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特開2024-160385反応混合物からの過剰なオリゴヌクレオチドの除去
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  • 特開-反応混合物からの過剰なオリゴヌクレオチドの除去 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160385
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】反応混合物からの過剰なオリゴヌクレオチドの除去
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6813 20180101AFI20241106BHJP
【FI】
C12Q1/6813 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024141793
(22)【出願日】2024-08-23
(62)【分割の表示】P 2022567275の分割
【原出願日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】63/021,875
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ,サミュエル・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オフアラチャイン,メイブ・イー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反応混合物から過剰なオリゴヌクレオチドを二重ヘアピン核酸で捕捉し、隔離することによって除去する方法を提供する。
【解決手段】反応混合物から望ましくないオリゴヌクレオチドを除去する方法であって、前記反応混合物を、5’-末端の第1のヘアピン、3’-末端の第2のヘアピン、および、前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域であって、除去すべき前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む一本鎖領域、を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させること、前記除去すべきオリゴヌクレオチドを前記二重ヘアピン核酸にアニーリングすること、前記除去すべきオリゴヌクレオチドを前記二重ヘアピン核酸の末端に連結して環状の不活性生成物を形成し、それにより、前記反応混合物から前記望ましくないオリゴヌクレオチドを除去すること、を含む、前記方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応混合物から望ましくないオリゴヌクレオチドを除去する方法であって、
a.前記反応混合物を、
i.5’-末端の第1のヘアピン、
ii.3’-末端の第2のヘアピン、および、
iii.前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域であって、除去すべき前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む一本鎖領域、
を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させること、
b.前記除去すべきオリゴヌクレオチドを前記二重ヘアピン核酸にアニーリングすること、
c.前記除去すべきオリゴヌクレオチドを前記二重ヘアピン核酸の末端に連結し、それにより、前記反応混合物から前記望ましくないオリゴヌクレオチドを除去すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
工程cの前に前記反応混合物をリガーゼと接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応混合物が、工程aの前にリガーゼを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二重ヘアピン核酸が5’-リン酸基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一本鎖領域が、単一の中間領域に隣接して、前記除去すべきオリゴヌクレオチドに対して相補性の2つの領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記中間領域が、非ヌクレオチドスペーサーである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中間領域が、イノシンヌクレオチドを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記除去すべきオリゴヌクレオチドが、複数のオリゴヌクレオチドの間で変化する単一のバーコード領域に隣接する2つの定常領域を有する複数のオリゴヌクレオチドを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
反応混合物からオリゴヌクレオチドを捕捉するための二重ヘアピン核酸であって、前記二重ヘアピン核酸が、
a.5’-末端の第1のヘアピン、
b.3’-末端の第2のヘアピン、および、
c.前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域、
を有する単一核酸鎖を含み、
前記一本鎖領域が、除去すべき前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む、前記二重ヘアピン核酸。
【請求項10】
前記一本鎖領域が、単一の中間領域に隣接して、前記除去すべきオリゴヌクレオチドに対して相補性の2つの領域を含む、請求項9に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記中間領域が、非ヌクレオチドスペーサーである、請求項10に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記中間領域が、イノシンヌクレオチドからなる、請求項10に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
反応混合物中の複数の細胞中の複数の標的を検出する方法であって、
a.複数の細胞中の前記標的に、それぞれが前記標的の1つに特異的な複数の固有の結合剤を結合させること、
b.複数のサブコードオリゴヌクレオチドを、スプリットプール合成の連続ラウンド中に、前記複数の細胞中の前記結合剤のそれぞれに順序付けられた方法で付加すること、ここで、各ラウンド中の前記サブコードオリゴヌクレオチドがアニーリング領域を介して前のラウンドからの前記サブコードオリゴヌクレオチドに隣接してアニーリングする、および、前記隣接してアニーリングしたサブコードオリゴヌクレオチドを互いに共有結合させて、各細胞中に固有の細胞起源ヌクレオチドコードを作製すること、
c.前記反応混合物を、5’-末端の第1のヘアピン、3’-末端の第2のヘアピン、および、前記サブコードオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域、を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させることによって過剰なサブコードオリゴヌクレオチドを除去すること、
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記サブコードオリゴヌクレオチドが、2つのアニーリング領域に隣接するバーコード領域を含み、前記二重ヘアピン核酸の前記一本鎖領域が、前記サブコードオリゴヌクレオチド中の前記アニーリング領域にハイブリダイズすることができる2つの配列に隣接する前記バーコード領域と長さが等しいスペーサーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
