(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160405
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】モレキュラーシーブ及びモレキュラーシーブの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20241106BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/70 M
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024145115
(22)【出願日】2024-08-27
(62)【分割の表示】P 2021510458の分割
【原出願日】2019-08-20
(31)【優先権主張番号】62/723,118
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】プリーティ・カマコティ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ジェイ・ワイゲル
(72)【発明者】
【氏名】カール・ジー・ストローマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ・イェーンシュ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ハー・アントニス
(72)【発明者】
【氏名】マルティーヌ・ディクトゥス
(72)【発明者】
【氏名】ブリータ・エンヘルス
(72)【発明者】
【氏名】ダリル・ディ・レイシー
(72)【発明者】
【氏名】シナ・サルティピ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・ジェイ・オニール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨格構造MEI、TON、MRE、MW、MFS、MOR、FAU、EMT又はMSEのモレキュラーシーブを調製するためのプロセスを提供する。
【解決手段】プロセスは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1個のヒドロカルビル基を含む第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、糖及びその組合せからなる群から選択されるモルフォロジー変性剤Lを含む、モレキュラーシーブのための合成混合物を調製することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブの結晶の調製方法であって、以下のステップ:
a.少なくとも四価元素Xの供給源、モルフォロジー変性剤L及び水を組み合わせて、合成混合物を形成するステップと;
b.約1時間~100日間の時間、結晶化条件下で、前記合成混合物を加熱し、前記モレキュラーシーブの前記結晶を形成するステップと;
c.前記合成混合物から前記モレキュラーシーブの前記結晶を回収するステップと
を含み、X=Siであり、且つ前記モルフォロジー変性剤Lは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1個のヒドロカルビル基を含んで成る第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、糖及びその組合せからなる群から選択され、且つ構造指向剤Qが存在する場合、Lは前記構造指向剤Qとは異なり、且つ前記構造指向剤Qに加えて存在する、調製方法。
【請求項2】
ステップa)において、水酸化物イオンの供給源、構造指向剤Q、三価元素Yの供給源、五価元素Zの供給源、ハロゲン化物イオンW-の供給源、並びにアルカリ金属イオンM+の供給源及び/又はアルカリ土類金属カチオンM2+の供給源からなる群から選択される1つ又はそれ以上のさらなる成分も前記合成混合物中に組み合わせられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記合成混合物中のL:Xのモル比が0.001~0.03の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記合成混合物中に三価元素Yの供給源が存在し、且つYはAlであり、且つXO2:Y2O3の比が5~500の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
比率Q:(XO2+Y2O3+Z2O5)が0.01~1.0の範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記モルフォロジー変性剤Lが、単一第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤であり、且つ単一アンモニウム基が、前記第四級アンモニウム基に結合した少なくとも1個のC12~C30アルキル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モルフォロジー変性剤Lが、式(1)
(R1)q(R2)4-qN+(Xn-)1/n (1)
(式中、それぞれのR1は、独立して、線形又は分岐鎖、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC1~C6、任意選択的にC1~C4ヒドロカルビル基であり、且つそれぞれのヒドロカルビルは、任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み得;R2は、分岐鎖又は線形、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC12~C30、任意選択的にC14~C30、任意選択的にC16~C30、任意選択的にC18~C30ヒドロカルビル基であり、且つそれぞれのヒドロカルビルは、任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み得;qは、1又は2、好ましくは1であり;Xn-は原子価nのアニオンである)を有するカチオン界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モルフォロジー変性剤Lが単糖類である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記モルフォロジー変性剤Lがアニオン界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記モルフォロジー変性剤Lがノニオン界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記合成混合物が非水溶性液体成分を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップc)において回収された前記結晶を焼成して、前記モレキュラーシーブの焼成された形態を与えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記モレキュラーシーブが、ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、モルデナイト、立方ホージャサイト、六角形ホージャサイト及びMCM-68からなる群から選択されるゼオライトである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブであって、内部表面積に対する外部表面積の比が1.2より高く、且つ/又はアンモニア吸着によって測定される内部酸性度に対する、コリジン吸着によって測定される外部酸性度の比が1.5より高い、モレキュラーシーブ。
【請求項15】
MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有し、且つ合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤Lも含まないことを除き、同等の方法を使用して製造された同一モレキュラーシーブの外部表面積の少なくとも1.1倍の外部表面積、及び/又は合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤Lも含まないことを除き、同等の方法を使用して製造された同一モレキュラーシーブと比較して、コリジン吸着によって測定される、増加した外部酸性度を有する、モレキュラーシーブ。
【請求項16】
請求項1に記載の方法によって製造される請求項14に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項17】
ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、モルデナイト、立方ホージャサイト、六角形ホージャサイト及びMCM-68からなる群から選択されるゼオライトである、請求項14に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項18】
請求項14に記載のモレキュラーシーブを含んで成り、且つ任意選択的にバインダーを含む、触媒。
【請求項19】
前記炭化水素原料を、請求項18に記載の触媒と接触させるステップを含む、炭化水素変換方法。
【請求項20】
脱蝋プロセス又は芳香族アルキル化プロセスである、請求項19に記載の炭化水素変換方法。
【請求項21】
オキシゲナート変換方法、メタノール変換方法、又はそれらの組合せである、請求項19に記載の炭化水素変換方法。
【請求項22】
請求項14に記載のモレキュラーシーブが、90nm以下の中央結晶長さ、3以下のアスペクト比又はそれらの組合せを含む、請求項21に記載の炭化水素変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モレキュラーシーブの結晶の新規製造方法、この方法によって製造されたモレキュラーシーブ、並びに炭化水素変換触媒としてのその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モレキュラーシーブ材料は、天然及び合成の両方とも、吸着剤として有用であり、且つ種々の種類の炭化水素変換反応のための触媒特性を有することが過去に実証されている。特定のモレキュラーシーブは、X線回折(XRD)によって決定された明確な結晶質の構造を有する、規則的であり、且つ多孔性の結晶質材料である。MCM-41などの特定のモレキュラーシーブは、規則的であり、且つ特定の定義可能なX線回折パターンを生じるが、厳密には結晶質ではない。モレキュラーシーブ材料内には、多数のチャンネル又は細孔によって相互接続し得る多数の空孔がある。これらの空孔及び細孔は、特定のモレキュラーシーブ材料内ではサイズが均一である。これらの細孔の寸法が、特定の寸法の分子の吸着は可能にするが、より大きい寸法の分子の吸着を不可能にするようなものであるため、これらの材料は「モレキュラーシーブ」として知られており、且つ種々の工業プロセスにおいて利用されている。
【0003】
そのようなモレキュラーシーブは、天然及び合成の両方とも、多種多様なプラスイオンを含有する結晶質シリケートを含む。これらのシリケートは、SiO4及び周期表第13族元素の酸化物(例えば、AlO4)の3次元骨格と記載することができる。この四面体は典型的に酸素原子によって角を共有し、第13族元素(例えば、アルミニウム、ガリウム又はホウ素)を含有する四面体の電子価は、カチオン、例えばプロトン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオンの包含によって荷電平衡化されている。
【0004】
触媒での用途が見出されたモレキュラーシーブとしては、天然由来又は合成結晶質モレキュラーシーブのいずれも含まれる。これらのモレキュラーシーブの例としては、大細孔ゼオライト、中細孔サイズゼオライト及び小細孔ゼオライトが含まれる。これらのゼオライト及びそれらのアイソタイプは、参照によって本明細書に組み込まれる、非特許文献1、及びゼオライト構造のオンラインデータベース、http://www.iza-structure.org/databases/に記載されている。大細孔ゼオライトは、一般に少なくとも約6.5~7オングストロームの細孔サイズを有し、且つLTL、MAZ、FAU、OFF、*BEA及びMOR骨格型ゼオライトが含まれる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。大細孔ゼオライトの例としては、マザイト(mazzite)、オフレタイト(offretite)、ゼオライトL、ゼオライトY、ゼオライトX、オメガ及びベータが含まれる。中細孔サイズゼオライトは、一般に約4.5オングストローム~約7オングストローム未満の細孔サイズを有し、そして例えばMFI、MEL、EUO、MTT、MFS、AEL、AFO、HEU、FER、MWW及びTON骨格型ゼオライトが含まれる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。中細孔サイズゼオライトの例としては、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、MCM-22、シリカライト1及びシリカライト2が含まれる。小細孔サイズゼオライトは、約3オングストローム~約5.0オングストローム未満の細孔サイズを有し、そして例えばCHA、ERI、KFI、LEV、SOD及びLTA骨格型ゼオライトが含まれる(IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature)。小細孔ゼオライトの例としては、ZK-4、SAPO-34、SAPO-35、ZK-14、SAPO-42、ZK-21、ZK-22、ZK-5、ZK-20、ゼオライトA、チャバザイト、ゼオライトT及びALPO-17が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「Atlas of Zeolite Framework Types」,編集Ch.Baerlocher,L.B.McCusker,D.H.Olson,Elsevier,Sixth Revised Edition,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くのモレキュラーシーブ、特にゼオライトが、吸着剤及び触媒として商業的に確立されてきたが、例えば改善された活性及び/又は選択性を有する触媒としての改善されたモレキュラーシーブが必要とされている。最近非常に注目されている1つの態様は、モレキュラーシーブの結晶サイズである。他の条件が同一である場合、結晶サイズが小さいモレキュラーシーブは、大きい外部表面積を一般に有し、このことから、モレキュラーシーブ結晶の表面上への吸着速度の増加、及び/又は結晶の内部細孔への拡散経路の長さの減少によって、触媒活性の増加が導かれ得る。モレキュラーシーブ触媒の結晶サイズを減少させることによって、主にゼオライトの外部表面上で生じる反応、例えば、それらのサイズのため内部細孔中への拡散が遅い、より大きな反応物分子を含む反応が促進され得る。
