(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160397
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】心不全の治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/18 20060101AFI20241106BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20241106BHJP
C07K 14/475 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61K38/18 ZNA
A61P9/04
C07K14/475
A61K38/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024144148
(22)【出願日】2024-08-26
(62)【分割の表示】P 2022209465の分割
【原出願日】2012-10-08
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2011/001691
(32)【優先日】2011-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2011/081699
(32)【優先日】2011-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】512197526
【氏名又は名称】ゼンスン(シャンハイ)サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.68 Ju Li Road,Zhangjiang Hi-Tech Park,Shanghai 201203,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヅォウ,ミンドン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトの心不全の予防、治療、または遅延のための薬剤、ならびに方法を提供する。
【解決手段】ニューレグリンを含む薬剤を使用した慢性心不全患者の治療法を提供する。この方法は、治療前にまず各患者のコンパニオン診断テストを行い、そのコンパニオン診断テスト結果に従って各患者に適した治療を提供する。テスト結果が治療に好ましい治療域内にある場合、その患者は有効量のニューレグリン投与による心不全治療に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に明細書に記載した通りの医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔1.技術分野〕
本発明は、ヒトの心不全の予防、治療、または遅延のための薬剤を調製するためのニュ
ーレグリンタンパク質の使用、および上記薬剤を利用したヒトの心不全の予防、治療、ま
たは遅延のための方法に関する。特に、本発明は、ニューレグリンタンパク質を含む上記
薬剤を利用した、慢性心不全患者の特定集団における心不全の予防、治療、または遅延の
ための方法を提供する。
【0002】
〔2.背景技術〕
約500万人のアメリカ人が心不全に罹患しており、毎年、新たに55万人以上の患者
が心不全の症状を有すると診断されている。心不全の現在の薬物治療は、血管を拡張し、
血圧を下げ、心臓の負荷を軽減する血管拡張剤であるアンジオテンシン変換酵素(ACE
)阻害剤を主に使用している。死亡率の割合は大きく低下しているが、ACE阻害剤を使
用した場合の実際の死亡率の低下は平均すると3~4%しか低下しておらず、潜在的な副
作用もいくつかある。心不全を予防または治療する他の選択肢に関係した制限はさらにあ
る。例えば、心臓移植は薬物治療よりも明らかに高額かつ侵襲的であり、ドナーの心臓の
入手の可能性によってさらに制限される。両心室ペースメーカー等の機械装置の使用も同
様に侵襲的かつ高額である。したがって、現在の治療法の欠陥を考慮した新たな治療法の
必要性がある。
【0003】
期待されている新規な治療法の1つは、心不全を患っているまたは心不全にかかるリス
クがある患者へのニューレグリン(以下、「NRG」とする)投与を行うものである。N
RGはEGF様成長因子ファミリーであり、NRG1、NRG2、NRG3、およびNR
G4ならびにこれらのアイソフォームを含む構造的に関連している、成長因子のファミリ
ーおよび分化因子のファミリーを含んでおり、乳がん細胞分化および乳タンパク質の分泌
の刺激、神経堤細胞からシュワン細胞への分化誘導、アセチルコリン受容体の骨格筋細胞
合成の刺激、および心臓細胞の生存およびDNA合成の促進等の一連の生物学的反応に関
連する。心室肉柱の形成および後根神経節の発達に重度の欠陥がある、ニューレグリン遺
伝子を標的にしたホモ接合体マウス胚の生体内研究では、ニューレグリンが心臓および神
経の発達に不可欠であることが示された。
【0004】
NRGsはEGF受容体ファミリーに結合する。EGF受容体ファミリーは、EGFR
、ErbB2、ErbB3およびErbB4を含み、これらはそれぞれ、細胞増殖、細胞
分化、および細胞生存等の複数の細胞機能において重要な役割を果たしている。これらは
、タンパク質チロシンキナーゼ受容体であり、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通キナ
ーゼドメインおよび細胞質チロシンキナーゼドメインからなる。ErbB3またはErb
B4の細胞外ドメインにNRGが結合した後、構造変化を引き起こし、ErbB3、Er
bB4、およびErbB2との間でヘテロダイマー形成が生じるか、またはErbB4自
身のホモダイマー形成が生じる。これにより、細胞膜の内側において受容体のC末端ドメ
インのリン酸化が引き起こされる。リン酸化された細胞内ドメインは、その後、細胞内に
おいて、さらなるシグナルタンパク質と結合し、対応する下流のAKTまたはERKシグ
ナル経路を活性化し、一連の細胞反応を引き起こす。一連の細胞反応としては、例えば、
細胞増殖、細胞分化、細胞アポトーシス、細胞移動、または細胞接着、の刺激もしくは低
下が挙げられる。これらの受容体の中でも、心臓では、主にErbB2およびErbB4
が発現している。
【0005】
NRG-1のEGF様ドメイン(50アミノ酸から64アミノ酸の大きさ)は、これら
の受容体と結合し、活性化するのに十分であることが示されている。これまでの研究では
、ニューレグリン-1β(NRG-1β)がErbB3およびErbB4と高い親和性で
直接結合できることが示されている。オーファン受容体であるErbB2は、ErbB3
のホモダイマーまたはErbB4のホモダイマーよりも高い親和性で、ErbB3および
ErbB4とヘテロダイマーを形成し得る。神経発生における研究では、交感神経系の形
成には、完全なNRG-1β、ErbB2およびErbB3シグナル経路が必要であるこ
とが示されている。NRG-1βまたはErbB2もしくはErbB4の標的破壊は、心
臓発生の欠陥のため、胚致死となる。近年の研究では、成体の通常の心臓機能の維持とと
もに、心臓血管発生におけるNRG-1β、ErbB2およびErbB4の役割もまた脚
光を浴びている。NRG-1βは、成体心筋における筋節組織化を増強することが示され
ている。臨床試験において、ならびに心不全の異なる動物モデルにおいて、組換えNRG
-1β EGF様ドメインの投与は、心筋作用の悪化を有意に改善するか、心筋作用の悪
化から有意に防御する。これらの結果は、心不全治療の主要な化合物としてNRG-1を
