16腫瘍細胞懸濁液の代表的なFACSドットプロットを、生存度マーカー(生/死 Mk)で染色した。死細胞の相対的な定量化を報告する。ボックスと矢印は死細胞(生/死 MK+)を示す。C:未処置のマウス、あるいはLOFUで処置されたマウスから単離されたB16-F1腫瘍組織の蛍光免疫染色。組織切片を抗体で染色して、カルレティキュリンあるいはHsp70およびTRP1を検出した。核をDAPIで染色した。拡大率60倍。D:LOFUで処置されたマウスおよび未処置のマウスの腫瘍からの細胞を、CD45について、およびTRP1の発現について染色した。その後、CD45-TRP1+B16細胞をHsp70の発現について分析した。代表的なヒストグラムを示す。ゲートおよび矢印は、分析のために選択された集団を示す。
【
図5】メラノーマ腫瘍のFUS処置は、CD4+T細胞の樹状細胞媒介性刺激を増強する。A:CD11c+脾臓樹状細胞をC57Bl/6マウスから精製し、OT-IIマウスから単離されたレスポンダーナイーブCD4+T細胞で共培養した。B16-F1-OVAメラノーマ腫瘍溶解産物を、未処置の、あるいは、LOFUで処置された担癌マウスから調製し、それぞれの培養物に添加することで樹状細胞媒介性T細胞刺激を駆り立てた。別個のサンプルでは、外因性のOVA
323-339ペプチドも腫瘍溶解産物と共に加えた。上清を24時間後に集めて、IL-2産生をELISAによって評価した。結果は4つの独立した実験からの平均+SEMとして示され、一元配置分散分析(one-way ANOVA)と、その後のチューキーの検定で分析した(
*P<0.05
;***P<0.001;n.s、有意でない)。B:B16-F1メラノーマ腫瘍を未処置のままにするか、あるいはLOFUで処置した。腫瘍DLNを単離し、T細胞を枯渇させた。その後、DLN細胞をナイーブTyrp1 CD4+T細胞で共培養し、インビトロの培養物から得られたB16メラノーマ腫瘍溶解産物で刺激した。上清を24時間後に集め、ELISAによってIL-2レベルについて分析した。データは3つの独立した実験からの平均+SEMとして示される。未処置のマウスあるいはLOFUで処置されたマウスからのDLN細胞を使用する培養物中でのサイトカイン産生間の差を、両側t検定(*P<0.05)を使用して分析した。
【
図6】LOFUは、ヒト肝細胞癌細胞株中の構成的STAT3活性化を阻害する。3つのヒトHCC細胞株、HepG2、Hep3B、およびHuh7が、STAT3の構成的活性化を有することが分かり、LOFUは、3つのHCC細胞株すべてにおいてSTAT3活性化を有意に阻害した(A)。これらの3つの細胞株中のLOFUに対する応答は、異なるパターンを示し、Hep3Bは早くも15分で応答し、HepG2およびHuh7は1時間で応答した。この結果は、STAT3非活性化に対するLOFUの効果をさらに証明し、前立腺癌に加えてHCCにおいてLOFUを使用するための証拠を提供した。LOFUが多くの癌細胞の放射線抵抗性の原因であるSTAT3活性をダウンレギュレートすることが示されたため、LOFUは癌の放射線治療のための放射線増感剤として役立つ可能性がある。癌細胞を、初めにLOFUで処置し、1時間後に放射線(5Gy)に曝した。細胞を96時間インキュベートし、細胞の合計数をトリパンブルーによって計数した。さらに、クローン形成法(clonogenic assay)を実施し、処置の10日後にコロニーの数を計数した。LOFUおよび放射線のみと比較して、LOFUと放射線の組み合わせは、細胞(B)およびコロニー(D)の数を減少させた。加えて、STAT3阻害剤であるWP1066をLOFU処置前に加えることで、細胞死(C)の誘発に対して優れた効果が得られた。LOFUおよびWP1066は細胞増殖に対して同様の効果を示し、それは両方の薬剤によるSTAT3阻害における結果と一致していた。
【
図7】FUSとその後の少分割IGRTは、T細胞媒介性の長期の原発腫瘍対照および遠位の転移の減少をもたらした。A:50mm
3の皮下背側右後肢腫瘍(subcutaneous dorsal right hind limb tumors)を有するC57Bl/6マウスを、4つの処置:群未処理、LOFU、少分割IGRT、あるいはLOGU+IGRTの1つに分離し、62日間、または原発性腫瘍が300mm
3を超えて成長するまで、腫瘍増殖をモニタリングした。グラフは、2つの代表的な実験(1つの群当たり3~5匹のマウス)の1つからの腫瘍体積の平均±SEMを示す。データは、一元配置分散分析とその後のボンフェローニ補正検定(29日目より前)、あるいは両側ステューデントt検定(29日目より後)により分析された。未処置のマウスあるいはLOFUで処置されたマウスと、IGRTあるいはLOFU+IGRTとの間の有意差(<0.05をPとして定義される)は、25日目以降に生じ、IGRTで処置されたマウスとLOFU+IGRTで処置されたマウスとの間の有意差は35日目以降に生じた。特定の日の腫瘍サイズの分布を示す個々のグラフもBに示されている。Aに記載される実験と同様の実験をBALB/cヌードマウスで行った。どの時点でも異なる群間で有意差は観察されなかった。C:150mm
3の体積に達する再発、あるいは膝窩リンパ節または鼠径リンパ節への局所的な転移の進行のいずれかとして定義される、原発腫瘍の進行/再発についてC57Bl/6マウスをモニタリングした。加えて、自然死した動物は、疾患の再発あるいは進行があったとしてスコアされた。マンテル・コックス検定を用いて無再発生存データを分析した。D:自然死したか、腫瘍量が非常に多すぎて安楽死を必要としたか、あるいは、2か月間の長い実験の最後に屠殺した動物から肺を収集した。その後、肺転移を測定した。融合してプラークになるか、250を超過する小結節を有する肺は、あまりにも数が多すぎて数えることができないと考えられ、250の最大値を割り当てられた。各処置群について代表的な検体が示されている。結果は平均±+SEMとして示され、1つの群当たりn=3-5匹のマウスで、クラスカル・ウォリス検定で分析し、その後、ダン検定(Dunn’s posttest)で分析した。
*P<0.05.
【
図8】マウスの前立腺癌および乳癌モデルのLOFUおよびRT処置。LOFU(5W、100%)および/または放射線(10Gy)を用いた2つの処置を2日実施し、2つの処置の間には24時間の間隔をあけた(A)。このLOFU処置の強度が高いため、2回目の処置前に傷が治癒するのを可能にするために、2つの処置の間に1日の間隔をあけた。この腫瘍については、10Gyx2の放射線量は、完治することなく腫瘍成長を有意に遅らせることができた(8Bの上の列)。処置されていないマウスの場合の25日と比較して、腫瘍が初期体積(V0)の5倍に達するまでの中位時間は47日であった。放射線療法前のLOFUの追加は、処置したマウスの約46.4%の原発性腫瘍を治癒した(Bの上&Cの左)。LOFUの追加は、腫瘍表面の大部分を覆ういくつかの軽い皮膚のやけどをもたらした。これらのやけどは、処置後1-2週間以内に自然に治癒した。野生型のマウスにおいて、異種抗原、例えば、この場合ヒトPSAに対する免疫応答を開始する能力は、突然変異負荷が低いものの自己抗原でいっぱいであった、ヒト前立腺癌を模倣しなかった。LOFUとRTを用いた併用療法を受けた、前立腺癌のヒト疾病を最も良く模倣したモデルであるPSA-Tgトランスジェニックマウスは、57.1の原発性腫瘍の減少を示した(Bの中央列&Cの中央)。これらの結果は、LOFUとRTの併用療法がPSAに対する耐性を克服することができるか、あるいは、PSAに対する耐性を無関係にする(irrelevant)のに十分なネオ抗原を生成することできたことを示した。LOFUとTRの有効性がT細胞によって媒介されたことを確認するために、同じ実験を胸腺欠損ヌードマウスにおいて実施した。放射線は原発性腫瘍の腫瘍成長の遅延をもたらしたが、LOFUの追加は何の利点をもたらさなかった(B下の列&C右)。これらの結果は、T細胞は、LOFUとRTの組み合わせを使用して原発性腫瘍を治癒することが求められることを示す。三種陰性乳癌マウスモデル(4T1)を使用して、LOFUとRTの組み合わせ処置の有効性を判定した。2x105細胞で腫瘍接種した7日後に、LOFU(5W、50%のデューティ比)および/または20Gyの放射線を3日連続で実施した(
図8のD)。放射線のみ、およびLOFUと放射線の併用療法の両方が原発性腫瘍の治癒をもたらしたが、併用療法は原発性腫瘍の治癒までの時間を1週の中位時間だけ有意に速めた。
【
図9】LOFUはUPRを誘発する。A:LOFUは、Bip/Grp78とEDEM mRNAの発現を増加させる。LOFUで処置されたRill腫瘍から単離されたRNAのリアルタイムPCR分析は、未処置の対照と比較して、Bip/Grp78の29.73±0.56倍の増加、および、EDEM mRNAレベルの9.27±1.18倍の増加を示した。B:LOFUは、IRE1α mRNAの発現を2.8±0.4倍増加させる。リアルタイムPCR分析は、LOFUにより誘発されたIRE1α発現の増加が17AAG処置により変化しなかったことを示す。C:LOFUは、XBP1 mRNAのスプライシングを引き起こした。17AAG処置は、XBP1のスプライシングを阻害する。XBP1s、XBP1h、およびXBP1uは、XBP1のスプライシングされた形態、ハイブリッド形態、およびスプライシングされていない形態をそれぞれ示す。D-G:LOFU+17AAG併用療法は、RM1腫瘍細胞の小胞体ストレスを延ばす。ウェスタンブロットおよび棒グラフは、ERP78(D&E)、ERP57(D&F)、およびERp44(D&G)のタンパク質の発現が併用療法群で誘発されたことを示す。
【
図10】LOFU+17AAGは、UPRのアポトーシス促進性の経路を活性化し、腫瘍細胞でアポプトーシスを誘発する。A&B:pPERK(A)およびpeIF2α(B)のウェスタンブロット。LOFU+17AAGはPERK(pPERK)のリン酸化によってPERKを活性化し、これはさらにeIF2αリン酸化(peIF2α)のリン酸化を誘発する。C:CHOP mRNAのリアルタイムPCR分析。対照と比較して、LOFU+17AAGで処置された群ではCHOP転写物の25±1.3倍の増加があった。D:LOFU+17AAGで処置された腫瘍から単離されたRNAのリアルタイムPCRアレイ。ヒートマップ分析は、未処置の対照あるいはLOFU群と比較して、LOFU+17AAG処置群がアポトーシスの遺伝子の転写物レベルを数倍増加させたことを示した。E:TUNEL染色。免疫組織化学的染色は、対照あるいはLOFU群と比較して、LOFU+17AAG処置群中でtunel陽性細胞を優勢的に示した。17AAGのみでは、LOFUによって増大された腫瘍組織中のアポプトーシスをさらに誘発したことに注意する。
【
図11】LOFU+17AAG処置は、RM1腫瘍細胞中でシャペロン介在性オートファジー(CMA)を阻害する。(A&B)免疫ブロット分析は、併用療法群においてSMAマーカーLAMP2a発現レベルの数倍のダウンレギュレーションを示した。LOFUまたは17AAGのいずれかを用いた処置は、LAMP2a発現レベルをアップレギュレートする。(A&C)LOFUと17AAGの併用療法は、マクロオートファジーマーカーであるベクリンの発現レベルを変えなかった。
【
図12】LOFU+17AAG処置後のマウスおよびヒトの前立腺腫瘍の腫瘍成長遅延。A:処置模式図。2週間にわたって投与された5つの画分について、3-4日ごとにLOFUで触知可能な腫瘍を処置した。動物はこの間に17AAGを週に3回受けた。LOFUの最後の分画の24時間後に腫瘍を採取した。B:RM1腫瘍。C57Bl6マウスでは、LOFU+17AAG併用療法は、対照と比較して、RM1腫瘍の増殖を有意に減少させた(p<0.004)。LOFUあるいは17AAGのいずれかだけでは腫瘍を有意に制御することができなかったことに注意する。LOFUは、低用量(体重1kg当たり25mg)の17AAGの効果を感作した。C:PC3腫瘍。BalbC nu/nuマウスでは、LOFU+17AAG併用療法は、PC3腫瘍の増殖の有意な減少を示した(p<0.007)。
【
図13】LOFU+17AAG処置は、RM1細胞において前立腺癌幹細胞マーカーの発現を減少させた。単離されたRM1腫瘍細胞のフローサイトメトリーは、LOFU+17AAG処置後にRM1腫瘍細胞上でSCA1(A&B)、CD44(A&C)、CD133(A&D)、およびα2131インテグリン(A&E)の細胞表面発現の有意な減少を示した。(F)qRT-PCRアレイとその後のヒートマップ分析は、LOFU+17AAG併用療法群が幹細胞転写因子のmRNAレベルをダウンレギュレートすることを示した。
【
図14】LOFUでの前処置と、その後のHIFUでの処置は、腫瘍特異的T細胞応答を誘発した。非切除LOFUを用いた前処置により、腫瘍細胞はミスフォールドタンパク質を処理することができ、1日後のHIFUを用いたその後の処置により、DCの取り込みおよびT細胞免疫の誘導のために死腫瘍細胞からHSPペプチド複合体を放出するこができる。触知可能なOVAを発現するRM1-OT腫瘍は、LOFUで、その後、1日あけてHIFUで順次処置し、動物をLOFU処置後3日目、7日目、および14日目に屠殺した。一方、腫瘍特異的T細胞応答はLOFUおよびHIFU処置の1サイクルでは検出されなかったが、3日目にIFN-γ産生細胞(PMAおよびイオノマイシンによって刺激された)の総数の適度な増加があり(110±5/2.5×105細胞LOFUならびにHIFU対未処置の66±16/2.5×105細胞、p<0.05、
図14のA)、これは、LOFUおよびHIFU処置がTh1表現型へと免疫応答を傾ける可能性があることを示した。しかし、IFN-γ-分泌細胞の数は、様々な統計的差異なく、7日および14日で前処理レベルにまで減少した。したがって、LOFUおよびHIFUを用いた腫瘍の反復処置は、定期的な免疫処置のためにHSPおよび腫瘍抗原の放出を促進し、腫瘍特異的免疫応答の誘導のためのワクチン接種スケジュールをシミュレートする。触知可能なRM1-OT腫瘍は、1日間隔をあけて施された連続するLOFUおよびHIFUの毎週サイクルで3回処置し、動物を最後のHIFU処置の1週間後に屠殺した。脾細胞中の腫瘍特異的T細胞の発生頻度をIFN-γ ELISPOTアッセイによって分析し、これらの腫瘍反応性T細胞の細胞毒性機能を検出した。LOFUおよびHIFUで処置されたマウスからの脾細胞を、照射されたRM1-OT細胞と共培養すると、IFN-γ-分泌RM1-OT反応性T細胞の数が増加した(LOFU+HIFU後の2.5×105脾細胞あたり432±65の細胞対HIFUのみの後の2.5×105脾細胞あたり15±6の細胞;14のB)。LOFUおよびHIFUで処置されたマウスにおける腫瘍特異的IFN-γを放出するT細胞の発生頻度は、0.17±0.03%であった。これらの腫瘍反応性脾細胞は、これらのペプチドと共培養された場合、OVA由来のMHCクラスI拘束性ペプチド、OVA257-264(2.5×105の総脾細胞あたり149±28の細胞)ならびにMHCクラスII拘束性ペプチド、OVA323-339(2.5×105の総脾細胞あたり132±32の細胞)の両方を特異的に認識することが分かった。これに対して、LOFUのみ、あるいはHIFUのみのいずれかで処置されたマウスにおいては、有意な免疫応答は検出されなかった(両方の群において2.5×105の総脾細胞あたり15±6の細胞)。これらの結果は、LOFUとHIFUの併用療法が、代理細胞質腫瘍抗原であるOVAに対するCD4およびCD8 T細胞の両方の応答を誘発することができることを示す。HIFU処置のみでは、腫瘍組織内のHSPの細胞死および放出を誘導したが、有意な抗腫瘍細胞性免疫は誘導しなかった。腫瘍特異的細胞毒性Tリンパ球(CTL)を、照射されたRM1-OT細胞との培養後の脾細胞における細胞表面CD107aの存在を測定する、CD107a動員アッセイによって評価した。CD107aは、CTLによって細胞毒性脱顆粒プロセス中に細胞表面に一時的に動員されるようになる、パーフォリン/グランザイムB小胞の膜タンパク質である。CTLはすべての処置群中に存在したが、腫瘍特異的CD107a+ T細胞は、LOFUおよびHIFUで処置されたマウスにおいて最も高かった(LOFUおよびHIFUで処置されたマウル中27.88±4.80%対未処置のマウス中7.5±1.2%、p<0.05;14のC)。代理腫瘍抗原(OVA)に反応性だったCD8+ T細胞の割合を、H-2b/OVA257-264四量体染色(14のD)によって定量化した。未処置のコホートあるいは単一の処置コホートはごくわずかなOVA反応性CD8 T細胞を有していたが、LOFUとHIFUの処置後にこれらの細胞が増加し(0.12%のLOFU+HIFU対<0.01%の未処置)、さらにインビボの腫瘍特異的T細胞の存在を確認した。最後に、非切除LOFUでの前処置がHIFUの治療効果を増大させるかどうかを調べるために、腫瘍を有するマウスの処置群間でHIFU曝露の時間間隔を同じに保った。様々な群中の腫瘍サイズは、1サイクルの超音波治療法の後に有意な差異はなかったが、2サイクル後に成長遅延が見られた(E、下のパネル)。予想通りに、未処理の対照(p>0.05)と比較して、LOFU処置のみでは腫瘍成長率は変化しなかった。LOFUのコホートおよび未処置のコホート(p<0.05)と比較して、HIFUのみでは腫瘍成長を有意に抑制した。相対的なマウスの写真(E、上パネル)によって示されるように、LOFUでの前処置は、HIFU治療の殺腫瘍性効果を有意に増強した(LOFUおよびHIFU対HIFU、p<0.01;LOFUおよびHIFU対LOFUあるいは無処置(NT)、p<0.001)。
【
図15】LOFUとRTの組み合わせ処置は、腫瘍再負荷のマウスモデルにおいて抗腫瘍の細胞傷害性T細胞免疫および免疫記憶を増大させる。CD8+T細胞応答に対する併用療法の影響を決定するために、PSA特異的MHCクラスI五量体を使用した処置の後に腫瘍抗原特異的T細胞を分析した。すべての処置群にわたってPSAに特異的な、活性化されたCD62L-CD8+T細胞が増加し、LOFUのみ(0.497±0.064%)およびRTのみ(0.923±0.387%)の群と比較して、LOFU+RTは、CD62L-/五量体+CD8 T細胞(1.557±0.127%)の最も高い割合を有していた(
図15のA)。細胞死を示すLDH放出アッセイにより、併用療法で処置されたPSA遺伝子導入マウスからの脾細胞が腫瘍中の細胞死を増加させたことも確認した(NT:4.186±3.1%、LOFU:5.1±4.3%、RT:2.91±1.7%、LOFU+RT:11.613±3.98%;
図15のB)。LOFUとRTの併用療法が免疫記憶を結果としてもたらすか否かを判定するために、LOFU+RT治療後に原発性腫瘍から治癒したマウスを反対側の側腹部上のTPSA23細胞で再負荷し、接種後最大60日の腫瘍成長プロファイルを測定した。
図15のC、D、およびEは、各処置群の個々のマウスにおける腫瘍成長を示す。接種後45日目に、8匹のPSA遺伝子導入マウスのうち7匹のマウスが有意な成長遅延を示し(ナイーブ:307.6mm
3、WT:184.8mm
3、PSA:128.6mm
3、p=0.10)、1匹のマウスのみが腫瘍記憶の完全な欠如を示した。接種後56日目までに、8匹のPSA遺伝子導入マウスのうち2匹のマウスでは完全な腫瘍成長阻害があった(図:15のE)。WTマウス中の再負荷応答(図:15のD)異なっており、接種後43日目に4匹のマウスのうち1匹のみが腫瘍成長阻害を示し、実験の終わりまでその腫瘍阻害応答を持続した。56日目に、以前治癒した腫瘍のLOFU+RT処置によって生成された免疫記憶を示すナイーブマウス(
図15のF)と比較して、LOFUとRTの組み合わせによって原発性腫瘍から治癒したWTマウスは、52%の腫瘍成長遅延を有しており、LOFU+RTの組み合わせによって原発性腫瘍から治癒したPSA遺伝子導入マウスは74%の腫瘍成長遅延を有していた。C57/BL6(WT)およびPSA遺伝子導入マウス(C57/BL6バックグラウンド)の原発性腫瘍を治癒した両方の群は、再負荷後に腫瘍成長遅延を示したが、ナイーブ群と比較して、PSA遺伝子導入マウスのみが腫瘍体積の統計的に有意な減少を示した(p=0.0043、マン・ホイットニーのU検定)。野生型の再負荷されたマウスと、ナイーブあるいはPSA遺伝子導入マウスとの再負荷腫瘍体積の間に統計的有意差がなかったが、無処置のマウス(p=0.04)と比較して、4匹のマウスのうち1匹のマウスが免疫記憶を示さず、4匹のマウスのうち3匹のマウスが統計的に有意な成長遅延を有していた。これらの実験は、LOFUとRTの併用療法が原発性腫瘍治癒をもたらすだけではなく、二次腫瘍成長の有意な阻害をもたらす免疫記憶を強化したことを示す。
【
図16A】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代(successful generations)を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図16B】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図16C】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図16D】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図16E】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図16F】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図16G】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代(successful generations)を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
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図16H】LOFUによるホルモンベースの化学療法の増強。クローン原性は、癌進行に関して、特に転移の形成を考慮する場合に重要である。クローン原性は、単一の細胞が8つの成功した世代を産生する能力を指す。クローン原性アッセイを、5μMのアビラテロン(AbA)、抗アンドロゲン処置と組み合わせて実施した。LOFUのみとアビラテロンのみの間の生存率における有意差は示されなかった(16A)。しかし、以下の代表的な写真に示されるように、アビラテロン処置下で形成されたコロニーは、LoFU処置で形成されたコロニーより平均して小さかった(16B)。併用療法は、個々の処置と比較して、TRAMPC2およびTPSA23の細胞株の両方において生存率の有意な減少をもたらした。アビラテロンのみの増殖アッセイあるいはLOFUと組み合わせた増殖アッセイを、細胞増殖の出力として、クリスタルバイオレットシグナルを用いて、TPSA23およびその親株細胞TRAMPC2上で実施した。低用量のアビラテロン(5μM)は、無処置と比較して、インキュベーションから48時間を超えて両方の細胞株の増殖を大幅に阻害した(TRAMPC2:p=0.0003;TPSA23:p=0.04;対のない両側T検定)。高用量のアビラテロン(10μM)は、両方の細胞株の増殖能力を排除した。5μMのアビラテロンに加えてLOFUが使用された場合、増殖能力は10μMのアビラテロンと同じ程度まで排除された。単独療法(p<0.005、対のない両側T検定)と比較して、増殖能の減少は、LOFUと、アビラテロンのいずれかの用量との間で統計的に有意であった。アパルタミド(LOFUと結合するアンドロゲン受容体のアンタゴニスト)は、TPSA23腫瘍細胞のクローン原性に対して、アビラテロン治療と同様の増強された効果を有した。低用量のアパルタミド(5μM)と組み合わせたLOFUは、アパルタミドまたはLOFUのみと比べて非常に少ないコロニーをもたらし、アパルタミドの用量を2倍にした有効性と同様であった(16D)。高用量のアパルタミド(10μM)はクローン原性の有意な減少をもたらすが、その組み合わせはさらに効果的であった。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。同様の結果が、マウス前立腺癌(16E-16F)およびヒト乳癌細胞株(16G)でも観察された。LOFU、Aba、および17AAGの組み合わせは、多数残存する前立腺癌細胞の減少に対して相乗効果を有していた。レトロゾールおよび4-ヒドロキシタモキシフェン(4-HT)は両方とも、エストロゲン受容体を標的とし、乳癌治療に使用される。単独であるいはLOFU、レトロゾール、および4-HTと組み合わせて処置される場合、
図16Gは、MCF7ヒト乳癌細胞株の生存率を伴った。最後に、TPSA23のインビボのマウスモデルを、3日にわたってLOFU(5W、100%)を2度施してして処置した。連続14日間毎日強制経口投与(0.5mg/マウス/日)によって、アビラテロンを与えた。併用療法は、5匹のうち3匹のマウスで腫瘍成長遅延の有意な減少および処置されたマウスの40%(5匹のうち2匹)における原発性腫瘍治癒をもたらした(16H)。接種後45日目に、未処置と比較して、LoFUのみが66%の腫瘍成長遅延を有し、LOFUとアビラテロンの組み合わせは、未処置あるいはLOFUのみのいずれかに対して100%の腫瘍成長遅延をもたらした。
【
図17】本発明のいくつかの実施形態によるAPT装置のブロック図である。
【
図18】本発明のいくつかの実施形態によるAPT装置のブロック図である
【
図19】本発明のいくつかの実施形態によるAPT装置のブロック図である。
【
図20】一体型超音波イメージング装置を含む本発明のいくつかの実施形態による、APT装置のブロック図である。
【
図21】一体型超音波イメージング装置を含む本発明のいくつかの実施形態による、APT装置のブロック図である。
【
図22】一体型超音波イメージング装置を含む本発明のいくつかの実施形態による、APT装置のブロック図である。
【
図23】本発明のいくつかの実施形態によるトランスデューサーの斜視図である。
【
図24】本発明のいくつかの実施形態による位置決め装置を示す。
【
図25】いくつかの実施形態によるロボットアーム上に取り付けられた超音波トランスデューサーを示す。
【
図26】いくつかの実施形態による、CTセグメンテーション(画像)を表すグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【
図27】いくつかの実施形態による、ハードウェアアーキテクチャのブロック図を示す。
【
図28】いくつかの実施形態による、ソフトウェアアーキテクチャ処置計画のブロック図を示す。
【
図29】いくつかの実施形態による、ソフトウェアアーキテクチャ処置実行のブロック図を示す。
【
図30】いくつかの実施形態による、ロボットおよび処置の並進運動を示す。
【
図31】いくつかの実施形態による、周囲の組織に対して焦点ゾーンへの照射量を増加させるマルチビーム処置ヘッドを示す。
【
図32】いくつかの実施形態による、例示的なデジタル処理デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
高密度焦点式超音波(HIFU)の構成、例えば、補助的切除レベルと比較して、処置ゾーンに低減したレベルのエネルギーを送達する超音波(US)療法が本明細書に記載される。超音波は、容易に腫瘍に対しておよび腫瘍全体にわたって浸透することができ、ミリ単位の精密さで位置を突き止め、毒性の外部のオペレーター制御を提供する。いくつかの例では、USは撮像法として利用されることがある。そのような特性は、他のエネルギーベースのモダリティ、例えば、撮像性能を提供しないRFアブレーションおよびエレクトロポレーションと比較することができる。さらに、有利なことに、USは、通常、全線量を制限する生涯最大耐量(MTD)を含む、電離放射線の固有の毒性を含まない。他の例では、USの毒性は、無毒な画像化とHIFUの切除毒性(ablative toxicity)との間の強度および持続時間を変えることにより調整することができる。これらの処置は、タンパク質の変性、癌細胞内のERプロセスの破壊、ならびに癌細胞上および腫瘍微小環境内の免疫原性DAMPの結果として生じる産生と表示を介して部分的に機能する、超音波処置パラメーターおよびレジメンを利用することがある。
【0011】
典型的な実施形態では、特定の病変体積の処置は、1MHzの常時パワーで、短時間(例えば~1.5秒)間であり、腫瘍組織の温度を約45°C未満に上昇させる。処置ゾーンに超音波を集束させるために凹面のトランスデューサーを使用して生成され、本明細書では「低エネルギーの非切除型焦点式超音波」(LOFU)と呼ばれるこの超音波処置は、腫瘍細胞において軽度の機械的かつ熱的なストレスを生成するが、組織を損傷させるキャビテーションおよび凝固壊死を回避する。非切除型の「音波」ストレス応答は腫瘍において誘発され、熱ショックタンパク質を実際に死滅させることなく、その発現を増加させる。LOFUは、熱ショックタンパク質を含む免疫調節因子を放出する可能性を有し、腫瘍特異的免疫活性化の誘導に効果的であり得る。マウスB16メラノーマ腫瘍モデルを使用して、LOFU処置が腫瘍により誘発される耐性を逆転させ、腫瘍抗原特異的CD4+T細胞中のエフェクターサイトカイン産生を増大させ、これが腫瘍細胞による免疫原性分子の放出によって引き起こされるように思われることが開示される。さらに、LOFUと切除型の少分割コーンビーム断層撮影法(CT)の画像誘導放射線治療(IGRT)との組み合わせは、原発腫瘍の相乗的な制御をもたらし、さらに免疫適格マウスにおいて自発的な肺転移の減少を引き起こし、無再発生存期間を延長する。加えて、LOFUは、化学療法剤に対して癌細胞(実施例における前立腺癌)を感作することが分かった。
【0012】
いくつかの実施形態において、腫瘍焦点エネルギーは、免疫細胞成長因子を含む生物活性剤、およびPD-1軸、CSF-1R、Tie2、ならびにSTING経路を標的とする薬剤と組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、エネルギーは、典型的な腫瘍微小環境(TME)内で免疫原性パターンを生成することが知られている化学療法と組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、エネルギーは、無細胞タンパク質ネットワーク密度を含む、腫瘍中の物理的障壁を低減する生物活性分子と組み合わせることができる。
【0013】
典型的な実施形態では、LOFU(本明細書で「音響刺激治療」とも呼ばれる)は、処置ゾーンにおいて10~1000W/cm2の空間ピーク時間平均強度(Ispta)の音響パワーで超音波を施すこと含み、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって継続的に施され、周波数は0.01~10MHzの範囲であり、メカニカルインデックスは4未満である。メカニカルインデックス(MI)は、MHzの単位の中心周波数の平方根に対するMPaの単位の希薄化圧力(rarefaction pressure)である。施される超音波のエネルギーおよび強度は、主として切除効果あるいは主として診断効果のいずれかを引き起こす超音波のエネルギーと強度との間に位置するように意図される。
【0014】
より詳細に以下に説明されるように、本明細書で議論される様々な処置方法は、処置ゾーンで10~1000W/cm2の空間ピーク時間平均強度(Ispta)の音響パワーを生成するトランスデューサーを含む、LOFUまたは音響刺激治療装置を使用して施されてもよい。超音波は、0.5~5秒の範囲の時間継続的に施されるか、あるいは1~100ミリ秒のパルス幅でパルス化され、周波数は0.01~10MHzの範囲である。いくつかの実施形態では、周波数は0.05~5MHzの範囲である。いくつかの実施形態では、周波数範囲は0.1~2MHzである。いくつかの実施形態では、処置ゾーンでの任意の超音波ビームの最小直径は、約1cmである。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で10~100W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で100~200W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で200~300W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で300~400W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で400~500W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で500~600W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で600~700W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で700~800W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で800~900W/cm2のIsptaで施される。一実施形態では、LOFUは、処置の領域で900~1000W/cm2のIsptaで投与される。一実施形態では、超音波は、0.5~1秒の範囲の時間にわたって施される。一実施形態では、超音波は、1~2秒の範囲の時間にわたって施される。一実施形態では、超音波は、2~3秒の範囲の時間にわたって施される。一実施形態では、超音波は、3~4秒の範囲の時間にわたって施される。一実施形態では、超音波は、4~5秒の範囲の時間にわたって施される。一実施形態では、超音波は、0.01~1MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は1~2MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は2~3MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は3~4MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は4~5MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は5~6MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は6~7MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は7~8MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は8~9MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は9~10MHzの周波数で施される。一実施形態では、超音波は10MHzより高い周波数で施される。
