(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160444
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】キャップ用殺菌剤吹き付けノズル及びキャップ殺菌剤吹き付け方法
(51)【国際特許分類】
B65B 55/10 20060101AFI20241107BHJP
B65B 55/04 20060101ALI20241107BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
B65B55/10
B65B55/04 V
A61L2/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075426
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】秋山 勇人
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA25
4C058BB04
4C058DD04
4C058DD06
4C058DD07
4C058EE30
4C058JJ14
4C058JJ16
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】無菌充填機において、高速で搬送されるキャップに固定されたノズルにより殺菌剤を吹き付け、殺菌に必要な量の殺菌剤を効果的にキャップの開口面の内部に付着させる。
【解決手段】殺菌剤をガス化し、ガス化された殺菌剤を搬送されるキャップの開口面からキャップの開口面の内部に吹き付ける、固定されたキャップ殺菌剤吹き付けノズルであって、吹き付け孔の先端面から延びるキャップ殺菌剤吹き付けノズルの吹き付け孔を囲繞する水平面を設け、吹き付け孔から殺菌剤をキャップの開口面に吹き付けを開始するときから終了するまで、水平面がキャップの開口面を遮蔽する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌剤をガス化し、ガス化された前記殺菌剤を搬送されるキャップの開口面に吹き付ける、固定されたキャップ殺菌剤吹き付けノズルであって、
前記殺菌剤吹き付けノズルの吹き付け孔を囲繞する、前記吹き付け孔の先端面から延びる水平面を設け、
前記吹き付け孔から、前記殺菌剤を前記キャップの前記開口面に吹き付けを開始するときから終了するまで、前記水平面が前記キャップの前記開口面を遮蔽するキャップ殺菌剤吹き付けノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップ殺菌剤吹き付けノズルにおいて、
前記キャップが搬送される方向に対する直交方向の、前記吹き付け孔を含む前記水平面の長さを、前記キャップの前記開口面の内径以上とし、前記キャップが搬送される方向の前記吹き付け孔を挟む両側の前記水平面の長さをそれぞれ前記開口面の内径以上とするキャップ殺菌剤の吹き付けノズル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャップ殺菌剤吹き付けノズルにおいて、
前記キャップ殺菌剤吹き付けノズルに対向して搬送される前記キャップの前記開口面と前記水平面が平行であって、前記キャップの前記開口面と前記水平面との間隔が、0.5mm以上、5mm以下であるキャップ殺菌剤吹き付けノズル。
【請求項4】
殺菌剤をガス化し、ガス化された前記殺菌剤を搬送されるキャップの開口面に吹き付ける、キャップ殺菌剤吹き付け方法であって、
固定されたキャップ殺菌剤吹き付けノズルの吹き付け孔を囲繞する、前記吹き付け孔の先端面から延びる水平面を設け、
前記吹き付け孔から前記殺菌剤を前記キャップの開口面に吹き付けを開始するときから終了するまで、前記水平面により前記キャップの開口面を遮蔽するキャップ殺菌剤吹き付け方法。
【請求項5】
請求項4に記載のキャップ殺菌剤吹き付け方法において、
前記キャップが搬送される方向に対する直交方向の、前記吹き付け孔を含む前記水平面の長さを、前記キャップの前記開口面の内径以上とし、前記キャップが搬送される方向の前記吹き付け孔を挟む両側の前記水平面の長さをそれぞれ前記開口面の内径以上とするキャップ殺菌剤吹き付け方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のキャップ殺菌剤吹き付け方法において、
前記キャップ殺菌剤吹き付けノズルに対向して搬送される前記キャップの前記開口面と前記水平面が平行であって、前記キャップの前記開口面と前記水平面の間隔を、0.5mm以上、5mm以下とするキャップ殺菌剤吹き付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無菌充填機においてキャップの殺菌に使用される、殺菌剤のガスをキャップに吹き付けるキャップ用殺菌剤吹き付けノズル、及びキャップに殺菌剤を吹き付けるキャップ殺菌剤吹き付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポーションミルク、ブリック型又はゲーブルトップ型液体紙容器入り飲料、パウチ入りスープ、カップ入り飲料、PETボトル入り飲料等、無菌充填機により様々な容器に、食品や飲料が充填されて流通している。無菌充填機とは、殺菌した容器に殺菌した内容物を無菌雰囲気で充填して密封する装置である。無菌充填機により生産された製品は、流通や保管を常温で行うことができるため、冷蔵、冷凍製品よりもエネルギー消費が少なく、味覚も良いことから増加傾向にある。
