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特開2024-16026細胞加齢の反転のための一過性細胞リプログラミング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016026
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】細胞加齢の反転のための一過性細胞リプログラミング
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7105 20060101AFI20240130BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61K48/00
A61P17/00
A61P17/14
A61P27/02
A61P27/04
A61P27/06
A61P27/12
A61P11/00
A61P11/06
A61P35/00
A61P31/00
A61P29/00
A61P19/02
A61P19/10
A61P19/08
A61P21/04
A61P21/00
A61P29/00 101
A61P3/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172587
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2020548709の分割
【原出願日】2019-03-13
(31)【優先権主張番号】62/642,538
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】513012026
【氏名又は名称】ザ・ボード・オブ・トラステイーズ・オブ・ザ・リーランド・スタンフオード・ジユニア・ユニバーシテイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビットリオ・セバスティアーノ
(72)【発明者】
【氏名】タパシュ・ジェイ・サルカール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加齢した細胞及び組織を若返らせて、機能性を回復させるための組成物を提供する。
【解決手段】1種以上の細胞のリプログラミング因子をコードする一以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む治療効果量の細胞を含む組成物であって、対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害、神経変性障害及び/又は筋骨格機能不全を治療するための、組成物である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を若返らせる方法であって、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトし、これにより、若返った細胞を産生するステップを含む方法。
【請求項2】
若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルが、若齢細胞のトランスクリプトームプロファイルに類似するようになる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルが、RPL37、RHOA、SRSF3、EPHB4、ARHGAP18、RPL31、FKBP2、MAP1LC3B2、Elf1、Phf8、Pol2s2、Taf1及びSin3aから選択される1種以上の遺伝子の遺伝子発現の増加を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
若返った細胞が、参照値と比較して、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーの増加した遺伝子発現を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マーカーが、HP1ガンマ、H3K9me3、ラミナ支持タンパク質LAP2アルファ及びSIRT1タンパク質から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
若返った細胞が、参照値と比較して、増加したタンパク質分解活性を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
増加したタンパク質分解活性が、増加した細胞オートファゴソーム形成、増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性、又はこれらの組合せとして測定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
若返った細胞が、参照値と比較して、改善されたミトコンドリアの健康及び機能を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
改善されたミトコンドリアの健康及び機能が、増加したミトコンドリア膜電位、減少した活性酸素種(ROS)又はこれらの組合せとして測定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
若返った細胞が、参照値と比較して、1種以上のSASPサイトカインの減少した発現を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
SASPサイトカインが、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
若返った細胞が、メチル化ランドスケープの逆行を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
メチル化ランドスケープの反転が、Horvath時計による推定によって測定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
参照値が、加齢した細胞から得られる、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップが、リポフェクタミン及びLT-1媒介トランスフェクション、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソームにおけるmRNAの封入、並びに直接的マイクロインジェクションから選択される方法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
細胞が、哺乳類細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
細胞が、ヒト細胞である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞が、高齢対象に由来する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨格筋幹細胞、ケラチノサイト、間葉系幹細胞及び角膜上皮細胞から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
細胞が、間葉系幹細胞である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
若返った間葉系幹細胞が、老化パラメータ(p16、p21及び陽性SAβGal染色)の低下、増加した細胞増殖、及び/又はROSレベルの減少を示す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
インビトロ、エクスビボ又はインビボで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
インビボで行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
細胞が、組織又は臓器内にある、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
組織又は臓器内の老化した細胞の数を低下させる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上の発現を減少させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
細胞の機能を回復させる、分化能を増加させる、生存率を増強する、複製能若しくは寿命を増加させる、又はこれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
トランスフェクトするステップが、5日間、1日1回行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
トランスフェクトするステップが、4日間、1日1回行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
トランスフェクトするステップが、3日間、1日1回行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
トランスフェクトするステップが、2日間、1日1回行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害、神経変性障害及び/又は筋骨格機能不全を治療するための方法であって、治療有効量の細胞を投与するステップを含み、細胞が、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む、方法。
【請求項35】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
対象が、加齢性疾患又は状態を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
加齢性疾患又は状態が、眼、皮膚又は筋骨格機能不全から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
対象が、軟骨変性障害を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
障害が、関節炎、軟骨無形成症(chondrophasia)、脊椎関節症、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎及びシェーグレン症候群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
治療が、炎症性因子の発現を低下させる、及び/又はATP及びコラーゲン代謝を増加させる、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
炎症性因子が、RANKL、iNOS2、IL6、IFNα、MCP3及びMIP1Aから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ATP及びコラーゲン代謝が、増加したATPレベル、減少したROS及び増加したSOD2、増加したCOL2A1、及び軟骨細胞による全体的な増殖のうち1種以上によって測定される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
対象が、筋骨格機能不全を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
治療有効量の細胞を投与するステップが、注射又は外科的埋植を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
治療有効量の若返った細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨格筋幹細胞、ケラチノサイト、間葉系幹細胞及び角膜上皮細胞から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
治療有効量の若返った細胞が、角膜上皮細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
若返った角膜上皮が、老化パラメータの低下を示す、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
老化パラメータが、p21及びp16の発現、ミトコンドリア新生PGC1α、並びに炎症性因子IL8の発現のうち1種以上を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害を治療する、及び/又は筋骨格機能不全を有する対象を治療するための方法であって、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする治療有効量の1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを投与するステップを含む方法。
【請求項51】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
対象が、加齢性疾患又は状態を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
加齢性疾患又は状態が、眼、皮膚又は筋骨格機能不全から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
対象が、軟骨変性障害を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
障害が、関節炎、軟骨無形成症(chondrophasia)、脊椎関節症、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎及びシェーグレン症候群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
対象が、筋骨格機能不全を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
治療有効量の1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを投与するステップが、標的細胞への直接的注射を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
標的細胞が、上皮細胞、内皮細胞、結合組織細胞、筋肉細胞及び神経系細胞から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
操作された組織をエクスビボで若返らせる方法であって、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、組織にトランスフェクトし、これにより、若返った操作された組織を産生するステップを含む方法。
【請求項61】
操作された組織が、老化パラメータ、炎症促進性因子の低下、組織学的スコアの改善、又はこれらの組合せを示す、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
操作された組織が、操作された皮膚組織である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
老化パラメータが、p16並びに陽性SAβGal染色並びに炎症促進性因子IL8及びMMP1から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
組織学的スコアが、形態、組織化及び/又は品質を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
若返った細胞を含む医薬組成物であって、若返った細胞が、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトするステップによって得られる、医薬組成物。
【請求項66】
1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
細胞が、HP1ガンマ、H3K9me3、LAP2アルファ、SIRT1の増加した発現、増加したミトコンドリア膜電位、及び減少した活性酸素種、及びSASPサイトカインの減少した発現のうち1種以上を呈する、請求項65に記載の組成物。
【請求項68】
SASPサイトカインが、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上を含む、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
栄養素、サイトカイン、成長因子、細胞外マトリックス(ECM)成分、抗生物質、抗酸化剤及び免疫抑制剤から選択される1種以上の追加的な成分をさらに含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項70】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項65に記載の組成物。
【請求項71】
細胞が、自家又は同種異系である、請求項65に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月13日に出願された米国仮特許出願第62/642538号に対する優先権を主張し、これによりあらゆる目的のため参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
加齢は、分子、細胞、組織及び生物レベルで生じる漸進的な機能喪失によって特徴付けられる。クロマチンレベルでは、加齢は、異常な遺伝子調節、幹細胞消耗、老化及び調節解除された細胞/組織恒常性を最終的にもたらす、進行性のエピジェネティックエラー蓄積に伴う。少数の転写因子の過剰発現による多能性への核リプログラミングの技術は、エピジェネティックリプログラミングを駆動することにより、いずれかの細胞の齢及び同一性の両方を、胚細胞のそれへと復帰させることができる。細胞独自性の望ましくない抹消は、その結果生じる構造、機能並びに組織及び臓器における細胞型分布の破壊のため、若返り療法の開発にとって問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(発明の要旨)
前述を考慮すると、脱分化及び細胞独自性の喪失を回避する、細胞を若返らせる改善された方法の必要がある。本開示は、このような必要に取り組み、その上、さらなる利益を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、全般的に、細胞の若返り、組織工学及び再生医学に関係する。特に、本開示は、細胞を分化した状態に保持しつつ細胞を若返らせるリプログラミング因子をコードする非組込みmRNAへの一過性曝露によって、加齢した細胞及び組織を若返らせて、機能性を回復させるための組成物及び方法に関する。
【0005】
本開示は、若返った細胞を利用した、細胞ベースの治療法に関する。特に、本開示は、細胞を分化した状態に保持しつつ細胞を若返らせるリプログラミング因子をコードする非組込みmRNAへの一過性曝露によって、加齢した細胞及び組織を若返らせて、機能性を回復させるための方法に関する。
【0006】
ある態様では、細胞を若返らせる方法であって、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトし、これにより、若返った細胞を産生するステップを含む方法が本明細書に提供される。
【0007】
ある態様では、対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害、神経変性障害及び/又は筋骨格機能不全を治療するための方法が本明細書に提供される。本方法は、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む治療有効量の細胞を投与するステップを含む。
【0008】
ある態様では、対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害を治療する、及び/又は筋骨格機能不全を有する対象を治療するための方法が本明細書に提供される。本方法は、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、治療有効量の1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを投与するステップを含む。
【0009】
ある態様では、操作された組織をエクスビボで若返らせる方法が本明細書に提供される。本方法は、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、組織にトランスフェクトし、これにより、若返った操作された組織を産生するステップを含む。
【0010】
ある態様では、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトするステップによって得られる若返った細胞を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0011】
よって、一態様では、本開示は、細胞を若返らせる方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトするステップであって、前記トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ、及びb)1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを翻訳し、細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を産生し、細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、細胞が、幹細胞へと脱分化することなく若返る、ステップを含む方法を含む。本方法は、インビトロ、エクスビボ又はインビボで細胞において行われ得る。
【0012】
ある特定の実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAによるトランスフェクションは、2日間、3日間又は4日間、1日1回行われる。
【0013】
ある特定の実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される。一実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む。
【0014】
本方法は、いずれかの型の細胞において行われ得る。一部の実施形態では、細胞は、哺乳類細胞(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギなど)である。例えば、本方法は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞又は骨格筋幹細胞において行われ得る。別の実施形態では、細胞は、高齢対象に由来する。
【0015】
ある特定の実施形態では、一過性リプログラミングは、HP1γ、H3K9me3、ラミナ支持タンパク質LAP2α及びSIRT1の増加した発現、GMSCF、IL18及びTNFαの減少した発現、減少した核の折畳み、減少した小疱形成、増加した細胞オートファゴソーム形成、増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性、増加したミトコンドリア膜電位、又は減少した活性酸素種(ROS)をもたらす。
【0016】
ある特定の実施形態では、細胞は、組織又は臓器内にある。本明細書に記載されている方法に従った一過性リプログラミングは、組織若しくは臓器における細胞の機能を回復させることができる、組織若しくは臓器における細胞の分化能を増加させることができる、組織若しくは臓器内の老化した細胞の数を低下させることができる、組織若しくは臓器内の細胞の複製能を増強することができる、又は組織若しくは臓器内の細胞の寿命を延伸することができる。
【0017】
