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特開2024-160439安全支援装置、安全支援プログラム、及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160439
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】安全支援装置、安全支援プログラム、及び車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241107BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20241107BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241107BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/095
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075414
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】臼井 弘敏
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA49
3D241BA57
3D241CE05
3D241DB07Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】自車に接近してくる物体をセンシング技術によって検知する前に安全支援を行うことができる安全支援装置を提供する。
【解決手段】安全支援装置(10)は、前方に位置する停車車両を検知するように構成された検知部(11)と、前記停車車両と自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部(12)と、前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部(13)と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の前方に位置する停車車両を検知するように構成された検知部と、
前記停車車両と前記自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部と、
前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部と、
を備える、安全支援装置。
【請求項2】
前記安全支援は、前記自車を設定速度に減速するための制御信号の生成である、請求項1に記載の安全支援装置。
【請求項3】
前記安全支援は、警告を報知するための制御信号の生成である、請求項1に記載の安全支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記左右方向車間距離が第1設定距離以下であり且つ前記停車車両と前記自車との前後方向車間距離が第2設定距離以下である場合に、安全支援を行うように構成されている、請求項1に記載の安全支援装置。
【請求項5】
前記停車車両が、前記自車から見て向かって左側に位置するか右側に位置するかで前記安全支援の内容を変える、請求項1に記載の安全支援装置。
【請求項6】
前記停車車両が、前記自車の反対車線に位置するか否かによって前記安全支援の内容を変える、請求項1に記載の安全支援装置。
【請求項7】
コンピュータを、
自車の前方に位置する停車車両と前記自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部、及び
前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部として機能させる、安全支援プログラム。
【請求項8】
走行中の対向車を検知するように構成された第1検知部と、
自車の前方に位置する人を検知するように構成された第2検知部と、
走行中の前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されている場合、前記走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように前記自車の前照灯を制御するように構成された制御部と、
を備える、安全支援装置。
【請求項9】
前記第1検知部は、停車中の前記対向車も検知し、
前記制御部は、前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されている場合、安全支援を行うように構成されている、請求項8に記載の安全支援装置。
【請求項10】
前記安全支援は、前記自車を減速させて停止させるための制御信号の生成である、請求項8に記載の安全支援装置。
【請求項11】
前記安全支援は、警告を報知するための制御信号の生成である、請求項8に記載の安全支援装置。
【請求項12】
走行中の前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されていない場合、前記制御部は、前記自車を徐行させるための制御信号を生成するように構成されている、請求項8に記載の安全支援装置。
【請求項13】
コンピュータを、
