(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160263
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】手術顕微鏡用のドレープのための保持要素
(51)【国際特許分類】
A61B 46/10 20160101AFI20241106BHJP
【FI】
A61B46/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024122994
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2023522546の分割
【原出願日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102020131496.5
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ラーブ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ケーニヒ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より容易に、より正確に、及び/又は確実に位置付けることができ、手術顕微鏡の異なる光学システムが互いに影響を与えることを防ぐ手術顕微鏡上のドレープの保持要素を提供する。
【解決手段】保持要素1は、保持リング2、及び手術顕微鏡の接合部のために保持リング内に配置された凹部を有する。保持リングは、保持要素が手術顕微鏡に締結された状態で、保持リングの輪郭に対応する手術顕微鏡の接合部上に、保持要素の手術顕微鏡に対する配向が画定される、保持要素の単一の可能な締結位置付けのみが存在するように、凹部の境界を定める非対称輪郭を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術顕微鏡(4)用のドレープのための保持要素(1)であって、
前記保持要素(1)は、保持リング(2)、及び前記手術顕微鏡(4)の接合部(41)のために前記保持リング(2)内に配置された隙間(3)を有し、
前記保持リング(2)は、前記隙間(3)の境界を定める輪郭(21)を有し、
前記輪郭(21)は、前記輪郭(21)の少なくとも一部に対称でないように形成され、前記保持要素(1)が前記手術顕微鏡(4)に取り付けられた状態では、前記保持リング(2)の前記輪郭(21)に対応する前記手術顕微鏡(4)の前記接合部(41)における前記保持要素(1)の取り付け可能な位置が1つしかなく、その位置で、前記手術顕微鏡(4)に対して位置合わせされた前記保持要素(1)が固定されるように、前記一部は、少なくとも90°の内角(α1)によって境界を定められることを特徴とする、保持要素(1)。
【請求項2】
前記保持リング(2)は、前記保持要素(1)の取付方向(Y)に所定の角度で広げられた構造(22)を有することを特徴とする、請求項1に記載の保持要素(1)。
【請求項3】
前記保持リング(2)の前記輪郭(21)に対応する前記手術顕微鏡(4)の前記接合部(41)において、1つしかない前記保持要素(1)の前記取り付け可能な位置で、静摩擦によって前記保持要素(1)を取り付けることができるように、前記保持リング(2)は、前記手術顕微鏡(4)の前記接合部(41)のために前記隙間(3)の方を向くその内面(22)上にゴムコーティングを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の保持要素(1)。
【請求項4】
前記保持要素(1)は、前記保持要素(1)を前記手術顕微鏡(4)に取り付けるために、磁気材料及び/又は磁化可能な材料(24)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の保持要素(1)。
【請求項5】
前記保持リング(2)はガイド(25)を有し、対物レンズ保護ガラス(5)は当該ガイド(25)に挿入され、その挿入状態が保持されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の保持要素(1)。
【請求項6】
前記保持リング(2)内に前記対物レンズ保護ガラス(5)を挿入した状態では、前記対物レンズ保護ガラス(5)の位置決め可能な位置が1つしかなく、その位置で、前記保持要素(1)に対して位置合わせされた前記対物レンズ保護ガラス(5)が固定されるように、前記ガイド(25)は非対称形を有することを特徴とする、請求項5に記載の保持要素(1)。
【請求項7】
前記保持リング(2)の前記隙間(3)の境界を定める前記非対称輪郭(21)は、少なくとも1つの円形部(26)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の保持要素(1)。
【請求項8】
前記保持リング(2)の前記隙間(3)の境界を定める前記非対称輪郭(21)は、溝(27)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の保持要素(1)。
【請求項9】
可撓部、及び前記可撓部に連結された請求項1~8のいずれか一項に記載の保持要素(1)を備えた、ドレープ。
【請求項10】
ドレープのための保持要素(1)及び手術顕微鏡(4)を含むシステムであって、
前記保持要素(1)は、保持リング(2)、及び前記手術顕微鏡(4)の接合部(41)のために前記保持リング(2)内に配置された隙間(3)を有し、
前記手術顕微鏡(4)は、前記保持要素(1)を前記手術顕微鏡(4)に取り付けるために前記接合部(41)を有し、