有望なものにした。しかしながら、NRG-1による治療が心不全の患者へ長期的な利益
を提供できるかどうか、および上記利益がすべての慢性心不全患者またはある一部の人々
に提供され得るのかどうか、についてより多くの証拠が依然として必要である。
【0006】
〔3.発明の概要〕
心不全治療のためのニューレグリンの人体臨床試験において、出願人は、ニューヨーク
心臓協会(NYHA)の心臓機能分類で評価すること、または患者のNT-proBNP
またはBNPの血漿レベルを測定することで、ニューレグリンによる有意な治療利益を受
けつけ得る心不全患者を選択可能であることを発見した。そのような利益には死亡率の大
幅な低下が含まれる。
【0007】
出願人は、NRGは、心筋細胞の分化、筋節および細胞骨格構造の組織化、ならびに細
胞接着を増強することを発見した。出願人は、臨床試験において、ならびに心不全の異な
る動物モデルにおいて、NRGが心筋作用の悪化を有意に改善するか、心筋作用の悪化か
ら有意に防御することも発見した。ニューレグリン、ニューレグリンポリペプチド、ニュ
ーレグリン誘導体、またはニューレグリンの活性を模倣している化合物は、本発明の範囲
に含まれる。
【0008】
つまり、本発明の第1の態様では、有効量のニューレグリンを含む医薬組成物が慢性心
不全患者の治療のために与えられ、上記患者は上記医薬組成物から有意な利益を得た。あ
る実施形態では、上記利益は死亡率の有意な低下である。ある実施形態では、上記利益は
、再入院の有意な減少である。ある実施形態では、上記利益は、慢性心不全の改善を示す
バイオマーカーレベルの改善である。ある実施形態では、上記医薬組成物は導入レジメン
で上記患者に投与される。ある最適化実施形態では、上記導入レジメンは、上記医薬組成
物を少なくとも3、5、7または10日間連続で投与することを含んでいる。ある最適化
実施形態では、上記医薬組成物は、上記導入レジメン後の少なくとも3、6、または12
か月間、管理レジメン(maintenance regimen)において上記患者に投与される。ある最
適化実施形態では、上記管理レジメンでは、上記医薬組成物を3、5、7、または10日
毎に投与することを含んでいる。
【0009】
第2の態様では、本発明は、慢性心不全患者の生存を改善または死亡率を低下させるた
めの方法を提供し、有効量のニューレグリンを含んだ医薬組成物を上記慢性心不全患者へ
投与することを含んでいる。ある実施形態では、上記医薬組成物は導入レジメンで上記患
者に投与される。ある最適化実施形態では、上記導入レジメンは、上記医薬組成物を少な
くとも3、5、7または10日間連続で投与することを含んでいる。ある最適化実施形態
では、上記医薬組成物は、上記導入レジメン後の少なくとも3、6、または12か月間、
管理レジメンにおいて上記患者に投与される。ある最適化実施形態では、上記管理レジメ
ンでは、上記医薬組成物を3、5、7、または10日毎に投与することを含んでいる。
【0010】
本発明の第3の態様では、薬剤的有効量のニューレグリンが、NT-proBNPの血
漿レベルがニューレグリンによる治療前に好ましい治療域内にある慢性心不全患者を治療
するために使用される。ある実施形態では、上記好ましい治療域は、4000fmol/
ml以下である。別の実施形態では、上記好ましい治療域は、1600fmol/ml~
4000fmol/mlの間である。さらに別の実施形態では、上記好ましい治療域は1
600fmol/ml以下である。別の好ましい実施形態では、上記血漿レベルは免疫測
定法によって計測される。
【0011】
本発明の第4の態様では、薬剤的有効量のニューレグリンが、NYHA心臓機能分類に
よって特定の心臓機能クラスに分類された慢性心不全患者を治療するために使用される。
ある実施形態では、上記特定の心臓機能クラスはNYHAクラスIIである。ある実施形
態では、上記特定の心臓機能クラスはNYHAクラスIIIである。
【0012】
第5の態様では、本発明は、ニューレグリンによる治療を受ける心不全患者の選択方法
を示している。この方法は、上記患者のNT-proBNPの血漿レベルを測定すること
を含んでいる。ある実施形態では、4000fmol/ml以下のレベルが、ニューレグ
リンによる心不全治療に適した患者であることを示している。別の実施形態では、160
0fmol/ml~4000fmol/mlの間のレベルが、ニューレグリンによる心不
全治療に適した患者であることを示している。さらに別の実施形態では、1600mol
/ml以下のレベルが、ニューレグリンによる心不全治療に適した患者であることを示し
ている。
【0013】
第6の態様では、本発明は、ニューレグリンによる治療を受ける心不全患者の選択方法
を示している。この方法は、NYHA心臓機能分類によって心臓機能クラスを評価するこ
とを含んでいる。ある実施形態では、NYHAクラスIIが、ニューレグリンによる心不
全治療に適した患者であることを示している。別の実施形態では、NYHAクラスIII
が、ニューレグリンによる心不全治療に適した患者であることを示している。
【0014】
第7の態様では、本発明は、ニューレグリンによる治療を受ける心不全患者を選択する
ための診断キットを示している。ある実施形態では、上記診断キットは、心不全患者のN
T-proBNPの血漿レベルを測定するための免疫測定試薬を含み、4000fmol
/ml以下のレベルがニューレグリンによる心不全治療に適した患者であることを示して
いる。別の実施形態では、1600fmol/ml~4000fmol/mlの間のレベ
ルが、ニューレグリンによる心不全治療に適した患者であることを示している。さらに別
の実施形態では、1600mol/ml以下のレベルが、ニューレグリンによる心不全治
療に適した患者であることを示している。
【0015】
本発明の第8の態様では、薬剤を調製するためのニューレグリンタンパク質の使用が提
供された。上記薬剤は長期的な利益を得るために慢性心不全患者に投与することが可能で
ある。ある実施形態では、上記長期的な利益は、生存の改善である。ある実施形態では、
上記長期的な利益は、再入院の減少である。別の実施形態では、上記長期的な利益は、慢
性心不全の長期的な予後を示すバイオマーカーの改善である。ある実施形態では、上記薬
剤は、導入レジメンで上記患者に投与される。ある最適化実施形態では、上記導入レジメ
ンは、薬剤を少なくとも3、5、7または10日間連続で投与することを含んでいる。あ
る最適化実施形態では、上記薬剤は、上記導入レジメン後の少なくとも3,6、または1
2か月間、管理レジメンにおいて上記患者に投与される。ある最適化実施形態では、上記
管理レジメンでは、上記薬剤を3、5、7、または10日毎に投与することを含んでいる
。
【0016】
本発明の第9の態様では、ニューレグリンタンパク質による慢性心不全の治療のための
コンパニオン診断テストが提供された。N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-
proBNP)が、上記コンパニオン診断テストのバイオマーカーとして使用される。あ
る実施形態では、4000fmol/ml以下のレベルが、ニューレグリンによる心不全
治療に適した患者であることを示している。別の実施形態では、1600fmol/ml
~4000fmol/mlの間のレベルが、ニューレグリンによる心不全治療に適した患
者であることを示している。さらに別の実施形態では、1600mol/ml以下のレベ
ルが、ニューレグリンによる心不全治療に適した患者であることを示している。
【0017】
本発明の第10の態様では、ニューレグリンを使用した慢性心不全の治療法が提供され
ている。上記方法は、治療前の評価手順を含み、上記評価結果に従って、各患者がニュー