過剰な増幅プライマーを含まない増幅された標的核酸の溶液を調製する方法であって、
a.核酸合成を支持する試薬の存在下で、標的核酸を含有する反応混合物を、フォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーならびに熱安定性核酸ポリメラーゼと接触させること、
b.前記反応混合物を、前記フォワード増幅プライマーおよび前記リバース増幅プライマーのアニーリングおよび伸長に適した熱サイクリングプロファイルに供すること、
c.前記熱サイクリングプロファイルの完了後に、前記反応混合物を、核酸リガーゼならびに
i.5’-末端の第1のヘアピン、
ii.3’-末端の第2のヘアピン、および、
iii.前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域であって、前記フォワード増幅プライマーまたは前記リバース増幅プライマーにハイブリダイズすることができる、一本鎖領域、
を有する単一核酸鎖からなる二重ヘアピン核酸と接触させること、
d.前記フォワード増幅プライマーおよび前記リバース増幅プライマーを対応する前記二重ヘアピン核酸に連結し、それにより、前記フォワード増幅プライマーおよび前記リバース増幅プライマーを前記増幅された標的核酸の溶液から除去すること、
を含む、前記方法。
【請求項16】
過剰な増幅プライマーを含まない増幅された標的核酸の溶液を調製する方法であって、
a.標的核酸を含有する反応混合物を、前記標的核酸に隣接してハイブリダイズすることができる第1のプローブおよび第2のプローブ、ならびに連結を支持する試薬の存在下で熱安定性リガーゼと接触させること、
b.前記反応混合物を、前記第1のプローブおよび前記第2のプローブを互いにアニーリングおよび連結に適した熱サイクリングプロファイルに供すること、
c.前記熱サイクリングプロファイルの完了後に、前記反応混合物を
i.5’-末端の第1のヘアピン、
ii.3’-末端の第2のヘアピン、および、
iii.前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域であって、前記第1の
プローブまたは前記第2のプローブにハイブリダイズすることができる、一本鎖領域、
を有する単一核酸鎖からなる二重ヘアピン核酸と接触させること、
d.前記第1のプローブおよび前記第2のプローブを対応する前記二重ヘアピン核酸に連結し、それにより、前記第1のプローブおよび前記第2のプローブを前記増幅された標的核酸の溶液から除去すること、
を含む、前記方法。
【請求項17】
過剰なアダプター分子を含まない核酸のライブラリーを形成する方法であって、
a.核酸を含む反応混合物をアダプター分子およびリガーゼと接触させること、
b.前記アダプター分子を前記核酸の末端に連結すること、
c.前記反応混合物を、
i.5’-末端の第1のヘアピン、
ii.3’-末端の第2のヘアピン、および、
iii.前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域であって、前記アダプター分子にハイブリダイズすることができる、一本鎖領域、
を有する単一核酸鎖からなる二重ヘアピン核酸と接触させること、
d.前記アダプター分子を前記二重ヘアピン核酸に連結し、それにより、増幅された標的核酸の溶液から前記アダプター分子を除去すること、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、核酸の分野に関する。より具体的には、本発明は、核酸を含むインビトロ反応の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
核酸の短鎖(「オリゴヌクレオチド」)を利用する反応は、反応混合物中に残っている過剰なオリゴヌクレオチドで終了することが多い。これらのオリゴヌクレオチドは、互いに相互作用するかまたはオフターゲットのサンプル核酸と相互作用することによって下流プロセスを妨げることができる。そのような相互作用は、必須の試薬を枯渇させ、所望の反応を妨げる。
【0003】
過剰なオリゴヌクレオチドには、増幅プライマー、プローブおよびアダプター分子が含まれる。例えば、増幅反応(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および連結連鎖反応(LCR)を含む)は、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを利用する。増幅産物に組み込まれていない過剰な増幅プライマーおよびプローブは、下流処理の前に除去する必要がある。
【0004】
一分子大規模並列シーケンシングは、ユニバーサルプライミング結合部位および他の必要な特徴を有するオリゴヌクレオチドアダプター分子をライブラリー中の各核酸の末端に結合させることによって核酸ライブラリーを形成することを含む。ライブラリーが形成された後、ライブラリー核酸に組み込まれていない過剰なアダプター分子を除去する必要がある。
【0005】
単一細胞分析の分野では、米国特許第10,144,950号は、各細胞が固有のコンビナトリアルバーコードで標識されている、量子バーコード化(QBC)と呼ばれる単一細胞分析の新規プロセスを記載している。コンビナトリアルバーコードは、サブコードオリゴヌクレオチドから構築される。コード組み立てプロセスの終わりに、過剰なサブコードを除去する必要がある。
【0006】
典型的には、除去は、沈殿、遠心分離またはビーズ捕捉を含む多段階プロセスを含む。これらの工程は、時間および試薬を消費し、過剰なオリゴヌクレオチドから分離される標的核酸の喪失を引き起こす。したがって、反応混合物から過剰なオリゴヌクレオチドを除去する実用的かつ経済的な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、反応混合物から過剰なオリゴヌクレオチドを二重ヘアピン核酸で捕捉し、隔離することによって除去する方法である。過剰なオリゴヌクレオチドは、二重ヘアピン構造に連結され、下流の用途に干渉しないトポロジー的に円形の閉じた核酸鎖を形成する。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明は、反応混合物から望ましくないオリゴヌクレオチドを除去する方法であって、反応混合物を、5’-末端の第1のヘアピンと、3’-末端の第2のヘアピンと、5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域であって、除去すべきオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む一本鎖領域と、を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させることと、除去すべきオリゴヌクレオ
チドを二重ヘアピン核酸にアニーリングすることと、除去すべきオリゴヌクレオチドを二重ヘアピン核酸の末端に連結し、それにより、反応混合物から望ましくないオリゴヌクレオチドを除去することと、を含む方法である。この方法は、反応混合物をリガーゼと接触させることをさらに含み得る。他の実施形態において、反応混合物は既にリガーゼを含む。いくつかの実施形態において、二重ヘアピン核酸は5’-リン酸基を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖領域は、単一の中間領域に隣接して、除去すべきオリゴヌクレオチドに対して相補性の2つの領域を含む。中間領域は、非ヌクレオチドスペーサーまたはイノシンヌクレオチドを含む領域であり得る。いくつかの実施形態において、除去すべきオリゴヌクレオチドは、複数のオリゴヌクレオチドの間で変化する単一のバーコード領域に隣接する2つの定常領域を有する複数のオリゴヌクレオチドを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明は、反応混合物からオリゴヌクレオチドを捕捉するための二重ヘアピン核酸であり、二重ヘアピン核酸は、5’-末端の第1のヘアピンと、3’-末端の第2のヘアピンと、5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域と、を有する単一核酸鎖を含み、一本鎖領域が、除去すべきオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む。