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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160414
(43)【公開日】2024-11-13
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024147781
(22)【出願日】2024-08-29
(62)【分割の表示】P 2021148057の分割
【原出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】青山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛大
(57)【要約】
【課題】車両の下面側からの噴射液体と洗車機本体からの送風との干渉を低減しつつ、車両の下面の洗浄時間の確保と車両の総洗浄時間の短縮とをより効率的に両立する。
【解決手段】洗車機(2)は、洗車機本体(4)と、下面洗浄部(6)と、制御部(44)とを備える。洗車機本体は、車両(X)に送風する送風ノズル(38、40)を含み、下面洗浄部は、液体を車両の下面に噴射する複数の下部ノズル(46)を含む。制御部は、送風ノズルに送風させ、かつ、下部ノズルに噴射させる期間の少なくとも一部において、車両における送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なるように洗車機本体および下面洗浄部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗車する洗車機本体と、
液体を前記車両の下面に噴射し前記車両の下面を洗浄する下面洗浄部と、
前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する制御部とを備え、
前記洗車機本体は、前記車両に送風する送風ノズルを含み、
前記下面洗浄部は、前記洗車機本体の移動範囲の地面に敷設され、前記液体を前記車両の下面に噴射する複数の下部ノズルを含み、
前記制御部は、前記送風ノズルに送風させ、かつ、前記下部ノズルに噴射させる期間の少なくとも一部において、前記車両における送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する洗車機。
【請求項2】
前記下部ノズルは、前記送風ノズルに送風させる期間において前記車両と平面視において重なる前記下部ノズルのうち、前記車両の前後方向の最も端部側に位置する第1ノズルと、前記第1ノズルよりも前記車両の前後方向の中央側に位置する第2ノズルとを少なくとも含み、
前記制御部は、
前記送風ノズルに送風させる期間の少なくとも一部において前記洗車機本体を前記第1ノズルから前記第2ノズルへ向かう方向に移動させ、
前記移動の間、少なくとも前記第1ノズルによる噴射を停止させる請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記洗車機本体は、さらに、車両を洗浄する洗浄部を含み、
前記制御部は、前記洗浄部に前記車両を洗浄させ、かつ、前記下部ノズルに液体を噴射させる請求項1または2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記制御部は、前記洗浄部に前記車両を洗浄させ、かつ、前記下部ノズルに液体を噴射させる期間の少なくとも一部において、前記車両における洗浄対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する請求項3に記載の洗車機。
【請求項5】
前記制御部は、前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御して、前記洗浄部に前記車両を洗浄させる期間内のある時点から前記送風ノズルに送風させる期間内のある時点までの間、前記下部ノズルに液体を噴射させる請求項3または4に記載の洗車機。
【請求項6】
前記下部ノズルは洗浄液と防錆液とを噴射し、
前記制御部は、前記下部ノズルから前記車両の下面に前記洗浄液と前記防錆液とを切り替え可能に噴射させる請求項1から5の何れか1項に記載の洗車機。
【請求項7】
前記制御部は、前記送風ノズルに送風させる期間において、前記下部ノズルからの前記防錆液の噴射を停止させる請求項6に記載の洗車機。
【請求項8】
前記制御部は、
前記送風ノズルに送風させる期間の少なくとも一部において前記洗車機本体を前記車両の前後方向における一端側から他端側に向けて移動させ、
前記下部ノズルの各々について、平面視において前記洗車機本体と重なった時点から前記送風させる期間の終了時まで停止させる請求項1から7の何れか1項に記載の洗車機。
【請求項9】
車両に送風する送風ノズルを含み、前記車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗車する洗車機本体と、前記洗車機本体の移動範囲の地面に敷設され、液体を前記車両の下面に噴射する複数の下部ノズルを含み、前記液体を前記車両の下面に噴射し前記車両の下面を洗浄する下面洗浄部とを備えた洗車機の制御方法であって、
前記送風ノズルに送風させ、かつ、前記下部ノズルに噴射させる送風噴射工程を含み、
前記送風噴射工程の少なくとも一部の期間において、前記車両における送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を洗浄する洗車機、および当該洗車機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に対し相対移動しつつ車両を洗浄する洗車機本体と、地面に敷設され車両の下面を洗浄するノズルとを備えた洗車機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-217882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された洗車機の洗車機本体による車両への送風を行い、車両の乾燥等を行う場合、車両への送風が行われている部分の下面に洗浄水を噴射すると、当該洗浄水が乾燥に用いられる風の気流に乗って、車両の上面、側面等を濡らすことがある。これを避けるためには、送風が開始するまでに、車両の当該位置における下面への洗浄水の噴射を停止する必要がある。そのためには、車両の下面へ洗浄水を噴射する時間の短縮が必要である。あるいは、車両の下面への洗浄水の噴射が完了するまで車両への送風を待機する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る洗車機は、車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗車する洗車機本体と、液体を前記車両の下面に噴射し前記車両の下面を洗浄する下面洗浄部と、前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する制御部とを備え、前記洗車機本体は、前記車両に送風する送風ノズルを含み、前記下面洗浄部は、前記洗車機本体の移動範囲の地面に敷設され、前記液体を前記車両の下面に噴射する複数の下部ノズルを含み、前記制御部は、前記送風ノズルに送風させ、かつ、前記下部ノズルに噴射させる期間の少なくとも一部において、前記車両における送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する。
【0006】
また、本開示の一態様に係る洗車機の制御方法は、車両に送風する送風ノズルを含み、前記車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗車する洗車機本体と、前記洗車機本体の移動範囲の地面に敷設され、液体を前記車両の下面に噴射する複数の下部ノズルを含み、前記液体を前記車両の下面に噴射し前記車両の下面を洗浄する下面洗浄部とを備えた洗車機の制御方法であって、前記送風ノズルに送風させ、かつ、前記下部ノズルに噴射させる送風噴射工程を含み、前記送風噴射工程の少なくとも一部の期間において、前記車両における送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
車両の下面側からの噴射液体と洗車機本体からの送風との干渉を低減しつつ、車両の下面の洗浄時間の確保と車両の総洗浄時間の短縮とをより効率的に両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る洗車機を示す概略側面図、および概略正面図である。
図2】実施形態1に係る下面洗浄部の一部を示す概略透過側面図である。
図3】実施形態1に係る洗車機を用いた車両の洗浄の間における下部ノズルと車両との位置関係を示すための、車両およびその周囲の概略平面図である。
図4】実施形態1に係る洗車方法の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る洗車機の、洗車機本体の洗浄部および下面洗浄部の各部の制御方法を示すガントチャートである。
図6】実施形態1に係る洗車方法の一例を示す工程平面図である。
図7】実施形態1に係る洗車方法の一例を示す他の工程平面図である。
図8】実施形態1に係る洗車方法の一例を示す他の工程平面図である。
図9】実施形態2に係る下面洗浄部の一部を示す概略透過側面図である。
図10】実施形態2に係る洗車機の、洗車機本体の洗浄部および下面洗浄部の各部の制御方法を示すガントチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
<洗車機本体>
図1は、本実施形態に係る洗車機2の概略側面図、および洗車機2が備える洗車機本体4の概略正面図である。ただし、図1においては、後述する下面洗浄部6の一部について地面Gを透過して示す。また、図1においては、車両Xが後述するリモートパネル58よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0010】
本実施形態に係る洗車機2は、図1に示すように、被洗浄車両である車両Xの洗車を行う洗車機本体4と下面洗浄部6とを備える。以下、はじめに、図1を参照して洗車機本体4について詳細に説明する。
【0011】
図1の洗車機本体4の概略正面4Fに示すように、洗車機本体4は、例えば、2つのフレーム8と、当該2つのフレーム8の上端同士を連結する天井部10とを備える。洗車機本体4は、図1の洗車機2の概略側面2Sに示す、車両Xの進入方向DAに沿って、車両Xが、フレーム8および天井部10によって囲まれた空間4Sを通過できる構造を有している。なお、本明細書において、進入方向DAは、洗車機本体4の正面から背面に向かう方向とする。
【0012】
洗車機本体4は、例えば、フレーム8のそれぞれの下部に車輪12を有し、図示しない駆動部によって当該車輪12を回転駆動することにより、地面Gに配されたレールRに沿って、車両Xに対し前後方向に相対移動する。レールRは、例えば、進入方向DAに沿って形成されている。ここで、洗車機本体4は、車両Xに対する相対移動を行いつつ、空間4S中の車両Xに対する洗浄を実施する。
【0013】
洗車機本体4には、洗浄部の1つとして、車両X上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。例えば、洗車機本体4が備える回転ブラシは、それぞれが回転モータ(不図示)によって回転するトップブラシ14、サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18を含む。トップブラシ14は、車両Xの上面に沿って移動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18は、車両Xの両側面を洗浄する。特に、ロッカーブラシ18は、サイドブラシ16の下方に配され、車両Xの側面下部を洗浄する。
【0014】
洗車機本体4の側部には、洗剤またはワックス等を含む各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部20が配される。タンク収納部20の上方には、市水を含む水、または各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部22が設けられる。分配配管部22には、洗浄部に含まれる、第1浄水ノズル24、第2浄水ノズル26、第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30、撥水コートノズル32、およびワックスノズル34がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0015】
第1浄水ノズル24、および第2浄水ノズル26は、洗車機本体4の手前側、および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対して市水を含む水を噴射する。第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30は、洗車機本体4の手前側および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対してシャンプー等を含む洗浄液を噴射する。撥水コートノズル32およびワックスノズル34は洗車機本体4の後面に配される。撥水コートノズル32は車両Xに対して撥水コート剤の液剤を噴射する。ワックスノズル34は車両Xに対してワックスを噴射する。
【0016】
また、洗車機本体4には、気流を発生して車両Xを乾燥させるブロワ36が設けられる。ブロワ36には送風ノズルとしてトップ送風ノズル38およびサイド送風ノズル40が接続される。トップ送風ノズル38は、洗車機本体4の中央上部に設けられ、車両Xの天井面に向けて送風する。サイド送風ノズル40は、洗車機本体4の両側部に設けられ、車両Xの側面に向けて送風する。洗車機本体4は、トップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40の送風によって、洗浄後の車両Xを乾燥させる。なお、洗車機本体4は、各送風ノズルの位置および送風角度等を調節して、各送風ノズルからの送風を車両Xの下面に回り込ませることにより、車両Xの下面への送風を行ってもよい。
【0017】
なお、本明細書の各図面においては、図示の簡単のために、上述した、洗車機本体4が備える、車両Xの洗浄のための各装置に関する図示を省略している場合がある。また、図1に示す、洗車機本体4が備える各装置は、単なる例示であり、洗車機本体4は、上述した装置の他、従来公知の構成を含む、車両Xの洗浄のための装置、および当該洗浄を補助する装置を、フレーム8または天井部10に備えていてもよい。
【0018】
洗車機本体4の一方のフレーム8の前面には操作パネル42が配される。操作パネル42は洗車条件を設定する操作ボタン(不図示)を備え、車両Xから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付けまたは洗車条件の設定を行う。
【0019】
さらに、洗車機2は、洗車機本体4および後述する下面洗浄部6を制御する制御部44を備える。特に、制御部44は、洗車機本体4のレールRに沿った移動、および、洗車機本体4の各部の動作を制御することにより、洗車機本体4による車両Xの洗浄および乾燥等を制御する。さらに、制御部44は、後述する下面洗浄部6の各部の動作を制御することにより、下面洗浄部6による車両Xの下面の洗浄等を制御する。
【0020】
