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特開2024-16030高精度粒子選別のための電気的検出と光学的検出を組み合わせたマイクロ流体システム、およびその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016030
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】高精度粒子選別のための電気的検出と光学的検出を組み合わせたマイクロ流体システム、およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/1429 20240101AFI20240130BHJP
   G01N 15/1409 20240101ALI20240130BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G01N15/14 K
G01N15/14 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175614
(22)【出願日】2023-10-11
(62)【分割の表示】P 2019563338の分割
【原出願日】2018-02-06
(31)【優先権主張番号】62/456,069
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519286577
【氏名又は名称】ノデクサス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】ナセフ,ハニー
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン,カーシック
(72)【発明者】
【氏名】ケサヴァラジュ,アナンド
(72)【発明者】
【氏名】トゥミネリ,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】アンワー,ジョージ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シースレスで、粒子を検出、特徴付け、選別および単離する粒子選別機カートリッジを提供する。
【解決手段】粒子選別機カートリッジは、選別領域を備え、選別領域は交点を含む。センシング領域から繋がる第1のマイクロ流体チャネルと、トリガー入口から繋がり、交点において第1のマイクロ流体チャネルに対して実質的に直角に位置する第2のマイクロ流体チャネルを備える。交点から離れた位置に繋がり、交点において、第1のマイクロ流体チャネルと動作可能に接続している分岐チャネルを備える。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングまたは検出器領域を含むマイクロ流体チップと、
複数の貯槽をその内部に画定する本体と、
任意選択で、前記本体に接続するとともに前記マイクロ流体チップに接続するように構
成されたインタフェースプレートと、
を備える粒子選別機カートリッジであって、
使用時に、前記センシングまたは検出器領域内で粒子の流れ中に粒子を検出すると、前
記マイクロ流体チップ内の溶液の流れが、トリガーフローの適用によって、前記検出され
た粒子について前記粒子の流れからの選別と単離のうちの少なくとも1つを行うように分
流される、粒子選別機カートリッジ。
【請求項2】
前記マイクロ流体チップ、カートリッジ本体、および任意選択の前記インタフェースプ
レートのうちの1つまたは複数は、使い捨てである、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記複数の貯槽は、サンプル貯槽、コントロール流体貯槽、およびトリガー貯槽を含む
、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記トリガーフローは、前記トリガー貯槽からの流体で構成される、請求項3に記載の
カートリッジ。
【請求項5】
前記検出器領域に動作可能に結合されている電気的検出器をさらに備える、請求項1に
記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記検出器領域に動作可能に結合されている光学的検出器をさらに備える、請求項1に
記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記検出器領域に動作可能に結合されている光学的検出器をさらに備える、請求項5に
記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記検出器領域中の粒子の前記検出は、前記電気的検出器により生成される信号に基づ
く、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記検出器領域中の粒子の前記検出は、前記光学的検出器により生成される信号に基づ
く、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記検出器領域中の粒子の前記検出は、前記電気的検出器により生成される信号、およ
び前記光学的検出器により生成される信号のうちの少なくとも1つに基づく、請求項7に
記載のカートリッジ。
【請求項11】
図7に示されような、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
ベースプレートと、
カートリッジ組立体と
を備える粒子選別システムであって、
前記ベースプレートは、前記カートリッジ組立体を受け入れるとともに前記カートリッ
ジ組立体に接続するように構成され、
前記カートリッジ組立体は、
センシングまたは検出器領域を含むマイクロ流体チップと、
複数の貯槽をその内部に画定する本体とを含み、
前記カートリッジ組立体は、使用時に、前記検出器領域内で粒子の流れ中に粒子を検出
すると、前記マイクロ流体チップ内の溶液の流れが、トリガーフローの適用によって、前
記検出された粒子について前記粒子の流れからの選別と単離のうちの少なくとも1つを行
うように分流されるように構成されている、粒子選別システム。
【請求項13】
前記マイクロ流体チップおよび前記カートリッジ本体のうちの1つまたは複数は、使い
捨てである、請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記カートリッジ組立体の前記本体の前記複数の貯槽は、サンプル貯槽、コントロール
流体貯槽、およびトリガー貯槽を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記トリガーフローは、前記トリガー貯槽からの流体で構成される、請求項14に記載
のシステム。
【請求項16】
前記トリガーフローは、弁部によってゲート制御される、請求項15に記載のシステム
【請求項17】
前記弁部は、前記カートリッジ組立体の外部にある、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記カートリッジ組立体は、使用時に、トリガーフローが適用されると、前記マイクロ
流体チップ内の溶液の流れは、キャリアの流れの適用によって、前記検出された粒子につ
いて前記粒子の流れからの選別と単離のうちの少なくとも1つを行うように分流されるよ
うにさらに構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記キャリアの流れは、前記コントロール流体貯槽からの流体を含む、請求項18に記
載のシステム。
【請求項20】
前記キャリアの流れは、弁部によってゲート制御される、請求項19に記載のシステム
【請求項21】
前記弁部は、前記カートリッジ組立体の外部にある、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
実施例8に記載されているような粒子選別システム。
【請求項23】
粒子を能動的に単離する方法であって、
粒子の混合物を含有するサンプルを請求項12~22のいずれか一項に記載の前記シス
テムの前記カートリッジ組立体の中に装填するステップと、
対象となる粒子が請求項12~22のいずれか一項に記載の前記システムの前記センシ
ングまたは検出器領域を通過するときに、対象となる粒子によって生成される光信号およ
び/または電気信号によって前記対象となる粒子を検出するステップと、
トリガーフローの適用によって、前記マイクロ流体チップ内の前記溶液の流れを分流さ
せるソフトウェア手段を介して、前記光信号および/または電気信号に基づいて前記対象
となる粒子を能動的に選別するステップと、
前記対象となる粒子を含有する液滴を収集容器の中に沈殿させるステップと、
を含む方法。
【請求項24】
前記システムは、請求項22に記載の前記システムであり、前記検出するステップは、
同時の光信号および電気信号を伴う、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検出するステップは、前記センシングまたは検出器領域を横切る前記粒子の速度を
測定する方法を提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
光信号への合計露出時間が100ミリ秒未満であるように、前記対象となる粒子が前記
センシングまたは検出領域を通過するときに、前記対象となる粒子の速度を増加させるス
テップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
粒子を能動的に単離する方法であって、
センシングまたは検出器領域を備えるマイクロチャネルを通じて粒子の混合物を流すス
テップと、
対象となる粒子がセンシングまたは検出器領域を通過するときに、この対象となる粒子
を検出するステップと、
前記検出器またはシグナリング領域内で対象となる粒子を検出すると、別の流れの適用
によって、粒子溶液の流れを分流させるステップであって、それによって前記粒子を能動
的に選別する、ステップと、
前記対象となる粒子を含有する液滴を収集容器の中に沈殿させるステップと、
を含む方法。
【請求項28】
検出するステップは、前記対象となる粒子が前記マイクロチャネルの前記センシングま
たは検出器領域を通過するときに、前記対象となる粒子によって生成される光信号および
/または電気信号による、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、2017年2月7日に提出した米国特許出願第62/456,069号明細
書の利益および優先権を主張するものであり、その内容は、全体として参照により本明細
書によって組み込まれる。
【0002】
本特許出願は、参照により、全体として、「Devices for Sorting a Particle in a Sa
mple and Methods for Use Thereof」という名称の米国特許第9,201,043号明細
書、「Devices for Sorting Cells in a Sample and Methods for Use Thereof」という
名称の国際公開第2014/150928号パンフレット、「Devices for Detecting a
Particle in a Sample and Methods for Use Thereof」という名称の国際公開第2013
/052890号パンフレット、「Devices for Separating Analytes in a Sample」と
いう名称の米国仮出願第62/020,279号、「Devices for Separating Analytes
in a Sample and Methods for Use Thereof」という名称の米国仮出願第62/155,
363号、および「Metal Node-Pore Sensing」という名称の米国仮出願第62/346
,934号を組み込む。
【0003】
本主題技術は、一般に、粒子の検出、特徴付け、選別、および/または単離に関する。
【背景技術】
【0004】
既存の生体単一細胞単離法(live, single-cell isolation method)には、蛍光活性化
細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)、連続希釈、顕微操作、および
手動ピッキングが含まれる。
【0005】
典型的には、FACSおよびMACS単離技法は、単一細胞の単離ではなく、多細胞グ
ループの分離をもたらす。FACSおよびMACSは、混合または異種細胞サンプル入力
から単一細胞を選別および単離するのにも役に立たない。そのような技法は、最適化する
のが難しく、しばしばコア機能に限定され、同じ固定システムによって分析される連続サ
ンプルは、同じ弁部(Valving)を通過し、潜在的にサンプル汚染をもたらす。
【0006】
連続希釈は、対象となる細胞を含むサンプルを、希釈されたサンプルの各部分標本が正
確に1つの細胞を含むという統計的公算があるまで希釈することを伴う。この技法は、大
きな労働力を要し、結果として単離頻度が低い。対象となるターゲット細胞は高い割合で
、入力サンプル中に存在しない可能性があり、連続希釈は、入力サンプル中に存在する細
胞に関して当初の表現型情報を与えない。さらに、連続希釈は、結果として単離ごとにば
らつきが高く、再現性を欠く。
【0007】
顕微操作および手動ピッキングは、個々の細胞の物理的な選択および単離を伴うが、こ
れらの方法は、大きな労働力を要し、処理能力が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気的検出および/または光学的検出、ならびにマイクロ流体流に基づいて対象となる
粒子を検出、特徴付け、選別、および/または単離するシステムおよび方法が本明細書中
に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、一態様において、センシングまたは検出器領域を含むマイクロ流体チップ
を備えるとともに、複数の貯槽を画定する本体、および/または本体およびマイクロ流体
チップに接続するように構成されるインタフェースプレートを任意選択でさらに備えるこ
とができる粒子選別機カートリッジであって、センシングまたは検出器領域内で粒子の流
れ中に粒子を検出すると、マイクロ流体チップ内の溶液の流れが、トリガーフロー(trig
ger flow)の適用によって、検出された粒子を粒子の流れから選別および/または単離す
るように分流される、粒子選別機カートリッジが本明細書中に記載されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップ、本体、任意選択のインタフェースプレ
ート、またはこれらの要素の組合せは、使い捨てである。
【0011】
いくつかの実施形態では、カートリッジ本体によって画定される貯槽は、サンプル貯槽
と、コントロール流体貯槽(control fluid reservoir)と、トリガー貯槽とを含む。い
くつかの実施形態では、トリガーフローは、トリガー貯槽からの流体の流れで構成される
【0012】
いくつかの実施形態では、粒子選別機カートリッジは、光学的検出器、電気的検出器、
または光学的検出器および電気的検出器をさらに備え、1つまたは複数の検出器は、マイ
クロ流体チップの検出器領域に動作可能に結合されている。いくつかの実施形態では、検
出器領域中の粒子の検出は、電気的検出器により生成される信号に基づく。いくつかの実
施形態では、検出器領域中の粒子の検出は、光学的検出器により生成される信号に基づく
。電気的検出器と光学的検出器の両方を備えるいくつかの実施形態では、検出器領域中の
粒子の検出は、電気的検出器により生成される信号、光学的検出器により生成される信号
、または電気的検出器により生成される信号および光学的検出器により生成される信号に
基づく。
【0013】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、図2に示されたカートリッジである。
【0014】
別の態様では、本明細書中に、ベースプレートとカートリッジ組立体とを備える粒子選
別システムであって、ベースプレートは、カートリッジ組立体を受け入れるとともにカー
トリッジ組立体に接続するように構成され、カートリッジ組立体は、(センシングまたは
検出器領域を備える)マイクロ流体チップと、複数の貯槽を画定する本体とを備える、粒
子選別システムが提供される。カートリッジ組立体は、検出器領域内で粒子の流れ中に粒
