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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160447
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20241107BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20241107BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20241107BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20241107BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20241107BHJP
   B24B 55/10 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
B25F5/00 G
B25F5/02
B24B23/02
B24B49/10
B24B49/16
B24B55/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075437
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新家 克幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴也
(72)【発明者】
【氏名】梅村 健悟
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C034AA15
3C034BB22
3C034DD20
3C047FF05
3C047JJ15
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC03
3C064BA03
3C064BA11
3C064BA18
3C064BA33
3C064BB01
3C064BB07
3C064BB42
3C064BB79
3C064BB82
3C064CA04
3C064CA08
3C064CB06
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB64
3C064CB74
3C064CB77
3C064CB82
3C064CB91
3C158AA04
3C158BC05
3C158CB05
(57)【要約】
【課題】整流子及びカーボンブラシの寿命の低下を抑制すること。
【解決手段】電動工具は、ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ロータの周囲に配置されるステータと、整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心にロータが1方向のみに回転するモータと、モータの周囲に配置される筒部と、筒部に接続される底部と、底部に設けられた風窓と、を有し、ステータを支持するハウジングと、底部から突出するリブ部と、を備える。0°位置からロータの反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第1区分における風窓の開口率をP1、0°位置からロータの正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第2区分における前記風窓の開口率をP2とした場合、P1<P2、の条件を満足する。リブ部の一方側の端部がカーボンブラシよりも前記一方側に配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、前記ロータの周囲に配置されるステータと、前記整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心に前記ロータが1方向のみに回転するモータと、
前記モータの周囲に配置される筒部と、前記筒部に接続される底部と、前記底部に設けられた風窓と、を有し、前記ステータを支持するハウジングと、
前記底部から突出するリブ部と、を備え、
前記ファンは、前記所定方向において前記ロータシャフトの中心よりも一方側の前記ロータシャフトの第1部分に固定され、
前記整流子は、前記所定方向において前記ロータシャフトの中心よりも他方側の前記ロータシャフトの第2部分に固定され、
前記底部は、前記整流子よりも前記他方側に配置され、
前記リブ部は、前記底部から前記一方側に突出し、
前記モータ回転軸に直交する所定面において、前記整流子の外径の1倍の直径を有し、前記モータ回転軸を中心とする第1基準円と、
前記所定面において、前記整流子の外径の1.5倍の直径を有し、前記モータ回転軸を中心とする第2基準円と、
前記第1基準円と前記第2基準円との間の環状範囲と、が規定され、
前記所定面において、前記モータ回転軸及び前記カーボンブラシの中心を通る基準線と前記第2基準円とが交わる位置を0°位置とし、
0°位置から前記ロータの反回転方向に向かって90°位置までの前記環状範囲の第1区分における前記風窓の開口率をP1、
0°位置から前記ロータの正回転方向に向かって90°位置までの前記環状範囲の第2区分における前記風窓の開口率をP2とした場合、
P1<P2、
の条件を満足し、
前記リブ部の前記一方側の端部が前記カーボンブラシよりも前記一方側に配置される、
電動工具。
【請求項2】
前記リブ部は、前記整流子の周囲の少なくとも一部に配置される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記リブ部の前記他方側の端部は、前記底部の前記一方側の面に接続される、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記リブ部は、前記底部と一体である、
請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記リブ部は、前記底部と別体である、
請求項3に記載の電動工具。
【請求項6】
前記ステータは、ステータコアと、前記ステータコアに固定されるインシュレータと、前記インシュレータに支持されるコイルと、を有し、
前記リブ部の前記一方側の端部は、前記インシュレータに対向する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項7】
前記リブ部の前記一方側の端部は、前記コイルの周囲の少なくとも一部に配置される、
請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記ロータシャフトの前記他方側の端部を支持する軸受を備え、
前記底部は、前記軸受を保持する軸受保持部を有する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項9】
前記カーボンブラシを保持するブラシホルダを備え、
前記リブ部は、前記ブラシホルダが配置される凹部を有する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項10】
ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ステータコア、前記ステータコアに固定されるインシュレータ、及び前記インシュレータに支持されるコイルを含み、前記ロータの周囲に配置されるステータと、前記整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心に前記ロータが回転するモータと、
前記モータの周囲に配置される筒部と、前記筒部に接続される底部と、前記底部に設けられた風窓と、を有し、前記ステータを支持するハウジングと、
前記インシュレータから突出するリブ部と、を備え、
前記ファンは、前記所定方向において前記ロータシャフトの中心よりも一方側の前記ロータシャフトの第1部分に固定され、
前記整流子は、前記所定方向において前記ロータシャフトの中心よりも他方側の前記ロータシャフトの第2部分に固定され、
前記底部は、前記整流子よりも前記他方側に配置され、
前記リブ部は、前記インシュレータから前記他方側に突出し、
前記リブ部の前記他方側の端部が前記カーボンブラシの前記一方側の端部よりも前記他方側に配置される、
電動工具。
【請求項11】
前記リブ部の前記他方側の端部は、前記整流子の周囲の少なくとも一部に配置される、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記リブ部の前記一方側の端部は、前記インシュレータに接続される、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項13】
前記リブ部は、前記インシュレータと一体である、
請求項12に記載の電動工具。
【請求項14】
前記リブ部の前記他方側の端部は、前記底部の前記一方側の面に対向する、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項15】
前記ロータシャフトの前記他方側の端部を支持する軸受を備え、
前記底部は、前記軸受を保持する軸受保持部を有する、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項16】
前記ステータコアと前記インシュレータとを固定するねじを備える、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項17】
ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ステータコア、前記ステータコアに固定されるインシュレータ、及び前記インシュレータに支持されるコイルを含み、前記ロータの周囲に配置されるステータと、前記整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心に前記ロータが回転するモータと、
前記モータの周囲に配置される筒部と、前記筒部に接続される底部と、前記底部に設けられた風窓と、を有し、前記ステータを支持するハウジングと、
前記筒部に支持され、前記カーボンブラシを保持するブラシホルダと、
前記所定方向において前記インシュレータと前記ブラシホルダとの間に配置されるインナバッフルと、を備え、
前記ファンは、前記所定方向において前記ロータシャフトの中心よりも一方側の前記ロータシャフトの第1部分に固定され、
前記整流子は、前記所定方向において前記ロータシャフトの中心よりも他方側の前記ロータシャフトの第2部分に固定され、
前記底部は、前記整流子よりも前記他方側に配置され、
前記モータ回転軸に直交する所定面において、前記整流子の外径の1倍の直径を有し、前記モータ回転軸を中心とする第1基準円と、
前記所定面において、前記整流子の外径の1.5倍の直径を有し、前記モータ回転軸を中心とする第2基準円と、
前記第1基準円と前記第2基準円との間の環状範囲と、が規定され、
前記所定面において、前記モータ回転軸及び前記カーボンブラシの中心を通る基準線と前記第2基準円とが交わる位置を0°位置とし、
0°位置から前記ロータの反回転方向に向かって90°位置までの前記環状範囲の第1区分における前記インナバッフルの面積をS1、
0°位置から前記ロータの正回転方向に向かって90°位置までの前記環状範囲の第2区分における前記インナバッフルの面積をS2とした場合、
S1>S2、
の条件を満足し、
前記モータ回転軸の径方向において、前記インナバッフルの内端部は、前記インシュレータの内端部よりも内側に配置される、
電動工具。
【請求項18】
前記インナバッフルは、前記ハウジングと別体である、
請求項17に記載の電動工具。
【請求項19】
前記ステータコアと前記インシュレータとを固定するねじを備え、
前記インナバッフルは、前記ねじにより前記インシュレータに固定される、
請求項18に記載の電動工具。
【請求項20】
前記インナバッフルは、前記ハウジングと一体である、
請求項17に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなグラインダが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-112974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グラインダは、研磨対象を研磨する。グラインダで研磨対象を研磨すると大量の粉塵が生成される。粉塵が冷却風に乗ってモータの整流子とカーボンブラシとの間に移送される可能性がある。粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入すると、整流子及びカーボンブラシの寿命が低下する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、整流子及びカーボンブラシの寿命の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動工具を開示する。電動工具は、ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ロータの周囲に配置されるステータと、整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心にロータが1方向のみに回転するモータと、モータの周囲に配置される筒部と、筒部に接続される底部と、底部に設けられた風窓と、を有し、ステータを支持するハウジングと、底部から突出するリブ部と、を備えてもよい。ファンは、所定方向においてロータシャフトの中心よりも一方側のロータシャフトの第1部分に固定されてもよい。整流子は、所定方向においてロータシャフトの中心よりも他方側のロータシャフトの第2部分に固定されてもよい。底部は、整流子よりも他方側に配置されてもよい。リブ部は、底部から一方側に突出してもよい。モータ回転軸に直交する所定面において、整流子の外径の1倍の直径を有し、モータ回転軸を中心とする第1基準円と、所定面において、整流子の外径の1.5倍の直径を有し、モータ回転軸を中心とする第2基準円と、第1基準円と第2基準円との間の環状範囲と、が規定されてもよい。所定面において、モータ回転軸及びカーボンブラシの中心を通る基準線と第2基準円とが交わる位置を0°位置とし、0°位置からロータの反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第1区分における前記風窓の開口率をP1、0°位置からロータの正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第2区分における風窓の開口率をP2とした場合、P1<P2、の条件を満足してもよい。リブ部の一方側の端部がカーボンブラシよりも一方側に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、整流子及びカーボンブラシの寿命の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るグラインダを示す前方側からの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るグラインダを示す後方側からの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係るグラインダを示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るグラインダを示す後方側からの分解斜視図である。
