(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160248
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ケンペロール配糖体化合物を含む皮膚バリア機能回復用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20241106BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20241106BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241106BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20241106BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241106BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20241106BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K31/7048
A61P17/00
A61Q17/00
A61Q19/08
A61K36/82
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117532
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2021110509の分割
【原出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0118396
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り “Kaempferol tri-and tetrasaccharides from Camellia japonica seed cake and their inhibitory activities against matrix metalloproteinase-1 secretion using human dermal fibroblasts”,Carbohydrate Research 495(2020),Vol.495,108101 公開日:2020年7月14日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ, ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, シ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン ス
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ソンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ペク, フンス
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウィドン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ツバキ種子からオイルを抽出した後に廃棄されるツバキ油粕から抽出されたケンペロール化合物を有効成分として含み、環境にやさしく、且つ副作用が少なくて人体に安全であり且つ皮膚再生などの効果に優れる皮膚保護用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の皮膚保護用組成物は、例えば化学式1で表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む、皮膚保護用組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【請求項2】
前記ケンペロール配糖体化合物は、ツバキ油粕から抽出されたものである、請求項1に記載の皮膚保護用組成物。
【請求項3】
前記有効成分の濃度が、当該組成物の全重量を基準にして0.01~100μMである、請求項1又は2に記載の皮膚保護用組成物。
【請求項4】
前記皮膚保護は、
皮膚しわを改善すること;
皮膚再生を促進すること;
基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制すること;
アトピー性皮膚を改善、予防又は治療すること;
皮膚角質生成周期を調節すること;又は
3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制すること;である、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚保護用組成物。
【請求項5】
当該組成物は化粧料組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚保護用組成物。
【請求項6】
当該組成物は、アトピー性皮膚炎の改善、予防又は治療用薬学組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚保護用組成物。
【請求項7】
前記有効成分の投与量は、0.01~100mg/kg/日である、請求項6に記載の皮膚保護用組成物。
【請求項8】
当該組成物は食品組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚保護用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、人体に安全であり且つ皮膚保護効果に優れるケンペロール配糖体化合物を含む皮膚保護用組成物が開示される。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、人体の一次防御膜であって、体内の諸器官を温度や湿度の変化、紫外線、公害物質などの外部環境の刺激から保護し、体温調節などの生体恒常性の保持にも重要な役割を果たしている。
【0003】
しかし、過度な物理的・化学的刺激やストレス、栄養欠乏などの外部要因や加齢が皮膚の正常機能を低下させ、弾力損失、角質化、しわ生成などの現象を促進させる。このような現象を防止し、より健康で且つ弾力のある皮膚を保持するために、生理活性物質が強化された化粧品を使用することで皮膚の固有機能を保持させ且つ皮膚細胞を活性化させ、皮膚再生を効果的に促進させるための努力がなされてきた。
【0004】
しかしながら、既存の化粧品原料の大半は、その効能が不十分であったり、その効能が強いと皮膚副作用を誘発したりするなどの様々な問題点を持っている。そこで、皮膚に安全且つ効果的に皮膚再生を促進するとともに、皮膚角質生成周期を調節することができる成分についての関心が高まりつつある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】B. C.Liau et al., Development of pressurized hot water extraction for five flavonoid glycosides from defatted Camellia oleifera seeds (byproducts), Industrial Crops and Products 95 (2017) 296-304