レグリン治療を受けるのに適しているかどうかを決定する。ある実施形態では、上記評価
手順は、慢性心不全患者のNYHA心臓機能分類を含んでいる。別の実施形態では、上記
評価手順は、各慢性心不全患者の血漿NT-proBNPまたは血漿BNPのテストを含
んでいる。
【0018】
本発明の第11の態様では、慢性心不全患者がニューレグリンタンパク質治療に適して
いるかどうかを決定するためのコンパニオン診断キットが提供される。上記コンパニオン
診断キットは、血漿NT-proBNPまたは血漿BNPの検査キット、および上記キッ
トの使い方と検査結果に従って患者がニューレグリンタンパク質治療を受けるのに適して
いるかどうかを判断する方法の説明を備えている。
【0019】
〔4.発明の詳細な説明〕
開示内容を明確にするため、および限定しないように、以下の本発明の詳細な説明は以
下に続く各項目に分かれている。本明細書で言及されたすべての刊行物は、引用された刊
行物に関わる方法および/または物質を開示および記載するために参照することによって
本明細書に組み込まれる。
【0020】
A.定義
他に定義の無い限り、本明細書において用いられている全ての技術的用語および科学的
用語は、本発明が属する技術の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有して
いる。本明細書において言及されている全ての特許、出願、公開された出願、および他の
刊行物は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。この項目で説明されている
定義が、本明細書に参照によって組み込まれている特許、出願、公開された出願、および
他の刊行物に説明された定義に反する場合、または矛盾する場合には、この項目において
説明されている定義が、参照によって本明細書に組み込まれている定義よりも優先する。
【0021】
本明細書において用いられる場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文
脈で明らかに他のことを指示していない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複
数」の意味である。
【0022】
本明細書において用いられる場合、本発明において用いられている「ニューレグリン」
または「NRG」は、ErbB2、ErbB3、ErbB4もしくはその組合せと結合し
、活性化し得るタンパク質またはペプチドを表しており、全てのニューレグリンアイソフ
ォーム、ニューレグリンEGF様ドメイン単独、ニューレグリンEGF様ドメインを含む
ポリペプチド、ニューレグリン変異体もしくは誘導体、および上述の受容体を同様に活性
化する任意の種類のニューレグリン様遺伝子産物(詳細は後述する)を包含するが、これ
らに限定されるものではない。ニューレグリンはまた、NRG-1、NRG-2、NRG
-3およびNRG-4タンパク質、ペプチド、断片、およびニューレグリンの活性を模倣
する化合物を包含する。本発明において用いられるニューレグリンは、上述のErbB受
容体を活性化することができ、それらの生物学的反応を調節する。例えば、骨格筋細胞に
おいてアセチルコリン受容体の合成を刺激し、および/または心臓細胞分化、生存および
DNA合成を向上させる。ニューレグリンはまた、それらの生物学的活性を実質的に変化
させない保存性アミノ酸置換を有するそれらのバリアントも包含する。アミノ酸の好適な
保存性置換は、本技術の当業者に公知であり、結果として得られる分子の生物学的活性を
通常変化させずに作成され得る。本技術の当業者は、通常、ポリペプチドの不可欠ではな
い領域における単一のアミノ酸置換は、生物学的活性を実質的に変化させないことを認め
ている(例えば、Watson et al. Molecular Biology of the Gene, 4th Edition, 1987,
The Bejacmin/Cummings Pub. co., p.224参照)。好ましい実施形態において、本発明に
おいて用いられるニューレグリンは、ErbB2/ErbB4もしくはErbB2/Er
bB3ヘテロダイマーと結合し、これらを活性化する。ペプチドは、例えば、アミノ酸配
列:SHLVKCAEKEKTFCVNGGECFMVKDLSNPSRYLCKCPN
EFTGDRCQNYVASFYKAEELYQ(配列番号1)を含む、NRG-1β2
アイソフォームの177-237残基を含むペプチドが挙げられるが、限定の目的で挙げ
るものではない。NRG-1β2アイソフォームの177-237残基を含む上記ペプチ
ドは、上記受容体と結合し、これを活性化するのに十分であると証明された上記EGF様
ドメインを含む。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「上皮細胞増殖因子様ドメイン」または「EGF様ドメイ
ン」は、ErbB2、ErbB3、ErbB4またはその組合せと結合し、これらを活性
化し、そして、下記文献に開示されているEGF受容体結合ドメインと構造的な類似性を
有している、ニューレグリン遺伝子によってコードされているポリペプチドモチーフを表
している:WO 00/64400, Holmes et al., Science,256:1205-1210 (1992); U.S. Patent
Nos. 5,530,109 and 5,716,930; Hijazi et al., Int. J. Oncol., 13:1061-1067 (1998)
; Chang et al., Nature, 387:509-512(1997); Carraway et al., Nature, 387:512-516
(1997); Higashiyama et al., J. Biochem., 122:675-680 (1997); およびWO 97/09425。
これらの文献の内容はすべて、本明細書に参照によって組み込まれる。ある実施形態にお
いて、EGF様ドメインは、ErbB2/ErbB4またはErbB2/ErbB3ヘテ
ロダイマーと結合し、これらを活性化する。ある実施形態において、EGF様ドメインは
、NRG-1の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含んでいる。ある実施形態において
、EGF様ドメインは、NRG-1の177-226、177-237、または177-
240のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列を含んでいる。ある実施形態において、E
GF様ドメインは、NRG-2の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含んでいる。ある
実施形態において、EGF様ドメインは、NRG-3の受容体結合ドメインのアミノ酸配
列を含んでいる。ある実施形態において、EGF様ドメインは、NRG-4の受容体結合
ドメインのアミノ酸配列を含んでいる。ある実施形態において、EGF様ドメインは、米
国特許第5,834,229に記載されているように、Ala Glu Lys Glu L
ys Thr Phe Cys Val Asn Gly Gly Glu Cys Phe Me
t Val Lys Asp Leu Ser Asn Proのアミノ酸配列を含んでいる。
【0024】
ニューレグリンタンパク質は、医薬組成物の形態であることが好ましいが、その組成、
投与量、および投与経路は、下記技術において公知の方法に従って決定することができる
(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Alfonso R. Gennaro (E
