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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160299
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】デジタルバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20241106BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241106BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61B10/00 H
A61B5/11 230
A61B5/22 200
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024130521
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2021573176の分割
【原出願日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】19181137.1
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.iPhone
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ゴッセンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リップスマイアー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ デトレフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被験者の能動的なテストによる、筋肉の障害、特に、SMAを有する被験者の遠位運動機能の評価のための診断およびデバイスを提供する。
【解決手段】30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによってできるだけ多くのトマトをつぶす診断タスクを実行するように被験者を促すことと、診断タスクを実行することに応答して、デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、第2のセンサデータから、被験者の遠位運動機能に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、第2の複数の特徴に基づいて、被験者の遠位運動機能の第2の評価を決定することとをさらに行わせる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の遠位運動機能を評価するための診断デバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記デバイスに関連する1つまたは複数のセンサと、
コンピュータ可読命令を記憶したメモリであって、
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記デバイスに、
前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信されたschiデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記第1の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記遠位運動機能の第1の評価を決定することと
を行わせる、
前記コンピュータ可読命令を記憶したメモリと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記デバイスに、
30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによってできるだけ多くのトマトをつぶす診断タスクを実行するように前記被験者を促すことと、
前記被験者が前記診断タスクを実行することに応答して、前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信された前記第2のセンサデータから、前記被験者の前記遠位運動機能に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記第2の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記遠位運動機能の第2の評価を決定することと
をさらに行わせる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
スマートフォンである、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
診断タスクが、筋肉機能テストのうちの少なくとも1つに関連付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の遠位運動機能を評価するためのコンピュータ実装方法であって、
デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信された前記第1のセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記第1の複数の特徴に基づいて、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能の第1の評価を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項6】
1つまたは複数の診断タスクを実行するように前記被験者を促すことと、
前記被験者が前記1つまたは複数の診断タスクを実行することに応答して、前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信された前記第2のセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、
少なくとも、抽出された前記第2のセンサデータに基づいて、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能の第2の評価を決定することと
をさらに含む、請求項5に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記被験者の遠位運動機能が、能動的タスクに基づいて、特に、30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによって取得されたつぶされたトマトの量に基づいて評価される、請求項5または6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記被験者が人間である、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイスまたは請求項5~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の遠位運動機能を評価するための方法を実行することをプロセッサに行わせるための機械可読命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体であって、
前記方法が、
デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信することと、
受信された前記センサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記複数の特徴に基づいて、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能の評価を決定することと
を含む、
非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項10】
被験者における筋肉の障害、特に、SMAを評価する方法であって、
