(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160291
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】センサーデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/28 20060101AFI20241106BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20241106BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20241106BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01N27/28 321A
G01N37/00 101
G01N33/483 F
G01N33/497 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024129937
(22)【出願日】2024-08-06
(62)【分割の表示】P 2022500526の分割
【原出願日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】PA201900835
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】500554782
【氏名又は名称】ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ニコライセン,エリク・ヘレソ
(72)【発明者】
【氏名】アアス,フレミング
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン,オーレ・ヘーデバング
(72)【発明者】
【氏名】ネダウド,シリル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】試料を収容する比較的小さい測定チャンバーおよび同じ試料を使用して複数の測定結果を確認することができるように複数の分析物センサーを提供する。
【解決手段】少なくとも第1の壁を有する測定チャンバー、該測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、該測定チャンバーは、分析されるべき流体が、該流体が該測定チャンバー内に収容される際に該複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および該流体が該複数の分析物センサーと相互作用した後に該測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;該測定チャンバーは、分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、該試料容積は、少なくとも該入口および該出口の間に延在する;該測定チャンバー内に収容された流体を加熱するように構成された加熱要素;を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーデバイスであって、以下:
-少なくとも第1の壁を有する測定チャンバー、該測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、該測定チャンバーは、分析されるべき流体が、該流体が該測定チャンバー内に収容される際に該複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および該流体が該複数の分析物センサーと相互作用した後に該測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;該測定チャンバーは、分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、該試料容積は、少なくとも該入口および該出口の間に延在する;ならびに
-該測定チャンバー内に収容された流体を加熱するように構成された加熱要素;
を含み、該加熱要素が、該測定チャンバーの該出口の近傍におけるよりも該測定チャンバーの該入口の近傍においてより大きな加熱作用を提供するように構成されているセンサーデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーデバイスであって、少なくとも該第1の壁の反対側の該測定チャンバーの第2の壁を含むセンサーデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサーデバイスであって、該加熱要素が、該第1の壁上にのみ配置されているセンサーデバイス。
【請求項4】
センサーデバイスであって、以下:
-少なくとも第1の壁および該第1の壁とは反対側の第2の壁を有する測定チャンバー、該測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、該測定チャンバーは、分析されるべき流体が、該流体が該測定チャンバー内に収容される際に該複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および該流体が該複数の分析物センサーと相互作用した後に該測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、該試料容積は、少なくとも該入口および該出口の間に延在する;ならびに
-該測定チャンバー中の流体を加熱するように構成された加熱要素;
を含み、該加熱要素が該第1の壁にのみ配置されているセンサーデバイス。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該第1の壁が、該第2の壁に面する第1表面および該第1の表面とは反対側で該第2の壁と逆方向を向く第2表面を有し、該加熱要素が、該第1の壁の該第2表面に配置されているセンサーデバイス。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該加熱要素が、該第1の壁の表面に配置され第1端点および第2端点の間に延在する導電性材料から作られた加熱トレースを含むセンサーデバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサーデバイスであって、該加熱トレースが、曲がりくねったレイアウトおよび/または蛇行するレイアウトおよび/または螺旋状レイアウトで配置されているセンサーデバイス。
【請求項8】
請求項6または7に記載のセンサーデバイスであって、該加熱トレースが、加熱トレースレイアウトで配置されており、該加熱トレースレイアウトが、単位表面積あたりの加熱トレースの長さとしてトレース密度を定義しており、該トレース密度が、該出口の近傍におけるよりも該入口の近傍においてより高いセンサーデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のセンサーデバイスであって、該測定チャンバーが、該測定チャンバーの該入口および該出口の間の流路を定めており、該トレース密度が、該流路に沿った該入口および参照位置の間の該測定チャンバーの第1部分に沿って、該参照位置および該出口の間に延在する該測定チャンバーの第2部分に沿ったものよりも高いセンサーデバイス。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該加熱トレースが、該加熱トレースに沿って変動する電気抵抗率を有するセンサーデバイス。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該測定チャンバーの第1の壁を定める第1基板層を含むセンサーデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のセンサーデバイスであって、該第1基板層が、中央層部分および周辺層部分を含み、該中央層部分が、該測定チャンバーの第1の壁を定め、該周辺層部分が、該測定チャンバーから側方にずれて配置され、該測定チャンバーが、該測定チャンバーの該入口および該出口の間に定められた流路を定め、かつ該加熱トレースが、周辺トレース部分および中央トレース部分を含み、該周辺トレース部分が、該周辺層部分の表面上に配置され、該中央トレース部分が、該中央層部分上に配置されているセンサーデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のセンサーデバイスであって、該周辺トレース部分が、該入口および該出口の間の該流路の長さに沿って実質的に均一に分布しているセンサーデバイス。
【請求項14】
請求項12または13に記載のセンサーデバイスであって、該中央トレース部分が、該中央トレース部分のトレース密度が該出口の近傍におけるよりも該入口の近傍においてより高いように該入口および該出口の間の該流路の長さに沿って不均一に分布しているセンサーデバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のセンサーデバイスであって、該中央トレース部分が、該入口に近位の該測定チャンバーの部分にのみ、例えば該測定チャンバーの入口端および中央部分の間にのみ配置されているセンサーデバイス。
【請求項16】
請求項2~5のいずれか1項に従属する場合の請求項11~15のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該測定チャンバーの該第2の壁を定める第2基板層を含むセンサーデバイス。
【請求項17】
請求項16に記載のセンサーデバイスであって、該第1および第2基板層の間に配置された中間層を含み、該中間層が、該測定チャンバーを収容しているセンサーデバイス。
【請求項18】
請求項16または17に記載のセンサーデバイスであって、該入口および出口のそれぞれが、該第1基板層または該第2基板層を通って延在しているセンサーデバイス。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、少なくとも該測定チャンバーを収容するハウジングを含み、該ハウジングが、該測定チャンバーの少なくとも1つの壁の表面の一部を露出させる開口部を含み、前記の露出部分が、該試料容積と逆方向を向いているセンサーデバイス。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、温度センサー、特にサーミスタ素子を含むセンサーデバイス。
【請求項21】
請求項20に記載のセンサーデバイスであって、該温度センサーが、加熱トレースを含ま
ない位置で第1の壁の表面に配置されているセンサーデバイス。
【請求項22】
請求項20または21に記載のセンサーデバイスであって、該温度センサーが、該測定チャンバーの中央部分に配置されているセンサーデバイス。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、単一の加熱要素のみを含むセンサーデバイス。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載のセンサーデバイスであって、該分析物センサーのそれぞれが、以下:
-pO2、pCO2、pH;
-電解質、例えばLi+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、HCO3-またはNH3(NH4
+)の濃度;
-代謝因子、例えばグルコース、クレアチニン、尿素(BUN)、尿酸、乳酸、ピルビン酸、アスコルビン酸、ホスフェートまたはタンパク質の濃度;ならびに
-酵素、例えば乳酸デヒドロゲナーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、コリン、エステラーゼ、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパルテート、アミノトランスフェラーゼまたはクレアチニンキナーゼの濃度;
の群から選択される1種類以上の分析物のパラメーターを感知するように構成されているセンサーデバイス。
【請求項25】
請求項1~24のいずれかに記載のセンサーデバイスであって、液体試料、例えば体液のパラメーターを分析するために構成されているセンサーデバイス。
【請求項26】
請求項1~25のいずれかに記載のセンサーデバイスであって、該流体試料が、血液、希釈された全血または未希釈の全血、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、胸膜、滑液、腹水液、腹腔液、羊水、乳、透析液試料からなる群から選択される液体であるセンサーデバイス。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該流体試料が、呼吸ガスまたは呼気からなる群から選択される医学的ガス試料であるセンサーデバイス。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載のセンサーデバイスを受け入れるように構成されたセンサーデバイス保持機序を含む分析装置。
【請求項29】
請求項28に記載の分析装置であって、該センサーデバイス保持機序が、請求項19に記載のセンサーデバイスを受け入れるように構成されており、該センサーデバイス保持機序が、該センサーデバイスが該センサーデバイス保持機序により受け入れられる際に該開口部を通って延在して該表面の露出部分との熱交換接触をもたらすように構成された熱交換部材を定める蓄熱体要素を含む分析装置。