走行中の対向車と、自車の前方に位置する人と、が検知されている場合、前記走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように前記自車の前照灯を制御するように構成された制御部として機能させる、安全支援プログラム。
【請求項14】
請求項1~6、8~12のいずれか一項に記載の安全支援装置、又は、請求項7若しくは請求項13に記載の安全支援プログラムを備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、安全支援装置、安全支援プログラム、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
5G(第5世代移動通信システム)が展開され、車車間通信の普及が現実味を帯びてきている。車車間通信は、車両相互の特徴、状態等に加え、運転者の意思も伝達することができる通信システムであり、安全技術の向上に期待ができるシステムである。
【0003】
車車間通信は徐々にしか普及せず、全ての車両が車車間通信を搭載するには時間がかかることが予想される。また、自動車メーカー各社において車車間通信が共通の方式になるまでにはさらに時間がかかることが予想される。
【0004】
そこで、車車間通信普及の前段階で、自動車メーカー各社は、センシング技術によって安全技術の向上を図っている。センシング技術の一例としては、例えば特許文献1に開示されている3次元センシングシステムを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-15113号公報
【特許文献2】特開2012-160436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、現状は、センシング技術によって直接的に検知した物体のみを判断材料とした安全技術しか存在しない。
【0007】
また、車両の夜間走行時に、横断歩道を歩行中の人が対向車のヘッドライトに照らされて見えにくくなるという現象がある。この現象は、最近の高輝度ヘッドライト(例えば特許文献2参照)によって発生しやすくなっている。そして、高齢者は若者に比べて高輝度の光を眩しく感じる傾向があることが確認されており、高齢の運転者にとって上記の現象は深刻である。なお、たとえ車両が先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle)であったとしても、運転支援のみで衝突などの事故を回避できない場合があるため運転者の目によって得られる情報は重要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1局面に係る安全支援装置は、自車の前方に位置する停車車両を検知するように構成された検知部と、前記停車車両と前記自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部と、前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部と、を備える。
【0009】
本開示の第2局面に係る安全支援プログラムは、コンピュータを、自車の前方に位置する停車車両と前記自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部、及び前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部として機能させる。
【0010】
本開示の第3局面に係る安全支援装置は、走行中の対向車を検知するように構成された第1検知部と、自車の前方に位置する人を検知するように構成された第2検知部と、走行中の前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されている場合、前記走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように前記自車の前照灯を制御するように構成された制御部と、を備える。
【0011】
本開示の第4局面に係る安全支援プログラムは、コンピュータを、走行中の対向車と、自車の前方に位置する人と、が検知されている場合、前記走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように前記自車の前照灯を制御するように構成された制御部として機能させる。
【0012】
本開示の第5局面に係る車両は、上述した本開示の第1若しくは第3局面に係る安全支援装置、又は、上述した本開示の第2若しくは第4局面に係る安全支援プログラムを備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、自車に接近してくる物体をセンシング技術によって検知する前に安全支援を行うことができる。
【0014】
また、本開示によれば、走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る車両を示す図である。
図2図2は、走行シーンの一例を示す図である。
図3図3は、図2に示す走行シーンの具体例を示す図である。
図4図4は、図2に示す走行シーンの他の具体例を示す図である。
図5図5は、図2に示す走行シーンの更に他の具体例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る安全支援装置の概略構成を示すブロック図である。