前記保持リング(2)は、前記隙間(3)の境界を定める非対称輪郭(21)を有することと、
前記接合部(41)は、前記接合部(41)の外方に境界を定め、前記保持要素(1)が前記手術顕微鏡(4)に取り付けられた状態で、前記保持リング(2)の前記隙間(3)の境界を定める前記非対称輪郭(21)と接触する、非対称輪郭(42)を有することとを特徴とし、
前記隙間(3)の境界を定める前記非対称輪郭(21)は、前記接合部(41)の外方に境界を定める前記非対称輪郭(42)に対応するものであり、前記保持要素(1)が前記手術顕微鏡(4)に取り付けられた状態では、前記接合部(41)における前記保持要素(1)の取り付け可能な位置が1つしかなく、その位置で、前記手術顕微鏡(4)に対して位置合わせされた前記保持要素(1)が固定されることを特徴とする、システム。
【請求項11】
前記システムは、請求項2~8のいずれか一項に記載の前記保持要素(1)を含むことを特徴とし、前記保持要素(1)は任意選択で可撓部に連結される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記手術顕微鏡(4)の前記接合部(41)は、少なくとも2つの光入力及び/又は出力(43)を有することと、
前記手術顕微鏡(4)の前記接合部(41)のために前記保持リング(2)内に配置された前記隙間(3)は、前記保持要素(1)が前記手術顕微鏡(4)に取り付けられた状態で、前記手術顕微鏡(4)の前記少なくとも2つの光入力及び/又は出力(43)が、前記隙間(3)内に配置されるような大きさに形成されることとを特徴とする、請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも2つの光入力及び/又は出力(43)の1つは、前記手術顕微鏡(4)の光学ユニット(44)を意図することと、
前記少なくとも2つの光入力及び/又は出力(43)の2つめは、任意選択で所定の波長で光を放つように構成された照明要素(46)、カメラシステム(45)及び/又は少なくとも1つの情報を手術野に重ねるためのシステムを意図することとを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、任意選択で被覆を備えた、対物レンズ保護ガラス(5)を含むことと、
前記保持リング(2)はガイド(25)を有し、前記対物レンズ保護ガラス(5)は当該ガイド(25)に挿入され、その挿入状態が保持されることと、
前記保持リング(2)内に前記対物レンズ保護ガラス(5)を挿入した状態では、前記対物レンズ保護ガラス(5)の位置決め可能な位置が1つしかなく、その位置で、前記保持要素(1)に対して位置合わせされた前記対物レンズ保護ガラス(5)が固定されるように、前記保持リング(2)の前記ガイド(25)は非対称形を有することとを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記保持リング(2)の前記ガイド(25)及び/又は前記対物レンズ保護ガラス(5)は、前記保持要素(1)内に前記対物レンズ保護ガラス(5)を挿入した状態で、前記対物レンズ保護ガラス(5)が、前記手術顕微鏡(4)の前記接合部(41)に対して平行に又は所定の角度で傾斜するように、形成されることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術顕微鏡用のドレープのための保持要素に関し、並びに保持要素及び手術顕微鏡を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手術顕微鏡は、具体的には手術顕微鏡の汚染及び/又は治療する傷の汚染を回避するために、手術顕微鏡が作動中に覆われることがある、対称の通常円形の(主要)対物レンズを概して有する。
【0003】
覆うために、滅菌保護シュラウド又はいわゆる滅菌ドレープは、ドレープに取り付けられる、具体的には溶接される保持リングを備えた保持要素を用いて、手術顕微鏡の、具体的には対物レンズ上の光入力及び/又は出力に取り付けられ、ドレープは、次いで手術顕微鏡の上に滑らせ又は引き寄せ、手術顕微鏡に例えば接着テープを用いて固定される。ドレープは、概して各外科手術の前に新しいものと交換され、その結果、使い捨て製品である。
【0004】
例えばクランプ留めによって達成することができる対物レンズへの取付は、ドレープを備えた保持リング又はクランプリングが、具体的に外科手術中に落下するのを防ぐために、確実にしなければならない。
【0005】
対物レンズ保護ガラスは、交換可能部品として設計されてもよく、従来保持リング内又は上に嵌合される。対物レンズ保護ガラスは、ガイドを用いて保持リングの中に押し入れられて、そこに保持される。対物レンズ保護ガラスは、対物レンズに平行に位置合わせされ、又は対物レンズに対して斜めに画定されてもよいので、対物レンズ保護ガラスによって生成された反射は、防ぐ又は最小にすることができる。これにより、外科医が基本的に反射なしに見ることが可能になり、その結果、人間工学的に作業することが可能になる。
【0006】
公知のドレープ、及び具体的にはそれらの保持リングの欠点は、装着中に保持リングの適正な又は所定の位置が見つかるまで、保持リングは主要対物レンズ上で自由に回転でき、そうしなければならないことである。
【0007】
その上、主要対物レンズに加えて、更なる光学システムが必要とされることがあり、そのために、従来のドレープの場合に、更なる対物レンズ保護ガラスのために追加の別個の窓又は隙間を提供する必要がある。
【0008】