【0015】
被験体における化学療法の有効性を高めるための方法が提供され、上記方法は、(i)ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)および(ii)ある量の化学療法剤を被験体に投与する工程を含み、ここで、上記化学療法剤は、腫瘍細胞において小胞体(ER)ストレスおよび/または小胞体ストレス応答(UPR)を引き起こし、ここで、(i)と(ii)の量は化学療法の有効性を高めるのに十分な量である。
【0016】
被験体のあらかじめ決められた、被験体全体より小さい体積の組織における化学療法の有効性を高める方法がさらに提供され、上記方法は、(i)ある量の化学療法剤を被験体に投与する工程であって、ここで、化学療法剤が腫瘍細胞において小胞体(ER)ストレスおよび/または小胞体ストレス応答(UPR)を引き起こす、工程と、(ii)ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)を、被験体のあらかじめ決められた体積の組織に施す工程とを含み、ここで、(i)と(ii)の量はともに、あらかじめ決められた体積の組織内の化学療法の有効性を高めるのに十分な量である。
【0017】
化学療法剤に耐性のある被験体の腫瘍を処置する方法が提供され、上記方法は:指定された化学療法剤に対して耐性のある腫瘍を有するとの被験体の識別を受け取る工程と、(i)ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)と(ii)ある量の指定された化学療法剤を投与する工程とを含み、ここで(i)と(ii)の量はともに腫瘍を処置するのに十分な量である。
【0018】
被験体の化学療法抵抗性の腫瘍を処置する方法であって、上記腫瘍は、以前投与された化学療法剤に対して化学療法抵抗性になっている方法がさらに提供され、上記方法は:(i)ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)と(ii)ある量の化学療法剤を被験体に投与する工程を含み、ここで(i)と(ii)の量はともに化学療法抵抗性の腫瘍を処置するのに十分な量である。
【0019】
方法の実施形態では、化学療法剤は腫瘍細胞中で小胞体(ER)ストレスおよび/または小胞体ストレス応答(UPR)を引き起こす。
【0020】
方法の実施形態では、化学療法剤は以前に被験体に複数回投与されており、ここで、腫瘍は化学療法剤の初回投与後に化学療法剤に対して耐性を有すると診断されていた。
【0021】
化学耐性に関する方法の実施形態では、方法は、以前投与された化学療法剤に対して化学療法抵抗性の腫瘍を有するとの被験体の識別を受け取る工程をさらに含み得る。
【0022】
方法の実施形態では、化学療法剤は、腫瘍細胞においてUPRを引き起こす。
【0023】
方法の実施形態では、化学療法剤は、腫瘍細胞においてERストレスを引き起こす。
【0024】
方法の実施形態では、(i)と(ii)の量はともに、腫瘍細胞のアポプトーシスを誘発するか、あるいは腫瘍細胞のアポプトーシスを増加させるのに十分な量である。
【0025】
方法の実施形態では、投与された化学療法剤のみの量は、有効性の増大がない状態で、腫瘍の処置に関して治療量以下の投与量である。
【0026】
方法の実施形態では、施されたLOFUは、被験体の腫瘍の位置に向けられる。
【0027】
方法の実施形態では、低密度焦点式超音波(LOFU)は、化学療法あるいは放射線療法または免疫療法の前、あるいはこれらと同時に、被験体に施される。方法の実施形態では、LOFUは、放射線療法が施される前に被験体に施される。方法の実施形態では、LOFUは、化学療法が施される前に被験体に施される。方法の実施形態では、LOFUは、免疫療法が施される前に被験体に施される。方法の実施形態では、LOFUは、放射線療法が施されるのと同時に被験体に施される。方法の実施形態では、LOFUは、化学療法が施されるのと同時に被験体に施される。方法の実施形態では、LOFUは、免疫療法が施されるのと同時に被験体に施される。
【0028】
方法の実施形態では、化学療法剤はHSP90阻害剤である。一実施形態では、HSP90阻害剤は17AAG(tanespimycinあるいは17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシナン)である。一実施形態では、化学療法剤はHSP90阻害剤である。HSP90阻害剤の一例は、17AAG(タネスピマイシンあるいは17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシナン)である。一実施形態では、化学療法剤はアルキル化薬である。一実施形態では、化学療法剤はトラベクテジンである。一実施形態では、化学療法剤はマスタードガス誘導体である。一実施形態では、化学療法剤は金属塩である。一実施形態では、化学療法剤は植物アルカロイドである。一実施形態では、化学療法剤は抗腫瘍抗生物質である。一実施形態では、化学療法剤は代謝拮抗薬である。一実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。一実施形態では、化学療法剤はプロテアソーム阻害剤である。一実施形態では、化学療法剤は化学療法剤NSAIDである。一実施形態では、化学療法剤はタモキシフェンである。一実施形態では、化学療法剤は非ステロイド性の抗アンドロゲン(NSAA)である。一実施形態では、化学療法剤はアパルタミドである。一実施形態では、化学療法剤はホルモン療法を含む。一実施形態では、化学療法剤は、本明細書で以下に列挙される様々な抗悪性腫瘍薬の1つである。
【0029】
方法の実施形態では、LOFUはトランスデューサーを含む超音波装置から超音波ビームによって送達され、上記装置と被験体は、腫瘍の少なくとも一部がトランスデューサーの焦点に位置するように配置される。方法の実施形態では、LOFUは腫瘍の少なくとも一部に送達され、被験体の腫瘍の位置は画像処理技術によってモニタリングされる。方法の一実施形態では、画像処理技術は磁気共鳴撮像である。方法の一実施形態では、画像処理技術はコンピューター断層撮影である。方法の一実施形態では、画像処理技術は超音波画像化である。
【0030】
方法の一実施形態では、LOFUは、1時間未満の期間にわたって腫瘍内の複数の体積に少なくとも一回施される。
【0031】
方法の一実施形態では、LOFUは非切除である。方法の一実施形態では、LOFUは、施される組織中でキャビテーションを引き起こさない。
【0032】
方法の一実施形態では、LOFUの超音波成分は、0.5MHzから1.5MHzの周波数で施される。方法の一実施形態では、LOFUは1~3秒間施される。方法の一実施形態では、処置ゾーンにおいて、インサイチュ強度が被験体の1mm~75mmの組織深さで250W/cm2~750W/cm2となるように、LOFUは超音波ビームによって施される。
【0033】
方法の一実施形態では、LOFUは腫瘍体積全体にわたって施される。方法の一実施形態では、方法は、腫瘍1cc当たり300~3000ジュールの範囲のエネルギーを腫瘍に送達する。方法の一実施形態では、高密度焦点式超音波(HIFU)は被験体に施されない。一実施形態では、HIFUは、約80°C以上の焦点ゾーンの組織温度に影響を与える集束超音波である。HIFUは、固体の組織への数秒の暴露時間の間に最大で60~85°Cに温度を上昇させ、および/または、組織中の熱アブレーションを引き起こす。熱アブレーションは、通常、0.8~7MHzの報告された周波数で1kW/cm2を越えるパワー強度で達成される。他方で、LOFUは、例えば、1~3W/cm2のパワー強度と、0.5~3MHzの周波数で達成可能である(しかし、本明細書の他のLOFU範囲を参照)。LOFUは、デューティーサイクルの調節により、連続的(100%DC)、あるいはパルス状(<100%DC、低密度パルス状超音波またはLIPUSと呼ぶ文献もある)の集束超音波であり得る。10分間の1MHzおよび1W/cm2での連続的なLOFUにより、組織において0.1°C上昇させることができる。筋組織に関するインビボの実験は、1MHzの周波数の超音波処理が、0.5W/cm2で0.04°C/分;1.0W/cm2で0.16°C/分;1.5W/cm2で0.33°C/分;2.0W/cm2で0.38°C/分の速度で温度を増大させることを示す。
【0034】
方法の一実施形態では、放射線療法の量とLOFUの量の効果は、腫瘍を処置する際に相乗的である。
【0035】
方法の一実施形態では、被験体はヒトである。
【0036】
方法の一実施形態では、腫瘍は、前立腺、乳房、鼻咽腔、咽頭、肺、硬骨、脳、唾液腺、胃、食道、精巣、卵巣、子宮、子宮内膜、肝臓、小腸、虫垂、結腸、直腸、膀胱、胆嚢、膵臓、腎臓、膀胱、頚部、膣、外陰、前立腺、甲状腺、または皮膚、頭頸部の腫瘍、神経膠腫、あるいは軟部組織肉腫である。方法の一実施形態では、腫瘍は前立腺癌である。
【0037】
方法の一実施形態では、転移は肺転移である。
【0038】
方法の一実施形態では、LOFUは装置により施され、上記装置は:周波数波形を生成する制御システムと;処置領域における1~1000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)の周波数波形に基づいて超音波を生成するように構成された1以上のトランスデューサーと、を含み、ここで、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって処置ゾーンへと連続的に適用され、超音波周波数は0.01~10MHzの範囲であり、任意のビームのメカニカルインデックスは4未満である。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーの各々は、0.05~5MHzの範囲の中心周波数と、20~1000W/cm2の音響出力強度を有する周波数波形に基づいて超音波ビームを生成するように構成される。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーの各々は、0.5~1.5MHzの範囲の中心周波数と、20~1000W/cm2の音響出力強度を有する周波数波形に基づいて超音波ビームを生成するように構成される。方法の一実施形態では、各トランスデューサーは、-3dBのビームプロファイル・ウエストが処置ゾーンで5mm以上となるように、円柱状の超音波を生成するように構成される。方法の一実施形態では、1つ以上のビームは処置中に機械的に移動する。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、連続的にあるいは同時に動作し、処置期間中に処置ゾーンで平均空間ピーク250W/cm2の超音波を生成するように構成された、2つ以上のトランスデューサーを含む。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、10kHz~300kHzの範囲内の周波数を有する超音波を生成するように構成される。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、300kHz~3MHzの範囲内の周波数を有する超音波を生成するように構成される。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、300kHz3MHzの周波数で動作し、1つ以上のトランスデューサーは30~300kHzの周波数で動作する。方法の一実施形態では、2つ以上の超音波トランスデューサーは処置ゾーンを通る超音波ビームを生成し、各ビームは10~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。方法の一実施形態では、処置時間は1立方センチメートル腫瘍の当たり5秒未満である。方法の一実施形態では、2つのトランスデューサーは、処置ゾーン内で交差する超音波ビームを生成し、各ビームは50~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。方法の一実施形態では、3つのトランスデューサーは、処置ゾーンを通る超音波ビームを生成し、各ビームは50~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーン内で互いに実質的に同相である超音波ビームを生成する。方法の一実施形態では、別々の超音波トランスデューサーから発せられる2つの超音波ビームは、実質的に同相であり、処置ゾーン内で交差し、各ビームは70~100W/cm2の範囲で交差ゾーンで音響パワー空間ピーク強度を有し、超音波は連続して1~5秒施される。
【0039】
方法の一実施形態では、別々の超音波トランスデューサーから発せられる3つの超音波ビームは、実質的に同相であり、処置ゾーン内で交差し、各ビームは50~70W/cm2の範囲で交差ゾーンで音響パワー空間ピーク強度を有し、超音波は連続して1~5秒間施される。方法の一実施形態では、別個のトランスデューサーから生じる超音波ビームはそれぞれ、処置ゾーンで約100~1000W/cm2の範囲のIsptaを生成する。方法の一実施形態では、少なくとも1つのトランスデューサーは、処置ゾーンよりもサイズが実質的に大きい高強度直径を有する超音波ビームを生成し、処置ゾーンが完全にビーム内にあるように向けられる。方法の一実施形態では、2つ以上の超音波ビームが経路で交差する場合に、集中処置ゾーンが形成され、集中処置ゾーンは、送信されたエネルギー方向に垂直な約1cm以上であり、さらに、送信された方向に平行に約1cm以上である。方法の一実施形態では、各トランスデューサーから処置ゾーンに加えられる音圧は0.1~10MPaである。方法の一実施形態では、集中超音波処置ゾーンを提供するトランスデューサーの数は1~1000の間である。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーからの超音波は、処置時間の間継続的に施される。方法の一実施形態では、超音波は、1オン時間単位(on time units):9オフ時間単位(off time units)の範囲のデューティーサイクルで生成される。方法の一実施形態では、トランスデューサーは、単一周波数トーンあるいは多周波数チャープの超音波を生成するように構成される。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは時間内に連続して動作する。方法の一実施形態では、適用の全過程の間に標的組織と標的組織のまわりの所望の周縁部に送達される総エネルギーは、周辺組織に送達される総エネルギーよりも大きい。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、超音波の周波数が適用中に掃引されるように構成される。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは二次元のフェーズドアレイを含む。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは環状アレイを含む。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは三次元のフェーズドアレイを含む。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは1つ以上の内視鏡検査装置に組み込まれる。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは磁気共鳴撮像機械に組み込まれる。
【0040】
方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは放射線療法機械に組み込まれる。
【0041】
方法の一実施形態では、超音波が約2秒以下にわたって処置ゾーンに施される場合、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーンで到達した最高温度が処置の間に45°C未満となるように、超音波を生成するように構成される。
【0042】
方法の一実施形態では、超音波が約2秒以下にわたって処置ゾーンに施される場合、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーンで到達した最高温度が処置の間に50°C未満となるように、超音波を生成するように構成される。
【0043】
方法の一実施形態では、超音波が約2秒以下にわたって処置ゾーンに施される場合、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーンで到達した最高温度が処置の間に55°C未満となるように、超音波を生成するように構成される。
【0044】
方法の一実施形態では、LOFUおよび放射線療法はシステムによって施され、上記システムは:LOFU装置を備え:上記LOFU装置は、周波数波形を生成する制御システムと;処置領域における1~1000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)の周波数波形に基づいて超音波を生成するように構成された1つ以上のトランスデューサーであって、ここで、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって処置ゾーンへと連続的に適用され、および、超音波周波数は0.01~10MHzの範囲である、1つ以上のトランスデューサーと;放射線療法機械と;第1の量の超音波と第2の量の放射線治療が被験体に施されるように、LOFU装置および放射線療法機械を制御するように動作可能に構成された制御システムであって、ここで、第1の量と第2の量はともに被験体の腫瘍を処置するのに十分な量である、制御システムとを含む。
【0045】
被験体の腫瘍を処置する方法が提供され、上記方法は、(i)ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)と、(ii)ある量の化学療法あるいはある量の放射線治療あるいはある量の免疫療法を被験体に施す工程を含み、ここで、(i)と(ii)の量はともに腫瘍を処置するのに十分な量である。
【0046】
方法の実施形態では、ある量のLOFUとある量の放射線療法が被験体に施される。方法の別の実施形態では、ある量のLOFUとある量の放射線療法が被験体に施される。方法の別の実施形態では、ある量のLOFUとある量の免疫療法が被験体に施される。
【0047】
被験体の腫瘍を処置する方法は、(i)ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)と(ii)ある量の標的抗癌治療を被験体に施す工程を含み、ここで、(i)と(ii)の量はともに腫瘍を処置するのに十分な量である。一実施形態では、標的治療は、Her2またはVEGFRを対象としたmAbを含む。一実施形態では、標的治療はチロシンキナーゼ阻害剤を含む。
【0048】
被験体の腫瘍の転移を阻害する方法がさらに提供され、上記方法は、ある量の低密度焦点式超音波(LOFU)と、ある量の放射線治療を、腫瘍を有する被験体に施す工程を含み、ここで、その量はともに被験体の腫瘍の転移を阻害するのに十分な量である。
【0049】
この方法では、放射線治療は切除型の少分割放射線療法であり得る。
【0050】
好ましくは、この方法では、LOFUは被験体の腫瘍の位置に向けられる。
【0051】
被験体の腫瘍を処置するために必要とされる抗癌化学療法の有効量を低減する方法がさらに提供され、上記方法は、腫瘍を処置するために必要とされる抗癌化学療法の有効量を減らすのに十分な量の低密度焦点式超音波(LOFU)を、抗癌化学療法を受ける被験体に施す工程を含む。
【0052】
方法の各々の実施形態では、LOFUは、化学療法または放射線療法あるいは免疫療法の前に、またはこれらと同時に、被験体に施される。
【0053】
一実施形態では、LOFUは、放射線療法が施される前に被験体に施される。
【0054】
抗癌化学療法が施される方法において、一実施形態では、抗癌化学療法は、被験体へのHSP90阻害剤の投与を含む。HSP90阻害剤は17AAG(タネスピマイシンあるいは17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシナン)であり得る。一実施形態では、化学療法剤はアルキル化薬である。一実施形態では、化学療法剤はトラベクテジンである。一実施形態では、化学療法剤はマスタードガス誘導体である。一実施形態では、化学療法剤は金属塩である。一実施形態では、化学療法剤は植物アルカロイドである。一実施形態では、化学療法剤は抗腫瘍抗生物質である。一実施形態では、化学療法剤は代謝拮抗薬である。一実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。一実施形態では、化学療法剤はプロテアソーム阻害剤である。一実施形態では、化学療法剤は化学療法剤NSAIDである。一実施形態では、化学療法剤はタモキシフェンである。一実施形態では、化学療法剤は非ステロイド性の抗アンドロゲン(NSAA)である。一実施形態では、化学療法剤はアパルタミドである。一実施形態では、化学療法剤はホルモン療法を含む。一実施形態では、化学療法剤は以下に列挙された様々な抗悪性腫瘍薬の1つである。
【0055】
方法の一実施形態では、LOFUはトランスデューサーを含む超音波機械から超音波ビームによって送達され、上記超音波機械と被験体は、腫瘍の少なくとも一部がトランスデューサーの焦点長さに位置するように配置される。
【0056】
方法の一実施形態では、LOFUは腫瘍の少なくとも一部に送達され、腫瘍の位置は画像処理技術によってモニタリングされる。磁気共鳴撮像はこうした画像処理技術であり得る。
【0057】
方法では、LOFUは、1時間未満の期間にわたって、腫瘍内の複数の点に少なくとも一回施すことが可能である。
【0058】
方法の一実施形態では、LOFUは非切除である。
【0059】
方法の一実施形態では、LOFUは0.5MHz~1.5MHzの周波数で施される。
【0060】
方法の一実施形態では、LOFUは1.5~3秒間施される。
【0061】
方法の一実施形態では、超音波ビームの焦点において、インサイチュ強度が250W/cm2~750W/cm2となるように、LOFUは超音波ビームによって施される。方法の一実施形態では、超音波ビームの焦点において、インサイチュ強度が被験体の1mm~75mmの組織深さで250W/cm2~750W/cm2となるように、LOFUは超音波ビームによって施される。方法の一実施形態では、超音波ビームの焦点において、インサイチュ強度が被験体の1mm~75mmの組織深さで350W/cm2~650W/cm2となるように、LOFUは超音波ビームによって施される。方法の一実施形態では、超音波ビームの焦点において、インサイチュ強度が被験体の1mm~75mmの組織深さで450W/cm2~550W/cm2となるように、LOFUは超音波ビームによって施される。
【0062】
LOFUは腫瘍体積全体にわたって施すことが可能であるか、あるいは腫瘍体積の一部に施すことが可能である。好ましい実施形態では、LOFUは腫瘍体積全体にわたって施される。
【0063】
方法の一実施形態では、LOFUは、腫瘍を介して1ccの腫瘍組織当たり少なくとも500~5000ジュールのエネルギーを送達する。方法の一実施形態では、LOFUは、1ccの腫瘍組織当たり少なくとも1000~4000ジュールのエネルギーを送達する。方法の一実施形態では、LOFUは、腫瘍を介して1ccの腫瘍組織当たり少なくとも2000~3000ジュールのエネルギーを送達する。一実施形態では、高密度焦点式超音波(HIFU)は被験体に施されない。一実施形態では、高密度焦点式超音波は被験体に施されていない。一実施形態では、高密度焦点式超音波は腫瘍に施されていない。
【0064】
LOFUが抗癌治療前に被験体に施される一実施形態では、LOFUが施された後、および抗癌治療が施される前には、高密度焦点式超音波は被験体に施されない。
【0065】
一実施形態では、放射線治療の量とLOFUの量の抗癌治療効果は相乗的である。
【0066】
一実施形態では、LOFUを施すことは、組織/腫瘍の温度を40°C~45°Cに上げる。一実施形態では、LOFUを施すこと、組織/腫瘍の温度を40°C以下まで上げる。一実施形態では、LOFUを施すこと、組織/腫瘍の温度を45°C以下まで上げる。一実施形態では、LOFUを施すこと、組織/腫瘍の温度を50°C以下まで上げる。HIFUは一般に、組織の温度をこれ以上上げる。
【0067】
一実施形態では、LOFUは0.5~3秒間施される。一実施形態では、LOFUは1.5~3秒間施される。一実施形態では、LOFUは100%のデューティーサイクルで施される。一実施形態では、LOFUは10、20、30、40、50、60、70、80、あるいは90%のデューティーサイクルの別の実施形態の1つで施される。
【0068】
被験体の腫瘍をある量の抗癌治療に感作させる方法が提供され、上記方法は、抗癌治療の前後、あるいはその最中に、被験体の腫瘍をある量の抗癌治療に感作させるのに効果的なある量の低密度焦点式超音波(LOFU)を、被験体に施す工程を含む。一実施形態では、抗癌治療は、化学療法、放射線治療、あるいは免疫療法、あるいは標的治療、または手術を含む。一実施形態では、抗癌治療は化学療法を含む。一実施形態では、抗癌治療は免疫療法を含む。一実施形態では、抗癌治療は放射線治療を含む。一実施形態では、抗癌治療は、例えば、腫瘍を切除するための外科手術を含む。上記方法は被験体に抗癌治療を施す工程をさらに含む場合がある。ある量の抗癌治療に腫瘍を感作させることで、腫瘍を処置に対して影響を受けやすくする。例えば、腫瘍体積の減少などの腫瘍処置を測定することができるパラメーターは、感作された腫瘍に施された所定量の抗癌治療薬に対するものの方が、同じあるいは同等の被験体における同等の質量、血管分布、位置、およびタイプの非感作腫瘍に施される同じ量の抗癌治療薬に対するものと比較してより大きい。一実施形態では、ある量の抗癌治療に被験体の腫瘍を感作するのに効果的なLOFUの量と抗癌治療は、相乗効果がある。
【0069】
本明細書に記載される方法のいずれかにおいて、被験体は哺乳動物である。一実施形態では、被験体はヒトである。
【0070】
方法で言及される腫瘍は、前立腺、乳房、鼻咽腔、咽頭、肺、硬骨、脳、唾液腺、胃、食道、軟組織、精巣、卵巣、子宮、子宮内膜、肝臓、小腸、虫垂、結腸、直腸、膀胱、胆嚢、膵臓、腎臓、膀胱、頚部、膣、外陰、前立腺、甲状腺、または皮膚、頭頸部の腫瘍であるか、神経膠腫、あるいは軟組織肉腫であり得る。一実施形態では、腫瘍は前立腺癌である。一実施形態では、腫瘍は軟組織肉腫である。一実施形態では、原発腫瘍が処置される。一実施形態では、二次腫瘍は処置され、および、例えば、転移または再発性腫瘍を含むことがある。一実施形態では、腫瘍の処置は二次腫瘍の可能性を低減する。一実施形態では、転移は1つ以上の肺転移を含む。
【0071】
用語「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、別段の定めがない限り、新生細胞の増殖を指し、前癌性と癌性の細胞および組織を含む。腫瘍は通常病変またはしこりとして現れる。一実施形態では、腫瘍は悪性新生物である。
【0072】
本明細書で使用される場合、「転移する」(あるいは文法的等価物)とは、癌または腫瘍に関して、被験体の1つの臓器あるいは組織から、最初の臓器あるいは組織から空間的に離れた被験体の別の臓器あるいは組織へと、癌あるいは腫瘍が広がることを意味する。
【0073】
本明細書で使用される場合、腫瘍を「処置する」ことは、疾患の1つ以上の症状、例えば、腫瘍そのもの、腫瘍の血管新生、あるいは疾患が特徴付けられる他のパラメーターが、減少し、改善され、阻害され、緩解の状態に置かれ、あるいは緩解の状態で維持されることを意味する。腫瘍を「処置する」ことはさらに、腫瘍の1つ以上の特徴が処置によって除去され、減らされ、あるいは防がれ得ることを意味する。そのような特徴の非限定的な例は、基底膜と近位の細胞外マトリックスの制御されない分解、内皮細胞の遊走、分裂、および新しい機能的な毛細管への組織化、ならびにそのような機能的な毛細管の存続を含んでいる。一実施形態では、腫瘍を処置することは腫瘍のサイズあるいは体積を減らすことを意味する。
【0074】
本明細書で使用される場合、被験体の腫瘍の「転移を阻害する」ことは、転移性疾患を特徴づける1つ以上の症状あるいは1つ以上の他のパラメーターが低減されるか、改善されるか、または阻害されることを意味する。こうしたパラメーターの非限定的な例は、基底膜と近位の細胞外マトリックスの制御されない分解、遠位か局所である第2の部位における、血流またはリンパ管を通る腫瘍細胞の移動、浸潤、調節異常性の癒着ならびに増殖を含む。一実施形態では、転移を処置することは、発生を低減するか、あるいは転移の進行を阻害することを意味する。
【0075】
放射線療法は当該技術分野で周知である。本明細書に包含されるような放射線治療は、身体外部にある機械により送達される医学治療用放射線(体外照射療法)、癌細胞付近の身体に配される放射性物質から送達される医学治療用放射線(体内照射療法)、または全身放射線治療を含む。本明細書に包含されるような放射線療法は、三次元原体照射治療(3DCRT)、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、体外照射療法(EBRT)、およびトモセラピーを含む。放射線療法はまた、定位手術的照射または体幹部定位放射線治療(SBRT)の一部であり得る。当該技術分野で既知の任意の粒子ビームによる送達は、例えば、陽子線治療、炭素イオン治療、あるいは、他の荷電粒子ビームも包含する。
【0076】
一実施形態において、放射線療法は、CT画像により誘導される。一実施形態において、放射線療法は、少分割コーンビームCT画像誘導放射線療法である。本明細書に記載される様々な要素の全ての組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈により明確に否定されていない限り、本発明の範囲内である。
【0077】
本発明に使用され得る化学療法剤は様々である。化学療法剤の例は、次のものを含む:タモキシフェン;アパルタミド;ホルモン療法薬;アルキル化剤(例えば、トラベクチジン(trabectidin)((1’R,6R,6aR,7R,13S,14S,16R)-6’,8,14-トリヒドロキシ-7’,9-ジメトキシ-4,10,23-トリメチル-19-オキソ-3’,4’,6,7,12,13,14,16-オクタヒドロスピロ[6,16-(エピチオプロパノ-オキシメタノ)-7,13-イミノ-6aH-1,3-ジオキソロ[7,8]イソキノ[3,2-b][3]ベンザゾシン-20,1’(2’H)-イソキノリン1-5-イル アセテート));マスタードガス誘導体(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、およびイホスファミド);エチレンイミン(例えば、チオテパおよびヘキサメチルメラミン);スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン);ヒドラジンおよびトリアジン(例えば、アルトレタミン、プロカルバジン、ダカルバジン、およびテモゾロミド);ニトロソウレア(nitrosureas)(例えば、カルムスチン、ロムスチン、およびストレプトゾシン);金属塩(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、およびオキサリプラチン);植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビンなどのビンカアルカロイド、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン、エトポシドおよびテニポシドなどのポドフィロトキシン、イリノテカンおよびトポテカンなどのカンプトテカン類似体(トポイソメラーゼ阻害剤));抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン:ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、およびイダルビシン;クロモマイシン:ダクチノマイシンおよびプリカマイシン;マイトマイシンおよびブレオマイシンなどの様々なもの);代謝拮抗薬(例えば、葉酸桔抗体:メトトレキサート;ピリミジンアンタゴニスト:5-フルオロウラシル、フロクスウリジン(foxuridine)、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン;プリンアンタゴニスト:6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン;アデノシンデアミナーゼ阻害剤:クラドリビン、フルダラビン、ネララビン、およびペントスタチン);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン(ironotecan)、トポテカン;アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド);プロテアソーム(protesomal)阻害剤;化学療法用のNSAID;および、その他の抗腫瘍薬(例えば、リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤:)ヒドロキシ尿素;副腎皮質ステロイド阻害剤:ミトタン;酵素:アスパラギナーゼとペグアスパラガーゼ;微小管阻害薬(antimicrotubule agent):エストラムスチン;レチノイド:ベキサロテン、イソトレチノイン、トレチノイン(ATRA)。