子を検出すると、マイクロ流体チップ内の溶液の流れが、トリガーフローの適用によって
、検出された粒子を粒子の流れから選別および/または単離するように分流されるように
構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体チップ、カートリッジ本体、またはマイクロ流
体チップとカートリッジ本体の両方は、使い捨てである。
【0016】
いくつかの実施形態では、カートリッジ本体によって画定される貯槽は、サンプル貯槽
と、コントロール流体貯槽と、トリガー貯槽とを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、トリガーフローは、トリガー貯槽からの流体の流れで構成さ
れる。いくつかの実施形態では、トリガー貯槽からのトリガーフローは、弁部によってゲ
ート制御される。いくつかの実施形態では、トリガーフロー弁部は、カートリッジ組立体
の外部にある。
【0018】
いくつかの実施形態では、カートリッジ組立体は、トリガーフローが適用されると、マ
イクロ流体チップ内の溶液の流れが、1つまたは複数のキャリアの流れの出口の弁部によ
って、検出された粒子を粒子の流れから選別および/または単離するように分流されるよ
うにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、キャリアの流れは、コントロール
流体貯槽からの流体を含む。いくつかの実施形態では、コントロール流体貯槽からの流れ
は、弁部によってゲート制御される。いくつかの実施形態では、弁部は、カートリッジ組
立体の外部にある。
【0019】
別の態様では、本明細書中に提供される粒子選別システムは、実施例8に説明される粒
子選別システムである。
【0020】
いくつかの実施形態では、粒子を能動的に単離する方法が提供され、この方法は、粒子
の同種もしくは異種のサンプル混合物または懸濁液をカートリッジ組立体の中に装填する
ステップと、対象となる粒子がマイクロ流体チップのセンシングまたは検出器領域を通過
するときに、対象となる粒子によって生成される光信号、電気信号、または光信号および
電気信号によって対象となる粒子を検出するステップと、トリガーフローの適用によって
、マイクロ流体チップ内の溶液の流れを分流させるソフトウェア手段を介して、1つまた
は複数の光信号および/または電気信号に基づいて対象となる粒子を能動的に選別するス
テップと、対象となる粒子を含有する液滴を収集容器の中に沈殿させるステップと、を含
む。いくつかの実施形態では、粒子を能動的に単離させる方法は、実施例8に説明される
粒子選別システムを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、検出するステップは、センシングまたは検出器領域を横切る
粒子の速度を測定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、粒子の特徴付
けならびに粒子が光信号に露出される時間の最小化のために、定量的および再現可能な測
定につい光学的検出の正確なトリガーを可能にする。この方法は、粒子が光信号に露出さ
れる合計時間が50、60、70、80、90、100、110、120、130、14
0、または150ミリ秒未満であるように、対象となる粒子がセンシングまたは検出領域
を通過するときに、対象となる粒子の速度を増加させるステップをさらに含むことができ
る。いくつかの実施形態では、方法は、粒子が光信号に露出される合計時間が100ミリ
秒未満であるように、対象となる粒子がセンシングまたは検出領域を通過するときに、対
象となる粒子の速度を増加させるステップをさらに含む。
【0022】
一態様では、本明細書中に、対象となる粒子を能動的に単離する方法であって、検出器
またはセンシング領域を備えるマイクロチャネルを通じて粒子の混合物を流すステップと
、対象となる粒子がマイクロチャネルのセンシングまたは検出器領域を通過するときに、
対象となる粒子によって生成される光信号および/または電気信号によって対象となる粒
子を検出するステップと、検出器またはセンシング領域内で対象となる粒子を検出すると
、別の流れの適用によって、粒子溶液の流れを分流させるステップであって、それによっ
て粒子を能動的に選別する、ステップと、対象となる粒子を含有する液滴を収集容器の中
に沈殿させるステップと、を含む方法が提供される。
【0023】
本主題技術およびその多くの利点のより完全な理解は、添付図面と共に検討するとき、
後述の詳細な説明を参照することによって理解されよう。図面は、例示のために示される
ものにすぎず、限定であることが意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】いくつかの実施形態による、幅広く適用可能なシステムプラットフォームおよび基本的な作業の流れを示す図である。
図2A】~
図2I】いくつかの実施形態による、カートリッジの本体を示す図である。
図3A】~
図3F】いくつかの実施形態による、インタフェースプレートを示す図である。
図4A】~
図4B】いくつかの実施形態による、マイクロ流体チップモールドを示す図である。
図5A】~
図5C】いくつかの実施形態による、マイクロ流体チップモールドを有する例示的なマイクロ流体チップの組立体を示す図である。
図6A】~
図6G】いくつかの実施形態による、検出領域および選別領域を有する組み立てられたマイクロ流体チップおよびマイクロ流体チップモールドを示す図である。
図7A】~
図7I】および
図8A】~
図8I図2A図6Gの構成要素の組合せを含むカートリッジ組立体を示す図である。
図9A】~
図9N】いくつかの実施形態による、関連したハードウェアプラットフォームの例示的なベースプレートを示す図である。
図10A】~
図10B】いくつかの実施形態による、ハードウェアプラットフォームのベースプレートと嵌め合わされるカートリッジを示す図である。
図11A】~
図11L】いくつかの実施形態による、シール面を有する蓋を示す図である。
図12A】~
図12L】いくつかの実施形態による、圧力調整器マニホールドを示す図である。
図13】いくつかの実施形態による、例示的なサブシステムレイアウトを示す図である。
図14A】~
図14C図13に示された例示的なサブシステム中の流体経路の概略図である。
図15】いくつかの実施形態による、LEDを用いた蛍光検出システムの一実施形態である。
図16A】~
図16D】いくつかの実施形態による、システム組立体全体の一例を示す図である。
図17】いくつかの実施形態による、粒子の検出および/またはセンシングならびに単離のための例示的なスキームを示す図である。
図18A】~
図18C】実施の一例による、血液サンプルからの血中循環腫瘍細胞の細胞選別を示す実験データのグラフである。
図19A】~
図19C】実施の一例による、細胞単離を示す顕微鏡写真である。
図20】例示的な実施により選別された細胞の生存能力が、選別されていない細胞に対して維持されていることを示す実験データのグラフである。
図21】実施の一例による、流体選別が粒子サイズから独立していることを示す顕微鏡写真である。プラットフォームを用いて単離されたMCF7細胞塊は、円領域内に示されている。
図22A】~
図22C】蛍光ベースの選択を用いた、実施の一例による、細胞単離を示す蛍光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書中に説明されるシステムおよびカートリッジは、以下の機能のうちの2つ以上
を同時に実行する機能性を有利に与える。
・ シースレス操作で検出、選別、および単離する
・ 機能的な選別回数を改善するために滴の生成および(サンプルラインを使用する必
要がない)キャリアラインを用いた供給を加速する。供給/滴下に必要な最小体積に到達
するために、十分な流体が収集物出口(collection outlet)から出なければならず、本
明細書中に記載された設計は、最小に要求されるものよりも多くのサンプルを収集物出口
に流し込むことなくこれを可能にする。滴の生成および供給のタイミングも、サンプル流
量を変更する必要のなく調節される。
・ 粒子が検出されないときに滴の生成をもたらす収集物出口の中への流体を最小にす
る。キャリア廃棄物経路および外部の弁部のために、キャリアの流れは、対象となる粒子
が検出されないときに、キャリア廃棄物出口を主に通じて流れることができ、対象となる
粒子を含まない液滴の収集を徹底的に減少させる。
・ 検出の下流でも、粒子を収集物出口から選択的に流出させ、収集物出口から出る滴
が、所望の個数の粒子(例えば、単一粒子供給のために実施されるときは1つの粒子)だ
けを含むことを確実にすることができるようになっている。
・ サンプルを弁で調節することなく(すなわち、1つの検査からの粒子は、以前の検
査で粒子が接触した表面に決して接触することなく)粒子の方向を制御する。本明細書中
に記載された設計に従った流体のルートされ方のおかげで、(例えば、流体経路を示す図
14A~図14Cに示されるように)キャリア流体経路およびトリガー流体経路だけがず
っとカートリッジを去り、外部に弁で調節される。
【0026】
システム概要
図1は、幅広く適用可能なシステムプラットフォームおよび基本的な作業の流れを示す
。入力サンプルは、本質的に任意のサンプルとすることができ、事前濃縮された細胞サン
プル、全血、血漿、解離組織、培養細胞株、トランスフェクト細胞、尿、または農業、法
医学、もしくは一般的な生物学的サンプル、ならびにコロイド溶液などの非生物学的サン
プルが含まれる。サンプルは、カートリッジの中に装填され、次いでこれは、所望の対象
となる粒子をサンプルから収集するために検出モジュールおよびマイクロ流体モジュール
を収容するハードウェアプラットフォームの中に挿入される。本開示の目的のために、「
粒子」は、細胞、細胞運搬体(cellular vehicle)、ウイルス、DNA、RNA、ポリス
チレンビーズなどのポリマー、ラテックスビーズ、コロイド(例えば、金属コロイド)、
磁性粒子、誘電体粒子、結晶(例えば、マイクロ結晶またはナノ結晶)、膜孔(pore)な
どの生体粒子、花粉、細胞閉塞、沈殿物、細胞内結晶、ウイルス、ペプチド、抗体、二重
特異性抗体などを含む生体分子、断片抗原結合(Fab)断片、結合タンパク質、リン酸
化タンパク質、アプタマー、エピトープ、多糖類、ポリペプチド、タンパク質、脂質、ペ
プチドグリカン、リン脂質、糖、糖タンパク質、糖鎖、核酸、リボソーム、ならびに0.
01nmから100mmのサイズ範囲を有する任意の他の細胞成分、微粒子、繊維、不純
物、汚染物質、および合成粒子を指し得る。例えば、マイクロ流体モジュールの統合およ
びマイクロタイタープレートのロボット制御によって、単一(個々の)粒子を収集するこ
とができ、それぞれがマイクロタイタープレートの対応する別個のウェルの中に沈殿され
る。
【0027】
いくつかの実施形態では、本技術についての作業の流れは、流体サンプルおよび緩衝液
をカートリッジの中に装填することと、カートリッジをハードウェアプラットフォームの
ベースプレートの中に配置することと、空気圧力を装填された流体に与えて流れを作り出
すことと、粒子がマイクロ流体チップの1つまたは複数のセンシング領域を通過するとき
に粒子を感知および検出することと、検出された対象となる粒子を選別および単離するこ
ととを含むことができる。
【0028】
特許請求の範囲および明細書に使用される用語は、別段の指定がない限り、以下に記載
されるように定義される。
【0029】
「粒子」は、本明細書中で使用されるとき、特徴付け、検出、選別、および/または単
離できる任意の物体を指す。粒子は、DNA、RNA、ポリスチレンビーズなどのポリマ
ー、ラテックスビーズ、コロイド(例えば、金属コロイド)、磁性粒子、誘電体粒子、結
晶(例えば、マイクロ結晶またはナノ結晶)、生体粒子など細孔、花粉、細胞閉塞、沈殿
物、細胞内結晶、ウイルス、ペプチド、抗体、二重特異性抗体などを含む生体分子、Fa
b断片、結合タンパク質、リン酸化タンパク質、アプタマー、エピトープ、多糖類、ポリ
ペプチド、タンパク質、脂質、ペプチドグリカン、リン脂質、糖、糖タンパク質、糖鎖、
核酸、リボソーム、ならびに0.01nmから100mmのサイズ範囲を有する任意の他
の細胞成分、粒子、繊維、不純物、汚染物質、および合成粒子を含むが、これらに限定さ
れない。
【0030】
「対象となる細胞」または「ターゲット細胞」は、本明細書中で使用されるとき、検出
、特徴付け、選別、または単離することが望ましい生体粒子を指す。いくつかの実施形態
では、対象となる細胞またはターゲット細胞は、有機体、組織、また単一細胞有機体の機
能単位となる。いくつかの実施形態では、対象となる細胞またはターゲット細胞は、有機
体、組織、または単一細胞有機体の機能単位のクラスまたはカテゴリーの一部である。対
象となる細胞またはターゲット細胞は、癌細胞または前癌状態の細胞であってもよく、あ
るいはそれらは、正常な細胞または病気にかかっていない細胞であってもよい。
【0031】
「カートリッジ」、本明細書中で使用されるとき、少なくともカートリッジ本体と、チ
ップ基板と、チップモールドとを少なくとも備えるコンテナを指す。いくつかの実施形態
では、カートリッジは、インタフェースプレートも備える。いくつかの実施形態では、カ
ートリッジは、「使い捨てカートリッジ」であり、カートリッジ本体、チップ基板、チッ
プモールド、別のカートリッジ本体構成要素、またはカートリッジ構成要素の任意の組合
せが使い捨てである。
【0032】
カートリッジのカートリッジ本体は、少なくとも1つのサンプル貯槽と、少なくとも1
つのコントロール流体貯槽とを備える。チップモールドは、カートリッジのカートリッジ
本体から一種または複数種の流体を運ぶことができるマイクロチャネルを備える。チップ
基板およびチップモールドは、検出領域および選別領域も備える。いくつかの実施形態で
は、カートリッジ本体は、インタフェースプレートを介してチップ基板およびモールドに
接続されている。
【0033】
用語「サンプル貯槽」(または「サンプル空洞」)は、本明細書中で使用されるとき、
流体、溶液、または混合物を収容することができるカートリッジ本体の貯槽を指す。好ま
しい実施形態では、これらの流体、溶液、または混合物は、細胞または粒子の異種混合物
を含む対象となる細胞または粒子を含む。サンプル貯槽内に含まれ得る流体の体積は、1
マイクロリットルほどであり得る。
【0034】
「コントロール流体貯槽」(または「コントロール貯槽(control reservoir)」もし
くは「コントロール空洞(control cavity)」)は、本明細書中で使用されるとき、流体
、溶液、または混合物を収容することができるカートリッジ本体の貯槽を指す。この流体
、溶液、または混合物は、緩衝液もしくは緩衝液混合物、細胞媒体もしくは細胞媒体混合
物、または任意の1種または複数種の試薬であり得る。いくつかの実施形態では、コント
ロール流体貯槽は、粒子をサンプル流体から収集物出口に向けて前進させるフローストリ
ームを与える「キャリア」貯槽である。いくつかの実施形態では、コントロール流体貯槽
は、検出されたおよび/または特徴付けられた粒子をサンプル流体から選択的に向ける「
トリガー」貯槽である。本明細書中に説明されるように、いくつかの実施形態では、(例
えば、トリガー貯槽およびキャリア貯槽を含む)複数のコントロール流体貯槽は、単一の
実施に使用される。
【0035】
用語「ライトパイプ」、本明細書中で使用されるとき、穴、開口部、内腔、空所、また
は光のための他の通路を指す。いくつかの実施形態では、ライトパイプは、(パイプの底
の真下に位置する)マイクロ流体チップのセンシングまたは検出器領域中に、(パイプの
上部に位置する)光源からの光および標識粒子を含む粒子から戻るように発せられる光を
除く光の通過を防ぐ材料で作製された開いた円筒である。いくつかの実施形態では、ライ
トパイプは、開放空間および/または透明材料で作製することができ、透明材料は、ガラ
ス、PMMA、環状オレフィン共重合体、もしくは当業者に知られている任意の同様に材
料に限定されない。好ましい実施形態では、ライトパイプは、カートリッジ本体およびイ
ンタフェースプレートを介してマイクロチップ基板およびモールドへ通過することを可能
にする。光は、任意の波長または複数波長の混合であり得る。いくつかの実施形態では、
光源は、当業界で知られているように、光フィルタを用いて特定の励起波長または複数波
長の混合を与えることができる。ライトパイプを通じて伝わる光は、励起光、発光、また
は両方であり得る。
【0036】
