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  • -燃焼装置 図1
  • -燃焼装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160431
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
F23N5/24 106A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075396
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健
(72)【発明者】
【氏名】恒川 良将
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩司
【テーマコード(参考)】
3K003
【Fターム(参考)】
3K003SA01
3K003SA07
3K003SB01
3K003SC02
(57)【要約】
【課題】混合気をファン2を介してバーナ1に供給する燃焼装置であって、燃料ガス供給量を調節するガス量調節手段44と、第1フレームロッド6と、制御手段5とを備え、第1フレームロッド6で検出される火炎抵抗値に基づいて求められる混合気の空気過剰率が所定の適正値になるように、ガス量調節手段44により燃料ガス供給量を調節する制御を行うものにおいて、混合気の空気過剰率の検知性能と着火(火炎の有無)の検知性能との両者を確保できるようにする。
【解決手段】第1フレームロッド6とは別の第2フレームロッド7を配置する。火炎の有無を第2フレームロッド7により検知し、第1フレームロッド6は、混合気の空気過剰率の検出専用に用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する燃焼装置であって、燃料ガス供給量を調節するガス量調節手段と、バーナから噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように配置された第1フレームロッドと、制御手段とを備え、制御手段は、第1フレームロッドに電圧を印加することで検出される火炎抵抗値に基づいて求められる混合気の空気過剰率が所定の適正値になるように、ガス量調節手段により燃料ガス供給量を調節する制御を行うように構成されるものにおいて、
バーナから噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように第1フレームロッドとは別の第2フレームロッドが配置され、火炎の有無を第2フレームロッドにより検知し、第1フレームロッドは、混合気の空気過剰率の検出専用に用いることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記第1フレームロッドへの電圧印加と前記第2フレームロッドへの電圧印加とは同時に行わずに、交互に行うことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第2フレームロッドに対する1回当たりの電圧印加時間を前記第1フレームロッドに対する1回当たりの電圧印加時間よりも長くすることを特徴とする請求項2記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、燃料ガス供給量を調節するガス量調節手段と、バーナから噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように配置されたフレームロッドと、制御手段とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、制御手段は、フレームロッドに電圧を印加することで検出される火炎抵抗値に基づいて求められる混合気の空気過剰率(一次空気量/化学量論的空気量)が所定の適正値になるように、ガス量調節手段により燃料ガス供給量を調節する制御を行うように構成されている。
【0003】
ところで、フレームロッドは、着火及び失火検知のためにも用いられている。ここで、フレームロッドが劣化した状態では、コールド点火時(器具が冷えた状態での点火時)や極めて低ガス量での点火時に検出される火炎抵抗値が20,000kΩと非常に高くなる。そして、着火の検知性能を確保するには、このような高いレンジでの火炎抵抗値の変化を捉えることが必要になる。一方、混合気の空気過剰率の検知性能を確保するには、2,000kΩ以下の低いレンジでの火炎抵抗値の変化を捉えることが必要になる。然し、高いレンジでの火炎抵抗値の検出精度と低いレンジでの火炎抵抗値の検出精度とを両立させることは困難である。そのため、従来は、混合気の空気過剰率の検知性能と着火の検知性能との一方を犠牲にせざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-25722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、混合気の空気過剰率の検知性能と着火の検知性能との両者を確保できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する燃焼装置であって、燃料ガス供給量を調節するガス量調節手段と、バーナから噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように配置された第1フレームロッドと、制御手段とを備え、制御手段は、第1フレームロッドに電圧を印加することで検出される火炎抵抗値に基づいて求められる混合気の空気過剰率が所定の適正値になるように、ガス量調節手段により燃料ガス