(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160303
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】切断システム、設定方法、及び、切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20241106BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20241106BHJP
B24B 51/00 20060101ALI20241106BHJP
G05B 19/406 20060101ALI20241106BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20241106BHJP
B26D 7/26 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B24B51/00
G05B19/406 T
B26D5/00 Z
B26D7/26
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130560
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2023049344の分割
【原出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(72)【発明者】
【氏名】早川 海斗茂
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和志
(72)【発明者】
【氏名】今井 和貴
(72)【発明者】
【氏名】坂本 凜
(57)【要約】
【課題】適切な切断条件を効率的に導出可能な切断システム、設定方法、及び、切断品の製造方法を提供する。
【解決手段】切断システムは、切断機構と、制御部とを備える。切断機構は、切断対象物を切断する。制御部は、切断条件に従って切断対象物を切断することによって切断品を製造するように切断機構を制御する。切断条件は、複数の因子を含む。制御部は、制御部は、切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得し、各々が因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成し、複数の組合せの各々に従って切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に切断品を製造するように切断機構を制御し、水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を因子毎に決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を切断する切断機構と、
切断条件に従って前記切断対象物を切断することによって切断品を製造するように前記切断機構を制御する制御部とを備え、
前記切断条件は、複数の因子を含み、
前記制御部は、
前記切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得し、
各々が前記因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成し、
前記複数の組合せの各々に従って前記切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に前記切断品を製造するように前記切断機構を制御し、
前記水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を前記因子毎に決定する、切断システム。
【請求項2】
前記複数の組合せによって直交表が構成される、請求項1に記載の切断システム。
【請求項3】
前記切断機構は、
回転することによって前記切断対象物を切断するブレードを取り付け可能であり、前記切断対象物の切断時における前記ブレードの高さ方向の位置を調整可能なスピンドル部と、
前記切断対象物が配置される切断テーブルと、
前記切断対象物の切断時に前記ブレードに対して前記切断テーブルを相対的に移動させる移動機構とを含み、
前記複数の因子は、前記ブレードの回転速度、前記ブレードに対する前記切断テーブルの相対的な移動速度、及び、前記ブレードの高さ方向の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項2に記載の切断システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の因子の各々において、前記評価値に関する値が、目標値に最も近い値、最大値又は最小値になる水準を前記本生産用の水準又は前記本生産用の水準候補として設定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の切断システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記因子毎に前記複数の水準の各々における前記評価値の平均値を算出し、
前記複数の因子の各々において、前記平均値が、目標値に最も近い値、最大値又は最小値になる水準を前記本生産用の水準又は前記本生産用の水準候補として設定する、請求項4に記載の切断システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記本生産用の水準候補として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するように前記切断機構を制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切断システム。
【請求項7】
前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準の各々に関する入力画面を表示する表示部と、
前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準の各々に関する入力を受け付ける受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記受付部を介して、前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準を取得する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の切断システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の組合せに含まれる組合せの数に関する1又は複数の選択肢、及び、前記複数の組合せによって構成される直交表の種類に関する1又は複数の選択肢の少なくとも一方を含む選択肢群を表示するように前記表示部を制御し、
前記受付部は、前記選択肢群のうちの1つの選択肢の選択を受け付ける、請求項7に記載の切断システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記受付部を介して取得された前記複数の因子に含まれる因子の数、及び、前記受付部を介して取得された前記因子毎の複数の水準に含まれる水準の数に応じて前記選択肢群に含める選択肢を変更する、請求項8に記載の切断システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記受付部を介して取得された前記複数の因子に含まれる因子の数、及び、前記受付部を介して取得された前記因子毎の複数の水準に含まれる水準の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢を前記選択肢群から外す、請求項9に記載の切断システム。
【請求項11】
切断対象物を切断機構によって切断することにより切断品を製造する場合における切断条件をコンピュータが設定する設定方法であって、
前記切断条件は、複数の因子を含み、
前記コンピュータは、
前記切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得するステップと、
各々が前記因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成するステップと、
前記複数の組合せの各々に従って前記切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に前記切断品を製造するように前記切断機構を制御するステップと、
前記水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を前記因子毎に決定するステップとを実行する、設定方法。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の切断システムを用いた切断品の製造方法であって、
前記本生産用の水準として設定する水準を前記因子毎に決定するステップと、
前記本生産用の水準として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の設定方法に従って前記コンピュータが前記切断条件を設定するステップと、