図7図7は、自車と停止車両との位置関係を示す図である。
図8図8は、第1実施形態に係る安全支援装置の動作例を示すフローチャートである。
図9図9は、停車車両と自車との左右方向車間距離と設定速度との関係の一例を示すグラフである。
図10図10は、走行シーンの他の例を示す図である。
図11図11は、走行シーンの更に他の例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る車両を示す図である。
図13図13は、第2実施形態に係る安全支援装置の概略構成を示すブロック図である。
図14図14は、第2実施形態に係る安全支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、車両を示す図である。車両V10は、安全支援装置10を備える。安全支援装置10を備える車両すなわち車両V10は、自車V10とも称される。なお、図1における安全支援装置10の搭載位置は、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明における左右とは自車V10の運転者から見た左右方向であり、前後とは自車V10の運転者から見た前後方向である。
【0017】
図2は、自車V10の走行シーンの一例を示す図である。図2に示す走行シーンでは、歩道R1の傍であって横断歩道R2の手前に停車している停車車両V11が存在し、歩道R1側から横断歩道R2を横断する人H1が存在し、自車V10が横断歩道R2に向かって走行している。
【0018】
ここで、図3は、図2に示す走行シーンの具体例を示す図である。図3に示す具体例のように、停車車両V11と横断歩道R2との距離L1が長い場合、人H1が停車車両V11によって隠れにくくなる。このため、自車V10のセンシング技術によって人H1が検知されたときに、人H1と自車V10との左右方向距離L2、横断歩道R2と自車V10との前後方向距離L3はともに十分に長い。人H1と自車V10との左右方向距離L2が十分に長いため、人H1が自車V10に気付けば歩行を停止することで安全を確保することができる。また、横断歩道R2と自車V10との前後方向距離L3が十分に長いため、自車V10は安全に停止することができる。
【0019】
図4は、図2に示す走行シーンの他の具体例を示す図である。図4に示す具体例のように、停車車両V11と横断歩道R2との距離L1が短い場合、人H1が停車車両V11によって隠れやすくなる。このため、横断歩道R2と自車V10との前後方向距離L3が十分に長い状態で自車V10のセンシング技術によって人H1が検知されたときに、人H1と自車V10との左右方向距離L2は短くなる。人H1と自車V10との左右方向距離L2が短いため、人H1が自車V10に気付いても歩行を停止して安全を確保することが困難である。一方、横断歩道R2と自車V10との前後方向距離L3が十分に長いため、自車V10は安全に停止することができる。
【0020】
図5は、図2に示す走行シーンの更に他の具体例を示す図である。図5に示す具体例のように、停車車両V11と横断歩道R2との距離L1が短い場合、人H1が停車車両V11によって隠れやすくなる。このため、横断歩道R2と自車V10との前後方向距離L3が短い状態で自車V10のセンシング技術によって人H1が検知されたときに、人H1と自車V10との左右方向距離L2は十分に長くなる。人H1と自車V10との左右方向距離L2は十分に長くなるため、人H1が自車V10に気付けば歩行を停止することで安全を確保することができる。しかしながら、横断歩道R2と自車V10との前後方向距離L3が短いため、自車V10は安全に停止することができない。
【0021】
図5に示す具体例において自車V10が安全に停止することができないことを回避する方策としては、自車V10と停車車両V11との左右方向距離を長くすることが考えられる。しかしながら、道幅又は自車V10の走行位置に制約がある場合には、自車V10と停車車両V11との左右方向距離を長くすることができない。
【0022】
安全支援装置10は、例えば図5に示す走行シーンでの安全支援を行うことができる装置である。安全支援装置10は、人H1を検知したことをトリガーとして安全支援を実行するのではなく、人H1を検知する前に安全支援を実行することを特徴する。
【0023】
図6は、安全支援装置10の概略構成を示すブロック図である。安全支援装置10は、検知部11と、算出部12と、制御部13と、を備える。
【0024】
検知部11は、自車V10の前方に位置する停車車両V11を検知する。検知部11は、ミリ波レーダー、車載カメラ、LiDAR等の公知のセンシング技術を用いて停車車両V11を検知する。また、検知部11は、自車V10に搭載されているセンシング技術によって検知可能な停車車両V11以外の物体も検知する。
【0025】
