(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160352
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】封止された多層構造および封止された多層構造を含む包装
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20241106BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20241106BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
B32B27/32 D
B32B27/34
B65D65/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024135020
(22)【出願日】2024-08-13
(62)【分割の表示】P 2021535259の分割
【原出願日】2019-12-16
(31)【優先権主張番号】PCT/MY2018/050097
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウ アイク
(72)【発明者】
【氏名】マ、エン キアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴ、フィルン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い靭性ならびに高いシール強度を提供できる新規の封止可能な多層構造および包装を提供する。
【解決手段】封止された多層構造は、(a)第1の配向フィルム厚を有する一軸配向多層フィルムであって、フィルムは、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向される、一軸配向多層フィルムと、(b)シーラント層を含み、第2のフィルム厚を有する第2の多層フィルムと、を含み、第1の配向フィルムのシーラント層が、第2のフィルムのシーラント層に封止され、封止されたフィルムの総厚が、第1の配向フィルム厚および第2のフィルム厚の合計より少なくとも5パーセント大きい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止された多層構造であって、
(a)第1の配向フィルム厚を有する第1の一軸配向多層フィルムであって、前記第
1の配向フィルムが、
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10
g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む
シーラント層と、
(3)前記第1の層および前記シーラント層と接着接触している結合層と、を含み
、
前記フィルムが、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向されている、
第1の一軸配向多層フィルムと、
(b)シーラント層を含み、第2のフィルム厚を有する第2の多層フィルムと、を含
み、
前記第1の配向フィルムの前記シーラント層が、前記第2のフィルムの前記シーラン
ト層に封止されており、前記封止されたフィルムの総厚が、前記第1の配向フィルム厚お
よび前記第2のフィルム厚の合計よりも少なくとも5パーセント大きい、封止された多層
構造。
【請求項2】
前記第2の多層フィルムが、一軸配向されており、
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g
/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシ
ーラント層と、
(3)前記第1の層および前記シーラント層と接着接触している結合層と、を含み、
前記フィルムが、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向されている
、請求項1に記載の封止された多層構造。
【請求項3】
前記第1の配向フィルムが、前記第1の層の前記第1の結合層とは反対側で、前記第
1の層と接着接触している第2の結合層をさらに含む、請求項1または2に記載の封止さ
れた多層構造。
【請求項4】
前記第1の配向フィルムが、前記第2の結合層の前記第1の層とは反対側で、前記第
2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、前記第2の層が、0.865~0
.965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2
)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む、請求項3に記載の封止された多層構造
。
【請求項5】
前記第1の配向フィルムが、前記第2の結合層の前記第1の層とは反対側で、前記第
2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、前記第2の層が、ポリアミドを含
む、請求項3に記載の封止された多層構造。
【請求項6】
前記第1の一軸配向フィルムが、最大13層を含む、先行層に記載の封止された多層
構造。
【請求項7】
前記第1の配向フィルムおよび前記第2の多層フィルムが、同じ構造を有する、請求
項2~6のいずれかに記載の封止された多層構造。
【請求項8】
前記第1の配向フィルムの前記第2の多層フィルムに対するシール強度が、前記第1
の配向フィルムおよび前記第2の多層フィルムと同じフィルム構造ならびに厚さを有する
、2つの無配向フィルムのシール強度よりも少なくとも1.5倍大きい、請求項2~7の
いずれかに記載の封止された多層構造。
【請求項9】
前記第1の多層フィルム内の前記第1の結合層が、無水マレイン酸グラフト化ポリエ
チレンを含む、請求項1~8のいずれかに記載の封止された多層構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の前記封止された多層構造を含む包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封止された多層構造、かかる封止された多層構造を含む包装、および包装
を形成する方法に関する。
【0002】
導入部
多くの食品包装用途、特に靭性および/または酸素バリアが必要な用途では、ポリア
ミドフィルムまたはポリアミド層が利用される。例えば、ポリアミドフィルムは、ラミネ
ート接着剤を使用してポリエチレンフィルムにラミネートされることがある。別の例とし
て、ポリアミド層は、結合層を使用してポリエチレンと共押出されて、インフレーション
フィルム押出またはキャストフィルム押出を介して多層フィルムを形成する。これらのア
プローチは、可撓性包装で使用するためにフィルムの全体的な靭性を増加させる。
【0003】
可撓性包装の耐久性(例えば、特定の高さからの落下に耐える能力、漏れの防止など
)はまた、可撓性包装を形成するためにともに封止されるフィルムのシール強度にも依存
する。高いシール強度は、漏れを防ぎ、落下不良を低減することを支援することができ、
同様に食品や製品の無駄を低減する。しかしながら、ポリエチレンはより薄いゲージで約
30Nの典型的なシール強度を有するため、シール強度は、より高い靭性を必要とする用
途には適切でない場合がある。
【0004】
高い靭性ならびに高いシール強度を提供することができる新規の封止可能な多層構造
および包装を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、望ましい靭性および改善されたシール強度を有する封止された多層構造を
提供する。特に、封止された多層構造は、指定された延伸比内で機械方向に配向される多
層フィルムを組み込み、別の多層フィルムにヒートシールされたとき、予想外に高いシー
ル強度を提供する。加えて、本発明の封止された多層構造のいくつかの実施形態は、光学
および/または機械方向の引裂抵抗、ならびにダウンゲージの可能性における改善を有利
に提供する。
【0006】
一態様では、本発明は、(a)第1の配向フィルム厚を有する一軸配向多層フィルム
であって、第1の配向フィルムは、
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g
/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシ
ーラント層と、
(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を含み、
フィルムは、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向される、一軸配
向多層フィルムと、(b)シーラント層を含み、第2のフィルム厚を有する第2の多層フ
ィルムと、を含み、第1の配向フィルムのシーラント層は、第2のフィルムのシーラント
層に封止され、封止されたフィルムの総厚は、第1の配向フィルム厚および第2のフィル
ム厚の合計より少なくとも5パーセント大きい、封止された多層構造を提供する。
【0007】
以下で考察されるように、本発明はまた、本明細書に開示される本発明の封止された
多層構造から形成された包装、ならびに包装を形成する方法を提供する。
【0008】
これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態において、より詳細に説明
される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
相反する記載がないか、文脈から暗示されていないか、または当該技術分野で慣例的
でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づくものであり、全ての温度は℃であ
り、全ての試験方法は本開示の出願日の時点において最新のものである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、
ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0011】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかに関わらず、モノマーを重合
することにより調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという一般
的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得ると
いう理解の下に、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる
)、および本明細書において以下に定義されるインターポリマーという用語を包含する。
微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込ま
れていてもよい。ポリマーは、単一のポリマー、ポリマーブレンド、または重合中にその
場で形成されるポリマーの混合物を含むポリマー混合物であり得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの
異なる種類のモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。したがって、インターポ
リマーという総称は、(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すため
に用いられる)コポリマー、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリ
マーを含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」と
いう用語は、重合形態で(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例
えば、エチレンまたはプロピレンを含み、かつ任意で1つ以上のコモノマーを含み得るポ
リマーを指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という
用語は、重合形態で、過半量(>50mol%)のエチレンモノマーに由来する単位と、
残りの1つ以上のα-オレフィンに由来する単位とを含むインターポリマーを指す。エチ
レン/α-オレフィンインターポリマーの形成に使用される典型的なα-オレフィンは、
C3-C10アルケンである。
【0015】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は
、重合形態で、2種類のみのモノマーとして、過半量(>50mol%)のエチレンモノ
マーと、α-オレフィンとを含むコポリマーを指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」という用語は、一次またはアルファ
(α)位置に二重結合を有するアルケンを指す。
【0017】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、過半量(>50mol%)のエ
チレンモノマーに由来する単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチ
レンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)
を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態には、低密度ポリ
エチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレ
ン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状
の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDP
E)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が含
まれる。これらのポリエチレン材料は、当該技術分野において一般に既知であるが、以下
の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの差異を理解する上で役立
つ可能性がある。
【0018】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエ
チレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により組み込まれる、US