別の態様では、本開示は、対象の加齢性疾患又は状態を治療するための方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、対象の細胞にトランスフェクトするステップであって、前記トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ、及びb)対象における細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を発現させ、細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、細胞が、幹細胞へと脱分化することなく若返る、ステップを含む方法を含む。細胞は、エクスビボ又はインビボでトランスフェクトされ得る。
【0018】
ある特定の実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される。一実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、加齢性疾患又は状態は、変性疾患、神経変性疾患、心血管疾患、末梢血管疾患、皮膚疾患、眼疾患、自己免疫性疾患、内分泌障害、代謝性障害、筋骨格障害、消化器系の疾患又は呼吸器疾患である。
【0020】
別の実施形態では、本開示は、対象の軟骨変性が関与する疾患又は障害を治療するための方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、対象の軟骨細胞にトランスフェクトするステップであって、前記トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ、及びb)軟骨細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を発現させ、軟骨細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、軟骨細胞が、幹細胞へと脱分化することなく若返る、ステップを含む方法を含む。若返った軟骨細胞は、例えば、対象の関節炎の関節へと移植され得る。
【0021】
本方法は、エクスビボ、インビトロ又はインビボで行われ得る。一実施形態では、軟骨細胞は、対象から得られる軟骨試料から単離され、エクスビボでトランスフェクトされ、次いで対象へと移植される。
【0022】
ある特定の実施形態では、軟骨変性が関与する疾患又は障害は、関節炎(例えば、変形性関節症又は関節リウマチ)である。
【0023】
ある特定の実施形態では、治療は、対象における炎症を低下させる。
【0024】
ある特定の実施形態では、治療/処置は、軟骨細胞によりRANKL、iNOS、IL6、IL8、BDNF、IFNα、IFNγ及びLIFの発現を低下させ、COL2A1の発現を増加させる。
【0025】
別の態様では、本開示は、対象における筋肉変性が関与する疾患又は障害を治療するための方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、対象の骨格筋幹細胞にトランスフェクトするステップであって、前記トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ、及びb)骨格筋幹細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を発現させ、骨格筋幹細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、骨格筋幹細胞が、筋肉細胞へと分化するその能力を喪失することなく若返る、ステップを含む方法を含む。
【0026】
本方法は、エクスビボ、インビトロ又はインビボで行われ得る。一実施形態では、骨格筋幹細胞は、対象から得られる筋肉組織試料から単離され、エクスビボでトランスフェクトされ、次いで対象における修復又は再生を必要とする筋肉へと移植される。
【0027】
ある特定の実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される。一実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、治療/処置は、骨格筋幹細胞の分化能を回復させる。ある特定の実施形態では、治療/処置は、筋線維の再生をもたらす。
【0029】
本開示の方法は、いずれかの対象において行われ得る。ある特定の実施形態では、対象は、哺乳類、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ又はヤギである。一部の実施形態では、対象は、高齢者である。
【0030】
対象開示の上述及び他の実施形態は、本明細書における開示を考慮して、当業者に容易に想定される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。処置の持続時間による効果(ROS)の分散を実証する代表的なプロットを示す図である:一過性リプログラミングの2日間対4日間であり、両者共に2日間のその後のリラクゼーションを行う。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、全ての個々の細胞、生物学的及び技術的複製にわたってデータを組み合わせた後に生成される。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性(grace)を可能にする。
図1B】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。免疫細胞化学を使用して、ヘテロクロマチンマーカーH3K9me3及びHP1γの単細胞レベルの定量化を示す図である。
図1C】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。免疫細胞化学を使用して、単細胞における核ラミナ支持ポリペプチドLAP2αの存在の定量化、及び各集団における異常な核(折り畳まれた又は小疱形成した)のパーセントを示す図である。
図1D】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。単細胞におけるオートファゴソーム形成の際に切断される蛍光(florescent)タグ付けされた基質による生細胞イメージング、及び総集団におけるキモトリプシン様20Sタンパク質分解活性の結果を示す。
図1E】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。ミトコンドリア特異的色素により定量化された個々の細胞ミトコンドリア膜電位及びROSレベルを示す図である。
図1F】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。SIRT1に関する免疫染色の単細胞定量化を示す図である。
図1G】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。単細胞におけるテロメア定量的蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(QFISH)の結果を示す図である。
図1H】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。老化した集団に関するSAβGal染色の結果を示す図である。
図1I】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。マルチプレックスサイトメトリーのための分析物抗体コンジュゲートされたビーズのパネルを使用して、炎症性サイトカインプロファイリングの定量化を示す図である。
図1J】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。4日間の一過性リプログラミング後の4及び6日間の、より長い期間のリラクゼーションにおける、若々しいシフトの維持を示す代表的なプロットを示す図である。次に、各コホートにおける細胞を、80塩基対ペアードエンド読み取りデータRNA配列決定に付して、群(若齢、加齢及び処置 - R4X2)毎にトランスクリプトームプロファイルを得た。
図1K】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。加齢シグネチャーによって定義された部分空間における主成分分析を示す図である。
図1L】一過性リプログラミングが、線維芽細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。若齢及び加齢(x軸)並びに処置及び加齢(y軸)の間の対数倍数変化の比較を示す図である。暗灰色の点は全て、加齢シグネチャーの遺伝子である一方、薄灰色の点は、処置及び加齢の間で有意に異なる、処置シグネチャーとも重複する遺伝子である。遺伝子の大部分は、y=x線に沿って位置し、処置による変化の規模が、若齢及び加齢の間の差の規模に密接にマッチしたことを示す。有意性は、処置及び加齢の間はペアワイズで、若齢患者と比較する場合はグループワイズで(group wise)、スチューデントt検定により計算される。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001、アステリスクの色は、比較されている集団にマッチする。
図2A】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。処置の持続時間による効果(ROS)における分散を実証する代表的なプロットを示す図である:一過性リプログラミングの2日間対4日間であり、両者共に、2日間のその後のリラクゼーションを行う。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、全ての個々の細胞、生物学的及び技術的複製にわたってデータを組み合わせた後に生成される。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性(grace)を可能にする。
図2B】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。免疫細胞化学を使用して、ヘテロクロマチンマーカーH3K9me3及びHP1γの単細胞レベルの定量化を示す図である。
図2C】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。免疫細胞化学を使用して、単細胞における核ラミナ支持ポリペプチドLAP2αの存在の定量化、及び各集団における異常な核(折り畳まれた又は小疱形成した)のパーセントを示す図である。
図2D】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。単細胞におけるオートファゴソーム形成の際に切断される蛍光(florescent)タグ付けされた基質による生細胞イメージング、及び総集団におけるキモトリプシン様20Sタンパク質分解活性の結果を示す図である。
図2E】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。ミトコンドリア特異的色素により定量化された個々の細胞ミトコンドリア膜電位及びROSレベルを示す図である。
図2F】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。SIRT1に関する免疫染色の単細胞定量化を示す。
図2G】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。単細胞におけるテロメア定量的蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(QFISH)の結果を示す図である。
図2H】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。老化した集団に関するSAβGal染色の結果を示す図である。
図2I】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。4日間の一過性リプログラミング後の4及び6日間の、より長い期間のリラクゼーションにおける、若々しいシフトの維持を示す代表的なプロットを示す図である。次に、各コホートにおける細胞を、80塩基対ペアードエンド読み取りデータRNA配列決定に付して、群(若齢、加齢及び処置 - R4X2)毎にトランスクリプトームプロファイルを得た。
図2J】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。加齢シグネチャーによって定義された部分空間における主成分分析を示す図である。
図2K】一過性リプログラミングが、内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。若齢及び加齢(x軸)並びに処置及び加齢(y軸)の間の対数倍数変化の比較を示す図である。暗灰色の点は全て、加齢シグネチャーの遺伝子である一方、薄灰色の点は、処置及び加齢の間で有意に異なる、処置シグネチャーとも重複する遺伝子である。遺伝子の大部分は、y=x線に沿って位置し、処置による変化の規模が、若齢及び加齢の間の差の規模に密接にマッチしたことを示す。有意性は、処置及び加齢の間はペアワイズで、若齢患者と比較する場合はグループワイズで(group wise)、スチューデントt検定により計算される。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001、アステリスクの色は、比較されている集団にマッチする
図3A図3A図3Iは、一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。細胞生存率染色の集団結果を示す図である。
図3B】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。タンパク質同化因子COL2A1のRNAレベルのqRT-PCR評価を示す図である。
図3C】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。各コホートにおけるATP濃度の定量化を示す図である。
図3D】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。抗酸化剤SOD2のRNAレベルのqRT-PCR評価を示す図である。SOD2上昇は、ROSが存在する、すなわち、OA状態である場合にのみ利益があるため(図3E)、若齢レベルがOAを下回ることに留意されたい。
図3E】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。抗酸化剤SOD2のRNAレベルのqRT-PCR評価を示す図であるSOD2上昇は、ROSが存在する、すなわち、OA状態である場合にのみ利益があるため(図3E)、若齢レベルがOAを下回ることに留意されたい。
図3F】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。異化因子MMP13(図3F)のRNAレベルのqRT-PCR評価を示す図である。
図3G】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。異化因子MMP3(図3G)のRNAレベルのqRT-PCR評価を示す図である。
図3H】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。マルチプレックスサイトメトリー解析のための分析物抗体コンジュゲートされたビーズのパネルを使用して、炎症促進性因子RANKL(図3H)プロファイリングのRNAレベルのRT-PCR評価を示す図である。有意性は、処置及び加齢の間はペアワイズで、若齢患者と比較する場合はグループワイズで、スチューデントt検定により計算される、P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。
図3I】一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における変形性関節症表現型を軽減することを示す:全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。処置は、最適化された3日間のリプログラミング及び2日間のリラクゼーションを指す。マルチプレックスサイトメトリー解析のための分析物抗体コンジュゲートされたビーズのパネルを使用して、炎症促進性因子iNOS(図3I)プロファイリングのRNAレベルのRT-PCR評価を示す図である。有意性は、処置及び加齢の間はペアワイズで、若齢患者と比較する場合はグループワイズで、スチューデントt検定により計算される、P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。
図4A】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。静止状態からのMuSC活性化の測定を示す図である。新鮮に単離された加齢したMuSCを、EdUと共にインキュベートし、2日間の処置及び1又は2日間のリラクゼーションの後に固定した。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。示されている有意性レベルは、患者間の可変性に関して、1つのペアワイズ比較における柔軟性を可能にする。
図4B】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。移植及び傷害後の異なる時点における、処置/無処置+ルシフェラーゼマウスMuSCのTA筋肉中における移植11日後のマウスから測定された、バイオルミネセンスの定量化された結果を示す図である。
図4C】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。図4Bにおいて撮像及び定量化された、マウスのTA筋肉横断面におけるGFP発現の免疫蛍光染色の定量化を示す図である。
図4D】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。移植されたMuSCのレシピエントであったTA筋肉におけるドナー由来のGFP+線維の横断面の面積の定量化を示す図である。
図4E】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。移植後60日後に再度傷害された(第2の傷害)TA筋肉のバイオルミネセンスイメージングの結果を示す図である。第2の傷害を行って、バイオルミネセンスシグナルが、初期に移植され、基底層の下に生着したルシフェラーゼ+/GFP+MuSCの活性化及び増大化の結果として増加したかを検査した。
図4F】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。処置したルシフェラーゼ+ヒトMuSCのTA筋肉中における移植11日後のマウスから測定された、バイオルミネセンスの定量化された結果を示す図である。
図4G】一過性リプログラミングが、加齢した筋肉幹細胞分化能を回復させることを示す。異なる年齢群の健康なドナーから得た処置及び無処置MuSCの間のバイオルミネセンスの比の差異を示す図である。有意性は、処置及び加齢の間はペアワイズで、若齢患者と比較する場合はグループワイズで、スチューデントt検定により計算される。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001、アステリスクの色は、比較されている集団にマッチする。
図5A】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。H3K9me3に関するエピジェネティック及び核マーカーの分布を示す図である。
図5B】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。HP1γに関するエピジェネティック及び核マーカーの分布を示す図である。
図5C】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。LAP2αに関するエピジェネティック及び核マーカーの分布を示す図である。
図5D】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。SIRT1に関する栄養及びエネルギー調節の分布を示す図である。
図5E】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。Mito膜電位に関する栄養及びエネルギー調節の分布を示す図である。
図5F】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。Mito ROSに関する栄養及びエネルギー調節の分布を示す図である。
図5G】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。オートファゴソームにおける分布及び大量老廃物クリアランス及び老化を示す図である。
図5H】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。若齢、加齢及び処置細胞のプロテアソーム活性を示す図である。
図5I】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。若齢、加齢及び処置細胞の老化活性を示す図である。
図5J】一過性リプログラミングが、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞において加齢した生理機能をより若々しい状態に向けて復帰させることを示す。線維芽細胞及び内皮細胞は、他の面では健康な若齢及び加齢個体から得た。若齢、加齢及び処置細胞における分泌されたサイトカインを示す図である。
図6A】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。線維芽細胞の若齢対加齢トランスクリプトームプロファイルを示す図である。データは、線維芽細胞における961種の遺伝子(5.85%)(678種が上方調節、289種が下方調節。)が、有意性基準p<0.05及び対数倍数変化カットオフ+/-0.5で、若齢及び加齢細胞の間で異なったことを示す。
図6B】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。線維芽細胞のPCA解析を示す図である。
図6C】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。線維芽細胞の発現解析を示す図である。
図6D】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。内皮細胞の若齢対加齢プロファイルを示す図である。データは、内皮細胞における748種の遺伝子(4.80%)(389種が上方調節、377種が下方調節。)が、有意性基準p<0.05及び対数倍数変化カットオフ+/-0.5で、若齢及び加齢細胞の間で異なったことを示す。
図6E】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。内皮細胞のPCA解析を示す図である。
図6F】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。内皮細胞の発現解析を示す図である。
図6G】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。処置前後にHorvath時計によって評価された、線維芽細胞のメチル化年齢のグラフであり、データは、低下の全般的傾向を示す図である。
図6H】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。処置前後にHorvath時計によって評価された、内皮細胞のメチル化年齢のグラフであり、データは、低下の全般的傾向を示す図である。
図6I】加齢した線維芽細胞及び内皮細胞のトランスクリプトーム及びメチローム解析を示す。図6Iは、処置状態、性別、患者及び細胞型によって分離されるメチル化パターンにおける教師なしクラスタリングを示すデンドログラム(dendogram)である。クラスタリングは、少なくとも線維芽細胞及び内皮細胞を比較した場合に、細胞独自性の集団的保持を実証する。
図7A】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。フルオロフォアに基づくグリセロールを使用したATP濃度の測定による、軟骨細胞における処置によるATPレベルの上昇を示す図である。
