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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160429
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F23N 1/00 20060101AFI20241107BHJP
   F24D 3/08 20060101ALI20241107BHJP
   F24H 15/176 20220101ALI20241107BHJP
   F24H 15/365 20220101ALI20241107BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20241107BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20241107BHJP
【FI】
F23N1/00 102B
F24D3/08 A
F24H15/176
F24H15/365
F24H15/281
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075393
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3K068
3L034
3L070
【Fターム(参考)】
3K068FA03
3K068FB03
3K068FD01
3K068HA06
3L034BA25
3L034BB03
3L070AA02
3L070AA07
3L070BB02
3L070BC02
3L070CC01
3L070DE09
3L070DG01
(57)【要約】
【課題】給湯と外部端末を複合使用する場合に、外部端末の能力が低下するのを防ぐ。
【解決手段】本開示の給湯暖房機1は、水を加熱して湯を供給する給湯用加熱部24と、熱媒を加熱して熱媒を暖房等の外部端末に供給し、外部端末で熱が奪われた熱媒を戻して再び加熱して循環させる暖房用加熱部28と、給湯用加熱部24と暖房用加熱部28に燃焼用空気を供給する共用の燃焼ファン16と、制御部と、を有する給湯暖房機1であって、制御部は、給湯用加熱部24に要求される燃焼量に対応する複数の燃焼段の中からいずれか1つを選択するものとされ、かつ暖房用加熱部28を使用しないで給湯用加熱部24を使用する通常使用の場合には一の燃焼段を選択し、給湯用加熱部24および暖房用加熱部28を同時に使用する複合使用の場合には一の燃焼段から他の燃焼段に切り替える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱して湯を供給する給湯用加熱部と、熱媒を加熱して前記熱媒を外部端末に供給し、前記外部端末で熱が奪われた前記熱媒を戻して再び加熱して循環させる外部端末用加熱部と、前記給湯用加熱部と前記外部端末用加熱部に燃焼用空気を供給する共用のファンと、制御部と、を有する給湯器であって、
前記給湯用加熱部は、
一または複数のバーナを有するバーナ群が複数設けられた複数のバーナ群と、
各々の前記バーナ群に設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構と、を備え、
前記給湯用加熱部は、
前記複数のバーナ群の中から一の前記バーナ群を選択し、または前記複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、
かつ一の前記燃焼段と、一の前記燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の前記燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、
前記外部端末用加熱部は、
一または複数のバーナを有するバーナ群が複数設けられた複数のバーナ群と、
各々の前記バーナ群に設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構と、を備え、
前記外部端末用加熱部は、
前記複数のバーナ群の中から一の前記バーナ群を選択し、または前記複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、
かつ一の前記燃焼段と、一の前記燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の前記燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、