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面において、ケンペロール配糖体化合物を有効成分として含み、副作用が少なくて人体に安全であり、且つ皮膚保護効果に優れる組成物を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の一側面において、ツバキ油粕(Camellia japonica seed cake)から抽出されたケンペロール配糖体化合物を有効成分として含み、ツバキ種子油の抽出後に捨てられる廃資源を活用した皮膚保護用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の一側面において、皮膚しわの改善、又は皮膚再生を促進する組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の一側面において、基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制する組成物を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の一側面において、アトピー性皮膚を改善するための組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の一側面において、皮膚角質生成周期を調節し、又は皮膚角質を調節し、又は皮膚角質ターンオーバーを促進し、又は皮膚角質ターンオーバー周期を正常化する組成物を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の一側面において、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、アトピー性皮膚を改善し、又はアトピー性皮膚炎を改善、予防又は治療する組成物を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の一側面において、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚角質生成周期を調節し、又は皮膚角質を調節し、又は皮膚角質ターンオーバーを促進し、又は皮膚角質ターンオーバー周期を正常化する組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書では、下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む、皮膚保護用組成物を提供する。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の効果】
【0019】
一側面において、本明細書に開示された皮膚保護用組成物は、ケンペロール配糖体化合物、特に、ケンペロール4-配糖体化合物を有効成分として含み、基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制することで、皮膚しわを改善し、且つ皮膚再生を促進することができる。
【0020】
他の一側面において、本明細書に開示された皮膚保護用組成物は、ケンペロール4-配糖体化合物を有効成分として含み、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制することで、アトピー性皮膚を改善し、又はアトピー性皮膚炎を改善、予防又は治療することができ、且つ皮膚角質生成周期を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施例に従い老化マーカーSA-beta-galの発現を観察した結果である。
【
図2a】本発明の一実施例に係る組成物の3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性抑制効果を示したグラフである。
【
図2b】本発明の一実施例に係る組成物の3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性抑制効果を示したグラフである。
【
図3】本発明の一実施例に係る組成物の基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現抑制効果を示したグラフである。
【
図4】本発明の一実施例に係る組成物がH&E、Ki-67、KRT10、FLG、INVに及ぼす効果を示したグラフである。
【
図5a】本発明の一実施例に係る組成物が表皮厚さ、Ki-67に及ぼす効果を示した結果である。
【
図5b】本発明の一実施例に係る組成物が表皮厚さ、Ki-67に及ぼす効果を示した結果である。
【
図6a】本発明の一実施例に係る組成物がKRT10に及ぼす効果を示した結果である。
【
図6b】本発明の一実施例に係る組成物がFLGに及ぼす効果を示した結果である。
【
図6c】本発明の一実施例に係る組成物がINVに及ぼす効果を示した結果である。
【
図7】化学式1~4で表されるケンペロール配糖体化合物の情報を示す図である。
【
図8a】PDK1lの抑制時に再生能力が回復するかに関する実験概略図である。
【
図8b】PDK1lの抑制時に再生能力が回復するかに関する実験概略図である。
【
図9a】PDK1の抑制による皮膚細胞の機能的回復を示した結果である。
【
図9b】PDK1の抑制による皮膚細胞の機能的回復を示した結果である。
【
図10a】皮膚再生に係るPDK1の効果を示した結果である。
【
図10b】皮膚再生に係るPDK1の効果を示した結果である。
【
図11a】PDK1の抑制が皮膚等価物でSASPを抑制することを示すグラフである。
【
図11b】PDK1の抑制が皮膚等価物でSASPを抑制することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素を更に含んでよいことを意味する。
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0024】
本発明の例示的な具現例では、下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む、皮膚保護用組成物を提供する。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
本明細書において「異性体」は、特に光学異性体(optical isomers)(例えば、本質的に純粋なエナンチオマー(essentially pure enantiomers)、本質的に純粋なジアステレオマー(essentially pure diastereomers)又はそれらの混合物)だけでなく、配座異性体(conformation isomers)(すなわち、1つ以上の化学結合のその角度のみ異なる異性体)、位置異性体(position isomers)(特に、互変異性体(tautomers))、又は幾何異性体(geometric isomers)(例えば、シス-トランス異性体)を含む。
【0030】
本明細書において「本質的に純粋な(essentially pure)」とは、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーと関連して用いた場合、エナンチオマー又はジアステレオマーを例として挙げることのできる具体的な化合物が約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約97%以上、又は約98%以上、さらに好ましくは約99%以上、最も好ましくは約99.5%以上(w/w)存在することを意味する。
【0031】
本明細書において「薬学的に許容可能」とは、通常の医薬的服用量(Medicinal dosage)で用いる際に相当な毒性効果を避けることにより、動物、より具体的には、ヒトに用いることができるという政府又はこれに準ずる規制機構の承認を受けることができ、又は承認を受け、又は一般的な薬局方に列挙され、又はその他一般的な薬局方に記載されたものと認定されることを意味する。
【0032】
本明細書において「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能であり、親化合物(parent compound)の好ましい薬理活性を有する本発明の一側面に係る塩を意味する。前記塩は、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸から形成されるか;又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンテンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2,2,2]-oct-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプト
ン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸といった有機酸から形成される酸付加塩(acid addition salt);又は、(2)親化合物に存在する酸性プロトンが置換されるときに形成される塩を含んでよい。
本明細書において「水和物(hydrate)」は、水が結合している化合物を意味し、水と混合物との間に化学的な結合力のない内包化合物を含む広範囲な概念である。
本明細書において「溶媒和物」は、溶質の分子やイオンと溶媒の分子やイオンとの間に生じた高次の化合物を意味する。
【0033】
前記化学式1で表されるケンペロール配糖体化合物のIUPAC名は、ケンペロール-3-O-β-D-キシロピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-キシロピラノシル-(1→2)-O-β-D-ガラクトピラノシド(Kaempferol-3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-O-α-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-β-D-xylopyranosyl-(1→2)-O-β-D-galactopyranoside)であり、これは常温で薄い黄色の粉末(pale yellow powder)で存在していてよい。
【0034】
前記化学式1で表されるケンペロール配糖体化合物の情報は、下記のとおりである。
Pale yellow powder;UV(HPLC-PDA)λ
max 266,347nm;[α]
22
D-57.4(c 0.10);ESI-Q-TOF-MS:m/z 859.2503[M+H]
+(calcd. for C
37H
47O
23
+,859.2508)、881.2329[M+Na]
+(calcd. for C
37H
4
6O
23Na
+、859.2327);
1H-(CD
3OD、500MHz) and
13C-NMR(CD
3OD、125MHz)(
図7参照)
【0035】
前記化学式2で表されるケンペロール配糖体化合物のIUPAC名は、ケンペロール-3-O-β-D-キシロピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-キシロピラノシル-(1→2)-O-β-D-グルコピラノシド(Kaempferol-3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-O-α-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-β-D-xylopyranosyl-(1→2)-O-β-D-glucopyranoside)であり、これは、常温で薄い黄色の粉末(pale yellow powder)で存在していてよい。
【0036】
前記化学式2で表されるケンペロール配糖体化合物の情報は、下記のとおりである。
Pale yellow powder;UV(HPLC-PDA)λ
max 266,
347nm;[α]
22
D-63.7(c 0.10);ESI-Q-TOF-MS:m/z 859.2505[M+H]
+(calcd. for C
37H
47O
23
+、859.2508)、881.2325[M+Na]
+(calcd. for C
37H
4
6O
23Na
+、859.2327);
1H-(CD
3OD、500MHz) and
13C-NMR(CD
3OD、125MHz)(
図7参照)
【0037】
前記化学式3で表されるケンペロール配糖体化合物のIUPAC名は、ケンペロール-3-O-β-D-キシロピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシル-(1→2)-O-β-D-ガラクトピラノシド(Kaempferol-3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-O-α-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-β-D-glucopyranosyl-(1→2)-O-β-D-galactopyranoside)で
あり、これは、常温で薄い黄色の粉末(pale yellow powder)で存在していてよい。
【0038】
前記化学式3で表されるケンペロール配糖体化合物の情報は、下記のとおりである。
Pale yellow powder;UV(HPLC-PDA)λ
max 266、347nm;[α]
22
D-72.5(c 0.2);ESI-Q-TOF-MS:m/z 889.2616[M+H]
+(calcd. for C
38H
49O
23
+、8
89.2613) and 911.2432[M+Na]
+(calcd. for
C
38H
48O
24Na
+、859.2327);
1H-(CD
3OD、500MHz)
and
13C-NMR(CD
3OD、125MHz)(
図7参照)
【0039】
前記化学式4で表されるケンペロール配糖体化合物のIUPAC名は、ケンペロール-3-O-β-D-キシロピラノシル-(1→3)-O-α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-O-β-D-グルコピラノシル-(1→2)-O-β-D-グルコピラノシド(Kaempferol-3-O-β-D-xylopyranosyl-(1→3)-O-α-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-O-β-D-glucopyranosyl-(1→2)-O-β-D-gluctopyranoside)であり、これは、常温で薄い黄色の粉末(pale yellow powder)で存在していてよい。
【0040】
前記化学式4で表されるケンペロール配糖体化合物の情報は、下記のとおりである。
Pale yellow powder;UV(HPLC-PDA)λ
max 266,
347nm;[α]
22
D-45.1(c 0.10);ESI-Q-TOF-MS:m/z 889.2613[M+H]
+(calcd. for C
38H
49O
23
+、
889.2613) and 911.2423[M+Na]
+(calcd. for
C
38H
48O
24Na
+、859.2327);
1H-(CD
3OD、500MHz) and
13C-NMR(CD
3OD、125MHz)(
図7参照)
【0041】
本発明の一側面に係る組成物は、ツバキ種子からオイルの抽出後に廃棄されるツバキ油粕(Camellia japonica seed cake)から抽出されたケンペロール4配糖体化合物(Kaempferol tetrasaccharides)を有効成分として含み、従来のケンペロール配糖体化合物を有効成分として含む組成物に比べて、顕著に優れる皮膚しわの改善、皮膚再生、アトピー性皮膚炎の改善、予防又は治療、皮膚角質生成周期の調節効果を奏し得る。
【0042】
ツバキ油粕抽出物は、テルペン配糖体、フラボノイド配糖体、糖及びタンパク質からなっている。特に、ツバキ油粕のフラボノイド配糖体は、ケンペロールの4配糖体(化学式1、2、3、4)と3配糖体(下記の化学式5、6、7、8)から構成されており、本発明者らは、ツバキ油粕由来のケンペロール配糖体のうち4配糖体の4種(化学式1、2、3、4)が皮膚保護効果に優れることを確認した。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
一具現例において、前記ケンペロール配糖体化合物は、ツバキ油粕から抽出されたものであってよい。
【0048】
具体的に、前記ケンペロール配糖体化合物は、ツバキ種子から圧搾方法にてオイル(油)を搾油後に得られるツバキ油粕を用意し、該ツバキ油粕から70%エタノールを用いてケンペロール配糖体化合物を抽出することで得られてよい。