算出部12は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4を算出する。例えば、算出部12は、停車車両V11と自車V10との直線距離L5、及び、自車V10に対する停車車両V11の方向(角度)θを用いて、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4を算出する。停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4、停車車両V11と自車V10との直線距離L5、及び自車V10に対する停車車両V11の方向(角度)θは、図7に示すような関係にある。停車車両V11と自車V10との直線距離L5、及び、自車V10に対する停車車両V11の方向(角度)θは、ミリ波レーダー、車載カメラ、LiDAR等の公知のセンシング技術によって計測可能である。したがって、例えば、算出部12は、停車車両V11と自車V10との直線距離L5、及び、自車V10に対する停車車両V11の方向(角度)θを用いて、下記の式によって停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4を算出する。
L4=L5×sinθ
なお、停車車両V11と自車V10との直線距離L5、及び、自車V10に対する停車車両V11の方向(角度)θを用いた停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4の算出手法は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4の算出手法のあくまで一例である。つまり、停車車両V11と自車V10との直線距離L5、及び、自車V10に対する停車車両V11の方向(角度)θを用いた算出手法以外の算出手法によって、算出部12が停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4を算出してもよい。
【0026】
制御部13は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4に基づいて安全支援を行う。これにより、自車V10に接近してくる物体(人H1)をセンシング技術によって検知する前に安全支援を実行することができる。
【0027】
算出部12及び制御部13は、専用のハードウェアで構成されてもよく、安全支援プログラムを記憶するコンピュータで構成されてもよい。安全支援プログラムを記憶するコンピュータは、安全支援プログラムを実行することで、算出部12及び制御部13として機能する。
【0028】
図8は、安全支援装置10の動作例を示すフローチャートである。安全支援装置10は、電源の供給が開始されると、図8に示すフロー動作を開始する。なお、安全支援装置10は、電源の供給が停止されると、図8に示すフロー動作を終了する。
【0029】
ステップS11において、安全支援装置10は、検知部11によるセンシングを開始する。
【0030】
ステップS11に続くステップS12において、検知部11は物体を検知したか否かを判定する。物体が検知されていない場合(ステップS12でのNO)、フロー動作はステップS12に戻る。一方、物体が検知された場合(ステップS12でのYES)、フロー動作はステップS13に進む。
【0031】
ステップS13において、制御部13は、検知された物体に停車車両V11が含まれ、且つ、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4が設定値以下であるか否かを判定する。なお、安全支援装置10は、設定値を記憶する記憶部を備える。本実施形態では、制御部13が記憶部を内蔵し、制御部13に内蔵されている記憶部が設定値を記憶する。本実施形態とは異なり、設定値を記憶する記憶部は制御部13とは分離して設けられてもよい。設定値は、固定値であってもよく、安全支援装置10にユーザー操作の内容を示す信号を受け付けるインターフェースが設けられ、ユーザー操作によって変更可能であってもよい。
【0032】
検知された物体に停車車両V11が含まれ、且つ、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4が設定値以下である場合(ステップS13でのYES)、制御部13は安全支援を行う(ステップS14)。すなわち、制御部13は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4に基づいて安全支援を行う。
【0033】
具体的には、ステップS14において、制御部13は、自車V10を設定速度に減速するための制御信号を生成して外部に出力する。当該制御信号は、例えばブレーキ制御用ECU(Electronic Control Unit)に供給される。当該設定速度は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4に応じて可変することが望ましい。なお、自車V10の走行速度が設定速度に達していない場合にはステップS14の処理はスキップされるとよい。
【0034】
図9は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4と設定速度との関係の一例を示すグラフである。制御部13は、図9に示すような関係をデータテーブルの形式で記憶してもよく、計算式の形で記憶してもよい。
【0035】
ステップS14の処理が終了すると、フロー動作はステップS12に戻る。
【0036】
停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4が設定値以下でない場合(ステップS13でのNO)、制御部13は、検知した物体に応じた安全支援(例えば、警告の報知、急ブレーキなど)を行う(ステップS15)。
【0037】
ステップS15の処理が終了すると、フロー動作はステップS12に戻る。