前記制御部は、
前記給湯用加熱部に要求される燃焼量に対応する複数の前記燃焼段の中からいずれか1つを選択するものとされ、
かつ前記外部端末用加熱部を使用しないで前記給湯用加熱部を使用する通常使用の場合には一の前記燃焼段を選択し、前記給湯用加熱部および前記外部端末用加熱部を同時に使用する複合使用の場合には一の前記燃焼段から他の前記燃焼段に切り替える、給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯機能に加えて、暖房機能を備えた給湯器として、例えば特開2005-37019号公報(下記特許文献1)に記載の給湯暖房機が知られている。この給湯暖房機は、給湯回路と、暖房回路と、給湯回路と暖房回路に共用のコントローラと、を備えている。給湯回路は、給湯用加熱部と、給湯用加熱部に燃焼用空気を供給する給湯用ファン等で構成され、暖房回路は、暖房用加熱部と、暖房用加熱部に燃焼用空気を供給する暖房用ファン等で構成される。各加熱部は複数のバーナ群を備え、各々のバーナ群は、一または複数のバーナを備え、各バーナ群には、燃焼のオン・オフを切り替えるための機構(分岐配管・電磁弁等)が設けられる。各加熱部は、複数のバーナ群の中から一のバーナ群を選択し、または複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能に構成される。
【0003】
また、給湯暖房機の小型化やコスト低減等を目的として、給湯用ファンと暖房用ファンを共用のファンにするとともに、ガス比例弁を共用化した給湯暖房機も提案される。一般に、ファンおよびガス比例弁を共用した給湯暖房機では、給湯と風呂や暖房とを同時使用する複合使用の場合、給湯側の制御が優先される。その理由は、給湯の場合、短時間で目的温度に達することが要求されるのに対し、風呂や暖房の場合、給湯ほど短時間で目的温度に達することまでは要求されていないからである。ところで、必要燃焼量を得るのに二つの燃焼段が選択可能である場合、コントローラによって1本あたりのバーナ負荷が低く、使用するバーナの本数が多い方の燃焼段に切替制御される。このようにすると、ファンの回転数が低くなり、騒音が小さくなることに加えて、熱効率を高めてガスの消費量を抑えることが可能になるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-37019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、必要燃焼量を、使用するバーナの本数が多い方の燃焼段で得る場合と、少ない方の燃焼段で得る場合と、を対比した場合、多い方の燃焼段の方が1本あたりのバーナ負荷が小さくなるため、多い方の燃焼段の方が、少ない方の燃焼段に比べて比例弁の開度が相対的に小さくなり、ファン回転数も低くなる。
【0006】
こうした状態で、給湯と暖房を同時使用した場合、比例弁の開度が小さいとファン回転数が低い状態で、暖房用加熱部側のバーナ燃焼が開始することになるため、暖房が効き始めるまでに時間がかかったり、風呂の追い焚きが完了するまでに時間がかかったりして、使用者に不便を強いるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の給湯器は、水を加熱して湯を供給する給湯用加熱部と、熱媒を加熱して前記熱媒を外部端末に供給し、前記外部端末で熱が奪われた前記熱媒を戻して再び加熱して循環させる外部端末用加熱部と、前記給湯用加熱部と前記外部端末用加熱部に燃焼用空気を供給する共用のファンと、制御部と、を有する給湯器であって、前記給湯用加熱部は、一または複数のバーナを有するバーナ群が複数設けられた複数のバーナ群と、各々の前記バーナ群に設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構と、を備え、前記給湯用加熱部は、前記複数のバーナ群の中から一の前記バーナ群を選択し、または前記複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、かつ一の前記燃焼段と、一の前記燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の前記燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、前記外部端末用加熱部は、一または複数のバーナを有するバーナ群が複数設けられた複数のバーナ群と、各々の前記バーナ群に設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構と、を備え、前記外部端末用加熱部は、前記複数のバーナ群の中から一の前記バーナ群を選択し、または前記複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、かつ一の前記燃焼段と、一の前記燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の前記燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、前記制御部は、前記給湯用加熱部に要求される燃焼量に対応する複数の前記燃焼段の中からいずれか1つを選択するものとされ、かつ前記外部端末用加熱部を使用しないで前記給湯用加熱部を使用する通常使用の場合には一の前記燃焼段を選択し、前記給湯用加熱部および前記外部端末用加熱部を同時に使用する複合使用の場合には一の前記燃焼段から他の前記燃焼段に切り替える給湯器である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、給湯と外部端末を複合使用する場合に、外部端末の能力が低下するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、フロントカバーを外した状態の給湯暖房機の正面図である。
図2図2は、給湯暖房機の概略構成図である。
図3図3は、共用の燃焼ファンから各バーナ群に燃焼用空気を供給する様子を示す図である。
図4図4は、給湯側の燃焼段を示す表である。
図5図5は、暖房側の燃焼段を示す表である。
図6図6は、各燃焼段における燃焼量とファン回転数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の給湯器は、水を加熱して湯を供給する給湯用加熱部と、熱媒を加熱して前記熱媒を外部端末に供給し、前記外部端末で熱が奪われた前記熱媒を戻して再び加熱して循環させる外部端末用加熱部と、前記給湯用加熱部と前記外部端末用加熱部に燃焼用空気を供給する共用のファンと、制御部と、を有する給湯器であって、前記給湯用加熱部は、一または複数のバーナを有するバーナ群が複数設けられた複数のバーナ群と、各々の前記バーナ群に設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構と、を備え、前記給湯用加熱部は、前記複数のバーナ群の中から一の前記バーナ群を選択し、または前記複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、かつ一の前記燃焼段と、一の前記燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の前記燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、前記外部端末用加熱部は、一または複数のバーナを有するバーナ群が複数設けられた複数のバーナ群と、各々の前記バーナ群に設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構と、を備え、前記外部端末用加熱部は、前記複数のバーナ群の中から一の前記バーナ群を選択し、または前記複数のバーナ群のいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、かつ一の前記燃焼段と、一の前記燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の前記燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、前記制御部は、前記給湯用加熱部に要求される燃焼量に対応する複数の前記燃焼段の中からいずれか1つを選択するものとされ、かつ前記外部端末用加熱部を使用しないで前記給湯用加熱部を使用する通常使用の場合には一の前記燃焼段を選択し、前記給湯用加熱部および前記外部端末用加熱部を同時に使用する複合使用の場合には一の前記燃焼段から他の前記燃焼段に切り替える、給湯器である。
【0011】
給湯器には、給湯機能に加えて、風呂の追い焚きや暖房といった外部端末機能を備えた給湯器が存在する。例えば、給湯と風呂や暖房とを同時に使用する複合使用の場合に、通常使用の場合と同じ一の燃焼段を使用すると、熱効率を高めてガスの消費量を抑えることはできるものの、これに伴って風呂や暖房の能力も低下することになる。