4,599,392を参照されたい)などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,
500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブまたは管状反応器中で、
部分的または完全に、ホモ重合または共重合されることを意味するように定義される。L
DPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cm3の範囲内の密度を有する
。
【0019】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系およびクロム系触
媒、ならびにビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)および
拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される
樹脂の両方を含み、かつ直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマ
ーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEほど長くない鎖分岐を含有し、米
国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,58
2,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖
状エチレンポリマー、米国特許第3,645,992号にあるものなどの均一に分岐した
直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセス
に従って調製されたものなどの不均一に分岐したエチレンポリマー、ならびに/または(
US3,914,342またはUS5,854,045に開示されるものなどの)それら
のブレンドを含む。LLDPEは、当該技術分野において既知である任意の種類の反応器
または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意
の組み合わせによって作製することができる。
【0020】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm3の密度を有するポリ
エチレンを指す。「MDPE」は典型的には、クロム触媒もしくはチーグラー・ナッタ触
媒を使用して、またはシングルサイト触媒(ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を
含むが、これらに限定されない)を使用して作製され、典型的には、2.5を超える分子
量分布(「MWD」)を有する。
【0021】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはビ
ス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト
触媒を用いて調製される、約0.935g/cm3超~約0.970g/cm3の密度を
有するポリエチレンを指す。
【0022】
「ULDPE」という用語は、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、また
はビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサ
イト触媒で調製される、0.880~0.912g/cm3の密度を有するポリエチレン
を指す。
【0023】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」などの用語は、2つ以上のポリマーの組成物を
意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのような
ブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子
分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている任意の他の方法から決定さ
れる、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは、積層体
ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。かかるブレンドは、乾
燥ブレンドとして調製され得るか、その場で(例えば、反応器内で)、溶融ブレンドとし
て、または当業者に既知の他の技術を使用して形成され得る。
【0024】
「付着接触」という用語および同様の用語は、1つの層が両方の層の層間表面(すな
わち、接触する表面)を損傷することなく、他の層から除去できないように、1つの層の
1つの表面および別の層の1つの表面が接触してお互いに結合することを意味する。
【0025】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「
~を有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に
開示されているか否かに関わらず、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在
を除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(com
prising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾
する記述がない限り、ポリマー性かまたは別のものであるかにかかわらず、いかなる追加
の添加剤、アジュバント、または化合物を含んでもよい。対照的に、「から本質的になる
」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の
他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に
規定または列挙されていないいかなる構成要素、ステップ、または手順も除外する。
【0026】
一態様では、本発明は、(a)第1の配向フィルム厚を有する一軸配向多層フィルム
であって、第1の配向フィルムは、
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g
/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシ
ーラント層と、
(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を含み、
フィルムは、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向される、一軸配
向多層フィルムと、(b)シーラント層を含み、第2のフィルム厚を有する第2の多層フ
ィルムと、を含み、第1の配向フィルムのシーラント層が、第2のフィルムのシーラント
層に封止され、封止されたフィルムの総厚が、第1の配向フィルム厚および第2のフィル
ム厚の合計より少なくとも5パーセント大きい、封止された多層構造を提供する。いくつ
かの実施形態では、第1の多層フィルムにおける第1の結合層は、無水マレイン酸グラフ
ト化ポリエチレンを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の配向フィルムは、第1の層の第1の結合層とは反対
側で、第1の層と接着接触している第2の結合層をさらに含む。第1の配向フィルムがか
かる第2の結合層を含むいくつかの実施形態では、第1の配向フィルムは、第2の結合層
の第1の層とは反対側で、第2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、第2
の層は、0.865~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメ
ルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む。第1の配向フ
ィルムがかかる第2の結合層を含む他の実施形態では、第1の配向フィルムは、第2の結
合層の第1の層とは反対側で、第2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、
第2の層は、ポリアミドを含む。いくつかの実施形態では、第1の多層フィルムにおける
第1および第2の結合層は、各々無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の配向フィルムは、最大13層を含む。いくつかの実
施形態では、第1の配向フィルムは、3つの層を含む。いくつかの実施形態では、第1の
配向フィルムは、5つの層を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムは、一軸配向多層フィルムである。い
くつかの実施形態では、第1の配向フィルムおよび第2の多層フィルムは、同じ構造を有
する。第2の多層フィルムは、いくつかの実施形態では、一軸配向されており、(1)ポ
リアミドを含む第1の層と、(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度
、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つ
のポリエチレンを含むシーラント層と、(3)第1の層およびシーラント層と接着接触し
ている結合層と、を含み、フィルムは、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向
に配向されている。いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムにおける第1の結合層
は、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の配向フィルムの第2の多層フィルムに対するシール
強度は、第1の配向フィルムおよび第2の多層フィルムと同じフィルム構造ならびに厚さ
を有する、2つの無配向フィルムのシール強度よりも少なくとも1.5倍大きい。
【0031】
本発明の封止された多層構造は、本明細書に記載されるように2つ以上の実施形態の
組み合わせを含むことができる。
【0032】
本発明の実施形態はまた、包装などの物品にも関する。いくつかの実施形態では、本
発明の包装は、本明細書に開示される封止された多層構造のうちのいずれかを含む。本明
細書に記載されるように、本発明の包装は、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る
。
【0033】
本発明の実施形態はまた、包装を形成する方法にも関する。一実施形態では、包装を
形成する方法は、(a)
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g
/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシ
ーラント層と、
(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を含む、第1の多
層フィルムを共押出しすることと、
(b)第1の多層フィルムを1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向さ
せて、第1の配向フィルム厚を有する第1の配向フィルムを提供することと、
(c)
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g
/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシ
ーラント層と、
(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を含む、第2の多
層フィルムを共押出しすることと、
(d)第2の多層フィルムを1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向さ
せて、第2の配向フィルム厚を有する第2の配向フィルムを提供することと、
(e)第1の配向フィルムのシーラント層の少なくとも一部分を第2の配向フィルムの
シーラント層の少なくとも一部分にヒートシールして包装を形成することと、を含み、封
止されたフィルムの総厚は、第1の配向フィルム厚および第2配向フィルム厚の合計より
も少なくとも5パーセント大きい。本明細書に記載されるように、本発明の包装を形成す
る方法は、2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0034】
一軸配向多層フィルム
本発明の封止された多層構造は、第1の配向フィルム厚を有する、第1の一軸配向多
層フィルムを含む。多層フィルムは、少なくとも3つの層:(1)ポリアミドを含む第1
の層と、(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~1
0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含
むシーラント層と、(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を
含む。これらの層は、以下でさらに詳細に考察される。
【0035】
第1の層
一軸配向多層フィルムの第1の層の説明では、「第1の」という用語は、フィルム内
の他の層の文脈内で層を識別するために使用されることを理解されたい。とはいえ、いく
つかの実施形態では、第1の層は、フィルムの外層である。
【0036】
一軸配向多層フィルムの第1の層は、ポリアミドを含む。第1の層中のポリアミドは
、フィルムにバリア特性を提供することができる。第1の層において使用され得るポリア
ミドの例は、ポリアミド6、ポリアミド9、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミ
ド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6/66、およびポリアミド6I、ポリアミド6
T、MXD6、またはそれらの組み合わせなどの芳香族ポリアミドを含み、これらは、様
々な供給源から市販されている。
【0037】
シーラント層
一軸配向多層フィルムは、シーラント層をさらに含む。シーラント層は、多層フィル
ムを別の多層フィルムに封止することができるシーリング組成物を含む。例えば、いくつ
かの実施形態では、シーリング組成物はヒートシール組成物であり得る。いくつかの実施
形態では、シーリング組成物は、多層フィルムを別のフィルムに気密封止することができ
る場合がある。いくつかの実施形態では、シーラント層は、0.865g/cm3~0.