図7B】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。スーパーオキシド誘発性蛍光色素を取り込む細胞の生きた単細胞画像の追跡によるROS活性が、処置後に縮小されたシグナルを示すことを示す図である。
図7C】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。処置により上昇された、抗酸化剤SOD2のRNAレベルのqRT-PCR評価の結果を示す図である。
図7D】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。若齢、加齢及び加齢・処置軟骨細胞における細胞増殖を示す図である。加齢・処置細胞は、若齢細胞近くのレベルに向かってシフトする。
図7E】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。若齢、加齢及び加齢・処置軟骨細胞における細胞外マトリックスタンパク質成分COL2A1のRNAレベルの上昇を反映するqRT-PCRからのデータを示す図である。加齢・処置細胞は、若齢細胞近くのレベルに向かってシフトする。
図7F】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。軟骨形成同一性及び機能転写因子SOX9のqRT-PCRレベルが、処置後に保持されていることを示すデータである。
図7G】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。処置が、NF-κBリガンドRANKLの細胞内RNAレベルを縮小することを示すRT-PCR評価を要約する図である。
図7H】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。処置が、応答として一酸化窒素を産生するためのiNOSのレベルを下落させて、若齢軟骨細胞のものへのより近いシフトにより炎症性刺激を伝播することを示すRT-PCR評価を要約する図である。
図7I】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。一過性リプログラミングが、罹患した軟骨細胞における炎症性表現型を軽減することを示すデータである。軟骨細胞は、加齢した、後期変形性関節症(OA)と診断された患者からの、軟骨生検から得た。加齢したOA細胞及び一過性にリプログラミングされたOA細胞は、OA特異的表現型に関して評価された。全ての箱ひげ及び棒のプロットは、見易くなるように、生物学的及び技術的複製にわたって組み合わされる。全体的な有意性ランク付けは、2番目に厳密なp値によって設定される。有意性は、スチューデントt検定により計算した。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001。エラーバーは、RMSE(二乗平均平方根誤差)を示す。軟骨細胞分泌のサイトカインプロファイリングが、処置により縮小する増加した炎症促進性サイトカインを示すことを反映するデータである。
図7J】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。間葉系幹細胞における処置により低下したレベルのp16に向かう患者毎の分布シフトを示すグラフである。
図7K】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。間葉系幹細胞における処置により低下したレベルのp21に向かう患者毎の分布シフトを示すグラフである。
図7L】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。加齢及び処置間葉系幹細胞における細胞増殖の増加に対応する倍数変化を示す図である。
図7M】骨関節炎軟骨細胞及び間葉系幹細胞における一過性リプログラミングを示す。細胞老化の減少に対応する、老化した加齢及び処置間葉系幹細胞のパーセンテージを示す図である。
図8A】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。線維芽細胞及びケラチノサイトの皮膚老化パラメータを示す。形態、構造及び組織化の測定基準を取り込む組織学スコアが、mRNA処置による改善を示すが、一般的に販売されている皮膚処置のレチノイン酸による改善を示さないことを示す図である。
図8B】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。線維芽細胞及びケラチノサイトの皮膚老化パラメータを示す。mRNA処置により、老化パラメータの低下が、図8B(SaβGal)及び図8C左パネル(p16)に示され、炎症性パラメータが、図8C中央パネル(IL-8)及び図8C右パネル(MMP-1)に示されることを、レチノイン酸の効果とのさらなる比較と共に示す図である。
図8C】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。線維芽細胞及びケラチノサイトの皮膚老化パラメータを示す。mRNA処置により、老化パラメータの低下が、図8B(SaβGal)及び図8C左パネル(p16)に示され、炎症性パラメータが、図8C中央パネル(IL-8)及び図8C右パネル(MMP-1)に示されることを、レチノイン酸の効果とのさらなる比較と共に示す図である。
図8D】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。処置したルシフェラーゼヒトMuSCのTA筋肉中における移植11日後のマウスから測定された、バイオルミネセンスの定量化された結果を示す図である。
図8E】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。コホート10~30日齢、30~55日齢及び60~80日齢のバイオルミネセンスを示す図である。異なる年齢群の健康なドナーから得た処置及び無処置MuSCの間のバイオルミネセンスの比の差異。有意性は、処置及び加齢の間はペアワイズで、若齢患者と比較する場合はグループワイズで、スチューデントt検定により計算される(年齢群。10~30:n=5;30~55:n=7;60~80:n=5)。P値:*<0.05、**<0.01、***<0.001、アステリスクの色は、比較されている集団にマッチする。
図8F】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。傷害され、加齢MuSCを移植された、加齢筋肉の強縮力(tetanic force)測定を示す図である。TA筋肉を解剖し、強縮測定のためのエクスビボでの電気生理学的検査を行った。移植されていない筋肉の力の産生のベースラインを、若齢(4カ月、青色破線)及び加齢(27カ月、赤色破線)マウスにおいて測定した。処置された加齢MuSCを、加齢マウスのTA筋肉へと移植し、30日後に力の産生を測定した(n=5)。
図8G】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。移植及び傷害後の異なる時点における、処置、加齢及び若齢細胞のバイオルミネセンスの定量化された結果を示す図である(n=10)。
図8H】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。加齢・処置及び加齢・無処置細胞を移植されたマウスのTA筋肉横断面における免疫蛍光染色の定量化を示す図である(n=5)。
図8I】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。移植されたMuSCのレシピエントであったTA筋肉におけるドナー由来のGFP+線維の横断面の面積の定量化を示すグラフである(n=5)。
図8J】操作された皮膚組織の一過性リプログラミングの効果を示す。サテライト細胞における筋肉再生を示す。MuSC移植後の60日後に再度傷害された(第2の傷害)TA筋肉のバイオルミネセンスイメージングの結果を示す図である(n=6)。第2の傷害を行って、バイオルミネセンスシグナルが、初期に移植され、基底層の下に生着したルシフェラーゼ/GFPMuSCの活性化及び増大化の結果として増加したかを検査した。
図9A】一過性にリプログラミングされた細胞による角膜上皮細胞のトランスフェクションを示す。加齢対処置細胞におけるp16の発現によって測定される、老化の低下を示す図である。
図9B】一過性にリプログラミングされた細胞による角膜上皮細胞のトランスフェクションを示す。加齢対処置細胞におけるp21の発現によって測定される、老化の低下を示す図である。
図9C】一過性にリプログラミングされた細胞による角膜上皮細胞のトランスフェクションを示す。加齢対処置細胞における炎症性因子IL8の低下を示す図である。
図9D】一過性にリプログラミングされた細胞による角膜上皮細胞のトランスフェクションを示す。PGC1α発現によって測定される、ミトコンドリア新生の増加を示す図である。
図10-1】RNAseq解析を使用して、処置及び加齢細胞の間の細胞特異的マーカーの変化のP値を示すチャートである。8種の線維芽細胞及び50種の内皮細胞マーカーのうち、それぞれの細胞型において処置により有意な変化を示したものはなく、細胞独自性の保持を示唆する。
図10-2】RNAseq解析を使用して、処置及び加齢細胞の間の細胞特異的マーカーの変化のP値を示すチャートである。8種の線維芽細胞及び50種の内皮細胞マーカーのうち、それぞれの細胞型において処置により有意な変化を示したものはなく、細胞独自性の保持を示唆する。
図10-3】RNAseq解析を使用して、処置及び加齢細胞の間の細胞特異的マーカーの変化のP値を示すチャートである。8種の線維芽細胞及び50種の内皮細胞マーカーのうち、それぞれの細胞型において処置により有意な変化を示したものはなく、細胞独自性の保持を示唆する。
図11】11種の確立されたアッセイのパネルを使用して解析された、加齢の特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載されている技術の実施は、特に指示がない限り、当業者の技能範囲内で、医学、細胞生物学、薬理学、化学、生化学、分子生物学及び組換えDNA技法及び免疫学の従来方法を用いる。斯かる技法は、文献において十分に説明されている。例えば、G.Vunjak-Novakovic及びR.I.Freshney Culture of Cells for Tissue Engineering(Wiley-Liss、第1版、2006);Arthritis Research:Methods and Protocols、1及び2巻:(Methods in Molecular Medicine、Cope編、Humana Press、2007);Cartilage and Osteoarthritis(Methods in Molecular Medicine、M.Sabatini P.Pastoureau及びF.De Ceuninck編、Humana Press;2004);Handbook of Experimental Immunology、I~IV巻(D.M. Weir及びC.C.Blackwell編、Blackwell Scientific Publications);A.L.Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers,Inc.、現行版);並びにSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版、2001)を参照されたい。
【0033】
本明細書に引用されているあらゆる刊行物、特許及び特許出願は、上記であれ下記であれ、これによりそれらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0034】
I.定義
本開示の記載において、次の用語が用いられ、下に示す通りに定義されることが意図される。
【0035】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、内容がそれ以外を明らかに指示しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」が、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。よって、例えば、「1つの細胞(a cell)」の参照は、2つ以上の細胞の混合物、その他を含む。
【0036】
本明細書を通じて、例えば、「一実施形態」、「ある実施形態」、「別の実施形態」、「特定の実施形態」、「関係する実施形態」、「ある特定の実施形態」、「追加的な実施形態」若しくは「さらなる実施形態」又はこれらの組合せの参照は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特色、構造又は特徴が、本開示の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通じて、様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照する訳ではない。さらに、特定の特色、構造又は特徴は、1種以上の実施形態においていずれか適した様式で組み合わされてよい。
【0037】
本明細書において、用語「約」は、当業者が指定の値と合理的に同様であると考慮する、指定の値を含む値の範囲を意味する。実施形態では、用語「約」は、当技術分野で一般に許容される測定を使用した、標準偏差内を意味する。実施形態では、約は、指定の値の+/-10%に延伸する範囲を意味する。実施形態では、約は、指定の値を意味する。
【0038】
本明細書を通じて、文脈がそれ以外を要求しない限り、単語「を含む(comprise)」、「を含む(comprises)」及び「を含んでいる(comprising)」は、記述されているステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群の包含を暗示するが、他のいかなるステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群の除外も暗示しないものと理解される。「からなる」とは、語句「からなる」に続くいかなるものを含み、これに限定されることを意味する。よって、語句「からなる」は、収載されている要素が、要求される又は必須であり、他の要素は存在しなくてもよいことを示す。「から本質的になる」とは、この語句の後に収載されているいずれかの要素を含み、収載されている要素に関して本開示に指定されている活性又は作用を妨害若しくは貢献しない他の要素に限定されることを意味する。よって、語句「から本質的になる」は、収載されている要素が、要求される又は必須であるが、他の要素が任意選択的でなく、収載されている要素の活性又は作用に影響を与えるか否かに応じて存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0039】
本明細書において、用語「生体適合性」は一般に、レシピエントにとって一般に無毒性であり、対象にいかなる有意な有害効果も引き起こさない、材料及びそのいずれかの代謝物又は分解産物を指す。
【0040】
本明細書において、用語「細胞」は、天然起源の又は修飾された、インタクトな生細胞を指す。培養物中で又は組織(部分的又はインタクトな)若しくは生物内で他の細胞と混合されている細胞は、他の細胞から単離され得る。本明細書に記載されている方法は、例えば、単細胞、細胞の集団、又は細胞を含む組織若しくは臓器を含む試料において行われ得る。
【0041】
本明細書において、メッセンジャーRNA(mRNA)を参照した用語「非組込み」は、宿主ゲノムへと染色体内又は染色体外に組み込まれておらず、ベクターへと組み込まれてもいない、mRNA分子を指す。
【0042】
本明細書において、用語「トランスフェクション」は、細胞による外因性DNA又はRNAの取込みを指す。外因性DNA又はRNAが、細胞膜の内側に導入された場合、細胞は、「トランスフェクト」されている。多数のトランスフェクション技法が一般に、当技術分野で知られている。例えば、Grahamら(1973)Virology、52:456頁、Sambrookら(2001)Molecular Cloning、a laboratory manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratories、New York、Davisら(1995)Basic Methods in Molecular Biology、第2版、McGraw-Hill及びChuら(1981)Gene 13:197頁を参照されたい。斯かる技法は、細胞への1種以上の外因性DNA又はRNA分子の導入に使用され得る。この用語は、DNA又はRNA分子の安定した及び一過性の取込みの両方を指す。例えば、トランスフェクションは、若返りを必要とする細胞内への細胞リプログラミング因子をコードするmRNAの一過性取込みに使用され得る。
【0043】
本明細書において、用語「一過性リプログラミング」は、細胞を若返らせる(すなわち、加齢の全て又は一部の特徴を排除する。)のに十分であるが、幹細胞への脱分化を引き起こすほど十分な長さでない期間における、細胞リプログラミング因子への細胞の曝露を指す。斯かる一過性リプログラミングは、その同一性(すなわち、分化した細胞型)を保持する若返った細胞をもたらす。
【0044】
本明細書において、用語「若返った細胞(複数可)」は、細胞が、1種以上の細胞独自性マーカーを依然として保持しつつ、より若齢の細胞のトランスクリプトームプロファイルを有するように、1種以上の細胞リプログラミング因子により処置又は一過性にリプログラミングされた、加齢した細胞を指す。
【0045】
本明細書において、用語「哺乳類細胞」は、同じ又は異なる対象への移植に適した哺乳類対象に由来するいずれかの細胞を指す。細胞は、異種間、自家又は同種異系であってもよい。細胞は、哺乳類対象から直接的に得られる初代細胞であってもよい。細胞は、対象から得られる細胞の培養及び増大化に由来する細胞であってもよい。一部の実施形態では、細胞は、組換えタンパク質及び/又は核酸を発現するように遺伝子操作されている。
【0046】
本明細書において、用語「幹細胞」は、有糸細胞分裂により自己を再生する能力を保持し、多様な範囲の特殊化された細胞型へと分化することができる細胞を指す。哺乳類幹細胞は、3つの幅広いカテゴリーへと分けることができる:胚盤胞に由来する胚性幹細胞、成体組織に見出される成体幹細胞、及び臍帯に見出される臍帯血幹細胞。発生中の胚において、幹細胞は、特殊化された胚性組織の全てへと分化することができる。成体の生物において、幹細胞及び前駆細胞は、特殊化された細胞を補充することにより、身体の修復系として作用する。全能性幹細胞は、卵及び精子細胞の融合から産生される。受精卵の最初の数回の分裂によって産生された細胞も全能性である。これらの細胞は、胚性及び胚外細胞型へと分化することができる。多能性幹細胞は、全能性細胞の子孫であり、3つの胚葉のいずれかに由来する細胞へと分化することができる。複能性幹細胞は、細胞の近縁のファミリーの細胞のみを産生することができる(例えば、造血幹細胞は、赤血球細胞、白血球細胞、血小板などへと分化する。)。単能性細胞は、1種の細胞型のみを産生することができるが、自己再生の特性を有し、この特性により、非幹細胞から区別される。人工多能性幹細胞は、胚性様多能性状態へとリプログラミングされた成体細胞に由来する多能性幹細胞の一型である。人工多能性幹細胞は、例えば、皮膚又は血球細胞などの成体体細胞から得ることができる。
【0047】
本明細書において、用語「トランスクリプトームプロファイル」は、1個の細胞又は細胞集団における全RNA分子のセットを指す。これは、特定の実験に応じて、全RNA又は単にmRNAを指すように使用されることもある。これは、指定の細胞集団に見出されるRNA分子のみを含み、通常、分子同一性に加えて各RNA分子の量又は濃度を含むという点において、エクソームとは異なる。トランスクリプトームプロファイルを得る方法は、RNA-SeqなどのDNAマイクロアレイ及び次世代配列決定技術を含む。転写は、単細胞トランスクリプトミクスによって、個々の細胞のレベルで試験され得る。トランスクリプトーム配列を推論する2種の一般方法が存在する。一方のアプローチは、生物それ自身(そのトランスクリプトームが試験されている。)又は近縁の種のいずれかの参照ゲノムに配列読み取りデータをマッピングする。他方のアプローチであるデノボトランスクリプトームアセンブリは、短い配列読み取りデータから直接的に転写物を推論するソフトウェアを使用する。
【0048】
本明細書において、用語「二乗平均平方根誤差」又は「RMSE」は、残差の標準偏差を指す(予測誤差)。残差は、データ点の回帰線からの遠さの尺度である。RMSEは、これらの残差の広がりの尺度である。換言すると、これは、最良のフィットの線の周囲にデータがどの程度集中しているかを示す。
【0049】
本明細書において、用語「細胞生存率」は、総細胞試料に基づく、生存している又は死亡している細胞の数の尺度を指す。本明細書に定義されている高い細胞生存率は、全細胞の85%超が生存可能であり、好ましくは90~95%超が生存可能である細胞集団、より好ましくは、99%超の生存可能細胞を含有する高い細胞生存率によって特徴付けられる集団を指す。
【0050】
本明細書において、用語「オートファゴソーム」は、二重層膜を有する球状構造を指す。これは、細胞質内容物(例えば、異常な細胞内タンパク質、過剰な又は損傷したオルガネラ)の、また、侵入した微生物の細胞内分解系でもある、マクロオートファジーにおける鍵となる構造である。形成後に、オートファゴソームは、リソソームに細胞質成分を送達する。オートファゴソームの外膜は、リソソームと融合して、オートリソソームを形成する。リソソームのヒドロラーゼは、オートファゴソームに送達された内容物及びその内膜を分解する。
【0051】
本明細書において、用語「プロテアソーム活性」は、ペプチド結合を切断する化学反応であるタンパク質分解による、タンパク質複合体であるプロテアソームによる不必要な又は損傷したタンパク質の分解を指す。用語「キモトリプシン様プロテアソーム活性」は、プロテアソームの別個の触媒活性を指す。
【0052】
本明細書において、用語「ミトコンドリア膜電位」は、クレブス回路の活性に伴うレドックス転換に起因し、ATPを作製するためのエネルギー貯蔵の中間形態として機能する、電位及びプロトン勾配を指す。これは、プロトンポンプによって生成され、酸化的リン酸化におけるエネルギー貯蔵の必須プロセスである。これは、機能不全ミトコンドリアの選択的な排除により、ミトコンドリア恒常性において鍵となる役割を果たす。
【0053】
本明細書において、用語「薬学的に許容される賦形剤又は担体」は、本開示の組成物中に任意選択的に含まれ得、患者に有意な有害毒性学的効果を引き起こさない、賦形剤を指す。
【0054】
本明細書において、用語「活性酸素種」又は「ROS」は、酸素を含有する化学的に反応性の化学種である。例として、過酸化物、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素及びアルファ-酸素が挙げられる。生物学的な文脈において、ROSは、酸素の正常な代謝の天然副産物として形成され、細胞のシグナリング及び恒常性において重要な役割を有する。
【0055】
本明細書において、用語「細胞老化関連分泌現象」又は「SASP」は、老化した細胞の特徴的な特色である数々の多様なサイトカイン、ケモカイン、成長因子及びプロテアーゼを指す。老化した細胞は、依然として代謝性的に活性であり、炎症性サイトカイン、ケモカイン、細胞外マトリックスリモデリング因子及び成長因子などの分泌型タンパク質をコードする遺伝子を含む広範囲の遺伝子の上方調節を示す、安定した非分裂細胞である。これらの分泌型タンパク質は、組織微小環境において生理学的に機能し、それによると、分泌型タンパク質は、ストレス応答を伝播し、近隣の細胞と連絡することができる。細胞老化関連分泌現象(SASP)と命名されたこの表現型は、老化した細胞のパラクリン機能を明らかにし、老化した細胞を、静止状態細胞及び終末分化細胞などの老化していない細胞周期停止細胞から区別する重要な特徴である。「SASPサイトカイン」は、老化した細胞によって産生されて細胞老化関連分泌現象を創出するサイトカインを特に指す。サイトカインとして、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9が挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