ditor) Mack Publishing Company, April 1997; Therapeutic Peptides and Proteins: F
ormulation, Processing, and Delivery Systems, Banga, 1999; and Pharmaceutical Fo
rmulation Development of Peptides and Proteins, Hovgaard and Frkjr (Ed.), Taylor
& Francis, Inc., 2000; Medical Applications of Liposomes, Lasic and Papahadjopou
los (Ed.), Elsevier Science, 1998; Textbook of Gene Therapy, Jain, Hogrefe & Hub
er Publishers, 1998; Adenoviruses: Basic Biology to Gene Therapy, Vol. 15, Seth
, Landes Bioscience, 1999; Biopharmaceutical Drug Design and Development, Wu-Pon
g and Rojanasakul (Ed.), Humana Press, 1999; Therapeutic Angiogenesis: From Basi
c Science to the Clinic, Vol. 28, Dole et al. (Ed.), Springer-Verlag New York, 1
999参照)。
【0025】
上記ニューレグリンタンパク質は、経口投与、直腸投与、局所投与、吸入投与、口腔投
与(舌下投与等)、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、皮内投与、または静脈内投与等
)、経皮投与、またはその他の適した投与経路用に調製することができる。任意の特定の
症例における最適な経路は、治療対象の病状の性質や重症度、および用いられる特定のニ
ューレグリンタンパク質の性質によって決まる。上記ニューレグリンタンパク質は単独で
投与することができる。または、上記ニューレグリンタンパク質は、薬学上許容される担
体または添加剤とともに投与することが好ましい。この方法では、任意の適切な薬学上許
容される担体または添加剤を使用することができる(Remington: The Science and Pract
ice of Pharmacy, Alfonso R. Gennaro (Editor) Mack Publishing Company, April 1997
等参照)。
【0026】
本発明によると、上記ニューレグリンタンパク質は、単独または他の薬剤、担体または
添加剤と一緒に、陰茎海綿体注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射、皮内注射、経口投
与、または局所投与等の任意の適した投与経路用に調整してもよい。この方法は、防腐剤
を添加したアンプルまたは多回投与容器に入った単位投与形態の注射投与用の製剤を用い
てもよい。上記製剤は、油性または水性賦形剤の、懸濁液、溶液または、乳濁液等の形態
を取ってもよく、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤等の調剤を含んでもよい。また
、活性成分は使用前に、適切な賦形剤、発熱性物質を除去した無菌の水、またはその他の
溶液と構成するために粉状でもよい。本発明における局所投与は、泡、ゲル、クリーム、
軟膏、皮膚貼付薬、または泥膏を使用してもよい。
【0027】
本発明で使用され得る薬学上許容される組成物、およびその投与方法は、米国特許第5
,736,154;6,197,801B1;5,741,511;5,886,039
;5,941,868;6,258,374B1;および5,686,102に記載され
ているものを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0028】
治療または予防での薬用量は、治療対象の症状の重症度および投与経路によって変わる
。投与量、そしておそらく投与頻度も、個々の患者の年齢、体重、症状、および反応によ
って変わる。
【0029】
なお、主治医は、毒性または有害な効果のために、いつどのように治療をやめたり、中
断したり、またはより少ない投与量に治療を調整したりするのかを認識しているものであ
る。その反対に、主治医は、臨床反応が十分でない場合(毒性の副作用を除く)、いつど
のようにより多い投与量に治療を調整するのかも認識しているものである。
【0030】
適切なものであれば如何なる投与経路でも使用可能である。剤形は、錠剤、トローチ剤
、カシェ剤、分散剤、懸濁液、溶液、カプセル、膏薬等を含む。Remington's Pharmaceut
ical Sciencesを参照されたい。従来の薬物合成技術に従って、実際の使用においては、
単独または他の薬剤と組み合わせた上記ニューレグリンを、混合剤中の活性成分として、
β-シクロデキストリン、および2-ヒドロキシ-プロピル-β-シクロデキストリン等
の医薬担体または添加剤と組み合わせてもよい。上記担体は、局所または非経口等の投与
に望ましい広範囲の調製形態を取ってよい。静脈注射または注入等の非経口用投与形態用
の組成物の調製では、水、グリコール、油、緩衝液、砂糖、防腐剤、リポソーム、その他
当業者に公知の類似の製薬媒体を用いてもよい。そのような非経口組成物として、例えば
、5%w/vのデキストロース、通常の生理的食塩水、またはその他の溶液が挙げられる
が、これらに限定するものではない。投与される、単独または他の薬剤と組み合わせた上
記ニューレグリンタンパク質の総投与量を、約1~2000mlの範囲の静脈注射用流体
のバイアルで投与してもよい。希釈液の量は上記総投与量によって変わる。
【0031】
本発明は本発明の治療レジメンを実行するためのキットも提供する。そのようなキット
は、薬学上許容される形態で、単独または他の薬剤と組み合わせた治療に効果的な量の上
記ニューレグリンタンパク質の1つまたは複数の容器を備えている。好ましい剤形は、無
菌生理的食塩水、デキストロース溶液、緩衝液、またはその他の薬学上許容される無菌流
体との組み合わせであり得る。また、上記組成物は、凍結乾燥または乾燥させてもよく、
この場合、上記キットは、注射用溶液にするために上記化合物を元に戻すため、無菌であ
ることが好ましい薬学上許容される溶液を容器内にさらに含んでもよい。薬学上許容され
る溶液の例としては、生理的食塩水およびデキストロース溶液が挙げられる。
【0032】
別の実施形態では、本発明のキットは、上記組成物を注射するため、無菌形態で包装さ
れていることが好ましい針または注射器、および/または包装されたアルコールパッドを
さらに備えている。医師または患者によって組成物を投与するための説明が含まれていて
もよい。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「治療する」、「治療」および「治療している」は、疾患
、不調または病気の症状を改善、またはそうでなければ良い方へ変化させる任意の方法を
表している。治療の効果は、完全にまたは部分的に病気またはその症状を防ぐという点か
ら予防的でもよく、および/または病気および/または上記病気に起因する有害な効果の
部分的または完全な治癒という点から治療的でもよい。治療には本明細書の組成物の任意
の薬学的利用も含まれている。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「心不全」は、代謝組織が必要とする速度で、心臓が血液