「インタフェースプレート」、本明細書中で使用されるとき、カートリッジ本体をマイ
クロ流体チップに接続する物体を指す。インタフェースプレートは、マイクロ流体チップ
のマイクロチャネルへ至るカートリッジ本体の貯槽中の流体用の通路を与える。いくつか
の実施形態では、インタフェースプレートは、ミクロ相マクロ相の1つもしくは複数の遷
移、または1つもしくは複数の境界の位置である。インタフェースプレートは、流体通路
、弁部、または他の手段を含む任意のやり方でカートリッジ本体とマイクロ流体チップの
間の接続を与えることができる。
【0037】
用語「マイクロ流体チップ」、本明細書中で使用されるとき、マイクロ流体基板とマイ
クロ流体モールドとを備える物体を指す。マイクロ流体チップは、カートリッジ本体の1
つまたは複数の貯槽の中に装填される流体のための通路またはマイクロチャネルを備える
。これらのマイクロチャネルのうちの1つまたは複数のマイクロチャネルは、1つまたは
複数のセンシング領域を備えることができる。これらのマイクロチャネルのうちの1つま
たは複数のマイクロチャネルは、1つまたは複数の選別領域を備えることができる。
【0038】
用語「センシング領域」、本明細書中で使用されるとき、対象となる粒子がマイクロチ
ャネルを通じて移動するときに検出可能な信号または信号の変化を生じさせるマイクロチ
ャネルの一部を備えるマイクロ流体チップの一部を指す。好ましい実施形態では、検出可
能な信号または信号の変化は、粒子がセンシング領域を連続して1つずつ通過するときに
個々の粒子に関連して生じる。検出可能な信号または信号の変化は、任意のタイプまたは
複数のタイプの組合せであり得る。実施形態に依存した、特定のタイプの信号または信号
の変化は、光学的信号または蛍光信号および電気信号を含むことができる。
【0039】
用語「蛍光検出」、本明細書中で使用されるとき、信号または信号の変化を感知するこ
とを指し、この信号は、紫外線または可視光などの1つまたは複数の光の波長である。感
知される信号は、励起光への露出に応答してある光の波長(例えば、発光信号)を発する
粒子によって生成または変更することができる。
【0040】
用語「電気的検出」、本明細書中で使用されるとき、信号または信号の変化の感知を指
し、この信号は、インピーダンス、抵抗、または別の電流特性である。感知される信号は
、電流の経路を横断する粒子によって生成または変更することができる。いくつかの実施
形態では、電気的検出は、コールター原理の使用を含む。
【0041】
「ノードポアセンシング」(NPS:ノード Pore Sensing)は、本明細
書中で使用されるとき、細胞などの単一粒子が1つまたは複数のノードを通過するときの
電気的検出による単一粒子のスクリーニングを指す。いくつかの実施形態では、NPSは
、遅延剤を有する1つまたは複数の表面機能化領域を備える。単一粒子が遅延される時間
の決定により、その粒子に関する特性情報を与える。NPSに関連した参考文献は、米国
特許第9,201,043号明細書、およびBalakrishnan et al., (2015), Anal. Chem. 8
7 (5), 2988-2995であり、これらは参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
【0042】
「検出の感度」、本明細書中で使用されるとき、本技術のセンシング領域内で粒子を検
出および/または特徴付けする能力を指す。検出の感度は、センシング用の電気信号およ
び/または光学的信号、あるいはそのような信号の変化を含み得るが、それに限定されな
い。
【0043】
「ダイナミックレンジ」は、本明細書中で使用されるとき、本技術のセンシング領域内
の粒子から生じる信号および信号の変化を検出する能力を指す。ダイナミックレンジは、
大規模の信号検出(例えば、2値の無信号/信号系(binary no signal/signal system
)と小規模の信号検出(例えば、2つの類似するが異なる信号間の識別)の両方を含む。
【0044】
本明細書および添付の特許請求の範囲に使用するときに、文脈上別段明確に指示しない
限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数概念を含むことに留意しなけ
ればならない。
【0045】
システム要素
いくつかの実施形態では、システムは、ハードウェアプラットフォームと、マイクロ流
体カートリッジと、1つまたは複数の収集デバイスとを備える。ハードウェアプラットフ
ォームは、空気圧技術、電子機器、検出装備(例えば、フォトダイオード光源もしくはL
ED光源および光学的検出器、ならびに/またはセンシング領域を通る粒子の通過によっ
て引き起こされる電気信号のための検出器)、ならびにシステムの他の要素を与える。例
えば、ハードウェアプラットフォームは、ハウジングと、空気圧技術モジュールと、収集
モジュールと、電子機器モジュールと、検出および選別モジュールとを備えることができ
る。ハウジングは、空気圧技術モジュール、検出モジュール、選別モジュール、および収
集モジュール(図9A図9N図10A図10B、および図16A図16D)を含
む機器の各構成要素を支持するとともに位置合わせするために使用することができる。図
13に示された実施形態の設計は、全ての接点および/または境界が同じ軸に生じるよう
に単軸位置合わせを可能にする。空気圧技術モジュールは、サンプル、トリガー、および
キャリアという3つの圧力源を備えることができ、これらはマイクロ流体カートリッジの
異なる空洞に繰り込まれる。収集モジュールは、出力コンテナを収納し、この出力コンテ
ナは、所望の応用に応じて複数の収集チャンバ(例えば、単一の捕集管の場合は1個、9
6ウェルマイクロタイタープレートの場合は96個、384ウェルマイクロタイタープレ
ートの場合は384個など)を備えることができる。図13は、収集モジュールが96ウ
ェルマイクロタイタープレートを備える一実施形態を示す。収集モジュールは、望ましい
とき、カートリッジから収集チャンバの中に滴を収集するように移動(すなわち、作動ま
たは「並進」)させることができる。
【0046】
電子機器モジュールは、ハードウェアプラットフォームの電気サブシステムと、ハード
ウェアプラットフォームのステージサブシステム(例えば、ウェルプレートドライバ)と
を備えることができる。
【0047】
検出および選別モジュールは、サンプル流体中の粒子の特性を検出または決定する検出
領域と、粒子を収集フローストリームの中に切り換える選別領域とを含むことができる。
検出および選別モジュールの例示的な実施は、図17に示されている。
【0048】
好ましいマイクロ流体カートリッジは、使い捨てである。使い捨てカートリッジは、個
々のサンプルが以前のサンプルに接触しないまたは以前のサンプルが接触したカートリッ
ジまたは機器のいずれかの表面と接続しないことを確実にする。マイクロ流体使い捨てカ
ートリッジは、少なくとも3つの構造ステージ、すなわち、(1)本体、(2)マイクロ
流体基板、および(3)マイクロ流体チップモールドを備える。いくつかの実施形態では
、第4のステージ(インタフェースプレート)も含まれる。
【0049】
使い捨てカートリッジの本体は、サンプル貯槽と、1つまたは複数のコントロール流体
貯槽とを備えることができる。
【0050】
ハードウェアプラットフォームは、システムの様々なモジュールが一斉に働くことを可
能にする。
【0051】
マイクロ流体カートリッジは、カートリッジ本体と、マイクロ流体チップ基板と、マイ
クロ流体チップモールドと備える。カートリッジ本体は、サンプル貯槽とコントロール貯
槽とを少なくとも備える。これらの貯槽は、流体通路を介してマイクロ流体チップ基板お
よびマイクロ流体チップモールドに接続されている。マイクロ流体チップ基板およびマイ
クロ流体チップモールドは、マイクロ流体チップを形成するように接着される。いくつか
の実施形態では、基板およびモールドは任意の適切な方法によって接着できるが、マイク
ロ流体チップ基板およびマイクロ流体チップモールドは、熱、積層、および溶剤のうちの
1つまたはそれらの組合せによって接着される。チップは、センシング領域に入るマイク
ロ流体チャネルと、センシング領域と、単一粒子の収集または単離のためにサンプル溶液
の流れを方向付けるための少なくとも1つの選別領域を有するセンシング領域を出るマイ
クロ流体チャネルとを少なくとも備える。いくつかの実施形態では、カートリッジ本体と
マイクロ流体チップ基板およびモールドとの間の接続は、流体通路または「チャネル」を
備えるインタフェースプレートによってもたらされる。使用中、流体は、インタフェース
プレートチャネルを通じてルートされ、(弁を収納する)ベースプレートに入り、次いで
インタフェースプレートに戻る。収集デバイスは、マイクロ流体カートリッジからの選別
または単離された液滴の形態でサンプル出力を受け入れることができる容器を与える。
【0052】
図2A図6Gは、カートリッジ組立体構造の一実施形態を示す。カートリッジ組立体
は、カートリッジ本体、インタフェースプレート、チップ基板、およびチップモールドと
いう4つの構成要素を有するように説明され得る。これらの構成要素のうちの1つまたは
複数は、使い捨であり得る。
【0053】
図2A図2Iは、カートリッジの本体を示す。カートリッジ本体200は、サンプル
貯槽とコントロール流体貯槽とを少なくとも有する(それらの各々は、「空洞」とも呼ば
れ得る)。図2A図2Iに示された実施形態では、2つのコントロール流体貯槽202
A、202B、または「緩衝液貯槽」、および1つのサンプル貯槽204が存在する。示
されたコントロール流体貯槽202のうちの一方は、粒子を収集物出口へ前進させるフロ
ーストリームを与える「キャリア」貯槽として働く。示されたコントロール流体貯槽の他
方は、検出されたおよび/または特徴付けられた粒子を選択的に方向付けるように「トリ
ガー」貯槽として働く。いくつかの実施形態では、キャリアおよび/またはトリガー貯槽
からのフローストリームは、サンプル貯槽によって与えられるフローストリームに応答し
て決定される。貯槽のうちの任意の1つまたは任意の組合せは、貯槽中に置かれた液体が
貯槽の流体入口の近位に連続的に蓄積するように傾斜面、斜面、または角度を保有する貯
槽の床を備えることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、キャリア貯槽によって与えられるフローストリームは、一定
のレートを有する。いくつかの実施形態では、キャリア貯槽によって与えられるフロース
トリームは、途切れない。いくつかの実施形態では、トリガー貯槽よって与えられるフロ
ーストリームは、溶液のパルスまたは一時的な流れとして与えられる。
【0055】
図2A図2Iでは、サンプル貯槽204は、その意図した目的のために、1マイクロ
リットルの溶液ないし10ミリリットルの溶液ほどで機能することができる。任意の体積
のサンプル溶液を収容することができるサンプル貯槽204のサイズに制限はない。いく
つかの実施形態では、サンプル貯槽204は、1ミリリットル、10ミリリットル、15
ミリリットル、20ミリリットル、30ミリリットル、50ミリリットル、100ミリリ
ットル、または1リットルを超えて収容することができる。2つのコントロール流体貯槽
202A、202Bは、1マイクロリットルの溶液ないし10ミリリットル以上の溶液ほ
どで機能することができる。2つのコントロール流体貯槽は、10マイクロリットル以下
の溶液ないし100ミリリットル以上の溶液ほどで機能することができる。2つのコント
ロール流体貯槽は、任意の適切な溶液を装填することができる。いくつかの実施形態では
、これらの溶液は、1種または複数種の緩衝液、1種または複数種の試薬、1種または複
数種の媒体、あるいは緩衝液、試薬、および媒体の任意の組合せで構成される。
【0056】
図2A図2Iに(単なる例により)示されるように、カートリッジ本体200は、5
4mm×46mm×32.4mmの全体寸法を有する。
【0057】
カートリッジ本体200は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、環状オレフィン重合体
/共重合体(COP、COC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ
スチレン、または他の適切な材料などの不活性物質で構成することができる。一実施形態
では、カートリッジ本体200は、アクリル重合体から機械加工される。カートリッジ本
体200は、機械加工または射出成形によって形成することができる。
【0058】
本体ステージ(すなわち、マイクロ流体カートリッジの少なくとも3つのステージのう
ちの1つ)は、その使用に適した任意の全体寸法を有することができる。いくつかの実施
形態では、適切な寸法は、サンプル貯槽またはコントロール流体貯槽または本体ステージ
の貯槽の中に装填される1種または複数種の液体の1つまたは複数の体積に応じて決定す
ることができる。いくつかの実施形態では、本体ステージの寸法は、マイクロ流体カート
リッジ中の構造の他のステージの寸法に応じて決定される。いくつかの実施形態では、本
体ステージの寸法は、カートリッジがその内部に装填されるハードウェアプラットフォー
ムによって決定されてもよい。
【0059】
カートリッジ本体200の底部に(例示的な底面図は、図2A図2Cに示されている
)、インタフェースプレートが取り付けられ得る。流体入口通路(例えば、開口部206
参照)は、サンプル貯槽およびコントロール流体貯槽をインタフェースプレートを通じて
マイクロ流体チップに接続する。図2の流体入口通路と接続するように構成された開口部
(すなわち、より小さい開口部206)の直径は、1/32インチであるが、この開口部
の直径は、所与の実施に適している任意のサイズとすることができる。いくつかの実施形
態では、貯槽の開口部のうちの1つまたは複数は、他の貯槽の開口部のうちの1つまたは
複数の直径に等しくない直径を有する。流体入口通路は、サンプルおよびコントロール流
体貯槽をマイクロ流体チップに接続するために任意の適切な寸法を有することができる。
例えば、(本体ステージに接続する)インタフェースプレート中の流体入口エントリーの
直径は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9
、1、または1ミリメートル超とすることができる。開口部のうちの1つまたは複数(例
えば、開口部208)は、流体移送のためではなく光学的検出のための光内腔(light bo
re)としての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、カートリッジ本体の
各貯槽/空洞の底部には、開口部が1つある。サンプル貯槽204の空洞は、コントロー
ル流体貯槽202A、202Bの各空洞よりも大きくすることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、ライトパイプコアは、カートリッジ本体およびインタフェー
スプレートの中心を通じて配置することができる。そのような実施形態では、カートリッ
ジがハードウェアプラットフォームのベースプレートの中に配置されるとき、蛍光要素(
発光要素と検出要素の両方)は、ライトパイプコアの上方に配置され得る。発光信号およ
び検出信号は、マイクロ流体チップ中のセンシング領域に対してライトパイプコアを通じ
て伝わることができる(図15参照)。他の実施形態では、たった1つの電気的検出モジ
ュールが存在し、したがってライトパイプコアは、任意選択または不存在である。
【0061】
図3A~図3Fは、例示的なインタフェースプレートを示す。インタフェースプレート
310は、カートリッジ本体(例えば、図2A図2Iのカートリッジ本体200)のサ
ンプルおよびコントロール貯槽をマイクロ流体チップに接続するように構成された流体チ
ャネル312を含む。いくつかの実施形態では、弁および圧力調整器は、サンプルおよび
コントロール流体貯槽からインタフェースプレート310中の流体チャネル312を通じ
て次いでインタフェースプレート310中の流体チャネルをマイクロ流体チップに接続す
る流体バイアへの溶液の流量を制御する。インタフェースプレートは、任意の適切な技法
によっておよび任意の適切なやり方で製造することができる。一実施形態では、本体は、
ポリカーボネート重合体から機械加工することができる。別の実施形態では、本体は、射
出成形によって形成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、インタフェースプレートは、本体ステージ中のサンプル貯槽