【0038】
ステップS14は、制御部13が自車V10を設定速度に減速するための制御信号を生成して外部に出力する処理の代わりに、又は、制御部13が自車V10を設定速度に減速するための制御信号を生成して外部に出力する処理に加えて、例えば制御部13が警告を報知するための制御信号を生成して外部に出力する処理であってもよい。これにより、自車V10の運転者に注意を促すことができる。
【0039】
警告を報知する手法としては、例えば、警告の内容をカーナビゲーションシステム等の表示装置に表示する手法、警告の内容をカーナビゲーションシステム等の音声出力装置を用いて音声出力する手法、ステアリング、運転者の座席等を振動させて警告する手法等を挙げることができる。
【0040】
また、制御部13は、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4が第1設定距離以下であり且つ停車車両V11と自車V10との前後方向車間距離が第2設定距離以下である場合に、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4に基づく安全支援を行う構成であってもよい。
【0041】
これにより、停車車両V11が前後方向において自車V10から遠く離れている場合に、制御部13が停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4に基づく安全支援を行うことを防止することができる。つまり、図4に示す具体例のような場合に、制御部13が停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4に基づく安全支援を行うことを防止することができる。
【0042】
上記の説明は横断歩道R2での危険を念頭においた説明であったが、安全支援装置10は、横断歩道R2以外での危険に対しても有効である。
【0043】
例えば、図10に示すように、信号待ち、渋滞等によって反対車線に停車車両V11の車列が発生すると、停車車両V11の陰から人が飛び出してくるおそれがある。
【0044】
例えば、図11に示すように、右折待ちの停車車両V11の陰から車両V12が出てくるおそれがある。
【0045】
このような複数の走行シーンに対して適切な安全支援が実行されるように、停車車両V11が自車V10から見て向かって左側に位置するか右側に位置するかで制御部13が安全支援の内容を変えるようにしてもよい。例えば、停車車両V11が自車V10から見て向かって左側に位置する場合と、停車車両V11が自車V10から見て向かって右側に位置する場合とで、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4が同じであっても設定速度を異なる値にしてもよい。
【0046】
また、上記のような複数の走行シーンに対して適切な安全支援が実行されるように、停車車両V11が、自車V10の反対車線に位置するか否かによって制御部13が安全支援の内容を変えるようにしてもよい。例えば、停車車両V11が自車V10の反対車線に位置する場合と、停車車両V11が自車V10の反対車線に位置しない場合とで、停車車両V11と自車V10との左右方向車間距離L4が同じであっても設定速度を異なる値にすればよい。
【0047】
<第2実施形態>
図12は、車両を示す図である。車両V20は、安全支援装置20を備える。安全支援装置20を備える車両すなわち車両V20は、自車V20とも称される。なお、図12における安全支援装置20の搭載位置は、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明における前方とは、自車V20の運転者から見て前の方向である。
【0048】
図13は、安全支援装置20の概略構成を示すブロック図である。安全支援装置20は、第1検知部21と、第2検知部22と、制御部23と、を備える。
【0049】
第1検知部21は、走行中の対向車を検知する。第1検知部21は、ミリ波レーダー、車載カメラ、LiDAR等の公知のセンシング技術を用いて走行中の対向車を検知する。また、第1検知部21は、自車V20に搭載されているセンシング技術を用いて停車中の対向車も検知する。
【0050】
第2検知部22は、自車の前方に位置する人を検知する。第2検知部22は、ミリ波レーダー、車載カメラ、LiDAR等の公知のセンシング技術を用いて自車V20の前方に位置する人走行中の対向車を検知する。
【0051】
第1検知部21と第2検知部22とは、同一のセンサデバイスで構成されてもよく、別々のセンサデバイスで構成されてもよい。
【0052】
制御部23は、走行中の対向車が第1検知部21によって検知され、人が第2検知部22によって検知されている場合、走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように自車V20の前照灯を制御する。これにより、走行中の対向車の運転者が人を視認しやすくなるため、走行中の対向車の運転者の運転操作による走行中の対向車と人との衝突回避が容易になる。つまり、制御部23による自車V20の前照灯制御は、走行中の対向車の安全性を向上させることができる。
【0053】
制御部23は、専用のハードウェアで構成されてもよく、安全支援プログラムを記憶するコンピュータで構成されてもよい。安全支援プログラムを記憶するコンピュータは、安全支援プログラムを実行することで、制御部23として機能する。