図5図5は、第1実施形態に係るグラインダの一部を示す後方側からの分解斜視図である。
図6図6は、第1実施形態に係るモータハウジングを後方側から見た図である。
図7図7は、第1実施形態に係るモータハウジングを後方側から見た図である。
図8図8は、第1実施形態に係るグラインダの一部を示す断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係るモータハウジングを前方側から見た図である。
図10図10は、第1実施形態に係るグラインダの一部を示す斜視断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係るグラインダの一部を示す断面図である。
図12図12は、第1実施形態に係るモータハウジングを後方側から見た模式図である。
図13図13は、第2実施形態に係るグラインダの一部を示す斜視断面図である。
図14図14は、第2実施形態に係るリブ部材を示す斜視図である。
図15図15は、第3実施形態に係るグラインダの一部を示す斜視断面図である。
図16図16は、第3実施形態に係るインシュレータを示す斜視図である。
図17図17は、第4実施形態に係るグラインダの一部を示す斜視断面図である。
図18図18は、第4実施形態に係るインナバッフルを示す斜視図である。
図19図19は、第5実施形態に係るグラインダの一部を示す斜視断面図である。
図20図20は、第5実施形態に係るインシュレータを示す斜視図である。
図21図21は、第6実施形態に係るグラインダの一部を示す斜視断面図である。
図22図22は、第6実施形態に係るインナバッフルを示す斜視図である。
図23図23は、第6実施形態に係るグラインダの一部を示す断面図である。
図24図24は、第7実施形態に係るカッタを示す斜視図である。
図25図25は、第7実施形態に係るカッタを示す斜視図である。
図26図26は、第7実施形態に係るモータハウジング4を示す斜視図である。
図27図27は、第7実施形態に係るカッタの一部を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ロータの周囲に配置されるステータと、整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心にロータが1方向のみに回転するモータと、モータの周囲に配置される筒部と、筒部に接続される底部と、底部に設けられた風窓と、を有し、ステータを支持するハウジングと、底部から突出するリブ部と、を備えてもよい。ファンは、所定方向においてロータシャフトの中心よりも一方側のロータシャフトの第1部分に固定されてもよい。整流子は、所定方向においてロータシャフトの中心よりも他方側のロータシャフトの第2部分に固定されてもよい。底部は、整流子よりも他方側に配置されてもよい。リブ部は、底部から一方側に突出してもよい。モータ回転軸に直交する所定面において、整流子の外径の1倍の直径を有し、モータ回転軸を中心とする第1基準円と、所定面において、整流子の外径の1.5倍の直径を有し、モータ回転軸を中心とする第2基準円と、第1基準円と第2基準円との間の環状範囲と、が規定されてもよい。所定面において、モータ回転軸及びカーボンブラシの中心を通る基準線と第2基準円とが交わる位置を0°位置とし、0°位置からロータの反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第1区分における風窓の開口率をP1、0°位置からロータの正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第2区分における風窓の開口率をP2とした場合、P1<P2、の条件を満足してもよい。リブ部の一方側の端部がカーボンブラシよりも一方側に配置されてもよい。
【0010】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。そのため、整流子及びカーボンブラシの寿命の低下が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部は、整流子の周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0012】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部の他方側の端部は、底部の一方側の面に接続されてもよい。
【0014】
上記の構成では、リブ部の位置が安定する。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部は、底部と一体でもよい。
【0016】
上記の構成では、電動工具の部品点数が削減される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部は、底部と別体でもよい。
【0018】
上記の構成では、リブ部を任意の形状に加工し易い。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ステータは、ステータコアと、ステータコアに固定されるインシュレータと、インシュレータに支持されるコイルと、を有してもよい。リブ部の一方側の端部は、インシュレータに対向してもよい。
【0020】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部の一方側の端部は、コイルの周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0022】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ロータシャフトの他方側の端部を支持する軸受を備えてもよい。底部は、軸受を保持する軸受保持部を有してもよい。
【0024】
上記の構成では、ロータシャフトは、軸受を介して底部に支持される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、カーボンブラシを保持するブラシホルダを備えてもよい。リブ部は、ブラシホルダが配置される凹部を有してもよい。
【0026】