【0012】
そこで、上記の給湯器によると、複合使用の場合には燃焼能力が小さい側の他の燃焼段に切り替えるようにしたから、共用のファンの回転数を上げることができ、これに伴って外部端末用加熱部の燃焼量を大きくすることができる。したがって、風呂や暖房等の外部端末の能力が低下せず、例えば風呂の追い焚き能力や暖房開始時の暖房能力等を確保することができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の給湯器の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
(給湯暖房機1の全体構成)
本実施形態では、本開示の給湯器として、給湯暖房機1を例示する。給湯暖房機1は、供給された水道水を加熱して外部に湯を供給する給湯機能と、湯を外部の室内や床下に設置された放熱器に供給し、室内や床を暖房する暖房機能と、を併せ持つ。図1に示すように、給湯暖房機1は、燃焼装置17が収納される箱形の筐体50を備えている。筐体50は、正面視で下側に位置する底板部51と、正面視で左側に位置する左側板部52と、正面視で右側に位置する右側板部53と、正面視で上側に位置する天板部54と、背面側に位置する背面壁55と、正面側に位置するフロントカバー(図示せず)と、を備えている。図1は、フロントカバーを外した給湯暖房機1の正面図である。
【0015】
図2は、給湯暖房機1の概略図で、給湯暖房機1は、給湯バーナ3,3・・と給湯熱交換器7を備えて水道水を加熱して出湯させる給湯回路2と、暖房バーナ5,5・・と暖房熱交換器26および風呂熱交換器40とを備えて床暖房や風呂の追い焚き等に利用される風呂・暖房回路4と、からなる。
【0016】
給湯回路2において、6は水道管からの水を給湯熱交換器7へ供給する給水管、8は給湯熱交換器7で加熱された湯を出湯する出湯管、9は給湯バーナ3へのガスの供給を行うガス管で、給水管6には、給湯水量センサー10が、出湯管8には、給湯熱交換器サーミスタ11がそれぞれ設けられ、ガス管9には、上流側から元電磁弁12、比例弁13がそれぞれ設けられている。ガス管9から各給湯バーナ3へ分岐した各分岐管には給湯ガス電磁弁14,14・・がそれぞれ設けられている。
【0017】
給湯熱交換器7は、顕熱回収型熱交換器である給湯一次熱交換器7Aと、潜熱回収型熱交換器である給湯二次熱交換器7Bと、を備えて構成されている。給水管6からの水は、給湯二次熱交換器7B、給湯一次熱交換器7Aの順に通過して給湯バーナ3の燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管8から出湯される。
【0018】
一方、風呂・暖房回路4において、ガス管9から暖房熱交換器26の各暖房バーナ5へ分岐した分岐管には暖房ガス電磁弁29,29がそれぞれ設けられている。暖房熱交換器26は、顕熱回収型熱交換器である暖房一次熱交換器26Aと、潜熱回収型熱交換器である暖房二次熱交換器26Bと、を備えて構成されている。
【0019】
暖房熱交換器26は、暖房膨張タンク33と、床暖房用の低温放熱器34および浴室暖房乾燥機やファンコンベクターなどに用いられる高温放熱器35とともに暖房水の循環路を形成しており、循環路には、暖房ポンプ36が設けられている。この循環路の一部の配管は、往き配管37と戻り配管38とによって浴槽39と接続された風呂熱交換器40を通過しており、暖房熱交換器26で加熱されて循環路を循環する暖房水により、風呂熱交換器40を通過する風呂水を加熱可能となっている。
【0020】
41は風呂熱交換器40へ暖房水を送る追い焚き流量制御弁、42は浴槽39と風呂熱交換器40との間で風呂水を循環させる風呂ポンプ、43は暖房熱交換器26の出湯温度を検出する暖房高温サーミスタ、44は暖房膨張タンク33での暖房水の温度を検出する暖房低温サーミスタである。風呂水は、風呂ポンプ42の運転によって浴槽39から戻り配管38を介して風呂熱交換器40を通過し、風呂熱交換器40で暖房水と熱交換して加熱された後、往き配管37から浴槽39に戻る。
【0021】
各給湯バーナ3と各暖房バーナ5は共用の燃焼室15に収容されている。燃焼室15の下方には、共用の燃焼ファン16が設けられて、燃焼用空気を各バーナ3,5へ供給可能となっている。この燃焼室15の上方には、各バーナ3,5の燃焼により生じた燃焼ガスを排気する共用の排気口18が設けられている。
【0022】