およびコントロール貯槽をマイクロ流体チップに接続するように構成されている流体チャ
ネル、トリガー貯槽をベースプレート外部弁に接続するとともにこのベースプレート外部
弁をマイクロ流体チップに接続する流体チャネル、キャリア廃棄物出口を外部弁に接続す
るとともに外部弁から廃棄物出口へ接続する流体チャネル、およびマイクロ流体チップを
カートリッジから出る供給ノズルまたは出口に接続する流体チャネルのうちの1つまたは
複数を含む。インタフェースプレートを備えない実施形態では、これらの接続は、マイク
ロ流体カートリッジ適切なステージ同士の間で直接与えられる。
【0063】
いくつかの実施形態では、インタフェースプレートは、本体ステージの底部に接着され
る。これは、いくつかの実施形態において、感圧接着剤、にかわ、熱接合、超音波溶接、
または他の適切な方法によって達成される。
【0064】
いくつかの実施形態では、供給ノズルは、ソフトウェアによって制御されるノズル振動
空洞を備え、振動の制御によって、溶液の流量を調節することができる。いくつかの実施
形態では、ノズル振動は、圧電素子によって与えられる。いくつかの実施形態では、イン
タフェースプレートは、緩衝液またサンプルがカートリッジから出て行くことを可能にす
る複数のノズルを有する。いくつかの実施形態では、インタフェースプレートは、収集お
よび/または液体供給のために1つのノズルを有する。いくつかの実施形態では、ノズル
のうちの1つまたは複数は、液体をルートするためにベースプレートの中に繰り込まれる
穴と置換されてもよい。
【0065】
カートリッジと蓋の間の接触用、またはベースプレートとカートリッジの間の接触用に
、空気弁とのシールされた流体接触を可能にするために、Oリング溝が備えられもよい。
【0066】
図3Fは、インタフェースプレート310の構造がマイクロ流体チップの構造とどのよ
うに位置合わせされるのかを示す。位置合わせおよび接合のための稜部316は、インタ
フェースプレート310とマイクロ流体チップの適切な取り付けを確実にする。
【0067】
インタフェースプレート310の全体寸法は、図3A~図3Fに示されるように、54
mm×46mm×4.3mmであるが、インタフェースプレートは、その使用に適した任
意の全体寸法を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、インタフェース
プレートの寸法は、マイクロ流体カートリッジ中の構造の他のステージの寸法に応じて決
定される。いくつかの実施形態では、インタフェースステージの寸法は、カートリッジが
その内部に装填されることになるハードウェアプラットフォームによって決定することが
できる。
【0068】
図4A図4Bは、標識された接続点、すなわち、サンプル収集物、サンプル廃棄物、
キャリア廃棄物、キャリア入口、トリガー入口、およびサンプル入口を有する、例示的な
マイクロ流体チップモールド418を示す。
【0069】
図5A図5Cは、図4A図4Bのマイクロ流体チップモールドと同様であり得るマ
イクロ流体チップモールド518を有する例示的なマイクロ流体チップ520の組立体を
示す。マイクロ流体チップ520は、その内部に画定された複数のマイクロ流体チャネル
522を備える。マイクロ流体基板およびモールドは、マイクロ流体チャネルを横切る細
胞中の細胞毒性事象をもたらさない生体不活性物質で構成することができる。好ましい実
施形態では、マイクロ流体基板およびモールドは、光学的イメージング、蛍光検出、およ
び/または他の光学的検出および特徴付けを可能にするために透明である。マイクロ流体
チップおよびモールドは、アクリル樹脂、環状オレフィン重合体(COP)または共重合
体(COC)、およびポリカーボネートを含む任意の適切な材料で構成することができる
【0070】
マイクロ流体基板は、センシング領域内の粒子を感知および検出するために電気的接触
を与えるパターン化された電極を備える。電極は、任意の適切な導電性材料で作製するこ
とができる。一実施形態では、電極は、銅接着層と白金上層とを備える。パターン化され
た電極は、マイクロ流体チップモールドのセンシング領域にわたって電流変化を感知する
ためにそれらが接触をもたらす限り任意のパターンで存在することができる。いくつかの
実施形態では、2つ以上の電極が存在し得る。例えば、検出器は、2点(例えば、2電極
)検出器、3点(例えば、3電極)検出器、4点(例えば、4電極)検出器などであり得
る(米国特許第9,201,043号明細書参照。これは、参照により本明細書に組み込
まれる)。
【0071】
モールドは、フェースプレート中の流体バイアを通じてカートリッジ本体中の貯槽に接
続されるように構成された少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを備えることができる
【0072】
マイクロ流体基板およびモールドは、任意の適切な基板でおよび任意の適切な方法で作
製することができる。いくつかの実施形態では、一方または両方は、射出成形されてもよ
い。いくつかの実施形態では、一方または両方は、プラスチックなどの硬質材料で作製す
ることができる。マイクロ流体チップの厚さは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0
.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1ミリメートル、または1ミリメートル
よりも大きいを含む任意の適切な厚さであり得る。マイクロ流体モールドの厚さは、約0
.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、または
1ミリメートルよりも大きいを含む任意の適切な厚さであり得る。
【0073】
マイクロ流体基板およびモールドは、少なくとも、(1)センシング領域に入るマイク
ロ流体チャネル、(2)センシング領域、および(3)単一粒子の収集/単離のために溶
液の流れをキャリアマイクロ流体チャネルの中に向けることができるトリガーを備える少
なくとも1つの選別領域を有するセンシング領域から出るマイクロ流体チャネルを備える
ことができる。したがって、本明細書中に記載されたいくつかの実施形態によれば、細胞
選別は、(例えば、チャネルの寸法および/または組成によって)受動的ではなく、(例
えば、流体の力によって)能動的に実行される。いくつかの実施形態では、キャリアチャ
ネルは、複数のマイクロ流体チャネルに分割され、各々はキャリアチャネルをサンプル収
集物出口またはキャリア廃棄物出口に接続する。いくつかの実施形態では、キャリアチャ
ネルをサンプル収集物出口またはキャリア廃棄物出口に接続するマイクロ流体チャネルは
、インタフェースおよびベースプレートとの接続によって外部で弁が調節される。いくつ
かの実施形態では、そのようなマイクロ流体チャネル弁部は、対象となる粒子が選別され
ないときに滴の生成を最小化し、一方、対象となる粒子が選別されるときに滴の生成を最
大にすることによって、収集滴体積生成(collection drop volume creation)を改善す
る。
【0074】
マイクロ流体基板およびモールドは、フェースプレート中の流体バイアを通じて本体中
の貯槽に接続される1つまたは複数の入口を備える。サンプル貯槽は、マイクロ流体基板
およびモールド中の少なくとも1つの入口に接続される。他の入口は、コントロール緩衝
液貯槽に接続することができる。
【0075】
マイクロ流体チャネルは、マイクロ流体チップ中のサンプル入口からセンシング領域へ
延びる。流れが与えられるとき、サンプル貯槽中の液体は、サンプル入口に流れ込み、次
いでセンシング領域に入る。好ましい実施形態では、サンプル貯槽からの流体だけが、サ
ンプル入口を通じてセンシング領域の中に流れる。
【0076】
センシング領域は、サブミクロンからミクロンまでの範囲以上のサイズの範囲である単
一細胞および粒子の特性および/または存在を検出することができる。いくつかの実施形
態では、検出は、コールター原理を用いて行われる。細胞または粒子は、センシング領域
内の導管を通過する。いくつかの実施形態では、センシング領域は、1つまたは複数のノ
ードの近位に導管を備える。そのような実施形態では、導管の直径は、粒子が導管に入る
ときに電気的なインピーダンス/抵抗を引き起こし得るように、センシング領域に出入り
するマイクロ流体チャネルの1つまたは複数の領域(1つまたは複数のノード)よりも小
さい。他の実施形態では、センシング領域は、ノードを備えない。他の実施形態では、セ
ンシング領域は、より小さい直径を有する複数の導管の近位に複数のノードを備える。そ
のような実施形態では、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ以上のノードが存在し得る
。いくつかの実施形態では、センシング領域は複数の導管を備え、各導管はノードの近く
にエントランスおよび出口を有する。いくつかの実施形態では、センシング領域は複数の
導管を備え、全てよりも少ない導管のエントランスおよび/または出口が、ノードの近位
にある。いくつかの実施形態では、センシング領域は、米国特許第9,201,043号
明細書に記載されたような設計の1つを有することができ、これは、参照により組み込ま
れる。他の実施形態では、電気的なインピーダンスおよび抵抗の複数の事象が存在するよ
うに、導管は3つ以上のノードを有する。
【0077】
好ましい実施形態では、システムは、単一細胞の検出、選別、および単離のためのもの
である。この場合には、導管の直径および高さは、少なくとも30、40、50、60、
70、80、90、100、110、120、130、140、または150マイクロメ
ートルである。導管は、細胞が導管を通過するために十分大きくなければならないが、単
一細胞または粒子が導管の一対のノード間に流れる電流の電気的なインピーダンス/抵抗
を引き起こすのに十分小さくもなければならない。
【0078】
本技術によって検出できる細胞直径の範囲は広く、本分野における多くの重要な細胞直
径を含む。例えば、成熟した雌卵は、最大の細胞タイプの中にあり、約120マイクロメ
ートルの直径である。平均体積(立方マイクロメートル)を単位として、赤血球は100
であり、リンパ球は130、好中球300、線維芽細胞2,000、HeLaは3,00
0、骨芽細胞4,000、および卵母細胞は4,000,000である。
【0079】
本技術は、細胞よりも小さい粒子を検出および特徴付けするために使用され得ることが
予見される。適切なサイズの導管が、任意のサイズの粒子を検出および特徴付けするため
に使用され得る。そのような粒子には、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、脂肪、
リン脂質、糖、糖タンパク質、糖鎖、核酸、リボソームなどの生体粒子、DNA、RNA
、細胞小器官、リボソーム、細胞運搬体、ウイルス、毛穴、花粉、細胞閉塞、沈殿物、細
胞内結晶、ウイルス、抗体、二重特異性抗体などを含む生体分子、Fab断片、結合タン
パク質、リン酸化タンパク質、アプタマー、エピトープ、多糖類、ポリペプチド、ペプチ
ドグリカン、ポリスチレンビーズなどのポリマー、ラテックスビーズ、コロイド(例えば
、金属コロイド)、磁性粒子、誘電体粒子、結晶(例えば、マイクロ結晶またはナノ結晶
)、ならびに0.01nmから100mmのサイズ範囲を有する任意の他の細胞成分、微
粒子、繊維、不純物、汚染物質および合成粒子が含まれ得る。
【0080】
センシング領域内の導管は、各細胞または粒子が通過することに伴って変化する実効電
気的インピーダンスまたは抵抗を有する。
【0081】
電気的検出のためのノードは、コールター原理によって確かめられる情報を与える。ノ
ードには、マイクロ流体チップのパターン化された電極による電流が供給され、他のパタ
ーン化された電極は、電気的検出ノードを通じて電流を感知することを行う。いくつかの
実施形態では、パターン化された電極は、2つの内側電極および2つの外側電極を備えた
4点電極または4点測定を備える。いくつかの実施形態において、外側電極は、導管の中
に電流(例えば、一定電流)を供給し、内側電極は、導管の電気特性(例えば、電圧)の
変化を検出する。他の実施形態では、内側電極は、導管の中に電流を供給し、外側電極は
、導管の電気特性の変化を検出する。いくつかの実施形態では、外側電極は、導管への電
流を供給し、内側電極は、導管に供給される電圧を調整するが、電流を通さない。
【0082】
センシング領域内の光学的センシング位置および電気的センシング位置は、任意の適切
なやり方で分布させられ得る。センシング領域内の1つまたは複数の光学的センシング位
置は、それが蛍光検出のための「観察の窓」を与えるように本体およびフェースプレート
中のライトパイプ内腔と位置合わせされる。
【0083】
1つまたは複数の電気的センシング位置は、センシング領域内のどこでもよい。いくつ
かの実施形態では、電気的センシング領域は、光学的センシング位置と重なってもよい。
いくつかの実施形態では、電気的センシング位置は、サンプル入口と第1の光学的センシ
ング位置の間にあってもよい。いくつかの実施形態では、電気的センシング位置は、選別
領域と最後の光学的センシング位置の間にあってもよい。いくつかの実施形態では、電気
的センシング位置は、2つの光学的センシング位置の間にあってもよい。
【0084】
好ましい実施形態では、検出またはセンシング領域は、光学的センシング能力と電気的
センシング能力の両方を有する。
【0085】
一実施形態では、検出領域は、1つまたは複数のノードおよび2つ以上のセクションを
備える部分に分けられた導管を有する。蛍光手段は、光学的センシング能力を与えること
ができる。蛍光手段の好ましい実施形態は、図15に示されている。
【0086】
電気信号および光信号による同時の検出および特徴付けは、電気信号または信号の変化
、光信号または信号の変化、およびシグナリング箇所を移動する粒子の速度を測定する方
法を与え、光学的測定の精度を高める。いくつかの実施形態では、この高められた精度は
、各粒子がより少ない時間にわたって励起波長に露出されることを可能にする。励起波長
への少ない露出は、対象となる粒子(例えば、細胞)に対する細胞毒性効果および光退色
を減少させることができ、それらの生存能力を増強するとともに、最終収率を増加させる
【0087】
マイクロ流体チャネルは、センシング領域から外に出るとともに、1つまたは複数の選
別領域に接続する。
【0088】
選別領域は、サンプルマイクロ流体チャネルから始まるマイクロ流体チャネルと、2つ
以上の別個のマイクロ流体チャネルという結果になる分岐点とを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、選別領域から出るマイクロ流体チャネルのうちの1つまたは
複数は、選別領域をマイクロ流体基板およびモールド中の出口に接続する。1つまたは複
数の出口は、サンプル収集物または廃棄物のために使用され得る。図4Aは、サンプル収
集物出口、サンプル廃棄物出口、およびキャリア廃棄物出口を備える一実施形態を与える
。出口は、流体バイアを介してフェースプレート中の供給ノズルまたは供給穴314に接
続される。供給ノズルは、ベースプレートと接続する。
【0090】
選別領域は、1つまたは複数のさらなる入口を選別領域に接続する1つまたは複数の交
点も備えることもできる。これらのさらなる入口は、本体中のコントロール貯槽に接続す
ることができる。
【0091】
好ましい実施形態では、選別領域は、サンプルマイクロ流体チャネルから始まるマイク
ロ流体チャネルと、サンプルマイクロ流体チャネルから始まるマイクロ流体チャネルから
の溶液の流れを選択されたキャリアマイクロ流体チャネルの中に向けることができるトリ
ガーとを少なくとも備える。
【0092】
いくつかの実施形態では、トリガーは、サンプルマイクロ流体チャネルから始まるマイ
クロ流体チャネルと、コントロール貯槽から液体を供給する第1のマイクロ流体チャネル
との間の交点に設けられる。図4A図4Bは、実施形態のうちの1つを示しており、交
点は、マイクロ流体チャネルによってトリガー入口に接続されている。コントロール貯槽
からトリガー入口を通じて交点への流れは、トリガーフローを与える。
【0093】
トリガー入口から液体の流れがないまたは初期の流れが少なく与えられるとき、サンプ
ル液体は、交点の分岐点のデフォルトの分岐に流れ込む。好ましい実施形態では、デフォ
ルトの分岐は、サンプル廃棄物収集へ至る。流れまたは増加した流れがトリガーから与え