本明細書において、用語「メチル化ランドスケープ」は、細胞又は細胞集団のDNAメチル化パターンを指す。
【0057】
本明細書において、用語「エピジェネティック時計」は、年齢の測定に使用され得る生化学的検査を指す。この検査は、DNAメチル化レベルに基づく。最初の複数組織エピジェネティック時計であるHorvathのエピジェネティック時計又は「Horvath時計」は、Steve Horvath(Horvath 2013)によって開発された。
【0058】
本明細書において、用語「細胞リプログラミング因子」は、成体の又は分化した細胞を多能性幹細胞へと変換することができる転写因子のセットを指す。本明細書における実施形態では、この因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む。
【0059】
「薬学的に許容される塩」として、アミノ酸塩、塩化物、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化物及び硝酸塩などの無機酸により調製された塩、又は先行物のいずれかの対応する無機酸形態から調製された塩、例えば、塩酸塩など、又はリンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(palmoate)、サリチル酸塩及びステアリン酸塩などの有機酸により調製された塩、並びにエストレート、グルセプト酸塩及びラクトビオン酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。同様に、薬学的に許容されるカチオンを含有する塩として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウム(置換アンモニウムを含む)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0060】
本明細書において、用語「移植」は、別の供給源から対象への細胞、組織又は臓器の移動を指す。この用語は、特定の移動機序に限定されない。細胞は、注射又は外科的埋植などのいずれか適した方法によって移植され得る。
【0061】
本明細書において、用語「関節炎」として、変形性関節症、関節リウマチ、ループス関連関節炎、若年性特発性関節炎、反応性関節炎、腸炎性関節炎及び乾癬性関節炎が挙げられるがこれらに限定されない。
【0062】
本明細書において、用語「加齢性疾患又は状態」は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、認知症及び脳卒中)、心血管及び末梢血管疾患(例えば、粥状動脈硬化、末梢動脈疾患(PAD)、血腫、石灰化、血栓症、塞栓症及び動脈瘤)、眼疾患(例えば、加齢性黄斑変性、緑内障、白内障、ドライアイ、糖尿病性網膜症、視力喪失)、皮膚疾患(皮膚の萎縮及び皮膚が薄くなること、弾性線維分解(elastolysis)及び皮膚のしわ、皮脂腺過形成又は低形成、老人性黒子及び他の色素沈着異常、白髪、抜け毛又は髪が薄くなること、並びに慢性皮膚潰瘍)、自己免疫性疾患(例えば、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、巨細胞動脈炎(GCA)、関節リウマチ(RA)、結晶性関節炎及び脊椎関節症(SPA))、内分泌及び代謝性機能不全(例えば、成人下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、無欲性甲状腺中毒症、骨粗鬆症、真性糖尿病、副腎不全、様々な形態の性腺機能低下症及び内分泌悪性病変)、筋骨格障害(例えば、関節炎、骨粗鬆症、骨髄腫、痛風、パジェット病、骨折、骨髄不全症候群、関節強直、広汎性特発性骨増殖症、血行性骨髄炎、筋萎縮、末梢性ニューロパチー、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、原発性側索硬化症及び重症筋無力症)、消化器系の疾患(例えば、肝硬変、肝線維症、バレット食道)、呼吸器疾患(例えば、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性気管支炎、肺塞栓症(PE)、肺がん及び感染症)、並びに加齢に伴う他のいずれかの疾患及び障害などが挙げられるがこれらに限定されない、加齢に伴ういずれかの状態、疾患又は障害を指す。
【0063】
本明細書において、用語「軟骨変性が関与する疾患又は障害」は、軟骨及び/又は関節変性が関与するいずれかの疾患又は障害である。用語「軟骨変性が関与する疾患又は障害」は、ヒトを含む動物における脊椎円板又は関節(例えば、関節接合部)に罹患する状態、障害、症候群、疾患及び傷害を含み、そのようなものとして、関節炎、軟骨無形成症(chondrophasia)、脊椎関節症、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎及びシェーグレン症候群が挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
本明細書において、用語「筋肉変性疾患又は障害」は、筋肉変性が関与するいずれかの疾患又は障害である。この用語は、筋萎縮、廃用性筋肉、筋断裂、熱傷、外科手術、末梢性ニューロパチー、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、原発性側索硬化症、重症筋無力症、がん、AIDS、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝臓疾患、腎不全、摂食障害、栄養不良、飢餓、感染症、又はグルココルチコイドによる処置などが挙げられるがこれらに限定されない、筋肉組織に影響する状態、障害、症候群、疾患及び傷害を含む。
【0065】
「治療有効用量又は量」とは、処置部位における機能を回復させる、及び/又は新たな組織の生成をもたらす量などの、組織修復又は再生を必要とする対象に肯定的な治療応答をもたらす、若返った細胞又は非組込みメッセンジャーRNAの量を意図するものである。若返った細胞は、本明細書に記載されている通り、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAによる、インビトロ、エクスビボ又はインビボでのトランスフェクションによって産生され得る。よって、例えば、「肯定的な治療応答」は、回復された組織機能性、低下された疼痛、改善されたスタミナ、増加された強度、増加された移動性及び/又は改善された認知機能などの、治療法に関連した加齢性疾患若しくは状態における改善、及び/又は治療法に関連した加齢性疾患若しくは状態の1種以上の症状における改善である。要求される正確な量(細胞又はmRNAの)は、対象の種、年齢及び全身状態、処置されている状態の重篤度、投与機序その他に応じて、対象間で変動する。いずれか個々の事例における適切な「有効」量は、本明細書に提供される情報に基づき、ルーチン実験法を使用した当業者によって決定され得る。
【0066】
例えば、若返った軟骨細胞の治療有効用量又は量は、処置部位(例えば、損傷した関節)に新たな軟骨の生成をもたらす量などの、本明細書に記載されている通りに投与されると、軟骨損傷又は喪失を有する対象に肯定的な治療応答をもたらす量を意図する。例えば、治療有効用量又は量は、外傷性傷害に起因する軟骨損傷若しくは喪失、又は関節炎若しくは軟骨変性が関与する他の疾患などの変性疾患の治療に使用され得る。好ましくは、治療有効量は、機能を回復させる、及び/又は軟骨損傷若しくは喪失に伴う疼痛及び炎症を軽減する。
【0067】
別の例では、若返った骨格筋幹細胞の治療有効用量又は量は、処置部位(例えば、損傷した筋肉)における新たな筋線維の生成をもたらす量などの、本明細書に記載されている通りに投与されると、筋肉損傷又は喪失を有する対象に肯定的な治療応答をもたらす量を意図する。例えば、治療有効用量又は量は、外傷性傷害に起因する筋肉損傷若しくは喪失、又は筋肉変性が関与する疾患若しくは障害の治療に使用され得る。好ましくは、治療有効量は、筋力及び筋機能を改善する。
【0068】
本明細書において、用語「対象」、「個体」及び「患者」は、本明細書で互換的に使用され、ヒト、並びにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長類を含む他の霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマなどの家畜;イヌ及びネコなどの飼育哺乳類;マウス、ラット、ウサギ、ハムスター及びモルモットなどの齧歯類;ニワトリ、シチメンチョウ及び他の家禽鳥類、アヒル、ガチョウその他などの飼育、野生及び狩猟(game)鳥類を含む鳥類を限定することなく含む、いずれかの脊椎動物対象を指す。一部の事例では、本開示の方法は、実験動物、獣医学適用、及び疾患のための動物モデルの開発における使用を見出す。この用語は、特定の年齢を表示しない。よって、成体及び新生児個体の両方が網羅されることを意図する。
【0069】
II.方法
本開示について詳細に記載する前に、特定の製剤又はプロセスパラメータは、当然ながら変動し得るため、本開示が、斯かる特定の製剤又はプロセスパラメータに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用されている用語法が、単に本開示の特定の実施形態のみを記載することを目的とし、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0070】
本明細書に記載されているものと同様又は同等の多数の方法及び材料が、本開示の実施において使用されてよいが、好まれる材料及び方法が本明細書に記載されている。
【0071】
本開示は、例えば、ミトコンドリア機能、タンパク質分解活性、ヘテロクロマチンレベル、ヒストンメチル化、核ラミナポリペプチド、サイトカイン分泌又は老化に影響を与えるmRNAの一過性過剰発現によって、加齢した細胞及び組織を若返らせて、機能性を回復させる方法に関する。特に、本発明者らは、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGをコードするmRNAが、分化した細胞状態に細胞を保持しつつ、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞及び骨格筋幹細胞を含む種々の細胞型の若返りに使用され得ることを示した。
【0072】
本開示のさらなる理解のため、mRNAによる一過性リプログラミングによって細胞を若返らせる方法、及び斯かる若返った細胞を使用した細胞に基づく治療法に関するより詳細な記述を下に示す。
【0073】
a.細胞の若返り
ある態様では、細胞を若返らせる方法であって、細胞に、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAをトランスフェクトし、これにより、若返った細胞を産生するステップを含む方法が本明細書に提供される。
【0074】
実施形態では、若返った細胞は、若齢細胞と同様の表現型又は活性プロファイルを有する。表現型又は活性プロファイルは、トランスクリプトームプロファイル、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーの遺伝子発現、タンパク質分解活性、ミトコンドリアの健康及び機能、SASPサイトカイン発現並びにメチル化ランドスケープのうち1種以上を含む。
【0075】
実施形態では、若返った細胞は、若齢細胞のトランスクリプトームプロファイルに類似したトランスクリプトーム(trascriptomic)プロファイルを有する。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、RPL37、RHOA、SRSF3、EPHB4、ARHGAP18、RPL31、FKBP2、MAP1LC3B2、Elf1、Phf8、Pol2s2、Taf1及びSin3aから選択される1種以上の遺伝子の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、RPL37の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、RHOAの遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、SRSF3の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、EPHB4の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、ARHGAP18の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、RPL31の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、FKBP2の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、MAP1LC3B2の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、Elf1の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、Phf8の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、Pol2s2の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、Taf1の遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、Sin3aの遺伝子発現の増加を含む。実施形態では、若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルは、RPL37、RHOA、SRSF3、EPHB4、ARHGAP18、RPL31、FKBP2、MAP1LC3B2、Elf1、Phf8、Pol2s2、Taf1及びSin3aの遺伝子発現の増加を含む。
【0076】
実施形態では、若返った細胞は、参照値と比較して、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーの増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーは、HP1ガンマ、H3K9me3、ラミナ支持タンパク質LAP2アルファ及びSIRT1タンパク質から選択される。実施形態では、若返った細胞は、HP1ガンマの増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、H3K9me3の増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、ラミナ支持タンパク質LAP2アルファの増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、SIRT1タンパク質の増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、HP1ガンマ、H3K9me3、ラミナ支持タンパク質LAP2アルファ及びSIRT1タンパク質の増加した遺伝子発現を示す。
【0077】
実施形態では、若返った細胞は、若齢細胞のタンパク質分解活性に類似したタンパク質分解活性を有する。実施形態では、タンパク質分解活性は、増加した細胞オートファゴソーム形成、増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性、又はこれらの組合せとして測定される。実施形態では、タンパク質分解活性は、増加した細胞オートファゴソーム形成として測定される。実施形態では、タンパク質分解活性は、増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性として測定される。実施形態では、タンパク質分解活性は、増加した細胞オートファゴソーム形成及び増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性として測定される。
【0078】
実施形態では、若返った細胞は、参照値と比較して、改善されたミトコンドリアの健康及び機能を示す。実施形態では、改善されたミトコンドリアの健康及び機能は、増加したミトコンドリア膜電位、減少した活性酸素種(ROS)、又はこれらの組合せとして測定される。実施形態では、改善されたミトコンドリアの健康及び機能は、増加したミトコンドリア膜電位として測定される。実施形態では、改善されたミトコンドリアの健康及び機能は、減少した活性酸素種(ROS)として測定される。実施形態では、改善されたミトコンドリアの健康及び機能は、増加したミトコンドリア膜電位及び減少した活性酸素種(ROS)として測定される。
【0079】
実施形態では、若返った細胞は、参照値と比較して、1種以上のSASPサイトカインの減少した発現を示す。実施形態では、1種以上のSASPサイトカインは、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9を含む。実施形態では、若返った細胞は、IL18の減少した発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、IL1Aの減少した発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、GROAの減少した発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、IL22の減少した発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、IL9の減少した発現を示す。実施形態では、若返った細胞は、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9の減少した発現を示す。
【0080】
実施形態では、若返った細胞は、メチル化ランドスケープの反転を示す。実施形態では、メチル化ランドスケープの反転は、Horvath時計による推定によって測定される。
【0081】
実施形態では、参照値は、加齢した細胞から得られる。
【0082】
実施形態では、細胞は、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードするmRNAによる一過性リプログラミングによって若返る。一過性リプログラミングは、少なくとも2日かつ5日以下の間、非組込みmRNAを細胞に1日1回トランスフェクトすることにより達成される。「非組込み」とは、リプログラミングが一過性となり、若返った細胞の同一性を破壊しない(すなわち、細胞が、その成体細胞型へと分化する能力を保持する。)ように、mRNA分子が、宿主ゲノムへと染色体内又は染色体外に組み込まれておらず、ベクターへと組み込まれてもいないことを意味する。実施形態では、細胞の一過性リプログラミングは、幹細胞への細胞の完全脱分化を回避しつつ、加齢の様々な特徴を排除する。
【0083】
実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、リポフェクタミン及びLT-1媒介トランスフェクション、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソームにおけるmRNAの封入、並びに直接的マイクロインジェクションから選択されるトランスフェクション方法によって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、リポフェクタミン及びLT-1媒介トランスフェクションによって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、デキストラン媒介トランスフェクションによって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、リン酸カルシウム沈殿によって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、ポリブレン媒介トランスフェクションによって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、エレクトロポレーションによって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、リポソームにおけるmRNAの封入によって達成され得る。実施形態では、細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップは、直接的マイクロインジェクションによって達成され得る。
【0084】
細胞の加齢反転又は若返りは、細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上のmRNAの一過性過剰発現によって達成される。斯かる細胞リプログラミング因子は、ミトコンドリア機能、タンパク質分解活性、ヘテロクロマチンレベル、ヒストンメチル化、核ラミナポリペプチド、サイトカイン分泌又は老化に影響を与える、転写因子、エピジェネティックリモデリング因子(remodeler)又は小分子を含むことができる。実施形態では、細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGのうち1種以上を含む。別の実施形態では、細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む。ある特定の実施形態では、細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる。
【0085】
実施形態では、本明細書に提供される方法は、若返りを必要とするいずれかの型の細胞に適用され得る。培養中で又は組織(部分的又はインタクトな)若しくは生存している生物内で他の細胞と混合されている細胞は、他の細胞から単離され得る。本明細書に記載されている方法は、例えば、単細胞、細胞の集団、又は細胞を含む組織若しくは臓器を含む試料において行われ得る。若返りに選ばれる細胞は、加齢性疾患又は状態の処置に対する所望の治療効果に依存する。
【0086】
実施形態では、細胞は、哺乳類細胞である。実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。実施形態では、細胞は、高齢対象に由来する。
【0087】
実施形態では、本明細書に提供される方法は、神経系、筋肉系、呼吸器系、心血管系、骨格系、生殖器系、外皮系、リンパ系、排泄系、内分泌系(例えば、内分泌及び外分泌)又は消化器系の細胞、組織又は臓器において行われ得る。上皮細胞(例えば、扁平上皮、立方状、円柱状及び偽重層上皮細胞)、内皮細胞(例えば、静脈、動脈及びリンパ管内皮細胞)、並びに結合組織、筋肉及び神経系の細胞が挙げられるがこれらに限定されない、いずれの型の細胞が、本明細書に記載されている通り、潜在的に若返ってもよい。斯かる細胞として、表皮細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、骨格筋細胞、サテライト細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、ケラチノサイト、基底細胞、エナメル芽細胞、外分泌の分泌細胞、筋上皮細胞、骨芽細胞、破骨細胞、ニューロン(例えば、感覚ニューロン、運動ニューロン及び介在ニューロン)、グリア細胞(例えば、オリゴデンドロサイト、アストロサイト、上衣細胞、マイクログリア、シュワン細胞及びサテライト細胞)、柱細胞、脂肪細胞、ペリサイト、星状細胞、肺細胞、血液及び免疫系細胞(例えば、赤血球、単球、樹状細胞、マクロファージ、好中球、好酸球、マスト細胞、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞)、ホルモン分泌細胞、生殖細胞、間質細胞、水晶体細胞、光受容体細胞、味覚受容体細胞並びに嗅細胞;並びに腎臓、肝臓、膵臓、胃、脾臓、胆嚢、腸、膀胱、肺、前立腺、乳房、尿生殖路、下垂体細胞、口腔、食道、皮膚、毛髪、爪、甲状腺、副甲状腺、副腎、眼、鼻又は脳由来の細胞及び/又は組織を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0088】