制御部44は、図1に示すように、洗車機本体4に備えられていてもよく、あるいは、洗車機本体4の外部に位置していてもよい。制御部44は、不図示の通信装置等により、洗車機本体4または後述するリモートパネル58との間における情報の送受信を行い、洗車機本体4および下面洗浄部6を制御してもよい。制御部44は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。
【0021】
<下面洗浄部>
続いて、図1に加え図2を併せて参照し、下面洗浄部6についてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る下面洗浄部6の一部について地中を透過して示す概略側面図である。図2においては、洗車機本体4および車両Xを含む、地面Gよりも上方における各部の図示を省略している。
【0022】
下面洗浄部6は、例えば、複数の下部ノズル46と、各下部ノズル46と接続するパイプ48と、ポンプシステム50とを備える。下面洗浄部6の各部は、洗車機本体4が配置される洗車場内の地中に埋設されている。ただし、下面洗浄部6の各部は、車両Xの移動および洗車機本体4による車両Xの洗浄を阻害しない限り、地面Gよりも上方に位置してもよい。
【0023】
下部ノズル46は、接続されたパイプ48を介して輸送された液体を、例えば、地面Gに形成された開口を介して、地面Gからさらに上方に向けて噴射するノズルである。特に、下部ノズル46は洗車機本体4の移動範囲の地面Gに敷設される。本実施形態において、下面洗浄部6は、図1の概略側面2Sに示すように、それぞれが複数の下部ノズル46を有する、第1ノズル46A、第2ノズル46B、第3ノズル46C、および第4ノズル46Dを含む。
【0024】
第1ノズル46A、第2ノズル46B、第3ノズル46C、および第4ノズル46Dは、進入方向DAの前方側からこの順に配置される。換言すれば、下部ノズル46は、車両Xの前後方向の最も前方側に位置する第1ノズル46Aと、当該第1ノズル46Aよりも車両Xの前後方向の後方側に位置する第2ノズル46Bとを少なくとも含む。
【0025】
パイプ48は、後述するポンプシステム50から送り込まれた液体を各下部ノズル46まで輸送し、各下部ノズル46に噴射させるための液体流路である。パイプ48は、例えば、ポンプシステム50の内部にて、第1パイプ48A、第2パイプ48B、第3パイプ48C、および第4パイプ48Dに分岐する。第1パイプ48Aは、例えば、さらに分岐して各第1ノズル46Aと接続する。第2~4パイプ48B~Dのそれぞれについても、さらに分岐して各第2~4ノズル46B~Dと接続する。
【0026】
ポンプシステム50は、洗浄液タンク52と、ポンプ54と、複数の第1弁56とを含む。洗浄液タンク52は、例えば、パイプ48の各下部ノズル46とは反対の側の一端と接続し、内部に洗浄液WLを貯留する。洗浄液WLは、例えば、市水であってもよく、または、洗剤を含んでいてもよい。ポンプ54は、例えば、洗浄液タンク52からパイプ48の分岐部までに形成され、洗浄液タンク52から洗浄液WLを汲み上げ、パイプ48を介して各下部ノズル46に洗浄液WLを送り込む液体ポンプである。第1弁56は、第1~4パイプ48A~Dのそれぞれに形成され、開閉により各パイプ48における液体の流動を制限する。
【0027】
例えば、第1弁56のうち第1パイプ48Aに形成された第1弁56のみが開放され、その他の第1弁56が閉塞していたとする。この場合、図2に示すように、ポンプ54により洗浄液タンク52から汲み上げられた洗浄液WLは、第1パイプ48Aを介して、各第1ノズル46Aから噴射される。
【0028】
制御部44は、ポンプ54が常に洗浄液タンク52の洗浄液WLを各下部ノズル46に送り出すように、ポンプシステム50を動作させてもよい。この場合、制御部44は、各第1弁56の開閉を制御することにより、洗浄液WLを噴射させる下部ノズル46の選択、および洗浄液WLを下部ノズル46に噴射させるタイミングの制御を行ってもよい。
【0029】
<リモートパネル>
洗車機2は、洗車機本体4および下面洗浄部6による車両Xの洗車条件を取得するリモートパネル58を備えていてもよい。図1においては、車両Xがリモートパネル58よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0030】
リモートパネル58は、例えば、洗車機本体4の前方側に位置し、おおよそ洗車機本体4の移動方向に沿って配置される。また、リモートパネル58は、図1に示すように、その正面が、洗車機本体4により洗浄される前、換言すれば、洗車機本体4の内部に進入する前の車両Xの側面と対向するように配置される。このため、図1においては、リモートパネル58の背面を図示している。
【0031】
図1に示すように、リモートパネル58は、筐体60と、地面Gに立設された、筐体60を支持する支持柱62とを備える。リモートパネル58は、筐体60に設けられた、不図示のタッチパネルまたはボタン等の操作により、洗車機本体4による車両Xの洗車条件の少なくとも一部を取得してもよい。制御部44は、リモートパネル58が取得した洗車条件の少なくとも一部に基づいて、洗車機本体4および下面洗浄部6を制御し、車両Xを洗浄してもよい。
【0032】
<洗車方法の概要および受付工程>
洗車機2による車両Xの洗車方法について、図3を参照し説明する。図3は、洗車機2による洗車方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る洗車方法においては、はじめに、受付工程として、洗車機2が、車両Xのユーザ等からの洗車を受け付ける(ステップS2)。洗車の受付は、例えば、上記ユーザが、リモートパネル58または操作パネル42等を操作することにより、車両Xの洗車条件の設定、および洗車料金の支払い等を行うことにより実施してもよい。
【0033】
<下部ノズルと車両との相対位置>
洗車の受付が完了した後、洗車機2による車両Xの洗浄が実行される。ここで、以降の各工程をより詳細に説明するために、洗車機2による車両Xの洗浄が実行されている間における、車両Xと下部ノズル46との相対的な位置関係について、図4を参照して説明する。
【0034】
図4は、洗車機2による車両Xの洗浄が実行されている間における、車両Xおよびその周囲の平面図である。図4においては、車両Xと下部ノズル46との相対位置を明確に示すために、洗車機本体4の図示を省略し、下部ノズル46および当該下部ノズル46のそれぞれと接続するパイプ48について車両Xを透過して示す。
【0035】
なお、図4に示すように、各下部ノズル46は、平面視におけるパイプ48と重なる位置に形成されていてもよい。ここで、図4において、各下部ノズル46から引き出されるパイプ48は、パイプ48をより明瞭に図示するため、いずれも図に向かって左側に引き出されているが、パイプ48のレイアウトはこれに限られない。例えば、進行方向DAに対し左右の下部ノズル46のそれぞれから個別にパイプ48が引き出されていてもよい。
【0036】
例えば、ステップS2において、車両Xの洗車条件の設定、および洗車料金の支払いの完了に次いで、洗車機2は、車両Xの運転手に車両Xを指定の停止位置に移動させるように案内を行ってもよい。洗車機2による上記案内は、洗車機本体4またはリモートパネル58に設けられたスピーカまたはディスプレイ等によって行われてもよい。
【0037】
洗車機本体4が配置される洗車場内の地面Gには、例えば、車両Xの停止位置の目安となる、停止線SL、左側進入ガイドALL、および右側進入ガイドALRが形成されていてもよい。停止線SLは、例えば、第1ノズル46Aよりも進入方向DAにおける前側に配置され、進入方向DAと略直交する方向に延伸する。左側進入ガイドALLおよび右側進入ガイドALRは、例えば、進入方向DAと略平行に延伸し、進入方向DAに対する左右方向において各下部ノズル46を挟む位置にそれぞれ形成される。例えば、洗車機2は、車両Xを停止線SLの手前かつ左側進入ガイドALLおよび右側進入ガイドALRの間に停止させるように、車両Xの運転士に案内を行ってもよい。
【0038】
さらに、洗車機2は、車両Xの位置が規定の停車位置に収まっていることを検出するためのセンサを備えていてもよい。例えば、洗車機2は、車両Xの形状を検知するための車形検知センサを用いて、車両Xの位置を検出してもよい。車形検知センサは、例えば、洗車機本体4の前面側に、上下方向に整列した複数の光電センサからなるエリアセンサであってもよい。この場合、洗車機本体4は、受付工程において、車形検知センサによって車両Xを検出できない場合に、車両Xが規定の停車位置よりも進行方向DAの後方側に位置すると判断してもよい。
【0039】
あるいは、洗車機2は、洗車場内の地面Gに図示しない複数のセンサを備えていてもよく、当該センサによる車両Xの検出の有無を確認することにより、車両Xの停車位置を検出してもよい。または、洗車機2は、洗車機本体4とは個別に洗車場内に立設されたセンサをさらに備えていてもよい。
【0040】
例えば、洗車機2は複数のセンサを用いて、車両Xの位置を検出し、車両Xの案内を行ってもよい。例えば、洗車機2は、あるセンサによって車両Xの存在が検出できない場合に、車両Xが規定の停車位置よりも進行方向DAの後方側に位置すると判断し、車両Xを前進させるようにユーザに対し案内を行ってもよい。または、洗車機2は、ある他のセンサによって車両Xの存在が検出された場合に、車両Xが規定の停車位置を進行方向DAの前方側に行き過ぎたと判断し、車両Xを後退させるようにユーザに対し案内を行ってもよい。
【0041】
車両Xが停止線SLの手前かつ左側進入ガイドALLおよび右側進入ガイドALRの間に停止した場合、少なくとも第1ノズル46Aは平面視において車両Xと重なる。本実施形態においては、上述した停止位置に車両Xが停止した場合、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cが、この順に車両Xの前方側から、平面視において車両Xと重なる。なお、車両Xと重なる下部ノズル46の個数は車両Xの車長により異なっていてもよく、例えば、第4ノズル46Dは車両Xと重なっていなくともよい。
【0042】
平面視において車両Xと重なっている下部ノズル46から洗浄液WLを噴射させた場合、洗浄液WLは平面視において当該下部ノズル46と重なっている下面およびその近傍に吹き付けられる。これにより、下面洗浄部6は、下部ノズル46から洗浄液WLを噴射させることにより、車両Xの下面の洗浄を行う。
【0043】
本実施形態において、図4に示すように、第1~3ノズル46A~Cのそれぞれからの洗浄液WLによって洗浄される車両Xの下面を、それぞれ、第1~3下面U1~3とする。また、平面視において第1~3下面U1~3のそれぞれと重なる領域を、それぞれ、第1~3領域A1~3とする。さらに、図4に示すように、車両Xの下面を除く表面のうち、第1~3領域A1~3のそれぞれに含まれる表面を、それぞれ、第1~3表面F1~3とする。このため、車両Xの下面は、車両Xの先頭側から順に、第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3を有し、車両Xの下面を除く表面は、車両Xの先頭側から順に、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3を有する。
【0044】
<各工程における処理>
図3の参照に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、洗車の受付に次いで、制御部44が洗車機本体4の制御を通じて第1洗浄工程を実行する(ステップS4)。第1洗浄工程は、例えば、洗車機2の洗車場内の図示しないエリアセンサ等によって、車両Xが停止位置に停止したことを確認した場合に実行してもよい。第1洗浄工程以降における本実施形態に係る洗車方法の各工程について、さらに、図5から図8を参照してより詳細に説明する。
【0045】
図5は、第1洗浄工程以降における、洗車機2の制御方法、特に、洗車機本体4の洗浄部および送風ノズルと、下面洗浄部6との制御方法を示すためのガントチャートである。図5においては、本実施形態に係る洗車機2の各部が実行する処理、および当該処理を実行する期間を示すことにより、本実施形態に係る洗車機2の制御方法を表す。図5において、横軸は時刻を表し、紙面に向かって左から右に、後述する第1洗浄工程が開始する時刻T0から乾燥工程の完了する時刻T3までを表す。図5において各処理のハッチングを付した期間は、本実施形態において当該処理を実行する期間である。
【0046】
図5において、縦軸の『処理』の欄は洗車機2の各部により実行される処理を表し、換言すれば、洗車機2の各部の制御の内容を示す。図5の『処理』の欄において、『第1~3表面洗浄』は、それぞれ、第1~3表面F1~3に対する洗車機本体4の洗浄部による洗浄処理を表す。『第1~3表面乾燥』は、それぞれ、第1~3表面F1~3に対する洗車機本体4からの送風による乾燥処理を表す。『第1~3ノズル洗浄液噴射』は、それぞれ、第1~3ノズル46A~Cからの洗浄液WLの噴射による、第1~3下面U1~3の洗浄処理を表す。
【0047】
図6から図8は、第1洗浄工程以降における本実施形態に係る洗車方法を示すための工程平面図である。図6から図8については、洗車機本体4、下部ノズル46、および車両Xのそれぞれの相対位置をより詳細に示すために、洗車機本体4はフレーム8および天井部10の外形のみを示し下部ノズル46および車両Xを透過して示す。さらに、図6から図8については、図示の簡単のため、洗車機本体4、下部ノズル46、および車両Xを除く他の部材の図示を省略している。
【0048】
<第1洗浄工程>
図6のステップS4-2に示すように、本実施形態に係る第1洗浄工程の開始時点において、洗車機本体4は車両Xの前方側に位置している。第1洗浄工程の間、制御部44は、洗車機本体4を、図6のステップS4-2およびステップS4-4に示す第1方向D1、換言すれば、車両の前方側から後方側に向けて、車両Xに対し相対的に移動させる。第1洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を車両Xに対し相対的に移動させつつ、平面視において重なった車両Xの表面を洗浄部により洗浄させる。例えば、制御部44は、上述したノズルから洗浄液を噴射させ、各ブラシを車両Xの表面に当接させつつ回転させることにより、洗車機本体4に車両Xの表面を洗浄させる。
【0049】
第1洗浄工程において、洗車機2は、上述した車形検知センサによって、車両Xの形状を検出しつつ、車両Xの洗浄を行ってもよい。この場合、例えば、制御部44は、洗車機本体4を第1方向D1に移動させつつ、車形検知センサによる車両Xの検出の有無を確認する。これにより、制御部44は、車両Xに対する洗車機本体4の相対位置と車両Xの検出が確認されたセンサの位置とを紐づけることにより、車両Xの形状を割り出してもよい。また、制御部44は、割り出された車両Xの形状に基づいて洗車機本体4の洗浄部を制御することにより、車両Xの表面を洗浄してもよい。
【0050】
第1洗浄工程は、例えば、図5に示す時刻T0から時刻T1までの第1期間P1に実行される。上述の通り、第1洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を第1方向D1に移動させつつ洗車機本体4の洗浄部に車両Xの表面を洗浄させる。このため、制御部44は、図5に示す通り、第1期間P1において、洗車機本体4に第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3をこの順に洗浄させる。洗車機本体4による第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3に対する洗浄は、例えば、それぞれ20秒間ずつ実行されてもよい。なお、図5に示す通り、第1期間P1において、第1表面F1と第2表面F2との洗浄を同時に実行する期間、および第2表面F2と第3表面F3との洗浄を同時に実行する期間が、例えば、それぞれ5秒間ずつ存在してもよい。