更に従来の手術顕微鏡の操作者が、手術顕微鏡を使用時に、反射が強過ぎて手術顕微鏡を確実に操作できないとわかった場合、操作者は、従来の保持リングを手動で再位置付けしなければならない。この1つの影響は、ドレープが非滅菌になり、これによりドレープを新しく掛ける、すなわちまだ無菌である更なるドレープで手術顕微鏡を新しく覆う必要があることがある。別の影響は、再位置付けによりドレープが引っ張られることがあり、その結果として損傷することがあることである。これは、外科手術を実施する時に手順に悪影響を及ぼす可能性があり、従って回避されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、先行技術の上記の欠点の少なくとも1つを克服するように設計されたデバイスを提供することである。
【0010】
具体的には、手術顕微鏡上のドレープの保持要素をより容易に、より正確に、及び/又は確実に位置付けることができ、具体的には手術顕微鏡の異なる光学システムが互いに影響を与えることを防ぐ解決策を提供することを意図する。
【0011】
この目的は、独立請求項によるデバイスにより本発明に従って達成され、好都合な構成は、従属請求項に明記されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それに応じて、目的は、手術顕微鏡用のドレープのための保持要素によって達成され、保持要素は、保持リング、及び手術顕微鏡の接合部のために保持リング内に配置された隙間を含む。
【0013】
保持リングは、隙間の境界を定める輪郭を有する。
【0014】
輪郭は、この場合、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、保持リングの輪郭に対応する手術顕微鏡の接合部に保持要素の取り付け可能な位置が1つしか存在しないような方法で形成される。取付位置で、手術顕微鏡に対して位置合わせされた保持要素が固定される。
【0015】
これを達成するために、保持要素は、輪郭の一部が非対称であるように輪郭が形成されるという事実によって区別され、(非対称の)一部は少なくとも90°の内角によって境界を定められる。
【0016】
輪郭は、この場合、合わせて360°の開口角度を有する。つまり、これは隙間を完全に閉囲する包囲輪郭である。内角によって画定され又は境界を定められた輪郭の少なくとも一部では、輪郭は、全体として非対称であるように形成される。換言すると、輪郭は、内角によって境界を定められた全体にわたって非対称であるように形成される。つまりこの部分には、例えば隙間又は溝の形で提供された小さい領域だけに非対称があるのではなく、隙間の外周に沿った一次元の点の集合を記載する輪郭が本来、(それ自体が)非対称である。輪郭は、非対称部で完全に非対称であるように形成されることが想定される。
【0017】
この方法で、保持リングの輪郭に対応する手術顕微鏡の接合部における保持要素の規定の取付位置は、保持要素を装着中に自動的に達することができる。具体的にはこの方法で、使用者は、保持要素を取付位置と位置合わせする必要性を容易に同定することができる。その結果、保持要素は、具体的に時間を節約する手法で装着することができる。
【0018】
内角は、保持要素の取付方向に平行に走る軸に対して垂直に配置される、平面内に形成されてもよい。
【0019】
例えば非対称部は、少なくとも100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°、270°又は360°の内角によって境界を定められてもよい。
【0020】
「非対称」は、この場合、少なくとも90°、任意選択で少なくとも110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°、270°又は360°の内角によって境界を定められた少なくとも一部では、回転対称ではない、具体的には回転の観点から対称ではない、具体的には保持要素の取付方向に平行に走る軸に対して回転の観点から対称ではないように形成される、隙間の境界を定める輪郭を意味すると理解されてもよい。しかしこの部分の輪郭は、鏡面対称として形成されると想定される。しかしこの部分の輪郭は、回転対称でも鏡面対称でもないように形成されるとも想定される。
【0021】
換言すると、隙間の境界を定める輪郭、すなわち保持リングの内部輪郭の非対称性は、保持要素自体が手術顕微鏡の基準軸に対して中心に置かれて、横方向に固定される効果を有する。保持要素は、保持リング上で軸方向接触面によってその軸方向位置に空間的に位置付けられる。その結果、保持要素の位置は、3自由度に画定される。
【0022】
その上、保持リングは、手術顕微鏡上に装着中又は装着後に、もはや自由に回転できない。適正な又は所望の位置は、自動的に獲得される。これにより、例えば手術顕微鏡を使用中に見出されたより強い反射のために、保持要素を再位置付ける必要性を回避することが可能になる。その結果、再位置付けによって生じるドレープの滅菌不良、その結果として、及び/又は再位置付けに起因して、例えばドレープを引っ張ることに起因して起きるドレープへの損傷で、新しくドレープを掛ける必要性を回避することができる。
【0023】
その結果、上記の保持要素は、従来の保持要素の場合に外科手術の手順に悪影響を及ぼす可能性がある混乱を回避する。
【0024】
ドレープは、保護シュラウドと呼ばれることもあり、この場合、滅菌の使い捨てシュラウドであると理解されてもよい。このような使い捨てシュラウドは、滅菌衣類を着用している人が、機器を操作することにより滅菌不良の面と接触することになる危険性がないように、この場合、手術顕微鏡などの滅菌不良の機器を覆うために、例えば手術に使用される。ドレープは、溶接により保持要素に連結されてもよい。