を送り出さない心臓機能の異常を意味している。心不全は、鬱血性心不全、心筋梗塞、不
整頻拍、家族性肥大型心筋症、虚血性心疾患、突発性拡張型心筋症、心筋炎等の広範囲の
疾患状態を含む。上記心不全は、限定されるわけではないが、虚血性、先天性、リューマ
チ性、ウイルス性、毒性または特発性の形態を含む多くの要因から起こり得る。慢性心肥
大は、鬱血性心不全および心停止の前兆となる重大な疾患状態である。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「タンパク質」は、文脈で明らかに他のことを指示してい
ない限り、「ポリペプチド」または「ペプチド」と同義である。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「血漿」は、文脈で明らかに他のことを指示していない限
り、「血清」と同義である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「長期的な利益」は、治療または干渉後に、該治療または
干渉によっておこる短期間では見られない利益を意味している。慢性心不全患者にとって
、長期的な利益とは、生存の改善、再入院の減少、または長期的な予後を示すバイオマー
カーの改善であってもよい。ある実施形態では、上記利益を観察する期間は約6カ月であ
る。ある実施形態では、上記利益を観察する期間は約1年である。ある実施形態では、上
記利益を観察する期間は約2年である。その他の実施形態では、上記利益を観察する期間
は約3年、5年、10年、またはそれ以上である。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「生存」は、ある患者が生存している期間または確率を意
味し、生存期間や生存率として表現され得る。生存期間は、診断または治療から死亡する
までの期間である。生存率は、診断または治療後の一定期間に生存している人々の割合を
意味している。各患者にとって、治療または干渉によって生存期間が延びることは利益と
見なすことができる。患者集団または大規模の集団にとって、平均生存期間の延長または
生存率の増加は利益と見なすことができる。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「再入院」は、一定期間内に病院に入院した患者の入院回
数または入院頻度を意味している。病院への入院はあらゆる疾患によるものでもよいが、
治療を受けている疾患と同じ疾患のみによるものでもよい。各患者にとって、一定期間内
の再入院の回数の減少は利益と見なすことができる。患者集団または大規模集団にとって
、再入院の合計回数または平均回数の減少は利益と見なすことができる。
【0040】
本明細書で用いられる場合、「N末端脳性ナトリウム利尿ペプチド」または「NT-p
roBNP」は不活性残N末端proBNPを意味しており、後者は、主に左心壁の心筋
細胞から放出されるホルモン活性ナトリウム利尿ペプチドであるBNPのプロホルモンで
ある。心筋壁の伸縮および緊張に応じて、プロホルモンproBNPは、タンパク質分解
切断によって、BNPとホルモン不活性残NT-proBNPに分かれる。
【0041】
BNPおよびNT-proBNP血漿レベルは、心不全が疑われるまたは心不全にかか
った場合の日々の管理において有望な項目である。臨床でのBNPおよびNT-proB
NPの使用についての多くの研究は、その診断特性について扱っており、BNPおよびN
T-proBNPの予後値を裏付けるのにますます多くの証拠が利用できるようになって
いる。NT-proBNPはBNPよりも血中での半減期が約6倍長いので、心不全の診
断または予後マーカーとしてより広く利用される。血漿NT-proBNPレベルは、市
販のキットで分析可能である。例を示すために、Roche社またはBiomedica
社の市販のキットを挙げるが、これに限定されるわけではない。本発明の例では、NT-
proBNPレベルは、Biomedica社(オーストリア)のキットによって検知さ
れた。
【0042】
血中のBNPおよびNT-proBNPレベルは、予後が良くない患者では両マーカー
の値が概して高くなるので、心不全のスクリーニングおよび診断のために用いられ、さら
に心不全の予後を定めるのに有用である。本発明では、BNPまたはNT-proBNP
の血漿レベルが、ニューレグリンによる心不全治療に適した患者を示すことを発見した。
実際、心不全の任意の診断または予後マーカーは、患者がニューレグリンによる心不全治
療に適しているかどうかを決定するために利用可能である。本発明で特定されたNT-p
roBNP血漿レベルは、ニューレグリンから有意な治療利益を得るであろう心不全患者
を選択するための制限というより、ガイドラインとして利用されるべきである。例えば、
5000fmol/mlの血漿レベルを利用すると、ニューレグリンによる治療利益を得
るであろう心不全患者を選択することはやはり可能であるが、こうした患者の中には、よ
り少ない治療利益しか得られない患者もいる。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「ニューヨーク心臓協会」または「NYHA」の心臓機能
分類は、心不全の程度を分類する簡易な方法である。この分類では、身体活動時に制限(
制限/症状は正常な呼吸、および息切れ、および/または激痛の変化の度合いに関係する
)を受ける程度に基づいて患者を4つのカテゴリー(I、通常の身体活動時において症状
および制限(例えば、歩いたり階段を上る時等の息切れ)が全くない;II、軽い症状(
軽い息切れおよび/または痛み)および通常の活動時における軽い制限;III、通常の
活動以下の活動時(例えば、短距離(20~100m)の歩行)でも症状のために活動に
著しく制限を受け、安静時のみ症状が安定する。;IV、寝たきりの患者が多く、安静時
にも症状が出て大きく制限を受ける。)に分類する。
【0044】
本明細書で用いられる場合、「活性ユニット」、「EU」、または「U」は、最大反応
の50%を誘導し得る規格品の量を意味する。すなわち、所定の活性物質について活性ユ
ニットを決定するためには、EC50が測定されるべきである。例えば、生産品のあるバ
ッチのEC50が0.1μgであった場合、これが1ユニットになるであろう。さらに、
その生産品の1μgが用いられる場合、10EU(1/0.1)が用いられる。EC50
は、本技術において公知の任意の方法によって決定することができ、本発明者らが用いて
いる方法を含んでいる。この活性ユニットの決定は、遺伝子操作されている生産品および
臨床に用いられる薬剤の品質管理において重要である。また、この活性ユニットの決定に
よって、異なる調製薬および/または異なるバッチナンバーからの生産品を、同一の基準
によって定量することができる。
【0045】
以下は、NRGと細胞表面ErbB3/ErbB4分子との結合、およびErbB2リ
ン酸化の間接媒介を介したNRG-1の生物学的活性を決定するための、例示的で、迅速で
、感度が良く、流動性が高く、定量的な方法である(Michael D. Sadick et al., 1996,
Analytical Biochemistry, 235:207-214 and WO03/099300等参照)。
【0046】
簡潔に言えば、キナーゼ受容体活性酵素免疫測定吸着法(KIRA-ELISA)と称
される測定法は、2つの別々のマイクロタイタープレートを含んでおり、一方のマイクロ
タイタープレートは、細胞培養、リガンド刺激、および細胞溶解/受容体可溶化用であり
、もう一方のマイクロタイタープレートは、受容体の捕捉とホスホチロシンELISA用
である。上記測定法は、接着乳癌細胞系列であるMCF-7において、NRGに誘導され