設定された前記切断条件に従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断システム、設定方法、及び、切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2007-125667号公報(特許文献1)は、基板の切断装置を開示する。この切断装置は、基板を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された基板を切断する切削ブレードとを含んでいる。この切断装置においては、切削ブレードが回転している状態でチャックテーブルが移動することによって基板が切断される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切断対象物(例えば、基板)を切断することによって切断品を製造する切断装置において、新しい種類の切断品の製造が行なわれる場合に、例えば、切断対象物の切断条件(切削ブレードの回転速度、チャックテーブルの移動速度等)の変更が必要になり得る。このような場合に、変更後の適切な切断条件が効率的に導出されることが好ましい。しかしながら、上記特許文献1においては、このような課題の解決手段が開示されていない。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、適切な切断条件を効率的に導出可能な切断システム、設定方法、及び、切断品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う切断システムは、切断機構と、制御部とを備える。切断機構は、切断対象物を切断する。制御部は、切断条件に従って切断対象物を切断することによって切断品を製造するように切断機構を制御する。切断条件は、複数の因子を含む。制御部は、切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得し、各々が因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成し、複数の組合せの各々に従って切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に切断品を製造するように切断機構を制御し、水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を因子毎に決定する。
【0007】
また、本発明の他の局面に従う設定方法は、切断対象物を切断機構によって切断することにより切断品を製造する場合における切断条件をコンピュータが設定する設定方法である。切断条件は、複数の因子を含む。コンピュータは、切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得するステップと、各々が因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成するステップと、複数の組合せの各々に従って切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に切断品を製造するように切断機構を制御するステップと、水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を因子毎に決定するステップとを実行する。
【0008】
また、本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記切断システムを用いた切断品の製造方法であって、本生産用の水準として設定する水準を因子毎に決定するステップと、本生産用の水準として設定された各水準の組合せに従って切断対象物を切断することによって切断品を製造するステップとを含む。
【0009】
また、本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記設定方法に従ってコンピュータが切断条件を設定するステップと、設定された切断条件に従って切断対象物を切断することによって切断品を製造するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、適切な切断条件を効率的に導出可能な切断システム、設定方法、及び、切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】電子部品が第2光学検査カメラによって撮影される様子を模式的に示す図である。
【
図3】コンピュータのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【
図4】適切な切断条件を導出する手順を示すフローチャートである。
【
図5】複数の因子等の入力画面について説明するための図である。
【
図6】各評価パラメータについて説明するための図である。
【
図7】直交表の種類一覧の表示手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図8に示される表が直交表であることを説明するための図である。
【
図10】
図9のステップS135において実行される解析処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS370における本生産用の水準候補の決定手順について説明するための図である。
【
図12】複数のコンピュータが動作の制御と検査とを行なう例を模式的に示す図である。
【
図13】電子部品における欠け(Chipping)の大きさについて説明するための図である。
【
図14】電子部品の角部分における欠けの大きさについて説明するための図である。
【
図15】バリの高さ方向の長さ、及び、端子間の距離について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0013】
[1.構成]
<1-1.切断装置の構成>
図1は、本実施の形態に従う切断装置1を模式的に示す平面図である。切断装置1は、パッケージ基板(切断対象物の一例)を切断することによって、該パッケージ基板を複数の電子部品(切断品の一例)に個片化するように構成されている。パッケージ基板においては、半導体チップが固定された基板又はリードフレームが樹脂封止されている。なお、切断対象物は、必ずしもパッケージ基板である必要はなく、例えば、樹脂封止されていない基板(ウエーハを含む。)であってもよい。また、切断対象物は、半導体チップが固定されていない基板であってもよい。この場合は、切断品は、例えば、配線が印刷された基板である。
【0014】
パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板及びQFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0015】
また、切断装置1は、個片化された複数の電子部品の各々を検査するように構成されている。切断装置1においては、各電子部品が撮影され、撮影画像に基づいて各電子部品の検査が行なわれる。該検査を通じて検査データが生成され、各電子部品は「良品」又は「不良品」に分類される。
【0016】
この例においては、切断対象物としてパッケージ基板P1が用いられ、切断装置1によってパッケージ基板P1が複数の電子部品S1(
図2参照)に個片化される。以下では、パッケージ基板P1の両面のうち、樹脂封止された面をモールド面と称し、モールド面と反対の面をボール/リード面と称する。なお、切断対象物が樹脂封止されていない基板である場合には、切断時に上を向いている面(切断面)が本実施の形態におけるボール/リード面に相当し、切断面の反対面が本実施の形態におけるモールド面に相当する。
【0017】
図1に示されるように、切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA1と、検査・収納モジュールB1とを含んでいる。切断モジュールA1は、パッケージ基板P1を切断することによって複数の電子部品S1を製造するように構成されている。検査・収納モジュールB1は、製造された複数の電子部品S1の各々を検査し、その後、電子部品S1をトレイに収納するように構成されている。切断装置1において、各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0018】
切断モジュールA1は、主として、基板供給部3と、位置決め部4と、切断テーブル5と、スピンドル部6と、搬送部7とを含んでいる。
【0019】
基板供給部3は、複数のパッケージ基板P1を収容するマガジンM1からパッケージ基板P1を1つずつ押し出すことによって、パッケージ基板P1を1つずつ位置決め部4へ供給する。このとき、パッケージ基板P1は、ボール/リード面が上に向いた状態で配置されている。
【0020】
位置決め部4は、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板P1をレール部4a上に配置することによって、パッケージ基板P1の位置決めを行う。その後、位置決め部4は、位置決めされたパッケージ基板P1を切断テーブル5へ搬送する。
【0021】
切断テーブル5は、切断されるパッケージ基板P1を保持する。ここでは、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1が例示されている。切断テーブル5は、保持部材5aと、回転機構5bと、移動機構5cとを含んでいる。保持部材5aは、位置決め部4によって搬送されたパッケージ基板P1を下方から吸着することによって、パッケージ基板P1を保持する。回転機構5bは、保持部材5aを図のθ1方向に水平面において回転させることが可能である。移動機構5cは、保持部材5aを図のY軸に沿って移動させることが可能である。
【0022】
スピンドル部6は、パッケージ基板P1を切断することによって、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ここでは、2個のスピンドル部6を有するツインスピンドル構成の切断装置1が例示されている。スピンドル部6は、図のX軸及びZ軸に沿って移動可能である。なお、切断装置1は、一個のスピンドル部6を有するシングルスピンドル構成であってもよい。