出湯管8には、浴槽39への戻り配管38に接続される落とし込み管19が分岐接続され、落とし込み管19に設けた落とし込み水電磁弁20を開弁させることで、給湯熱交換器7で加熱された湯を浴槽39へ供給可能となっている。
【0023】
21はコントローラ、22は台所リモコン、23は浴室リモコンで、出湯管8につながる蛇口の開栓による器具内の通水を給湯水量センサー10で検知すると、コントローラ21は、まず燃焼ファン16を所定時間回転させて、燃焼室15内に貯留している燃焼ガスを排出させる(プリパージ)。その後、ガス管9の元電磁弁12、各給湯ガス電磁弁14を開弁させ、比例弁13を所定開度で開弁させて、各給湯バーナ3へガスを供給するとともに、給湯点火プラグ25を連続放電させ、給湯バーナ3,3・・に点火する。
【0024】
次に、コントローラ21は、出湯管8に設けられた給湯熱交換器サーミスタ11によって出湯温度を監視し、出湯温度が台所リモコン22または浴室リモコン23によって指示された設定温度となるように、給湯ガス電磁弁14の開閉制御と、比例弁13の開度調整と、を行うとともに、燃焼ファン16の回転数制御によって空気量を連続的に変化させる。
【0025】
暖房動作は以下のように行われる。まずコントローラ21が床暖房スイッチのON信号を得ると、暖房ポンプ36を回転させる。ここで、暖房高温サーミスタ43または暖房低温サーミスタ44から得られる暖房水の温度が規定値以下であると、コントローラ21は、燃焼ファン16をプリパージ回転させた後、暖房ガス電磁弁29を開弁させ、比例弁13を所定開度で開弁させて、暖房バーナ5へガスを供給するとともに、暖房点火プラグ27を連続放電させて暖房バーナ5に点火する。暖房ポンプ36によって加圧された暖房水は、低温放熱器34側と暖房熱交換器26側へ分岐し、循環路を循環することで暖房運転が行われる。コントローラ21は、暖房高温サーミスタ43または暖房低温サーミスタ44からの温度を監視し、比例弁13の開度調整によって設定温度を維持する。
【0026】
また、風呂動作は以下のように行われる。台所リモコン22または浴室リモコン23の自動スイッチを押すと、落とし込み管19の落とし込み水電磁弁20が開弁して器具内を通水させるため、給湯バーナ3が燃焼して、給湯熱交換器7で加熱された湯が落とし込み管19および戻り配管38を介して浴槽39へ給湯される。落とし込み管19に設けた風呂水量センサー45で検出した湯量累計が設定湯量に達すると、落とし込み水電磁弁20が閉じ、給湯が停止される。
【0027】
一方、戻り配管38には、風呂の湯温を検出する風呂戻りサーミスタ46が設けられており、ここで検出した風呂戻り温度が設定温度以下となると、追い焚き流量制御弁41が開弁して暖房ポンプ36が回転し、暖房バーナ5が点火されるとともに、風呂ポンプ42も回転する。よって、風呂熱交換器40と浴槽39との間を循環する風呂水は、暖房熱交換器26で加熱された暖房水と風呂熱交換器40において熱交換され、設定温度まで加熱される。設定温度に達すると、暖房バーナ5の燃焼を停止させ、暖房ポンプ36と風呂ポンプ42を停止させて追い焚き流量制御弁41を閉弁させる。
【0028】
そして、この給湯暖房機1において、コントローラ21は、給湯バーナ3と暖房バーナ5とのいずれか一方でも燃焼動作した場合、上述のように燃焼ファン16を回転させ、燃焼停止後には、燃焼室15内の燃焼ガスを排出させるポストパージを行うようになっている。
【0029】
(給湯用加熱部24と暖房用加熱部28の構造)
図3に示すように、本開示の給湯暖房機1は、水を加熱して湯を供給する給湯用加熱部24と、暖房水(熱媒の一例)を加熱して暖房水を風呂等の外部端末に供給し、外部端末で熱が奪われた暖房水を戻して再び加熱して循環させる暖房用加熱部(外部端末用加熱部の一例)28と、を備えている。
【0030】
給湯用加熱部24は、複数の給湯バーナ3を有するバーナ群3Gが複数設けられた複数のバーナ群3G,3G・・と、各々のバーナ群3Gに設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構である複数の給湯ガス電磁弁14,14・・と、を備える。バーナ群3Gは、8本の給湯バーナ3を有するバーナ群1と、2本の給湯バーナ3を有するバーナ群2と、4本の給湯バーナ3を有するバーナ群3と、を有する。
【0031】