【請求項30】
請求項28または29に記載の分析装置であって、センサーデバイス保持機序が、以下:
-該センサーデバイスが該センサーデバイス保持機序により受け入れられた際に該センサーデバイスの該入口との流体連通をもたらすように構成された導管;および
-前記の導管を通って該センサーデバイスの該入口に向かって流れる流体を予熱するように構成された加熱要素;
を含む分析装置。
【請求項31】
請求項28~30のいずれかに記載の分析装置であって、該分析装置が、医学的ガス試料のパラメーターを分析するように適合されている分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイスおよびそのようなセンサーデバイスを含む分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体試料中の分析物の物理的パラメーターをそれぞれの分析物センサーによって測定するための分析器は、様々な産業、例えば食品産業、環境産業ならびに医療および臨床産業において広く使用されている。
【0003】
そのような分析器は、しばしば分析されるべき試料を収容するための測定チャンバーを有するセンサーデバイスを含む。測定チャンバーは、測定チャンバー全体にわたって分布した複数の分析物センサーを有し得る。
【0004】
正確かつ精密な結果を保証するために、そのようなセンサーデバイスの性能は、分析されるべき試料の十分に正確な温度制御を必要とする。
この目的のため、既知のセンサーデバイスは、加熱要素を含む。
【0005】
加熱要素を含むセンサーデバイスの例が、国際公開第2017120464号において開示されている。
一般に、センサーデバイスの製造コストを低く維持することまたは製造コストを低減さえすることが、望ましい。これは、センサーデバイスがしばしば限られた寿命を有し、交換可能な部品として提供されるため、特に望ましい。
【0006】
それでもなお、センサーデバイスが正確、精密かつ信頼性の高い測定結果を提供することが重要である。多くのセンサーの動作は試料温度に敏感であるため、従って測定チャンバーにわたって分布した複数の分析物センサーを有する測定チャンバー全体にわたって均一な温度を維持することが望ましい。
【0007】
分析システムの正確かつ精密な作動は、全血のような体液中の分析物の物理的パラメーターを分析するための臨床分析適用において特に重要である。正確さ、精度および信頼性の要求に加えて、臨床適用のためのそのような分析システムは、短い分析時間、すなわち試料の適用から測定結果を得るまでの短い時間および非常に小さい試料量から非常に信頼性の高い結果を提供する能力のようなさらなる重大な制約も受ける。
【0008】
全てのこれらの制約の組み合わせは、特に血液分析器に関連する。血液分析器は、哺乳類対象の血液を分析するための、例えば対象の生物学的状態を確立および/またはモニタリングするための様々なパラメーターの測定を提供する。典型的には、哺乳類対象は、ヒト患者である。様々な場合において、例えば哺乳類対象の全血試料中の血液ガスの分圧、血液試料中の電解質および代謝産物の濃度ならびに血液試料のヘマトクリット値を測定することが望ましい。例えば、pCO2、pO2、pH、Na+、K+、Ca2+、Cl-、Mg2+、グルコース、ラクテート、クレアチニン、尿素ならびにヘモグロビンおよびヘモグロビン誘導体の値を測定することは、医療患者の状態の評価における主要な臨床指標である。現在、多くの異なる分析器が、そのような測定を行うために存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実施される各分析において可能な限り少量の、患者の血液を使用するために、分析されるべき試料を収容する比較的小さい測定チャンバーを提供することおよび同じ試料を使用して複数の測定結果を確認することができるように複数の分析物センサーを提供することが望ましい。少量の血液試料を用いて血液分析を実施することは、比較的多数の試料が比較的短い長さの時間で採取されなければならない場合または例えば新生児におけるように血液の量が限られている場合に重要である。例えば、集中治療中の患者は、血液ガスおよび臨床化学測定のために1日あたり15~20もの試料のサンプリング頻度を必要とする可能性があり、これは、患者評価の間の潜在的に大きな血液の損失につながる。さらに、実施されなければならない検査の数を制限するために、各検査の完了時に可能な限り多くの情報を収集することが望ましい。さらに、同じ理由で、これらの測定から得られる測定結果および対応する分析結果が信頼できることが、重要である。臨床環境において、重要な臨床的決定は測定結果の知識に依存し得るため、個々の試料を分析するために必要な時間が可能な限り短いことも、重要である。さらに、分析器が高スループットで操作されることができれば、分析器の効率的な使用が促進される。
【0011】
従って、上記の目的の1つ以上を満たすか、または少なくとも既知のセンサーデバイスの適切な代替物を提供する向上したセンサーデバイスを提供することが、依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1側面によれば、本明細書で開示されるのは、以下:
-少なくとも第1の壁を有する測定チャンバー、測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、測定チャンバーは、分析されるべき流体が、流体が測定チャンバー内に収容される際に複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;測定チャンバーは、分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および流体が複数の分析物センサーと相互作用した後に測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;測定チャンバーは、分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、試料容積は、少なくとも入口および出口との間に延在する;ならびに
-測定チャンバー内に収容された流体を加熱するように構成された加熱要素;
を含むセンサーデバイスの態様であり、ここで、加熱要素は、測定チャンバーの出口の近傍におけるよりも測定チャンバーの入口の近傍においてより大きな加熱作用を提供するように構成されている。
【0013】
測定チャンバーの出口の近傍におけるよりも測定チャンバーの入口の近傍においてより大きな加熱作用を提供するように構成されている加熱要素の提供は、複数の分析物センサーにわたるより均一な温度分布を提供し、それにより比較的低い製造コストおよび短い測定サイクル時間を維持しながら全ての分析物センサーに関して正確かつ精密な測定を促進することが分かった。特に、本明細書で記載されるセンサーデバイスの態様は、測定チャンバー全体にわたって、または少なくとも入口および出口の間の試料流体の流路に沿って均一な試料温度を提供する。さらに、本発明の一部の態様は、加熱要素あたりの試料温度における増大した均一性を提供する。それにより、測定チャンバー中の温度における類似の均一性が、より少ない数の加熱要素を用いて達成されることができる。これは、転じて製造の複雑さおよびコストを低減する。
【0014】
加熱要素の一部によって提供される加熱作用は、1回の測定サイクル全体にわたって、すなわち試料が入口を通って測定チャンバーに入り始めた時から試料が出口を通って測定チャンバーを出るまでに提供される加熱作用によって定義されることができる。この目的
のために、加熱要素は、測定チャンバーの出口の近傍におけるよりも測定チャンバーの入口の近傍においてより大きな加熱力、すなわちより大きな単位時間あたりの加熱作用を提供するように構成されることができる。
【0015】
流体の分析物センサーとの相互作用に応答するセンサーデバイスの測定結果は、典型的には温度依存性である。従って、正確かつ信頼性のある測定結果は、しばしば流体が予め決定された温度を有することを必要とする。例えば、体液に関して、測定が実施されるべき温度は、典型的には体温に対応する範囲、例えば35℃~40℃、36℃~39℃、36℃~38℃または約37℃に指定される。しかし、他の目標温度が、他の態様において使用されることができる。
【0016】
ある態様において、測定チャンバーに入る際の流体の試料温度は、測定が実施されるべき目標温度よりも低い。さらに、分析器中に挿入される際の流体試料の初期温度は、変動し得る。例えば、流体試料は、分析器中に挿入された際に異なる室温を有することができ、またはそれらは、冷却されていることもできる。流体が測定チャンバーに入る前に分析器によって予熱される態様においてさえ、測定チャンバーに入る際の流体の試料温度は、しばしば目標温度よりも依然として低い。
【0017】
分析物センサーは、それぞれの位置に配置されていることができ、測定チャンバーにわたって、例えば測定チャンバー全体にわたって、または測定チャンバーの一部分のみにわたって分布していることができる。ある態様において、測定チャンバーの内側の流体の温度は、測定チャンバーにわたって、少なくとも分析物センサーが配置される測定チャンバーの部分にわたって可能な限り均一であるべきである。本発明者らは、加熱作用の不均一な分布が結果として測定チャンバーにわたる、特に入口および出口の間に定められた流路に沿った流体のより均一な温度分布をもたらすことを理解している。特に、出口の近傍におけるよりも入口の近傍においてより高い加熱作用を提供することは、一度試料が出口に接近すると試料の過熱を回避するのを助ける。不均一な加熱作用を提供することは、試料の均一な試料温度での複数の分析物センサーとの相互作用を可能にする一方で例えば試料および/または測定チャンバーの熱平衡または延長された予熱を得ることによる延長された処理時間を回避する。
【0018】
測定チャンバーは、様々な形状および大きさ、例えば円筒形、箱形等を有することができる。測定チャンバーは、入口が配置されている入口端および出口が配置されている出口端を有する細長いチャンバーであることができる。一般に、少なくとも測定チャンバーを充填および空にする間、試料は、入口から出口に向かう方向に流れる。測定チャンバーは、測定チャンバーの入口および出口の間の流路を定める。流路は、入口および出口の間に定められた長さを有する。ある態様において、流路の長さは、流路にわたる一方または両方の他の方向における測定チャンバーの寸法(単数または複数)より大きく、すなわち測定チャンバーの幅および/または高さより大きい。例えば、測定チャンバーは、ミリメートルおよび/またはサブミリメートルの範囲の断面寸法を有し得る。
【0019】
測定チャンバーは、測定チャンバーの1つ以上の壁によって定められ得る試料容積を定める。例えば、測定チャンバーは、楕円体の形状の壁によって定められることができる。他の例では、測定チャンバーは、第1の壁が管状の壁である円筒状チャンバーであることができる。他の態様では、センサーデバイスは、少なくとも第1の壁とは反対側の測定チャンバーの第2の壁を含む。例えば、第1および第2の壁は、平面状の壁または湾曲した壁であることができ、測定チャンバーは、第1および第2の壁の間に定められることができる。入口および出口の間の流路は、線状、湾曲状、蛇行状であることができ、かつ/または異なる形状を有することができる。加熱要素は、流路の第1部分に沿って、入口に近接してより大きな加熱作用を提供し、流路の第2部分に沿って、第1部分の下流で、そし
て出口に近接してより小さな加熱作用を提供するように構成されている。ある態様において、加熱要素は、第1部分に沿ってのみ加熱作用を提供し、流路の第2の部分に沿っては実質的に加熱作用を提供しないように構成されている。
【0020】
一般に、測定チャンバーは、流路に沿って均一な幅および/または高さを有することができる。あるいは、測定チャンバーは、流路に沿って不均一な幅および/または不均一な高さを有することができる。例えば、測定チャンバーは、例えば分析物センサーの周囲に1つ以上の広幅化または狭窄を有することができる。
【0021】
同様に、分析物センサーは、測定チャンバーの壁の1つ以上に取り付けられるかまたは一体化されていることができる。例えば、分析物センサーは、測定チャンバーの壁の上に堆積した材料を、壁に取り付けられるかまたは一体化されている等のセンサーにより含むことができる。
【0022】
加熱要素が測定チャンバーの壁の1つ以上に配置されている場合、分析測定が実施されることができる所望の目標温度への流体試料の迅速で信頼性があり再現性のある状態調節が、達成されることができる。この目的のために、加熱要素は、測定チャンバーの壁の1つ以上に物理的に取り付けられるかまたはそれと一体化されることができる。少なくとも1つの加熱要素を測定チャンバーの少なくとも1つの壁に物理的に取り付けることにより、または少なくとも1つの加熱要素を測定チャンバーの少なくとも1つの壁と一体化させることにより、加熱要素から流体試料への加熱エネルギーの迅速かつ再現性のある伝達を確実にするように、加熱要素および測定チャンバーの内側の流体試料の間の良好な熱伝達が達成されることができる。熱損失は避けられないが、加熱要素の測定チャンバーの少なくとも1つの壁への物理的な取り付けまたは加熱要素の測定チャンバーの少なくとも1つの壁との一体化は、十分に制御された加熱機序を提供し、ここで、試料に伝達される熱は、加熱要素によって生成される熱に、そしてさらに加熱要素によって消費される電力/エネルギーに系統的に結び付けられる。加熱要素は、様々な方法で壁に取り付けられるかまたは一体化させられることができ、例えば印刷、結合、接着等をされることができる。加熱要素は、1つより多くの壁に、例えば、第1および第2の壁の両方に、または第1および第2の壁の両方ならびに任意のさらなる壁の少なくとも1つに配置されることができる。あるいは、加熱要素は、第1の壁にのみ配置されることができる。
