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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160458
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20241107BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075469
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】畠田 隆弘
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA15
2H087MA16
2H087MA17
2H087NA07
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA16
2H087PB17
2H087PB19
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA44
2H087SA43
2H087SA47
2H087SA49
2H087SA53
2H087SA55
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SB04
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB21
2H087SB24
2H087SB26
2H087SB32
2H087SB34
2H087SB42
2H087SB43
2H087SB44
2H087SB45
(57)【要約】
【課題】明るいFナンバー、高ズーム比、高い光学性能を有する小型ズームレンズを得る。
【解決手段】ズームレンズは、正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2と、3つ以上のレンズ群L3~L7を含み、全体として正の屈折力の後続群とを有し、ズーミングに際して全てのレンズ群が移動する。後続群における最も像側のレンズ群L7は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動する。第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された1つの負レンズと2つの正レンズからなる。第1レンズ群における最も像側のレンズ面の曲率半径R1r、広角端での前記ズームレンズの焦点距離fw、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第1レンズ群の移動量mL1、第1レンズ群の焦点距離f1は、10.0≦R1r/fw≦25.0および0.2≦mL1/f1≦0.7を満足する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、3つ以上のレンズ群を含み、全体として正の屈折力の後続群とを有し、ズーミングに際して全てのレンズ群が移動することで隣り合うレンズ群間の間隔が変化するズームレンズであって、
前記後続群における最も像側のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動し、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された1つの負レンズと2つの正レンズからなり、
前記第1レンズ群における最も像側のレンズ面の曲率半径をR1r、広角端での前記ズームレンズの焦点距離をfw、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第1レンズ群の移動量であって該第1レンズ群が広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときに正である移動量をmL1、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
10.0≦R1r/fw≦25.0
0.2≦mL1/f1≦0.7
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記全てのレンズ群が物体側へ移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群の前記2つの正レンズのd線における屈折率の平均値をnd1pとするとき、
1.55≦nd1p≦1.75
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群の前記負レンズのd線を基準とするアッベ数をνd1nとするとき、
20≦νd1n≦30
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第2レンズ群は、最も物体側に負レンズを有し、
前記最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2r、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
0.8≦|R2r/f2|≦1.2
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をftとするとき、
0.6≦f1/ft≦1.7
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfwとするとき、
0.7≦|f2/fw|≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
4.4≦|f1/f2|≦6.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群の前記負レンズの焦点距離をf1n、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
1.2≦|f1n/f1|≦2.3
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第2レンズ群は、4つ以上のレンズを有することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第2レンズ群に含まれる1つ以上の負レンズのうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい負レンズの前記アッベ数をνd2nとするとき、
60≦νd2n≦100
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端でのバックフォーカスをskwとするとき、
1.1≦|f2/skw|≦2.2
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記ズームレンズの望遠端でのバックフォーカスをsktとするとき、
1.8≦f1/skt≦3.6
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記第3レンズ群L3の広角端から望遠端までのズーミングにおける移動量であって該第3レンズ群が広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときに正である移動量をmL3とするとき、
1.2≦mL1/mL3≦2.2
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記ズームレンズは、開口絞りを有し、
前記ズームレンズの望遠端でのFナンバーをFnot、望遠端での前記開口絞りの有効径をhsp、前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をftとするとき、
