(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160280
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】不均一触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/52 20060101AFI20241106BHJP
B01J 35/40 20240101ALI20241106BHJP
C07C 69/54 20060101ALI20241106BHJP
C07C 67/39 20060101ALI20241106BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241106BHJP
【FI】
B01J23/52 Z
B01J35/40
C07C69/54 Z
C07C67/39
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125909
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2020567563の分割
【原出願日】2019-06-20
(31)【優先権主張番号】62/691,127
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンバッハ、カーク ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】フリック、クリストファー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クラプチェトブ、ドミトリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】サスマン、ヴィクター ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘロン、ジェフェリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製するための改善された触媒、それを用いた触媒床、ならびにメタクリル酸メチル調製方法を提供する。
【解決手段】担体および金を含む不均一触媒であって、(i)該担体がアルミナを含み、(ii)該触媒が0.1~5重量%の金を含み、(iii)金の少なくとも90重量%が触媒体積の外側60%にあり、(iv)触媒の粒子が200ミクロン~30mmの平均直径を有し、重量パーセントが触媒の重量に基づく、不均一触媒。本発明の触媒は、酸化エステル化反応器内でメタクロレインをメタノールで処理することを含む、メタクリル酸メチル(MMA)を生成するためのプロセスに使用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体および金を含む不均一触媒であって、(i)前記担体がアルミナを含み、(ii)前記触媒が0.1~5重量%の金を含み、(iii)前記金の少なくとも90重量%が触媒体積の外側60%にあり、(iv)前記触媒の粒子が200ミクロン~30mmの平均直径を有し、重量パーセントが前記触媒の重量に基づき、前記不均一触媒が、メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製するために用いられ、前記不均一触媒がニッケルを含まない、不均一触媒。
【請求項2】
前記触媒の粒子が、300ミクロン~20mmの平均直径を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記金の少なくとも95重量%が、触媒体積の外側50%にある、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒が、0.2~3重量%の金、60~95重量%のシリカ、および0.1~15重量%のアルミナを含む、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
(a)担体および金を含む不均一触媒であって、(i)前記担体がアルミナを含み、(ii)前記触媒が0.1~5重量%の金を含み、(iii)前記金の少なくとも90重量%が触媒体積の外側60%にあり、(iv)前記触媒の粒子が200ミクロン~30mmの平均直径を有し、重量パーセントが前記触媒の重量に基づく、不均一触媒と、(b)メタクロレイン、メタノール、およびメタクリル酸メチルを含む液相と、を含み、前記不均一触媒がニッケルを含まない、触媒床。
【請求項6】
前記触媒が、500ミクロン~10mmの平均直径を有し、前記触媒床が、酸素を含む気相をさらに含む、請求項5に記載の触媒床。
【請求項7】
前記触媒が、0.2~3重量%の金、60~95重量%のシリカ、および0.1~15重量%のアルミナを含む、請求項6に記載の触媒床。