【0003】
無菌充填機において、容器となる包装材料は前述の通り様々であり、包装材料によりその殺菌方法も異なる。紫外線や電子線を照射する方法もあるが、殺菌剤により、包装材料の表面を殺菌する方法が主流である。さらに殺菌剤を使用して包装材料を殺菌する場合、ポーションミルクやブリック型紙容器は殺菌剤に包装材料を浸漬して殺菌するが、殺菌剤を噴霧する方法もある。フラットで、比較的高温の乾燥温度に支障がない包装材料は、殺菌剤に浸漬して殺菌される。カップやボトルのような成形品や高温乾燥で伸びてしまうフィルムのような、耐熱性が劣る包装材料は殺菌剤の噴霧により殺菌される。
【0004】
一方、液体紙容器及びボトル形状の容器は蓋材により密封されるため、容器の殺菌だけでなく、蓋材も殺菌されなければならない。無菌充填製品では、PETボトルが最も多用され、PETボトルの蓋材の殺菌について様々な装置及び方法が提案されている。
【0005】
蓋材を殺菌する装置は、搬送されるキャップにチャンバー内で殺菌液を噴射する装置が一般的である。例えば、キャップの開口部を横向きにして殺菌剤のミストを吹き付ける装置(特許文献1)、キャップの開口部を下向きにして殺菌液を噴射させる装置(特許文献2)がある。また、キャップの開口部を上向きにして、薬液をキャップの外周面及び天面に向かって噴射するとともに、内面に向かって薬液を噴射して薬液を口部内に溜めてキャップの内外面の殺菌を行う装置も提案されている(特許文献3)。
【0006】
キャップの内面に殺菌剤を噴霧する内面用噴霧ノズル及びキャップの外面に殺菌剤を噴霧する外面用噴霧ノズルを設け、これらの噴霧ノズルの周囲を覆うカバーを取り付けることが提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-293319号公報
【特許文献2】特開平10-152115号公報
【特許文献3】特開平11-139416号公報
【特許文献4】特開2017-222415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無菌充填機においてキャップを殺菌する方法として、ガス化された過酸化水素水をキャップに吹き付ける方法が多用されている。過酸化水素水をガス化させる方法は、過酸化水素水を発熱体に接触させることによる。過酸化水素水のガス化装置は、スプレから噴霧される殺菌剤を加熱された気化管の表面に接触させることでガス化している。気化管はその外面に設けられるヒータにより加熱されている。
【0009】
気化管の先端は、ガス化した殺菌剤をキャップの内面及び外面に吹き付けるため、ノズル形状としている。ノズルは固定され、搬送されるキャップに殺菌剤を吹き付ける。無菌充填機の高速化に伴い、キャップの搬送速度も高速化され、キャップの内外面を十分に殺菌するために必要な量の殺菌剤をキャップに付着させることが困難となっている。特に、内面の構造は複雑であり、スクリュー溝及びボトルを密封するために、ボトルの口部の内側に密着して挿入される突起の周辺にも殺菌剤を付着させなければならない。
【0010】
殺菌剤を吹き付けるゾーンはチャンバーにより覆われている。また、特許文献4に記載のように噴霧ノズルを覆うカバーが設けられることもある。吹き付け雰囲気の空間を狭めることで、殺菌剤の吹き付けの効率化を図ることが提案されている。
【0011】
充填機の高速化により多数のキャップを殺菌するために、ノズルによりキャップの内外面に直接殺菌剤を吹き付けること及び吹き付け雰囲気を狭めることが提案されてきた。しかし、キャップ内面の複雑な形状の隅々まで、殺菌剤を付着させ、十分に殺菌することが困難となっている。
【0012】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、高速で搬送されるキャップの内面に固定されたノズルにより殺菌剤を吹き付け、殺菌に必要な量の殺菌剤を効果的にキャップの内面に付着させるキャップ殺菌剤吹き付けノズル及びキャップ殺菌剤吹き付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付けノズルは、殺菌剤をガス化し、ガス化された前記殺菌剤を搬送されるキャップの開口面に吹き付ける、固定されたキャップ殺菌剤吹き付けノズルであって、前記殺菌剤吹き付けノズルの吹き付け孔を囲繞する、前記吹き付け孔の先端面から延びる水平面を設け、前記吹き付け孔から、前記殺菌剤を前記キャップの前記開口面に吹き付けを開始するときから終了するまで、前記水平面が前記キャップの前記開口面を遮蔽するキャップ殺菌剤吹き付けノズルである。
【0014】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付けノズルにおいて、前記キャップが搬送される方向に対する直交方向の、前記吹き付け孔を含む前記水平面の長さを、前記キャップの前記開口面の内径以上とし、前記キャップが搬送される方向の前記吹き付け孔を挟む両側の前記水平面の長さをそれぞれ前記開口面の内径以上とすると好適である。
【0015】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付けノズルにおいて、前記キャップ殺菌剤吹き付けノズルに対向して搬送される前記キャップの前記開口面と前記水平面が平行であって、前記キャップの前記開口面と前記水平面との間隔が、0.5mm以上、5mm以下であると好適である。