【0025】
保持リング内又は上に、対物レンズ保護ガラスは、交換可能な部品として装着されてもよい。隙間及び対物レンズ保護ガラスを通って、手術顕微鏡の光入力及び/又は出力は、作動帯域の上に方向付けることができる。隙間は、それに応じて、手術顕微鏡の光学ユニットの光軸が通過する光学窓の大きさ又は寸法を修正することができる。隙間は、光学窓と呼ばれることもある。
【0026】
「隙間の境界を定める非対称の輪郭」の特徴は、この場合、断面、すなわち保持要素の取付方向に垂直である平面の断面において、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、保持リングは、手術顕微鏡の接合部と接触する領域に非対称形を有することを意味すると理解されてもよい。
【0027】
用語「リング」又は「保持リング」は、手術顕微鏡の接合部のための貫通孔として形成された隙間を有する、連続して形成された物体又は連続して形成されたデバイスを意味すると理解されてもよい。貫通孔又は隙間の外寸は、上述の輪郭によって境界を定められる。
【0028】
保持リングは、保持要素の取付方向に所定の角度で広げられた、又は広がる構造を有してもよい。この広げられた構造は、円錐又は先細構造と呼ばれることもある。
【0029】
上述のその非対称形で、保持リングは、保持要素が手術顕微鏡上に位置付けられるべき方向の観点から、使用者に明確な情報を含有する。更に取付方向又は装着方向に傾斜して広げられた構造は、使用者が保持要素をより容易に位置付ける助けとなる。
【0030】
保持リングは、手術顕微鏡の接合部のために隙間の方を向くその内面上にゴム被覆を有してもよい。結果として、保持要素は、1つしかない保持要素の取り付け可能な位置で、保持リングの輪郭に対応する手術顕微鏡の接合部における静摩擦によって取り付けることができる。
【0031】
換言すると、保持リングは、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、手術顕微鏡の接合部と接触する領域に、保持要素を静摩擦によって手術顕微鏡の接合部で取り付けることができる材料を有してもよい。
【0032】
追加として又は別法として、保持要素は、保持要素を手術顕微鏡に取り付けるための磁気材料及び/又は磁化可能な材料を有してもよい。材料は、例えば鉄又は鉄含有合金であってもよい。
【0033】
換言すると、保持リングは、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、手術顕微鏡、具体的にはその接合部と保持要素との間に作用する磁力によって、手術顕微鏡の接合部で固定され又は取り付けられてもよい。
【0034】
つまり、取り付けは、接着を使用したゴム被覆を用いて、及び/又は磁石を用いて行ってもよい。磁石を用いた取り付けは、追加の構成要素を使用することなく、片手で手術顕微鏡の接合部に保持リング若しくはアダプタリングを位置付けることを可能にする、又はより容易にする利点を有する。
【0035】
保持リングは、その中に対物レンズ保護ガラスを挿入して、挿入した状態を保持することができるガイドを有してもよい。
【0036】
ガイドは、対物レンズ保護ガラスが、保持要素の取付方向に保持要素上に固定又は取り付けられるような方法で配置されて構成される多くの保持要素、具体的には4つを有してもよい。その上、ガイドは、対物レンズ保護ガラスの挿入方向に対物レンズ保護ガラスを固定する要素を有してもよい。要素はラッチ要素として設計されてもよい。具体的には、対物レンズ保護ガラス上のラッチ要素が、対物レンズ保護ガラスを挿入した状態で係合できる隙間が提供されてもよい。手術顕微鏡が作動中に対物レンズ保護ガラスが落下することは、この方法で回避することができる。
【0037】
ガイドは、対物レンズ保護ガラスが、取付方向に垂直に配置された方向から保持リングの中に押し入れることができるような方法で配置されて構成されることが予想される。換言すると、ガイドは、使用者が対物レンズ保護ガラスを保持リングの中に横方向に押し入れることを可能にすることができる。ガイドは、挿入中に、対物レンズ保護ガラスを押すことができるのは、せいぜい既定の端点までであるように、停止部を有することも想定される。これにより、対物レンズ保護ガラスを挿入して位置付けることがより容易になる。
【0038】
保持リング内に対物レンズ保護ガラスを挿入した状態で、対物レンズ保護ガラスの位置決め可能な位置が1つしか存在せず、その位置で、保持要素に対して位置合わせされた対物レンズ保護ガラスが固定されるように、ガイドは非対称形を有してもよい。これにより、対物レンズ保護ガラスを挿入することが更に容易になる。
【0039】
「非対称」は、この場合、ガイドが回転対称ではないように形成されることを意味する。しかしこれは、鏡面対称として形成されることが想定される。しかし、ガイドは回転対称でも鏡面対称でもないように形成されることも想定される。
【0040】
つまり保持リングは、その中に対物レンズ保護ガラス又は保護板が押し入れられて固定されることが可能な挿入部を有してもよい。対物レンズ保護ガラス及びその位置、具体的にはその傾いた位置又は傾斜は、手術顕微鏡及び/若しくは任意選択の観察光学ユニット、具体的には追跡カメラのビーム経路を妨げること又は所定の反射を回避できるような方法で、手術顕微鏡並びに具体的にその照明及び/又は観察光学ユニットに適合することができる。保護板が適正に位置付けられて回転できないことは、非対称の保持リングの内部輪郭によって確保することができる。