【0007】
米国特許第7,482,300号明細書には、触媒脱蝋のためのそのようなZSM-48の使用方法と一緒に、70:1~110:1のシリカ対アルミニウム比を有するZSM-48の合成が記載されている。この合成方法は、針様モルフォロジーを有する結晶の減少された、又は最小化された含有量を有するZSM-48の結晶を形成するために適切であると記載される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブの結晶の調製プロセスであって、以下のステップ:
少なくとも四価元素Xの供給源、モルフォロジー変性剤L及び水を組み合わせて、合成混合物を形成するステップと;
約1時間~100日間の時間、結晶化条件下で、前記合成混合物を加熱し、MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブの結晶を形成するステップと;
合成混合物からモレキュラーシーブの前記結晶を回収するステップと
を含み、X=Siであり、且つモルフォロジー変性剤Lは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキルを含む第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、糖及びその組合せからなる群から選択され、且つ構造指向剤Qが存在する場合、Lは構造指向剤Qとは異なり、且つ構造指向剤Qに加えて存在する、調製プロセスを提供する。
【0009】
任意選択的に、合成混合物は水酸化物イオンの供給源も含む。任意選択的に、合成混合物は構造指向剤Qも含む。任意選択的に、合成混合物は三価元素Yの供給源も含む。任意選択的に、合成混合物は五価元素Zの供給源も含む。任意選択的に、合成混合物はハロゲン化物イオンW-の供給源も含む。任意選択的に、合成混合物は、アルカリ金属イオンM+の供給源及び/又はアルカリ土類金属カチオンM2+の供給源も含む。任意選択的に、合成混合物は1つ又はそれ以上の他の成分も含む。
【0010】
本発明者は、モルフォロジー変性剤Lの存在下でモレキュラーシーブの合成を実行することによって、モルフォロジー変性剤Lの不在下で調製された同一モレキュラーシーブの結晶と比較して、モレキュラーシーブの結晶が変性された結晶サイズ及び/又は変性された酸性度を有するように結晶成長に影響を及ぼすことが可能であることを見出した。これによって、新規且つ望ましい特性を有するモレキュラーシーブ結晶の製造が可能となる。本発明のプロセスによって製造されるモレキュラーシーブ結晶は、同一プロセスによるが、モルフォロジー変性剤Lの不在下で調製された同一モレキュラーシーブの結晶よりも小さくなり得る。理論に束縛されることを望まないが、本発明は、モルフォロジー変性剤Lの存在によって、結晶中のAlなどの三価元素の分布が変化され得、且つ/又は三価元素への接近が強化されるように結晶が終端する様式が変化され得ると考える。本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブ結晶は、同一プロセスによるが、モルフォロジー変性剤Lの不在下で調製された同一モレキュラーシーブの結晶と比較して、増加した表面積、特に外部表面積を有し得る。本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブ結晶は、同一プロセスによるが、モルフォロジー変性剤Lの不在下で調製された同一モレキュラーシーブの結晶よりも、例えばコリジン吸着によって測定される、より高い外部表面酸性度を有し得る。減少した結晶サイズ及び/又は増加した外部表面積及び/又は増加した外部酸性度は、例えば炭化水素変換反応における触媒中の成分として使用される場合、モレキュラーシーブの活性の増加及び/又は選択性の増加を導くことができる。
【0011】
本発明のプロセスは、モルフォロジー変性剤Lが不在であることを除き同一条件下で調製される同一ゼオライトと比較して、増加した外部表面積及び/又は増加した表面酸性度を有する結晶を有するゼオライトを生じることが見出された。
【0012】
別の態様において、本発明は、MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブであって、内部表面積に対する外部表面積の比が1.2以上であり、且つ/又はアンモニア吸着によって測定される内部酸性度に対する、コリジン吸着によって測定される外部酸性度の比が1.5より高いモレキュラーシーブを提供する。
【0013】
本発明は、その製造されたままの形態での本発明のモレキュラーシーブも提供する。さらに本発明は、その焼成された形態での本発明のモレキュラーシーブを提供する。
【0014】
さらに本発明は、本発明のモレキュラーシーブを含む触媒を提供する。
【0015】
さらに本発明は、炭化水素原料を本発明の触媒と接触させるステップを含む炭化水素変換プロセスを提供する。一実施形態において、炭化水素変換プロセスは脱蝋プロセスである。別の実施形態において、炭化水素変換プロセスは、芳香族のアルキル化のためのプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】種々のZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するオレフィン収量を示す。
【
図2】種々のZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するパラフィン収量を示す。
【
図3】種々のZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するオレフィン及び芳香族の合計収量を示す。
【
図4】種々のZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するオレフィン、芳香族及び未知物質の合計収量を示す。
【
図5】種々のゼオライト成長変性剤を用いて合成されたZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するオレフィン収量を示す。
【
図6】種々のゼオライト成長変性剤を用いて合成されたZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するパラフィン収量を示す。
【
図7】種々のゼオライト成長変性剤を用いて合成されたZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するオレフィン及び芳香族の合計収量を示す。
【
図8】種々のゼオライト成長変性剤を用いて合成されたZSM-48触媒に関するメタノール曝露の量に対するオレフィン、芳香族及び未知物質の合計収量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によるモレキュラーシーブの製造プロセスは、合成混合物がモルフォロジー変性剤Lも含有することを除き、従来技術に従って合成混合物を調製することを含む。いずれかの理論に束縛されることを望まないが、モルフォロジー変性剤Lは、合成混合物内の結晶子の成長表面と結合し得るか、又は他の様式で相互作用し得、それによって、最終製品結晶のサイズ、アスペクト比及び凝集/凝塊を含むモルフォロジーが影響を受けることが考えられる。モルフォロジー変性剤Lの性質及び使用される濃度次第で、製品結晶は、同一条件下でモルフォロジー変性剤Lを用いずに同一合成混合物を使用して他の様式で得られるものよりも小さくなり得るか、又は大きくなり得る。モルフォロジー変性剤Lは、存在するいずれかの三価元素の分布にも影響し得、したがって、モレキュラーシーブの表面酸性度にも影響し得る。
【0018】
合成混合物
上記の通り、合成混合物は、従来の方法に従って調製可能である。モルフォロジー変性剤Lは、結晶かが進行中にいつでも合成混合物に含まれてよいが、好ましくは、結晶の核形成又は結晶化が開始する前に、他の成分と組み合わせられる。任意選択的に、モルフォロジー変性剤Lは、四価元素Xの供給源が添加される前に、合成混合物の他の成分と組み合わせられる。例えば、混合物を形成するために、水、水酸化物イオンの供給源(存在する場合)、構造指向剤(存在する場合)、三価元素Yの供給源(存在する場合)、種(存在する場合)及びいずれかの他の成分も、いずれかの順番で組み合わせることができ、次いで、四価元素の供給源をその混合物と組み合わせる。
【0019】
本発明のモレキュラーシーブにおいて、四価元素XはSiである。合成混合物を調製するために使用することができるケイ素(Si)の適切な供給源としては、シリカ;シリカのコロイド懸濁、例えばLudox(登録商標);沈澱シリカ;ケイ酸カリウム及びケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属ケイ酸塩;テトラアルキルオルトシリケート;並びにAerosil及びCabosilなどのヒュームドシリカが含まれる。
【0020】
合成混合物は水酸化物イオンの供給源も任意選択的に含有し、例えば合成混合物は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を含み得る。水酸化物は、Yの供給源としてのアルミン酸ナトリウム又はアルミン酸カリウムの使用によって、或いはXの供給源としてのケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムの使用によって存在し得るいずれかの荷電(有機)構造指向剤又は変性剤のアニオンとして存在することも可能である。アルミン酸及びケイ酸のナトリウム又はカリウム塩は、アルカリ金属M+の供給源としても使用することができる。
【0021】
任意選択的に、三価元素Yは、Al、B、Fe及びGa並びにそれらの混合物からなる群から選択される。任意選択的に、Yは、B、Ga若しくはAl又はそれらの混合物から選択される。好ましくは、三価元素YはAlである。合成混合物を調製するために使用することができる三価元素Yの適切な供給源は、選択される元素Y(例えば、ホウ素、アルミニウム、鉄及びガリウム)次第である。Yがホウ素である実施形態において、ホウ素の供給源としては、ホウ酸、ホウ砂及び四ホウ酸カリウムが含まれる。任意選択的に、三価元素Yはアルミニウムであり、そしてアルミニウム供給源としては、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水和アルミナ、例えばベーマイト、ギブサイト及び擬ベーマイト並びにそれらの混合物が含まれる。他のアルミニウム供給源としては、限定されないが、他の水溶性アルミニウム塩、アルカリ金属アルミン酸塩固体若しくは液体、アルミニウムアルコキシド、例えばアルミニウムイソプロポキシド又はアルミニウム金属、例えばチップ若しくは粉末の形態のアルミニウムが含まれる。
【0022】
Si及びAlの前記供給源の他に、又はそれに加えて、Si及びAl元素の両方を含有する供給源をSi及びAlの供給源として使用することもできる。Si及びAl元素を含有する適切な供給源の例としては、非晶質シリカアルミナゲル又は乾燥シリカアルミナ粉末、シリカアルミナ、粘土、例えばカオリン、メタカオリン及びゼオライト、特にアルミノシリケート、例えば合成ホージャサイト及び超安定ホージャサイト、例えばUSY、ベータ、又は他の大細孔から中細孔のゼオライトが含まれる。任意選択的に、五価元素Z(存在する場合)は、P及びAs並びにそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、Zは、存在する場合、Pである。リンの適切な供給源としては、リン酸;リン酸トリエチル、リン酸テトラエチルアンモニウムなどの有機リン酸エステル;アルミノホスフェート;アルカリ金属リン酸塩、リン酸二水素、リン酸水素及びピロリン酸塩などのリン酸塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される1つ又はそれ以上の供給源が含まれる
【0023】
任意選択的に、ハロゲン化物イオンW-は、存在する場合、塩化物、臭化物、フッ化物及びそれらの混合物からなる群から選択される。ハロゲン化物イオンの供給源は、モレキュラーシーブ合成混合物中でハロゲン化物イオンを放出することができるいずれの化合物であってもよい。ハロゲン化物イオンの供給源の非限定的な例としては、1つ又は複数のハロゲン化物イオン、例えば、好ましくは金属がナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム又はバリウムである金属ハロゲン化物を含有する塩が含まれる。フッ化物イオン(F-)の適切な供給源としては、HF;フッ化アンモニウム又はフッ化テトラアルキルアンモニウム、例えば、フッ化テトラメチルアンモニウム若しくはフッ化テトラエチルアンモニウム;フッ化物含有塩、例えばNaF及びKF;AlF3及びSiF6塩などの元素X、Yを有するフッ化物の化合物;及び/又はフッ化物イオンがカチオン構造指向剤(Q)の対イオンとして存在する化合物が含まれる。合成混合物が水酸化物イオンの供給源を含まない場合、合成混合物は、好ましくは、鉱化剤としても作用することが可能であるフッ化物イオンの供給源を含有する。ハロゲン化物イオンの都合のよい供給源はHFである。