【0023】
スピンドル部6は、回転軸6cを含んでいる。スピンドル部6の回転軸6cには、ブレード6aが固定される。ブレード6aは、高速回転することによって、パッケージ基板P1を切断し、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ブレード6aは、不図示の第1及び第2フランジにより挟持された状態で、回転軸6cに装着される。第1及び第2フランジは、ナット等の不図示の締結部材によって回転軸6cに固定される。
【0024】
切断モジュールA1には、切削水用ノズル、冷却水用ノズル及び端材飛ばし水用ノズル等(不図示)が設けられる。切削水用ノズルは、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する。冷却水用ノズルは、パッケージ基板P1の切断箇所近傍に向かって冷却水を噴射する。端材飛ばし水用ノズルは、切断屑等を飛ばす端材飛ばし水を噴射する。
【0025】
切断テーブル5がパッケージ基板P1を吸着した後、第1位置確認カメラ5dによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置が確認される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1上に設けられたアライメントマークの位置の確認である。アライメントマークの位置情報は、例えば、パッケージ基板P1の切断ラインの決定に用いられる。
【0026】
その後、切断テーブル5は、図のY軸に沿いスピンドル部6に向かって移動する。切断テーブル5がブレード6aの下方に移動した後、切断テーブル5とスピンドル部6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1が切断される。具体的には、切断テーブル5がブレード6aに対して図のY軸方向に移動することによって、パッケージ基板P1の切断が行なわれる。その後、必要に応じて切断モジュールA1に備えられている第2位置確認カメラ6bによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置等が確認される。第2位置確認カメラ6bを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1の切断位置及び切断幅の確認である。
【0027】
切断テーブル5は、パッケージ基板P1の切断が完了した後、個片化された複数の電子部品S1を吸着した状態で、図のY軸に沿ってスピンドル部6から離れる方向に移動する。この移動過程において、第1クリーナ5eによって、電子部品S1の上面(ボール/リード面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。この洗浄は、例えば、電子部品S1の上面に洗浄水を直接的に噴射することによって行なわれてもよいし、電子部品S1の上面にブラシ等を介して洗浄水を供給することによって行なわれてもよい。なお、切断装置1においては、図のX軸方向に並ぶ2つの第1クリーナ5eが設けられているが、第1クリーナ5eの数はこれに限定されない。
【0028】
搬送部7は、切断テーブル5に保持された電子部品S1を上方から吸着し、電子部品S1を検査・収納モジュールB1の検査テーブル11へ搬送する。この搬送過程において、第2クリーナ7aによって、電子部品S1の下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。この洗浄は、例えば、電子部品S1の下面に洗浄水を直接的に噴射することによって行なわれてもよいし、電子部品S1の下面にブラシ等を介して洗浄水を供給することによって行なわれてもよい。
【0029】
検査・収納モジュールB1は、主として、検査テーブル11と、第1光学検査カメラ12と、第2光学検査カメラ13と、配置部14と、抽出部15とを含んでいる。なお、第1光学検査カメラ12は、切断モジュールA1に設けられていてもよい。
【0030】
検査テーブル11は、電子部品S1の光学的な検査のために、電子部品S1を保持する。検査テーブル11は、図のX軸に沿って移動可能である。また、検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、電子部品S1を吸着することによって電子部品S1を保持する保持部材11b(
図2参照)が設けられている。
【0031】
第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、電子部品S1のモールド面及びボール/リード面をそれぞれ撮影する。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の外観に関する各種検査(外観検査)が行なわれる。外観検査の一例としては、電子部品S1の大きさの検査、端子TM1(
図6参照)の大きさの検査、及び、隣接する端子TM1間の長さの検査が挙げられる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、検査テーブル11の近傍において、上方を撮影するように配置されている。
【0032】
第1光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へ搬送される電子部品S1のモールド面を撮影する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材11b上に電子部品S1を載置する。保持部材11bが電子部品S1を吸着した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第2光学検査カメラ13の上方へ移動し、電子部品S1のボール/リード面が第2光学検査カメラ13によって撮影される。
【0033】
図2は、電子部品S1が第2光学検査カメラ13によって撮影される様子を模式的に示す図である。検査テーブル11は、検査テーブル本体11aと、保持部材11bとを含んでいる。保持部材11bは、検査テーブル本体11aの下方に設けられている。保持部材11bによって吸着保持された複数の電子部品S1が第2光学検査カメラ13によって撮影される。第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて各電子部品S1のボール/リード面の外観に関する検査が行なわれる。
【0034】
再び
図1を参照して、配置部14には、検査済みの電子部品S1が配置される。配置部14は、図のY軸に沿って移動可能である。検査テーブル11は、検査済みの電子部品S1を配置部14に配置する。
【0035】
抽出部15は、配置部14に配置された電子部品S1をトレイに移送する。電子部品S1は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査の結果に基づいて、「良品」又は「不良品」に分別される。抽出部15は、分別の結果に基づいて、各電子部品S1を良品用トレイ15a又は不良品用トレイ15bに移送する。すなわち、良品は良品用トレイ15aに収納され、不良品は不良品用トレイ15bに収納される。良品用トレイ15a及び不良品用トレイ15bの各々は、電子部品S1で満たされると、新たなトレイに取り換えられる。
【0036】
切断装置1は、さらにコンピュータ50とモニタ20とを含んでいる。モニタ20は、画像を表示するように構成されている。モニタ20は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成される。モニタ20は、例えば、切断装置1の正面に設けられている。
【0037】
コンピュータ50は、例えば、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の各部の動作を制御する。コンピュータ50によって、例えば、基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、スピンドル部6、搬送部7、検査テーブル11、第1光学検査カメラ12、第2光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15及びモニタ20の動作が制御される。また、コンピュータ50は、例えば、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の各種検査を行なう。次に、コンピュータ50について詳細に説明する。
【0038】
<1-2.コンピュータの構成>
図3は、コンピュータ50のハードウェア構成を模式的に示す図である。
図3に示されるように、コンピュータ50は、制御部70と、入出力I/F(interface)90と、受付部95と、記憶部80とを含み、各構成は、バスを介して電気的に接続されている。
【0039】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)72、RAM(Random Access Memory)74及びROM(Read Only Memory)76等を含んでいる。制御部70は、情報処理に応じて、コンピュータ50内の各構成要素及び切断装置1内の各構成要素を制御するように構成されている。
【0040】
入出力I/F90は、信号線を介して、切断装置1に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力I/F90は、コンピュータ50から切断装置1内の各構成要素へのデータの送信、切断装置1内の各構成要素からコンピュータ50へ送信されるデータの受信に用いられる。受付部95は、ユーザからの指示を受け付けるように構成されている。受付部95は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス及びマイクの一部又は全部で構成される。