オリゴヌクレオチドは、RNAまたはDNAから構成され得る。いくつかの実施形態において、一本鎖領域は、単一の中間領域に隣接して、除去すべきオリゴヌクレオチドに対して相補性の2つの領域を含む。中間領域は、非ヌクレオチドスペーサーであってもよいし、イノシンヌクレオチドで構成されていてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、本発明は、反応混合物中の複数の細胞中の複数の標的を検出する方法であって、複数の細胞中の標的に、それぞれが標的の1つに特異的な複数の固有の結合剤を結合させることと、複数のサブコードオリゴヌクレオチドを、スプリットプール合成の連続ラウンド中に、複数の細胞中の結合剤のそれぞれに順序付けられた方法で付加することであって、各ラウンド中のサブコードオリゴヌクレオチドがアニーリング領域を介して前のラウンドからのサブコードオリゴヌクレオチドに隣接してアニーリングする、複数の細胞中の前記結合剤のそれぞれに順序付けられた方法で付加することと、隣接してアニーリングしたサブコードオリゴヌクレオチドを互いに共有結合させて、各細胞中に固有の細胞起源ヌクレオチドコードを作製することと、反応混合物を、5’-末端の第1のヘアピンと、3’-末端の第2のヘアピンと、サブコードオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域と、を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させることによって過剰なサブコードオリゴヌクレオチドを除去することと、を含む、方法である。方法は、サンプルをポリヌクレオチドキナーゼと接触させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、サブコードオリゴヌクレオチドが、2つのアニーリング領域に隣接するバーコード領域を含み、二重ヘアピン核酸の一本鎖領域が、サブコードオリゴヌクレオチド中のアニーリング領域にハイブリダイズすることができる2つの配列に隣接するバーコード領域と長さが等しいスペーサーを含む。スペーサーは、炭素リンカーであり得るか、またはイノシン含有ヌクレオチドを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰な増幅プライマーを含まない増幅された標的核酸の溶液を調製する方法であって、核酸合成を支持する試薬の存在下で、標的核酸を含有する反応混合物を、フォワードおよびリバース増幅プライマーならびに熱安定性核酸ポリメラーゼと接触させることと、反応混合物を、フォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーのアニーリングおよび伸長に適した熱サイクリングプロファイルに供することと、熱サイクリングプロファイルの完了後に、反応混合物を、核酸リガーゼおよび5’-末端の第1のヘアピンと、3’-末端の第2のヘアピンと、5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域であって、フォワード増幅プライマーまたはリバース増幅プラ
イマーにハイブリダイズすることができる一本鎖領域と、を有する単一核酸鎖からなる二重ヘアピン核酸と接触させることと、フォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーを対応する二重ヘアピン核酸に連結し、それにより、フォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーを増幅された標的核酸の溶液から除去することと、を含む、方法である。この方法は、サンプルをポリヌクレオチドキナーゼと接触させることをさらに含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰な増幅プライマーを含まない増幅された標的核酸の溶液を調製する方法であって、標的核酸を含有する反応混合物を、標的核酸に隣接してハイブリダイズすることができる第1のプローブおよび第2のプローブ、ならびに連結を支持する試薬の存在下で熱安定性リガーゼと接触させることと、反応混合物を、第1のプローブおよび第2のプローブを互いにアニーリングおよび連結に適した熱サイクリングプロファイルに供することと、熱サイクリングプロファイルの完了後に、反応混合物を5’-末端の第1のヘアピンと、3’-末端の第2のヘアピンと、5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域であって、第1のプローブまたは第2のプローブにハイブリダイズすることができる一本鎖領域と、を有する単一核酸鎖からなる二重ヘアピン核酸と接触させることと、第1のプローブおよび第2のプローブを対応する二重ヘアピン核酸に連結し、それにより、第1のプローブおよび第2のプローブを増幅された標的核酸の溶液から除去することと、を含む、方法である。この方法は、サンプルをポリヌクレオチドキナーゼと接触させることをさらに含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰なアダプター分子を含まない核酸のライブラリーを形成する方法であって、核酸を含む反応混合物をアダプター分子およびリガーゼと接触させることと、アダプター分子を核酸の末端に連結することと、反応混合物を、5’-末端の第1のヘアピンと、3’-末端の第2のヘアピンと、5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域であって、アダプター分子にハイブリダイズすることができる一本鎖領域と、を有する単一核酸鎖からなる二重ヘアピン核酸と接触させることと、アダプター分子を二重ヘアピン核酸に連結し、それにより、増幅された標的核酸の溶液からアダプター分子を除去すること、を含む、方法である。いくつかの実施形態において、アダプター分子は、少なくとも1つの二本鎖領域を形成する2つのオリゴヌクレオチドからなる。いくつかの実施形態において、反応混合物は、アダプター分子を一本鎖に分離するのに十分な高温に供される。いくつかの実施形態において、二重ヘアピン核酸は、それぞれがアダプター分子の1本の鎖に相補的な一本鎖領域を有する2つの二重ヘアピン核酸の混合物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】二重ヘアピン構造および使用方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
「核酸」という用語は、ヌクレオチドポリマーを指し、特に限定されない限り、天然に生じるヌクレオチドと同様の様式(例えば、ハイブリダイズする)で機能することができる天然ヌクレオチドの既知の類似体を含む。
【0017】
「ヌクレオチド配列」および「核酸」という用語は互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらの類似体のいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してよく、既知または未知の任意の機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である。遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、遺伝子間DNA、連鎖解析から定義される遺伝子座(遺伝子座)、エクソン、イントロン、
メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA、リボザイム、相補的DNA(cDNA)、通常はメッセンジャーRNA(mRNA)の逆転写または増幅によって得られるmRNAのDNA提示である;合成的にまたは増幅によって産生されたDNA分子、ゲノムDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ分子および増幅プライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合にはヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分とのコンジュゲーションなどによって、重合後にさらに修飾され得る。ポリヌクレオチド配列が提供される場合、別段の記載がない限り、5’から3’方向に列挙される。「オリゴヌクレオチド」という用語は、より短い核酸、典型的には100ヌクレオチド長以下を指すが、より長い核酸もまたオリゴヌクレオチドと呼ばれることがある。
【0018】
核酸「プローブ」は、一般に相補的塩基対形成を介して、通常は水素結合形成を介して、1つまたは複数のタイプの化学結合を介して相補的配列の標的核酸に結合し、したがって二重鎖構造を形成することができるオリゴヌクレオチドである。プローブは、「プローブ結合部位」に結合またはハイブリダイズする。プローブは、特にプローブがその相補的標的にハイブリダイズした後に、プローブの容易な検出を可能にするために検出可能な標識で標識することができる。しかしながら、代替的に、プローブは、標識されていなくてもよいが、標識されたリガンドとの特異的結合によって直接的または間接的に検出可能であってもよい。
【0019】
「エピトープ」および「標的分子」という用語は、本明細書に記載の方法によって検出および/または定量される目的の分子(タンパク質または核酸)を指すために本明細書で互換的に使用される。
【0020】
「標的オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書に開示される新規方法によって反応混合物から除去すべきオリゴヌクレオチドまたは枯渇すべきオリゴヌクレオチドを指す。標的オリゴヌクレオチドは、上で定義された標的分子と類似性(例えば、いくつかの核酸配列を共有する)を共有し得るが、標的オリゴヌクレオチドを標的化することは、本明細書に開示される方法に従って反応混合物から標的オリゴヌクレオチドを除去することのみを指す。標的オリゴヌクレオチドは、「過剰オリゴヌクレオチド」、「望ましくないオリゴヌクレオチド」、「枯渇すべきオリゴヌクレオチド」および「除去すべきオリゴヌクレオチド」と互換的に呼ばれる。
【0021】
核酸に関連する「ヘアピン」という用語は、互いに相補的であり、互いにアニーリングすることができる部分を少なくとも有する核酸の一本鎖によって形成された二次構造を指す。ヘアピンは、アニーリング時に核酸鎖が鋭い屈曲を行うように、2つの相補的領域の間に短い介在領域を含む。より長い介在領域を有するヘアピンは鋭い屈曲を形成せず、代わりにループを形成し、この構造は「ステムループ」構造と呼ばれることがある。ヘアピンとステムループとの間の正確な描写はない。より小さいループを有するステムループ構造は、ヘアピンと呼ばれることがある。
【0022】
本発明は、改良された方法であるか、または精製工程なしで反応混合物から過剰なオリゴヌクレオチドまたは望ましくないオリゴヌクレオチドを除去することである。この方法は、ほとんどまたは全く実施時間がなく、所望の生成物を失うことなく、オリゴヌクレオチドの容易な除去または不活性化を可能にする。
【0023】
オリゴヌクレオチドの混合物を含む反応では、問題のある副反応の基質として機能し得るので、副生成物および過剰な試薬を制御し、除去することが重要である。プライマー-プライマーまたはプローブ-プローブ相互作用、オフターゲットプライミングおよびオフターゲットプローブ結合などの副反応は、反応物を隔離するかまたは反応成分を消費することによる意図された反応の反応速度論に影響を与える。本明細書に開示される発明は、特異的オリゴヌクレオチド配列を副反応およびオフターゲット塩基対形成に対して不活性にする方法および組成物を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書で「二重ヘアピン」(図1)と呼ばれる短いオリゴヌクレオチド(DNAまたはRNA)を含む。未使用の過剰分を除去するオリゴヌクレオチドを含む反応の完了後に、二重ヘアピンを反応混合物に添加する。この二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの配列は、それが1)その末端のそれぞれでヘアピンを形成し、2)除去されるかまたは不活性にされるオリゴヌクレオチド(「標的オリゴヌクレオチド」)に結合するヘアピン間に中間区分を有するように設計される。二重ヘアピンオリゴヌクレオチドを標的オリゴヌクレオチドを含有する混合物に添加すると、標的オリゴヌクレオチドは二重ヘアピンの中間区分にアニーリングする。アニーリングすると、リガーゼ酵素を使用して、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの5’-末端と3’-末端の両方と、標的オリゴヌクレオチドの5’-末端と3’-末端の両方との間に共有結合を形成し、したがって、トポロジー的に環状の不活性生成物を形成する。
【0025】
環状化生成物は、標的オリゴヌクレオチドをいくつかの方法で不活性にする。第1に、連結は、標的オリゴヌクレオチドの3’-末端が、指数関数的増幅反応を含む任意のプライマー伸長反応において増幅プライマーとして働くのを阻止する。第2に、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドとの塩基対形成は、標的オリゴヌクレオチドが反応混合物中の他の核酸と塩基対形成するのを妨げる。
【0026】
本発明は、サンプルから核酸を操作する方法を含む。いくつかの実施形態において、サンプルは、対象または患者に由来する。いくつかの実施形態において、サンプルは、例えば生検によって、対象または患者に由来する固形組織または固形腫瘍の断片を含み得る。サンプルはまた、核酸を含み得る体液(例えば、尿、痰、血清、血漿またはリンパ、唾液、痰、汗、涙、脳脊髄液、羊水、滑液、心膜液、腹水、胸水、嚢胞液、胆汁、胃液、腸液、または糞便サンプル)を含み得る。サンプルは、核酸が存在し得る全血または血液画分を含み得る。他の実施形態において、サンプルは、培養サンプル、例えば、核酸が単離され得る細胞を含有する組織培養物である。いくつかの実施形態において、サンプル中の目的の核酸は、ウイルス、細菌、原虫または真菌などの感染因子に由来する。いくつかの実施形態において、サンプル細胞は、標的の除去すべきオリゴヌクレオチドを含む手順で使用される。他の実施形態において、サンプルから単離された核酸が使用される。
【0027】
いくつかの実施形態において、核酸は、サンプルから単離される必要がある。DNA抽出の方法は当技術分野で周知である。J.Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、1989、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressニューヨーク州、ニューヨークを参照されたい)。生物学的サンプル(例えば、BD Biosciences Clontech(カリフォルニア州、パロアルト)、Epicentre Technologies(ウィスコンシン州、マディソン)、Gentra Systems,INC.(ミネソタ州、ミネアポリス)、およびQiagen,INC.(カリフォルニア州、バレンシア)、Ambion,Inc.(テキサス州、オースチン)、BioRad Laboratories(カリフォルニア州、ハーキュリーズ)などから核酸(DNAまたはRNA)を抽出するための様々なキットが市販されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、精製は、アフィニティ結合によるものである。この実施形態の変形例において、アフィニティは、特異的標的配列(配列捕捉)に対するものである。他の実施形態において、増幅プライマーはアフィニティタグを含む。ビオチン、抗体、または特異的抗体が存在する抗原など、当技術分野で公知の任意のアフィニティタグを使用することができる。アフィニティタグに対するアフィニティパートナーは、溶液中、例えば懸濁粒子またはビーズなどの溶液相固体支持体上に存在するか、または固相支持体に結合していてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、核酸はサイズによって分離され、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動またはエピタコフォレーシスを用いて精製される。