【請求項8】
メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製する方法であって、前記方法が、メタクロレイン、メタノール、および酸素を含む混合物を、担体および金を含む不均一触媒を含む触媒床と接触させることを含み、(i)前記担体がアルミナを含み、(ii)前記触媒が0.1~5重量%の金を含み、(iii)前記金の少なくとも90重量%が前記触媒体積の外側60%にあり、(iv)前記触媒の粒子が200ミクロン~30mmの平均直径を有し、重量パーセントが前記触媒の重量に基づき、前記不均一触媒がニッケルを含まない、方法。
【請求項9】
前記触媒が、500ミクロン~10mmの平均直径を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒が、0.2~3重量%の金、60~95重量%のシリカ、および0.1~15重量%のアルミナを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不均一触媒に関する。触媒は、メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製するためのプロセスで特に有用である。
【背景技術】
【0002】
貴金属をアルミナおよび他の要素と組み合わせてシリカ上に担持させた不均一触媒は既知であり、例えば、米国特許第US7326806(B2)号を参照されたい。しかしながら、改善された特性を有する追加の触媒粒子が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、担体および金を含む不均一触媒であって、(i)該担体がアルミナを含み、(ii)該触媒が0.1~5重量%の金を含み、(iii)金の少なくとも90重量%が触媒体積の外側60%にあり、(iv)触媒の粒子が200ミクロン~30mmの平均直径を有し、重量パーセントが触媒の重量に基づく、不均一触媒を対象とする。
【0004】
本発明はさらに、この不均一触媒の粒子を含む触媒床を対象とする。
【0005】
本発明はさらに、メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製する方法を対象とし、該方法は、メタクロレイン、メタノール、および酸素を含む混合物を、不均一触媒の粒子を含む触媒床と接触させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
別途記載のない限り、すべての組成比率は重量パーセント(重量%)であり、すべての温度は℃である。「金属」とは、水素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛、およびビスマスを除く、周期表の1~12族の元素である。「触媒中心」は、触媒粒子の重心、つまり、すべての座標方向のすべての点の平均位置である。直径は、触媒の中心を通過する任意の直線寸法であり、平均直径は、すべての可能な直径の算術平均である。アスペクト比は、最長の直径と最短の直径との比率である。
【0007】
好ましくは、担体は、10m2/g超、好ましくは30m2/g超、好ましくは50m2/g超、好ましくは100m2/g超、好ましくは120m2/g超の表面積を有する。金をほとんどまたはまったく含まない触媒の部分において、担体は、50m2/g未満、好ましくは20m2/g未満の表面積を有し得る。好ましくは、触媒粒子は、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%、好ましくは95重量%以下、好ましくは90重量%以下、好ましくは80重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは60重量%以下、好ましくは50重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは30重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは5重量%以下のアルミナを含む。好ましくは、触媒粒子は、前述の量のアルミナを含むシリカ粒子である。好ましくは、触媒粒子はアルミナ粒子である。
【0008】
好ましくは、触媒粒子のアスペクト比は、10:1以下、好ましくは5:1以下、好ましくは3:1以下、好ましくは2:1以下、好ましくは1.5:1以下、好ましくは1.1:1以下である。粒子の好ましい形状としては、球、円柱、直方体、輪、多葉形状(例えば、クローバー断面)、複数の穴および「ワゴンホイール」を有する形状、好ましくは球が挙げられる。不規則な形状も使用され得る。
【0009】