一部の実施形態では、細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨格筋幹細胞、ケラチノサイト、間葉系幹細胞及び角膜上皮細胞から選択される。実施形態では、細胞は、線維芽細胞である。実施形態では、細胞は、内皮細胞である。実施形態では、細胞は、軟骨細胞である。実施形態では、細胞は、骨格筋幹細胞である。実施形態では、細胞は、ケラチノサイトである。実施形態では、細胞は、間葉系幹細胞である。実施形態では、細胞は、角膜上皮細胞である。
【0089】
実施形態では、若返った線維芽細胞は、若齢線維芽細胞のトランスクリプトームプロファイルと同様のトランスクリプトームプロファイルを示す。実施形態では、若返った線維芽細胞は、上に記載されている参照値と比較して、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーの増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、若返った線維芽細胞は、上に記載されている若齢細胞のタンパク質分解活性に類似したタンパク質分解活性を有する。実施形態では、若返った線維芽細胞は、上に記載されている参照値と比較して、改善されたミトコンドリアの健康及び機能を示す。実施形態では、若返った線維芽細胞は、メチル化ランドスケープの反転を示す。
【0090】
実施形態では、若返った内皮細胞は、若齢内皮細胞のトランスクリプトームプロファイルと同様のトランスクリプトームプロファイルを示す。実施形態では、若返った内皮細胞は、上に記載されている参照値と比較して、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーの増加した遺伝子発現を示す。実施形態では、若返った内皮細胞は、上に記載されている若齢細胞のタンパク質分解活性に類似したタンパク質分解活性を有する。実施形態では、若返った内皮細胞は、上に記載されている参照値と比較して、改善されたミトコンドリアの健康及び機能を示す。実施形態では、若返った内皮細胞は、メチル化ランドスケープの反転を示す。
【0091】
実施形態では、若返った軟骨細胞は、炎症性因子の低下した発現、及び/又は増加したATP及びコラーゲン代謝を示す。実施形態では、炎症性因子は、RANKL、iNOS2、IL6、IFNα、MCP3及びMIP1Aを含む。実施形態では、若返った軟骨細胞は、RANKLの低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、iNOS2の低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、IL6の低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、IFNαの低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、MCP3の低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、MIP1Aの低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、RANKL、iNOS2、IL6、IFNα、MCP3及びMIP1Aの低下した発現を示す。実施形態では、若返った軟骨細胞は、増加したATP及びコラーゲン代謝を示す。実施形態では、ATP及びコラーゲン代謝は、増加したATPレベル、減少したROS及び増加したSOD2発現、増加したCOL2A1発現及び軟骨細胞による全体的な増殖のうち1種以上によって測定される。実施形態では、ATP及びコラーゲン代謝は、増加したATPレベルによって測定される。実施形態では、ATP及びコラーゲン代謝は、減少したROS及び増加したSOD2発現によって測定される。実施形態では、ATP及びコラーゲン代謝は、増加したCOL2A1発現及び軟骨細胞による全体的な増殖によって測定される。
【0092】
実施形態では、若返った骨格筋幹細胞は、より高い増殖能、筋芽細胞及び筋線維へと分化する能力の増強、より低い、静止状態からの活性化動態の回復、筋肉マイクロニッチ(microniche)を若返らせる能力、筋肉における若々しい力の回復、又はこれらの組合せを示す。
【0093】
実施形態では、若返ったケラチノサイトは、より高い増殖能、低下した炎症性表現型、より低いRNAKL及びINOS2発現、サイトカインMIP1A、IL6、IFNa、MCP3の低下した発現、増加したATP、増加したレベルのSOD2及びCOL2A1発現を示す。
【0094】
実施形態では、若返った間葉系幹細胞は、老化パラメータの低下、増加した細胞増殖及び/又はROSレベルの減少を示す。実施形態では、若返った間葉系幹細胞は、老化パラメータの低下を示す。実施形態では、老化パラメータは、p16発現、p21発現及び陽性SAβGal染色を含む。実施形態では、若返った間葉系幹細胞は、増加した細胞増殖を示す。実施形態では、若返った間葉系幹細胞は、ROSレベルの減少を示す。実施形態では、若返った間葉系幹細胞は、老化パラメータの低下、増加した細胞増殖及びROSレベルの減少を示す。
【0095】
実施形態では、若返った角膜上皮細胞は、老化パラメータの低下を示す。実施形態では、老化パラメータは、p21の発現、p16の発現、ミトコンドリア新生PGC1α、及び炎症性因子IL8の発現のうち1種以上を含む。実施形態では、老化パラメータは、p21を含む。実施形態では、老化パラメータは、p16の発現を含む。実施形態では、老化パラメータは、ミトコンドリア新生PGC1αを含む。実施形態では、老化パラメータは、炎症性因子IL8の発現を含む。実施形態では、老化パラメータは、p21の発現、p16の発現、ミトコンドリア新生PGC1α、及び炎症性因子IL8の発現のうち1種以上を含む。
【0096】
本開示の方法は、細胞療法における使用のために機能及び分化能を改善するために、培養(例えば、エクスビボ又はインビトロ)における細胞を若返らせるために使用され得る。患者の治療において使用される細胞は、自家又は同種異系であってもよい。好ましくは、細胞は、患者又はマッチしたドナーに由来する。例えば、エクスビボ療法において、細胞は、治療されるべき患者から直接的に得られ、本明細書に記載されている細胞リプログラミング因子をコードするmRNAをトランスフェクトされ、患者に再び移植される。斯かる細胞は、例えば、患者において行われた生検又は外科的手技から得ることができる。その代わりに、若返りを必要とする細胞は、細胞リプログラミング因子をコードするmRNAをインビボで直接的にトランスフェクトされてよい。
【0097】
トランスフェクションは、若返りを必要とする細胞への細胞リプログラミング因子をコードするmRNAの一過性取込みをもたらす(すなわち、一過性リプログラミングのための)、当技術分野で知られているいずれか適した方法を使用して行われ得る。実施形態では、対象の細胞へのmRNAのエクスビボ、インビトロ又はインビボ送達のための方法は、リポフェクタミン及びLT-1媒介トランスフェクション、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソームにおけるmRNAの封入、細胞へのmRNAの直接的マイクロインジェクション、又はこれらの組合せから選択される方法を含むことができる。
【0098】
b.組成物
ある態様では、細胞に、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップによって得られる若返った細胞を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0099】
実施形態では、若返った細胞は、自家である。実施形態では、若返った細胞は、同種異系である。
【0100】
実施形態では、1種以上の細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される。実施形態では、細胞リプログラミング因子は、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGである。
【0101】
実施形態では、若返った細胞は、次のうち1種以上を呈する:HP1ガンマ、H3K9me3、LAP2アルファ、SIRT1の増加した発現、増加したミトコンドリア膜電位及び減少した活性酸素種、並びにSASPサイトカインの減少した発現。実施形態では、SASPサイトカインは、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上を含む。
【0102】
ある特定の実施形態では、細胞療法における使用のための若返った細胞を含む組成物は、細胞機能又は生存率を改善するために、栄養素、サイトカイン、成長因子、細胞外マトリックス(ECM)成分、抗生物質、抗酸化剤又は免疫抑制剤などの1種以上の追加的な因子をさらに含むことができる。組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含むこともできる。
【0103】
成長因子の例として、線維芽細胞成長因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)、エピレギュリン、上皮成長因子(「EGF」)、内皮細胞成長因子(「ECGF」)、神経成長因子(「NGF」)、白血病抑制因子(「LIF」)、骨形成タンパク質-4(「BMP-4」)、肝細胞成長因子(「HGF」)、血管内皮成長因子-A(「VEGF-A」)及びコレシストキニンオクタペプチドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
ECM成分の例として、プロテオグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸及びケラタン硫酸)、非プロテオグリカン多糖(例えば、ヒアルロン酸)、線維(例えば、コラーゲン及びエラスチン)及び他のECM成分(例えば、フィブロネクチン及びラミニン)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0105】
免疫抑制剤の例として、ステロイド系(例えば、プレドニゾン)又は非ステロイド系(例えば、シロリムス(ラパミューン、Wyeth-Ayerst Canada)、タクロリムス(プログラフ、Fujisawa Canada)及び抗IL2Rダクリズマブ(ゼナパックス、Roche Canada)が挙げられるがこれらに限定されない。他の免疫抑制薬剤は、15-デオキシスパガリン、シクロスポリン、メトトレキセート、ラパマイシン、ラパミューン(シロリムス/ラパマイシン)、FK506又はリソフィリン(LSF)を含む。
【0106】
1種以上の薬学的に許容される賦形剤が含まれていてもよい。例として、炭水化物、無機塩、抗菌剤、抗酸化剤、界面活性物質、バッファー、酸、塩基、及びこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0107】
例えば、微生物の成長を防止又は阻止するための抗菌剤が含まれていてよい。本開示に適した抗菌剤の非限定的な例として、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール(thimersol)、及びこれらの組合せが挙げられる。抗菌剤(Antibmicrobial agent)は、細菌感染症の防止に使用することもできる抗生物質も含む。抗生物質の例として、アモキシシリン、ペニシリン、サルファ剤、セファロスポリン、エリスロマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クラリスロマイシン(chlarithromycin)、シプロフロキサシン(ciproflozacin)、アジスロマイシンその他が挙げられる。ミコナゾール(myconazole)及びテルコナゾールなどの抗真菌剤も含まれる。
【0108】
還元型グルタチオン(GSH)又はその前駆体、グルタチオン若しくはグルタチオンアナログ、グルタチオンモノエステル、及びN-アセチルシステインなどのチオール基を有する分子などの、様々な抗酸化剤が含まれていてもよい。他の適した抗酸化剤は、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、ビタミンE、トロロクス、リポ酸、ラザロイド(lazaroid)、ブチルヒドロキシアニソール(hvdroxyanisole)(BHA)、ビタミンKその他を含む。
【0109】
注射用組成物に適した賦形剤は、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油、リン脂質及び界面活性物質を含む。糖、アルジトール、アルドン酸などの誘導体化糖、エステル化糖及び/又は糖ポリマーなどの炭水化物は、賦形剤として存在することができる。特異的な炭水化物賦形剤は、例えば:フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースその他などの単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースその他などの二糖;ラフィノース、メレジトース(melezitose)、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンその他などの多糖;及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトールその他などのアルジトールを含む。賦形剤は、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、及びこれらの組合せなどの無機塩又はバッファーを含むこともできる。
【0110】
酸又は塩基が、賦形剤として存在することもできる。使用することができる酸の非限定的な例として、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、及びこれらの組合せからなる群から選択される酸が挙げられる。適した塩基の例は、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム(potassium fumerate)、及びこれらの組合せからなる群から選択される塩基を限定することなく含む。
【0111】
典型的に、いずれか個々の賦形剤の最適な量は、ルーチン実験法により、すなわち、変動する量の賦形剤(少量~多量に及ぶ)を含有する組成物を調製し、安定性及び他のパラメータを試験し、次いで、有意な有害効果なしで最適な成績が達成される範囲を決定することにより決定される。しかし、一般に、賦形剤(複数可)は、重量で約1%~約99%、好ましくは、重量で約5%~約98%、より好ましくは、重量で約15~約95%の賦形剤の量で組成物中に存在し、重量で30%未満の濃度が最も好まれる。これらの前述の医薬賦形剤は、他の賦形剤と共に、「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」第19版、Williams&Williams(1995)、「Physician’s Desk Reference」第52版、Medical Economics、Montvale、NJ(1998)及びKibbe,A.H.、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、American Pharmaceutical Association、Washington,D.C.、2000に記載されている。
【0112】
c.投与
本開示の方法は、加齢性疾患又は状態に関する対象の治療に使用され得る。例えば、リプログラミング因子をコードする非組込みmRNAによるトランスフェクションによる細胞の一過性リプログラミングが関与する細胞療法(例えば、インビトロ、エクスビボ又はインビボでの)は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、認知症及び脳卒中)、心血管及び末梢血管疾患(例えば、粥状動脈硬化、末梢動脈疾患(PAD)、血腫、石灰化、血栓症、塞栓症及び動脈瘤)、眼疾患(例えば、加齢性黄斑変性、緑内障、白内障、ドライアイ、糖尿病性網膜症、視力喪失)、皮膚疾患(皮膚の萎縮及び皮膚が薄くなること、弾性線維分解(elastolysis)及び皮膚のしわ、皮脂腺過形成又は低形成、老人性黒子及び他の色素沈着異常、白髪、抜け毛又は髪が薄くなること、並びに慢性皮膚潰瘍)、自己免疫性疾患(例えば、リウマチ性多発筋痛症(PMR)、巨細胞動脈炎(GCA)、関節リウマチ(RA)、結晶性関節炎及び脊椎関節症(SPA))、内分泌及び代謝性機能不全(例えば、成人下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、無欲性甲状腺中毒症、骨粗鬆症、真性糖尿病、副腎不全、様々な形態の性腺機能低下症及び内分泌悪性病変)、筋骨格障害(例えば、関節炎、骨粗鬆症、骨髄腫、痛風、パジェット病、骨折、骨髄不全症候群、関節強直、広汎性特発性骨増殖症、血行性骨髄炎、筋萎縮、末梢性ニューロパチー、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、原発性側索硬化症及び重症筋無力症)、消化器系の疾患(例えば、肝硬変、肝線維症、バレット食道)、呼吸器疾患(例えば、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性気管支炎、肺塞栓症(PE)、肺がん及び感染症)、並びに加齢に伴う他のいずれかの疾患及び障害などが挙げられるがこれらに限定されない、種々の加齢性疾患及び状態に関する対象の治療に使用され得る。
【0113】
ある態様では、対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害、神経変性障害及び/又は筋骨格機能不全を治療するための方法が本明細書に提供される。本方法は、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む治療有効量の細胞を投与するステップを含む。
【0114】
1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAによるトランスフェクションによる少なくとも1回の治療有効処置サイクルは、加齢性疾患又は状態の治療のために対象に投与され得る。
【0115】
実施形態では、加齢性疾患又は状態は、眼、皮膚又は筋骨格機能不全から選択される。
【0116】
実施形態では、対象は、軟骨変性障害を有する。実施形態では、障害は、関節炎、軟骨無形成症(chondrophasia)、脊椎関節症、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎及びシェーグレン症候群から選択される。実施形態では、障害は、関節炎である。実施形態では、障害は、軟骨無形成症(chondrophasia)である。実施形態では、障害は、脊椎関節症である。実施形態では、障害は、強直性脊椎炎である。実施形態では、障害は、エリテマトーデスである。実施形態では、障害は、再発性多発軟骨炎である。実施形態では、障害は、シェーグレン症候群である。
【0117】
実施形態では、処置は、1種以上の炎症性因子の発現を低下させる、及び/又はATP及びコラーゲン代謝を増加させる。実施形態では、炎症性因子は、RANKL、iNOS2、IL6、IFNα、MCP3及びMIP1Aから選択される。実施形態では、ATP及びコラーゲン代謝は、増加したATPレベル、減少したROS及び増加したSOD2、増加したCOL2A1、及び軟骨細胞による全体的な増殖のうち1種以上によって測定される。
【0118】
実施形態では、細胞培養におけるエクスビボ又はインビトロでのトランスフェクションによって若返った細胞、若返った細胞を移植するための組成物による対象の治療は、典型的に、組織再生又は修復を要求する領域への注射又は外科的埋植によって投与されるが、必ずしもそうであるとは限らない。
【0119】
実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨格筋幹細胞、ケラチノサイト、間葉系幹細胞及び角膜上皮細胞から選択される。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、線維芽細胞である。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、内皮細胞である。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、軟骨細胞である。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、骨格筋幹細胞である。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、ケラチノサイトである。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、間葉系幹細胞である。実施形態では、治療有効量の若返った細胞は、角膜上皮細胞である。
【0120】
実施形態では、若返った角膜上皮は、老化パラメータの低下を示す。実施形態では、老化パラメータは、p21及びp16の発現、ミトコンドリア新生PGC1α、並びに炎症性因子IL8の発現のうち1種以上を含む。
【0121】
一実施形態では、軟骨損傷又は喪失の領域における軟骨細胞は、処置部位における軟骨細胞の若返り及び新たな軟骨の生成をもたらすのに十分な、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAの有効量をインビボでトランスフェクトされる。その代わりに、エクスビボ又はインビトロでのトランスフェクションによって産生された若返った軟骨細胞は、対象の損傷した関節又は他の適した処置部位などの軟骨損傷又は喪失の領域へと局所的に投与され得る。若返った軟骨細胞の治療有効用量又は量とは、処置部位(例えば、損傷した関節)における新たな軟骨の生成をもたらす量など、軟骨損傷又は喪失を有する対象に肯定的な治療応答をもたらす量を意図する。例えば、治療有効用量又は量は、外傷性傷害に起因する軟骨損傷若しくは喪失、又は関節炎若しくは軟骨変性が関与する他の疾患などの変性疾患の治療に使用され得る。好ましくは、治療有効量は、機能を回復させる、及び/又は軟骨損傷若しくは喪失に伴う疼痛及び炎症を軽減する。
【0122】
別の実施形態では、骨格筋幹細胞は、処置部位(例えば、損傷した筋肉)における骨格筋幹細胞の若返り(すなわち、分化能を回復する)及び新たな筋線維の生成をもたらすのに十分な、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAの有効量をインビボでトランスフェクトされる。その代わりに、エクスビボ又はインビトロでのトランスフェクションによって産生された若返った骨格筋幹細胞は、修復又は再生を必要とする損傷した筋肉へと局所的に投与され得る。例えば、治療有効用量又は量は、外傷性傷害に起因する筋肉損傷若しくは喪失、筋萎縮、又は筋肉変性が関与する疾患若しくは障害の治療に使用され得る。若返った骨格筋幹細胞の治療有効用量又は量とは、処置部位(例えば、損傷した筋肉)における新たな筋線維の生成をもたらす量など、筋肉損傷又は喪失を有する対象に肯定的な治療応答をもたらす量を意図する。好ましくは、治療有効量は、筋力及び筋機能を改善する、疼痛を軽減する、スタミナを改善する、及び/又は移動性を増加させる。
【0123】
ある態様では、本明細書に上述されている通り、対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害を治療する、及び/又は筋骨格機能不全を有する対象を治療するための方法が本明細書に提供される。本方法は、本明細書に上述されている通り、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、治療有効量の1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを投与するステップを含む。
【0124】
実施形態では、対象における細胞は、本明細書に記載されている通り、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAの有効量によるインビボでのトランスフェクションによって若返らせることができる。
【0125】
