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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160337
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】枯渇および濃縮のための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20241106BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 33/571 20060101ALI20241106BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G01N33/543 541A
G01N33/53 D
G01N33/543 575
G01N33/571
G01N33/569 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024134560
(22)【出願日】2024-08-09
(62)【分割の表示】P 2021527024の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】62/711,391
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521039219
【氏名又は名称】ヴェラヴァス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ソルド、ジョシュア ケイン
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン、スコット ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー、カーメン リア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検査室のワークフローおよびターンアラウンドタイムに影響を与えることなく、診断試験の前にサンプル干渉物質を除去または最小化し、バイオマーカー濃度を濃縮するための、簡易で、安価で、自動化可能かつ効果的な解決策の提供。
【解決手段】生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、およびb)混合物を混合して、バイオマーカーとの粒子複合体を提供することを含み、それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、および、
b)前記混合物を混合して、前記バイオマーカーとの粒子複合体を提供すること、
を含み、
それにより生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。
【請求項2】
前記粒子複合体を診断試験に供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生体サンプルから干渉物質を除去する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記干渉物質との粒子複合体を提供すること、および、
c)前記粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇した溶液を提供すること、
を含み、
それにより、前記干渉物質の量(たとえば質量、モル濃度、濃度)を低下または減少させる、
方法。
【請求項4】
枯渇させた前記溶液を特性評価(たとえば、診断試験)に供することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子は、凍結乾燥物(たとえば、LyoSphere(商標)(BIOLYOPH LLC社))として提供される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項6】
診断試験の精度を向上させる方法であって、
a)生体サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記干渉物質との粒子複合体を提供すること、
c)前記粒子複合体を除去、または完全に除去して枯渇させた溶液を提供すること、および、
d)枯渇させた前記溶液を診断試験に供すること、
を含み、
それにより、診断試験の精度を向上させる、
方法。
【請求項7】
前記方法に供していない生体サンプルと比較して、少なくとも1%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、の前記干渉物質が除去される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
十分な量の前記干渉物質を除去して、前記生体サンプル中の100ppm未満の前記干渉物質を提供する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
十分な量の前記干渉物質を除去して、前記生体サンプル中の検出可能量未満の前記干渉物質を提供する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記捕捉部位は、ヒト抗動物抗体(たとえば、マウスIgG、ヒツジIgG、ヤギIgG、ウサギIgG、ウシIgG、ブタIgG、ウマIgG)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記捕捉部位は、異好抗体(たとえば、FR(Fc-specific)、Fab、F(ab)’2、重合IgG(1、2a、2b型IgGおよびIgG断片)、血清成分)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記捕捉部位は、アッセイ特異的な結合剤(たとえば、ビオチン、フルオレセイン、抗フルオレセインポリ/Mab、抗ビオチンポリ/Mab、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記捕捉部位は、アッセイ特異的なシグナル分子(たとえば、HRP、ALP、アクリジニウムエステル、イソルミノール/ルミノール、ルテニウム、ABEI/環状ABEI)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記捕捉部位は、アッセイ特異的な遮断剤(たとえば、BSA、魚皮ゼラチン、カゼイン、卵白アルブミン、PVP、PVA)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記捕捉部位は、アッセイ特異的な結合リンカー(たとえば、LC、LC-LC、PEO4、PEO16)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記捕捉部位は、抗原自己抗体(たとえば、遊離T3、遊離T4)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記捕捉部位は、タンパク質自己抗体(たとえば、MTSH、TnI、TnT、非心臓性TnT(骨格筋疾患))である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記捕捉部位は、化学発光基質(たとえば、ルミノール、イソルミノール、イソルミノール誘導体、ABEI、ABEI誘導体、ルテニウム、アクリジニウムエステル)、または蛍光標識(たとえば、フルオレセインまたは他の蛍光色素分子、および染色剤)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記捕捉部位は、捕捉部位(たとえば、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、キャプトアビジン、ポリA、ポリDT、アプタマー、抗体、Fab、F(ab’)2、抗体断片、組み換えタンパク質、酵素、タンパク質、生体分子、ポリマー)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記捕捉部位は、ビオチン、フルオレセイン、ポリDT、ポリA、または抗原である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記除去、または前記完全な除去は、分離である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記分離には、物理的分離が含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記分離には、磁気的分離が含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記分離には、化学的分離が含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記除去、または前記完全な除去には、1000×g以上で、少なくとも1分間、2分間、3分間、4分間または5分間遠心分離して、ペレットおよび上清を提供し、前記上清を除去することが含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記除去、または前記完全な除去には、濾過(たとえば、フィルターを通す)が含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記フィルターは、多孔性であるか、または前記粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)の直径より十分に小さい分画分子量(MWCO)を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記濾過は、重力、真空、または遠心分離による、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記除去、または前記完全な除去には、磁化が含まれる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記磁化は、強力な磁石(たとえば、ネオジム磁石)を使用して行い、ペレットおよび上清を提供する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記磁石は遠心分離ローター中にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記磁石は、使い捨てピペットチップ、カバーまたはシース内の磁石である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記バイオマーカーを含む粒子複合体を提供すること、
c)前記混合物から前記粒子複合体を除去すること、および、
d)前記混合物に切断試薬、または放出剤を加え、バイオマーカーを含む単離物を提供すること、
を含み、
それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。
【請求項34】
バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を、前記捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、三次複合体を提供すること、
c)前記混合物から前記三次複合体を除去して、単離物を提供すること、および、
d)前記三次複合体の指標が前記単離物中に存在するか否かを判定すること、
を含み、
それにより、バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する、
方法。
【請求項35】
バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記干渉物質との粒子複合体を提供すること、
c)前記粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇させた溶液を提供すること、
d)枯渇させた前記溶液を、第2の捕捉部位を含む第2の粒子と組み合わせて、第2の混合物を提供すること、
e)前記第2の混合物を混合して、前記バイオマーカーを含む第2の粒子複合体を提供すること、
f)前記第2の混合物から前記第2の粒子複合体を除去すること、および、
g)前記第2の混合物に切断試薬または放出剤を加えて、前記バイオマーカーを含む単離物を提供すること、
を含み、
それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。
【請求項36】
前記粒子複合体を希釈剤で洗浄することをさらに含む、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記切断試薬はジスルフィド結合還元剤である、請求項33または35に記載の方法。
【請求項38】
前記バイオマーカーについて診断試験を行うことをさらに含む、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
サンプル中のバイオマーカーの量を濃縮する方法であって、
a)前記サンプルに、捕捉部位を含む粒子を加えて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、粒子複合体を提供すること、
c)前記粒子複合体を分離して、ペレットおよび上清を提供すること、
e)前記ペレットから前記上清を除去すること、
f)前記ペレットを希釈剤で洗浄すること、および、
g)前記ペレットから前記バイオマーカーを溶出して、濃縮されたサンプルを提供すること、
を含み、
それにより、サンプル中のバイオマーカーの量を濃縮する、
方法。
【請求項40】
前記バイオマーカーは、外傷性脳損傷(TBI)の指標である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記バイオマーカーは、s-100β、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、神経特異的エノラーゼ(NSE)、ニューロフィラメント軽鎖(NFL)、切断型タウタンパク質(C-tau)、およびユビキチンC末端加水分解酵素L1(UCH-L1)である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記バイオマーカーは、アルツハイマー病(AD)の指標である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記バイオマーカーは、アミロイドベータ、BACE1、可溶性Aβ前駆体タンパク質(sAPP)である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記バイオマーカーは、性感染症(STD)の指標である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記STDは、クラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス、HPV、ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎、HIVである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記バイオマーカーは、細菌感染の指標である、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記バイオマーカーは、細菌のための捕捉部位である、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記バイオマーカーは、切断試薬によって複合体から切断される、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記バイオマーカーの存在はMALDI-MSにより判定される、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記干渉物質はフィブリノーゲンであり、前記除去、または前記完全な除去は、遠心分離による物理的分離等の分離であり、前記粒子複合体は血栓中に捕捉される、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年7月27日に出願された米国仮特許出願番号第62/711,391号に基づき優先権を主張する。前述の出願の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、診断試験の前に、その後の除去または濃縮用途のためのバイオマーカーを単離するために、本明細書に記載されているような捕獲部位を備える表面を含む粒子(たとえば、マイクロ粒子、ナノ粒子;磁性体、非磁性体)を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
臨床検査は、健康アセスメント、ヘルスケア、および究極的には公衆衛生に重要な役割があり、あらゆるライフステージの人に影響を与える。ほとんどの人が一生の間に1回以上臨床検査をするであろう。米国だけで、毎年推定70~100億の臨床検査が行われており、臨床検査の結果は医療の決定のおおよそ70%に影響を与える。
【0004】
さらに、2018年1月にメディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)で、メディケアアクセス保護法(PAMA)により求められている新しい臨床検査料金表(CLFS)を実施して以来、PAMAは臨床検査の償還金を削減している。ラボの結果が最初に正確であり、トラブルシューティングの努力が軽減され、または時間が短縮され、ラボのワークフローに影響を与えないことは、さらに重要である。
【0005】
干渉物質とは、たとえば抗体結合に干渉することによって診断試験の結果の正しい値を変化させることができ、または架橋、立体障害、もしくは自己抗体のメカニズムによってアッセイシグナルを増加もしくは減少させることができる、患者のサンプル中に存在する物質である。イムノアッセイが干渉の影響を受けやすいことが知られている一方、誤った結果が装置(分析装置)もしくは検査室で認識されず、警告シグナルがない場合、または患者の結果が臨床像と合致しないことを医師が検査室に伝えなかった場合、臨床検査室は依然として誤った結果を報告しているかもしれない。問題を引き起こす可能性のあるそのようなサンプルを事前に特定するための実用的な手段がなければ、任意のサンプルで予期せず不正確な結果が生じる可能性がある。そのような干渉の結果、誤った結果により偽陰性および偽陽性の検査結果となる可能性があり、患者の治療に影響を与え、不要な侵襲的、診断的、もしくは治療的手段につながり、または患者の治療に失敗する可能性がある。
【0006】
干渉から生じる問題にもかかわらず、たとえば生体サンプル中の存在量または存在比が少ないため、バイオマーカーのスクリーニングおよび診断試験が困難な場合がある。
【0007】
したがって、体内のバイオマーカーは疾患を検出、予測、管理するために使用することができる一方、多くは存在比が低すぎて、現在市販されている試験を使用して検出することができない。新しい診断技術に対する、試験の精度を改善する、見つけにくいバイオマーカー測定する、コストを低減する、最終的には生命を救うために臨床サンプルを調製するという、満たされていない臨床的なニーズがある。
【0008】
ビタミンB7としても知られるビオチンは、マルチビタミン中、ならびに店頭の健康および美容サプリメントによくみられる水溶性のビタミンBである。ストレプトアビジン-ビオチンの結合メカニズムを使用したin vitroの臨床診断試験は、高い血中ビオチン濃度の影響を受ける可能性がある。ビオチンは、アビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンタンパク質との特異的な非共有結合に最小の影響で、共有結合によりさまざまな標的-大きい抗体からステロイドホルモンまで-に結合することができる。したがって、ビオチンは、様々な形態のイムノアッセイの検出系において頻繁に使用されている。
【0009】
イムノアッセイは一般的に、サンドイッチイムノアッセイ(非競合)または競合阻害イムノアッセイのいずれかに分類される。一般的に、ストレプトアビジン-ビオチン結合は、サンドイッチイムノアッセイにおいてビオチン化抗体を、または競合イムノアッセイにおいてビオチン抗原をカップリングするためのアッセイインキュベーション中に、表面をストレプトアビジン被覆するために使用する。生物学的試料にビオチンが過剰に含まれている場合、ビオチンは、ストレプトアビジンで被覆された表面に結合するために、ビオチン化抗体または抗原と競合し、ビオチン化抗体または抗原の捕捉の減少をもたらす。サンドイッチイムノアッセイでは、アッセイシグナルがサンプルの濃度に正比例するため、過剰のビオチンにより誤って低い結果となる。競合イムノアッセイでは、アッセイシグナルがサンプルの濃度と反比例するため、過剰のビオチンにより誤って高い結果となる。
【0010】
食事および通常の代謝による通常の血中ビオチン濃度は低すぎて(1ng/mL未満)ビオチン化イムノアッセイの妨げとならない。しかし、高用量のビオチンサプリメント(たとえば5mg以上)の摂取により、通常使用されるビオチン化イムノアッセイを妨げ得るように、血中濃度が顕著に上昇する可能性がある。ある病状では、極端に高いビオチン用量(たとえば100mg以上)により、1000ng/mL超の血清濃度または血漿濃度となることがある。
【0011】
ビオチン系のイムノアッセイにおいて、高濃度のビオチンを摂取した患者から採集した血中または他のサンプル中のビオチンにより、アッセイの設計に応じて誤って高いまたは誤って低い結果となる可能性がある。不正確な試験結果は、誤診だけでなく、不適切な患者管理につながる可能性がある。