【0078】
細胞中の小胞体(ER)ストレスおよび/または小胞体ストレス応答(UPR)を引き起こす化学療法剤が、当該技術分野で知られている。例えば、プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標);以前はPS-341として知られていた)は、ERストレス応答を誘発する。また、プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブは、UPRを誘発する。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤は、ERストレス応答を誘発する。化学療法用のNSAID(例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、およびセレコキシブ)は、ERストレス応答を誘発することができ、UPRを誘発することができる。エストロゲン受容体α阻害剤、BHPI(1,3-ジヒドロ-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-7-メチル-2H-インドール-2-オン)は、UPRを活性化することができる。白金含有抗癌剤:シスプラチンは、ERストレス応答を誘発すると知られている。薬物のタキサンファミリー:パクリタキセルは、ERストレス応答を誘発すると知られている。ドキソルビシンなどのアントラサイクリンは、ERストレスを誘発すると知られている。シクロホスファミドはERストレスを誘発すると知られている。また、引用により本明細書に組み込まれる、Hetz et al., Nature Reviews, Drug Discovery, 12:703-719 (Sept., 2013)の表2も参照されたい。
【0079】
小胞体(ER)は、分泌された膜結合型タンパク質およびいくつかの小器官標的化タンパク質の合成ならびにフォールディングの部位である。ERは、細胞エネルギーレベル、レドックス状態、またはCa2+濃度を乱すストレスに対して、非常に敏感である。そのようなストレスは、ERのタンパク質フォールディング能力を低減し、これにより、折り畳まれていないタンパク質の蓄積および凝集、および/または、ERにおける内在および輸送タンパク質の負荷と、その負荷を処理する小器官の能力との間の不均衡を、結果としてもたらす場合がある。この条件は、本明細書および当該技術分野において「ERストレス」と呼ばれる。ERストレス応答は、タンパク質合成の全体的な減衰、および/または、タンパク質フォールディングを増強するERのシャペロン、酵素、および構造成分のアップレギュレーションを介して、折り畳まれていないタンパク質の負荷を軽減することにより、細胞の修復および持続した生存を促進することができる。この応答は総じて、小胞体ストレス応答(UPR)と名付けられる。折り畳まれていないタンパク質の蓄積は、PERK、ATF6、およびIRE1からのGRP78の解離を引き起こし、それによりUPRを起こす。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
HSP標的薬剤は、例えば、抗体あるいは標的タンパク質を含むことがある。
【0086】
いくつかの実施形態において、例示的なアゴニスト(活性化抗体)は、抗CD40、抗CD27、および抗OX40である。
【0087】
いくつかの実施形態において、例示的なアンタゴニスト(阻害または遮断抗体)は、抗CTLA4、抗PD1、抗PDL1、抗VISTA、および抗TIM3である。
【0088】
いくつかの実施形態において、例示的なアジュバントは、STINGL、RIGIヘリックス阻害剤、CpGオリーブ、およびTLRアゴニストである。
【0089】
いくつかの実施形態において、例示的なサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-12、IL15、IFNγである。
【0090】
方法の実施形態において、化学療法剤はHSP90阻害剤である。HSP90阻害剤の一例は、17AAG(タネスピマイシンあるいは17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシナン)である。一実施形態では、化学療法剤はアルキル化薬である。一実施形態では、化学療法剤はトラベクテジンである。一実施形態では、化学療法剤はマスタードガス誘導体である。一実施形態では、化学療法剤は金属塩である。一実施形態では、化学療法剤は植物アルカロイドである。一実施形態では、化学療法剤は抗腫瘍抗生物質である。一実施形態では、化学療法剤は代謝拮抗薬である。一実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。一実施形態では、化学療法剤はプロテアソーム阻害剤である。一実施形態では、化学療法剤は化学療法剤NSAIDである。一実施形態では、化学療法剤は、上記に列挙された様々な抗悪性腫瘍薬のうちの1つである。
【0091】
本発明により包含される化学療法剤または薬剤の他の非限定的な例は、他に明言されない限り、アントラサイクリン、マイタンシノイド、アルキル化剤、抗代謝物質、植物アルカロイドまたはテルペノイド、および細胞毒性抗生物質を含む。一実施形態において、化学療法剤は、シクロホスファミド、ブレオマイシン、エトポシド、白金薬剤(シスプラチン)、フルオロウラシル、ビンクリスチン、メトトレキサート、タキソール、エピルビシン、ロイコボリン(フォリン酸)、またはイリノテカンである。
【0092】
本明細書に包含される抗腫瘍免疫療法は、(i)癌に関連する生体分子標的に高親和性で結合する、モノクローナル抗体(裸の抗体、化学複合抗体、放射複合抗体、または毒素複合の抗体、および二重特異性抗体)、その関連する抗原結合性フラグメント、例えば、FabフラグメントまたはscFvフラグメントで構成されたフラグメント;(ii)腫瘍細胞および腫瘍細胞抗原に関して非特異性のもの;抗腫瘍免疫療法、例えば、サイトカイン、インターロイキン、インターフェロン、Flt3L、CD40L、GM-CSF、リガンドおよびアゴニスト、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR TLRリガンド、INF-α、TNF-β、抗Tie2、有機小分子(例えば、1,500ダルトン以下)あるいはサイトカインまたはサイトカイン受容体に結合する他の薬物;および、CTLA-4、PD-1、PDL-1、ならびに、免疫応答を標的とする他の有機小分子、ペプチドおよびアプタマーのいずれかを含むがこれらに限定されないチェックポイントを標的とする物質を含む。一実施形態において、本明細書に使用されるような免疫療法は、細菌ベースの抗癌性免疫療法または抗腫瘍免疫療法を除外する。1つの実施形態において、本明細書に使用されるような免疫療法は、リステリア菌ベースの免疫療法を除外する。
【0093】
一実施形態において、処置の効果の増大は、効果を増大させる方法が適用されない状態で同じ量の処置(例えば、所与の処置用量)で達成された範囲に対する、達成された治療効果の範囲の増大を意味する。
【0094】
音響刺激治療装置がさらに提供され、上記装置は:周波数波形を生成する制御システムと:処置領域における1~1000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)の周波数波形に基づいて超音波を生成するように構成された1つ以上のトランスデューサーと、を含み、ここで、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって処置ゾーンへと連続的に適用され、超音波周波数は0.01~10MHzの範囲であり、任意のビームのメカニカルインデックスは4未満である。
【0095】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーの各々は、0.05~5MHzの範囲の中心周波数と、20~1000W/cm2の音響出力強度を有する周波数波形に基づいて超音波ビームを生成するように構成される。
【0096】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーの各々は、0.5~1.5MHzの範囲の中心周波数と、20~1000W/cm2の音響出力強度を有する周波数波形に基づいて超音波ビームを生成するように構成される。
【0097】
装置の一実施形態では、各トランスデューサーは、-3dBのビームプロファイル・ウエストが処置ゾーンで5mm以上となるように、円柱状の超音波を生成するように構成される。
【0098】
装置の一実施形態では、1つ以上のビームは処置中に機械的に移動する。
【0099】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、連続的にあるいは同時に動作し、処置期間中に処置ゾーンで平均空間ピーク250W/cm2未満の超音波を生成するように構成された、2つ以上のトランスデューサーを含む。
【0100】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、10kHz~300kHzの範囲内の周波数を有する超音波を生成するように構成される。
【0101】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、300kHz~3MHzの範囲内の周波数を有する超音波を生成するように構成される。
【0102】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、300kHz3MHzの周波数で動作し、1つ以上のトランスデューサーは30~300kHzの周波数で動作する。
【0103】
装置の一実施形態では、2つ以上の超音波トランスデューサーは処置ゾーンを通る超音波ビームを生成し、各ビームは10~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。
【0104】
装置の一実施形態では、処置時間は1立方センチメートル腫瘍の当たり5秒未満である。
【0105】
装置の一実施形態では、2つのトランスデューサーは、処置ゾーン内で交差する超音波ビームを生成し、各ビームは50~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。
【0106】
装置の一実施形態では、3つのトランスデューサーは、処置ゾーンを通る超音波ビームを生成し、各ビームは50~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。
【0107】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーン内で互いに実質的に同相である超音波ビームを生成する。
【0108】
装置の一実施形態では、別々の超音波トランスデューサーから発せられる2つの超音波ビームは、実質的に同相であり、処置ゾーン内で交差し、各ビームは70~100W/cm2の範囲で交差ゾーンで音響パワー空間ピーク強度を有し、超音波は連続して1~5秒施される。
【0109】
装置の一実施形態では、別々の超音波トランスデューサーから発せられる3つの超音波ビームは、実質的に同相であり、処置ゾーン内で交差し、各ビームは50~70W/cm2の範囲で交差ゾーンで音響パワー空間ピーク強度を有し、超音波は連続して1~5秒間施される。
【0110】
装置の一実施形態では、別個のトランスデューサーから生じる超音波ビームはそれぞれ、処置ゾーンで約100~1000W/cm2の範囲のIsptaを生成する。
【0111】
装置の一実施形態では、少なくとも1つのトランスデューサーは、処置ゾーンよりもサイズが実質的に大きい高強度直径を有する超音波ビームを生成し、処置ゾーンが完全にビーム内にあるように向けられる。
【0112】
装置の一実施形態では、2つ以上の超音波ビームが経路で交差する場合に、集中処置ゾーンが形成され、集中処置ゾーンは、送信されたエネルギー方向に垂直な約1cm以上であり、さらに、送信された方向に平行に約1cm以上である。
【0113】
装置の一実施形態では、各トランスデューサーから処置ゾーンに加えられる音圧は0.1~10MPaである。
【0114】
装置の一実施形態では、集中超音波処置ゾーンを提供するトランスデューサーの数は1~1000の間である。
【0115】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーからの超音波は、処置時間の間継続的に施される。
【0116】
装置の一実施形態では、超音波は、1オン時間単位から、0~9のオフ時間単位までの範囲のデューティーサイクルで生成される。
【0117】
装置の一実施形態では、トランスデューサーは、単一周波数トーンあるいは多周波数チャープの超音波を生成するように構成される。
【0118】
装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは時間内に連続して動作する。
【0119】
装置の一実施形態では、適用の全過程の間に標的組織と標的組織のまわりの所望の周縁部に送達される総エネルギーは、周辺組織に送達される総エネルギーよりも大きい。方法の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは、超音波の周波数が適用中に掃引されるように構成される。装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは二次元のフェーズドアレイを含む。装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは環状アレイを含む。装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは三次元のフェーズドアレイを含む。装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは1つ以上の内視鏡検査装置に組み込まれる。装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは磁気共鳴撮像機械に組み込まれる。装置の一実施形態では、1つ以上のトランスデューサーは放射線療法機械に組み込まれる。
【0120】
装置の一実施形態では、超音波が約2秒以下にわたって処置ゾーンに施される場合、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーンで到達した最高温度が処置の間に45°C未満となるように、超音波を生成するように構成される。装置の一実施形態では、超音波が約2秒以下にわたって処置ゾーンに施される場合、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーンで到達した最高温度が処置の間に50°C未満となるように、超音波を生成するように構成される。
【0121】
装置の一実施形態では、超音波が約2秒以下にわたって処置ゾーンに施される場合、1つ以上のトランスデューサーは、処置ゾーンで到達した最高温度が処置の間に55°C未満となるように、超音波を生成するように構成される。
【0122】
システムがさらに提供され、上記システムは:音響刺激治療装置を含み、上記音響刺激治療装置は:周波数波形を生成する制御システムと;処置領域における1~1000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)の周波数波形に基づいて超音波を生成するように構成された1つ以上のトランスデューサーであって、ここで、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって処置ゾーンへと連続的に適用され、および、超音波周波数は0.01~10MHzの範囲である、1つ以上のトランスデューサーと;放射線療法機械と;第1の量の超音波と第2の量の放射線治療が被験体に施されるように、音響刺激治療装置と放射線療法機械を制御するように動作可能に構成された制御システムであって、ここで、第1の量と第2の量はともに被験体の腫瘍を処置するのに十分な量である、制御システムとを含む。
【0123】
システムがされに提供され、上記システムは:音響刺激治療装置を含み、上記音響刺激治療装置は:周波数波形を生成する制御システムと;処置領域における1~1000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)の周波数波形に基づいて超音波を生成するように構成された1つ以上のトランスデューサーであって、ここで、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって処置ゾーンへと連続的に適用され、および、超音波周波数は0.01~10MHzの範囲である、1つ以上のトランスデューサーとを含み、上記音響刺激治療装置は、第1の量の超音波および第2の量の化学療法が被験体に施されるように、化学療法と組み合わせて使用され、ここで、第1および第2の量はともに、被験体の腫瘍を処置するのに十分な量である。
【0124】
システムがされに提供され、上記システムは:音響刺激治療装置を含み、上記音響刺激治療装置は:周波数波形を生成する制御システムと;処置領域における1~1000W/cm2の空間ピーク時間平均音響出力強度(Ispta)の周波数波形に基づいて超音波を生成するように構成された1つ以上のトランスデューサーであって、ここで、超音波は0.5~5秒の範囲の時間にわたって処置ゾーンへと連続的に適用され、および、超音波周波数は0.01~10MHzの範囲である、1つ以上のトランスデューサーと;音響刺激治療装置は、第1の量の超音波および第2の量の免疫療法が被験体に施されるように、免疫療法と組み合わせて使用され、ここで、第1および第2の量はともに、被験体の腫瘍を処置するのに十分な量である。
【0125】
<実施例1>
B16メラノーマ腫瘍は、腫瘍特異的CD4+T細胞によるIL-2およびIFNγの生成を抑制する。メラノーマ細胞がどのようにして、腫瘍により誘発されたエフェクターCD4+T細胞応答を調節するのかを判定するために、3つの異なるマウスモデルを使用した。最初に、腰椎の側腹部にB16細胞を皮下注射することにより、C57B1/6JマウスにおいてB16-F1メラノーマ腫瘍を誘発させた。腫瘍を7~8mmの大きさに成長させ、その後、同側の鼠径流入領域リンパ節(DLN)と遠位の対側の非流入領域頚リンパ節(NDLN)の両方からCD4+T細胞を単離した。T細胞も、任意の腫瘍を抱いていなかった対照マウスから得た。腫瘍DLNから単離されたCD4+T細胞は、抗CD3および抗CD28抗体を用いてエクスビボで刺激された場合、同じマウスの遠位の対側のNDLNから単離された細胞あるいは対照腫瘍がないマウスのリンパ節から単離された細胞よりも有意に少ないIL-2を生産した。IFNγについても、類似しているが、あまり明白でない効果が観察された(
図1のAおよびB)。
【0126】
これらのデータを確認するために、代理腫瘍抗原としてOVAを発現させるように安定してトランスフェクトされた、B16-F1メラノーマ細胞株を使用した。これら細胞を、OT-IIマウス、OVA323-339ペプチドを認識する、トランスジェニックMHCクラスII制限TCRを発現するT細胞を有するマウスに皮下注射した。記載される通りにこれらのマウスからT細胞を採取して、OVA323-339ペプチドを負荷した脾細胞を使用してエキソビボで刺激した。再度生成された同側のDLNからのCD4+T細胞は、対側のNDLNまたは腫瘍がないマウスからの細胞と比較して、IL-2およびIFNγの量を著しく減少させた(
図1のCおよびD)。
【0127】
これらの結果は、Tyrp1マウスを使用した第3のモデルにおいてさらに確証され、このマウスは、チロシナーゼ関連タンパク質1が不足しており、かつ、この内因性のメラノサイト分化抗原のTRP-1113-127ペプチドに特異的なMHCクラスII制限TCRを発現するT細胞を有している。それらマウスにB16-F1細胞を注入した。前の2つのモデルのように、同側のDLNから採取されたCD4+T細胞によるIL-2およびIFNγの生成は、対側のNDLNまたは腫瘍がないマウスから採取された細胞と比較して著しく減少した。(
図1のEおよびF)。総じて、これらの結果は、メラノーマ腫瘍が、腫瘍抗原特異性CD4+T細胞の低応答性を誘発し、このことは、再刺激後にエフェクターサイトカインを生成する能力の減少を結果としてもたらす。
【0128】
LOFUによる原発性B16メラノーマの処置は、CD4+T細胞における腫瘍誘導耐性を克服し:HIFUは、腫瘍組織内部で高度の熱量を生成して、凝固壊死を引き起こすことにより、腫瘍アブレーションを優勢的に引き起こすために現在使用されている。HIFUは、局所の腫瘍管理を達成するための非常に有効で非侵襲的な切除手順ではあるが、脈管構造と組織の下部構造をほぼ一瞬にして破壊し、それにより、抗原の提示および認識のための樹状細胞および免疫細胞の浸潤を制限する。LOFUを施すことが、新しい腫瘍抗原を生成する腫瘍組織内で非致死性の熱的/機械的ストレスを誘発し、および/または、腫瘍の免疫原性を増大させ、かつCD4+T細胞の腫瘍により誘発された耐性を克服することができる、ストレス誘発性タンパク質の発現を誘発するか否かを調べた。この可能性を調べるために、C57Bl/7Jマウスの別個の群上で成長した原発性B16-F1メラノーマ腫瘍を、未処置のままにするか、あるいはLOFUで処置した。LOFU処置の36時間後、DLNおよびNDLN内在CD4+T細胞を、マウスの両方の群から単離して、抗CD3および抗CD28抗体を用いてエキソビボで再刺激した。有意により多く生成された、LOFUで処置されたマウスのDLNからのCD4+T細胞は、腫瘍が未処置のままのマウスの群から得た細胞と比較して、有意により多くのIL-2を生成した。対照的に、対応するNDLNからのT細胞は、処置済みおよび未処置のマウスにおいて同等量のIL-2を生成した(
図2のA)。これら同じマウスの実験群のIFNγの生成について、類似するがあまり明白でない効果が観察された(
図2のB)。全体として、これら結果は、B16メラノーマ腫瘍のLOFU処置がCD4+T細胞を支持して、メラノーマ腫瘍微小環境により誘発される低応答性の状態を克服するように思われ、このことは、活性化の改善と、腫瘍により誘発されたT細胞寛容の減少とを示唆していることを示す。
【0129】
メラノーマ腫瘍は、タンパク質のセットを産生する遺伝子発現のNFAT1依存プログラム誘導することができ、それはTCRシグナル伝達に干渉し、サイトカインの発現を直接阻害し、CD4+T細胞における官能性アネルギーの確立をもたらす。LOFU処置が、アネルギー誘導を妨げることにより腫瘍により誘発されたT細胞寛容を阻害し、LOFUでの処置後にDLN内在CD4+T細胞において観察されたサイトカイン発現の増大の原因となり得る可能性を判定するために、B16腫瘍を有するマウスのDLNから単離されたCD4+T細胞におけるアネルギー関連遺伝子の発現を最初にモニタリングし、同じマウスのNDLNから採取したT細胞における遺伝子の発現と比較した。担癌マウスのDLNからのT細胞は、E3ユビキチンリガーゼGrail、Cbl-b、およびItc、ならびに転写因子Egr2を含む、より高レベルのアネルギー関連遺伝子を発現させた(
図2のC)。しかし、Foxp3の発現の差は、担癌マウスのDLNおよびNDLN T細胞の間では観察されず、このことは、調節性T細胞の存在の増加が、この研究に使用される条件下でCD4+T細胞応答の減少に起因する可能性が低いことを示唆している(
図2のC)。
【0130】
その後、LOFUによるB16メラノーマの処置が、T細胞におけるそれらのアネルギー関連遺伝子の発現に対して効果があるか否かを判定した。内因性の腫瘍抗原により誘発された応答を評価するために、Tyrp1マウス上で成長するB16腫瘍を、未処置のままにするか、あるいはLOFUで処置した。CD4+T細胞をDLNおよびNDLNから単離し、様々なアネルギー関連遺伝子の発現を評価した。DLN由来のT細胞は、Grail、Itch、およびCblb、ならびに、転写因子Egr2およびGrg4、ならびにプロテアーゼCaspase3を含む、分析された7つのアネルギー遺伝子のうち6つのアネルギー遺伝子のアップレギュレーションの程度が様々であることを示した(
図2のD)。様々なインビトロおよびインビボのT細胞アネルギーモデルにおいてもアップレギュレートされる、別の転写因子(Ikaros)は、腫瘍により誘発されたアネルギーのこのメラノーマモデルにおいては有意にアップレギュレートされず、そのレベルは、DLNおよびNDLN由来のT細胞の両方においてほぼ同じのままであった(
図2のD)。興味深いことに、腫瘍をLOFUで処置すると、DLNから単離されたT細胞におけるそれらの遺伝子のうち5つ(Grail、Itch、Cblb、Egr2、およびGrg4)の発現はアップレギュレートされず、NDLNにおけるこれらの遺伝子の発現に匹敵するレベルを示し(
図2のD)、このことは、LOFU処置が、腫瘍抗原特異性CD4+T細胞におけるアネルギー誘発性遺伝子の発現の誘発を阻害したことを支持している。
【0131】
LOFUで処置されたメラノーマ腫瘍は、アネルギーの腫瘍抗原特異性T細胞を再活性化することができ:この結果は、腫瘍により誘発されたT細胞寛容がLOFU処置後に克服され得ることを支持していた。この観察は、様々なアネルギー関連遺伝子の発現が腫瘍部位のLOFU処置後に腫瘍DLN由来のT細胞において減少し、その一方で、活性化により誘発されたサイトカイン発現が、遠位のNDLNから単離されたT細胞、または対照の腫瘍がないマウスから単離されたT細胞において検出されたものに近いレベルにまで回復されたという事実により、実証された。
【0132】
LOFUは、腫瘍抗原特異性T細胞アネルギーの誘導を妨げるだけでなく、確立されたアネルギーを逆転し、以前に寛容化されたT細胞における生産的なエフェクター応答を生成するか否かについて調査した。ナイーブCD4+T細胞を、Tyrp1マウスの脾臓とリンパ節から単離し、インビトロでTH1細胞に分化し、かつ、共刺激の無い状態で抗CD3抗体を用いた部分的な刺激を介してこれらを活性化することにより、アネルギー化した。T細胞は低応答性になり、抗CD3および抗CD28の抗体での再刺激後にIL-2生成の深刻な減少を示した(
図3のA)。その後、これらアネルギー性細胞を、未処置のメラノーマ腫瘍またはLOFUで処置されたメラノーマ腫瘍の何れかに由来する溶解物を負荷したCD11c+樹状細胞で再活性化させた。未処置のB16-F1メラノーマ由来の腫瘍溶解物を負荷した樹状細胞で刺激したアネルギー性Tyrp1 T細胞は、ごく少量のIL-2を生成した。しかし、LOFUで処置した腫瘍から調製した腫瘍溶解物を樹状細胞に負荷すると、以前にアネルギー化されたT細胞は、未処置の溶解物で活性化されたもの有意により多くのIL-2を生成した(
図3のB)。これらの結果は、メラノーマ腫瘍のLOFU処置が免疫原分子の生成をもたらし、これにより、樹状細胞が、耐性を破ることができる活性化シグナルを送達することを可能にし、そうでなければ、アネルギー性T細胞が抗原との再遭遇に対して応答し、かつ生産的な応答を生成することを可能にすることを示す。
【0133】
LOFUによるメラノーマの処置は、メラノーマ腫瘍細胞における分子シャペロンカルレティキュリンおよびHsp70の発現と細胞内分布の変化を誘発し:樹状細胞によるメラノーマ特異的T細胞の活性化は、それらの運命を決定するのに重要な事象である。エフェクターT細胞応答を誘発することができる優れた抗原提示事象は、寛容原性の刺激を伝える樹状細胞の活性化状態に大きく依存する。結果は、LOFUでのメラノーマ腫瘍の処置が、腫瘍により誘発されたT細胞寛容の妨害の結果としてCD4+T細胞活性化の増大をもたらしたことを示す。このことは、より多くの免疫原性の樹状細胞集団の生成に潜在的に起因し得る。T細胞へと効率的に提示される抗原の樹状細胞の能力に対するLOFUの効果を試験するために、担癌マウスのDLN由来の全細胞を最初に分離し、処置しないか、またはLOFUで処置し、免疫染色して、フローサイトメトリーによりCD11c+樹状細胞集団上でのB7.1、B7.2、およびMHCIIの発現を測定した。LOFUで処置されたマウスにおけるこれらのタンパク質の発現の著しい増強は、検出されなかった(
図4のA)。
【0134】
カルレティキュリンおよびHsp70を含む分子シャペロンによる腫瘍抗原の輸送も、T細胞に対する抗原の後の生産的な提示に重要である。インビボおよびインビトロの両方の方法を利用して、未処置のB16メラノーマ腫瘍およびLOFUで処置されたB16メラノーマ腫瘍における膜のカルレティキュリンおよびHsp70を検出した。未処置のままの腫瘍あるいはLOFUで処置された腫瘍のいずれかを担癌マウスから採取し、単個細胞浮遊液にして、生/死のマーカーで染色して、細胞の生存率を評価した。LOFU処置に応じた細胞の生存率の差異は観察されず、このことは、FUSの低エネルギー形態が腫瘍細胞死を直接誘発していなかったという考えを支持している(
図4のB)。B16メラノーマ腫瘍を未処置のままにするか、あるいはLOFU処置に曝して、腫瘍組織切片をスライド上に置いた。免疫蛍光による後の検出のために、スライドを抗Hsp70抗体または抗カルレティキュリン抗体で染色した。LOFUで処置したメラノーマの免疫蛍光分析により、LOFUがHsp70の発現の増加を誘発したことが確認された(
図4のC)。興味深いことに、未処置の細胞と比較すると、LOFUで処置した細胞も、B16細胞上の原形質膜の不連続部位に蓄積するように思われる、カルレティキュリン分布の変化を示した(
図4C)。Hsp70発現の増大も、このタンパク質の膜における存在の増大と相互に関連したか否かを判定するために、非透過性のCD45-TRP-1+B16メラノーマ細胞をHsp70について染色し、LOFU処置後の細胞表面発現をFACSにより評価した。この分析により、B16メラノーマのLOFU処置が腫瘍細胞におけるHsp-70の膜の存在の増大を引き起こしたことが確認された(
図4のD)。
【0135】
メラノーマ腫瘍のLOFU処置は、より強力なCD4+T細胞応答を誘発するために、樹状細胞を媒介とした腫瘍抗原提示を強化し:腫瘍のLOFU処置が、内在する樹状細胞の刺激能の増大を結果としてもたらし得る可能性を判定するために、LOFUで処置した腫瘍から調製した溶解物が、抗原特異性T細胞の増大した刺激を誘発して、より強固なエフェクター応答を引き起こすのか否かを直接試験した。この実験のために、B16-F1-OVAメラノーマ細胞を使用して、C57BL/6マウスの腫瘍を誘発した。未処置の腫瘍およびLOFUで処置された腫瘍から溶解物を調製した。脾臓樹状細胞、およびレスポンダーナイーブCD4+T細胞を、それぞれC57BL/6とOT-IIの腫瘍がないマウスから単離して、上述の異なる腫瘍溶解物の存在下で、あるいは不在下で共培養した。腫瘍溶解物を含有するOVAは、レスポンダーT細胞を刺激するために腫瘍抗原のソースとして機能し得るが、外因性のOVA323-339ペプチドも追加して、全ての条件下でこのペプチドを有する樹状細胞の均一な負荷を確保して、異なる腫瘍溶解物の寛容原性または活性化の性質をより正確に判定した。
【0136】
対照のレスポンダーOT-II T細胞は、OVA323-339ペプチドを負荷した樹状細胞での活性化後、高レベルのIL-2生成を伴う強力な応答を示した。しかし、外因性のOVA323-339ペプチドを培養物に加えたとしても、未処置の腫瘍から得た溶解物は、OT-II応答を著しく阻害し、結果としてIL-2生成の深刻な減少をもたらした(
図5A)。興味深いことに、未処置の溶解物とは反対に、LOFUで処置された腫瘍由来の溶解物は、OVA323-339に対するOT-II細胞の応答に対する負の効果を持たないだけでなく、外因性のペプチドが無い状態でさえもOT-IIレスポンダーT細胞の強力な活性化を誘発することができる(
図5のA)。これらの結果は、B16メラノーマ腫瘍のLOFU処置が、腫瘍内微小環境において通常生じる樹状細胞のT細胞刺激能力に対する負の効果を妨げるという観察の更なる支持を広げた。
【0137】
次に、腫瘍DLNの内在する抗原提示細胞が、メラノーマ腫瘍のLOFU処置後の標的T細胞の活性化において、機能的に更に効果的であるか否かを判定した。その効果に対し、B16-F1メラノーマをC57BL/6マウスに誘発させ、未処置のままにするか、あるいはLOFUで処置した。DLN細胞懸濁液はT細胞が枯渇しており、そのDLN細胞懸濁液を使用して、腫瘍抗原特異生T細胞を活性化する能力およびDLN抗原提示細胞を試験した。したがって、T細胞が枯渇したDLN細胞を、ナイーブTyrp1 CD4+T細胞、およびB16のインビトロの培養物から調製した溶解物と共に、24時間共培養した。IL-2生成をELISAにより測定し、レスポンダーT細胞の刺激をモニタリングした。LOFUで処置した腫瘍を有するマウスのDLNから単離した細胞は、未処置のマウスから単離した細胞と比較して、Tyrp1 CD4+T細胞を活性化する能力が著しく増大したことを示した。(
図5のB)。これらのデータは、B16メラノーマのLOFU処置が、腫瘍抗原レスポンダーT細胞の活性化において機能的に更に効果的である抗原提示細胞の生成を結果としてもたらすことを支持している。
【0138】
LOFU、続く少分割IGRTによる腫瘍アブレーションの結果、原発性メラノーマ病変のT細胞を媒介とした制御の増強をもたらし:LOFU治療が腫瘍免疫原性を調節し、かつ抗腫瘍免疫応答を増強することができるという観察の結果を更に判定するために、原発腫瘍制御を評価する一連のインビボの処置の戦略は、右の背側後肢において皮下に位置する確立されたB16-M1腫瘍を有するマウス1匹当たり、毎日の10Gyの少分割IGRTから30Gyの全線量までを使用する腫瘍アブレーションを伴うまたは伴わないLOFUの組み合わせを用いて実行された。腫瘍体積が~50mm