【0051】
洗車機本体4による第3表面F3の洗浄が完了し、図6のステップS4-6に示すように、洗車機本体4が車両Xの後方側まで移動した時点において第1洗浄工程が完了する。たとえば、第1洗浄工程は、計50秒間実行されてもよい。ここで、図5に示すように、第1期間P1においては各下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射および車両Xの下面の洗浄は実行されない。
【0052】
<第2洗浄工程>
図3の参照に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、第1洗浄工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の制御を通じて第2洗浄工程を実行する(ステップS6)。図6のステップS4-6に示すように、第1洗浄工程の終了時点において、洗車機本体4は車両Xの後方側に位置している。第2洗浄工程の間、制御部44は、洗車機本体4を、図7のステップS6-2およびステップS6-4に示す第2方向D2、換言すれば、車両の後方側から前方側に向けて、車両Xに対し相対的に移動させる。第2洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を、車両Xに対し相対的に移動しつつ、平面視において重なった車両Xの表面を洗浄部により洗浄させる。
【0053】
第2洗浄工程は、例えば、図5に示す時刻T1から時刻T2までの第2期間P2に実行される。上述の通り、第2洗浄工程において、制御部44は洗車機本体4を第2方向D2に移動させつつ車両Xの表面を洗浄させる。このため、制御部44は、図5に示す通り、第2期間P2において、洗車機本体4に第3表面F3、第2表面F2、および第1表面F1をこの順に洗浄させる。なお、図5に示す通り、第2期間P2においても、第3表面F3と第2表面F2との洗浄を同時に実行する期間、および第2表面F2と第1表面F1との洗浄を同時に実行する期間が存在してもよい。
【0054】
第2洗浄工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の洗浄方法および洗浄時間は、それぞれ、第1洗浄工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の洗浄方法および洗浄時間と同一であってもよい。例えば、制御部44は、第1洗浄工程における洗車機本体4の移動および各洗浄部の動作を逆順に制御することにより、第2洗浄工程を実行してもよい。また、制御部44は、第1洗浄工程において得られた車両Xの形状の情報を用いて、第2洗浄工程における車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0055】
洗車機本体4による第1表面F1の洗浄が完了し、図7のステップS6-6に示すように、洗車機本体4が車両Xの前方側まで移動した時点において第2洗浄工程が完了する。たとえば、第2洗浄工程は、計50秒間実行されてもよい。
【0056】
<下面洗浄工程>
本実施形態において、図3に示すように、第1洗浄工程に次いで、制御部44が第2洗浄工程における洗車機本体4の制御と並行して下面洗浄部6を制御することにより、制御部44が下面洗浄工程を実行する(ステップS8)。下面洗浄工程は、例えば、第2洗浄工程が開始する時刻T1において開始されてもよい。
【0057】
下面洗浄工程においては、はじめに、車両Xの車長から、下面洗浄工程において使用する下部ノズル46の個数を決定する。車両Xの車長は、例えば、第1洗浄工程において得られた車両Xの形状の情報から計算してもよい。上述の通り、車両Xは平面視において少なくとも第1ノズル46Aと重なり、また、規定の停車位置の内側に収まっている。このため、洗車機2は、車両Xの車長から、車両Xと平面視において重なる下部ノズル46を割り出すことができる。車両Xと平面視において重ならない下部ノズル46を使用しないことにより、洗車機2は、当該下部ノズル46から液体を噴射させることにより、車両Xに接触することなく下部ノズル46から噴射された液体が周囲に飛散することを防止できる。本実施形態においては、洗車機2が車両Xと平面視において第1~3ノズル46A~Cが重なる下部ノズル46であると判断した場合を示す。
【0058】
次いで、図5に示すように、制御部44は、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cにこの順に洗浄液WLを噴射させる。このため、下面洗浄工程においては、制御部44は、下面洗浄部6に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に洗浄させる。
【0059】
図5に示すように、下面洗浄工程においては、第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3を一回ずつ洗浄する処理を1組の処理とし、当該1組の処理を連続して合計3回実行してもよい。例えば、当該1組の処理のそれぞれにおいて、第1下面U1の洗浄は5秒間、第2下面U2の洗浄は10秒間、第3下面U3の洗浄は5秒間実行してもよい。
【0060】
この場合、上記1組の処理は合計20秒間実行されるため、下面洗浄工程は合計60秒間実行される。第2洗浄工程が上述の通り計50秒間実行される場合、下面洗浄工程は、図5に示すように、第2期間P2の終了時刻である時刻T2以降においても実行される。
【0061】
<乾燥工程>
図3の参照に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の制御を通じて乾燥工程を実行する(ステップS10)。図7のステップS6-6に示すように、第2洗浄工程の終了時点において、洗車機本体4は車両Xの前方側に位置している。乾燥工程の間、制御部44は、洗車機本体4を、図8のステップS10-2およびステップS10-4に示す第1方向D1に向けて、車両Xに対し相対的に移動させる。乾燥工程において、制御部44は、洗車機本体4を車両Xに対し相対的に移動させつつ、ブロワ36を動作させて各送風ノズルから車両Xの表面へ向けて送風させることにより、洗車機本体4に車両Xを乾燥させる。
【0062】
乾燥工程は、例えば、図5に示す時刻T2から時刻T3までの第3期間P3に実行される。上述の通り、乾燥工程において、制御部44は、洗車機本体4を第1方向D1に移動させつつ車両Xを乾燥させる。このため、制御部44は、図5に示す通り、第3期間P3において、洗車機本体4に第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3をこの順に乾燥させる。ただし、第3期間P3において、制御部44は、洗車機本体4に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に併せて乾燥させてもよい。なお、図5に示す通り、第3期間P3においても、第1表面F1と第2表面F2との乾燥を同時に実行する期間、および第2表面F2と第3表面F3との乾燥を同時に実行する期間が存在してもよい。
【0063】
乾燥工程における洗車機本体4の移動は、第1洗浄工程における洗車機本体4の移動と同一の方法により実行してもよい。この場合、乾燥工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の乾燥時間は、それぞれ、第1洗浄工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の洗浄時間と同一であってもよい。
【0064】
洗車機本体4による第3表面F3の乾燥が完了し、図8のステップS10-6に示すように、洗車機本体4が車両Xの後方側まで移動した時点において乾燥工程が完了する。たとえば、乾燥工程は、計50秒間実行されてもよい。乾燥工程の完了をもって、本実施形態に係る洗車機2の制御が完了し、車両Xの洗車が完了する。なお、本実施形態においては、乾燥工程が完了するまでに下面洗浄工程も完了している。
【0065】
制御部44は図5に示す洗車機2の各部の制御方法に沿って洗車機本体4と下面洗浄部6とを制御することにより、上述した洗車機2による車両Xの洗浄方法を実現する。制御部44による洗車機2の制御方法は、例えば、受付工程において取得した車両Xの洗車条件等を含む洗車条件に沿って決定されてもよい。
【0066】
例えば、制御部44は、洗車機本体4による車両Xの洗浄および乾燥が図5に示すように実行されるように、洗車機本体4の移動および洗車機本体4の各部の動作を制御してもよい。また、制御部44は、各下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射が図5に示すように実行されるように、各第1弁56の開閉を制御してもよい。
【0067】
<重複期間>
本実施形態において、下面洗浄工程は第2洗浄工程の間のみならず第2洗浄工程が完了する時刻T2以降においても実行され、かつ、乾燥工程は第2洗浄工程に引き続いて時刻T2から開始する。このため、本実施形態において、制御部44が下面洗浄工程と乾燥工程とを同時に実行することにより、制御部44が送風ノズルから送風させ、かつ、下部ノズル46から液体を噴射させる送風噴射工程を実行する。送風噴射工程は、図5に示すように、時刻T2から下面洗浄工程の完了までの間である、重複期間DPに実行される。
【0068】
重複期間DPにおいては、図5からわかるように、第1表面F1の乾燥が実行されている。また、重複期間DPにおいては、図5からわかるように、第2ノズル46Bおよび第3ノズル46Cからの洗浄液WLの噴射が実行され、第1ノズル46Aからの洗浄液WLの噴射が実行されない。換言すれば、重複期間DPにおいては、第2下面U2および第3下面U3が洗浄されるものの、第1下面U1は洗浄されない。
【0069】
特に、本実施形態においては、乾燥工程が開始する時刻T2までに、第1下面U1の洗浄は全て完了している。換言すれば、乾燥工程において、洗車機本体4が第1方向D1に向けて移動する間、下部ノズル46のうち少なくとも第1ノズル46Aによる洗浄液WLの噴射は停止される。
【0070】
したがって、重複期間DPにおいて、洗車機本体4の送風ノズルが送風する送風対象位置は第1表面F1および第1下面U1である。また、重複期間DPにおいて、下部ノズル46が洗浄液WLを噴射する噴射対象位置は第2下面U2および第3下面U3である。換言すれば、本実施形態において、洗車機本体の送風ノズルに送風させ、かつ、下部ノズル46に噴射させる期間である重複期間DPの少なくとも一部において、車両Xにおける送風対象位置と噴射対象位置とは平面視において異なっている。
【0071】
このため、洗車機2は、下面洗浄工程を乾燥工程の一部期間においても実行するものの、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。ゆえに、洗車機2は、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減しつつ、車両Xの洗車時間の延長の低減と車両Xの下面の洗浄時間の延長とを両立できる。
【0072】
<補遺>
本実施形態に係る乾燥工程において、洗車機本体4は、車両Xの前方側から後方側に向けて車両Xの乾燥を実行する。また、下部ノズル46のうち車両Xの最も前方側に位置する第1ノズル46Aからの噴射が停止している。このため、本実施形態にように車両Xの乾燥が車両Xの前方側から実行される場合、洗車機2は、乾燥工程の開始時点から、より確実に車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。
【0073】
本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程を実行する間、併せて下面洗浄工程を実行する。したがって、洗車機2は、車両Xの洗車時間が延長することを低減しつつ、車両Xの下面の洗浄時間をさらに延長できる。なお、車両Xの下面の洗浄位置と車両Xの下面を除く表面の洗浄位置とが平面視において重なったとしても、互いの洗浄への影響は小さい。
【0074】
特に、本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程から乾燥工程に移行する時刻T2を跨いで下面洗浄工程が実行される。換言すれば、本実施形態に係る洗車方法においては、第2期間P2のある時点から第3期間P3のある時点までの間に下面洗浄工程が実行される。したがって、洗車機2は、第2洗浄工程から乾燥工程に移行する間においても車両Xの下面の洗浄を停止しないため、車両Xの下面の洗浄時間をより延長できる。
【0075】
本実施形態に係る洗車方法においては、図5に示すように、第2洗浄工程において、車両Xの第1~3下面U1に対する洗浄が、各下面と平面視において重なる車両Xの表面に対する洗浄とは独立して実行される独立期間IPが存在する。換言すれば、第2洗浄工程における独立期間IPにおいては、各下部ノズル46からの噴射対象位置と洗車機本体4による洗浄対象位置とが異なっている。
【0076】
このため、独立期間IPにおいては、第1~3下面U1~3のうちの何れかの下面が実行され、当該下面と平面視において重なる車両Xの表面に対する洗車機本体4による洗浄が実行されていない。この場合、当該下面に下部ノズル46から洗浄液WLが噴射された際に生じる音または振動等が、洗車機本体4による車両Xの洗浄によって生じる音または振動等に影響されることなく車両X内のユーザに伝わる蓋然性が向上する。
【0077】
したがって、独立期間IPにおいては、車両X内のユーザは車両Xの下面に下部ノズル46から洗浄液WLが噴射されていることをより実感しやすくなる。ゆえに、独立期間IPを設けることにより、洗車機2は車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0078】
なお、本実施形態に係る洗車方法においては、図5に示すように、乾燥工程においても、車両Xの第1~3下面U1に対する洗浄が、各下面と平面視において重なる車両Xの表面に対する乾燥とは独立して実行される独立期間IPが存在する。したがって、乾燥工程における独立期間IPにおいても、洗車機2は車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0079】
例えば、洗車機2による車両Xの受付を行う際に、車両Xの下面を洗浄するためにユーザがオプションの追加を行ったとする。この場合、洗車機2がユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えるため、ユーザはオプションの追加の結果として得られる、車両Xの下面が洗浄されているという成果を実感しやすくなる。ゆえに、例えば、洗車機2はユーザに次回洗車機2を利用する際におけるオプションの追加意欲をより強く与えることができる。
【0080】