【0012】
ビオチン干渉物質の閾値は、単一のプラットフォーム上であってさえ、アッセイ間で大きく異なる。ビオチン干渉物質の閾値が51ng/mL未満の検査は、危険性の高い検査、または脆弱な免疫測定および競合法とみなされる。
【0013】
したがって、検査室のワークフローおよびターンアラウンドタイムに影響を与えることなく、診断試験の前にサンプル干渉物質を除去または最小化し、バイオマーカー濃度を濃縮するための、簡易で、安価で、自動化可能かつ効果的な解決策に対する臨床的ニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書に記載されるのは、マウスモノクローナル抗体による治療を受けている患者または診断目的でマウスモノクローナル抗体を受けたことのある患者における異好抗体など、誤った検査結果をもたらす可能性があり、患者の安全性に対する危険性の増大をもたらす可能性がある多数の既知のサンプル特異的な干渉物質を管理および低減するために、生体サンプルの、簡易で、効果的かつ費用効果の高い調節のための方法である。本明細書に記載される方法はまた、健康、美容、体重減少、または治療、たとえば多発性硬化症の治療のために消費者が摂取する処方箋なし(OTC)のサプリメント、マルチビタミン、および植物性の生薬由来であり得るビオチンから生じる、サンプル特異的な干渉を管理および低減することもできる。
【0015】
また、本明細書に記載されるのは、生体サンプル中のバイオマーカーの濃度の濃縮または増加のための方法である。
【0016】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、およびb)混合物を混合して、バイオマーカーとの粒子複合体を提供することを含み、それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法である。
【0017】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、生体サンプルから干渉物質を除去する方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて混合物を提供すること、b)混合物を混合して、干渉物質との粒子複合体を提供すること、およびc)粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇させた溶液を提供することを含み、それにより、干渉物質の量(たとえば質量、モル濃度、濃度)を低下または減少させる方法である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本明細書に記載された粒子による生体サンプルからの干渉物質の除去(または枯渇)に基づく確認および失格アッセイのスキームを示す。
図2図2は、本明細書に記載された凍結乾燥粒子による生体サンプルからの干渉物質の除去(または枯渇)に基づく枯渇アッセイのスキームを示す。
図3図3は、本明細書に記載された磁化ピペットチップによる生体サンプルからの干渉物質の除去(または枯渇)に基づく枯渇アッセイのスキームを示す。
図4図4は、ビオチン摂取後の経時的なビオチン濃度を示すグラフである。
図5図5は、ビオチン枯渇を示すグラフである。
図6図6は、ビオチン枯渇を示すグラフである。
図7図7は、ビオチン摂取後の経時的なビオチン濃度を示すグラフである。
図8図8は、異なる用量のビオチンを摂取した後のビオチン濃度を示すグラフである。
図9図9は、ビオチン枯渇を示すグラフである。
図10図10は、PTH濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に記載されるのは、本明細書に記載されるような粒子を本明細書に記載されるような生体サンプルと組み合わせることを含む、生体サンプルを枯渇または濃縮するための方法である。
【0020】
ある観点では、本明細書に記載されるのは、生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を備える粒子と組み合わせて混合物を提供すること、およびb)混合物を混合して、バイオマーカーとの粒子複合体を提供することを含み、それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法である。
【0021】
いくつかの実施形態では、該方法は、粒子複合体を診断試験に供することをさらに含む。
【0022】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、生体サンプルから干渉を除去する方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて混合物を提供すること、b)混合物を混合して、干渉物質との粒子複合体を提供すること、およびc)粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇させた溶液を提供することを含み、それにより、干渉物質の量(たとえば質量、モル濃度、濃度)を低下または減少させる方法である。
【0023】
いくつかの実施形態では、該方法は、枯渇させた溶液を特性評価(例えば、診断試験)に供することをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、粒子は凍結乾燥物(たとえば、LyoSphere(商標)(BIOLYOPH LLC社))として提供される。
【0025】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、診断試験の精度を向上させるための方法であって、a)生体サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて混合物を提供すること、b)混合物を混合して、干渉物質との粒子複合体を提供すること、c)粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇させた溶液を提供すること、およびd)枯渇させた溶液を診断試験に供することを含み、それにより、診断試験の精度を向上させる方法である。
【0026】
いくつかの実施形態では、該方法に供していない生体サンプルと比較して、少なくとも1%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%の干渉物質が除去される。いくつかの実施形態では、生体サンプル中100ppm未満の干渉物質を提供するために十分な量の干渉物質が除去される。いくつかの実施形態では、診断試験において検出可能量未満の干渉物質を提供するために十分な量の干渉物質が除去される。
【0027】
いくつかの実施形態では、捕捉部位は、ヒト抗動物抗体(たとえば、マウスIgG、ヒツジIgG、ヤギIgG、ウサギIgG、ウシIgG、ブタIgG、ウマIgG)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、異好抗体(たとえば、FR(Fc特異的))Fab、F(ab)’2、重合IgG(1、2a、2b型IgGおよびIgG断片、血清成分)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はアッセイ特異的な結合剤(たとえば、ビオチン、フルオレセイン、抗フルオレセインpoly/Mab、抗ビオチンpoly/Mab、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン)である。いくつかの実施形態では、アッセイ特異的なシグナル分子(たとえば、HRP、ALP、アクリジニウムエステル、イソルミノール/ルミノール、ルテニウム、N-(4-アミノブチル)-N-エチルイソルミノール(ABEI)/環状ABEI)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はアッセイ特異的な遮断剤(たとえば、BSA、魚皮ゼラチン、カゼイン、卵白アルブミン、PVP、PVA)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、アッセイ特異的な結合リンカー(たとえば、LC、LC-LC、PEO4、PEO16)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、抗原自己抗体(たとえば、遊離T3、遊離T4)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、タンパク質自己抗体(たとえば、MTSH、TnI、TnT、非心臓性TnT(骨格筋疾患))である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、化学発光基質(たとえば、ルミノール、イソルミノール、イソルミノール誘導体、ABEI、ABEI誘導体、ルテニウム、アクリジニウムエステル)、または蛍光標識(フルオレセインまたは他の蛍光色素分子、および染色剤)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、ポリA、ポリDT、アプタマー、抗体、Fab、F(ab)’2、抗体断片、組み換えタンパク質、酵素、タンパク質、生体分子、または重合体である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、ビオチン、フルオレセイン、ポリDT、ポリA、抗原等である。
【0028】
いくつかの実施形態では、除去、または完全な除去は分離である。いくつかの実施形態では、分離には物理的分離が含まれる。いくつかの実施形態では、分離には磁気的分離が含まれる。いくつかの実施形態では、磁気的分離のための磁石は、大型ピペット装置上の1~12のサンプル調製チューブを保持するように設計されたラック中に2~12の磁石を備える多磁石装置である。そのようなピペット装置の例には、限定されないが、HamiltonまたはTecanにより製造されたものが含まれる。いくつかの実施形態では、磁気的分離のための磁石は、96穴または384穴のマイクロタイタープレートを磁化するように設計された96または384の磁石を備える多磁石装置である。いくつかの実施形態では、分離には化学的分離が含まれる。いくつかの実施形態では、除去、または完全な除去には、1000×g以上で少なくとも1分間、2分間、3分間、4分間、または5分間の遠心分離して、ペレットおよび上清を提供し、上清を除去することが含まれる。いくつかの実施形態では、除去、または完全な除去には濾過(たとえばフィルターを通す)が含まれる。いくつかの実施形態では、フィルターは多孔性であるか、または粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)の直径より十分に小さい分画分子量(MWCO)を有する。いくつかの実施形態では、濾過は、重力、真空、または遠心分離による。いくつかの実施形態では、除去、または完全な除去には、磁化が含まれる。いくつかの実施形態では、磁化は、ペレットおよび上清を提供するため強力な磁石(たとえば、ネオジム磁石)を使用することで起こる。いくつかの実施形態では、磁石は遠心分離ローター中にある。いくつかの実施形態では、磁石は、使い捨てピペットチップ、カバーまたはシース内の磁石である。
【0029】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、生体サンプルからバイオマーカーを単離するための方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて混合物を提供すること、b)混合物を混合して、バイオマーカーを含む粒子複合体を提供すること、c)混合物から粒子複合体を除去すること、およびd)混合物に切断試薬または放出剤を加えて、バイオマーカーを含む単離物を提供することを含み、それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法である。いくつかの実施形態では、生体サンプルからバイオマーカーを単離するための方法は、診断試験を生体サンプルについて行う前に行われる。
【0030】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定するための方法であって、a)サンプルを捕捉部位と組み合わせて混合物を提供すること、b)混合物を、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて三次複合体を提供すること、c)混合物から三次複合体を除去して単離物を提供すること、およびd)三次複合体の指標が単離物中に存在するか否かを判定することを含み、それにより、バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する方法である。
【0031】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定するための方法であって、a)サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて混合物を提供すること、b)混合物を混合して、干渉物質との粒子複合体を提供すること、c)粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇させた溶液を提供すること、d)枯渇させた溶液を、第2の捕捉部位を含む第2の粒子と組み合わせて、第2の混合物を提供すること、e)第2の混合物を混合して、バイオマーカーを含む第2の粒子複合体を提供すること、f)第2の混合物から第2の粒子複合体を除去すること、およびg)第2の混合物に切断試薬または放出剤を加えて、バイオマーカーを含む単離物を提供することを含み、それにより、生体サンプルからバイオマーカーを分離する方法である。
【0032】
いくつかの実施形態では、該方法には、希釈剤で粒子複合体を洗浄することがさらに含まれる。
【0033】
いくつかの実施形態では、切断試薬はジスルフィド結合還元剤である。
【0034】
いくつかの実施形態では、該方法には、バイオマーカーについて診断試験を行うことがさらに含まれる。
【0035】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、サンプル中のバイオマーカーの量を濃縮するための方法であって、a)サンプルに、捕捉部位を含む粒子を加えて混合物を提供すること、b)混合物を混合して粒子複合体を提供すること、c)粒子複合体を分離してペレットおよび上清を提供すること、e)ペレットから上清を除去すること、f)ペレットを希釈剤で洗浄すること、およびg)ペレットからバイオマーカーを溶出して、濃縮されたサンプルを提供することを含み、それにより、サンプル中のバイオマーカーの量を濃縮する方法である。いくつかの実施形態では、生体サンプルからバイオマーカーを濃縮するための方法は、診断試験を行う前に生体サンプルに対して行われる。
【0036】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、外傷性脳損傷(TBI)の指標である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、s-100β、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、神経特異的エノラーゼ(NSE)、ニューロフィラメント軽鎖(NFL)、切断型タウタンパク質(C-tau)、およびユビキチンC末端加水分解酵素L1(UCH-L1)である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーはアルツハイマー病(AD)の指標である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーはアミロイドベータ、BACE1、可溶性Aβ前駆体タンパク質(sAPP)である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは性感染症(STD)の指標である。いくつかの実施形態では、STDはクラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス、HPV、ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎、HIVである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは細菌感染の指標である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは細菌の捕捉部位である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは切断試薬によって複合体から切断される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの存在はMALDI-MSにより判定される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの存在は、分子診断法により判定される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの存在は、イムノアッセイにより判定される。
【0037】
いくつかの実施形態では、干渉物質はフィブリノーゲンであり、除去または完全な除去は遠心分離による物理的分離等の分離であり、粒子複合体は血栓中に捕捉される。
【0038】
図1によると、スキームは、本明細書で説明される粒子による生体サンプルからの干渉物質の除去(または枯渇)に基づく、確認または失格のアッセイを示す。生体サンプルを一次採血チューブ(PBCT)から吸引し、二次トランスファーチューブ(STT)に分注しする。本明細書に記載されている粒子、たとえば、遊離ビオチンおよび/または異好抗体に対する捕捉部位を備える表面を含む粒子をSTTに加え、サンプルの干渉物質と結合させ、枯渇させる。
【0039】
図2では、スキームは、本明細書に記載された凍結乾燥粒子による生体サンプルからの干渉物質の除去(または枯渇)に基づく枯渇アッセイを示す。凍結乾燥粒子(たとえば本明細書に記載されているような粒子)が生体サンプルを受容し、粒子と生体サンプルの再懸濁および分散をもたらす。
【0040】
図3では、スキームは、本明細書に記載された磁化ピペットチップによる生体サンプルからの干渉物質の除去(または枯渇)に基づく枯渇アッセイを示す。磁石を備える微ペットチップを生体サンプルに加えて、本明細書に記載されたような干渉物質または本明細書に記載されたようなバイオマーカーを生体サンプルから除去する。
【0041】
(分離の方法)
本明細書に記載された粒子は、生体サンプルを加える前に、一次採血チューブ、24時間採尿器、採尿器、唾液採集チューブ、採便器、精液採集器、採血バッグ、または任意のサンプル採集チューブもしくは装置等の採集装置に加えることができる。
【0042】
本明細書に記載された粒子はまた、採集装置にサンプルを採集した後、または第1採集装置から、プラスチックまたはガラスのチューブ、バイアル、瓶、ビーカー、フラスコ、バッグ、缶、マイクロタイタープレート、ELISAプレート、96穴プレート、384穴プレート、1536穴プレート、キュベット、反応モジュール、リザーバー、もしくは液体サンプルの保持、保存、もしくは処理に適した任意の容器等の保存用もしくは移動用装置にサンプルを移した後に、サンプルに加えることもできる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された粒子は、生体サンプルを含む採集装置に加えられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された粒子は、生体サンプルを加える前に、採集装置に加えられる。
【0044】
ある観点では、本明細書に記載されるのは、採尿器などの、生体サンプルを含む本明細書に記載された採集装置を含む、粒子を放出するための装置(すなわち、放出機構のトリガーとなるスクリューキャップ)である。たとえば、装置は、スクリューキャップを閉じると本明細書に記載された粒子を放出するスクリューキャップを備えるチューブである。
【0045】
ある観点では、本明細書に記載されるのは、生体サンプル(すなわち、カプセル化された組成物または定義された速度または時点で溶液に溶解する組成物)を含む容器に粒子を放出させる化学物質を含む装置である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置は、たとえば、診断試験の前にサンプルの前処理を提供するために、本明細書に記載される粒子の添加を遅延させるように構成されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるサンプルは、本明細書に記載される粒子の添加の前に、たとえばpHを調整したり、サンプル特異的な干渉物質を枯渇もしくは競合させたり、および/または標的バイオマーカーに対するナノ粒子の特異性と結合速度を向上させるためにサンプルにナノ粒子を添加、導入、分散、または混合する前に、マトリックス特有の課題を処理したりするために、化学物質、タンパク質、遮断剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせで前処理することができる。サンプルの前処理後の、サンプルへのナノ粒子の添加の遅延は、サンプルの前処理後のサンプルへのナノ粒子の添加によって物理的に制御することができる。ナノ粒子はまた、ナノ粒子がサンプル中に放出、添加、分散、もしくは混合される前に化学物質、重合体、もしくは糖を溶解する必要があるように、ナノ粒子が化学物質、重合体もしくは糖の殻、コーティング、または重合化によってカプセル化、遮蔽または保護されている場合されている場合、サンプルの前処理の間、サンプル中に存在することもできる。ナノ粒子の遅延放出は、遅延薬物放出技術において今日使用されているような、当業者に知られている化学物質を使用することができる。