られるとき、この流れは、サンプル液体を分岐点の選択された分岐の中に向ける。
【0094】
第1の分岐点の選択された分岐は、第2の交点でキャリアマイクロ流体チャネルと交差
する。キャリアマイクロ流体チャネルは、コントロール貯槽からキャリア入口を通じた流
れが与えられる。複数のマイクロ流体チャネルは、第2の交点から出る。好ましい実施形
態では、2つのマイクロ流体チャネル、デフォルトの分岐チャネルおよび選択された分岐
チャネルは、第2の交点から出る。好ましい実施形態では、デフォルトの分岐はキャリア
廃棄物収集へ至り、選択された分岐はサンプル収集物出口へ至る。キャリア廃棄物収集は
、外部で弁が調節され得る。弁は、ベースプレートに取り付けることができ、インタフェ
ースプレート中のチャネルを介してキャリア廃棄物をベースプレートに接続する。いくつ
かの実施形態では、弁が開かれているとき、キャリア流体の大部分は、キャリア廃棄物の
分岐に入り、キャリア廃棄物を通じて選択的に出る。弁が閉じられているとき、キャリア
流体の大部分は、サンプル収集物の分岐に入り、サンプル収集物出口に選択的に流れ込む
。弁の開/閉状態は、センシング領域内で検出される信号、信号変化、信号の欠如、また
は信号変化の欠如に依存する。いくつかの実施形態では、弁の制御は自動化されている。
【0095】
出口チャネルのマイクロ流体の性質は、選別された粒子を出口液滴の中に前進させるの
に、より大きい寸法を有する選別機よりもかなり少ない流体を必要とする。いくつかの実
施形態では、合計出口液滴体積は、10マイクロリットル未満、10マイクロリットルか
ら15マイクロリットル、または15マイクロリットルよりも多くである。好ましい実施
形態では、選別された粒子を前進させるのに使用される流体体積は、マイクロ流体チップ
中で約0.1マイクロリットル以下、およびインタフェースプレートチャネル内で約5マ
イクロリットル以下である。必要な流体の削減により、部分標本が単一粒子を備えること
を確実にしつつ所与の部分標本がマイクロ流体チャネルを通じて進むときに、分岐を切り
換える回数を増加させる。この切り換え回数の増加により、ターゲット粒子が単離として
カートリッジから出るのに必要な時間を減少させ、それによってスループット全体を向上
させる。
【0096】
図6A図6Gは、検出領域および選別領域を有する組み立てられたマイクロ流体チッ
プ620、およびマイクロ流体チップモールド618を示す。図示された実施形態では、
検出またはセンシング領域は、光学的センシング(例えば、蛍光センシング)と電気的セ
ンシング能力の両方を有する。蛍光センシングの実施形態は、図15に示されている。
【0097】
いくつかの実施形態では、光学的センシングは、粒子が電気的検出またはセンシング位
置に入る前に行われる。いくつかの実施形態では、光学的センシングは、粒子が電気的セ
ンシングまたは検出位置から出た後に行われる。電気的センシングがLEDまたは他の光
源をトリガーするのに使用される実施形態では、光学的検出は、電気的センシングの後に
行われる。
【0098】
いくつかの実施形態では、図5A図6Gに示されるように、マイクロ流体チップは、
導管の近位に1つまたは複数のノードを備えるセンシング領域を備える。いくつかの実施
形態では、マイクロ流体チップは、1つまたは複数の導管の近位に複数のノードを備える
。例えば、図5A図6Gは、どちらかの側に導管に近いノードを備えるセンシング領域
を備えたマイクロ流体チップの一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、マイクロ流
体チップは、ノードのないセンシング領域を備える。いくつかの実施形態では、マイクロ
流体チップは、3つ以上、4つ以上、5つ以上、または6つ以上のノードなどの複数のノ
ードを含む1つまたは複数のセンシング領域を備える。いくつかの実施形態では、ノード
のうちの1つまたは複数は、機能化面を備える。いくつかの実施形態では、どのノードも
機能化面を備えない。
【0099】
マイクロ流体チャネルの体積は、円筒形、プリズム、円錐形、または任意の他の幾何学
的形状、あるいは幾何学的形状の任意の組合せとして説明することができる。図に(単な
る例により)示されるように、マイクロ流体チャネルは、直角プリズムである。図におい
てサンプル入口およびセンシング領域に接続するチャネルの有効直径は0.35mmであ
り、粒子が電気的に検出および特徴付けされるセンシング領域に出入りするチャネルの有
効直径は0.035mmであり、粒子が電気的に検出および特徴付けられるセンシング領
域内のノードの有効直径は、0.105mmである。示された例示的な実施形態では、サ
ンプル入口からセンシング領域までの距離は約3.4mmであり、センシング領域の長さ
は、約0.105mmであり、センシング領域を選別領域に接続するチャネルの長さは、
約1.7mmである。これらの寸法は例として意味されるものにすぎず、限定するもので
はないことを理解されたい。
【0100】
図7A図8Iは、図2A図6Gを参照して上述した構成要素の組合せを含む例示的
なカートリッジ組立体である。
【0101】
図9A図9Nは、関連したハードウェアプラットフォームの例示的なベースプレート
である。ベースプレート924は、ハードウェアプラットフォームおよび/または電子機
器基板と接続するように構成されているその下面に取り付け位置(または「マウント」)
を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジ組立体は、ベースプレートのカートリ
ッジ位置合わせクレードル926にドッキングし、それによって液体バイアを通じてそれ
をアクセス弁に接続する。図9A図9Bおよび図9E図9Fに示されるように、カー
トリッジ位置合わせクレードル926は、サンプルを収集するためのクリアな(妨げられ
ない)位置を備えることができる。
【0102】
図10A図10Bは、ハードウェアプラットフォームの例示的なベースプレート10
24と嵌め合わされる例示的なカートリッジ1000を示す。図10Aは、ハードウェア
プラットフォームのベースプレート1024の中に配置されているカートリッジ1000
を示す(ハードウェアプラットフォームの残りは、示されていない)。
【0103】
図10Bは、ベースプレート1024中の弁マニホールドの例示的な位置1026を示
す。
【0104】
カートリッジトリガー貯槽は、ハードウェアプラットフォームのベースプレート102
4中に弁で調整されたポートに接続することができ、キャリア廃棄物は、ベースプレート
1024中の弁で調整されたポートへルートされる。いくつかの実施形態では、接続は、
Oリングシーリングを用いてなされる。図10Bは、カートリッジ1000のトリガー貯
槽が、Oリングシーリングを用いてベースプレート1024に接続されている一実施形態
を示す。
【0105】
図11A図11Lは、シール面を有する例示的な蓋1126を示す。いくつかの実施
形態では、蓋は、カートリッジとは別個であり、カートリッジ組立体の上に配置されてい
る上部プレートとしての役割を果たす。他の実施形態では、蓋1126は、カートリッジ
の一部である。いくつかの実施形態では、蓋は、使い捨てである。図11A図11F
示された実施形態では、これは、蓋の縁の近くの箇所で蓋1126を通過するリニア軸受
ポート1128Aおよび1128Bを用いて達成される。
【0106】
カートリッジ中のチャンバにかけられる圧力は、蓋を横切る圧力アクセスポートを用い
て制御することができる。
【0107】
図11A図11Fの蓋1126の上部は、光学系を位置決めする光フィルタ立方体凹
部(light filter cube recess)1130を定める。配置されるとき、光学系は、蓋を横
切る光フィルタ立方体凹部1130内の光アクセスおよび濾過コアと位置合わせされる。
このアクセスコアを介して、光学系は、カートリッジを通じて延びるライトパイプまたは
光内腔にアクセスすることができる(例えば、図15参照)。
【0108】
図12A図12Lは、例示的な圧力調整器マニホールドを示す。圧力調整器マニホー
ルド1232は、カートリッジの中への圧力入力を駆動するためにハードウェアプラット
フォーム上へボルト留めする。マニホールドは、マニホールドの調整器によって空気圧力
をカートリッジ空洞に印加することを可能にする任意のやり方でハードウェアプラットフ
ォームに取り付けることができる。好ましい実施形態では、空気圧力が、圧力調整器マニ
ホールドの調整器によって印加されるときに、上部機器のプレートまたは蓋は、カートリ
ッジ空洞を覆う。
【0109】
図12A図12Lに示された圧力調整器マニホールド1232は、溶液の流れについ
て三方弁のアクセスを実現するように構成されている。それが、その側面に主圧力入口と
、その上面に調整済み圧力アウトポート(regulated pressure out port)とをさらに備
え、カートリッジのチャンバ内の溶液の圧力駆動流を制御するようになっている。
【0110】
図13は、例示的なサブシステム1334のレイアウトを示す。図13は、(例えば、
図11A図11Lを参照して上述したように)上部プレート1326の組立体と、(例
えば、図2A図2Iを参照して上述したようなカートリッジ本体、および図4A図6
Gを参照して上述したようなマイクロ流体チップ基板およびモールドを含む)マイクロ流
体チップ基板およびモールド1336を有するカートリッジと、(例えば、図9A図9
Nを参照して上述したような)電気センシング接点1340を有するベースプレート13
24と、96ウェルプレート出力コンテナ1342を備えるために図13に示された収集
モジュール1344とを示す。サブシステムの他の要素は示されていない。
【0111】
図14A図14Cは、図13に示された例示的なサブシステム中の流体経路の概略図
である。図示された実施形態では、新しいカートリッジが使用されるときに、溶液サンプ
ル流体経路は、以前のカートリッジの中に装填されたサンプル流体と以前接触されたいず
れかの面と相互作用しない。
【0112】
図14Aは、カートリッジ中のトリガー空洞からマイクロチップトリガー入口へ延びる
トリガーライン流体経路を示す。本実施形態では、溶液の流れは、図14Aの「X」とし
て示される弁によって制御される。
【0113】
図14Cは、カートリッジ中のキャリア空洞の中に装填される溶液のキャリアライン流
体経路を示す。キャリアライン中の流体の流れ、および(図14C中に「X」として示さ
れた)弁が開いているかまたは閉じているかに応じて、キャリア流体は、上側のサンプル
収集物経路、または下側の廃棄物経路に選択的に流れる。好ましい実施形態では、キャリ
アライン中の流体は、粒子がマイクロ流体チップの1つまたは複数のセンシング領域中に
あるときに検出される1つまたは複数の信号に応じて、収集または廃棄物経路へ向けられ
る。
【0114】
図14Bは、カートリッジのサンプル空洞中の溶液の流体経路を示す。サンプルライン
およびトリガーラインからの流体の流れに応じて、サンプル溶液は、上側廃棄物経路また
は下側サンプル収集経路へ流れる。好ましい実施形態では、サンプル溶液の方向は、粒子
がマイクロ流体チップの1つまたは複数のセンシング領域内にあるときに、検出された1
つまたは複数の信号に応じて決定される。
【0115】
図15は、LEDを用いた蛍光検出システム1546の一実施形態である。灰色の長方
形は、カートリッジ500を示す。中央コラム1548は、カートリッジ1500の垂直
長さを通じて延びるとともに、マイクロ流体チップ1520のマイクロ流体チャネルのセ
ンシング領域の上方に配置されるライトパイプまたは光内腔(いくつかの実施形態による
、「マルチモードファイバ」または「自由空間」)を示す。ライトパイプ1548の上方
に、ダイクロイックミラー1558と、定量的蛍光リモートアクセス検出器を含む蛍光発
光および/または検出組立体1550(いくつかの実施形態において、蛍光フィルタ15
60を有するフォトダイオード1556)とがある。光源(いくつかの実施形態ではLE
D)の面発光1552は、励起波長(例えば、青色、しかしながら、他の波長が用いられ
てもよい)を分離するために励起フィルタ1554によってフィルタ処理される。
【0116】
図16A図16Dは、システム組立体全体1662の一例を示す。
【0117】
図17は、検出および/または感知、ならびに単離のための例示的なスキーム1764
を示す。「キャリア」列の矢印は、選別された対象となる粒子を収集デバイスへ運ぶ溶液
の流れの方向を示す。このキャリア列は、マイクロ流体チップ内にあるマイクロ流体チャ
ネルを示す(例えば、図6A図6G参照)。いくつかの実施形態では、粒子担持溶液は
、対象となる粒子が運ばれる唯一の手段である(すなわち、シースまたは他のさらな液体
は使用されない)。
【0118】
カートリッジは、そのマイクロ流体構造をハードウェアプラットフォームのセンシング
/検出モジュールおよび収集モジュールと位置合わせさせるように設計されている。
【0119】
「サンプル」列の矢印は、カートリッジのサンプル貯槽から粒子を運ぶ溶液の流れの方
向を示す。このサンプル列は、カートリッジのマイクロ流体チップステージ内にあるマイ
クロ流体チャネルを示す。サンプル粒子は、「センシング領域」を1つずつ通過する。各
粒子は、好ましくは電気検出要素および蛍光検出要素の組合せによって、センシング領域
内で取り調べられる。粒子からの電気信号と蛍光信号の組合せが分析され、粒子が特定さ
れる。粒子が対象となる粒子であると特定される場合、対象となる粒子が収集/単離でき
るように、キャリアマイクロ流体チャネルの中に溶液の流れを向けるトリガーが稼働させ
られる。いくつかの実施形態では、トリガーは、溶液の流れを変えることによってサンプ
ル溶液を方向付ける。いくつかの実施形態では、トリガーは、サンプル溶液を方向付ける
ために緩衝液または液体の直交流を導入する。
【0120】
センシング領域中の固有のデバイスジオメトリと組み合わされて、信号処理アルゴリズ
ムは、粒子からの電気信号および/または蛍光信号を計算し、全ての粒子を追跡しつつ高
い検出の感度およびダイナミックレンジという結果になる。能動的単離は、粒子完全性、
例えば、細胞生存能力を維持するやり方で、対象となる各粒子をトリガーし、収集する。
【0121】
機能的能力
従来、生体粒子単離システムに、本技術の以下の特徴(リカバリー、単一細胞単離効率
、異種のサンプル入力を用いる能力、純度、粒子完全性の保存、幅広いサンプル入力体積
を用いる能力、機能のスピード、汚染の無い動作、およびある程度の自動化)の全部を実
現するために使用することができるものは無かった。
【0122】
本技術は、サンプル中の任意または全部の粒子を別々または個々に検出および特徴付け
することを可能にする。粒子が検出または特徴付けされた後、粒子は、サンプル出力から
の収集または除去のために方向付け/ルートされ得る。いくつかの実施形態では、溶液中
の個々の粒子の光学的検出および電気的検出ならびに特徴付けは、溶液中の希少な粒子ま
たは細胞のリカバリーを可能にする。いくつかの実施形態では、希少な粒子は、溶液中で
希釈されてもよい。いくつかの実施形態では、希少な粒子は、溶液中で希釈されない。い
くつかの実施形態では、溶液は、希少な粒子とともにより豊富な一般的な粒子を含有し得
る。いくつかの実施形態では、希少な粒子は、癌細胞、循環癌細胞、血球、白血球、幹細
胞、形質転換細胞もしくはトランスフェクト細胞、または他の細胞もしくは細胞タイプで
あり得る。いくつかの実施形態では、希少な粒子は、1つまたは複数の細胞表面タンパク
質を過剰発現させる細胞であり得る。いくつかの実施形態では、希少な粒子は、1つまた
は複数の細胞内タンパク質を過剰発現させる細胞であり得る。いくつかの実施形態では、
希少な粒子は、サイズによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、希少
な粒子は、サイズとタンパク質マーカープロファイルの組合せによって特徴付けることが
できる。いくつかの実施形態では、粒子は、検出され、特徴付けられない。いくつかの実
施形態では、粒子または細胞は、低濃縮であり、または生理学的に関連した濃縮であり得
る。いくつかの実施形態では、システムは、光学的検出だけまたは電気的検出だけで動作
することができる。
【0123】
本明細書中に記載された実施形態は、効率的な単一細胞単離を可能にすることができる
。好ましい実施形態では、電気的検出アルゴリズムと光学的検出アルゴリズムを組み合わ
せたものが、異種のサンプルからの所望の細胞表現型の非常に正確な単一細胞選別のため