3に到達した時に、全てのマウスで処置を開始した。その後、各群における腫瘍体積を、62日までの間、週3回測定した(
図7のA)。未処置のC57BL/6、またはLOFUのみで処置されたマウスが、急速な原発腫瘍増殖を経験し続け、処置の10日以内に≧300mm
3の体積に到達し、その時点で、膝下の切断(BKA)を行った(
図7のA)。対照的に、少分割IGRTまたはLOFU+IGRTの群内のマウスは、処置後最大3週間にわたって有意な成長の遅れを経験し、その後、IGRTのみで処置されたマウスは原発腫瘍の再成長を示し始め、およそ5週間で≧300mm
3の体積に到達した。注目すべきことは、LOFU+IGRT群中のマウスは持続した応答を有しており、処置後6週間以上にわたり腫瘍増殖は制限されていた。LOFU+IGRTまたはIGRTを受ける群における腫瘍体積の減少は、未処置の群またはLOFUのみの群と比較して、25日目まで統計的に有意であった(P<0.05)。さらに、LOFU+IGRTの群における腫瘍体積の減少は、IGRTのみと比較して、35日目まで統計的に有意であり、実験期間にわたって統計的に有意なままであった(P<0.05)。(
図7のA)。加えて、LOFU+IGRTの群中のマウスは、ベースライン測定値からの腫瘍の退行を実証し、完全な腫瘍のない応答を、5匹のマウスのうち4匹で確認した。
【0139】
LOFUの免疫調整効果を確証するために、同様の実験を、免疫無防備状態のBALB/cヌードモデルを使用して行った。これらのマウスにおいて、B16-M1腫瘍は非常に急速に成長し、C57BL/6マウスよりもおよそ1週間早く≧300mm
3に到達する。全体的な処置応答は類似し、未処置およびLOFUのみは有意な原発性腫瘍制御をもたらさないが、IGRTおよびLOFU+IGRTは、原発性腫瘍増殖を遅らせた(
図7のB)。しかし、IGRTとLOFU+IGRT処置の両方において、一次制御は一時的なものであった。実際、BKAは、IGRT群では処置の開始後2週間未満に必要であり、LOFU+IGRTの群では3週間未満に必要であった。加えて、免疫無防備状態のマウスにおけるLOFU+IGRTは、IGRTのみと比較すると、統計的に有意な原発性腫瘍の制御をもたらさなかった(
図7のB)。
【0140】
LOFU、その後の少分割IGRTの結果、無再発生存期間の延長、および肺転移の減少がもたらされ:データに基づき、LOFUで誘発された、増強された抗腫瘍T細胞応答は、治療的なIGRTを増大させる場合があり、局所疾患だけでなく、微視的病変および遠隔転移のより優れた制御を達成する。B16-F10は、処置されない場合に許容できないサイズへと急速に成長する活動的な細胞株であるため、>300mm3の原発腫瘍を持つマウスは、BKAを必要とした。注目すべきことに、BKAが行われるまでに、原発腫瘍由来の細胞は既に排出膝窩のLNへと広がっていた(データは示さず)。その後数週間以内に、排出膝窩(draining popliteal)のLNは急速に成長し、眼に見えて大きくなった一方で、より遠位の鼠径のLNは明らかに触知可能となった。腫瘍がこの点に到達すると、不快感を緩和するために実行され得る手順は無く、これらのマウスを屠殺した。結果的に、全生存は、大量の全身腫瘍組織量を有するマウスにおいて十分に査定することができない。それゆえ、2つの他のパラメーター:過度の局所再発の腫瘍負荷を有する、自然死したまたは屠殺した動物が正の事象として記録される、無再発生存期間と;肺転移の進行とを評価することが決定された。
【0141】
LOFU+IGRTの組み合わせは、C57BL/6マウスにおける何れかのみの処置と比べて、統計的に有意な(P=0.04)無再発生存期間の利点をもたらした(
図7のC)。特に、C57BL/6 LOFU+IGRT以外の全ての群において、排出膝窩または鼠径のLNへの局所転移は頻繁に、屠殺を用いることを必要とした。さらに、LOFU+IGRTで処置されたマウスは、肺転移の厳密な制御を示したが、他の3つの群においては、比較的小さな局所再発を伴う動物でさえ、圧倒的な肺転移により最終的に死亡した(
図7のD)。
【0142】
マウス:6-8週齢のC57BL/6、B6.Cg-Rag1 tm1MomTyrp1B-wTg(TcraTcrb)9Rest/J (Tyrp1)およびB6.Cg-Tg(TcraTcrb)425Cbn/J (0T-II)のマウス菌株を、The Jackson Laboratoryから購入した。BALBc/ヌードマウスを、Charles Riverを経由して、National Cancer Instituteから得た。マウスを全て収容し、病原体のない設備で維持した。
【0143】
B16細胞株および原発性CD4+T細胞の培養:B16-F1およびB16-F10のメラノーマ細胞株を、American Type Culture Collection (ATCC)から購入した。確立された原発腫瘍の外科切除の6週間後にC57BL/6マウスにおいて生じた転移性クローンを単離し、拡張することにより、B16-F10(B16-M1)の高度に活動的なサブクローンを生成した。B16-OVAメラノーマ細胞株は、親切にもE.M. Lord (University of Rochester Medical Center, Rochester, NY)から提供された。B16-OVA細胞によるOVAの発現を、リアルタイムPCRにより確認した。全てのメラノーマ細胞を、10%の熱不活性化FBS、2mMのL-グルタミン、および250IUのペニシリン/ストレプトマイシンで補われたDMEM(Thermo Scientific)において培養した。
【0144】
製造業者のプロトコルに従って、抗CD4結合磁気のDynabeads(Life Technologies)を使用して、CD4+T細胞を単離した。本明細書で示されるように、CD4+T細胞を、マウスIL-12(10ng/mL)(eBioscience)、抗マウスIL-4抗体(クローン11C.11;10μg/ml)、および10U/mLの組み換え型ヒトIL-2(Biological Resources Branch of the National Cancer Institute)の存在下で、プレート結合(plate-bound)抗CD3Σ(クローン2C11;0.25g
【0145】
【数1】
)および抗CD28(クローン37.51;0.25g/mL)抗体(BD Biosciences)での活性化によりTH1ヘルパー細胞へと分化し、および、10%の熱不活性化FBS、2mMのL-グルタミン、50
【0146】
【数2】
2-メルカプトエタノール、非必須アミノ酸、および必須ビタミン(Cambrex)で補われたDMEMにおいて6日間培養した。
【0147】
腫瘍モデル:ハンクス緩衝塩類溶液(Invitrogen)中で懸濁した3×105 B16-F1メラノーマ細胞を、マウスの腰椎の側腹部に皮下注射した。右後肢の背部に2×105 B16-M1細胞を注入することにより、足蹠にメラノーマ腫瘍を誘発した。
【0148】
腫瘍成長モニタリング:原発性B16-M1メラノーマの背側の後肢にある腫瘍を、ノギスを用いて週3回測定した。楕円体の式を使用して腫瘍体積を計算した:V=(π/6×長さ×幅×高さ)。原発性の背側の後肢にある腫瘍は、30~50mm3の位相I体積、90~150mm3の位相II体積、および300~500mm3の位相III体積を有する、ゴルペンツ成長を示す。それゆえ、90~150mm3までの腫瘍増殖遅延(TGD)を判定することにより処置効果を決定し、ここで、腫瘍は対数期IIである。300~500mm3に到達する腫瘍は、解剖および血管の制限により位相IIIに入り始める。結果的に、IACUCに承認されたプロトコルに従い、≧300~500mm3の腫瘍を持つマウスに膝下の切断を行った。
【0149】
ELISA:1.5~2.5×104のT細胞を、静止したままにするか、あるいは、抗CD3Σ+抗CD28抗体、1:5のT細胞:脾細胞の比率でT細胞が枯渇したOVAペプチド323-339(OVA323-339)を負荷した脾細胞、または1:3の樹状細胞:T細胞の比率でOVA323-339あるいはメラノーマ腫瘍溶解物を負荷したCD11c+精製樹状細胞(CD11c-ビーズを使用する;Miltenyi Biotech)の何れかで刺激した。培養上清を典型的に、刺激の24時間後に採取し、IL-2またはIFNのレベルをサンドイッチELISA(BD Biosciences)により測定した。
【0150】
腫瘍溶解物:腫瘍を有するマウスから腫瘍を切除し、1~2mmの片に切断し、40
【0151】
【数3】
のナイロンメッシュに通した。細胞をPBS中で洗浄し、無血清DMEMの中で再懸濁した。その後、細胞懸濁液を液体窒素中で急速凍結し、37℃で溶解させることを5サイクル行い、光顕微鏡検査による完全な溶解の目視確認を行った。溶解物を4℃で15分間、10,000gで回転させ、細胞破片を有するペレットを廃棄した。精製樹状細胞と共に上清を使用して、T細胞を刺激した。
【0152】
免疫蛍光染色腫瘍組織を単離し、PBS中で洗浄し、OCT化合物(Electron Microscopy Sciences)に包埋した。組織切片(合計)を調製し、5分間アセトンで透過処理し、30分間ヤギ血清でインキュベートして、非特異性タンパク質間相互作用を遮断した。組織切片を、以下の抗体で夜通しインキュベートした:抗カルレティキュリン(Pierce, PAS-25922)、抗Trp1(Abeam, ab3312;クローンTA99)、および抗Hsp70(Novus Biologicals,NBP1-77455)。適切な二次抗体を室温で30分間使用した。DAPI(Invitrogen)を使用して核を検出した。少なくとも10のフィールド/サンプルを、Inverted Olympus IX81蛍光顕微鏡で盲検的に分析した。
【0153】
集束超音波治療法システム。治療およびイメージングプローブシステム(TIPS, Philips Research North America, Briarcliff Manor, NY, USA)を、すべての超音波照射に対して利用した。このシステムは、集束して時空的に制御した超音波エネルギーを伝えることができ、かつ、治療制御作業端末、RF発生器および制御電子回路、8つの要素球形シェル環状アレイ超音波トランスデューサー(80mmの曲率半径、80mmの孔)、ならびに、面内のトランスデューサーの動作および超音波ビーム軸に対し垂直である正確な位置決めを可能にする動作ステージから成る。集束超音波ビームはまた、焦点の電子偏向を使用して面外のおよそ±15mmで操作され得る。超音波ビームは、薄い(25pm)円形のプラスチック膜を介して標的へと垂直に広がり、脱気水により音響結合がもたらされる。治療中、システムは、音響の出力、超音波照射期間、デューティーサイクル、および超音波振動数の調整を可能にする。
【0154】
インビボでの集束超音波(FUS)療法。純酸素中の1.5%のイソフルランの1.5リットル/分の連続流でマウスに麻酔をかけた。適切な音響結合を確かなものとするために、癌を有する脚または腰椎側面を慎重に剪毛した。動物が治療のために位置付けられると、脱気水および超音波ゲルを使用して、腫瘍をTIPSシステムに音響的に(acoustically)結合した。その後、腫瘍の中央部を、トランスデューサーから80mmの焦点距離に置いた。腫瘍体積全体にわたって伸長する1mmのグリッドパターンを使用して、超音波照射を腫瘍に送達した。グリッド点の二層(5mm間隔で置かれた)を各腫瘍に設け、結果として1腫瘍当たりおよそ160の離散性病巣および5分の暴露期間をもたらした。超音波トランスデューサーを1.0MHzで操作することにより、楕円軸に沿って測定されるように、直径およそ1.5mmおよび長さ12mm(-6dBの圧力)の楕円焦点をもたらした。腫瘍体積全体にわたって伸長する1mmのグリッドパターンを使用して、超音波照射を腫瘍に送達した。治療前に、腫瘍体積を、特定の処置のグリッドサイズを計算するために測定した。各グリッド点での超音波照射の持続時間は1.5秒であり、その後、トランスデューサーは次のグリッド点上に自動的に位置付けられ、腫瘍体積全体が覆われるまで手順を繰り返した。グリッド点の二層を各腫瘍に設けた。治療用超音波装置を、特定の音響出力/圧力レジメン:音響出力3W、ピーク負圧=2.93MPa(80mmの焦点距離)/3.81MPa(85mmの焦点距離)で連続波モードで操作して、非切除性低エネルギーFUS(LOFU)をもたらした。焦点で結果として生じるインサイチュの強度(Ispta)を、組織において4mmの深さで550W/cm2となると推測した。腫瘍への総エネルギー堆積はおよそ900Jであった。
【0155】
インビボでの少分割コーンビームCT画像誘導放射線療法(IGRT):341秒で10Gyの線量を標的腫瘍に送達するために、Xstrahl Limited’s Small Animal Radiation Research Platform (SARRP)を使用して、放射線をすべて送達した。麻酔をかけられた動物を、電動プラットフォームに取り付けられたステージに置き、腫瘍を有する右後肢を、1.5cmの接着プラットフォームまで伸ばし、上げて、固定して、外部からの組織暴露を最小限にした。一旦固定されると、コーンビームCT(CBCT)を実行し、データを、組織セグメンテーション(tissue segmentation)および処置計画のために3DSlicerで開いた。30Gyの総少分割線量の場合、3日間連続で10Gyずつ送達した。併用療法の群において、CBCTの2~4時間前にLOFUを実行した。
【0156】
肺転移の評価:自発的に死亡したか、安楽死させられたか、または8週間の実験の終わりに屠殺された動物から肺を単離した。1mLのFeketeの溶液(エタノール、氷酢酸およびホルムアルデヒドベースの漂白定着液)を注入して肺に吹き込んだ。その後、気管をクランプし、肺および心臓全体を一括して取り除き、PBSで洗浄した。その後、肺をFeketeの溶液に入れ、分析前に48時間漂白した。左肺と、右肺の4葉を分離し、解剖顕微鏡を用いて小結節を計数した。不明瞭なまたは融合した小結節は確実に数えあげることができない;それゆえ、肺を、数が多すぎて計数できないものと標識付けし、250の任意の転移数を割り当てた。ノンパラメトリックなクラスカル・ワリス検定を使用して、統計分析を行い、続いて多重比較のためのダン検定を行った。
【0157】
無再発生存期間:以下の事象を、我々の無再発生存期間分析においてポジティブ事象としてスコア化した:腫瘍病変の検死確認による自発的な死亡、排出膝窩または鼠径のリンパ節への広範囲な局所転移による安楽死、または広範囲な全身腫瘍負荷を示す瀕死状態による安楽死。以下の非腫瘍依存性死亡を、打ち切りデータとして処理した:切断の24~48時間以内の死亡または8週間の実験の終わりでの動物の屠殺。対照のまたは処置された動物の選択的屠殺を防ぐために、動物研究所の獣医が処置群および対照群から盲検化される(blinded)ように、英数字コードを使用してケージを標識付けした。マンテル・コックス検定を使用して、無再発生存期間を分析し、統計的有意差をP<0.05として定義した。
【0158】
リアルタイムPCR:RNeasy Microキット(Qiagen)を使用して、細胞から総RNAを抽出し、qScript cDNA supermix(Quanta Biosciences)を使用して、cDNAを合成した。cDNAサンプルを、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)上でレポーター色素としてPowerSYBR(Applied Biosystems)を使用して、リアルタイムPCRにかけた。試験した転写物の発現を、ベータアクチンに正規化した。使用されるプライマーセットは以下である:
【0159】
actinb:F-GTGACGTTGACATCCGTAAAGA (SEQ ID NO:1), R-GCCGGACTCATCGTACTCC (SEQ ID NO:2);Cblb:F-GCAGCATCATTGACCCTTTCA (SEQ ID NO:3), R-ATGTGACTGGTGAGTTCTGCC (SEQ ID NO:4);Grail:F-ATGCAAGAGCTCAAAGCAGGAAGC (SEQ ID NO:5), R-GTGCGCAGCTGAAGCTTTCCAATA (SEQ ID NO:6);Ikaros:F-GCTGGCTCTCGGAGGAG (SEQ ID NO:7), R-CGCACTTGTACACCTTCAGC(SEQ ID NO: 8);カスパーゼ3:F-ACGCGCACAAGCTAGAATTT (SEQ ID NO: 9), R-CTTTGCGTGGAAAGTGGAGT (SEQ ID NO:10);Egr2:F-TCAGTGGTTTTATGCACCAGC (SEQ ID NO:11), R- GAAGCTACTCGGATACGGGAG (SEQ ID NO:12);Grg4:F-TCACTCAAGTTTGCCCACTG (SEQ ID NO:13), R-CACAGCTAAGCACCGATGAG (SEQ ID NO:14);Itch:F-GTGTGGAGTCACCAGACCCT (SEQ ID NO:15), R-GCTTCTACTTGCAGCCCATC (SEQ ID NO:16);Foxp3:F-GGCCCTTCTCCAGGACAGA (SEQ ID NO:17);R-GCTGATCATGGCTGGGTTGT (SEQ ID NO:18)。
【0160】
フローサイトメトリー:免疫染色前に、細胞をFcブロック(CD16/CD32)抗体であらかじめブロックした。以下の蛍光色素結合抗体を使用した:抗B7.1、B7.2、CD11c、MHC-II、CD45の抗体、ならびに、それらそれぞれのアイソタイプ対照抗体(eBiosciences);抗Hsp70(Novus Biologicals)および抗TRP1(Abcam)。UV LIVE/DEAD(登録商標)Fixable Dead Cell Stain キット(Invitrogen)を使用することによって、死細胞を検出した。免疫染色した細胞を、LSR-II Flow Cytometer (Becton Dickinson)で分析し、FlowJoソフトウェアを使用して取得後の分析を行った。
【0161】
<実施例2>
低酸素腫瘍微小環境は、酸化小胞体(ER)ストレスをもたらし、結果として、タンパク質のミスフォールディングおよび小胞体ストレス応答(UPR)につながる。UPRはいくつかの分子シャペロンを誘発し、それは、UPRの延長された活性化が細胞死を誘発するが、タンパク質のミスフォールディングを補正し、および癌細胞の生存および殺腫瘍性の治療に対する耐性を改善する、熱ショックタンパク質90(HSP90)を含む。HSP90阻害剤、17AAGは、前立腺癌(PC)を含む、様々な固形腫瘍に対する見込みを示した。しかし、17AAGの治療量は全身毒性を引き出す。本明細書には新しいパラダイムが開示され、ここで、非切除性および非侵襲性の低エネルギー集束超音波(LOFU)と無毒な低用量の17AAGとの併用療法は、マウスおよびヒトのPC異種移植片中の合成致死および有意な殺腫瘍効果を引き起こす。LOFUは、細胞死を誘発することなく、腫瘍細胞においてERストレスおよびUPRを誘発する。無毒な用量の17AAGによる処置は、LOFU処置したPCにおいてERストレスをさらに増加させ、腫瘍においてUPRを細胞保護的な応答からアポトーシス応答に切り替え、結果として、アポトーシスおよび腫瘍増殖遅滞の有意な誘発をもたらした。LOFU誘発性のERストレスは、超音波処置した腫瘍を17AAGなどの化学療法剤に対してより感受性にする。LOFU誘発性の化学増感は、腫瘍、例えば、局所に進行したおよび再発性の腫瘍に対して使用することができる新しい治療である。
【0162】
LOFUおよび17AAG治療の処置計画および毒性:各グリッド位置について、100%のデューティーサイクル、3Wの音響出力で、および1MHzの超音波周波数を使用して、LOFUを1.5秒間施した。このプロトコルは、270W/cm2のおよそのインサイチュでの空間ピーク時間平均音響強度をもたらし、結果として3.2℃の予測された平均の腫瘍内の温度上昇につながった。処置後、脱毛、熱的損傷、または皮膚創傷などの、正常組織毒性の徴候はなかった。マウスにおける前臨床の薬物動態試験は、17AAGが広く分布し、広範囲な肝代謝を受けることを示した。17AAGの全身投与は、有意な肝毒性に関連することが知られており、これは、トランスアミナーゼおよび胆汁酸の増加、および胆嚢、総胆管、および胃腸管における薬物関連の組織病理学的病変を特徴とする。それゆえ、我々の治療に対して無毒であった17AAGの用量を判定した。C57Bl/6マウスを、1週間に3回、17AAG(25-75mg/kg体重)の腹腔内注射で処置した。対照マウスに等量のビヒクルDMSOを注入し、これを、17AAGを可溶性にするために使用した。より高用量の17AAG(体重の50~75mg/kg)処置は、未処置の対照と比較して、有意な腫瘍増殖遅滞を達成した(それぞれ、未処置の腫瘍、1879±98.65mm3対17AAG 75mg/kg体重(b.w.)、485±24.25mm3、p<0.003および50mg/kg b.w.、964mm3およびp<0.007)が、カプラン・マイヤー法は、体重の75mg/kgの用量での21日間の処置後にマウスの50%の死亡を示した。
【0163】
無毒であると分かった17AAGの低用量は、C57Bl/6マウスにおいて25mg/kgおよびBalb/cヌードマウスにおいて14mg/kgであった。したがって、これらの用量レベルを現在の試験のために選択した。その目的は、治療量以下であるが、無毒である2つの治療を組み合わせて、その組み合わせが治療的であり得るかどうかを検査することであった。LOFU+17AAGの併用処置はERストレスを増幅させる:ERにおけるミスフォールドタンパク質の蓄積は、タンパク質のミスフォールディングの補正を助けるシャペロンタンパク質の誘導でストレス応答を誘発する。ERストレスのレベルを検出するために、ERシャペロン、ERp44、ERp57、およびERp72の発現レベルを、異なる処置群間で定量化した。ERp44は、酸化タンパク質フォールディングが原因である。ERp57はER常在性チオールジスルフィドオキシドレダクターゼであるが、Erp72はジスルフィドイソメラーゼである。これらのすべてのタンパク質は、ERのタンパク質フォールディングの機構に関与する。イムノブロット解析は、処置を受けなかったあるいはLOFUまたは17AAGのみを受けた動物からの腫瘍組織と比較して、LOFU+17AAGとの併用療法後に腫瘍組織におけるERp78(p<0.03、
図9のDおよびE)、ERp44(p<0.05、
図9のDおよびG)、およびERp57(p<0.04、
図9のDおよびF)のタンパク質レベルの発現の有意な増加を実証した。これは、HSP90の17AAG媒介性の阻害が、ERにおいてアンフォールドタンパク質負荷を増大し、それによって、ERストレスを延長させ得ることを示唆している。
【0164】
LOFU+17AAGは、UPRのアポトーシス促進性の経路を活性化し、マウスおよびヒトの前立腺癌組織中のアポトーシスを誘発する:ERストレスは、UPRの3つの群を同時に活性化し、それによって、拮抗性の細胞保護的なおよびアポトーシスのシグナルを同時に生成する。細胞の運命は、ERストレスを低下させて、それによって、UPRを減弱する、そのタンパク質補正機構の能力に左右される。ERストレスが持続する場合、細胞保護的な経路は、最終的に、細胞死を引き起こすPERK媒介性のアポトーシス経路の慢性の活性化で圧倒される(overwhelmed)。
【0165】
Thr98OでのPERKのリン酸化が、その活性化状態に対するマーカーとして機能するため、イムノブロット解析を実行し、17AAGでの処置後の腫瘍組織におけるpPERKレベルの有意な増加を示したことが示された(
図10のA)。リン酸化されたPERKレベルは、未処置の腫瘍およびLOFU処置した腫瘍中には存在しなかった。しかし、LOFU+17AAGの併用療法は、PERKリン酸化の最も高いレベルを示した(
図10のA)。延長されたPERK活性化が、セリン51で翻訳開始因子eIF2αのリン酸化を介するERストレスに応じてタンパク質合成を減弱するため、リン酸化されたeIF2αのレベルを判定した。17AAGでのRM1腫瘍の処置は、未処置の対照の基礎レベルを超えるeIF2αのリン酸化を誘発した。LOFU処置は、結果として、リン酸化されたeIF2αレベルのわずかな低下をもたらした。しかし、リン酸化されたeIF2αの最も高いレベルが、LOFU+17AAGでの併用療法を受けた腫瘍において見られ(
図10のB)、これは、他の群と比較した、これらの腫瘍におけるPERKリン酸化の最も高い活性化を実証している。
【0166】
リン酸化されたeIF2αは、生存促進および抗アポトーシスのタンパク質を含む、ほとんどの細胞タンパク質の翻訳を減少させるが、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質相同タンパク質(CHOP)などの、アポトーシス促進遺伝子の転写を誘発する原因である転写因子、ATF4の翻訳を増加させ、それによって、ミスフォールドタンパク質が修復されずERストレスが持続する場合にプログラム細胞死に対して細胞を調製する。LOFU処置は、未処置の対照に対してCHOPレベル(1.6±0.7倍)を誘発しなかった。対照的に、17AAG単独による処置は、14.8±2倍までCHOP転写レベルを誘発し、これはさらに、未処置の対照と比較して、LOFU+17AAGの併用療法の群において25±1.3倍まで(p<0.006)増加した(
図10のC)。
【0167】
下流のアポトーシス遺伝子がLOFU+17AAGの併用療法によるCHOP誘発後に発現されたかどうかを検査するために、マウスのUPR qRT-PCR Arrayを、様々な処置群の腫瘍組織から単離された総RNA上で使用した。Heatmap解析は、Bax、Vcp、Pdia3、Armet、Ddit3、Mapk8、Mapk9、およびMapk10などの、アポトーシス促進性の標的遺伝子が、未処置の対照と比較して、LOFU+17AAGによる併用療法後に数倍誘発されたことを実証した(
図10のD)。LOFU単独または17AAG単独による処置でアポトーシス促進性の遺伝子の最小の誘発が生じた。この結果は、LOFU+17AAGの併用療法が、PERKを活性化し、CHOPを誘発し、およびUPRのアポトーシス促進性の経路をスイッチオンすることを示す。実際には、TUNEL染色は、LOFUが未処置の対照にわたって最小のアポトーシスを誘発することを実証した。17AAGによる処置は、前立腺腫瘍において有意なアポトーシスを誘発し、これは、LOFUによってさらに増加された(p<0.004)(
図8のE)。したがって、HSP90の17AAG媒介性の阻害およびLOFU+17AAGの併用によるCHOPの活性化は、前立腺腫瘍のアポトーシス細胞死をスイッチオンした。LOFU+17AAGは、腫瘍細胞においてシャペロン介在性オートファジー(CMA)を阻害する。
【0168】
ミスフォールドタンパク質の分解は、プロテオソーム経路およびオートファジーによって媒介される。オートファジーは、文脈依存的な役割において腫瘍形成プロセスに関係しており、ここで、それは、アミノ酸および他の必須栄養素を栄養不足である低酸素の腫瘍の代謝経路に提供する場合がある。実際には、CMA活性の増加は、種々様々なヒト腫瘍において見られ、CMAは腫瘍細胞の生存、増殖、および転移に関係している。それゆえ、オートファジーに関与する2つの重要なタンパク質、即ち、マクロオートファジーのマーカーであるBeclin、および様々な処置コホートの腫瘍組織におけるCMAのマーカーであるLAMP-2Aリソソーム受容体のレベルを定量化した。
図10に示されるように、ベクリンレベルは、LOFUまたは17AAG、あるいは併用療法では変化しないままであり(
図9のAおよびC)、これは、マクロオートファジーが超音波療法で変更されなかったことを示している。しかし、LOFU単独または17AAG単独では、LAMP-2Aの発現を誘発し(
図11のAおよびB)、これは、ERにおいてミスフォールドタンパク質の負荷を増加させる治療後のCMAの代償的増加を示している。興味深いことに、LOFU+17AAGの組み合わせは、これらの腫瘍中に見られた基礎レベルより下のLAMP-2Aのレベルを阻害した。これは、併用療法が、腫瘍細胞の増殖を低減し、CMAを抑制しながらERストレスを増大させることによってアポトーシスを誘発することを示唆している。
【0169】
LOFUは、ヒトおよびマウスの前立腺癌移植片を無毒な低用量の17AAGに感作する:LOFU単独または低用量の17AAG(25mg/kg体重)単独による処置は、正常組織の毒作用を示さなかったが、腫瘍増殖の阻害に失敗した。しかし、LOFU+17AAGの併用療法は、マウスRM1腫瘍の増殖を低減した(
図10のB)。平均の推測される腫瘍増殖は、対照群と比較して、LOFU、17AAGおよびLOFU+17AAGコホートにおいて5%(p<0.0001)、9%(p<0.0001)、および11%(p<0.0001)遅い。対照、LOFU、およびLOFU+17AAGにおいて腫瘍サイズ2000mm
3を達成するまでの中位時間は、それぞれ、18、22、および42日であった。17AAG群における動物はすべて、26~30日の時間間隔内でそのサイズを達成した。
【0170】
無毒な低用量の17AAG(体重の14mg/kg)と一緒にLOFUを適用することで、BalbCnu/nuマウス中のヒトPC3腫瘍において、類似した程度の化学増感が観察され、即時の有害な副作用なしで有意な腫瘍増殖遅滞(p<0.007)が達成された(
図5のC)。
【0171】
LOFU+17AAG処置は、腫瘍組織において前立腺癌幹細胞集団を減少させる:PC幹/前駆集団に対するLOFU+17AAG誘発性のERストレスの効果を、PC幹/前駆細胞表面マーカーのフローサイトメトリー解析によって評価した。細胞表面SCA1(
図13のAおよびB)(p<0.004)、CD44(
図13のAおよびC)(p<0.003)、CD133(
図13のAおよびD)(p<0.007)、およびα2β1インテグリン(p<0.005)(
図11のAおよびE)を発現する細胞のパーセンテージは、対照または単一処置のコホートと比較して、併用療法の群において有意に低下した。これらのすべてのマーカーの平均の蛍光強度(MF1)は、すべての3つの群において変更されないままであった。幹細胞転写因子のqRT-PCRアレイは、TIx3、Hoxall、Pcna、Gli2、Runxl、Foxa2、Sp1、Tbx5、HoxalO、Nfatcl、Gata6、およびNotch2のmRNAレベルの増加(>2倍)を実証し(
図13のF)、これは、LOFUがPC幹細胞転写シグナル伝達を誘発することを示している。17AAGによる処置はまた、LOFU処置した腫瘍中に存在するFoxPl、Nrf2f、およびPou5flなどの、いくつかの転写因子mRNAの発現を増大させた。しかし、LOFU+17AAGで処置した腫瘍は、これらの遺伝子の発現をダウンレギュレートし、これは、併用療法によるERストレスの最大化が、腫瘍中のPC幹/前駆細胞集団を減少させるかもしれないことを示唆している。
【0172】
この結果は、LOFUと化学療法の併用療法が、腫瘍中のアポトーシス促進性の遺伝子の発現を再プログラムし、腫瘍異種移植片中の広範なアポトーシスを誘発し、結果として、マウスおよびヒトのPC腫瘍の有意な腫瘍増殖遅滞をもたらすことを実証している。いくつかの実施形態では、LOFUは化学療法に対する耐性を改善することができ、化学増感を達成することができる。
【0173】
動物:5~6週齢のオスのC57Bl/6(NCI-Fort Dietrich,MD,USA)マウスおよび胸腺欠損ヌード(BalbCnu/nuマウス、Jackson Laboratory,Bay Harbor,ME,USA)マウスを、自由に維持し、すべての試験を、the Institutional Animal Care and Use Committee of the Albert Einstein College of Medicineのガイドラインおよびプロトコルの下で実行した。
【0174】
<腫瘍モデルおよび処置>
C57Bl/6およびBalbCnu/nuマウスの側腹部に、それぞれ、1×105RM-1(マウス前立腺癌細胞株)および1×106PC3(ヒト前立腺癌細胞株)の細胞を皮下注射した。およそ10日後、腫瘍が触知可能になる(直径3~5mm)と、LOFU処置を開始した。マウスを、処置を受けない群、LOFU、17AAG(InvivoGen, San Diego, CA, USA)、および17AAG+LOFUを受ける群の4つの群(n=5/群)に分けた。2週間にわたって投与された5つの画分について3~4日ごとにLOFUで明白な腫瘍を処置した。動物はこの間に17AAGを1週間3回受け取った。腫瘍体積の測定を、全身毒性の徴候(倦怠感および下痢)の同時の物理的評価とともに、ノギスを使用して週2回実行した。
【0175】
<実施例3>
【0176】