【0024】
任意選択的に、合成混合物は、アルカリ金属カチオンM+及び/又はアルカリ土類金属カチオンM2+の供給源も含有する。存在する場合、アルカリ金属カチオンM+は、好ましくはLi+、Na+、K+、Rb+及びCs+並びにそれらの混合物からなる群から選択される。Na+の適切な供給源としては、NaCl、NaBr、NaF又はNaNO3などのナトリウム塩;水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム及びそれらの混合物が含まれ得る。K+の適切な供給源としては、水酸化カリウム、KCl、KF又はNaBrなどのハロゲン化カリウム、硝酸カリウム及びそれらの混合物が含まれる。存在する場合、アルカリ土類金属カチオンは、好ましくはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+及びそれらの混合物から選択される。
【0025】
構造指向剤(Q)は、特定の望ましいモレキュラーシーブの形成を促進するようにモレキュラーシーブの骨格の結晶化に影響することが知られている化合物である。例えば、ZSM-5を製造するために、水酸化又は臭化テトラプロピルアンモニウムがしばしば使用される。対照的に、モルフォロジー変性剤(L)の役割は、上記の通り、モレキュラーシーブの同一性に影響するよりも、モレキュラーシーブの結晶サイズ、外部表面積及び/又は外部酸性度を変更するように結晶化に影響を与えることである。モレキュラーシーブが構造指向剤Qの使用を必要とするものである場合、合成混合物は構造指向剤の有効濃度も含むであろう。その場合には、モルフォロジー変性剤Lは構造指向剤Qとは異なり、且つそれに加えて存在するであろう。ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、モルデナイト及びMCM-68は、構造指向剤の使用を必要とする。構造指向剤Qの性質は、所望の骨格型次第となるであろう。適切な構造指向剤は当業者に知られている。構造指向剤Qは、いずれかの適切な形態で、例えば塩化物若しくは臭化物などのハロゲン化物として、又は水酸化物として、又は硝酸塩として存在し得る。例えば、構造指向剤Qは、一般に、有機構造指向剤、例えばアミン、例えばプロピルアミン、ピロリジン若しくはピリジン、又は窒素含有カチオン、例えば第四級アンモニウムカチオンであろう。任意選択的に、アンモニウムカチオンは、10個より多い炭素原子を有するいずれのアルキル鎖も含まない。例えば、構造指向剤Qは、骨格型CHAのゼオライトを製造することが望ましい場合、任意選択的に、N,N,N-トリメチル-1-アダマントアンモニウム(adamantammonium)水酸化物(TMAdA)であり得る。さらなる構造指向剤Q及び関連ゼオライトを以下に挙げる:
ZSM-48:ヘキサメソニウムジクロリド(ジクワット-6-Cl2)、ヘキサメソニウムジヒドロキシド(ジクワット-6-OH2)、ペンタメソニウムジクロリド(ジクワット-5-Cl2)、ペンタメソニウムジヒドロキシド(ジクワット-5-OH2)、オクチルアミン、1,6-ジアミノヘキサン、ピロリジン、プロピルアミン/テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(N-メチルピリジル)エチリニウム、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、1,4,8,11-テトラ-アザ-ウンデカン、1,5,9,13-テトラ-アザ-ウンデカン、1,5,8,12-テトラ-アザ-ウンデカン、1,3-ジアミノプロパン、トリメチルアミン;
ZSM-18:2,3,4,5,6,7,8,9-オクタヒドロ-2,2,5,5,8,8-ヘキサメチル-1 1H-ベンゾ[1,2-c:3,4-c’:5,6-c”]トリピロリウムヒドロキシド及びクロリド、ブタメソニウムヒドロキシド/テトラメチルアンモニウムヒドロキシド;
ZSM-22:1-アミノブタン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4,8,11-テトラ-アザ-ウンデカン、1,5,9,13-テトラ-アザ-ウンデカン、1,5,8,12-テトラ-アザ-ウンデカン、N-エチルピリジニウム;
ZSM-57:ヘキサエチル-ジクワット-5ジクロリド、ヘキサエチルジクワット-5ジヒドロキシド;
モルデナイト:テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、N-エチルピリジニウムブロミド、N-エチルピリジニウムヒドロキシド、トリオクチルアミン、アルキルフェノール/アルキルスルホネート;
MWW(MCM-49、MCM-22、MCM-56を含む):ヘキサメチレンイミン、アニリン、ピペリジン、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンクロリド、コリンヒドロキシド、N-N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、トリエチルアミン、ヘキサメソニウムジヒドロキシド、トリエタノールアミン;
六角形ホージャサイト(EMT):メチルトリエチルアンモニウムヒドロオキシ、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、18-クラウン-6;
立方ホージャサイト(FAU):15-クラウン-5;
MCM-68:N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]-オクト-7-エン-2R,3S:5R,6S-ジピロリジウムジヨージド、N,N,N’,N’-テトラエチルビシクロ[2.2.2]-オクト-7-エン-2R,3S:5R,6S-ジピロリジウムジヒドロキシド、N,N-ジメチル-4-シクロヘキシルピペラジニウムヒドロキシド、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムヒドロキシド。
【0026】
それらの構造指向剤Qが、関連モレキュラーシーブの形成を促進するために合成混合物中に存在する場合、それらは、本発明によるモルフォロジー変性剤Lであるとは考えられない。
【0027】
ZSM-48(又はInternational Zeolite Associationによって管理されるゼオライトデータベースに記載される他のMRE骨格ゼオライト)の合成に関連する態様に関して、ZSM-48の形成のための合成混合物において使用するのに適切ないずれの都合のよい構造指向剤も、主要構造指向剤として使用することができる。1つの選択肢は、アンモニウムイオンの間に6個の炭素原子の鎖を有する、ジ第四級アルキルアンモニウム塩(ジクワット-6)を使用することであることが可能である。別の選択肢は、アンモニウムイオンの間に5個の炭素原子の鎖を有するジ第四級アルキルアンモニウム塩(ジクワット-5)を使用することであることが可能である。ジクワット-5及びジクワット-6は、両方ともZSM-48の形成のための構造指向剤として適切であることが知られているが、ジクワット-5及びジクワット-6によって生じる、得られたZSM-48の結晶は、典型的に異なる。
【0028】
合成混合物は、所望のゼオライト骨格を調製するために適切であるいずれの組成も有することができる。以下の範囲は、合成混合物中の成分のそれぞれの対に関する望ましく且つ好ましい範囲の例として示される。都合よく、合成混合物中のXO2:Y2O3のモル比は、2~無限(すなわちYがない)、特に5~500、好ましくは5~200の範囲であり得る。任意選択的に、合成混合物中、構造指向剤Q:(XO2+Y2O3+Z2O5)のモル比は0.01~1.0、好ましくは0.02~0.9、任意選択的に0.04~0.5の範囲である。任意選択的に、合成混合物中、H2O:(XO2+Y2O3+Z2O5)のモル比は、5~100の範囲である。任意選択的に、合成混合物中、M+:(XO2+Y2O3+Z2O5)のモル比は、0~1.2、好ましくは0~1.0の範囲である。任意選択的に、合成混合物中、OH-:(XO2+Y2O3+Z2O5)のモル比は、0.05~1.1、好ましくは0.10~1.0の範囲である。任意選択的に、合成混合物中、ハロゲン化物-:(XO2+Y2O3+Z2O5)のモル比は、0~1、好ましくは0~0.5の範囲である。反応混合物は、例えば、以下の表1に示される、モル比で表された組成を有し得る。
【0029】
【0030】
水は、成分を溶解するため、そして所望のモレキュラーシーブを調製するために適切ないずれかの量で添加されてよい。合成混合物は水性液相を含み、且ついくつかの不溶性固体成分並びに結晶化したモレキュラーシーブも含み得る。合成混合物中に存在する液体は、実質的に単相、典型的に水溶液、ゲル相、スラリー、ペースト又は湿潤粉末である。合成混合物中に存在する液体は、典型的に5重量%未満、任意選択的に2重量%未満、任意選択的に1重量%の非水溶性液体成分を含む。特に合成混合物中に存在する液体は、エマルジョン又はミクロエマルジョンではない。合成は、核形成種を添加せずに、又は添加して実行されてよい。核形成種が合成混合物に添加される場合、種は、合成混合物に基づき、約0.01~10.0重量%の量、例えば合成混合物の約0.01~2.0重量%の量で適切に存在する。種は、例えば、得られるゼオライトと同一又は異なる骨格を有するゼオライトであり得る、いずれかの適切なゼオライトであることが可能である。
【0031】
モルフォロジー変性剤L
モルフォロジー変性剤Lは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1つのヒドロカルビル、好ましくはアルキル基を含む第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、糖及びそれらの組合せからなる群から選択される。モルフォロジー変性剤は、結晶化が完成する前に、いつでも合成混合物に添加されてよい。任意選択的に、モルフォロジー変性剤Lは、結晶の核形成又は結晶化が開始する前に、合成混合物の他の成分に添加される。2種以上のモルフォロジー変性剤Lの混合物も使用されてよく、そしてそのようなプロセスは本発明の範囲内である。
【0032】
モルフォロジー変性剤は、糖であり得る。糖は、単糖類又は二糖類であり得る。適切な単糖類としては、グルコース、フルクトース及びガラクトース、特にフルクトースが含まれる。適切な二糖類としては、サッカロース、マルトース及びラクトースが含まれる。糖はペントースであり得る。或いは糖はヘキソースであり得る。
【0033】
モルフォロジー変性剤Lは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1個のヒドロカルビルを含む第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤であり得る。少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1個のヒドロカルビルは、第四級アンモニウムの窒素原子に共有結合され、そして分岐又は線形、好ましくは線形であり得る。少なくとも1個のヒドロカルビルは、任意選択的に、少なくとも14個の炭素原子、任意選択的に少なくとも16個の炭素原子、任意選択的に少なくとも18個の炭素原子を有する。任意選択的に、少なくとも1個のヒドロカルビルは、30個以下の炭素原子を有する。アルキルは、飽和又は不飽和、好ましくは飽和であり得る。カチオン界面活性剤は、それぞれ、第四級アンモニウム基の窒素原子に結合した少なくとも12個の炭素原子を有する2個のヒドロカルビルを含み得る。第四級アンモニウム基の窒素原子上の他の置換基は、任意選択的に、1~8個、任意選択的に1~4個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチル基を有するアルキルである。それぞれのヒドロカルビルは、任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含み得る。
【0034】
モルフォロジー変性剤Lは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1個のアルキルを含む単一第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤であり得る。少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1個のアルキルは、第四級アンモニウムの窒素原子に共有結合され、そして分岐鎖又は線形、好ましくは線形であり得る。少なくとも1個のアルキルは、任意選択的に、少なくとも14個の炭素原子、任意選択的に少なくとも16個の炭素原子、任意選択的に少なくとも18個の炭素原子を有する。任意選択的に、少なくとも1個のアルキルは、30個以下の炭素原子を有する。アルキルは、飽和又は不飽和、好ましくは飽和であり得る。カチオン界面活性剤は、それぞれ、第四級アンモニウム基の窒素原子に結合した少なくとも12個の炭素原子を有する2個のアルキルを含み得る。第四級アンモニウム基の窒素原子上の他の置換基は、任意選択的に、1~8個、任意選択的に1~4個の炭素原子を有するアルキル、例えばメチル基を有するアルキルである。
【0035】
カチオン界面活性剤は、2個以上のそのような第四級アンモニウム基を含み得る。或いは、カチオン界面活性剤は、単一(つまり、1個以下の)第四級アンモニウム基のみを含んでもよい。
【0036】
カチオン界面活性剤は、対イオンとして、水酸化物又はハロゲン化物などのいずれかの適切なアニオンを含み得る。OH-、F-、Cl-及びBr-が好ましい対イオンである。
【0037】
モルフォロジー変性剤Lは、任意選択的に、式(1)