【0023】
一般に、第2側面によれば、本明細書で開示されるのは、以下:
-少なくとも第1の壁および第1の壁とは反対側の第2の壁を有する測定チャンバー、測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、測定チャンバーは、分析されるべき流体が、流体が測定チャンバー内に収容される際に複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;測定チャンバーは、分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および流体が複数の分析物センサーと相互作用した後に測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;測定チャンバーは、分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、試料容積は、少なくとも入口および出口との間に延在する;ならびに
-測定チャンバー内に収容された流体を加熱するように構成された加熱要素;
を含むセンサーデバイスの態様であり、ここで、加熱要素は、第1の壁にのみ配置されている。
【0024】
加熱要素を第1の壁にのみ、特に測定チャンバーの単一の側にのみ配置することは、比較的低い製造コストおよび短い測定サイクル時間を維持しながら十分に均一な熱分布を提供することが分かっている。
【0025】
本発明の第1側面を参照して開示される態様およびその組み合わせは、本発明の第2側
面に等しく適用されることができ、逆もまた同様である。
ある態様において、第1の壁は、第2の壁に面する第1表面および第1の表面とは反対側で第2の壁と逆方向を向く(facing away from)第2表面を有し;ここで、加熱要素は、第1の壁の第2表面に配置されており、例えば第1の壁上に配置されているかまたは第1の壁に一体化されている。従って、測定チャンバーの内容物の特に効率的な加熱が、達成される。
【0026】
一般に、加熱要素は、測定チャンバー中の試料流体に向かって熱を放散させるように構成されたあらゆる適切な要素であることができる。
加熱要素は、加熱システムの一部であることができる。加熱システムは、加熱要素ならびにさらなる構成要素、例えば温度制御回路および/または温度センサーおよび/または追加の電気回路を含むことができる。例えば、追加の電気回路は、加熱要素を温度制御回路と電気的に接続するための電気接点および接続線を含むことができる。温度制御回路は、例えば温度センサーによる温度測定結果に基づいて加熱要素の加熱作用を制御するための回路またはデバイスを含むことができる。温度制御回路は、以下の構成要素の1つ以上を含むことができる:A/D変換器、デューティサイクル調整回路、適切にプログラムされた処理ユニット。
【0027】
加熱要素は、電気加熱要素、例えば抵抗加熱要素であることができる。ある態様において、加熱要素は、第1の壁の表面に配置され第1端点および第2端点の間に延在する導電性材料から作られた加熱トレースを含む。加熱トレースは、第1の壁の表面上に堆積していることができ、または第1の壁に一体化されていることもできる。ある態様において、測定チャンバーは、単一の加熱トレースのみを有する。従って、電圧が第1端点および第2端点の間に印加された際に、電流が加熱トレースを通って流れる。加熱トレースの抵抗性は、加熱トレースにより熱を放散させる。従って、加熱トレースによって放散される電流に誘導される熱は、第1の壁および測定チャンバーの内容物を加熱する。印加される電圧を制御することにより、加熱の程度が制御されることができる。加熱要素の他の例は、半導体加熱要素を含む。例えば、半導体は、互いの間に可変の距離を有して配置されることができる。加熱要素のさらに他の例は、マイクロ波、赤外放射および/またはエアシステムによる加熱を利用することができる。
【0028】
ある態様において、センサーデバイスまたはセンサーデバイスが挿入される分析装置は、印加される電圧を制御するように構成された温度制御回路を含むことができる。電圧は、多くの方法で、例えば電圧を増加/減少させることにより、または電圧をパルスで印加することにより、そしてパルス幅および/もしくはパルス密度を変動させることにより制御されることができることは、理解されるであろう。本明細書で記載されるセンサーデバイスの様々な態様は、試料容積中の流体の即時かつ直接的な温度制御を可能にする高応答性デバイスを提供する。電力は、あらゆる適切な手段により、例えばDCまたはAC電流を加熱要素に導電性リードまたは他の形態の端子を通して、例えば誘導結合を介して供給することにより加熱要素に供給されることができる。
【0029】
加熱トレースは、第1の壁の面全体にわたる、または第1の壁の面の一部のみにわたる加熱トレースレイアウトで配置されることができる。ある態様において、加熱トレースは、測定チャンバーの1以上のさらなる壁の少なくとも一部にわたって延在することができる。ある態様において、加熱トレースは、互い違いの方向の部分を有するレイアウト、例えば曲がりくねったレイアウト、ジグザグレイアウト、蛇行するレイアウト等で配置される。レイアウトの他の例は、螺旋状レイアウトを含む。
【0030】
ある態様において、加熱トレースレイアウトは、単位表面積あたりの加熱トレースの長さとしてトレース密度を定義する。ある態様において、トレース密度は、出口の近傍にお
けるよりも入口の近傍においてより高く、それにより出口の近傍におけるよりも入口の近傍においてより高い加熱出力を引き起こす。特に、ある態様において、トレース密度は、参照位置および出口の間に延在する測定チャンバーの第2部分に沿ったものよりも、流路に沿った入口および参照位置の間の測定チャンバーの第1部分に沿ってより高い。好ましくは、参照位置は、温度センサーの位置として定義されることができる。あるいは、参照位置は、入口および出口の間の中間点として、または別の適切な方法で定義されることができる。より詳細には、ある態様において、第1の壁は、流路に沿って入口から参照位置まで延在する入口壁部分および参照位置から出口まで延在する出口壁部分を有し、入口壁部分全体に関して計算されたトレース密度は、出口壁部分全体に関して計算されたトレース密度よりも高く、例えば少なくとも1.0倍より大きく、例えば少なくとも1.1;1.5;2.0;2.5;3.0;3.5;4.0;4.5;または5.0倍高い。
【0031】
あるいは、または加えて、ある態様において、加熱トレースは、加熱トレースに沿って変動する電気抵抗率を有する。例えば、加熱トレースの抵抗率は、加熱トレースの長さに沿って加熱トレースの断面積を変動させることにより変動し得る。断面積は、加熱トレースの長さに沿って加熱トレースの高さ/厚さを変動させることにより、かつ/または加熱トレースの幅を変動させることにより変動し得る。さらに代わりに、または加えて、加熱トレースの抵抗率は、加熱トレースの長さに沿って加熱トレース材料を変動させることにより、特に異なる比抵抗率の加熱トレース材料を選択することにより変動し得る。
【0032】
ある態様において、センサーデバイスは、測定チャンバーの第1の壁を定める第1基板層、特に第1平面基板層を含む。加えて、センサーデバイスは、測定チャンバーの第2の壁を定める第2基板層、特に第2平面基板層を含むことができる。第1および第2基板層は、互いに平行であることができ、測定チャンバーは、第1および第2基板層の間に配置されることができる。特に、ある態様において、センサーデバイスは、第1基板層および第2基板層の間に配置された中間層を含み、中間層は、測定チャンバーを収容している。例えば、中間層は、周壁を定めることができ、第1および第2基板層は、それぞれ上壁および下壁を定めることができる。中間層は、穴(aperture)を定めるガスケット材料から作られていることができ、穴の互いに反対側の端は、それぞれ第1および第2基板層により覆われていることができる。
【0033】
特に、ある態様において、入口および出口のそれぞれは、第1基板層または第2基板層を通って延在する口(orifice)としてそれぞれ形成される。例えば、測定チャンバーは、試料容積を定める凹部を有するスペーサーにより分離された2つの反対向きに積み重ねられた(counter-stacked)基板/プレートの平面サンドイッチ構造で作製されることができる。基板は、セラミックまたは他の適切な基板材料から作製されることができる。基板は、柔軟であることも剛性であることもでき、例えば標準的なPCB、フレックスPCB、PET、PI、セラミック、ガラス等を使用して構成されることができる。例えば、基板は、不活性材料、例えば誘電体、感圧接着剤、ラミネート等から作られることができる。スペーサーは、ポリマー材料から、または別の適切な材料から作製されることができる。加熱要素、例えば加熱トレースは、第1基板および場合により第2基板の表面上に印刷されるかまたは他の方法で堆積させられることができる。入口および出口が基板層の一方または両方に形成される場合、スペーサーは、測定チャンバーの閉じた周壁を形成することができる。代替の態様では、入口および/または出口は、スペーサー中に形成されることができる。
【0034】
ある態様において、第1基板層は、測定チャンバーの入口および出口の間の流路の長さを横切る方向で測定された、測定チャンバーの幅よりも大きい幅を有することができる。特に、第1基板層は、中央層部分および周辺層部分を含むことができ、中央層部分は、測定チャンバーの第1の壁を定め、周辺層部分は、測定チャンバーから側方にずれて配置さ
れ、すなわち、周辺層部分の表面は、測定チャンバーの範囲を定めない。これらの態様によれば、測定チャンバーは、測定チャンバーの入口および出口の間に定められた長さを有する流路を定め、加熱トレースは、周辺トレース部分および中央トレース部分を含み、周辺トレース部分は、周辺層部分の表面上に配置され、中央トレース部分は、中央層部分上に配置される。ある態様において、周辺トレース部分は、入口端および出口端の間の流路の長さに沿って実質的に均一に分布している。従って、周辺トレース部分は、流路の長さに沿って実質的に均一なベース加熱作用を提供することができる。中央トレース部分は、例えば、中央トレース部分のトレース密度が出口の近傍におけるよりも入口の近傍においてより高いように、流路の長さに沿って不均一に分布していることができる。従って、中央トレース部分は、出口の近傍におけるよりも入口の近傍においてより高い追加の加熱作用を提供する。特に、ある態様において、中央トレース部分は、入口に近位の測定チャンバーの部分にのみ、例えば入口が配置されているチャンバーの入口端および流路に沿った参照位置(例えば温度センサーの位置として、または測定チャンバーの中心として定義される)の間にのみ配置されている。
【0035】
ある態様において、センサーデバイスは、温度センサー、例えばサーミスタ素子を含み、それは、測定チャンバー中の試料と熱的に接触して配置されることができる。あるいは、他のタイプの温度センサー、例えば半導体温度センサーまたは赤外線温度センサーが、使用されることができる。
【0036】
従って、センサーデバイスまたはセンサーデバイスを含む分析装置は、温度センサーにより感知されるような測定チャンバーの温度に応答して加熱要素を制御することができる。制御は、例えば温度センサーからの信号に応答して加熱要素に印加される電圧を制御することにより実行されることができる。あるいは、加熱要素に一体化されたサーミスタが、自己制御式加熱要素を提供するために使用されることができる。ある態様において、温度センサーは、第1の壁に、例えば第1の壁の表面、例えば試料体積に面する表面に配置される。温度センサーは、表面に取り付けられるか、または壁の中に埋め込まれることができる。ある態様において、温度センサーは、測定チャンバーの中央部分に、例えば温度センサーおよび入口の間の距離が温度センサーおよび出口の間の距離と実質的に等しいように、例えばこれらの距離の間の差が2つの距離の最大の方の50%より大きくない、例えば2つの距離の最大の方の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%または45%より大きくないように配置される。それにより、流体試料の温度を表す信頼性のある温度の読み取りが、達成される。代替の態様において、温度センサーは、出口に近位に、または入口に近位に配置される。ある態様において、温度センサーは、加熱要素により覆われていない第1の壁の部分に、例えば加熱要素の最も近い部分から0.5mmより大きくずれて配置され、例えば加熱要素の最も近い部分から1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mmまたは5.0mmより大きくずれて配置される。
【0037】
本発明者らは、そのような位置が特に均一な温度分布が達成されるように加熱要素の制御を可能にすることを認識している。
ある態様において、センサーデバイスは、単一の加熱要素、例えば単一の加熱トレースのみおよび/または単一の温度センサーのみを含む。単一の加熱要素および/または単一の温度センサーのみでも低コストのセンサーデバイスを維持しながら均一な温度分布を達成するのに十分であり得ることが分かっている。代替の態様において、センサーデバイスは、1つより多くの加熱要素および/または1つより多くの温度センサーを含む。例えば、さらに綿密な温度制御が、測定チャンバー内に2つ以上の区域を提供し、各区域がそれ自体の加熱要素および温度センサーを有することにより達成されることができる。