0.6≦fnot×hsp/ft≦1.1
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項16】
前記第1レンズ群において最も像側のレンズ面の曲率半径をR1r、前記第2レンズ群において最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2rとするとき、
1.00≦(R1r+R2r)/(R1r-R2r)≦1.25
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項17】
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、前記全てのレンズ群が物体側へ移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項18】
物体側から像側へ順に配置された、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群および負の屈折力の第7レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項19】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群および正の屈折力の第7レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項20】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群および正の屈折力の第6レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項21】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群および正の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載のズームレンズと、
該ズームレンズを通して被写体を撮像する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ、電子スチルカメラ、放送用カメラおよび監視カメラ等の撮像装置に好適なズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような撮像装置に用いられるズームレンズには、諸収差が少なくて高い空間周波数まで高解像力を有する高性能であることが求められている。このようなズームレンズにおいては、回折による光学特性の劣化が無視できない。回折による結像性能の劣化はズームレンズのFナンバーで決まるため、ズームレンズには開放Fナンバーが明るい(大口径比である)ことが求められる。また、暗所での撮像でのノイズを軽減するためにも、ズーム全域において明るいFナンバーが求められる。さらに、ズームレンズには小型であるとともに高ズーム比が得られることも求められる。
【0003】
高性能化に有利な大口径ズームレンズとして、特許文献1には、負正負正の4群構成のネガティブリード型ズームレンズが開示されている。また高ズーム比に有利な大口径ズームレンズとして、特許文献2や特許文献3には、正負正正の4群構成のポジティブリード型ズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004‐198529号公報
【特許文献2】特開2014-29375号公報
【特許文献3】特開2013-160944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたネガティブリード型の大口径ズームレンズでは、小型化すると高ズーム比を得ることが難しくなる。またズーミングに伴う開放Fnoの変動が大きい。一方、特許文献2、3に開示されたポジティブリード型の大口径ズームレンズでは、高ズーム比のために広画角化すると、バックフォーカスの確保や小型化が難しくなる。
【0006】
本発明は、ズーム全域にわたって明るいFナンバーを確保でき、高ズーム比と高い光学性能を有する小型のズームレンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、3つ以上のレンズ群を含み、全体として正の屈折力の後続群とを有し、ズーミングに際して全てのレンズ群が移動することで隣り合うレンズ群間の間隔が変化する。後続群における最も像側のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動する。第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された1つの負レンズと2つの正レンズからなる。第1レンズ群における最も像側のレンズ面の曲率半径をR1r、広角端での前記ズームレンズの焦点距離をfw、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第1レンズ群の移動量であって該第1レンズ群が広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときに正である移動量をmL1、第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
10.0≦R1r/fw≦25.0
0.2≦mL1/f1≦0.7
なる条件を満足することを特徴とする。なお、上記ズームレンズを通して撮像を行う撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ズーム全域にわたって明るいFナンバーを確保でき、高ズーム比と高い光学性能を有する小型のズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のズームレンズの構成を示す断面図。
図2】実施例1のズームレンズの広角端での縦収差図。
図3】実施例1のズームレンズの望遠端での縦収差図。
図4】実施例2のズームレンズの構成を示す断面図。
図5】実施例2のズームレンズの広角端での縦収差図。
図6】実施例2のズームレンズの望遠端での縦収差図。
図7】実施例3のズームレンズの構成を示す断面図。
図8】実施例3のズームレンズの広角端での縦収差図。
図9】実施例3のズームレンズの望遠端での縦収差図。
図10】実施例4のズームレンズの構成を示す断面図。
図11】実施例4のズームレンズの広角端での縦収差図。
図12】実施例4のズームレンズの望遠端での縦収差図。
図13】実施例5のズームレンズの構成を示す断面図。
図14】実施例5のズームレンズの広角端での縦収差図。
図15】実施例5のズームレンズの望遠端での縦収差図。
図16】撮像装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。具体的な実施例1~5の説明に先立って、各実施例に共通する事項について説明する。各実施例のズームレンズは、ビデオカメラ、デジタルカメラ、放送用カメラおよび監視カメラ、さらには銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に撮影レンズとして用いられる。
【0011】
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力(屈折力は焦点距離の逆数)の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、3つ以上のレンズ群を含み、全体として正の屈折力を有する後続群からなるポジティブリード型ズームレンズである。ポジティブリード型ズームレンズでは、第2レンズ群が主たる変倍作用をする。また第1レンズ群の有効径や第1レンズ群の厚さ等の大きさがズームレンズ全体の大きさに大きく影響する。