上記の構成では、ブラシホルダとリブ部との干渉が抑制される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ステータコア、ステータコアに固定されるインシュレータ、及びインシュレータに支持されるコイルを含み、ロータの周囲に配置されるステータと、整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心にロータが回転するモータと、モータの周囲に配置される筒部と、筒部に接続される底部と、底部に設けられた風窓と、を有し、ステータを支持するハウジングと、インシュレータから突出するリブ部と、を備えてもよい。ファンは、所定方向においてロータシャフトの中心よりも一方側のロータシャフトの第1部分に固定されてもよい。整流子は、所定方向においてロータシャフトの中心よりも他方側のロータシャフトの第2部分に固定されてもよい。底部は、整流子よりも他方側に配置されてもよい。リブ部は、インシュレータから他方側に突出してもよい。リブ部の他方側の端部がカーボンブラシの一方側の端部よりも他方側に配置されてもよい。
【0028】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。そのため、整流子及びカーボンブラシの寿命の低下が抑制される。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部の他方側の端部は、整流子の周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0030】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部の一方側の端部は、インシュレータに接続されてもよい。
【0032】
上記の構成では、リブ部の位置が安定する。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部は、インシュレータと一体でもよい。
【0034】
上記の構成では、電動工具の部品点数が削減される。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リブ部の他方側の端部は、底部の一方側の面に対向してもよい。
【0036】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ロータシャフトの他方側の端部を支持する軸受を備えてもよい。底部は、軸受を保持する軸受保持部を有してもよい。
【0038】
上記の構成では、ロータシャフトは、軸受を介して底部に支持される。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ステータコアとインシュレータとを固定するねじを備えてもよい。
【0040】
上記の構成では、ステータコアとインシュレータとがねじにより固定される。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ファン及び整流子が固定されたロータシャフトを含むロータと、ステータコア、ステータコアに固定されるインシュレータ、及びインシュレータに支持されるコイルを含み、ロータの周囲に配置されるステータと、整流子に接触するカーボンブラシと、を有し、所定方向に延びるモータ回転軸を中心にロータが回転するモータと、モータの周囲に配置される筒部と、筒部に接続される底部と、底部に設けられた風窓と、を有し、ステータを支持するハウジングと、筒部に支持され、カーボンブラシを保持するブラシホルダと、所定方向においてインシュレータとブラシホルダとの間に配置されるインナバッフルと、を備えてもよい。ファンは、所定方向においてロータシャフトの中心よりも一方側のロータシャフトの第1部分に固定されてもよい。整流子は、所定方向においてロータシャフトの中心よりも他方側のロータシャフトの第2部分に固定されてもよい。底部は、整流子よりも他方側に配置されてもよい。モータ回転軸に直交する所定面において、整流子の外径の1倍の直径を有し、モータ回転軸を中心とする第1基準円と、所定面において、整流子の外径の1.5倍の直径を有し、モータ回転軸を中心とする第2基準円と、第1基準円と第2基準円との間の環状範囲と、が規定されてもよい。所定面において、モータ回転軸及びカーボンブラシの中心を通る基準線と第2基準円とが交わる位置を0°位置とし、0°位置からロータの反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第1区分におけるインナバッフルの面積をS1、0°位置からロータの正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第2区分におけるインナバッフルの面積をS2とした場合、S1>S2、の条件を満足してもよい。モータ回転軸の径方向において、インナバッフルの内端部は、インシュレータの内端部よりも内側に配置されてもよい。
【0042】
上記の構成では、粉塵が整流子とカーボンブラシとの間に侵入することが抑制される。そのため、整流子及びカーボンブラシの寿命の低下が抑制される。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インナバッフルは、ハウジングと別体でもよい。
【0044】
上記の構成では、インナバッフルを任意の形状に加工し易い。
【0045】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動工具は、ステータコアとインシュレータとを固定するねじを備えてもよい。インナバッフルは、ねじによりインシュレータに固定されてもよい。
【0046】
上記の構成では、ステータコアとインシュレータとインナバッフルとがねじにより固定される。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、インナバッフルは、ハウジングと一体でもよい。
【0048】
上記の構成では、電動工具の部品点数が削減される。
【0049】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0050】
実施形態においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動工具の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0051】
電動工具は、モータを有する。モータの回転軸であるモータ回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、モータ回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、モータ回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。また、径方向において、モータ回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側又は内周側、と称し、モータ回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側又は外周側、と称する。実施形態において、モータ回転軸AXは、前後方向に延びる。軸方向一方側は、前方側であり、軸方向他方側は、後方側である。