【0041】
記憶部80は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部80は、例えば、制御プログラム81を記憶するように構成されている。制御プログラム81が制御部70によって実行されることにより、切断装置1における各種動作が実現される。制御部70が制御プログラム81を実行する場合に、制御プログラム81は、RAM74に展開される。そして、制御部70は、RAM74に展開された制御プログラム81をCPU72によって解釈及び実行することにより各構成要素を制御する。
【0042】
[2.切断条件の自動設定]
上述のように、切断装置1においては、回転するブレード6aに対して切断テーブル5を相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1の切断が行なわれる。パッケージ基板P1の切断は、予め設定された切断条件に従って行なわれる。切断条件は、複数の因子を含んでいる。複数の因子の一例としては、ブレード6aの回転速度、パッケージ基板P1の切断時におけるブレード6aに対する切断テーブル5の相対的な移動速度、パッケージ基板P1の切断時におけるブレード6aの高さ方向(
図1におけるZ方向)の位置、ブレード6aの種類(厚み、砥石の種類等)、切断テーブル5の種類(材質、保持部材5a(ラバー)の種類等)、切断シーケンス(パッケージ基板P1においてどの位置から順に切断を行なうかを示すシーケンス)、切断時に用いられる切削水の量及び温度、切断時に用いられる冷却水の量及び温度、並びに、切断時に用いられる端材飛ばし水の量及び温度が挙げられる。
【0043】
例えば、新たな品種の電子部品S1の製造が開始される場合に、切断装置1においては、切断条件の設定を改めて行なう必要がある。上述のように、切断条件には種々の因子が含まれている。切断条件の設定のために、各因子においては種々の水準が設定され得る。因子毎に1つずつ選択された水準の組合せ(以下、単に「組合せ」とも称する。)には多数のパターンが存在するため、組合せの全パターンに関してパッケージ基板P1の切断を行なうには長時間を要する。また、切断条件の設定のために使用できるパッケージ基板P1の数にも限りがある。したがって、組合せの全パターンに関してパッケージ基板P1の切断を行なうことは現実的ではない。
【0044】
また、例えば、ユーザが過去の経験に基づいて切断条件を設定することが考えられる。しかしながら、この場合には、設定される切断条件がユーザの経験値に依存することになるため、ユーザの経験値次第では適切な切断条件が設定されない。また、ユーザが手動で切断条件を変更しながら複数回の切断を行なう場合には、多くの手作業が発生するため、効率的に適切な切断条件を導出することができない。
【0045】
本実施の形態に従う切断装置1においては、切断条件の導出に用いられる組合せが実験計画法に従って自動的に生成される。したがって、切断装置1によれば、各因子の水準の全組合せの各々に従ってパッケージ基板P1を切断しなくても一部の組合せに従ってパッケージ基板P1を切断することによって効率的に適切な切断条件を導出することができる。また、切断装置1においては、実験計画法に従って生成された複数の組合せに基づいて切断条件が自動的に決定されるため、例えば、ユーザが手動で切断条件を変更しながら複数回の切断を行なうことで切断条件が決定される場合と比較して、安定的に適切な切断条件を導出することができる。
【0046】
[3.動作]
切断装置1においては、切断条件を導出するために、複数の組合せを含む直交表が生成される。直交表については後程詳しく説明する。直交表を生成するために必要な因子及び水準に関する情報は、ユーザによって入力される。直交表に含まれる複数の組合せの各々に従ってパッケージ基板P1の切断が行なわれ、組合せ毎に電子部品S1が製造される。組合せ毎に製造された各電子部品S1の評価パラメータの値(以下、「評価値」とも称する。)に基づいて、本生産用の水準候補が決定される。なお、評価パラメータは、直交表に含まれる各組合せを用いることによって製造された各電子部品S1を評価する基準である。評価パラメータについては後程説明する。
【0047】
その後、本生産用の水準候補に従ってパッケージ基板P1の切断が行なわれ、本生産用の水準候補による再現性が確認される。本生産用の水準候補による再現性に問題がなければ、本生産用の水準候補が本生産用の水準として決定される。以下、切断装置1における切断条件の導出動作について詳細に説明する。
【0048】
図4は、適切な切断条件を導出する手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、新たな品種の電子部品S1の製造が開始される場合において、切断条件を自動的に設定するための操作がユーザによって行なわれたときにコンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0049】
図4を参照して、コンピュータ50の制御部70は、複数の因子、当該複数の因子の各々における複数の水準、及び、評価パラメータに関する入力を受け付ける(ステップS100)。これらの入力は、例えば、コンピュータ50の受付部95を介して行なわれる。
【0050】
図5は、複数の因子等の入力画面について説明するための図である。
図5を参照して、切断条件を自動的に設定するための操作がユーザによって行なわれると、入力画面WD1がモニタ20に表示される。入力画面WD1は、表CT1,CT2を含んでいる。表CT1は、現在入力されている因子及び水準を示す。ボタンBT1が選択されると、又は、表CT1に含まれているいずれかの行が選択された状態でボタンBT2が選択されると、入力画面WD2がモニタ20に表示される。また、表CT1に含まれているいずれかの行が選択された状態でボタンBT3が選択されると、選択されている行が表CT1から削除される。
【0051】
入力画面WD2は、因子及び水準について直接入力するための画面である。リストLT1に複数の因子が列挙され、ラジオボタンRB1を介して追加対象又は編集対象の因子が選択される。ここでは、選択肢の一例として、パッケージ基板P1の切断時におけるブレード6aに対する切断テーブル5の相対的な移動速度、パッケージ基板P1の切断時におけるブレード6aの高さ方向の位置、及び、ブレード6aの回転速度が挙げられている。また、ラジオボタンRB2を介して、因子に対応付けられる水準の数が選択される。領域T2には、水準の基準値が入力される。水準の基準値とは、因子に対応付けられる複数の水準のうちの最小値のことをいう。領域T3には、水準間の間隔(差分)が入力される。水準の基準値及び間隔が入力されることによって、複数の水準が自動的に生成される。ボタンBT8が選択されることにより入力画面WD2における入力内容が表CT1へ反映され、ボタンBT9が選択されることにより入力画面WD2における入力内容がキャンセルされる。
【0052】
入力画面WD1に含まれている表CT2は、現在入力されている評価パラメータを示す。ボタンBT4が選択されると、又は、表CT2に含まれているいずれかの行が選択された状態でボタンBT5が選択されると、入力画面WD3がモニタ20に表示される。また、表CT2に含まれているいずれかの行が選択された状態でボタンBT6が選択されると、選択されている行が表CT2から削除される。
【0053】
入力画面WD3は、評価パラメータについて直接入力するための画面である。リストLT2に複数の評価パラメータが列挙され、ラジオボタンRB3を介して追加対象又は編集対象の評価パラメータが選択される。ここでは、選択肢の一例として、バリ(x)、バリ(y)、PKGサイズ(x)、PKGサイズ(Y)、PKGオフセット(x)及びPKGオフセット(y)が挙げられている。
【0054】
図6は、各評価パラメータについて説明するための図である。
図6を参照して、バリ(x)は、例えば、端子TM1から突出したバリBU1におけるX方向の長さである。バリ(y)は、例えば、バリBU1のうちY方向において端子TM1から突出した部分の長さである。PKGサイズ(x)は電子部品S1のX方向における長さであり、PKGサイズ(y)は電子部品S1のY方向における長さである。PKGオフセット(x)は(X1+X2)/2であり、PKGオフセット(y)は(Y1+Y2)/2である。
【0055】
再び
図5を参照して、ボタンBT10,BT11,BT12のいずれかが選択されることによって、選択されている評価パラメータの目標値が入力される。ボタンBT10が選択されると最大値が目標値となり、ボタンBT11が選択されると最小値が目標値となる。ボタンBT12が選択された場合には、領域T4に入力された具体的な値が目標値となる。例えば、評価パラメータとしてバリ(x)が選択されている場合には目標値として最小値が選択されることが好ましく、評価パラメータとしてPKGサイズ(x)が選択されている場合には目標値として具体的な値が入力されることが好ましい。ボタンBT13が選択されることにより入力画面WD3における入力内容が表CT2へ反映され、ボタンBT14が選択されることにより入力画面WD3における入力内容がキャンセルされる。
【0056】