供給量を調節する制御を行うように構成されるものにおいて、バーナから噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように第1フレームロッドとは別の第2フレームロッドが配置され、火炎の有無を第2フレームロッドにより検知し、第1フレームロッドは、混合気の空気過剰率の検出専用に用いることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1フレームロッドでは、低いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高め、第2フレームロッドでは、高いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高めることにより、混合気の空気過剰率の検知性能と着火(火炎の有無)の検知性能との両者を確保できる。
【0008】
ところで、第1と第2の両フレームロッドに同時に電圧を印加すると、両フレームロッド間に火炎を介して電流が流れてしまう。そして、第1と第2の各フレームロッドで検出される火炎抵抗値に、両フレームロッド間に流れる電流の影響で誤差を生じてしまう。
【0009】
そのため、本発明においては、第1フレームロッドへの電圧印加と第2フレームロッドへの電圧印加とは同時に行わずに、交互に行うことが望ましい。これによれば、第1と第2の両フレームロッド間に電流が流れることはなく、この電流の影響で第1と第2の各フレームロッドで検出される火炎抵抗値に誤差を生ずることを防止できる。
【0010】
また、この場合、第2フレームロッドに対する1回当たりの電圧印加時間を第1フレームロッドに対する1回当たりの電圧印加時間よりも長くすることが望ましい。これによれば、第2フレームロッドで火炎の有無を検知する期間が長くなる。そのため、失火したときにこれを素早く検知でき、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の燃焼装置を示す説明図。
図2】実施形態の燃焼装置における第1フレームロッドと第2フレームロッドとへの電圧印加のタイミングを示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は、混合気が噴出して燃焼する燃焼面1aを有する全一次燃焼式のバーナ1を備えている。そして、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファン2を介してバーナ1に供給している。
【0013】
また、この燃焼装置は、ファン2の上流側の空気供給路3と、燃料ガスを供給するガス供給路4とを備えている。ガス供給路4の下流端は、空気供給路3に設けられたガス吸引部31に接続されている。ガス吸引部31の上流側に隣接する空気供給路3の部分には、後述するバタフライ弁32を配置した部分よりも小径なベンチュリ部33が設けられている。ベンチュリ部33の下流側に隣接する空気供給路3の部分は、ベンチュリ部33より大径の筒部34で囲われている。そして、ベンチュリ部33の下流端部を筒部34の上流端部に環状の隙間を存して挿入し、この隙間でガス吸引部31を構成している。ガス供給路4の下流端には、筒部34を囲うようにして、ガス吸引部31に連通するガス室41が設けられている。また、ガス供給路4には、上流側から順に、元弁42と、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ43と、ガス量調節手段たる流量調節弁44とが介設されている。
【0014】
ガス吸引部31を介して供給される燃料ガスの量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路3内の負圧との差圧に応じて変化する。ここで、空気供給路3内の負圧は、ファン2の回転数に応じて変化する。そのため、燃料ガスの供給量はファン2の回転数、即ち、空気の供給量に比例して変化する。また、燃料ガスの供給量と空気の供給量との比率は、流量調節弁44の開度によって変化する。流量調節弁44の開度を使用するガス種に応じた所定の基準開度にすることで、混合気の空気過剰率が所定の適正値(例えば、1.3)になる。そして、制御手段たるコントローラ5により、要求燃焼量に応じてファン2の回転数を制御し、空気過剰率が適正値で要求燃焼量に応じた量の混合気がバーナ1に供給されるようにしている。
【0015】
尚、燃焼排ガスを排出する排気筒(図示せず)への風の侵入で排気不良を生じないようにするため、即ち、耐風性能を確保するため、ファン2の下限回転数をあまり低く設定することはできない。そして、要求燃焼量がファン2の下限回転数に対応する所定の閾値以下になった場合には、要求燃焼量に対応する量の空気を供給できなくなる。
【0016】
そこで、ガス吸引部31より上流側の空気供給路3の部分に、当該部分の通気抵抗を大小2段に切換えるために、図外のモータにより図1に実線で示す閉じ姿勢と仮想線で示す開き姿勢とに切換えられる空気抵抗切換手段たるバタフライ弁32を配置している。そして、コントローラ5により、要求燃焼量が上記閾値以下になった場合には、バタフライ弁32を閉じ姿勢にして、空気供給路3の通気抵抗を大きくし、ファン2の回転数を下限回転数以下にせずに、閾値以下の要求燃焼量に対応する量の空気を供給できるようにしている。
【0017】