【0038】
ある態様において、測定チャンバー中に収容された流体は、例えばセンサーデバイスの
入口および/または出口を閉じることにより、流体が分析物センサーと相互作用する間測定の内部で静止して保持されることができる。他の態様において、流体は、流体が入口から出口まで測定チャンバーに沿って流れる間に分析物センサーと相互作用することができ、従って流体が静止して保持される必要がない。ある態様によれば、測定は、測定チャンバーの充填が完了した後、場合によりさらなる遅延時間の後に開始されることができる。
【0039】
ある態様において、センサーデバイスの作動の間に、測定チャンバーは、流体が分析物センサーと接触するかまたは他の方法で相互作用することを可能にするように、そして流体試料に対して測定を実施するために、試料流体で充填されることができる。ある態様において、分析物センサーの一部または全ては、分析物センサーおよび試料流体の間の物理的接触を必要としない非接触分析物センサーである。
【0040】
ある態様によれば、センサーデバイスは、分析物の対応するパラメーター、例えばpH、電解質の濃度、代謝因子の濃度または酵素の濃度を決定するために流体試料中の1種類以上の分析物を測定するように適合されている。流体試料は、生物学的試料、例えば体液、すなわち生理学的流体であることができる。
【0041】
生物学的試料の例は、液体試料および/またはガス試料を含むことができる。液体試料は、体液を含むことができる。液体試料は、血液、希釈された全血または未希釈の全血、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、胸膜、滑液、腹水液、腹腔液、羊水、乳、透析液試料等ならびにこれらの流体のいずれかを測定するための分析器設備において使用されるあらゆる品質管理材料および較正溶液の群から選択されることができる。ガス状試料は、呼吸ガス、呼気等ならびにこれらの流体のいずれかを測定するための分析器設備において使用されるあらゆる品質管理および較正材料を含むことができる。従って、ある態様において、センサーデバイスは、液体試料、例えば体液のパラメーターを分析するために構成されている。試料は、それが試験をより受け入れやすくするために試験前に処理されることができる。前処理方法は、以下の1つ以上を含み得る:混合、希釈、濾過、濃縮、抽出、結果に干渉し得る構成要素の除去もしくは不活性化および/または試薬の添加。他の生物学的試料の例は、発酵ブロスまたは微生物培養物、廃水、食品製品等を含む。
【0042】
本明細書で開示されるセンサーデバイスの少なくともいくつかの態様により決定され得る分析物に関するパラメーターの例は、pO2、pCO2、pH;電解質、例えばLi+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Cl-、HCO3-またはNH3(NH4
+)の濃度;代謝因子、例えばグルコース、クレアチニン、尿素(BUN)、尿酸、乳酸、ピルビン酸、アスコルビン酸、ホスフェートまたはタンパク質の濃度;酵素、例えば乳酸デヒドロゲナーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、コリン、エステラーゼ、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパルテート、アミノトランスフェラーゼまたはクレアチニンキナーゼの濃度。
【0043】
さらに、ある態様によれば、センサーデバイスは、流体試料中のガス、例えばpO2またはpCO2の分圧を測定するように適合されている。
センサーデバイスおよび/またはセンサーデバイスを含む分析器は、例えば電気回路、1以上の検出器、センサー読み出し機器、信号処理回路等を含む測定システムを含むことができる。作動の間、測定システムは、分析物センサーから信号を読み出し、信号を処理し、そして測定結果を決定するように構成されることができる。分析物センサーの一部または全部が測定システムの少なくとも一部の構成要素を共有することができる一方で測定システムの他の構成要素は個々の分析物センサーに特異的であることができることは、理解されるであろう。この記載において、分析物センサーという用語は、試料流体の物理的パラメーター、例えば試料流体中に存在する化学物質の存在および/または濃度を測定することができるあらゆるセンサーを意味する。センサーデバイスおよび/または分析器は
、1以上の異なるタイプの分析物センサー、例えば光学センサー、電気化学センサーおよび/または他の感知技術を利用するセンサーを含むことができることは、理解されるであろう。ある態様において、測定システムの構成要素は、センサーデバイスおよびセンサーデバイスが挿入され得る分析器の間に分配されることができることは、理解されるであろう。例えば、測定回路、励起源、検出器等の一部または全部が、分析器中に配置されて相対的な単純なセンサーデバイスを可能にすることができる。
【0044】
各分析物センサーは、例えば測定チャンバーの内側に面する表面においてそれぞれの感知領域を定めることができる。各感知領域は、内側に面する表面の一部であることができる。試料流体が感知領域と相互作用する場合、分析物センサーは、相互作用の結果を、例えば光学信号または電気信号として検出するように構成されることができる。感知領域は、測定チャンバー全体にわたってそれぞれの位置に配置されることができる。
【0045】
本開示は、上記のセンサーデバイス、対応する装置、システム、方法および/または製品を含む異なる側面に関し、各々は、他の側面の1つ以上に関連して記載された利益および利点の1つ以上をもたらし、かつ各々は、他の側面の1つ以上に関連して記載された、および/または添付の特許請求の範囲において開示される態様に対応する1つ以上の態様を有する。
【0046】
一側面によれば、本明細書において、上記の、または以下で記載されるセンサーデバイスの態様を受け入れるように構成されたセンサーデバイス保持機序、特に容器を含む分析装置の態様が記載される。
【0047】
ある態様において、センサーデバイスは、少なくとも測定チャンバー、例えば第1および第2基板層を収容するハウジングを含み;ここで、ハウジングは、測定チャンバーの壁の1つ、特に第1の壁以外の壁の表面の一部、例えば第2基板層の一部を露出させる開口部(opening)を含み、前記の露出部分は、試料容積と逆方向を向いている。従って、ある態様において、センサーデバイス保持機序は、センサーデバイスがセンサーデバイス保持機序により受け入れられる際に開口部を通って延びて壁の、例えば第2基板層の露出部分との熱交換接触をもたらすように構成された熱交換部材を定める蓄熱体要素を含む。従って、より均一かつ正確な加熱が、達成されることができる。
【0048】
ある態様において、センサーデバイス保持機序は、以下のものを含む:
-センサーデバイスがセンサーデバイス保持機序により受け入れられた際にセンサーデバイスの入口との流体連通をもたらすように構成された導管;および
-前記の導管を通ってセンサーデバイスの入口に向かって流れる流体を予熱するように構成された加熱要素。
【0049】
分析装置の一部の態様は、液体試料を分析するように構成されることができる。この目的のために、分析装置の一部の態様は、好ましくは自動化または半自動化された様式で液体の流れを制御するための、例えば測定チャンバーを液体試料で充填する、および空にするための1つ以上の弁、導管および/またはポンピング/移送手段を含むことができる液体取り扱いシステムを含む。
【0050】
さらに、一部の態様によれば、流体試料は、ガス、例えば医学的ガス、例えば生理学的ガスである。従って、分析装置の一部の態様は、医学的ガス試料のパラメーターを分析するように適合されることができる。特に有用な医学的ガス試料の例は、呼吸ガス、呼気等ならびにこれらの流体のいずれかを測定するための分析器設備において使用される任意の品質管理および較正材料の群から選択される。従って、分析装置の一部の態様は、好ましくは自動化された様式で測定チャンバーをガス試料で充填する、および空にするための1
つ以上の弁、導管および/またはポンピング/移送手段を含むガス取り扱いシステムを含むことができる。ある態様において、分析装置は、液体およびガス両方に適した流体取り扱い手段を含む。
【0051】
分析装置および/またはセンサーデバイスは、センサーデバイスの温度センサーからの信号を受信し、そして温度センサーからの受信された信号に応答して加熱要素を制御するように、例えば温度センサーからの受信された信号および目標値の間の差を最小化するように構成された温度制御回路を含むことができる。温度制御回路は、分析器の作動、例えば分析物センサーおよび/または試料取り扱いシステム等の作動を制御するように構成された制御ユニットにより具体化されることができる。
【0052】
ある態様において、センサーデバイスは、独立型デバイスとして、または分析装置との組み合わせでの使用のためのものであることができる使い捨ておよび/または単回使用デバイスであることができる。
【0053】
本発明の好ましい態様が、添付の図面に関連してより詳細に説明され、ここで:
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、センサーデバイスを含む血液分析器の概略図を示す。
【
図2】
図2は、センサーデバイスの一例を概略的に示す。
【
図3】
図3は、第2基板層の一例の上面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、中間層の一例の上面図を概略的に示す。
【
図5】
図5A~Dは、第1基板層のそれぞれの例の外側表面の上面図を概略的に示す。
【
図6】
図6は、測定チャンバーの別の例を概略的に示す。
【
図7】
図7~12は、異なる加熱要素デザインを有する測定チャンバーの異なる例に関する比較温度測定の結果を示す。
【
図8】
図7~12は、異なる加熱要素デザインを有する測定チャンバーの異なる例に関する比較温度測定の結果を示す。
【
図9】
図7~12は、異なる加熱要素デザインを有する測定チャンバーの異なる例に関する比較温度測定の結果を示す。
【
図10】
図7~12は、異なる加熱要素デザインを有する測定チャンバーの異なる例に関する比較温度測定の結果を示す。
【
図11】
図7~12は、異なる加熱要素デザインを有する測定チャンバーの異なる例に関する比較温度測定の結果を示す。
【
図12】
図7~12は、異なる加熱要素デザインを有する測定チャンバーの異なる例に関する比較温度測定の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、生物学的液体試料、例えば体液の分析のための装置1の一例を概略的に示す。装置1は、ある態様において、生物学的流体試料、例えば医学的ガス試料および/または体液の分析のために構成されている。装置1は、センサーデバイス60、液体取り扱いシステム20および処理ユニット8を有する。
【0056】
センサーデバイス60は、測定チャンバー2を含み、それは、接触ピンを介して読み出されることができる1つ以上の分析物センサーを備えている。この目的のために、センサーデバイスは、センサー電極との電気的接触を確立するための接触ピン3(a~i)および参照電極5を含む。
図1の例では、センサーデバイス60は、取り替え可能なセンサーカセットであり、それは、分析器の格納装置(enclosure)40中に挿入されることができ、かつそれは、その作動寿命の終了時に再度分析器から取り外されることがで
きる。
図1の実施例では、センサーデバイスは、pO
2測定システム4を含む。
【0057】
液体取り扱いシステム20は、液体試料を測定チャンバーの入口6を通して測定チャンバー2の試料容積に供給するためおよび測定チャンバー2の出口7を通して液体試料を除去するために適合されている。
【0058】
センサーデバイス60は、測定チャンバーとの良好な熱接触状態で配置された加熱要素32を有する。特に、加熱要素は、測定チャンバー2の上壁を形成する基板30の表面上に配置されている。測定チャンバーの一例が、下記で
図2を参照してより詳細に記載されるであろう。センサーデバイス60は、さらに温度センサー31(ここではサーミスタ)を有し、それは、入口6および出口7の間のおおよそ中間にある測定チャンバー2の内側表面上に配置されている。温度センサー31は、測定チャンバーの内側の液体試料の温度を測定するためおよびその測定結果を処理ユニット8に提供するためのものである。
【0059】
処理ユニット8は、センサーデバイス60および液体取り扱いシステムの作動を制御するように構成されている。特に、処理ユニット8は、試料温度を測定が実施されるべき目標温度と一致させるように、温度センサー31からの温度の読み取りに応じて加熱要素32の作動を制御する。代替の態様において、温度制御は処理ユニット8と分かれていることができる別の温度制御装置により実施されることができることは、理解されるであろう。
【0060】
処理ユニット8は、さらに液体取り扱いシステム20からの流動データおよび/またはセンサーデバイス60の分析物センサーからの測定データを受信するように適合されている。処理ユニット8は、データ取得、プロセス制御等を含む適切な信号およびデータ処理タスクを実施するためのプログラムされた命令を含む。
【0061】