入力画面WD1において、ボタンBT7が選択されると、生成可能な直交表の種類の一覧(リスト)がプルダウン形式で表示される。直交表の種類の一例としては、L4直交表、L8直交表、L16直交表、L32直交表、L64直交表、L128直交表、L256直交表、L9直交表、L27直交表、L81直交表、L249直交表、L18直交表、L36直交表、L54直交表、L108直交表、L25直交表及びL50直交表が挙げられる。各直交表においては、必要な因子及び水準の数が異なる。切断装置1においては、ボタンBT7が選択された場合に、表CT1において入力されている因子及び水準によって生成可能な直交表のみがプルダウン形式で表示される。
【0057】
図7は、直交表の種類一覧の表示手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、入力画面WD1がモニタ20に表示されている場合に、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0058】
図7を参照して、コンピュータ50の制御部70は、直交表の種類一覧の表示指示を受け付けたか否か(ボタンBT7が選択されたか否か)を判定する(ステップS200)。直交表の種類一覧の表示指示を受け付けていないと判定されると(ステップS200においてNO)、制御部70は、直交表の種類一覧の表示指示を受け付けるまでステップS200の処理を繰り返す。
【0059】
一方、直交表の種類一覧の表示指示を受け付けたと判定されると(ステップS200においてYES)、制御部70は、表CT1(
図5)に列挙されている因子及び水準の数に基づいて生成可能な直交表の種類を抽出し、抽出された直交表の種類をプルダウン形式で表示するようにモニタ20を制御する。
【0060】
制御部70は、領域T1から下方又は上方へ延びるプルダウンにおいて列挙された直交表の種類のいずれかが選択されたか否かを判定する(ステップS220)。直交表の種類が選択されていないと判定されると(ステップS220においてNO)、制御部70は、直交表の種類が選択されるまでステップS220の処理を繰り返す。一方、直交表の種類が選択されたと判定されると(ステップS220においてYES)、制御部70は、選択された直交表の種類を設定し、設定された直交表の種類を領域T1に表示するようにモニタ20を制御する(ステップS230)。
【0061】
再び
図5を参照して、各項目の入力が完了した状態でボタンBT15が選択されると、領域T1において設定された種類の直交表が自動的に生成される。
【0062】
切断装置1おいては、複数の因子、及び、因子毎の複数の水準の各々に関する入力がコンピュータ50の受付部95を介して行なわれる。したがって、切断装置1によれば、複数の因子、及び、因子毎の複数の水準の各々に関する入力をユーザが容易に行なうことができる。
【0063】
また、切断装置1においては、直交表の種類の一覧(選択肢群)がモニタ20に表示され、選択肢群からユーザが1つの選択肢を選択することによって直交表の種類の選択が行なわれる。したがって、切断装置1によれば、直交表の種類の設定をユーザが容易に行なうことができる。
【0064】
また、切断装置1においては、因子及び水準の各々の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢がモニタ20に表示されない。したがって、切断装置1によれば、生成不可能な種類の直交表が誤って選択される事態を回避することができる。
【0065】
再び
図4を参照して、ステップS100において因子及び水準等が入力されると、制御部70は、入力された因子及び水準等に基づいて直交表を生成する(ステップS105)。直交表の生成は、公知の種々の方法によって行なわれる。
【0066】
図8は、直交表の一例を模式的に示す図である。
図8を参照して、表100においては、実験番号と、各因子の水準とが対応付けられている。表100は、いわゆるL9直交表である。複数の組合せによって構成される表が直交表であるというためには、表に含まれる複数の列のうちいずれの2列が抽出されても各組合せが同数回ずつ現れる必要がある。
【0067】
図9は、表100が直交表であることを説明するための図である。
図9を参照して、表100から2列を抽出することによって、表110,120,130を作ることができる。表110,120,130のいずれにおいても、(水準1-水準1)の組合せ、(水準1-水準2)の組合せ、(水準1-水準3)の組合せ、(水準2-水準1)の組合せ、(水準2-水準2)の組合せ、(水準2-水準3)の組合せ、(水準3-水準1)の組合せ、(水準3-水準2)の組合せ、及び、(水準3-水準3)の組合せが1つずつ含まれている。すなわち、表100に含まれる複数の列のうちいずれの2列が抽出されても各組合せが同数回ずつ現れる。したがって、表100は直交表である。
【0068】
再び
図4を参照して、直交表が生成されると、制御部70は、直交表に含まれる複数の組合せのうちいずれかの組合せを用いて切断条件を設定する(ステップS110)。すなわち、制御部70は、直交表に含まれるいずれかの実験を開始する。制御部70は、設定された切断条件に従ってパッケージ基板P1を切断するように切断テーブル5及びスピンドル部6等を制御する(ステップS115)。
【0069】
制御部70は、パッケージ基板P1の切断を通じて製造された電子部品S1に関して評価パラメータの測定を行なう(ステップS120)。例えば、評価パラメータとしてバリ(x)が設定されている場合に、制御部70は、第1光学検査カメラ12又は第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて評価パラメータを測定する。制御部70は、評価パラメータの測定結果を現在用いられている組合せに対応付けて記憶するように記憶部80を制御する(ステップS125)。
【0070】
制御部70は、直交表に含まれる全ての組合せについてステップS110-S125の処理が終了したか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、制御部70は、直交表に含まれる全実験が終了したか否かを判定する。全ての組合せについてステップS110-S125の処理が終了していないと判定されると(ステップS130においてNO)、制御部70は、未だに用いられていない組合せを用いることによってステップS110-S125の処理を再び実行する。
【0071】
一方、全ての組合せについてステップS110-S125の処理が終了したと判定されると(ステップS130においてYES)、制御部70は、記憶部80に記憶された各測定結果の解析処理を実行する(ステップS135)。
【0072】
図10は、
図9のステップS135において実行される解析処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、コンピュータ50の制御部70によって実行される。
【0073】
図10を参照して、制御部70は、全実験を通じて得られた各評価値の平均値(以下、「全体平均値」とも称する。)を算出する(ステップS200)。制御部70は、因子Kが水準Nである場合の評価値の平均値を算出する(ステップS210)。例えば、
図8に示される表100において、「ブレード回転速度」(因子Kの一例)が「水準1」(水準Nの一例)である場合の評価値の平均値は、実験1,2,3における各評価値の平均値を算出することによって求められる。なお、平均値としては、算術平均値又は幾何平均値等が用いられる。
【0074】
制御部70は、因子Kの全水準について評価値の平均値の算出が終了したか否かを判定する(ステップS320)。因子Kの全水準については評価値の平均値の算出が終了していないと判定されると(ステップS320においてNO)、制御部70は、N=N+1の演算(水準の変更)を実行し(ステップS330)、再びステップS310の処理を実行する。
【0075】
一方、ステップS320において、因子Kの全水準について評価値の平均値の算出が終了したと判定されると(ステップS320においてYES)、制御部70は、因子Kにおいて算出された評価値の各平均値から全体平均値を減算する(ステップS340)。
【0076】
制御部70は、全因子について処理が終了したか否かを判定する(ステップS350)。全因子については処理が終了していないと判定されると(ステップS350においてNO)、制御部70は、K=K+1の演算(因子の変更)を実行し(ステップS360)、再びステップS310の処理を実行する。
【0077】
一方、ステップS350において全因子について処理が終了したと判定されると(ステップS350においてYES)、制御部70は、ステップS340における各減算結果に基づいて、各因子における本生産用の水準候補を決定する(ステップS370)。
【0078】
図11は、
図10のステップS370における本生産用の水準候補の決定手順について説明するための図である。
図11に含まれる各グラフを参照して、横軸は水準の番号を示し、縦軸は各因子における各水準の評価値の平均値から全体平均値を減算した値を示す。この例では、縦軸はバリ(x)に関する値を示し、目標値は最小値と設定されている。
【0079】
ブレード6aの回転速度に関しては、水準3の縦軸の値が最も小さい。切断テーブル5の移動速度に関しては、水準1の縦軸の値が最も小さい。パッケージ基板P1の切断時におけるブレード6aの高さ位置に関しては、水準2の縦軸の値が最も小さい。上述のように、この例においては、評価パラメータの目標値が最小値と設定されている。したがって、ブレード6aの回転速度に関する本生産用の水準候補としては水準3が選択される。切断テーブル5の移動速度に関する本生産用の水準候補としては水準1が選択される。パッケージ基板P1の切断時におけるブレード6aの高さ位置に関する本生産用の水準候補としては水準2が選択される。すなわち、因子毎に目標値に最も近い水準が本生産用の水準候補に選択される。
【0080】
再び