【0012】
このため、ポジティブリード型ズームレンズにおいて、全系の小型化を図りつつ、高ズーム比でズーム全域にわたって高い光学性能を得るには、第1レンズ群と第2レンズ群の屈折力やレンズ構成等を適切に設定することが重要である。また、第2レンズ群よりも像側の後続群に含まれるレンズ群のレンズ構成を適切に設定することが重要である。さらにズーミングに際してのレンズ群の移動方向や移動量等の移動条件等を適切に設定することも、大口径比であり、かつズーム全域で高い光学性能を得るために重要である。
【0013】
図1は、実施例1のズームレンズの構成を示す。以下、図1を参照して各実施例のズームレンズの特徴について説明する。図1において、左側が物体側(前側)で、右側が像側(後側)である。図中のiは物体側から数えたときのレンズ群の順番を示し、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3~L7は後続群に含まれる第3から第7レンズ群である。SPは開口絞りであり、IPは像面である。像面IPには、撮像装置に設けられるCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子の撮像面(受光面)や銀塩フィルムのフィルム面(感光面)が配置される。ISは手振れ等のカメラ振れに対して像振れを低減(補正)するためにズームレンズの光軸(図中に一点鎖線で示す)に対して直交する方向に移動するシフトレンズ群を示す。
【0014】
ズームレンズにおいて、レンズ群は、広角端と望遠端との間での変倍(ズーミング)に際して一体で移動する1または複数のレンズのまとまりである。すなわち、ズーミングに際して隣り合うレンズ群間の間隔が変化する。レンズ群は、開口絞りを含んでもよい。また、広角端と望遠端はそれぞれ、ズーミングに際して移動するレンズ群が光軸上を機構上または制御上、移動可能な範囲の両端に位置したときの最大画角(最短焦点距離)と最小画角(最大焦点距離)のズーム状態を示す。
【0015】
一般にレンズ群を小型化するためには、レンズ外径(レンズの有効径)を小さくする必要がある。レンズ外径を小さくするためには、レンズ群に入射する光束をそのレンズ群の光入射側で充分に収斂させることが必要となる。そのためには、レンズ群の物体側に強い正の屈折力を有するレンズ群を配置すればよい。各実施例では、第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に配置された、1つの負レンズ(G1n)と2つ以上の正レンズとを有している。これにより、レンズ群の物体側に強い正の屈折力を有する構成とすることを容易にしている。
【0016】
また、各実施例では、ズーミングに際して全てのレンズ群が移動し、広角端から望遠端へのズーミングの際には最も像側のレンズ群が物体側へ移動する。広角端に比べて望遠端での第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が大きくなるように第1レンズ群L1が物体側へ移動することにより、軸上光束の径が大きくなる望遠端において、第1レンズ群L1から出射した軸上光束が収斂する距離を確保し易くすることができる。これにより、後続のレンズ群の小型化を容易にしている。さらに、広角端での光学全長の短縮も容易にしている。
【0017】
また、各実施例では、広角端から望遠端へのズーミングに際して後続群における最も像側のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動する。これにより、Fナンバーが明るいズームレンズにおいて課題となり易い望遠端での周辺光量の確保を容易としている。
【0018】
各実施例において、第1レンズ群L1の最も像側のレンズ面の曲率半径をR1r、広角端でのズームレンズの焦点距離をfw、広角端から望遠端までの第1レンズ群L1の移動量をmL1、第1レンズ群L1の焦点距離をf1とする。レンズ群の移動量は、そのレンズ群が広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときには正の移動量、像側に位置するときには負の移動量とする。このとき、
10.0≦R1r/fw≦25.0 (1)
0.2≦mL1/f1≦0.7 (2)
なる条件を満足する。
【0019】
式(1)の条件は、ズームレンズは広角端での焦点距離fwに対する第1レンズ群L1の最も像側のレンズ面の曲率半径R1rの適切な範囲を示す。各実施例のズームレンズは広角端での樽型の歪曲量をある程度許容することで、広画角化と高ズーム比化を両立する。R1rを大きくすることで第1レンズ群L1の屈折力を強くすることができ、高ズーム比化が可能となる。R1r/fwが式(1)の上限を上回るようにR1rが大きくなりすぎると、広角端での歪曲収差が大きくなりすぎる。この結果、撮像素子を通じて得られた画像データに対して電子的に歪曲を補正する際に補正量が大きくなりすぎて、広角端での周辺部の解像力を確保することが困難となるため、好ましくない。R1r/fwが式(1)の下限を下回るようにR1rが小さくなりすぎると、第1レンズ群L1の屈折力を強くすることができず、高ズーム比が困難となるため、好ましくない。また、広角端での像面湾曲の補正が困難となるため、好ましくない。
【0020】
式(2)の条件は、第1レンズ群L1の焦点距離f1とズーミングにおける第1レンズ群L1の移動量mL1との適切な関係を示す。式(2)の条件を満足することで、高ズーム比化が可能となるとともに、望遠端での球面収差と倍率色収差の補正が容易となる。この結果、ズーム全域にわたって諸収差の変動が少なく、像面全体にわたって高い光学性能を得ることが可能となる。mL1/f1が式(2)の上限を上回るようにmL1が小さくなりすぎると、望遠端における球面収差と倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。mL1/f1が式(2)の下限を下回るようにmL1が小さくなりすぎると、広角端での光学全長の短縮と高ズーム比化が困難となるため、好ましくない。
【0021】
式(1)、(2)の条件を満足することで、小型でありながらもズーム全域にわたって明るいFナンバーを有し、高ズーム比で高い光学性能を有するズームレンズが得られる。
【0022】
なお、式(1)、(2)の数値範囲を以下のように設定するとより好ましい。
【0023】
12.0≦R1r/fw≦22.0 (1a)
0.25≦mL1/f1≦0.60 (2a)
また、式(1)、(2)の数値範囲を以下のように設定するとさらに好ましい。
【0024】
12.5≦R1r/fw≦21.5 (1b)
0.27≦mL1/f1≦0.57 (2b)
各実施例のズームレンズは、以下の式(3)~(15)の条件のうち少なくとも1つを満足することが好ましい。以下では、第1レンズ群L1に含まれる1つ以上の正レンズのd線における屈折率の平均値をnd1p、第1レンズ群L1に含まれる負レンズのd線を基準とするアッベ数をνd1nとする。第2レンズ群L2の最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2r、第2レンズ群L2の焦点距離をf2とする。第1レンズ群L1の焦点距離をf1、ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、第1レンズ群L1の負レンズの焦点距離をf1nとする。第2レンズ群L2に含まれる1つ以上の負レンズのうちd線を基準するアッベ数が最も大きい負レンズの該アッベ数をνd2nとする。ズームレンズの広角端でのバックフォーカスをskwとし、望遠端でのバックフォーカスをsktとする。第1レンズ群L1の広角端から望遠端までのズーミングにおける移動量をmL1、第3レンズ群L3の広角端から望遠端までのズーミングにおける移動量をmL3とする。ズームレンズの望遠端におけるFナンバーをFnot、望遠端における開口絞りSPの有効径をhspとする。有効径は、開口絞りSPやレンズにおける結像に寄与する光線が通過する領域の最大径である。第2レンズ群L2のうち最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2rとする。