好ましくは、金の少なくとも90重量%は、触媒体積(すなわち、平均触媒粒子の体積)の外側60%、好ましくは外側50%、好ましくは外側40%、好ましくは外側30%、好ましくは外側25%にある。好ましくは、任意の粒子形状の外部体積は、外部表面に垂直な線に沿って測定された、その内部表面からその外部表面(粒子の表面)まで一定の距離を有する体積に対して計算される。例えば、球形粒子の場合、体積の外側x%は球形シェルであり、その外部表面は粒子の表面であり、その体積は球全体の体積のx%である。好ましくは、金の少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも99重量%は、触媒の外部体積にある。好ましくは、金の少なくとも90重量%(好ましくは少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、好ましくは少なくとも99重量%)は、触媒直径の15%以下の、好ましくは13%以下の、好ましくは10%以下の、好ましくは8%以下である、表面からの距離内にある。表面からの距離は、表面に垂直な線に沿って測定される。
【0010】
好ましくは、触媒粒子の平均直径は、少なくとも300ミクロン、好ましくは少なくとも400ミクロン、好ましくは少なくとも500ミクロン、好ましくは少なくとも600ミクロン、好ましくは少なくとも700ミクロン、好ましくは少なくとも800ミクロン、好ましくは20mm以下、好ましくは10mm以下、好ましくは5mm以下である。担体の平均直径および最終触媒粒子の平均直径は、著しくは異ならない。
【0011】
好ましくは、触媒(金および担体)の百分率としての金の量は、0.2~5重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも0.7重量%、好ましくは少なくとも0.9重量%、好ましくは4重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下である。
【0012】
好ましくは、担体は、シリカ粒子上にアルミニウム塩を沈殿させることによって生成される。好ましくは、得られた材料は、次いで、焼成、還元、または当業者に既知の他の処理によって処理されて、金属塩は金属または金属酸化物に分解される。好ましくは、金は、担体の存在下で金属塩の水溶液から沈殿する。好ましくは、溶液は、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸などの酸を含有する。好ましくは、溶液は、硫黄含有酸、例えば、チオマル酸、好ましくは、カルボン酸、例えば、クエン酸またはシュウ酸も含有する。好ましくは、硫黄含有酸は、1~10重量%(好ましくは3~8%)の濃度で存在する。好ましくは、カルボン酸は、0.1~25重量%(好ましくは0.5~15重量%)の量で存在する。好ましくは、硫黄対酸の重量比は、0.1:1~5:1、好ましくは0.2:1~3:1である。好ましくは、金前駆体を添加する前に、好ましくは、バルク担体中の100ppm未満、好ましくは50ppm未満のレベルまで塩化物含有量を除去するために、担体を水酸化アンモニウムで洗浄する。好ましくは、アルミニウムは、担体の存在下で金属塩の水溶液から沈殿する。好ましいアルミニウム塩には、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、および酸化アルミニウムが含まれ、好ましくは、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、または塩化アルミニウムである。好ましい金塩には、テトラクロロ金酸、金チオ硫酸ナトリウム、金チオリンゴ酸ナトリウム、および水酸化金が含まれる。好ましい一実施形態では、担体は、アルミニウム前駆体塩の水溶液を、細孔に溶液を充填するようにシリカ粒子に添加し、次いで水を乾燥により除去する、インシピエントウェットネス法(incipient wetness technique)によって生成される。好ましくは、得られた材料は、次いで、焼成、還元、または当業者に既知の他の処理によって処理されて、金属塩は金属または金属酸化物に分解される。好ましくは、金は、インシピエントウェットネス、その後の乾燥、および好ましくは焼成によって、アルミナまたはアルミナ修飾シリカ担体に添加される。
【0013】
焼成は、好ましくは250℃~600℃、好ましくは少なくとも300℃、好ましくは550℃以下の温度で行われる。好ましくは、温度は、段階的または連続的な様式で、最終的な焼成温度まで上昇する。
【0014】
別の好ましい実施形態では、触媒は、アルミナを含む多孔質シリカを、好適な金前駆体塩を含有する水溶液中に浸漬し、次いで、その塩を、溶液のpHを調整することによって、無機酸化物の表面と相互作用させる、析出沈殿によって生成される。次いで、得られた処理済み固体を(例えば、濾過によって)回収し、次いで、焼成、還元、または当業者に既知の他の処理によって完成触媒に変換して、金塩は金属または金属酸化物に分解される。
【0015】