【0047】
粒子の磁気的分離の方法
【0048】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、生体サンプルから干渉物質を除去する方法(たとえば診断試験の前)、または磁性粒子を単離もしくは分離する方法(たとえば、一次採血チューブ、カスタムのサンプル採集装置、二次トランスファーチューブまたはカスタムのサンプル装置内)である。たとえば、磁石ベースの装置は早急に(2分未満、好ましくは30秒未満)磁性ナノ粒子を側面および/または底面に単離して、本質的に粒子を含まない上清を形成するであろう。粒子を含まない上清は、粒子を含むペレットを崩壊することなく連続して吸引することができ、診断試験のための別個の移動チューブに分注することができる。いくつかの実施形態では、ペレットは分離されるか、または診断試験に供される。
【0049】
粒子の磁気的分離のための装置
【0050】
本明細書で提供されるのは、たとえば診断試験のためのバイオマーカーを除去または枯渇させるために本明細書に記載される方法において使用することができる、本明細書に記載される粒子を含む装置である。いくつかの実施形態では、装置には、本明細書に記載される粒子と本明細書に記載されるサンプルの組み合わせを遅延させるための物理的なメカニズムが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置は、本明細書に記載される粒子と本明細書に記載されるサンプルの組み合わせを遅延させるための持続放出メカニズムが含まれる。
【0051】
(磁性チューブホルダー)
粒子を含まない上清のその後の診断試験のためにサンプルラック内に挿入することができる、カスタムの磁性チューブホルダー、またはスタンドから取り外すことができるカスタムの磁性チューブホルダー。カスタムの磁性チューブホルダーは、サンプルチューブバーコードを解析装置で検出および読み取りができるような物理的な開口部、または曇りのない/透明なプラスチックを有するように設計することができ(磁石または磁石アレイが存在しない部分)、また、脂血症、溶血、細胞破片/血栓検出、濃度感知などの指標検査が解析装置で実行できるような設計にすることができる。サンプルチューブは、磁気チューブホルダーの開口部(スペース)を確保するために、特定の向きでカスタムの磁気チューブホルダーにのみ適合するように切欠き、または突端および溝を有するように設計されたカスタムサンプルチューブであってもよく、または曇りのない/透明なプラスチックは、分析者がバーコードを見て読み取ることを可能にし、および/または脂血症、溶血、細胞破片/血栓の検出、濃度感知などの指標試験を実行できるように設計されたカスタムサンプルチューブであってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、磁石は、接着剤、ベルクロ(登録商標)、またはその他の方法でサンプルラックに取り付けることができる。一旦磁性ナノ粒子を含むサンプルチューブがサンプルラックに取り付けられた磁石の位置に挿入されると、磁性ナノ粒子は即座にサンプルチューブの側面および/または底面に分離し、サンプルラック特有の検査プラットフォームまたは解析装置による診断試験のための本質的に粒子を含まないサンプル上清を形成する。
【0053】
カスタムの磁気サンプルラックとしてのサンプルラック自体は、所定の分析装置(たとえば、Abbott社のARCHITECT、Siemens社のADVIA Centaur XP、Roche社のcobas e411/e601/602/e801、Beckman Coulter社のAccess2/DxI400/DxI800、DiaSorin社のLIAISON/LIAISON XL等に特化したもの))と互換性がある。たとえば、ラック中の全てのチューブ位置は、磁性ナノ粒子が、サンプルチューブの側面および/または底面に即座に分離して、診断試験のための本質的に粒子を含まないサンプル上清を形成するように設計された磁石の配列を有している。
【0054】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、試験管のラックのための、磁石を含むホルダー(たとえば試験管ホルダー)を含む装置(たとえば、分離装置)である。
【0055】
(使い捨てピペットチップ)
ある観点では、装置は、磁性ナノ粒子を、本質的に粒子を含まないサンプル上清からピペットチップの表面に速やかに分離するために、使い捨てチップ内に挿入されたカスタムの磁石を含む、使い捨てピペットチップである。カスタムの磁石を備える使い捨てピペットチップは、その後、粒子を含むペレットを崩壊することなくサンプルから取り除くことができる。粒子を含む使い捨てチップは、粒子が捕捉したものを測定したり、特性評価したりする必要がない場合には捨てることができ(すなわち、干渉物質が枯渇)、またはその後の診断試験における粒子の分離および特性評価のために新しいチューブに挿入してもよい(すなわち濃縮)。たとえば、粒子を含む使い捨てチップは、バッファーが入った二次トランスファーチューブに挿入することができる。磁石がチップから取り除かれた場合、または磁石がオフになった場合(たとえば電磁石)、粒子はバッファー中に遊離し、分散される。
【0056】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、磁石を含む使い捨てチップを含む装置である。
【0057】
粒子の物理的分離の方法
【0058】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、物理的な力(たとえば重力)によって、本明細書に記載される粒子を除去するための方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子は、物理的な力によって生体サンプルから分離され、単離され、または除去される(たとえば遠心分離により)。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載された診断試験方法の適用の前、たとえば、一次採血チューブ中、カスタムのサンプル採集チューブ中、二次トランスファーチューブ中、またはカスタムのサンプル装置中で使用される。いくつかの実施形態では、粒子を除去する方法は濾過である。
【0059】
たとえば、フィブロネクチン、および/または他の血栓因子に特異的な磁性ナノ粒子、または血栓成分/構成要素のオフ、その後の「血栓」(血清中)の捕捉もしくは結合のための細胞デブリ(すなわち、赤血球膜特異的)、および/または細胞デブリ(血清または血漿中)の捕捉もしくは結合のための磁性ナノ粒子は、遠心分離ローターおよび/またはチューブホルダーにおける強力な磁石または磁気技術の統合により、遠心分離速度および効率(研究室の効率、ワークフローおよびスループットを改善するためのより短いスピン時間)を増大させる。遠心分離のRCFまたはGと磁性ナノ粒子複合体(血栓+磁性ビーズ、細胞デブリ+磁性ビーズ)の磁気的分離の組み合わせにより、サンプルチューブの側面または底面でのはるかに迅速かつ効率的な分離と上清の形成が可能になり、その後の分析のためにサンプルが澄む。たとえば、ほとんどの研究室では、この遠因分離ステップは4分間以上であり、遠心分離と磁性ナノ粒子-血栓/細胞デブリ複合体の磁気的単離/分離の組み合わせにより、2分間以下(好ましくは1分以下)に短縮することができる。
【0060】
さらに、ナノ粒子または大多数の磁性ナノ粒子が、1、5、10、20、30、またはそれ以上の異なる干渉メカニズム等の1以上の異なるサンプル干渉メカニズムに特異的である場合、それらの干渉物質は、存在するならば、ナノ粒子に捕捉され、遠心分離物からの物理的分離後に、または上述の遠心分離と磁気的分離の組み合わせによって、サンプルから枯渇するであろう。
【0061】
これらの磁性ナノ粒子はまた、遠心分離、または遠心分離における遠心分離と磁気的分離の組み合わせを介して分離される血栓または細胞デブリへの特異性を必要とせず、それらの表面は、1種超の抗原および/または抗体で共被覆または固定されていてもよく、この場合、1種以上の抗体は血栓または細胞デブリに特異的であり、他の抗原および/または抗体はサンプル干渉物質に特異的である。その際、ナノ粒子は、遠心分離または遠心分離と磁気的分離の組み合わせを介したその後の物理的分離または単離のために、サンプル干渉物質と血栓および/または細胞デブリの両方に特異的に結合するであろう。
【0062】
血栓および/または細胞デブリに特異的なナノ粒子の使用は、磁性ナノ粒子による特異的に結合、ならびに磁気的分離および単離のためにすべてを磁性体に引っ張ることによって、凝固速度を増加させる。磁場と強度によって形成されたこのビーズベースのペレットはまた、血栓の強制的な近接、またはナノ粒子およびその後の磁石によって特異的に捕捉された凝固因子に基づいて血栓形成を促進する。
【0063】
粒子の化学的分離の方法
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子は、化学的分離方法により生体サンプルから分離、単離、または除去される。いくつかの実施形態では、化学的分離方法は、診断試験方法が適用される前、たとえば、一次採血チューブ内、カスタムのサンプル採集装置内、二次トランスファーチューブ内、またはカスタムのサンプル装置内で使用される。
【0065】
ある観点では、提供されるのは、1種以上の塩、溶媒、重合体、または界面活性剤を提供することを含む、粒子の化学的分離のための方法である。
【0066】
いくつかの実施形態では、化学的分離方法、たとえば液液相分離は、粒子を相Aに分画し、ナノ粒子を含まないサンプルを試験される相Bに分画する。液液相分離(化学相分離)の薬剤は、塩、可溶性重合体、界面活性剤等によることができる。
【0067】
たとえば、液液相分離は、極性水性サンプルにヘキサン等の非極性溶媒を加えることで起こすことができ、本明細書に記載されるような診断試験による試験のためのナノ粒子を含まない水相を残して、粒子は非極性相に分画される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される分離の方法は、有機相中にナノ粒子を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される分離の方法は、水相中にナノ粒子を提供する。
【0068】
粒子および生体サンプルに非極性溶媒と水性極性溶媒を供給して非極性溶媒層および極性溶媒層を提供し、非極性溶媒を含む非極性溶媒層を除去し、粒子を含む水性極性溶媒を単離することにより粒子を単離することを含む、生体サンプル中の粒子を単離する方法。
【0069】
非極性相を吸引して廃棄する前に、LC-MS/MSのための重水素化された内部標準物質等の内部標準物質を添加して使用することにより、サンプルの回収を調整または修正することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、分離は、磁気的分離と組み合わせて使用される物理的分離である。たとえば、ある観点では、提供されるのは装置(たとえば、磁化された遠心分離機、または重力および磁石の磁力の両方による分離を助ける磁石を備えた遠心分離機)である。ある観点では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される粒子の分離のための、磁石および遠心分離機を備える装置である。いくつかの実施形態では、該装置は遠心分離時間を大幅に削減する。
【0071】
(干渉物質の除去のための方法)
本明細書に記載されるのは、溶血、脂血症、黄疸、ビリルビン、マイクロフィブリン血栓、細胞デブリ、血球、フィブリノーゲン、または薬物、代謝物、サプリメント、植物性の生薬、マルチビタミンなどの他の干渉物質による既知の解析前および解析の試験誤差(たとえば干渉)の原因を枯渇させる(たとえば軽減、削減、または管理)ことを含む、干渉物質を除去または最小化する方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、マトリックス効果またはサンプルタイプの違い(たとえば、動物種、ヒト種)に起因する干渉を除去するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、診断試験(たとえば、臨床試験での診断試験またはバイオマーカー検査)の前に、干渉物質を除去するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される干渉物質を除去するための方法は、臨床試験において本明細書に記載されるバイオマーカーの診断試験の正確性と信頼性を高めるために用いられる。たとえば、本明細書に記載される方法は、患者の選択またはスクリーニング、たとえば、包含基準または除外基準のために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される除去または枯渇のための方法は、臨床データまたは臨床試験結果における外れ値を特定するために使用することができる。たとえば、臨床データまたは臨床試験結果における外れ値には、本明細書に記載されるバイオマーカーに対する偽陽性または偽陰性の特定が含まれる。
【0072】
その後の、干渉がない、または干渉が低減された定量的、半定量的、または定性的分析のために十分な量の干渉物質が捕捉および/または除去された場合、枯渇は完全であると定義される。その後の、半定量的、または定性的分析のために十分な量の干渉物質または干渉メカニズムが捕捉および/または除去された場合、枯渇は部分的であると定義され、また、LCMSおよびLC-MS/MS(すなわち、重水素化された内部標準)およびHPLC(C14またはトリチウム化内部放射性同位元素の内部標準)等の、内部標準を使用して、目的の分析物またはバイオマーカーの回収を調整することができる測定方法による定量的、半定量的、または定性的分析のために十分な量の干渉物質または干渉メカニズム、および内部標準が捕捉された場合も、部分的であると定義される。
【0073】
枯渇は、サンプルから干渉を100%除去することを意味しないが、残存した干渉が誤った結果をもはやもたらさないことを意味する。しかし、その後の溶出およびLC-MS/MSによる分析等の特定のアッセイもしくは目的のため、または分子診断のための試料の前処理、核酸精製、濃縮のため、または尿、唾液、便等の困難なサンプルタイプからのバイオマーカーの濃縮のために必要である場合は、サンプルの前処理の枯渇は、干渉を100%除去することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、1週間未満、6日間未満、5日間未満、4日間未満、3日間未満、2日間未満、1日間未満、24時間未満、20時間未満、16時間未満、12時間未満、8時間未満、4時間未満、2時間未満、1時間未満、30分間未満、15分間未満、10分間未満、5分間未満、またはそれ未満で行われる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、1日間未満行われる。
【0075】
(干渉物質)
生体サンプル中の干渉物質を減少、最小化、または除去する、本明細書に記載される方法。干渉物質は、たとえば、抗体結合を阻害することによって診断検査の結果の正確な値を変化させたり、または架橋、立体障害、もしくは自己抗体のメカニズムによってアッセイシグナルを増減させたりすることができる、患者のサンプル中に存在する物質である。本明細書で使用する「干渉物質」は、免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、IgE、IgD)、タンパク質、抗原、脂質、トリグリセリド、細胞構成要素、夾雑物、化学物質、薬剤、薬剤代謝物、サプリメント、ビタミン、植物性の生薬、異物(ウイルス、細菌(グラム陽性、グラム陰性)、菌類、酵母)、および異物、試験原材料、製剤、生物学的成分および合成成分、試験設計、及び/又は試験形式との特異的もしくは非特異的な相互作用により、試験に干渉し、誤った試験結果をもたらす可能性のある食物または食物中の物質によって作られる老廃物等の、血液、血漿、血清、CFS、尿、便、唾液、精液、羊水、その他の体液またはサンプルマトリックス中の内因もしくは外因性の物質、または内因性および/もしくは外因性の物質の組み合わせである。干渉物質は、限定されないが、自己抗体、リウマチ因子(RF)、ヒト抗マウス抗体(HAMA)、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、マウス、ウマ、ブタ、およびロバのポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体等のヒト抗動物抗体(HAAA)等の、異好性または異好様の干渉物質、および化学発光性基質(ルミノール、イソルミノール、イソルミノール誘導体、ABEI、ABEI誘導体、ルテニウム、アクリジニウムエステル)、フルオレセインまたは他の蛍光色素分子、および染色剤等の蛍光標識、捕獲部位(ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、キャプトアビジン、ポリA、ポリDT、アプタマー、抗体、Fab、F(ab’)2、抗体断片、組み換えタンパク質、酵素、タンパク質、生体分子、ポリマー)およびそれらの結合相手(すなわち、ビオチン、フルオレセイン、ポリDT、ポリA、抗原等)、結合リンカー(LC、LC-LC、PEO、PEOn)、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、オーバルブミン、ゼラチン、マウス、ヤギ、ヒツジ、およびウサギなどの精製ポリおよびモノクローナルIgG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、Tween-20、Tween-80、TritonX-100、プルロニック(登録商標)およびテトロニック等の三元ブロック共重合体、および、質量分析(すなわち、HPLC、MS、LCMS、LC-MS/MS)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、分子診断、ラテラルフロー、ポイントオブケア(PoC)、CLIAおよびCLIA免除の試験および装置による、抗体ベースの診断試験、非抗体ベースの診断試験、またはその後の分析のためのサンプル前処理方法および装置の設計に典型的に使用される、Surmodics社およびScantibodies社等から市販されているブロッキング剤、ブロッキングタンパク質およびポリマー系のブロッキング試薬等の、試験設計またはアッセイ製剤に使用されるアッセイ特異的な干渉物質であり得る。
【0076】
ある観点では、本明細書で提供されるのは、捕捉部位(干渉物質と結合する)で誘導体化された粒子を提供することを含む、生体サンプルから干渉物質(たとえばビオチン)を除去するための方法である。いくつかの実施形態では、干渉物質はビオチンである。
【0077】
別の観点では、サンプルを粒子(たとえばナノ粒子、マイクロ粒子)で前処理して、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)を枯渇させたサンプルがその後、遊離または生物学的に利用可能なホルモンまたはステロイド(すなわち、遊離テストステロン)を測定するために試験することができるように、血清または血漿からSHBGまたは性ステロイド結合グロブリン(SSBG)を枯渇させることができる。いくつかの実施形態では、干渉物質は性ホルモン結合グロブリン(SHBG)または性ステロイド結合グロブリン(SSBG)である。
【0078】
いくつかの実施形態では、干渉物質はビオチン、HAMA、RF、異好抗体、または抗SAvである。
【0079】
(バイオマーカーの除去または濃縮の方法)
本明細書に記載されるのは、生体サンプル中のバイオマーカーの濃度を濃縮する、または増加させるための方法である。「濃縮」は、完全または部分的に、粒子を捕捉し、標的分析物またはバイオマーカーを生体サンプル(たとえば、ヒトもしくは動物の血清、血漿、血液、全血、処理された血液、尿、唾液、便(液体および固体)、精液もしくは精漿、細胞、組織、生検材料、DNA、RNA、または任意の液体または固体)からの粒子に結合させることとして定義される。いくつかの実施形態では、濃縮には、たとえば、バイオマーカー特異的ナノ粒子を洗浄して、バイオマーカーの特性評価および測定ステップの前に干渉物質を除去または最小化するために単離することによる、生体サンプルの洗浄および濃縮が含まれる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、その後の溶出および試験のため、または診断試験の前にバイオマーカーの濃度を濃縮もしくは増加させるために、生体サンプル中の特定の標的(たとえばバイオマーカー)を分離および精製するために使用される。
【0081】
バイオマーカー特異的な粒子を洗浄または単離した後、特性評価または測定ステップの前に、粒子は、リン酸塩緩衝生理食塩水(すなわちPBS pH7.2)、またはLC-MS/MS互換バッファー等のバッファー中に分散、再構成、または再懸濁することができる。これは、粒子によって捕捉され濃縮されたバイオマーカーの重要な特性評価または測定ステップは、緩衝系内で行われたものであり、同じ特性評価、測定または試験方法または系を使用して血液、血漿、血清または尿中で測定された同じバイオマーカーと比較して、動物の血液、血漿、血清、または尿で測定されたバイオマーカー間のマトリックス効果またはバイアスを導入または引き起こすものである動物またはヒトのマトリックス内でおこなわれたものではないことを意味する。洗浄により、サンプルマトリックス、成分、タンパク質、細胞成分、および関連する干渉またはマトリックス効果を洗い流すことができる。
【0082】