【0016】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付け方法は、殺菌剤をガス化し、ガス化された前記殺菌剤を搬送されるキャップの開口面に吹き付ける、キャップ殺菌剤吹き付け方法であって、固定されたキャップ殺菌剤吹き付けノズルの吹き付け孔を囲繞する、前記吹き付け孔の先端面から延びる水平面を設け、前記吹き付け孔から前記殺菌剤を前記キャップの開口面に吹き付けを開始するときから終了するまで、前記水平面により前記キャップの開口面を遮蔽する。
【0017】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付け方法において、前記キャップが搬送される方向に対する直交方向の、前記吹き付け孔を含む前記水平面の長さを、前記キャップの前記開口面の内径以上とし、前記キャップが搬送される方向の前記吹き付け孔を挟む両側の前記水平面の長さをそれぞれ前記開口面の内径以上とすると好適である。
【0018】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付け方法において、前記キャップ殺菌剤吹き付けノズルに対向して搬送される前記キャップの前記開口面と前記水平面が平行であって、前記キャップの前記開口面と前記水平面の間隔を、0.5mm以上、5mm以下とすると好適である。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係るキャップ殺菌剤吹き付けノズル及びキャップ殺菌剤吹き付け方法によれば、ボトルに飲料や乳製品等を充填する無菌充填機において、ボトルの密封に使用されるキャップの開口面に、殺菌剤のガスを効率的に付着させることができる。結果としてキャップ内面の殺菌を確実に行い、さらに殺菌剤の使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施の形態に係るキャップを示す側方断面図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係るキャップ殺菌装置にキャップを供給するキャップ供給装置の概略を示す平面図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係るキャップ殺菌装置にキャップを供給するキャップ供給装置の概略を示す側面図である。
【
図4】本開示の実施の形態に係るキャップの受けタンクからの上方への搬送状態を示す側面図である。
【
図5】本開示の実施の形態に係るキャップ殺菌装置を示す。
【
図6】本開示の実施の形態に係るキャップ殺菌装置におけるキャップを保持する状態を示す。
【
図7】本開示の実施の形態に係るキャップ開口面への殺菌剤の吹き付け状態を示す、キャップ搬送方向に直交する側面図である。
【
図8】本開示の実施の形態に係るキャップ開口面への殺菌剤の吹き付け状態を示す、キャップ搬送方向に平行な側面図である。
【
図9】本開示の実施の形態に係るキャップ天面への殺菌剤の吹き付け状態を示す、キャップ搬送方向に直交する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すキャップ1は、
図2に示すキャップ供給装置6により、
図5に示すキャップ殺菌装置8に供給され、殺菌される。殺菌されたキャップ1はキャップ排出レール9によりキャップ殺菌装置8から無菌充填機の無菌雰囲気に排出される。排出されたキャップ1は、無菌充填機の密封部に備えられるキャッパーにより殺菌された内容物が充填されたボトルを密封する。
【0023】
本実施形態におけるキャップ1は、無菌充填機において殺菌されたボトルに無菌雰囲気で殺菌された内容物が充填されたボトルに、キャッパーにより巻締られ、ボトルを密封する。キャップ1は、例えば
図1に示すような形状である。キャップ1はポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなり、射出成形や圧縮成形により成形される。キャップ1の内側には成形と同時に雌ネジ、及びボトル口部の天面と嵌合するための凸部が形成される。
【0024】
図1に示すように、キャップ1は開口面1a、天面1b及び胴部1cから形成される。キャップ1の開口面1aの内部である凹部は、雌ネジだけではなく、インナーリング1d、アウターリング1e及びフラップ1fが形成され、複雑な形状となっている。インナーリング1dの突出部は、ボトル口部の内周面に接触する。アウターリング1eの突出部は、ボトル口部の外周面と接触する。インナーリング1dとアウターリング1eの間には、コンタクトリングが形成され、ボトル口部の天面と接触する。キャップ1に開口面1aの内側の凹部に形成されるインナーリング1d、アウターリング1e及びコンタクトリングにより、ボトルの口部を密封し、ボトルの無菌性を維持する。また、キャップ1をボトルに嵌合した後、開封するとき、キャップ1の胴部1cの下部に形成される剥離リングをボトルに残して切り離すため、ボトルのカブラを乗り越えて固定されるフラップ1fを備える。
【0025】
キャップ1の開口面1aの内部である凹部には、雌ネジだけではなく、様々な形状の部材が形成されている。ボトルの無菌性を維持するため、タンパーエビデンス性を付与するために必要な形状である。複雑な形状を有するキャップ1の開口面1a側の内部を殺菌するためには、殺菌するために十分な量の殺菌剤をキャップ1の開口面1a側に吹き付けなければならない。キャップ1を成形後、キャップ1をキャップ殺菌装置8に供給するまで、キャップ1は非無菌雰囲気で搬送される。この間にキャップ1は菌により汚染される可能性があり、菌はキャップ1の開口面1aの内部に付着することもある。このような菌を、ボトルの無菌性を維持できるレベルに殺菌しなければならない。