請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイスが前記被験者によって使用された、第1のあらかじめ定義された時間ウィンドウ内の前記デバイスの使用データを含むデータセットから、使用行動パラメータを決定するステップと、
決定された少なくとも1つの前記使用行動パラメータを基準と比較するステップであって、それにより、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者が評価されることになる、比較するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者であることについて被験者を識別する方法であって、
i)30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによってできるだけ多くのトマトをつぶす診断タスクについて被験者を採点することと、
ii)決定された前記採点を基準と比較することであって、それにより、筋肉の障害、特に、SMAが評価されることになる、比較することと
を含む、方法。
【請求項12】
筋肉の障害、特に、SMAの進行の可能性を減少させるために前記被験者に医薬活性剤を投与することであって、特に、前記医薬活性剤は、被験者におけるSMAを治療するのに好適であり、特に、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害薬、生存運動ニューロンタンパク質1調節薬、SMN2発現阻害薬、SMN2スプライシング調節薬、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2調節薬、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害薬、より具体的にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベク、リスジプラム、またはブラナプラムである、前記被験者に医薬活性剤を投与すること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
決定された少なくとも1つのパラメータは、前記被験者が前記医薬剤を用いた治療を受ける前の患者の基準パラメータと比較してより良好である、請求項12に記載の方法の組合せ。
【請求項14】
前記被験者が人間である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤がリスジプラムである、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、改善された被験者テストおよび被験者分析のための医療デバイスに関する。より詳細には、本明細書で説明される態様は、被験者の能動的なテストにより被験者における筋肉の障害、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の症状の重大度および進行を評価するための診断デバイス、システムおよび方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、近位脊髄性筋萎縮症および5q脊髄性筋萎縮症とも呼ばれる常染色体劣性疾患である。それは、運動ニューロンの損失および進行性筋消耗に関連する低罹患率をもつ致命的な神経筋障害である。
【0003】
SMAは、健康問題となっており、それらの医療制度にとって著しい経済的な負担にもなっている。SMAがCNSの臨床的に不均一な疾患であるので、現在の疾病状態および症状の進行の信頼できる診断および識別を可能にし、したがって、正確な治療を助けることができる診断ツールが必要とされる。
【0004】
SMAと診断された被験者における症状の重大度および進行を測定するためのいくつかの規格化された方法およびテストがある。テストは、医師が物理的な機能を実行する被験者の能力を測定することを伴う。これらの規格化されたテストは、様々な症状、特に、遠位運動機能の評価を与えることができ、時間にわたってこれらの症状の変化を追跡するのを助けることができる。したがって、規格化された方法およびテストを使用して症状の重大度および進行を評価することは、治療および療法オプションを誘導するのを助けることができる。
【0005】
現在、筋肉の障害、特に、SMAと診断された被験者における症状の重大度および進行を評価することは、6~12カ月ごとにクリニックでの被験者の監視およびテストを伴う(http://www.motor-function-measure.org/user-s-manual.aspx、MFM004、MFM017、MFM018、MFM019、MFM020、MFM021、MFM022、MFM-17、18、19、22(非特許文献1))。より高い頻度で被験者を監視し、テストすることが理想的であるが、クリニックでの監視およびテストの頻度を増加させることは被験者にはコストがかかり不便であり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】http://www.motor-function-measure.org/user-s-manual.aspx、MFM004、MFM017、MFM018、MFM019、MFM020、MFM021、MFM022、MFM-17、18、19、22
【発明の概要】
【0007】
簡単な概要
以下は、本明細書で説明される様々な態様の簡略化された概要を提示する。本概要は、包括的な概要ではなく、主要なもしくは重要な要素を識別することまたは特許請求の範囲を画成することを意図するものではない。以下の概要は、以下で与えられるより詳細な説明に対する紹介的な導入部として簡略化された形でいくつかの概念を提示するにすぎない。本明細書で説明される態様は、筋肉の障害、特に、SMAと診断された被験者のための症状の重大度および進行を評価するための特殊な医療デバイスについて説明する。テストおよび監視は、リモートで、クリニック環境の外部で行われ、それによって、被験者により低コスト、増加した頻度、および簡略化された容易さおよび利便性を与え、症状の進行の改善された検出を生じ、次に、より良い治療を生じ得る。
【0008】
一態様によれば、本開示は被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための診断デバイスに関する。本デバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、デバイスに関連する1つまたは複数のセンサと、コンピュータ可読命令を記憶したメモリであって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、デバイスに、デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、受信された第1のセンサデータから、被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、抽出された第1の複数の特徴に基づいて、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の第1の評価を決定することとを行わせるコンピュータ可読命令を記憶したメモリとを含む。
【0009】
1)筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の遠位運動機能を評価するための診断デバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記デバイスに関連する1つまたは複数のセンサと、
コンピュータ可読命令を記憶したメモリであって、
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記デバイスに、
前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信された前記第1のセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記第1の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記遠位運動機能の第1の評価を決定することと
を行わせる、
前記コンピュータ可読命令を記憶したメモリと
を備える、デバイス。
【0010】