(R1)q(R2)4-qN+(Xn-)1/n (1)
(式中、それぞれのR1は、独立して、線形又は分岐鎖、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC1~C6、任意選択的にC1~C4ヒドロカルビル基であり、且つそれぞれのヒドロカルビルは、任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含み得;R2は、分岐鎖又は線形、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC12~C30、任意選択的にC14~C30、任意選択的にC16~C30、任意選択的にC18~C30ヒドロカルビルであり、且つそれぞれのヒドロカルビルは、1個又はそれ以上の芳香族又は脂肪族環式基及び/又は任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含み得;qは、1又は2、好ましくは1であり;Xn-は、nが好ましくは1である原子価nのアニオンであり、Xn-は、任意選択的にヒドロキシアニオン又はハロゲン化物アニオン、特にフッ化物、塩化物又は臭化物から選択されるハロゲン化物アニオンであり、R1は任意選択的にメチルである)を有するカチオン界面活性剤である。
【0038】
好ましくは、それぞれのR1は、独立して、線形又は分岐鎖、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC1~C6、任意選択的にC1~C4アルキル基である。好ましくは、R2は、分岐鎖又は線形、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC12~C30、任意選択的にC14~C30、任意選択的にC16~C30、任意選択的にC18~C30ヒドロカルビルである。
【0039】
任意選択的に、モルフォロジー変性剤Lは、式(2)
(R3)3R4N+A- (2)
(式中、A-は、アニオン、好ましくは水酸化物又はハロゲン化物であり、且つ好ましくは、OH-、Cl-及びBr-から選択され、それぞれのR3は、独立して、水素及びC1~C4アルキル、好ましくはメチルから選択され、且つR4は、分岐鎖又は線形、且つ飽和又は不飽和であり得、任意選択的に1個又はそれ以上の環式基を含有し、且つ好ましくは飽和且つ線形であるC12~C30アルキル基、好ましくはC14~C20アルキル基である)を有するカチオン界面活性剤である。
【0040】
適切なカチオン界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムクロリド、及びヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムブロミドが含まれる。
【0041】
モルフォロジー変性剤Lは、ノニオン界面活性剤であり得る。任意選択的に、ノニオン界面活性剤は、アルキルエトキシレート、アルキルプロポキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノールプロポキシレート、脂肪酸エトキシレート、脂肪酸プロポキシレート、エトキシル化アミン、プロポキシル化アミン、エトキシル化アミド、プロポキシル化アミド、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー、エチレンオキシド及びブチレンオキシドのブロックコポリマー、並びにグリセロール及びソルビタンなどの多価化合物の脂肪酸エステルからなる群から選択される。例えば、モルフォロジー変性剤Lは、PEG-ドデシルエーテル又はPEGオレイルエーテルであり得る。モルフォロジー変性剤Lは、アニオン界面活性剤であり得る。アニオン界面活性剤は、スルフェート、スルホネート、ホスフェート又はカルボキシレート基などのアニオン基、及び少なくとも8個の炭素原子、任意選択的に少なくとも10個の炭素原子、任意選択的に少なくとも12個の炭素原子、例えば14~30個の炭素原子を有するアルキル基を含む。任意選択的に、アニオン界面活性剤は、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、リン酸アルキル又はカルボン酸アルキルである。任意選択的に、アニオン界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸アルキルである。
【0042】
合成混合物中のモル比L:Xは、任意選択的に0.0001~0.10、任意選択的に0.0001~0.08、任意選択的に0.0001~0.05、任意選択的に0.0001~0.03、任意選択的に0.001~0.025の範囲である。比率が低いほど、モルフォロジー変性剤Lの濃度は不十分となり、結晶のモルフォロジーの顕著な変化を引き起こし得るが、比率が高いと、モルフォロジー変性剤の濃度が高すぎて、結晶化を妨げて、結晶化速度を有意に減少させることになるか、又は所望されるものの代わりに別のモレキュラーシーブ骨格の形成が引き起こされることになる。
【0043】
モルフォロジー変性剤Lは、合成混合物の重量に基づき、0.01~10重量%、任意選択的に0.1重量%~5重量%、任意選択的に0.2重量%~3重量%、好ましくは0.5重量%~2重量%の範囲の濃度で合成混合物中に任意選択的に存在する。
【0044】
結晶化及び回収
結晶化は、例えば、ポリプロピレンジャー又はTeflon(登録商標)ボトル、酸消化容器、Teflon(登録商標)加工又はステンレス鋼オートクレーブ、プラウ剪断混合機又は反応ケトルなどの適切な反応装置容器中で静的又は撹拌条件下で実行することができる。結晶化は、典型的に、約80℃~約250℃、任意選択的に100℃~約200℃、任意選択的に約150℃~約170℃の温度で、使用された温度において結晶化が生じるために十分な時間、例えば、約1日~約100日、特に1~50日、例えば約2日~約40日間、実行される。その後、合成された結晶は、濾過又は遠心分離などのいずれかの都合のよい方法によって母液から分離され、回収される。次いで、結晶を例えば大気条件下で乾燥させるか、アセトン、メタノール、エタノール又はプロパノールなどの低沸点溶媒で洗浄するか、マイクロ波条件を用いるか、或いは最高150℃までの温度でオーブン乾燥させる。
【0045】
焼成
本プロセスは、任意選択的に、ステップc)において回収された結晶を焼成して、モレキュラーシーブの焼成された形態を得るステップを含む。焼成の条件は、典型的に「製造されたままの」形態でモレキュラーシーブの細孔中に捕捉される、残留モルフォロジー変性剤L及び/又は構造指向剤Q(存在する場合)などの、残留するいずれかの有機残渣を少なくとも部分的に除去するために選択されるであろう。
【0046】
焼成ステップは、典型的に、少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約300℃、より好ましくは少なくとも約370℃の温度において、少なくとも1分間、一般に20時間以内でゼオライトを加熱することを含む。熱処理のために大気中より低い圧力を利用することができるが、大気圧は、通常、便宜上の理由で望ましい。熱処理は、最高約925℃までの温度で実行することができる。例えば、熱処理は、酸素含有気体の存在下、例えば空気中で、400~600℃、例えば500~550℃の温度で実行することができる。
【0047】
残留するアルカリ金属カチオン及び/又はアルカリ土類金属カチオンを除去するため、そしてそれらをプロトンと交換し、それによってモレキュラーシーブの酸型を製造するために、モレキュラーシーブに、例えば硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び酢酸アンモニウムなどの水性アンモニウム塩によるイオン交換処理を受けさせてもよい。所望の範囲で、アルカリ金属カチオンなどの合成されたままの材料の最初のカチオンを、他のカチオンとのイオン交換によって交換することができる。好ましい交換カチオンは、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、例えばアンモニウムイオン及びその混合物を含むことができる。特に好ましいカチオンは、触媒活性を特定の炭化水素変換反応に合うように調整するものであることができる。これらとしては、水素、元素周期律表の第IIA族、第IIIA族、第IVA族、第VA族、第IB族、第IIB族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族及び第VIIIの希土類元素及び金属を挙げることができる。イオン交換ステップは、製造されたままのモレキュラーシーブを乾燥させた後に実行されてもよい。イオン交換ステップは、焼成ステップの前又は後に実行されてもよい。
【0048】
モレキュラーシーブに、蒸気処理及び/又は溶媒による洗浄などの他の処理を受けさせてもよい。そのような処理は当業者に周知であり、且つ所望の通りにモレキュラーシーブの特性を変更するために実行される。
【0049】
モレキュラーシーブ
本発明のモレキュラーシーブ及び本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格構造コードを有する。任意選択的に、モレキュラーシーブは、ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、モルデナイト、立方ホージャサイト、六角形のホージャサイト及びMCM-68からなる群から選択されるゼオライトである。骨格タイプ及び細孔寸法の詳細は、下記の表2に示される。
【0050】
【0051】
任意選択的に、モレキュラーシーブは、ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、立方ホージャサイト及び六角形ホージャサイトからなる群から選択される。任意選択的に、モレキュラーシーブは、ZSM-18及びZSM-48からなる群から選択される。任意選択的に、モレキュラーシーブは、MCM-49、ZSM-57及びモルデナイトからなる群から選択される。任意選択的に、モレキュラーシーブは、立方ホージャサイト、六角形ホージャサイト及びMCM-68からなる群から選択される。ZSM-48及びMCM-49は、特に好ましいモレキュラーシーブである。
【0052】
ZSM-12、ZSM-23、ZSM-50、ゼオライトベータ、ZSM-10、チャバサイト及びゼオライトAは、全て、本発明のプロセスに従って製造され得るさらなるモレキュラーシーブであり、したがって、本発明のモレキュラーシーブは、別の実施形態において、ZSM-12、ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、立方ホージャサイト、六角形ホージャサイト、ZSM-23、ZSM-50、ゼオライトベータ、ZSM-10、チャバサイト及びゼオライトAからなる群から選択され得る。
【0053】
本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、モルフォロジー変性剤Lの不在下で製造された同一モレキュラーシーブと比較して、増加した表面積を有し得る。任意選択的に、本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、モルフォロジー変性剤Lの不在下で製造された同一モレキュラーシーブの外部表面積の少なくとも1.1倍、任意選択的に少なくとも1.2倍の外部表面積を有する。
【0054】
本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、モルフォロジー変性剤Lの不在下で製造された同一モレキュラーシーブと比較して、コリジン吸着によって測定される、増加した外部酸性度を有し得る。任意選択的に、本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、モルフォロジー変性剤Lの不在下で製造された同一モレキュラーシーブの外部酸性度の少なくとも1.1倍、任意選択的に少なくとも1.2倍の外部酸性度を有する。
【0055】
或いは、本発明のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、モルフォロジー変性剤Lの不在下で製造された同一モレキュラーシーブと比較して、減少した外部表面積及び/又は減少した外部酸性度を有する。
【0056】
適切なモルフォロジー変性剤L及びそのモルフォロジー変性剤の適切な濃度を選択することによって、当業者は、外部表面積、外部酸性度及び/又は結晶サイズの範囲を有するモレキュラーシーブを調製することができる。
【0057】
いくつかの態様において、MRE(ZSM-48)などの一次元細孔チャンネル構造を有するモレキュラーシーブに関して、触媒の寿命を改善するために、小さい結晶径が有益となる可能性がある。いずれかの特定の理論に束縛されないが、一次元細孔チャンネルモレキュラーシーブに関して、細孔チャンネルの方向においてより短い結晶長さを有することによって、コーク構造の速度を減少又は最小化することができると考えられる。これによって、活性を維持しながら、オキシゲナート変換条件下でのより多量のオキシゲナート減量などの、より多量の原料を処理することが可能となる。本明細書中、触媒曝露寿命は、変換に関する触媒の活性が実質的にゼロになる前に、オキシゲナート変換条件下で触媒が処理可能であるオキシゲナートの量を指す。
【0058】
本発明のモレキュラーシーブは、好ましくは1.20より高い内部表面積に対する外部表面積の比を有し、且つ/又は1.50より高い、アンモニア吸着によって測定される内部酸性度に対する、コリジン吸着によって測定される外部酸性度の比を有する。
【0059】
いくつかの態様において、焼成されたか、又は製造されたままの形態のいずれかの本明細書に記載のプロセスによって製造されたモレキュラーシーブは、0.01~1μmの範囲の結晶サイズを有し得る小結晶の凝集体を形成することができる。これらの小結晶は、より高い活性を一般に導くため、望ましくなることが可能である。小結晶は、触媒の所与の量に対して、より多数の活性触媒部位を導く、より大きい表面積を意味することができる。