たErbB2の活性の分析のため実施され、健全な受容体の刺激を利用する。膜タンパク
質は、Triton X-100溶解を介して可溶化され、受容体は、ErbB3または
ErbB4と交差反応を起こさないErbB2特異的抗体がコーティングされたELIS
Aウェルに捕捉される。受容体のリン酸化の程度は、抗ホスホチロシンELISAによっ
て定量化される。再現性のある標準曲線は、ヘレグリンβ1(177-244)に対して
約360pMのEC50で作成される。理想的なHRGβ1(177-244)サンプル
が、KIRA-ELISAおよび定量的抗ホスホチロシンWestern Blot分析
によって分析される場合、その分析結果は互いに非常に高い相関を示す。本レポートに記
載の上記測定法は、HRGとErbB3および/またはErbB4との相互作用によるE
rbB2のチロシンリン酸化を明確に定量化することができる。
【0047】
遺伝子操作薬の大部分はタンパク質およびポリペプチドであるため、それらの活性はそ
のアミノ酸配列、またはその立体構成によって形成される活性中心によって評価すること
ができる。タンパク質およびポリペプチドの活性力価は、その絶対量に一致しないため、
化学薬品の重量単位(weight unit)のようにその重量単位で活性を評価することができ
ない。しかしながら、遺伝子操作薬の生物学的活性は、概してその薬力学的特性に一致し
、また所定の生物学的活性を介して確立された力価決定システムではその力価単位を求め
ることができる。したがって、生物学的活性の評価は、生物学的活性を有する物質の力価
測定プロセスの一部になり得、遺伝子操作薬の品質管理の重要な要素である。遺伝子操作
されている生産品および臨床に用いられる薬剤の品質管理にとって、生物学的活性基準を
決定することは重要である。
【0048】
最大反応の50%を誘導し得る規格品の量は、活性ユニット(1EU)として規定され
る。したがって、異なる調製薬および異なるバッチナンバーからの生産品を、同一の基準
によって定量することができる。
【0049】
B. 実施例
実施例1:CHFのラットの異なる経路でのNeucardin(商標)投与による生
存率への効果
導入
この研究では、冠状動脈結紮(CAL)を誘導したCHFモデルを用いて、マイクロイ
ンジェクションポンプを用いたIV点滴または皮下(SC)ボーラスによるNeucar
din(商標)の投与が生存率および心臓の血行動態に効果があるかどうかを、CALか
ら4週間後に開始したNeucardin(商標)の投与から120日後に調べた。心臓
機能およびCALからの回復を確認するためにエコー心電図検査および心臓リモデリング
も利用した。
【0050】
2.方法
2.1. 試験動物:
系統、オリジン:ウィスターラット、Shanghai SLAC Laboratory Animal CO. LTD;体
重200±10g、雄;
2.2 試験対象
2.2.1 Neucardin(商標)
ID:注射用組換えヒトニューレグリン-1(rhNRG-1, Neucardin(
商標))
ロットナンバー:200607009
製造者:Zensun (Shanghai) Sci & Tech Co., Ltd
剤形:凍結乾燥粉末
外観:白またはオフホワイトのケーキ
ラベルに記載のrhNRG-1の容量:250μg/バイアル
比活性:4897U/バイアル
保存条件:2~8℃
2.2.2 賦形剤:
ID:組換えヒトニューレグリン-1のプラセボ
剤形:凍結乾燥粉末
外観:白またはオフホワイトのケーキ
組成:ヒト血清アルブミン、マンニトール、リン酸塩、塩化ナトリウム
保存条件:2~8℃
2.3 手順:
2.3.1 ラットCHFモデルの作成方法
ラットのLADを結紮する。簡潔に説明すると、塩酸ケタミン(100mg/kg、I
P)でラットに麻酔をかけ、胸部を剃り殺菌した。ラットに気管挿管を行い、室内の空気
で機械的に酸素を供給した(呼吸速度:60呼吸/分、1回呼吸量:20ml)。それか
ら第4および第5肋間の間に左開胸術を行い、左側の胸骨線に沿って皮膚を切開した。第
4肋骨を胸骨に向かって切除した。心臓嚢に穴を開け、心臓をむき出しにした。絹縫合糸
(6-0)を用いて起点から約2mmのところでLADを結紮した。その後、胸腔内の空
気を抜き、胸部を3層(肋骨、筋肉、および皮膚)で閉じた。その後、ラットが自然呼吸
を再開できるようになり、麻酔が解けるとケージに戻した。ラットを4週間維持し、その
後エコー心電図検査により評価し、30~45%のEF値を示す場合に正式の試験に加え
た。全グループのラットは5つのケージに入れられ、標準的なエサを自由に食べられるよ
うにし、純水も自由に飲めるようにした。室温を21±1℃に保ち、12時間周期で明/
暗を切り替えた。
【0051】
2.3.2 マイクロインジェクションポンプによるIV点滴
賦形剤またはNeucardin(商標)のIV点滴を尾の静脈を介して行った。この
手順を実施するために、ラットの体重に対応した適当なラット保定器を使用した。ラット
を保定器付近に置き、装置内に静かに置いた。通常、ラットは保定器に補助なしで入った
。その後、尾の静脈の血流を増やし、皮膚の角質層を軟化させるために、アルコールで湿
らせたガーゼでラットの尾を拭いた。側面(側部)の2本の尾の静脈を特定し、針のべベ
ルを上に向けて針が静脈にほぼ平行になるようにして、尾の終端から2~3cmの尾の静
脈に針を2mm挿入した。針が尾の静脈に確実に入っているかを確認するために、針のハ
ブに血液を抜き取った。上記針を医療用テープを使って尾に固定した。適当な速度(0.
2~0.4ml/時)で、マイクロインジェクションポンプまたはボーラス注射による薬
または賦形剤の注入を開始した。
【0052】
2.3.3 SCボーラス
賦形剤またはNeucardin(商標)のSCボーラスをラットの背中から行った。
この手順を実施するために、ラットの体重に対応した適当なラット保定器を使用した。皮
膚を消毒するためにアルコールで湿らせたガーゼでラットの背中を拭いた。針のべベルを
上に向けて針が皮膚にほぼ平行になるようにして、ラットの背中に針を3~4cm皮下に
挿入した。医療用テープを使って上記針を背中に固定し、灌流チューブにつないだ。その
後、ラットを保定器付近に置き、装置内に静かに置いた。通常、ラットは補助なしで保定
器に入った。保定器を閉めた後、ボーラス注射を開始した。
【0053】
2.3.4 実験グループおよび薬物注入
MIラットをEF値によって無作為に以下の4グループに分けた。
【0054】
グループA(IVおよびSCボーラスの対象実験):n=58ラット、マイクロインジ
ェクションポンプによる賦形剤のIV点滴を、最初の10日間に毎日8時間、0.2ml
/時のスピードで行い、賦形剤のSCボーラス(Neucardin(商標)と同量)を
120日目まで5日毎に投与した。
【0055】
グループB(Neucardin(商標)のSCボーラス):n=58、マイクロイン
ジェクションポンプによる賦形剤のIV点滴を、最初の10日間に毎日8時間、0.2m
l/時のスピードで行い、Neucardin(商標)のSCボーラス(10μg/日)
を120日目まで5日毎に投与した。
【0056】
グループC(Neucardin(商標)のIV点滴):n=57、マイクロインジェ
クションポンプによるNeucardin(商標)のIV点滴(0.625μg/kg/
時)を、最初の10日間に毎日8時間、0.2ml/時のスピードで行い、賦形剤のSC
ボーラス(Neucardin(商標)と同量)を120日目まで5日毎に投与した。
【0057】
グループD(Neucardin(商標)のIV点滴およびSCボーラス):n=57
、マイクロインジェクションポンプによるNeucardin(商標)のIV点滴(0.