高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波アブレーション(RFA)、および寒冷療法などの切除手順は、場合によっては、樹状細胞(DC)および免疫系の他のプロフェッショナル抗原提示細胞(APC)の取り込みに利用可能となり得る、腫瘍由来のタンパク質を放出する可能性を有する。臨床のHIFUは、焦点で数分内に95~100°Cに達する高温を使用し、これにより、腫瘍細胞を即座に殺し、組織構造および血管系を破壊する。これにより、HIFUで処置された腫瘍中の免疫細胞の浸潤を妨げることができる。腫瘍細胞には熱応力に反応し、かつ免疫活性化のためのHSPなどのストレスタンパク質を引き起こす時間がない。HIFU誘導性の凝固壊死は、大量の変性腫瘍のタンパク質を放出することができるが、抗原負荷からの抗原耐性を誘導する可能性があり、および変性細胞タンパク質は、T細胞活性化のために、さらなる抗原処理およびDCによる交差提示を必要とする。細胞を殺さずに、42~45°Cに温度を上昇させることによって音波ストレスを誘導する、低エネルギー焦点式超音波(LOFU)での腫瘍の前処置は、細胞質のタンパク質変性、小胞体(ER)ストレス、および、熱ショックタンパク質(HSP)などの分子シャペロンの発現の増大を結果としてもたらすことができる。抗原処理機構は、最終的には、ミスフォールドタンパク質を、T細胞認識のために細胞表面MHCの上で提示される抗原ペプチドとして処理する。1~2日後の、LOFUで処置された腫瘍の後のHIFUへの曝露は、腫瘍細胞死、および細胞外区画と血流へのHSP腫瘍ペプチド複合体の放出、自己インサイチュの腫瘍ワクチン接種を結果としてもたらす。したがって、LOFUおよびHIFUの連続する適用は、DC活性化のための腫瘍抗原および内因性の「危険」シグナルのソースを提供し、これにより、局所的および全身性疾患の両方を制御するための治療用超音波の有効性を増強する、腫瘍特異的全身免疫応答を誘導する。
【0177】
3つのヒト前立腺癌細胞株(DU145、PC3、およびLNCap)、2つのマウス前立腺癌細胞株(RM-1およびTramp-C1)、ならびにマウスモデルを、HIFUとLOFUの併用療法の有効性について試験した。HSPの誘導をELISA、免疫蛍光染色、およびフローサイトメトリーで測定した。細胞増殖および数をELISPOTアッセイによって決定した。
【0178】
非切除LOFUを用いた前処置により、腫瘍細胞はミスフォールドタンパク質を処理することができ、1日後のHIFUを用いたその後の処置により、DCの取り込みおよびT細胞免疫の誘導のために死腫瘍細胞からHSPペプチド複合体を放出するこができる。触知可能なOVAを発現するRM1-OT腫瘍は、LOFUで、その後1日あけてHIFUで順次処置し、動物をLOFU処置後3日目、7日目、および14日目に屠殺した。一方、腫瘍特異的T細胞応答はLOFUおよびHIFU処置の1サイクルでは検出されなかったが、3日目にIFN-γ-産生細胞(PMAおよびイオノマイシンによって刺激された)の総数の適度な増加があり(110±5/2.5×105細胞LOFUならびにHIFU対未処置の66±16/2.5×105細胞、p<0.05、
図14のA)、これは、LOFUおよびHIFU処置がTh1表現型へと免疫応答を傾ける可能性があることを示した。しかし、IFNγ-分泌細胞の数は、様々な群間で統計的差異なしに、7日および14日で前処理レベルにまで減少した(データは示さず)。したがって、LOFUおよびHIFUを用いた腫瘍の反復処置は、定期的な免疫処置のためにHSPおよび腫瘍抗原の放出を促進し、腫瘍特異的免疫応答の誘導のためのワクチン接種スケジュールをシミュレートすることが可能であった。
【0179】
触知可能なRM1-OT腫瘍は、1日間隔をあけて施された連続するLOFUおよびHIFUの毎週サイクルで3回処置し、動物を最後のHIFU処置の1週間後に屠殺した。脾細胞中の腫瘍特異的T細胞の発生頻度をIFN-γ ELISPOTアッセイによって分析し、これらの腫瘍反応性T細胞の細胞毒性機能を検出した。LOFUおよびHIFUで処置されたマウスからの脾細胞を、照射されたRM1-OT細胞と共培養すると、IFN-γ-分泌RM1-OT反応性T細胞の数が増加した(LOFUおよびHIFU後の2.5×105脾細胞あたり432±65の細胞対HIFUのみの後の2.5×105脾細胞あたり15±6の細胞;
図14のB)。LOFUおよびHIFUで処置されたマウスにおける腫瘍特異的IFN-□-を放出するT細胞の発生頻度は、0.17±0.03%であった。これらの腫瘍反応性脾細胞は、これらのペプチドと共培養された場合、OVA由来のMHCクラスI拘束性ペプチド、OVA257-264(2.5×105の総脾細胞あたり149±28の細胞)ならびにMHCクラスII拘束性ペプチド、OVA323-339(2.5×105の総脾細胞あたり132±32の細胞)の両方を特異的に認識することが分かった。これに対して、LOFUのみ、あるいはHIFUのみのいずれかで処置されたマウスにおいては、有意な免疫応答は検出されなかった(両方の群において2.5×105の総脾細胞あたり15±6の細胞)。これらの結果は、LOFU+HIFUの併用療法が、代理細胞質腫瘍抗原であるOVAに対するCD4およびCD8 T細胞の両方の応答を誘発することができることを示す。HIFU処置のみでは、腫瘍組織内のHSPの細胞死および放出を誘導したが、有意な抗腫瘍細胞性免疫は誘導しなかった。
【0180】
腫瘍特異的細胞毒性Tリンパ球(CTL)を、照射されたRM1-OT細胞との培養後の脾細胞における細胞表面CD107aの存在を測定する、CD107a動員アッセイによって評価した。CD107aは、CTLによって細胞毒性脱顆粒プロセス中に細胞表面に一時的に動員されるようになる、パーフォリン/グランザイムB小胞の膜タンパク質である。CTLはすべての処置群中に存在したが、腫瘍特異的CD107a+ T細胞は、LOFUおよびHIFUで処置されたマウスにおいて最も高かった(LOFUおよびHIFUで処置されたマウル中27.88±4.80%対未処置のマウス中7.5±1.2%、p<0.05;
図14のC)。代理腫瘍抗原(OVA)に反応性だったCD8+ T細胞の割合を、H-2b/OVA257-264四量体染色(
図14のD)によって定量化した。未処置のコホートあるいは単一の処置コホートはごくわずかなOVA反応性CD8 T細胞を有していたが、LOFUとHIFUの処置後にこれらの細胞が増加し(0.12%のLOFUおよびHIFU対<0.01%の未処置)、さらにインビボの腫瘍特異的T細胞の存在を確認した。
【0181】
最後に、非切除LOFUでの前処置がHIFUの治療効果を増強するか否かを調べるために、マウスモデルの腫瘍体積を複数の日にわたって測定した(
図14のE)。HIFU曝露のための時間間隔を処置群間で同じに保った。様々な群中の腫瘍サイズは、1サイクルの超音波治療法の後に有意な差異はなかったが、2サイクル後に成長遅延が見られた。未処理の対照(p>0.05)と比較して、LOFU処置のみでは腫瘍成長率は変化しなかった。LOFUのコホートおよび未処置のコホート(p<0.05)と比較して、HIFUのみでは腫瘍成長を有意に抑制した。LOFUを用いる前処置は、相対的なマウスの写真(
図14のE、上パネル)によって示されるような、HIFU治療の腫瘍破壊性の効果を増強した(LOFUとHIFU対HIFU、p<0.01;LOFUとHIFU対LOFUあるいは無処置(NT)、p<0.001)。
【0182】
LOFUシステム:治療およびイメージングプローブシステム(TIPS, Philips Research North America, Briarcliff Manor, NY, USA)を、すべての超音波照射に対して利用した。上記システムは、8要素の球殻環状アレイトランスデューサー(8-element spherical shell annular array transducer)(80mmの曲率半径、80mmの開口部)、ならびにトランスデューサーの移動および正確な位置決めを可能にする移動ステージを含む。トランスデューサーは1.0MHzで操作され、結果として、直径およそ1.5mmおよび長さ12mm(-6dBの圧力)の焦点がもたらされた。
【0183】
LOFU処置プロトコル:処置日に、ケタミンおよびキシラジン(100 l/マウスに対して7:1mg/ml、腹腔内(i.p.))で動物に麻酔をかけた。治療のために位置付けられると、腫瘍を脱気水および超音波ゲルを使用してTIPSシステムに音響的に結合した。
【0184】
超音波照射パラメーターは以下の通りであった:0.5dB cm-1 MHz-1の減衰係数を想定して、組織中の3mmの超音波処理深さで270W/cm2のおよそのインサイチュでの空間ピーク時間平均強度(Ispta)をもたらす、3Wの音響出力および100%のデューティーサイクル。超音波照射を、腫瘍体積全体にわたって伸長する2mmのグリッドパターンを使用して、腫瘍に送達した。LOFU前に、腫瘍体積を、特定の処置のグリッドサイズを計算するために測定した。各グリッド点でのLOFU照射の持続時間は1.5秒であり、その後、トランスデューサーを次のグリッド点上に自動的に位置付け、腫瘍体積全体が覆われるまで手順を繰り返した。これは、腫瘍への不均一なエネルギー送達をもたらした。
【0185】
インビトロでの温度上昇予測:侵襲性の手段による腫瘍内の温度の予測は、併用処置の治療効果を不必要に変調する可能性がある。それゆえ、上記のセットアップおよび治療プロトコルを使用して腫瘍内の温度上昇を予測するために、超音波照射を、組織模倣ファントム内の6mm×6mmの領域内で実行し、そこに、T型熱電対(直径200pm)を3mmの深さで埋め込んだ。これらのインビトロでの照射を5回繰り返し、結果を平均した。
【0186】
インサイチュでのアポトーシスの検出:アポトーシス細胞を、TUNEL(TdT媒介ジゴキシゲニン標識したdUTPニック末端標識)染色を行うことによってインサイチュで検出した。簡潔には、パラフィン包埋切片を、脱パラフィンし、段階的なアルコールによって再水和し、ApopTagキット(Intregen Co, Norcross, GA, USA)を使用して染色した。腫瘍細胞におけるアポトーシス率を、各高倍率視野におけるアポトーシス細胞のパーセントをカウントすることによって定量化した。
【0187】
イムノブロット解析:LOFUの24時間後に、腫瘍細胞を採取し、リン酸緩衝食塩水で洗浄し、TPER(Thermo Fisher Scientific, Rockford, IL, USA)を使用して溶解した。細胞溶解物を、SDS-PAGEにさらし、フッ化ポリビニリデン膜に移し、PERK、pPERK、eIF2、peIF2、ERp72、ERp44、ERp57、Beclin(細胞シグナル伝達、Danvers, MA, USA)、Lamp2a(Abcam, Cambridge, MA, USA)に対する一次抗体、および西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体でイムノブロットした。ブロットを、ECLキット(GE Healthcare, Piscataway, NJ, USA)を使用して発展させた。各ブロットの免疫反応性バンドのデンシトメトリー分析を撮影し、その後、画像をデジタル化し、Gel Doc XRシステム(Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を使用することによって分析した。
【0188】
UPR標的遺伝子のリアルタイムPCR解析。LOFU処置の24時間後に、RM1腫瘍細胞を、RNeasy Miniキット(Qiagen, Valencia, CA, USA)から1%のβメルカプトエタノールと混合されたRLT緩衝液を使用して溶解した。
【0189】
オンカラムDNA消化を有するRNeasy MiniキットのためのQiagenのプロトコルを使用して、腫瘍溶解物からRNAを単離した。RNAサンプルを、さらなる使用前に-80℃で保存した。SuperScript(商標)First-Strand Synthesis System (Invitrogen, Grand Island, NY, USA)を使用して、単離したRNAをcDNA合成にさらした。XBP1 RNAのスプライシングを、以下のプライマー対5’-ACTCGGTCTGGAAATCTG-3’(SEQ ID NO:19)および5’-TAGCCAGGAAACGTCTAC-3’(SEQ ID NO:20)を使用して検出した(Fisher Scientific, Pittsburg, PA, USA)。標準のABgeneプロトコルに従って、Absolute QPCR SYBER Green Mix (ABgene, Rochester, NY, USA)を使用して、Light CyclerリアルタイムPCR装置(Bio Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)においてリアルタイムPCRを実行した。プライマー増幅の特異性を確認するために、PCRの終わりに融解曲線を生成し、同じプライマー対を含有している異なるサンプルは、一致するアンプリコン融解温度を示した。
【0190】
リアルタイムPCRのために使用されるプライマーは、GRP78 5’TTGCTTATGGCCTGGATAAGAGGG3’(SEQ ID NO:21)および5’TGTACCCTTGTCTTCAGCTGTCAC3’(SEQ ID NO:22);EDEM 5’ TCATCCGAGTTCCAGAAAGCAGTC 3’(SEQ ID NO:23)3および5’ TTGACATAGAGTGGAGGGTCTCCT 3’(SEQ ID NO:24)を含んでいた(Fisher Scientific)。qRT-PCRおよびリアルタイムPCR実験をすべて、3回繰り返した。アポトーシス遺伝子および幹細胞転写因子に対するqRT-PCRおよびPCRアレイを、製造業者のプロトコルに従って、SA Biosciences PCRアレイシステム(Frederick, MD, USA)によって実行した。要するに、RT2 First Strandキット(Qiagen)を使用して、精製された総RNAからcDNAを調製し、その後、SA Bioscience PCRアレイキットを使用して、PCRアレイを実行した。SA BiosciencesからのウェブベースのPCRアレイデータ解析ソフトウェアによって、データを解析した。
【0191】
フローサイトメトリー解析:様々なコホートにおいて、LOFU、17AAG、およびLOFU+17AAGにより、側腹部腫瘍を処置した。処置の24時間後に、腫瘍細胞を、コラゲナーゼ消化によって分離し、前立腺癌幹細胞マーカー、SCA1、CD44、およびCD133の発現のためにフローサイトメトリーによって分析した。FITCと結合した抗SCA1(BD Biosciences, La Jolla, CA, USA)、pacific blueと結合した抗CD133(eBioscience, San Diego, CA, USA)、およびPEと結合した抗CD44(BD Biosciences, La Jolla, CA, USA)で、単離した腫瘍細胞を染色した。LSRII(BD Biosciences)を使用して、データ取得を実行し、FlowJo v.7.1(Treestar Inc, Ashland, OR, USA)ソフトウェアによって分析した。
【0192】
カプラン・マイヤー法:異なる処置群におけるマウス生存/死亡率を、Sigma-PlotおよびGraphPad Prism (version 4.0 for OS X, San Diego, CA, USA)ソフトウェアを使用して放射線量に応じたカプラン・マイヤー法によって分析した。
【0193】
統計分析:デジタル画像に関して、サンプリング領域を、データ定量化のためのデジタル取得に対してランダムに選択した。デジタル画像データを、あらゆる処置に関して盲検方法で評価した。両側ステューデントt検定を使用して、代表的な平均値の標準誤差(SEM)を有する実験コホート間の有意差(p<0.05)を判定した。
【0194】
<実施例4>
【0195】
図17は、本発明の典型的な実施形態による、参照符号(1)によって全般的に指定された、音響刺激治療(APT)装置を示す。APT装置(1)は、電源(図示せず)によって動力を供給され、制御システム(10)、増幅器(12)、整合変成器(14)およびトランスデューサー(16)を備える。処置を提供するために、超音波トランスデューサー(16)は、患者の身体(1000)の領域の近くまたはその領域内に位置付けられ得る。臨床医は、制御システム(10)で関数発生器を使用して、トランスデューサー(16)によって送達される超音波パルスの周波数および持続時間に対する適切な調節を行うことができる。超音波トランスデューサー(16)が励起されると、トランスデューサー素子の伝達面は、超音波トランスデューサー(16)を囲む体液中に圧力波を生成する。圧力波は、その後、患者の身体(1000)内の流体および組織に伝播し、最終的に標的部位に達し、それによって、標的組織に対する非切除の音波ストレスを引き起こす。本明細書でさらに詳細に説明されるように、組織に送達された音波ストレスは、多くの治療用途を有し得、癌処置の場合には、例えば、腫瘍中の癌細胞のそのようなストレスは、結果として免疫原性の調節、放射線増感、および化学増感につながり得る。超音波トランスデューサー(16)は、さらなる処置のために患者の身体の隣接領域に再配置されてもよい。
【0196】
整合変成器(14)は、電源と超音波トランスデューサーとの間にインピーダンス変換を提供する。
【0197】
増幅器(12)は、制御システム(10)の出力信号に基づいてトランスデューサー(16)を駆動させるためのトランスデューサー駆動信号を生成する。典型的な実施形態では、増幅器(12)は、スイッチド共振型電力増幅器(switched resonant power amplifier)であり得、その一例は、米国特許第7,396,336号に開示され、その内容は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、低インピーダンス超音波駆動トランスデューサーシステムが使用され得る。
【0198】
トランスデューサー(16)は、処置ゾーンにおいて10~1000W/cm2の空間ピーク時間平均強度(Ispta)の音響出力を生成する。超音波は、0.5秒から5秒までの範囲内の時間にわたって継続的に適用され、ここで周波数は0.01~10MHzの範囲内である。いくつかの実施形態では、処置ゾーンでの任意の超音波ビームの最小直径は、約1cmである。
【0199】
図17は、本発明の典型的な実施形態による、参照符号(1)によって全般的に指定された、音響刺激治療(APT)装置を示す。APT装置(1)は、電源(図示せず)によって動力を供給され、制御システム(10)、増幅器(12)、整合変成器(14)、および超音波トランスデューサー(16)を備える。処置を提供するために、超音波トランスデューサー(16)は、患者の身体(1000)の領域の近くまたはその領域内に位置付けられ得る。臨床医は、制御システム(10)で関数発生器を使用して、トランスデューサー(16)によって送達される超音波パルスの周波数および持続時間に対する適切な調節を行うことができる。超音波トランスデューサー(16)が励起されるときに、トランスデューサー素子の伝達面は、超音波トランスデューサー(16)を囲む体液中に圧力波を生成する。圧力波は、その後、患者の身体(1000)内の流体および組織に伝播し、最終的に標的部位に達し、それによって、標的組織に対する非切除の音波ストレスを引き起こす。本明細書でさらに詳細に説明されるように、組織に送達された音波ストレスは、多くの治療用途を有し得、癌処置の場合には、例えば、腫瘍中のそのようなストレスは、結果として癌細胞の免疫原性の調節、放射線増感、および化学増感につながり得る。超音波トランスデューサー(16)は、さらなる処置のために患者の身体の隣接領域に再配置されてもよい。
【0200】
整合変成器(14)は、電源と超音波トランスデューサー(16)との間にインピーダンス変換を提供する。
【0201】
増幅器(12)は、制御システム(10)の出力信号に基づいてトランスデューサー(16)を駆動させるためのトランスデューサー駆動信号を生成する。典型的な実施形態では、増幅器(12)は、スイッチド共振型電力増幅器(switched resonant power amplifier)であり得、その一例は、米国特許第7,396,336号に開示され、その内容は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。別の実施形態では、低インピーダンス超音波駆動トランスデューサーシステムが使用され得る。
【0202】
トランスデューサー(16)は、処置ゾーンにおいて10~1000W/cm2の空間ピーク時間平均強度(Ispta)の音響出力を生成する。超音波は、0.5秒から5秒までの範囲内の時間にわたって継続的に適用され、ここで周波数は0.01~10MHzの範囲内である。いくつかの実施形態では、処置ゾーンでの任意の超音波ビームの最小直径は、約1cmである。
【0203】
図17に示される実施形態では、APT装置(1)によって生成された超音波の周波数は、約10kHz~約300kHzまでの範囲内である。しかし、本発明によるAPT装置は、例えば、約300kHz~約3MHzの範囲内の周波数などの、より高い周波数を生成し得る。
【0204】
図18に示されるように、参照符号(100)によって全般的に指定された、そのようなAPT装置の一実施形態は、制御システム(110)、増幅器(112)、整合変成器(14)、およびトランスデューサー(116)を含み得、そのような構成要素は、
図17に関して記載された機能および構造と同じ機能および構造を有する。実施形態では、トランスデューサー(116)は、別のタイプのエネルギーを音響エネルギーに変換する単一または複数の要素で構成された平面または凹面のピストン式トランスデューサーであってもよい。
【0205】
図19に示されるように、APT装置(1)およびAPT装置(100)は、参照符号(200)によって全般的に指定された単一のシステムへと統合されて、効果の改善および/またはより低い全体的なエネルギー入力をもたらし得る。総合システム(200)は、APT処置のための集束された(focused)低周波および平行にされた(collimated)高周波ビームを提供する。いくつかの実施形態では、低周波超音波は、所与の周波数または周波数の範囲を達成可能であるものに従って実質的に集束され、中間周波数は平行にされる。いくつかの実施形態では、低周波数を生成するために使用されるトランスデューサーは凹面であり、中間周波数を生成するために使用されるトランスデューサーは平面である。
【0206】
図20~22に示されるように、APT装置(1)、(100)、(200)は、参照符号(300)によって全般的に指定される超音波モニタリングシステムと協働し得る。超音波モニタリングシステム(300)は、電源(図示せず)によって動力を供給され得、制御システム(310)、増幅器(312)、およびパルス受信システム(314)を備える。超音波モニタリングシステム(300)は標的組織をモニタリングし、および/またはAPT処置前、APT処置中、および/またはAPT処置後の標的組織の画像化を提供するために使用することができ、特に、パルス受信システム(314)は、標的組織内から反射された、あるいは標的組織によってまたは標的組織内から生成された圧力波を受信するトランスデューサーを備えている場合があり、および、増幅器(312)は受信した圧力波に対応する電気信号を生成する。制御システム(310)は、処置状態および/または他のパラメーターを判定するために臨床医によって使用され得る電気信号に基づいて出力を生成する。超音波モニタリングシステム(300)は、APT装置(1)、(100)、(200)とは別の構成要素として示されるが、モニタリングおよびAPT送達が、単一システムによって実行され得ることが認識されるべきである。
【0207】
いくつかの実施形態では、超音波モニタリングシステム(300)は、処置される組織の場所に関する情報を提供するために使用される。1つ以上の非治療的な超音波送信および受信のサブシステムが、APT処置および組織に対する処置の効果をモニタリングするために使用されてもよい。
【0208】
いくつかの実施形態では、放射線療法を計画するために収集および使用されるデータも、超音波処置を計画するために少なくとも部分的に使用される。いくつかの実施形態では、APT処置の計画またはAPT処置のために収集されたデータは、放射線療法の計画に使用される。いくつかの実施形態では、放射線療法の計画のために収集されたデータは、APT処置の計画のために使用される。
【0209】
いくつかの実施形態では、APT処置の間に収集されたデータは、放射線療法の計画に使用される。
【0210】
いくつかの実施形態では、より高い周波数で実行される超音波イメージングによって部分的に特定された特定の場所を処置するために、超音波がより低い周波数で施される。
【0211】
APT処置の間に組織中のパワー蓄積(power deposition)をモニタリングするために、様々な超音波ベースのイメージングおよびモニタリングのモダリティが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、組織温度は、音響手段によってモニタリングされ得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、処置をモニタリングするために、超音波エラストグラフィが使用される。いくつかの実施形態では、処置をモニタリングするために、ハーモニックイメージングが使用される。いくつかの実施形態では、熱ひずみが測定される。いくつかの実施形態では、システムは、組織のひずみ(strain)を測定するために使用される、1つ以上の超音波送信および受信のトランスデューサーサブシステムで構成される。処置用の超音波ビームを所望の組織に向けるために、および、いくつかの実施形態においては処置用のトランスデューサーに十分な処置パワーを施す前に、組織のひずみ情報が使用されてもよい。例えば、一実施形態では、パワーが、計画された処置パワーの10~50%で処置用のトランスデューサーの1つ以上に1~3秒間適用され、標的組織のひずみが超音波フィードバックを使用して測定される。APTトランスデューサーの処置強度、適用時間、あるいはその両方を調節することができ、あるいは、トランスデューサーを物理的または電子的に再配置するか、あるいはひずみイメージングに基づいて標的組織に効果的に方向付けることができる。いくつかの実施形態では、処置のために計画された全パワーが1つ以上のトランスデューサーから施されるが、その時間は、所望の標的化が確認されるまでのひずみの測定期間中の治療効果に使用される時間よりも短い。
【0213】
いくつかの実施形態では、処置をモニタリングするために検温が使用される。患者の表面あるいは患者内の温度は、限定されないが、熱電対、光ファイバープローブ、特定のMRIパルスシーケンス、および超音波熱ひずみイメージングを含む様々な方法を使用して測定されてもよい。
【0214】
APTシステム(1)、(100)、(200)の各トランスデューサーは、単一のトランスデューサーまたは一連の複数のトランスデューサーであってもよい。
図23は、本発明の典型的な実施形態による、参照符号(400)によって全般的に指定されたトランスデューサーの斜視図である。トランスデューサー(400)は、一連のトランスデューサー素子(402)を含む。任意の数のトランスデューサー素子(402)が、方位軸に沿って連続して配されてもよい。トランスデューサー素子(402)は、バッキングブロック(backing block)(404)上で支持される。周知のように、信号リードは、各トランスデューサー素子(402)の電極と連結し、回路網を送受信する。トランスデューサー素子(402)は、送信回路網によって提供された電気信号を圧力波に変換する。
【0215】
いくつかの中間周波数の実施形態(約300kHz~約3MHz)において、2つ以上の超音波トランスデューサーは、本明細書では交差ゾーンとして示される処置ゾーン内で交差する超音波ビームを生成し、各ビームは、10~500W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。実施形態では、2つのトランスデューサーは、処置ゾーン内で交差する超音波ビームを生成し、各ビームは、20~200W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。実施形態では、3つのトランスデューサーは、処置ゾーン内で交差する超音波ビームを生成し、各ビームは、20~300W/cm2の範囲で交差ゾーンにIsptaを有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、複数のビームが、互いに実質的に同位相である。いくつかの実施形態では、別々の超音波トランスデューサーから放射される2つの超音波ビームは、実質的に同相であり、処置ゾーン内で交差し、各ビームは20~100W/cm2の範囲で交差ゾーンで音響パワー空間ピーク強度を有し、超音波は連続して1~5秒にわたって施される。いくつかの実施形態では、別の超音波トランスデューサーから放射される3つの超音波ビームは、実質的に同じ周波数および同位相であり、処置ゾーン内で交差し、および各ビームは、50~70W/cm2の範囲で交差ゾーンに音響パワー空間ピーク強度を有し、超音波は継続的に1~5秒施される。
【0217】
いくつかの実施形態では、別個のトランスデューサーまたはトランスデューサー素子から生じるビームはそれぞれ、処置ゾーン中でおよそ300W/cm2のIsptaを生成する。いくつかの実施形態では、別個のトランスデューサーまたはトランスデューサー素子から生じるビームはそれぞれ、処置ゾーン中で10~100W/cm2のIsptaを生成する。
【0218】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトランスデューサーの直径、およびこのトランスデューサーから放射される超音波ビームは、処置ゾーンより実質的に大きい。より小さなトランスデューサーと組み合わせた、そのような大きなトランスデューサーの1つ以上の使用は、有効かつ、より速い処置を達成しながら、それほど正確でない高パワーの、大量のビームの照準を好都合に可能にする。
【0219】
いくつかの実施形態では、2つ以上のビームが互いに交差する、集中的な処置ゾーンが形成され、集中的な処置ゾーンは、送信されたエネルギーの方向に対して垂直で約1cm以上であり、送信された方向に対して平行で約1cm以上でもある。
【0220】
いくつかの実施形態では、各トランスデューサーから処置ゾーンに適用された音圧は、0.1~10MPaである。
【0221】
いくつかの実施形態では、集中的な超音波処置ゾーンを提供するトランスデューサーの数は、1から1000の間である。
【0222】
いくつかの実施形態では、1つ以上の中央周波数が、約100kHz~20MHzに範囲の中央周波数による処置の間に利用される。
【0223】
いくつかの実施形態では、所与のトランスデューサーからの超音波は、継続的に施される。いくつかの実施形態では、所与のトランスデューサーから放射される超音波は、デューティーサイクルとして知られているオン時間単位およびオフ時間単位を繰り返すパルスで施される。デューティーサイクルは、1オン時間単位から9オフ時間単位までの範囲であり得る。
【0224】
いくつかの実施形態では、トランスデューサーは、単一周波音または多周波数チャープを送信する。
【0225】
いくつかの実施形態では、トランスデューサーは、適用の全経過の間に標的組織に送達された総エネルギーが、周囲組織への総エネルギーより大きくなるように、連続して操作される。
【0226】
いくつかの実施形態では、周波数は適用中に掃引され、部分的にトランスデューサーの近くのゾーンにおいて不必要に高強度のゾーンを減少させる。
【0227】
いくつかの実施形態では、処置ヘッドを含むトランスデューサーは、機械的に振動される。
【0228】
いくつかの実施形態では、トランスデューサーは、二次元フェーズドアレイ、環状アレイおよび/または三次元フェーズドアレイで構成される。
【0229】
いくつかの実施形態では、1つ以上の超音波トランスデューサーは、1つ以上の内視鏡装置に組み込まれる。
【0230】
本明細書に開示されたAPT処置システムは、体温上昇および切除熱治療(ablative thermal therapies)に共通の熱注入(thermal dosing)スキームと比較して、温熱量が少ない。いくつかの実施形態では、処置ゾーンにおいて達した最高温度は、約2秒以下続く処置の間、約45°C以下である。いくつかの実施形態では、処置ゾーンにおいて達した最高温度は、約3秒以下続く処置の間、45°C以下である。いくつかの実施形態では、処置ゾーンにおいて達した最高温度は、約2秒以下続く処置の間、50°C以下である。いくつかの実施形態では、処置ゾーンにおいて達した最高温度は、約3秒以下続く処置の間、50°C以下である。
【0231】
温熱量を考慮すると、治療効果が熱的機構によって部分的に得られることが予期される。理論によって縛られたくないが、熱効果と結び付けられた機械的効果は、開示されたデバイス、システムおよび方法を使用して、処置の効果の観察を部分的に説明し得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、接触媒質が、トランスデューサーと患者の身体との間で使用されて、超音波が効率的に送信され、いくつかの実施形態では、トランスデューサーと処置ゾーンとの間の所望の距離が提供される。いくつかの実施形態では、接触媒質を循環して、処置の間にトランスデューサーまたは患者の身体、あるいはその両方を冷却する。超音波を送信する、間隔を提供する、および患者およびシステムコンポーネントを冷却する目的のために、別の流体が使用されてもよい。
【0233】
理論によって縛られないが、本明細書に記載されるシステムを使用するAPT処置は、細胞間、および細胞とマトリックスタンパク質との間の相互作用を促進することができる。癌細胞と免疫細胞との間の相互作用、および免疫細胞間、例えば、T細胞とDCとの間の相互作用。
【0234】
いくつかの実施形態では、APT処置は、タンパク質複合体、例えば、タンパク質フォールディング複合体を破壊する可能性がある。
【0235】
複数のモダリティによる処置から恩恵を得る疾患、標的とされた処置ゾーン全体の浸透およびこれらのゾーン内の病変を有する患者のために、各モダリティの適用の緩和ならびに短期間の処置が望まれる。
【0236】
本発明の典型的な実施形態によるAPT処置装置およびAPT処置モダリティの様々な他の態様が、ここで記載される:
【0237】
<位置決め装置>
いくつかの実施形態では、トランスデューサーアプリケーターは、臨床医または介護者によって携帯され得るように設計されている。いくつかの実施形態では、アプリケーターは、