図4を参照して、ステップS135の解析を通じて因子毎の本生産用の水準候補が決定されると、制御部70は、本生産用の水準候補に関する再現性評価を行なう(ステップS140)。本生産用の水準候補に関する再現性評価とは、本生産用の水準候補を用いた場合に十分に要件を満たす電子部品S1を製造可能であることを確認するための評価のことをいう。具体的には、制御部70は、本生産用の水準候補を用いて電子部品S1を製造するように切断テーブル5及びスピンドル部6等を制御し、製造された電子部品S1の評価パラメータを測定することによって再現性評価を行なう。
【0081】
制御部70は、再現性評価の結果に基づいて再現性があるか否かを判定する(ステップS145)。制御部70は、例えば、第1光学検査カメラ12又は第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて再現性があるか否かを判定する。再現性がないと判定されると(ステップS145においてNO)、制御部70は、再びステップS100の処理を実行する。一方、再現性があると判定されると(ステップS145においてYES)、制御部70は、各因子において、本生産用の水準候補を本生産用の水準に決定する(ステップS150)。なお、ステップS145,S150における処理は、コンピュータ50の制御部70ではなく、ユーザ(人間)によって行なわれてもよい。
【0082】
このように、切断装置1においては、各因子の水準の組合せが実験計画法に従って生成される。したがって、切断装置1によれば、各因子の水準の全組合せの各々に従ってパッケージ基板P1を切断しなくても一部の組合せに従ってパッケージ基板P1を切断することによって効率的に適切な切断条件を導出することができる。また、切断装置1によれば、切断条件が自動的に決定されるため、例えば、ユーザが手動で切断条件を決定する場合と比較して、安定的に適切な切断条件を導出することができる。
【0083】
また、切断装置1によれば、実験計画法に従って直交表が生成されるため、直交表に含まれる複数の組合せの各々に従って切断対象物を切断することによって効率的に適切な切断条件を導出することができる。
【0084】
また、切断装置1においては、本生産用の水準候補として設定された各水準の組合せに従ってパッケージ基板P1を切断することによって電子部品S1が製造される。したがって、切断装置1によれば、本生産用の水準候補として設定された各水準が用いられた場合の再現性を評価した上で本生産用の水準を決定することができる。
【0085】
[4.特徴]
以上のように、切断装置1においては、各因子の水準の組合せが実験計画法に従って生成される。したがって、切断装置1によれば、各因子の水準の全組合せの各々に従ってパッケージ基板P1を切断しなくても一部の組合せに従ってパッケージ基板P1を切断することによって効率的に適切な切断条件を導出することができる。また、切断装置1によれば、切断条件が自動的に決定されるため、例えば、ユーザが手動で切断条件を決定する場合と比較して、安定的に適切な切断条件を導出することができる。
【0086】
パッケージ基板P1は、本発明における「切断対象物」の一例である。スピンドル部6と切断テーブル5とを含む構成は、本発明における「切断機構」の一例である。電子部品S1は、本発明における「切断品」の一例である。制御部70は、本発明における「制御部」の一例である。スピンドル部6は、本発明における「スピンドル部」の一例である。切断テーブル5の保持部材5aは本発明における「切断テーブル」の一例であり、切断テーブル5の移動機構5cは本発明における「移動機構」の一例である。モニタ20は、本発明における「表示部」の一例である。受付部95は、本発明における「受付部」の一例である。
【0087】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。例えば、いずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成と、他のいずれかの実施の形態の少なくとも一部の構成とが組み合わされてもよい。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0088】
<5-1>
上記実施の形態に従う切断装置1において、コンピュータ50の機能は複数のコンピュータによって実現されてもよい。例えば、切断装置1において実現される機能毎にコンピュータが設けられてもよい。
【0089】
図12は、複数のコンピュータが動作の制御と検査とを行なう例を模式的に示す図である。
図12に示されるように、動作の制御と検査とを行なうコンピュータ50は、例えば、カット制御コンピュータ52と、ハンドラ制御コンピュータ54と、ビジョン制御コンピュータ56と、統括コンピュータ58とによって実現されてもよい。カット制御コンピュータ52は、例えば、切断テーブル5及びスピンドル部6等の制御を行なうことによりパッケージ基板P1の切断動作を制御する。ハンドラ制御コンピュータ54は、例えば、位置決め部4及び搬送部7等の制御を行なうことによりパッケージ基板P1及び電子部品S1の搬送動作を制御する。ビジョン制御コンピュータ56は、例えば、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の制御を行なうことにより電子部品S1の画像データの生成動作を制御する。統括コンピュータ58は、例えば、他のコンピュータ間の連携の補助を行なう。直交表の作成は、例えば、いずれかのコンピュータで行なわれてもよい。また、カット制御コンピュータ52、ハンドラ制御コンピュータ54、ビジョン制御コンピュータ56及び統括コンピュータ58の一部のコンピュータは、切断装置1の外部に設けられてもよい。すなわち、
図4のフローチャートに示される各処理のうち一部の処理が切断装置1の外部で実行されてもよい。
【0090】
<5-2>
また、上記実施の形態においては、制御部70によって生成される複数の組合せは直交表を構成した。しかしながら、制御部70によって生成される複数の組合せは、必ずしも直交表を構成しなくてもよい。実験計画法に従っている限り、どのような複数の組合せが生成されてもよい。
【0091】
<5-3>
また、上記実施の形態において説明された因子及び評価パラメータ以外の因子及び評価パラメータが用いられてもよい。例えば、各評価パラメータは、電子部品S1の表面及び裏面の各々について個別に設けられてもよい。また、例えば、評価パラメータとしては、電子部品S1における欠けの大きさが用いられてもよいし、バリの高さ方向の長さが用いられてもよい。また、端子TM1間の距離が用いられてもよい。
【0092】
図13は、電子部品S1の表面における欠け(Chipping)の大きさについて説明するための図である。
図13に示されるように、電子部品S1においては、欠けCH1が発生している。欠けCH1のX方向の長さ、及び、欠けCH1のY方向の長さの各々が、電子部品S1の表面における欠けの大きさに関する評価パラメータとして用いられてもよい。
【0093】
図14は、電子部品S1の角部分における欠けの大きさについて説明するための図である。
図14に示されるように、電子部品S1においては、欠けCH2が発生している。欠けCH2は、電子部品S1の角部分において発生している。例えば、欠けCH2の部分に本来あるべき部材の各辺の長さL1,L2,L3のうち最も長い辺の長さが、電子部品S1の角部分における欠けの大きさに関する評価パラメータとして用いられてもよい。
【0094】
図15は、バリの高さ方向の長さ、及び、端子TM1間の距離について説明するための図である。
図15を参照して、バリBU1のZ軸方向における長さが評価パラメータとして用いられてもよい。また、端子TM1間の距離(Lead to Lead)が評価パラメータとして用いられてもよい。なお、この場合には、電子部品S1を横方向から撮影するカメラが必要である。切断装置1においては、電子部品S1を横方向から撮影するカメラが設けられてもよい。このようなカメラは、例えば、抽出部15近傍に設けられてもよい。
【0095】
<5-4>
また、上記実施の形態においては、
図4のステップS135における解析処理において、因子毎の各水準の評価値の平均値が算出され、この平均値に基づいて本生産用の水準候補が決定された。しかしながら、本生産用の水準候補の決定のために用いられる数値は、必ずしも因子毎の各水準の評価値の平均値でなくてもよい。例えば、本生産用の水準候補の決定のために用いられる数値は、因子毎の各水準の評価値の中央値又は最頻値であってもよい。
【0096】
<5-5>
また、上記実施の形態においては、
図4のステップS135における解析処理を通じて一旦本生産用の水準候補が決定され、その後に本生産用の水準が決定された。しかしながら、必ずしも一旦本生産用の水準候補が決定されなくてもよい。例えば、
図4のステップS135における解析処理で、本生産用の水準候補が決定されることなく、直ちに本生産用の水準候補が決定されてもよい。
【0097】
<5-6>
また、上記実施の形態においては、因子、水準及び評価パラメータの各々がコンピュータ50の受付部95を介して入力された。しかしながら、因子、水準及び評価パラメータの各々は、必ずしも受付部95を介して入力されなくてもよい。例えば、因子、水準及び評価パラメータの各々は切断装置1の外部のコンピュータにおいて入力され、当該切断装置1の外部のコンピュータから切断装置1へ因子、水準及び評価パラメータの各々が送信されてもよい。
【0098】
<5-7>