625μg/kg/時)を、最初の10日間に毎日8時間、0.2ml/時のスピードで
行い、賦形剤のSCボーラス(Neucardin(商標)と同量)を1日目、6日目、
11日目に投与し、その後16日目から最終日まで5日毎にNeucardin(商標)
のSCボーラス(10μg/日)を投与した。
【0058】
2.3.5 取得データ
生存率;エコー心電図検査パラメーター;血行動態パラメーター;
3. 結果
3.1 生存率
表1は各グループ間の生存率を示している。各生存率は、グループA(賦形剤のIV点
滴およびSCボーラス)では48.3%、グループB(Neucardin(商標)のS
Cボーラス)では62.1%、グループC(Neucardin(商標)のIV点滴)で
は64.9%、グループD(Neucardin(商標)のIV点滴およびSCボーラス
)では82.5%だった。グループB、C、Dの生存率または死亡ラットの平均生存期間
は、グループAと比較して向上または期間が長く、グループDの効果が最も高かった。
【0059】
【0060】
3.2 エコー心電図検査パラメーター
エコー心電図検査パラメーターを表2に示した。冠状動脈結紮から4週間後および試験
物質の投与前に、CHFラットをEF値に関して無作為に4グループに分けた。表2に示
す通り、処置前(BT)は4グループ間に大きな違いはなかった。投与開始から120日
後では、EF値はそれぞれ、賦形剤グループでは30.7±3.1、SCボーラスによる
Neucardin(商標)グループでは32.9±4.1、IV点滴によるNeuca
rdin(商標)グループでは33.5±3.4、そしてIV点滴とSCボーラスによる
Neucardin(商標)グループでは36.2±4.8であった。処置後は、グルー
プB、C、およびDのEF値およびFS値が、グループAのEF値およびFS値よりも高
かった。
【0061】
【0062】
3.3 血行動態パラメーター
表3は、121日目に、4グループの麻酔をかけた動物のMAP、HR、±dp/dt
、LVEDP、およびLVSPの計測値を示している。Neucardin(商標)がS
CボーラスまたはIV点滴のいずれか一方によって投与された場合(グループBおよびC
)、Neucardin(商標)は、グループAと比較して、dp/dtをそれぞれ19
.6%および27.1%、-dp/dtをそれぞれ22.5%および29.8%、有意に
上昇させた。Neucardin(商標)がIV点滴およびSCボーラスの両方によって
投与された場合(グループD)では、賦形剤の場合と比較して、平均動脈圧(MAP、1
12.3±5.5mmHg)、左心室収縮期圧(LVSP、139.4±9.8mmHg
)、+dp/dt(7012.1±903.0mmHg/秒)、-dp/dt(-435
3.2±847.6mmHg/秒)の顕著な上昇がみられた。興味深いことに、MAP、
LVSP、+dp/dt、および-dp/dtのこれらの値は、賦形剤が投与されたラッ
トよりも、それぞれ10.6%、9.2%、38.5%、および37.5%高かった。こ
れらの結果は、血行動態パラメーターについて、グループB、C、およびDがグループA
よりも良いことを示しており、グループDの効果が最も高いことを示した。
【0063】
【0064】
【0065】
4. 結論
IV点滴およびSCボーラスによるNeucardin(商標)の組み合わせ投与の場
合でも、どちらか一方の経路でのみ当該ペプチドの投与を行った場合でも、賦形剤で処置
されたラットと比較して、いずれもCALによってCHFを誘導したラットの生存率は上
がり、心臓機能パラメーターが向上した。
【0066】
実施例2:標準治療に基づいた慢性心不全患者における組換えヒトニューレグリン1の
効果と安全性を評価するための、無作為化二重盲検多施設プラセボ対照試験
慢性心不全への組換えヒトニューレグリン-1の注入効果を評価するために、標準的な
治療に基づいた、フェーズII、二重盲検多施設プラセボ対照標準治療に基づいた試験を
、中国の複数の臨床施設で実施した。合計195人のNYHAクラスIIまたはIIIの
安定した慢性心不全患者を入院させて、3つのグループ(プラセボ、0.6μg/kgの
rhNRG-1、1.2μg/kgのrhNRG-1)に無作為に分けた。グループ間に
おいて人口統計学上または治療経歴に大きな差はなかった。スケジュールに従って、まず
病院にて10日間連続で患者に薬を投与し、11日目のフォローアップ後に退院させた。
30日目および90日目に別の出張フォローアップを行った。最後の患者が入院してから
1年後に電話インタビューを実施した。
【0067】
治験薬:
仕様:Neucardin(商標)、7054Dalの分子量(1μg=0.14nm
ol)のニューレグリン-1 β2アイソフォームのEGF様ドメインを含む61アミノ
酸ポリペプチド。250μg(5000EU)/バイアル(1μg=20EU)。
【0068】
調製:注射用。
【0069】
投与形態:点滴。
【0070】
保存:3~8℃で、利用が制限され、光が当たらない安全な場所。
【0071】
プラセボ:
仕様:Neucardin(商標)の賦形剤(活性組換えヒトニューレグリン-1タン
パク質を含まない250μg/バイアル)。
【0072】
【0073】
試験手順
試験参加者の基準には、比較的安定した病態(臨床兆候、臨床症状、および1か月以上
目標量または最大許容量でCHFの許容される標準治療を受けた場合も含む)の、LVE
Fが40%以下の、18歳~65歳の間のCHF(NYHAクラスIIまたはIII)患
者が含まれた。主な除外基準には、急性心筋梗塞、肥大性心筋症、収縮性心膜炎、重度の
心臓弁膜症または先天性心疾患、重度の肺高血圧症、収縮期血圧が90mmHgより低い
、または収縮期血圧が160mmHgより高い、重度の不整脈、過去6カ月以内に心臓手
術または脳血管イベントがあった、閉所恐怖症、または妊娠中の女性患者を含めた。参加
したすべての患者は同意書に署名した。
【0074】
10日間連続でプラセボまたはrhNRG-1(0.6または1.2μg/kg/日)
が投与される3グループに患者を無作為に分け、11日目のフォローアップ後に退院させ
た。30日目および90日目の2回、別の出張フォローアップを行った。治療前と11日
目、30日目、および90日目に各患者の血液サンプルを採取した。NT-proBNP
測定法(Biomedica社製キット)を用いて、NT-proBNPをコア研究所で
検査した。最後の患者が入院してから1年後に、再入院の情報を収集するために電話イン
タビューを行い、調査者の署名入りの特別フォームにすべての電話インタビューを記録し
た。
【0075】
プラセボグループにおいて入手可能な再入院情報を有する48人の患者のうち、12人
(25.0%)の患者は心不全が悪化したため少なくとも1回は再入院した。0.6μg
/kgグループでは、46人の患者のうちたった4人(8.7%)の患者が病院へ再入院
した(プラセボと比較して、P=0.05);1.2μg/kgグループの再入院率は2
2.0%(11/50)であった。再入院の平均回数は、プラセボグループで、1患者あ
たり0.458(22/48)であったが、0.6μg/kgグループ(8/41)、1
.2μg/kgグループ(19/50)では、再入院の平均回数はプラセボグループより
それぞれ57.4%、17.0%減少した。
【0076】
プラセボグループでは、NT-proBNPは、ベースラインと比較して、試験中ほぼ
同じであった。11日目で、rhNRG-1の投与グループのNT-proBNPが大き
く上昇した(0.6μg/kgグループで、1853±1512から2399±1841
fmol/mlへ、P<0.01;1.2μg/kgグループで、1562±1275か
ら2774±1926fmol/mlへ、P<0.01)。しかし、この上昇は一時的な
ものであり、心機能の向上が見られることから心臓の機能の悪化に起因するものではなく
、NT-proBNPは、1.2μg/kgグループでは、30日目および90日目にベ
ースラインレベルに低下した。さらに、0.6μg/kgグループでは、ベースラインと
比較して、NT-proBNPが30日目(1323±1124fmol/ml、P=0