濃縮は、その後の診断検査、たとえば定量的、半定量的、または定性的分析のために十分な量の分析物が捕捉された場合、完全であると定義され、その後の半定量的分析または定性的分析のために十分な量の分析物またはバイオマーカーが捕捉された場合、部分的であると定義され、また、LCMSおよびLC-MS/MS(すなわち、重水素化された内部標準)およびHPLC(C14またはトリチウム内部放射性同位元素の内部標準)等の、内部標準を使用して、目的の分析物またはバイオマーカーの回収を調整することができる測定方法による、定量的、半定量的、または定性的分析のために十分な量の標的の分析物またはバイオマーカー、および内部標準が捕捉された場合も、部分的であると定義される。
【0083】
a)粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルに加えること、b)粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルと混合すること、c)粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルとインキュベートしてバイオマーカーを粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)に結合および捕捉させること、d)粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルから分離または除去すること、e)粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)を保存すること、f)適切な希釈剤を使用して粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)を洗浄し、非特異的な材料を除去すること、g)バイオマーカー特異的な定量的、半定量的、または定性的な診断試験を用いて、粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)に捕捉されたバイオマーカーの量、質量、モル濃度、濃度、または収量を測定すること、を含む、診断試験の前にサンプル中のバイオマーカーを濃縮するための方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、希釈剤には水(たとえば、脱イオン水、注射用水、生理食塩水、緩衝水溶液)が含まれる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濃縮方法には、洗浄ステップが含まれる。洗浄ステップでは、本明細書に記載されるような干渉物質を除去し、および/または洗浄され、精製され、もしくは単離された関心のあるバイオマーカー(たとえば、本明細書に記載されているようなバイオマーカー)を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濃縮方法は、マトリックス効果または種の影響を低減させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濃縮方法は、異なる起源の2つの生体サンプルを比較する診断試験の前に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濃縮方法は、動物のサンプルとヒトのサンプルを比較する診断試験の前に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濃縮方法は、血清サンプルと血漿サンプルを比較する診断試験の前に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される濃縮方法は、高粘度のサンプルに使用される。
【0085】
いくつかの実施形態では、濃縮方法には、バイオマーカーが濃縮された第1の生体サンプルをバイオマーカーが濃縮された第2の生体サンプルと結合させることが含まれる。
【0086】
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される切断試薬により、たとえば、pH(たとえば、炭酸水素ナトリウム等の塩基で増加したpH、酢酸、トリクロロ酢酸、スルホサリチル酸、塩酸、ギ酸等の酸で減少したpH、pH2.5~3.0の100mMグリシンHCl、pH3.0の100mMクエン酸、pH11.5の50~100mMトリエチルアミンまたはトリエタノールアミン、pH10.5の150mM水酸化アンモニウム等の一般的なpHの溶出バッファー)、ディスプレーサ―または置換剤、競合溶出(たとえば、0.1M超のカウンターリガンドまたは類似体)、イオン強度および/またはカオトロピック効果(たとえば、NaCl、KCl、10mMトリス中pH7.0の3.5~4.0M塩化マグネシウム、pH7.2の10mLのリン酸緩衝液中5M塩化リチウム、pH7.5の2.5Mヨウ化ナトリウム、0.2~3.0Mチオシアン酸ナトリウム)、界面活性剤、洗浄剤、濃縮無機塩、変性(たとえば、2~6MグアニジンHCl、 2-8M尿素、1%デオキシコール酸塩、1%SDS)、有機溶剤(たとえば、アルコール、クロロホルム、エタノール、メタノール、アセトニトリル、ヘキサン、DMSO、10%ジオキサン、pH8~11.5の50%エチレングリコール(カオトロピックも)、放射線または熱(高温)、構造変化、ジスルフィド結合還元剤(2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、酵素不活化、カオトロピック剤(尿素、塩化グアニジン、過塩素酸リチウム)、機械的撹拌、超音波処理、およびタンパク質消化酵素(ペプシン、トリプシン)、ならびにそれらの組み合わせ等の溶出戦略を用いた結合相互作用の破壊によって、粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)から溶出、解離、または解放されることにより、粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)により捕捉および濃縮された標的バイオマーカーの量、質量、モル濃度、濃度、または収量を測定する方法である。
【0087】
別段の記載がない限り、または本開示から暗示されない限り、本明細書に記載された特定の方法または組成物に関連して記載された任意の実施形態のいずれかは、本明細書に記載された他の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0088】
本発明の方法および組成物は、この分野で知られる任意の適切なアッセイ、たとえば、限定されないが、タンパク質-タンパク質アフィニティアッセイ、タンパク質-リガンドアフィニティアッセイ、核酸アフィニティアッセイ、間接蛍光抗体アッセイ(IFAS)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射性免疫アッセイ(RIA)、および酵素免疫アッセイ(EIA)を含むこの分野で知られる任意の適切なアフィニティアッセイまたはイムノアッセイ、直接または間接のアッセイ、競合アッセイ、サンドイッチアッセイ、CLIAまたはCLIA免除試験、LC-MS/MS、分析アッセイ等と組み合わせて使用することができる。
【0089】
診断試験の前に、同じサンプルからサンプルの干渉物質を枯渇させる方法とバイオマーカーを濃縮する方法の両方の方法は、a)バイオマーカー特異的な粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルに添加する前に、化学的および/または生物学的試薬、添加剤または組成物をサンプル添加して、サンプル特異的な干渉を遮断または枯渇させること、b)化学的および/または生物学的試薬、添加剤または組成物でサンプルを前処理またはインキュベートした後に、バイオマーカー特異的な粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルに添加すること、c)バイオマーカー特異的な粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)をサンプルとインキュベートして、標的バイオマーカーを粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)に結合させ、捕捉させること、d)粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)を洗浄し、またはサンプル、ならびに化学的および/もしくは生物学的試薬添加剤または組成物からそれを単離すること、e)診断試験を用いて、粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)に捕捉され、濃縮されたバイオマーカーの特性評価をすること、からなる。
【0090】
たとえば、ある実施形態では、キャプトアビジンに結合した粒子は、中性のpHでサンプル中のビオチンに結合するであろう。キャプトアビジンに結合したビオチンは、pHが10に上昇した場合にビオチンを放出するであろう。
【0091】
(バイオマーカー)
本明細書に記載されるのは、単離方法、または生体サンプル中に存在するバイオマーカーを単離もしくは濃縮するための方法である。本明細書でいう「バイオマーカー」は、老化または疾患等の進行、事象、または状態の、特徴的な生物学的指標または生物学的に由来する指標(たとえば代謝物)として定義される。バイオマーカーは、内因性および/または外因性分析物、抗原、小分子、大分子、薬物、治療剤、代謝物、生体異物、化学物質、ペプチド、タンパク質、タンパク質消化物、ウイルス抗原、細菌、細胞、細胞溶解物、細胞表面マーカー、抗原決定基、抗体、抗体の断片、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD受容体、受容体のリガンド、ホルモン、ホルモンの受容体、酵素、酵素の基質、一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖ポリヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖ポリヌクレオチド、ポリマーおよびアプタマーであってもよい。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載される干渉物質(たとえば、抗体結合を阻害することにより診断試験の結果の正しい値を変化させることができる、または架橋、立体障害、または自己抗体のメカニズムによりアッセイシグナルを増加または減少させることができる、患者のサンプル中に存在する物質)である。本明細書で使用する「干渉物質」は、限定されないが、自己抗体、リウマチ因子(RF)、ヒト抗マウス抗体(HAMA)、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、マウス、ウマ、ブタ、およびロバのポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体等のヒト抗動物抗体(HAAA)等の、異好性または異好様の干渉物質、および化学発光性基質(ルミノール、イソルミノール、イソルミノール誘導体、ABEI、ABEI誘導体、ルテニウム、アクリジニウムエステル)、フルオレセインまたは他の蛍光色素分子、および染色剤等の蛍光標識、捕獲部位(ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、ポリA、ポリDT、アプタマー、抗体、Fab、F(ab’)2、抗体断片、組み換えタンパク質、酵素、タンパク質、生体分子、ポリマー)およびそれらの結合相手(すなわち、ビオチン、フルオレセイン、ポリDT、ポリA、抗原等)、結合リンカー(LC、LC-LC、PEO、PEOn)、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、卵白アルブミン、ゼラチン、マウス、ヤギ、ヒツジ、およびウサギなどの精製ポリおよびモノクローナルIgG、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、Tween-20、Tween-80、TritonX-100、プルロニック(登録商標)およびテトロニック等の三元ブロック共重合体、および、質量分析(すなわち、HPLC、MS、LCMS、LC-MS/MS)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、分子診断、ラテラルフロー、ポイントオブケア(PoC)、CLIAおよびCLIA免除の試験および装置による、抗体ベースの診断試験、非抗体ベースの診断試験、またはその後の分析のためのサンプル前処理方法および装置の設計に典型的に使用される、Surmodics社およびScantibodies社等から市販されているブロッキング剤、ブロッキングタンパク質およびポリマー系のブロッキング試薬等の、試験設計またはアッセイ製剤に使用されるアッセイ特異的な干渉物質であり得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、本明細書に記載された生体サンプル中で確認される。
【0092】
(フィブリノーゲン)
フィブリノーゲンは、組織や血管の損傷時にトロンビンによってフィブリンに変換され、その結果、フィブリンベースの血栓が形成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用される、本明細書に記載される粒子(たとえば、抗フィブリノーゲン(たとえばマウス抗フィブリノーゲン)で誘導体化された粒子)は、全血中のフィブリノーゲンと結合し、分離(たとえば、化学的分離)を可能にする。フィブリンを介して血栓に結合した粒子は、粒子を含まない血清試験のために、遠心分離後に、血清から単離し、除去することができる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーはフィブリノーゲンである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、抗フィブリノーゲンで誘導された粒子を使用して、サンプル(たとえば血液サンプル)の遠心分離の必要性を排除する。
【0093】
(外傷性脳障害)
ある実施形態では、バイオマーカーは外傷性脳障害のためのものである。急性脳損傷の重症度および大きさ、血液脳関門(BBB)の完全性に関連するバイオマーカーは9種類(9)あるが、それらは極めて低い血中循環濃度で存在しており、既存のイムノアッセイ技術や試験プラットフォームを用いて検出および定量するのが非常に困難である。Banyan BTI試験(2018年2月14日にFDA承認)は、それらのバイオマーカーのうち2種類だけを測定するが、本明細書に記載される方法および装置(たとえば、濃縮方法、濃縮のための装置)は、患者の9種類のバイオマーカー全てを同時に測定し、患者の診断と予後を助けることができる。9種類の各バイオマーカー用の捕捉部位で誘導体化された粒子を、TBIが疑われる患者からの生体サンプルに添加してもよい。いくつかの実施形態では、外傷性脳障害のバイオマーカーは、S100B、GFAP、NLF、NFH、γ-エノラーゼ(NSE)、α-IIスペクトリン、UCH-L1、総タウ、およびリン酸化タウからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、外傷性脳障害のバイオマーカーは、GFAPおよびUCH-L1から選択される。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法(たとえば濃縮方法)は、S100B、GFAP、NLF、NFH、γ-エノラーゼ(NSE)、α-IIスペクトリン、UCH-L1、全タウ、およびリン酸化タウからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、または9種の外傷性脳障害のバイオマーカーを単離または濃縮するために使用される。
【0095】
(アルツハイマー病)
ある実施形態では、バイオマーカーはアルツハイマー病のためのものである。アルツハイマー病の重症度および大きさに関連するバイオマーカーは2種類(2)ある。いくつかの実施形態では、アルツハイマー病のバイオマーカーは、アミロイドβ、BACE1、および可溶性Aβ前駆体タンパク質(sAPP)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルツハイマー病のバイオマーカーは、βアミロイド(1-42)、ホスホタウ(181p)、および全タウからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法(たとえば濃縮方法)は、アミロイドベータ、BACE1、および可溶性Aβ前駆体タンパク質(sAPP)からなる群から選択される1、2、または3種のアルツハイマー病のバイオマーカーを単離または濃縮するために使用される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、アミロイドベータ、BACE1、または可溶性Aβ前駆体タンパク質(sAPP)である。いくつかの実施形態では、アルツハイマー病のためのバイオマーカーは、生体サンプル(たとえばCSF)中で確認される。
【0096】
(性感染症)
ある実施形態では、バイオマーカーは性感染症(STD)のためのものである。STDの感染に特徴的なバイオマーカーは少なくとも10種類(10)ある。いくつかの実施形態では、STDバイオマーカーは、クラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス、HPV、ヘルペス1および2、HSV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV1および2のためのバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法(たとえば濃縮方法)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13種類のSTDバイオマーカー:クラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス、HPV、ヘルペス1および2、HSV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV1および2、ならびにHIV抗体を単離または濃縮するために使用される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは尿中に存在する(たとえば、クラミジア、淋病、トリコモナス)。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、血中、血清中、または血漿中に存在する(たとえば、梅毒、HPV、ヘルペス1および2、HSV、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV1および2、HIV抗体)。
【0097】
(細菌の感染)
ある実施形態では、バイオマーカーは細菌の感染のためのものである。細菌感染のための現在のゴールドスタンダードの試験は、陽性結果が分子診断等の確認試験に反映されるまでに24~48時間かかり得る血液培養である。本明細書に記載されているのは、敗血症を予防または管理するために患者を首尾よく治療するために重要である短縮された時間、たとえば60分以下(例えば、50分、40分、30分、20分以下)、最短30分以下で細菌の感染を確定診断/除外診断するための方法である。細菌の感染に特徴的なバイオマーカーは少なくとも30種類(30)ある。いくつかの実施形態では、細菌のバイオマーカーは、敗血症を引き起こす細菌種(たとえば、フェシウム菌(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))のバイオマーカーからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、フェシウム菌(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))のバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、グラム陽性菌またはグラム陰性菌のバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、酵母病原体(たとえば、血流病原体に関連する酵母病原体)のバイオマーカーである。
【0098】
いくつかの実施形態では、グラム陽性菌は、腸球菌属(Enterococcus)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、レンサ球菌属(Streptococcus)、アガラクチア菌(Streptococcus agalactiae)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、または化膿性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)である。
【0099】
いくつかの実施形態では、グラム陰性菌は、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)複合体、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス属(Proteus)、または霊菌(Serratia marcescens)である。
【0100】
いくつかの実施形態では、酵母病原体は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、またはカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)である。
【0101】