図24に示される位置決め装置(500)などの、機械的位置決め装置に取り付けられる。位置決め装置(500)は、手動で操作されるか、またはロボット制御され得る。本実施形態では、位置決め装置(500)は、トランスデューサーが移動する円弧状のレールであり、特に、トランスデューサーは、順にレールに載せられるケーブル駆動の運び台に取り付けられてもよい。トランスデューサーが三次元で位置決めされ得るように、レール自体は回転可能であってもよい。位置決め装置(500)は、患者がトランスデューサーの下に、およびその標的範囲内に収まることができるように十分に大規模であり得る。
図24は、レール上に位置決めされた1つのトランスデューサーのみを示すが、1つを超えるトランスデューサーがレール上に配されること、および/または1つ以上の他のトランスデューサーを支持する他のレールが設けられてもよいことが認識されるべきである。いくつかの実施形態では、時にヘキサポッドと呼ばれる、スチュワートプラットホームが、位置決め装置において使用されてもよい。処置パラメーターを設定し、位置決め装置を操作するために、コンピュータープログラミングが使用されてもよい。
【0238】
<機器および患者の冷却>
いくつかの実施形態では、処置システムは、超音波エネルギーまたは他のエネルギーに暴露された皮膚を冷却するための患者冷却機構を含む。
【0239】
【0240】
<音響刺激システム>
いくつかの実施形態において、音響刺激治療(APT)は、現在の治療を非常に効果的なインサイチュワクチンへと変える可能性を有している。例えば、少分割放射線治療とAPの組み合わせは、T細胞寛容を逆転し、例えば、動物またはヒトのメラノーマモデルの肺へのメラノーマの転移および患者の癌を除去することができる。動物モデルはイヌあるいはマウスの動物モデルであり得、ヒトも同様に処置することができる。いくつかの例では、APTを放射線療法(RT)と組み合わせて、全体の毒性を低減し、電離放射線量を低減し、RTのみで達成できるものとは異なり、より強力な特有の免疫原性腫瘍微小環境(TME)の損傷パターンを生成する。いくつかの例では、TME治療が達成され、転移および血管性ニッチが修飾され得る。併用効果メカニズムは解明される可能性があるが、治療は、腫瘍細胞ERストレス誘導(主にAP)、DAMP(APとRT)、およびROS&DNA損傷(主にRT)による細胞のレベルでの損傷誘発性再プログラムから始まる。DC活性化、移入リンパ節(migration lymph nodes)、細胞傷害性T細胞活性化、および腫瘍床への遊走移動が後に続くことがある。
【0241】
細胞のレベルでの損傷誘発性再プログラミングは、非切除エネルギー処置などのエネルギー処置を用いた多くの方法で引き起こされる場合がある。表3に示されるエネルギーの各々は、細胞のレベルでの再プログラミングを誘発するために使用することができ、この処置は、表2に示される処置のいずれか、およびそれらの組み合わせと組み合わせることができる。例えば、樹状細胞標的療法、エフェクターT細胞標的、または免疫チェックポイント阻害は、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)、マイクロ波、低密度焦点式超音波(LOFU)、高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波エネルギー、あるいは寒冷療法、およびそれらの組み合わせと組み合わせることができる。
【0242】
樹状細胞標的療法は、Flt3L、CD40L、GM-CSF、リガンドおよびアゴニスト、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR、TLRリガンド、INF-α、TNF-βからなる群から選択される材料を含み得る。
【0243】
エフェクターT細胞標的は、抗OX40、4-1BBL、抗foxp40 TGF-β阻害剤、抗CD137、T細胞活性化のための人工の免疫シナプス、抗CD47、抗CD27、および抗GD2からなる群から選択される材料を含み得る。
【0244】
免疫チェックポイント阻害は、抗CTL4、抗PD1、抗VISTA、tim3、およびIDO阻害剤(例えば、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX-2阻害剤、1-メチルトリプトファン、エパカドスタット、ナボキシモド)からなる群から選択される材料を含む。
【0245】
いくつかの実施形態において、音響刺激(AP)システムは、様々な超音波電界を生成するように構成される。可能性のある関連する特徴は、広い横方向フィールドの次元、低い強度、および複数の周波数で構成される。AP-1システムは、0.1~4MHzの範囲で最大16のトランスデューサー素子を用いて1~4の周波数を送達するように設定可能な4つのチャンネルユニットを備える。他の例では、AP-1システムは2つのトランスデューサーを備える場合がある。二重周波数構成は、1MHz以上で作動する1つのトランスデューサーと250kHzで作動する1つのトランデューサーで使用され得る。強度は、処置ゾーンにおいて100~500W/cm2の範囲内であり得る。APシステムは、マウス腫瘍モデルあるいは他のモダリティ、例えば、ヒト患者の腫瘍の処置体積上で使用する5~15mmの横ビームを含み得る。対照処置体積は、様々な周波数あるいは非干渉性の非切除超音波(US)電界と重複することがある。APシステムは1つのチャネル当たり1~4つのトランスデューサーを使用するように構成され得る。処置時間は1処置体積当たり1~3秒で構成されてもよく、腫瘍を処置するために複数の体積が走査される。いくつかの例では、大量のビーム交差焦点領域によって、全体の処置時間を短縮することができる。例えば、横1.2cm×縦2.0cmの楕円体は、1.5ccの体積の処置ゾーンをもたらすことができる。別の例では、110cc(直径~6cm)の腫瘍を約220秒で処置することができる。
【0246】
図25は実施形態による音響刺激(AP)システムを示す。APシステムはユーザーインタフェース、例えば、ラップトップコンピュータなどのコンピューターにつながれたコンピューターディスプレイを備える。ラップトップコンピュータはコントローラーにつなぐことができる。コントローラーはロボットアームなどのリンケージにつなぐことができる。本明細書に記載されている1つ以上の超音波トランスデューサーは、患者上で超音波トランスデューサーの配置を制御するために、ロボットアームなどのリンケージの端部に取り付けることができる。
【0247】
APシステムは、ヒトおよび大型模動物実験の臨床処置用に構成することができ、CTベースの処置計画を組み込むことができる。例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、
図25の音響刺激システムのディスプレイ上に提供され得る。
図26は、イヌ軟組織肉腫などの軟組織肉腫用のCTベースの処置計画を示す。APシステムは、ロボットアームなどのリンケージに取り付けることができるUSエラストグラフィベースの処置モニタリングを備える。例えば、照射量モニタリングフィードバック制御システムは、特に、非切除AP処置用に設計されてもよい。処置温度は熱ひずみイメージングを使用して分析することができ、例えば、50°C未満に維持することができる。切除を必要としない処置の性質は、位置合わせおよび堆積においてそれほど高い精度を必要としない場合がある。単純化されたハードウェア設計により、実質的に低コストの製品とユーザーフレンドリーな設計を作ることができる。
【0248】
APシステムは、固体表面あるいは最大8cmの深さの悪性腫瘍(放射線療法の初期の過程の候補であるか、従来の療法にもかかわらず再発性あるいは進行性である)の処置で使用するために構成され得る。ユニットでは、特定の所望の周波数および本明細書に記載される時空間的パラメーターを有するUSエネルギーを病変に向けて、病変環境を調節することができる。癌の場合には、定位放射線治療(SRT)と組み合わせた、および/または、場合によっては、他のモダリティ―と組み合わせた音響刺激治療(APT)は、抗腫瘍成分および自然免疫および適応免疫系の機能を活性化することができ、最終的に癌関連機能障害を緩和することができる。APTの利点は、速く、非侵襲性で、無輸血で、播種性疾患に対して有力なインサイチュワクチンを生成するために患者の腫瘍を利用する「ポイント・オン・クリック(point on click)」を含む。本明細書に記載されるシステムは、所望の強度、周波数、および焦点サイズのパラメーターで超音波を送達することができ、マウス癌モデルあるいは他の処置モダリティ試験、例えば、大型動物およびヒトに使用されている。
【0249】
いくつかの実施形態において、プロトタイプユニットを構築することができ、ならびに、ベンチテスト、毒性試験、および腫瘍の処置を、コンパニオンアニマルまたはヒトの癌患者に使用することができる。コンパニオンアニマルはイヌであり得る。処置計画に使用されるユニットおよびCTセグメンテーションデータを表示するGUIの概念図が
図26で見られる(処置台はシステムの一部ではない)。
【0250】
いくつかの実施形態において、音響刺激処置システムは、超音波処置サブシステム、ロボットサブシステム、および超音波診断サブシステムを備え得る。超音波処置サブシステムは、横方向に約10mm、軸方向次元に20mmの処置ゾーンを生成するために、発電機電子機器およびトランスデューサーを備え得る。2つの異なる周波数で超音波を生成する少なくとも2つの異なるトランスデューサー素子が存在し、1つは約400kHz未満の低周波数であり、もう1つは約400kHzより大きい高周波数である。いくつかの例では、処置ビームの処置ゾーンは、処置される典型的な腫瘍よりも小さな体積を生成し、さらに処置ゾーン外の健康な組織の曝露を管理するので、コンピューター制御された電動ロボットサブシステムを使用することができる。
【0251】
超音波診断サブシステムは、処置生成に使用されるものとは別個のトランスデューサー「プローブ」で構成されてもよい。他の例では、そのようなサブシステムは、処置ヘッドを配置し、エラストグラフィを使用して使用組織に対する処置効果をモニタリングすることができる。他の例では、CT DICOMデータは処置計画用にセグメント化することができる。
【0252】
ハードウェアおよびソフトウェアのアーキテクチャが
図27および28で提供される。
図29に示されるように、サブシステムは、超音波治療法を提供する位置走査ロボット、処置計画のための超音波診断画像分析アルゴリズム、処置内動作追跡および処置内照射量送達確認/測定を含み得る。超音波エラストグラフィを使用する処置変調は、システムアーキテクチャに統合することができる。特定のソフトウェアタスク、例えば、US処置のベンチテストおよび熱ひずみペックルトラッキングサブシステム、ロボット位置合わせと音響刺激処置システムソフトへの移動のための統合コード、CTセグメンテーションベースの処置計画を使用した処置アルゴリズムの設計およびコード化、すべての音響刺激処置システムソフトウェアモジュールを作業システムに統合、超音波ペックルトラッキングシステム閉ループアルゴリズムの統合、ひずみイメージングの空間分解能および温度感度の定義、腫瘍の局所処置を組み込んだ深層学習アルゴリズムの開発、が設計され得る。他の例では、(i)処置計画とモニタリングで使用するための3D超音波画像の構築とセグメンテーション、(ii)腫瘍血管系イメージング、ならびに(iii)イメージング、腫瘍生検、液体生検、音響刺激処置システムデータを含むバイオマーカーデータを、処置コース中の適応処置計画に組み合わせる機械学習アルゴリズムの開発、などのコンポーネントが生成され得る。
【0253】
いくつかの実施形態において、音響刺激処置システムユニットは、以下の一般的な動作環境を含み、本明細書に記載される他のコンポーネントで説明することができる。音響刺激処置システムは、体表面の約10センチメートル以内の望まれない組織を処置する場合がある。標的とされた組織は、望まれない組織ならびに望まれない組織を囲むマージンを含み得る。音響刺激処置システムは、超音波を生成する電源およびコントローラー、照射用器具、ならびに照射用器具を配置し、移動させるための電動ロボットを備える場合がある。音響刺激処置システムは、手術を実施することができるスタンド・アローン・システムを備えることができ、必要なディスプレイ、オペレーター制御、超音波送達システムを含み得る。いくつかの例では、音響刺激処置システムユニットは、集中型電子制御システムを備えることができ、医師が処置を制御することができる。音響刺激処置システムは、皮膚などの患者の健康な組織の安全温度を維持しながら、処置を施すことができるコントローラー手段を備え得る。温度モニタリングソフトウェアは、処置の全体にわたって各温度プローブの熱記録を記録することができる。GUIおよびソフトウェアは、患者情報、処置計画情報、処置パラメーターを入力し、手術を追跡するために使用することができる。当業者に知られているように、患者に接触する材料はすべて確立された生体適合性を有し得る。
【0254】
いくつかの実施形態において、音響刺激処置システムユニットは、超音波処置サブシステム、超音波アプリケーター、中央カート、ロボットサブシステム、照射用器具、および超音波診断サブシステムを備え得る。超音波生成サブシステムは、強度、周波数、およびデューティーを含む所望のフィールドパラメータをもたらすのに適切な超音波信号発生およびパワーを備える。いくつかの実施形態において、音響刺激処置システムの構成要素は、中央カートによって輸送されるか、あるいは患者テーブルに取り付けられてもよい。中央カートは、輸送を容易にするための車輪を含むことがある。車輪はカートが手術中に誤って動くのを防ぐために固定され得る。カートは、操作を容易にするために四輪操舵を含む場合がある。他の例では、カートは容易に転倒することができない。上記システムは、最小12フィートの病院グレードの電源コードを装備している場合がある。電源は、電力スキームを切り替えることなく、ケーブルを切り替えることにより様々な標準電圧のある国々で使用することができる。カートは、電源コードをカートの背面またはカート内に保管する手段を提供する。ユニットはさらに支持アームを含むことがある。支持アームは支持を提供し、ロボットを患者の近くに必要に応じて配置することができる。支持アームはすべての必要な電気および水路ならびに接続を含み得る。他の例では、支持アームは、処置ヘッドの最も低い面を、例えば、床から80~160cmの間に調整して、処置台に配置された患者を処置することができるように垂直高さ調整を含み得る。いくつかの例では、支持アームは旋回キャスター上にあり、処置台に近づけ、遠ざけるように操縦することができる。
【0255】
他の実施形態では、ユニットはロボットアームなどのリンケージを備え得る。ロボットアームは、照射用器具の支持重量を含む場合もある。ロボットアームは、超音波処置ビームの焦点領域が希望どおりに動かされ、配置されることを可能にし得る。ロボットアームは、任意の直線方向に100mm/秒の速さで移動することができる。いくつかの実施形態では、ユニットは照射用器具を備え得る。照射用器具は、標的とされた組織を処置するために、照射用器具の適切な位置決めのための手段を提供することができる。いくつかの例では、照射用器具は、CTまたは超音波イメージングによって確認されるように、組織が不必要に移動するように過度に患者の組織を圧縮しない場合がある。処置ヘッドは、1つ以上のUS処置トランスデューサーを含有していてもよい。標的とされた組織が連続3秒間55°Cを超えないように、照射用器具は超音波を施すことができる。所望の処置ゾーンの外の組織が連続3秒間の45°Cを超えないように、照射用器具は超音波を施すことができる。患者に接する可能性のある照射用器具の表面はすべて、生体適合性材料で製造することができる。超音波伝達材料は、照射用器具と皮膚との間に設けられてもよい。上記材料は、皮膚温度が1分間に43°Cを超えないように、必要に応じて皮膚を冷却するように機能することができる。照射用器具は、特定の解剖学的構造および身体の一部、例えば、ヒトの乳房、ヒトの前立腺、ヒトのアプリケーターおよび首の処置を支持するように、人間工学的に設計され得る。照射用器具内のトランスデューサーは、最低10分間100%のデューティーで作動することができ、このサイクルを最低1000回繰り返すことができる。照射用器具は液冷することができる。他の例では、脱気水が供給された照射用器具は水ベースであり得る。照射用器具の全重量は、例えば、1kgを超えない場合がある。他の実施形態では、ユニットは電源を含むことがある。電源はRF電源を含むことがある。RF電源は外部制御用の入力バスを有していてもよい。デューティーサイクルは0.05~1.0に調整可能であり得る。パルス幅は1マイクロセカンド~1ミリセカンドに調整可能であり得る。
【0256】
いくつかの実施形態において、ユニットは温度測定制御回路を含むことがある。上記制御回路は、各チャネルの過熱または「警報」出力機能を有する光ファイバーあるいは熱電対温度プローブの読み出しが含まれる場合がある。上記制御回路は、重要な構成要素の温度をモニタリングするための温度プローブを備えることができる。上記制御回路は、表面温度をモニタリングし、患者の快適さを保証する温度プローブを備えることができる。上記制御回路は、組織の過熱を防止するために、超音波強度が高い領域で患者に挿入するための温度プローブを備えることができる。上記制御回路は、そのフィールドマップとの関係が文書化および較正され、かつ処置前に処置領域のAMF振幅をモニタリングするために使用することができる場所でAMF振幅をモニタリングするために、少なくとも1つの較正された交流磁場(AMF)プローブを備えることができる。上記制御回路は、AMFプローブの電圧出力を受け入れるための回路を備えることができ、「警報」ポイントの指定を可能にし、プリセット値を超えたときに「警報」信号を出力する。上記制御回路は、すべての温度およびAMF振幅の「警報」出力をモニタリングし、適切な信号をRF電源に送信して処置を短縮するCPUを備えることができる。他の実施形態では、ユニットは温度測定システムを備え得る。温度測定システムは、各チャネルの過剰温度あるいは「警報」出力機能を備えた光ファイバーの温度プローブコントローラーを含むことができる。システムコントローラーは、所定条件が満たされる場合に、論理信号を送信するための出力バスを含むことがある。温度測定システムは、腫瘍周囲の温度に基づいてAMF振幅を制御するための出力を提供することができる。2つの温度プローブが処置に使用されてもよい。プローブは、例えば、皮下針の形態で、標的組織ならびに周囲組織に与えられ得る。温度プローブの表面組織は触ると滑らかであり得る。温度プローブの接続ワイヤは、ねじれ抵抗およびねじれのない5”の半径を有する場合がある。温度プローブは、48°Cで温度耐久性を有してもよく、完全なフレックスにより定値が歪むことはない。温度プローブは、保護のために、滅菌適性ポーチ(例えば、Tyvekバッグ)で包装され得る。温度プローブは、2つの完全な滅菌サイクルで検証できる場合がある。温度プローブは生体適合性要件を満たさなければならない。他の実施形態では、ユニットは冷却システムを含み得る。冷却システムは、標的組織に直接隣接して冷却を方向づける手段を有する場合がある。患者の表面温度は43°C以下に維持され得る。患者の冷却システムの接触部分は生体適合性要件を満たさなければならない。冷却システムは非金属材料で構築することができる。
【0257】
いくつかの実施形態において、ユニットは、患者に超音波を送達する照射用器具を含み得る。いくつかの構成では、照射用器具は処置ヘッドであり得る超音波トランスデューサーは、処置トランスデューサーからの超音波の交差を生成するようにアプリケーターに取り付けられてもよい。超音波トランスデューサーは、1つの低周波数のトランスデューサー(<400kHz)および/または1つの高周波数のトランスデューサー(>400kHz)を含むことがある。いくつかの実施形態において、アプリケーターは1つのUS画像イメージングプローブを含み得る。アプリケーターは、任意の身体部分を処置するために配置するのに十分に小さいが、所望の患者処置ゾーンでのビームの交差を可能にするために十分に大きいサイズであり得る。最大寸法は直径150mm×長さ150mmであり得る。最大重量は1000グラムであり得る。いくつかの実施形態において、患者の人間工学的考察は、コンパニオンアニマルおよびヒト、ならびに解剖学的位置を含み得る。アプリケーターは、表在性腫瘍について患者の体表面温度制御を妨害および促進してはならない。45°Cの最大表面温度が3秒間適用され得る。トランスデューサー冷却およびトランスデューサーと患者の接触媒質は、音響透過性ゲルの水であり得る。トランスデューサーから患者までの音響インピーダンスの整合は、水で満たされ、再循環され、脱気された(<2ppmのO2)ボーラス/カップリングコーンを含み得る。患者の体から出る超音波と吸音材との結合を利用することができる。
【0258】
いくつかの実施形態において、超音波処置パワーサブシステムは、マルチビームトランスデューサアレイに電力を供給するための複数のチャネルを備えた電源を含み得る。サブシステムはさらに、108~132VAC、48~66Hzの有用性要求を備えた超音波発生器-コントローラーユニットを含み得る。電源/発電機から個々のトランスデューサー/トランスデューサー要素までの最大の電力出力は、100W/チャネルであってもよい。超音波処置パワーサブシステムは、超音波供給業者と協力して決定される特定の設定を含むことがある。いくつかの例では、処置される解剖学的構造によっては、10mmの横方向寸法と、最大焦点距離が出口平面から20~120mmのビームが望ましい場合がある。他の例では、アレイ設計およびビーム特性は、処置アルゴリズムに対して指定され得る。
【0259】
いくつかの実施形態において、画像誘導処置計画およびモニタリング中に、CTを音響刺激処置システム前に使用して、病変および周囲組織を画像化することができる。後のシステムでは、1つ以上の診断プローブを使用した超音波イメージングを使用することができる。セグメンテーションソフトウェアおよびユーザーGUI要件は、LOFUセグメンテーションの基礎となり得るオープンソースセグメンテーションのプラットフォームとして3DSlicerを含み得る。処置計画中に、作業照射量および安全仕様は、処置ゾーン(病変+マージン10mm)を介した1~5秒間、100~500W/cm2のUS、処置ゾーンの外の軟組織体積に適用された50J未満のエネルギー、および処置ゾーンの外の骨体積に適用された50J未満のエネルギーを含む。基準(Fiducials)は、照射用器具の位置決めに使用されるRTに使用され得る。超音波の照射量のモニタリング中、組織に対する効果は、Bモードペックルトラッキングおよびエラストグラフィ方法を使用して決定されてもよい。
【0260】
他の例では、ロボットの処置ヘッドの動きを定義するアルゴリズムを使用して、処置時間を短くし、健康な組織を回避するように最適化することができる。いくつかの実施形態において、処置ヘッドのロボットの位置決めと走査は、ロボットは位置および(1)処置ヘッドビームの焦点処置ゾーンより大きい病変を処置し、(2)ヘッドビーム焦点処置ゾーンより大きい病変を処置し、(2)健康な組織の露出を低減するためのロボット制御の位置および動きを含み得る。仕様書には、幅1cm、長さ1.5cmの焦点ゾーン(-3 dB)を有する腫瘍の連続運動または0.1~1cmのステップで走査すること、あらゆる方向に最大100mm/秒の走査速度、および+/-0.1mmの位置決め精度が含まれ得る。処置ヘッドは、体表面に平行で、深さ10cm(体表面に垂直)の任意の寸法で10cmの病変サイズを処置することができる。処置ヘッドは、最大360度の回転、ならびに所望の焦点の処置体積の範囲外における、および健康な組織における照射量を減らすために部分的に使用される回転を含み得る。組織の位置は患者の処置ベッド上で処置され得る。最大ペイロードは、≧2kgであり得る。検討中のロボットアーキテクチャは、主に、回転ヘッド、スチュワートプラットホーム、および検討中のCアーム回転を備えた6DoFアームである。選択は、仕様、機能、およびコスト分析に基づき得る。6DOFは、基部が垂直面に取り付けられている場合に、Cアームモーションを可能にすることができ、推奨される実装の形態であり得る。いくつかの例では、ロボットは、手術用アーム(surgical arm)または他の手動で操作される装置に取り付けられてもよく、それにより、オペレーターがロボットを処置される組織の近くに望み通りに配置することができる。ロボット運動アルゴリズムを最適化して、処置時間を最小限に抑え、健康な組織への曝露を安全なレベルに制限することができる。視覚ガイドおよびと基準位置合わせ(fiducial registration)が、処置の準備の際の処置ヘッドの位置決めに使用されてもよい。
【0261】
いくつかの実施形態において、ハードウェアコンポーネントは、以下ものを含み、本明細書に記載される他のコンポーネントで説明することができる。コンピューターコントローラーは、SDDを搭載したDell Precision 7510コアi7 8gb RAMおよびウィンドウ10を実行しているラップトップであり得る。コンピューターは、超音波およびロボットハードウェアに十分なパフォーマンスおよび接続ポートを提供する。超音波診断/診断プローブは、Interson高性能USB接続リニアプローブおよびウィンドウ対応のハードウェアで構成される。いくつかの例では、10cmの走査深さのリニアプローブが選択され得る。さらに、LOFUの照射量をモニタリングするために開発する予定の超音波ひずみイメージングに非常に有用なRFデータへのアクセスが許可される場合がある。2つのプローブは2つの別個のシステムで使用することができる。位置決めおよび走査用のロボットは、複数の市販の6DOFアームを備えており、臨床用途のための所望の動作範囲、ペイロード要件、位置決め精度を満たし得る。超音波処置サブシステムは、専用のトランスデューサー発電システム、および信号発生器ならびにRF増幅器の特定の組み合わせのアセンブリを含むことができる。サブシステムは、トランスデューサーパワーエレクトロニクス、信号発生器および増幅器、AWG発電機、ならびにDDSを備え、B&K PrecisionはCEマークIEC 60601認定信号発生器を製造する。ユニットは、少なくとも2つの増幅器(各トランスデューサーに対して1つ)を含んでもよい。線形増幅器は、E&Iが提供するクラスa/b広帯域モジュラーユニットを備え、チューニングは不要である。これは、特定のイメージングプローブの使用など、さまざまなトランスデューサーを使用できるモジュラーシステムにおいて重要である。ハードウェアコストがE&I solutionに比べてはるかに低くなる可能性があるため、Apexのオペアンプベースの構成が好ましい場合もある。この例では、DC電源および他の要件が評価され、統合され得る。
【0262】
統合された超音波発電システムは、BioSonoおよびSonic Conceptsのユニットを備えていてもよい。システムは、AP-1ユニットで4チャネル、75ワット/ch US発生装置を提供することができる。他の例では、所望の電圧および周波数の仕様を備えた専用の2チャネルシステムを使用することができる。いくつかの例では、カスタムボードを使用することもあり、事前のエンジニアリングが必要になることもあるが、特注であり、サイズが小さく、コストが実質的に低いため、最終的には好ましい選択であり得る。精密音響は、圧電セラミックで構成される高出力トランスデューサーを備え、表面腫瘍の処置に有用な短い焦点領域で200kHz以上で使用することができる。照射用器具補助コンポーネントは、水結合脱気(water coupling degassing)トランスデューサーシステム、水結合温度制御(water coupling temperature control)、処置ヘッドハウジングおよび取り付け部品、患者固有のトランスデューサーフレームおよび結合装置、電気配線、水配管、ならびにハーネス部品を含む。いくつかの実施形態において、システムの他の構成要素は、熱電対、水脱気システム、およびシステム構成要素の電気的特徴付けのための電力計ならびにオシロスコープを含み得る。
【0263】
いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、画像誘導処置計のための画医用イメージングおよびソフトウェアシステム統合、処置モジュール、システム構成要素の制御、および研究プロトタイプにおけるGUIインターフェースを含み得る。アーキテクチャはジュール式であり、これにより、サブシステムと特定のファームウェアを迅速に統合することができる。ソースの管理はコードを管理するために使用することができる。主な処置計画インターフェースは、カスタマイズされた3DSlicer用途に組み込まれることがある。処置モジュールはロボット位置決めシステム、治療用トランスデューサー、および熱電対入力を制御することができる。US処置モニタリングについては、PLUSライブラリは、診断超音波プローブと相互作用することができ、オペレーティングシステム環境およびVisual Studio 2013などの設計ソフトウェアを使用できる。1つの、USBインターフェースを備えた7.5MHz、10cmの走査深度のリニアプローブを使用することができる。Infernoは、C#;C++で記載された既存のSlicerのコードベースで書かれたSDKを提供することができ、およびSDKのC++ラッパーが記載されている場合がある。
【0264】
いくつかの実施形態において、音響刺激処置システムユニットのための処置アルゴリズム開発は、以下のように実装することができ、本明細書に記載される他の構成要素で説明することができる。CTセグメンテーションを使用した処置計画から生成されるラスタースキャンパターン(raster scan pattern)が使用され得る。ラスタースキャンは、2~3秒の超音波を受けるなどの、超音波電界パターンによって定義される各処置体積で実施することができる、LOFUは、実質的に非切除であり、および50°C未満の温度を生成するように意図される場合がある。診断用超音波は、照射量の送達を確認し、および組織に対する照射量の効果を調べるために、処置の送達中に使用することができる。各ラスター位置で、低い「スカウト(scout)」照射量、例えば、予想される処置の照射量の30%を最初に適用し、熱的および機械的応答を評価する。超音波ベースのモニタリングを実行できるさまざまなエラストグラフィ測定の中でも、熱ひずみイメージング(TSI)として識別されるスペックルトラッキング方法を、LOFU照射量モニタリングについて最初に調べることができる。管理下のスカウト照射量の温度効果により、処置アルゴリズムを使用して、処置パワーを調整することができる。
【0265】
いくつかの実施形態において、プロトタイプユニットは、イヌまたは計画されている他の癌処置モダリティ、およびFDAに提出されたそのデータの使用、ならびに初期の実現可能性試験に適した、無駄のない標的品質システム下で設計され得る。音響刺激処置システムユニットは、製造され、ベンチテストされ、およびインビボの試験の準備ができていることが予想され得る。さらに、3つのユニットは、第1のユニットの使用に部分的に基づいて、第1のプロトタイプから修正されて生成されてもよい。ユニットは、コンパニオンアニマル癌患者の処置における使用、およびFDAに提出されたイヌの臨床試験から得られたデータの使用に適している場合がある。加えて、リスク分析、ソフトウェアアーキテクチャの評価、イヌおよびヒトの試験のプロトタイプを完了するためのエンジニアリングタスク、トランスデューサー、アンプ、位置決めロボットの選択および調達、照射用器具の設計および製造、カートの仕様/設計の調達(ロボットの取り付け構成要素を含む)、 水脱気システムの選択、およびソフトウェアアーキテクチャの開発が、ユニットには伴う場合がある。
【0266】
インビボの動物試験のためのプロトタイプについて言及されるが、本明細書に記載されるシステムはヒト患者を処置するために使用することができる。
【0267】
APユニットは、音響刺激処置システムユニットで使用することができる周波数の組み合わせを含み得る。プロトタイプは、様々なトランスデューサーの統合を容易にすることができるモジュール設計を含み得る。APシステムは、約100kHz~4Mzの範囲の様々な周波数で作動する最大で約30、最大で約25、最大で約20、最大で約15、最大で約10、あるいは最大で約5つのトランスデューサーを含み得る。APシステムは、低周波数成分および高周波数成分の同時の使用などの、マルチ周波数動作を含むことがある。マルチ周波数動作は、所望の音響刺激効果を達成するためのパワー要求の削減を含む、複数の利点を結果としてもたらすことができ、フィールド特異的な免疫原性パターンを生成することができる。1回の処置体積が増大することで、APTを生成するのに必要な電界強度の低減を達成することができる。
【0268】
処置ヘッド内の2つ以上のトランスデューサー素子の形状、サイズ、および配向を使用して、直径約6~10ミリメートルとビーム軸に沿った10~20mmの焦点処置ゾーンを形成することができる。各焦点ゾーンについて、トランスデューサーを1~5秒間作動して、40°C~50°Cの範囲の組織温度を生成することができる。位置決めおよび走査ロボットを、音響刺激処置システムの超音波領域の焦点ゾーンより広い腫瘍の処置に使用することができる。いくつかの例では、病変および周辺にわたって焦点ゾーンの走査を可能にするロボットのサブシステムが、音響刺激処置システム装置へ組み込まれてもよい。ロボットのサブシステムは4~6の自由度(DoF)のロボットアームを含み得る。
【0269】
図30は、イヌなどの哺乳動物の軟部肉腫に典型的である、代表的な大きな表面腫瘍を処置するための所望の運動および6DoFのロボットを示す。その運動は、並進運動、回転運動、およびその組み合わせを含み得る。ロボットは、健康な組織への曝露を低減するように環状あるいは他のパターンの処置ヘッドを回転させることができる。