ある態様では、操作された組織をエクスビボで若返らせる方法が本明細書に提供される。本方法は、組織に、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAをトランスフェクトし、これにより、若返った操作された組織を産生するステップを含む。
【0126】
実施形態では、操作された組織は、老化パラメータ、炎症促進性因子の低下、組織学的スコアの改善、又はこれらの組合せを示す。実施形態では、操作された組織は、1種以上の老化パラメータの低下を示す。実施形態では、老化パラメータは、p16発現、陽性SAβGal染色、並びに炎症促進性因子IL8及びMMP1発現から選択される。実施形態では、操作された組織は、p16発現の低下を示す。実施形態では、操作された組織は、陽性SAβGal染色の低下を示す。実施形態では、操作された組織は、炎症促進性因子IL8及びMMP1発現の低下を示す。実施形態では、操作された組織は、組織学的スコアの改善を示す。実施形態では、組織学的スコアは、形態、組織化及び/又は品質を含む。
【0127】
実施形態では、操作された組織は、操作された皮膚組織及びオルガノイドである。
【0128】
d.キット
本開示は、また、細胞の一過性リプログラミングのための1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む組成物を保持する、1個以上の容器を含むキットを提供する。キットは、トランスフェクション剤、細胞を培養するための培地、及び任意選択的に、成長因子、ECM成分、抗生物質その他などの1種以上の他の因子をさらに含むことができる。細胞リプログラミング因子をコードするmRNA及び/又は他の組成物は、液体形態又は凍結乾燥状態であってもよい。斯かるキットは、それを分解から保護する、mRNAを保存又は維持する成分を含むこともできる。斯かる成分は、RNAseフリーであってもよい、又はRNAsesから保護することができる。組成物に適した容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラスチックを含む種々の材料でできていてよい。容器は、滅菌アクセスポートを有することができる(例えば、容器は、皮下注射針で貫通できるストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってもよい。)。
【0129】
本キットは、リン酸緩衝食塩水、リンゲル溶液又はデキストロース溶液などの薬学的に許容されるバッファーを含む第2の容器をさらに含むことができる。これは、バッファー、希釈剤などの他の薬学的に許容される製剤化溶液、フィルター、針及びシリンジ又は他の送達デバイスを含む、エンドユーザーに有用な他の材料を含有することもできる。送達デバイスは、組成物を予め充填されていてよい。
【0130】
本キットは、加齢性疾患又は状態を治療する方法のための書面による説明書を含有する添付文書を含むこともできる。添付文書は、未承認の下書き添付文書であってもよい、又は食品医薬局(Food and Drug administration)(FDA)若しくは他の規制機関によって承認された添付文書であってもよい。
【0131】
ある特定の実施形態では、本キットは、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される1種以上の細胞リプログラミング因子をコードするmRNAを含む。一実施形態では、本キットは、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOG細胞リプログラミング因子をコードするmRNAを含む。
【0132】
III.実験
下に、本開示を実行するための特異的な実施形態の実施例を示す。実施例は、単なる説明目的のために提供されており、決して本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【0133】
使用されている数(例えば、量、温度など)に関して精度を確実にする試みが為されたが、当然ながら、ある程度の実験誤差及び偏差が、許容されるべきである。
【0134】
本明細書に記載されている実施例及び実施形態が、単なる説明を目的としており、それを考慮した様々な修正又は変更が、当業者に示唆され、本願及び添付の特許請求の範囲の本旨及び範疇内に含まれるべきであることが理解される。本明細書に引用されているあらゆる刊行物、特許及び特許出願は、あらゆる目的のため、これによりそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0135】
[実施例1]:一過性及び非組込み細胞リプログラミングは、加齢の多面的な反転を促進する
本明細書に記載されている実験は、細胞独自性が不可逆的に失われる前に停止する、一過性リプログラミングプロトコールによって達成され得る加齢反転効果の程度を描写する。近年の証拠も、部分的トランスジェニックリプログラミングが、早老性マウスにおいて加齢に伴う特徴を寛解し、寿命を延長し得ることを示した。しかし、この形態の「エピジェネティック若返り」がどのように、天然の加齢に広く適用されるか、また、重要なことに、これがどのように、ヒト細胞に安全に橋渡しできるかは不明である。本明細書におけるデータは、mRNA技術に基づく一過性リプログラミングが、ヒト臨床試料から得られた体細胞及び幹細胞において、生理学的加齢の特徴を反転し、加齢性疾患表現型を低下させ、加齢に伴い縮小された再生応答を回復することを示す。本明細書に記載されている一過性細胞リプログラミングの非組込み方法は、再生医学を目標とするエクスビボ細胞若返り治療のための、並びに天然の加齢の生理学的減衰及び加齢性疾患の病理発生を遅延又は反転するインビボ組織若返り療法のための、新規のより橋渡し可能な戦略への道を開く。
【0136】
後戻りできない限界点の前に細胞年齢のいずれかの実質的及び測定可能なリプログラミングが達成され得るか、また、これが、細胞機能及び生理機能のいずれかの寛解をもたらし得るかを検査するために、他の面では健康なヒト対象に由来する2種の別個の細胞型である線維芽細胞及び内皮細胞の加齢した生理機能における一過性リプログラミングの効果を評価し、若齢ドナーから採取した同じ細胞型と比較した。線維芽細胞は、刻んだ腕及び腹部皮膚生検に由来した(若齢対照は25~35歳、n=3、及び加齢群は60~70歳、n=3)一方、内皮細胞は、腸骨静脈及び動脈のコラゲナーゼ消化から抽出した(若齢対照は15~25歳、n=3、及び加齢群は45~50歳、n=3)。
【0137】
非組込みリプログラミングプロトコールを利用した。OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOG(OSKMLN)を発現するmRNAのカクテルに基づきプロトコールを最適化した。複数のリプログラミング持続時間を探索したところ、両方の細胞型が、早くもR2X2(2回のリプログラミングトランスフェクションと、2日間の基底状態に戻るリラクゼーション)に多くの加齢パラメータの急速な変化を呈したが、最も顕著な効果はR4X2に見られた(図1A及び図2A)。プロトコールは、12~15回の毎日のトランスフェクション後に、ドナーの年齢に関係なく、人工多能性幹細胞(iPSC)コロニーを一貫して産生する;本出願人らは、内在性多能性関連lncRNAの最初の検出可能な発現が、5日目に生じることの観察に基づき、本出願人らのプラットフォームにおけるPNRが、リプログラミング約5日目に生じると結論を下した。したがって、連続した4日間、OSKMLNが毎日トランスフェクトされる、一過性リプログラミングプロトコールを採用し、中断2日後に遺伝子発現解析を行った。
【0138】
ペアードエンドバルクRNA配列決定を、同じ3種のコホート:若齢(Y)、無処置・加齢(UA)及び処置・加齢(TA)に関して両方の細胞型において行った。先ず、細胞型毎の若齢及び無処置・加齢細胞の分位正規化されたトランスクリプトーム(「Y対UA」)を比較した。データは、線維芽細胞における961種の遺伝子(5.85%)(678種が上方調節、289種が下方調節。)及び内皮細胞における748種の遺伝子(4.80%)(389種が上方調節、377種が下方調節。)が、有意性基準p<0.05及び対数倍数変化カットオフ+/-0.5で、若齢及び加齢細胞の間で異なったことを示す(図6)。これらの遺伝子セットは、分子シグネチャーデータベースの特徴遺伝子セットコレクションにおいて同定された、既知の加齢経路の多くで濃縮されていた。各遺伝子の平均を上回る又は下回る発現の方向性がマッピングされると、線維芽細胞及び内皮細胞の両方に関して、加齢した細胞とは対照的に、処置及び若齢細胞の間の明らかな類似性が観察された。この遺伝子セット空間における主成分分析(PCA)を行ったところ、若齢及び加齢集団が、第1の主成分(PC1)に沿って分離可能であることが決定され、このことは、線維芽細胞における分散の64.8%及び内皮細胞における分散の60.9%を説明した。興味をそそることに、処置細胞も、PC1に沿って、より若齢の集団のより近くにクラスター形成した(図1K及び図2J)。
【0139】
上に定義されている同じ有意性基準を使用して、無処置及び処置・加齢集団(「UA対TA」)を比較したところ、線維芽細胞における1042種の遺伝子(734種が上方調節、308種が下方調節。)及び内皮細胞における992種(461種が上方調節、531種が下方調節)が差次的に発現されたことを見出した。興味深いことに、これらの遺伝子セット内でも、本出願人らは、分子シグネチャーデータベース内に加齢経路の濃縮を見出した。各細胞型におけるプロファイル若齢対無処置・加齢(「Y対UA」)及び無処置・加齢対処置・加齢(「UA対TA」)を比較した場合、線維芽細胞の24.7%重複(オッズ比4.53、p<0.05)及び内皮細胞の16.7%重複(オッズ比3.84、p<0.05)が観察され、遺伝子発現の変化の方向性は、若年者のそれにマッチした(すなわち、若齢においてより高ければ、処置・加齢においてより高い);いずれかの細胞型において0.5%未満が逆に移動した。
【0140】
次に、これらのトランスクリプトームプロファイルを使用して、一過性リプログラミング後の細胞独自性の保持を検証した。この目的に向けて、確立された細胞独自性マーカーを使用して、本出願人らは、処置により有意に変化したものがなかったことを検証した(図10)。加えて、本出願人らは、いずれの多能性関連マーカー(トランスフェクトされたOSKMLN mRNA以外の)の発現を検出することもできなかった(図10)。要するに、トランスクリプトームシグネチャーの解析は、一過性リプログラミングが、細胞独自性を保持しつつ、より若々しい遺伝子発現プロファイルを誘発することを明らかにした。
【0141】
DNAメチル化レベルに基づくエピジェネティック時計は、組織及び細胞型にわたる年齢の最も正確な分子バイオマーカーであり、寿命を含む多くの加齢性状態を予測する。正準リプログラミング因子(OSKM)の外因性発現は、初代細胞のエピジェネティック年齢を出生前状態まで復帰させることが知られている。OSKMLNの一過性発現が、エピジェネティック時計を反転することができるかを検査するために、ヒト線維芽細胞及び内皮細胞に適用される2種のエピジェネティック時計を使用した:Horvathのオリジナル汎組織エピジェネティック時計(353種のシトシン-リン酸-グアニンペアに基づく。)及び皮膚&血液時計(391種のCpGに基づく。)。
【0142】
汎組織エピジェネティック時計によると、一過性OSKMLNは、DNAメチル化年齢を有意に(両側混合効果モデルP値=0.023)復帰させた(平均年齢差=-3.40歳、標準誤差1.17)。若返り効果は、内皮細胞(平均年齢差=-4.94歳、SE=1.63、図6H)において、線維芽細胞(平均年齢差=-1.84、SE=1.46、図6G)におけるよりも顕著であった。皮膚及び血液エピジェネティック時計を用いて、定性的に同様であるが、有意性がより低い結果を得ることができた(全体的な若返り効果-1.35歳、SE=0.67、片側混合効果モデルP値=0.042、内皮細胞及び線維芽細胞における平均若返りは、それぞれ-1.62歳及び-1.07である。)。
【0143】
これらの結果によって促され、細胞生理学的加齢の様々な特徴における一過性リプログラミングの効果を解析した。加齢の特徴に及ぶ、11種の確立されたアッセイのパネルを用い(図11)、単細胞ハイスループットイメージングを使用して解析の大部分を行って、細胞集団全体における単細胞の定量的変化及び分布シフトを捕捉した。個々の細胞株のそれぞれにおいて全解析を別々に行った(総計19種の線維芽細胞株:3種の若齢、8種の加齢及び8種の処置・加齢;総計17種の内皮細胞株:3種の若齢、7種の加齢及び7種の処置・加齢)。対になった試料セットのそれぞれにおいて統計解析を行った;表示し易くするために、年齢カテゴリーによってデータをその後にプールした(使用された統計方法の詳細な説明については材料と方法を参照。)。GFPをコードするmRNAを使用して、同じトランスフェクションスキームを採用することにより対照実験を行った。
【0144】
エピジェネティックに関する知見を拡張するために、免疫蛍光(IF)によって、エピジェネティック抑圧マークH3K9me3、ヘテロクロマチン関連タンパク質HP1γ及び核ラミナ支持タンパク質LAP2αを定量的に測定するための実験を行った(図1B図1C図2B図2C図5A図5C)。加齢した線維芽細胞及び内皮細胞は、若齢細胞と比較して、全3種のマーカーに関して核シグナルの減少を示した。加齢した細胞の処置は、両方の細胞型においてこれらのマーカーの増加をもたらした。次に、オートファゴソームの形成及びキモトリプシン様プロテアソーム活性を測定することにより、細胞のタンパク質分解活性に関与する両方の経路を試験したところ、これは、加齢に伴い減少する。処置は、両方の経路を、若齢細胞と同様の又はこれよりもさらにはより高いレベルまで増加させ、リプログラミングにおける初期ステップが、分解された生体分子の活発なクリアランスを促進することを示唆する(図1D図2D図5G図5H)。
【0145】
エネルギー代謝の観点から、加齢した細胞は、減少したミトコンドリア活性、活性酸素種(ROS)の蓄積、及び調節解除された栄養素感知を呈する。したがって、細胞におけるミトコンドリア膜電位、ミトコンドリアROS、及びサーチュイン1タンパク質(SIRT1)のレベルを測定することにより、加齢した細胞における処置の効果を検査した。一過性リプログラミングは、両方の細胞型においてミトコンドリア膜電位を増加させた(図1E左パネル、図2E左パネル、図5E)が、これは、若齢細胞(図1F図2F及び図5D)と同様に、線維芽細胞においてROSを減少させ(図1E右パネル、図2E右パネル、図5F)、SIRT1タンパク質レベルを増加させた。老化関連ベータ-ガラクトシダーゼ染色は、加齢した内皮細胞における老化した細胞の数の有意な低下を示した(図1H図2H及び図5I)。この減少は、やはり内皮細胞において、炎症促進性細胞老化関連分泌現象(SASP)サイトカインの減少を伴った(図5J)。最後に、どちらの細胞型においても、定量的蛍光インサイチュハイブリダイゼーションによって測定されたテロメア長は、処置により有意な伸長を示さず(図1G及び図2G)、細胞が、テロメラーゼ活性が再活性化される幹細胞様状態へと脱分化しなかったことを示唆する。
【0146】
次に、これらの効果の永続性を評価したところ、リプログラミングの中断から4及び6日後に、大部分が有意に保持されていたことを見出した。連続した2日間のみトランスフェクトされた線維芽細胞及び内皮細胞において同じ実験セットを反復することにより、これらの生理学的若返り変化が、どの程度急速に顕在化するかを調査した。注目すべきことに、データは、若返り効果の大部分が、大部分はより控えめであったが、2日間の処置の後に既に見ることができたことを示した。
【0147】
まとめると、このデータは、OSKMLNの一過性発現が、トランスクリプトーム、エピジェネティック及び細胞レベルで、ヒト細胞において細胞年齢の急速な持続性反転を誘導することができることを実証する。重要なことに、これらのデータは、本明細書で加齢のエピジェネティックリプログラミング又は「ERA」と命名された、「細胞の若返り」のプロセスが、非常に初期及び急速に、iPSCリプログラミングプロセスに関与することを実証する。これらのエピジェネティック及び転写変化は、細胞独自性のいずれかのエピジェネティックリプログラミングが行われる前に生じる。
【0148】
細胞加齢におけるERAの有益な効果のこれらの徴候により、ERAが、加齢に関連する炎症性表現型を反転することもできるかを調査するための実験を行った。内皮細胞におけるこの反転の予備的証拠を得た後に(図5J)、加齢に強く関連し、関節内の軟骨細胞に罹患する顕著な炎症性スペクトルによって特徴付けられた疾患である変形性関節症へと解析を拡張した。その進行期OAのために全人工関節置換外科手術を受けている60~70歳患者の軟骨から軟骨細胞を単離し、若齢個体から単離された軟骨細胞と処置結果を比較した。一過性リプログラミングを2又は3日間行い、リプログラミング中断から2日後に解析を行ったが、患者にわたるより一貫した効果は、より長い処置によりもたらされた。処置は、炎症促進性サイトカイン(図7I)、RANKL及びiNOS2の細胞内mRNAレベル、並びに細胞によって分泌される炎症性因子のレベル(図3H図3I及び図7I)の有意な低下を示した。加えて、ERAは、細胞増殖を促進し(図3A及び図7D)、ATP産生を増加させ(図3C及び図7A)、低下したミトコンドリアROS、及びOAにおいて下方調節されることが示された遺伝子である抗酸化剤SOD2の上昇したRNAレベルによって明らかになる通り、酸化的ストレスを減少させた(図3D図3E図7B及び図7D)。ERAは、SOX9(軟骨細胞固有性及び機能に中心的な転写因子)の発現レベルに影響を与えず、COL2A1(関節軟骨における主要コラーゲン)の発現のレベルを有意に増加させ(図3B図7E及び図7FにおけるqRT-PCR)、軟骨形成(chrondrogenic)細胞独自性の保持を示唆する。総合すると、これらの結果は、OSKMLNの一過性発現が、遺伝子発現の部分的反転、及びより健康な状態に向かう加齢したOA軟骨細胞における細胞生理機能を促進することができることを示す。
【0149】
機能及び再生能力の幹細胞喪失は、加齢の別の重要な特徴を表す。再生を損なう体細胞性幹細胞の加齢性変化における一過性リプログラミングの効果を評価するための実験を行った。先ず、一過性リプログラミングの効果を、マウス由来骨格筋幹細胞(MuSC)において検査した。人工ニッチを使用して、静止状態に維持しつつ、MuSCを2日間処置した。FACSによって単離された若齢(3カ月)及び加齢(20~24カ月)マウスMuSCを用いて初期実験を行った。加齢MuSCの処置は、静止状態若齢MuSCのより速い活性化動態に近い最初の分裂の時間、及びミトコンドリア質量の両方を低下させた。さらに、処置は、コロニーを形成する単一MuSCの低下した能力を部分的にレスキューした。このような細胞をさらに培養したところ、データは、処置が、筋原性マーカーMyoDの発現を変化させなかったが、その代わりに、筋管へと分化するその能力を改善したことを示し、一過性リプログラミングが、筋原性運命を破壊しないが、筋原性潜在力を増強し得ることを示唆する。
【0150】
次に、インビボで新たな組織を再生するMuSC機能及び分化能を検査した。これを行うために、若齢、加齢又は一過性にリプログラミングされた加齢MuSCに、ルシフェラーゼ及び緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するレンチウイルスを形質導入し、次いで、免疫低下マウスの傷害された前脛骨(TA)筋にこの細胞を移植した。長軸方向バイオルミネセンスイメージング(BLI)は、初期に、処置・加齢MuSCを移植された筋肉が、最高シグナルを示した(4日目、図4B)が、移植後11日目までに若齢MuSCによる筋肉に匹敵するようになったことを示した;逆に、無処置・加齢MuSCによる筋肉は、移植後の全時点で、より低いシグナルを示した(図4B)。免疫蛍光解析は、無処置・加齢MuSCと比較して、処置MuSCを移植したTAにおけるより多い数のドナー由来の(GFP)筋線維をさらに明らかにした(図4C)。さらに、処置・加齢した細胞由来のGFP筋線維は、その無処置対応物と比較して、増加した横断面の面積を示し、実際に、若齢対照よりも大きくさえあった(図4D)。総合すると、これらの結果は、一過性にリプログラミングされた加齢MuSCの改善された組織再生能を示唆する。3カ月後に、全マウスを剖検に付したところ、新生物病変もテラトーマも発見されなかった。
【0151】
処置の潜在的な長期利益を検査するために、細胞移植60日後に第2の傷害を誘導し、再度、データは、一過性にリプログラミングされた加齢MuSCを移植されたTA筋肉が、より高いBLIシグナルを生じたことを示した(図4E)。
【0152】
サルコペニアは、筋量及び力の産生の喪失によって特徴付けられる加齢性状態である。同様に、マウスにおいて、筋肉機能は、加齢に伴い進行性の変性を示す。加齢MuSCの一過性リプログラミングが、より老齢のマウスの筋肉の生理学的機能の回復において細胞に基づく処置を改善するかを検査するために、若齢(4カ月)又は加齢(27カ月)免疫低下マウスから単離されたTA筋肉において強縮力の産生を測定するための電気生理学検査を行った。データは、加齢マウス由来のTA筋肉が、若齢マウスと比較して、より低い強縮力を有することを示し、力の産生の加齢性喪失を示唆する(図8F)。次に、加齢マウス(20~24カ月)からMuSCを単離した。加齢MuSCを処置した後に、加齢(27カ月)免疫低下マウスの心臓毒傷害のあるTA筋肉へと細胞を移植した。移植された筋肉が十分に再生するのに十分な時間を与えるために、三十(30)日間を置いた。強縮力の産生を測定するための電気生理学検査を行った。無処置・加齢MuSCを移植された筋肉は、加齢対照マウス由来の移植されていない筋肉に匹敵する力を示した(図4h)。逆に、処置・加齢MuSCを受けた筋肉は、若齢対照マウス由来の移植されていない筋肉に匹敵する強縮力を示した。これらの結果は、MuSCに基づく治療法と組み合わせた一過性リプログラミングが、加齢筋肉の生理学的機能を、若々しい筋肉のそれへと回復し得ることを支持する。
【0153】
最後に、これらの結果をヒトMuSCに橋渡しした。異なる年齢範囲(10~80歳)の患者から得た手術試料を用い、これらにGFP及びルシフェラーゼ発現レンチウイルスベクターを形質導入して、試験を反復した。マウスと同様に、移植された一過性にリプログラミングされた加齢ヒトMuSCは、同じ個体由来の無処置MuSCと比較して、増加したBLIシグナルをもたらし、若齢MuSCに観察されるものに匹敵した(図8D)。興味深いことに、処置及び無処置MuSCによる対側性筋肉の間のBLIシグナル比は、より老齢の年齢群(60~80歳)において、より若齢の年齢群(10~30又は30~55歳)におけるよりも高く、ERAが、加齢した細胞において失われた機能をより若齢のレベルまで回復させることを示唆する(図8E)。総合すると、これらの結果は、一過性リプログラミングが、その運命を損なうことなく、加齢MuSCの分化能を、若齢MuSCのものと同様の程度まで部分的に回復させ、よって、再生医学における細胞療法としての潜在力を有することを示唆する。
【0154】
65歳超の患者由来の線維芽細胞及びケラチノサイトを組み合わせて、三次元(3D)インビトロ操作された皮膚を再構成し、リプログラミング因子のカクテルを培養培地に添加することによりトランスフェクトした。品質を評価するための組織学的解析を行い、数値的スコアを割り当てた(図8A)。対照無処置及びレチノイン酸処置試料と比較して増加した数値的スコアによって測定される通り、リプログラミング因子により若返りが観察された。
【0155】
網膜上皮細胞をエクスビボで培養し、2又は3日間OSKMNにより一過性にリプログラミングした。結果は、p16(図9A)、p21(図9B)、IL8(図9C)及びPGC1a(図9D)の発現の有意な減少を示した。
【0156】
人工多能性幹細胞(iPSC)への核リプログラミングは、惹起、成熟及び安定化を含む多相性プロセスである。斯かる動的で複雑な「エピジェネティックリプログラミング」の完了後に、iPSCは、多能性であるのみならず、若々しくもある。本明細書におけるデータは、一過性細胞リプログラミングの非組込み、mRNAに基づくプラットフォームが、細胞独自性のエピジェネティック抹消が未だ生じていない惹起相において、加齢の特徴を非常に急速に反転することができることを実証した。データは、細胞独自性を保存しつつ、罹患した細胞及び加齢した幹細胞における失われた機能性を回復することにより、若返りのプロセスが加齢したヒト細胞において生じることを示す。