2)前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記デバイスに、
30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによってできるだけ多くのトマトをつぶす診断タスクを実行するように前記被験者を促すことと、
前記被験者が前記診断タスクを実行することに応答して、前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信された前記第2のセンサデータから、前記被験者の前記遠位運動機能に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記第2の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記遠位運動機能の第2の評価を決定することと
をさらに行わせる、E1に記載のデバイス。
【0011】
3)スマートフォンである、E1または2に記載のデバイス。
【0012】
4)診断タスクが、筋肉機能テストのうちの少なくとも1つに関連付けられる、E1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【0013】
5)筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の遠位運動機能を評価するためのコンピュータ実装方法であって、
デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信された前記第1のセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記第1の複数の特徴に基づいて、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能の第1の評価を決定することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【0014】
6)1つまたは複数の診断タスクを実行するように前記被験者を促すことと、
前記被験者が前記1つまたは複数の診断タスクを実行することに応答して、前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信された前記第2のセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する第2の複数の特徴を抽出することと、
少なくとも、抽出された前記第2のセンサデータに基づいて、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能の第2の評価を決定することと
をさらに含む、E5に記載のコンピュータ実装方法。
【0015】
7)前記被験者の遠位運動機能が、能動的タスクに基づいて、特に、30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによって取得されたつぶされたトマトの量に基づいて評価される、E5または6に記載のコンピュータ実装方法。
【0016】
8)前記被験者が人間である、E1~4のいずれか一項に記載のデバイスまたは請求項5~7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【0017】
9)筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の遠位運動機能を評価するための方法を実行することをプロセッサに行わせるための機械可読命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体であって、
前記方法が、
デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信することと、
受信された前記センサデータから、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する複数の特徴を抽出することと、
抽出された前記複数の特徴に基づいて、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者の前記遠位運動機能の評価を決定することと
を含む、
非一時的機械可読記憶媒体。
【0018】
10)被験者における筋肉の障害、特に、SMAを評価する方法であって、
請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイスが前記被験者によって使用された、第1のあらかじめ定義された時間ウィンドウ内の前記デバイスの使用データを含むデータセットから、使用行動パラメータを決定するステップと、
決定された少なくとも1つの前記使用行動パラメータを基準と比較するステップであって、それにより、筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者が評価されることになる、比較するステップと
を含む、方法。
【0019】
11)筋肉の障害、特に、SMAをもつ被験者であることについて被験者を識別する方法であって、
i)30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによってできるだけ多くのトマトをつぶす診断タスクについて被験者を採点することと、
ii)決定された前記採点を基準と比較することであって、それにより、筋肉の障害、特に、SMAが評価されることになる、比較することと
を含む、方法。
【0020】
12)筋肉の障害、特に、SMAの進行の可能性を減少させるために前記被験者に医薬活性剤を投与することであって、特に、前記医薬活性剤は、被験者におけるSMAを治療するのに好適であり、特に、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害薬、生存運動ニューロンタンパク質1調節薬、SMN2発現阻害薬、SMN2スプライシング調節薬、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2調節薬、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害薬、より具体的にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベク、リスジプラム、またはブラナプラムである、前記被験者に医薬活性剤を投与すること
をさらに含む、E11に記載の方法。
【0021】
13)決定された少なくとも1つのパラメータは、前記被験者が前記医薬剤を用いた治療を受ける前の患者の基準パラメータと比較してより良好である、E12に記載の方法の組合せ。
【0022】
14)前記被験者が人間である、E12または13に記載の方法。
【0023】
15)前記薬剤がリスジプラムである、E12~14のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書で説明される態様およびそれらの利点のより完全な理解は、同様の参照番号が同様の特徴を示す添付の図面を考慮して以下の説明を参照することによって獲得され得る。
【0025】
図1】被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための診断デバイスが例示的な一実施形態に従って提供される例示的な環境の図である。
図2】例示的な一実施形態に従って被験者の能動的なテストに基づいて被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための方法の流れ図である。
図3】本明細書で説明される1つまたは複数の例示的な態様を実装するために使用され得るネットワークアーキテクチャおよびデータ処理デバイスの一例を示す図である。
図4】本明細書で説明される1つまたは複数の例示的な態様による診断アプリケーションを示す一例を示す図である。
図5】例1によるセンサ特徴結果を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