【0026】
キャップ1は成形後、成形工場でコンテナに入れられ、密閉されて、例えば飲料工場に輸送される。飲料工場に輸送されたキャップ1は、飲料工場に設置されている無菌充填機に供給される。供給されたキャップ1は殺菌され、殺菌されたキャップ1は無菌充填機の密封部に搬送され、キャッパーを装備した密封ホイールに受け渡され、キャッパーにより、内容物が充填されたボトルの口部に巻き締められる。ボトルの口部には、キャップ1の開口面1aの内部に形成された雌ネジと嵌合する雄ネジが形成されている。本開示は、無菌充填機を構成する密封部に供給されるキャップ1を殺菌するキャップ殺菌装置8に備えられるキャップ殺菌ノズル及びキャップ殺菌方法に係る技術である。
【0027】
成形工場で成形されたキャップ1はポリエチレン製の袋に投入され、ポリエチレン製の袋は金属、ダンボール又はプラスチック製のコンテナに入れられ、密封される。キャップ1は成形工場から飲料工場に輸送される際に、ゴミ、埃等により汚染されないように留意される。飲料工場に輸送されたコンテナは、開封されて
図2に示す受けタンク2の上方で傾斜されることで、コンテナ内のキャップ1は、受けタンク2内に投入される。受けタンク2は上方に開放されることで、コンテナからキャップ1が投入される。
【0028】
キャップ1が投入された後、受けタンク2は密閉される。受けタンク2に投入されたキャップ1は、無秩序に貯留される。受けタンク2は、下方に向かって貯留有効面積が小さくなるように形成されたホッパー形状となっている。受けタンク2の上部は
図2では方形となっているが、円形でも構わない。受けタンク2は、ステンレスのような耐久性があり腐食しない材質で構成される。
【0029】
キャップ1は、受けタンク2の下部からコンベヤ3により搬送される。キャップ1が搬送される際に受けタンク2内の清浄性を維持するために、エアを除菌フィルタに通して無菌化した無菌エアを受けタンク2内に供給しても構わない。
【0030】
コンベヤ3によりキャップ1が搬送されることにより、受けタンク2内のキャップ1が減少し、一定の水準となったところで、受けタンク2が開放され、コンテナからキャップ1が受けタンク2に投入される。受けタンク2にはキャップ水準センサが設けられ、センサにキャップ1が接触しなくなることで、キャップ1の減少を検知しアラームを発する。
【0031】
受けタンク2の下部に貯留されたキャップ1は、
図3に示すようにコンベヤ3により搬送される。コンベヤ3には桟4がコンベヤ3の搬送方向に対して直交するように、一定間隔で設けられ、この桟4に掛かったキャップ1がコンベヤ3により搬送される。また、
図4に示すように、受けタンク2の搬送方向の壁面には桟4に摺接しない程度の長さの暖簾板10が設けられ、桟4より上部に存在するキャップ1を排除する。暖簾板10の排除効果により、複数のキャップ1が重ならないように、キャップ1がコンベヤ3により搬送される。暖簾板10は、キャップ1を傷つけないような柔軟性を有し、劣化しない素材からなることが適当である。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、パーフロロエラストマー、フロロシリコーンゴム等が適当である。
【0032】
受けタンク2の下部開口部の幅は、コンベヤ3及び桟4の幅よりも狭く設定される。コンベヤ3や桟4からキャップ1が抜け落ちるのを防止するためである。桟4の高さはキャップ1の高さの0.8~1.5倍が好ましい。キャップ1が桟4により堰き止められてコンベヤ3に載置できる高さであり、0.8未満では暖簾板10により除去されるおそれがあり、1.5倍を超えるとキャップ1が2個重なって桟4に掛かるおそれがある。コンベヤ3は柔軟性が必要であり、素材として暖簾板10と同様のものが好ましい。また。桟4はキャップ1を傷付けないようにプラスチックが好ましい。
【0033】
図4に示すように、コンベヤ3は上方にキャップ1を搬送する。キャップ1の天面1bがコンベヤ3と接するのが正規の姿勢である。キャップ1の開口面1aがコンベヤ3と接する姿勢は、裏キャップと称して非正規の姿勢である。コンベヤ3は、
図4に示すように、直立する状態からわずかに、コンベヤ3面が上を向くように傾けられた状態で配置される。コンベヤ3の下端は受けタンク2の下部に配置される。桟4の間隔はキャップ1の外径よりも僅かに広い。コンベヤ3が駆動されると、受けタンク2に貯留されるキャップ1は、桟4により掻き上げられる。このとき正規の姿勢のキャップ1と非正規の姿勢のキャップ1が存在する。しかし、非正規の姿勢のキャップ1は重心が桟4よりも外側となり、桟4からコンベヤ3の下端に落下する。落下したキャップ1は正規の姿勢となるまで、桟4により掻き上げられる。
【0034】
キャップ1は、正規の姿勢で桟4に沿って不定間隔で並んでいる。コンベヤ3により上昇したキャップ1はノズル7から吹き付けられる無菌エアにより、水平方向に移動し、整列装置5により、整列されてキャップ殺菌装置8に導入される。ノズル7は桟4により搬送されるキャップ1を整列装置5へと高圧無菌エアで送り出すための装置であり、整列装置5に対応する一対の桟4の間に高圧無菌エアを吹き付けるように桟4に平行に配置される。高圧無菌エアはブロワによるエアを除菌フィルタに通したエアでも、コンプレッサーによる高圧エアを除菌フィルタに通したものでも構わない。
【0035】