【0060】
任意選択的に、ゼオライトはSi及びAlを含有し、且つ2:1より高い、任意選択的に5:1より高い、任意選択的に10:1より高い、任意選択的に30:1より高い、任意選択的に100:1より高い、そして任意選択的に150:1より高いSiO2:Al2O3モル比を有する。SiO2:Al2O3モル比は、任意選択的に500未満であるか、任意選択的に300未満であるか、又は任意選択的に200未満である。骨格構造中のアルミニウムの存在が触媒に酸性部位を与えるが、それはゼオライトの熱安定性の減少にも関係する。多くの工業的な有機原料変換プロセスは、6:1より高い、又はさらに10:1より高いSiO2:Al2O3モル比を有するゼオライト担体の使用を必要とする温度において実行される。
【0061】
モレキュラーシーブは、少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、そして最も好ましくは少なくとも98%の結晶化度を有する。一実施形態において、モレキュラーシーブは本質的に純粋な結晶材料である。結晶化度は、X線回折(XRD)によって算出され得る。
【0062】
一実施形態において、モレキュラーシーブは、製造されたままの形態であり、且つ任意選択的にその細孔内に構造指向剤Qを含む。
【0063】
別の実施形態において、モレキュラーシーブは構造指向剤Qを含まない。例えば、モレキュラーシーブは、いずれの構造指向剤Qも含まずに合成されることが可能であるものであり得る。
【0064】
モレキュラーシーブは、焼成された形態であってもよい。モレキュラーシーブ結晶は、有機テンプレートをまだ含有する「合成されたままの」結晶であることができるか、又は結晶は、K型モレキュラーシーブ結晶若しくはNa型モレキュラーシーブ結晶などの焼成された結晶であることができるか、又は結晶は、H-型モレキュラーシーブ結晶などの、焼成され、イオン交換された結晶であることができる。
【0065】
焼成された酸型の本発明のモレキュラーシーブは、好ましくは、合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤も含有しないことを除き、同等のプロセスを使用して製造されたモレキュラーシーブの外部酸性度の少なくとも1.10倍、より好ましくは少なくとも1.30倍、そしていくつかの場合、少なくとも1.50倍の外部酸性度を有する。外部酸性度は、コリジン吸着によって測定され得る。
【0066】
焼成された酸型の本発明のモレキュラーシーブは、合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤も含有しないことを除き、同等のプロセスを使用して製造されたモレキュラーシーブの外部表面積の少なくとも1.10倍、より好ましくは少なくとも1.20倍、そしていくつかの場合、少なくとも1.30倍の外部表面積を有する。外部表面積は、BETによって測定され得る。
【0067】
焼成された形態の本発明のモレキュラーシーブは、1.20より高い内部表面積に対する外部表面積の比を有し、且つ/又は1.50より高い、アンモニア吸着によって測定される内部酸性度に対する、コリジン吸着によって測定される外部酸性度の比を有する。
【0068】
本発明のモレキュラーシーブ又は本発明のプロセスによって製造されるモレキュラーシーブは、多くの現在商業的/工業的に重要性であるものを含む多種多様の有機化合物変換プロセスに触媒作用を及ぼすための吸着剤又は触媒として使用され得る。単独で、又は他の結晶質触媒を含む1つ又はそれ以上の他の触媒活性物質と組み合わせて、本発明のゼオライト又は本発明のプロセスによって製造されるゼオライトによって効果的に触媒作用を及ぼされることが可能である好ましい化学変換プロセスの例としては、酸活性又は水素化処理活性を有する触媒を必要とするものが含まれる。本発明のゼオライト又は本発明のプロセスによって製造されるゼオライトによって触媒作用を及ぼされ得る有機変換プロセスの例としては、分解、水素化分解、異性化、重合、改質、水素化、脱水素化、脱蝋、ヒドロ脱漏、吸着、アルキル化、アルキル交換、脱アルキル化、ヒドロ脱環化、不均化、オリゴマー化、脱ヒドロ環化及びその組合せが含まれる。炭化水素原材料の変換は、要求されるプロセスの種類次第で、いずれかの都合のよいモードで、例えば、流動床、沸騰床、移動床又は固定床反応器において実行することができる。
【0069】
モレキュラーシーブが合成されたら、仕上げられた触媒に追加的な硬度又は触媒活性をもたらすバインダー及び/又はマトリックス材料などの他の材料と組み合わせることによって触媒組成物中に配合することができる。これらの他の材料は、不活性又は触媒活性材料であることが可能である。
【0070】
特に、本発明のモレキュラーシーブ又は本発明のプロセスによって製造されるモレキュラーシーブと、有機変換プロセスにおいて利用される温度及び他の条件に耐性を有する別の材料とを組み込むことが望ましくなり得る。そのような材料としては、合成又は天然ゼオライト、並びに無機材料、例えば粘土、シリカ及び/又は金属酸化物例えばアルミナ、イットリア、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛及びそれらの混合物が含まれる。金属酸化物は、天然由来であるか、又はシリカ及び金属酸化物の混合物を含むゼラチン状沈殿物又はゲルの形態であり得る。使用され得る天然由来粘土としては、サブベントナイト、並びにDixie、McNamee、Georgia及びFlorida粘土として一般に知られているカオリン、又は主要鉱物成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト又はアノーキサイトである他の物を含むモンモリロナイト及びカオリン系統群が含まれる。そのような粘土は、最初に採掘された原材料の状態で、又は焼成、酸処理若しくは化学変性を受けた後、使用可能である。これらのバインダー材料は、温度及び他の条件、例えば、種々の炭化水素変換プロセスで生じる機械的摩擦に耐性を有する。したがって、本発明のモレキュラーシーブ又は本発明のプロセスによって製造されるモレキュラーシーブは、バインダーとの押出物の形態で使用されてもよい。それらは、典型的に錠剤、球体又は押出物を形成することによって結合される。押出物は、任意選択的にバインダーの存在下で、通常モレキュラーシーブを押出成形することによって形成されていて、そして乾燥させ、得られた押出物は焼成される。蒸気処理、触媒金属の添加及び/又はイオン交換などのさらなる処理が、必要に応じて実行されてもよい。モレキュラーシーブは、任意選択的に、少なくとも200m2/g、任意選択的に少なくとも300m2/gの表面積を有するバインダーによって結合されてもよい。
【0071】
バインダーは、反応速度を制御するための他の手段を利用することなく、経済的及び規則的な様式で製品を得ることができるように、所与のプロセスにおける変換の量を制御するための希釈剤として適切に機能し得る。これらの材料は、商業的な作動条件下で触媒の粉砕力を向上させるために、天然由来粘土、例えば、ベントナイト及びカオリン中に組み込まれてもよい。
【0072】
上記材料に加えて、本発明のモレキュラーシーブは、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、並びにシリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア及びシリカ-マグネシア-ジルコニアなどの3元組成物などの多孔性マトリックス材料によって複合化されることが可能である。
【0073】
モレキュラーシーブ及び無機酸化物マトリックスの相対的な割合は非常に広くなり得、モレキュラーシーブ含有量は約1~約100重量%の範囲であり、そしてより通常、特に複合物が押出物の形態で調製される場合、複合物の約2~約95、任意選択的に約20~約90重量%の範囲である。
【0074】
追加的な実施形態
追加的に、又は代替的に、本開示は、以下の実施形態の1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0075】
実施形態1.MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブの結晶の調製プロセスであって、以下のステップ:
a.四価元素Xの供給源、モルフォロジー変性剤L、水、任意選択的に水酸化物イオンの供給源、任意選択的に構造指向剤Q、任意選択的に三価元素Yの供給源、任意選択的に五価元素Zの供給源、任意選択的にハロゲン化物イオンW-の供給源、任意選択的にアルカリ金属イオンM+の供給源及び/又はアルカリ土類金属カチオンM2+の供給源、並びに任意選択的に1種又はそれ以上の他の成分を組み合わせて、合成混合物を形成するステップと;
b.約1時間~100日間の時間、結晶化条件下で、前記合成混合物を加熱し、モレキュラーシーブの結晶を形成するステップと;
c.合成混合物からモレキュラーシーブの前記結晶を回収するステップと
を含み、X=Siであり、且つモルフォロジー変性剤Lは、少なくとも12個の炭素原子を有する少なくとも1つのヒドロカルビル基を含む第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、糖及びその組合せからなる群から選択され、且つ構造指向剤Qが存在する場合、Lは構造指向剤Qとは異なり、且つ構造指向剤Qに加えて存在する、調製プロセス。
【0076】
実施形態2.合成混合物中のL:Xのモル比が0.001~0.03の範囲である、実施形態1のプロセス。
【0077】
実施形態3.合成混合物中にYが存在し、且つYはAlであり、且つXO2:Y2O3の比が5~500の範囲である、実施形態1又は2のプロセス。
【0078】
実施形態4.比率Q:(XO2+Y2O3+Z2O5)が0.01~1.0の範囲である、実施形態1~3のいずれか1つのプロセス。
【0079】
実施形態5.モルフォロジー変性剤Lが、単一第四級アンモニウム基を有するカチオン界面活性剤であり、且つ単一アンモニウム基が、第四級アンモニウム基に結合した少なくとも1個のC12~C30アルキル基を含む、実施形態1~4のいずれか1つのプロセス。
【0080】
実施形態6.モルフォロジー変性剤Lが、式(1)
(R1)q(R2)4-qN+(Xn-)1/n (1)
(式中、それぞれのR1は、独立して、線形又は分岐鎖、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC1~C6、任意選択的にC1~C4ヒドロカルビル基であり、且つそれぞれのヒドロカルビルは、任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み得;R2は、分岐鎖又は線形、飽和又は不飽和、好ましくは線形且つ飽和であり得るC12~C30、任意選択的にC14~C30、任意選択的にC16~C30、任意選択的にC18~C30ヒドロカルビル基であり、且つそれぞれのヒドロカルビルは、任意選択的に酸素、硫黄、窒素及びハロゲン化物から選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含み得;qは、1又は2、好ましくは1であり;Xn-は原子価nのアニオンである)を有するカチオン界面活性剤である、実施形態1~5のいずれか1つのプロセス。
【0081】
実施形態7.モルフォロジー変性剤Lが単糖類である、実施形態1~6のいずれか1つのプロセス。
【0082】
実施形態8.モルフォロジー変性剤Lがアニオン界面活性剤である、実施形態1~7のいずれか1つのプロセス。
【0083】
実施形態9.モルフォロジー変性剤Lがノニオン界面活性剤である、実施形態1~8のいずれか1つのプロセス。
【0084】
実施形態10.合成混合物が非水溶性液体成分を実質的に含まない、実施形態1~9のいずれか1つのプロセス。
【0085】
実施形態11.ステップc)において回収された結晶を焼成して、モレキュラーシーブの焼成された形態を得るステップを含む、実施形態1~10のいずれか1つのプロセス。
【0086】
実施形態12.モレキュラーシーブが、ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、モルデナイト、立方ホージャサイト、六角形ホージャサイト及びMCM-68からなる群から選択されるゼオライトである、実施形態1~12のいずれか1つのプロセス。
【0087】
実施形態13.MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有するモレキュラーシーブであって、内部表面積に対する外部表面積の比が1.2より高く、且つ/又はアンモニア吸着によって測定される内部酸性度に対する、コリジン吸着によって測定される外部酸性度の比が1.5より高い、モレキュラーシーブ。
【0088】
実施形態14.MEI、TON、MRE、MWW、MFS、MOR、FAU、EMT及びMSEからなる群から選択される骨格コードを有し、且つ合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤Lも含まないことを除き、同一プロセスを使用して製造された同一モレキュラーシーブの外部表面積の少なくとも1.1倍の外部表面積、及び/又は合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤Lも含まないことを除き、同一プロセスを使用して製造された同一モレキュラーシーブと比較して、コリジン吸着によって測定される、増加した外部酸性度を有する、モレキュラーシーブ。
【0089】
実施形態15.実施形態1~12のいずれかのプロセスによって製造される実施形態13又は14によるモレキュラーシーブ。
【0090】
実施形態16.ゼオライトが、ZSM-18、ZSM-22、ZSM-48、MCM-49、ZSM-57、モルデナイト、立方ホージャサイト、六角形ホージャサイト及びMCM-68からなる群から選択される、実施形態13~15のいずれか1つによるモレキュラーシーブ。