様々な態様の以下の説明では、本明細書の一部を形成し、例として、本明細書で説明される態様が実施され得る様々な実施形態が示される添付の図面を参照されたい。他の態様および/または実施形態が利用され得、構造的および機能的な変更が、説明される態様および実施形態の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。本明細書で説明される態様は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。また、本明細書で使用する語法および用語は、説明のためのものであり、限定すると見なすべきではないことを理解されたい。むしろ、本明細書で使用される句および用語は、それらの最も広い解釈および意味を与えられるべきである。「を含むこと」および「を備えること」およびそれらの変形形態の使用は、その後に記載される項目およびそれらの等価物ならびに追加の項目およびそれらの等価物を包含するように意図されている。「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、「配置された」、「係合された」という用語および同様の用語の使用は、直接的と間接的との両方の取付け、接続、結合、配置、係合を含むように意図されている。
【0027】
本明細書で説明されるシステム、方法およびデバイスは、被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための診断を提供する。いくつかの実施形態では、診断は、モバイルデバイス、特に、スマートフォン上にインストールされたソフトウェアアプリケーションとして被験者に提供され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、被験者が日常生活の活動を実行するとき、診断は、モバイルデバイスに関連する1つまたは複数のセンサからセンサデータを取得または受信する。いくつかの実施形態では、センサは、スマートフォンのようなモバイルデバイスまたはスマートウォッチのようなウェアラブルセンサ内にあり得る。いくつかの実施形態では、筋肉の障害、特に、SMAの症状に関連するセンサ特徴は、受信または取得されたセンサデータから抽出される。いくつかの実施形態では、被験者における筋肉の障害、特に、SMAの症状の重大度および進行の評価は、抽出されたセンサ特徴に基づいて決定される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示によるシステム、方法およびデバイスは、被験者の能動的なテストに基づいて被験者における筋肉の障害、特に、SMAを評価するための診断を提供する。いくつかの実施形態では、診断は、診断タスクを実行するように被験者を促す。いくつかの実施形態では、診断タスクは、確立された方法および規格化されたテスト中にアンカリングされるかまたはその後にモデル化される。いくつかの実施形態では、被験者が診断タスクを実行することに応答して、診断は、1つまたは複数のセンサを介してセンサデータを取得または受信する。いくつかの実施形態では、センサは、モバイルデバイスまたは被験者によって着用されたウェアラブルセンサ内にあり得る。いくつかの実施形態では、筋肉の障害、特に、SMAの症状に関連するセンサ特徴は、受信または取得されたセンサデータから抽出される。いくつかの実施形態では、被験者における筋肉の障害、特に、SMAの症状の重大度および進行の評価は、センサデータの抽出された特徴に基づいて決定される。
【0030】
本開示による診断を使用した筋肉の障害、特に、SMAの症状の重大度および進行の評価は、臨床結果に基づく評価と十分に相関し、したがって、臨床的な被験者の監視およびテストを置き換え得る。本開示による例示的な診断は、クリニック環境の外で使用され、したがって、コスト、被験者の監視の容易さおよび被験者の利便性の点で利点を有し得る。これは、頻繁な、特に、毎日の被験者の監視およびテストを容易にし、病期のより良い理解を生じ、臨床コミュニティと研究コミュニティとの両方に有用である疾患に関する洞察を与える。本開示による例示的な診断は、被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の小さい変化にさえより早い検出を与えることができ、したがって、個別化された療法を含むより良い疾病管理のために使用され得る。
【0031】
図1は、被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための診断デバイス105が提供される例示的な環境の図である。いくつかの実施形態では、デバイス105は、スマートフォン、スマートウォッチまたは他のモバイルコンピューティングデバイスであり得る。デバイス105は、ディスプレイ画面160を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ画面160は、タッチスクリーンであり得る。デバイス105は、少なくとも1つのプロセッサ115と、少なくとも1つのプロセッサ115によって実行されたとき、デバイス105に、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価させる症状監視アプリケーション130のためのコンピュータ命令を記憶するメモリ125とを含む。デバイス105は、デバイス105に関連する1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。いくつかの実施形態では、デバイスに関連する1つまたは複数のセンサは、デバイス内に配設されたセンサまたは被験者によって着用されたセンサのうちの少なくとも1つであり、デバイスと通信するように構成される。図1では、デバイス105に関連するセンサは、デバイス105内に配設された第1のセンサ120aと、被験者110によって着用される可能性がある第2のセンサ120bとを含む。デバイス105は、被験者110が活動を実行するときに第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。
【0032】
デバイス105は、受信された第1のセンサデータと第2のセンサデータとから、被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能に関連する特徴を抽出する。いくつかの実施形態では、被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの症状は、被験者110の遠位運動機能を示す症状と、被験者110の遠位運動機能を示す症状とを含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、デバイス105に関連するセンサ120は、BluetoothおよびWiFi機能に関連するセンサを含み得、センサデータは、センサ120によって受信されたBluetoothおよびWiFi信号に関連する情報を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス105は、受信された第1のセンサデータと第2のセンサデータとから、デバイス105またはセンサによって受信または送信されたBluetoothおよびWiFi信号の密度に対応するデータを抽出する。いくつかの実施形態では、被験者110の遠位運動機能の評価は、抽出されたBluetoothおよびWiFi信号データに基づき得る(たとえば、被験者の社会性の評価は、ピックアップされたBluetoothおよびWiFi信号の密度に部分的に基づき得る)。
【0034】