1.55≦nd1p≦1.75 (3)
20≦νd1n≦30 (4)
0.8≦|R2r/f2|≦1.2 (5)
0.6≦f1/ft≦1.7 (6)
0.7≦|f2/fw|≦1.0 (7)
4.4≦|f1/f2|≦6.0 (8)
1.2≦|f1n/f1|≦2.3 (9)
60≦νd2n≦100 (10)
1.1≦|f2/skw|≦2.2 (11)
1.8≦f1/skt≦3.6 (12)
1.2≦mL1/mL3≦2.2 (13)
0.6≦fnot×hsp/ft≦1.1 (14)
1.00≦(R1r+R2r)/(R1r-R2r)≦1.25 (15)
式(3)の条件は、第1レンズ群L1に含まれる1つ以上の正レンズの屈折率の平均値nd1pの適切な範囲を示す。式(3)の条件を満足することで、第1レンズ群L1の小型化とズームレンズの高性能化の両立が可能となる。nd1pが式(3)の上限を上回るように正レンズの屈折率の平均値が高くなりすぎると、正レンズが高分散となる。この結果、第1レンズ群L1内での色収差の補正が困難となり、望遠端での軸上色収差や倍率色収差が増加するため、好ましくない。nd1pが式(3)の下限を下回るように正レンズの屈折率の平均値が低くなりすぎると、第1レンズ群L1の小型化やズームレンズの全長(レンズ全長)の短縮が困難となるため、好ましくない。
【0025】
式(4)の条件は、第1レンズ群L1の負レンズのアッベ数νd1nの適切な範囲を示す。式(4)を満足することで、良好な色収差の補正が可能となる。νd1nが式(4)の上限を上回るように大きくなりすぎると、第1レンズ群L1で発生する色収差が大きくなりすぎる。この結果、望遠端での軸上色収差や軸上色収差の補正が困難となるため、好ましくない。νd1nが式(4)の下限を下回るように小さくなりすぎると、負レンズの2次分散が大きくなり、広角端での倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0026】
式(5)は、第2レンズ群L2の焦点距離f2に対する第2レンズ群L2における最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径R2rの適切な範囲を示す。式(5)を満足することで、広画角化と高性能化の両立が可能となる。|R2r/f2|が式(5)の上限を上回るようにR2rが大きくなりすぎると、広角端での歪曲収差が大きくなりすぎる。この結果、撮像素子を通じて得られた画像データに対して電子的に歪曲を補正する際に補正量が大きくなりすぎて、広角端での周辺部の解像力を確保することが困難となるため、好ましくない。|R2r/f2|が式(5)の下限を下回るようにR2rが小さくなりすぎと、広角端での像面湾曲の補正が困難となるため、好ましくない。
【0027】
式(6)は、ズームレンズの望遠端での焦点距離ftに対する第1レンズ群L1の焦点距離f1の適切な範囲を示す。f1/ftが式(6)の上限を上回るようにf1が長く(第1レンズ群L1の正の屈折力が弱く)なりすぎると、ズーミングのために第1レンズ群L1の移動量を大きくしなければならない。この結果、望遠端においてレンズ全長が長くなるため、好ましくない。また、第1レンズ群L1の有効径の小型化が難しくなるため、好ましくない。f1/ftが式(6)の下限を下回るようにf1が短く(第1レンズ群L1の正の屈折力が強く)なりすぎると、高ズーム比化は容易となるが、望遠端での球面収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0028】
式(7)は、ズームレンズの広角端での焦点距離fwに対する第2レンズ群L2の焦点距離f2の適切な範囲を示す。式(7)の条件を満足することで、広角端においてレトロフォーカスタイプの屈折力配置とすることが容易となる。この結果、広角端での広画角化を実現できるとともに、ズーム全域にわたって諸収差の変動を少なくしつつ像面全体にわたって高い光学性能を得ることが容易となる。|f2/fw|が式(7)の上限を上回るようにf2が長く(第2レンズ群L2の負の屈折力が弱く)なりすぎると、レトロフォーカスタイプの屈折力配置とするのが難しくなり、広角端における画角を広げることが困難となるため、好ましくない。|f2/fw|が式(7)の下限を下回るようにf2が短く(第2レンズ群L2の負の屈折力が強く)なりすぎると、ズーミングに伴う球面収差や倍率色収差の変動を小さくするのが困難となるため、好ましくない。
【0029】
式(8)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と第2レンズ群L2の焦点距離f2の比の適切な範囲を示す。|f1/f2|が式(8)の上限を上回るように第1レンズ群L1の正の屈折力が弱くなりすぎると、ズーミングのための第1レンズ群L1の移動量が大きくなり、この結果、望遠端においてレンズ全長が長くなるため、好ましくない。さらに、第1レンズ群L1の有効径の小型化が難しくなるため、好ましくない。|f1/f2|が式(8)の下限を下回るように第1レンズ群L1の正の屈折力が強くなりすぎると、高ズーム比化は容易となるが、望遠端において球面収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0030】
式(9)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1に対する第1レンズ群L1に含まれる負レンズの焦点距離f1nの適切な範囲を示す。|f1n/f1|が式(9)の上限を上回るように第1レンズ群L1の負レンズの屈折力が弱くなりすぎると、望遠端での軸上色収差、倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。|f1n/f1|が式(9)の下限を下回るように第1レンズ群L1の負レンズの屈折力が強くなりすぎると、広角端において歪曲収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0031】
式(10)は、第2レンズ群L2において最もアッベ数が大きい負レンズの該アッベ数νd2nの適切な範囲を示している。νd2nが式(10)の上限を上回ると、該負レンズの屈折率が著しく低くなり、広角端での像面湾曲の補正が困難となるため、好ましくない。νd2nが式(10)の下限を下回ると、広角端での倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0032】
式(11)は、広角端でのバックフォーカスskwに対する第2レンズ群L2の焦点距離f2の適切な範囲を示す。式(11)の条件を満足することで、広角端においてレトロフォーカスタイプの屈折力配置とすることが容易となり、広角端での広画角化を実現できるとともに、ズーム全域にわたって諸収差の変動を少なくし、像面全体にわたって高い光学性能を得ることが容易となる。|f2/skw|が式(11)の上限を上回るように第2レンズ群L2の負の屈折力が弱くなると、レトロフォーカスタイプの屈折力配置とするのが難しくなり、広角端での画角を広くすることが困難となるため、好ましくない。|f2/skw|が式(11)の下限を下回るように第2レンズ群L2の負の屈折力が強くなりすぎると、ズーミングに伴う球面収差や倍率色収差の変動を小さくするのが困難となるため、好ましくない。
【0033】