965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)
を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む。
【0038】
シーラント層は、例えば、LDPE、LLDPE、ULDPE、VLDPE、m-L
LDPE、MDPE、HDPE、強化ポリエチレン、ポリオレフィンプラストマー、ポリ
オレフィンエラストマー、およびそれらの組み合わせを含む、様々な実施形態における様
々なポリエチレンおよびポリエチレンのブレンドを含み得る。当業者は、本明細書の教示
に基づいて、シーラント層の適切な組成物を識別することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、シーラント層に使用される1つ以上のポリエチレンは、0
.865~0.965g/cm3の密度を有する。0.865~0.965g/cm3の
全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、かつ開示され、例えば、ポリエチ
レンの密度は、0.890~0.935g/cm3、または代替的に、0.895~0.
930g/cm3、または代替的に0.900~0.930g/cm3であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、シーラント層に使用される少なくとも1つのポリエチレン
は、0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。0.1~10g/
10分の全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例
えば、少なくとも一つのポリエチレンは、0.1、0.2、0.25、0.5、0.75
、1、2、4、または5g/10分の下限値から、1、2、4、5、または10g/10
分の上限値までのメルトインデックスを有することができる。いくつかの実施形態では、
少なくとも1つのポリエチレンは、0.1~2.5g/10分のメルトインデックス(I
2)を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリエチレンは、0.1~2
g/10分、または0.1~1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、シーラント層は、少なくとも1つのLLDPEを含む。本
発明の実施形態において使用され得る市販のLLDPEの例としては、The Dow
Chemical Companyから市販されている、DOWLEX(商標)2045
G、DOWLEX(商標)2045.11G、DOWLEX(商標)2645G、DOW
LEX(商標)2645.G11G、DOWLEX 2047G、DOWLEX(商標)
2607G、DOWLEX(商標)2606G、DOWLEX(商標)2049G、およ
びDOWLEX(商標)2098G、ならびに他の線形低密度ポリエチレンが挙げられる
。
【0042】
いくつかの実施形態では、シーラント層は、0.900~0.930g/cm3の密
度を有する少なくとも1つの強化ポリエチレンを含む。本発明の実施形態において使用さ
れ得る市販の強化ポリエチレンの例としては、The Dow Chemical Co
mpanyから市販されている、ELITE(商標)AT 6201、ELITE(商標
)AT 6410、およびELITE(商標)5400Gなどの、ELITE(商標)お
よびELITE(商標)AT強化ポリエチレンが挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、シーラント層は、0.865~0.915g/cm3の密
度を有する少なくとも1つのポリオレフィンプラストマーを含む。本発明の実施形態にお
いて使用され得る市販のポリオレフィンプラストマーの例としては、The Dow C
hemical Companyから市販されている、AFFINITY(商標)PL1
880G、AFFINITY(商標)PL1881G、AFFINITY(商標)PL1
840G、ならびに他のAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマーが挙げら
れる。
【0044】
いくつかの実施形態では、シーラント層は、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレン
および/またはエチレン酢酸ビニルなどの極性ポリマーをさらに含むことができる。
【0045】
ポリマーのブレンドは、本発明のいくつかの実施形態によるシーラント層において使
用され得る。本発明のいくつかの実施形態におけるシーラント層において使用され得る無
水マレイン酸グラフト化ポリエチレンの例としては、The Dow Chemical
Companyから市販されている、AMPLIFY(商標)TY 1052H、AM
PLIFY(商標)TY 1053H、AMPLIFY(商標)TY 1054H、AM
PLIFY(商標)TY 1151、AMPLIFY(商標)TY 1451、AMPL
IFY(商標)TY 1351、ならびに他のAMPLIFY(商標)TY機能性ポリマ
ーが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において使用され得るエチレン酢酸ビニル
の例としては、DuPontから市販されている、Elvax 670、Elvax 6
60、Elvax 770、Elvax 560、Elvax 470、Elvax 3
60、Elvax 265、Elvax 760、ならびに他のElvaxエチレン酢酸
ビニルが挙げられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、シーラント層はまた、ポリマーとLDPEとのブレンドを
含むことができる。いくつかの実施形態では、シーラント層は、LDPEとエチレン酢酸
ビニルのブレンド、またはエチレンならびにアクリル酸およびメタクリル酸のうちの少な
くとも1つを含むコポリマーのアイオノマーを含むことができる。本発明のいくつかの実
施形態において使用され得る市販のLDPEの例としては、The Dow Chemi
cal Companyから市販されている、DOW(商標)LDPE 150E、DO
W(商標)LDPE 310E、DOW(商標)LDPE 312E、DOW(商標)L
DPE 320E、DOW(商標)LDPE 352E、DOW(商標)LDPE 45
0E、およびDOW(商標)LDPE 582Eが挙げられる。本発明のいくつかの実施
形態において使用され得るエチレン酢酸ビニルの例としては、DuPontから市販され
ている、前段落に列挙されたElvaxエチレン酢酸ビニルのいずれか、ならびに他のE
lvaxエチレン酢酸ビニルが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において使用す
ることができる市販のアイオノマーの例は、Surlynという名前でDuPontから
市販されているものが含まれる。
【0047】
結合層
一軸配向多層フィルムは、第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層を
さらに含む。結合層は、本明細書の教示に基づく、多層フィルム中の異なる層を接着する
際に使用するのに好適であると当業者に既知である任意の結合層であり得る。本出願に関
連して、ポリアミド層およびポリオレフィンを含む層を接着するのに好適であることが既
知である結合層が使用され得る。
【0048】
例えば、結合層は、エチレンモノマーを含む無水マレイン酸グラフトポリマーを含む
ことができる。いくつかの実施形態で使用され得るエチレンモノマーを含む市販の無水マ
レイン酸グラフトポリマーの例としては、その各々がThe Dow Chemical
Companyから市販されている、AMPLIFY(商標)TY 1451、AMP