【0054】
図14は、安全支援装置20の動作例を示すフローチャートである。安全支援装置20は、電源の供給が開始されると、図14に示すフロー動作を開始する。なお、安全支援装置20は、電源の供給が停止されると、図14に示すフロー動作を終了する。
【0055】
ステップS21において、安全支援装置20は、第1検知部21及び第2検知部22によるセンシングを開始する。
【0056】
ステップS21に続くステップS22において、第1検知部21は対向車を検知したか否かを判定する。対向車が検知されていない場合(ステップS22でのNO)、フロー動作はステップS22に戻る。一方、対向車が検知された場合(ステップS22でのYES)、フロー動作はステップS23に進む。
【0057】
ステップS23において、第1検知部21は、対向車が停止しているか否かを判定する。対向車が停止していない場合(ステップS23でのNO)、フロー動作はステップS24に進む。一方、対向車が停止している場合(ステップS23でのYES)、フロー動作はステップS27に進む。
【0058】
ステップS24において、第2検知部22は、自車V20の前方に位置する人を検知したか否かを判定する。自車V20の前方に位置する人が検知されていない場合(ステップS24でのNO)、フロー動作はステップS22に戻る。一方、自車V20の前方に位置する人が検知されている場合(ステップS24でのYES)、制御部23は、走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように自車V20の前照灯を制御するための制御信号を生成して外部に出力する。当該制御信号は、例えば前照灯を駆動するランプ駆動装置に供給される(ステップS25)。
【0059】
走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できる制御としては、例えば、自車V20の前照灯を減光(光量低下)させる制御、自車V20の前照灯の発光色を変更させる制御等を挙げることができる。このような制御によって走行中の対向車の安全性を向上させることができる。
【0060】
ステップS25では、制御部23は、自車V20を減速させて停止させるための制御信号を生成して外部に出力する処理も行う。当該制御信号は、例えばブレーキ制御用ECUに供給される。これにより、自車V20と人との衝突を回避することができ、自車V20の安全性を向上させることができる。
【0061】
ステップS25に続くステップS26において、第2検知部22は、自車V20の前方に位置する人を検知したか否かを判定する。自車V20の前方に位置する人が検知されていない場合(ステップS26でのNO)、対向車または自車V20と人とが衝突するおそれがなくなったため、フロー動作はステップS22に戻る。一方、自車V20の前方に位置する人が検知されている場合(ステップS26でのYES)、フロー動作はステップS25に戻り、ステップS25の処理が継続される。
【0062】
また、ステップS27において、第2検知部22は、自車V20の前方に位置する人を検知したか否かを判定する。
【0063】
自車V20の前方に位置する人が検知されていない場合(ステップS27でのNO)、制御部23は、自車V20を徐行させるための制御信号を生成して外部に出力する処理も行う。当該制御信号は、例えばブレーキ制御用ECUに供給される。対向車が停止している理由が自車V20の運転者にとっては不明であり、人以外の物体が自車V20及び対向車の周辺に存在する可能性がある。自車V20を徐行させることによって、自車V20の周辺に人以外の物体が存在した場合に自車V20の運転者が危険を回避するための運転操作を行いやすくなる。
【0064】
一方、自車V20の前方に位置する人が検知されている場合(ステップS27でのYES)、制御部23は、自車V20を減速させて停止させるための制御信号を生成して外部に出力する処理を行う(ステップS29)。当該制御信号は、例えばブレーキ制御用ECUに供給される。これにより、自車V20と人との衝突を回避することができ、自車V20の安全性を向上させることができる。
【0065】
ステップS29に続くステップS30において、第2検知部22は、自車V20の前方に位置する人を検知したか否かを判定する。自車V20の前方に位置する人が検知されていない場合(ステップS30でのNO)、自車V20と人とが衝突するおそれがなくなったため、フロー動作はステップS22に戻る。一方、自車V20の前方に位置する人が検知されている場合(ステップS30でのYES)、フロー動作はステップS29に戻り、ステップS29の処理が継続される。
【0066】
なお、ステップS25における制御部13が自車V20を減速させて停止させるための制御信号を生成して外部に出力する処理の代わりに、又は、ステップS25における制御部13が自車V20を減速させて停止させるための制御信号を生成して外部に出力する処理に加えて、例えば制御部23が警告を報知するための制御信号を生成して外部に出力する処理であってもよい。これにより、自車V20の運転者に注意を促すことができる。
【0067】