式(12)は、望遠端でのバックフォーカスsktに対する第1レンズ群L1の焦点距離f1の適切な範囲を示す。f1/sktが式(12)の上限を上回るように第1レンズ群L1の正の屈折力が弱くなりすぎると、ズーミングのための第1レンズ群L1の移動量を大きくしなければならない。この結果、望遠端においてレンズ全長が長くなるため、好ましくない。また第1レンズ群L1の有効径の小型化が難しくなるため、好ましくない。f1/sktが式(12)の下限を下回るように第1レンズ群L1の正の屈折力が強くなりすぎると、高ズーム比化は容易となるが、望遠端での球面収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0034】
式(13)は、第1レンズ群L1の広角端から望遠端までの移動量mL1と第3レンズ群L3の広角端から望遠端までの移動量mL3との適切な関係を示す。mL1/mL3が式(13)の上限を上回るようにmL1が大きくなりすぎると、望遠端における球面収差や倍率色収差の補正が困難となるため、好ましくない。mL1/mL3が式(13)の下限を下回るようにmL1が小さくなりすぎると、広角端でのレンズ全長の短縮と高ズーム比化が困難となるため、好ましくない。
【0035】
式(14)は、望遠端での開口絞りSPの有効径hspの適切な範囲を示す。式(14)の条件を満足することで、ズームレンズの径方向の小型化が可能となる。式(14)の条件は、式(1)~(13)の条件、特に式(8)の条件を満足することで容易に満足される。fnot×hsp/ftが式(14)の上限を上回るようにhspが大きくなりすぎると、ズームレンズの径方向の小型化が困難となるため、好ましくない。またfnot×hsp/ftが式(14)の下限を下回るようにhspが小さくなりすぎると、第1レンズ群L1の屈折力が強すぎるパワー配置となり、この結果、望遠端での軸上色収差や球面収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0036】
式(15)は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2間の空気レンズの適切な形状を示す。(R1r+R2r)/(R1r-R2r)が式(15)の上限を上回るように空気レンズの正の屈折力が強くなりすぎると、広角端での像面湾曲の補正が困難となるため、好ましくない。(R1r+R2r)/(R1r-R2r)が式(15)の下限を下回るように空気レンズの正の屈折力が強くなりすぎると、広角端での歪曲収差の補正が困難となるため、好ましくない。
【0037】
さらに各実施例において、第2レンズ群L2を4つ以上のレンズで構成することが好ましい。これにより、第2レンズ群L2の屈折力を適切に設定することが可能となり、小型で高ズーム比を有するズームレンズを得ることが容易となる。
【0038】
なお、式(3)~(15)の数値範囲を以下のように設定するとより好ましい。
1.58≦nd1p≦1.72 (3a)
23≦νd1n≦26 (4a)
0.85≦|R2r/f2|≦1.15 (5a)
0.7≦f1/ft≦1.6 (6a)
0.75≦|f2/fw|≦0.95 (7a)
4.6≦|f1/f2|≦5.8 (8a)
1.3≦|f1n/f1|≦2.2 (9a)
65≦νd2n≦80 (10a)
1.3≦|f2/skw|≦2.0 (11a)
2.0≦f1/skt≦3.4 (12a)
1.4≦mL1/mL3≦2.0 (13a)
0.65≦fnot×hsp/ft≦1.05 (14a)
1.05≦(R1r+R2r)/(R1r-R2r)≦1.20 (15a)
また、式(3)~(15)の数値範囲を以下のように設定するとさらに好ましい。
1.60≦nd1p≦1.70 (3b)
23.5≦νd1n≦25.0 (4b)
0.88≦|R2r/f2|≦1.10 (5b)
0.75≦f1/ft≦1.57 (6b)
0.80≦|f2/fw|≦0.92 (7b)
4.75≦|f1/f2|≦5.70 (8b)
1.35≦|f1n/f1|≦2.15 (9b)
66≦νd2n≦70 (10b)
1.4≦|f2/skw|≦1.9 (11b)
2.1≦f1/skt≦3.3 (12b)
1.45≦mL1/mL3≦1.95 (13b)
0.66≦fnot×hsp/ft≦1.02 (14b)
1.08≦(R1r+R2r)/(R1r-R2r)≦1.15 (15b)
以下、実施例1~5について具体的に説明する。図1図4図7図10および図13はそれぞれ、実施例1、2、3、4および5のズームレンズの広角端で無限遠物体に合焦した状態での構成を示している。
【0039】
図1に示す実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された以下のレンズ群により構成されている。正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6および負の屈折力の第7レンズ群L6により構成されている。
【0040】
実施例1では、広角端から望遠端へのズーミングに際して、各レンズ群の下の矢印のように物体側へ移動する。この際、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は拡がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まり、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔は拡がる。また、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5との間隔は狭まり、第5レンズ群L5と第6レンズ群L6との間隔は狭まり、第6レンズ群L6と第7レンズ群L7との間隔は拡がる。第3レンズ群L3と第5レンズ群L5と第7レンズ群L7は、一体となって移動する。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングのために、図中に矢印で示すように第6レンズ群L6が像側へ移動する。
【0041】
図4に示す実施例2のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された以下のレンズ群により構成されている。正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6および正の屈折力の第7レンズ群L7により構成されている。
【0042】
実施例2でも、広角端から望遠端へのズーミングに際して、各レンズ群の下の矢印のように物体側へ移動する。この際、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は拡がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まり、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔は拡がる。また、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5との間隔は狭まり、第5レンズ群L5と第6レンズ群L6との間隔は狭まり、第6レンズ群L6と第7レンズ群L7との間隔は拡がる。第3レンズ群L3と第5レンズ群L5は、一体となって移動する。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングのために、図中に矢印で示すように第6レンズ群L6が像側へ移動する。
【0043】
図7に示す実施例3および図10に示す実施例4のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された以下のレンズ群により構成されている。正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、負の屈折力の第5レンズ群L5および正の屈折力の第6レンズ群L6により構成されている。