【0049】
一具現例において、前記有効成分の濃度が、当該組成物の全重量を基準にして0.01~100μMであってよく、例えば、0.01μM以上、0.1μM以上、0.5μM以上、1μM以上、1.5μM以上、2μM以上、又は2.5μM以上であってよく、且つ100μM以下、50μM以下、10μM以下、8μM以下、6μM以下、又は4μM以下であってよい。
【0050】
前記濃度が0.01μM未満であると、皮膚再生の促進、アトピー性皮膚炎の改善、又は皮膚角質生成周期の調節などの皮膚保護効果が微々たるものになることがあり、100μMを超えると、細胞毒性が現われることがある。
【0051】
一具現例において、前記組成物は、皮膚しわを改善するためのものであってよい。
【0052】
一具現例において、前記組成物は、皮膚再生を促進するためのものであってよい。
【0053】
一具現例において、前記組成物は、基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制することができる。
【0054】
他の一具現例において、前記組成物は、基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制して、皮膚しわを改善するためのものであってよい。
【0055】
また他の一具現例において、前記組成物は、基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制して、皮膚再生を促進するためのものであってよい。
【0056】
一具現例において、前記組成物は、アトピー性皮膚を改善するためのものであってよい。
【0057】
一具現例において、前記組成物は、皮膚角質生成周期を調節するためのものであってよい。
【0058】
前記皮膚角質生成周期は、表皮細胞のターンオーバー(turn-over)周期であると言え、これは角質形成細胞(keratinocyte)の皮膚表皮(epidermis)の底から皮膚表面の退化した角質細胞(corneocytes)になるまでの周期を意味する。
【0059】
皮膚細胞のターンオーバー周期は、二つの要素によって決められ得るが、一つは表皮細胞の成長ポテンシャル(potential)を保持してコロニー(colony)の形成効率を測定することであり、もう一つは表皮細胞の分化促進でバリア強化を保持して分化程度を測定することである。本発明の一側面によれば、前記組成物は、ケンペロール4配糖体化合物を有効成分として含み、表皮細胞のコロニー形成を促進し、且つ分化を促進して皮膚角質生成周期又は表皮細胞のターンオーバー周期を短縮することができる。
【0060】
他の一具現例において、前記組成物は、皮膚角質を調節するためのものであってよく、又は皮膚角質ターンオーバーを促進するためのものであってよく、又は皮膚角質ターンオーバー周期を正常化するためのものであってよい。
【0061】
一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制することができる。
【0062】
前記化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物を含む組成物を用いてPDK1活性を抑制した場合、老化して成長が抑制された細胞が再び成長することができ、また損傷した細胞が回復することができる。
【0063】
言い換えれば、老化したヒト真皮線維芽細胞においてPDK1の抑制が老化特徴を除去し、且つNF-κB及びmTOR信号伝達を抑制して、細胞生成周期を回復させて皮膚再生能力を回復又は促進することができる。
【0064】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚しわを改善するためのものであってよい。
【0065】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚再生を促進するためのものであってよい。
【0066】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、アトピー性皮膚を改善し、又はアトピー性皮膚炎を改善、予防又は治療するためのものであってよい。
【0067】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚角質生成周期を調節するためのものであってよい。
【0068】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚角質を調節するためのものであってよい。
【0069】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚角質ターンオーバーを促進するためのものであってよい。
【0070】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚角質ターンオーバー周期を正常化するためのものであってよい。
【0071】
また他の一具現例において、前記組成物は、3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制して、皮膚バリアを改善するためのものであってよい。
一具現例において、前記組成物は化粧料組成物であってよい。
【0072】
本発明の一実施例に係る化粧料組成物の外形は、化粧品学又は皮膚科学的に許容可能な媒質又は基剤を含有してよい。これは、局所適用に適したあらゆる剤形として、例えば、溶液、ゲル、固体、練り無水生成物、水相に油相を分散させて得たエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、微細顆粒球又はイオン型(リポーソム)及び非イオン型の小嚢分散剤の形態で、又はクリーム、スキン、ローション、パウダー、軟膏、スプレー又はコンシーラースティックの形態で提供されてよい。これらの組成物は当
該分野の通常的な方法によって製造されてよい。また本発明に係る組成物は、泡沫(foam)の形態で圧縮された推進剤を更に含有したエアロゾル組成物の形態で用いられてもよい。
【0073】
本発明の一実施例に係る化粧料組成物は、その剤形において特に限定されるものではなく、例えば、柔軟化粧水、収れん化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、アイエッセンス、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、パウダー、ボディーローション、ボディークリーム、ボディーオイル、及びボディーエッセンスなどの化粧品に剤形化されてよい。
【0074】
本発明の一実施例に係る剤形がペースト、クリーム又はゲルの場合は、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカンド、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが用いられてよい。
【0075】
本発明の一実施例に係る剤形がパウダー又はスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーが用いられてよく、特にスプレーの場合は、更に、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン、又はジメチルエーテルのような推進剤を含んでよい。
【0076】
本発明の一実施例に係る剤形が溶液又は乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、溶媒和剤、又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレ
ングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0077】
本発明の一実施例に係る剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天又はトラガカントなどが用いられてよい。