いくつかの実施形態では、質量分析法が続く。リンカー(すなわち、粒子を表面捕捉部分に結合させるリンカー)を切断するために、切断剤(例えば、還元剤(例えば、DTTまたはTCEP))を細菌-粒子結合複合体に添加する方法が想定される。得られた細菌を培養、またはMALDI-TOF質量分析法により分析する。
【0102】
リンカー(すなわち、粒子を表面捕捉部分に結合させるリンカー)を切断するために、切断剤(例えば、還元剤(例えば、DTTまたはTCEP))を細菌-粒子結合複合体に添加する方法が想定される。得られた細菌を培養する、またはMALDI-TOF質量分析法により分析する、もしくはBioFire Diagnostics社のFilmArray(登録商標)血液培養同定(BCID)パネル等の分子診断により分析する。
【0103】
(甲状腺機能)
TSH濃度は、甲状腺ホルモンの過剰(甲状腺機能亢進症)または欠乏(甲状腺機能低下症)が疑われる患者の甲状腺機能検査の一環として測定される。本明細書のいくつかの実施形態で記載される方法は、甲状腺機能を評価するために使用される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは抗原(たとえばTSH)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、抗原(たとえばTSH)に対する特異性を有する自己抗体(たとえば遊離自己抗体、複合自己抗体)である。
【0104】
いくつかの実施形態では、干渉物質(甲状腺刺激ホルモン、遊離チロキシン、および遊離トリヨードチロニンの測定に影響する)は、マクロTSH、ビオチン、抗ストレプトアビジン抗体、抗ルテニウム抗体、甲状腺ホルモン自己抗体、または異好抗体である。
【0105】
(心機能)
本明細書のいくつかの実施形態に記載される方法は、心機能を評価するために使用される。トロポニンの血中循環濃度の上昇は、心疾患、たとえば心筋梗塞のバイオマーカーである。Cardiac IおよびTは、心筋損傷の特異的な指標である。トロポニンのサブユニットもまた、心臓の健康状態のマーカーである。特にcTnIおよびcTnTは、急性心筋梗塞(AMI)、たとえば、1型および2型の心筋梗塞、不安定狭心症、術後の心筋外傷、および関連する疾患のバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、遊離cTnI、遊離cTnT、2成分のcTnI-TnC、または3成分のcTnI-TnC-TnTである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは心不全の指標である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは脳卒中の指標である(たとえば、https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.117.017076、およびhttps://www.360dx.com/business-news/roche-test-helps-differentiate-bleeding-risk-stroke-risk-patients-considering#.W1jz0thKhcAに記載されており、それらの全体が参照により本明細書に援用される)。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは線維症の指標である(たとえば、http://www.onlinejacc.org/content/65/22/2449に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される)。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは急性冠状動脈症候群(ACS)の診断のためのものである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、心筋トロポニン(I、I-C、I-C-T、T)および他の心筋トロポニン断片、ナトリウム利尿ペプチド(BNP、ANP、CNP)、N末端断片(たとえば、NT-proBNP、NT-proCNP)、グリコシル化、非グリコシル化、CRP,ミオグロビン、クレアチニンキナーゼ(CK)、CK-MB、sST2、GDF-15、ガレクチン-3のためのものである。
【0106】
いくつかの実施形態では、正確度および精度は、大きいサンプル量(すなわち、1mL、10mL、100mL、1000mL等)、また、非常に小さいサンプル量(すなわち、新生児、小児、高齢者)、典型的には現在検査できない、または検査前にサンプルを希釈する必要があって試験の感度、正確度、および精度が低下するサンプルを検査して、非常に希薄または低濃度のバイオマーカーの検出可能性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、生体サンプルは、1mL、10mL、100mL、1000mL、またはさらに大きい容量である。いくつかの実施形態では、生体サンプルは、0.5mL、0.25mL、0.1mL、0.05mL、またはそれ未満の容量である。
【0107】
また、本明細書で提供されるのは、バイオマーカー特性評価ステップまたは試験方法の前に、洗浄ステップまたは粒子分離の後、粒子から、捕捉したバイオマーカーを選択的に放出もしくは溶出、または捕捉部位-バイオマーカー複合体を選択的に放出もしくは溶出させることによる、診断試験の前に粒子サンプルの前処理を用いてバイオマーカーの濃縮を助ける方法である。
【0108】
本明細書で使用される「切断試薬」または「放出剤」は、粒子表面の捕捉部位とバイオマーカーの結合を崩壊させ、たとえば、捕捉部位を置換または溶出させることなくバイオマーカーのみを置換または溶出させる、酸性または塩基性のpH、高モル濃度の塩、糖、化学置換剤、洗浄剤、界面活性剤、および/もしくはキレート剤、またはそれらの組み合わせである。洗浄、または磁石によりサンプルマトリックスから粒子を単離した後、粒子は放出剤を含む溶出溶液で処理し、バイオマーカーを溶液内に選択的に放出させることができる。粒子は、急速に(2分未満、理想的には30秒未満)サンプル装置(バイアル、試験管、他)の側面および/または底面に単離され、本質的に粒子を含まないサンプル上清を形成することができる。粒子を含まないサンプル上清は、その後、粒子を含むペレットを崩すことなく吸引し、別のトランスファーチューブに分注、またはバイオマーカーを試験するために直接分析系(すなわち、LC-MS/MSまたはMALDI-TOF)に入れることができる。
【0109】
たとえば、本明細書に記載される切断試薬または放出剤は、(たとえば、炭酸水素ナトリウム等の塩基で増加したpH、酢酸、トリクロロ酢酸、スルホサリチル酸、塩酸、ギ酸等の酸で減少したpH、pH2.5~3.0の100mMグリシンHCl、pH3.0の100mMクエン酸、pH11.5の50~100mMトリエチルアミンまたはトリエタノールアミン、pH10.5の150mM水酸化アンモニウム等の一般的なpHの溶出バッファー)、ディスプレーサ―または置換剤、競合溶出(たとえば、0.1M超のカウンターリガンドまたは類似体)、イオン強度および/またはカオトロピック効果(たとえば、NaCl、KCl、10mMトリス中pH7.0の3.5~4.0M塩化マグネシウム、pH7.2の10mLのリン酸緩衝液中5M塩化リチウム、pH7.5の2.5Mヨウ化ナトリウム、0.2~3.0Mチオシアン酸ナトリウム)、界面活性剤、洗浄剤、濃縮無機塩、変性(たとえば、2~6MグアニジンHCl、 2-8M尿素、1%デオキシコール酸塩、1%SDS)、有機溶剤(たとえば、アルコール、クロロホルム、エタノール、メタノール、アセトニトリル、ヘキサン、DMSO、10%ジオキサン、pH8~11.5の50%エチレングリコール(カオトロピックも)、放射線または熱(高温)、構造変化、ジスルフィド結合還元剤(2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、酵素不活化、カオトロピック剤(尿素、塩化グアニジン、過塩素酸リチウム)、機械的撹拌、超音波処理、およびタンパク質消化酵素(ペプシン、トリプシン)、ならびにそれらの組み合わせ等の溶出戦略を用いて、本明細書に記載される粒子と本明細書に記載される捕捉部位の間の、本明細書に記載される結合相互作用または切断可能な結合を崩壊させる。
【0110】
(特性評価の方法)
本明細書に記載されるのは、その後の特性評価、または診断試験のために、バイオマーカーを枯渇させる、および/または濃縮するための方法である。本明細書に記載されたバイオマーカー(たとえば干渉物質)の特性評価には、本明細書に記載されたバイオマーカー(たとえば、本明細書に記載された干渉物質)の同定および/または定量が含まれる。
【0111】
(本発明の粒子)
本明細書に記載されるのは、生体サンプルの単離、枯渇、および/または濃縮のための粒子である。いくつかの実施形態では、粒子には、切断可能な結合および捕捉部位(たとえば、1つの捕捉部位を提示する機能がある粒子表面)が含まれる。いくつかの実施形態では、粒子には、切断不可能な結合および捕捉部位(たとえば、1つの捕捉部位を提示する機能がある粒子表面)が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子には、捕捉部位(たとえば、本明細書に記載されるバイオマーカーに高い特異性を有する捕獲部位)が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子(たとえば、本明細書に記載される粒子の表面、本明細書に記載される捕捉部位と結合していない粒子表面)は、不活性(たとえば、本明細書に記載のバイオマーカーへの有意な結合を示さない)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子は、粒子または診断試験にさらなる変更を加えることなく、本明細書に記載される診断試験において使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子は、サンプルを変化させることなく(たとえばさらなるバイオマーカー(たとえば干渉)を追加または除去することなく)、サンプルに添加したり、サンプルから除去したりすることができる。
【0112】
本明細書に記載される粒子は、平均直径が0.050マイクロメートル~最大3.00マイクロメートル、または好ましくは直径0.100マイクロメートル~1.1マイクロメートル、さらに好ましくは0.200マイクロメートル~0.600マイクロメートル、さらに好ましくは直径0.100マイクロメートル~0.500マイクロメートルであり、十分に小さい。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子(たとえば、マイクロ粒子、ナノ粒子)にはコアまたは支持体が含まれ、コアまたは支持体は、酸化鉄、強磁性酸化鉄、Fe、およびFe、マグヘマイト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される常磁性または超常磁性の材料である。
【0114】
いくつかの実施形態では、粒子の表面には、疎水性の有機重合体または共重合体が含まれる。いくつかの実施形態では、粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)の表面には、限定されないが、セラミック、ガラス、重合体、共重合体、金属、ラテックス、シリカ、金、銀、または合金等のコロイド状金属、ポリスチレン、誘導体化ポリスチレン、ポリ(ジビニルベンゼン)、スチレンアシル酸エステル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンジビニルベンゼン共重合体、ポリ(スチレンオキシエチレン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリグルタルアルデヒド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、熱分解物質、ブロック共重合体、および前述の共重合体、シリコーン、またはシリカ、メチロールメラミン、デキストランもしくはポリ(エチレングリコール)デキストラン(PEG-DEX)などの生分解性ポリマー、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される材料等の有機重合体または共重合体が含まれる。
【0115】
本明細書で使用される場合、「遮断剤」は、タンパク質、重合体、界面活性剤、洗浄剤、またはそれらの組み合わせをいう。いくつかの実施形態では、捕捉部位の本明細書に記載される粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)への結合は、タンパク質、重合体、界面活性剤、洗浄剤、またはそれらの組み合わせ等の遮断剤で遮断される。遮断剤は、アルブミン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、卵白アルブミン、ゼラチン、カゼイン、酸加水分解カゼイン、ガンマグロブリン、精製IgG、動物の血清、ポリクローナル抗体、およびモノクローナル抗体等のタンパク質、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等の重合体、タンパク質と重合体の組み合わせ、ペプチド、(PEO)n-NHSまたは(PEO)n-マレイミド等のPEG化試薬、プルロニック(登録商標)F108、F127、およびF68等のトリブロック共重合体等の重合体、Triton X-100、ポリソルベート20(Tween-20)、およびTween 80(非イオン性)等の非イオン性洗浄剤、CHAPS等の双性イオン洗浄剤、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、デオキシコール酸塩、コール酸塩、およびサルコシル等のイオン性洗浄剤、界面活性剤、ショ糖等の糖、および異好抗体遮断試薬(Scantibodies社)、MAK33(Roche Diagnostics社)、免疫グロブリン阻害試薬(IIR)(Bioreclamation社)、ヘテロブロック(Omega Biologicals社)、ブロックマスター(JSR社)、TRU Block(Meridian Life Sciences社)、ならびにStabilCoat(登録商標)およびStabilGuard(登録商標)(Surmodics社)等の市販の遮断剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、遮断剤は、本明細書に記載される粒子に結合している(たとえば、共有結合、非共有結合)。いくつかの実施形態では、遮断剤は、本明細書に記載される粒子に結合(たとえば、共有結合、非共有結合)していない。
【0116】
(切断可能な結合)
ある観点では、捕捉部位は本明細書に記載される切断可能な結合によってバイオマーカーに結合している。切断可能な結合は、共有結合または非共有結合を介してなされることができる。非共有結合の例には、親和性、イオン性、ファンデルワールス(たとえば、双極子/双極子またはロンドン力)、水素結合(たとえば、ポリヌクレオチド二重鎖間)、および疎水性相互作用が含まれる。結合が非共有結合である場合、物体間の結合は、好ましくは特異的である。特異的な非共有結合の非限定的な例には、ビオチンと、アビジン、キャプトアビジン、SA、ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、ニュートラアビジンの断片、またはそれらの混合物等のビオチン結合タンパク質との間の結合相互作用;ビオチン化Fab、ビオチン化免疫グロブリンもしくはその断片、ビオチン化小分子(たとえば、ホルモンまたは受容体のリガンド)、ビオチン化ポリヌクレオチド、ビオチン化巨大分子(たとえば、タンパク質、または天然もしくは合成重合体)の、アビジン、SA,ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、ニュートラアビジンの断片、またはそれらの混合物等のビオチン結合タンパク質への結合;酵素への基質の結合;糖タンパク質に特異的なレクチンへの糖タンパク質の結合;リガンドに特異的な受容体へのリガンドの結合;抗体が産生される抗原への抗体の結合;およびポリヌクレオチドと相補的または実質的に相補的なポリヌクレオチドとの間の二重鎖形成等が含まれる。
【0117】
ジスルフィド結合(R-S-S-R)等の切断可能な結合は、捕捉部位(すなわち、SH-Fab等の抗体または抗体断片)を粒子に固定または捕捉させるために使用される。サンプルマトリックスから粒子を洗浄または単離した後、粒子をTCEPまたはDTT等の還元剤を含む溶液で処理してジスルフィド結合を切断し、捕捉部位-バイオマーカー複合体を溶液中に放出することができる。粒子は早急(2分未満、理想的には30秒未満)にサンプル装置(バイアル、試験管、他)の側面および/または底面に単離して、本質的に粒子を含まないサンプル上清を形成することができる。粒子を含まないサンプル上清は、その後、粒子を含むペレットを崩すことなく吸引し、別のトランスファーチューブに分注、または捕捉部位-バイオマーカー複合体を試験するために、直接、分析系(すなわち、LC-MS/MSもしくはMALDI-TOF、またはFilmArray血液培養パネル等の分子診断)に入れることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、切断可能な結合はジスルフィド結合(R-S-S-R)である。
【0119】
いくつかの実施形態では、切断可能な結合は、ストレプトアビジン、キャプトアビジン、またはアビジンと、ビオチンの間の非共有結合である。
【0120】
(捕捉部位)
本明細書に記載されるのは、本明細書に記載されるような干渉物質、または本明細書に記載されるようなバイオマーカーと結合する1種の捕捉部位を含む粒子である。本明細書に記載されるように、「捕捉部位」は、抗体、抗体の結合断片、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD、受容体、受容体のリガンド、ホルモン、ホルモンの受容体、酵素、酵素の基質、一本鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖ポリヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖ポリヌクレオチド、抗原、ペプチド、ポリマー、アプタマー、およびタンパク質からなる群から選択される。
【0121】
いくつかの実施形態では、捕捉部位はタンパク質である。タンパク質は、たとえば、一量体、二量体、多量体、または融合タンパク質であり得る。特定の実施形態では、タンパク質には、たとえば抗体、抗体の断片、BSA、卵白アルブミン、BSAの断片、卵白アルブミンの断片、マウスIgG、重合マウスIgG、標的HAMAおよびRF干渉メカニズムに対する抗体断片(Fc、Fab、F(ab’)2)および異なるサブクラスのマウスIgG(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgE、IgD)、標的HAAA干渉に対する精製した動物ポリクローナル抗体(すなわち、ウシ、ヤギ、マウス、ウサギ、ヒツジ)、ストレプトアビジン、ALP、HRP、標的MASI干渉に対するBSA(イソルミノール、ルテニウム、アクリジニウムとのコンジュゲート)等の少なくとも1種のアルブミンまたはそれらの混合物が含まれる。
【0122】
いくつかの実施形態では、捕捉部位はヒト抗動物抗体(たとえば、マウスIgG、ヒツジIgG、ヤギIgG、ウサギIgG、ウシIgG、ブタIgG、ウマIgG)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は異好抗体(たとえば、FR(Fc特異的)、Fab、F(ab)’2、重合IgG(1、2a、2b型IgGおよびIgG断片、血清成分)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はアッセイ特異的な結合剤(たとえば、ビオチン、フルオレセイン、抗フルオレセインポリ/Mab、抗ビオチンポリ/Mab、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はアッセイ特異的な単一分子(たとえば、HPR、ALP、アクリジニウムエステル、イソルミノール/ルミノール、ルテニウム、ABEI/環状ABEI)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はアッセイ特異的な遮断剤(たとえば、BSA、魚皮ゼラチン、カゼイン、卵白アルブミン、PVP、PVA)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はアッセイ特異的な結合リンカー(たとえば、LC、LC-LC、PEO4、PEO16)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は抗原自己抗体(たとえば、遊離T3、遊離T4)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位はタンパク質自己抗体(たとえば、MTSH、TnI、TnT、非心臓性TnT(骨格筋疾患))である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は化学発光基質(たとえば、ルミノール、イソルミノール、イソルミノール誘導体、ABEI、ABEI誘導体、ルテニウム、アクリジニウムエステル)、または蛍光標識(たとえば、フルオレセインまたは他の蛍光色素分子、および染色剤)である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、ポリA、ポリDT、アプタマー、抗体、Fab、F(ab)’2、抗体断片、組み換えタンパク質、酵素、タンパク質、生体分子、重合体、または分子インプリント重合体である。いくつかの実施形態では、捕捉部位は、ビオチン、フルオレセイン、ポリDT、ポリA、抗原等である。