【0157】
[実施例2]:方法
mRNAトランスフェクション:製造業者のプロトコールを使用して、細胞毒性を低下させる線維芽細胞及び軟骨細胞のためのmRNA-In(mTI Global Stem)、並びにトランスフェクトがより困難な内皮細胞及びMuSCのためのリポフェクタミンMessengerMax(Thermo Fisher)のいずれかを使用して、細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション4時間後に線維芽細胞及び内皮細胞のために培養培地を交換したが、mRNAの有意な取込みの産生に一晩インキュベーションが必要とされるため、軟骨細胞又はMuSCのためには交換しなかった。GFP mRNA及びOSKMNLカクテルにおける個々の因子の免疫染色の両方によって、送達の効率が確認された。Sebastiano LabのメンバーでもあるJens Durruthy-Durruthyと共に、彼が顧問を務めるESI BIOにおける施設により、mRNA合成及びトランスフェクション最適化を行った。
【0158】
線維芽細胞単離及び培養:健康な患者において単離を行い、60~70代(加齢)及び30~40代(若齢)の男性及び女性患者の混合から2mmパンチ生検を使用して、上腕中央(mid-upper arm)の近心面又は腹部から生検された。これらの外植片から細胞を培養し、非必須アミノ酸、10%ウシ胎仔血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した、アールの塩を含有するイーグルの最小必須培地中に維持した。
【0159】
内皮細胞単離及び培養:Coriell Instituteにおいて、45~50代(加齢)及び10代(若齢)の、突然の頭部外傷で死亡したが、他の面では健康であったドナーから死前に除去された腸骨動脈及び静脈から単離を行った。コラゲナーゼで組織を消化し、管腔から放出された細胞を使用して、培養を開始した。2mM L-グルタミン、15 ウシ胎仔血清、0.02mg/ml内皮成長サプリメント、0.05mg/mlヘパリン及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した培地199中に細胞を維持した。
【0160】
核免疫細胞化学:細胞をHBSSで洗浄し、次いで、PBS中の15%パラホルムアルデヒドで15分間固定した。次に、細胞を、1%BSA及び0.3%Triton X-100のPBS中ブロッキング溶液で30分間ブロッキングした。次に、PBS中の1%BSA及び0.3%Triton X-100において一次抗体をアプライし、4Cで一晩インキュベートした。翌日、対応するAlexa Flour標識二次抗体に切り替える前に、細胞をHBSSで洗浄し、2時間インキュベートした。次に、再度細胞を洗浄し、次いでDAPIで30分間染色した。最後に、イメージングのために細胞をHBSSに切り替えた。
【0161】
オートファゴソーム形成染色:細胞をHBSSで洗浄し、LC3に基づく蛍光オートファゴソームマーカー(Sigma)を含有する染色溶液に切り替えた。次に、細胞を37℃で5%CO2により20分間インキュベートした。次に、HBSS/Ca/Mgを使用して、細胞を2回洗浄した。次に、細胞標識色素であるCellTracker Deep Redを使用して、細胞を15分間染色した。次に、Operettaによる単細胞イメージングのため、細胞をHBSS/Ca/Mgに切り替えた。
【0162】
プロテアソーム活性測定:ウェルを先ず、細胞生存率色素であるPrestoBlue(Thermo)で10分間染色した。TECAN蛍光プレートリーダーを使用して、ウェルシグナルを読み取った。次に、キモトリプシン様20Sプロテアソーム活性によって切断されるLLVY-R110蛍光発生基質(Sigma)を含有する本来の培地に切り替える前に、細胞をHBSS/Ca/Mgで洗浄した。次に、TECAN蛍光プレートリーダーにおいて再度読み取る前に、細胞を37℃で5%CO2により2時間インキュベートした。
【0163】
ミトコンドリア膜電位染色:テトラメチルローダミン、メチルエステル、過塩素酸塩(Thermo)を細胞培養培地に添加した。この色素は、その膜電位に基づきミトコンドリアによって隔離される。次に、細胞を30分間37℃で5%CO2によりインキュベートした。次に、CellTracker Deep Redを使用した15分間の染色前に、細胞をHBSS/Ca/Mgで2回洗浄した。最後に、新鮮HBSS/Ca/Mgにおいて細胞をOperettaで撮像した。
【0164】
ミトコンドリアROS測定:細胞をHBSS/Ca/Mgで洗浄し、次いでミトコンドリアにおけるスーパーオキシドによって酸化される蛍光発生色素であるMitoSOXを含有するHBSS/Ca/Mgに切り替えた。細胞を10分間37Cで5%CO2によりインキュベートした。次に、細胞をHBSS/Ca/Mgで2回洗浄し、次いで、CellTracker Deep Redを使用して15分間染色した。最後に、新鮮HBSS/Ca/MgにおいてOperettaで細胞を撮像した。
【0165】
SaβGal組織化学:細胞をHBSS/Ca/Mgで2回洗浄し、次いでPBS中の15%パラホルムアルデヒドで6分間固定した。次に、内在性Bガラクトシダーゼによって切断されるX-gal発色基質による染色前に、細胞をHBSS/Ca/Mgで3回リンスした。細胞を染色溶液中に維持し、一晩37℃で外界CO2によりインキュベートした。翌日、Leica明視野顕微鏡下でのイメージングのための70%グリセロール溶液に切り替える前に、細胞をHBSS/Ca/Mgで再度洗浄した。
【0166】
サイトカインプロファイリング:この作業は、スタンフォード大学(Stanford University)のHuman Immune Monitoring Centerと共に行った。細胞培地を収集し、400rcfで10分間RTにてスピンした。次に、解析まで液体窒素で上清を瞬間(snap)凍結した。ヒト63-plexキット(eBiosciences/Affymetrix)を使用して解析を行った。96ウェルプレートにビーズを添加し、Biotek ELx405洗浄機において洗浄した。混合抗体連結ビーズを含有するプレートに試料を添加し、室温で1時間インキュベートし、続いて4℃で振盪しつつ一晩インキュベーションを行った。500~600rpmの軌道回転振盪機において低温及び室温インキュベーションステップを行った。一晩インキュベーション後に、Biotek ELx405洗浄機においてプレートを洗浄し、次いで75分間室温で振盪しつつビオチン化検出抗体を添加した。上述の通りにプレートを洗浄し、ストレプトアビジン-PEを添加した。30分間室温におけるインキュベーション後に、上述の通りに洗浄を行い、ウェルに読み取りバッファーを添加した。各試料を2回複製して測定した。サイトカイン当たり試料当たりより低い結合の50種のビーズにより、Luminex 200機器を使用して、プレートを読み取った。Radix Biosolutionsによる特別注文のアッセイ対照ビーズが全ウェルに添加される。
【0167】
抗体:核測定のために5種の一次抗体を使用した:ウサギ抗ヒストンH3K9me3ヒストンメチル化(1:4000)、マウス抗HP1γヘテロクロマチンマーカー(1:200)、ウサギ抗LAP2α(1:500)核組織化タンパク質、マウス抗ラミニンA/C核膜マーカー及びウサギ抗SIRT1(1:200)。
【0168】
RNA配列決定及びデータ解析
細胞を洗浄し、TRIzol(Thermo)によって消化した。全RNA精製キット(Norgen Biotek Corp)を使用して全RNAを単離し、RNA解析screentape(R6K screentape、Agilent)によってRNA品質を評価し、RIN>9を有するRNAを逆転写してcDNAにした。TruSeq RNA試料調製キットv2(Illumina)を使用して、1μgの全RNAを使用してcDNAライブラリーを調製した。Agilent Bioanalyzer 2100によってRNA品質を評価し、RIN>9を有するRNAを逆転写してcDNAにした。分子インデックス付けの付加利益を有するTruSeq RNA試料調製キットv2(Illumina)を使用して、500ngの全RNAを使用してcDNAライブラリーを調製した。いずれかのPCR増幅ステップに先立ち、全cDNA断片末端を、8bpの特有の分子インデックスを含有するアダプターペアへとランダムにライゲーションした。次に、分子インデックス付けされたcDNAライブラリーをPCR増幅し(15サイクル)、次いでBioanalzyer及びQubitを使用してQCを行った。QC成功後に、これをIllumina Nextseqプラットフォームにおいて配列決定して、80-bpシングルエンド読み取りデータを得た。読み取りデータを、各末端2ヌクレオチドトリミングして、低品質部分を除去し、ゲノムへのマッピングを改善した。生じた78ヌクレオチド読み取りデータを、重複を除去することにより圧縮したが、データベースにおける各試料において各配列が何回生じたかについて追跡した。次に、正確なマッチを使用して、特有の読み取りデータをヒトゲノムにマッピングした。これは、エクソン-エクソン境界交差、並びに誤差及びSNP/突然変異を有する読み取りデータを誤読するが、各遺伝子の発現のレベルの推定に実質的な影響はない。次に、マッピングされた読み取りデータのそれぞれに、根底にあるゲノム由来のアノテーションを割り当てた。複数アノテーション(例えば、遺伝子のイントロンに生じるmiRNA)の場合、ヒューリスティクスに基づく階層を使用して、各読み取りデータに特有の同一性を与えた。次に、これを使用して、各転写物に属する読み取りデータを同定し、転写物の各位置にわたる被覆度を確立した。この被覆度は、不均一で尖っているため、本出願人らは、遺伝子の発現値の推定としてこの被覆度の中央値を使用した。異なる試料における発現を比較するために、分位正規化を使用した。さらなるデータ解析をMATLAB(登録商標)において行った。次に、発現レベルの比を計算して、倍数変化の対数(2を底とする)を推定した。スチューデントt検定を使用して、p<0.05カットオフによる有意性を決定した。Stanford Center for Biomedical Informatics ResearchのButte Labによって開発され公開利用が可能となった、ENCODE遺伝子解析を転写因子同定に使用した。
【0169】
マウス:C57BL/6雄マウス及びNSGマウスは、Jackson Laboratoryから得た。NOD/MrkBomTac-Prkdcscid雌マウスは、Taconic Biosciencesから得た。Veterans Affairs Palo Alto Health Care SystemsのVeterinary Medical Unitにおいてマウスを収容及び維持した。動物プロトコールは、スタンフォード大学のLaboratory Animal CareのAdministrative Panelによって承認された。
【0170】
ヒト骨格筋標本:対象は、10~78歳の年齢範囲に及んだ。スタンフォード大学施設内審査委員会によって承認されたヒト試験研究プロトコールの一部として、患者のインフォームドコンセントを得た後に、ヒト筋肉生検標本を採取した。臨床手技の利用可能性に従って、新鮮筋肉標本を使用して全実験を行った。標本単離1~12時間以内に細胞解析のための試料加工を始めた。全試験において、標準偏差は、真の生物学的複製(すなわち、特有のドナー)を使用して、試験に由来するデータにおける可変性を反映する。データは、ドナー同一性と相関しなかった。
【0171】
MuSC単離及び精製:後肢から筋肉を収集し、機械的に解離して、断片化筋肉懸濁液を得た。これに続いて、コラゲナーゼII-HamのF10溶液(1ml当たり500ユニット;Invitrogen)における45~50分間消化を行った。洗浄後に、コラゲナーゼII(1ml当たり100ユニット)及びディスパーゼ(1ml当たり2ユニット;ThermoFisher)により第2の消化を30分間行った。その結果得られた細胞懸濁液を洗浄し、濾過し、1:100希釈のVCAM-ビオチン(クローン429;BD Bioscience)、CD31-FITC(クローンMEC13.3;BD Bioscience)、CD45-APC(クローン30-F11;BD Bioscience)及びSca-1-Pacific-Blue(クローンD7;Biolegend)抗体で染色した。新鮮な手術試料50,51からヒトMuSCを精製した。脂肪及び線維性組織から手術試料を慎重に解剖し、マウス組織について記載されている通りに解離(disassociated)筋肉懸濁液を調製した。次に、その結果得られた細胞懸濁液を洗浄し、濾過し、抗CD31-Alexa Fluor488(クローンWM59;BioLegend;#303110、1:75)、抗CD45-Alexa Fluor 488(クローンHI30;Invitrogen;#MHCD4520、1:75)、抗CD34-FITC(クローン581;BioLegend;#343503、1:75)、抗CD29-APC(クローンTS2/16;BioLegend;#303008、1:75)及び抗NCAM-ビオチン(クローンHCD56;BioLegend;#318319、1:75)で染色した。次に、結合していない一次抗体を洗浄し、ストレプトアビジン-PE/Cy7(BioLegend)において細胞を15分間4℃でインキュベートして、NCAM-ビオチンを検出した。488-nm、633-nm及び405-nmレーザーを備える較正BD-FACS Aria II(登録商標)又はBD FACSAria IIIフローサイトメーターにおいて細胞選別を行って、MuSC集団を得た。選別された細胞のごく一部を蒔き、Pax7及びMyoDを染色して、選別された集団の純度を評価した。FACSゲーティング戦略については、補足情報を参照されたい。
【0172】
バイオルミネセンスイメージング:Xenogen IVIS-Spectrum System(Caliper Life Sciences)を使用してバイオルミネセントイメージングを行った。流量2.5l/分の2%イソフルランを使用してマウスを麻酔した(n=4)。滅菌PBSに溶解したD-ルシフェリン(50mg/ml、Biosynth International Inc.)の腹腔内注射を投与した。注射の直後に、最大感度(f-ストップ1)、最高分解能(小ビニング)でマウスを30秒間撮像した。バイオルミネセントシグナルのピーク強度が縮小し始めるまで、毎分30秒間露光を用いた。その後の解析のために各画像を保存した。盲検法でイメージングを行った:イメージングを行う研究者は、移植された細胞の実験条件の同一性を知らなかった。
【0173】
バイオルミネセンス画像解析:Living Imageソフトウェア、バージョン4.0(Caliper Life Sciences)を使用して各画像の解析を行った。手作業で生成した円を、目的の領域の上に置き、レシピエントマウスの肢又は指定領域を完全に囲むようにサイズ変更した。同様に、目的のバックグラウンド領域を、移植された脚の外側のマウスの領域に置いた。
【0174】
組織収集:TA筋肉を骨から離して慎重に解剖し、秤量し、固定のため0.5%PFA溶液に一晩置いた。次に、3時間、又は筋肉がその飽和点に達し、沈み始めるまで、筋肉を20%スクロース溶液に移動した。次に、組織を最適切削温度(Optimal Cutting Temperature)(OCT)培地に包埋し、凍結し、切片作製まで-80℃で貯蔵した。10μm切片を生成するように設定されたLeica CM3050Sクリオスタットにおいて切片作製を行った。Fisherbrand Colorfrostスライド上に切片をマウントした。免疫組織化学的検査を行うことができるまで、これらのスライドを-20℃で貯蔵した。
【0175】
組織学:0.5%電子顕微鏡グレードのパラホルムアルデヒドを使用して、TA筋肉を5時間固定し、その後、20%スクロースに一晩移した。次に、筋肉をOCT中で凍結し、10μmの厚さで凍結切片作製し、染色した。ヘマトキシリン・エオシン(Sigma)又はゴモリ(Gomorri)トリクローム(Richard-Allan Scientific)による比色染色のため、製造業者の推奨プロトコールに従って試料を加工した。
【0176】
MuSC免疫染色:PBS中の20%ロバ血清/0.3%Tritonによる1時間ブロッキングステップを使用して、全試料について望まれない一次抗体結合を防止した。一次抗体をアプライし、PBS中の20%ロバ血清/0.3%Tritonにおいて一晩4℃でインキュベートした。0.3%PBSTによる4回洗浄後に、蛍光コンジュゲートされた二次抗体を添加し、0.3%PBSTにおいて室温で1時間インキュベートした。3回の追加的なリンスの後に、Fluoviewマウント培地を使用して各スライドをマウントした。
【0177】
抗体:本試験において次の抗体を使用した。各抗体の供給源を示す。マウス:GFP(Invitrogen、#A11122、1:250);ルシフェラーゼ(Sigma-Aldrich、#L0159、1:200);コラーゲンI(Cedarlane Labs、#CL50151AP、1:200);HSP47(Abcam、#ab77609、1:200)。
【0178】
イメージング:標準蛍光顕微鏡及び10×又は20×air対物レンズのどちらかを使用して試料を撮像した。Volocityイメージングソフトウェアを使用して、励起及び発光フィルターを調整し、予めプログラムされたAlexaFluorフィルター設定が付属し、これを可能な限り常に使用した。イメージングの第1ラウンドにおいて全露光時間を最適化し、次いでその後の全イメージングを通して一定に維持した。
【0179】
画像解析:Image Jを使用して、色閾値プラグインを使用することにより、コラーゲンで構成された面積のパーセンテージを計算して、コラーゲンが陽性の面積のみのマスクを創出した。次に、当該面積を、フリー描画ツールを使用して見出された試料の総面積で割った。Volocityソフトウェアを使用して他の解析の全てを行い、フリー描画ツールを使用して線維を手作業で計数し、また、手動で核、eMHC+線維、神経筋接合部及び血管の数を計数した。
【0180】
レンチウイルス形質導入:ルシフェラーゼ及びGFPタンパク質レポーターを、第三世代HIV-1レンチウイルスベクター(CD51X DPS、SystemBio)にサブクローニングした。新鮮に単離されたMuSCを形質導入するために、ポリ-D-リジン(Millipore Sigma、A-003-E)及びECMコーティングされた8ウェルチャンバースライド(Millipore Sigma、PEZGS0896)上に、ウェル当たり30,000~40,000個の細胞の密度で細胞を蒔き、ウェル当たり5μlの濃縮ウイルス及び8μg/mLポリブレン(Santa Cruz Biotechnology、sc-134220)と共にインキュベートした。5分間3200gで、また、1時間2500gで25℃にてプレートをスピンした。次に、細胞を新鮮培地で2回洗浄し、プレートから擦過し、実験条件に応じた最終容量に再懸濁した。
【0181】
MitoTracker染色及びフローサイトメトリー解析:リプログラミングを受けているMuSC及び対照を純粋HamsF10(血清又はpen/strepなし)で2回洗浄した。その後、MuSCを0.5μM MitoTracker Green FM(ThermoFisher、M7514)及びDAPIで30分間37℃にて染色し、純粋HamsF10で3回洗浄し、BD FACSAria IIIフローサイトメーターを使用して解析した。
【0182】
統計解析:他に記述がない限り、MATLAB R2017a(MathWorksソフトウェア)又はGraphPad Prism 5(GraphPadソフトウェア)を使用して全統計解析を行った。統計解析のため、t検定を使用した。全エラーバーは、s.e.m.を表す;*p<0.05;**p<0.001;***p<0.0001。
【0183】
本開示の好まれる実施形態について説明及び記載してきたが、本開示の本旨及び範囲から逸脱することなく、その中で様々な変更を為すことができることが認められる。
【0184】
【表1】
【0185】
P実施形態
【0186】
実施形態P1.細胞を若返らせる方法であって、
a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトするステップであって、トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ;及びb)1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを翻訳し、細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を産生し、細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、細胞が、幹細胞へと脱分化することなく若返る、ステップを含む方法。
【0187】
実施形態P2.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される、実施形態P1に記載の方法。
【0188】
実施形態P3.細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、実施形態P2に記載の方法。
【0189】
実施形態P4.細胞が、哺乳類細胞である、実施形態P1に記載の方法。
【0190】
実施形態P5.細胞が、ヒト細胞である、実施形態P4に記載の方法。
【0191】
実施形態P6.細胞が、高齢対象に由来する、実施形態P1に記載の方法。
【0192】
実施形態P7.細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞又は骨格筋幹細胞である、実施形態P1に記載の方法。
【0193】
実施形態P8.一過性リプログラミングが、HP1ガンマ、H3K9me3、ラミナ支持タンパク質LAP2アルファ及びSIRT1タンパク質の増加した発現、減少した核の折畳み、減少した小疱形成、増加した細胞オートファゴソーム形成、増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性、増加したミトコンドリア膜電位、又は減少した活性酸素種(ROS)をもたらす、実施形態P1に記載の方法。
【0194】
実施形態P9.細胞が、組織又は臓器内にある、実施形態P1に記載の方法。
【0195】
実施形態P10.一過性リプログラミングが、組織又は臓器内の老化した細胞の数を低下させる、実施形態P9に記載の方法。
【0196】
実施形態P11.一過性リプログラミングが、GMSCF、IL18及びTNFαの発現を減少させる、実施形態P9に記載の方法。
【0197】
実施形態P12.処置が、組織又は臓器内の細胞の機能を回復させる、分化能を増加させる、生存率を増強する、又は複製能若しくは寿命を増加させる、実施形態P9に記載の方法。
【0198】
実施形態P13.インビトロ、エクスビボ又はインビボで行われる、実施形態P1に記載の方法。
【0199】
実施形態P14.トランスフェクトするステップが、3日間又は4日間、1日1回行われる、実施形態P1に記載の方法。
【0200】
実施形態P15.対象の加齢性疾患又は状態を治療するための方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、若返りを必要とする細胞にインビボ又はエクスビボでトランスフェクトするステップであって、トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ;及びb)細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を発現させ、細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、細胞が、幹細胞へと脱分化することなく若返る、ステップを含む方法。
【0201】