【0041】
ガイドの「非対称形」の特徴は、この場合、断面、すなわち保持要素の取付方向に垂直である板の断面において、ガイドは、対物レンズ保護ガラスを挿入した状態で、対物レンズ保護ガラスと接触する領域内に非対称形又は輪郭を有することを意味すると理解されてもよい。
【0042】
保持リングの隙間の境界を定める非対称な輪郭は、円形部を有することがある。
【0043】
この方法で、具体的には上述の磁石の使用と共に、保持リングは、非対称形を持たない、又は上昇部として形成された接合部を持たない接合部において、手術顕微鏡にも取り付けられてもよい。
【0044】
保持リングは、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、手術顕微鏡の接合部の面と接触する面上に、手術顕微鏡の接合部の面上の対応する隙間に固定して係合するための隆起部又はピンを有することが想定される。2つの面は、それぞれの場合に接触面と呼ばれることもあり、接触面は、取付方向をそれぞれの接触面に垂直にすることができる。
【0045】
保持リングの隙間の境界を定める非対称な輪郭は、溝を有することがある。溝は、細長い窪みと呼ばれることもあり、細長い窪みは、保持要素の取付方向に沿って延在する。手術顕微鏡の接合部は、溝に対応し、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で溝内に係合する突出部を有してもよい。結果として、手術顕微鏡の接合部に保持要素を固定するために、形状に合わせた嵌合による連結がさらに可能となる。
【0046】
可撓部及び可撓部に連結された上記の保持要素を備えたドレープも提供される。可撓部はシート、具体的には滅菌シートであってもよい。シートは、保護シュラウドと呼ばれることもある。可撓部は、保持要素の保持リングを用いて、手術顕微鏡の光入力及び/又は出力に取り付けることができるような方法で構成されてもよい。可撓部は、取付後に手術顕微鏡の上を滑らせ又は引き寄せ、恐らくその結果、手術顕微鏡上に固定することができるような方法で構成されることが想定される。
【0047】
保持要素及び手術顕微鏡に対する上述は、ドレープにも同様に適用し、逆も同様である。
【0048】
ドレープのための保持要素及び手術顕微鏡を含むシステムも提供される。
【0049】
保持要素は、保持リング、及び手術顕微鏡の接合部のために保持リング内に配置された隙間を有する。
【0050】
手術顕微鏡は、保持要素を手術顕微鏡に取り付けるための接合部を有する。
【0051】
保持リングは、隙間の境界を定める非対称な輪郭を有する。
【0052】
接合部は、接合部の外方に境界を定め、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、保持リングの隙間の境界を定める非対称な輪郭と接触する、非対称な輪郭を有する。
【0053】
保持リングの隙間の境界を定める非対称な輪郭は、手術顕微鏡の接合部の外方に境界を定める、接合部の非対称な輪郭に対応するものであり、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、手術顕微鏡の接合部の外方に境界を定める、接合部の非対称な輪郭の上に、保持要素の取り付け可能な位置が1つしか存在しないような態様である。取付位置で、手術顕微鏡に対する位置合わせされた保持要素が固定される。
【0054】
システムは、上記の保持要素を含んでもよく、保持要素は、ドレープに連結することが可能である。保持要素、ドレープ及び手術顕微鏡に対する上述は、保持要素及び手術顕微鏡を含むシステムにも同様に適用する。具体的には、保持要素は、手術顕微鏡の接合部で取り付けられてもよい。
【0055】
手術顕微鏡の接合部は、少なくとも2つの光入力及び/又は出力を有してもよい。手術顕微鏡の接合部のために保持リング内に配置された隙間は、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、手術顕微鏡の少なくとも2つの光入力及び/又は出力が隙間内に配置されるような大きさに形成されてもよい。
【0056】
換言すると、具体的には手術顕微鏡の主要光学ユニットのための光入力及び/又は出力に加えて、手術顕微鏡は、更なる又は追加の光入力及び/又は出力を有することが必要であることがある。個々の光入力及び/若しくは出力の相互作用又は相互影響を回避するために、光入力及び/若しくは出力を互いから離すが、主要光学ユニットの光軸にできるだけ近づけて置く必要があることもある。
【0057】
主要光学ユニットは、固定又は可変焦点距離を持つ対物レンズであってもよい。具体的には、可動の置換可能な光学ユニットが想定される。
【0058】
保持リング内に配置された手術顕微鏡の接合部のための隙間は、保持要素が手術顕微鏡に取り付けられた状態で、手術顕微鏡の少なくとも2つの光入力及び/又は出力が、隙間内に配置されるような大きさで形成することができるという事実は、手術顕微鏡上に単一又は複数の光入力及び/若しくは出力のために、共通の光学窓を形成することができることを意味する。複数又は全ての光入力及び/若しくは出力の光軸は、その結果、隙間によって画定された光学窓を通過することができる。
【0059】
つまりこの場合、単一の対物レンズ保護ガラスが、少なくとも2つの光入力及び/又は出力を備える場合に十分であり得る。この方法で、光入力及び/又は出力は、従来のシステムの場合にあり得るように、対物レンズ保護ガラスの角度又は位置付けが異なることに起因して、反射によって互いに影響を与えることを防ぐことができる。更に複数の個々の窓を含む、従来のシステムで起きることがある不正確な位置付けは、回避することができる。