【0044】
実施例3および実施例4でも、広角端から望遠端へのズーミングに際して、各レンズ群の下の矢印のように物体側へ移動する。この際、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は拡がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まり、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔は狭まる。また、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5との間隔は狭まり、第5レンズ群L5と第6レンズ群L6との間隔は拡がる。第3レンズ群L3と第6レンズ群L6は、一体となって移動する。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングのために、図中に矢印で示すように第5レンズ群L5が像側へ移動する。
【0045】
図13に示す実施例5のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された以下のレンズ群により構成されている。正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズ群L4および正の屈折力の第5レンズ群L5により構成されている。
【0046】
実施例5でも、広角端から望遠端へのズーミングに際して、各レンズ群の下の矢印のように物体側へ移動する。この際、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔は拡がり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔は狭まり、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔は狭まる。また、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5との間隔は拡がる。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングのために、図中に矢印で示すように第4レンズ群L4が像側へ移動する。
【0047】
各実施例において、開口絞りSPは、第3レンズ群L3における最も物体側に配置されている。またシフトレンズ群ISは、第3レンズ群L3の一部(部分レンズ群)として設けられている。
【0048】
なお、フォーカシングは、ズームレンズ全体またはいずれか1つのレンズ群全体を移動させて行ってもよい。
【0049】
以下、実施例1~5のそれぞれに対応する数値例1~5を示す。各数値例において、面番号iは物体側から数えたときの面の順番を示す。rは物体側からi番目の面の曲率半径(mm)、dはi番目と(i+1)番目の面間のレンズ厚または空気間隔(mm)、ndは第i面と第(i+1)面間の光学材料のd線における屈折率である。νdは第i面と第(i+1)面間の光学材料のd線を基準としたアッベ数である。d線を基準とするアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をそれぞれNd、NFおよびNCとするとき、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
で表される。有効径は、前述したように、レンズまたは開口絞りにおける結像に寄与する光線が通過する領域の最大径である。
【0050】
BFはバックフォーカス(mm)を表す。バックフォーカスは、ズームレンズの最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものとする。広角端でのBFが式(11)のskwに、望遠端でのBFが式(12)のsktにそれぞれ相当する。レンズ全長は、ズームレンズの最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。
【0051】
面番号に付された「*」は、その面が非球面形状を有する面であることを意味する。非球面形状は、xを光軸方向での面頂点からの変位量、hを光軸に直交する方向における光軸からの高さ、光の進行方向を正とし、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を非球面係数とするとき、以下の式で表される。なお、円錐定数および非球面係数の「e±Z」は×10±Zを意味する。
【0052】
x=(h2/R)/[1+{1-(1+K)(h/R)2}]1/2
+A4×h4+A6×h6+A8×h8+A8×h8+A10×h10+A12×h12
数値例1~5における前述した式(1)~(15)に対応する値を表1にまとめて示す。
【0053】
図2図5図8図11および図14はそれぞれ、数値例1、2、3、4および5のズームレンズの広角端での無限遠物体への合焦状態での縦収差(球面収差、非点収差、歪曲および色収差)を示している。また図3図6図9図12および図15はそれぞれ、数値例1、2、3、4および5のズームレンズの望遠端での無限遠物体への合焦状態での縦収差を示している。
【0054】
球面収差図において、FnoはFナンバーを示し、実線はd線(波長587.6nm)に対する球面収差を、二点鎖線はg線(波長435.8nm)に対する球面収差をそれぞれ示している。非点収差図において、実線Sはサジタル像面の非点収差を、破線Mはメリディオナル像面での非点収差を示している。歪曲収差図は、d線に対する歪曲収差を示している。色収差図は、g線における倍率色収差を示している。ωは半画角(°)である。
[数値例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 146.943 1.20 1.84666 23.8 51.67
2 76.341 5.41 1.59522 67.7 49.25
3 2763.932 0.15 48.07
4 65.022 4.64 1.59522 67.7 44.71
5 417.392 (可変) 44.04
6 120.904 0.95 1.88300 40.8 31.25
7 22.625 5.85 25.89
8 -65.433 1.10 1.59522 67.7 25.16
9 25.859 4.56 1.85478 24.8 22.59
10 -215.107 1.00 21.60
11 -50.639 1.00 1.76385 48.5 21.44
12* 333.330 (可変) 20.54
13(絞り) ∞ 0.40 21.74
14 45.875 2.83 2.00069 25.5 22.73
15 8581.433 2.87 22.72
16 59.573 0.95 1.90366 31.3 22.71
17 28.407 4.74 1.61772 49.8 22.31
18 -104.849 (可変) 22.18
19* -23.500 0.70 2.00069 25.5 20.54
20 3399.386 (可変) 21.42
21 24.526 1.10 1.77047 29.7 24.02
22 19.682 9.08 1.53775 74.7 24.00
23 -48.073 0.15 24.78
24* 29.347 5.32 1.59522 67.7 25.08
25* -67.001 (可変) 24.63
26 67.840 0.90 1.72916 54.7 23.97
27 25.927 (可変) 23.35
28 -26.737 0.90 1.61340 44.3 28.51
29 241.157 4.41 1.92286 20.9 32.19
30 -60.028 (可変) 33.01
像面 ∞