【0091】
実施形態17.実施形態13~16のいずれか1つのモレキュラーシーブを含み、且つ任意選択的にバインダーを含む、触媒。
【0092】
実施形態18.炭化水素原料を実施形態17の触媒と接触させるステップを含む、炭化水素変換プロセス。
【0093】
実施形態19.脱蝋プロセス又は芳香族アルキル化プロセスである、実施形態18の炭化水素変換プロセス。
【実施例0094】
構造指向剤として二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)及び種々のモルフォロジー変性剤を使用して、以下の手順に従ってZSM-48の合成を実行した。
【0095】
実施例1(比較).ZSM-48参照、モルフォロジー変性剤なし、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.0、モルフォロジー変性剤は全混合物の0重量%で存在する
14.8gの水中に1.26gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.62gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。この混合物に、3.95gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.000
H2O/SiO2=18.7
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0096】
透過型電子顕微鏡(TEM)によって、結晶が、一般に30~50nmの範囲の長さ及び10~15nmの範囲の幅を有し、長さ:幅アスペクト比が3~5であることが明らかとなった。
【0097】
実施例2.ZSM-48、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.011、全混合物の1重量%
13.7gの水中に1.25gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.8%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.74gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.28gのトリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=89.3
OH-/SiO2=0.179
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.011
H2O/SiO2=17.9
約5200ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0098】
実施例3.ZSM-48、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(dodectyltrimethylammonium bromide)モルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.014、全混合物の1重量%
13.7gの水中に1.25gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.8%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.26gのドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(dodectyltrimethylammonium bromide)(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。1時間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=97.2
OH-/SiO2=0.176
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.014
H2O/SiO2=17.9
約5200ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0099】
実施例4.ZSM-48、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.011、全混合物の1重量%
13.7gの水中に1.27gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.62gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.8%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.25gのエチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=98.2
OH-/SiO2=0.176
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.011
H2O/SiO2=17.9
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0100】
実施例5.ZSM-48、セチルトリメチルアンモニウムブロミドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.023、全混合物の2重量%
12.5gの水中に1.24gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.8%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。2.25gのセチルトリメチルアンモニウムブロミド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。1時間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=99.3
OH-/SiO2=0.174
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.023
H2O/SiO2=16.8
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0101】
実施例5B
2重量%の代わりに1重量%のCTABを用いたことを除き、実施例5と同様の反応混合物を使用して追加的なZSM-48結晶を合成した。透過型電子顕微鏡(TEM)によって、結晶が、約53nmの中央結晶長さ及び約2.2のアスペクト比を有することが明らかとなった。
【0102】
実施例6.ZSM-48、Brij L4モルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.017、全混合物の1.6重量%
13.0gの水中に1.24gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.59gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.5%のNa2O、10.2%のAl2O3、82.3%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.75gのコロイド状ベータ種(16.7重量%の種)を添加する。1.96gのBrij L493(ノニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤としてのポリエチレングリコールドデシルエーテル)の19.2重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、ゼオライト成長変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.017
H2O/SiO2=18.7
約5200ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0103】
実施例7.ZSM-48、Brij 93モルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.018、全混合物の1.7重量%
12.9gの水中に1.27gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.59gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.5%のNa2O、10.2%のAl2O3、82.3%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.75gのコロイド状ベータ種(16.7重量%の種)を添加する。2.02gのBrij 93(ノニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤としてのポリエチレングリコールロレイルエーテル)の18.54重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、ゼオライト成長変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.018
H2O/SiO2=18.7
約5200ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0104】
実施例8.ZSM-48、オクチル硫酸ナトリウムモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.026、全混合物の1.5重量%
13.0gの水中に1.27gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.60gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.5%のNa2O、10.2%のAl2O3、82.3%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.75gのコロイド状ベータ種(16.7重量%の種)を添加する。1.86gのオクチル硫酸ナトリウムの20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、ゼオライト成長変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.026
H2O/SiO2=18.7
約5200ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0105】
実施例9(比較).ZSM-48、1,2-ヘキサンジオール比較変性剤、比較変性剤/SiO2=0.053、全混合物の1.5重量%
13.1gの水中に1.27gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.60gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.5%のNa2O、10.2%のAl2O3、82.3%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.75gのコロイド状ベータ種(16.7重量%の種)を添加する。1.86gの1,2-ヘキサンジオールの20.1重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、ゼオライト成長変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.053
H2O/SiO2=18.7
約5200ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0106】
実施例10.ZSM-48、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.021、全混合物の2.0重量%
12.5gの水中に1.26gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。2.51gのトリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.87gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.021
H2O/SiO2=18.7
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0107】
実施例11.ZSM-48、ラウリル硫酸ナトリウムモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.029、全混合物の2.0重量%
12.5gの水中に1.24gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。2.5gのラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.90gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.2
OH-/SiO2=0.174
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.029
H2O/SiO2=18.6
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0108】
実施例11B
2重量%の代わりに1重量%のSLSを用いたことを除き、実施例11と同様の反応混合物を使用して追加的なZSM-48結晶を合成した。透過型電子顕微鏡(TEM)によって、結晶が、約41nmの中央結晶長さ及び約2.0のアスペクト比を有することが明らかとなった。