また、本実施形態において、第2下面U2に対する下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射時間は、第1下面U1および第3下面U3のそれぞれに対する下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射時間よりも長い。換言すれば、本実施形態において、車両Xの下面のうち、車両Xの前後方向の端部と比較して中央部に対してより長く洗浄液WLが噴射される。
【0081】
一般に、車両Xの下部には、車両Xの前後方向の端部と比較して中央部の方が、より汚れやすく洗浄すべき機構が多く存在する。また、車両Xの前後方向の端部と比較して中央部に下部ノズル46からの洗浄液WLが噴射された場合の方が、車両X内のユーザは車両Xの下面に洗浄液WLが噴射された際の音または振動を感じやすい。したがって、上記構成により、より適切に車両Xの下面を洗浄でき、また、車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0082】
なお、上述した通り、下面洗浄工程における各下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射は、間歇的に実行される。これにより、車両X内のユーザは、下面が下部ノズル46によって複数回洗浄されていることを実感することができる。ゆえに、上記構成により、洗車機2は、車両X内のユーザに下部ノズル46により車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0083】
本実施形態において、上述した重複期間DPが設けられ、かつ、当該重複期間DPにおいて送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なる限り、洗車機2による車両Xの洗車方法は上述した方法に限られない。例えば、本実施形態においては、乾燥工程において、洗車機本体4の移動方向は、車両Xの前後方向の何れであってもよい。
【0084】
また、例えば、乾燥工程の少なくとも一部の期間において、各下部ノズル46から洗浄液WL噴射させ、かつ、各下部ノズル46の各々について、平面視において洗車機本体4と重なった時点から乾燥工程の終了時まで洗浄液WLの噴射を停止させてもよい。上記構成により、洗車機2は車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減しつつ、車両Xの下面の洗浄をより徹底して行うことができる。
【0085】
さらに、下面洗浄工程において使用する下部ノズル46の個数は、車両Xの車長に応じて適宜変更されてもよい。例えば、車両Xの車長がより長く、洗車機2が車両Xを洗浄する間、車両Xが第4ノズル46Dとも平面視において重なる場合には、下面洗浄工程において、第4ノズル46Dから洗浄液WLを噴射させる期間をさらに設けてもよい。また、例えば、車両Xの車長がより短く、洗車機2が車両Xを洗浄する間、車両Xが第3ノズル46Cと平面視において重ならない場合には、下面洗浄工程において、第3ノズル46Cからの洗浄液WLの噴射を省略してもよい。
【0086】
本実施形態においては、第1弁56を開放する場合、何れか一つの第1弁56のみが開放されるため、第1~4ノズル46A~Dのうち何れか一つのみから洗浄液が噴射される。しかしながら、これに限られず、複数の第1弁56が同時に開放されてもよく、換言すれば、第1~4ノズル46A~Dのうち2つ以上から洗浄液が噴射されてもよい。
【0087】
本実施形態において、下部ノズル46のうち第1ノズル46Aは、第1洗浄工程以降における車両Xの下面のうち最も前方側に位置する第1下面U1と平面視において重なる位置に配置されるが、これに限られない。例えば、第1洗浄工程以降において、第1ノズル46Aは、車両Xの下面のうち最も後方側に位置する第3下面U3と平面視において重なっていてもよい。換言すれば、乾燥工程において車両Xと平面視において重なる下部ノズル46のうち、第1ノズル46Aは車両Xの前後方向の最も端部側に位置する。このため、乾燥工程において車両Xと平面視において重なる下部ノズル46のうち、第2ノズル46Bは第1ノズル46Aよりも車両Xの前後方向の中央側に位置する。
【0088】
第1ノズル46Aが車両Xの下面のうち最も後方側に位置する場合、乾燥工程において、洗車機本体4は車両Xの後方側から前方側に移動しつつ車両Xへの送風ノズルからの送風を行ってもよい。この場合においても、乾燥工程において少なくとも第1ノズル46Aによる洗浄液WLの噴射を停止することにより、乾燥工程の開始時点から、より確実に車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。
【0089】
〔実施形態2〕
<防錆剤の噴射機構>
続いて、他の実施形態に係る洗車機2、および当該洗車機2による車両Xの洗浄方法について説明する。本実施形態に係る洗車機2は、下面洗浄部6に代えて下面洗浄部64を備える点においてのみ、前実施形態に係る洗車機2と構成が異なる。
【0090】
図9は、本実施形態に係る下面洗浄部64の一部について地中を透過して示す概略側面図である。図9においては、図2に示す下面洗浄部6の一部と同一の位置について示し、洗車機本体4および車両Xを含む、地面Gよりも上方における各部の図示を省略している。
【0091】
本実施形態に係る下面洗浄部64は、前実施形態に係るポンプシステム50に代えてポンプシステム66を備える点においてのみ、前実施形態に係る下面洗浄部6と構成が異なる。本実施形態に係るポンプシステム66は、前実施形態に係るポンプシステム50と比較して、さらに、防錆液タンク68と第2弁70とを含む。
【0092】
防錆液タンク68は、内部に貯留する液体を洗浄液WLから防錆液RPに変更した点を除き、前実施形態に係る洗浄液タンク52と同一の構成を備えていてもよい。防錆液RPが含む材料は、例えば、酸化しにくい材料、または酸化により不動態を形成する材料等、噴射された部材に対し防錆機能を付与することができる材料であれば、防錆に使用される従来公知の材料を採用できる。ポンプシステム66の内部において、パイプ48は洗浄液タンク52とポンプ54との間においてさらに分岐し、防錆液タンク68とも接続する。
【0093】
第2弁70は、各タンクと接続するパイプ48のそれぞれに形成される。制御部44は、第2弁70の開閉を制御することにより、各下部ノズル46に噴射させる液体を、洗浄液WLと防錆液RPとの間において切り替える。換言すれば、制御部44は下部ノズル46から洗浄液WLと防錆液RPとを切り替え可能に噴射させる。なお、ポンプシステム66の各タンクから下部ノズル46までのパイプ48内において、互いに異なる液体が混合することを低減するために、ポンプ54は、パイプ48内の液体をポンプシステム66の何れかのタンクに引き戻す機能を有していてもよい。
【0094】
例えば、第1弁56のうち第1パイプ48Aに形成された第1弁56のみが開放され、その他の第1弁56が閉塞していたとする。加えて、第2弁70のうち防錆液タンク68側のみが開放され、洗浄液タンク52側が閉塞していたとする。この場合、図9に示すように、ポンプ54により防錆液タンク68から汲み上げられた防錆液RPは、第1パイプ48Aを介して、各第1ノズル46Aから噴射される。下部ノズル46から噴射された防錆液RPを車両Xの下面に付着させることにより、下面洗浄部64は車両Xの下面の防錆処理を行える。
【0095】
以上を除き、本実施形態に係るポンプシステム66は、前実施形態に係るポンプシステム50と比較して、同一の構成を備える。
【0096】
<他の洗車方法>
本実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法は、前実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法と同じく、図3に示すフローチャートに沿って実行されてもよい。本実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法は、前実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法と比較して、下面洗浄工程における下面洗浄部64の制御内容のみが異なる。換言すれば、本実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法においては、はじめに、前実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法のステップS2と同一の方法にて洗車を受け付ける。
【0097】
本実施形態に係る洗車方法においては、洗車の受付に次いで、前実施形態に係るステップS4、ステップS6、およびステップS10のそれぞれと同一の方法により、第1洗浄工程、第2洗浄工程、および乾燥工程をこの順に実行する。また、本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程、および乾燥工程と並行して、下面洗浄工程を実行する。本実施形態においても、第1洗浄工程以降、車両Xは図4に示す停止位置に停止しているものとする。
【0098】
本実施形態に係る洗車方法は、前実施形態に係る洗車方法と比較して、第1洗浄工程以降における洗車機2の制御方法が異なる点を除き、同一の方法により実現する。第1洗浄工程以降における本実施形態に係る洗車機2の制御方法について、さらに、図10を参照してより詳細に説明する。
【0099】
図10は、第1洗浄工程以降における、洗車機2の制御方法、特に、洗車機本体4の洗浄部および送風ノズルと、下面洗浄部6との制御方法を示すためのガントチャートである。図10においては、本実施形態に係る洗車機2の各部が実行する処理、および当該処理を実行する期間を示すことにより、本実施形態に係る洗車機2の制御方法を表す。図10においても図5と同じく、横軸は時刻を表し、紙面に向かって左から右に、第1洗浄工程が開始する時刻T0から乾燥工程が完了する時刻T3までを表す。図10において各処理のハッチングを付した期間は、本実施形態において当該処理を実行する期間である。
【0100】
図10に示した縦軸の『処理』の欄のうち、図5に示した『処理』の欄と同一のものは、図5において説明した処理と同一内容の処理を示す。換言すれば、図10に示した縦軸の『処理』の欄のうち、図5に示した『処理』の欄と同一のものは、洗車機2の各部の制御の内容が同一であることを示す。
【0101】
さらに、図10の『処理』の欄において、『液種変更』は、各下部ノズル46に噴射させる液体を洗浄液WLと防錆液RPとの間において切り替える処理を表す。『第1~3ノズル防錆液噴射』は、それぞれ、第1~3ノズル46A~Cからの防錆液RPの噴射による、第1~3下面U1~3の防錆処理を表す。
【0102】
図10に示す通り、制御部44による第1期間P1から第3期間P3における洗車機本体4の制御は、前実施形態と同一の制御方法により実行される。本実施形態においては、時刻T1以降における制御部44による下面洗浄部64の制御方法のみが、前実施形態と比較して異なる。
【0103】
本実施形態においては、図10に示す通り、制御部44は、時刻T1から、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cに、この順に洗浄液WLを噴射させる。このため、本実施形態においても、制御部44は、時刻T1から、下面洗浄部6に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に洗浄させる。例えば、本実施形態に係る最初の第1下面U1の洗浄は5秒間、最初の第2下面U2の洗浄は10秒間、最初の第3下面U3の洗浄は5秒間実行してもよい。
【0104】
本実施形態においては、最初の第3下面U3の洗浄に次いで、図10に示すように、制御部44は、下面洗浄部6に各下部ノズル46に噴射させる液体を洗浄液WLから防錆液RPに変更させる液種変更の処理を実行させる。例えば、最初の液種変更の処理において、制御部44は、ポンプ54を制御しパイプ48内の洗浄液WLを一旦洗浄液タンク52に引き戻させる。次いで、制御部44は、第2弁70の開閉とポンプ54の動作を制御しパイプ48内に防錆液RPを導出させる。これにより、制御部44は、パイプ48内において洗浄液WLと防錆液RPとが混合することを低減しつつ、下面洗浄部64に下部ノズル46から噴射させる液体を洗浄液WLから防錆液RPに変更させる。液種変更の処理は例えば5秒間実行されてもよい。
【0105】
本実施形態においては、図10に示す通り、最初の液種変更に次いで、制御部44は、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cにこの順に防錆液RPを噴射させる。このため、本実施形態においては、液種変更の処理に次いで、制御部44は、下面洗浄部6に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3に対しこの順に防錆処理を実行させる。例えば、本実施形態に係る第1下面U1、第2下面U2、第3下面U3の防錆処理は、それぞれ5秒間実行してもよい。
【0106】
第3下面U3の防錆処理に次いで、図10に示すように、制御部44は、下面洗浄部6に各下部ノズル46に噴射させる液体を防錆液RPから洗浄液WLに変更する2回目の液種変更の処理を実行させる。制御部44による下面洗浄部6の制御は、最初の液種変更の処理の際の下面洗浄部6の制御を逆順に実行することにより実現してもよい。2回目の液種変更の処理も例えば5秒間実行されてもよい。
【0107】
2回目の液種変更に次いで、図10に示す通り、制御部44は、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cにこの順に洗浄液WLを噴射させる。このため、2回目の液種変更に次いで、制御部44は、第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に再度洗浄させる。例えば、本実施形態に係る2回目の第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3の洗浄はそれぞれ5秒間実行してもよい。2回目の車両Xの下面の洗浄処理の完了をもって、本実施形態に係る下面洗浄工程が完了する。
【0108】
<他の実施形態に係る洗車機が奏する効果>
本実施形態においても、下面洗浄工程は第2洗浄工程の間のみならず第2洗浄工程が完了する時刻T2以降においても実行され、かつ、乾燥工程は第2洗浄工程に引き続いて時刻T2から開始する。このため、図10に示すように、本実施形態に係る洗車方法においても、下面洗浄工程と乾燥工程とが同時に実行される重複期間DPが存在する。本実施形態においても、重複期間DPの開始時刻である時刻T2においては、第1下面U1に対する洗浄液WLの噴射は完了している。このため、本実施形態においても、重複期間DPにおいては、車両Xにおける洗車機本体4の送風対象位置と下部ノズル46の噴射対象位置とは平面視において異なっている。
【0109】
このため、洗車機2は、下面洗浄工程を乾燥工程の一部期間においても実行するものの、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。ゆえに、洗車機2は、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減しつつ、車両Xの洗車時間の延長の低減と車両Xの下面の洗浄時間の延長とを両立できる。
【0110】