キャップ殺菌装置8にキャップ1を供給するキャップ供給レール11は下向きに傾斜しており、キャップ1の自重により、キャップ1の側面を回転させながらキャップ1を搬送する。キャップ1がキャップ殺菌装置8に導入されるとき、キャップ1がキャップ供給レール11により保持される体勢は、キャップ1の開口面1aが側方向となっている。キャップ1は複数のレールにより保持される。キャップ1の開口面1aを2本、天面1bを2本、胴部1cを上及び下各2本のレールでキャップ1を保持している。胴部1cを保持するレールは各1本でも構わない。レールの断面は円形であるが、多角形又は楕円形でも構わない。
【0036】
受けタンク2、桟4を有するコンベヤ3、整列装置5及びキャップ供給レール11を備えるキャップ供給装置6により、キャップ1はキャップ殺菌装置8に供給される。
【0037】
キャップ供給装置6からキャップ殺菌装置8に搬送されるキャップ1は、エアを吹き付けることにより異物を除去することが好ましい。また、検査装置により、キャップ1の変形、傷、異物等の有無を確認し、限度を超える異常が発見されたとき、キャップ1を排除するキャップ排除装置が設けられる。
【0038】
図5にキャップ殺菌装置8を示す。キャップ殺菌装置8は、キャップ供給部12,キャップ殺菌部13及びキャップエアリンス部14から構成されている。
【0039】
キャップ供給部12には、キャップ供給ホイール15が備えられ、キャップ供給レール11により整列して供給されるキャップ1は、自重により、キャップ供給ホイール15の周縁部に設けられる凹部に収納される。キャップ供給ホイール15は水平方向の軸により、鉛直方向に回転する。キャップ供給ホイール15の凹部に収納されたキャップ1は、キャップ供給ホイール15の回転により搬送される。キャップ1はキャップ供給レール11により横方向にキャップ殺菌装置8に供給され、供給されるキャップ1は、開口面1a及び天面1bをキャップ供給ホイール15の面に対して、平行に搬送される。
【0040】
キャップ1は、キャップ供給ホイール15では、
図6に示すように保持される。キャップ1の胴部1cの一方はキャップ供給ホイール15の凹部に収納され、胴部1cの反対方向の側面はキャップ支持レール19、及びキャップ1の側方向となっている開口面1aは2本及び天面1bは2本のキャップ支持レール19により支持される。キャップ1は、キャップ供給ホイール15の回転にしたがって搬送される。他のキャップ1を搬送するホイールにおいても、殺菌剤又はリンスエアを吹き付ける箇所以外では同様に、キャップ1は支持レール19により支持されて搬送される。
【0041】
キャップ供給部12は、
図5に示すように、キャップ供給レール11によりキャップ1が供給される箇所以外を遮蔽される。また、キャップ供給部12は、キャップ殺菌部13にキャップ1を受け渡す箇所以外を遮蔽される。キャップ供給部12には、キャップ供給部無菌エア供給装置20が備えられ、無菌エアが供給される。供給される無菌エアは無菌化されないエアでも構わないが、キャップ1の汚染を防止するためには、無菌エアを供給することが好ましい。キャップ供給部12に無菌エアを供給し、キャップ殺菌部13よりも内圧を高くすることで、キャップ殺菌部13からの殺菌剤の流入を防止することができる。
【0042】
キャップ供給部12に供給される無菌エアは、加熱されても構わない。無菌エアは、40℃以上、120℃以下に加熱される。加熱された無菌エアによりキャップ1が加熱され、キャップ殺菌部13において、殺菌剤のガスが吹き付けられるとき、殺菌剤のガスがキャップ1の表面で直ちに凝縮せずに、殺菌剤は小滴となってキャップ1の表面に付着することで殺菌効果を上げることができる。
【0043】
キャップ1は、キャップ供給ホイール15からキャップ殺菌部13に備えられるキャップ殺菌ホイール16に受け渡される。キャップ1は、キャップ殺菌ホイール16により搬送されながら、固定された殺菌剤吹き付けノズルにより、キャップ1の開口面1a及び天面1bへの殺菌剤の吹き付けによりキャップ1は殺菌される。
【0044】
キャップ1の天面1bには、キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21により、殺菌剤が吹き付けられる。
図9に示すように、キャップ1の天面1bには、キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21から伸びるキャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22により殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がキャップ1の天面1bに吹き付けられる。吹き付けられた殺菌剤はキャップ1の天面1b及び胴部1cの外面に付着し、キャップ1の外面である、天面1b及び胴部1cの外面を殺菌する。キャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22は複数設けても構わない。
【0045】
天面1bに殺菌剤を吹き付けるとき、天面1b側の支持レール19は、
図9に示すように設けなくても構わない。キャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22から殺菌剤が吹き付けられる箇所の支持レール19を設けないことで、殺菌剤が天面1bの全面に吹き付けられる。殺菌剤を吹き付ける圧力により、キャップ1は開口面1a側に設けられる支持レール19に押し付けられることで、キャップ殺菌ホイール16から脱落することはない。
【0046】
キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21とは、殺菌剤をガス化してキャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22に殺菌剤のガスを供給する装置である。キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21には、殺菌剤のガスを生成する殺菌剤ガス生成器が設けられる。殺菌剤ガス生成器は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部と、この殺菌剤供給部から供給された殺菌剤を、分解温度以下に加熱して気化させる気化部とを備える。殺菌剤供給部は、殺菌剤供給路及び圧縮空気供給路から、それぞれ殺菌剤と圧縮空気を導入して、殺菌剤を気化部内に噴霧するようになっている。気化部は、内外壁間にヒータを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱し気化させる。気化した殺菌剤のガスは、キャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22からキャップ1の天面1bに吹き付けられる。
【0047】
殺菌剤供給部の運転条件としては、例えば圧縮空気の圧力は0.05MPa~0.6MPaの範囲で調整される。このとき、圧縮空気の供給量は50L/分~300L/分が適当である。また、殺菌剤は重力落下であっても圧力を加えられても構わないし、殺菌剤の供給量は自由に設定することができ、例えば、殺菌剤は殺菌剤供給路に、1g/分~100g/分の範囲で供給される。また、気化部の内表面は120℃から450℃に加熱されることで噴霧された殺菌剤が気化する。
【0048】
殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含んでいる。その含有量は0.5質量%~65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%~40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易であり、低濃度となるために殺菌後の包装材料への過酸化水素の残留量を低減できる。
【0049】
また、殺菌剤は過酸化水素の分解を防止するために安定剤を含んでいる。殺菌剤の安定剤は、食品向けの包装材料を殺菌するために、食品用の指定添加物として使用されているピロリン酸ナトリウムやオルトリン酸を使用することが好ましい。ピロリン酸水素ナトリウム等のリン含有無機化合物、アミノトリメチルホスホン酸、アルキリデンジホスホン酸塩等のホスホン酸キレート剤等を使用しても構わない。安定剤の含有量は通常40ppm以下である。
【0050】
また、殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル等の1種又は2種以上を含んでもかまわない。
【0051】
さらに、殺菌剤は過酢酸、酢酸、塩素化合物、オゾン等殺菌効果を有する化合物、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤等の添加剤を含んでも構わない。
【0052】
ガス化された殺菌剤は、吹き付けらえる前に一部は凝縮してミストとなる。したがって、吹き付けられるとき、殺菌剤はガス若しくはミスト又はこれらの混合物となる。殺菌剤がミストとなることを防止するために、キャップ天面殺菌剤供給装置21からキャップ殺菌剤吹き付けノズル22までを加熱することが好ましい。例えば、ノズル及び配管を外部からヒータにより加熱する。または、ノズル及び配管にホットエアを吹き付けて加熱しても構わない。
【0053】
図9では、キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21から下方に延ばされたキャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22が、天面1bに向けられるために直角方向に曲げられているが、キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21を水平面に設け、キャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22を曲げずにキャップ1の天面1bに殺菌剤を吹き付けても構わない。
【0054】
キャップ1の天面1bに殺菌剤を吹き付けた後、キャップ1の開口面1aに殺菌剤を吹き付ける。キャップ1の開口面1aには、キャップ開口面殺菌剤吹き付け装置23により、殺菌剤が吹き付けられる。
図7に示すように、キャップ1の開口面1aには、キャップ開口面殺菌剤吹き付け装置23から伸びるキャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24により殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が、キャップ1の開口面1aに吹き付けられる。キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24は複数設けても構わない。
【0055】