実施形態P16.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される、実施形態P15に記載の方法。
【0202】
実施形態P17.細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、実施形態P16に記載の方法。
【0203】
実施形態P18.若返った細胞を対象に移植するステップをさらに含む、実施形態P15に記載の方法。
【0204】
実施形態P19.加齢性疾患又は状態が、変性疾患である、実施形態P15に記載の方法。
【0205】
実施形態P20.加齢性疾患又は状態が、神経変性疾患又は筋骨格障害である、実施形態P15に記載の方法。
【0206】
実施形態P21.対象の軟骨変性が関与する疾患又は障害を治療するための方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、若返りを必要とする軟骨細胞にインビボ又はエクスビボでトランスフェクトするステップであって、トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ;及びb)軟骨細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を発現させ、軟骨細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、軟骨細胞が、幹細胞へと脱分化することなく若返る、ステップを含む方法。
【0207】
実施形態P22.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される、実施形態P21に記載の方法。
【0208】
実施形態P23.細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、実施形態P22に記載の方法。
【0209】
実施形態P24.軟骨変性が関与する疾患又は障害が、関節炎である、実施形態P21に記載の方法。
【0210】
実施形態P25.関節炎が、変形性関節症又は関節リウマチである、実施形態P24に記載の方法。
【0211】
実施形態P26.処置が、対象における炎症を低下させる、実施形態P21に記載の方法。
【0212】
実施形態P27.トランスフェクトするステップが、エクスビボで行われ、若返った軟骨細胞が、対象の関節炎の関節に移植される、実施形態P21に記載の方法。
【0213】
実施形態P28.軟骨細胞が、対象から得られる軟骨試料から単離される、実施形態P27に記載の方法。
【0214】
実施形態P29.処置が、軟骨細胞によるRANKL、iNOS、IL6、IL8、BDNF、IFNα、IFNγ及びLIFの発現を低下させ、SOX9及びCOL2A1の発現を増加させる、実施形態P21に記載の方法。
【0215】
実施形態P30.対象が、高齢対象である、実施形態P21に記載の方法。
【0216】
実施形態P31.対象が、哺乳類対象である、実施形態P21に記載の方法。
【0217】
実施形態P32.哺乳類対象が、ヒト対象である、実施形態P31に記載の方法。
【0218】
実施形態P33.対象における筋肉変性が関与する疾患又は障害を治療するための方法であって、a)1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、骨格筋幹細胞にインビボ又はエクスビボでトランスフェクトするステップであって、トランスフェクトするステップが、少なくとも2日かつ4日以下の間、1日1回行われる、ステップ;及びb)骨格筋幹細胞において1種以上の細胞リプログラミング因子を発現させ、骨格筋幹細胞の一過性リプログラミングをもたらすステップであって、骨格筋幹細胞が、筋肉細胞へと分化するその能力を喪失することなく若返る、ステップを含む方法。
【0219】
実施形態P34.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGからなる群から選択される、実施形態P33に記載の方法。
【0220】
実施形態P35.細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、実施形態P34に記載の方法。
【0221】
実施形態P36.トランスフェクトするステップが、エクスビボで行われ、若返った骨格筋幹細胞が、対象における修復又は再生を必要とする筋肉に移植される、実施形態P33に記載の方法。
【0222】
実施形態P37.骨格筋幹細胞が、対象から得られる筋肉試料から単離される、実施形態P33に記載の方法。
【0223】
実施形態P38.処置が、筋線維の再生をもたらす、実施形態P33に記載の方法。
【0224】
実施形態P39.処置が、骨格筋幹細胞の分化能を回復させる、実施形態P33に記載の方法。
【0225】
実施形態P40.対象が、高齢対象である、実施形態P33に記載の方法。
【0226】
実施形態P41.対象が、哺乳類対象である、実施形態P33に記載の方法。
【0227】
実施形態P42.哺乳類対象が、ヒト対象である、実施形態P41に記載の方法。
【0228】
実施形態
【0229】
実施形態1.細胞を若返らせる方法であって、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトし、これにより、若返った細胞を産生するステップを含む方法。
【0230】
実施形態2.若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルが、若齢細胞のトランスクリプトームプロファイルに類似するようになる、実施形態1に記載の方法。
【0231】
実施形態3.若返った細胞のトランスクリプトームプロファイルが、RPL37、RHOA、SRSF3、EPHB4、ARHGAP18、RPL31、FKBP2、MAP1LC3B2、Elf1、Phf8、Pol2s2、Taf1及びSin3aから選択される1種以上の遺伝子の遺伝子発現の増加を含む、実施形態2に記載の方法。
【0232】
実施形態4.若返った細胞が、参照値と比較して、1種以上の核及び/又はエピジェネティックマーカーの増加した遺伝子発現を示す、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0233】
実施形態5.マーカーが、HP1ガンマ、H3K9me3、ラミナ支持タンパク質LAP2アルファ及びSIRT1タンパク質から選択される、実施形態4に記載の方法。
【0234】
実施形態6.若返った細胞が、参照値と比較して、増加したタンパク質分解活性を示す、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0235】
実施形態7.増加したタンパク質分解活性が、増加した細胞オートファゴソーム形成、増加したキモトリプシン様プロテアソーム活性、又はこれらの組合せとして測定される、実施形態6に記載の方法。
【0236】
実施形態8.若返った細胞が、参照値と比較して、改善されたミトコンドリアの健康及び機能を示す、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0237】
実施形態9.改善されたミトコンドリアの健康及び機能が、増加したミトコンドリア膜電位、減少した活性酸素種(ROS)、又はこれらの組合せとして測定される、実施形態8に記載の方法。
【0238】
実施形態10.若返った細胞が、参照値と比較して、1種以上のSASPサイトカインの減少した発現を示す、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0239】
実施形態11.SASPサイトカインが、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上を含む、実施形態10に記載の方法。
【0240】
実施形態12.若返った細胞が、メチル化ランドスケープの反転を示す、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0241】
実施形態13.メチル化ランドスケープの反転が、Horvath時計による推定によって測定される、実施形態12に記載の方法。
【0242】
実施形態14.参照値が、加齢した細胞から得られる、実施形態4~13のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0243】
実施形態15.細胞にメッセンジャーRNAをトランスフェクトするステップが、リポフェクタミン及びLT-1媒介トランスフェクション、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソームにおけるmRNAの封入、並びに直接的マイクロインジェクションから選択される方法を含む、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0244】
実施形態16.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0245】
実施形態17.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0246】
実施形態18.細胞が、哺乳類細胞である、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0247】
実施形態19.細胞が、ヒト細胞である、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0248】
実施形態20.細胞が、高齢対象に由来する、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0249】
実施形態21.細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨格筋幹細胞、ケラチノサイト、間葉系幹細胞及び角膜上皮細胞から選択される、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0250】
実施形態22.細胞が、間葉系幹細胞である、実施形態21に記載の方法。
【0251】
実施形態23.若返った間葉系幹細胞が、老化パラメータ(p16、p21及び陽性SAβGal染色)の低下、増加した細胞増殖、及び/又はROSレベルの減少を示す、実施形態22に記載の方法。
【0252】
実施形態24.インビトロ、エクスビボ又はインビボで行われる、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0253】
実施形態25.インビボで行われる、実施形態24に記載の方法。
【0254】
実施形態26.細胞が、組織又は臓器内にある、実施形態25に記載の方法。
【0255】
実施形態27.組織又は臓器内の老化した細胞の数を低下させる、実施形態25~27のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0256】
実施形態28.IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上の発現を減少させる、実施形態25~27のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0257】
実施形態29.細胞の機能を回復させる、分化能を増加させる、生存率を増強する、複製能若しくは寿命を増加させる、又はこれらの組合せである、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0258】
実施形態30.トランスフェクトするステップが、5日間、1日1回行われる、実施形態1~24のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0259】
実施形態31.トランスフェクトするステップが、4日間、1日1回行われる、実施形態1~24のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0260】
実施形態32.トランスフェクトするステップが、3日間、1日1回行われる、実施形態1~24のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0261】
実施形態33.トランスフェクトするステップが、2日間、1日1回行われる、実施形態1~24のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0262】
実施形態34.対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害、神経変性障害及び/又は筋骨格機能不全を治療するための方法であって、治療有効量の細胞を投与するステップを含み、細胞が、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む、方法。
【0263】
実施形態35.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、実施形態34に記載の方法。
【0264】
実施形態36.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、実施形態34~35のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0265】
実施形態37.対象が、加齢性疾患又は状態を有する、実施形態34~36のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0266】
実施形態38.加齢性疾患又は状態が、眼、皮膚又は筋骨格機能不全から選択される、実施形態34に記載の方法。
【0267】
実施形態39.対象が、軟骨変性障害を有する、実施形態34~36のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0268】
実施形態40.障害が、関節炎、軟骨無形成症(chondrophasia)、脊椎関節症、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎及びシェーグレン症候群から選択される、実施形態39に記載の方法。
【0269】
実施形態41.処置が、炎症性因子の発現を低下させる、及び/又はATP及びコラーゲン代謝を増加させる、実施形態39又は40のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0270】
実施形態42.炎症性因子が、RANKL、iNOS2、IL6、IFNα、MCP3及びMIP1Aから選択される、実施形態41に記載の方法。
【0271】
実施形態43.ATP及びコラーゲン代謝が、増加したATPレベル、減少したROS及び増加したSOD2、増加したCOL2A1、及び軟骨細胞による全体的な増殖のうち1種以上によって測定される、実施形態42に記載の方法。
【0272】
実施形態44.対象が、筋骨格機能不全を有する、実施形態34~36のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0273】
実施形態45.治療有効量の細胞を投与するステップが、注射又は外科的埋植を含む、実施形態34~44のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0274】
実施形態46.治療有効量の若返った細胞が、線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨格筋幹細胞、ケラチノサイト、間葉系幹細胞及び角膜上皮細胞から選択される、実施形態34~45のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0275】
実施形態47.治療有効量の若返った細胞が、角膜上皮細胞である、実施形態46に記載の方法。
【0276】
実施形態48.若返った角膜上皮が、老化パラメータの低下を示す、実施形態47に記載の方法。
【0277】
実施形態49.老化パラメータが、p21及びp16の発現、ミトコンドリア新生PGC1α、並びに炎症性因子IL8の発現のうち1種以上を含む、実施形態48に記載の方法。
【0278】
実施形態50.対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害を治療する、及び/又は筋骨格機能不全を有する対象を治療するための方法であって、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、治療有効量の1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを投与するステップを含む方法。
【0279】
実施形態51.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、実施形態50に記載の方法。
【0280】
実施形態52.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGを含む、実施形態50~51~48のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0281】
実施形態53.対象が、加齢性疾患又は状態を有する、実施形態50~52のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0282】
実施形態54.加齢性疾患又は状態が、眼、皮膚又は筋骨格機能不全から選択される、実施形態53に記載の方法。
【0283】
実施形態55.対象が、軟骨変性障害を有する、実施形態50~52のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0284】
実施形態56.障害が、関節炎、軟骨無形成症(chondrophasia)、脊椎関節症、強直性脊椎炎、エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎及びシェーグレン症候群から選択される、実施形態55に記載の方法。
【0285】
実施形態57.対象が、筋骨格機能不全を有する、実施形態50~52のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0286】
実施形態58.治療有効量の1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを投与するステップが、標的細胞への直接的注射を含む、実施形態50~57のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0287】
実施形態59.標的細胞が、上皮細胞、内皮細胞、結合組織細胞、筋肉細胞及び神経系細胞から選択される、実施形態58に記載の方法。
【0288】
実施形態60.操作された組織をエクスビボで若返らせる方法であって、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、組織にトランスフェクトし、これにより、若返った操作された組織を産生するステップを含む方法。
【0289】
実施形態61.操作された組織が、老化パラメータ、炎症促進性因子の低下、組織学的スコアの改善、又はこれらの組合せを示す、実施形態60に記載の方法。
【0290】
実施形態62.操作された組織が、操作された皮膚組織である、実施形態60又は61のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0291】
実施形態63.老化パラメータが、p16並びに陽性SAβGal染色並びに炎症促進性因子IL8及びMMP1から選択される、実施形態60~62のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0292】
実施形態64.組織学的スコアが、形態、組織化及び/又は品質を含む、実施形態60~63のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0293】
実施形態65.若返った細胞を含む医薬組成物であって、若返った細胞が、連続した5日以下の間、1種以上の細胞リプログラミング因子をコードする、1種以上の非組込みメッセンジャーRNAを、細胞にトランスフェクトするステップによって得られる、医薬組成物。
【0294】
実施形態66.1種以上の細胞リプログラミング因子が、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28及びNANOGから選択される、先行する実施形態のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0295】
実施形態67.細胞が、HP1ガンマ、H3K9me3、LAP2アルファ、SIRT1の増加した発現、増加したミトコンドリア膜電位、及び減少した活性酸素種、及びSASPサイトカインの減少した発現のうち1種以上を呈する、実施形態65又は66に記載の組成物。
【0296】
実施形態68.SASPサイトカインが、IL18、IL1A、GROA、IL22及びIL9のうち1種以上を含む、実施形態67に記載の組成物。
【0297】
実施形態69.栄養素、サイトカイン、成長因子、細胞外マトリックス(ECM)成分、抗生物質、抗酸化剤及び免疫抑制剤から選択される1種以上の追加的な成分をさらに含む、実施形態65~68のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0298】
実施形態70.薬学的に許容される担体をさらに含む、実施形態65~69のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0299】
実施形態71.細胞が、自家又は同種異系である、実施形態65~70のいずれか一実施形態に記載の組成物。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図7M
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A
図9B
図9C
図9D
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の細胞のリプログラミング因子をコードする一以上の非組込みメッセンジャーRNAを含む治療効果量の細胞を含む組成物であって、対象の加齢性疾患若しくは状態、軟骨変性障害、神経変性障害及び/又は筋骨格機能不全を治療するための、組成物。
【請求項2】
加齢性疾患又は状態が、皮膚疾患若しくは状態、眼疾患若しくは状態、呼吸器疾患若しくは状態、又は筋骨格疾患若しくは状態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
皮膚疾患又は状態が、皮膚の萎縮、皮膚の弾性線維分解、皮膚のしわ、皮脂腺過形成、皮脂腺低形成、老人性黒子、色素沈着異常、白髪、抜け毛、髪が薄くなること、又は慢性皮膚潰瘍である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
眼疾患又は状態が、加齢性黄斑変性、緑内障、白内障、ドライアイ、糖尿病性網膜症、又は視力喪失である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
呼吸器疾患又は状態が、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、喘息、慢性気管支炎、肺塞栓症、肺がん、又は肺感染症である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
筋骨格疾患若しくは状態が、関節炎、骨粗鬆症、骨髄腫、痛風、パジェット病、骨折、骨髄不全症候群、関節強直、びまん性特発性骨増殖症、血行性骨髄炎、筋萎縮、末梢性ニューロパチー、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、原発性側索硬化症、又は重症筋無力症である、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
軟骨変性障害が、関節炎である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
関節炎が、変形性関節症又は関節リウマチである、請求項7に記載の組成物。
【外国語明細書】