本発明の触媒は、触媒床を含有する酸化エステル化反応器(OER)内でメタクロレインをメタノールで処理することを含む、メタクリル酸メチル(MMA)を生成するためのプロセスに有用である。触媒床は、触媒粒子を含み、OER内に位置し、流体の流れが触媒床を通過し得る。触媒床内の触媒粒子は、典型的には、固体壁およびスクリーンによって適所に保持される。いくつかの構成では、スクリーンは、触媒床の両端にあり、固体壁は、側面(複数可)にあるが、いくつかの構成では、触媒床は、完全にスクリーンで囲まれ得る。触媒床の好ましい形状は、円柱、直方体、および円柱シェル、好ましくは円柱を含む。OERは、メタクロレイン、メタノール、およびMMAを含む液相と、酸素を含む気相と、をさらに含む。液相は、副生成物、例えば、メタクロレインジメチルアセタール(MDA)およびイソ酪酸メチル(MIB)をさらに含み得る。好ましくは、液相は、40~120℃、好ましくは少なくとも50℃、好ましくは少なくとも60℃、好ましくは110℃以下、好ましくは100℃以下の温度である。好ましくは、触媒床は、0~2000psig(101.3~13890.8kPa)、好ましくは2000kPa以下、好ましくは1500kPa以下の圧力である。好ましくは、触媒床のpHは、4~10、好ましくは少なくとも4.5、好ましくは少なくとも5、好ましくは9以下、好ましくは8以下、好ましくは7.5以下、好ましくは7以下、好ましくは6.5以下である。好ましくは、触媒床は、管状連続反応器内にある。
【0016】
OERは、典型的には、メタクリル酸および未反応のメタノールとともにMMAを生成する。好ましくは、メタノールおよびメタクロレインは、1:10~100:1、好ましくは1:2~20:1、好ましくは1:1~10:1のメタノール:メタクロレインモル比で固定床を含有する反応器に供給される。好ましくは、固定床は、不活性材料をさらに含む。好ましい不活性材料としては、例えば、アルミナ、粘土、ガラス、炭化ケイ素、および石英が挙げられる。好ましくは、不活性材料は、触媒のサイズ範囲以下である。好ましくは、反応生成物は、メタノールおよびメタクロレインに富む塔頂流を提供するメタノール回収蒸留塔に供給され、好ましくは、この流れは、OERに戻されてリサイクルされる。メタノール回収蒸留塔からの底流は、MMA、MDA、メタクリル酸、塩、および水を含む。本発明の一実施形態では、MDAは、MMA、MDA、メタクリル酸、塩、および水を含む媒体中で加水分解される。MDAは、メタノール回収蒸留塔からの底流中で加水分解され得、上記流れは、MMA、MDA、メタクリル酸、塩、および水を含む。別の実施形態では、MDAは、メタノール回収塔底流から分離された有機相中で加水分解される。MDAの加水分解に十分な水が存在することを確実にするために、有機相に水を添加する必要があり得、これらの量は、有機相の組成から容易に測定され得る。MDA加水分解反応器の生成物は、相分離され、有機相は、1つ以上の蒸留塔を通過して、MMA生成物ならびに軽質および/または重質の副生成物を生成する。
【実施例0017】
実施例1
バッチリサイクル固定床気泡塔反応器操作:
10重量%のメタクロレイン、200ppmの抑制剤、および残りがメタノールを含む150gの供給溶液を調製し、ガス解放容器として機能する300mLのParr(登録商標)反応器に入れた。容器の液体を約20℃の温度で維持した。液体供給物を、ガス解放容器から垂直に配向された固定床反応器の底部内に7mL/分でポンプ注入した。空気と窒素ガスを混合して7.8モル%の酸素を得て、液体供給物と混合した後に固定床反応器に入れた。固定床反応器は、外部加熱器を使用して60℃で維持したジャケット付き1/4インチステンレス鋼管であった。反応器自体に2mmのガラスビーズを装填して管の約18インチを充填し、次いで触媒を充填した。反応器の上部の残りの空隙は、3mmのガラスビーズで充填した。反応器の上部から出る液体およびガスは凝縮器に送られ、非凝縮性ガスが通気される一方で、液体はガス解放容器に戻ってリサイクルされた。触媒1、ならびにいくつかの他の実施例を、この方法で実行した。
【0018】
触媒1の調製:
触媒1を、5gのNorpro 3.2mmアルミナ球状ペレットを出発担体材料として使用し、それに添加前に30分間撹拌した0.19gの金チオ硫酸ナトリウム、0.2gのメルカプトコハク酸、0.06gのクエン酸一水和物、および約5gのDI水からなる溶液を添加するインシピエントウェットネス法によって調製した。次いで、触媒を、室温で約50LPHの一定の空気パージを伴うボックスオーブン内に1時間入れ、次いで、5℃/分の傾斜温度を使用して400℃で焼成し、400℃で4時間保持した。
【0019】
実施例2
バッチリサイクル固定床気泡塔反応器操作:
実施例1に記載されているように、バッチリサイクル反応器を使用した。
【0020】
触媒2の調製:
触媒2を、10gのNorpro 3.2mmアルミナ球状ペレットを出発担体材料として使用し、それに添加前に30分間撹拌した0.39gの金チオ硫酸ナトリウムと0.04gのチオリンゴ酸とを含む10gのDI水中の溶液を添加するインシピエントウェットネス法によって調製した。次いで、触媒を、120℃で約50LPHの一定の空気パージを伴うボックスオーブン内に1時間入れ、次いで、5℃/分の傾斜温度を使用して400℃で焼成し、400℃で4時間保持した。
【0021】
実施例3
単一パス固定床気泡塔反応器操作:
20重量%メタクロレイン、200ppm抑制剤、および残りがメタノールからなる供給物を、40g/時間の速度で、ホウケイ酸ガラスビーズの短い前部を含む3/8インチのステンレス鋼管状反応器に供給し、続いて5gの触媒を供給した。触媒2を利用した。窒素中に8%の酸素を含有するガスも、通気孔内に4.5%O2を得るのに十分な速度で反応器に供給した。反応器を、60℃および160psigで操作した。反応器の生成物は気液分離器に送られ、蒸気は液戻りを有する凝縮器に送られ、非凝縮性ガスは通気孔に進んだ。結果を以下の表に記載する。
【0022】
触媒3の調製:
触媒3を、20gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-10担体を出発材料として使用し、その担体材料にアルミニウムを添加するインシピエントウェットネス法によって調製した。具体的には、13.8gの硝酸アルミニウム非水和物を20gの脱イオン水中に溶解した。塩溶液を、回転ドラム型装置内の担体に非常に小さな液滴で添加し、溶液が担体材料に均一に分布するようにした。添加時の溶液は80℃であった。次いで、修飾された担体材料を、60℃で4時間、わずかな真空下で乾燥させ、次いで、温度を周囲温度から毎分5℃で125℃に上昇させ、1時間保持し、次いで毎分5℃で250℃まで上昇させ、1時間保持し、次いで、毎分5℃で350℃に上昇させ、1時間保持し、最後に毎分5℃で450℃に上昇させ、4時間保持することにより、周囲圧力で空気中で焼成した。次いで、40℃で、10gの脱イオン水中0.83gの金チオ硫酸ナトリウムを利用するインシピエントウェットネス法によって、金を担体に添加した。結果として生じた触媒を乾燥させ、上記と同じ加熱プロファイルを使用して空気中で焼成した。触媒のエネルギー分散分光法(EDS)を装備した走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた分析により、AlおよびAuの両方の卵殻堆積が存在し、Alが堆積した場所にのみAuが優先的に存在することが明確に示される。AlおよびAuの卵殻の厚さが約1ミクロンであることが分かった。
【0023】
実施例4 比較例
バッチリサイクル固定床気泡塔反応器操作:
実施例1に記載されているように、バッチリサイクル反応器を使用した。
【0024】
触媒4の調製:
触媒4を、4.1gの金チオ硫酸ナトリウムを100gの水中に溶解して水溶液にし、次いで100gのFuji Silysia Chemical,Ltd.製CARiACT Q-20シリカ担体材料上に置いた、インシピエントウェットネスによって調製した。試料を120℃で1時間乾燥させた後、400℃で4時間焼成した。金の荷重は、触媒内でほぼ均一であった。
【表1】
【0025】
すべての触媒の金含有量は1.1~1.5重量%の範囲であった。
【0026】
触媒2の場合、金の約95%が外側200ミクロン、すなわち、体積の外側33%以内にあり、比較例の触媒4の場合、約95%が外側1000ミクロン(体積の外側95%)以内にあった。
【0027】
卵殻の実施例のSEM/EDS
試料撮像およびEDS断面マッピング:SEM-EDS撮像は、Bruker AXS XFlash 6160 FlatQUADエネルギー分散型X線分光計(EDS)を搭載したHitachi SU-8230で実行した。顕微鏡の作動距離は15mm、加速電圧は15keV、ビーム電流は20nAであった。ビーム制限開口部は、1または0のいずれかに設定した。典型的なX線カウント率は、100~200kcpsであった。マップは、1000×750ピクセルのマップサイズで5分間収集した。マップは、21keVのAu Mライン、1.5keVのAl K、および2.4keVのS Kaを使用して生成した。
メタクロレインおよびメタノールからメタクリル酸メチルを調製する方法であって、前記方法が、メタクロレイン、メタノール、および酸素を含む混合物を、担体および金を含む不均一触媒を含む触媒床と接触させることを含み、(i)前記担体がアルミナを含み、(ii)前記触媒が0.2~3重量%の金、60~95重量%のシリカ及び0.1~15重量%のアルミナを含み、(iii)前記金の少なくとも90重量%が前記触媒体積の外側60%にあり、(iv)前記触媒の粒子が500ミクロン~10mmの平均直径を有し、重量パーセントが前記触媒の重量に基づき、前記不均一触媒がニッケルを含まない、方法。