図7に示すように、キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24は、キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24の殺菌剤が噴出する吹き付け孔25の先端面から延び、吹き付け孔25を囲繞する水平面26が設けられる。水平面26は、キャップ殺菌ホイール16により回転しながら搬送されるキャップ1の開口面1aに平行に設けられる。水平面26は、吹き付け孔25から開口面1aに殺菌剤が吹き付けられる間、キャップ1の開口面1aを遮蔽する。すなわち、吹き付け孔25から、キャップ1の開口面1aに殺菌剤の吹き付けが開始されるときから終了するまで、水平面26がキャップ1の開口面1aを遮蔽する。
【0056】
固定されたキャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24から、殺菌剤がキャップ1の開口面1aに吹き付けられる。このとき、水平面26を設けないとすると、吹き付けられる殺菌剤は、キャップ1の開口面1aの底面に到達した後、反転し、吹き付けられる殺菌剤のほとんどがキャップ1の開口面から溢れ出る。結果として、吹き付けられる殺菌剤の多くが排出され、開口面1aの内部に付着する殺菌剤の量は僅かとなる。無菌充填されるボトルを密封するキャップ1の開口面1aの内部は複雑な形状であり、細部まで十分に殺菌するためには、開口面1aの内部に十分な量の殺菌剤を付着させなければならない。
【0057】
殺菌剤の吹き付けを開始するときから終了するまで、水平面26によりキャップ1の開口面1aを遮蔽することで、吹き付けた殺菌剤が開口面1aの内部から容易に排出されない。その結果、開口面1aの内部に付着する殺菌剤の量を増やすことができ、複雑な形状を有するキャップ1の開口面1aの内部の殺菌効果を向上させることができる。
【0058】
図7に示すように、水平面26と開口面1aは平行であり、間隔dは0.5mm以上、5mm以下が好ましい。0.5mm未満では、水平面26と開口面1aが接触するおそれがある。5mmを超えると、キャップ1の開口面1aから内部に吹き込まれた殺菌剤がキャップ1の底部に到達した後、反転し、開口面1aから溢れ出る量が多くなる。
【0059】
固定されたキャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24の吹き付け孔25から、鉛直方向に回転しながら搬送されるキャップ1の開口面1aに、殺菌剤の吹き付けを開始するときから終了するまで、水平面26がキャップ1の開口面1aを遮蔽する。したがって、
図8に示すように、キャップ1が移動する円弧状の方向に対する水平面26の直交方向の長さaを、キャップ1の開口面1aの内径以上とし、キャップ1が移動する円弧状の方向の吹き付け孔25を挟む両側の水平面26の円弧状の長さbを、それぞれキャップ1の内径以上とする。すなわち、吹き付け孔25からキャップ1の開口面1aの内部に殺菌剤が吹き込まれる瞬間から、殺菌剤の吹込みが終了する瞬間まで、水平面26がキャップ1の開口面1aを遮蔽する。
【0060】
図8では、水平面26の形状を円弧状としているが、殺菌剤の吹き付けを開始するときから終了するまで、水平面26がキャップ1の開口面1aを遮蔽することができれば、水平面26の形状は長方形であっても構わないし、形状は問わない。また、大きさもどのようなものでも構わない。
【0061】
キャップ開口面殺菌剤吹き付け装置23は、キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21と同様である。また、使用する殺菌剤も同様である。殺菌剤ガス生成器を1台として、キャップ天面殺菌剤吹き付け装置21及びキャップ開口面殺菌剤吹き付け装置23に同時に生成された殺菌剤のガスを供給しても構わない。
【0062】
図7では、キャップ開口面殺菌剤吹き付け装置23から下方に延ばされたキャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24が、開口面1aに向けられるために直角方向に曲げられているが、キャップ開口面殺菌剤吹き付け装置23を水平面に設け、キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24を曲げずにキャップ1の開口面1aに殺菌剤を吹き付けても構わない。また、キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24は複数以上設けても構わない。
【0063】
ガス化された殺菌剤は、吹き付けられる前に一部は凝縮してミストとなる。したがって、吹き付けられるとき、殺菌剤はガス若しくはミスト又はこれらの混合物となる。殺菌剤がミストとなることを防止するために、キャップ開口面殺菌剤供給装置23からキャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24及び水平面26を加熱することが好ましい。例えば、配管、ノズル及び水平面26を外部からヒータにより加熱する。または、配管、ノズル及び水平面26の開口面1aに対向しない面にホットエアを吹き付けて加熱しても構わない。
【0064】
開口面1aに殺菌剤を吹き付けるとき、開口面1a側の支持レール19は、
図7に示すように設けなくても構わない。キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24から殺菌剤が吹き付けられる箇所の支持レール19を設けないことで、水平面26が開口面1aを遮蔽することができる。殺菌剤を吹き付ける圧力により、キャップ1は天面1b側に設けられる支持レール19に押し付けられることで、キャップ殺菌ホイール16から脱落することはない。