デバイス105は、受信された第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態では、デバイス105は、サーバ150にネットワーク180を介して抽出された特徴を送る。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、サーバプロセッサ155によって実行されたとき、プロセッサ155に、デバイス105からサーバ150によって受信された抽出された特徴に基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定させる症状評価アプリケーション170のためのコンピュータ命令を記憶するメモリ161とを含む。いくつかの実施形態では、症状評価アプリケーション170は、デバイス105から受信されたセンサデータの抽出された特徴とメモリ160中に記憶された被験者データベース175とに基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定し得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、被験者および/または臨床データを含み得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、筋肉の障害、特に、SMAの被験者からのベースライン時および経時での遠位運動機能のクリニックでのセンサベースの計測を含み得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、サーバ150とは無関係であり得る。いくつかの実施形態では、サーバ150は、デバイス105に被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の決定された評価を送る。いくつかの実施形態では、デバイス105は、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を出力し得る。いくつかの実施形態では、デバイス105は、評価に基づいて被験者110に情報を通信し得る。いくつかの実施形態では、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価は、評価に基づいて被験者110のための個別化された療法を決定し得る臨床医に通信され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、症状監視アプリケーション130のためのコンピュータ命令は、少なくとも1つのプロセッサ115によって実行されたとき、デバイス105に、被験者110の能動的なテストに基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価させる。デバイス105は、1つまたは複数のタスクを実行するように被験者110を促す。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の診断タスクを実行するように被験者を促すことは、事前指定された文章を転記するように被験者を促すことまたは1つまたは複数の行為を実行するように被験者を促すことを含む。いくつかの実施形態では、診断タスクは、筋肉の障害、特に、SMAを査定および評価するための確立されている方法および規格化されたテスト中にアンカリングされるかまたはテストの後にモデル化される。
【0036】
本明細書において開示する実施形態によれば、センサは、たとえば、動きセンサであり得る。
【0037】
被験者110が1つまたは複数の診断タスクを実行することに応答して、診断デバイス105は、デバイス105に関連する1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。上述のように、デバイス105に関連するセンサは、デバイス105内に配設された第1のセンサ120aと、被験者110によって着用された第2のセンサ120bとを含み得る。デバイス105は、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の診断タスクは、遠位運動機能の測定、特に、タスクを実行するときに指がガラスにタッチする間の時間差(ダブルタッチの非同時性)の計測に関連付けられ得る。
【0038】
デバイス105は、受信された複数の第1のセンサデータと受信された複数の第2のセンサデータとから、被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能に関連する特徴を抽出する。被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの症状は、被験者110の遠位運動機能を示す症状を含み得る。
【0039】
デバイス105は、受信された第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態では、デバイス105は、サーバ150にネットワーク180を介して抽出された特徴を送る。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、サーバプロセッサ155によって実行されたとき、プロセッサ155に、デバイス105からサーバ150によって受信された抽出された特徴に基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定させる症状評価アプリケーション170のためのコンピュータ命令を記憶するメモリ161とを含み得る。いくつかの実施形態では、症状評価アプリケーション170は、デバイス105から受信されたセンサデータの抽出された特徴とメモリ160中に記憶された被験者データベース175とに基づいて、被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定し得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、被験者および/または臨床データを含み得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、筋肉の障害、特に、SMAの被験者からのベースライン時および経時での遠位運動機能の計測を含み得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、筋肉の障害、特に、SMAの他のステージにおける被験者からのデータを含み得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、サーバ150とは無関係であり得る。いくつかの実施形態では、サーバ150は、デバイス105に被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の決定された評価を送る。いくつかの実施形態では、デバイス105は、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を出力し得る。いくつかの実施形態では、デバイス105は、評価に基づいて被験者110に情報を通信し得る。いくつかの実施形態では、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価は、評価に基づいて被験者110のための個別化された療法を決定し得る臨床医に通信され得る。
【0040】
図2は、図1の例示的なデバイス105を使用した被験者の能動的なテストに基づいて被験者における筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための例示的な方法を示す。図3について図1を参照しながら説明するが、図3の方法ステップが他のシステムによって実行され得ることに留意されたい。本方法は、1つまたは複数の診断タスクを実行するように被験者を促すこと(205)を含む。本方法は、被験者が1つまたは複数のタスクを実行することに応答して、1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信すること(ステップ210)を含む。本方法は、受信されたセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能に関連する複数の特徴を抽出すること(215)を含む。本方法は、少なくとも、抽出されたセンサデータに基づいて、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定すること(ステップ220)を含む。
【0041】
図2は、図1中の例示的なデバイス105を使用した被験者110の能動的なテストに基づいて筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能を評価するための例示的な方法を示す。いくつかの実施形態では、デバイス105を使用した被験者110の能動的なテストは、症状監視アプリケーション130のユーザインターフェースを介して選択され得る。
【0042】
本方法は、診断タスクを実行するように被験者を促すことを含むステップ205に進むことによって始まる。デバイス105は、1つまたは複数の診断タスクを実行するように被験者110を促す。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の診断タスクを実行するように被験者を促すことは、1つまたは複数の行為を実行するように被験者を促すことを含む。いくつかの実施形態では、診断タスクは、筋肉の障害、特に、SMAを査定および評価するための確立されている方法および規格化されたテスト中にアンカリングされるかまたはその後にモデル化される。