非球面データ
第12面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.05926e-06 A 6=-6.49256e-09 A 8= 1.43475e-10
A10=-8.63706e-13 A12= 1.72787e-15

第19面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.16892e-05 A 6= 2.31044e-09 A 8= 1.65677e-10
A10=-1.02280e-12 A12= 2.07510e-15

第24面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.45679e-05 A 6=-5.25478e-09 A 8= 2.83437e-11
A10=-1.22675e-12 A12= 3.90918e-15

第25面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.43470e-05 A 6=-7.83170e-09 A 8= 1.13711e-10
A10=-1.31430e-12 A12= 6.33455e-15

各種データ
ズーム比 5.30
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 71.00 130.99
Fナンバー 4.08 4.08 4.12
半画角(°) 37.84 16.95 9.38
像高 19.20 21.64 21.64
レンズ全長 127.91 155.41 182.91
BF 11.19 31.28 47.32

d 5 0.80 24.07 38.64
d12 21.36 5.50 2.38
d18 3.56 6.70 8.25
d20 5.67 2.53 0.98
d25 2.65 3.93 1.32
d27 22.48 21.20 23.81
d30 11.19 31.28 47.32

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 100.54
2 6 -20.88
3 13 31.96
4 19 -23.32
5 21 18.82
6 26 -58.08
7 28 -188.38

[数値例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 143.158 1.30 1.85478 24.8 61.96
2 67.213 7.12 1.72916 54.7 58.97
3 353.144 0.15 58.31
4 77.266 5.75 1.65160 58.5 55.64
5 529.057 (可変) 54.75
6 108.525 0.95 1.88300 40.8 36.26
7 22.621 6.62 29.24
8 -142.122 1.10 1.59522 67.7 28.53
9 24.900 4.83 1.85478 24.8 25.27
10 276.056 2.16 24.13
11 -43.571 3.63 1.67300 38.3 23.79
12 -20.609 1.05 1.76385 48.5 23.08
13* -122.410 (可変) 23.21
14(絞り) ∞ 0.40 24.85
15 47.388 2.54 2.00069 25.5 26.10
16 143.113 0.99 26.06
17 60.050 1.10 1.76200 40.1 26.30
18 24.033 7.22 1.59522 67.7 25.88
19 -74.965 (可変) 25.88
20* -22.817 0.80 1.77047 29.7 24.26
21 -702.526 (可変) 25.69
22 100.576 5.02 1.49700 81.5 26.94
23 -39.168 0.20 27.44
24 34.767 5.89 1.49700 81.5 27.97
25 -85.582 0.15 28.13
26 37.147 5.96 1.49700 81.5 28.00
27 -70.169 0.15 27.47
28* -140.008 1.70 1.85400 40.4 27.11
29* 663.078 (可変) 26.62
30 72.036 0.90 1.61340 44.3 26.18
31 23.393 (可変) 25.31
32 -31.223 1.15 1.61340 44.3 30.97
33 105.381 6.15 2.00330 28.3 35.23
34 -58.257 (可変) 36.00
像面 ∞