【0065】
キャップ1の天面1bに殺菌剤を吹き付けた後、キャップ1の開口面1aに殺菌剤を吹き付ける。この順序は逆であっても構わない。キャップ1の開口面1aは、ボトル内面と接触するため、確実に殺菌しなければならない。したがって、キャップ1の天面1b及び胴部1cを殺菌した後、キャップ1の開口面1aに殺菌剤を吹き付けることが好ましい。逆とすると、天面1bに殺菌剤を吹き付けるとき、キャップ1の外面に付着していた菌がキャップ1の開口面1aの内部に侵入するおそれがあるためである。よって、交互に繰り返しても構わない。例えば、天面1b、開口面1a、天面1b、又は開口面1a、天面1b、開口面1aの順である。天面1b及び開口面1aに同時に吹き付けて構わない。さらにこれを繰り返しても構わない。
【0066】
図5では、キャップ殺菌部13には、キャップ殺菌ホイール16が設けられているが、複数のホイールを設け、キャップ1の天面1bに殺菌剤を吹き付けるキャップ天面殺菌剤吹き付けノズル22又は開口面1aに殺菌剤を吹き付けるキャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル24を異なるホイールに設けても構わない。また、殺菌剤吹き付けノズルを設けないホイールを設けても構わない。
【0067】
キャップ殺菌部13にはキャップ殺菌部排気装置27が設けられ、キャップ殺菌部13を排気する。キャップ殺菌部13には殺菌剤が吹き付けられる。吹き付けられる殺菌剤がキャップ供給部12及びキャップエアリンス部14に流入しないように、殺菌剤が吹き付けられるとき、キャップ殺菌部13のエアを排気することが好ましい。排気されるエアは殺菌剤を含むため、排気中の殺菌剤を除去した後に大気中に放出する。キャップ殺菌部13に隣接するキャップ供給部12及びキャップエアリンス部14には無菌エアを供給し、キャップ供給部12及びキャップエアリンス部14を陽圧にし、殺菌剤が流入しないようにする。
【0068】
図5に示すように、キャップ殺菌部13において殺菌剤が吹き付けられたキャップ1は、キャップエアリンス部14に搬送される。キャップエアリンス部14では、キャップ殺菌部13で殺菌剤が吹き付けられたキャップ1をエアリンスする。キャップ1は、キャップエアリンス部14でキャップ搬送ホイール17及びキャップエアリンスホイール18により搬送される。この間、キャップ1の開口面1a及び天面1bに無菌ホットエアが吹き付けられる。
【0069】
キャップエアリンス部14には、キャップ無菌ホットエア供給装置28が設けられ、キャップの開口面1a及び天面1bに無菌ホットエアが吹き付けられる。殺菌剤が吹き付けられたキャップ1に付着する殺菌剤を活性化し、さらに殺菌効果を上げることができる。また、付着する殺菌剤をキャップ1から除去する。さらに、キャップ1に付着する異物を除去する。
【0070】
キャップ無菌ホットエア供給装置28は、無菌フィルタにより無菌化されたエアを加熱して供給する。キャップ無菌ホットエア供給装置28により供給されるホットエアは、キャップエアリンスホイール18により搬送されるキャップ1に吹き付けられる。無菌ホットエアは、キャップ天面無菌ホットエア吹き付けノズル29及びキャップ開口面無菌ホットエア吹き付けノズル30に供給され、キャップ1の天面1b及び開口面1aに吹き付けられる。
【0071】
供給される無菌ホットエアの温度は、例えば80℃以上、140℃以下、好ましくは90℃以上、120℃以下である。無菌ホットエアの風量は、例えば5m3/分以上、20m3/分以下である。また、無菌ホットエアの吹き付け時間は、0.3秒以上、20秒以下、好ましくは0.5秒以上、14秒以下である。無菌ホットエアが吹き付けられることにより、キャップ1の温度が40℃以上、好ましくは50℃以上に高められる。
【0072】
キャップエアリンス部14にはキャップエアリンス部無菌エア供給装置31により無菌エアが供給される。無菌エアが供給されることで、キャップエアリンス部は陽圧に保持される。例えば、10Pa以上、200Pa以下、好ましくは、30Pa以上、100Pa以下に保持される。無菌エアは、40℃以上、100℃以下に加熱されても構わない。加熱することにより、殺菌剤の殺菌効果及び殺菌剤除去効果が高まる。また、無菌エアには、過酸化水素等、殺菌剤の成分が微量に含まれていても構わない。
【0073】
図5には、キャップエアリンス部14に、キャップ搬送ホイール17及びキャップエアリンスホイール18の2つのホイールを示すが、さらにホイールを増やしても構わない。無菌ホットエアをキャップ1に吹き付けるノズルを増やしても構わない。
【0074】
キャップ殺菌装置8により殺菌されたキャップ1は、排出レール9により無菌状態を維持して、無菌充填機の密封部に搬送され、内容物が充填されたボトルにキャッパーにより巻締られ、ボトルを密封する。
【0075】
本開示は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨内において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…キャップ
1a…開口面
1b…天面
1c…胴部
6…キャップ供給装置
8…キャップ殺菌装置
11…キャップ供給レール
12…キャップ供給部
13…キャップ殺菌部
14…キャップエアリンス部
16…キャップ殺菌ホイール
21…キャップ天面殺菌剤吹き付け装置
22…キャップ天面殺菌剤吹き付けノズル
23…キャップ開口面殺菌剤吹き付け装置
24…キャップ開口面殺菌剤吹き付けノズル
25…吹き付け孔
26…水平面