【0078】
本発明の一実施例に係る剤形が界面活性剤含有クレンジングの場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてよい。
【0079】
本発明の一実施例に係る化粧料組成物には、前記有効成分の他、機能性添加物及び一般的な化粧料組成物に含まれる成分が更に含まれてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質、及び海草エキスからなる群より選択された成分を含んでよい。
【0080】
本発明の一実施例に係る化粧料組成物には、更に、前記機能性添加物と共に必要に応じて一般的な化粧料組成物に含まれる成分を配合してもよい。その他含まれる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
さらに、本発明の一実施例に係る組成物は、皮膚外用剤であってよく、前記皮膚外用剤は
、外皮に塗布されるものであればいずれも含み得る組成物の総称であって、多様な剤形の化粧品、医薬品がこれに含まれ得る。
【0081】
一具現例において、前記組成物は、アトピー性皮膚炎の改善、予防又は治療用薬学組成物であってよい。
【0082】
本発明の一実施例に係る薬学組成物は、防腐剤、安定化剤、水和剤又は乳化促進剤、浸透圧調節のための塩及び/又は緩衝剤などの薬剤学的補助剤、並びにその他治療的に有用な物質を更に含有してよく、通常的な方法に従い多様な経口投与剤又は非経口投与剤の形態で剤形化してよい。
【0083】
前記経口投与剤は、例えば、錠剤、丸剤、硬質及び軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤、粉剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ペレット剤などがあり、これらの剤形は、有効成分の他、界面活性剤、希釈剤(例:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及びグリシン)、滑沢剤(例:シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウム又はカルシウム塩、並びにポリエチレングリコール)を含有してよい。錠剤は、更に、マグネシウムアルミニウムシリケート、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリジンといった結合剤を含有してよく、場合に応じて、澱粉、寒天、アルギン酸又はそのナトリウム塩といった崩解剤、吸収剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤などの薬剤学的添加剤を含有してよい。前記錠剤は、通常の混合、顆粒化又はコーティング方法によって製造されてよい。また、前記非経口投与の形態としては、経皮投与型剤形であってよく、例えば、注射剤、点滴剤、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、スプレー、懸濁剤、乳剤、坐剤、パッチなどの剤形であってよいが、これらに制限されるものではない。
【0084】
本発明の一実施例に係る薬学組成物は、非経口、直腸、局所、経皮、皮下などに投与されてよい。
【0085】
前記有効成分の投与量の決定は、通常の技術者の水準内にあり、薬物の1日投与量は、投与しようとする対象の肥満進行程度、発病時期、年齢、健康状態、合併症などの多様な要因に応じて異なり得るが、成人を基準としたとき、一般的には、前記組成物0.01mg/kg/日~100mg/kg/日であってよく、例えば、0.01mg/kg/日以上、0.1mg/kg/日以上、0.5mg/kg/日以上、1mg/Kg/日以上、1.3mg/Kg/日以上、1.5mg/Kg/日以上、1.7mg/Kg/日以上、2mg/Kg/日以上、又は2.2mg/Kg/日以上であってよく、且つ100mg/kg/日以下、50mg/kg/日以下、10mg/kg/日以下、7mg/kg/日以下、5mg/kg/日以下、3mg/kg/日以下、又は2.5mg/kg/日以下であってよく、好ましくは、1mg/kg~5mg/kgを1日1~3回分割して投与してよく、前記投与量は如何なる方法であっても本発明の範囲を限定するものではない。
【0086】
一具現例において、前記組成物は食品組成物であってよい。
【0087】
本発明の一実施例に係る食品組成物は、液状又は固体状態の剤形であってよく、錠剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、丸剤、顆粒剤、飲料(ドリンク剤)、ダイエットバー、チョコレート、キャラメル剤形、又はお菓子類の剤形であってよく、その剤形が特に限定されるものではない。本発明の食品組成物は、前記有効成分の他、必要に応じて賦形剤、糖類、香料、色素、油脂類、タンパク質などを適宜含有してよい。
本発明のまた他の例示的な具現例において、下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又は
その溶媒和物有効成分として含む組成物を、これを必要とする対象に有効量で投与することを含む、皮膚を保護する方法を提供する。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
本発明のまた他の例示的な具現例において、皮膚保護用組成物を製造するための、下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物の用途を提供する。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
本発明のまた他の例示的な具現例において、皮膚を保護するための下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物の非治療的用途を提供する。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
本発明のまた他の例示的な具現例において、アトピー性皮膚炎の改善、予防又は治療に用いるための下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を提供する。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
以下、下記の実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。なお、下記の実施例は本発明についての理解を助けるための目的から例示したものに過ぎず、本発明の範疇及び範囲がこれらに限定されるものではない。
【0108】
実施例
実験に用いたツバキ油粕は、済州島ツバキ村のツバキ種子から圧搾方法にてオイル(油)の生産後に得たものである。ツバキ油粕から70%エタノールを用いて抽出物を製造し、ツバキ油粕抽出物がテルペン配糖体、フラボノイド配糖体、糖及びタンパク質からなることを確認した。特にツバキ油粕のフラボノイド配糖体は、ケンペロールの4配糖体(化学式1~4)と3配糖体(化学式5~8)から構成されており、本明細書ではツバキ油粕のケンペロール配糖体のうち4配糖体の4種(化学式1~4)の皮膚抗老化及び再生効果に優れることを確認した。
【0109】
1)ツバキ油粕ケンペロール配糖体分画の精製
低温搾油してオイルを除去したツバキ油粕1kgに70%エタノール8kgを入れ、加温抽出機を用いて60℃で8時間抽出した。フィルタープレスでろ過して得た抽出物を50~60℃で回転減圧濃縮機にて固形分が約50%になるまで減圧濃縮して、200gの濃縮液を得た。該濃縮液を固形分10%になるように精製水で希釈した。
この溶液をイオン交換樹脂(HP-20)2Lが充填されたガラス管コラムにローディングした後、精製水10Lで洗浄して不純物及び糖成分を除去した。次いで、順次、30%エタノール10Lを流し込み、溶出液を減圧濃縮し、凍結乾燥して、ツバキケンペロール配糖体分画パウダー約20gを得た。
【0110】
2)ツバキ油粕のケンペロール4配糖体及び3配糖体の精製