例えば、処理ユニットは、例えば液体取り扱いシステム20からの流動データに基づいて、および/または温度センサー31からの信号に基づく試料加熱データから測定チャンバー2に入る液体試料の初期温度を決定するように構成されることができる。
【0062】
測定を実施するために、使用者は、装置1の入力ポートに液体試料を提供することができ、それは、
図1の例では、2つの位置12a/bにもたらされることができる。しかし、他の態様は、異なるタイプの入力ポートを有する可能性がある。液体試料は、入口6を通って測定チャンバー2に移送される。血液試料の任意の予熱は、任意の予熱器38により保証される。予熱器は、センサーデバイスから上流に配置されたチューブであることができる。予熱器は、電気的に、または蓄熱体、例えばセンサーデバイス保持器から予熱器へと直接接触を介して伝達される熱により加熱されることができる。試料が測定チャンバーに入ると、試料は、加熱要素32により所望の目標温度に加熱される。液体試料は、それぞれの分析物センサーと接触するかまたは他の方法で相互作用する。分析物センサーは、一態様において、液体試料、例えば全血試料中の分析物パラメーターに対して本質的に同時の測定を提供するように配置される。好ましくは、正確かつ信頼性のある分析データを得るために必要とされる試料量は、可能な限り少ない。体液中、特に全血中の複数の異なるパラメーターを同時に測定するのに特に適しているセンサーアセンブリ設計の詳細な例および血液分析器におけるその使用が、例えば欧州特許第2 147 307 B1号において、または米国特許第8,728,288 B2号において見付けられる。
【0063】
例えば、1つのタイプの分析物センサーは、電気化学センサーを含む。電気化学センサーは、1つ以上の分析物電極および参照電極を含むことができる。電気化学センサーは、1つ以上の膜を含むことができる。電気化学センサーは、電気的に応答する構成要素が応答する分析物を含む測定チャンバー中の流体と接触した際に電気的応答を提供するように
構成された1つ以上の電気的に応答する構成要素を含むことができる。
【0064】
分析物センサーの他の例は、測定チャンバー中に収容された試料流体と相互作用し得るセンサー層を有する光学センサー4を含む。センサー層は、測定チャンバー中に提供される流体試料中に存在する分析物の量に感受性である。光学センサーは、分析物の存在に対するセンサー層の応答の光学的読出しのための機器をさらに含む。読み出し機器は、典型的にはセンサー層に刺激を提供するためのデバイスを含む。読み出し機器は、刺激に応答してセンサー層から放出された放射を収集するための、そしてさらに収集された発光放射を光学センサーの検出器に転送するための検出器および/または光学的要素、例えばレンズおよび/または光導波構成要素をさらに含むことができる。刺激は、典型的にはセンサー層に光プローブ放射を提供するように配置および構成された放射源、例えばレーザーまたは発光ダイオード(LED)である。
【0065】
光学センサーは、光が検出器により受け取られる前に、センサー層、例えば光学フィルターおよび/または光増幅器から収集された放射を光学的に選択および/または分析するための任意の構成要素をさらに含むことができる。検出器は、検出された発光放射を対応する信号に変換する。従って、光学センサーは、それが感作される分析物の量を表す信号を提供するように構成される。
【0066】
光学センサーおよび/もしくは電気化学センサーから、ならびに/または分析器の他の分析物センサーからの信号は、アナログおよび/またはデジタル信号処理のために試料分析器の処理ユニット8に提供される。処理ユニットは、測定データを分析器の記憶デバイスに記憶させ、測定データを分析器のディスプレイに表示させ、かつ/または測定データを分析器の出力、例えば通信インターフェースに提供することができる。
【0067】
複数の分析物センサーは読み出し機器の一部または全部を共有することができるがそれぞれの感知領域を定めるそれぞれのセンサー層を含むことができることは、理解されるであろう。さらに、読み取り機器の構成要素の少なくとも一部が分析器中に配置されることができることは、理解されるであろう。この目的のために、センサーデバイスは、分析器の読み出し機器がセンサーデバイスの感知層と協調することを可能にするように、適切なインターフェース、例えば電気的および/または光学的インターフェースを含むことができる。
【0068】
ある態様において、1つ以上の感知領域が、それぞれの分析物センサーのセンサー層により提供される。各センサー層は、測定チャンバーに向かって前側インタフェースを形成するセンサー表面を定めることができる。測定の間、前側インタフェースは、流体試料と接触していることができる。光学的および/または他の調査(probing)は、センサー層の裏側から、すなわち試料流体と逆方向を向く側から実施されることができる。この目的のために、センサー層は、透明または半透明であることができる。刺激は、典型的にはセンサー層において発光団の励起された割合を生成するように裏側からセンサー層に向けられる励起光の形で与えられることができる。励起された発光団分子は、発光の放出下で緩和して基底状態に戻り、それは、裏側からも観察され得る。従って、光学センサーは、さらに発光団から放出された発光を検出および記録し、そうして印加された刺激に対するセンサー層の応答を観察するための機器を含む。
【0069】
処理ユニット8にロードされた予めプログラムされた命令に従って、および/または使用者の入力に基づいて、測定が、分析物センサーを使用して実施される。分析物センサーは、それぞれの分析物に関する物理的パラメーターを表す定量的信号を生成し、その信号を処理ユニット8に提供する。処理ユニット8は、分析物センサーからの信号を受信して処理し、処理された信号を出力として使用者に、および/または後続の/さらなるデータ
分析に提示するように適合している。測定後、液体試料は、排出され、測定チャンバー2は、次の測定のために準備される。
【0070】
図1に示される装置1の態様は、特に血液パラメーターの測定に適合しており、さらに測定チャンバー2の下流に任意の酸素測定デバイス9を含む。従って、測定、較正タスクおよび品質管理手順の実施は、典型的には装填、取り出し(unloading)、すすぎ、クリーニングおよび異なる液体の再装填を含み、それは、液体取り扱いシステム20の基盤を使用して行われることができる。液体の取り扱いは、予めプログラムされた命令および/または使用者の入力に従って処理ユニット8により自動化された方法で制御されることができる。液体取り扱いシステム20は、すすぎ/洗い落とし、較正および品質管理タスクのために、プロセス液体(本明細書においてRINSE/CAL1、CAL2、QC1、QC2、QC3、METCAL、GASと示される)で予め充填されたいくつかのリザーバー21を含む。プロセス液体(RINSE/CAL1、CAL2、QC1、QC2、QC3、METCAL、GAS)は、既知の組成を有する。所与のバッチの正確な組成は、リザーバー21を含むカセットに取り付けられることができるチップ25に貯蔵されることができ、ここで、チップ25は、処理ユニット8により読み取られることができる。所与のプロセス工程のためのプロセス液体(RINSE/CAL1、CAL2、QC1、QC2、QC3、METCAL、GAS)は、流体セレクター弁22により選択されることができ、供給ライン12cを介して入口6を通って測定チャンバー2に移送されることができる。測定チャンバー2の正確な充填は、目視検査により、または既知の手順に従って、測定チャンバーの上流および下流に、例えばそれぞれ入口6に(液体センサー10a)、出口7に(液体センサー10b)、および酸素測定デバイス9の直後に(液体センサー10c)配置された液体センサー10a、10b、10cによりシステムを通る液体界面の伝播を観察することにより、監視および検証されることができる。装置1を通る流体の流れは、ポンプ23、ここでは測定チャンバー2および酸素化測定デバイス9の下流に配置され、流体ライン13を介してそれに接続された蠕動ホースポンプにより駆動される。排出された流体は、最終的に流体ライン14を通って廃棄物リザーバー24に輸送される。
【0071】
分析装置1は、センサーデバイス60を収容するための格納装置40を含む。格納装置40の壁は、センサーデバイスを保持するためならびにセンサーデバイスへおよびセンサーデバイスからの流体移送のための適切なインタフェースを提供するためならびにセンサーデバイスからのセンサー信号および/またはデータを通信するためならびに加熱要素に作動電力を提供するための壁および保持機序を有するハウジングを形成する。格納装置の壁は、熱シールドを提供するように、そしてセンサーデバイスの直近の環境を一定の温度で維持するために、固定された温度で保持されることができる。
【0072】
図2は、例えば
図1の分析器における使用のためのセンサーデバイスの一例のより詳細な図を概略的に示す。
一般に60で示されるセンサーデバイスは、センサーデバイスの様々な構成要素を収容するハウジング61を含む。ハウジングは、プラスチックから、または別の適切な材料から作製されることができる。
【0073】
センサーデバイスは、試料容積21を定める測定チャンバー2を有する。この例では、測定チャンバーは、基板層30および33ならびにガスケット層34を含むサンドイッチ構造として形成される。しかし、他の設計の測定チャンバーも同様に可能であることは、理解されるであろう。
【0074】
測定チャンバーは、測定チャンバー2の上壁および下壁を定める第1基板30および第2基板33を含む。測定チャンバーは、さらにガスケット材料、例えばポリマー材料から
作られた中間層34を含む。中間層は、スペーサーとも呼ばれ得る。中間層は、第1基板層および第2基板層の間に挟まれて配置される。中間層は、測定チャンバー2の側壁を定める。中間層は、凹部、スルーホールまたは同様の空隙を定めることができる。本明細書で使用される上壁、下壁および側壁という用語は単に測定チャンバーの様々な壁の容易な区別を可能にすることが意図されていることは、理解されると考えられ;当業者は、センサーデバイス中の測定チャンバーの物理的方向に応じて壁が空間において異なる方向に向けられることができること、すなわち上壁が下壁等の上方にある必要はないことを理解するであろう。第1および第2基板は、セラミック基板であることができ、またはそれらは、別の適切な材料から作製されることができる。
【0075】
測定チャンバーは、試料容積の入口端216において入口6を有し、入口端と反対側の測定チャンバーの出口端217において出口7を有する。入口および出口は、
図2において図説されるように、測定チャンバーのそれぞれの端部の最も先端に(all the way)配置されることができる。あるいは、測定チャンバーは、入口および出口の間のみよりもさらに延在していることができ、すなわち入口および/または出口は、末端壁からずれて配置されることができる。
図2の例では、入口6および出口7は、第2基板33において貫通孔として形成されている。しかし、入口および/または出口の代替の配置が、可能である。例えば、入口および出口の一方または両方が、第1基板層を通る、または中間層の側壁さえも通る貫通孔として形成されることができる。入口6は、ハウジング61の入口ポート611と流体連通している。入口ポートは、センサーデバイスが分析器の液体取り扱いシステム20の対応する供給ポート56に連結されることを可能にする。同様に、出口7は、ハウジング61の出口ポート71と流体連通している。出口ポートは、センサーデバイスが分析器の液体取り扱いシステム20の対応する戻りポート57に連結されることを可能にする。
【0076】
測定チャンバー2は、それぞれの分析物を検出するための分析物センサー39を有する。
図2の例では、分析物センサーは、試料容積21に面する測定チャンバーの内側表面上のそれぞれの位置に配置されている。特に、
図2の例では、いくつかの分析物センサーが、第1基板層30の内側表面上に配置され、いくつかの分析物センサーが、第2基板層33の内側表面上に配置されている。分析物センサー39は、電気的に、光学的に、および/または本開示に直面した場合に当業者に明らかな別の適切な様式で読み出されることができる。分析物センサーの数およびタイプは変動し得ることは、理解されるであろう。
図2の測定チャンバーは両方の基板層上に分析物センサーを有するが、当業者は、ある態様において全ての分析物センサーが同じ基板層に配置されることができることを理解するであろう。さらに、一部の分析物センサーが、または全ての分析物センサーさえも、測定チャンバーにわたるそれぞれの位置に他の方法で配置されることができる。
【0077】
測定チャンバーは、第1基板層30の外側表面上に配置された、すなわち試料および測定チャンバー21と逆方向を向く電気加熱要素32を含む。代替の態様では、測定チャンバーは、代替または追加の位置に、例えば第2基板層上に、第1または第2基板層の内側表面上に、すなわち試料および測定チャンバー21に面して、第1基板層内に埋め込まれて、等で1つ以上の加熱要素を含むことができる。電気加熱要素は、適切な加熱トレースレイアウトで第1基板の表面上に配置されるかまたは第1基板に一体化された抵抗加熱トレースの形態を有する。加熱トレースレイアウトの異なる例が、下記の
図5A~Dに関連して記載されるであろう。加熱要素は、端点301および電気的インターフェース36を介して電力を受け取る。この例の測定チャンバーは、第1基板層上にのみ配置された単一の加熱トレースのみを含む。
【0078】
測定チャンバーは、さらにサーミスタ31または別の適切な温度センサーをさらに含む。
図2の例では、サーミスタは、第一基板層30の内側表面に、入口6および出口7の間