【0030】
目的の核酸、タンパク質または他のマーカーは、細胞または反応混合物中に存在してよく、検出または定量手順の標的であり得る。検出または定量手順は、過剰なオリゴヌクレオチドの除去によって本明細書に開示されるように改善される。
【0031】
各核酸標的は、その核酸配列によって特徴付けられる。各タンパク質標的は、そのアミノ酸配列および特異的抗体によって認識されるそのエピトープによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、標的核酸は、遺伝子バリアントの遺伝子座、例えば一塩基多型もしくはバリアント(SNVのSNP)を含む多型、または例えば遺伝子融合をもたらす遺伝子再編成を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質バイオマーカーは、固有のエピトープの作製をもたらすアミノ酸変化を含む。いくつかの実施形態において、標的核酸または標的タンパク質は、バイオマーカー、すなわち、そのバリアントが疾患または症状に関連する遺伝子またはタンパク質抗原を含む。例えば、標的核酸およびタンパク質は、2015年9月10日に出願された米国特許出願第14/774,518号に記載されている。そのようなパネルは、AVENIO ctDNA分析キット(Roche
Sequencing Solutions、カリフォルニア州プレザントン)として入手可能である。他の実施形態において、標的核酸およびタンパク質は、特定の生物に特徴的であり、生物または薬剤感受性若しくは薬剤耐性などの病原性生物の特徴の同定を助ける。さらに他の実施形態において、標的核酸またはタンパク質は、ヒト対象の固有の特徴、例えば、対象の固有のHLAまたはKIR遺伝子型を規定するHLAまたはKIR配列の組み合わせである。さらに他の実施形態において、標的核酸は、免疫グロブリン(IgG、IgMおよびIgA免疫グロブリンを含む)またはT細胞受容体配列(TCR)を表す再編成された免疫配列などの体細胞配列である。さらに別の適用では、標的は、胎児の疾患若しくは状態または妊娠に関連する母体の状態に特徴的な胎児配列を含む、母体血液中に存在する胎児配列である。例えば、標的は、Zhang et al.(2019)Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA,Nature Med.25(3):439に記載の常染色体またはX連鎖障害の1つまたは複数であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、標的は核酸(mRNA、マイクロRNA、ウイルスRNA、細胞DNAまたは循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む無細胞DNA(cfDNA)を含む)である。
【0033】
いくつかの実施形態において、標的は細胞において発現されるタンパク質である。例えば、タンパク質標的は細胞表面タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、細胞表面タンパク質は、阻害受容体(例えば、Pdcd1、Havrcr2、Lag3、CD244、Entpd1、CD38、CD101、Tigit、CTLA4)、細胞表面
受容体(例えば、TNFRSF9、TNFRSF4、Klrg1、CD28、Icos、IL2Rb、IL7R)またはケモカイン受容体(例えば、CX3CR1、CCL5、CCL4、CCL3、CSF1、CXCR5、CCR7、XCL1およびCXCL10)から選択されるリンパ球表面タンパク質である。いくつかの実施形態において、タンパク質は、CD4、CD8、CD11、CD16、CD19、CD20、CD45、CD56およびCD279から選択される。
【0034】
図1を参照すると、本発明は、反応混合物から望ましくないオリゴヌクレオチドを捕捉するための二重ヘアピン核酸とも呼ばれる二重ヘアピンオリゴヌクレオチドを含む新規組成物を含む。オリゴヌクレオチドは、3つの部分:5’-末端の第1のヘアピン、3’-末端の第2のヘアピン、および5’-末端と3’-末端ヘアピンとの間の一本鎖領域を含み、一本鎖領域は、除去すべきオリゴヌクレオチド(「標的オリゴヌクレオチド」)にハイブリダイズすることができる。
【0035】
ヘアピンの各々は、互いに安定なハイブリッドを形成し、ハイブリダイズした配列間にDNA(またはRNA)屈曲部を形成することができるオリゴヌクレオチド内の2つの配列によって形成される。いくつかの実施形態において、一方または両方のヘアピンは、互いに完全に相補性の領域によって形成される。他の実施形態において、一方または両方のヘアピンは、部分的に相補的な配列のみによって形成され、それにもかかわらず、安定なヘアピンを形成する。
【0036】
いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドのヘアピン領域の一方または両方は、ヘアピン構造の熱安定性(溶融温度、Tm)を高める1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。例えば、一方または両方のヘアピン部分は、5-メチルシトシン、2,6-ジアミノプリン、5-ヒドロキシブチン-2’-デオキシウリジン、8-アザ-7-デアザグアノシン、リボヌクレオチド、2’O-メチルリボヌクレオチドまたはロックド核酸のうちの1つまたは複数を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、ヘアピン形成配列は人工的であり、場合によりインシリコでの設計核酸配列である。他の実施形態において、ヘアピン形成配列は、Bikardら、(2010)Folded DNA in Action:Hairpin Formation and Biological Functions in Prokaryotes、Microbiol.Mol.Biol.Review 74(4):570-588;またはBrazdaら、(2011)Cruciform structures are a common DNA feature important for regulating biological process、BMC Mol.Biol.12:33.で概説されている天然に生じるヘアピン形成配列である。
【0038】
ヘアピンの一本鎖部分は、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの両末端との標的オリゴヌクレオチドの連結を可能にするために、標的オリゴヌクレオチドと安定なハイブリッドを形成するように設計される。当業者は、互いに完全に相補的であるだけでなく、完全に相補的でない核酸鎖によって安定なハイブリッドが形成され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖領域は、標的オリゴヌクレオチドと部分的に相補的である。いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖領域は、標的オリゴヌクレオチドと完全に相補的である。いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖領域の一部は、標的オリゴヌクレオチドと完全に相補的である。いくつかの実施形態において、一本鎖領域の5’-末端隣接部分および3’-末端隣接部分は、標的オリゴヌクレオチドの3’-末端隣接部分および5’-末端隣接部分に完全に相補的であるが、一本鎖領域の中間部分は、標的オリゴヌクレオチドの中間部分に相補的ではないか、または部分的にのみ相補的で