ツバキケンペロール配糖体分画の各成分は、HPLCの結果、溶出時間の差が非常に小さくて分取用HPLCを用いて分離した。使用溶媒条件は水とアセトニトリル、メタノールの混合溶媒を用い、これらの溶媒の濃度勾配又は一定の比率の混合液を用い、その結果、化学式1~4(4配糖体)及び5~8(3配糖体)のケンペロール配糖体化合物の成分を分離した。
【0111】
試験例
統計
下記のすべての実験における試料間の統計的有意性はstudent t-testを用い、p-value値が0.05以下の場合に統計的に有意であると分析した。(*p
<0.05、**p<0.01、***p<0.001)
【0112】
試験例1:老化マーカーSA-beta gal発現程度の確認
*細胞株及び培養
(1)老化した皮膚細胞の培養
ヒト真皮線維芽細胞のnormal human dermal fibroblast(NHDF;Lonza、Switzerland)を10%ウシ血清(fetal bovin serum)を含むDMEM培地(Dulbecco’s modified Eagle’s Medium、Gibco 1210-0038)で培養し、培養はいずれも37℃、5% CO2培養器で行った。継代の数が6~9の細胞を若い細胞とし、これを1:5継代培養して37回継代し、老化した真皮線維芽細胞を得た。
【0113】
(2)老化マーカーSA-beta gal発現活性の分析
前記(1)の老化した皮膚細胞に、DMSO、化学式1、2、3、4、5、6、7、8で表される化合物と、下記の化学式9、10で表されるケンペロール3-O-β-ルチノシド(Kaempferol 3-O-β-rutinoside)(化学式9)、ケンペロール7-O-β-D-グルコピラノシド(Kaempferol 7-O-β-D-glucopyranoside)(化学式10)3μMをそれぞれ7日間処理した。
【0114】
【0115】
【0116】
8日目にPBSで洗浄し、細胞老化分析キット(Cellular Senescence Assay kit)(Cell Biolabs,Inc.、San Dieg
o、CA、USA)から提供された固定液と染色液で37℃で16時間染色した。翌日にPBSで洗浄し、20%グリセロール溶液で覆って顕微鏡にて緑色に染色された細胞の数を測定した後、老化マーカーのSA-beta-Gal発現程度を評価し、その結果を下記の表1、
図1に示した。
【0117】
【0118】
*細胞生存力の分析(Cell viability assay)
1.HDF(human dermal fibroblast)細胞を96ウェルプレートに1×104cells/wellの濃度で分注し、細胞培養条件で48時間培養した。
2.FBSを含有していないDMEM培地に試験物質を濃度別に希釈してから細胞に処理して48時間培養した。
3.DPBS(Dulbecco’s Phosphate-Buffered Saline)で洗浄し、10% EZ-Cytox溶液を含む培養培地に取り替えて1時間にかけて細胞培養条件で培養した後、ELISA reader(Tecan Infinite M200 Pro)にて450nmにおける吸光度を測定した。
【0119】
前記表1を参照すると、本発明の化学式1-4の化合物が対照群又は比較例化合物(化学式5-8)と比べて、約50%の水準で老化マーカーのSA-betaの発現を抑制させたことを確認することができる。
【0120】
また、
図1を参照すると、本発明の化学式1-4の化合物が培養された細胞で老化マーカーのSA-beta galが顕著に低減したことを目視で確認することができる。
【0121】
試験例2:PDK1の分析
3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性は、組換え精製PDK1酵素(recombinant purified PDK1 enzyme)とADP-Glo+PDK1キナーゼ酵素システム(PDK1 Kinase Enzyme System)(Promega、Madison、WI、USA)を用いて測定した。基材(Substrate)、ATP、バッファー(buffer)混合物の分注後、試験物質(1、3、10μM)を各ウェル(well)に分注した。その直後にPDK1を分注して60分間反応させた。反応後、ADP-gloを入れ、常温で40分インキュベーション(Incubation)した後、キナーゼ探知バッファー(kinase detection buffer)を入れて30分の反応後に発光リーダー(Luminescence reader)(Wallac Victor2、perkin elmer)にて測定した。その結果を
図2a及び2bに示した。
【0122】
図2a及び2bを参照すると、比較例である化学式5~8の化合物(2a)に比べて、本発明の化学式1~4の化合物(2b)のPDK活性抑制効果のほうが遥かに優れていることを確認することができる。具体的に、
図2aを参照すると、対照群であるDMSOに比べて、化学式5~8の化合物の場合、PDK1活性が全く抑制できず、むしろ促進させる様態をみせたが、
図2bを参照すると、本発明の化学式1~4の化合物は、対照群であるDMSOに比べて、顕著にPDK1活性を抑制することを確認することができる。また、ケンペロール4配糖体化合物(化学式1~4)のうちOHが更にくっ付いている場合、同一の濃度でより高い効果を示すことを確認することができる。
【0123】
試験例3:MMP-1 ELISA分析
HDF細胞を24ウェルプレート(well plate)に2.5×10
4cells/wellの濃度で分注し、細胞培養条件で24時間培養した。次いで、FBSを含有していないDMEM培地に試験物質を希釈してから細胞に処理して48時間培養した。DPBS(Dulbecco’s Phosphate-Buffered Saline)で洗浄した後、DPBSを入れた状態で15mJ/cm
2の光量でUVB(15mJ/cm
2)の照射後に試験物質(2μM又は3μM)が希釈されたDMEM培地に取り替えてから48時間培養した。次いで、上層液(supernatant)を収去し、Human Total MMP-1 ELISA(R&D systems)を用いてMMP-1の量を測定した。その結果を
図3に示した。
【0124】
図3を参照すると、本発明のケンペロール4配糖体化合物(化学式1、3、4)のMMP-1発現抑制がケンペロール3配糖体化合物(化学式5、7)及びレチノイン酸(retinoic acid、Ra)などの対照群に比べて優れることを確認することができる。
【0125】
試験例4:皮膚バリア改善の確認
1)3D器官型皮膚表皮(3D organotypic skin epidermis)
ヒト表皮モデル(human epidermis models)(EpidermTM EPI-201;MatTek corportation、Ashland、MA、USA)を若い人(21歳、21Yと表示)及び老人(58歳、58Yと表示)に該当する人からそれぞれ購入し、これらのうち老人に該当するヒト表皮モデルに化学式で表されるケンペロールの4配糖体を3μMずつ4日間処理した。10%中性バッファーホルマリン(neutral buffered formalin)で固定してからパラフィンブロックを製造した。
【0126】
2)皮膚バリアマーカーの確認
anti-KRT 10(Biolegend、San Diego、CA)、anti-FLG(Novus Biologicals、Centennial CO、USA)、anti-Involucrin、及びanti-Ki67(Abcam)抗体で反応させた後、顕微鏡で各抗体発現を分析した。具体的に、若いドナー(donor)(Young 21Y)由来の表皮組織と老人のドナー(donor)(Old 58Y)由来の表皮組織に薬物を処理した後、提示した抗体にて染色し定量化した。その結果を
図4、
図5a~5b及び
図6a~6cに示し、5a~5b及び
図6a~6cは、
図4の結果を定量化したものである。
【0127】
これを参照すると、若い人の表皮組織に比べて老人の表皮組織は表皮の厚さが減少し(