暖房用加熱部28は、複数の暖房バーナ5を有するバーナ群5Gが複数設けられた複数のバーナ群5G,5Gと、各々のバーナ群5Gに設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構である複数の暖房ガス電磁弁29,29と、を備える。バーナ群5Gは、3本の暖房バーナ5を有するバーナ群1と、2本の暖房バーナ5を有するバーナ群2と、を有する。暖房用加熱部28は、熱媒を加熱して熱媒を暖房等の外部端末に供給し、外部端末で熱が奪われた熱媒を戻して再び加熱して循環させる。
【0032】
(給湯側と暖房側の燃焼段の構成)
給湯側の燃焼段は、図4に示すように、全部で1段から5段まである。図4において、燃焼段の1段は、バーナ群1がOFFで、バーナ群2がONで、バーナ群3がOFFであり、燃焼状態にある燃焼バーナ3は2本であることを意味している。燃焼段の2段以降についても同様である。
【0033】
暖房側の燃焼段は、図5に示すように、全部で1段から3段まである。図5において、燃焼段の1段は、バーナ群1がOFFで、バーナ群2がONであり、燃焼状態にある暖房バーナ5は2本であることを意味している。燃焼段の2段以降についても同様である。
【0034】
給湯用加熱部24は、複数のバーナ群3Gの中から一のバーナ群3Gを選択し、または複数のバーナ群3Gのいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能である。燃焼段の1段と2段は、複数のバーナ群3Gの中から一のバーナ群3Gを選択した例であり、燃焼段の3段から5段は、複数のバーナ群3Gのいずれかを組み合わせた例である。
【0035】
暖房用加熱部28は、複数のバーナ群5Gの中から一のバーナ群5Gを選択し、または複数のバーナ群5Gのいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能である。燃焼段の1段と2段は、複数のバーナ群5Gの中から一のバーナ群5Gを選択した例であり、燃焼段の3段は、複数のバーナ群5Gのいずれかを組み合わせた例である。
【0036】
また、給湯用加熱部24と暖房用加熱部28はいずれも、一の燃焼段と、一の燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されている。図6では、給湯側の燃焼段の4段が一の燃焼段に相当し、3段が他の燃焼段に相当する場合を例示している。図6においては、燃焼段の3段と4段が同じ燃焼量となる重なり領域を例示している。
【0037】
(燃焼段の切替制御)
コントローラ(制御部の一例)21は、給湯用加熱部24に要求される燃焼量に対応する複数の燃焼段の中からいずれか1つを選択するものとされている。コントローラ21は、例えば暖房用加熱部28を使用しないで給湯用加熱部24を使用する通常使用の場合には4段(一の燃焼段の一例)を選択し、給湯用加熱部24および暖房用加熱部28を同時に使用する複合使用の場合には4段から3段(他の燃焼段の一例)に切り替えるように制御する。
【0038】
図6を参照して具体的に説明する。例えば、必要燃焼量に対応する燃焼段が3段と4段の2つある場合を考える。必要燃焼量に対応するファン回転数は、4段の場合、F1であり、3段の場合、F2であり、F1はF2よりも少ない。通常使用の場合、コントローラ21は、熱効率や騒音を考慮して4段を選択する。3段よりも4段の方が、給湯熱交換器7と熱交換可能な面積が広くなり、ファン回転数が少ない領域で給湯バーナ3を燃焼させることができるため、熱効率が高くなり、騒音が小さくなるからである。
【0039】
本開示の給湯暖房機1では、図3に示すように、給湯側と暖房側で共用の燃焼ファン16を用いていることから、給湯側のファン回転数がF1の場合、暖房側のファン回転数もF1となる。一般に、燃焼ファン16および比例弁13を共用した給湯暖房機1では、複合使用の場合、給湯側の制御が優先される。給湯側を4段として、複合使用した場合、比例弁13の開度が小さくファン回転数が低い状態で、暖房用加熱部28側のバーナ燃焼が開始することになるため、暖房が効き始めるまでに時間がかかったり、風呂の追い焚きが完了するまでに時間がかかったりするおそれがある。
【0040】
そこで、本開示の給湯暖房機1では、通常使用の場合、必要燃焼量に対応する4段で燃焼を行っているところ、暖房側の運転を開始する信号がコントローラ21に入力された場合、給湯側の燃焼段を4段から3段に切り替えるようにしている。このようにすると、比例弁13の開度が大きくファン回転数がF1からF2に多くなった状態で、暖房用加熱部28側のバーナ燃焼が開始するため、ファン回転数が低いF1のままである場合に比べて、暖房が効き始めるまでの時間が短くなるとともに、風呂の追い焚きが完了するまでの時間が短くなる。