また、上記実施の形態においては、制御部70によって生成された複数の組合せが常に直交表を構成した。しかしながら、直交表を構成しない複数の組合せが制御部70によって生成されてもよい。この場合には、例えば、複数の組合せに含める組合せの具体的な数をユーザが指定可能となっていてもよい。制御部70は、複数の組合せに含まれる組合せの数に関する1又は複数の選択肢、及び、複数の組合せによって構成される直交表の種類に関する1又は複数の選択肢の少なくとも一方を含む選択肢群を表示するようにモニタ20を制御してもよい。この場合に、コンピュータ50の受付部95は、モニタ20に表示された選択肢群のうちの1つの選択肢の選択を受け付けてもよい。
【0099】
<5-8>
また、上記実施の形態においては、
図5の入力画面WD1において、因子及び水準の各々の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢が表示されなかったが、因子及び水準の各々の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢も表示されてもよい。領域T1から延びるプルダウンには、例えば、予め用意されている全選択肢が表示されてもよい。
【0100】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0101】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【0102】
[6.付記]
<技術1>
(構成)
切断対象物を切断する切断機構と、
切断条件に従って前記切断対象物を切断することによって切断品を製造するように前記切断機構を制御する制御部とを備え、
前記切断条件は、複数の因子を含み、
前記制御部は、
前記切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得し、
各々が前記因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成し、
前記複数の組合せの各々に従って前記切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に前記切断品を製造するように前記切断機構を制御し、
前記水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を前記因子毎に決定する、切断システム。
【0103】
(効果等)
この切断システムにおいては、各因子の水準の組合せが実験計画法に従って生成される。したがって、この切断システムによれば、各因子の水準の全組合せの各々に従って切断対象物を切断しなくても一部の組合せに従って切断対象物を切断することによって効率的に適切な切断条件を導出することができる。また、この切断システムによれば、切断条件が自動的に決定されるため、例えば、ユーザが手動で切断条件を決定する場合と比較して、安定的に適切な切断条件を導出することができる。
【0104】
<技術2>
(構成)
前記複数の組合せによって直交表が構成される、技術1に記載の切断システム。
【0105】
(効果等)
この切断システムによれば、実験計画法に従って直交表が生成されるため、直交表に含まれる複数の組合せの各々に従って切断対象物を切断することによって効率的に適切な切断条件を導出することができる。
【0106】
<技術3>
(構成)
前記切断機構は、
回転することによって前記切断対象物を切断するブレードを取り付け可能であり、前記切断対象物の切断時における前記ブレードの高さ方向の位置を調整可能なスピンドル部と、
前記切断対象物が配置される切断テーブルと、
前記切断対象物の切断時に前記ブレードに対して前記切断テーブルを相対的に移動させる移動機構とを含み、
前記複数の因子は、前記ブレードの回転速度、前記ブレードに対する前記切断テーブルの相対的な移動速度、及び、前記ブレードの高さ方向の位置のうちの少なくとも1つを含む、技術1又は技術2に記載の切断システム。
【0107】
(効果等)
この切断システムによれば、ブレードの回転速度、ブレードに対する切断テーブルの相対的な移動速度、及び、ブレードの高さ方向の位置のうちの少なくとも1つについて適切な水準を本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定することができる。
【0108】
<技術4>
(構成)
前記制御部は、前記複数の因子の各々において、前記評価値に関する値が、目標値に最も近い値、最大値又は最小値になる水準を前記本生産用の水準又は前記本生産用の水準候補として設定する、技術1から技術3のいずれか1つに記載の切断システム。
【0109】
(効果等)
この切断システムによれば、評価値の種類に応じて、複数の因子の各々において、適切な水準を本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定することができる。
【0110】
<技術5>
(構成)
前記制御部は、
前記因子毎に前記複数の水準の各々における前記評価値の平均値を算出し、
前記複数の因子の各々において、前記平均値が、目標値に最も近い値、最大値又は最小値になる水準を前記本生産用の水準又は前記本生産用の水準候補として設定する、技術4に記載の切断システム。
【0111】
(効果等)
この切断システムによれば、評価値の種類に応じて、複数の因子の各々において、適切な水準を本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定することができる。
【0112】
<技術6>
(構成)
前記制御部は、前記本生産用の水準候補として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するように前記切断機構を制御する、技術1から技術5のいずれか1つに記載の切断システム。
【0113】
(効果等)
この切断システムにおいては、本生産用の水準候補として設定された各水準の組合せに従って切断対象物を切断することによって切断品が製造される。したがって、この切断システムによれば、本生産用の水準候補として設定された各水準が用いられた場合の再現性を評価した上で本生産用の水準を決定することができる。
【0114】
<技術7>
(構成)
前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準の各々に関する入力画面を表示する表示部と、
前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準の各々に関する入力を受け付ける受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記受付部を介して、前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準を取得する、技術1から技術6のいずれか1つに記載の切断システム。
【0115】
(効果等)
この切断システムにおいては、複数の因子、及び、因子毎の複数の水準の各々に関する入力が受付部を介して行なわれる。したがって、この切断システムによれば、複数の因子、及び、因子毎の複数の水準の各々に関する入力をユーザが容易に行なうことができる。
【0116】
<技術8>
(構成)
前記制御部は、前記複数の組合せに含まれる組合せの数に関する1又は複数の選択肢、及び、前記複数の組合せによって構成される直交表の種類に関する1又は複数の選択肢の少なくとも一方を含む選択肢群を表示するように前記表示部を制御し、
前記受付部は、前記選択肢群のうちの1つの選択肢の選択を受け付ける、技術7に記載の切断システム。
【0117】
(効果等)
この切断システムにおいては、複数の組合せに関する選択肢群が表示部に表示され、選択肢群からユーザが1つの選択肢を選択することによって複数の組合せに関する選択が行なわれる。したがって、この切断システムによれば、複数の組合せに関する設定をユーザが容易に行なうことができる。
【0118】
<技術9>
(構成)
前記制御部は、前記受付部を介して取得された前記複数の因子に含まれる因子の数、及び、前記受付部を介して取得された前記因子毎の複数の水準に含まれる水準の数に応じて前記選択肢群に含める選択肢を変更する、技術8に記載の切断システム。
【0119】
(効果等)
したがって、この切断システムによれば、例えば、因子及び水準の各々の数に合った選択肢を表示部に表示させることができる。
【0120】
<技術10>
(構成)
前記制御部は、前記受付部を介して取得された前記複数の因子に含まれる因子の数、及び、前記受付部を介して取得された前記因子毎の複数の水準に含まれる水準の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢を前記選択肢群から外す、技術9に記載の切断システム。
【0121】
(効果等)
この切断システムにおいては、因子及び水準の各々の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢が表示部に表示されない。したがって、この切断システムによれば、生成不可能な種類の直交表が誤って選択される事態を回避することができる。
【0122】
<技術11>
(構成)
切断対象物を切断機構によって切断することにより切断品を製造する場合における切断条件をコンピュータが設定する設定方法であって、
前記切断条件は、複数の因子を含み、
前記コンピュータは、
前記切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得するステップと、
各々が前記因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成するステップと、
前記複数の組合せの各々に従って前記切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に前記切断品を製造するように前記切断機構を制御するステップと、