のおおよそ中間に配置されている。他の態様では、温度センサーは、異なる位置に、例えば第2基板上に、かつ/または中心からずれて配置されていることができる。
【0079】
測定チャンバーは、場合によりさらなる構成要素、例えば電気回路35および/または分析物センサーと関係する構成要素を含むことができ、それは、第1基板の外側表面上および/またはセンサーデバイス60の異なる位置に配置されることができる。電気回路35は、センサーデバイスの電気的インターフェース36および様々な電気的構成要素、例えば分析物センサーおよび/またはサーミスタ31の間の電気的接触を提供することができる。電気的インターフェース36は、対応するインターフェース58を介して処理ユニット8との電気的接続を提供する。ある態様において、電力および/または信号は、センサーデバイスおよび分析器の他の構成要素の間で非接触方式、例えば電磁誘導で通信されることができることは、理解されるであろう。
【0080】
センサーデバイス60は、分析装置中に挿入されることができる交換可能なセンサーデバイスである。この目的のために、
図2に概略的に示されているように、分析装置は、例えば凹部、アダプター、容器等の形態のセンサーデバイス保持機序45を含むことができる。センサーデバイス保持機序45は、
図1に関連して記載されたように、格納装置の一部であることができる。センサーデバイス保持機序45は、センサーデバイスのそれぞれの入口および出口ポート611および71を介して測定チャンバーの入口6および出口7との流体接続を提供するための供給ポート56および戻しポート57を提供する。分析装置はさらに、加熱要素32およびサーミスタ31を分析器の処理ユニット8とセンサーデバイスの対応する電気的インターフェース36を介して接続するための電気的インターフェース58を提供する。インターフェース36および58は、測定チャンバーの分析物センサー39と相互作用する液体試料に応答してセンサーデバイスの分析物センサーからのセンサー信号を伝達する役目も果たすことができる。インターフェース58は、例えば保持機序中に配置されることができ、または異なる適切な位置に、例えばセンサーデバイスを収容するための格納装置の蓋部分または他の部分に配置されることができる。電気的インターフェースが、入口および出口が配置されている側とは反対側のセンサーデバイスの側に配置される場合、電気的インターフェースに影響を及ぼす潜在的な液体流出のリスクが、低減される。
【0081】
センサーデバイス保持機序45は、さらに測定チャンバー2の一定の温度を維持する役目を果たすことができる。この目的のために、センサーデバイス保持機序は、センサーデバイスがセンサーデバイス保持機序45中に挿入されるかまたは他の方法でそれに接続される際に熱伝達ブロック41が第2基板層33と直接接触させられるようにセンサーデバイスのハウジング中の対応する開口部を通って延在するような形状および大きさの熱伝達ブロック41を含む。従って、センサーデバイス保持機序45は、熱を直接測定チャンバーに伝導する。上記のように、センサーデバイス保持機序は、センサーデバイスがセンサーデバイスの周囲の熱環境に寄与し熱がセンサーデバイスから引き離されるのを防止することができる格納装置の内側に収容されるように保温性の蓋(thermal lid)(明示的には示されていない)をさらに含むことができる部分または格納装置であることができる。センサーデバイス保持機序45は、さらにヒーターおよび場合により温度センサー、例えばサーミスタを含むことができる。第2基板層と接触する熱伝達ブロック41の提供は、測定チャンバーが第1基板において加熱要素のみを含む態様において特に有用であり得る。
【0082】
図3は、例えば
図2の測定チャンバーの第2基板層の一例の上面図を概略的に示す。第2基板層33は、それぞれ入口6および出口7を定める貫通孔を含む。
図4は、例えば
図2の測定チャンバーの中間層の一例の上面図を概略的に示す。中間層34は、試料容積21の側壁を定めるガスケット材料、例えばポリマー材料を含む。中間
層は、第1および第2基板層を分離するスペーサーを形成する。
【0083】
図5A~5Dは、測定容積と逆方向を向く側から見た第1基板層の、例えば
図2の測定チャンバーのそれぞれの例の外側表面の上面図を概略的に示す。
第1基板層30は、組み立てられた測定チャンバーに対して中央に位置するその内側表面上に配置された温度センサー、例えばサーミスタを有する。温度センサーの位置は、
図5A~5Dの正方形31により示される。特に、温度センサーは、入口端からのその距離が出口端からのその距離とおおよそ等しいように配置される。温度センサーはまた、それが測定チャンバーの側面の側から実質的に等しく離れているように配置される。
【0084】
第1基板層30は、端点301Aおよび301Bの間に延在する加熱トレースとして形成された単一の抵抗加熱要素32をさらに含む。加熱トレースは、第1基板層の外側表面にわたる曲がりくねった/蛇行トレースレイアウトで延在する。加熱トレースは、表面の上に配置される、例えば印刷されることができ、または基板層に一体化されることもできる。
【0085】
図5A~5Dにおいて、第1基板が中間層と共に組み立てられる際に中間層により定められる試料容積の範囲が、破線21により示されている。試料容積は、第1基板層が他の構成要素と共に組み立てられて測定チャンバーを形成する際に測定チャンバーの入口に近接して配置される入口端および組み立てられた測定チャンバーの出口に近接して配置される出口端の間に延在する細長い容積である。入口および出口の位置は、
図5A~5Dにおいてそれぞれ円6および7により示されている。
【0086】
図5A~5Dの例は、異なるトレースレイアウトで配置されたそれらの加熱トレースを有する。全ての例において、トレースレイアウトは、入口6および出口7の間全体にわたって測定チャンバー21の長手方向の側面に沿って延在する周辺部分303を含む。トレースレイアウトの周辺部分303は、測定チャンバーの設置面積(footprint)の外側に配置され、すなわち測定チャンバーから側方にずれて配置される。
【0087】
トレースレイアウトは、測定チャンバー21の設置面積の内側に配置された中央部分304も含む。
図5A~5Dの例では、トレースレイアウトの中央部分304が測定チャンバーの長さにわたって、特に入口6および出口7の間の流路に沿って、異なる程度まで延在している。
【0088】
図5Aの例では、トレースレイアウトの中央部分は、測定チャンバーの長さの約半分のみ、特に入口6に近接した半分のみをカバーし、一方で出口7に近接する測定チャンバーの壁の他方の半分にはあらゆる加熱トレースがない。
図5Aの例では、加熱トレース32は、温度センサー31の位置を越えて延在しており、すなわち温度センサー31の近傍の第1基板の内側表面の部分は、加熱トレースにより覆われている。ある態様において、加熱トレースの全長は、均一な単位長さあたりの抵抗率を有し、すなわち加熱トレースの単位長さあたりの加熱作用は、加熱トレースの長さに沿って実質的に均一であり、すなわち加熱要素の加熱作用は、高い加熱トレース密度(単位表面積あたりの加熱トレースの長さとして測定される)を有する基板層の領域において、低い加熱トレース密度を有する領域におけるよりも高い。従って、
図5Aの基板層の加熱要素32は、入口6に近接する測定チャンバーの半分においてより高い加熱作用を提供し、出口7に近接する測定チャンバーの半分においてより低い加熱作用を提供する。
【0089】
代替の態様において、加熱トレースの単位長さ当たりの抵抗率は、その長さに沿って変動することができる。例えば、加熱トレースは、例えばトレース材料および/または加熱トレースの断面積を変更することにより、点線305により示される領域内で単位長さ当
たりの異なる抵抗率を提供されることができる。
【0090】
図5Bに示されるトレースレイアウトは、トレースレイアウトの中央部分304が試料容積の長さの半分未満、特に入口および出口の間の流路の長さの半分未満を覆うことを除いて、
図5Aのものと同様である。特に、温度センサー31の位置は、加熱トレースによりカバーされない。
【0091】
図5Cに示されるトレースレイアウトでは、トレースレイアウトの中央部分は、測定チャンバーの長さの大部分、特に入口および出口の間の流路の長さの大部分をカバーする。しかし、入口6に最も近い測定チャンバーの設置面積の半分において、トレース密度は、出口7に最も近い半分におけるよりも高い。
【0092】
従って、
図5A~
図5Cの全ての例において、トレースレイアウトの横方向中央部分は、入口6に最も近い測定チャンバーの設置面積の半分において、出口7に最も近い半分におけるよりも高いトレース密度を有する。
【0093】
図5Dは、加熱トレースが測定チャンバーの全長にわたって、特に入口6および出口7の間の流路の全長に沿って実質的に均一に延在するトレースレイアウトの一例を示している。この例は、下記の比較試験における参照として使用された。
【0094】
図6は、測定チャンバーの別の例を概略的に示す。
図6の測定チャンバー2は、第1基板層30、中間層34および第2基板層33(全て
図2と関連して記載されている通りである)を含む層状構造として形成されている点で、
図2に関連して記載された測定チャンバーに類似している。第1基板要素34は、測定チャンバーの入口端216および出口端217の間に延在する加熱トレースとして形成された加熱要素32を含む。加熱トレースは、トレース密度が出口端217の近傍におけるよりも入口端216の近傍においてより高いように、曲がりくねった/蛇行レイアウトで配置される。
【実施例0095】
異なる加熱トレースレイアウトを有する抵抗加熱要素を有する測定チャンバーを有するセンサーデバイスが、比較された。
センサーデバイスは、
図2~5に関連して記載されたタイプのものであった。測定チャンバーの4つの異なる実施例が、製造された。実施例は、第1基板層上の加熱トレースレイアウトを除いて同一であった:
- 実施例Aは、加熱トレースの均一な抵抗率を有する
図5Aに示されるような第1基板層を有していた。
【0096】
- 実施例Bは、加熱トレースの均一な抵抗率を有する
図5Bに示されるような第1基板層を有していた。
- 実施例Cは、加熱トレースの均一な抵抗率を有する
図5Cに示されるような第1基板層を有していた。
【0097】
- 実施例Dは、
図5Aに示されるような第1基板層を有していたが、加熱トレースの不均一な抵抗率を有していた。特に、線305により示される領域内の加熱トレースの断面積、従ってその抵抗率は、加熱トレースの残りの部分の断面積とは異なっていた。あるいは、または加えて、抵抗率は、加熱トレースの異なる部分に異なる材料組成を提供することにより変動させられることができる。
【0098】
さらに、第1および第2基板層が第1基板に関して
図5Dにおいて示されるように実質的に均一に分布した加熱トレースを有することを除いて実施例A~Dと同一である参照測
定チャンバー(現状)が、製造された。
【0099】
全ての測定チャンバーは、カリウムを測定するための4つの同一の分析物センサー(“Kセンサー”)を備えていた。Kセンサーは、それが高い温度依存性を有するため、選ばれてきた。同じタイプのセンサーを測定チャンバーにわたる異なる位置に配置することにより、測定結果における差は、測定チャンバーにわたる試料液体における温度差を示す。測定は、予め決定されたカリウム濃度を有する参照液を用いて実施された。
【0100】
全ての試験は、Radiometer Medical ApS(デンマーク)からのABL-90分析器を用いて実施された。その分析器は、全ての分析物センサーをKセンサーとして読み取ることができる特別なソフトウェアバージョンを備えていた。
【0101】
ヒーター抵抗が、全ての測定チャンバーに関して分析器中にセットされる前に測定された。全てのKセンサーは、それらの温度感度の係数が既知であるように較正された。
いくつかのシナリオが、以下の表1に記載されるように試験された。
【0102】
-分析器は、室温(約25℃)の標準的な試験機関に、または温度制御された部屋(異なる温度、すなわち15℃または32℃に設定された)に置かれた。
-分析された試料は、全てすすぎ溶液の試料であり、(0℃の試料に関して)氷水浴中に、または制御された温度の部屋に置かれた。
【0103】
-測定は、高頻度で行われた(ABL90の準備ができ次第すぐに吸引する-各開始の間最大2分-連続で10測定)。
【0104】
【0105】
図7~12は、異なる環境条件における各センサー位置および各加熱トレースレイアウトに関するKセンサーによる測定された温度の平均を示す。
図7~
図12では、センサー位置は、それぞれ“K”、“Na”、“pH”および“Ca”と表示されている(測定チャンバーのそれぞれの位置に通常配置されるセンサーのタイプを反映している)。加熱トレースレイアウトは、それぞれ“TEMP_A”(実施例A)、“TEMP_B”(実施例B)、“TEMP_C”(実施例C)、“TEMP_D”(実施例D)および“TEMP_REF”(参考)と表示されている。
【0106】
【0107】
上記の実験データに基づいて、測定チャンバーの第1および第2の壁の両方に加熱トレースを有する既存の比較的複雑な測定チャンバーデザインと比較した場合でさえも、第1の壁に配置された加熱要素のみを有する全ての実施例A~Dは許容可能な結果を提供するが、以下の理由により加熱トレースレイアウトBが好ましいように思われる:
-性能結果は、チャンバーの第1および第2の壁の両方にヒーターレーンを有する比較的複雑な既存の測定チャンバー設計と比較可能である。
【0108】