【0041】
図6では、燃焼段を4段から3段に切り替える場合を例示したが、燃焼段を5段から4段に、3段から2段に、2段から1段に切り替えてもよい。
【0042】
(本実施形態の作用効果)
(1)本開示の給湯暖房機1は、水を加熱して湯を供給する給湯用加熱部24と、熱媒を加熱して熱媒を暖房等の外部端末に供給し、外部端末で熱が奪われた熱媒を戻して再び加熱して循環させる暖房用加熱部28と、給湯用加熱部24と暖房用加熱部28に燃焼用空気を供給する共用の燃焼ファン16と、コントローラ21と、を有する給湯暖房機1であって、給湯用加熱部24は、一または複数の給湯バーナ3を有するバーナ群3Gが複数設けられた複数のバーナ群3Gと、各々のバーナ群3Gに設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構である複数の給湯ガス電磁弁14,14・・と、を備え、給湯用加熱部24は、複数のバーナ群3Gの中から一のバーナ群3Gを選択し、または複数のバーナ群3Gのいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、かつ一の燃焼段と、一の燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、暖房用加熱部28は、一または複数の暖房バーナ5を有するバーナ群5Gが複数設けられた複数のバーナ群5Gと、各々のバーナ群5Gに設けられ燃焼のオン・オフを切り替えるための機構である複数の暖房ガス電磁弁29と、を備え、暖房用加熱部28は、複数のバーナ群5Gの中から一のバーナ群5Gを選択し、または複数のバーナ群5Gのいずれかを組み合わせることで複数の燃焼段を形成可能で、かつ一の燃焼段と、一の燃焼段よりも燃焼能力が小さい側に隣接する他の燃焼段と、が同じ燃焼量となる重なり領域を形成可能に構成されており、コントローラ21は、給湯用加熱部24に要求される燃焼量に対応する複数の燃焼段の中からいずれか1つを選択するものとされ、かつ暖房用加熱部28を使用しないで給湯用加熱部24を使用する通常使用の場合には一の燃焼段を選択し、給湯用加熱部24および暖房用加熱部28を同時に使用する複合使用の場合には一の燃焼段から他の燃焼段に切り替える、給湯暖房機1である。
【0043】
上記の給湯暖房機1によると、複合使用の場合には燃焼能力が小さい側の他の燃焼段に切り替えるようにしたから、共用の燃焼ファン16の回転数を上げることができ、これに伴って暖房用加熱部28の燃焼量を大きくすることができる。したがって、風呂や暖房等の外部端末の能力が低下せず、例えば風呂の追い焚き能力や暖房開始時の暖房能力等を確保することができる。
【0044】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
・上記実施形態では1つのバーナ群が複数のバーナを有するものを例示したが、1つのバーナ群が1つのバーナを有するものでもよい。
【0046】
・上記実施形態では外部端末として風呂や暖房を例示したが、これらに限られることはない。
【符号の説明】
【0047】
1:給湯暖房機(給湯器) 2:給湯回路 3:給湯バーナ 3G:バーナ群 4:風呂・暖房回路 5:暖房バーナ 5G:バーナ群 6:給水管 7:給湯熱交換器 7A:給湯一次熱交換器 7B:給湯二次熱交換器 8:出湯管 9:ガス管 10:給湯水量センサー 11:給湯熱交換器サーミスタ 12:元電磁弁 13:比例弁 14:給湯ガス電磁弁 15:燃焼室 16:燃焼ファン 17:燃焼装置 18:排気口 19:落とし込み管 20:落とし込み水電磁弁 21:コントローラ(制御部) 22:台所リモコン 23:浴室リモコン 24:給湯用加熱部 25:給湯点火プラグ 26:暖房熱交換器 26A:暖房一次熱交換器 26B:暖房二次熱交換器 27:暖房点火プラグ 28:暖房用加熱部 29:暖房ガス電磁弁 33:暖房膨張タンク 34:低温放熱器 35:高温放熱器 36:暖房ポンプ 37:往き配管 38:戻り配管 39:浴槽 40:風呂熱交換器 41:追い焚き流量制御弁 42:風呂ポンプ 43:暖房高温サーミスタ 44:暖房低温サーミスタ 45:風呂水量センサー 46:風呂戻りサーミスタ
50:筐体 51:底板部 52:左側板部 53:右側板部 54:天板部 55:背面壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6