【0060】
少なくとも2つの光入力及び/又は出力の1つは、手術顕微鏡の(主要)光学ユニットを意図し、第2の少なくとも2つの光入力及び/又は出力は、具体的に所定の波長で光を放つように構成された照明要素、カメラシステム及び/又は少なくとも1つの情報を手術野に重ねるためのシステムを意図することが想定される。
【0061】
換言すると、追加の1つ若しくは複数の光入力及び/又は1つ若しくは複数の出力により、例えば可視化のためにフィルタと併せる必要があることがある特定の波長の照明、カメラシステムの提供、並びに/又は手術野若しくは手術領域に重ねる構造などの主要光学ユニットに加えて、手術顕微鏡上に更なる応用を可能にすることがある。
【0062】
システムは、具体的には被覆を備えた、対物レンズ保護ガラスを有してもよい。被覆は、反射防止被覆であってもよく、反射防止被覆は、対物レンズ保護ガラスで反射を抑え、任意選択でその伝送を増加させるように構成されてもよい。
【0063】
保持リングは、上記のように、その中に対物レンズ保護ガラスを挿入して、挿入した状態を保持できるガイドを有してもよい。
【0064】
保持リング内に対物レンズ保護ガラスを挿入した状態で、対物レンズ保護ガラスの位置決め可能な位置が1つしか存在せず、その位置で、保持要素に対して位置合わせされた対物レンズ保護ガラスが固定されるように、保持リングのこのガイドは非対称形を有してもよい。
【0065】
保持リングのガイド及び/又は対物レンズ保護ガラスは、保持要素内に対物レンズ保護ガラスを挿入した状態で、対物レンズ保護ガラスが、手術顕微鏡の接合部に対して平行に配置され、又は所定の角度で傾斜したような方法で形成されることがある。
【0066】
結果として、対物レンズ保護ガラスの位置合わせは、手術顕微鏡の使用者を妨害するあらゆる反射の発生を最小にすることができるような方法で、手術顕微鏡に適合することができる。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】手術顕微鏡に背を向ける実施形態による、保持要素の片側の斜視図を示す。
【
図2】手術顕微鏡の方を向く
図1に由来する、保持要素の片側の斜視図を示す。
【
図3】
図1及び2に由来する保持要素を意図する実施形態による、手術顕微鏡の接合部の斜視図を示す。
【
図4】
図3に示された接合部に装着された、
図1及び2に示された保持要素の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
手術顕微鏡4(
図3及び4参照)用のドレープ(図示せず)のための保持要素1が
図1に示されている。
【0070】
図1に示された保持要素1の側面は、手術顕微鏡4に背を向け、保持要素1が手術顕微鏡4に取り付けられた状態で、手術野の方を向く側面である。保持要素1のこの側面は、以下で表側と呼ばれる。
【0071】
図2では、保持要素1が同様に示されている。
図2に示された保持要素1の側面は、手術顕微鏡4の方を向き、保持要素1が手術顕微鏡4(
図3及び4も参照)に取り付けられた状態で、手術顕微鏡4の接合部41と接触する側面である。
【0072】
保持要素1のこの側面は、その結果、手術顕微鏡4の接合部41上に接触面を形成し、以下で裏側と呼ばれる。
【0073】
直交座標系も
図1及び2に示されており、座標系のy軸は、手術顕微鏡4の接合部41における保持要素1の装着又は取付方向に対応する。裏側は、保持要素1の取付方向Yに表側の反対側である。
【0074】
保持要素1は、保持リング2、及び手術顕微鏡4(
図3も参照)の接合部41のために保持リング2内に配置された隙間3を有する。隙間3は、貫通孔として設計され、保持要素1の表側から裏側に延在する。
【0075】
図3には、手術顕微鏡4の接合部41が示されている。
図1及び2のように、
図3にも直交座標系が示されており、ここでも座標系のy軸は、手術顕微鏡4の接合部41において保持要素1の装着又は取付方向に対応する。
【0076】
保持要素1を装着又は取り付けるために、接合部41の外方に境界をX方向及びZ方向に定め、非対称な輪郭42を有する面421が、保持要素1の隙間3の外方に境界をX方向及びZ方向に定め、同様に非対称な輪郭21を有する、保持リング2の面22と接触するように、保持要素1は、接合部41上の取付方向Yに沿って押される。これらの2つの面22、421は、装着後にそれぞれの形状に合わせて嵌合される。
【0077】
輪郭21は、保持リング2内に形成された隙間3を完全に閉囲し、従って
図1では360°の開口角度βを有し、開口角度βはこの場合に、X方向又はX軸及びZ方向又はZ軸によって画定され、取付方向Yに垂直な平面に配置される。
【0078】
輪郭21は、合計が360°の開口角度βに対応する、実質的に140°の内角α1及び実質的に220°の内角α2の2つの部分に実質的に再分割することができ、内角α1、α2は、それぞれがX軸及びZ軸によって画定された平面に形成される。
【0079】
内角α1によって画定され又は境界を定められ、その結果、合わせて実質的に140°の連続部を形成する部分では、輪郭21は、全体として非対称であるように形成される。つまり輪郭21は、内角α1によって画定された領域内に、鏡面対称及び/又は回転対称である(例えば
図1の右に配置された輪郭21の真っ直ぐに走る部分211は、Z軸に対して少なくとも一部が軸対称である)個々の小部分を有するが、輪郭21は、全体として内角α1によって画定された領域内で対称ではない。その結果、全体としての非対称は、この場合、内角α1によって画定された領域内の輪郭21の進展全体に関連し、この進展全体は、取付方向Yに平行に走る各軸に対する回転対称がなく、ここではX軸及びY軸によって画定された平面に完全に配置された各軸に対する軸対称もない。