【0052】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。本実施形態において、電動工具1Aは、研磨対象を研磨するディスクグラインダである。本実施形態において、電動工具1Aを適宜、グラインダ1A、と称する。
【0053】
図1は、本実施形態に係るグラインダ1Aを示す前方側からの斜視図である。図2は、本実施形態に係るグラインダ1Aを示す後方側からの斜視図である。図3は、本実施形態に係るグラインダ1Aを示す断面図である。図4は、本実施形態に係るグラインダ1Aを示す後方側からの分解斜視図である。
【0054】
グラインダ1Aは、ハウジング2と、モータ16と、スピンドル6とを備える。
【0055】
ハウジング2は、ギヤハウジング3と、ギヤハウジング3の後方側に配置されるモータハウジング4と、モータハウジング4の後方側に配置されるハンドルハウジング5とを有する。
【0056】
ギヤハウジング3は、スピンドル6を収容する。スピンドル6は、上下方向に延びる出力回転軸BXを中心に回転する。ギヤハウジング3の下部にリテーナ8が固定される。スピンドル6の上部は、軸受7に回転可能に支持される。スピンドル6の下部は、軸受9に回転可能に支持される。軸受7は、ギヤハウジング3に保持される。軸受9は、リテーナ8に保持される。
【0057】
スピンドル6の上部にベベルギヤ10が設けられる。スピンドル6の下端部は、リテーナ8から下方側に突出する。インナフランジ11とアウタフランジ12とによって、スピンドル6の下端部に円盤状砥石13が装着される。リテーナ8にホイールカバー14が固定される。ホイールカバー14は、円盤状砥石13の後部を覆う。ギヤハウジング3の前部に複数の排気口15が形成される。
【0058】
モータハウジング4は、モータ16を収容する。モータハウジング4は、モータ16の周囲に配置される筒部41と、筒部41の後端部に接続される底部42と、底部42に設けられた複数の風窓43とを有する。底部42は、筒部41の後端部の開口を覆うように配置される。
【0059】
図5は、本実施形態に係るグラインダ1Aの一部を示す後方側からの分解斜視図である。図6及び図7は、本実施形態に係るモータハウジング4を後方側から見た図である。図7においては、モータハウジング4が仮想線で示されている。図8は、本実施形態に係るグラインダ1Aの一部を示す断面図である。図8は、図4のA-A線矢視断面図に相当する。図9は、本実施形態に係るモータハウジング4を前方側から見た図である。図10は、本実施形態に係るグラインダ1Aの一部を示す斜視断面図である。図11は、本実施形態に係るグラインダ1Aの一部を示す断面図である。図11は、図6のB-B線矢視断面図に相当する。
【0060】
モータ16は、ステータ17と、ロータ18と、カーボンブラシ26とを有する。ステータ17は、モータハウジング4の筒部41に支持される。ステータ17は、ロータ18の周囲に配置される。モータ16は、インナロータ型である。ロータ18は、前後方向に延びるモータ回転軸AXを中心に回転する。
【0061】
ステータ17は、ステータコア171と、ステータコア171に固定されるインシュレータ172と、インシュレータ172に支持されるコイル173とを有する。
【0062】
ステータコア171とインシュレータ172とは、ねじ60により固定される。インシュレータ172の少なくとも一部は、ステータコア171よりも前方側に配置される。インシュレータ172の少なくとも一部は、ステータコア171よりも後方側に配置される。コイル173は、インシュレータ172を介してステータコア171に巻かれる。
【0063】
ロータ18は、ロータコア181と、ロータコア181に支持されるコイル182と、ロータコア181に固定されるロータシャフト19と、ロータシャフト19に固定されるファン23と、ロータシャフト19に固定される整流子25とを有する。
【0064】
ロータシャフト19の前部は、ロータコア181及びコイル182から前方側に突出する。ロータシャフト19の後部は、ロータコア181及びコイル182から後方側に突出する。
【0065】
ファン23は、前後方向においてロータシャフト19の中心よりも前方側のロータシャフト19の前部(第1部分)に固定される。ファン23は、ロータコア181及びコイル182よりも前方側に配置される。
【0066】
整流子25は、前後方向においてロータシャフト19の中心よりも後方側のロータシャフト19の後部(第2部分)に固定される。整流子25は、ロータコア181及びコイル182よりも後方側に配置される。底部42は、整流子25よりも後方側に配置される。整流子25は、複数の整流子片からなる。
【0067】
ロータシャフト19の前端部は、モータハウジング4とギヤハウジング3との間に設けられた仕切板20を貫通する。ロータシャフト19の前端部にベベルギヤ22が設けられる。ベベルギヤ22は、ギヤハウジング3の内側においてスピンドル6のベベルギヤ10に噛み合う。
【0068】
ロータシャフト19の前部は、軸受21に回転可能に支持される。ロータシャフト19の後部は、軸受29に回転可能に支持される。軸受21は、ギヤハウジング3に保持される。軸受29は、底部42に保持される。底部42は、軸受29を保持する軸受保持部44を有する。
【0069】
カーボンブラシ26は、整流子25に接触する。カーボンブラシ26は、整流子25の左方側及び右方側のそれぞれに配置される。カーボンブラシ26は、ブラシホルダ27に保持される。ブラシホルダ27は、モータハウジング4の筒部41に支持される。カーボンブラシ26は、整流子25に接触する。
【0070】
ハンドルハウジング5は、スイッチ72を収容する。プランジャ73がスイッチ72から下方側に突出する。ハンドルハウジング5の下側にスイッチレバー74が設けられる。スイッチレバー74の前端部は、スイッチレバー74の後端部を支点として上下方向に揺動可能である。スイッチレバー74は、コイルバネ75により下方側に付勢される。スイッチレバー74の下方側への揺動位置は、スイッチ72のOFF位置となる。作業者は、ハンドルハウジング5を握った手でスイッチレバー74を上方側へ押し操作することができる。スイッチレバー74が上方側へ押し操作されると、プランジャ73が押し込まれてスイッチ72がONする。スイッチレバー74の前端部には、ロックレバー76が前後方向に回転操作可能に設けられている。ロックレバー76は、回転位置の選択により、スイッチレバー74の押し込みを規制するロックオフ位置、スイッチレバー74の押し込みを許容するニュートラル位置、及びスイッチレバー74の押し込み状態を維持するロックオン位置を選択可能となっている。ハンドルハウジング5の後端には、電源コード77が接続されている。
【0071】
モータハウジング4とハンドルハウジング5とは、複数のねじ67により固定される。ハンドルハウジング5の前端部には、ねじ67が挿入される開口50が設けられる。モータハウジング4の後端部には、ねじ67のねじ部と結合されるねじ孔49が設けられる。
【0072】
ハンドルハウジング5の前部に複数の吸込口78が形成される。ロータシャフト19が回転して、ファン23が回転すると、ハウジング2の周囲の空気が、吸込口78を介してハンドルハウジング5の内側に流入する。ハンドルハウジング5の内側に流入した空気は、風窓43を介してモータハウジング4の内側に流入する。モータハウジング4の内側に流入した空気は、モータ16の周囲を流れてモータ16を冷却した後、ギヤハウジング3の内側に流入する。ギヤハウジング3の内側に流入した空気は、排気口15からハウジング2の外側に排出される。