LIFY(商標)TY 1053H、AMPLIFY(商標)TY 1057H、AMP
LIFY(商標)TY 1052H、AMPLIFY(商標)TY 1151、DuPo
ntから市販されている、BYNEL 41E710、BYNEL 4033、BYNE
L 4140、FUSABOND Eシリーズの官能化エチレンベースの改質剤、および
Mシリーズのランダムエチレンコポリマー、およびArkemaから市販されているOR
EVAC OE825が挙げられる。
【0049】
結合層において使用され得るエチレンモノマーを含む無水マレイン酸グラフトポリマ
ーの例としては、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトエチレ
ンアクリレート、無水マレイン酸グラフトエチレン酢酸ビニル、およびそれらの組み合わ
せが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、結合層は、無水マレイン酸グラフトポリマーに加えて、少
なくとも1つの追加のポリマーをさらに含む。エチレンモノマーを含む無水マレイン酸グ
ラフトポリマーに加えて、結合層中にあり得るポリマーの例としては、エチレンアルキル
アクリレートコポリマー(例えば、The Dow Chemical Company
のAMPLIFY EA、DuPontのELVALOY AC、およびArkemaの
LOTRYL)、エチレン酢酸ビニルコポリマー、オクテンまたはヘキセンまたはブテン
またはプロピレンを含むエラストマーエチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、T
he Dow Chemical CompanyのENGAGEポリオレフィンエラス
トマーおよびAFFINITYポリオレフィンプラストマー、およびBorealisの
Queoプラストマー)、エチレンを有するプロピレンベースのコポリマー(例えば、T
he Dow Chemical Companyから市販されているVERSIFYプ
ラストマーおよびエラストマー)、エチレンベースのオレフィンブロックコポリマー(例
えば、The Dow Chemical Companyから市販されているINFU
SEオレフィンブロックコポリマー)、および結晶性ブロック複合材料(以下に定義)、
ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、エチレンアルキルアクリレートコポ
リマーは、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチル
アクリレート、またはそれらの組み合わせであり得る。本発明のいくつかの実施形態にお
いて結合層として使用され得る、エチレンモノマーを含む無水マレイン酸グラフトポリマ
ーとエチレンアルキルアクリレートコポリマーとのブレンドの例は、PCT公開第WO2
014/035483号に記載されている。
【0051】
一実施形態では、結合層は、0.1~2.0%の無水マレイン酸濃度を有する10~
50%の無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンと、50~90%のエチレンアルキルア
クリレートコポリマー(例えば、エチレンエチルアクリレートコポリマー、他)とのブレ
ンドを含む。別の実施形態では、結合層は、0.1~2.0%の無水マレイン酸濃度を有
する10~50%の無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンと、50~90%のエチレン
酢酸ビニルコポリマーとのブレンドを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、エチレンモノマーを含む無水マレイン酸グラフトポリマー
の代わりに、またはそれに加えて、結合層は、エチレンモノマーを含むアクリル酸修飾ポ
リマー、エチレンモノマーを含むアセテート修飾ポリマー、エチレンモノマーを含むアク
リレート修飾ポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施
形態において使用され得るエチレンモノマーを含む市販のアクリル酸修飾ポリマーの例と
しては、デュポンからNucrelという名前で市販されているもの、およびExxon
Mobil CorporationからEscor 5000、Escor 502
0、Escor 5050、Escor 5080、Escor 5100、およびEs
cor 6000などのEscorという名前で市販されているものが挙げられる。いく
つかの実施形態において使用され得るエチレンモノマーを含む市販のアセテート修飾ポリ
マーの例としては、Dupontから市販されている、Fusabond C250およ
びFusabond A560などのFusabond CおよびAシリーズが挙げられ
る。いくつかの実施形態において使用され得るエチレンモノマーを含む市販のアクリレー
ト修飾ポリマーの例としては、Dupontから市販されている、エチレンブチルアクリ
レート、エチルアクリレート、およびメチルアクリレートであり得るEvaloy AC
などが挙げられる。
【0053】
エチレンモノマーを含む1つ以上の無水マレイン酸グラフト化ポリマー、エチレンモ
ノマーを含むアクリル酸修飾ポリマー、エチレンモノマーを含むアセテート修飾ポリマー
、およびエチレンモノマーを含むアクリレート修飾ポリマーに加えて、いくつかの実施形
態では、結合層は、上記で考察された追加のポリマー(例えば、エチレンアルキルアクリ
レートコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、オクテンまたはヘキセンまた
はブテンまたはプロピレンを含むエラストマーエチレン/α-オレフィンコポリマー、エ
チレンを有するプロピレンベースのコポリマー、エチレンベースのオレフィンブロックコ
ポリマー、および結晶性ブロック複合体、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上
をさらに含むことができる。
【0054】
他の層
いくつかの実施形態では、一軸配向多層フィルムは、第1の層(ポリアミド層)、結
合層、およびシーラント層に加えて他の層を含むことができる。かかる実施形態では、シ
ーラント層は、(シーリング前の)フィルムの最外層である。本発明の封止された多層構
造で使用するための一軸配向多層フィルムの層の数は、例えば、フィルムの所望の特性、
封止された多層構造の所望の特性、封止された多層構造に対する最終使用用途、各層で使
用される所望のポリマー、フィルムの所望の厚さなどを含む多くの要因に依存し得る。例
えば、一軸配向多層フィルムは、例えば、バリア層、他の結合層、ポリエチレン層、ポリ
プロピレン層などを含む、用途に応じて、多層フィルムに典型的に含まれる他の層をさら
に含むことができる。
【0055】
一軸配向多層フィルムは、いくつかの実施形態では少なくとも3つの層を含む。いく
つかの実施形態では、一軸配向多層フィルムは、最大13層を含む。様々な実施形態にお
いて、一軸配向多層フィルムは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、また
は13層を含む。
【0056】
例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、第1の層の第1の結合層とは反
対側で、第1の層(ポリアミドを有する層)と接着接触している第2の結合層をさらに含
む。さらなる実施形態では、多層フィルムは、第2の結合層の第1の層とは反対側で、第
2の結合層と接着接触している別の層をさらに含み、この層は、0.865~0.965
g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有す
る少なくとも1つのポリエチレンを含む。
【0057】
添加剤
前述の層のいずれも、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、