【0109】
実施例12.ZSM-48、ラウリル硫酸ナトリウムモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.075、全混合物の5.0重量%
9.1gの水中に1.2gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.59gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.4gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。6.3gのラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.78gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.9
OH-/SiO2=0.174
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.075
H2O/SiO2=18.6
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0110】
実施例13.ZSM-48、ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.016、全混合物の1.5重量%
13.1gの水中に1.24gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.88gのベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.016
H2O/SiO2=18.7
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0111】
実施例14.ZSM-48、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.012、全混合物の1.5重量%
13.1gの水中に1.24gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.86gのジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.012
H2O/SiO2=18.7
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0112】
実施例15.ZSM-48、ドデシル硫酸リチウムモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.023、全混合物の1.5重量%
13.1gの水中に1.24gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.86gのドデシル硫酸リチウム(アニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.89gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.023
H2O/SiO2=18.7
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0113】
透過型電子顕微鏡(TEM)によって、結晶が、一般に30~60nmの範囲の長さ及び約30nmの範囲の幅を有し、長さ:幅アスペクト比が1~2の範囲であることが明らかとなった。
【0114】
実施例16.ZSM-48、Pluronic EO-PO-EOモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.0007、全混合物の1.0重量%
13.7gの水中に1.25gの25%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、0.61gのアルミン酸ナトリウム溶液(7.8%のNa2O、10.0%のAl2O3、82.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、3.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.73gのコロイド状ベータ種(17.2重量%の種)を添加する。1.24gのPluronic EO-PO-EOトリブロックコポリマー(ノニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%溶液を添加し、そして混合物を撹拌し、モルフォロジー変性剤を溶解させる。この混合物に、3.91gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=100.0
OH-/SiO2=0.175
HMDC/SiO2=0.019
変性剤/SiO2=0.0007
H2O/SiO2=18.7
約5100ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0115】
以下のMCM-49の合成は、以下の手順に従って、構造指向剤としてヘキサメチレンイミン(HMI)を使用して実行された。
【0116】
実施例17.MCM-49参照、モルフォロジー変性剤なし、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.000、全混合物の0重量%
12.0gの水中に3.54gの硫酸アルミニウム八水和物の40重量%溶液を希釈する。硫酸アルミニウム溶液に4.1gの20%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸ナトリウム溶液に、3.46gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。スラリーが均一に見えるようになるまで、混合物を撹拌する。スラリーに1.86gのヘキサメチレンイミン(HMI)を添加する。混合物を10分間撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=25.0
OH-/SiO2=0.390
HMI/SiO2=0.350
変性剤/SiO2=0.000
H2O/SiO2=18.5
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて360rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を143℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、5日間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がMCM-49/MCM-22構造型であることを示す。
【0117】
実施例18.MCM-49、セチルトリメチルアンモニウムブロミドモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.013、全混合物の1重量%
10.9gの水中に3.51gの硫酸アルミニウム八水和物の40重量%溶液を希釈する。硫酸アルミニウム溶液に4.1gの20%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸ナトリウム溶液に、3.42gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。スラリーが均一に見えるようになるまで、混合物を撹拌する。スラリーに1.85gのヘキサメチレンイミン(HMI)を添加する。スラリーに、1.26gのセチルトリメチルアンモニウムブロミド(カチオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%を添加する。混合物を10分間撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=25.0
OH-/SiO2=0.390
HMI/SiO2=0.350
変性剤/SiO2=0.013
H2O/SiO2=19.6
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて360rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を143℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、5日間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がMCM-49/MCM-22構造型であることを示す。
【0118】
実施例19.MCM-49、ラウリル硫酸ナトリウムモルフォロジー変性剤、モルフォロジー変性剤/SiO2=0.016、全混合物の1重量%
10.9gの水中に3.51gの硫酸アルミニウム八水和物の40重量%溶液を希釈する。硫酸アルミニウム溶液に4.1gの20%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸ナトリウム溶液に、3.42gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。スラリーが均一に見えるようになるまで、混合物を撹拌する。スラリーに1.85gのヘキサメチレンイミン(HMI)を添加する。スラリーに、1.26gのラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤モルフォロジー変性剤)の20重量%を添加する。混合物を10分間撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=25.0
OH-/SiO2=0.390
HMI/SiO2=0.350
変性剤/SiO2=0.016
H2O/SiO2=19.6
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて360rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を143℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、5日間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がMCM-49/MCM-22構造型であることを示す。
【0119】
実施例20.ZSM-48、フルクトースモルフォロジー変性剤、変性剤/SiO2=0.020、全混合物の1.0重量%
14.4gの水中に1.39gの56%二塩化ヘキサメソニウム(HMDC)を希釈する。撹拌して、確実に溶液を均一にさせる。構造指向剤溶液に、1.42gのアルミン酸ナトリウム溶液(20%のNaOH、7.8%のAl(OH)3、72.2%の水)を添加する。撹拌して、溶液を均質化する。HMDC/アルミン酸塩溶液に、2.6gの10%NaOH溶液を添加する。撹拌して、混合物を均質化する。アルミン酸塩混合物に0.03gのZSM-48種を添加する。0.63gのフルクトースの39.7%溶液を添加し、そして撹拌して混合物を均質化する。この混合物に、4.62gのUltrasil VN3 PM変性沈澱シリカ(92.4%のSiO2)を添加する。15分間混合物を撹拌し、均一なスラリーを調製する。混合物に関するおよそのモルゲル組成は、以下の通りである:
SiO2/Al2O3=99.9
OH-/SiO2=0.190
HMDC/SiO2=0.040
変性剤/SiO2=0.020
H2O/SiO2=14.9
約1000ppmの種
オートクレーブを密閉し、U-型撹拌機を用いて300rpmで混合物を撹拌し続ける。混合物を160℃まで加熱し(20℃/時間ランプ速度)、28時間保持する。減圧濾過によって固体を単離し、3回分の水の体積で洗浄する。120℃においてオーブン中で材料を乾燥させる。X線回折は、粉末がZSM-48であることを示す。
【0120】
合成後の処理及び測定
上記実施例1~20によって製造されたモレキュラーシーブの試料に以下の処理を行った。
【0121】
結晶化が完了し、そしてXRDによって材料が結晶質であることが決定された後、結晶を2回、NH4NO3でイオン交換し、水で洗浄し、そして120℃のオーブン中で乾燥させる。次いで、粉末のアンモニウム型を空気中で2時間、550℃において焼成し、ゼオライトの結晶の酸型を製造する。
【0122】
次いで、触媒の酸性度を評価するために、コリジン吸着を使用して、結晶の酸型の特徴決定をした。窒素BET技術を使用して、結晶の外部及び内部表面積、並びに細孔体積を決定する。参照材料及び本発明のそれぞれの変性材料に関して、このデータを収集し、そして同一ゼオライトの参照例に対する本発明のそれぞれ実施例の外部表面積及びコリジン吸着の比率を表3に示し、合成混合物中のモルフォロジー変性剤の存在によって引き起こされる変性された結晶の酸性度及び外部表面積における変化を実証する。
【0123】
BET分析は、S.J.Gregg,K.S.W.Sing,”Adsorption,Surface Area and Porosity”,1st ed.,Academic Press,N.Y.(1967)pp30-31に記載の通りに実行した。
【0124】
アンモニア及びコリジン吸収試験は、一般に、J.Phys.Chem.B,2002,106(2),pp395-400に記載の通りに実行した(いくつかの場合、装置がわずかに異なったが、全ての場合において測定は熱重量測定バランス上で実行されたことに留意願いたい)。
【0125】
【0126】
表3の結果は、本明細書で記載されるモルフォロジー変性剤ではない1,2-ヘキサンジオールを使用した場合、コリジン吸収又は外部表面積に対する影響が見られないことを示す。これは、比較例1の参照ZSM-48の場合と同様であった。
【0127】