にマイクロ流体を制御する。
【0124】
単一細胞単離の効率は、マイクロタイタープレート中の個々のウェル(例えば、96ウ
ェルプレート)、または任意の他の容器の中にうまく沈殿される所望の(および、任意選
択で実行可能な)単一細胞の個数として定義することができる。例えば、単一細胞を有す
る96ウェルプレート上の90個のウェルは、「歩留まり」または「単離効率」93.7
5%という結果になる。いくつかの実施形態では、電気的検出と光学的検出の組み合わせ
は、結果として、90%を超える、91%を超える、92%を超える、93%を超える、
94%を超える、95%を超える、96%を超える、97%を超える、98%を超える、
または99%を超える単離効率となる。
【0125】
入力サンプルは、粒子または細胞の同種集団または異種集団を含む溶液または混合物で
あり得る。サンプルが異種である場合、対象となる粒子は、混合物中の大部分の粒子また
は複数の粒子または少数の粒子であり得る。いくつかの実施形態では、対象となる粒子は
、混合物中の実質的に大部分の粒子である。いくつかの実施形態では、対象となる粒子は
、混合物中の粒子の約50%である。いくつかの好ましい実施形態では、対象となる粒子
は、混合物中の粒子の少数である。混合物中の対象となる粒子と合計粒子の比は、1:1
未満、1:10未満、1:100未満、1:1000未満、約1:106、約1:107
約1:108、約1:109、約1:1010、約1:1011、約1:1012、または1:1
12未満とすることができる。例えば、癌細胞または血中循環腫瘍細胞は、血液サンプル
から検出することができ、ターゲット細胞は、100万個のバックグラウンド(非ターゲ
ット)細胞あたり1個のターゲット細胞の程度で存在する。
【0126】
本技術の選別および単離の使用により、高純度の出力という結果になる。デュアル検出
の一実施形態では、電気的(NPSベースの)検出とLEDを用いた蛍光検出との組み合
わせにより、偽陽性の検出が減少する。実施に応じて、本明細書中に記載されたシステム
または方法を使用することで、結果として偽陽性を減少させることができ、偽陽性が、対
象となる単離された細胞の総数の10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満
、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を構成するようになる。い
くつかの実施形態では、LEDを用いた1つまたは複数の励起源が使用される。いくつか
の実施形態では、1つまたは複数のレーザを用いた励起源が使用される。緩衝液中で単一
粒子が単離される実施形態では、この高い純度は、結果として、単一のターゲット粒子を
含有する出力収集物に使用される容器の90%を超える、91%を超える、92%を超え
る、93%を超える、94%を超える、95%を超える、96%を超える、97%を超え
る、98%を超える、または99%を超えるものとなる。ターゲット粒子が選別される実
施形態では、この高い純度は、結果として、ターゲット粒子は、1つまたは複数の出力サ
ンプル中の選別された粒子全部の90%を超える、91%を超える、92%を超える、9
3%を超える、94%を超える、95%を超える、96%を超える、97%を超える、9
8%を超える、99%を超える。
【0127】
「卓上」寸法を有するシステムの能力によれば、このシステムは、ドラフトまたは培養
フードなどの小さい無菌環境中に配置することができる。これは、サンプルが純度が高く
および/または汚染の無い性質であることをさらに確実にする。
【0128】
粒子完全性の保存および単一粒子の単離は、粒子のさらなる下流での確認および特徴付
けを可能にする。細胞の生存能力は、例えば、トリパンブルー(Trypan Blue)またはヨ
ウ化プロピジウム染料、および顕微鏡検査、またはCellTiter(商標)、または
培養によるなどの生/死アッセイを用いて実証されることができる。粒子が生細胞である
実施形態では、この技術は、単一細胞単離から均一なクローンコロニーを創設することが
可能になる。そのようなコロニーを呼ぶ表現型は、呼び出しの均一性および再現性を確実
にする。表現型技法は、当業界で知られており、PCR、サンガー法配列決定、次世代配
列決定、抗体ベースの染色、および顕微鏡検査を含む。いくつかの実施形態では、選別さ
れた細胞の表現型は、適切な単離および選別を確認するために使用される。いくつかの実
施形態では、表現型は、創始者の単離を本来分類していなかった細胞の特性を特徴付ける
ために使用される。
【0129】
従来の培養または結合のステップは、単一粒子の検出および単離に必要でない。いくつ
かの実施形態では、粒子は、蛍光レポータータグを含む。いくつかの実施形態では、粒子
は、蛍光レポータータグを含む細胞またはトランスフェクション細胞であり得る。いくつ
かの実施形態では、蛍光レポータータグは、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの発現し
た蛍光タンパク質である。いくつかの実施形態では、蛍光レポータータグを含む粒子は、
染色しない光学的検出を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、励起源(例
えば、LED)は、粒子または細胞の電気的検出に結合され、それのより励起源は、粒子
または細胞の電気的検出および/または特徴プロファイルに応じて選択的に活性化される
。光退色および細胞毒性事象は、この結合によって励起源への露出を限定することにより
減少させられ、従来の細胞検出、特徴付け、および選別技法と比べて細胞生存能力の増加
をもたらす。
【0130】
本技術は、1マイクロリットルから10ミリリットルを超えるサンプル体積が使用され
ることを可能にし、それによって濃縮または希釈のステップの必要性を取り除く。図2G
図2Iは、最大サンプル体積が約10ミリリットルである例示的なサンプル貯槽を示す
。しかしながら、最大サンプル体積は、サンプル貯槽が保持できる任意の体積であり得、
サンプル貯槽のサイズに限定されない。いくつかの実施形態では、サンプル貯槽は、10
ミリリットル、15ミリリットル、20ミリリットル、30ミリリットル、50ミリリッ
トル、100ミリリットル、または1リットルを超えて含むことができる。サンプル体積
は、10ミリリットル未満とすることもできる。いくつかの実施形態では、サンプル体積
は、10ミリリットル未満、5ミリリットル未満、1ミリリットル未満、100マイクロ
リットル未満、50マイクロリットル未満、25マイクロリットル未満、約10マイクロ
リットル、約1マイクロリットル、または1マイクロリットル未満とすることができる。
【0131】
本技術の分類は、高速で粒子を検出、特徴付け、および選別または単離することができ
る。速度は、マイクロチップを介してサンプル中の粒子の濃度および粒子の流量を調整す
ることによって変更することができる。いくつかの実施形態では、異種集団中の対象とな
る粒子は、約1分当たり1個未満の粒子、1分当たり1個の粒子、1分当たり10個の粒
子、1分当たり100個の粒子、1分当たり1000個の粒子、1分当たり約10,00
0個の粒子、1分当たり約100,000個の粒子、またはそれよりも大きい速度で単離
することができる。いくつかの実施形態では、異種サンプル中の粒子は、1分当たり約1
個未満の粒子、1分当たり1個の粒子、1分当たり100個の粒子、1分当たり1,00
0個の粒子、1分当たり10,000個の粒子、1分当たり100,000個の粒子、1
分当たり100万個の粒子、1分当たり1000万個の粒子、1分当たり1億個の粒子、
10億個の粒子、またはそれよりも大きい速度で選別することができる(すなわち、ター
ゲット粒子は、非ターゲット粒子から分離して収集される)。いくつかの実施形態では、
同種集団中の対象となる粒子は、1分当たり1個未満の粒子、1分当たり1個粒子、1分
当たり10個の粒子、1分当たり100個の粒子、1分当たり1000個の粒子、1分当
たり約10,000個の粒子、1分当たり約100,000個の粒子、またはそれよりも
大きい速度で単離することができる。
【0132】
本技術は、サンプル装填、緩衝液装填、およびソフトウェアパラメータ入力がシステム
に行われた後に完全な自動化が可能である。これは、対象となる粒子の高速、高効率、自
動化された検出、特徴付け、選別、および単離を可能にする。
【0133】
粒子単離のためのシステム動作および作業の流れ
サンプルおよび緩衝液をカートリッジに装填する
対象となる細胞または粒子を含む液体サンプルが、カートリッジに導入または装填され
る。図2A図2Iに示される例示的なカートリッジでは、液体サンプルは、サンプル貯
槽区画に導入される。
【0134】
液体サンプルは、1マイクロリットルほどの体積を有することができる。液体サンプル
の最大体積は、ハードウェアプラットフォームのサイズ全体と比較して設計されているカ
ートリッジのサイズ全体によってのみ制限される。一実施形態では、液体サンプルの最大
体積は10ミリリットルである。液体サンプルは、ミリリットルあたりターゲット粒子濃
度0.1個の粒子からミリリットルあたり10,000,000個の粒子を有することが
できる。
【0135】
カートリッジの一実施形態では、サンプル貯槽は、溶液を10m以上まで保持すること
ができる(例えば、サンプル貯槽の図については図2A図2Iを参照)。
【0136】
流れる緩衝液溶液も、カートリッジに加えられる。カートリッジの一実施形態では、流
れる緩衝液溶液が加えられる2つの「コントロール貯槽」がある。上述したように、例え
ば、そのようなコントロール貯槽の一方は、キャリアの流れを与えることができ、一方、
他方は、トリガーフローを与えることができる。ランニング緩衝液溶液は、細胞培養培地
、リン酸緩衝液生理食塩水、油、または出力に必要な任意の溶液であり得る。
【0137】
ハードウェアプラットフォームベースプレートの中に配置されるカートリッジ
カートリッジをハードウェアプラットフォームのベースプレートの中に配置することに
よって、締め付け機構は、カートリッジと、ハードウェアプラットフォームの電気的サブ
システム、空気的サブシステム、蛍光サブシステム、収集サブシステム、廃棄物サブシス
テムとを嵌め合う(例えば、図16A図16D参照)。カートリッジとハードウェアプ
ラットフォームの間の弁マニホールド位置の垂直位置合わせは、流速または供給速度のコ
ントロールの利益になり得る。
【0138】
動作の開始
空気圧サブシステムは、シールされたカートリッジ内の空気圧力の変化をまず引き起こ
すやり方で作動させられる。空気圧の変化により、カートリッジのマイクロ流体チップ中
のインタフェースプレートからマイクロ流体チャネルへ流体チャネルを通じてサンプル貯
槽から溶液が流させる。サンプル貯槽からの溶液の流れにより、粒子はマイクロ流体チャ
ネルの中に移動する。加圧空気は、圧力調整器を介して貯槽へ供給される。圧力は、個々
に制御、供給、および調節することができる。いくつかの実施形態では、一貯槽に供給さ
れる圧力は、異なる貯槽からの流れに対するその影響に応じて調整される。いくつかの実
施形態では、各貯槽は、独立して制御された調整器を有する。
【0139】
センシングおよび検出
粒子を含んだサンプル溶液が、マイクロ流体チャネルを通じて流れるとき、溶液は、マ
イクロ流体チャネルの1つまたは複数のセンシング領域を通過する。いくつかの実施形態
では、センシング領域は、マイクロ流体チャネルの非センシング領域よりも小さい直径ま
たは幅を有する。センシング領域は、球形、正方形、長方形、多角形、またはこれらの重
なり合った縁の組合せである形状、あるいは粒子が横切るのに十分な大きさである任意の
他の可能な断面を有するオリフィスを備えることができる。電気的検出(例えば、交流お
よび/または直流電流)、および/または光学的検出(例えば、単一波長または複数波長
)を用いて、1つまたは複数の対象となる粒子の存在を検出することができる。好ましい
実施形態では、電気的検出および/または特徴付けは、直流電流を用いて行われる。いく
つかの実施形態では、交流電流が用いられる。いくつかの実施形態では、交流および直流
電流が、直列または並列で組み合わせて用いられる。いくつかの実施形態では、光学的検
出は、複数の波長を用いて行われる。これらの実施形態では、この技法は、複数の励起源
、フィルタセット、および検出器を備える、いくつかの実施形態では、電気的検出は、マ
イクロ流体チャネル内の対象となる領域を横切る直流電流を生成することを含む。いくつ
かのそのような実施形態では、RF電流は、同時に適用されない。
【0140】
多数のマイクロチャネルの設計が、検出に適している。いくつかの実施形態では、マイ
クロチャネルは、直線直角プリズムチャネル、円筒形チャネル、またはいくつかの他の幾
何学的チャネルを含む。マイクロチャネルは、ゼロ、1、2、または3以上のノードを備
えることができる。各ノードを含むマイクロチャネル中のノードは、任意の適切な幾何学
的形状、例えば、直線長方形ノード、円筒形ノード、または何らかの他の幾何学的形状と
することができる。いくつかの実施形態では、電気的センシングおよび光学的センシング
は、両方使用される。いくつかの実施形態では、LEDまたはレーザ源を用いた光学的セ
ンシングは、続いて電気的センシングがある。いくつかの実施形態では、電気的センシン
グの後に、LEDまたはレーザ源を用いた光学的センシングが続く。いくつかの実施形態
では、電気的センシングおよび光学的センシングは同時に実行される。いくつかの実施形
態では、電気的または光学的センシングだけがセンシング領域中で実行される。
【0141】
単離および選別
1つまたは複数の対象となる粒子が検出されると、チャネルへのトリガーフロー入口で
圧力が増加し、1つまたは複数の検出された対象となる粒子を第2の「キャリア」チャネ
ルの中に分流させる(例えば、図17参照)。いくつかの実施形態では、粒子がその中に
向けられているのでない限り、キャリアチャネルは、流れを有さない。他の実施形態では
、ベースレベルの流れが、常にキャリアチャネルへ与えられる。いくつかの実施形態では
、流量は、センシング領域中の粒子の検出および/または特徴付けによってトリガーされ
た後に変更される。
【0142】
液体が供給ノズルに出入りする結果として、単離している液滴が形成される。滴のサイ
ズは、ノズル設計、ノズル内側オリフィス直径、ノズル外側オリフィス直径、接触角、表
面コーティング、チャネルの疎水性、印加振動を含む出口チャネルの物理的特性によって
調節可能である。液滴は、一般的な使用の場合、サブマイクロリットルから数マイクロリ
ットル(例えば50)の範囲であり得る。単離液滴はミリリットルスケールであり得ること
が想定される。
【0143】
選別された溶液は、流体バイアと流体チャネルを介してフェースプレート中のノズルに
接続されているマイクロ流体チップモールドの出口に向けられる。いくつかの実施形態で
は、これは、最終的なキャリアマイクロ流体チャネルを含む分岐点のデフォルト分岐をブ
ロックすることにより行われる。選択された出口へ流体の流れが増加することにより、イ
ンタフェースプレートの底部の収集ノズルで単一粒子を含む液滴の形成が可能になる。液
滴は、重力、選択出口からの流れの力、またはこれらの2つの組合せによってノズルから
離れ得る。
【0144】
ノズルからの液滴は、任意の所望の収集容器の中に向けられ得る。いくつかの実施形態
では、各個々の液滴、別個の容器の中に沈殿される。他の実施形態では、複数の液滴は、
同じ容器の中に沈殿される。いくつかの実施形態において、個々の液滴は、1つまたは複
数のマイクロタイタープレートまたは任意の他の適切な容器の別個のウェルの中に各々を
沈殿させることによって単離される。容器プレートは、8個、16個、64個、96個、
128個、256個、384個、または384個を超えるウェルを含む任意の個数のウェ
ルを有することができる。いくつかの他の実施形態では、それぞれが個々の粒子を含む複
数の液滴は、同じ容器の中に沈殿され、複数の粒子を含む溶液を形成する。これらの実施
形態では、選択された粒子の濃度および/または純度は、サンプル貯槽の中に装填された
サンプル溶液のものに対して増加し得る。いくつかの実施形態では、液滴は、2つ以上の
ターゲット粒子を含んでもよい。
【0145】
各液滴は、異なるタイプの対象となる粒子を含むことができる。本明細書中に記載され
たシステムは、複数の細胞表現型を検出および選択的に選別する能力を含み得る。
【0146】
本技術のマイクロ流体の性質は、単一の収集液滴の体積を減少させることを可能にする