ブロッキング防止剤、顔料または着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、および
発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤をさらに含み得ることを理解されたい。
【0058】
本発明の教示により、様々な一軸配向多層フィルムが、形成され得る。多層フィルム
は、機械方向にのみ配向され、本発明による封止された多層構造で使用されるとき、特に
望ましい特性を有することができる。
【0059】
当業者に既知の任意の方法により、機械方向に一軸配向される多層フィルムが、形成
され得る。例えば、かかる多層フィルムは、当業者に既知の技術を使用して、インフレー
ションフィルムまたはキャストフィルムとして共押出しすることができる。いくつかの実
施形態では、多層フィルムは、インフレーションフィルムである。
【0060】
配向の前に、多層フィルムは、いくつかの実施形態において、最大250ミクロンの
厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、配向前に200
ミクロン以下の厚さを有する。
【0061】
一度形成されると、多層フィルムは、次いで、本発明の封止された多層構造で使用す
るための一軸配向多層フィルムを提供するためにのみ、機械方向に配向される。多層フィ
ルムは、当業者に既知の技術を使用することによってのみ、機械方向に配向させることが
できる。本発明の実施形態によれば、多層フィルムは、1:1より大きく4:1未満の延
伸比で機械方向に配向される。この延伸比の範囲内で多層フィルムを配向することにより
、一軸配向多層フィルムは、別の多層フィルムにヒートシールされたときに予想外に高い
シール強度を呈し、ならびに本明細書でさらに考察されるようにいくつかの実施形態にお
ける他の改善を呈する。
【0062】
第2の多層フィルム
第1の一軸配向多層フィルムに加えて、本発明の封止された多層構造は、第2のフィ
ルム厚を有する第2の多層フィルムをさらに含む。第2の多層フィルムは、シーラント層
および少なくとも1つの追加の層を含む。
【0063】
シーラント層
第2の多層フィルムにおけるシーラント層は、第1の一軸配向多層フィルムに関連し
て上記に開示されたシーラント層のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、第2
の多層フィルムのシーラント層は、第1の一軸配向多層フィルムのシーラント層と同じ組
成を有する。
【0064】
他の層
第2の多層フィルムは、シーラント層に加えて少なくとも1つの層を含む。本発明の
封止された多層構造で使用するための第2の多層フィルムの層の数は、例えば、フィルム
の所望の特性、封止された多層構造の所望の特性、封止された多層構造に対する最終使用
用途、各層で使用される所望のポリマー、フィルムの所望の厚さなどを含む多くの要因に
依存し得る。例えば、第2の多層フィルムは、例えば、バリア層、結合層、ポリエチレン
層、ポリプロピレン層などを含む、用途に応じて、多層フィルムに典型的に含まれる他の
層をさらに含むことができる。第2の多層フィルムは、いくつかの実施形態において、少
なくとも2つの層を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムは
、少なくとも3つの層を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の多層フィル
ムは、最大13層を含む。様々な実施形態において、第2の多層フィルムは、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、または13層を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムは、シーラント層に加えて、ポリアミ
ドを含む層、ならびにポリアミドを含む層およびシーラント層と接着接触している結合層
をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムは、ポリアミドを
含む第1の層と、(2)0.865g/cm3~0.960g/cm3の密度、および0
.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチ
レンを含むシーラント層と、(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合
層と、を含む。かかる実施形態では、ポリアミドおよび結合層を含む第1の層は、第1の
一軸配向多層フィルムに関連して上記の層組成物のいずれかを含むことができる。さらに
、以下で考察されるように、いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムもまた一軸配
向することができる。
【0066】
ポリアミド層、結合層、およびシーラント層を含むいくつかの実施形態では、第2の
多層フィルムは、他の層を含むことができる。かかる実施形態では、シーラント層は、(
シーリング前の)フィルムの最外層である。例えば、いくつかの実施形態では、第2の多
層フィルムは、第1の層の第1の結合層とは反対側で、第1の層(ポリアミドを有する層
)と接着接触している第2の結合層をさらに含む。さらなる実施形態では、第2の多層フ
ィルムは、第2の結合層の第1の層とは反対側で、第2の結合層と接着接触している別の
層をさらに含み、この層は、0.865~0.965g/cm3の密度、および0.1~
10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを
含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムは、一軸配向多層フィルムと同じ組成
を有する(すなわち、同じ構造を有する)同じ層から成る。
【0068】
添加剤
第2の多層フィルムの前述の層のいずれも、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱
安定剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、顔料または着色剤、加工助剤、架橋触媒、難
燃剤、充填剤、および発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤をさらに含み得るこ
とを理解されたい。
【0069】
いくつかのさらなる実施形態では、第2の多層フィルムは、一軸配向することができ
る。第2の多層フィルムは、機械方向にのみ配向され、本発明による他の一軸配向多層フ
ィルムを有する封止された多層構造で使用されるとき、特に望ましい特性を有することが
できる。
【0070】
機械方向に一軸配向される第2の多層フィルムは、当業者に既知の任意の方法により
形成することができる。例えば、かかる多層フィルムは、当業者に既知の技術を使用して
、インフレーションフィルムまたはキャストフィルムとして共押出しすることができる。
いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムはインフレーションフィルムである。
【0071】
配向の前に、第2の多層フィルムは、いくつかの実施形態において、最大250ミク
ロンの厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、配向前に
200ミクロン以下の厚さを有する。
【0072】
一旦形成されると、第2の多層フィルムは、本発明の封止された多層構造で使用する
ための第2の一軸配向多層フィルムとして提供するように、いくつかの実施形態において
、機械方向にのみ配向することができる。第2の多層フィルムは、当業者に既知の技術を
使用することによってのみ、機械方向に配向させることができる。本発明の実施形態によ
れば、第2の多層フィルムは、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向さ