【0080】
内角α2によって画定された輪郭21の更なる部分では、輪郭21は、実質的に円形であり、その結果、円形部26(
図1に破線で示された円)により、Y軸に対して実質的に回転対称であるように形成される。内角α2によって画定された輪郭21の更なる部分は、その結果、全体として実質的に(回転)対称である。この場合に輪郭21は、小さい領域内に溝27の形の非対称性又は非対称場所を有するという事実により、これを損なうことはない。非対称場所、ここでは溝27は、多くとも30°、好ましくは20°~30°、より好ましくは26°の角度範囲に形成されることが想定される。上記のようにそれぞれの場合に、具体的には部分α1において、装着後にそれぞれの他の構成要素と接触した領域において非対称である輪郭21、42を有する、接合部41の外面421及び保持リング2の内面22の両方の非対称構成は、保持要素1の手術顕微鏡4への所定の取付位置が、保持要素1の装着中に自動的に達成されることを意味する。具体的には、少なくとも90°、この場合は実質的に140°の領域で、輪郭21は、全体として非対称であるように形成されるという事実は、保持要素1の手術顕微鏡4への所定の取付位置が、溝27などの非対称場所の形成のみによって達成できない、人間工学的に容易な方法で装着中に確保されることを意味する。
【0081】
つまり保持要素1が手術顕微鏡4に取り付けられた状態で、保持リング2の輪郭21に対応する手術顕微鏡4の接合部41において、保持要素1の取り付け可能な位置は1つしか存在しない。この取付位置で、手術顕微鏡4に対して位置合わせされた保持要素1は、空間的に固定される。
【0082】
これにより、手術顕微鏡4の操作者は、比較的短時間で正確に保持要素1を装着することが容易になる。
【0083】
より容易な効果、従って保持要素1及び手術顕微鏡4の接合部41の構成によって達成された保持要素1のより人間工学的装着を更に高めるために、保持リング2は、保持要素1の取付方向Yに所定の角度で広げられる、又は円錐である構造22を有する。
図3に示された手術顕微鏡4の接合部41は、これに対して同様に所定の角度で広げられた構造421を有する。接合部41に形成されたこの構造421は、挿入斜面と呼ばれることもあり、保持リング2の所定の角度で広げられた構造22に対応する。
【0084】
保持要素1を手術顕微鏡4の接合部41に装着又は取り付けるために、保持要素1は、接合部41上に置かれて、取付方向Yに沿って接合部41の上に押し付けられるので、それぞれの広げられた構造22、421は互いと接触する。これにより、具体的に保持要素1の取付位置に到着するまで、手術顕微鏡4上に保持要素1を案内して装着することを実現することができる。
【0085】
実質的に円形輪郭を持ち、非対称な輪郭を持たない接合部(図示せず)においても、保持要素1の装着中に可能な保持要素1の位置付けをより容易にさせるために、保持リング2の隙間3の境界を定める非対称な輪郭21は、保持要素1を中心に置くために円形部26を有する。その上、隆起部29が保持リング2の接触面又は裏側上に形成され、隆起部29は、保持要素1が接合部41(具体的には、
図2及び3参照)に対して回転することを確保するために、保持要素1が接合部41上に装着された状態で、接合部41において対応する窪み49に係合する。
【0086】
上記のように、保持リング2は、円形部26に溝27を有する。接合部41の突起部48は、この溝27に係合してもよい。
【0087】
保持要素1が接合部41上に取り付けられ又は装着された端位置又は取付位置は、
図4に示されている。この位置では、接合部41及び保持リング2は、それぞれの形状に合わせた嵌合により互いに連結される。
【0088】
より正確には、
図4では、手術顕微鏡4の接合部41は、保持要素1が手術顕微鏡4の接合部41上に装着又は取り付けられて示されている。
図1、2及び3のように、
図4にも直交座標系が示されており、ここでも座標系のy軸は、手術顕微鏡4の接合部41において保持要素1の装着又は取付方向に対応する。
【0089】
保持要素1が手術顕微鏡4の接合部41に保持されることが可能であるために、保持要素1及び接合部41の2つの想定される構成があり、これは別法として又は組み合わせて提供されてもよい。
【0090】
それに応じて、保持リング2は、手術顕微鏡4の接合部41のための隙間3に面する、その内面22上にゴム被覆を有してもよい。
【0091】
このゴムコーティングは、取付位置で接合部41と接触する少なくとも保持リング2の領域、すなわち具体的には、広げられた構造22が保持リング2上に形成された領域に提供される。この場合に、この領域は保持要素1の裏側に隣接する。
【0092】
ゴムコーティングは、保持リング2の輪郭21に対応する手術顕微鏡4の接合部41において、1つしかない保持要素1の取り付け可能な位置において、保持リング2と接合部41との間のクランプ力によって生成された静摩擦によって、保持要素1を取り付けて保持することができる。
【0093】
この構成は、反対に、すなわち追加として又は別法として、接合部41も、保持リング2の取付位置で保持リング2と接触する領域421にゴム被覆を有してもよいことも想定される。
【0094】
ゴム被覆に加えて又は別法として、保持要素1は、手術顕微鏡4の接合部41において保持要素1を取り付けるために磁気材料24を有してもよい。
【0095】