【0043】
いくつかの実施形態では、診断タスクは、30秒内にできるだけ頻繁にトマトをつぶすことを含み得る。
【0044】
本明細書で使用する「テスト」という用語は、本明細書で説明されるように診断タスクを実行するように被験者が依頼されるテストを記述する。
【0045】
本方法は、被験者が1つまたは複数の診断タスクを実行することに応答して、1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することを含むステップ210に進む。被験者110が1つまたは複数の診断タスクを実行することに応答して、診断デバイス105は、デバイス105に関連する1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。上述のように、デバイス105に関連するセンサは、デバイス105内に配設された第1のセンサ120aと、被験者110によって着用された第2のセンサ120bとを含む。デバイス105は、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。
【0046】
本方法は、受信されたセンサデータから、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能に関連する第2の複数の特徴を抽出することを含むステップ215に進む。デバイス105は、受信された第1のセンサデータと第2のセンサデータとから、被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能に関連する特徴を抽出する。被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの症状は、被験者110の遠位運動機能を示す症状を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の第1および第2のセンサデータの抽出された特徴は、遠位運動機能などの筋肉の障害、特に、SMAの症状を示し得る。
【0047】
本方法は、少なくとも、抽出されたセンサデータに基づいて、筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定することを含むステップ220に進む。デバイス105は、受信された第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態では、デバイス105は、サーバ150にネットワーク180を介して抽出された特徴を送り得る。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、プロセッサ155によって実行されたとき、デバイス105からサーバ150によって受信された抽出された特徴に基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定する症状評価アプリケーション170のためのコンピュータ命令を記憶するメモリ160とを含む。いくつかの実施形態では、症状評価アプリケーション170は、デバイス105から受信されたセンサデータの抽出された特徴とメモリ160中に記憶された被験者データベース175とに基づいて被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を決定し得る。被験者データベース175は、様々な臨床データを含み得る。いくつかの実施形態では、第2のデバイスは、1つまたは複数のウェアラブルセンサであり得る。いくつかの実施形態では、第2のデバイスは、慣性測定ユニット(IMU)をもつ動きセンサを含む任意のデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、第2のデバイスは、いくつかのデバイスまたはセンサであり得る。いくつかの実施形態では、被験者データベース175は、サーバ150とは無関係であり得る。いくつかの実施形態では、サーバ150は、デバイス105に被験者110中の筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の決定された評価を送る。図1などのいくつかの実施形態では、デバイス105は、デバイス105のディスプレイ160上に筋肉の障害、特に、SMAの遠位運動機能の評価を出力し得る。
【0048】
上記で説明したように、本開示による診断を使用した筋肉の障害、特に、SMAの症状の重大度および進行の評価は、臨床結果に基づく評価と十分に相関し、したがって、臨床的な被験者の監視およびテストを置き換え得る。本開示による診断は、筋肉の障害をもつ被験者のグループ、特にSMAの被験者の中で研究された。被験者は、遠位運動機能テスト、特に、「トマトをつぶせ」と呼ばれるテストを含んだスマートフォンアプリケーションを提供された。
【0049】
図3は、図1および図2に記載されている態様などの本明細書で説明される1つまたは複数の例示的な態様を実装するために使用され得るネットワークアーキテクチャおよびデータ処理デバイスの一例を示す。様々なネットワークノード303、305、307、および309は、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)301を介して相互接続され得る。プライベートイントラネット、企業ネットワーク、LAN、ワイヤレスネットワーク、パーソナルネットワーク(PAN)などを含む他のネットワークが同じくまたは代替的に使用され得る。ネットワーク301は、説明の目的のためのものであり、より少数のまたは追加のコンピュータネットワークと置き換えられ得る。ローカルエリアネットワーク(LAN)は、任意の知られているLANトポロジのうちの1つまたは複数を有し得、イーサネットなどの多種多様なプロトコルのうちの1つまたは複数を使用し得る。デバイス303、305、307、309および他のデバイス(図示せず)は、ツイストペアワイヤ、同軸ケーブル、光ファイバ、電波または他の通信媒体を介してネットワークのうちの1つまたは複数に接続され得る。
【0050】
本明細書で使用され、図面中に示される「ネットワーク」という用語は、リモートストレージデバイスが1つまたは複数の通信経路を介して互いに結合されるシステムを指すだけでなく、記憶容量を有するそのようなシステムに時々結合され得るスタンドアロンデバイスをも指す。したがって、「ネットワーク」という用語は、「物理ネットワーク」を含むだけでなく、すべての物理ネットワークにわたって常駐する単一エンティティに起因するデータから構成される「コンテンツネットワーク」をも含む。
【0051】
構成要素は、データサーバ303と、ウェブサーバ305と、クライアントコンピュータ307、309とを含み得る。データサーバ303は、本明細書で説明される1つまたは複数の例示的な態様を実行するためのデータベースおよび制御ソフトウェアの全体的なアクセス、制御および管理を行う。データサーバ303は、ユーザがそれを通して要求されたデータと対話し、取得するウェブサーバ305に接続され得る。代替的に、データサーバ303は、それ自体がウェブサーバとして働き、インターネットに直接接続され得る。データサーバ303は、直接的なもしくは間接的な接続を介してまたはいくつかの他のネットワークを介してネットワーク301(たとえば、インターネット)を通してウェブサーバ305に接続され得る。ユーザは、リモートコンピュータ307、309を使用して、たとえば、ウェブサーバ305によってホストされる1つまたは複数の外部に露出したウェブサイトを介してデータサーバ303に接続するためにウェブブラウザを使用してデータサーバ303と対話し得る。クライアントコンピュータ307、309は、そこに記憶されたデータにアクセスするためにデータサーバ303と協働して使用され得るか、または他の目的のために使用され得る。たとえば、クライアントデバイス307から、ユーザは、当技術分野で知られているように、インターネットブラウザを使用して、または(インターネットなどの)コンピュータネットワークを介してウェブサーバ305および/またはデータサーバ303と通信するソフトウェアアプリケーションを実行することによってウェブサーバ305にアクセスし得る。いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ307は、スマートフォン、スマートウォッチまたは他のモバイルコンピューティングデバイスであり得、図1に示されているデバイス105などの診断デバイスを実装し得る。いくつかの実施形態では、データサーバ303は、図1に示されているサーバ150などのサーバを実装し得る。