【0073】
本実施形態において、電動工具1Aは、底部42から突出するリブ部45を有する。リブ部45は、底部42から前方側に突出する。リブ部45の後方側の端部である後端部は、底部42の前方側の面である前面に接続される。リブ部45の前方側の端部である前端部は、ステータコア171よりも後方側に配置されたインシュレータ172の後面に対向する。
【0074】
リブ部45の前端部は、カーボンブラシ26よりも前方側に配置される。リブ部45は、整流子25の周囲の少なくとも一部に配置される。リブ部45の前端部は、ステータコア171よりも後方側に配置されたコイル173の周囲の少なくとも一部に配置される。
【0075】
図12は、本実施形態に係るモータハウジング4を後方側から見た模式図である。図8及び図12に示すように、本実施形態において、モータハウジング4(モータ16)を後方側から見た場合、ロータ18は、矢印Raで示すように、時計回りの1方向のみに回転することとする。
【0076】
図12に示すように、モータ回転軸AXに直交する所定面において、整流子25の外径の1倍の直径を有し、モータ回転軸AXを中心とする第1基準円Aと、所定面において、整流子25の外径の1.5倍の直径を有し、モータ回転軸AXを中心とする第2基準円Bと、第1基準円Aと第2基準円Bとの間の環状範囲Cと、が規定される。所定面において、モータ回転軸AX及びカーボンブラシ26の中心を通る基準線RLと第2基準円Bとが交わる位置を0°位置とし、0°位置からロータ18の反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲Cの第1区分C1における風窓43の開口率をP1、0°位置からロータ18の正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲Cの第2区分C2における風窓43の開口率をP2とした場合、
P1<P2 …(1)
の条件を満足するように、モータハウジング4が形成される。風窓43の開口率とは、単位面積当たりの底部42において風窓43が占める割合をいう。なお、底部42の外径は、整流子25の外径の1.5倍を上回る。底部42の外径は、整流子25の外径の、1.6倍以上5.0倍以下でもよい。基準線RLは、所定面においてモータ回転AXを通過するように左右方向に延びる。
【0077】
矢印Raで示す方向にロータ18及びファン23が回転した場合、ハウジング2の周囲の空気が、吸込口78を介してハンドルハウジング5の内側に流入する。ハンドルハウジング5の内側に流入した空気は、風窓43を介してモータハウジング4の内側に流入する。吸込口78に粉塵が吸い込まれた場合、粉塵が風窓43を介してモータハウジング4の内側に流入する可能性がある。モータハウジング4の内側に流入した粉塵が、例えば図8の部分Dで示す整流子25とカーボンブラシ26との接点に吹き付けられると、整流子25とカーボンブラシ26との間に粉塵が噛み込んでしまう可能性がある。整流子25とカーボンブラシ26との間に粉塵が噛み込んだ状態で、整流子25が回転すると、粉塵が研磨剤として機能して、整流子25及びカーボンブラシ26が摩耗してしまい、モータ16の耐久性が低下する。
【0078】
本実施形態においては、(1)式の条件を満足するように、風窓43の位置及び大きさが調整され、且つ、リブ部45が設けられることにより、図8に示した部分Dに粉塵が吹き付けられることが抑制される。これにより、整流子25及びカーボンブラシ26の摩耗が抑制され、モータ16の耐久性(耐摩耗性)が向上する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態において、グラインダ1Aは、ファン23及び整流子25が固定されたロータシャフト19を含むロータ18と、ロータ18の周囲に配置されるステータ17と、整流子25に接触するカーボンブラシ26と、を有し、所定方向(前後方向)に延びるモータ回転軸AXを中心にロータ18が1方向のみに回転するモータ16と、モータ16の周囲に配置される筒部41と、筒部41に接続される底部42と、底部42に設けられた風窓43と、を有し、ステータ17を支持するモータハウジング4と、底部42から突出するリブ部45と、を備えてもよい。ファン23は、所定方向においてロータシャフト19の中心よりも一方側のロータシャフト19の第1部分に固定されてもよい。整流子25は、所定方向においてロータシャフト19の中心よりも他方側のロータシャフト19の第2部分に固定されてもよい。底部42は、整流子25よりも他方側に配置されてもよい。リブ部45は、底部42から一方側に突出してもよい。モータ回転軸AXに直交する所定面において、整流子25の外径の1倍の直径を有し、モータ回転軸AXを中心とする第1基準円Aと、所定面において、整流子25の外径の1.5倍の直径を有し、モータ回転軸AXを中心とする第2基準円Bと、第1基準円Aと第2基準円Bとの間の環状範囲Cと、が規定されてもよい。所定面において、モータ回転軸AX及びカーボンブラシ26の中心を通る基準線RLと第2基準円Bとが交わる位置を0°位置とし、0°位置からロータ18の反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第1区分における風窓43の開口率をP1、0°位置からロータ18の正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲の第2区分における風窓43の開口率をP2とした場合、P1<P2、の条件を満足してもよい。リブ部45の一方側の端部がカーボンブラシ26よりも一方側に配置されてもよい。
【0080】
上記の構成では、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。ファン23の回転により、ハウジング2の周囲の粉塵が、吸込口78及び風窓43を介してモータハウジング4の内側に侵入する可能性がある。リブ部45により、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。また、[P1<P2]の条件が満たされることにより、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。そのため、整流子25及びカーボンブラシ26の寿命の低下が抑制される。
【0081】
本実施形態において、リブ部45は、整流子25の周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0082】
上記の構成では、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。
【0083】
本実施形態において、リブ部45の他方側の端部は、底部42の一方側の面に接続されてもよい。
【0084】
上記の構成では、リブ部45の位置が安定する。
【0085】
本実施形態において、リブ部45は、底部42と一体でもよい。
【0086】
上記の構成では、グラインダ1Aの部品点数が削減される。
【0087】
本実施形態において、ステータ17は、ステータコア171と、ステータコア171に固定されるインシュレータ172と、インシュレータ172に支持されるコイル173と、を有してもよい。リブ部45の一方側の端部は、インシュレータ172に対向してもよい。