【0123】
いくつかの実施形態では、捕捉部位はビオチンに結合する(たとえば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、キャプトアビジン、抗ビオチン抗体、抗体断片、アプタマー、分子インプリントポリマー等)。
【0124】
少なくとも1つの実施形態では、本発明は結合表面に2種以上の異なる捕捉部位を提供する。
【0125】
(捕捉部位の生成)
ある観点では、提供されるのは、遊離自己抗体または自己抗体複合体に対する複合体特異的、または構造特異的な抗体を産生または生成することを含む、捕捉部位を製造する方法である。遊離自己抗体は、まだ抗原標的と複合体化していない自己抗体である。複合自己抗体は、抗原標的と複合体を形成している自己抗体である。
【0126】
ある観点では、提供されるのは、MTSH等の自己抗体複合体に対する複合体特異的、または構造特異的な抗体を産生または生成することを含む、捕捉部位を製造する方法である。いくつかの実施形態では、自己抗体はトリヨードチロニン(T3)またはチロキシン(T4)である。いくつかの実施形態では、自己抗体複合体はMTSHである。たとえば、複合体特異的または構造特異的な抗体は、MTSH等の自己抗体複合体に産生され、ヒト血清から精製することができ、捕捉部位として使用することができる。このようにして、抗体は、hIgGまたはhIgMとTSHの複合体に対してのみ特異性を有するであろう。MTSHは、技術および公表された方法に基づいて、またはタンパク質生化学および精製の分野の当業者によって精製することができる。いくつかの実施形態では、自己抗体アッセイの干渉の可能性が最も高い自己免疫疾患患者は、自己抗体を産生または生成するために使用される。たとえば、その全体が引用される参考文献である国際公開第2014114780号、国際公開第2016113719号、および国際公開第2016113720号のBNPのためのHyTest SESアッセイを参照。
【0127】
(甲状腺特異的な抗体)
たとえば、ある実施形態では、自己抗体は、抗甲状腺自己抗体(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、サイロトロピン受容体抗体、サイログロブリン抗体)である。抗甲状腺自己抗体は、甲状腺の1以上の構成要素を標的とする自己抗体標的である。
【0128】
いくつかの実施形態では、自己抗体は遊離自己抗体(たとえばサイロトロピン(TSH))である。
【0129】
いくつかの実施形態では、自己抗体は複合自己抗体(たとえばMTSH)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される捕捉部位は、複合自己抗体に対する特異性、またはMTSH等の抗原標的に既に結合しているhIgGおよび/またはhIgMに対する構造特異性を備えて生成される抗体である。
【0130】
以下に示すのは、アフィニティアッセイが設計される用途に応じて、分析物の結合剤(捕捉部位)と分析物からなる結合対の一方のメンバーとして、または他方のメンバーとして機能し得る物質の非限定的なリストである。このような物質は、たとえば捕捉部位(分析物の結合剤)として使用することができ、または本発明で使用することができる捕捉部位を生成するために使用することができる(たとえば、特異的な抗体を生成するためのハプテン/抗原としての使用による)。イムノアッセイを含むアフィニティアッセイは、サンプル中の分析物であるそのような物質の存在および/または濃度を検出するために、本発明に従って設計することができる。特定の実施形態では、分析物に結合する本発明の捕捉部位は、サンプル中の分析物としてのこれらの物質を検出するために使用することができる。あるいは、以下にリストアップする物質は、本発明に従って固相支持体表面に関連づけられ、それらと相互作用する捕捉分子(たとえば、リストアップした物質に特異的な抗体もしくはその断片、結合タンパク質、または酵素等)を捕捉するために使用することができる。
【0131】
分析物の結合剤(捕捉部位)と分析物からなる結合対の一方のメンバーとして、または他方のメンバーとして機能し得る物質の非限定的なリストには、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、CA19-9、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-t、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、sIL-2R、sIL-4R、sIL-6R、SIVコア抗原、IL-1RA、TNF-α、IFN-ガンマ、GM-CSF;PSA、pPSA、BPSA、inPSA、非α抗キモトリプシン複合型PSA、α抗キモトリプシン複合型PSA等のPSA(前立腺特異抗原)、hK2、hK4、およびhK15、ek-rhK2、Ala-rhK2、TWT-rhK2、Xa-rhK2、HWT-rhK2、ならびに他のカリクレイン等の前立腺カリクレインのイソ型;HIV-1p24;フェリチン、Lフェリチン、トロポニンI、BNP、レプチン、ジゴキシン、ミオグロビン、B型ナトリウム利尿ペプチドまたは脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP、CNP、N末端プロCNP(1-50)、N末端CNP-53(51-81)、CNP-22(82-103)、CNP-53(51-103)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP);ヒト成長ホルモン、骨型アルカリホスファターゼ、ヒト卵胞刺激ホルモン、ヒト黄体ホルモン、プロラクチン;ヒト絨毛性ゴナドトロフィン(たとえば、CGα、CGβ);可溶性ST2、サイログロブリン;抗サイログロブリン;IgE、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、炭疽菌(B.anthracis)防御抗原、炭疽菌(B.anthracis)致死因子、炭疽菌(B.anthracis)胞子抗原、野兎病菌(F.tularensis)LPS、黄色ブドウ球菌(S.aureus)エンテロトキシンB、ペスト菌(Y.pestis)莢膜F1抗原、インスリン、アルファフェトプロテイン(たとえば、AFP300)、癌胎児性抗原(CEA)、CA15.3抗原、CA19.9抗原、CA125抗原、HAV Ab、HAV Igm、HBc Ab、HBc Igm、HIV1/2、HBsAg、HBsAb、HCV Ab、抗p53、ヒスタミン;ネオプテリン;s-VCAM-1、セロトニン、sFas、sFasリガンド、sGM-CSFR、s1CAM-1、チミジンキナーゼ、IgE、EPO、内因子Ab、ハプトグロブリン、抗カルジオリピン、抗dsDNA、抗Ro、Ro、抗La、抗SM、SM、抗nRNP、抗ヒストン、抗Scl-70、Scl-70、抗核抗体、抗セントロメア抗体、SS-A、SS-B、Sm、U1-RNP、Jo-1、CK、CK-MB、CRP、虚血変性アルブミン、HDL、LDL、oxLDL、VLDL、トロポニンT、トロポニンI、トロポニンC、微量アルブミン、アミラーゼ、ALP、ALT、AST、GGT、IgA、IgG、プレアルブミン、抗ストレプトリジン、クラミジア、CMV IgG、トキソIgG、トキソIgM、アポリポタンパク質A、アポリポタンパク質B、C3、C4、プロパージン因子B、アルブミン、α-酸性糖タンパク質、α-アンチトリプシン、α-マイクログロブリン、α-マイクログロブリン、抗ストレプトリジン-O、アンチトロンビンIII、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、β-マイクログロブリン、セルロプラスミン、補体成分C3、補体成分C4、C反応性タンパク質、DNaseB、フェリチン、遊離カッパL鎖、遊離ラムダL鎖、ハプトグロビン、免疫グロブリンA、免疫グロブリンA(CSF)、免疫グロブリンE、免疫グロブリンG、免疫グロブリンG(CSF)、免疫グロブリンG(尿)、免疫グロブリンGサブクラス、免疫グロブリンM、免疫グロブリンM(CSF)、カッパL鎖、ラムダL鎖、リポタンパク質(a)、微量アルブミン、プレアルブミン、プロパージン因子B、リウマチ因子、フェリチン、トランスフェリン、トランスフェリン(尿)、風疹IgG、サイログロブリン抗体、トキソプラズマIgM、トキソプラズマIgG、IGF-I、IGF結合タンパク質(IGFBP)-3、ヘプシン、pim1キナーゼ、Eカドヘリン、EZH2、a-メチルアシルCoAラセマーゼ、TGFベータ、IL6SR、GAD、IA-2、CD-64、好中球CD-64、CD-20、CD-33、CD-52、シトクロムP450のイソ型、s-VCAM-1、sFas、sICAM、B型肝炎表面抗原、トロンボプラスチン、HIVp24、HIVgp41/120、HCVC22、HCVC33、ヘモグロビンA1c、GAD65、IA2、ビタミンD、25-OHビタミンD、1、25(OH)2ビタミンD、24、25(OH)2ビタミンD、25、26(OH)2ビタミンD、ビタミンDの3エピマー、FGF23、スクレロスチン、プロカルシトニン、カルシトニン、クロストリディオイデス・ディフィシル(C.difficile)トキシンAおよびB、ヘリコバクター・ピロリ(h.pylori)、HSV1、HSV2が含まれる。
【0132】
アフィニティアッセイが設計される用途に応じて、分析物の結合剤(捕捉部位)と分析物からなる結合対の一方のメンバーとして、または他方のメンバーとして機能することができ、本発明で使用し得る適切な物質には、たとえば抗体またはその断片のような、生物学的基準のためのWHO国際研究所によって保持され、特性評価され、および/または配布されているWHO国際生物学的参照物質(2005年6月30日に更新され、当技術分野でよく知られている物質をリストアップしたhttp:/www.who.int/bloodproducts/re_materialsで入手可能であり、これは参照によって本明細書に援用される)のいずれかに特異的な部位が含まれる。
【0133】
物質に続く括弧内のWHOコードによって特定される、そのような適切な国際標準の部分的なリストには:ヒト組み換えトロンボプラスチン(rTF/95)、ウサギトロンボプラスチン(RBT/90)、甲状腺刺激抗体(90/672)、ヒト組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(98/714)、高分子ウロキナーゼ(87/594)、前立腺特異抗体(96/668)、前立腺特異抗体90:10(96/700);ヒト血漿タンパク質C(86/622)、ヒト血漿タンパク質S(93/590)、リウマチ関節炎血清(W1066)、血清アミロイドAタンパク質(92/680)、ストレプトキナーゼ(00/464)、ヒトトロンビン(01/580)、ウシ組み合わせトロンボプラスチン(OBT/79)、抗D陽性対照静注用免疫グロブリン(02/228)、島細胞抗体(97/550)、リポタンパク質a(IFCC SRM2B)、ヒトパルボウイルスB19DNA(99/800)、ヒトプラスミン(97/536)、ヒトプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤1(92/654)、血小板第4因子(83/505)、プレカリクレインアクチベーター(82/530)、ヒト脳CJDコントロールおよびヒト脳散発性CJD調製物1およびヒト脳散発性CJD調製物2およびヒト脳変異体CJD(なし;それぞれWHO TRS ECBS報告書No.926、53sup.rd報告書、脳ホモジネートに引用)、C1q、C4、C5、因子B、および全機能補体CH50を含むヒト血清補体成分(W1032)、ヒト血清免疫グロブリンE(75/502)、ヒト血清免疫グロブリンG、A、およびM(67/86)、ヒト血清タンパク質アルブミン、アルファ1-アンチトリプシン、アルファ2-マクログロブリン、セルロプラスミン、補体成分C3、トランスフェリン(W1031)、抗D陰性対照静注用免疫グロブリン(02/226)、A型肝炎RNA(00/560)、B型肝炎表面抗原サブタイプadw2遺伝子型A(03/262および00/588)、B型肝炎ウイルスDNA(97/746)、C型肝炎ウイルスRNA(96/798)、HIV-1 p24抗原(90/636)、HIV-1RNA(97/656)、HIV-1RNA遺伝子型(10 I01/466のセット)、ヒトフィブリノーゲン濃縮物(98/614)、ヒト血漿フィブリノーゲン(98/612)、上昇A2ヘモグロビン(89/666)、上昇Fヘモグロビン(85/616)、ヘモグロビンシアン化物(98/708)、低分子ヘパリン(85/600および90/686)、未分画ヘパリン(97/578)、血液凝固因子VIIIおよびフォン・ヴィルブランド因子(02/150)、ヒト血液凝固因子VIII濃縮物(99/678)、ヒト血液凝固因子XIII血漿(02/206)、ヒト血液凝固因子II、VII、IX、X(99/826)、ヒト血液凝固因子IIおよびX濃縮物(98/590)、ヒト癌胎児性抗原(73/601)、ヒトC反応性タンパク質(85/506)、組み換えヒトフェリチン(94/572)、アポリポタンパク質B(SP3-07)、ベータ2マイクログロブリン(B2M)、ヒトベータトロンボグロブリン(83/501)、ヒト血液凝固因子IX濃縮物(96/854)、ヒト血液凝固因子IXa濃縮物(97/562)、ヒト血液凝固因子Vライデン、ヒトgDNAサンプルFV野生型、FVLホモ接合体、FVLヘテロ接合体(03/254、03/260、03/248)、ヒト血液凝固因子VII濃縮物(97/592)、ヒト血液凝固因子VIIa濃縮物(89/688)、ヒト抗梅毒血清(HS)、ヒト抗破傷風免疫グロブリン(TE-3)、ヒト抗トロンビン濃縮物(96/520)、ヒト血漿抗トロンビン(93/768)、ヒト抗サイログロブリン血清(65/93)、抗トキソプラズマ血清(TOXM)、ヒト抗トキソプラズマ血清(IgG)(01/600)、ヒト抗水痘帯状疱疹免疫グロブリン(W1044)、アポリポタンパク質A-1(SP1-01)、ヒト抗インターフェロンベータ血清(G038-501-572)、ヒト抗はしか血清(66/202)、抗核リボ核タンパク質血清(W1063)、抗核内因子(均質)血清(66/233)、抗パルボウイルスB19(IgG)血清(91/602)、1、2、3型抗パルボウイルス血清(66/202)、ヒト抗狂犬病免疫グロブリン(RAI)、ヒト抗風疹免疫グロブリン(RUBI-1-94)、抗平滑筋血清(W1062)、ヒト抗二本鎖DNA血清(Wo/80)、ヒト抗E完全血液型別血清(W1005)、ヒト抗エキノコックス血清(ECHS)、ヒト抗A型肝炎免疫グロブリン(97/646)、ヒト抗B型肝炎免疫グロブリン(W1042)、ヒト抗E型肝炎血清(95/584)、抗ヒト血小板抗原1a(93/710)、抗ヒト血小板抗原5b(99/666)、ヒト抗インターフェロンアルファ血清(B037-501-572)、ヒトアルファフェトプロテイン(AFP)、アンクロッド(74/581)、ヒト抗A血液型別血清(W1001)、ヒト抗B血液型別血清(W1002)、ヒト抗C完全血液型別血清(W1004)、抗D(抗Rh0)完全血液型別血清(99/836)、ヒト抗D(抗Rh0)不完全血液型別血清(W1006)、およびヒト抗D免疫グロブリン(01/572)が含まれる。
【0134】
アフィニティアッセイが設計される用途に応じて分析物の結合剤(捕捉部位)と分析物からなる結合対の一方のメンバーとして、または他方のメンバーとして機能し得る適切な物質の他の例には、化合物を認識することができる抗体を生成するためにハプテンとして使用することができる化合物が含まれ、限定されないが、以下:限定されないが、プロゲステロン、エストロゲン、テストステロン、プロゲスチン、副腎皮質ステロイド、およびデヒドロエピアンドロステロンを含むホルモン、および、WHOにより国際参照標準としてリストアップされている非タンパク質/非ポリペプチド抗原の任意の塩、エステル、またはエーテルが含まれる。物質に続く括弧内のWHOコードによって特定される、そのような適切な国際参照標準の部分的なリストには、ビタミンB12(WHO81.563)、葉酸塩(WHO95/528)、ホモシステイン、トランスコバラミン、T4/T3、および参照により本明細書に援用されるWHOの国際生物学的参照物質のカタログ(WHOのウェブ、たとえば2005年6月30日に更新されたhttp://www.who.int/bloodproducts/ref_materials/のページで入手可能)に記載の他の物質が含まれる。本明細書に記載される方法および組成物は、前述のWHO参照標準または参照標準を含む混合物を含むことができる。
【0135】
アフィニティアッセイが設計される用途に応じて分析物の結合剤(捕捉部位)と分析物からなる結合対の一方のメンバーとして、または他方のメンバーとして機能し得る物質の他の例には、乱用薬物が含まれる。乱用薬物には、たとえば、以下の薬剤のリスト:ヘロイン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、デメロール、メタドン、ダーボン、スタドール、タルウィン、パレゴリック、ブプレネックス;たとえば、アンフェタミン、メタンフェタミン等の覚醒剤;メチルアンフェタミン、エチルアンフェタミン、メチルフェニデート、エフェドリン、プソイドエフェドリン、エフェドラ、麻黄、メチレンジオキシアンフェタミン(MDS)、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン;アミフェナゾール、ベミグリド、ベンズフェタミン、ブロマタン、クロルフェンテルミン、クロプロパミド、クロテタミド、ジエチルプロピオン、ジメチルアンフェタミン、ドキサプラム、エタミバン、フェンカムファミン、メクロフェノキサート、メチルフェニデート、ニケタミド、ペモリン、ペンテトラゾール、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピクロトキシン、ピプラドール、プロリンタン、ストリキニーネ、シネフリン、フェンシクリジン、およびエンジェルダスト、PCP、ケタミン等の類似体;たとえばバルビツール酸塩、グルテチミド、メタカロン、およびメプロバメート、メトヘキシタール、チアミル、チオペンタール、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、ブタルビタール、ブタバルビタール、タルブタール、およびアプロバルビタール、フェノバルビタール、メホバルビタールなどの抗うつ剤;たとえばエスタゾラム、フルラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ミダゾラム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、クロナゼパム、フルニトラゼパムなどのベンゾジアザペン;ガンマヒドロキシル酪酸およびガンマブチロラクトン等のGBH薬;グルテチミド、メタカロン、メプロバメート、カリソプロドール、ゾルピデム、ザレプロン;テトラヒドラカンナビノールおよび類似体等のカンナビノイド薬;コカイン、3-4メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA);たとえばメスカリンおよびLSD等の幻覚剤、ならびにそれらの代謝物(たとえば、血中、尿中、および他の生体物質中に存在する代謝物)、ならびにそれらの任意の塩、エステル、またはエーテルが含まれる。
【0136】
(実施例)
(実施例1:高用量のビオチン摂取後のビオチン干渉の枯渇)
内因性(非スパイク)のビオチンサンプルを連続的に採集した。ベースラインの血清サンプルは、明らかに健康な5の成人ボランティア(男性4、女性1)からBDブランドのVacutainer(商標)10mL赤トップチューブを用いた結膜下静脈採血で採集した。各ボランティアは、その後、20mg用量のビオチン(4×5mg、Finest Nutrition Biotin 5000 mcg Strawberry、速溶性、商品番号938508、Walgreensにより販売)を摂取した。ビオチン摂取後1、3、6、8、24時間で血清サンプルを採集した。血液をRTで1時間凝結させ、BeckmanのAllegra6R卓上遠心機で、2000rpmで15分間遠心分離した。各時点について、各ボランティアからの血清サンプルをプールし、RTで15分間混合し、2mLのクライオバイアル中の1.2mLのアリコートに分注し、-80℃で凍結した。
【0137】
ビオチン代謝物は、遊離ビオチンELISAを使用して連続採集サンプル中のビオチン濃度を測定することにより決定した。ビオチン血清サンプルは、ImmundiagnostikのIDK(登録商標)Biotin ELISA kit(品番K8141、ロット番号180906、48.1~1100pg/mLの範囲を測定)により試験した。キットの測定範囲を超えるサンプルは、キットのサンプル希釈バッファーで希釈した。ビオチン摂取後1、3、6、8時間で採集したサンプルは、50,000~500,000pg/mLの範囲であると仮定し、1:1000に希釈した。ビオチン摂取の24時間後に採集したサンプルは、20,000pg/mL付近またはそれ未満であると仮定し、1:20に希釈した。サンプルはELISAキットのプロトコールに従って試験され、ビオチン濃度は、20mgのビオチンを摂取後8時間(60~107ng/mL、n=5)および24時間(24~32ng/mL、n=4)でもまだ有意に上昇していた。
【0138】
【表1】
【0139】