図30は、いくつかの実施形態によるそのようなロボットアームを示す。いくつかの例では、ロボットは、ロボットの評価のために1回のショットで処置することができない大きな腫瘍を処置するために使用され得る。診断用超音波を、病変マッピングおよび処置計画プロセスで使用して、位置の検証、および、例えば、CTデータを使用しない処置計画を行うことができる。US画像セグメンテーション中に、精密ロボットが提供されてもよく、処置超音波トランスデューサーを備えるアームに取り付けられてもよい。走査型超音波プローブからの2Dから3Dへの再構成は、共通の基準系に対して各2D sliceの正確な位置および配向を知ることから利益を得ることができる。ロボットは数ミリメートル程度の誤差を取り除くように調整される場合がある。ロボットは、5ミクロンの位置精度を有し、高精度であり得る。ロボットの一部はアルミニウムの単一部品から精密機械加工されており、すべての距離および角度が正確に分かっており、ならびに音響刺激処置システムへの統合が予定されているため、ロボットは調整を必要としない場合がある。ロボットは、マルチビーム処置ヘッドをさらに含むことがあり、これは、
図31に示されるように、回転すると周囲組織に対して集点ゾーンへの照射量を増加させる。トランスデューサーは同じまたは異なる周波数であり得る。ロボットアームは手首および指を備えていてもよく、複数のトランスデューサーの各々の配向および位置を制御するために、各指の端部にトランスデューサーが取り付けられている。
【0270】
<超音波診断および処置モニタリングサブシステム>
いくつかの実施形態において、リアルタイムでの処置モニタリングおよび温度測定は、熱電対プローブを使用する腫瘍内温度測定、US誘導イメージングまたはMRI誘導イメージング、ならびに熱ひずみイメージングを含む、様々な方法を使用して達成することができる。診断用超音波プローブおよびひずみイメージングは、組織における超音波吸収を定量化することにより、処置されている所望の体積の有用な検証をもたらすために使用でき、かつ処置用照射量をモニタリングおよび調整する手段としても使用できる。腫瘍の範囲を調べて、温度が上昇したひずみを較正し、および有効性があるひずみイメージングを相関させることができる。したがって、腫瘍の流動性、血管分布、および突然変異負荷の関数としてのひずみに対する超音波の効果を決定することができる。
【0271】
超音波ひずみイメージング法はさらに、超音波処置の非観血的モニタリングを可能にする。組織は、超音波によって生成された圧縮および希薄化圧力波に対して減衰振動子として応答することができる。APは、組織の性質を調べるための特有の時空間的超音波強度および周波数プロファイルを提供することができる。いくつかの例では、AP処置前、AP処置中、およびAP処置後のエラストグラフィベースの評価は、イメージング、処置計画、処置モニタリング、ならびに腫瘍環境のバイオマーカーの識別に特有の機会を提供する場合がある。超音波で誘導された超音波治療法は、治療モダリティの直接のモニタリングを提供することがある。他の例では、USベースの腫瘍の特性付けは、生検の頻度と数を減らし、生検と血液検査で得られる情報を増やすことができる。熱的切除HIFU処置のモニタリングに使用されるMRIと比較すると、USで誘導されたUS処置は、はるかに安価な設備およびより小規模のインフラを必要とし、かつ患者により迅速に施すことができる。
【0272】
いくつかの例では、7.5MHz、10cmの走査深度のリニアプローブを、構築された音響刺激処置システム、例えば、ロボットアーム上に統合することができ、および、スペックルトラッキング実験を実施することができる。他の例では、LOFU処置で誘発される温度変化は、局所的な熱ひずみを測定することによって決定することができる。局所的な熱ひずみは、温度に基づく音速の変動によって引き起こされた公称ひずみである可能性がある。温度変化を決定することにより、1つ以上の個別の点しか得られない、組織に埋め込まれた1つ以上の侵襲性熱電対とは対照的に、処置領域全体の温度マップを非侵襲的に生成することができる。熱ひずみは、生のRFデータをスペックルの変位を追跡することにより評価され得る。熱ひずみイメージング設計を、ロックマッチングアルゴリズムを使用して初期化して、RFデータのフレーム間の運動を計算することができる。現時点での画像の各ブロックについては、アルゴリズムは周囲の近傍を検索して、最も一致するブロックを探すことができる。ブロックとその最大の一致の間のベクターは、そのようなブロックの変位を提供できる。正規化された相互相関を類似性メトリックとして使用してもよい。反復性ベイズの正則化補間(Iterative Bayesian regularization interpolation)は、理想的な変位を特定して、変位画像のノイズを低減するためのサブサンプル精度を提供することができる。組織の熱性質に基づいて熱ひずみを計算するために変位を使用してもよい。測定方法は最大50°Cまで有効であり、これは、HIFUには適切ではないが、組織の熱膨張が熱ひずみを圧倒することができる音響刺激用途において、温度上昇に有利に適合する。処置の適用による温度変化(5~15°C)は、有用な熱ひずみ画像(1~2%の全ひずみ)を生成するのに十分であり得る。局所組織の温度変化による生の超音波(高周波)信号を追跡するために使用される、正規化された相互相関の実施を決定することができる。一致するカーネルと検索領域との間の二次元の正規化された相関は、局所的に一致するメトリック画像を形成することができる。そのような一致するメトリック画像におけるピーク値を使用して、局所的信号変位を決定することができる。USパワーシステムを統合することができ、および、処置モニタリングをゲルファントムにおいて開発することができる。
【0273】
<制御システム>
本明細書で使用される制御システムは、本明細書に記載されるシステムの実施形態の構成要素であり、本明細書に記載されるシステムの実施形態の特定の機能を作動させるように構成される。制御システムはプロセッサーを備える。
【0274】
<音響刺激処置システム装置の前臨床の試験>
本明細書で提供される教示に基づいて、当業者は、動物実験を行い、本明細書に記載されるヒトを処置するシステムを開発することができる。
【0275】
いくつかの例では、臨床開発の時間が短縮され、免疫療法装置は、動物およびヒトの特定の癌を処置するために迅速かつ広く商業化される可能性がある。軟部織肉腫は、イヌではヒトの約5倍多く発生し、イヌの手足の簡単にアクセスできる表面的な場所で発生する可能性がある。
【0276】
いくつかの例では、ネオアジュバントは、免疫応答の正体暴露(debunking)および活性化を含む場合がある。処置後の切除は、TMEに対する処置効果の早期の直接評価を提供することができる。TMEエンジニアリングが主要な戦略であるため、ネオアジュバントの使用は、局所効果の確立において、およびこれらの効果が全身的な免疫応答を生成することができるか否かの判定において特に有益であり得る。ネオアジュバント処置、生検、血液サンプル、ならびにそこから得られたデータは、他の適応症、および外科的切除なしの肉眼的疾患(gross disease)の処置での使用を促進するために使用できる。乳腺腫瘍摘出術前のネオアジュバント体幹部定位放射線治療(SBRT)レジメンを使用して、乳腺腫瘍を処置することができる。第1の方法は、自然発生的な原発性癌において免疫調節効果を生み出すためのLOFU照射量の最適化を含み得る。腫瘍は、限局性の非転移性軟部肉腫、メラノーマ、および乳房腫瘍からなる群から選択され得る。1照射量レベル当たり6の患者を用いて、LOFUの3つの照射量レベルを試験することができる。免疫表現型を決定してTMEにおけるLOFUの免疫調節効果を決定するために、LOFU前およびLOFU後の腫瘍組織サンプルを採取する場合があり、全身の変化を評価するために血液サンプルを採取する場合がある。この方法は、生検原発性腫瘍および血液と末梢血単核細胞(PBMC)の採取、外部LOFU処置、生検または原発腫瘍および排出リンパ節の生検あるいは切除、LOFU処置前後のPBMCの採取、ならびに患者のための標準的なケア療法からなる群から選択することができる 。方法の読み出しは、LOFUの前後の組織の免疫表現型を決定することを含み得る。サンプルは、腫瘍とdLNのサンプルの免疫組織化学/免疫蛍光検査法(IHC/IF)、腫瘍とPBMCのサンプルのフローサイトメトリー、および腫瘍サンプルのRNASeqを含み得る。腫瘍とdLNのサンプルのIHC/IFは、ヘマトキシリン-エオジン(H&E)、CD3、FOXP3、およびHLA-DRなどの基準的な既知のマーカーから選択され得る。腫瘍とPBMCのサンプルのフローサイトメトリーは、T細胞活性化マーカー(サイトカイン産生)、樹状細胞(活性化マーカー)、および骨髄性細胞ならびにマクロファージから選択され得る。RNASeqは1つ以上の腫瘍成分上で実施され得、T細胞活性化特性、IFN、ISG、アネルギー遺伝子、HSPとシャペロン、および免疫抑制遺伝子から選択され得る。
【0277】
第2の方法は、自然発生的な原発性癌において免疫調節効果を生み出すための放射線療法および免疫療法と組み合わせたLOFUの最適化を含み得る。腫瘍型は、限局性の非転移性軟部肉腫、メラノーマ、および乳房腫瘍からなる群から選択され得る。LOFUおよび少分割RT、LOFUおよび免疫療法(eg抗PD-(L)1))、少分割RT(HyRT)および免疫療法、ならびにLOFUおよび少分割RTおよび免疫療法、ならびに免疫療法(抗-PD-1あるいは抗-PD-L1)を使用して、4つのレジメンおよび6の患者を試験することができる。レジメン前および/またはレジメン後に、免疫表現型を決定してTMEにおけるLOFUの免疫調節効果および体循環を決定するために、LOFU腫瘍組織生検サンプルを採取してもよい。使用される方法は、PBMC、LOFU、および/またはRT介入の収集を伴う生検原発腫瘍および排出リンパ節、PBMCの収集を伴う原発腫瘍および排出リンパ節の生検または切除、ならびに標準的なケア療法からなる群から選択され得る。読み出しは、LOFU前および/またはLOFU後の組織の免疫表現型を決定することであり得る。
【0278】
いくつかの実施形態において、処置は、免疫系を活性化する外科的切除前の、HyRT、およびHyRTと音響刺激処置システムのネオアジュバントの組み合わせであり得る。HyRTは3x10Gyであり得る。他の例では、プロセスは、二重周波数LOFUおよびHyRTの使用により、LOFUならびに10Gyの3倍の照射量を含むことがある。そのような処置の出力は切除組織の組織学的およびフローサイトメトリー、例えば、腫瘍浸潤リンパ球や骨髄細胞、DAMPマーカーとエキソソーム、生存率、局所再発、CTによる遠隔転移-肺検査、好中球/リンパ球比率の血液の分析、免疫学的応答(サイトカイン(IFN-γ))、timpanist TBDでのImmunoSEQ TCRディープシーケンスによるT細胞受容体多様性プロファイリングによる評価が含まれ得る。
【0279】
<ヒト臨床開発>
超音波およびマルチパラメトリックMRIは、画像で誘導された病期および処置を提供することができ、増加した精度で、URおよびTRエネルギーをPC病変に局所化できるようにする。
【0280】
<特定の適応症のための装置設計:>
いくつかの例では、深さに関する腫瘍の大きさと位置、近接する臓器、ならびに超音波エネルギーを吸収および反射する骨とガス体と体輪郭を妨げる、感受性の処置誘発性の毒性を含む他の組織に基づいて様々な腫瘍を処置するために、AP装置の処置ヘッドおよびロボットの仕様を変更することができる。音響刺激処置システムは、軟部組織肉腫などの様々な癌を処置するために使用することができる。照射用器具内で独立して移動可能なトランスデューサーを備えた処置ヘッドの設計は、患者の前立腺癌および経会陰処置(transperineal treatment)に使用することができる。ヘッド内の独立したトランスデューサーの動きは、所定の処置を処置するためにロボットによる処置ヘッド全体のより少ない動きを必要とする場合があり、経会陰用途に有用であるように見える場合がある。音響刺激処置システムは、メラノーマ腫瘍の処置で使用することができる。診断用および照射用器具は乳癌の処置のための利用されることがある。最後に、APおよびRT処置を同時に施すことができるように、超音波および電子放射線を含む組み合わせた機器。
【0281】
<マウスモデルにおける超音波処置パラメーターおよびレジメンの最適化>
本明細書に記載されている音響刺激ユニットは、多くの方法で構成することができ、および、超音波を首尾一貫してまたは支離滅裂に送達することができる4つのチャネルを備えた、電源を備えることができる。APユニットは、100kHz~4MHzの周波数を生成するように構成することができ、かつ、2つの高出力トランスデューサーから同時に超音波を送信するように構成することができ、その1つは400kHz前後で動作する。いくつかの例では、APユニットは、走査ロボット(例えば、2 DoF)で増強して、より大きな腫瘍を処置し、関節運動を使用してより大きな処置体積を走査することができる。他の例では、多周波数APは、放射線療法(RT)と組み合わせて、(i)MHCペプチド・ディスプレイT細胞活性化およびT細胞アネルギーの逆転への実証されたリンクを有する癌細胞ストレス、(ii)腫瘍血管系腫瘍潅流への変化、ならびに(iii)CTLで媒介した急性および記憶応答を駆動する腫瘍環境の再プログラムを誘導することができる。いくつかの実施形態において、併用処置は、適切なタイミングのシーケンスおよび照射量のパラメーターを伴う超音波またはRT、ならびに生物活性化学または免疫チェックポイントを含み得る。試験は、APとRTの併用療法において使用される、超音波周波数とRT照射量のタイミングおよび強度の影響を解明するために行なわれてもよい。
【0282】
<併用療法シーケンス>
いくつかの実施形態において、安全で、免疫原性があり、放射線腫瘍施設および患者のコンプライアンスでの使用を容易にするAPおよびRTの投与シーケンスを利用することができる。癌抗原特異的全身性CD8+ T細胞媒介性免疫応答を生成するための、有効な手段が生み出され得る。LOFUは、高線量放射線の約2~4時間にネオアジュバントとして与えられ得る。タイミングは、LOFUとRT機器の別個の位置に関連するロジスティクスの結果であり得る。さらに、実施形態に関連する研究は、LOFUがLOFU処置の約2~6時間後にSTAT3リン酸化を低減できることを示唆している。いくつかの例では、RTおよび化学療法によって誘発されたSTAT3リン酸化は、Nf-KBならびにIL-6産生などの多数の生存関数を調節することができる。低STAT3活性化のLOFU後の過渡期中に施されるRTは、放射線障害を増加させる可能性がある。処置に関連する免疫原性パターンを解明および最適化する際に、さまざまな併用処置後のIL-6/STAT3およびNf-kB経路を特徴付け、それに応じて補助的切除処置を計画することができる。
【0283】
組み合わせたAPとRTの治療については、麻酔時間および総処置時間を短縮するために、放射線療法の前またはその後の数分でAP処置を施すことが有利な場合がある。放射線の近くに施される音響刺激が、APとRTが数時間離れている照射量レジメンと同等であるか、あるいはそれ以上の効果と治療指数を有している否かを判定することができる。DAMPパターンの変化、ROS損傷、他のストレスマーカー、および腫瘍免疫細胞の生息するもの(denizens)を調べることができる。最初に、最初の臨床試験で5日間にわたって与えられたAPTおよびRTの照射量の1~3回の処置が実施され得る。特定の低分割RTスキームと同様に、局所投与を5日以内に完了して、免疫系を効果的に刺激することができる。
【0284】
癌免疫のサイクル概念によって示された局所的毒性処置と腫瘍抗原特異的CTLの到着との間の、5日の腫瘍微小環境(TME)エンジニアリング・ウィンドウ中の、RTとAPの適用のタイミングおよびシーケンス、ならびに処置間のRTとAPの照射量変調が決定され得る。開発カテゴリーは(i)USとRTの強度および配列、ならびに(ii)生物活性の組み合わせを含み得る。
【0285】
<エネルギー処置への材料の組み込み:AMP>
いくつかの実施形態において、音響の増幅および微粒子(AMP)をAPレジメンに組み込んで、腫瘍局在免疫原性損傷(tumor localized immunogenic damage)を増大させ、その後、生物活性剤を送達することができる。いくつかの例では、AMPを、特定のサイズ、組成物、構造(architectures)、および安定性に作り上げることができる。AMPを、腫瘍を有するマウスモデルにおいて、DCおよび腫瘍抗原特定のエフェクターT細胞応答の活性化の有効性に関して試験することができる。AMP剤は、静脈内(IV)および壁内(IT)投与経路で調べることができる。いくつかの例では、AMPは、現在AMPなしで利用されているものと本質的に同じAPパワーシーケンスで開発される場合がある。他の例では、粒子は、APTで現在使用されているものと比較して、最大で約10倍低いパワーでエネルギーを変換するように製剤化されてもよい。その結果、表現型の異質な癌細胞集団に対して効果的な、強固な先天性および適応性のある応答を生み出す癌特異的免疫原性パターンが生成される可能性がある。そのようなパターンは、DAMPS生成、腫瘍脈管構造の刺激、およびSTAT3リン酸化の減少からなる群から選択される1つ以上の構成要素を使用して、放射線相乗作用によって生成される。いくつかの実施形態において、AMPを利用するAP処置を、RTと組み合わせることができる。他の例では、放射線増感剤をAMP粒子へ取り込むことができる。
【0286】
AP多周波数構造装置は、大量の機械的および熱的ストレスを変化させるように設計される場合がある。超音波周波数が低下すると、粒子および周囲組織の両方で機械的破壊が増大する可能性がある。いくつかの例では、低周波数のUS下で破裂する小さな粒子を含む、粒子径の非感受性が生成されることがある。材料および製作方法:粒子径は、当業者に知られているように、ナノ液滴の製剤に対応し得る。粒子は、例えば、直径200nmおよびマイクロバブル(1~3ミクロン)未満のエコー源性リポソームを含むことがある。
【0287】
<粒子投与後のAP適用タイミング>
AMPのIV注入直後および最大24時間後に超音波適用を利用できる。AMPを生物活性剤の投与と組み合わせて使用すると、粒子を形成して、超音波エネルギーを腫瘍血管および血管周囲の空間に集中させ、そのような空間を機械的に破壊することができる。
【0288】
粒子は、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、およびペルフルオロオクチルブロマイド(perfluorooctyl bromide)(パーフルブロン)を含むことからなる群から選択されるパーフルオロ化分子を含むことがある。ペルフルブロンは、CT、MRI、および超音波モダリティにわたってコントラストを提供することがある。リン脂質を含む様々な脂質を使用することができる。セラミドを組み込んだナノリポソームをRT誘発性のセラミド産生として使用することができ、その後の癌細胞のアポトーシスおよび腫瘍脈管構造は、放射線の抗癌メカニズムと関連している可能性がある。製剤は、受動キャビテーション検出(PCD)を使用して、細胞の生存率およびアッセイ、およびDAMPSシグナル伝達アッセイで試験されてもよい。粒子製剤能力は、腫瘍標的化分子を用いた生物活性負荷および表面機能化の基礎として決定されることがある。
【0289】
<エネルギー処置への材料組み込み:生物活性剤>
いくつかの実施形態において、マルチモーダル処置(multi-modal treatments)は、強力な免疫原性パターンおよびプロセスが生じる腫瘍局所化処置を使用して、強力な腫瘍特異的CTL媒介性応答を誘発するために開発され得る。生物活性剤は、PD-(L)1軸遮断薬を含む免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、ならびにおよび自然免疫系および適応免疫系の構成要素を活性化するか、そうでなければそれらに関与するものからなる群から選択され得る。CD40アゴニスト抗体、CD27アゴニスト抗体、およびFLT3Lは、RTと組み合わせて、バイモーダル(bimodal)およびトリモーダル(trimodal)の組み合わせで使用することができる。小分子免疫モジュレーターは、例えば、STINGアクチベーター、およびTLRのアゴニストからなる群から選択され得る。その作用メカニズムが癌細胞に実質的に向けられる化学療法剤および標的療法剤は、免疫原性パターンを生成することができ、自然免疫および適応免疫細胞と直接相互作用することができる。いくつかの実施形態において、薬剤は、全身性抗癌免疫応答を促進するために選択され得る。薬剤は、PARP阻害剤またはエピジェネティック・モジュレーターであってもよい。投与レジメンを決定し、処置された腫瘍において完全な原発性腫瘍退縮をもたらし、CD8+ T細胞アネルギーを逆転させ、腫瘍成長を妨害するのに有効な免疫記憶をもたらす処置を特定することができる。部分的にDAMPによって、APT、RTおよび生物活性剤の組み合わせによって、免疫原性のトリモーダル誘導を決定することができる。
【0290】
<STINGアゴニスト>
細胞質ゾル中のDNAの存在は、病巣細胞、そうでなければ損傷細胞の指標になり得る。環状ジヌクレオチド(CDN)は、環状DNAのDNAセンサー環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS)センシングによって、および細菌によって生成され得る。インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)は、CDAによって活性化され、および1型インターフェロンの産生を引き起こすER膜貫通タンパク質である。いくつかの例では、炎症は、CTL活性化およびNK細胞の細胞毒性の増加を含む、1型IFNを含むことがある。RTは、APCにおける環状DNAセンシングSTING経路により部分的に効果的であり得る。他の例では、1型インターフェロンの局所炎症は、AP処置によって生成されたパターン、および放射線を含む抗原放出処置と組み合わせて効果的であり得る。放射線治療メカニズムと一部重複するが、STINGは、放射線およびAPと組み合わせることができる。STINGアゴニストは5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)であり得る。いくつかの例では、STINGアゴニストは、全身毒性を回避するために局所的に投与することができる。
【0291】
いくつかの例では、AMPをAPレジメンに組み込んで、腫瘍局在免疫原性損傷を増加させ、続いて、生物活性剤を送達することができる。AMPは、特定のサイズ、組成、構造に作られ、DC、腫瘍を有する動物またはヒトモデルにおける腫瘍抗原特異的エフェクターT細胞応答の活性化の有効性のために設計される場合がある。
【0292】
エネルギーベースの治療法と製薬およびバイオテクノロジー材料との組み合わせは、癌患者の処置に使用することができる。「エネルギー刺激免疫」を含むこれらの併用処置は、さまざまな癌に対処することができ、最初に所定の生理活性物質の臨床使用によって導かれる。生物活性は、CTLA-4およびPD-(L)1軸、骨髄性成長因子Flt3L、CD27、トル様受容体(TLR)アゴニスト、骨髄性細胞を調節する薬剤、例えば、CSF-1R阻害剤、環状DNAセンシング経路STINGアゴニストを含む炎症性損傷/危険センシング薬剤(danger sensing agents)、ならびに、シャペロン、PDI、カルネキシン、カルレティキュリン、CD74、Hsp54、Hsp60、Hsp70、Hsp72、BiP、Hsp90、Gp96、クラスタリン、およびCD47を含む他の細胞表面タンパク質からなる群から選択され得る。メカニズムは、細胞プロセスを妨害し、UPRを誘発するAPTの能力に一部由来する可能性があり、これは、RTとAPの相乗効果も一部説明することができる。したがって、免疫チェックポイント阻害剤に加えて、処置に使用される治療剤は、PARP阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択される薬剤を含み得る。
【0293】
<デジタル処理装置>
いくつかの実施例では、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、デジタル処理装置、あるいはその使用を含む。さらなる実施形態では、デジタル処理装置は、装置の機能を実行する1つ以上のハードウェア中央処理装置(CPU)、汎用グラフィック処理装置(GPGPU)、あるいはフィールドプログラマブルゲートアレイを備える。さらなる実施形態では、デジタル処理装置は、実行可能な命令を行うように構成された操作オペレーティングシステムをさらに備える。いくつかの実施形態では、デジタル処理装置はコンピュータネットワークに随意に接続される。さらなる実施形態では、デジタル処理装置は、ワールドワイドウェブにアクセスするようにインターネットに随意に接続される。さらなる実施形態では、デジタル処理装置は、クラウド・コンピューティング・インフラストラクチャーに随意に接続される。他の実施形態では、デジタル処理装置は、イントラネットに随意に接続される。他の実施形態では、デジタル処理装置は、データ記憶装置に随意に接続される。
【0294】
本明細書に開示される記載によれば、適切なデジタル加工装置は、非限定的な例として、サーバー・コンピューター、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノート型コンピューター、サブノート型コンピューター、ネットブックコンピューター、ネットパッドコンピューター、セット・トップ・コンピューター、ハンドヘルドコンピュータ、インターネット・アプライアンス、モバイルスマートフォン、タブレットコンピュータ、携帯情報端末、ビデオゲーム機および車両を備える。当業者は、多くのスマートフォンが、本明細書に記載されるシステムでの使用に適していることを認識するであろう。当業者は、随意のコンピュータネットワーク接続を有する、選択されたテレビ、ビデオプレーヤー、およびデジタル音楽プレーヤーが、本明細書に記載されるシステムにおける使用に適していることを認識するであろう。適切なタブレットコンピュータは、当業者に既知のブックレット、スレート、および変換可能な構成を有するものを含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、デジタル処理デバイスは実行命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムを備える。オペレーティングシステムは、例えば、装置のハードウェアを制御し、アプリケーションの遂行のためのサービスを提供する、プログラムおよびデータを含むソフトウェアである。当業者は、適切なサーバーオペレーティングシステムは、非限定的な例として、FreeBSD、OpenBSD、NetBSDR、Linux(登録商標)、Apple(登録商標)Mzc OS X Server(登録商標)、Oracle(登録商標)Solaris(登録商標)、Windows Server(登録商標)、およびNovell(登録商標)NetWare(登録商標)を含むことを認識するであろう。当業者は、適切なパーソナルコンピュータオペレーティングシステムは、非限定的な例として、Microsoft(登録商標)、Windows(登録商標)、Apple(登録商標)Mac OS X(登録商標)、UNIX(登録商標)、およびGNU/Linux(登録商標)などのUNIXのようなオペレーティングシステムを含むことを認識するであろう。いくつかの実施形態において、オペレーティングシステムは、クラウドコンピューティングによって提供される。当業者は、適切なモバイルスマートフォンのオペレーティングシステムは、非限定的な例として、Nokia(登録商標)Symbian(登録商標)OS、Apple(登録商標)iOS(登録商標)、Research In Motion(登録商標)BlackBerry OS(登録商標)、Google(登録商標)Android(登録商標)、Microsoft(登録商標)Windows Phone(登録商標)OS、Microsoft(登録商標)Windows Mobile(登録商標)OS、Linux(登録商標)、およびPalm(登録商標)WebOS(登録商標)を含むことも認識する。当業者は、適切なメディアストリーミングデバイスのオペレーティングシステムは、非限定的な例として、Apple TV(登録商標)、Roku(登録商標)、Boxee(登録商標)、Google TV(登録商標)、Google Chromecast(登録商標)、Amazon Fire(登録商標)、およびSamsung(登録商標)HomeSync(登録商標)を含むことも認識する。当業者はまた、適切なビデオゲームコンソールのオペレーティングシステムが、非限定的な例として、Sony(登録商標)PS3(登録商標)、Sony(登録商標)PS4(登録商標)、Microsoft(登録商標)Xbox 360(登録商標)、Microsoft Xbox One、Nintendo(登録商標)Wii(登録商標)、Nintendo(登録商標)Wii U(登録商標)、およびOuya(登録商標)を含み得ることを認識する。
【0296】
いくつかの実施形態では、デバイスは記憶デバイスおよび/またはメモリデバイスを備える。記憶装置および/またはメモリ装置は、一時的または永久的にデータまたはプログラムを記憶するために使用される1つ以上の物理的な機器である。いくつかの実施形態において、装置は揮発性メモリであり、記憶した情報を維持するための電力を必要とする。いくつかの実施形態において、上記デバイスは不揮発性メモリであり、デジタル処理デバイスに電力が供給されないときに、記憶した情報を保持する。更なる実施形態において、不揮発性メモリはフラッシュメモリを含む。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含む。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM(登録商標))を含む。いくつかの実施形態において、不揮発性メモリは、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)を含む。他の実施形態において、装置は、非限定的な例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ装置、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスク欲動、およびクラウドコンピューティングベースの記憶装置を含む記憶装置である。さらなる実施形態において、記憶装置および/またはメモリ装置は、本明細書に開示されるものなどの装置の組み合わせである。
【0297】
いくつかの実施形態において、デジタル処理装置は、ユーザーに視覚情報を送信するためのディスプレイを備える。いくつかの実施形態において、ディスプレイはブラウン管(CRT)である。いくつかの実施形態において、ディスプレイは液晶ディスプレイ(LCD)である。さらなる実施形態において、ディスプレイは薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)である。いくつかの実施形態において、ディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイである。様々なさらなる実施形態において、OLEDディスプレイは、パッシブ-マトリクスOLED(PMOLED)またはアクティブ-マトリクスOLED(AMOLED)のディスプレイである。いくつかの実施形態において、ディスプレイはプラズマディスプレイである。他の実施形態において、ディスプレイはビデオプロジェクターである。またさらなる実施形態において、ディスプレイは、本明細書に開示されるものなどの装置の組み合わせである。
【0298】
いくつかの実施形態において、デジタル処理装置は、ユーザーから情報を受信するための入力デバイスを備える。いくつかの実施形態において、入力装置はキーボードである。いくつかの実施形態において、入力装置は、非限定的な例として、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、ゲームコントローラ、またはスタイラスを含むポインティング装置である。いくつかの実施形態において、入力装置はタッチスクリーンまたはマルチタッチスクリーンである。他の実施形態において、入力装置は、声または他の音入力を捕らえるマイクロホンである。他の実施形態では、入力装置は、動作入力または視覚入力を捕らえるためのビデオカメラあるいは他のセンサーである。さらなる実施形態において、入力装置はKinect、Leap Motionなどである。またさらなる実施形態において、入力装置は本明細書に開示されるものなどの装置の組み合わせである。
【0299】
特定の実施形態では、