図5a)、バリア機能(KRT10-
図6a、FLG-
図6b、INV-
図6c)が弱化し、再生能力マーカー(KI67-
図5b)の発現に劣ることを確認した。なお、老人の表皮組織に化学式1で表される化合物を処理した場合、すべての項目で若い人の表皮組織と類似の程度に表皮厚さ、バリア機能及び再生能力マーカー発現効果が回復する結果を示した。
【0128】
試験例5:PDK1抑制時の再生能力回復
調節信号ネットワークを分析してPDK1が老化線維芽細胞(senescent fibroblasts)を静止線維芽細胞(quiescent fibroblasts)に切り換えできる抑制剤標的であることを予測した(
図8a)。この予測を検証するために、PDK1抑制剤に露出されたNHDF(normal human dermal fibroblasts)(
図8b)で実験を行い、これは、細胞老化の特徴を除去
し成長因子に対する反応で細胞の増殖を回復させることを確認し、2次元カルチャーと3次元皮膚同等モデルで皮膚再生能力を回復したことを確認した。
【0129】
総合的に、PDK1抑制が老化の表現型を維持する核心過程である細胞成長とSASPをいずれも減少させ、細胞成長に関連したPDK1、AKT、IKBKB及びPTENから構成された主な陽性フィードバックルーフを非活性化することを確認した。信号伝達の結果的な変化は静止表現型(quiescence phenotype)を復元する。
【0130】
下記の実験においてヒト真皮線維芽細胞である正常ヒト真皮線維芽細胞(normal
human dermal fibroblast)(NHDF;Lonza、Switzerland)を10%ウシ血清(fetal bovin serum)を含むDMEM培地(Dulbecco’s modified Eagle’s Medium、Gibco 1210-0038)で培養し、培養はいずれも37℃、5% CO2培養器で行った。継代の数が6~9である細胞を若い細胞とし、これを1:5継代培養して37回継代し、老化した真皮線維芽細胞を得た。
【0131】
1)傷治癒分析によって分析されたPDK1抑制による皮膚細胞の機能的回復
先ず、PDK1抑制又はmTOR及びNF-κBの二重抑制によって老化の特徴低減だけでなく真正な再生能力が達成できたか否かを確認するために、2次元傷治療と3次元皮膚再生のための逆転した細胞の能力を調べた。
【0132】
具体的な実験方法は下記のとおりである。
【0133】
若いNHDFは老化条件や薬物治療を受けていない。若いNHDFは培養がPDL 12で約80%の合流に達したときに分析された。残りのNHDFはドキソルビシン(100ng/ml)とIGF-1(100ng/ml)に7日間露出させて老化を誘導した。薬物処理条件の場合、老化細胞をDMSO、ラパマイシン(100nM)、ラパマイシンとJSH(2.5μM)又はBX795(100nM)で7日間更に処理した。条件培地処理(BX795+CM(Conditioned medium))のために、細胞をドキソルビシン及びIGF-1の存在の下で、7日間成長させた後、ドキソルビシン、IGF-1及びBX795の追加の存在の下で、7日継代培養した後、老化細胞から抽出した調節培地とともに3日間更に培養した。
【0134】
図9a~9bを参照すると、それぞれ次のとおりである:(
図9a)傷後0時間及び96時間の代表的なイメージであって、破線が傷部位を示す。スケールバー=200μm。(
図9b)スクラッチ傷分析によるマイグレイション領域の定量化分析。平均(Mean)±SD(n=3)、分散の一方向分析によってDMSO対照群老化細胞と比較して***
P<0.001。
【0135】
PDK1抑制又はmTOR及びNF-κBの二重抑制(mTOR単一抑制ではない)により、NHDF単一層のスクラッチ傷の治療が促進された(
図9a~9b)。
【0136】
2)皮膚再生に対するPDK1の効果
3D皮膚モデル(皮膚等価物)として、若いNHDF(PDL 12)、又はドキソルビシン(doxorubicin)とIGF-1又は繰り返しのメッキ(複製老化、PDL 57)によって老化に誘導された老化NHDFを準備し、これらをDMSO又はBX795に露出させた。それぞれ処理された含量は次のとおりである:ドキソルビシン(100mg/mL)、IGF-1(100ng/mL)、BX-795(100nM)
【0137】
図10a~10bを参照すると、それぞれ次のとおりである:(10a)皮膚等価モデ
ルセクションはコラーゲン繊維を検出するためにヘマトキシリン及びエオシン(haematoxylin and eosin、H&E)又はマッソン・トリクローム(Masson’s Trichrome)で染色された。表示されたタンパク質は免疫組織染色(immunohistochemistry)によって検出された。結果は3つの代表実験から得たものである。スケールバー=50μm。
【0138】
具体的に、実験方法は次のとおりである。
【0139】
パラフィンサンプルはキシレンで脱蝋され、下降するエタノールにて再水和された(各溶液当たり3分)。エピトープ(Epitope)回収は、Citrate Buffer pH 6.0 Antigen Retriever(64142;Electron Microscopy Sciences、Hatfield、PA)を用いて121℃で10分間行い、スライドはPBS/0.05% Tween 20で3回洗浄する前に冷却した。しかる後、セクションを水/1% H2O2と共に30分間培養して、内在性ペルオキシダーゼ(endogenous peroxidase)をブロッキング(blocking)し、水とPBS/0.05% Tween 20で5分間濯ぎ、4℃で一晩中次の1次抗体に露出する前にPBS/10%ヤギ血清(Dako、Glostrup、Denmark)と共に20分間培養した。1次抗体は次のとおりである;anti-KRT 10(Biolegend、San Diego、CA)、anti-FLG(Abcam)、anti-MMP-1(Abcam)、anti-Ki67(Abcam)。
【0140】
サンプルを10分間水で完全に洗浄し、更に5分間PBS/0.05% Tween 20で徹底的に洗浄した後、EnVision+System-ホースラディッシュペルオキシダーゼ-標識されたポリマー抗マウス抗体(K4001;Dako、Carpinteria、CA)と共に30分間培養した。しかる後、サンプルを液体DAB+ Substrate Chromogen System(K3468;Dako)で培養する前に、水とPBSで3~5分間洗浄した。前記反応を水道水で濯いで中断し、セクションをMayer’s hematoxylinで3~5分間対比染色(counterstain)し、水道水で1分間濯ぎ、Scott’s bluing waterで2分間濯いだ。
【0141】
最後に、セクションは等級が指定されたエタノールで脱水され、キシレンで除去され、Cytoseal 60(ThermoScientific、Waltham、MA)に装着された。Masson’s trichrome染色は市販中のキット(BBC Biochemical、Seattle、WA、USA)を用いて行われた。免疫蛍光染色のためにDako標的回収溶液(Dako)でスライドを20分間沸かして抗原回収を行った。非特異的染色は10%ロバ血清及び0.05% Triton X-100を含むPBSで30分間培養してブロッキング(blocking)した。組織セクションを、4℃で一晩中Dako Fluorescence Mounting Medium(Dako)でCOL17A1(Abcam)及びLaminin 5(Santa Cruz Biotechnology)と共に培養した後、室温で2時間、Alexa
Fluor 488(Invitrogen-Molecular Probes)と結合された適切な2次抗体と共に培養した。PBSで洗浄した後、核対比染色(counterstaining)のために、4’,6-ジアミジン-2’- フェニルインドール二塩酸塩(4’,6-diamidine-2’-phenylindole dihy