本発明の実施例2~8、10~16、18及び19に関して、モルフォロジー変性剤の存在は、モルフォロジー変性剤が存在しない参照材料の合成と比較して、コリジン吸着及び/又は外部SAに対する顕著な影響を有した。実施例11及び12において、記録されたコリジン吸収及び外部SA値は、モルフォロジー変性剤が存在しない同一ゼオライトの参照合成に関するものよりも低かったが、10%以内であり、実験誤差によるものであり得る。実施例15に関して、コリジン吸収及び外部SAの結果は、参照材料に関するものよりも低かった。この場合、TEM結果によって、モルフォロジー変性剤としてのドデシル硫酸リチウムの存在下で製造された結晶のアスペクト比は、主に参照材料と比較して増加した結晶の幅のため、参照ZSM-48と比較して有意に減少したことが示された。ZSM-48において、骨格の一次元チャンネルが結晶の縦方向に走っており、したがって、長さと比較して結晶の幅における増加は、それらのチャンネルが、入って来る反応物分子により利用可能となるようにさせ得る。
【0128】
実施例21~24-小結晶径の一次元ゼオライト触媒の触媒寿命
一次元ゼオライトに基づく触媒に関して、細孔チャンネルの方向に沿ったゼオライトの結晶径を減少させることによって触媒曝露寿命を改善することができる。これは、ゼオライト製造のための合成条件を変更することによって、合成混合物中にゼオライト成長変性剤(ZGM)を使うことによって、又は細孔チャンネルの方向に沿って結晶径を減少させるか、若しくは最小化させる別の方法によって達成することができる。
【0129】
一次元ゼオライトの小径結晶は、90nm以下又は70nm以下又は50nm以下又は45nm以下、例えば最小20nmまで、若しくは可能であればなお小さい値までの細孔チャンネルの方向に沿った結晶の長さと一致することが可能である。そのような態様において、結晶は、4.0以下又は3.0以下又は2.5以下又は2.0以下、例えば最小1.0まで、若しくは可能であればなお小さい値までの、直角方向に沿った長さに対する細孔チャネル方向に沿った長さの比率として定義されるアスペクト比を有することができる。ZSM-48などのいくつかの一次元ゼオライトの細孔チャンネル方向に沿った結晶の長さが、典型的に結晶の最も長い方向に相当することが可能であることに留意されたい。
【0130】
増加した触媒曝露寿命を有するメタノール変換触媒は、種々の状況で有益となることが可能である。(トリクル床反応器などの)固定床システムに関して、触媒寿命を増加させることにより、触媒床の所与の厚さにおけるより長いラン長さ及び/又は触媒の減少された量によって同程度のラン長さを可能にすることができる。流動床反応器又は移動床反応器などの連続的な触媒再生を実行可能であるシステムに関して、触媒寿命を増加させることにより、システムからの触媒除去速度及び新規構成触媒の対応する添加の減少を可能にすることができる。本明細書中、触媒曝露寿命は、変換に関する触媒の活性が実質的にゼロになる前に、オキシゲナート変換条件下で触媒が処理可能であるオキシゲナートの量を指す。
【0131】
結晶径の効果を調査するために、ZSM-48触媒を2つの異なるシリカ:アルミナ比(約70:1及び90:1)並びに細孔チャンネルの方向に沿った、異なる長さ(約60~70nm又は100nmより大きい)で合成した。より一般に、本実施例で実証される径の効果は、30~100のアルミナに対するシリカの比において、及び15以上のヘキサン分解活性で、種々の一次元10員環ゼオライトでの使用に適切であると考えられる(ヘキサン分解活性試験の制限された目的に関して、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第3,354,078号明細書に定義される)。
【0132】
触媒を調製するための合成混合物を表3に示す。触媒混合物は、種のために提供される混合物中の重量による、ほとんどの成分の重量比に基づいて記載される。それぞれの合成混合物に関して、シリカ対アルミナ比、(細孔チャンネル方向に沿った)結晶長さ及びアスペクト比(AR)を列挙する。
【0133】
【0134】
90:1のZSM-48合成混合物に関して、水、ヘキサメソニウムクロリド(56%溶液)、商業的に入手可能なUltrasilシリカ(Degussaから入手可能)、アルミン酸ナトリウム溶液(45%)、TEAOH溶液(35%)、50%水酸化ナトリウム溶液及び種から混合物を調製した。混合物を48時間、250RPMで撹拌しながら320°F(160℃)で反応させた。生成物を濾過し、脱イオン化(DI)水で洗浄し、250°F(120℃)において乾燥させた。合成された材料のXRDパターンは、ZSM-48トポロジーの典型的な純粋相を示した。合成された材料のSEMは、材料が結晶の凝集体から構成されることを示す。約7のアスペクト比を有する結晶に関して、結晶は針様モルフォロジーを有したが、約3のアスペクト比を有する結晶は、不規則なモルフォロジーを有した。
【0135】
70:1のZSM-48合成混合物に関して、水、ヘキサメソニウムクロリド(56%溶液)、商業的に入手可能なUltrasilシリカ、アルミン酸ナトリウム溶液(43%)、TEAOH溶液(35%)、50%水酸化ナトリウム溶液及び種から混合物を調製した。混合物を24時間、250RPMで撹拌しながら340°F(約170℃)で反応させた。生成物を濾過し、脱イオン化(DI)水で洗浄し、250°F(120℃)において乾燥させた。合成された材料のXRDパターンは、ZSM-48トポロジーの典型的な純粋相を示した。合成された材料のSEMは、材料が結晶の凝集体から構成されることを示す。約7のアスペクト比を有する結晶に関して、結晶は針様モルフォロジーを有したが、約3のアスペクト比を有する結晶は、不規則なモルフォロジーを有した。
【0136】
合成後、触媒をアルミナバインダーと配合し、80重量%のゼオライト、20重量%のバインダーを有する触媒粒子を製造した。
【0137】
触媒A(90:1、長さ=138nm)に関して、結合触媒は、90のAlpha値、約56のヘキサン分解活性、9.0オングストロームの中央細孔径、298m2/gのBET表面積(174m2/gの微小細孔表面積)、7のアスペクト比及び138nmの中央結晶長さを有した。
【0138】
触媒B(90:1、長さ=66nm)に関して、結合触媒は、100のAlpha値、約55のヘキサン分解活性、6.5オングストロームの中央細孔径、275m2/gのBET表面積(165m2/gの微小細孔表面積)、3のアスペクト比及び66nmの中央結晶長さを有した。
【0139】
触媒C(70:1、長さ=110nm)に関して、結合触媒は、120のAlpha値、約52のヘキサン分解活性、20.3オングストロームの中央細孔径、323m2/gのBET表面積(171m2/gの微小細孔表面積)、7のアスペクト比及び110nmの中央結晶長さを有した。
【0140】
触媒D(70:1、長さ=61nm)に関して、結合触媒は、140のAlpha値、約49のヘキサン分解活性、14.4オングストロームの中央細孔径、324m2/gのBET表面積(169m2/gの微小細孔表面積)、3のアスペクト比及び61nmの中央結晶長さを有した。
【0141】
触媒A~Dに加えて、約70:1のシリカ対アルミナ比及び90nm未満の中央結晶長さを有する第5のZSM-48触媒も合成した。この触媒は、「参照」ZSM-48触媒として示される。この参照ZSM-48触媒は、米国特許出願公開第2018/0201843号パンフレットに記載され、使用されたZSM-48触媒と類似している。
【0142】
リサイクルを行わず、等温固定床反応器中で触媒を試験したが、リサイクルは可能であり、且つ触媒サイクル長さをさらに延長することが可能であるか、又は全収率を変更することが可能であるため、リサイクルは望ましくなり得る。この反応器構成は例証であり、限定するものとして考えられるべきではない。移動又は流動床操作が好ましくなり得る。本実施例において、モデル原料として純粋なメタノールが使用されたが、水、オキシゲナート(例えば、エタノール、DME)、オレフィン、パラフィン及び芳香族などの共原材料が可能であり、且つ望ましくなり得る。試験条件は、2h-1 WHSV(ゼオライト基準)、450℃の温度及び約100kPa-gの圧力であった。
【0143】
図1~4にメタノール変換試験からの結果を示す。
図1は、触媒に暴露されたメタノールの量に対するオレフィン収量(g MeOH/g触媒)を示す。
図2は、メタノール曝露に対するパラフィン収量を示す。
図3は、メタノール曝露に対するオレフィン及び芳香族の合計収量を示す。
図4は、メタノール曝露に対するオレフィン、芳香族及び未知物質の合計収量を示す。
図4中の「未知物質」は、6個以上の炭素を含むイソ-オレフィンとほぼ一致すると考えられる。したがって、「未知物質」は、おそらく、比較的高オクタン価を有する化合物と一致する。
【0144】
図1に示すように、90:1ZSM-48触媒のアスペクト比を変更することは、収量及び触媒寿命に実質的な影響を及ぼした。これは、一部において、7のアスペクト比を有する90:1ZSM-48に関するいずれかの曝露における比較的低い収量のためである。しかしながら、3のアスペクト比及び75nm未満の結晶長さを有する90:1ZSM-48は、70:1ZSM-48触媒のいずれよりも長い寿命を有するように見えた。70:1の触媒に関して、より低アスペクト比の触媒は、オレフィンのいくらかより高いピーク収量を有したが、触媒曝露寿命増加の量は控え目であった。参照触媒に関する触媒曝露寿命は、3のアスペクト比及び約61nmの結晶長さを有する70:1ZSM-48触媒と類似していた。
【0145】
パラフィン収量に関して、
図2には、3のアスペクト比を有する90:1ZSM-48が全ての曝露において最も高いパラフィン収量を有するが、7のアスペクト比を有する90:1ZSM-48の結晶が一般に低い活性を有したことが示される。70:1触媒のパラフィン収量はほぼ同程度であったが、3のアスペクト比を有する70:1ZSM-48は、パラフィン収量が実質的にゼロになる前に、より長い寿命を有するように見えた。
図1の通り、参照触媒の触媒曝露寿命は、3のアスペクト比及び約61nmの結晶長さを有する70:1触媒の触媒曝露寿命と類似していた。
【0146】
オレフィン及び芳香族の合計収量を示す
図3も、
図1のものと類似した傾向を示す。したがって、
図3は、3のアスペクト比を有する70:1ZSM-48は、より高いアスペクト比の70:1ZSM-48と比較して寿命の控え目な増加のみをもたらすが、3のアスペクト比を有する90:1ZSM-48に関する実質的な収量増加を示す。オレフィン、芳香族及び未知物質の合計収量を示す
図4も、
図1及び
図3におけるデータと類似した傾向を示す。
【0147】
一次元ゼオライトの触媒曝露寿命に関する小結晶径の利益をさらに調査するために、実施例5B(CTAB)及び実施例11B(SLS)からの触媒を、上記反応条件及び反応器構成下でメタノール原材料に暴露した。追加的に、実施例5B又は実施例11Bと類似の方法であるが、結晶成長変性剤として1重量%の硫酸ナトリウムを使用する方法を使用して製造されたZSM-48結晶も試験した。
図1~4からの参照触媒からのデータも比較のために示す。
【0148】
成長変性剤として硫酸ナトリウムを使用して製造された触媒は、130のAlpha値、280m2/gのBET表面積(167m2/gの微小細孔表面積)、2.4のアスペクト比及び49nmの中央結晶長さを有した。成長変性剤としてCTABを使用して製造された触媒(実施例5B)は、120のAlpha値、327m2/gのBET表面積(176m2/gの微小細孔表面積)、2.2のアスペクト比及び53nmの中央結晶長さを有した。成長変性剤としてSLSを使用して製造された触媒(実施例11B)は、120のAlpha値、281m2/gのBET表面積(167m2/gの微小細孔表面積)、2.0のアスペクト比及び41nmの中央結晶長さを有した。
【0149】
図5~8はメタノール変換試験からの結果を示す。
図5は、触媒に暴露されたメタノールの量に対するオレフィン収量(g MeOH/g触媒)を示す。
図6は、メタノール曝露に対するパラフィン収量を示す。
図7は、メタノール曝露に対するオレフィン及び芳香族の合計収量を示す。
図4と同様に、
図8は、メタノール曝露に対するオレフィン、芳香族及び未知物質の合計収量を示す。
【0150】
図5に示す通り、変性剤としてSLSを添加することによって、触媒寿命に実質的な影響を及ぼし、オレフィンの収率は200g/MeOH/g触媒を十分過ぎるまでゼロより高いままであった。SLS成長変性剤が、メタノール変換用に試験される成長変性剤に関して最小の中央結晶長さ(41nm)をもたらしたことに留意されたい。硫酸ナトリウム又はCTABの添加は、より控え目な効果を有し、参照触媒と類似の全寿命であったが、約150g MeOH/g触媒の触媒寿命の終了に対するオレフィンのより高い生成が生じた。
【0151】
硫酸ナトリウムの添加がパラフィンのいくらかの追加的な初期収量をもたらしたこと以外、
図6中のパラフィン収量は、
図5に示される結果と類似している。しかしながら、
図6中のそれぞれの成長変性剤に関する寿命傾向は、
図5中のものと類似している。オレフィン及び芳香族の合計収量を示す
図7、並びにオレフィン、芳香族及び未知物質の合計収量を示す
図8も、
図5のものに類似した傾向を示す。したがって、
図7及び8は、(SLSを使用して合成された)小結晶長さのZSM-48触媒に関する触媒寿命の予想外の改善を示す。
モレキュラーシーブが、MRE骨格コードを有し、合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤Lも含まないことを除き、請求項1に記載の方法と同じ方法を使用して製造された同様のモレキュラーシーブの外部表面積の少なくとも1.1倍の外部表面積、及び/又は合成混合物がいずれのモルフォロジー変性剤Lも含まないことを除き、請求項1に記載の方法と同じ方法を使用して製造された同様のモレキュラーシーブと比較して、コリジン吸着によって測定される、増加した外部酸性度を有する、モレキュラーシーブ。