-測定チャンバーにわたる温度均一性は、他の試験された実施例(すなわち実施例A、CおよびD)と比較して好ましい。
本発明は、特定の具体的な態様を参照して記載されてきたが、その様々な改変が、本明細書に添付されている特許請求の範囲において概説されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。
【0109】
特に、一部の態様は、主に特定のタイプの測定チャンバーを参照して記載されてきた。しかし、センサーデバイスの他の態様は、他のタイプの測定チャンバーを含むことは、理解されるであろう。従って、測定チャンバー内に収容される流体を加熱するように構成されている本明細書で記載される加熱要素または加熱要素のシステムの様々な態様(ここで、加熱要素は、測定チャンバーの出口の近傍におけるよりも測定チャンバーの入口の近傍においてより大きい加熱作用を提供するように構成されている)は、様々な異なるタイプのセンサーデバイス、特に異なるタイプの測定チャンバーを有するセンサーデバイスに含まれることができる。
【0110】
一般に、ある態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下:a)第1および第2表面を有する第1電子配線基板ならびにその第1表面上に形成された少なくとも1つの分析物センサー(少なくとも1つの分析物センサーは、1つ以上の電気接点で接続されている)、b)第1および第2表面を有する第2電子配線基板ならびにその第1表面部分上に形成された少なくとも1つの分析物センサー(少なくとも1つの分析物センサーは、1つ以上の電気接点で接続されている)ならびにc)第1および第2開口部を有する貫通凹部(through-going recess)を有するスペーサー;を含むセンサーデバイス中に含まれ、ここで、第1基板、第2基板およびスペーサーは、層状構造で配置されており、ここで、第1基板の第1表面がスペーサーの第1開口部を塞ぎ、第2基板の第1表面がスペーサーの第2開口部を塞ぎ、それにより測定チャンバーを形成し、基板のそれぞれからの少なくとも1つの分析物センサーは測定チャンバーに面している。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2008/131767号(Radiometer Medical ApS)において記載されている。そのさらなる態様において、測
定チャンバーの容積は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル未満である。さらなる態様において、測定チャンバーの容積は、2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。従って、一態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。スペーサーにおける凹部ならびに第1および第2基板の第1表面により提供される測定チャンバーは、好ましくは約25~45マイクロリットルの容積、より好ましくは約30~40マイクロリットルの容積を提供する。そのような容積により、測定チャンバー中の分析物センサーによる測定のために非常に少ない試料が必要とされる。好ましくは、スペーサーの寸法は、以下の範囲内である:長さ20~60mm、幅5~20mmおよび厚さ0.2~0.6mm。スペーサー内の凹部は、以下の範囲内の寸法を有することができる:長さ10~50mm、幅1~5mmおよび深さ0.2~0.6mm。第1および第2基板ならびにスペーサーの寸法、従ってセンサーデバイスの寸法は、意図される使用に応じて適合させられることができる。しかし、好ましい態様において、第1基板は、以下の範囲内の寸法を有する:長さ約20~60mm、幅約5~20mmおよび厚さ約0.3~0.8mm。第2基板の幅および/または長さは、第1基板の幅および/または長さよりもいくらか大きいことができる。これは、一部の好ましい態様に関して第2基板の第1表面がセンサーデバイス中のスペーサーおよび第1基板の縁を越えて突出していることが好ましいという事実による。第2基板は、好ましくは以下の範囲内の寸法を有する:長さ約20~60mm、幅約5~40mmおよび厚さ0.3~0.8mm。第2基板の長さおよび幅は、約4~20mmの範囲の第1基板およびスペーサーの縁を越えた延長を提供することができる。
【0111】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:基部、基部の上に間隔をあけて配置された上部および基部から上部へと延びる外壁を有するハウジング;流体の試料を受け入れる大きさであるハウジングにおける入口;流体入口の周りに配置され互いに実質的に隔離された複数の区画、各区画は、流体入口により受け入れられた流体の試料の一部を受け入れるために流体入口においてポートを有する;ならびに各区画における少なくとも1つのセンサー、ここで、少なくとも1つのセンサーは、流体が少なくとも1つのセンサーと接触した際に流体に対して反応性であり、ここで、センサーデバイスは、流体入口から複数の区画の1つ以上により受け入
れられた流体の試料を少なくとも1つのセンサーと接触するように選択的に方向付けるように構成されている。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2018/112017号において記載されている。そのさらなる態様において、各区画中の決定のために使用される量、すなわち区画内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0112】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:第1外側シース、第1外側シース内の第1膜コアおよび第1膜コアにより少なくとも部分的に包まれており第1膜コアと接触している第1導電素子を有する第1マイクロセンサー、ここで、第1導電素子は、第1膜コアが流体と接触した際に第1電気応答信号を検出する;ならびに第1マイクロセンサーの外側表面に隣接する第2マイクロセンサー、第2マイクロセンサーは、第2外側シース、第2外側シース内の第2膜コアおよび第2膜コアにより少なくとも部分的に包まれており第2膜コアと接触している第2導電素子を有し、ここで、第2導電素子は、第2膜コアが流体と接触した際に第2電気応答信号を検出する。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2018/112012号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0113】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むマイクロキャピラリーセンサーデバイス中に含まれる:長手方向軸に沿って細長いセンサー本体、センサー本体は、第1端部、長手方向軸に沿って第1端部から間隔をあけて配置された第2端部、外側表面および内側表面を有し、ここで、内側表面は、長手方向軸に沿って第1端部から第2端部に向かって延びる中空キャピラリーを定めている;センサー本体を通って外側表面から中空キャピラリーへと延びる感知素子;ならびに感知素子と接触する導電素子;ここで、導電素子は、流体が中空キャピラリーを通って流れて感知素子と接触する際に、感知素子および流体の間の反応により生成された応答信号を検出する。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2018/112008号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0114】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:第1平面表面を有する第1平面基板;第2平面表面を有する第2平面基板;第1感知領域および第2感知領域、第1感知領域および第2感知領域は、第1平面表面および第2平面表面の間に配置されており、第1感知領域および第2感知領域の両方が、それぞれ第1電極および第2電極と電気的に接続された化学物質および/または試薬を含む;流路を有する第1平面状中間隔離層、ここで、第1感知領域は、第2感知領域の反対にあり、流路が第1感知領域および第2感知領域の間に配置されている;ならびに第1平面表面および第2平面表面の間に配置された第1加熱素子。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2017/120464号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0115】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:少なくとも第1感知領域を有する第1平面状中間隔離層;少なくとも第2感知領域を有する第2平面状中間隔離層;流路14を有する第3平面状中間隔離層、ここで、第1感知領域は、第2感知領域の反対にあり、流路が第1感知領域および第2感知領域の間に配置されている;第3平面状中間隔離層の反対にある第1中間隔離層に隣接して配置された第1平面状導電層;第1中間隔離層の反対にある第1平面状導電層に隣接して配置された第1平面基板;第3平面状中間隔離層の反対にある第2平面状中間隔離層に隣接して配置された第2平面基板、第2平面基板は、少なくとも第2感知領域と電気的に接触する第1導電性ビアを有する;ならびに第2平面状中間隔離層の反対にある第2平面基板に接触して配置された第2平面状導電層、第2平面状導電層は、第1導電性ビアと電気的に接触しており、ここで、第1平面状中間隔離層、第2平面状中間隔離層、第3平面状中間隔離層、第1平面状導電層、第1平面基板、第2平面基板および第2平面状導電層のそれぞれは、厚さにより隔てられた2つの平面表面を有し、それぞれの2つの平面表面のそれぞれは、おおよそ等しい平面面積を有し、ここで、第1導電層の平面面積は、第1平面状中間隔離層、第2平面状中間隔離層、第3平面状中間隔離層、第2平面基板および第2平面状導電層のそれぞれの平面面積より大きい。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2017/019609号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0116】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:単一の基板、基板は、第1表面を有し、第1表面は、線により分離された第1領域および第2領域を有し、第1領域は、単一の基板の第1表面の第2領域の反対にある;単一の基板上に配置された導体層、導体層は、第1領域にプリントされた第1電極群および第2領域にプリントされた第2電極群を含む;導体層上に配置された誘電体層、誘電体層は、第1電極群上に配置された誘電体材料の第1領域および第2電極群上に配置された誘電体材料の第2領域を含み、誘電体材料の第1領域および誘電体材料の第2領域は、それぞれが誘電体層中に形成されたそれぞれの第1反応ウェル群および第2反応ウェル群を含み、少なくとも1つの反応ウェルは、それぞれの電極に電気的に結合され、化学を含有している;ならびに誘電体材料の第1領域および誘電体材料の第2領域に隣接するスペーサー層、スペーサー層は、第1反応ウェル群および第2反応ウェル群の間に流路を形成している。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2016/106320号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0117】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含む試験細片中に含まれる:第1平面表面上に共面電極を有する第1平面基板および第2平面表面上に共面電極を有する第2平面基板、第1平面基板および第2平面基板は、第1平面基板の第1表面が第2平面基板の第2平面表面の反対にあるように配置されている;反対にある第1平面基板の第1表面および第2平面基板の第2平面表面の間に配置された中間層;第1電気接点に電気的に接続された第1感知領域を有する第1平面基板の第1平面表面;ならびに第1電気接点に導電素子を介して電気的に接続された第2電気接点を有する第2平面基板の第2平面表面、導電素子は、第1平面基板の第1表面および第2平面基板の第2表面の間に、第1平面基板または第2平面基板を通過することなく延びている。そのような試験細片は、国際公開第2016/011308号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、
7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0118】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:基層、基層の第1平面表面上に形成された導電層および導電層の第1平面表面または基層の第1平面表面の少なくとも一方の上に形成された誘電体層を有する第1平面基板、誘電体層は、導電層の第1平面表面から少し離れて配置された第1平面表面を有し、導電層は、少なくとも第1電気接点および第1電気接点から電気的に絶縁された第2電気接点を含み、誘電体層は、誘電体層を通る液体流路を定め、流路は、2つの側壁および2つの側壁の間に延在する底面を有し、2つの側壁は、基層の第1平面表面および誘電体層の第1平面表面の間に延在しており、そして誘電体層は、さらに導電層のそれぞれの第1電気接点および第2電気接点の上に第1感知領域および第2感知領域を定め、第1感知領域および第2感知領域は、流路中の液体がそれぞれ第1電気接点および第2電気接点に接触することを可能にする;ならびに第2平面基板、第2基板は、第1基板に接着されており、第1基板に接着される際、第2基板は、液体流路の上側表面を定め、液体流路の上側表面は、2つの側壁の間に延在し、流路の底部表面から少し離れて配置されている。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2016/007716号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