本実施形態においても、各下部ノズル46からの洗浄液WLまたは防錆液RPの噴射対象位置と洗車機本体4による洗浄対象位置または乾燥対象位置とが異なる独立期間IPが存在する。したがって、本実施形態においても、独立期間IPにおいては、車両X内のユーザは車両Xの下面に下部ノズル46から洗浄液WLまたは防錆液RPが噴射されていることをより実感しやすくなる。ゆえに、独立期間IPを設けることにより、洗車機2は車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されているまたは当該下面に対する防錆処理が実行されている実感を与えることができる。
【0111】
本実施形態においては、下面洗浄工程において、車両Xの下面に防錆液RPを噴射し、当該下面の防錆処理を実行できる。ここで、本実施形態においては、車両Xの下面の防錆処理に先立ち当該下面の洗浄を実施する。これにより、洗車機2は、車両Xの下面に付着した異物等を洗浄した後に当該下面の防錆処理を実行できるため、当該下面の防錆効果をより高めることができる。また、本実施形態においては、車両Xの下面の防錆処理に次いで当該下面の洗浄を実施する。これにより、洗車機2は、防錆液RPを噴射された車両Xの下面に対するすすぎ処理を行うことができる。
【0112】
図10に示す通り、本実施形態においては、防錆液RPを車両Xの下面に噴射した後の車両Xの下面のすすぎ処理も、車両Xの下面のうち車両Xの前方側の第1下面U1から順に実行される。このため、図10に示すように、重複期間DPにおいては、第1下面U1に対するすすぎ処理が既に完了しており、第1下面U1に対する洗浄液WLの噴射が実行されない。したがって、本実施形態に係る洗車機2は、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、より確実に車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減できる。
【0113】
本実施形態に係る下面洗浄部64は、第2弁70の開閉を制御することにより、下部ノズル46から噴射する液体を洗浄液WLと防錆液RPとの間において切り替えることができる。これにより、本実施形態に係る洗車機2は、車両Xの下面に対する上述した最初の洗浄処理、防錆処理、および2回目の洗浄処理を、より簡素な下面洗浄部64の制御内容によって実現できる。
【0114】
さらに、本実施形態においては、図10に示す通り、車両Xの下面の防錆処理が完了した後に、当該下面の2回目の洗浄処理が実行されている期間の一部に重複期間DPが存在する。換言すれば、本実施形態に係る乾燥工程において、下部ノズル46からの防錆液の噴射は停止している。このため、洗車機2は、防錆液RPが洗車機本体4の送風により車両Xの表面に付着することをより確実に低減でき、車両Xの防汚につながる。
【0115】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
2 洗車機
4 洗車機本体
6、64 下面洗浄部
38 トップ送風ノズル
40 サイド送風ノズル
44 制御部
46 下部ノズル
WL 洗浄液
RP 防錆液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗車する洗車機本体と、
液体を前記車両の下面に噴射し前記車両の下面を洗浄する下面洗浄部と、
前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する制御部とを備え、
前記洗車機本体は、前記車両に送風する送風ノズルを含み、
前記下面洗浄部は、前記洗車機本体の移動範囲の地面に敷設され、前記液体を前記車両の下面に噴射する複数の下部ノズルを含み、
前記車両の下面の洗浄は、前記車両の下面のすすぎ処理を含み、
前記制御部は、前記送風ノズルに送風させ、かつ、前記車両の下面のすすぎ処理の期間の少なくとも一部、前記送風ノズルに送風させる期間と重なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する洗車機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を洗浄する洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に対し相対移動しつつ車両を洗浄する洗車機本体と、地面に敷設され車両の下面を洗浄するノズルとを備えた洗車機を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-217882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば車両の下面のすすぎ処理のために、特許文献1に記載された洗車機の洗車機本体による車両への送風を行い、車両の乾燥等を行う場合、車両への送風が行われている部分の下面に洗浄水を噴射すると、当該洗浄水が乾燥に用いられる風の気流に乗って、車両の上面、側面等を濡らすことがある。これを避けるためには、送風が開始するまでに、車両の当該位置における下面への洗浄水の噴射を停止する必要がある。そのためには、車両の下面への洗浄水の噴射が完了するまで車両への送風を待機する必要がある。このため特許文献1に記載された洗車機によって車両の下面のすすぎ処理および乾燥を行う場合、洗車時間が長時間化する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る洗車機は、車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗車する洗車機本体と、液体を前記車両の下面に噴射し前記車両の下面を洗浄する下面洗浄部と、前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する制御部とを備え、前記洗車機本体は、前記車両に送風する送風ノズルを含み、前記下面洗浄部は、前記洗車機本体の移動範囲の地面に敷設され、前記液体を前記車両の下面に噴射する複数の下部ノズルを含み、前記車両の下面の洗浄は、前記車両の下面のすすぎ処理を含み、前記制御部は、前記送風ノズルに送風させ、かつ、前記車両の下面のすすぎ処理の期間の少なくとも一部、前記送風ノズルに送風させる期間と重なるように前記洗車機本体および前記下面洗浄部を制御する。
【発明の効果】
【0006】
車両の下面のすすぎ処理と乾燥のための送風とを実行しつつ、車両の総洗浄時間短縮る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る洗車機を示す概略側面図、および概略正面図である。
図2】実施形態1に係る下面洗浄部の一部を示す概略透過側面図である。
図3】実施形態1に係る洗車機を用いた車両の洗浄の間における下部ノズルと車両との位置関係を示すための、車両およびその周囲の概略平面図である。
図4】実施形態1に係る洗車方法の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る洗車機の、洗車機本体の洗浄部および下面洗浄部の各部の制御方法を示すガントチャートである。
図6】実施形態1に係る洗車方法の一例を示す工程平面図である。
図7】実施形態1に係る洗車方法の一例を示す他の工程平面図である。
図8】実施形態1に係る洗車方法の一例を示す他の工程平面図である。
図9】実施形態2に係る下面洗浄部の一部を示す概略透過側面図である。
図10】実施形態2に係る洗車機の、洗車機本体の洗浄部および下面洗浄部の各部の制御方法を示すガントチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
<洗車機本体>
図1は、本実施形態に係る洗車機2の概略側面図、および洗車機2が備える洗車機本体4の概略正面図である。ただし、図1においては、後述する下面洗浄部6の一部について地面Gを透過して示す。また、図1においては、車両Xが後述するリモートパネル58よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0009】
本実施形態に係る洗車機2は、図1に示すように、被洗浄車両である車両Xの洗車を行う洗車機本体4と下面洗浄部6とを備える。以下、はじめに、図1を参照して洗車機本体4について詳細に説明する。
【0010】
図1の洗車機本体4の概略正面4Fに示すように、洗車機本体4は、例えば、2つのフレーム8と、当該2つのフレーム8の上端同士を連結する天井部10とを備える。洗車機本体4は、図1の洗車機2の概略側面2Sに示す、車両Xの進入方向DAに沿って、車両Xが、フレーム8および天井部10によって囲まれた空間4Sを通過できる構造を有している。なお、本明細書において、進入方向DAは、洗車機本体4の正面から背面に向かう方向とする。
【0011】
洗車機本体4は、例えば、フレーム8のそれぞれの下部に車輪12を有し、図示しない駆動部によって当該車輪12を回転駆動することにより、地面Gに配されたレールRに沿って、車両Xに対し前後方向に相対移動する。レールRは、例えば、進入方向DAに沿って形成されている。ここで、洗車機本体4は、車両Xに対する相対移動を行いつつ、空間4S中の車両Xに対する洗浄を実施する。
【0012】
洗車機本体4には、洗浄部の1つとして、車両X上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。例えば、洗車機本体4が備える回転ブラシは、それぞれが回転モータ(不図示)によって回転するトップブラシ14、サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18を含む。トップブラシ14は、車両Xの上面に沿って移動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18は、車両Xの両側面を洗浄する。特に、ロッカーブラシ18は、サイドブラシ16の下方に配され、車両Xの側面下部を洗浄する。
【0013】
洗車機本体4の側部には、洗剤またはワックス等を含む各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部20が配される。タンク収納部20の上方には、市水を含む水、または各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部22が設けられる。分配配管部22には、洗浄部に含まれる、第1浄水ノズル24、第2浄水ノズル26、第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30、撥水コートノズル32、およびワックスノズル34がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0014】
第1浄水ノズル24、および第2浄水ノズル26は、洗車機本体4の手前側、および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対して市水を含む水を噴射する。第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30は、洗車機本体4の手前側および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対してシャンプー等を含む洗浄液を噴射する。撥水コートノズル32およびワックスノズル34は洗車機本体4の後面に配される。撥水コートノズル32は車両Xに対して撥水コート剤の液剤を噴射する。ワックスノズル34は車両Xに対してワックスを噴射する。
【0015】
また、洗車機本体4には、気流を発生して車両Xを乾燥させるブロワ36が設けられる。ブロワ36には送風ノズルとしてトップ送風ノズル38およびサイド送風ノズル40が接続される。トップ送風ノズル38は、洗車機本体4の中央上部に設けられ、車両Xの天井面に向けて送風する。サイド送風ノズル40は、洗車機本体4の両側部に設けられ、車両Xの側面に向けて送風する。洗車機本体4は、トップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40の送風によって、洗浄後の車両Xを乾燥させる。なお、洗車機本体4は、各送風ノズルの位置および送風角度等を調節して、各送風ノズルからの送風を車両Xの下面に回り込ませることにより、車両Xの下面への送風を行ってもよい。
【0016】
なお、本明細書の各図面においては、図示の簡単のために、上述した、洗車機本体4が備える、車両Xの洗浄のための各装置に関する図示を省略している場合がある。また、図1に示す、洗車機本体4が備える各装置は、単なる例示であり、洗車機本体4は、上述した装置の他、従来公知の構成を含む、車両Xの洗浄のための装置、および当該洗浄を補助する装置を、フレーム8または天井部10に備えていてもよい。
【0017】
洗車機本体4の一方のフレーム8の前面には操作パネル42が配される。操作パネル42は洗車条件を設定する操作ボタン(不図示)を備え、車両Xから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付けまたは洗車条件の設定を行う。
【0018】
さらに、洗車機2は、洗車機本体4および後述する下面洗浄部6を制御する制御部44を備える。特に、制御部44は、洗車機本体4のレールRに沿った移動、および、洗車機本体4の各部の動作を制御することにより、洗車機本体4による車両Xの洗浄および乾燥等を制御する。さらに、制御部44は、後述する下面洗浄部6の各部の動作を制御することにより、下面洗浄部6による車両Xの下面の洗浄等を制御する。
【0019】
制御部44は、図1に示すように、洗車機本体4に備えられていてもよく、あるいは、洗車機本体4の外部に位置していてもよい。制御部44は、不図示の通信装置等により、洗車機本体4または後述するリモートパネル58との間における情報の送受信を行い、洗車機本体4および下面洗浄部6を制御してもよい。制御部44は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。
【0020】
<下面洗浄部>
続いて、図1に加え図2を併せて参照し、下面洗浄部6についてより詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る下面洗浄部6の一部について地中を透過して示す概略側面図である。図2においては、洗車機本体4および車両Xを含む、地面Gよりも上方における各部の図示を省略している。
【0021】
下面洗浄部6は、例えば、複数の下部ノズル46と、各下部ノズル46と接続するパイプ48と、ポンプシステム50とを備える。下面洗浄部6の各部は、洗車機本体4が配置される洗車場内の地中に埋設されている。ただし、下面洗浄部6の各部は、車両Xの移動および洗車機本体4による車両Xの洗浄を阻害しない限り、地面Gよりも上方に位置してもよい。
【0022】
下部ノズル46は、接続されたパイプ48を介して輸送された液体を、例えば、地面Gに形成された開口を介して、地面Gからさらに上方に向けて噴射するノズルである。特に、下部ノズル46は洗車機本体4の移動範囲の地面Gに敷設される。本実施形態において、下面洗浄部6は、図1の概略側面2Sに示すように、それぞれが複数の下部ノズル46を有する、第1ノズル46A、第2ノズル46B、第3ノズル46C、および第4ノズル46Dを含む。
【0023】
第1ノズル46A、第2ノズル46B、第3ノズル46C、および第4ノズル46Dは、進入方向DAの前方側からこの順に配置される。換言すれば、下部ノズル46は、車両Xの前後方向の最も前方側に位置する第1ノズル46Aと、当該第1ノズル46Aよりも車両Xの前後方向の後方側に位置する第2ノズル46Bとを少なくとも含む。
【0024】