ある。
【0039】
いくつかの実施形態において、折り畳まれていない二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、約40~約200ヌクレオチド長である。ヘアピン形成配列は、約9~約40ヌクレオチド長である。2つのヘアピン領域のいずれにも規定の長さはないが、反応混合物中のヘアピンの安定性を確保するのに十分な長さの領域を有することが望ましい。当業者は、様々な温度および塩条件下での核酸二重鎖(溶融温度、Tm)の安定性を予測する様々なツールにアクセスすることができる。一本鎖領域は、標的オリゴヌクレオチドを収容するように特注される。増幅プライマー、プローブおよびアダプター分子を含むオリゴヌクレオチドは、典型的には10~100ヌクレオチド長の範囲であり、大部分は20~50ヌクレオチド長の間にある。したがって、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖領域は、約10~約100ヌクレオチド長、最も頻繁には20~50ヌクレオチド長の範囲である。
【0040】
いくつかの実施形態において、本発明は、反応混合物から過剰なオリゴヌクレオチドまたは望ましくないオリゴヌクレオチド(「標的オリゴヌクレオチド」)を除去する方法である。この方法は、標的オリゴヌクレオチドを含有する反応混合物を、5’-末端に第1のヘアピン、3’-末端の第2のヘアピン、および5’-末端と3’-末端との間の一本鎖領域を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させることを含む。一本鎖領域は、標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む。
【0041】
二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションの良好な動態を確保するために、標的の除去すべきオリゴヌクレオチドの濃度を超えるように計算された濃度で添加される。当業者は、いくつかの例では、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの最適なモル濃度を事前に計算することができるが、他の例では、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの最適なモル濃度は、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの滴定によって実験的に決定されることを理解するであろう。本発明の1つの明確な利点は、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドが標的オリゴヌクレオチドと相互作用し、反応混合物中の他の核酸と相互作用しないように設計されていることである。
【0042】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、標的オリゴヌクレオチドと二重ヘアピンオリゴヌクレオチドとの間のハイブリッドの形成に最適な温度でインキュベートされる。いくつかの実施形態において、アニーリング温度は40~72℃の範囲内である。いくつかの実施形態において、ハイブリダイゼーション工程および連結工程の一方または両方は、周囲温度で行われる。
【0043】
いくつかの実施形態において、反応物を、標的オリゴヌクレオチドと二重ヘアピンオリゴヌクレオチドとの間のハイブリッドの形成に必要な時間インキュベートする。いくつかの実施形態において、時間は5~15分である。
【0044】
いくつかの実施形態において、単一の標的オリゴヌクレオチドが除去されることになり、単一の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドが加えられる。他の実施形態において、複数の標的オリゴヌクレオチドを除去し、複数の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの混合物を添加する。
【0045】
標的オリゴヌクレオチドが二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖領域にアニーリングした後、反応混合物をリガーゼと接触させる。リガーゼ酵素は、DNAとRNAの両方を連結するために存在し、DNAとRNAの両方の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドおよび標的オリゴヌクレオチドを収容する。二重ヘアピンオリゴヌクレオチドおよび標的オリゴヌクレオチド中の核酸の種類に適したリガーゼが使用される。標的オリゴヌクレオチド
の両末端を二重ヘアピンオリゴヌクレオチドに連結する(図1)。
【0046】
いくつかの実施形態において、リガーゼおよびリガーゼ補因子ならびに基質(例えば、ATP)は、上流プロセスが行われたために反応混合物中に既に存在する。そのような実施形態において、標的オリゴヌクレオチドを除去するために追加のリガーゼまたはリガーゼ補因子は添加されない。他の実施形態において、リガーゼおよびリガーゼ補因子が添加される。
【0047】
いくつかの実施形態において、標的オリゴヌクレオチドと二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの両方が5’-リン酸基を含有する。他の実施形態において、標的オリゴヌクレオチドおよび二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一方または両方は、5’-リン酸基を欠く。そのような実施形態において、反応混合物をポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)および任意の必要な補因子、例えばATPと接触させ、5’-末端をリン酸化して連結を行うことを可能にする。
【0048】
いくつかの実施形態において、酵素(例えば、リガーゼおよびポリヌクレオチドキナーゼ)は、標的オリゴヌクレオチドを枯渇させた反応混合物を含む下流工程の前に除去または不活性化される(例えば、熱不活性化される)。
【0049】
当業者は、標的オリゴヌクレオチドに関連する「除去」という用語が標的オリゴヌクレオチドの不活性化のすべての形態を含むことを理解するであろう。標的オリゴヌクレオチドがもはや反応混合物中の任意の核酸にハイブリダイズすることができず、核酸合成をプライミングすることができない場合、オリゴヌクレオチドは反応混合物から効果的に除去される。したがって、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドおよび標的オリゴヌクレオチド(図1底部)によって形成される二本鎖共有結合的に閉じたトポロジー的に環状の核酸内での標的オリゴヌクレオチドの隔離は、反応混合物からの標的オリゴヌクレオチドの除去を構成する。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介して核酸増幅を行う改良された方法である。米国特許第4,683,195号に詳細に記載されているように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸を含むサンプル溶液を、フォワード増幅プライマー、リバース増幅プライマー、核酸ポリメラーゼ、好ましくは熱安定性ポリメラーゼ、および核酸ポリメラーゼによって組み込むことができるdNTPまたはdNTP類似体などの核酸前駆体と接触させることを含む。反応混合物は、DNA変性工程(90℃以上)、任意のプライマーアニーリング工程(45~72℃)およびポリメラーゼ伸長工程(65~72℃)を含む複数のサイクルを含む熱サイクリングプロファイルに供される。いくつかの実施形態において、PCRは、例えば、米国特許第5,804,375号に記載されるような蛍光標識された検出プローブを含むリアルタイムPCRである。最新技術のプロトコルでは、増幅反応が完了した後、反応混合物は、過剰な増幅プライマーを除去するために、SPRIビーズのクリーンアップなどの精製工程に供される。本発明は、精製工程を省く。