。収集液滴の体積を最小にすることで、所与の液滴が正確に1つの単離された粒子を含む
確率を高める。マイクロ流体のスケール上のキャリアチャネルは、粒子の検出および/ま
たは粒子の特徴付けおよびその収集の間の時間も減少させ、それによってサンプル溶液中
の粒子の検出、特徴付け、および/または収集のレートを増大させる。
【実施例0147】
以下の特定の例は、単に例示として解釈されるべきであり、いかなる場合でも本開示の
残りの部分を限定するものではない。さらに詳述することなく、当業者は、本明細書中の
説明に基づいて本発明を最大限まで利用することができると考えられる。
【0148】
[実施例1]
血液サンプルの血中循環腫瘍細胞の選別
図18A~18Cは、血液サンプルからの血中循環腫瘍細胞の細胞選別を示す。緑色蛍
光タンパク質(GFP)を発現する全血サンプル中の乳癌細胞株細胞、MCF-7の検出
は、電気的センシングを用いて実行された。検出されたMCF-7細胞は廃棄物から選別
され離された。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する乳癌細胞株細胞、MCF-7は
、1ミリリットルあたり約10個~1000個の細胞の合計細胞サンプル濃度について、
生理学的に適切な(循環腫瘍細胞濃度に近い)濃度で全血にスパイクされた。全血/MC
F-7-GFP溶液をサンプル貯槽に装填した。100マイクロリットル/分の流量がサ
ンプルに加えられた。細胞は、マイクロ流体センシング領域中の電気的なインピーダンス
によって特徴付けられた。MCF-7-GFPインピーダンスシグネチャを所有する細胞
は、これらのシグネチャを示さない細胞から分離され、収集された(図18A)。検出さ
れるとともに収集されたMCF-7-GFP細胞の最終濃度は、初期サンプル中のMCF
-7-GFP細胞の約100%であった。図18Aは、サンプルがマイクロ流体チップを
通じて流れるときのマイクロ流体導管中の電流の変化を示す。
【0149】
正しい選別を確認するために、従来のフローサイトメトリーが、収集されたMCF-7
-GFPと廃棄物に別々に実行された(図18B)。MCF-7-GFP収集物の前方散
乱および側方散乱の測定は、多数の大きな細胞(高い前方散乱)が、癌細胞を示す高い粒
状度(高い側方散乱)を有することを示した。対照的に、廃棄物取集物は、大きくて高い
粒状の癌細胞を欠いていた。
【0150】
正しい選別のさらなる確認が、従来の蛍光フローサイトメトリーを用いて緑色蛍光を測
定することによって実行された(図18C)。収集出力は、GFP波長で蛍光を発するい
くつかの細胞が含み、本技術による高精度の選別を確認した。MCF-7-GFP細胞の
98%が正確に特定され、スパイクされた全血サンプルから回収された。
【0151】
[実施例2]
細胞培養サンプルからの癌細胞の単離
MCF-7細胞培養は、1ミリリットルあたり5000個の細胞の濃度でサンプル貯槽
に装填された。250μL/分の流量がサンプルに加えられた。細胞は、マイクロ流体セ
ンシング領域中の電気的センシングによって検出された。個々のMCF-7細胞は、複数
の細胞を含むサンプルから単離され、96ウェルプレートの単一ウェルに送達された。ウ
ェルの約94%が単一の細胞を含んだ。残りの6%のウェルは、細胞を全く含まなかった
か、複数の細胞を含んだ。図19A~19Cは、単一の単離されたMCF-7細胞を収容
する3つの例示的な単一収集ウェルを示す。
【0152】
[実施例3]
蛍光を用いた選択を使用する癌細胞の単離
フィルタ処理されたMCF7-GFP細胞(10%ウシ胎児血清(FBS)を伴うダル
ベッコの改変イーグル培地(DMEM)で培養した細胞バイオラボ)を10,000個の
細胞/mLの濃度でサンプル貯槽に装填した。100μL/分の流量が適用され、加圧空
気供給によって駆動された。トリガー流体とキャリア流体は、1×リン酸緩衝液生理食塩
水だった。チャネルを含んだシステムのマイクロ流体チップは、センシング領域中に単一
のノードを有する環状オレフィン重合体から製造された。単一細胞の蛍光検出は、473
nmの励起レーザおよび光検出器を用いて行われた。単一細胞は、移動式X-Yステージ
上に収納された96ウェルプレートの中に供給された。検出された細胞がそれぞれ供給さ
れた後、X-Yステージは、新しいウェルにずらされた。図22A図22Cは、単一の
蛍光的に単離されたMCF7-GFP細胞を含む単一の収集ウェルの3つの例の蛍光画像
を示す。
【0153】
[実施例4]
流体選別は粒子サイズから独立している
図21は、プラットフォームを用いて単離されたMCF7細胞塊を示す。10%FBS
を有するDMEM中で培養されたフィルタ未処理のMCF7-GFP細胞が、10,00
0個の細胞/mLの濃度でサンプル貯槽の中に装填された。100μL/分の流量が加え
られ、加圧空気供給によって駆動された。1×リン酸緩衝液生理食塩水が、トリガーおよ
びキャリア流体として使用された。チャネルを備えたシステムのマイクロ流体チップは、
センシング領域中に単一のノードを有する環状オレフィン重合体から製造された。ノード
ポアセンシングが、約35ミクロン以上の大きな細胞塊について選択的にゲート制御する
ために使用された。ノードポア間の電流の4端子測定が行われた。細胞塊が特定されると
、トリガー流体がパルスされて、ターゲット塊の選択的な収集と単離を可能にした。
【0154】
[実施例5]
細胞培養サンプルから単離された細胞は、生存能力を維持する
MCF7-GFP、BC3(ATCC CRL-2277)、またはジャーカットクロ
ーンE6-1(ATCC TIB-152)細胞が、それぞれ、10%FBSを有するD
MEM、20%FBSを有するRoswell Park Memorial Inst
itute(RPMI)1640、または10%FBSを有するRPMI 1640中で
培養された。MCF7-GFP、BC3、またはジャーカットクローンE6-1のサンプ
ルは、それらのそれぞれの媒体と共に、1ミリリットルあたり500,000個の細胞の
濃度で、サンプル貯槽に装填された。トリガーおよびキャリア流体は、1×リン酸緩衝液
生理食塩水だった。加圧空気供給によって駆動される100μL/分の流量が、サンプル
に加えられた。チャネルを備えたシステムのマイクロ流体チップは、センシング領域中に
単一のノードを有する環状オレフィン重合体から製造された。ノードポアセンシングパル
スが、検出のために使用され、トリガー流体をパルスするように構成され、8~25ミク
ロンの単離を可能にした。単一細胞がデバイスを通じて移動すると、ノードポア間の電流
の4端子測定が行われた。
【0155】
細胞タイプごとに生存能を評価するために、収集した細胞体積100μLがトリプタン
ブルー100μLで染色された。検出および単離スキームを実行していなかったMCF7
-GFP、BC3、およびジャーカットクローンE6-1細胞は、元の入力サンプルから
とられた。これらの対照細胞サンプルも、トリプタンブルーで染色された。図20は、顕
微鏡を使用して分析した単離細胞サンプルと対照細胞サンプルの両方のパーセント生存能
力を示す。
【0156】
[実施例6]
コロイドの単離
5μm、10μm、15μm、および20μmの直径のコロイドを検出し単離した。
【0157】
[実施例7]
例示的な動作
カートリッジチャンバをそれぞれの液体で満たす(例:キャリア内およびトリガー流体
チャンバ中の1Xリン酸緩衝液生理食塩水8mL、サンプルチャンバ中の10,000
MCF7細胞/mL媒体)。
【0158】
カートリッジを機器のベースプレートに配置する(弁マニホールド位置とインタフェー
スプレート設計を参照(図10A図10B))。自動位置合わせにより、1)インタフ
ェースプレート上のキャリア廃棄物ルーティングを外部マイクロ弁へのベースプレートル
ーティングの穴に配置し、次いでキャリア廃棄物出口に向かってインタフェースプレート
に戻し、2)インタフェースプレート上のトリガー穴を外部のマイクロ弁へのベースプレ
ートルーティングの穴にルートし、次いでトリガー入口に向かってインタフェースプレー
トに戻し、3)収集/供給ノズルをドロップ収集のための所望の収集チャンバの上に配置
し、4)チップ上の電極パッドとシステムの電気接点間で電気的接触させ、5)上部プレ
ート中のLEDの下に光内腔を配置することを確実にする。
【0159】
器具を用いてカートリッジを締め付ける。これにより加圧空気源(検査を開始するまで
オフにされている)とカートリッジチャンバを接続する。
【0160】
所望の流体切り換えが実現されるまで、チャンバごとにノブを用いて圧力を調節/再調
節することができる(すなわち、外部トリガー弁が開いているときに、サンプル流体が収
集物出口に流れ込む)。
【0161】
所望のセッティングのために、弁のオンタイム、オフタイム、およびデッドタイムを設
定することができる(例えば、対象となる粒子が検出されたとき、外部トリガーマイクロ
弁を100ミリ秒間オンにし(これはデフォルトではオフである)、外部キャリアマイク
ロ弁を5秒間閉じる(これはデフォルトで開であり、それによってキャリア流体の大部分
が廃棄物へルートされ、検出がないときに収集液滴へルートされないことを確実にし、外
部マイクロ弁を閉じることで、キャリアの流れだけが収集ノズルを通過し、したがって粒
子が検出されると、滴の生成および分離を加速させることを確実にする)。キャリアマイ
クロ弁閉鎖時間は、液滴分離時間で較正される。トリガーマイクロ弁は、この液滴時間に
やはり関連したデッドタイムを有し、すなわち、トリガーマイクロ弁は、単一粒子の供給
は望まれる場合、滴がたった1つのターゲット粒子を含むことを確実にするために、滴が
分離されるまで再びトリガーしない。ウェルごとの単一粒子供給が望ましい場合、ステー
ジ移動は液滴タイミングで較正される(すなわち、単一粒子および液滴の検出を待って分
離しウェルの中に落ちた後に、次のウェルチャンバへ移動する)。
【0162】
センシングのための電気的センシングオフセット電圧が、必要に応じて設定でき(パル
スが大きくなるにつれて振幅が大きくなり、選択のための中間の振幅は「ゲート」とされ
る)。蛍光セッティングも較正され得る(例えば、LED電圧、光検出器/PMT利得な
ど)。次いで、必要に応じて、しきい値が適切なゲーティングのために設定され得る。
【0163】
加圧空気がオンにされ、検査が完了まで実行される。
【0164】
収集プレート/チューブは、粒子が選別/供給されるとともに機器から除去できる。
【0165】
[実施例8]
例示的なシステム
例示的なシステムは、図2A図2Iに示された使い捨てカートリッジと、図3A~図
3Fに示されたインタフェースプレートと、図4A図6Gに示されたマイクロ流体チッ
プとを含む。
【0166】
使い捨てカートリッジ本体はサンプル貯槽、キャリア貯槽、およびトリガー貯槽を有す
る。サンプル貯槽は、10ミリリットルの最大体積を有する。対象となる粒子を収容する
サンプルは、サンプル貯槽の最大体積まで1マイクロリットル以上の体積でサンプル貯槽
に装填される。キャリア貯槽およびトリガー貯槽は、5ミリリットルの最大体積をそれぞ
れ有する。キャリア流体およびトリガー流体は、キャリア貯槽およびトリガー貯槽に装填
され、それぞれの貯槽の最大体積まで100マイクロリットル以上の体積をそれぞれ有す
る。
【0167】
サンプル貯槽、キャリア貯槽、およびトリガー貯槽の底部は、直径1/32インチの流
体入口開口部をそれぞれ有する。これらの開口部は、貯槽ごとに流体がシステム中の使い
捨てカートリッジに取り付けられたインタフェースプレートにアクセスすることを可能に
する。サンプル貯槽の床は、サンプル貯槽に装填されたサンプル流体がサンプル貯槽の開
口部に蓄積し、またはその近くにあるように傾斜している。
【0168】
ライトパイプコアは、貯槽を隔てる壁中に配置され、図2A図2Cおよび図2G~図
2Iに見ることができる。ライトパイプは、貯槽の内部体積に接触することなく、カート
リッジ本体を垂直に横切る。ライトパイプは、カートリッジ本体を通じて、システムのマ
イクロ流体チップへの、そしてそこからの、発光および励起波長のための通路を与える。
【0169】
カートリッジ本体は、54mm×46mm×32.4mmの全体寸法を有し、アクリル
樹脂から機械加工される。
【0170】
例示的なシステムのインタフェースプレートは、使い捨てカートリッジ本体の底部に取
り付けられる。インタフェースプレートの底部は、システムによって検出および/または
特徴付けされた対象となる粒子を含むサンプル収集物、サンプル廃棄物、およびキャリア
廃棄物を供給する供給ノズルを備える(例えば、図3Aおよび図3E参照)。インタフェ
ースプレートの上側は、使い捨てカートリッジ本体の開口部をマイクロ流体チップ入口に
接続する、マイクロ流体チップの出口からインタフェースプレートの底部の供給ノズルま
での、チャネル路を与える(例えば、図3Cおよび図3D参照)。インタフェースプレー
トの上側は、カートリッジ本体のサンプル貯槽およびコントロール貯槽を貯槽の開口部を
通じてインタフェースプレートの底部の穴を介してベースプレートまで接続するチャネル
路312を含む。ベースプレートの接続は、外部の弁部を可能にする。インタフェースプ
レートの底部も、マイクロ流体チップとのインタフェースプレートの適切な取り付けを可
能にするために、接合稜部を有する(例えば、図3F参照)。インタフェースプレートの
中心を通じて、カートリッジ本体中のライトパイプと位置合わせする穴があり、光がマイ
クロ流体チップからおよびマイクロ流体チップへインタフェースプレートを横切ることを
可能にする。
【0171】
インタフェースプレートは、54mm×46mm×4.3mmの全体寸法を有し、ポリ
カーボネートから機械加工される。カートリッジ本体の底部に感圧接着剤を介して接着さ
れる。
【0172】
マイクロ流体チップは、マイクロ流体チップ基板と、マイクロ流体チップモールドとを
備える(図4A図6G)。マイクロ流体チップ基板は、白金上層を有する銅接着層で作
製された電極を備える。電極は、電流が与えられ、センシング領域中の粒子を感知および
検出する電気的接点としての役割を果たす。マイクロ流体チップモールドは、粒子が感知
、検出、特徴付け、選別、および/または単離されるマイクロチャネルを備える。
【0173】
マイクロチャネルの幾何学的形状は、図4A図4Bに示されている、サンプル貯槽か
らの流体は、インタフェースプレートを通じた通路が設けられているので、サンプル入口
を通じてマイクロ流体チップに入る。サンプル流体中の粒子は、直径0.35mmのマイ
クロチャネルを通ってセンシング領域へ前進させられる。センシング領域の内部には、直
径0.105mmのノードがある。センシング領域中のノードのどちら側かで、マイクロ
チャネルは、0.035mmの直径を有する。粒子がセンシング領域を通過するときに、
粒子は、マイクロ流体基板の電極を用いて電気的に検出および/または特徴付けされる。
センシング領域は、インタフェースプレートおよびカートリッジ本体中のライトパイプと
位置合わせもされ、それによってセンシング領域を通過する粒子が、励起波長に露出され
、粒子から発光波長が、検出可能および/または特徴付け可能である。
【0174】
センシング領域から出たマイクロ流体チャネルは、0.35mmの直径を有し、トリガ
ー入口からのマイクロチャネルと交差する。トリガー入口は、トリガー貯槽からインタフ
ェースプレートを介してのトリガー流体の流れが与えられる。センシング信号および/ま
たは特徴付け信号に応じて、流れは、トリガー入口から与えられて、粒子を第1の交点に
向けるまたはルートする。トリガーフローがない場合、粒子は、サンプル廃棄物出口へ移
動し、インタフェースプレート中の接続された出力ノズルを通じて供給される。トリガー
フローが適用されると、粒子は、キャリア入口からのマイクロチャネルと交差するマイク
ロチャネルへ向けられる。キャリア入口は、キャリア貯槽からインタフェースプレートを
介してキャリア流体の流れが与えられる。弁は、キャリア廃棄物出口の中へのキャリア流
体の流れを制御する。弁が開いているとき、第2の交点における流体は、キャリア廃棄物
に選択的に向けられ、インタフェースプレート中の接続された出力ノズルを通じて供給さ
れる。弁がセンシング領域中で測定された信号または信号の変化に応じて閉じられるとき
、流体ならびに検出されたおよび/または特徴付けられた粒子は、サンプル収集物出口に
向けられる。サンプル収集物出口は、粒子が収集のために供給されるインタフェースプレ
ート中の第3のノズルに接続されている。
【0175】
モールドと基板の両方は、1/32インチ厚のプラスチックで構成され、熱、積層、お