パイプ48は、後述するポンプシステム50から送り込まれた液体を各下部ノズル46まで輸送し、各下部ノズル46に噴射させるための液体流路である。パイプ48は、例えば、ポンプシステム50の内部にて、第1パイプ48A、第2パイプ48B、第3パイプ48C、および第4パイプ48Dに分岐する。第1パイプ48Aは、例えば、さらに分岐して各第1ノズル46Aと接続する。第2~4パイプ48B~Dのそれぞれについても、さらに分岐して各第2~4ノズル46B~Dと接続する。
【0025】
ポンプシステム50は、洗浄液タンク52と、ポンプ54と、複数の第1弁56とを含む。洗浄液タンク52は、例えば、パイプ48の各下部ノズル46とは反対の側の一端と接続し、内部に洗浄液WLを貯留する。洗浄液WLは、例えば、市水であってもよく、または、洗剤を含んでいてもよい。ポンプ54は、例えば、洗浄液タンク52からパイプ48の分岐部までに形成され、洗浄液タンク52から洗浄液WLを汲み上げ、パイプ48を介して各下部ノズル46に洗浄液WLを送り込む液体ポンプである。第1弁56は、第1~4パイプ48A~Dのそれぞれに形成され、開閉により各パイプ48における液体の流動を制限する。
【0026】
例えば、第1弁56のうち第1パイプ48Aに形成された第1弁56のみが開放され、その他の第1弁56が閉塞していたとする。この場合、図2に示すように、ポンプ54により洗浄液タンク52から汲み上げられた洗浄液WLは、第1パイプ48Aを介して、各第1ノズル46Aから噴射される。
【0027】
制御部44は、ポンプ54が常に洗浄液タンク52の洗浄液WLを各下部ノズル46に送り出すように、ポンプシステム50を動作させてもよい。この場合、制御部44は、各第1弁56の開閉を制御することにより、洗浄液WLを噴射させる下部ノズル46の選択、および洗浄液WLを下部ノズル46に噴射させるタイミングの制御を行ってもよい。
【0028】
<リモートパネル>
洗車機2は、洗車機本体4および下面洗浄部6による車両Xの洗車条件を取得するリモートパネル58を備えていてもよい。図1においては、車両Xがリモートパネル58よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0029】
リモートパネル58は、例えば、洗車機本体4の前方側に位置し、おおよそ洗車機本体4の移動方向に沿って配置される。また、リモートパネル58は、図1に示すように、その正面が、洗車機本体4により洗浄される前、換言すれば、洗車機本体4の内部に進入する前の車両Xの側面と対向するように配置される。このため、図1においては、リモートパネル58の背面を図示している。
【0030】
図1に示すように、リモートパネル58は、筐体60と、地面Gに立設された、筐体60を支持する支持柱62とを備える。リモートパネル58は、筐体60に設けられた、不図示のタッチパネルまたはボタン等の操作により、洗車機本体4による車両Xの洗車条件の少なくとも一部を取得してもよい。制御部44は、リモートパネル58が取得した洗車条件の少なくとも一部に基づいて、洗車機本体4および下面洗浄部6を制御し、車両Xを洗浄してもよい。
【0031】
<洗車方法の概要および受付工程>
洗車機2による車両Xの洗車方法について、図3を参照し説明する。図3は、洗車機2による洗車方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る洗車方法においては、はじめに、受付工程として、洗車機2が、車両Xのユーザ等からの洗車を受け付ける(ステップS2)。洗車の受付は、例えば、上記ユーザが、リモートパネル58または操作パネル42等を操作することにより、車両Xの洗車条件の設定、および洗車料金の支払い等を行うことにより実施してもよい。
【0032】
<下部ノズルと車両との相対位置>
洗車の受付が完了した後、洗車機2による車両Xの洗浄が実行される。ここで、以降の各工程をより詳細に説明するために、洗車機2による車両Xの洗浄が実行されている間における、車両Xと下部ノズル46との相対的な位置関係について、図4を参照して説明する。
【0033】
図4は、洗車機2による車両Xの洗浄が実行されている間における、車両Xおよびその周囲の平面図である。図4においては、車両Xと下部ノズル46との相対位置を明確に示すために、洗車機本体4の図示を省略し、下部ノズル46および当該下部ノズル46のそれぞれと接続するパイプ48について車両Xを透過して示す。
【0034】
なお、図4に示すように、各下部ノズル46は、平面視におけるパイプ48と重なる位置に形成されていてもよい。ここで、図4において、各下部ノズル46から引き出されるパイプ48は、パイプ48をより明瞭に図示するため、いずれも図に向かって左側に引き出されているが、パイプ48のレイアウトはこれに限られない。例えば、進行方向DAに対し左右の下部ノズル46のそれぞれから個別にパイプ48が引き出されていてもよい。
【0035】
例えば、ステップS2において、車両Xの洗車条件の設定、および洗車料金の支払いの完了に次いで、洗車機2は、車両Xの運転手に車両Xを指定の停止位置に移動させるように案内を行ってもよい。洗車機2による上記案内は、洗車機本体4またはリモートパネル58に設けられたスピーカまたはディスプレイ等によって行われてもよい。
【0036】
洗車機本体4が配置される洗車場内の地面Gには、例えば、車両Xの停止位置の目安となる、停止線SL、左側進入ガイドALL、および右側進入ガイドALRが形成されていてもよい。停止線SLは、例えば、第1ノズル46Aよりも進入方向DAにおける前側に配置され、進入方向DAと略直交する方向に延伸する。左側進入ガイドALLおよび右側進入ガイドALRは、例えば、進入方向DAと略平行に延伸し、進入方向DAに対する左右方向において各下部ノズル46を挟む位置にそれぞれ形成される。例えば、洗車機2は、車両Xを停止線SLの手前かつ左側進入ガイドALLおよび右側進入ガイドALRの間に停止させるように、車両Xの運転士に案内を行ってもよい。
【0037】
さらに、洗車機2は、車両Xの位置が規定の停車位置に収まっていることを検出するためのセンサを備えていてもよい。例えば、洗車機2は、車両Xの形状を検知するための車形検知センサを用いて、車両Xの位置を検出してもよい。車形検知センサは、例えば、洗車機本体4の前面側に、上下方向に整列した複数の光電センサからなるエリアセンサであってもよい。この場合、洗車機本体4は、受付工程において、車形検知センサによって車両Xを検出できない場合に、車両Xが規定の停車位置よりも進行方向DAの後方側に位置すると判断してもよい。
【0038】
あるいは、洗車機2は、洗車場内の地面Gに図示しない複数のセンサを備えていてもよく、当該センサによる車両Xの検出の有無を確認することにより、車両Xの停車位置を検出してもよい。または、洗車機2は、洗車機本体4とは個別に洗車場内に立設されたセンサをさらに備えていてもよい。
【0039】
例えば、洗車機2は複数のセンサを用いて、車両Xの位置を検出し、車両Xの案内を行ってもよい。例えば、洗車機2は、あるセンサによって車両Xの存在が検出できない場合に、車両Xが規定の停車位置よりも進行方向DAの後方側に位置すると判断し、車両Xを前進させるようにユーザに対し案内を行ってもよい。または、洗車機2は、ある他のセンサによって車両Xの存在が検出された場合に、車両Xが規定の停車位置を進行方向DAの前方側に行き過ぎたと判断し、車両Xを後退させるようにユーザに対し案内を行ってもよい。
【0040】
車両Xが停止線SLの手前かつ左側進入ガイドALLおよび右側進入ガイドALRの間に停止した場合、少なくとも第1ノズル46Aは平面視において車両Xと重なる。本実施形態においては、上述した停止位置に車両Xが停止した場合、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cが、この順に車両Xの前方側から、平面視において車両Xと重なる。なお、車両Xと重なる下部ノズル46の個数は車両Xの車長により異なっていてもよく、例えば、第4ノズル46Dは車両Xと重なっていなくともよい。
【0041】
平面視において車両Xと重なっている下部ノズル46から洗浄液WLを噴射させた場合、洗浄液WLは平面視において当該下部ノズル46と重なっている下面およびその近傍に吹き付けられる。これにより、下面洗浄部6は、下部ノズル46から洗浄液WLを噴射させることにより、車両Xの下面の洗浄を行う。
【0042】
本実施形態において、図4に示すように、第1~3ノズル46A~Cのそれぞれからの洗浄液WLによって洗浄される車両Xの下面を、それぞれ、第1~3下面U1~3とする。また、平面視において第1~3下面U1~3のそれぞれと重なる領域を、それぞれ、第1~3領域A1~3とする。さらに、図4に示すように、車両Xの下面を除く表面のうち、第1~3領域A1~3のそれぞれに含まれる表面を、それぞれ、第1~3表面F1~3とする。このため、車両Xの下面は、車両Xの先頭側から順に、第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3を有し、車両Xの下面を除く表面は、車両Xの先頭側から順に、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3を有する。
【0043】
<各工程における処理>
図3の参照に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、洗車の受付に次いで、制御部44が洗車機本体4の制御を通じて第1洗浄工程を実行する(ステップS4)。第1洗浄工程は、例えば、洗車機2の洗車場内の図示しないエリアセンサ等によって、車両Xが停止位置に停止したことを確認した場合に実行してもよい。第1洗浄工程以降における本実施形態に係る洗車方法の各工程について、さらに、図5から図8を参照してより詳細に説明する。
【0044】
図5は、第1洗浄工程以降における、洗車機2の制御方法、特に、洗車機本体4の洗浄部および送風ノズルと、下面洗浄部6との制御方法を示すためのガントチャートである。図5においては、本実施形態に係る洗車機2の各部が実行する処理、および当該処理を実行する期間を示すことにより、本実施形態に係る洗車機2の制御方法を表す。図5において、横軸は時刻を表し、紙面に向かって左から右に、後述する第1洗浄工程が開始する時刻T0から乾燥工程の完了する時刻T3までを表す。図5において各処理のハッチングを付した期間は、本実施形態において当該処理を実行する期間である。
【0045】
図5において、縦軸の『処理』の欄は洗車機2の各部により実行される処理を表し、換言すれば、洗車機2の各部の制御の内容を示す。図5の『処理』の欄において、『第1~3表面洗浄』は、それぞれ、第1~3表面F1~3に対する洗車機本体4の洗浄部による洗浄処理を表す。『第1~3表面乾燥』は、それぞれ、第1~3表面F1~3に対する洗車機本体4からの送風による乾燥処理を表す。『第1~3ノズル洗浄液噴射』は、それぞれ、第1~3ノズル46A~Cからの洗浄液WLの噴射による、第1~3下面U1~3の洗浄処理を表す。
【0046】
図6から図8は、第1洗浄工程以降における本実施形態に係る洗車方法を示すための工程平面図である。図6から図8については、洗車機本体4、下部ノズル46、および車両Xのそれぞれの相対位置をより詳細に示すために、洗車機本体4はフレーム8および天井部10の外形のみを示し下部ノズル46および車両Xを透過して示す。さらに、図6から図8については、図示の簡単のため、洗車機本体4、下部ノズル46、および車両Xを除く他の部材の図示を省略している。
【0047】
<第1洗浄工程>
図6のステップS4-2に示すように、本実施形態に係る第1洗浄工程の開始時点において、洗車機本体4は車両Xの前方側に位置している。第1洗浄工程の間、制御部44は、洗車機本体4を、図6のステップS4-2およびステップS4-4に示す第1方向D1、換言すれば、車両の前方側から後方側に向けて、車両Xに対し相対的に移動させる。第1洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を車両Xに対し相対的に移動させつつ、平面視において重なった車両Xの表面を洗浄部により洗浄させる。例えば、制御部44は、上述したノズルから洗浄液を噴射させ、各ブラシを車両Xの表面に当接させつつ回転させることにより、洗車機本体4に車両Xの表面を洗浄させる。
【0048】
第1洗浄工程において、洗車機2は、上述した車形検知センサによって、車両Xの形状を検出しつつ、車両Xの洗浄を行ってもよい。この場合、例えば、制御部44は、洗車機本体4を第1方向D1に移動させつつ、車形検知センサによる車両Xの検出の有無を確認する。これにより、制御部44は、車両Xに対する洗車機本体4の相対位置と車両Xの検出が確認されたセンサの位置とを紐づけることにより、車両Xの形状を割り出してもよい。また、制御部44は、割り出された車両Xの形状に基づいて洗車機本体4の洗浄部を制御することにより、車両Xの表面を洗浄してもよい。
【0049】
第1洗浄工程は、例えば、図5に示す時刻T0から時刻T1までの第1期間P1に実行される。上述の通り、第1洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を第1方向D1に移動させつつ洗車機本体4の洗浄部に車両Xの表面を洗浄させる。このため、制御部44は、図5に示す通り、第1期間P1において、洗車機本体4に第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3をこの順に洗浄させる。洗車機本体4による第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3に対する洗浄は、例えば、それぞれ20秒間ずつ実行されてもよい。なお、図5に示す通り、第1期間P1において、第1表面F1と第2表面F2との洗浄を同時に実行する期間、および第2表面F2と第3表面F3との洗浄を同時に実行する期間が、例えば、それぞれ5秒間ずつ存在してもよい。
【0050】
洗車機本体4による第3表面F3の洗浄が完了し、図6のステップS4-6に示すように、洗車機本体4が車両Xの後方側まで移動した時点において第1洗浄工程が完了する。たとえば、第1洗浄工程は、計50秒間実行されてもよい。ここで、図5に示すように、第1期間P1においては各下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射および車両Xの下面の洗浄は実行されない。
【0051】
<第2洗浄工程>
図3の参照に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、第1洗浄工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の制御を通じて第2洗浄工程を実行する(ステップS6)。図6のステップS4-6に示すように、第1洗浄工程の終了時点において、洗車機本体4は車両Xの後方側に位置している。第2洗浄工程の間、制御部44は、洗車機本体4を、図7のステップS6-2およびステップS6-4に示す第2方向D2、換言すれば、車両の後方側から前方側に向けて、車両Xに対し相対的に移動させる。第2洗浄工程において、制御部44は、洗車機本体4を、車両Xに対し相対的に移動しつつ、平面視において重なった車両Xの表面を洗浄部により洗浄させる。
【0052】
第2洗浄工程は、例えば、図5に示す時刻T1から時刻T2までの第2期間P2に実行される。上述の通り、第2洗浄工程において、制御部44は洗車機本体4を第2方向D2に移動させつつ車両Xの表面を洗浄させる。このため、制御部44は、図5に示す通り、第2期間P2において、洗車機本体4に第3表面F3、第2表面F2、および第1表面F1をこの順に洗浄させる。なお、図5に示す通り、第2期間P2においても、第3表面F3と第2表面F2との洗浄を同時に実行する期間、および第2表面F2と第1表面F1との洗浄を同時に実行する期間が存在してもよい。