【0052】
サーバとアプリケーションとは、同じ物理機械上で組み合わされ、別個の仮想もしくは論理アドレスを保持し得るか、または別個の物理機械上に常駐し得る。図1は、使用され得るネットワークアーキテクチャのただ1つの例を示し、当業者は、使用される特定のネットワークアーキテクチャおよびデータ処理デバイスが変化し得、本明細書でさらに説明するように、それらが与える機能に対して2次的なものであることを諒解されよう。たとえば、ウェブサーバ305とデータサーバ303とによって提供されるサービスは、単一のサーバ上に組み合わされ得る。
【0053】
各構成要素303、305、307、309は、任意のタイプの知られているコンピュータ、サーバ、またはデータ処理デバイスであり得る。データサーバ303は、たとえば、レートサーバ303の全体的な動作を制御するプロセッサ311を含み得る。データサーバ303は、RAM313と、ROM315と、ネットワークインターフェース317と、入出力インターフェース319(たとえば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタなど)と、メモリ321とをさらに含み得る。入出力319は、データまたはファイルを読み取ること、書き込むこと、表示すること、および/または印刷することを行うための様々なインターフェースユニットおよびドライブを含み得る。メモリ321は、データ処理デバイス303の全体的な動作を制御するためのオペレーティングシステムソフトウェア323、本明細書で説明される態様を実行するようにデータサーバ303に命令するための制御論理325、ならびに本明細書で説明される他の態様と併せて使用されることも使用されないこともある2次機能、サポート機能、および/または他の機能を与える他のアプリケーションソフトウェア327をさらに記憶し得る。制御論理は、本明細書ではデータサーバソフトウェア325と呼ばれることもある。データサーバソフトウェアの機能は、制御論理にコーディングされたルールに基づいて自動的に行われる動作もしくは決定、システムに入力を与えるユーザによって手動で行われる動作もしくは決定、および/またはユーザ入力(たとえば、クエリ、データ更新など)に基づく自動処理の組合せを指すことがある。
【0054】
メモリ321はまた、第1のデータベース329と第2のデータベース331とを含む本明細書で説明される1つまたは複数の態様の実行において使用されるデータを記憶し得る。いくつかの実施形態では、第1のデータベースは、(たとえば、別個の表、報告などとして)第2のデータベースを含み得る。すなわち、情報は、システム設計に応じて、単一のデータベース中に記憶されるか、または異なる論理、仮想、もしくは物理データベースに分離され得る。デバイス305、307、309は、デバイス303に関して説明したのと同様のまたはそれとは異なるアーキテクチャを有し得る。当業者は、本明細書で説明されるデータ処理デバイス303(またはデバイス305、307、309)の機能が、地理的ロケーション、ユーザアクセスレベル、サービス品質(QoS)などに基づいてトランザクションを隔離するために、たとえば、複数のコンピュータにわたって処理負荷を分散させるために複数のデータ処理デバイスにわたって拡散され得ることを諒解されよう。
【0055】
本明細書で説明される1つまたは複数の態様は、本明細書で説明されるように1つもしくは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される、1つまたは複数のプログラムモジュールなどの中のコンピュータ使用可能もしくは読取り可能データおよび/またはコンピュータ実行可能命令において実施され得る。概して、プログラムモジュールは、コンピュータまたは他のデバイス中のプロセッサによって実行されたときに特定のタスクを実行するまたは特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含む。モジュールは、実行のためにその後コンパイルされるソースコードプログラミング言語で書き込まれ得るか、または(限定はしないが)HTMLもしくはXMLなどのスクリプト言語で書き込まれ得る。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、取外し可能な記憶媒体、固体メモリ、RAMなどのコンピュータ可読媒体上に記憶され得る。当業者なら諒解するように、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態では必要に応じて組み合わされるかまたは分散され得る。さらに、機能は、統合回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのファームウェアまたはハードウェア等価物中に全体的にまたは部分的に埋め込まれ得る。より効果的に1つまたは複数の態様を実装するために特定のデータ構造が使用され得、そのようなデータ構造は、本明細書で説明されるコンピュータ実行可能命令およびコンピュータ使用可能データの範囲内で企図される。
【0056】
図4は、本明細書で説明される1つまたは複数の例示的な態様による診断テストを示す一例を示す。ユーザは、タスクから始めるために「開始」を選択する必要がある。
【0057】
図5は、図5A図5Bに示されている例3「トマトをつぶせ」診断テストによるセンサ特徴結果を示すプロットである。センサ特徴(秒単位での指が画面にタッチする間の時間差)結果は、両方の研究での臨床アンカー(MFM004、MFM017、MFM018、MFM019、MFM020、MFM021、MFM022の平均)と一致する。
【0058】
主題が構造特徴および/または方法論的行為に固有の言語で説明されたが、添付の特許請求の範囲に定義されている主題が、必ずしも上記で説明された特定の特徴または行為に限定されるとは限らないことを理解されたい。むしろ、上記で説明された特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実装する例示的な形態として開示される。
【実施例0059】
実施例1
2つの異なる研究中に収集される、分析された群の患者の特性。
i)OLEOS研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02628743)
分析された参加者:20
データ分析のための期間:最後の2回の臨床訪問(176日)の間のスマートフォンデータ
ii)JEWELFISH研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03032172?term=BP39054)
分析された参加者:19
【0060】
検出されたすべての二重接触について第1の指と第2の指とが画面にタッチする間の遅延時間を測定することによって2つの指(同じ手のパンチ指と人差し指と)の同時性を決定するためのコンピュータ実装テスト(テスト:トマトをつぶせ)である、遠位運動機能テストを使用した、データセットの収集
共変量:1:MFM-17、18、19、22。2:MFM004、MFM017、MFM018、MFM019、MFM020、MFM021、MFM022の平均。3:合計32=MFMの総得点。4:MFM-17。
ICC:クラス内相関係数。DTA:二重タッチの非同時性。P_GA:つまむことのギャップ時間。SD=標準偏差。
【0061】
二重タッチの非同時性(DTA)のためのテストは、モバイルフォン(iPhone)上に実装された。患者は、示された手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによって、30秒内にできるだけ多くのトマトをつぶすものとする。電話は、テーブル上に配置される必要がある。紹介された手が選択される必要がある。患者は、30数間ゲームをプレイする必要がある。
【0062】