前記水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準又は本生産用の水準候補として設定する水準を前記因子毎に決定するステップとを実行する、設定方法。
【0123】
(効果等)
この設定方法においては、各因子の水準の組合せが実験計画法に従って生成される。したがって、この設定方法によれば、各因子の水準の全組合せの各々に従って切断対象物を切断しなくても一部の組合せに従って切断対象物を切断することによって効率的に適切な切断条件を設定することができる。また、この設定方法によれば、切断条件が自動的に設定されるため、例えば、ユーザが手動で切断条件を設定する場合と比較して、安定的に適切な切断条件を設定することができる。
【0124】
<技術12>
(構成)
技術1から技術10のいずれか1つに記載の切断システムを用いた切断品の製造方法であって、
前記本生産用の水準として設定する水準を前記因子毎に決定するステップと、
前記本生産用の水準として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【0125】
(効果等)
この切断品の製造方法によれば、効率的に導出された本生産用の各水準を用いることによって、所望の基準を満たす切断品を効率的に製造することができる。
【0126】
<技術13>
(構成)
技術11に記載の設定方法に従って前記コンピュータが前記切断条件を設定するステップと、
設定された前記切断条件に従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【0127】
(効果等)
この切断品の製造方法によれば、上記設定方法に従って設定された切断条件の下で、所望の基準を満たす切断品を効率的に製造することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 切断装置、3 基板供給部、4 位置決め部、4a レール部、5 切断テーブル、5a 保持部材、5b 回転機構、5c 移動機構、5d 第1位置確認カメラ、5e 第1クリーナ、6 スピンドル部、6a ブレード、6b 第2位置確認カメラ、6c 回転軸、7 搬送部、7a 第2クリーナ、11 検査テーブル、11a 検査テーブル本体、11b 保持部材、12 第1光学検査カメラ、13 第2光学検査カメラ、14 配置部、15 抽出部、15a 良品用トレイ、15b 不良品用トレイ、20 モニタ、50 コンピュータ、52 カット制御コンピュータ、54 ハンドラ制御コンピュータ、56 ビジョン制御コンピュータ、58 統括コンピュータ、70 制御部、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 記憶部、81 制御プログラム、90 入出力I/F、95 受付部、100,110,120,130,CT1,CT2 表、A1 切断モジュール、B1 検査・収納モジュール、BT1-BT15 ボタン、BU1 バリ、CH1,CH2 欠け、LT1,LT2 リスト、M1 マガジン、P1 パッケージ基板、RB1-RB3 ラジオボタン、S1 電子部品、T1-T4 領域、TM1 端子、WD1-WD3 入力画面。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を切断する切断機構と、
切断条件に従って前記切断対象物を切断することによって切断品を製造するように前記切断機構を制御する制御部とを備え、
前記切断条件は、複数の因子を含み、
前記制御部は、
前記切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得し、
各々が前記因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成し、
前記複数の組合せの各々に従って前記切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に前記切断品を製造するように前記切断機構を制御し、
前記水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準候補として設定する水準を前記因子毎に決定し、
前記本生産用の水準候補として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するように前記切断機構を制御することにより再現性評価を行ない、
前記再現性評価は、前記本生産用の水準候補が用いられた場合に所定要件を満たす前記切断品が製造されるか否かを確認するための評価である、切断システム。
【請求項2】
前記複数の組合せによって直交表が構成される、請求項1に記載の切断システム。
【請求項3】
前記切断機構は、
回転することによって前記切断対象物を切断するブレードを取り付け可能であり、前記切断対象物の切断時における前記ブレードの高さ方向の位置を調整可能なスピンドル部と、
前記切断対象物が配置される切断テーブルと、
前記切断対象物の切断時に前記ブレードに対して前記切断テーブルを相対的に移動させる移動機構とを含み、
前記複数の因子は、前記ブレードの回転速度、前記ブレードに対する前記切断テーブルの相対的な移動速度、及び、前記ブレードの高さ方向の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の切断システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の因子の各々において、前記評価値に関する値が、目標値に最も近い値、最大値又は最小値になる水準を前記本生産用の水準候補として設定する、請求項1に記載の切断システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記因子毎に前記複数の水準の各々における前記評価値の平均値を算出し、
前記複数の因子の各々において、前記平均値が、目標値に最も近い値、最大値又は最小値になる水準を前記本生産用の水準候補として設定する、請求項4に記載の切断システム。
【請求項6】
前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準の各々に関する入力画面を表示する表示部と、
前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準の各々に関する入力を受け付ける受付部とをさらに備え、
前記制御部は、前記受付部を介して、前記複数の因子、及び、前記因子毎の複数の水準を取得する、請求項1に記載の切断システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の組合せに含まれる組合せの数に関する1又は複数の選択肢、及び、前記複数の組合せによって構成される直交表の種類に関する1又は複数の選択肢の少なくとも一方を含む選択肢群を表示するように前記表示部を制御し、
前記受付部は、前記選択肢群のうちの1つの選択肢の選択を受け付ける、請求項6に記載の切断システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記受付部を介して取得された前記複数の因子に含まれる因子の数、及び、前記受付部を介して取得された前記因子毎の複数の水準に含まれる水準の数に応じて前記選択肢群に含める選択肢を変更する、請求項7に記載の切断システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記受付部を介して取得された前記複数の因子に含まれる因子の数、及び、前記受付部を介して取得された前記因子毎の複数の水準に含まれる水準の数との関係で生成不可能な種類の直交表に関する選択肢を前記選択肢群から外す、請求項8に記載の切断システム。
【請求項10】
切断対象物を切断機構によって切断することにより切断品を製造する場合における切断条件をコンピュータが設定する設定方法であって、
前記切断条件は、複数の因子を含み、
前記コンピュータは、
前記切断条件に含まれる因子毎に複数の水準を取得するステップと、
各々が前記因子毎に1つずつ選択された水準の組合せである複数の組合せを、実験計画法に従って生成するステップと、
前記複数の組合せの各々に従って前記切断対象物を切断することによって、水準の組合せ毎に前記切断品を製造するように前記切断機構を制御するステップと、
前記水準の組合せ毎に製造された各切断品の評価値に基づいて、本生産用の水準候補として設定する水準を前記因子毎に決定するステップと、
前記本生産用の水準候補として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するように前記切断機構を制御することにより再現性評価を行なうステップとを実行し、
前記再現性評価は、前記本生産用の水準候補が用いられた場合に所定要件を満たす前記切断品が製造されるか否かを確認するための評価である、設定方法。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の切断システムを用いた切断品の製造方法であって、
前記本生産用の水準候補が用いられた場合に所定要件を満たす前記切断品が製造されると前記再現性評価を通じて判定されたときには、前記本生産用の水準として設定する水準を前記因子毎に決定するステップと、
前記本生産用の水準として設定された各水準の組合せに従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の設定方法に従って前記コンピュータが前記切断条件を設定するステップと、
設定された前記切断条件に従って前記切断対象物を切断することによって前記切断品を製造するステップとを含む、切断品の製造方法。