高濃度の内因性ビオチン(370または550ng/mL)は、ストレプトアビジンで被覆された超常磁性ナノ粒子(VERAPREP Biotin試薬)を使用して、200μLの血清を1.5mLマイクロ遠心チューブに加え、20μLのVERAPREP Biotin試薬を加え、10分間サンプルを穏やかに混合/揺動し、10分間Dexter LifeSep(登録商標)1.5Sを使用してVERAPREP Biotin試薬を磁気的に分離し、磁性粒子を崩さないように慎重に血清を吸引し、遊離ビオチンELISAを使用して血清サンプルを試験することにより、連続採集血清サンプルから枯渇させた。
【0140】
第1の研究では、同じ高濃度ビオチン(370ng/mL)の内因性血清サンプルの異なるアリコートにVERAPREP Biotin試薬を増量(mg)して加え、サンプル中の遊離ビオチンを100%枯渇させるために必要な試薬の量を決定した。20μLのVERAPREP Biotin試薬(直径230nm、ビーズ1mgあたり32μgのストレプトアビジン)を、20mgのビオチン摂取後1時間で採集した血清の各200μLのアリコートに加え、室温で10分間穏やかに転倒混和することにより混合し、10分間Dexter LifeSep1.5S磁石を使用して磁気的に分離した。175μLの血清上清を慎重に吸引し、Immundiagnostik IDK(登録商標)Biotin ELISA kit(品番K8141、ロット番号180906)により測定し、キットの測定範囲を超えるサンプルはキットのサンプル希釈バッファーで希釈した。230nmのVERAPREP Biotin試薬は、単純な20分間の工程、200μLのサンプル、およびわずか0.39mg試薬を使用して、100%の遊離ビオチンを首尾よく枯渇させた(図5)。
【0141】
第2の研究では、同じ高濃度ビオチン(550ng/mL)の血清サンプルの異なるアリコートに2つの異なるVERAPREP Biotin試薬を増量(mg)して加え、サンプル中の遊離ビオチンを100%枯渇させるために必要な各試薬の量を決定した。20μLの230nmVERAPREP Biotin試薬(ビーズ1mgあたり32μgのストレプトアビジン)、または20μLの550nmVERAPREP Biotin試薬(ビーズ1mgあたり4μgのストレプトアビジン)を、50mgのビオチン摂取後1時間で採集した血清サンプルの各200μLのアリコートに加え、室温で10分間穏やかに転倒混和することにより混合し、10分間Dexter LifeSep1.5S磁石を使用して磁気的に分離した。175μLの血清上清を慎重に吸引し、Immundiagnostik IDK(登録商標)Biotin ELISA kit(品番K8141、ロット番号180906)により測定し、キットの測定範囲を超えるサンプルはキットのサンプル希釈バッファーで希釈した。230nmのVERAPREP Biotin試薬は、単純な20分間の工程、200μLのサンプル、およびわずか0.75mg試薬を使用して、100%の遊離ビオチンを首尾よく枯渇させ、一方、550nmのVERAPREP Biotin試薬は、1.86mgの試薬で89%の遊離ビオチンを枯渇させただけであった。これらの結果は、VERAPREP Biotin試薬の結合能力および結合効率は、より小さいビーズ径で単位量あたりの表面積を増加させ、ビーズ1mgあたりのストレプトアビジンの量およびビオチン結合能力を増加させること、および/またはVERAPREP Biotin試薬の濃度もしくは量(mg)を増加させることにより改善することを示す(図6)。
【0142】
(実施例2:血清サンプル中の高濃度の遊離ビオチンを結合させ、枯渇させるために最適化されたサンプル前処理試薬を使用したビオチン干渉枯渇)
6人のボランティア(25~46歳の明らかに健康な成人が5人、65歳の2型糖尿病が1人)は、ベースラインの空腹時血清サンプルを肛門前静脈採血によりBDブランドのVacutainer(商標)10mL赤トップチューブに採集した。各ボランティアはその後、20mg、100mg、または200mgの処方箋なし(OTC)ビオチンを摂取した。20mg用量では、血清サンプルはビオチン摂取後1、3、6、8、および24時間で採集した。100および200mg用量では、血清サンプルはビオチン摂取後1、6、および24時間で採集した。血液をRTで1時間凝固させ、BeckmanのAllegra6R卓上遠心機で、2000rpmで15分間遠心分離した。各時点および各ビオチン用量について、各ボランティアからの血清サンプルをプールし、RTで15分間混合し、2mLのクライオバイアル中の1.2mLのアリコートに分注し、-80℃で凍結した。すべてのサンプルは、LC-MS/MSでのビオチン測定のために、98195WAシアトル パシフィックストリート NE1959のワシントン大学臨床検査医学部に送られた。20mg用量では、ビオチン濃度は1時間で最も高く(96~179ng/mL)、6時間では5人のすべてのボランティアの血清ビオチン濃度はまだ15ng/mL超(17~35)であり、8時間後では5人のうち4人のボランティアの血漿ビオチン濃度は15ng/mL超(16~28)であり、24時間では既知の2型糖尿病であるボランティア1のビオチン濃度は15ng/mL超(18)であった(図7)。
【0143】
100および200mg用量では、ビオチン濃度は1時間で、100mg用量では294~459ng/mL、200mg用量では610~861ng/mLと最も高かった。6時間では、20mgまたは100mgのビオチンを摂取したボランティアの血清ビオチン濃度は、20mg用量では17~35ng/mLで15ng/mL超であり、200mg用量では95~347ng/mLであった。24時間では、100mgのビオチンを摂取した2人のボランティアのビオチン濃度は15ng/mL超であり、既知の糖尿病のボランティア1は84ng/mL、ボランティア6は54ng/mLであった(図8)。
【0144】
4のサンプルを高内因性ビオチン濃度(294~861ng/mL)として選択し、LC-MS/MSで測定した(図9)。ベースラインの血清サンプルは、PTH Intact ELISA(DRG PTH Intact ELISA、品番EIA-3645)により試験し、PTH結果は28.1pg/mL~50.3pg/mLの範囲の値であった。ビオチン摂取後1時間のすべてのサンプルのPTHは1.57pg/mL未満、または検出下限を下回っていた(LLD)(図10)。
【0145】
4つのサンプルはすべて、ストレプトアビジンで被覆された最適化された550nmの超常磁性ナノ粒子(VeraPrep Biotin)で前処理をした。以下のプロトコールを用いて、LC-MS/MSでビオチン濃度が500ng/mL未満であったサンプル1および4は0.5mLの試薬で前処理をし、LC-MS/MSでビオチン濃度が500ng/mL超であったサンプル2および3は1.5mLの試薬で前処理をした。
1. 保管場所からVERAPREP Biotinバイアルを取り出し、中速で最低10秒間ボルテックスしてよく混合し、試薬を再懸濁させる。
2. 試薬バイアルをフォームバイアルホルダーに挿入する。
3. 空のマイクロチューブ 2ml(SARSEDT、注文番号72.694)をLifeSep(登録商標)1.5S磁石に、チューブの首部分が磁石フレームに接触するまで挿入する。
4. よく混合した試薬の200μL(0.5mg)または600μL(1.5mg)を空のチューブに分注し、磁石上の試薬を30秒以上分離して試薬ペレットを形成する。
5. すべての保存バッファー上清(約200μLまたは約600μL)を、試薬ペレットを崩さずに慎重に吸引して廃棄する。
6. 400μLのよく混合した血清または血漿サンプルを、試薬ペレットが入ったチューブに分注する。
7. チューブのキャップのネジを締め、磁石からチューブを外し、中速で最低10秒間ボルテックスしてよく混合し、試薬をサンプルに再懸濁させる。
8. チューブを実験用ミキサーに中速で置き、室温で10分間インキュベートする。
9. ネジキャップを緩め、チューブの首部分が磁石フレームに接触するまで、チューブを磁石に挿入する。
10. 4分間超かけて試薬を磁気的に分離して、試薬ペレットを形成する。
11. 試薬ペレットを崩さずにサンプル上清を慎重に吸引し、検査用のトランスファーチューブにサンプルを分注する。注:このステップを慎重に行えば、サンプル上清(約400μL)をすべて吸引することができる。試薬を誤って吸引してしまった場合は、単純にサンプル/試薬混合物をチューブに戻し、ステップ10に戻る。
12. サンプルは試験の準備ができている。
【0146】
ビオチン干渉が除去されたことを確かめるために、VeraPrep Biotinで前処理したサンプルは、ImmundiagnostikのIDK(登録商標)Biotin ELISA kit(品番K8141、48.1~1,100ng/Lの範囲を測定)を使用して試験した。ビオチン濃度は、0.2~1.0ng/mLの範囲、または正常な血漿濃度以内(200~1,200ng/L)であった(図9)。サンプル1~4をVeraPrep Biotinで前処理した後すぐに、PTH Intact ELISAを使用してPTH値を測定し、PTH値は26.7~52.0pg/mLの範囲であった(図10)。
【0147】
ビオチン摂取後1時間のサンプルでは、LC-MS/MS でビオチン干渉が高レベル(294~861ng/mL)で、PTH Intact ELISA で検出不可能な PTH 値(1.57pg/mL未満)であり、一方、VeraPrep Biotinで前処理したビオチン摂取後1時間のサンプルは、ビオチンELISAキットで生理学的に正常なビオチン値(1.1ng/mL未満)を示し、PTH Intact ELISAで正常なPTH値(26.7~52.0pg/mL)を示した(図9および10)。VeraPrep Biotinで前処理したサンプルのPTH値をベースラインPTH値と比較すると、結果は95%~113%回収(平均105%回収)した(図10)。VeraPrep Biotinでのサンプル前処理後の試験結果における有意な差、またはPTH Intact ELISAサンドイッチイムノアッセイにおけるPTH値の有意な増加から、試験された4つのサンプルすべてにおいてビオチン干渉が臨床的に有意であったことが確認された。
【0148】
(実施例3:少量のバイオマーカー濃縮)
40mLのPBS中の非常に低濃度のバイオマーカー(0.0195μIU TSH/mLまたは0.497pg PTH/mL)は、ストレプトアビジンで被覆された550nmの超常磁性ナノ粒子を使用して濃縮し、その後、ビオチン化抗TSH抗体(VERAPREP Concentrate TSH試薬)またはビオチン化抗PTHモノクローナル抗体(VERAPREP Concentrate PTH試薬)で被覆した。
【0149】
第1の研究では、550nmのVERAPREP Biotinをビオチン化抗TSH捕捉抗体で被覆することによりVERAPREP Concentrate TSH試薬を調製した。0.08mLのTSH抗原(10μIU/mL、ELISA校正用)を、41mL PBSバッファーで、DRG TSH Ultrasensitive ELISA(品番EIA-1790、ロット番号RN58849)の機能感度未満(0.054μIU/mL未満)である0.0195μIU/mLに希釈し、1mLをベースラインサンプル(濃縮前)として保存した。40mLのサンプルをVERAPREP Concentrate TSHのプロトコールを用いて処理し、その後のTSH ELISA試験用に1.0 mLの濃縮サンプルを作製した。
【0150】
10μIU/mLのTSH標準液80μLを41.0mLのPBSで0.0195μIU/mLに希釈し、ベースラインサンプルとして1.0mLを保存する(濃縮前)。
1. 10μIU/mL TSH標準液80μLを1.0mLのVERAPREP Cleave as Controlで0.80μIU/mLに希釈する。
2. PBS中の0.0196μIU/mL TSH 40μLを50mLファルコンチューブに加える。
3. VERAPREP Concentrate TSH混合物を加える。
4. 室温で60分間混合しながらインキュベートする。
5. Dexter LifeSep(登録商標)50SXを使用して、60分間VERAPREP Concentrate TSHを磁気的に分離する。
6. 40mLのPBSをデカンテーションして廃棄する。
7. 4.0mLのPBS洗浄バッファーを加え、混合する。
8. Dexter LifeSep(登録商標)50SXを使用して、30分間、4mLのPBS洗浄バッファー中のVERAPREP Concentrate TSHを磁気的に分離する。
9. 4mLのPBSをデカンテーションして廃棄する。
10. 1mLのPBS洗浄バッファーを加え、混合する。
11. 1mLのVERAPREP Concentrate TSHを、1.75mLのコニカル底のスナップキャップバイアルに移す。
12. Dexter LifeSep(登録商標)1.5Sを使用して、10分間、1mLのPBS洗浄バッファー中のVERAPREP Concentrate TSHを磁気的に分離する。
13. 1mLのPBSを吸引して廃棄する。
14. 1mLのVERAPREP Cleaveを加え、混合する。
15. Dexter LifeSep(登録商標)1.5Sを使用して、10分間、1mLのVERAPREP Cleave中のVERAPREP Concentrate TSHを磁気的に分離する。
16. 1mLの上清(濃縮サンプル)を吸引して保存し、対照、ベースラインサンプル、および濃縮サンプルを試験した。
【0151】
0.08mLのTSH抗原(10μIU/mL、ELISA校正用)も、対照としてVERAPREP Cleave buffer1mLで0.800μIU/mLに希釈した。ベースラインサンプル、濃縮サンプル、対照をDRG TSH Ultrasensitive ELISAで測定し、濃縮サンプルのTSH回収率を[濃縮サンプルの結果]/[対照の結果]×100%として算出した。予想通り、希釈したTSHベースラインサンプルはUltrasensitive ELISA では検出されず、0.00μIU/mLと表示された。わずか0.80mgの試薬を使用して、VERAPREP Concentrate TSHは、希釈したTSHを、検出不可能な状態から0.73μIU/mLまで濃縮することに成功した(表2)。対照と比較して98.6%の回収率であったが、TSH ELISAにおけるVERAPREP Cleaveバッファーのマトリックス効果によりアッセイシグナルが抑制された可能性がある(表3)。
【0152】
【表2】
【0153】
【表3】
【0154】
第2の研究では、550nm VERAPREP Biotinをビオチン化抗PTH捕捉部位で被覆することにより、VERAPREP Concentrate PTH試薬を調製した。0.021mLのPTH抗原(971pg/mL、ELISA校正用)も、DRG PTH(Parathyroid)Intact ELISA(品番EIA-3645、ロット番号2896)の機能感度未満(1.56pg/mL未満)の41mL PBSバッファーで0.497pg/mLに希釈し、1mLをベースラインサンプル(濃縮前)として保存した。40mLのサンプルをVERAPREP Concentrate PTHのプロトコールを用いて処理し、その後のPTH ELISA検査用に1.0mLの濃縮サンプルを作製した。
1. 971pg/mLのPTH標準液21μLを41.0mLのPBSで0.497pg/mLに希釈し、ベースラインサンプルとして1.0mLを保存する(濃縮前)。
2. 971pg/mLのPTH標準液21μLを、対照として1.0mLのVERAPREP Cleaveで20.4pg/mLに希釈する。
3. PBS中の0.497pg/mL PTH 40mLを50mLのファルコンチューブに加える。
4. VERAPREP Concentrate PTHを加え、混合する。
5. 室温で30分間混合しながらインキュベートする。
6. Dexter LifeSep(登録商標)50SXを用いて、15分間VERAPREP Concentrate PTHを磁気的に分離する。
7. 40mLのPBSをデカンテーションして廃棄する。
8. 4.0mLのPBS洗浄バッファーを加え、混合する。
9. Dexter LifeSep(登録商標)50SXを使用して、10分間、4mLのPBS洗浄バッファー中のVERAPREP Concentrate PTHを磁気的に分離する。
10. 4mLのPBSをデカンテーションして廃棄する。
11. 1.0mLのPBS洗浄バッファーを加え、混合する。
12. 1mLのVERAPREP Concentrate PTHを、1.75mLのコニカル底のスナップキャップバイアルに移す。
13. Dexter LifeSep(登録商標)1.5Sを使用して、10分間、1mLのPBS洗浄バッファー中のVERAPREP Concentrate PTHを磁気的に分離する。
14. 1mLのPBSを吸引して廃棄する。
15. 1mLのVERAPREP Cleaveを加え、混合する。
16. Dexter LifeSep(登録商標)1.5Sを使用して、10分間、1mLのVERAPREP Cleave中のVERAPREP Concentrate PTHを磁気的に分離する。
17. 1mLの上清(濃縮サンプル)を吸引して保存し、対照、ベースラインサンプル、および濃縮サンプルを試験した。
【0155】
0.021mLのPTH抗原(971pg/mL、ELISA校正用)も、対照として、VERAPREP Cleaveバッファー1mLで20.4pg/mLに希釈した。ベースラインサンプル、濃縮サンプルおよび対照をDRG PTH(Parathyroid)Intact ELISAで検査し、濃縮サンプルのPTH回収率を[濃縮サンプル結果]/[コントロール結果]×100%として計算した。希釈したPTHベースラインサンプルは、ELISAアッセイにおけるVERAPREP Cleaveバッファーのマトリックス効果により13.5pg/mLとなった。このマトリックス効果によりアッセイシグナルが向上した。わずか0.80mgの試薬を使用したVERAPREP Concentrate PTHは、希釈したPTHを42.3pg/mLまで濃縮することに成功した(表4)。対照と比較して109%の回収であった(表5)。
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
(実施例4:その後の質量分析(LC-MS/MSまたはMALDI-MS)分析のための尿からの低濃度バイオマーカー濃縮)
以下では、バイオマーカーに特異的な捕捉部位で被覆された超常磁性ナノ粒子を使用して、大容量の尿サンプルから低濃度のバイオマーカー、およびスパイクされた内部標準(ISTD)を濃縮するための質量分析サンプルの前処理プロトコールについて説明する。全く同一のプロトコールはまた、同じサンプルからの2つ以上のバイオマーカーおよび対応するスパイクされたISTDを多重化して濃縮するために、各集団が異なる捕捉部位で被覆されている、混合された、またはプールされた異なる複数の超常磁性ナノ粒子集団を使用することができる。2以上のバイオマーカーの濃縮および特性評価により、単一のバイオマーカーの特性評価では不可能な疾患の臨床診断および/または予後のためのアルゴリズムを容易に使用できる。たとえば、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を尿から診断するために、VERAPREP Concentrate試薬は、カリクレイン-1、ウロモジュリン、ウロコルチン-3、およびオロソムコイド-1を捕捉して濃縮するための4種類の抗体、またはカリクレイン-1、ウロモジュリン、ウロコルチン-3、およびオルソムコイド-1、IL-6、IL-10、および高感度C反応性タンパク質を捕捉して濃縮するための7種類の抗体から構成され得る。
1. 患者の尿を採集する(採尿カップ等の標準的な採尿プロトコールを使用)。
2. 採尿サンプルを混合する。
3. 40mLの尿を50mLのファルコンチューブに加える。
4. 濃縮するための、バイオマーカー用の重水素化した内部標準を加え、混合する。
5. VERAPREP Conditionを加え、混合する。
6. VERAPREP Concentrateを加え、混合する。
7. インキュベート:VERAPREP Concentrateによりバイオマーカーおよび重水素化された内部標準が捕捉される。
8. Dexter LifeSep(登録商標)50SXを使用して、40mLの尿中のVERAPREP Concentrateを磁気的に分離する。
9. 尿を吸引して廃棄する。
10. 4mLのPBS洗浄バッファーを加え、混合する。
11. Dexter LifeSep(登録商標)50SXを使用して、4mLのPBS洗浄バッファー中のVERAPREP Concentrateを磁気的に分離する。
12. 尿を吸引して廃棄する。
13. ステップ12をさらに2回(2×)繰り返す。
14. 1mLのVERAPREP Cleaveを加え、混合する(質量分析対応バッファー)。
15. Dexter LifeSep(登録商標)1.5Sを使用して、1mLのVERAPREP Cleave中のVERAPREP Concentrateを磁気的に分離する。
16. 1mLの上清サンプルを吸引し、LC-MSで試験した。
17. 1)40mLの尿サンプルサイズ、2)バイオマーカーのLC-MS定量、3)重水素化された内部標準物質の回収率に基づいて報告されたバイオマーカーの値の調整に基づき、最終バイオマーカー濃度を決定した。
【0159】
捕捉され濃縮されたバイオマーカー(1または複数)の選択的放出または切断は、pHの変化(グリシンpH2.5の溶出後に中和するなどの酸性pH、またはpH10.0以上のアルカリ性pH)、TCEPもしくはDTTのような還元剤で切断されるジスルフィド結合のような切断可能なリンカーの使用、またはコンカナバリンA上の結合部位を競合させるモノマーアビジンとのD-ビオチンのモル過剰またはコンカナバリンAとの糖のモル過剰のような競合溶出の使用によって達成することができる。