図32を参照すると、例示的なデジタル処理装置(101)は、本明細書に記載されているエネルギー刺激装置を操作するようにプログラムされるか、そうでなければ構成される。デジタル処理装置(1601)は、本開示のエネルギー刺激装置の様々な態様、例えば、処理工程を実施、を調整することができる。この実施形態では、デジタル処理装置(1601)は、シングルコアまたはマルチコア処理装置であり得る中央処理装置(CPU、また本明細書の「処理装置」および「コンピューター処理装置」)(1605)、または並列処理のための多数の処理装置を備える。デジタル処理装置(1601)は、メモリまたは記憶場所(1610)(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(1615)(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース(1620)(例えば、ネットワークアダプタ)、およびキャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置、および/または電子ディスプレイアダプターなどの周辺機器(1625)も備える。メモリ(1610)、記憶装置(1615)、インターフェース(1620)、および周辺機器(1625)は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU(1605)と通信する。記憶装置(1615)は、データを保存するためのデータ記憶装置(またはデータレポジトリ)であり得る。デジタル処理装置(1601)は、通信インターフェイス(1620)を用いて、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)(1630)に動作できるように接続される。ネットワーク(130)は、インターネットおよび/またはエクストラネット、インターネットと通信状態にあるイントラネットおよび/またはエクストラネットであり得る。場合によって、ネットワーク(1630)は、電気通信および/またはデータのネットワークである。ネットワーク(1630)は、1つ以上のコンピューターサーバーを含むことができ、これはクラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる。ネットワーク(1630)は、場合によってはデジタル処理装置(1601)の助けにより、ピアツーピア・ネットワークを実施することができ、これは、デジタル処理装置(1601)に連結されたデバイスが、クライアントまたはサーバーとして動くことを可能にし得る。
【0300】
図32を続けて参照すると、CPU(1605)は、プログラムまたはソフトウェアで具体化され得る一連の機械読み取り可能な命令を実行する。この命令は、メモリ(1610)などのメモリ位置に保存され得る。この命令は、CPU(1605)に向けることができ、これは後に、本開示の方法を実施するようにCPU(1605)をプログラムするか、そうでなければ構成することができる。CPU(1605)によって実行される動作の例は、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックを含む。CPU(1605)は集積回路などの回路の一部であり得る。デジタル処理装置(101)の1つ以上の他のコンポーネントを回路に含めることができる。ある場合では、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。
【0301】
引き続き
図32を参照すると、記憶装置(1615)は、ドライバ、ライブラリおよび保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置(1615)は、ユーザーデータ、例えば、ユーザーのプレファレンスおよびユーザーのプログラムを記憶することができる。いくつかの実施形態では、デジタル処理装置(1601)は、イントラネットまたはインターネットを介して通信するリモートサーバーに位置するなど、外部の1つ以上の付加的なデータ記憶装置を備える。
【0302】
図32を引き続き参照すると、デジタル処理装置(1601)は、ネットワーク(1630)を介して1以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、デジタル処理装置(1601)はユーザーのリモートコンピュータシステムと通信するころができる。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、持ち運び可能なPC)、スレートまたはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android-enabledデバイス、Blackberry(登録商標))、または携帯情報端末を含む。
【0303】
本明細書に記載される方法は、デジタル処理装置(1601)の電子記憶装置の場所、例えば、メモリ(1610)または電子記憶装置(1615)などに記憶された機械(例えば、コンピュータープロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能または機械可読コードは、ソフトウェアの形で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ(1605)により実行され得る。場合によっては、コードは、記憶装置(1615)から検索され、かつプロセッサ(1605)による即時のアクセスのためにメモリ(1610)に保存することができる。いくつかの状況において、電子記憶装置(1615)は除外することができ、機械実行可能命令がメモリ(1610)に保存される。
【0304】
<非一時的なコンピューター読み取り可能な記憶媒体>
いくつかの実施例では、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、随意にネットワーク化されたデジタル処理装置のオペレーティングシステムによって実行可能な命令を含む、プログラムでエンコードされた1つ以上の非一時的なコンピューター可読記憶媒体を含む。さらなる実施形態において、コンピューター可読記憶媒体はデジタル処理装置の有形成分である。またさらなる実施形態では、コンピューター読み取り可能な記憶媒体は、デジタル処理装置から随意に取り外し可能である。いくつかの実施形態において、コンピューター可読記憶媒体は、限定されないが、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、固体記憶装置、磁気円盤、磁気テープドライブ、光ディスク欲動、クラウドコンピューティングシステムおよびサービスなどを含む。いくつかの場合において、プログラムおよび命令は、永続的に、ほぼ永続的に、半永続的に、または非一時的に、媒体上でコードされる。
【0305】
<コンピュータープログラム>
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、少なくとも1つのコンピュータープログラム、あるいはその使用を含む。コンピュータープログラムは、デジタル処理装置のCPUで実行可能であり、特別なタスクを実行するために書きこまれた、一連の命令を含む。コンピューター可読命令は、特定のタスクを行うか、または特定の抽出データタイプを実行する、機能、オブジェクト、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、データ構造などのプログラムモジュールとして実行されることもある。本明細書で提供される開示に照らして、当業者は、コンピュータープログラムが様々な言語の様々なバージョンで書かれ得ることを認識する。
【0306】
コンピューター可読命令の機能性は、様々な環境において望ましいものとして組み合わせられるか、または分布されてもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータープログラムは1つの連続した命令を含む。いくつかの実施形態において、コンピュータープログラムは複数の連続した命令を含む。いくつかの実施形態において、コンピュータープログラムは、1つの場所から提供される。他の実施形態において、コンピュータープログラムは複数の場所から提供される。様々な実施形態において、コンピュータープログラムは、1以上のソフトウェアモジュールを含む。様々な実施形態において、コンピュータープログラムは、一部または全体として、1つ以上のウェブアプリケーション、1つ以上のモバイルアプリケーション、1つ以上のスタンドアロンアプリケーション、1つ以上のウェブブラウザプラグイン、拡張、アドイン、またはアドオン、あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0307】
<ウェブアプリケーション>
いくつかの実施形態では、コンピュータープログラムはウェブアプリケーションを備える。本明細書で提供される開示に照らして、当業者は、ウェブアプリケーションが、様々な実施形態において、1以上のソフトウェアフレームワークおよび1以上のデータベースシステムを利用することを認識する。いくつかの実施形態において、ウェブアプリケーションは、Microsoft(登録商標).NETまたはRuby on Rails(RoR)などのソフトウェアフレームワーク上で作成される。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、非限定的な例として、リレーショナルの、非リレーショナルの、オブジェクト指向の、結合性の、および、XMLのデータベースシステムを含む、1つ以上のデータベースシステムを利用する。更なる実施形態において、適切なリレーショナルデータベースシステムは、限定されないが、Microsoft(登録商標)SQL Server、mySQL(商標)、およびOracle(登録商標)を含む。当業者は、ウェブアプリケーションが、様々な実施形態において、1以上の言語の1以上のバージョンで書かれることを認識する。ウェブアプリケーションは、1以上のマークアップ言語、プレゼンテーション定義言語、クライアント側スクリプト言語、サーバー側コード化言語、データベース照会言語、またはそれらの組み合わせで書かれてもよい。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張可能ハイパーテキストマークアップ言語(XHTML)、または拡張可能マークアップ言語(XML)などのマークアップ言語である程度までは書かれている。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、カスケーディング・スタイル・シート(CSS)などのプレゼンテーション定義言語である程度までは書かれている。いくつかの実施形態において、ウェブアプリケーションは、Asynchronous Javascript and XML(AJAX)、Flash(登録商標)Actionscript、Javascript、またはSilverlight(登録商標)などのクライアント側スクリプトで、ある程度書かれる。いくつかの実施形態において、コンピュータープログラムは、Active Server Pages(ASP)、ColdFusion(登録商標)、Perl、Java(商標)、JavaServer Pages(JSP)、Hypertext Preprocessor(PHP)、Python(商標)、Ruby、Tcl、Smalltalk、WebDNA(登録商標)、またはGroovyなどのサーバー側コード化言語で、ある程度書かれる。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、構造化クエリ言語言葉(SQL)などのデータベースクエリ言語である程度までは書かれている。いくつかの実施形態において、ウェブアプリケーションは、IBMR Lotus Domino(登録商標)などの企業サーバー製品を統合する。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションはメディアプレイヤー要素を含んでいる。様々なさらなる実施形態において、メディアプレイヤー要素は、限定されないが、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)、HTML 5、Apple(登録商標)QuickTime(登録商標)、Microsoft(登録商標)Silverlight(登録商標)、Java(登録商標)、およびUnity(登録商標)を含む、多くの適切なマルチメディア技術の1以上を利用する。
【0308】
<モバイルアプリケーション>
いくつかの実施形態では、コンピュータープログラムは、モバイルデジタル処理装置に提供されるモバイルアプリケーションを含む。いくつかの実施形態では、モバイルアプリケーションは製造時にモバイルデジタル処理装置に提供される。他の実施形態では、モバイルアプリケーションは、本明細書に記載されるコンピュータネットワークによってモバイルデジタル処理装置に提供される。
【0309】
本明細書に提供される開示を考慮して、モバイルアプリケーションは、当該技術分野において既知のハードウェア、言語、開発環境を使用して、当業者に既知の技術によって作成される。当業者は、モバイルアプリケーションが複数の言語で書かれることを認識する。適切なプログラミング言語は、非限定的な例として、C、C++、C#、オブジェクティブ-C、Java(商標)、Javascript、パスカル、オブジェクトパスカル、Python(商標)、Ruby、VB.NET、WML、およびCSSを含むまたは含まないXHTML/HTML、あるいはこれらの組み合わせを含む。
【0310】
適切なモバイルアプリケーションの開発環境は、いくつかのソースから利用可能である。市販で入手可能な開発環境は、非限定的な例として、AirplaySDK、alcheMo、Appcelerator(登録商標)、Celsius、Bedrock、Flash Lite、.NET Compact Framework、Rhomobile、およびWorkLight Mobile Platformを含む。他の開発環境が無料で利用可能であり、非限定的な例として、Lazarus、MobiFlex、MoSync、およびPhonegapを含む。また、モバイルデバイスのメーカーは、非限定的な例として、iPhone(登録商標)およびiPad(登録商標)(iOS)SDK、Android(商標)SDK、BlackBerry(登録商標)SDK、BREW SDK、Palm(登録商標)OS SDK、Symbian SDK、webOS SDK、およびWindows(登録商標)Mobile SDKを含む、ソフトウェア開発キットを流通させている。
【0311】
当業者は、様々な商用のフォーラムが、限定されないが、Apple(登録商標)App Store、Google(登録商標) Play、Chrome(登録商標)WebStore、BlackBerry(登録商標)App World、Palm devicesのApp Store、webOSのApp Catalog、MobileのWindows(登録商標)Marketplace、Nokia(登録商標)デバイスのOvi Store、Samsung(登録商標)Apps、およびNintendo(登録商標)DSi Shopを含む、モバイルアプリケーションの流通に利用可能であることを認識する。
【0312】
<スタンドアロンアプリケーション>
いくつかの実施形態では、コンピュータープログラムは、既存プロセスに対するアドオンでない、例えばプラグインでない、独立したコンピュータプロセスとして実行されるプログラムであるスタンドアロンアプリケーションを含む。当業者は、スタンドアロンアプリケーションがしばしばコンパイルされることを認識するであろう。コンパイラは、プログラミング言語で書かれたソースコードをアセンブリ言語または機械コードのようなバイナリオブジェクトコードに変換するコンピュータープログラムである。適切なコンパイルされたプログラミング言語は、非限定的な例として、C、C++、オブジェクティブ-C、COBOL、Delphi、Eiffel、Java(商標)、リスプ、Python(商標)、Visual Basic、およびVB.NET、またはこれらの組み合わせを含む。コンパイルは実行可能プログラムを作成するために少なくとも部分的に行われることが多い。いくつかの実施形態では、コンピュータープログラムは1つ以上の実行可能なコンパイルされたアプリケーションを含んでいる。
【0313】
<ウェブブラウザプラグイン>
いくつかの実施形態において、コンピュータープログラムは、ウェブブラウザのプラグイン(例えば、伸長機能など)を含む。コンピューティングでは、プラグインは、より大きなソフトウェアアプリケーションに具体的な機能性を加える1つ以上のソフトウェアコンポーネントである。第三者の開発者がアプリケーションを拡張する能力を作成する、容易に新しい特徴を加えるサポートを行う、およびアプリケーションのサイズを縮小することができるように、ソフトウェアアプリケーションのメーカーは、プラグインをサポートする。サポートされている場合、プラグインは、ソフトウェアアプリケーションの機能性のカスタマイズを可能にする。例えば、プラグインは、一般に、ビデオを再生する、対話機能を作成する、ウイルスをスキャンする、および特定のファイルタイプを表示するために、ウェブブラウザで使用される。当業者は、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)Player、Microsoft(登録商標)Silverlight(登録商標)、およびApple(登録商標)QuickTime(登録商標)を含む、様々なウェブブラウザのプラグインに精通している。いくつかの実施形態では、ツールバーは、1つ以上のウェブブラウザ拡張機能、アドイン、またはアドオンを含む。いくつかの実施形態では、ツールバーは、1つ以上のエクスプローラバー、ツールバンド、またはデスクバンドを含む。
【0314】
本明細書で提供される開示に照らして、当業者は、非限定的な例として、C++、Delphi、Java(商標)、PHP、Python(商標)、およびVB.NET、またはそれらの組み合わせを含む、様々なプログラミング言語でのプラグインの開発を可能にするいくつかのプラグインフレームワークが利用可能であることを認識するだろう。
【0315】
ウェブブラウザ(インターネットブラウザとも呼ばれる)は、ワールドワイドウェブ上の情報資源を検索する、表示する、およびトラバースする(traversing)ための、ネットワーク接続したデジタル処理デバイスとの使用のために設計された、ソフトウェアアプリケーションである。適切なウェブブラウザは、限定されないが、Microsoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)Firefox(登録商標)、Google(登録商標)Chrome、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Opera Software(登録商標)Opera(登録商標)、およびKDE Konquerorを含む。いくつかの実施形態では、ウェブブラウザは、モバイルのウェブブラウザである。モバイルのウェブブラウザ(マイクロブラウザ、ミニブラウザ、およびワイヤレスブラウザ)は、限定しない例として、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピューター、サブノートブックコンピュータ、スマートフォン、ニュージックプレーヤー、携帯情報端末(PDA)およびハンドヘルドビデオゲームシステムを含む、モバイルのデジタル処理装置上の使用のために設計されている。適切なモバイルウェブブラウザは、限定されないが、Google(登録商標)Android(登録商標)ブラウザ、RIM BlackBerry(登録商標)ブラウザ、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Palm(登録商標)Blazer、Palm(登録商標)WebOS(登録商標)Browser、携帯用のMozilla(登録商標)Firefox(登録商標)、Microsoft(登録商標)Internet Explorer(登録商標)Mobile、Amazon(登録商標)Kindle(登録商標)Basic Web、Nokia(登録商標)ブラウザ、Opera Software(登録商標)Opera(登録商標)Mobile、およびSony(登録商標)PSP(商標)ブラウザを含む。
【0316】
<ソフトウェアモジュール>
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、ソフトウェア、サーバー、および/またはデータベースモジュール、あるいはこれらの使用を含む。本明細書で提供される開示を考慮して、ソフトウェアモジュールは、当該技術分野で既知のマシン、ソフトウェア、および言語を使用する、当業者に既知の技術によって作り出される。本明細書に開示されるソフトウェアモジュールは多数の方法で実装される。様々な実施形態において、ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードのセクション、プログラミングオブジェクト、プログラミング構造、またはそれらの組み合わせを含む。更に様々な実施形態において、ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、コードの複数のセクション、複数のプログラムミングオブジェクト、複数のプログラムミング構造、またはそれらの組み合わせを含む。様々な実施形態において、1以上のソフトウェアモジュールは、限定されないが、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、および独立型アプリケーションを含む。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータープログラムまたはアプリケーション中にある。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1より多くのコンピュータープログラムまたはアプリケーション中にある。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは1つのマシン上でホストされる(hosted)。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは1より多くのマシン上でホストされる。さらなる実施形態において、ソフトウェアモジュールは、クラウドコンピューティングプラットフォーム上でホストされる。いくつかの実施形態において、ソフトウェアモジュールは1つの位置にある1つ以上のマシン上でホストされる。他の実施形態において、ソフトウェアモジュールは、1より多くの位置にある1つ以上のマシン上でホストされる。
<データベース>
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、1つ以上のデータベース、またはその使用を含む。本明細書で提供される本開示を考慮して、当業者は、多くのデータベースが情報の保管と検索に適していることを認識するであろう。様々な実施形態において、適切なデータベースは、限定されないが、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、オブジェクト指向型データベース、オブジェクトデータベース、実体関連モデルデータベース、連想データベース、およびXMLデータベースを含む。さらなる非限定的な例としては、SQL、PostgreSQL、MySQL、Oracle、DB2、およびSybaseが挙げられる。いくつかの実施形態では、データベースはインターネットを利用したものである。さらなる実施形態では、データベースはウェブを利用したものである。またさらなる実施形態では、データベースはクラウドコンピューティングを利用したものである。他の実施形態では、データベースは1つ以上のローカルコンピュータ記憶装置を利用したものである。
【0317】
<実施例5>
パイロット有効性実験では、通常、コホートまでn=35/を使用する。出力およびエンドポイントは、腫瘍サイズ(一元配置分散分析)、生存率(カプラン・マイヤー、ログランク検定)、および肺転移数(met count in lung)を含む。さらに、腫瘍進行のモニタリングは、IR-783色素、およびIVIS機器ならびにPET SPECT:Inveon(商標)のマルチモーダルのPET・SPECT・CTプラットフォーム上でのNIRイメージングを含む、様々な画像化手法を使用して、非侵襲的に分析され得る。
【0318】
最終的な実験は、1つのコホート当たり8~12匹の動物を含む;3匹を、組織学のために処置の24時間後に屠殺し、3匹を腫瘍免疫性アッセイのためにRxの1週後に屠殺し、疾患進行を調査するために5匹を60日間追跡した。
【0319】
マウス癌モデルは、C57blck6、GEM、ならびにBalb/cマウスそれぞれに、接種を受けて発生するB16F10m1メラノーマ、TPSA23前立腺、および4T1乳房マウス腫瘍細胞を含む。B16F10と4T1の両方は非常に速く転移することができるが、よりゆっくり転移するモデルも利用することができる。
【0320】
超音波およびRTの装置は、全ROIを処置する目的で、接種腫瘍、ならびに正常組織の直接周辺と関心領域(RoI)に向けられたAPTおよびRTを含む。複数のトランスデューサーで構成された超音波システムは、1Mhzおよび250kHzで100~10,000W/cm2を送達することができる。通常、超音波処置は、処置された断面当たり50~150W/cm2で1~5秒間施される。
【0321】
Xstrahl Limitedの小動物放射線研究プラットフォーム(SARRP)を使用して、放射線を送達した。SARRPユニットは、CT走査および組織セグメンテーションならびに処置計画機能を有している。生存率、原発性腫瘍サイズ、および肺転移数は、可能性のあるエンドポイントである。
【0322】
出力は、癌細胞のEMT状態(ビメンチン染色)、循環腫瘍細胞の定量化、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、および腫瘍環境における間質細胞(溶解物の免疫組織化学的検査およびFACS)、細胞間、細胞表面、およびアップレギュレートされたERストレスマーカーのエキソソーム定量化、シャペロンカルレティキュリン、HSP70とHSP90、BiP;ATP、HMGB1;低酸素HIF-1α、ならびに損傷レスポンダーSTAT3、Nf-κB(ウェスタンブロット、FACS、および免疫組織化学的検査)を含む。出力はさらに、RTに関して、活性酸素種(ROS)と窒素種(RNS)損傷DNAの生成、腫瘍細胞抗原性の増大と、抗原およびDC活性化DNAの放出の増大を含むことがある。したがって、迅速かつ感受性の蛍光アッセイであるOxiSelect(商標)インビトロのROS/RNSアッセイキットを使用することにより、様々な時点で処置された腫瘍でROSとRNSの産生を測定する。
【0323】
腫瘍で処置されたサンプルからRNAを単離し、完全なRNA-seq解析あるいはRT2 Profiler PCRアレイを含む装置を使用して分析することによるERストレス調節因子は、小胞体中のミスフォールドタンパク質の蓄積および小胞体ストレス応答に含まれる調節因子(つまりCalr、Ero1Ib、Ppia、Scap)を認識し、応答する370の鍵遺伝子の検出を提供する。
【0324】
血液アッセイは、CBCおよび好中球対リンパ球の比率を含むことができる。処置の前後に採取された血清を、ELISpotを使用してサイトカインについて、場合によっては、ケモカイン、Th1とTh2サイトカイン、TNFα、INFγ、INFβ、IL2、IL6、IL10、IL12、TGFβ、メタロプロテアーゼ、および成長因子を含む、最大97の様々な標的を検出するさらに詳述されたサイトカインマウス膜抗体アレイについて分析することができる。LNおよび脾細胞はINFγおよびIL2であってもよく、CD8+ T細胞が腫瘍溶解物にさらされている。記憶T細胞集団が正当化される場合、原発腫瘍細胞の消失の少なくとも30日後に、左側腹部への接種が起こり、腫瘍の成長およびエフェクターメモリーT細胞を定量化することがきる。データはすべて未処置の腫瘍サンプルと比較することができる。
【0325】
本明細書に記載されているようなシステムは多くの方法で構成することができ、複数の位置へのビームの走査により低い強度に焦点を置いた超音波を用いる全身スキャンを例えば実施するように構成することができる。
【0326】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示されかつ記載されてきたが、こうした実施形態がほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。当業者であれば、多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく思いつくだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
【0327】
<例示的な実施形態>
1.患者の免疫系を刺激するための超音波システムであって、上記システムは:プローブであって、少なくとも0.5cm3のビーム体積と、10W/cm2~900W/cm2の範囲内のビーム体積内の強度とを含む超音波ビームを生成するように構成された超音波トランスデューサーを含むプローブと;超音波トランスデューサーにつながれたプロセッサーであって、プロセッサー構成命令は、ビームを用いて複数の位置で患者を処置する、プロセッサーと、を備える。2.プロセッサーおよび超音波トランスデューサーは、少なくとも約2cm3の全組織体積にわたって、毎秒少なくとも約0.5cm3の速度で組織を体積に関して走査するように構成され、随意に、ここで、走査速度は、走査される組織の総体積にして、毎秒約0.5cm3~約50cm3の範囲内であり、随意に、組織の総体積は約2cm3~約1000cm3の範囲内であり、および随意に、組織の総体積は約4cm3~約500cm3の範囲内であり、ならびに随意に、体積の全体は上記範囲内の強度を用いて走査されている、実施形態1に記載のシステム。3.ビーム体積は0.5cm3~1000cm3の範囲内であり、および随意に、ビーム体積は1cm3~500cm3の範囲、ならびに随意に、約2cm3~約250cm3の範囲内である、実施形態1に記載のシステム。4.強度は、約20W/cm2~約500W/cm2の範囲内である、実施形態1に記載のシステム。5.超音波トランスデューサーにつながれたリンケージを含み、上記プロセッサーは、上記リンケージにつながれ、および組織の複数の体積領域を処置するためにトランスデューサーを複数の位置に移動させるための命令で構成され、複数の体積領域の各々は、少なくとも0.5cm3と、10W/cm2~900W/cm2の範囲内の強度とを含む、実施形態1に記載のシステム。6.プロセッサーは、複数の体積領域を重複させるための命令で構成される、実施形態5に記載のシステム。7.プロセッサーは、超音波トランスデューサーが超音波ビームを送信している間に、第1の体積領域に対応する第1の位置から第2の体積領域に対応する第2の位置に超音波トランスデューサーを移動させるための命令で構成される、実施形態5に記載のシステム。8.リンケージは、複数のジョイントを含むロボットアームを備え、上記複数のジョイント各々は、ジョイントの角度を制御するためにアクチュエーターにつながれ、および、プロセッサーは、複数の位置に超音波ビームを向けるために、複数のジョイントの複数の角度を決定するための命令で構成される、実施形態5に記載のシステム。9.プロセッサーは、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーを患者の皮膚の表面と位置合わせするために、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーの配向を制御するように構成される、実施形態5に記載のシステム。10.プロセッサーは、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーを患者の皮膚の表面と位置合わせするために、複数の位置の各々で超音波トランスデューサーの配向を制御するように構成され、任意に、ここで、複数の位置の各々は、6自由度で超音波トランスデューサーを配置するために三次元の位置および三次元の配向に対応する、実施形態9に記載のシステム。11.ロボットアームは、複数の指を備え、前記超音波トランスデューサーは複数のトランスデューサーを含み、複数の指の各々は、その上に取り付けられたトランスデューサーにつながれ、複数の指の各々は、標的位置に超音波ビームを向けるために、指上に取り付けられたトランスデューサーからの超音波ビームのトランスデューサーの角度を制御するように構成される、実施形態5に記載のシステム。12.超音波処置と組み合わせられる補助療法をユーザーが指定するためのユーザー入力さらに含み、ここで、プロセッサーは、組織への超音波ビームの処置時間を記録し、補助療法のための時間を出力するための命令で構成され、随意に、ここで、補助療法は、放射線療法、化学療法、および免疫療法からなる群から選択され、ならびに、随意に、出力時間は補助療法のための時間枠を含む、実施形態1のシステム。13.プロセッサーは、ユーザーにユーザーインタフェースを提供するための命令で構成され、上記ユーザーインタフェースは、患者の腫瘍の画像および入力処置の位置を含む、実施形態1に記載のシステム。14.プロセッサーは、全組織体積の組織エラストグラフィを実施するように構成される、実施形態1に記載のシステム。15.プロセッサーは、拡散パラメーターを入力として受け取るように構成される、実施形態1に記載のシステム。16.患者を処置する方法であって、上記方法は:不可逆的エレクトロポレーション(IRE)、マイクロ波、低密度焦点式超音波(LOFU)、高密度焦点式超音波(HIFU)、高周波エネルギー、および寒冷療法からなる群から選択される、免疫刺激エネルギーを施す工程と;樹状細胞標的療法、エフェクターT細胞標的、免疫チェックポイント阻害からなる群から選択される免疫療法を施す工程と、を含む、方法。17.樹状細胞標的療法は、Flt3L、CD40L、GM-CSF、リガンドおよびアゴニスト、RIG1ヘリカーゼアクチベーター、抗CD40、NKG2Dリガンド、抗CSF1R、抗TLR、TLRリガンド、INF-α、TNF-βからなる群から選択される、実施形態16に記載の方法。18.エフェクターT細胞標的は、抗OX40、4-1BBL、抗foxp40 TGF-β阻害剤、抗CD137、T細胞活性化のための人工の免疫シナプス、抗CD47、抗CD27、および抗GD2からなる群から選択される、実施形態16に記載の方法。19.チェックポイント阻害は、抗CTL4、抗PD1、抗VISTA、tim3、IDO阻害剤、ノルハルマン、ロスマリン酸、COX-2阻害剤、1-メチルトリプトファン、エパカドスタット、およびナボキシモドからなる群から選択される、実施形態16に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書及び図面に記載の発明。
【外国語明細書】