【0053】
第2洗浄工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の洗浄方法および洗浄時間は、それぞれ、第1洗浄工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の洗浄方法および洗浄時間と同一であってもよい。例えば、制御部44は、第1洗浄工程における洗車機本体4の移動および各洗浄部の動作を逆順に制御することにより、第2洗浄工程を実行してもよい。また、制御部44は、第1洗浄工程において得られた車両Xの形状の情報を用いて、第2洗浄工程における車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0054】
洗車機本体4による第1表面F1の洗浄が完了し、図7のステップS6-6に示すように、洗車機本体4が車両Xの前方側まで移動した時点において第2洗浄工程が完了する。たとえば、第2洗浄工程は、計50秒間実行されてもよい。
【0055】
<下面洗浄工程>
本実施形態において、図3に示すように、第1洗浄工程に次いで、制御部44が第2洗浄工程における洗車機本体4の制御と並行して下面洗浄部6を制御することにより、制御部44が下面洗浄工程を実行する(ステップS8)。下面洗浄工程は、例えば、第2洗浄工程が開始する時刻T1において開始されてもよい。
【0056】
下面洗浄工程においては、はじめに、車両Xの車長から、下面洗浄工程において使用する下部ノズル46の個数を決定する。車両Xの車長は、例えば、第1洗浄工程において得られた車両Xの形状の情報から計算してもよい。上述の通り、車両Xは平面視において少なくとも第1ノズル46Aと重なり、また、規定の停車位置の内側に収まっている。このため、洗車機2は、車両Xの車長から、車両Xと平面視において重なる下部ノズル46を割り出すことができる。車両Xと平面視において重ならない下部ノズル46を使用しないことにより、洗車機2は、当該下部ノズル46から液体を噴射させることにより、車両Xに接触することなく下部ノズル46から噴射された液体が周囲に飛散することを防止できる。本実施形態においては、洗車機2が車両Xと平面視において第1~3ノズル46A~Cが重なる下部ノズル46であると判断した場合を示す。
【0057】
次いで、図5に示すように、制御部44は、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cにこの順に洗浄液WLを噴射させる。このため、下面洗浄工程においては、制御部44は、下面洗浄部6に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に洗浄させる。
【0058】
図5に示すように、下面洗浄工程においては、第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3を一回ずつ洗浄する処理を1組の処理とし、当該1組の処理を連続して合計3回実行してもよい。例えば、当該1組の処理のそれぞれにおいて、第1下面U1の洗浄は5秒間、第2下面U2の洗浄は10秒間、第3下面U3の洗浄は5秒間実行してもよい。
【0059】
この場合、上記1組の処理は合計20秒間実行されるため、下面洗浄工程は合計60秒間実行される。第2洗浄工程が上述の通り計50秒間実行される場合、下面洗浄工程は、図5に示すように、第2期間P2の終了時刻である時刻T2以降においても実行される。
【0060】
<乾燥工程>
図3の参照に戻ると、本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の制御を通じて乾燥工程を実行する(ステップS10)。図7のステップS6-6に示すように、第2洗浄工程の終了時点において、洗車機本体4は車両Xの前方側に位置している。乾燥工程の間、制御部44は、洗車機本体4を、図8のステップS10-2およびステップS10-4に示す第1方向D1に向けて、車両Xに対し相対的に移動させる。乾燥工程において、制御部44は、洗車機本体4を車両Xに対し相対的に移動させつつ、ブロワ36を動作させて各送風ノズルから車両Xの表面へ向けて送風させることにより、洗車機本体4に車両Xを乾燥させる。
【0061】
乾燥工程は、例えば、図5に示す時刻T2から時刻T3までの第3期間P3に実行される。上述の通り、乾燥工程において、制御部44は、洗車機本体4を第1方向D1に移動させつつ車両Xを乾燥させる。このため、制御部44は、図5に示す通り、第3期間P3において、洗車機本体4に第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3をこの順に乾燥させる。ただし、第3期間P3において、制御部44は、洗車機本体4に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に併せて乾燥させてもよい。なお、図5に示す通り、第3期間P3においても、第1表面F1と第2表面F2との乾燥を同時に実行する期間、および第2表面F2と第3表面F3との乾燥を同時に実行する期間が存在してもよい。
【0062】
乾燥工程における洗車機本体4の移動は、第1洗浄工程における洗車機本体4の移動と同一の方法により実行してもよい。この場合、乾燥工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の乾燥時間は、それぞれ、第1洗浄工程における、第1表面F1、第2表面F2、および第3表面F3の洗浄時間と同一であってもよい。
【0063】
洗車機本体4による第3表面F3の乾燥が完了し、図8のステップS10-6に示すように、洗車機本体4が車両Xの後方側まで移動した時点において乾燥工程が完了する。たとえば、乾燥工程は、計50秒間実行されてもよい。乾燥工程の完了をもって、本実施形態に係る洗車機2の制御が完了し、車両Xの洗車が完了する。なお、本実施形態においては、乾燥工程が完了するまでに下面洗浄工程も完了している。
【0064】
制御部44は図5に示す洗車機2の各部の制御方法に沿って洗車機本体4と下面洗浄部6とを制御することにより、上述した洗車機2による車両Xの洗浄方法を実現する。制御部44による洗車機2の制御方法は、例えば、受付工程において取得した車両Xの洗車条件等を含む洗車条件に沿って決定されてもよい。
【0065】
例えば、制御部44は、洗車機本体4による車両Xの洗浄および乾燥が図5に示すように実行されるように、洗車機本体4の移動および洗車機本体4の各部の動作を制御してもよい。また、制御部44は、各下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射が図5に示すように実行されるように、各第1弁56の開閉を制御してもよい。
【0066】
<重複期間>
本実施形態において、下面洗浄工程は第2洗浄工程の間のみならず第2洗浄工程が完了する時刻T2以降においても実行され、かつ、乾燥工程は第2洗浄工程に引き続いて時刻T2から開始する。このため、本実施形態において、制御部44が下面洗浄工程と乾燥工程とを同時に実行することにより、制御部44が送風ノズルから送風させ、かつ、下部ノズル46から液体を噴射させる送風噴射工程を実行する。送風噴射工程は、図5に示すように、時刻T2から下面洗浄工程の完了までの間である、重複期間DPに実行される。
【0067】
重複期間DPにおいては、図5からわかるように、第1表面F1の乾燥が実行されている。また、重複期間DPにおいては、図5からわかるように、第2ノズル46Bおよび第3ノズル46Cからの洗浄液WLの噴射が実行され、第1ノズル46Aからの洗浄液WLの噴射が実行されない。換言すれば、重複期間DPにおいては、第2下面U2および第3下面U3が洗浄されるものの、第1下面U1は洗浄されない。
【0068】
特に、本実施形態においては、乾燥工程が開始する時刻T2までに、第1下面U1の洗浄は全て完了している。換言すれば、乾燥工程において、洗車機本体4が第1方向D1に向けて移動する間、下部ノズル46のうち少なくとも第1ノズル46Aによる洗浄液WLの噴射は停止される。
【0069】
したがって、重複期間DPにおいて、洗車機本体4の送風ノズルが送風する送風対象位置は第1表面F1および第1下面U1である。また、重複期間DPにおいて、下部ノズル46が洗浄液WLを噴射する噴射対象位置は第2下面U2および第3下面U3である。換言すれば、本実施形態において、洗車機本体の送風ノズルに送風させ、かつ、下部ノズル46に噴射させる期間である重複期間DPの少なくとも一部において、車両Xにおける送風対象位置と噴射対象位置とは平面視において異なっている。
【0070】
このため、洗車機2は、下面洗浄工程を乾燥工程の一部期間においても実行するものの、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。ゆえに、洗車機2は、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減しつつ、車両Xの洗車時間の延長の低減と車両Xの下面の洗浄時間の延長とを両立できる。
【0071】
<補遺>
本実施形態に係る乾燥工程において、洗車機本体4は、車両Xの前方側から後方側に向けて車両Xの乾燥を実行する。また、下部ノズル46のうち車両Xの最も前方側に位置する第1ノズル46Aからの噴射が停止している。このため、本実施形態にように車両Xの乾燥が車両Xの前方側から実行される場合、洗車機2は、乾燥工程の開始時点から、より確実に車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。
【0072】
本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程を実行する間、併せて下面洗浄工程を実行する。したがって、洗車機2は、車両Xの洗車時間が延長することを低減しつつ、車両Xの下面の洗浄時間をさらに延長できる。なお、車両Xの下面の洗浄位置と車両Xの下面を除く表面の洗浄位置とが平面視において重なったとしても、互いの洗浄への影響は小さい。
【0073】
特に、本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程から乾燥工程に移行する時刻T2を跨いで下面洗浄工程が実行される。換言すれば、本実施形態に係る洗車方法においては、第2期間P2のある時点から第3期間P3のある時点までの間に下面洗浄工程が実行される。したがって、洗車機2は、第2洗浄工程から乾燥工程に移行する間においても車両Xの下面の洗浄を停止しないため、車両Xの下面の洗浄時間をより延長できる。
【0074】
本実施形態に係る洗車方法においては、図5に示すように、第2洗浄工程において、車両Xの第1~3下面U1に対する洗浄が、各下面と平面視において重なる車両Xの表面に対する洗浄とは独立して実行される独立期間IPが存在する。換言すれば、第2洗浄工程における独立期間IPにおいては、各下部ノズル46からの噴射対象位置と洗車機本体4による洗浄対象位置とが異なっている。
【0075】
このため、独立期間IPにおいては、第1~3下面U1~3のうちの何れかの下面が実行され、当該下面と平面視において重なる車両Xの表面に対する洗車機本体4による洗浄が実行されていない。この場合、当該下面に下部ノズル46から洗浄液WLが噴射された際に生じる音または振動等が、洗車機本体4による車両Xの洗浄によって生じる音または振動等に影響されることなく車両X内のユーザに伝わる蓋然性が向上する。
【0076】
したがって、独立期間IPにおいては、車両X内のユーザは車両Xの下面に下部ノズル46から洗浄液WLが噴射されていることをより実感しやすくなる。ゆえに、独立期間IPを設けることにより、洗車機2は車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0077】
なお、本実施形態に係る洗車方法においては、図5に示すように、乾燥工程においても、車両Xの第1~3下面U1に対する洗浄が、各下面と平面視において重なる車両Xの表面に対する乾燥とは独立して実行される独立期間IPが存在する。したがって、乾燥工程における独立期間IPにおいても、洗車機2は車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0078】
例えば、洗車機2による車両Xの受付を行う際に、車両Xの下面を洗浄するためにユーザがオプションの追加を行ったとする。この場合、洗車機2がユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えるため、ユーザはオプションの追加の結果として得られる、車両Xの下面が洗浄されているという成果を実感しやすくなる。ゆえに、例えば、洗車機2はユーザに次回洗車機2を利用する際におけるオプションの追加意欲をより強く与えることができる。
【0079】
また、本実施形態において、第2下面U2に対する下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射時間は、第1下面U1および第3下面U3のそれぞれに対する下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射時間よりも長い。換言すれば、本実施形態において、車両Xの下面のうち、車両Xの前後方向の端部と比較して中央部に対してより長く洗浄液WLが噴射される。
【0080】
一般に、車両Xの下部には、車両Xの前後方向の端部と比較して中央部の方が、より汚れやすく洗浄すべき機構が多く存在する。また、車両Xの前後方向の端部と比較して中央部に下部ノズル46からの洗浄液WLが噴射された場合の方が、車両X内のユーザは車両Xの下面に洗浄液WLが噴射された際の音または振動を感じやすい。したがって、上記構成により、より適切に車両Xの下面を洗浄でき、また、車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0081】
なお、上述した通り、下面洗浄工程における各下部ノズル46からの洗浄液WLの噴射は、間歇的に実行される。これにより、車両X内のユーザは、下面が下部ノズル46によって複数回洗浄されていることを実感することができる。ゆえに、上記構成により、洗車機2は、車両X内のユーザに下部ノズル46により車両Xの下面が洗浄されている実感をより強く与えることができる。
【0082】
本実施形態において、上述した重複期間DPが設けられ、かつ、当該重複期間DPにおいて送風対象位置と噴射対象位置とが平面視において異なる限り、洗車機2による車両Xの洗車方法は上述した方法に限られない。例えば、本実施形態においては、乾燥工程において、洗車機本体4の移動方向は、車両Xの前後方向の何れであってもよい。
【0083】
また、例えば、乾燥工程の少なくとも一部の期間において、各下部ノズル46から洗浄液WL噴射させ、かつ、各下部ノズル46の各々について、平面視において洗車機本体4と重なった時点から乾燥工程の終了時まで洗浄液WLの噴射を停止させてもよい。上記構成により、洗車機2は車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減しつつ、車両Xの下面の洗浄をより徹底して行うことができる。
【0084】