図5は、臨床アンカーテストとトマトをつぶせテストからの結果(DTA)との相関を示す。センサ特徴結果は、両方の研究での臨床アンカーと一致する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋肉の障害をもつ被験者の遠位運動機能を評価するための診断デバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記デバイスに関連する1つまたは複数のセンサと、
コンピュータ可読命令を記憶したメモリであって、
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記デバイスに、
前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信するステップであって、前記第1のセンサデータについての前記センサが前記被験者に着用されている、ステップと、
前記デバイスが具備するタッチスクリーンにおいて、所定の期間中に同じ手の親指と人差し指との間で、前記タッチスクリーンに表示されたオブジェクトをつまむことによって、できるだけ多くの前記オブジェクトをつぶすという診断タスクを実行するように前記被験者を促すステップと、
前記被験者が前記診断タスクを実行したことに応じて、前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信するステップであって、前記第2のセンサデータについての前記センサが前記デバイス内に配設されている、ステップと、
受信した前記第1および第2のセンサデータから、筋肉の障害をもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する複数の特徴を抽出するステップと、
抽出された前記複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記遠位運動機能の評価を決定するステップと、
を実施させる、メモリと
を備える、デバイス。
【請求項2】
当該デバイスがスマートフォンである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記診断タスクが、筋肉機能テストのうちの少なくとも1つに関連付けられる、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
筋肉の障害をもつ被験者の遠位運動機能を評価するためのコンピュータ実装方法であって、
デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信するステップであって、前記第1のセンサデータについての前記センサが前記被験者に着用されている、ステップと、
前記デバイスが具備するタッチスクリーンにおいて、所定の期間中に同じ手の親指と人差し指との間で、前記タッチスクリーンに表示されたオブジェクトをつまむことによってできるだけ多くの前記オブジェクトをつぶすという診断タスクを実行するように前記被験者を促すステップと、
前記被験者が前記診断タスクを実行したことに応じて、前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信するステップであって、前記第2のセンサデータについての前記センサが前記デバイス内に配設されている、ステップと、
受信した前記第1および第2のセンサデータから、筋肉の障害をもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する複数の特徴を抽出するステップと、
抽出された前記複数の特徴に基づいて、筋肉の障害をもつ被験者の前記遠位運動機能の評価を決定するステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記被験者が人間である、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
筋肉の障害をもつ被験者の遠位運動機能を評価するための方法を実行することをプロセッサに実施させるための機械可読命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体であって、前記方法が、
デバイスに関連する1つまたは複数のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信するステップであって、前記第1のセンサデータについての前記センサが前記被験者に着用されている、ステップと、
前記デバイスが具備するタッチスクリーンにおいて、所定の期間中に同じ手の親指と人差し指との間で、前記タッチスクリーンに表示されたオブジェクトをつまむことによってできるだけ多くの前記オブジェクトをつぶすという診断タスクを実行するように前記被験者を促すステップと、
前記被験者が前記診断タスクを実行したことに応じて、前記デバイスに関連する前記1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信するステップであって、前記第2のセンサデータについての前記センサが前記デバイス内に配設されているステップと、
受信した前記第1および第2のセンサデータから、筋肉の障害をもつ被験者の前記遠位運動機能に関連する複数の特徴を抽出するステップと、
抽出された前記複数の特徴に基づいて、筋肉の障害をもつ被験者の前記遠位運動機能の評価を決定するステップと、
を含む、
非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項7】
被験者における筋肉の障害を評価するコンピュータ実装方法であって、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイスが前記被験者によって使用された、第1のあらかじめ定義された時間ウィンドウ内の前記デバイスの使用データを含むデータセットから、使用行動パラメータを決定するステップと、
決定された少なくとも1つの前記使用行動パラメータを基準と比較するステップであって、それにより、筋肉の障害をもつ被験者が評価されることになる、ステップと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記オブジェクトの各々がトマトの形状を有し、
前記デバイス上で実行されているアプリケーションにおいて、
i)30秒の期間中に同じ手の親指と人差し指との間でトマトをつまむことによってできるだけ多くのトマトをつぶす前記診断タスクについて被験者を採点するステップと、
ii)決定された前記採点を基準と比較するステップであって、それにより、筋肉の障害が評価されることになる、ステップと
を更に含む、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記筋肉の障害がSMAであり、
該SMAの進行の可能性を低減させるために前記被験者に医薬活性剤を投与するステップであって、前記医薬活性剤が、被験者におけるSMAを治療するのに好適であり、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害薬、生存運動ニューロンタンパク質1調節薬、SMN2発現阻害薬、SMN2スプライシング調節薬、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2調節薬、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害薬であり、ヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベク、リスジプラム、またはブラナプラムを含む、ステップを更に含む、
請求項4、7または8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
決定される少なくとも1つのパラメータは、前記被験者が前記医薬剤を用いた治療を受ける前の患者の基準パラメータと比較してより良好である、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記被験者が人間である、請求項9または10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記薬剤がリスジプラムである、請求項9~11のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【外国語明細書】