れる。この延伸比の範囲内で多層フィルムを配向することにより、第2の一軸配向多層フ
ィルムは、第1の一軸配向多層フィルムにヒートシールされたときに予想外に高いシール
強度を呈し、ならびに本明細書でさらに考察されるようにいくつかの実施形態における他
の改善を呈する。
【0073】
封止された多層構造および包装
本発明の封止された多層構造は、(例えば、第2の多層フィルムもまた一軸配向され
る実施形態を含む上記のように)第2の多層フィルムに封止された(上記のような)第1
の一軸配向フィルムを含む。特に、第1の一軸配向フィルムのシーラント層は、第2の多
層フィルムのシーラント層に封止される。
【0074】
第1の一軸配向フィルムは、当業者に既知のヒートシール技術を使用して、第2の多
層フィルムに封止することができる。例えば、封止された多層構造は、包装を作成すると
き形成することができる。本発明の多層構造を利用する包装は、いくつかの実施形態にお
いて、連続的に加熱された封止バーを利用するヒートシール包装機器で有利に形成するこ
とができる。2つのフィルムのシーラント層は、互いに接触して配置され、加熱された封
止バーは、熱を適用し、それが他の層を通ってシーラント層に伝達され、次いで互いに接
着する。一軸配向多層フィルムおよび第2の多層フィルムの外部層の耐熱特性は、連続的
に加熱された封止バーでの包装の形成中、フィルム構造を保護するのに役立つ。連続的に
加熱された封止バーを利用するこのような包装装置の例は、水平型充填封止機および垂直
型充填封止機を含む。このような機器から形成され得る封止された多層構造(例えば、包
装)の例としては、起立パウチ、四隅包装(ピローパウチ)、フィン封止包装などが挙げ
られる。
【0075】
本発明の実施形態によれば、第1の一軸配向フィルムが第2の多層フィルムに封止さ
れるときに観察される1つの現象は、(例えば、第2の多層フィルムもまた一軸配向され
ている実施形態を含み)封止された多層構造の総厚が、第1の配向フィルム厚と第2のフ
ィルム厚の合計よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、封止された多層構造
の総厚は、第1の配向フィルム厚と第2のフィルム厚の合計よりも少なくとも5パーセン
ト大きい。いくつかの実施形態では、封止された多層構造の総厚は、第1の配向フィルム
厚と第2のフィルム厚の合計よりも少なくとも8パーセント大きい。他の実施形態では、
封止された多層構造の総厚は、第1の配向フィルム厚と第2のフィルム厚の合計よりも少
なくとも9パーセント、少なくとも10パーセント、または少なくとも12パーセント大
きい。封止された多層構造の総厚は、いくつかの実施形態では、第1の配向フィルム厚お
よび第2のフィルム厚の合計よりも20パーセント大きい。いくつかの実施形態では、封
止された多層構造の総厚は、第1の配向フィルム厚と第2のフィルム厚の合計よりも最大
18パーセント大きい。
【0076】
封止された多層構造の厚さにおける増加はまた、シール強度の増加を有利に提供する
と考えられる。いくつかの実施形態では、第2の多層フィルムに対する第1の配向フィル
ムのシール強度は、第1の配向フィルムおよび第2の多層フィルムと同じフィルム構造な
らびに厚さを有する、2つの無配向フィルムのシール強度よりも少なくとも1.5倍大き
い。いくつかの実施形態では、第1の配向フィルムの第2の多層フィルムに対するシール
強度は、第1の配向フィルムおよび第2の多層フィルムと同じフィルム構造ならびに厚さ
を有する、2つの無配向フィルムのシール強度よりも最大3倍大きい。
【0077】
前に述べたように、第2の多層フィルムはまた、一軸配向することができる。いくつ
かの実施形態では、第1の一軸配向多層フィルムおよび第2の一軸配向多層フィルムの両
方が、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向される。いくつかのかかる
実施形態では、第1の配向フィルムの第2の配向フィルムに対するシール強度は、第1の
配向フィルムおよび第2の配向フィルムと同じフィルム構造ならびに厚さを有する、2つ
の非配向フィルムのシール強度よりも少なくとも1.5倍大きい。いくつかの実施形態で
は、第1の配向フィルムの第2の配向フィルムに対するシール強度は、第1の配向フィル
ムおよび第2の多層フィルムと同じフィルム構造ならびに厚さを有する、2つの無配向フ
ィルムのシール強度よりも最大3倍大きい。
【0078】
本発明の実施形態はまた、本発明の封止された多層構造から形成された、または封止
された多層構造を組み込む包装を含む。かかる包装は、本明細書に記載の封止された多層
構造のいずれかから形成することができる。
【0079】
そのようなパッケージの例には、可撓性パッケージ、パウチ、起立パウチ、および既
成パッケージまたはパウチが含まれ得る。いくつかの実施形態において、本発明の封止さ
れた多層構造は、食品包装に使用することができる。かかるパッケージに含まれ得る食品
の例には、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソース、および他のものが挙げら
れる。かかるパッケージは、本明細書の教示に基づいて、かつパッケージの特定の用途(
例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知である技術を使用して形
成することができる。
【0080】
包装を形成する方法
本発明のいくつかの実施形態は、包装を形成する方法に関する。一実施形態では、包
装を形成する方法は、
(a)
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.960g/cm3の密度、および0.1~10
g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む
シーラント層と、
(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を含む、第1の
多層フィルムを共押出しすることと、
(b)第1の多層フィルムを1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向
させて、第1の配向フィルム厚を有する第1の配向フィルムを提供することと、
(c)
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.960g/cm3の密度、および0.1~10
g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む
シーラント層と、
(3)第1の層およびシーラント層と接着接触している結合層と、を含む、第2の
多層フィルムを共押出しすることと、
(d)第2の多層フィルムを1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向
させて、第2の配向フィルム厚を有する第2の配向フィルムを提供することと、
(e)第1の配向フィルムのシーラント層の少なくとも一部分を第2の配向フィルム
のシーラント層の少なくとも一部分にヒートシールして、包装を形成することと、を含み
、
封止されたフィルムの総厚は、第1の配向フィルム厚と第2の配向フィルム厚の合計
の少なくとも5パーセント分大きい。第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムの組
成物ならびに構造は、本明細書に開示されるもののうちのいずれかであり得る。
【0081】
試験方法
本明細書に他に指示がない限り、本発明の態様を記載する上で以下の分析方法が使用
される。
【0082】
密度
密度測定のためのサンプルは、ASTM D1928に従って調製される。ポリマー
試料を、190℃および30,000psi(207MPa)で3分間、次いで21℃お
よび207MPaで1分間圧縮する。測定を、ASTM D792、方法Bを使用して、