さらに、下面洗浄工程において使用する下部ノズル46の個数は、車両Xの車長に応じて適宜変更されてもよい。例えば、車両Xの車長がより長く、洗車機2が車両Xを洗浄する間、車両Xが第4ノズル46Dとも平面視において重なる場合には、下面洗浄工程において、第4ノズル46Dから洗浄液WLを噴射させる期間をさらに設けてもよい。また、例えば、車両Xの車長がより短く、洗車機2が車両Xを洗浄する間、車両Xが第3ノズル46Cと平面視において重ならない場合には、下面洗浄工程において、第3ノズル46Cからの洗浄液WLの噴射を省略してもよい。
【0085】
本実施形態においては、第1弁56を開放する場合、何れか一つの第1弁56のみが開放されるため、第1~4ノズル46A~Dのうち何れか一つのみから洗浄液が噴射される。しかしながら、これに限られず、複数の第1弁56が同時に開放されてもよく、換言すれば、第1~4ノズル46A~Dのうち2つ以上から洗浄液が噴射されてもよい。
【0086】
本実施形態において、下部ノズル46のうち第1ノズル46Aは、第1洗浄工程以降における車両Xの下面のうち最も前方側に位置する第1下面U1と平面視において重なる位置に配置されるが、これに限られない。例えば、第1洗浄工程以降において、第1ノズル46Aは、車両Xの下面のうち最も後方側に位置する第3下面U3と平面視において重なっていてもよい。換言すれば、乾燥工程において車両Xと平面視において重なる下部ノズル46のうち、第1ノズル46Aは車両Xの前後方向の最も端部側に位置する。このため、乾燥工程において車両Xと平面視において重なる下部ノズル46のうち、第2ノズル46Bは第1ノズル46Aよりも車両Xの前後方向の中央側に位置する。
【0087】
第1ノズル46Aが車両Xの下面のうち最も後方側に位置する場合、乾燥工程において、洗車機本体4は車両Xの後方側から前方側に移動しつつ車両Xへの送風ノズルからの送風を行ってもよい。この場合においても、乾燥工程において少なくとも第1ノズル46Aによる洗浄液WLの噴射を停止することにより、乾燥工程の開始時点から、より確実に車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。
【0088】
〔実施形態2〕
<防錆剤の噴射機構>
続いて、他の実施形態に係る洗車機2、および当該洗車機2による車両Xの洗浄方法について説明する。本実施形態に係る洗車機2は、下面洗浄部6に代えて下面洗浄部64を備える点においてのみ、前実施形態に係る洗車機2と構成が異なる。
【0089】
図9は、本実施形態に係る下面洗浄部64の一部について地中を透過して示す概略側面図である。図9においては、図2に示す下面洗浄部6の一部と同一の位置について示し、洗車機本体4および車両Xを含む、地面Gよりも上方における各部の図示を省略している。
【0090】
本実施形態に係る下面洗浄部64は、前実施形態に係るポンプシステム50に代えてポンプシステム66を備える点においてのみ、前実施形態に係る下面洗浄部6と構成が異なる。本実施形態に係るポンプシステム66は、前実施形態に係るポンプシステム50と比較して、さらに、防錆液タンク68と第2弁70とを含む。
【0091】
防錆液タンク68は、内部に貯留する液体を洗浄液WLから防錆液RPに変更した点を除き、前実施形態に係る洗浄液タンク52と同一の構成を備えていてもよい。防錆液RPが含む材料は、例えば、酸化しにくい材料、または酸化により不動態を形成する材料等、噴射された部材に対し防錆機能を付与することができる材料であれば、防錆に使用される従来公知の材料を採用できる。ポンプシステム66の内部において、パイプ48は洗浄液タンク52とポンプ54との間においてさらに分岐し、防錆液タンク68とも接続する。
【0092】
第2弁70は、各タンクと接続するパイプ48のそれぞれに形成される。制御部44は、第2弁70の開閉を制御することにより、各下部ノズル46に噴射させる液体を、洗浄液WLと防錆液RPとの間において切り替える。換言すれば、制御部44は下部ノズル46から洗浄液WLと防錆液RPとを切り替え可能に噴射させる。なお、ポンプシステム66の各タンクから下部ノズル46までのパイプ48内において、互いに異なる液体が混合することを低減するために、ポンプ54は、パイプ48内の液体をポンプシステム66の何れかのタンクに引き戻す機能を有していてもよい。
【0093】
例えば、第1弁56のうち第1パイプ48Aに形成された第1弁56のみが開放され、その他の第1弁56が閉塞していたとする。加えて、第2弁70のうち防錆液タンク68側のみが開放され、洗浄液タンク52側が閉塞していたとする。この場合、図9に示すように、ポンプ54により防錆液タンク68から汲み上げられた防錆液RPは、第1パイプ48Aを介して、各第1ノズル46Aから噴射される。下部ノズル46から噴射された防錆液RPを車両Xの下面に付着させることにより、下面洗浄部64は車両Xの下面の防錆処理を行える。
【0094】
以上を除き、本実施形態に係るポンプシステム66は、前実施形態に係るポンプシステム50と比較して、同一の構成を備える。
【0095】
<他の洗車方法>
本実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法は、前実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法と同じく、図3に示すフローチャートに沿って実行されてもよい。本実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法は、前実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法と比較して、下面洗浄工程における下面洗浄部64の制御内容のみが異なる。換言すれば、本実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法においては、はじめに、前実施形態に係る洗車機2による車両Xの洗車方法のステップS2と同一の方法にて洗車を受け付ける。
【0096】
本実施形態に係る洗車方法においては、洗車の受付に次いで、前実施形態に係るステップS4、ステップS6、およびステップS10のそれぞれと同一の方法により、第1洗浄工程、第2洗浄工程、および乾燥工程をこの順に実行する。また、本実施形態に係る洗車方法においては、第2洗浄工程、および乾燥工程と並行して、下面洗浄工程を実行する。本実施形態においても、第1洗浄工程以降、車両Xは図4に示す停止位置に停止しているものとする。
【0097】
本実施形態に係る洗車方法は、前実施形態に係る洗車方法と比較して、第1洗浄工程以降における洗車機2の制御方法が異なる点を除き、同一の方法により実現する。第1洗浄工程以降における本実施形態に係る洗車機2の制御方法について、さらに、図10を参照してより詳細に説明する。
【0098】
図10は、第1洗浄工程以降における、洗車機2の制御方法、特に、洗車機本体4の洗浄部および送風ノズルと、下面洗浄部6との制御方法を示すためのガントチャートである。図10においては、本実施形態に係る洗車機2の各部が実行する処理、および当該処理を実行する期間を示すことにより、本実施形態に係る洗車機2の制御方法を表す。図10においても図5と同じく、横軸は時刻を表し、紙面に向かって左から右に、第1洗浄工程が開始する時刻T0から乾燥工程が完了する時刻T3までを表す。図10において各処理のハッチングを付した期間は、本実施形態において当該処理を実行する期間である。
【0099】
図10に示した縦軸の『処理』の欄のうち、図5に示した『処理』の欄と同一のものは、図5において説明した処理と同一内容の処理を示す。換言すれば、図10に示した縦軸の『処理』の欄のうち、図5に示した『処理』の欄と同一のものは、洗車機2の各部の制御の内容が同一であることを示す。
【0100】
さらに、図10の『処理』の欄において、『液種変更』は、各下部ノズル46に噴射させる液体を洗浄液WLと防錆液RPとの間において切り替える処理を表す。『第1~3ノズル防錆液噴射』は、それぞれ、第1~3ノズル46A~Cからの防錆液RPの噴射による、第1~3下面U1~3の防錆処理を表す。
【0101】
図10に示す通り、制御部44による第1期間P1から第3期間P3における洗車機本体4の制御は、前実施形態と同一の制御方法により実行される。本実施形態においては、時刻T1以降における制御部44による下面洗浄部64の制御方法のみが、前実施形態と比較して異なる。
【0102】
本実施形態においては、図10に示す通り、制御部44は、時刻T1から、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cに、この順に洗浄液WLを噴射させる。このため、本実施形態においても、制御部44は、時刻T1から、下面洗浄部6に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に洗浄させる。例えば、本実施形態に係る最初の第1下面U1の洗浄は5秒間、最初の第2下面U2の洗浄は10秒間、最初の第3下面U3の洗浄は5秒間実行してもよい。
【0103】
本実施形態においては、最初の第3下面U3の洗浄に次いで、図10に示すように、制御部44は、下面洗浄部6に各下部ノズル46に噴射させる液体を洗浄液WLから防錆液RPに変更させる液種変更の処理を実行させる。例えば、最初の液種変更の処理において、制御部44は、ポンプ54を制御しパイプ48内の洗浄液WLを一旦洗浄液タンク52に引き戻させる。次いで、制御部44は、第2弁70の開閉とポンプ54の動作を制御しパイプ48内に防錆液RPを導出させる。これにより、制御部44は、パイプ48内において洗浄液WLと防錆液RPとが混合することを低減しつつ、下面洗浄部64に下部ノズル46から噴射させる液体を洗浄液WLから防錆液RPに変更させる。液種変更の処理は例えば5秒間実行されてもよい。
【0104】
本実施形態においては、図10に示す通り、最初の液種変更に次いで、制御部44は、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cにこの順に防錆液RPを噴射させる。このため、本実施形態においては、液種変更の処理に次いで、制御部44は、下面洗浄部6に第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3に対しこの順に防錆処理を実行させる。例えば、本実施形態に係る第1下面U1、第2下面U2、第3下面U3の防錆処理は、それぞれ5秒間実行してもよい。
【0105】
第3下面U3の防錆処理に次いで、図10に示すように、制御部44は、下面洗浄部6に各下部ノズル46に噴射させる液体を防錆液RPから洗浄液WLに変更する2回目の液種変更の処理を実行させる。制御部44による下面洗浄部6の制御は、最初の液種変更の処理の際の下面洗浄部6の制御を逆順に実行することにより実現してもよい。2回目の液種変更の処理も例えば5秒間実行されてもよい。
【0106】
2回目の液種変更に次いで、図10に示す通り、制御部44は、第1ノズル46A、第2ノズル46B、および第3ノズル46Cにこの順に洗浄液WLを噴射させる。このため、2回目の液種変更に次いで、制御部44は、第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3をこの順に再度洗浄させる。例えば、本実施形態に係る2回目の第1下面U1、第2下面U2、および第3下面U3の洗浄はそれぞれ5秒間実行してもよい。2回目の車両Xの下面の洗浄処理の完了をもって、本実施形態に係る下面洗浄工程が完了する。
【0107】
<他の実施形態に係る洗車機が奏する効果>
本実施形態においても、下面洗浄工程は第2洗浄工程の間のみならず第2洗浄工程が完了する時刻T2以降においても実行され、かつ、乾燥工程は第2洗浄工程に引き続いて時刻T2から開始する。このため、図10に示すように、本実施形態に係る洗車方法においても、下面洗浄工程と乾燥工程とが同時に実行される重複期間DPが存在する。本実施形態においても、重複期間DPの開始時刻である時刻T2においては、第1下面U1に対する洗浄液WLの噴射は完了している。このため、本実施形態においても、重複期間DPにおいては、車両Xにおける洗車機本体4の送風対象位置と下部ノズル46の噴射対象位置とは平面視において異なっている。
【0108】
このため、洗車機2は、下面洗浄工程を乾燥工程の一部期間においても実行するものの、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減することができる。ゆえに、洗車機2は、車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減しつつ、車両Xの洗車時間の延長の低減と車両Xの下面の洗浄時間の延長とを両立できる。
【0109】
本実施形態においても、各下部ノズル46からの洗浄液WLまたは防錆液RPの噴射対象位置と洗車機本体4による洗浄対象位置または乾燥対象位置とが異なる独立期間IPが存在する。したがって、本実施形態においても、独立期間IPにおいては、車両X内のユーザは車両Xの下面に下部ノズル46から洗浄液WLまたは防錆液RPが噴射されていることをより実感しやすくなる。ゆえに、独立期間IPを設けることにより、洗車機2は車両X内のユーザに車両Xの下面が洗浄されているまたは当該下面に対する防錆処理が実行されている実感を与えることができる。
【0110】
本実施形態においては、下面洗浄工程において、車両Xの下面に防錆液RPを噴射し、当該下面の防錆処理を実行できる。ここで、本実施形態においては、車両Xの下面の防錆処理に先立ち当該下面の洗浄を実施する。これにより、洗車機2は、車両Xの下面に付着した異物等を洗浄した後に当該下面の防錆処理を実行できるため、当該下面の防錆効果をより高めることができる。また、本実施形態においては、車両Xの下面の防錆処理に次いで当該下面の洗浄を実施する。これにより、洗車機2は、防錆液RPを噴射された車両Xの下面に対するすすぎ処理を行うことができる。
【0111】
図10に示す通り、本実施形態においては、防錆液RPを車両Xの下面に噴射した後の車両Xの下面のすすぎ処理も、車両Xの下面のうち車両Xの前方側の第1下面U1から順に実行される。このため、図10に示すように、重複期間DPにおいては、第1下面U1に対するすすぎ処理が既に完了しており、第1下面U1に対する洗浄液WLの噴射が実行されない。したがって、本実施形態に係る洗車機2は、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、より確実に車両Xの下面の洗浄と車両Xの乾燥との干渉を低減できる。
【0112】
本実施形態に係る下面洗浄部64は、第2弁70の開閉を制御することにより、下部ノズル46から噴射する液体を洗浄液WLと防錆液RPとの間において切り替えることができる。これにより、本実施形態に係る洗車機2は、車両Xの下面に対する上述した最初の洗浄処理、防錆処理、および2回目の洗浄処理を、より簡素な下面洗浄部64の制御内容によって実現できる。
【0113】
さらに、本実施形態においては、図10に示す通り、車両Xの下面の防錆処理が完了した後に、当該下面の2回目の洗浄処理が実行されている期間の一部に重複期間DPが存在する。換言すれば、本実施形態に係る乾燥工程において、下部ノズル46からの防錆液の噴射は停止している。このため、洗車機2は、防錆液RPが洗車機本体4の送風により車両Xの表面に付着することをより確実に低減でき、車両Xの防汚につながる。
【0114】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
2 洗車機
4 洗車機本体
6、64 下面洗浄部
38 トップ送風ノズル
40 サイド送風ノズル
44 制御部
46 下部ノズル
WL 洗浄液
RP 防錆液