【0160】
(略語)
ABEI N-(4-アミノブチル)-N-エチルイソルミノール
ALP アルカリホスファターゼ
BSA ウシ血清アルブミン
Fab 断片抗体結合
Fc 断片、結晶化可能
HAAA ヒト抗動物抗体
HAMA ヒト抗マウス抗体
HASA ヒト抗ヒツジ抗体
IFU 使用のための説明
IgG 抗体または免疫グロブリン
IgM 免疫グロブリンM
HRP 西洋ワサビペルオキシダーゼ
LC-MS/MS 液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法
LDT 研究室で開発された試験
Mab モノクローナル抗体
MASI 製造アッセイ特異的な干渉
MFG IVDメーカー
PMP 超常磁性微粒子
PBCT 一次採血チューブ
RF リウマチ因子
RLU 相対光単位またはアッセイ応答シグナル
RUO 研究利用に限る
SAv ストレプトアビジン
STT 二次トランスファーチューブ
TAT ターンアラウンドタイム
WF ワークフロー
【0161】
(定義)
本明細書で使用される「サンプル」または「生体サンプル」は、診断、予後、スクリーニング、リスク評価、重症度分類、および治療薬モニタリング等のモニタリングのために試験される、ヒトまたは動物の血清、血漿(すなわち、EDTA、ヘパリンリチウム、クエン酸ナトリウム)、血液、全血、処理された血液、尿、唾液、便(液体および固体)、精液または精漿、羊水、脳脊髄液、細胞、組織、生検材料、DNA、RNA、または任意の液体または溶解した固体、もしくは処理された固体材料をいう。いくつかの実施形態では、サンプルは大容量サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルには複数のサンプル(たとえば、同一または異なる対象からの2以上のサンプル)が含まれる。いくつかの実施形態では、サンプルには、サンプル中に低濃度で存在するバイオマーカーが含まれる。
【0162】
いくつかの実施形態では、サンプルは、一次採血チューブ(PBCT)、二次トランスファーチューブ(SST)、24時間(24hr)採尿器、vericoreチューブ、ナノテイナー(nanotainer)、唾液採集チューブ、血液スポット濾紙、または便および精液用等の任意の採集チューブもしくは装置、ヘパリンナトリウム、ヘパリンリチウム、もしくはヘパリンアンモニウムを含む、淡緑色もしくは緑色トップの血漿分離チューブ(PST)、クエン酸ナトリウム(すなわち、3.2%または3.8%)もしくはクエン酸塩、テオフィリン、アデノシン、ジピリダモール(CTAD)を含む、淡青色トップのチューブ、ガラスチューブ(添加剤なし)もしくはプラスチックチューブ(血栓活性化剤を含む)に血清を採集するための血清学または免疫血液学用の赤トップチューブ、ガラスチューブ(添加剤なし)もしくはプラスチックチューブ(血栓活性化剤を含む)に血清を採集するための化学用の赤トップチューブ、分子診断およびウイルス負荷の検出において血漿を試験するための、EDTA K2、EDTA K3、液体EDTA溶液(すなわち、8%)を含む紫ラベンダートップのチューブもしくはEDTA K2/ゲルチューブ、血液銀行EDTA用のピンクトップチューブ、シュウ酸カリウムおよびフッ化ナトリウム、フッ化ナトリウム/EDTA、もしくはフッ化ナトリウムを含む灰色トップチューブ(抗凝血なし、血清サンプル用)、ACD溶液AまたはACD溶液Bを含む黄色トップチューブ、ロイヤルブルートップチューブ(血清、添加剤なしまたはヘパリンナトリウム)、白トップチューブ、または任意の用途もしくは診断試験のタイプのための、添加剤なしもしくは任意の添加剤、またはそれらの組み合わせを含む、血液採集用の任意の色もしくは任意の型のチューブに採集される。
【0163】
いくつかの実施形態では、サンプルは、尿、24時間尿、唾液、および便、または目的のバイオマーカーが希釈されている、もしくは測定が困難である等、困難なタイプのサンプルである。たとえば、生体サンプルは、患者の集団(たとえば、新生児、小児、老人、妊婦、腫瘍、自己免疫疾患)のために困難な場合がある。たとえば、いくつかのバイオマーカーは、たとえば循環中もしくは尿中で希釈されすぎていて、または低濃度すぎて、現行のPOCTおよび主要な研究室分析装置により確実に検出することができず、正確かつ精密に測定することができない。いくつかの実施形態では、困難なサンプルは脳脊髄液(CSF)である。
【0164】
本明細書で使用される「採集装置」は、一次採血チューブ(PBCT),24時間採尿器、採尿器、唾液採集チューブ、採便器、精液採集器、血液採集バッグ、またはサンプルを添加する前の任意のサンプル採集チューブもしくは装置であり得る。
【0165】
PCBTおよび二次トランスファーチューブ(SST)は、Becton Dickinson(BD)、Greiner、VWR、およびSigma Aldrich等の会社の市販の標準チューブもしくはカスタムの採集チューブ(ゲル分離剤ありまたはなし)、ガラスチューブ、プラスチックチューブ、ヘパリンナトリウム、ヘパリンリチウム、もしくはヘパリンアンモニウムを含む、淡緑色もしくは緑色トップの血漿分離チューブ(PST)、クエン酸ナトリウム(すなわち、3.2%または3.8%)もしくはクエン酸塩、テオフィリン、アデノシン、ジピリダモール(CTAD)を含む、淡青色トップのチューブ、ガラスチューブ(添加剤なし)もしくはプラスチックチューブ(血栓活性化剤を含む)に血清を採集するための血清学または免疫血液学用の赤トップチューブ、ガラスチューブ(添加剤なし)もしくはプラスチックチューブ(血栓活性化剤を含む)に血清を採集するための化学用の赤トップチューブ、分子診断およびウイルス負荷の検出において血漿を試験するための、EDTA K2、EDTA K3、液体EDTA溶液(すなわち、8%)を含む紫ラベンダートップのチューブもしくはEDTA K2/ゲルチューブ、血液銀行EDTA用のピンクトップチューブ、シュウ酸カリウムおよびフッ化ナトリウム、フッ化ナトリウム/EDTA、もしくはフッ化ナトリウムを含む灰色トップチューブ(抗凝血なし、血清サンプル用)、ACD溶液AまたはACD溶液Bを含む黄色トップチューブ、ロイヤルブルートップチューブ(血清、添加剤なしまたはヘパリンナトリウム)、白トップチューブ、または任意の用途もしくは診断試験のタイプのための、添加剤なしもしくは任意の添加剤、またはそれらの組み合わせを含む、血液採集用の任意の色もしくは任意の型のチューブであってもよい。
【0166】
本明細書で使用される「保存装置」または「トランスファー装置」は、採集装置で受け取ったサンプルおよび/または他の成分を受け取ることができる装置をいう。保存またはトランスファー装置は、プラスチックもしくはガラスのチューブ、バイアル、ボトル、ビーカー、フラスコ、バッグ、缶、マイクロタイタープレート、ELISAプレート、96穴プレート、384穴プレート、1536穴プレート、キュベット、反応モジュール、リザーバー、または、液体サンプルの保持、保存、もしくは処理に適した任意の容器であってもよい。
【0167】
本明細書でいう「診断試験」には、限定されないが、抗体系の診断試験、非抗体系の診断試験、免疫抽出(IE)および固相抽出(SPE)等の、クロマトグラフィー法、分光光度法、および質量分析法(すなわち、HPLC、MS、LCMS、LC-MS/MS)によるその後の分析のためのサンプル前処理の方法もしくは装置、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、分子診断、ラテラルフロー(LF)、ポイントオブケア(PoC)、直販(DTC)、CLIAおよびCLIA免除の試験および装置、研究使用に限られる(RUO)試験、In Vitro診断(IVD)試験、研究室で開発された試験(LDT)、コンパニオン診断、ならびに、診断、予後、スクリーニング、リスク評価、重症度分類、および治療薬モニタリング等のモニタリングのための任意の試験が含まれる。いくつかの実施形態では、診断試験には、ターンアラウンドタイムが短い診断試験(STAT)、外来試験、ラテラルフロー試験、ポイントオブケア(PoC)試験、分子診断試験、HPLC、MS、LCMS、LC-MS/MS、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、CLIAおよびCLIA免除の試験、ならびに、診断、予後、スクリーニング、リスク評価、重症度分類、治療モニタリング、および治療薬モニタリングのための任意の診断試験が含まれる。
【0168】
(付記)
(付記1)
生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、および、
b)前記混合物を混合して、前記バイオマーカーとの粒子複合体を提供すること、
を含み、
それにより生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。
【0169】
(付記2)
前記粒子複合体を診断試験に供することをさらに含む、付記1に記載の方法。
【0170】
(付記3)
生体サンプルから干渉物質を除去する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記干渉物質との粒子複合体を提供すること、および、
c)前記粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇した溶液を提供すること、
を含み、
それにより、前記干渉物質の量(たとえば質量、モル濃度、濃度)を低下または減少させる、
方法。
【0171】
(付記4)
枯渇させた前記溶液を特性評価(たとえば、診断試験)に供することをさらに含む、付記3に記載の方法。
【0172】
(付記5)
前記粒子は、凍結乾燥物(たとえば、LyoSphere(商標)(BIOLYOPH LLC社))として提供される、付記1または3に記載の方法。
【0173】
(付記6)
診断試験の精度を向上させる方法であって、
a)生体サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記干渉物質との粒子複合体を提供すること、
c)前記粒子複合体を除去、または完全に除去して枯渇させた溶液を提供すること、および、
d)枯渇させた前記溶液を診断試験に供すること、
を含み、
それにより、診断試験の精度を向上させる、
方法。
【0174】
(付記7)
前記方法に供していない生体サンプルと比較して、少なくとも1%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、の前記干渉物質が除去される、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
(付記8)
十分な量の前記干渉物質を除去して、前記生体サンプル中の100ppm未満の前記干渉物質を提供する、付記1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
(付記9)
十分な量の前記干渉物質を除去して、前記生体サンプル中の検出可能量未満の前記干渉物質を提供する、付記1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
(付記10)
前記捕捉部位は、ヒト抗動物抗体(たとえば、マウスIgG、ヒツジIgG、ヤギIgG、ウサギIgG、ウシIgG、ブタIgG、ウマIgG)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
(付記11)
前記捕捉部位は、異好抗体(たとえば、FR(Fc-specific)、Fab、F(ab)’2、重合IgG(1、2a、2b型IgGおよびIgG断片)、血清成分)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
(付記12)
前記捕捉部位は、アッセイ特異的な結合剤(たとえば、ビオチン、フルオレセイン、抗フルオレセインポリ/Mab、抗ビオチンポリ/Mab、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
(付記13)
前記捕捉部位は、アッセイ特異的なシグナル分子(たとえば、HRP、ALP、アクリジニウムエステル、イソルミノール/ルミノール、ルテニウム、ABEI/環状ABEI)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
(付記14)
前記捕捉部位は、アッセイ特異的な遮断剤(たとえば、BSA、魚皮ゼラチン、カゼイン、卵白アルブミン、PVP、PVA)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
(付記15)
前記捕捉部位は、アッセイ特異的な結合リンカー(たとえば、LC、LC-LC、PEO4、PEO16)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
(付記16)
前記捕捉部位は、抗原自己抗体(たとえば、遊離T3、遊離T4)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
(付記17)
前記捕捉部位は、タンパク質自己抗体(たとえば、MTSH、TnI、TnT、非心臓性TnT(骨格筋疾患))である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
(付記18)
前記捕捉部位は、化学発光基質(たとえば、ルミノール、イソルミノール、イソルミノール誘導体、ABEI、ABEI誘導体、ルテニウム、アクリジニウムエステル)、または蛍光標識(たとえば、フルオレセインまたは他の蛍光色素分子、および染色剤)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
(付記19)
前記捕捉部位は、捕捉部位(たとえば、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、アビジン、キャプトアビジン、ポリA、ポリDT、アプタマー、抗体、Fab、F(ab’)2、抗体断片、組み換えタンパク質、酵素、タンパク質、生体分子、ポリマー)である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
(付記20)
前記捕捉部位は、ビオチン、フルオレセイン、ポリDT、ポリA、または抗原である、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
(付記21)
前記除去、または前記完全な除去は、分離である、付記1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
(付記22)
前記分離には、物理的分離が含まれる、付記21に記載の方法。
【0190】
(付記23)
前記分離には、磁気的分離が含まれる、付記21に記載の方法。
【0191】
(付記24)
前記分離には、化学的分離が含まれる、付記21に記載の方法。
【0192】
(付記25)
前記除去、または前記完全な除去には、1000×g以上で、少なくとも1分間、2分間、3分間、4分間または5分間遠心分離して、ペレットおよび上清を提供し、前記上清を除去することが含まれる、付記21に記載の方法。
【0193】
(付記26)
前記除去、または前記完全な除去には、濾過(たとえば、フィルターを通す)が含まれる、付記21に記載の方法。
【0194】
(付記27)
前記フィルターは、多孔性であるか、または前記粒子(たとえば、ナノ粒子、マイクロ粒子)の直径より十分に小さい分画分子量(MWCO)を有する、付記26に記載の方法。
【0195】
(付記28)
前記濾過は、重力、真空、または遠心分離による、付記26に記載の方法。
【0196】
(付記29)
前記除去、または前記完全な除去には、磁化が含まれる、付記1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
(付記30)
前記磁化は、強力な磁石(たとえば、ネオジム磁石)を使用して行い、ペレットおよび上清を提供する、付記29に記載の方法。
【0198】
(付記31)
前記磁石は遠心分離ローター中にある、付記30に記載の方法。
【0199】
(付記32)
前記磁石は、使い捨てピペットチップ、カバーまたはシース内の磁石である、付記30に記載の方法。
【0200】
(付記33)
生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記バイオマーカーを含む粒子複合体を提供すること、
c)前記混合物から前記粒子複合体を除去すること、および、
d)前記混合物に切断試薬、または放出剤を加え、バイオマーカーを含む単離物を提供すること、
を含み、
それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。
【0201】
(付記34)
バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を、前記捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、三次複合体を提供すること、
c)前記混合物から前記三次複合体を除去して、単離物を提供すること、および、
d)前記三次複合体の指標が前記単離物中に存在するか否かを判定すること、
を含み、
それにより、バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する、
方法。
【0202】
(付記35)
バイオマーカーが生体サンプル中に存在するか否かを判定する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、前記干渉物質との粒子複合体を提供すること、
c)前記粒子複合体を除去、または完全に除去して、枯渇させた溶液を提供すること、
d)枯渇させた前記溶液を、第2の捕捉部位を含む第2の粒子と組み合わせて、第2の混合物を提供すること、
e)前記第2の混合物を混合して、前記バイオマーカーを含む第2の粒子複合体を提供すること、
f)前記第2の混合物から前記第2の粒子複合体を除去すること、および、
g)前記第2の混合物に切断試薬または放出剤を加えて、前記バイオマーカーを含む単離物を提供すること、
を含み、
それにより、生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。
【0203】
(付記36)
前記粒子複合体を希釈剤で洗浄することをさらに含む、付記33~35のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
(付記37)
前記切断試薬はジスルフィド結合還元剤である、付記33または35に記載の方法。
【0205】
(付記38)
前記バイオマーカーについて診断試験を行うことをさらに含む、付記33~35のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
(付記39)
サンプル中のバイオマーカーの量を濃縮する方法であって、
a)前記サンプルに、捕捉部位を含む粒子を加えて、混合物を提供すること、
b)前記混合物を混合して、粒子複合体を提供すること、
c)前記粒子複合体を分離して、ペレットおよび上清を提供すること、
e)前記ペレットから前記上清を除去すること、
f)前記ペレットを希釈剤で洗浄すること、および、
g)前記ペレットから前記バイオマーカーを溶出して、濃縮されたサンプルを提供すること、
を含み、
それにより、サンプル中のバイオマーカーの量を濃縮する、
方法。
【0207】
(付記40)
前記バイオマーカーは、外傷性脳損傷(TBI)の指標である、付記39に記載の方法。
【0208】
(付記41)
前記バイオマーカーは、s-100β、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、神経特異的エノラーゼ(NSE)、ニューロフィラメント軽鎖(NFL)、切断型タウタンパク質(C-tau)、およびユビキチンC末端加水分解酵素L1(UCH-L1)である、付記39に記載の方法。
【0209】
(付記42)
前記バイオマーカーは、アルツハイマー病(AD)の指標である、付記39に記載の方法。
【0210】
(付記43)
前記バイオマーカーは、アミロイドベータ、BACE1、可溶性Aβ前駆体タンパク質(sAPP)である、付記39に記載の方法。
【0211】
(付記44)
前記バイオマーカーは、性感染症(STD)の指標である、付記39に記載の方法。
【0212】
(付記45)
前記STDは、クラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス、HPV、ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎、HIVである、付記44に記載の方法。
【0213】
(付記46)
前記バイオマーカーは、細菌感染の指標である、付記39に記載の方法。
【0214】
(付記47)
前記バイオマーカーは、細菌のための捕捉部位である、付記39に記載の方法。
【0215】
(付記48)
前記バイオマーカーは、切断試薬によって複合体から切断される、付記39に記載の方法。
【0216】
(付記49)
前記バイオマーカーの存在はMALDI-MSにより判定される、付記39に記載の方法。
【0217】
(付記50)
前記干渉物質はフィブリノーゲンであり、前記除去、または前記完全な除去は、遠心分離による物理的分離等の分離であり、前記粒子複合体は血栓中に捕捉される、付記3に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルからバイオマーカーを単離する方法であって、
a)前記サンプルを、捕捉部位を含む粒子と組み合わせて、混合物を提供すること、および、
b)前記混合物を混合して、前記バイオマーカーとの粒子複合体を提供すること、
を含み、
それにより生体サンプルからバイオマーカーを単離する、
方法。