【0088】
上記の構成では、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。
【0089】
本実施形態において、リブ部45の一方側の端部は、コイル173の周囲の少なくとも一部に配置されてもよい。
【0090】
上記の構成では、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。
【0091】
本実施形態において、グラインダ1Aは、ロータシャフト19の他方側の端部を支持する軸受29を備えてもよい。底部42は、軸受29を保持する軸受保持部44を有してもよい。
【0092】
上記の構成では、ロータシャフト19は、軸受29を介して底部42に支持される。
【0093】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0094】
図13は、本実施形態に係るグラインダ1Bの一部を示す斜視断面図である。図14は、本実施形態に係るリブ部材30を示す斜視図である。図13及び図14に示すように、リブ部31は、底部42と別体でもよい。リブ部31は、モータハウジング4とは別体のリブ部材30に設けられる。図14に示すように、リブ部材30の一部に、ブラシホルダ27が配置される凹部33が形成される。
【0095】
以上説明したように、本実施形態において、リブ部31は、底部42と別体でもよい。
【0096】
上記の構成では、リブ部31を任意の形状に加工し易い。
【0097】
本実施形態において、リブ部31は、ブラシホルダ27が配置される凹部33を有してもよい。
【0098】
上記の構成では、ブラシホルダ27とリブ部31との干渉が抑制される。
【0099】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0100】
図15は、本実施形態に係るグラインダ1Cの一部を示す斜視断面図である。図16は、本実施形態に係るインシュレータ174を示す斜視図である。
【0101】
本実施形態において、グラインダ1Cは、インシュレータ174から突出するリブ部1742を備える。
【0102】
インシュレータ174は、ステータコア171の後端部に固定されるインシュレータ部1741と、インシュレータ部1741から後方側に突出するリブ部1742とを有する。リブ部1742は、インシュレータ174と一体である。インシュレータ174がリブ部1742を有する。
【0103】
リブ部1742の他方側の端部である後端部がカーボンブラシ26の一方側の端部である前端部よりも後方側に配置される。リブ部1742の後端部は、整流子25の周囲の少なくとも一部に配置される。リブ部1742の前端部は、インシュレータ部1741に接続される。リブ部1742の後端部は、底部42の一方側の面である前面に対向する。
【0104】
ステータコア171とインシュレータ174とは、ねじ60により固定される。インシュレータ部1741には、ねじ60が挿入される開口1745が設けられる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態においても、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。ファン23の回転により、ハウジング2の周囲の粉塵が、吸込口78及び風窓43を介してモータハウジング4の内側に侵入する可能性がある。リブ部1742により、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。そのため、整流子25及びカーボンブラシ26の寿命の低下が抑制される。
【0106】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0107】
図17は、本実施形態に係るグラインダ1Dの一部を示す斜視断面図である。図18は、本実施形態に係るインナバッフル32を示す斜視図である。
【0108】
本実施形態において、ステータコア171の外周面と筒部41の内周面との間にインナバッフル32が配置される。インナバッフル32は、ステータコア171の外周面の上部と筒部41の内周面との間に配置されるインナバッフル32Aと、ステータコア171の外周面の下部と筒部41の内周面との間に配置されるインナバッフル32Bとを含む。図12に示した例において、インナバッフル32Aの少なくとも一部は、0°位置からロータ18の反回転方向に向かって90°位置に配置される。インナバッフル32Bの少なくとも一部は、0°位置からロータ18の正回転方向に向かって90°位置に配置される。
【0109】
インナバッフル32は、筒部41の内周面に沿う円弧状の外周面を有するボディ部321と、ボディ部321から径方向内側に突出し、ステータコア171の外周面に接触する突出部322と、ステータコア171に設けられた凹部に挿入される位置決め部323とを有する。
【0110】
インナバッフル32は、風窓43からモータハウジング4の内側に流入した空気が、ステータコア171の外周面と筒部41の内周面との間を通過することを阻止する。インナバッフル32により、空気の流れが改善され、粉塵が整流子25及びカーボンブラシ26の近傍に留まることが抑制される。
【0111】
以上説明したように、本実施形態においても、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。ファン23の回転により、ハウジング2の周囲の粉塵が、吸込口78及び風窓43を介してモータハウジング4の内側に侵入する可能性がある。インナバッフル32により、空気の流れが改善され、粉塵が整流子25及びカーボンブラシ26の近傍に留まることが抑制される。これにより、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。そのため、整流子25及びカーボンブラシ26の寿命の低下が抑制される。
【0112】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0113】
図19は、本実施形態に係るグラインダ1Eの一部を示す斜視断面図である。図17は、本実施形態に係るインシュレータ175を示す斜視図である。
【0114】
本実施形態において、インシュレータ175は、ステータコア171の後端部に固定されるインシュレータ部1751と、コイル173の後方側に配置される後方部1752と、コイル173の径方向内側に配置される内側部1753とを有する。
【0115】
ステータコア171とインシュレータ175とは、ねじ60により固定される。インシュレータ部1751には、ねじ60が挿入される開口1754が設けられる。
【0116】
本実施形態において、インシュレータ部1751の径方向外側の端部は、ステータコア171の外周面よりも径方向外側に突出する。インシュレータ部1751の少なくとも一部は、ステータコア171の外周面と筒部41の内周面との間に配置される。インシュレータ部1751の上部は、ステータコア171の外周面の上部と筒部41の内周面との間に配置される。インシュレータ部1751の下部は、ステータコア171の外周面の下部と筒部41の内周面との間に配置される。
【0117】