但し、バタフライ弁32を閉じ姿勢にして、空気供給路3の通気抵抗を大きくするだけでは、空気供給路3内の負圧が増加して、燃料ガスの供給量が過大となり、バーナ1に供給される混合気の空気過剰率が適正値を下回ってしまう。そのため、要求燃焼量が閾値以下の場合には、バタフライ弁32を閉じ姿勢にして、空気供給路3の通気抵抗を大きくすると共に、流量調節弁44を基準開度から所定開度分だけ絞って、ゼロガバナ43の下流側のガス供給路4の部分の通気抵抗を大きくした小能力状態として、空気過剰率が適正値で閾値以下の要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにし、要求燃焼量が閾値を超える場合には、バタフライ弁32を開き姿勢にして、空気供給路3の通気抵抗を小さくすると共に、流量調節弁44を基準開度まで開いて、ゼロガバナ43の下流側のガス供給路4の部分の通気抵抗を小さくした大能力状態として、空気過剰率が適正値で閾値を超える要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにしている。
【0018】
ところで、燃料ガスとして同じガス種を使用していても、時間により燃料ガスの発熱量(ウォッベ指数)が変動することがある。この場合、空気供給量に対する燃料ガス供給量の比が一定であると、燃料ガスの発熱量の変動で混合気の空気過剰率が変動して、燃焼不良が発生してしまう。
【0019】
ここで、バーナ1から噴出する混合気の燃焼で形成される火炎の電気抵抗値である火炎抵抗値は、混合気の空気過剰率と相関関係がある。そこで、バーナ1から噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように第1フレームロッド6を配置して、火炎抵抗値を検出している。具体的には、第1フレームロッド6に接続した第1フレームロッド回路61により、第1フレームロッド6に電圧を印加して、第1フレームロッド6に流れるフレーム電流と第1フレームロッド6への印加電圧とから火炎抵抗値を検出している。そして、検出した火炎抵抗値をコントローラ5の空気過剰率検知部51に送信し、検出した火炎抵抗値に基づいて求められる混合気の空気過剰率が適正値になるように、流量調節弁44により燃料ガス供給量を調節するフィードバック制御を行う。
【0020】
また、本実施形態では、バーナ1から噴出する混合気の燃焼で形成される火炎に触れるように第1フレームロッド6とは別の第2フレームロッド7を配置している。そして、火炎の有無を第2フレームロッド7により検知し、第1フレームロッド6は、混合気の空気過剰率の検出専用に用いている。具体的には、第2フレームロッド7に、これに接続した第2フレームロッド回路71から電圧を印加し、図外の点火プラグで火花放電を行う点火制御中に、第2フレームロッド7に火炎が触れることでフレーム電流が流れて、第2フレームロッド7からコントローラ5の火炎検知部52に送信される検出抵抗値が低下したときに、火炎有り、即ち、着火したと判断して、点火制御を完了し、また、検出抵抗値が急増したときに、火炎無し、即ち、失火したと判断して、元弁42を閉弁し、生ガスの放出を防止している。
【0021】
上述したように、混合気の空気過剰率の検知性能を確保するには、低いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高める必要があり、着火(火炎の有無)の検知性能を確保するには、高いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高める必要がある。本実施形態では、第1フレームロッド回路61を、低いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高めたものとし、第2フレームロッド回路71を、高いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高めたものとすることで、混合気の空気過剰率の検知性能と着火の検知性能との両者を確保できる。尚、第2フレームロッド7への印加電圧は、高いレンジでの火炎抵抗値の検出精度を高めるため、第1フレームロッド6への印加電圧よりも高くしている。
【0022】
ところで、第1と第2の両フレームロッド6,7に同時に電圧を印加した場合、両フレームロッド6,7間に火炎を介して電流が流れてしまう。そして、第1と第2の各フレームロッド6,7で検出される火炎抵抗値に、両フレームロッド6,7間に流れる電流の影響で誤差を生じてしまう。
【0023】
そこで、本実施形態では、図2に示す如く、第1フレームロッド6への電圧印加と第2フレームロッド7への電圧印加とは同時に行わずに、交互に行っている。更に、第2フレームロッド7に対する1回当たりの電圧印加時間を第1フレームロッド6に対する1回当たりの電圧印加時間よりも長くしている。例えば、1秒を1周期として、第2フレームロッド7に対する電圧印加時間を0.9秒、第1フレームロッド6に対する電圧印加時間を0.1秒にしている。
【0024】
これによれば、第1と第2の両フレームロッド6,7間に電流が流れることはなく、この電流の影響で第1と第2の各フレームロッド6,7で検出される火炎抵抗値に誤差を生ずることを防止できる。また、第2フレームロッド7で火炎の有無を検知する期間が長くなる。そのため、失火したときにこれを素早く検知でき、安全である。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、ガス供給路4に、ゼロガバナ43とその下流側のガス量調節手段たる流量調節弁44とを介設しているが、ゼロガバナに代えて比例弁を設けることも可能であり、この場合、比例弁をガス量調節手段に兼用してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…バーナ、2…ファン、44…流量調節弁(ガス量調節手段)、5…コントローラ(制御手段)、6…第1フレームロッド、7…第2フレームロッド。
図1
図2