同様に、ステップS29における制御部13が自車V20を減速させて停止させるための制御信号を生成して外部に出力する処理の代わりに、又は、ステップS29における制御部13が自車V20を減速させて停止させるための制御信号を生成して外部に出力する処理に加えて、例えば制御部23が警告を報知するための制御信号を生成して外部に出力する処理であってもよい。これにより、自車V20の運転者に注意を促すことができる。
【0068】
警告を報知する手法としては、例えば、警告の内容をカーナビゲーションシステム等の表示装置に表示する手法、警告の内容をカーナビゲーションシステム等の音声出力装置を用いて音声出力する手法、ステアリング、運転者の座席等を振動させて警告する手法等を挙げることができる。
【0069】
<付記>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0070】
本開示の第1局面に係る安全支援装置(10)は、自車(V10)の前方に位置する停車車両(V11)を検知するように構成された検知部(11)と、前記停車車両と前記自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部(12)と、前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部(13)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0071】
上記第1の構成の安全支援装置において、前記安全支援は、前記自車を設定速度に減速するための制御信号の生成である構成(第2の構成)であってもよい。
【0072】
上記第1又は第2の構成の安全支援装置において、前記安全支援は、警告を報知するための制御信号の生成である構成(第3の構成)であってもよい。
【0073】
上記第1~第3いずれかの構成の安全支援装置において、前記制御部は、前記左右方向車間距離が第1設定距離以下であり且つ前記停車車両と前記自車との前後方向車間距離が第2設定距離以下である場合に、安全支援を行うように構成されている構成(第4の構成)であってもよい。
【0074】
上記第1~第4いずれかの構成の安全支援装置において、前記停車車両が、前記自車から見て向かって左側に位置するか右側に位置するかで前記安全支援の内容を変える構成(第5の構成)であってもよい。
【0075】
上記第1~第5いずれかの構成の安全支援装置において、前記停車車両が、前記自車の反対車線に位置するか否かによって前記安全支援の内容を変える構成(第6の構成)であってもよい。
【0076】
本開示の第2局面に係る安全支援プログラムは、コンピュータを、自車の前方に位置する停車車両と前記自車との左右方向車間距離を算出するように構成された算出部、及び前記左右方向車間距離に基づいて安全支援を行うように構成された制御部として機能させる構成(第7の構成)である。
【0077】
本開示の第3局面に係る安全支援装置(20)は、走行中の対向車を検知するように構成された第1検知部(21)と、自車(V20)の前方に位置する人を検知するように構成された第2検知部(22)と、走行中の前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されている場合、前記走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように前記自車の前照灯を制御するように構成された制御部(23)と、を備える構成(第8の構成)である。
【0078】
上記第8の構成の安全支援装置において、前記第1検知部は、停車中の前記対向車も検知し、前記制御部は、前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されている場合、安全支援を行うように構成されている構成(第9の構成)であってもよい。
【0079】
上記第8又は第9の構成の安全支援装置において、前記安全支援は、前記自車を減速させて停止させるための制御信号の生成である構成(第10の構成)であってもよい。
【0080】
上記第8~第10いずれかの構成の安全支援装置において、前記安全支援は、警告を報知するための制御信号の生成である構成(第11の構成)であってもよい。
【0081】
上記第8~第11いずれかの構成の安全支援装置において、走行中の前記対向車が前記第1検知部によって検知され、前記人が前記第2検知部によって検知されていない場合、前記制御部は、前記自車を徐行させるための制御信号を生成するように構成されている構成(第12の構成)であってもよい。
【0082】
本開示の第4局面に係る安全支援プログラムは、コンピュータを、走行中の対向車と、自車の前方に位置する人と、が検知されている場合、前記走行中の対向車の運転者が眩しさを感じることを抑制できるように前記自車の前照灯を制御するように構成された制御部として機能させる構成(第13の構成)である。
【0083】
本開示の第4局面に係る安全支援プログラムは、上記第1~第6、第8~第12いずれの構成の安全支援装置、又は、上記第7若しくは第13の構成の安全支援プログラムを備える構成(第14の構成)である。
【符号の説明】
【0084】
10、20 安全支援装置
11 検知部
12 算出部
13、23 制御部
21 第1検知部
22 第2検知部
H1 人
R1 歩道
R2 横断歩道
V10、V20 車両(自車)
V11 停車車両
V12 車両
図1
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