インシュレータ部1751は、風窓43からモータハウジング4の内側に流入した空気が、ステータコア171の外周面と筒部41の内周面との間を通過することを阻止する。インシュレータ部1751により、空気の流れが改善され、粉塵が整流子25及びカーボンブラシ26の近傍に留まることが抑制される。
【0118】
以上説明したように、第3実施形態において説明したインナバッフル32に代えて、インシュレータ175の一部が、ステータコア171の外周面と筒部41の内周面との間に配置されてもよい。本実施形態においても、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。ファン23の回転により、ハウジング2の周囲の粉塵が、吸込口78及び風窓43を介してモータハウジング4の内側に侵入する可能性がある。インシュレータ部1751により、空気の流れが改善され、粉塵が整流子25及びカーボンブラシ26の近傍に留まることが抑制される。これにより、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。そのため、整流子25及びカーボンブラシ26の寿命の低下が抑制される。
【0119】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0120】
図21は、本実施形態に係るグラインダ1Fの一部を示す斜視断面図である。図22は、本実施形態に係るインナバッフル35を示す斜視図である。図23は、本実施形態に係るグラインダ1Fの一部を示す断面図である。
【0121】
本実施形態において、グラインダ1Fは、前後方向においてステータコア171よりも後方側に配置されるインシュレータ172とブラシホルダ27との間に配置されるインナバッフル35を備える。インナバッフル35は、環状である。インナバッフル35は、モータハウジング4と別体である。
【0122】
図12に示したように、モータ回転軸AXに直交する所定面において、モータ回転軸AX及びカーボンブラシ26の中心を通る基準線ELと第2基準円Bとが交わる位置を0°位置とする。0°位置からロータ18の反回転方向に向かって90°位置までの環状範囲Cの第1区分C1におけるインナバッフル35の面積(表面積)をS1、0°位置からロータ18の正回転方向に向かって90°位置までの環状範囲Cの第2区分C2におけるインナバッフル35の面積(表面積)をS2とした場合、
S1>S2 …(2)
の条件を満足するように、インシュレータ172が形成される。
【0123】
また、モータ回転軸AXの径方向において、インナバッフル35の内端部は、インシュレータ172の内端部よりも内側に配置される。
【0124】
インナバッフル35に、ねじ61が挿入される開口351が形成される。ステータコア171とインシュレータ172とインナバッフル35とは、ねじ61により固定される。
【0125】
以上説明したように、本実施形態においても、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。ファン23の回転により、ハウジング2の周囲の粉塵が、吸込口78及び風窓43を介してモータハウジング4の内側に侵入する可能性がある。インナバッフル35により、空気の流れが改善され、粉塵が整流子25及びカーボンブラシ26の近傍に留まることが抑制される。これにより、粉塵が整流子25とカーボンブラシ26との間に侵入することが抑制される。そのため、整流子25及びカーボンブラシ26の寿命の低下が抑制される。
【0126】
なお、インナバッフル35は、例えばモータハウジング4と一体でもよい。
【0127】
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0128】
上述の実施形態においては、電動工具がグラインダであることとした。電動工具は、カッタでもよい。
【0129】
図24は、本実施形態に係るカッタ1Gを示す斜視図である。図25は、本実施形態に係るカッタ1Gを示す斜視図である。図26は、本実施形態に係るモータハウジング400を示す斜視図である。図27は、本実施形態に係るカッタ1Gの一部を示す斜視断面図である。
【0130】
カッタ1Gは、モータ16を収容するモータハウジング400と、刃を支持する本体ハウジング200と、ベース板300と、刃の周囲の一部に配置されるカバー350と、グリップハウジング260と、電源コード770とを有する。上述の実施形態において説明したモータハウジング4と同様、モータハウジング400は、筒部410と、底部420と、風窓430と、軸受保持部440とを有する。
【0131】
図27に示すように、モータ16は、ロータシャフト19と、ロータシャフト19に固定される整流子250とを有する。ロータシャフト19の後端部は、軸受290に支持される。軸受290は、軸受保持部440に保持される。
【0132】
底部420の左面から左方側にリブ部450が突出する。リブ部450の左端部は、カーボンブラシ26よりも左方側に配置される。
【0133】
カッタ1Gは、切断対象を切断する。切断対象が切断されることにより、粉塵が発生する。上述の各実施形態において説明した構成要素がカッタ1Gに適用されることにより、整流子250及びカーボンブラシ26の劣化が抑制される。
【符号の説明】
【0134】
1A…グラインダ(電動工具)、1B…グラインダ(電動工具)、1C…グラインダ(電動工具)、1D…グラインダ(電動工具)、1E…グラインダ(電動工具)、1F…グラインダ(電動工具)、1G…カッタ(電動工具)、2…ハウジング、3…ギヤハウジング、4…モータハウジング、5…ハンドルハウジング、6…スピンドル、7…軸受、8…リテーナ、9…軸受、10…ベベルギヤ、11…インナフランジ、12…アウタフランジ、13…円盤状砥石、14…ホイールカバー、15…排気口、16…モータ、17…ステータ、18…ロータ、181…ロータコア、182…コイル、19…ロータシャフト、20…仕切板、21…軸受、22…ベベルギヤ、23…ファン、25…整流子、26…カーボンブラシ、27…ブラシホルダ、29…軸受、30…リブ部材、31…リブ部、32…インナバッフル、32A…インナバッフル、32B…インナバッフル、33…凹部、35…インナバッフル、41…筒部、42…底部、43…風窓、44…軸受保持部、45…リブ部、49…ねじ孔、50…開口、60…ねじ、61…ねじ、67…ねじ、72…スイッチ、73…プランジャ、74…スイッチレバー、75…コイルバネ、76…ロックレバー、77…電源コード、78…吸込口、171…ステータコア、172…インシュレータ、173…コイル、174…インシュレータ、175…インシュレータ、200…本体ハウジング、250…整流子、260…グリップハウジング、290…軸受、300…ベース板、321…ボディ部、322…突出部、323…位置決め部、350…カバー、351…開口、400…モータハウジング、410…筒部、420…底部、430…風窓、440…軸受保持部、450…リブ部、770…電源コード、1741…インシュレータ部、1742…リブ部、1745…開口、1751…インシュレータ部、1752…後方部、1753…内側部、1754…開口、A…第1基準円、AX…モータ回転軸、B…第2基準円、BX…出力回転軸、C…環状範囲、C1…第1区分、C2…第2区分、RL…基準線。
図1
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