【0051】
いくつかの実施形態において、増幅反応の完了後、反応混合物を本明細書に記載の新規二重ヘアピンオリゴヌクレオチドと接触させる。いくつかの実施形態において、標的オリゴヌクレオチドは、フォワード増幅プライマーとリバース増幅プライマーの混合物である。いくつかの実施形態において、標的オリゴヌクレオチド混合物は、検出プローブも含む。二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、2つまたは3つのオリゴヌクレオチドの組み合わせである。第1の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、フォワード増幅プライマーに相補的な中間領域を含む。第2の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、リバース増幅プライマーに相補的な中間領域を含む。検出プローブを標的とする第3の二重ヘアピンオリゴヌク
レオチドも存在し得る。第3の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、検出プローブに相補的な中間領域を含む。過剰な増幅プライマーおよび存在する場合にはプローブを、対応する二重ヘアピンオリゴヌクレオチドに連結して、閉環状構造を形成する。
【0052】
いくつかの実施形態において、連結の前に、反応混合物をポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)ならびに任意の必要な補因子および基質、例えばATPと接触させて、フォワード増幅プライマーおよびリバース増幅プライマーの5’-末端および存在する場合にはプローブを、リン酸化して連結を行うことを可能にする。
【0053】
いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、3つの標的オリゴヌクレオチド:フォワード増幅プライマー、リバース増幅プライマーおよびプローブのすべてに使用される。他の実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、3つの標的オリゴヌクレオチドのうちの1つまたは2つのみに使用される。
【0054】
過剰な増幅プライマーおよび存在する場合には過剰なプローブを、閉環状構造に隔離した後、下流工程を直ちに進めることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明は、リガーゼ連鎖反応(LCR)を介して核酸増幅を行う改良された方法である。米国特許第6,312,892号に詳細に記載されているように、リガーゼ連鎖反応(LCR)は、核酸を含むサンプル溶液を、第1のオリゴヌクレオチドプローブおよび第2のオリゴヌクレオチドプローブであって、核酸鋳型に隣接してハイブリダイズすることができるプローブと、リガーゼと、好ましくは熱安定性リガーゼと、を含むプローブセットと接触させることを含む。反応混合物は、DNA変性工程(90℃以上)、任意のプローブアニーリング工程(45~65℃)および連結工程(65℃以下)を含む複数のサイクルを含む熱サイクリングプロファイルに供される。最新技術のプロトコルでは、増幅反応が完了した後、反応混合物は、過剰なプローブを除去するために、SPRIビーズのクリーンアップなどの精製工程に供される。本発明は、精製工程を省く。
【0056】
いくつかの実施形態において、増幅反応の完了後、反応混合物を本明細書に記載の新規二重ヘアピンオリゴヌクレオチドと接触させる。いくつかの実施形態において、標的オリゴヌクレオチドは、第1のプローブおよび第2のプローブの混合物である。二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、2つのオリゴヌクレオチドの組み合わせである。第1の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、第1のプローブに相補的な中間領域を含む。第2の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、第2のプローブに相補的な中間領域を含む。好都合には、リガーゼおよびすべての必要な補因子は、反応混合物中に既に存在する。過剰なプローブを対応する二重ヘアピンオリゴヌクレオチドに連結して、閉環状構造を形成する。
【0057】
いくつかの実施形態において、連結の前に、反応混合物をポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)ならびに任意の必要な補因子および基質、例えばATPと接触させて、プローブの5’-末端をリン酸化して連結を行うことを可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドが両方のプローブに使用される。他の実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、2つのプローブのうちの一方のみに使用される。
【0059】
過剰な増幅プライマーおよび存在する場合にはプローブを、閉環状構造に隔離した後、下流工程を直ちに進めることができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明は、量子バーコード化(QBC)を行う改良され
た方法であって、複数の個々の細胞(米国特許第10,144,950号)において複数の標的を検出する方法である。この方法は、細胞懸濁液を調製することを含む。次に、細胞を、固有の結合剤、例えばDNAプローブまたはRNAプローブ(アプタマーを含む)または抗体と接触させる。プローブまたは抗体は、標的と特異的に相互作用する少なくとも1つの部分または要素と、コンビナトリアル核酸バーコードの構築を可能にする要素とを含む。いくつかの実施形態において、アッセイは、マルチプレックスアッセイであり、それによって、複数の標的分子が、同じ種類または異なる種類の複数の異なる結合剤(例えば、複数の異なる核酸プローブ、または複数の異なる抗体、または核酸プローブと抗体との組み合わせ)を使用して、単一の反応混合物において複数の細胞において検出される。抗体中の固有の結合剤の場合、抗体は、バーコードの構築を容易にするリンカーオリゴヌクレオチドを含み得る。核酸を抗体に付着させる方法は公知であり、例えば、Gullbergら、PNAS 101(22):pages 228420-8424(2004);Boozerら、Analytical Chemistry,76(23):6967~6972頁(2004)またはKozlovら、Biopolymers 5:73(5):621~630頁(2004)。固有の結合剤が核酸プローブである場合、バーコードはプローブに直接結合され得る。
【0061】
固有の結合剤がその標的に結合した後、プローブまたは抗体が結合した細胞は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,144,950号により詳細に記載されているスプリットプールバーコードアセンブリに供される。固有の細胞起源コードは、固有の結合剤が結合した各細胞上に構築される。固有の細胞バーコードは、サブユニットの段階的な付加によってサブユニットから組み立てられたモジュール構造である。各サブユニットは、バーコードと、サブユニットを成長中の固有の細胞バーコードに付着させる働きをする付着領域とを含む。サブユニットは、結合領域、例えば相補的核酸配列を介して互いにまたは共通の骨格に結合する。結合は、骨格または隣接サブユニットへのハイブリダイゼーションおよび隣接サブユニットへの連結の一方または両方を含み得る。固有の細胞バーコードが組み立てられた後、それらは細胞から単離され、検出される。例えば、固有の細胞バーコードが増幅され、配列決定される。
【0062】