【0119】
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:第1表面および第1表面の反対にある第2表面を有する基板;基板の第1表面および第2表面の少なくとも一方の上に位置する少なくとも1つの分析物センサー;ならびに少なくとも1つの分析物センサーの対応する1つと電気的に通信する基板上に位置する少なくとも1つの電気接点、ここで、基盤は、内部表面および外部表面を有するチューブを定めるように構成されており、基板の第1表面の少なくとも一部が、チューブの内部表面を定めており、少なくとも1つの分析物センサーが、チューブの内部表面および外部表面の少なくとも一方の上に配置されている。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2013/163120号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、4
9または50マイクロリットルである。
別の態様において、本明細書で記載される加熱要素は、以下のものを含むセンサーデバイス中に含まれる:第1表面および第1表面の反対にある第2表面を有する基板;基板の第1表面および第2表面の少なくとも一方の上に位置する少なくとも1つの分析物センサー;ならびに少なくとも1つの分析物センサーの対応する1つと電気的に通信する基板上に位置する少なくとも1つの電気接点、ここで、基盤は、内部表面および外部表面を有するチューブを定めるように構成されており、基板の第1表面の少なくとも一部が、チューブの内部表面を定めており、少なくとも1つの分析物センサーが、チューブの内部表面および外部表面の少なくとも一方の上に配置されている。そのようなセンサーデバイスは、国際公開第2013/163120号において記載されている。そのさらなる態様において、決定のために使用される量、すなわち測定チャンバー内に収容される量は、1ml未満、例えば0.5ml未満、例えば200マイクロリットル未満、例えば100マイクロリットル未満、例えば50マイクロリットル未満、例えば2~50マイクロリットル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48または49マイクロリットル~3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50マイクロリットルである。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1]センサーデバイスであって、以下:
-少なくとも第1の壁を有する測定チャンバー、該測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、該測定チャンバーは、分析されるべき流体が、該流体が該測定チャンバー内に収容される際に該複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および該流体が該複数の分析物センサーと相互作用した後に該測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;該測定チャンバーは、分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、該試料容積は、少なくとも該入口および該出口の間に延在する;ならびに
-該測定チャンバー内に収容された流体を加熱するように構成された加熱要素;
を含み、該加熱要素が、該測定チャンバーの該出口の近傍におけるよりも該測定チャンバーの該入口の近傍においてより大きな加熱作用を提供するように構成されているセンサーデバイス。
[項目2]項目1に記載のセンサーデバイスであって、少なくとも該第1の壁の反対側の該測定チャンバーの第2の壁を含むセンサーデバイス。
[項目3]項目1または2に記載のセンサーデバイスであって、該加熱要素が、該第1の壁上にのみ配置されているセンサーデバイス。
[項目4]センサーデバイスであって、以下:
-少なくとも第1の壁および該第1の壁とは反対側の第2の壁を有する測定チャンバー、該測定チャンバーは、複数の分析物センサーを含み;ここで、該測定チャンバーは、分析されるべき流体が、該流体が該測定チャンバー内に収容される際に該複数の分析物センサーのそれぞれと相互作用することを可能にし;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を受け入れるように構成された入口および該流体が該複数の分析物センサーと相互作用した後に該測定チャンバーを出ることを可能にするように構成された出口を有し;該測定チャンバーは、該分析されるべき流体を収容するための試料容積を定め、該試料容積は、少なくとも該入口および該出口の間に延在する;ならびに
-該測定チャンバー中の流体を加熱するように構成された加熱要素;
を含み、該加熱要素が該第1の壁にのみ配置されているセンサーデバイス。
[項目5]項目2~4のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該第1の壁が、該第2の壁に面する第1表面および該第1の表面とは反対側で該第2の壁と逆方向を向く第2表面を有し、該加熱要素が、該第1の壁の該第2表面に配置されているセンサーデバイス。
[項目6]項目1~5のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該加熱要素が、該第1の壁の表面に配置され第1端点および第2端点の間に延在する導電性材料から作られた加熱トレースを含むセンサーデバイス。
[項目7]項目6に記載のセンサーデバイスであって、該加熱トレースが、曲がりくねったレイアウトおよび/または蛇行するレイアウトおよび/または螺旋状レイアウトで配置されているセンサーデバイス。
[項目8]項目6または7に記載のセンサーデバイスであって、該加熱トレースが、加熱トレースレイアウトで配置されており、該加熱トレースレイアウトが、単位表面積あたりの加熱トレースの長さとしてトレース密度を定義しており、該トレース密度が、該出口の近傍におけるよりも該入口の近傍においてより高いセンサーデバイス。
[項目9]項目8に記載のセンサーデバイスであって、該測定チャンバーが、該測定チャンバーの該入口および該出口の間の流路を定めており、該トレース密度が、該流路に沿った該入口および参照位置の間の該測定チャンバーの第1部分に沿って、該参照位置および該出口の間に延在する該測定チャンバーの第2部分に沿ったものよりも高いセンサーデバイス。
[項目10]項目6~9のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該加熱トレースが、該加熱トレースに沿って変動する電気抵抗率を有するセンサーデバイス。
[項目11]項目1~10のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該測定チャンバーの第1の壁を定める第1基板層を含むセンサーデバイス。
[項目12]項目11に記載のセンサーデバイスであって、該第1基板層が、中央層部分および周辺層部分を含み、該中央層部分が、該測定チャンバーの第1の壁を定め、該周辺層部分が、該測定チャンバーから側方にずれて配置され、該測定チャンバーが、該測定チャンバーの該入口および該出口の間に定められた流路を定め、かつ該加熱トレースが、周辺トレース部分および中央トレース部分を含み、該周辺トレース部分が、該周辺層部分の表面上に配置され、該中央トレース部分が、該中央層部分上に配置されているセンサーデバイス。
[項目13]項目12に記載のセンサーデバイスであって、該周辺トレース部分が、該入口および該出口の間の該流路の長さに沿って実質的に均一に分布しているセンサーデバイス。
[項目14]項目12または13に記載のセンサーデバイスであって、該中央トレース部分が、該中央トレース部分のトレース密度が該出口の近傍におけるよりも該入口の近傍においてより高いように該入口および該出口の間の該流路の長さに沿って不均一に分布しているセンサーデバイス。
[項目15]項目14に記載のセンサーデバイスであって、該中央トレース部分が、該入口に近位の該測定チャンバーの部分にのみ、例えば該測定チャンバーの入口端および中央部分の間にのみ配置されているセンサーデバイス。
[項目16]項目2~5のいずれか1項に従属する場合の項目11~15のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該測定チャンバーの該第2の壁を定める第2基板層を含むセンサーデバイス。
[項目17]項目16に記載のセンサーデバイスであって、該第1および第2基板層の間に配置された中間層を含み、該中間層が、該測定チャンバーを収容しているセンサーデバイス。
[項目18]項目16または17に記載のセンサーデバイスであって、該入口および出口のそれぞれが、該第1基板層または該第2基板層を通って延在しているセンサーデバイス。
[項目19]項目1~18のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、少なくとも該測定チャンバーを収容するハウジングを含み、該ハウジングが、該測定チャンバーの少なくとも1つの壁の表面の一部を露出させる開口部を含み、前記の露出部分が、該試料容積と逆方向を向いているセンサーデバイス。
[項目20]項目1~19のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、温度センサー、特にサーミスタ素子を含むセンサーデバイス。
[項目21]項目20に記載のセンサーデバイスであって、該温度センサーが、加熱トレースを含ま
ない位置で第1の壁の表面に配置されているセンサーデバイス。
[項目22]項目20または21に記載のセンサーデバイスであって、該温度センサーが、該測定チャンバーの中央部分に配置されているセンサーデバイス。
[項目23]項目1~22のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、単一の加熱要素のみを含むセンサーデバイス。
[項目24]項目1~23のいずれかに記載のセンサーデバイスであって、該分析物センサーのそれぞれが、以下:
-pO
2
、pCO
2
、pH;
-電解質、例えばLi
+
、Na
+
、K
+
、Ca
2+
、Mg
2+
、Cl
-
、HCO
3-
またはNH
3
(NH
4
+
)の濃度;
-代謝因子、例えばグルコース、クレアチニン、尿素(BUN)、尿酸、乳酸、ピルビン酸、アスコルビン酸、ホスフェートまたはタンパク質の濃度;ならびに
-酵素、例えば乳酸デヒドロゲナーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、コリン、エステラーゼ、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパルテート、アミノトランスフェラーゼまたはクレアチニンキナーゼの濃度;
の群から選択される1種類以上の分析物のパラメーターを感知するように構成されているセンサーデバイス。
[項目25]項目1~24のいずれかに記載のセンサーデバイスであって、液体試料、例えば体液のパラメーターを分析するために構成されているセンサーデバイス。
[項目26]項目1~25のいずれかに記載のセンサーデバイスであって、該流体試料が、血液、希釈された全血または未希釈の全血、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、胸膜、滑液、腹水液、腹腔液、羊水、乳、透析液試料からなる群から選択される液体であるセンサーデバイス。
[項目27]項目1~26のいずれか1項に記載のセンサーデバイスであって、該流体試料が、呼吸ガスまたは呼気からなる群から選択される医学的ガス試料であるセンサーデバイス。
[項目28]項目1~27のいずれか1項に記載のセンサーデバイスを受け入れるように構成されたセンサーデバイス保持機序を含む分析装置。
[項目29]項目28に記載の分析装置であって、該センサーデバイス保持機序が、項目19に記載のセンサーデバイスを受け入れるように構成されており、該センサーデバイス保持機序が、該センサーデバイスが該センサーデバイス保持機序により受け入れられる際に該開口部を通って延在して該表面の露出部分との熱交換接触をもたらすように構成された熱交換部材を定める蓄熱体要素を含む分析装置。
[項目30]項目28または29に記載の分析装置であって、センサーデバイス保持機序が、以下:
-該センサーデバイスが該センサーデバイス保持機序により受け入れられた際に該センサーデバイスの該入口との流体連通をもたらすように構成された導管;および
-前記の導管を通って該センサーデバイスの該入口に向かって流れる流体を予熱するように構成された加熱要素;
を含む分析装置。
[項目31]項目28~30のいずれかに記載の分析装置であって、該分析装置が、医学的ガス試料のパラメーターを分析するように適合されている分析装置。