よび溶解の組合せによって一緒に接着される。
【0176】
カートリッジの組立体は、図7A図8Iに示されており、組立体は、図13の光源、
上部プレート、ベースプレート、および収集モジュールを含む例示的なサブシステムに関
連して示される。
【符号の説明】
【0177】
200 カートリッジ本体
202 コントロール流体貯槽
202A コントロール流体貯槽
202B コントロール流体貯槽
204 サンプル貯槽
206 開口部
208 開口部
310 インタフェースプレート
312 流体チャネル
314 供給ノズルまたは供給穴
316 稜部
418 マイクロ流体チップモールド
518 マイクロ流体チップモールド
520 マイクロ流体チップ
522 マイクロ流体チャネル
618 マイクロ流体チップモールド
620 組み立てられたマイクロ流体チップ
924 ベースプレート
926 カートリッジ位置合わせクレードル
1000 カートリッジ
1024 ベースプレート
1026 弁マニホールドの位置
1126 蓋
1128A リニア軸受ポート
1128B リニア軸受ポート
1130 光フィルタ立方体凹部
1232 圧力調整器マニホールド
1324 ベースプレート
1326 上部プレート
1334 サブシステム
1336 モールド
1340 電気センシング接点
1342 96ウェルプレート出力コンテナ
1344 収集モジュール
1500 カートリッジ
1520 マイクロ流体チップ
1546 LEDを用いた蛍光検出システム
1548 中央コラム、ライトパイプ
1550 蛍光発光および/または検出組立体
1552 光源面発光
1554 励起フィルタ
1556 フォトダイオード
1558 ダイクロイックミラー
1560 定量的蛍光リモートアクセス検出器
1662 システム組立体
1764 スキーム
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18-1】
図18-2】
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別領域を備える粒子選別機カートリッジであって、
前記選別領域は交点を含み、前記交点は、
センシング領域から繋がる第1のマイクロ流体チャネルと、
トリガー入口から繋がり、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルに対して実質的に直角に位置する、第2のマイクロ流体チャネルと、
前記交点から離れた位置に繋がり、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルと動作可能に接続している、デフォルトの分岐チャネルと、
前記交点から離れた位置に繋がり、前記交点において前記デフォルトの分岐チャネルに対して鋭角に位置する、選択された分岐チャネルと、
の交点であり、
前記第1のマイクロ流体チャネル、前記第2のマイクロ流体チャネル、および前記デフォルトの分岐チャネルは、前記交点において実質的に同じ直径を有し、前記選択された分岐チャネルは、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルより狭い直径を有し、
前記選別領域は、トリガー入口から前記第2のマイクロ流体チャネルへのトリガー流体の閾値流れの不存在下で、前記センシング領域から前記デフォルトの分岐チャネルへとサンプル流体を向かわせるように構成され、
前記選別領域は、更に、トリガー入口から前記第2のマイクロ流体チャネルへのトリガー流体の閾値流れを適用している間、前記センシング領域から前記選択された分岐チャネルへと前記サンプル流体を向かわせるように構成される、
粒子選別機カートリッジ。
【請求項2】
前記第1のマイクロ流体チャネルの直径は、約0.35mmである、請求項1に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項3】
前記センシング領域が、ターゲット粒子が前記センシング領域を通過するときに前記ターゲット粒子から生じる光信号または電気信号の1以上によって前記ターゲット粒子を検出するように構成される、請求項1に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項4】
前記ターゲット粒子の検出の際のトリガー入口からのトリガー流体の閾値流れを適用して、前記ターゲット粒子を、前記デフォルトの分岐チャネルの代わりに前記選択された分岐チャネルに向かわせるようにさらに構成される、請求項3に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項5】
前記デフォルトの分岐チャネルが、廃棄物収集物出口へと至る、請求項1に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項6】
前記分岐チャネルが、サンプル収集物出口へと至る、請求項1に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項7】
前記選択された分岐チャネルが、キャリア入口をサンプル収集物出口へと連結するキャリアチャネルへと至る、請求項1に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項8】
前記キャリアチャネルが、キャリア流体を前記キャリア入口から流すように構成される、請求項7に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項9】
前記選別領域が、トリガー入口から前記第2のマイクロ流体チャネルへのトリガー流体の閾値流れを適用している間、前記センシング領域から前記サンプル収集物出口へと、前記選択された分岐チャネルと前記キャリアチャネルとを通じて、前記サンプル流体を向かわせるように構成される、請求項8に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項10】
前記キャリアチャネルが、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルの直径よりも狭い直径を有する前記選択された分岐チャネルに適合する直径を有する、請求項9に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項11】
前記第1のマイクロ流体チャネルの直径が、前記センシング領域と前記選別領域との間に広がる、請求項1に記載の粒子選別機カートリッジ。
【請求項12】
サンプル流体流れ中のターゲット粒子を選別する方法であって、前記方法が、
粒子選別機カートリッジを提供するステップであって、
前記粒子選別機カートリッジが、選別領域を備え、
前記選別領域は交点を含み、前記交点は、
センシング領域から繋がる第1のマイクロ流体チャネルと、
トリガー入口から繋がり、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルに対して実質的に直角に位置する、第2のマイクロ流体チャネルと、
前記交点から離れた位置に繋がり、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルと動作可能に接続している、デフォルトの分岐チャネルと、
前記交点から離れた位置に繋がり、前記交点において前記デフォルトの分岐チャネルに対して鋭角に位置する、選択された分岐チャネルと、
の交点であり、
前記第1のマイクロ流体チャネル、前記第2のマイクロ流体チャネル、および前記デフォルトの分岐チャネルは、前記交点において実質的に同じ直径を有し、前記選択された分岐チャネルは、前記交点において前記第1のマイクロ流体チャネルより狭い直径を有する、ステップと;
前記センシング領域から前記デフォルトの分岐チャネルへとサンプル流体を流すステップと;
前記トリガー入口から前記第2のマイクロ流体チャネルへとトリガー流体の閾値流れを適用し、前記センシング領域から前記選択された分岐チャネルへと前記サンプル流体を向かわせるステップと;
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1のマイクロ流体チャネルの直径は、約0.35mmである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記センシング領域が、ターゲット粒子が前記センシング領域を通過するときに前記ターゲット粒子から生じる光信号または電気信号の1以上によって前記ターゲット粒子を検出することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ターゲット粒子の検出の際のトリガー流体の閾値流れを適用して、前記ターゲット粒子を、前記デフォルトの分岐チャネルの代わりに前記選択された分岐チャネルに向かわせることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記デフォルトの分岐チャネルが、廃棄物収集物出口へと至る、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記分岐チャネルが、サンプル収集物出口へと至る、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記選択された分岐チャネルが、キャリア入口をサンプル収集物出口へと連結するキャリアチャネルへと至る、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
キャリア流体を前記キャリア入口から前記キャリアチャネルを通じて流すことをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
トリガー入口から前記第2のマイクロ流体チャネルへのトリガー流体の閾値流れを適用することにより、前記センシング領域から前記サンプル収集物出口へと、前記選択された分岐チャネルと前記キャリアチャネルとを通じて、前記サンプル流体を向かわせることをさらに含む、請求項19に記載の方法。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
カートリッジの組立体は、図7A図8Iに示されており、組立体は、図13の光源、上部プレート、ベースプレート、および収集モジュールを含む例示的なサブシステムに関連して示される。

本発明は以下の態様を含む。
<1>
センシング領域または検出器領域を含むマイクロ流体チップと、
複数の貯槽をその内部に画定する本体と、
任意選択で、前記本体に接続するとともに前記マイクロ流体チップに接続するように構成されたインタフェースプレートと、
を備える粒子選別機カートリッジであって、
使用時に、前記センシング領域または検出器領域内で粒子の流れ中に粒子を検出すると、前記マイクロ流体チップ内の溶液の流れが、トリガーフローの適用によって、前記検出された粒子について前記粒子の流れからの選別と単離のうちの少なくとも1つを行うように分流される、粒子選別機カートリッジ。
<2>
前記マイクロ流体チップ、カートリッジ本体、および任意選択の前記インタフェースプレートのうちの1つまたは複数は、使い捨てである、<1>に記載のカートリッジ。
<3>
前記複数の貯槽は、サンプル貯槽、コントロール流体貯槽、およびトリガー貯槽を含む、<1>に記載のカートリッジ。
<4>
前記トリガーフローは、前記トリガー貯槽からの流体で構成される、<3>に記載のカートリッジ。
<5>
前記検出器領域に動作可能に結合されている電気的検出器をさらに備える、<1>に記載のカートリッジ。
<6>
前記検出器領域に動作可能に結合されている光学的検出器をさらに備える、<1>に記載のカートリッジ。
<7>
前記検出器領域に動作可能に結合されている光学的検出器をさらに備える、<5>に記載のカートリッジ。
<8>
前記検出器領域中の粒子の前記検出は、前記電気的検出器により生成される信号に基づく、<5>に記載のカートリッジ。
<9>
前記検出器領域中の粒子の前記検出は、前記光学的検出器により生成される信号に基づく、<6>に記載のカートリッジ。
<10>
前記検出器領域中の粒子の前記検出は、前記電気的検出器により生成される信号、および前記光学的検出器により生成される信号のうちの少なくとも1つに基づく、<7>に記載のカートリッジ。
<11>
図7に示されような、<10>に記載のカートリッジ。
<12>
ベースプレートと、
カートリッジ組立体と
を備える粒子選別システムであって、
前記ベースプレートは、前記カートリッジ組立体を受け入れるとともに前記カートリッジ組立体に接続するように構成され、
前記カートリッジ組立体は、
センシング領域または検出器領域を含むマイクロ流体チップと、
複数の貯槽をその内部に画定する本体とを含み、
前記カートリッジ組立体は、使用時に、前記検出器領域内で粒子の流れ中に粒子を検出すると、前記マイクロ流体チップ内の溶液の流れが、トリガーフローの適用によって、前記検出された粒子について前記粒子の流れからの選別と単離のうちの少なくとも1つを行うように分流されるように構成されている、粒子選別システム。
<13>
前記マイクロ流体チップおよび前記カートリッジ本体のうちの1つまたは複数は、使い捨てである、<12>に記載のシステム。
<14>
前記カートリッジ組立体の前記本体の前記複数の貯槽は、サンプル貯槽、コントロール流体貯槽、およびトリガー貯槽を含む、<12>に記載のシステム。
<15>
前記トリガーフローは、前記トリガー貯槽からの流体で構成される、<14>に記載のシステム。
<16>
前記トリガーフローは、弁部によってゲート制御される、<15>に記載のシステム。<17>
前記弁部は、前記カートリッジ組立体の外部にある、<16>に記載のシステム。
<18>
前記カートリッジ組立体は、使用時に、トリガーフローが適用されると、前記マイクロ流体チップ内の溶液の流れは、キャリアの流れの適用によって、前記検出された粒子について前記粒子の流れからの選別と単離のうちの少なくとも1つを行うように分流されるようにさらに構成されている、<14>に記載のシステム。
<19>
前記キャリアの流れは、前記コントロール流体貯槽からの流体を含む、<18>に記載のシステム。
<20>
前記キャリアの流れは、弁部によってゲート制御される、<19>に記載のシステム。<21>
前記弁部は、前記カートリッジ組立体の外部にある、<20>に記載のシステム。
<22>
実施例8に記載されているような粒子選別システム。
<23>
粒子を能動的に単離する方法であって、
粒子の混合物を含有するサンプルを<12>~<22>のいずれかに記載の前記システムの前記カートリッジ組立体の中に装填するステップと、
対象となる粒子が<12>~<22>のいずれかに記載の前記システムの前記センシング領域または検出器領域を通過するときに、対象となる粒子によって生成される光信号および/または電気信号によって前記対象となる粒子を検出するステップと、
トリガーフローの適用によって、前記マイクロ流体チップ内の前記溶液の流れを分流させるソフトウェア手段を介して、前記光信号および/または電気信号に基づいて前記対象となる粒子を能動的に選別するステップと、
前記対象となる粒子を含有する液滴を収集容器の中に沈殿させるステップと、
を含む方法。
<24>
前記システムは、<22に記載の前記システムであり、前記検出するステップは、
同時の光信号および電気信号を伴う、<23>に記載の方法。
<25>
前記検出するステップは、前記センシング領域または検出器領域を横切る前記粒子の速度を測定する方法を提供する、<24>に記載の方法。
<26>
光信号への合計露出時間が100ミリ秒未満であるように、前記対象となる粒子が前記センシング領域または検出領域を通過するときに、前記対象となる粒子の速度を増加させるステップをさらに含む、<25>に記載の方法。
<27>
粒子を能動的に単離する方法であって、
センシング領域または検出器領域を備えるマイクロチャネルを通じて粒子の混合物を流すステップと、
対象となる粒子がセンシング領域または検出器領域を通過するときに、この対象となる粒子を検出するステップと、
前記検出器またはシグナリング領域内で対象となる粒子を検出すると、別の流れの適用によって、粒子溶液の流れを分流させるステップであって、それによって前記粒子を能動的に選別する、ステップと、
前記対象となる粒子を含有する液滴を収集容器の中に沈殿させるステップと、
を含む方法。
<28>
検出するステップは、前記対象となる粒子が前記マイクロチャネルの前記センシング領域または検出器領域を通過するときに、前記対象となる粒子によって生成される光信号および/または電気信号による、<27>に記載の方法。
【外国語明細書】