サンプルの押圧から1時間以内に行う。
【0083】
メルトインデックス
「メルトインデックス」:I2(またはI2)およびI10(またはI10)は、そ
れぞれ、190℃で、2.16kg荷重および10kg荷重でASTM D-1238に
従って測定される。それらの値は、g/10分で報告される。「メルトフローレート」は
、ポリプロピレン系樹脂に使用され、ASTM D1238(2.16kgで230℃)
に従って判定される。
【0084】
ヒートシール強度
ヒートシール強度、またはシール強度は、以下のようにASTM F2029-00
を使用して測定される。いずれの厚さとなり得るフィルム試料は、0.27MPaの圧力
および0.5秒の滞留時間(100ミクロンを超える厚さのフィルムは、1秒の滞留時間
で封止する)で、異なる温度でそれ自体に封止される。試料は、24時間調整され、次い
で25mm片に切断され、次いでZwick引張試験装置で、500mm/分の速度で引
張られる。5つの複製試験試料を測定し、平均を記録する。破壊メカニズムもまた観察さ
れる(凝集破壊対層間剥離)。
【0085】
引張り強度
引張り強度は、ASTM D882に従って測定する。
【0086】
割線弾性係数
ASTM D882-12に従って、Zwick Universal試験機によっ
て、1%歪みおよび2%歪みでの割線弾性係数を、機械方向(MD)および横断方向(C
D)で測定する。
【0087】
エルメンドルフ引裂抵抗
エルメンドルフ引裂抵抗は、ASTM D1922に従って、縦方向(MD)および
横方向(TD)で測定する。
【0088】
耐破壊性
破壊性を、ASTM D5748-95の修正バージョンを使用して測定する。試料
は、24時間調整され、次いで150mmx150mmのフィルム試料に切断され、次い
でZwick引張試験装置で引張られる。フィルムを、修正された穿刺プローブで、25
0mm/分の速度で穿刺する。5つの複製試験試料を測定し、平均を記録する。
【0089】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例に詳細に説明する。
【実施例0090】
実施例では、3層(A/B/C)共押出フィルムおよび5層(A/B/C/B/D)
共押出フィルムを以下のように調整する。
【0091】
3層フィルム(フィルム1)は、次の構造(A/B/C=ポリアミド/結合層/ポリ
エチレン)を有する:
【表1】
【0092】
5つの異なる5層フィルムは、以下の構造(A/B/C/B/D=ポリエチレン1/
結合層/ポリアミド/結合層/ポリエチレン2)を有する:
【表2】
【表3】
【0093】
5番目の5層フィルム(フィルム7)は、以下の構造(A/B/C/B/D=ポリエ
チレン1/結合層/ポリアミド/結合層/ポリエチレン2)を有する:
【表4】
【0094】
上記の構造の層に関する厚さの比は、50ミクロンの厚さを有する機械方向配向フィ
ルムを提供するために、100ミクロン、150ミクロン、および200ミクロンのフィ
ルムが、それぞれ2:1、3:1、および4:1の延伸比で、機械方向に配向される状態
で、フィルムが、50ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、および200ミクロ
ンでキャストされるために提供される。
【0095】
フィルムは、Dr.Collin5層共押出キャストフィルムラインを使用して製造
される。このラインは、溝付き供給ゾーンを装備した、4つの25:1L/D単軸スクリ
ュー押出機から成る。3層フィルム(フィルム1)の場合、4つの押出機のうち3つのみ
が使用される。スクリュー径は、2つの外層(A層(ポリアミド)およびD(ポリエチレ
ン))の押出機で25mm、内層の押出機(C層(結合層))で30mmである。5層フ
ィルム(フィルム2~6)の場合、4つの押出機が使用される。スクリュー径は、押出機
A、B、Dで25mm、押出機Cで30mmである。スロットダイギャップは、0.7ミ
リメートルである。最大ライン速度は、30メートル/分で、LLDPEの最大出力は2
5kg/時間である。重量分析フィーダーもまた使用される。次の温度プロファイルが、
押出機で使用される。
【表5】
【0096】
フィルム1~6の試料は、50ミクロン、100ミクロン、150ミクロン、および
200ミクロンの複数の厚さでキャストされ、本明細書では、フィルム番号(厚さ)によ
って指定される(例えば、フィルム1(50)、フィルム1(100)、フィルム1(1
50)、フィルム1(200)、フィルム2(50)、フィルム2(100)など)。
【0097】
(50ミクロンのフィルムを除いた状態で)各フィルムがキャストされた後、Dr
. Collin MDO-IIセットアップを使用して、機械方向に50ミクロンの厚
さに配向される。フィルムは、(以下の表6に示されるように)8つの異なる温度ゾーン
内の加熱ローラを通過する、ここではシーラント層(フィルム1のポリエチレン層および
フィルム2~7のポリエチレン2層)は、加熱ローラと接触しない。
【表6】
【0098】
ヒートシール強度
フィルムのヒートシール強度は、上記の試験方法のセクションで説明されたように測
定され、その結果については以下で考察される。各フィルムは、指定された試験方法に従
ってそれ自体に封止される。
【0099】
フィルム1のヒートシール強度を測定し、表7に示す。
【表7】
【0100】
フィルム1の場合、シール強度は、配向の増加とともに増加し、その後4XのMDO
で再び減少する。フィルム1(100)およびフィルム1(150)は、いくつかの実施
形態による本発明の例を表す。以下で考察されるように、同様の結果が5層フィルムでも
観察される。
【0101】
フィルム2のヒートシール強度を測定し、表8に示す。
【表8】
【0102】
フィルム2の場合、シール強度は、配向の増加とともに増加し、その後4XのMDO
で再び減少する。フィルム2(100)およびフィルム2(150)は、いくつかの実施
形態による本発明の例を表す。
【0103】
フィルム3のヒートシール強度を測定し、表9に示す。
【表9】
【0104】
フィルム3の場合、最大シール強度は、3XのMDOで達成される。フィルム3(1
00)およびフィルム3(150)は、いくつかの実施形態による本発明の例を表す。
【0105】
フィルム4のヒートシール強度を測定し、表10に示す。
【表10】
【0106】
シーラント層として線状低密度ポリエチレンを使用するフィルム4の場合、最大シー
ル強度は、4XのMDOで達成される。フィルム4(100)、フィルム4(150)、
およびフィルム4(200)は、いくつかの実施形態による本発明の例を表す。
【0107】
フィルム5のヒートシール強度を測定し、表11に示す。
【表11】
【0108】
フィルム5の場合、シール強度は、配向の増加とともに増加するが、フィルム5は、
3XのMDOを超えて伸ばすことはできない。フィルム5(100)およびフィルム5(
150)は、いくつかの実施形態による本発明の例を表す。
【0109】
フィルム6のヒートシール強度を測定し、表12に示す。
【表12】
【0110】
フィルム6の場合、シール強度は、配向の増加とともに増加する。フィルム6(10
0)、フィルム6(150)、およびフィルム6(200)は、いくつかの実施形態によ
る本発明の例を表す。
【0111】
異なる結合層を利用するフィルム7のヒートシール強度を測定し、表13に示す。
【表13】
【0112】
フィルム7の場合、シール強度はまた、3Xで機械方向に配向されるとき増加する。
フィルム7(100)は、いくつかの実施形態による本発明の例を表す。
【0113】
機械的特性
3層フィルムおよび5層フィルムのうちの1つのある機械的特性もまた、上記の試験
方法に従って測定される。
【0114】
フィルム1およびフィルム2のエルメンドルフ引裂抵抗は、機械方向(MD)および
横方向(TD)で測定される。結果を、表14および表15に、それぞれ示す。
【表14】
【表15】
【0115】
表14および表15は、機械方向の配向が増加するにつれて、機械方向のエルメンド