.01)および90日目(1518±1403fmol/ml、P=0.01)に大きく
低下した。
【0077】
これらの結果はrhNRG-1による治療が、再入院を減らし、NT-proBNPの
血漿レベルを下げることから、rhNRG-1が慢性心不全患者へ長期的な利益を与える
ことができることを示した。
【0078】
実施例3:標準治療に基づいた慢性心不全患者における組換えヒトニューレグリン1の
無作為化二重盲検多施設プラセボ対照生存試験
慢性心不全への組換えヒトニューレグリン-1の注入効果を評価するために、標準治療
に基づいた、フェーズII、二重盲検多施設プラセボ対照試験を、中国の複数の臨床施設
で実施した。合計351人のNYHAクラスIIIまたはIVの安定した慢性心不全患者
を入院させて、プラセボまたはrhNRG-1グループ(0.6μg/kg)に無作為に
分けた。グループ間において人口統計学上または治療経歴に大きな差はなかった。スケジ
ュールに従って、病院にて10日間連続で患者に薬を投与し、11日目のフォローアップ
後に退院させ、3週目から25週目の間、週に1回、外来患者として投薬を行った。治療
前(ベースライン)および各フォローアップ時に、各患者の血液サンプルを採取した。N
T-proBNP測定法(Biomedica社製キット)を用いて、NT-proBN
Pをコア研究所で検査した。試験から52週目に生存情報を収集した。
【0079】
治験薬:
仕様:Neucardin(商標)、7054Dalの分子量(1μg=0.14nm
ol)のニューレグリン-1 β2アイソフォームのEGF様ドメインを含む61アミノ
酸ポリペプチド。250μg(5000EU)/バイアル(1μg=20EU)。
【0080】
調製:注射用。
【0081】
投与形態:点滴または静脈注入。
【0082】
保存:3~8℃で、利用が制限され、光が当たらない安全な場所。
【0083】
プラセボ:
仕様:Neucardin(商標)の賦形剤。250μg/バイアルであって、活性組
換えヒトニューレグリン-1タンパク質を含まない。
【0084】
【0085】
試験参加者の基準には、比較的安定した病態(臨床兆候、臨床症状、および1か月以上
目標量または最大許容量でCHFの許容される標準治療を受けた場合も含む)の、LVE
Fが40%以下の、18歳~80歳の間のCHF(NYHAクラスIIIまたはIV)患
者が含まれた。主な除外基準には、急性心筋梗塞、肥大性心筋症、収縮性心膜炎、重度の
心臓弁膜症または先天性心疾患、重度の肺高血圧症、収縮期血圧が90mmHgより低い
、または収縮期血圧が160mmHgより高い、重度の不整脈、過去6カ月以内に心臓手
術または脳血管イベントがあった、閉所恐怖症、または妊娠中の女性患者を含めた。参加
したすべての患者は同意書に署名した。
【0086】
プラセボグループの52週目の全死因死亡率は15.91%で、176人の患者のうち
28人が死亡し、その一方で、rhNRG-1グループでは全死因死亡率は9.71%で
、試験を終えた175人の患者のうち16人が死亡した(ハザード比=0.425、95
%CI 0.222-0.813、p=0.0097)。心臓血管イベントによる死亡率
を検討すると、プラセボグループの52週目の死亡率は14.77%で、176人の患者
のうち26人が死亡し、rhNRG-1グループでは、9.71%だった。この結果から
、プラセボグループが慢性心不全の従来の標準治療を続けても、rhNRG-1を投与し
た死亡率は、プラセボグループと比較して約40%下がったことが分かった。
【0087】
NT-proBNPのベースラインの階層化に基づいた全死因死亡率も分析した。NT
-proBNPレベルを、1600fmol/ml以下、1600fmol/mlより高
くかつ4000fmol/ml以下、または4000fmol/mlより高い、の3層に
分けた場合、rhNRG-1の死亡率に対するプラセボグループの死亡率は、それぞれ1
.49%対8.49%、8.96%対23.33%、および26.67%対28.00%
だった。NT-proBNPレベルを、4000fmol/ml以下、または4000f
mol/mlより高い、に階層化した場合、rhNRG-1グループの死亡率に対するプ
ラセボグループの死亡率は、それぞれ5.22%対14.89%(p=0.0092)、
および26.67%対28.00%だった。この結果は、rhNRG-1が慢性心不全患
者の生存率を実質的に向上させることができるという統計的有意性を示している。
【0088】
さらに、NYHA心臓機能クラスのベースラインで、患者をクラスIIIまたはIVに
階層化した。クラスIIIの全死因死亡率は、rhNRG-1グループで6.06%(1
32人の患者のうち8人が死亡)、プラセボグループで15.49%(142人の患者の
うち22人が死亡)(p=0.0189)である。一方、クラスIVの全死因死亡率は、
rhNRG-1グループグループで20.93%(43人の患者のうち9人が死亡)、プ
ラセボグループで17.65%(34人の患者のうち6人が死亡)(p=0.7789)
である。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性心不全の治療法に使用する医薬組成物であって、
上記医薬組成物はニューレグリンを含み、
上記治療法は、
a)治療前に患者のNT-proBNPの血漿レベルを測定する工程と、
b)上記a)の測定の結果に基づいて、上記NT-proBNPの血漿レベルが4000fmol/ml以下であるときのみに、上記患者に上記医薬組成物を投与する工程と、を含み、
上記医薬組成物が、0.6μg/kg/日の上記ニューレグリンの投与量となるように上記患者に投与されることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
上記医薬組成物が、NYHA心臓機能分類によって上記患者の心臓機能がNYHAクラスIIまたはIIIと分類されたときに投与されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
上記医薬組成物が、上記a)の工程の結果に基づいて、測定されたNT-proBNPの血漿レベルが、(1)1600fmol/ml~4000fmol/mlの間であるとき、または(2)1600fmol/ml以下であるときに投与されることを特徴とする請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
上記血漿レベルが免疫測定法によって測定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
上記ニューレグリンがニューレグリン-1であるか、または上記ニューレグリンがニューレグリン-1のEGF様ドメインを含むか、または上記ニューレグリンが配列番号1のアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
上記慢性心不全は、虚血性、先天性、リューマチ性、突発性、ウイルス性、または毒性によるものであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
上記医薬組成物が、導入レジメンで上記患者に投与されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
上記導入レジメンは、少なくとも3、5、7または10日間連続で上記医薬組成物を投与することを含むことを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
上記医薬組成物は、上記導入レジメン後の管理レジメンで上記患者に投与されることを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
上記管理レジメンは、3、5、7または10日毎に、上記医薬組成物を投与することを含むことを特徴とする請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
上記ニューレグリンは、上記患者に対して点滴により投与されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。