この場合、磁気材料24は保持リング2上の多くの場所、この場合は2つの場所(
図1参照)に配置されることが想定される。磁気材料24が保持リング2上に配置された1つ又は複数の場所に対応する接合部41上の場所に、磁気材料47が同様に配置されてもよい。保持要素1は、手術顕微鏡4の接合部41に取り付けられ、磁気材料24と47との間に作用する磁力によりそこに保持されてもよい。
【0096】
保持要素1の保持リング2に取り付けられたガイド25の中に押し入れられた対物レンズ保護ガラス5は、
図4にも示されている。このガラスは、ガイド25により取付方向Yに保持されるので、手術野の方向に対物レンズ保護ガラス5が落下するのを回避される。この目的で、ガイド25は、対物レンズ保護ガラス5のために、少なくとも1つの保持要素、この場合は、ガイド25上に配置された4つの保持要素28を有し(具体的には
図1参照)、これらは、対物レンズ保護ガラス5を挿入された状態で保持する。
【0097】
対物レンズ保護ガラス5を挿入するために、対物レンズ保護ガラス5は、横方向に、ここではZ方向に沿ってガイド25の中に、具体的には接合部41に保持要素1を装着後に、押し入れられる。ガイド25は、対物レンズ保護ガラス5の挿入方向Zに(端部)停止部を有するので、挿入方向Zにおける対物レンズ保護ガラス5の端位置が固定される。
【0098】
更に保持又はガイド要素28は、それぞれの場合に対物レンズ保護ガラス5に対して一体化したラッチ要素を有するので(具体的には
図2参照)、対物レンズ保護ガラス5は、手術顕微鏡4が作動している間に、挿入方向Zに落下し又は摺動するのを防止される。ラッチが一体化したガイド要素28は、対物レンズ保護ガラス5をその端位置に固定することに加えて、対物レンズ保護ガラス5を遊びのない手法で案内することを可能にする。
【0099】
4つの保持要素28は、2つずつで、取付方向Yに垂直なガイド25及び保持リング2上の軸受面の左右(すなわちx軸上で互いの反対側)の側面と一緒に、対物レンズ保護ガラス5を案内するために長手方向溝を形成する。
【0100】
接合部41及び保持リング2と同じ方法で、ガイド25及び対物レンズ保護ガラス5も、非対称形を有するので、保持リング2内に対物レンズ保護ガラス5を挿入した状態で、対物レンズ保護ガラス5の位置決め可能な位置が1つしか存在しない。対物レンズ保護ガラス5を挿入した状態で、保持リング2に対して位置合わせされた対物レンズ保護ガラス5は固定される。この方法で、手術顕微鏡4に対して位置合わせされた対物レンズ保護ガラス5も固定される。
【0101】
この場合に、手術顕微鏡4の接合部41は、3つの光入力及び/又は出力43を有する。3つの光入力及び/又は出力43の内の1つは、手術顕微鏡4の(主要)光学ユニットのための構成である。3つの内のその他の2つの入力及び/又は出力43は、具体的には所定の波長で光を放つように構成された照明要素46、並びにカメラシステム45のための構成である。第4の光入力及び/又は出力43は、少なくとも1つの情報を手術野に重ねるためのシステムのための構成であると想定されるはずである。
【0102】
手術顕微鏡4の接合部41のために保持リング2内に配置された隙間3は、保持要素1が手術顕微鏡4に取り付けられた状態で、手術顕微鏡4の3つの光入力及び/又は出力43が、隙間3内に配置されるような大きさで形成される。
【0103】
従って単一の対物レンズ保護ガラス5に3つの光入力及び/又は出力43を提供することは十分である。
【0104】
とりわけこのようにして、対物レンズ保護ガラスの異なる角度又は位置付けに起因した反射により、光入力及び/又は出力43が、互いに影響を与えることを防ぐことができる。更に、複数の個々の窓を含む従来のシステムで起きることがある、不正確な位置付けを回避することができる。
【0105】
図4からわかるように、対物レンズ保護ガラス5は、この場合、保持要素1内に対物レンズ保護ガラス5を挿入した状態で、手術野の方を向く対物レンズ保護ガラス5の面51が、手術顕微鏡4の接合部41に対して所定の角度で傾斜して配置されるような方法で形成される。
【0106】
対物レンズ保護ガラス5の傾斜は、ガイド25の対応する構造的構成によって生成されることも想定されるはずである。
【0107】
傾斜を提供することにより、反射を回避する上述の利点は、更に向上させることができる。対物レンズ保護ガラス5、及び具体的には手術野の方を向くその面51は、この目的で反射防止被覆を有することも想定される。
【符号の説明】
【0108】
1 ドレープのための保持要素
2 保持リング
21 隙間の境界を定める非対称な輪郭
211 軸対称部
22 ゴム被覆を備えた、取付方向に広げられた構造を有する保持リング上の面
24 磁気材料
25 挿入方向に端停止部を備えた対物レンズ保護ガラスのためのガイド
26 輪郭の円形部
27 隙間の境界を定める輪郭内の溝
28 対物レンズ保護ガラスのための保持要素
29 保持リング上の隆起又は突起部
3 手術顕微鏡の接合部のための隙間
4 手術顕微鏡
41 保持要素のための接合部
42 接合部の外方に境界を定める非対称な輪郭
421 取付方向に広げられた構造を備えた接合部における面
43 手術顕微鏡の光入力及び/又は出力
44 手術顕微鏡の(主要)光学ユニット
45 カメラシステム
46 照明要素
47 磁気材料
48 保持リング上の溝のための接合部における突起部
49 保持リングにおける隆起に対応する接合部における窪み
5 (交換可能な)対物レンズ保護ガラス
51 手術野の方を向く対物レンズ保護ガラスの面
α1、α2 隙間の境界を定める輪郭の内角
β 隙間の境界を定める輪郭の開口角度
【外国語明細書】