ルフ引裂抵抗が増加することを示す。横方向のエルメンドルフ引裂抵抗は、配向が増加す
るにつれて減少する。
【0116】
フィルム1およびフィルム2の引張強度ならびに弾性率は、機械方向(MD)および
横方向(TD)で測定される。結果を、表16および表17に、それぞれ示す。
【表16】
【表17】
【0117】
表16および表17は、機械方向における引張強度の増加、ならびに機械方向の配向
の増加に伴う両方向の弾性率値の増加を示す。
【0118】
フィルム1およびフィルム2の耐破壊性もまた測定される。結果を、表18および表
19にそれぞれ示す。
【表18】
【表19】
【0119】
表18および表19は、配向の増加に伴いフィルムを穿刺するのに必要な力の増加を
示す。穿刺エネルギーもまた、配向が増加するにつれて減少する傾向がある。
【0120】
封止されたフィルムの厚さ
上記のように、シール強度の増加は、特に最大約3Xの延伸比で、機械方向の配向で
観察される。特定の封止されたフィルムが分析され、封止されたシーラント層の厚さの増
加が、配向フィルムで観察される。指定されたフィルムは、0.275MPa、130℃
の温度で0.5秒間それ自体に封止される。封止されたフィルムは、デジタルカメラ(モ
デル:Leica 300)を装備したLeica Optical Microsco
pe(モデル:DMLM/P)の下で分析されて、封止されたフィルムの層の厚さを測定
する。ミクロトームブレードを使用してフィルムを断面で切断し、光学顕微鏡で観察する
前に、フィルム試料を、修正したホルダ上にクランプする。
【0121】
フィルム2のコントロール(無配向)バージョン(フィルム2(50)および3Xの
延伸比で配向されたバージョン(フィルム2(150))が比較され、厚さが測定される
。フィルム2(150)の場合、機械方向の配向が3Xの場合、封止された領域(第1の
フィルムのシーラント層が第2のフィルムのシーラント層と接触する領域)の厚さは、3
1.78ミクロンであり、フィルム2の無配向バージョンにおけるその領域の厚さは、1
7.43ミクロンである。理論に縛られることを望まないが、機械方向の配向は耐熱性を
増加させ、その結果、配向されていない試料と比較して封止の薄化が少なくなると考えら
れる。
【0122】
3Xの延伸比で機械方向に配向されたフィルム5およびフィルム6のバージョン(フ
ィルム5(150)およびフィルム6(150))の全体的な厚さもまた、封止の前と後
で比較される。封止されていないフィルムは、100ミクロンの公称厚さを有する(2つ
の50ミクロンフィルムがともに封止される)。封止後、封止されたフィルム5(150
)の試料は、109ミクロンの総厚を有する。封止後、封止されたフィルム6(150)
の試料は、109ミクロンの総厚を有する。これは、かかる機械方向に配向された多層フ
ィルムのシーリング後にシーラント層の厚さが増加するという上記の観察と一致する。か
かる封止された多層構造は、本発明のいくつかの実施形態のさらなる例である。
前記第1の多層フィルムが、前記第1の層の前記結合層(第1の結合層)とは反対側で、前記第1の層と接着接触している第2の結合層をさらに含む、請求項1または2に記載の封止された多層構造。
前記第1の多層フィルムが、前記第2の結合層の前記第1の層とは反対側で、前記第2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、前記第2の層が、0.865~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む、請求項3に記載の封止された多層構造。
前記第1の多層フィルムが、前記第2の結合層の前記第1の層とは反対側で、前記第2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、前記第2の層が、ポリアミドを含む、請求項3に記載の封止された多層構造。
3Xの延伸比で機械方向に配向されたフィルム5およびフィルム6のバージョン(フィルム5(150)およびフィルム6(150))の全体的な厚さもまた、封止の前と後で比較される。封止されていないフィルムは、100ミクロンの公称厚さを有する(2つの50ミクロンフィルムがともに封止される)。封止後、封止されたフィルム5(150)の試料は、109ミクロンの総厚を有する。封止後、封止されたフィルム6(150)の試料は、109ミクロンの総厚を有する。これは、かかる機械方向に配向された多層フィルムのシーリング後にシーラント層の厚さが増加するという上記の観察と一致する。かかる封止された多層構造は、本発明のいくつかの実施形態のさらなる例である。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
封止された多層構造であって、
(a)第1の配向フィルム厚を有する第1の一軸配向多層フィルムであって、前記第1の配向フィルムが、
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシーラント層と、
(3)前記第1の層および前記シーラント層と接着接触している結合層と、を含み、
前記フィルムが、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向されている、第1の一軸配向多層フィルムと、
(b)シーラント層を含み、第2のフィルム厚を有する第2の多層フィルムと、を含み、
前記第1の配向フィルムの前記シーラント層が、前記第2のフィルムの前記シーラント層に封止されており、前記封止されたフィルムの総厚が、前記第1の配向フィルム厚および前記第2のフィルム厚の合計よりも少なくとも5パーセント大きい、封止された多層構造。
項2.
前記第2の多層フィルムが、一軸配向されており、
(1)ポリアミドを含む第1の層と、
(2)0.865g/cm3~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含むシーラント層と、
(3)前記第1の層および前記シーラント層と接着接触している結合層と、を含み、
前記フィルムが、1:1より大きく4:1未満の延伸比で機械方向に配向されている、項1に記載の封止された多層構造。
項3.
前記第1の配向フィルムが、前記第1の層の前記第1の結合層とは反対側で、前記第1の層と接着接触している第2の結合層をさらに含む、項1または2に記載の封止された多層構造。
項4.
前記第1の配向フィルムが、前記第2の結合層の前記第1の層とは反対側で、前記第2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、前記第2の層が、0.865~0.965g/cm3の密度、および0.1~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する少なくとも1つのポリエチレンを含む、項3に記載の封止された多層構造。
項5.
前記第1の配向フィルムが、前記第2の結合層の前記第1の層とは反対側で、前記第2の結合層と接着接触している第2の層をさらに含み、前記第2の層が、ポリアミドを含む、項3に記載の封止された多層構造。
項6.
前記第1の一軸配向フィルムが、最大13層を含む、項1~5のいずれかに記載の封止された多層構造。
項7.
前記第1の配向フィルムおよび前記第2の多層フィルムが、同じ構造を有する、項2~6のいずれかに記載の封止された多層構造。
項8.
前記第1の配向フィルムの前記第2の多層フィルムに対するシール強度が、前記第1の配向フィルムおよび前記第2の多層フィルムと同じフィルム構造ならびに厚さを有する、2つの無配向フィルムのシール強度よりも少なくとも1.5倍大きい、項2~7のいずれかに記載の封止された多層構造。
項9.
前記第1の多層フィルム内の前記第1の結合層が、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを含む、項1~8のいずれかに記載の封止された多層構造。
項10.
項1~9のいずれかに記載の前記封止された多層構造を含む包装。