本発明の一実施形態において、増幅工程の前に、固有のバーコードを含有する反応混合物を、本明細書に記載の新規二重ヘアピンオリゴヌクレオチドと接触させる。標的オリゴヌクレオチドは、複数のバーコードサブユニットの混合物である。二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、混合物中のすべてのバーコードサブユニットを含む1つ以上に結合するように設計される。いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの一本鎖部分は、バーコードサブユニットのアニーリング領域にハイブリダイズすることができる2つの領域を含み、バーコードサブユニットに含まれるサブコードの長さを有する単一の中間領域に隣接する。サブコードはバーコードサブユニット間で異なるので、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの中間領域は、この多様性に対応するように設計される。いくつかの実施形態において、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの中間領域は、サブコードの長さに対応する長さの非ヌクレオチドスペーサーまたはサブコード中のヌクレオチドの数に対応する数のイノシンヌクレオチドを有するイノシン含有核酸である。
【0063】
いくつかの実施形態において、バーコードサブユニットオリゴヌクレオチドは、固有のバーコードに連結することができ、すなわち、既に好都合には5’-リン酸を含む。さらに、そのような実施形態において、活性リガーゼは、反応混合物中に既に好都合に存在する。このような実施形態において、反応混合物を二重ヘアピンオリゴヌクレオチドとのみ接触させる。
【0064】
他の実施形態において、バーコードサブユニットは、連結以外の方法(例えば、バーコードがポリメラーゼによってコピーされる実施形態を参照のこと、2019年1月19日
に出願された米国特許出願第16/250,974号を参照のこと)によって固有のバーコードに付加される。このような実施形態において、反応混合物を二重ヘアピンオリゴヌクレオチドと接触させ、さらにリガーゼと接触させる。バーコードサブユニットが5’-リン酸を欠く場合、反応混合物をポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)とさらに接触させる。いくつかの実施形態において、反応混合物は、キナーゼおよびリガーゼに必要な補因子であるATPと接触させられる。
【0065】
過剰なバーコードサブユニットは、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドに連結されて、閉環状構造を形成する。閉環状構造中の過剰なバーコードサブユニットオリゴヌクレオチドの隔離に続いて、増幅を直ちに進めることができる。バーコードオリゴヌクレオチドは、例えば増幅プライマーとして働くことによって、もはや核酸増幅を妨害することができない。
【0066】
本発明では、増幅の前に精製工程を必要としないことが特に有利である。量子バーコード(QBC)は、各固有の細胞バーコードが単一細胞を表す単一細胞分析の方法である。したがって、単一の固有の細胞バーコード分子の喪失は、価値のあるデータポイントの喪失を表す。本明細書に記載の方法では、過剰なバーコードサブユニットの除去後、下流の分析工程を直ちに進めることができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明は、核酸配列決定のためのライブラリーを形成する改良された方法である。この実施形態において、サンプル中の核酸をアダプター分子に連結し、過剰なアダプター分子をライブラリーの下流処理前に除去する。
【0068】
いくつかの実施形態において、方法は、アダプター分子の連結前にサンプル中の核酸を処理する工程を含む。サンプル核酸は、既に平滑末端化されていてもよく、または酵素処理(例えば、「最終修理」)によって平滑末端化されていてもよい。他の実施形態において、平滑末端DNAは、単一のAヌクレオチドが一方または両方の平滑末端の3’-末端に付加されるAテーリングを受ける。アダプター分子は、サンプル核酸とアダプター分子との間の連結を容易にするために、平滑末端から延びる単一のTヌクレオチドを有する1つの平滑末端を有する二本鎖または部分的に二本鎖の短い核酸であり得る。末端修復、A-テーリングおよびアダプター連結を行うための市販のキットとしては、AVENIO ctDNA Library Prep KitまたはKAPA HyperPrep and HyperPlus kits(Roche Sequencing Solutions,カリフォルニア州プレザントン)が挙げられる。
【0069】
いくつかの実施形態において、本発明は、過剰なアダプター分子を、本明細書中に記載される二重ヘアピンオリゴヌクレオチドへの連結によって形成される閉環状構造内に隔離することによってライブラリー形成反応から除去する新規な工程を含む。標的オリゴヌクレオチドは、アダプター分子の両方の鎖を含む。二重ヘアピンは、2つの二重ヘアピンオリゴヌクレオチドの組み合わせである。第1の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、アダプター分子の第1の鎖に相補的な中間領域を含み、第2の二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、アダプター分子の第2の鎖に相補的な中間領域を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、方法は、二重ヘアピンオリゴヌクレオチド中のライブラリー核酸の鎖またはヘアピン構造ではなく、アダプター分子の鎖を分離するのに十分な高温で、ライブラリーおよび過剰なアダプター分子を含む反応混合物をインキュベートする工程をさらに含む。方法のこの工程を容易にするために、二重ヘアピンオリゴヌクレオチドは、ヘアピンの融解温度(Tm)を上昇させる修飾ヌクレオチドを含み得る。例えば、一方または両方のヘアピン部分は、5-メチルシトシン、2,6-ジアミノプリン、5-ヒドロキシブチン-2’-デオキシウリジン、8-アザ-7-デアザグアノシン、リボヌ
クレオチド、2’O-メチルリボヌクレオチドまたはロックド核酸のうちの1つまたは複数を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、反応混合物はまた、アダプター分子の5’-末端をリン酸化するためにポリヌクレオチドキナーゼと接触させる。
【0072】
本発明の方法は、次に、アダプター鎖を二重ヘアピンオリゴヌクレオチドに連結する工程を含む。方法は、ライブラリーを増幅すること、またはライブラリーを標的捕捉の工程に供することをさらに含み得る。増幅または標的捕捉の下流工程の前に精製工程は必要ない。
【0073】
本発明の過剰なオリゴヌクレオチド除去方法は、上記で具体的に対処した例示的な用途に限定されず、過剰なオリゴヌクレオチドを除去することが望まれる場合、オリゴヌクレオチドの使用を含む任意の診断、予後、治療、患者層別化、薬物開発、治療選択およびスクリーニングプロセスに使用することができる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応混合物から望ましくないオリゴヌクレオチドを除去する方法であって、
a.前記反応混合物を、
i.5’-末端の第1のヘアピン、
ii.3’-末端の第2のヘアピン、および、
iii.前記5’-末端と前記3’-末端との間の一本鎖領域であって、除去すべき前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができる配列を含む一本鎖領域、
を有する単一核酸鎖を含む二重ヘアピン核酸と接触させること、
b.前記除去すべきオリゴヌクレオチドを前記二重ヘアピン核酸にアニーリングすること、
c.前記除去すべきオリゴヌクレオチドを前記二重ヘアピン核酸の末端に連結して環状の不活性生成物を形成し、それにより、前記反応混合物から前記望ましくないオリゴヌクレオチドを除去すること、
を含む、前記方法。
【外国語明細書】