drochloride)(DAPI、Invitrogen-Molecular Probes)を追加した。カバースリップは蛍光性封入剤(fluorescent mounting medium)(Thermo Electron)を用いてガラススライドに装着された。
【0142】
図10bの左側の上から順に、ImageJソフトウェアを用いて皮膚厚さの定量化/MMP1の定量化/マッソン・トリクローム(Masson’s Trichrome)染色で検出されたパン-コラーゲン(pan-collagen)繊維の定量化(Collagen fiber)/Ki-67陽性細胞の定量化/ImageJソフトウェアを用いて表皮厚さの定量化/ケラチン10の定量化/。フィラグリンの定量化/COL17A1の定量化/Laminin5の定量化/ELISAによって定量化された培養培地に分泌されたタイプIプロコラーゲンタンパク質の定量化。
図10bのデータは、3つの独立サンプルから得た3つの独立フィールドの平均(Mean)±SDで表示される。分散の一方向分析によってDMSO対照群老化細胞と比較して***P<0.001。
【0143】
PDK1抑制は、MMP1の増加、コラーゲン繊維の減少、プロコラーゲン分泌の減少によって立証された、複製老化及び化学的に誘導された老化に関連した真皮老化を逆転させた(
図10a~10b)。表皮恒常性の場合、角質細胞の増殖と分化との間の均衡は真皮線維芽細胞によって調節される。
【0144】
したがって、PDK1の抑制による老化真皮線維芽細胞の逆転が角質細胞の増殖と分化に影響を及ぼすか否かを調べた。BX-795は、腫瘍細胞でPDK1/Akt信号伝達を遮断し、培養又は誘導されたアポトーシス(apoptosis)で多様な腫瘍細胞株の足場依存性増殖(anchorage-dependent growth)を抑制する強力なPDK1抑制剤である。調べの結果、Ki-67増殖マーカーはPDK1抑制剤として広く知られたBX795で処理された皮膚等価物(
図10a~10b)の表皮で著しく上昇し、老化-誘発されたNDHFにおいて皮膚等価物で表皮厚さを保存したケラチノサイトの増殖能力が増加したことを示した(
図10a~10b)。
【0145】
また、角質細胞分化マーカー(ケラチン10及びフィラグリン)と真皮表皮接合部(COL17A1及びラミニン5)の基底膜マーカーに対する染色強度を比較した結果、PDK1抑制は、老化NHDFの皮膚等価物から発見される斯様な角質細胞分化マーカー及び真皮表皮接合の成分の減少された豊富さを回復させた(
図10a)。
【0146】
2次元老化NHDF(
図9a~9b)に対する観察と同様、BX795で処理された二つの類型の老化NHDFにて用意された皮膚等価物から抽出した条件培地には、ビヒクル(vehicle)-処理皮膚等価物からの条件培地よりも、GRO、GROα、IL-6、IL-8、MCP-1~3及びRANTESが少なく含有されるように準備した(
図11a~11b)。
【0147】
具体的に、実験方法は次のとおりである。
【0148】
PDK1抑制は皮膚等価物でSASPを抑制する。3D皮膚モデル(皮膚等価物)は、若いNHDF(PDL 12)、又はドキソルビシンとIGF-1又は繰り返しのメッキ(複製老化、PDL 57)によって老化に誘導された老化NHDFにて用意し、これらをDMSO又はBX795に露出させた。それぞれ処理された含量は次のとおりである:ドキソルビシン(100mg/mL)、IGF-1(100ng/mL)、BX-795(100nM)。
【0149】
BX795を用い又は用いずに処理された化学的-誘導又は複製老化NHDFの皮膚等価物からの条件培地(Conditioned medium、CM)をサイトカイン抗体アレイで測定し、各膜の内部陽性対照群として正規化した。(
図11a)BX795を用い又は用いずに処理された化学的誘導されたNHDFsからの皮膚等価物のサイトカインアレイで測定された分泌タンパク質。(
図11b)BX795で処理され又は処理され
ていない複製老化NHDFsから皮膚等価物のサイトカインアレイで測定された分泌タンパク質。分散の一方向分析によってDMSO対照群老化細胞と比較して平均±SD(n=3)、***P<0.001。
【0150】
全体的に、このような発見は、PDK1抑制が老化真皮線維芽細胞を静止線維芽細胞に切り換えて表皮再生を向上させ且つ皮膚厚さを保存して老化に関連した皮膚悪化を制限することを示すことである。
【0151】
具体例
具体例1:下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む、皮膚保護用組成物。
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
具体例2:具体例1において、
前記ケンペロール配糖体化合物は、ツバキ油粕から抽出されたものである、皮膚保護用組成物。
【0157】
具体例3:具体例1又は2において、
前記有効成分の濃度が、当該組成物の全重量を基準にして0.01~100μMである、皮膚保護用組成物。
【0158】
具体例4:具体例1~3のいずれか一つにおいて、
前記皮膚保護は、
皮膚しわを改善すること;
皮膚再生を促進すること;
基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制すること;
アトピー性皮膚炎を改善、予防又は治療すること;
皮膚角質生成周期を調節すること;又は
3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制すること;である、皮膚保護用組成物。
【0159】
具体例5:具体例1~4のいずれか一つにおいて、
当該組成物は化粧料組成物である、皮膚保護用組成物。
【0160】
具体例6:具体例1~4のいずれか一つにおいて、
当該組成物は、アトピー性皮膚炎改善、予防又は治療用薬学組成物である、皮膚保護用組成物。
【0161】
具体例7:具体例1~6のいずれか一つにおいて、
前記有効成分の投与量は、0.01~100mg/kg/日である、皮膚保護用組成物。
【0162】
具体例8:具体例1~4のいずれか一つにおいて、
当該組成物は食品組成物である、皮膚保護用組成物。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1~4のいずれか一つで表されるケンペロール配糖体化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む、皮膚
バリア機能回復用
化粧料組成物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【請求項2】
前記ケンペロール配糖体化合物は、ツバキ油粕から抽出されたものである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記有効成分の濃度が、当該組成物の全重量を基準にして0.01~100μMである、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性が亢進した患者に適用される、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
皮膚再生を促進する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
基質メタロプロテアーゼ-1(Matrix Matallloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
皮膚角質生成周期を調節する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
3-ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(3-Phosphoinositide-dependent kinase 1、PDK1)の活性を抑制する、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記有効成分の投与量は、0.01~100mg/kg/日である、請求項1に記載の化粧料組成物。