非球面データ
第13面
K = 0.00000e+00 A 4=-3.96303e-07 A 6= 1.97320e-09 A 8=-3.78717e-11
A10= 2.46001e-13 A12=-6.47364e-16

第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 6.30322e-06 A 6= 1.73174e-08 A 8=-7.91420e-11
A10= 5.45680e-13 A12=-1.21247e-15

第28面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.12901e-05 A 6= 9.46098e-09 A 8= 9.05188e-11
A10=-7.93465e-13 A12= 1.75055e-15

第29面
K = 0.00000e+00 A 4= 4.47967e-06 A 6= 8.06112e-09 A 8= 6.09576e-11
A10=-7.53188e-13 A12= 1.75840e-15

各種データ
ズーム比 3.33
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 51.54 82.44
Fナンバー 2.88 2.88 2.91
半画角(°) 37.91 22.77 14.71
像高 19.25 21.64 21.64
レンズ全長 141.91 160.16 178.40
BF 12.29 28.41 33.22

d 5 0.80 15.93 31.22
d13 21.31 7.45 2.38
d19 4.61 8.25 9.65
d21 6.01 2.38 0.98
d29 1.44 1.00 1.00
d31 20.45 21.76 24.96
d34 12.29 28.41 33.22

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 108.93
2 6 -22.29
3 14 37.44
4 20 -30.62
5 22 20.97
6 30 -56.88
7 32 415.07

[数値例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 152.533 2.10 1.85478 24.8 67.12
2 76.488 7.08 1.72916 54.7 62.56
3 437.436 0.15 61.87
4 64.426 6.94 1.59522 67.7 57.62
5 320.856 (可変) 56.50
6 118.740 1.30 1.88300 40.8 37.08
7 20.935 7.01 28.83
8 -153.370 1.10 1.59522 67.7 28.13
9 23.941 4.78 1.85478 24.8 25.09
10 172.857 3.02 24.01
11 -52.005 4.25 1.65412 39.7 22.34
12 -18.510 1.05 1.76385 48.5 21.46
13* -131.986 (可変) 23.06
14(絞り) ∞ 0.40 24.76
15 39.037 3.19 2.00100 29.1 26.32
16 161.719 0.80 26.19
17 41.765 1.10 1.88300 40.8 26.13
18 21.877 7.16 1.59522 67.7 25.18
19 -97.732 4.17 24.86
20* -27.225 1.05 1.77047 29.7 23.98
21 43.734 4.04 1.49700 81.5 24.91
22 -123.349 (可変) 25.41
23 32.127 7.10 1.59522 67.7 27.15
24 -78.950 0.35 27.67
25 32.419 6.02 1.59522 67.7 28.04
26 -99.887 0.15 27.47
27* -3567.913 1.70 1.85400 40.4 26.85
28* 119.308 (可変) 25.99
29 58.951 0.90 1.80400 46.5 25.96
30 26.867 (可変) 25.39
31 -82.113 1.40 1.61340 44.3 31.80
32 39.149 5.72 2.00330 28.3 35.17
33 604.811 (可変) 35.45
像面 ∞

非球面データ
第13面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.53438e-06 A 6=-1.13111e-09 A 8= 1.92582e-11
A10=-2.79764e-13 A12= 8.44208e-16

第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 7.37287e-06 A 6= 1.05231e-08 A 8= 1.68381e-12
A10=-1.62659e-13 A12= 4.08281e-16

第27面
K = 0.00000e+00 A 4= 4.07939e-06 A 6=-4.35164e-08 A 8=-1.70565e-10
A10= 8.77481e-13 A12=-1.05477e-15

第28面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.95653e-05 A 6=-2.84201e-08 A 8=-2.18521e-10
A10= 1.04036e-12 A12=-1.39448e-15

各種データ
ズーム比 3.34
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 53.92 82.45
Fナンバー 2.88 2.89 2.91
半画角(°) 38.82 21.86 14.70
像高 19.89 21.64 21.64
レンズ全長 143.84 159.28 174.73
BF 14.27 29.48 37.13

d 5 0.80 19.01 31.86
d13 21.61 6.57 2.39
d22 4.81 1.88 1.00
d28 1.34 2.41 1.33
d30 17.00 15.93 17.01
d33 14.27 29.48 37.13

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 103.64
2 6 -19.93
3 14 82.54
4 23 24.15
5 29 -62.18
6 31 1115.79

[数値例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 118.633 2.10 1.85478 24.8 61.67
2 74.843 6.06 1.59522 67.7 58.03
3 341.871 0.15 57.11
4 71.109 5.75 1.59522 67.7 54.65
5 363.658 (可変) 53.81
6 167.733 1.30 1.88300 40.8 32.76
7 20.705 5.15 26.31
8 1990.121 1.10 1.59522 67.7 25.88
9 21.243 4.62 1.85478 24.8 23.36
10 114.728 1.63 22.29
11 -67.322 3.73 1.65412 39.7 22.09
12 -21.185 1.05 1.76385 48.5 21.29
13* -411.223 (可変) 20.06
14(絞り) ∞ 0.40 21.34
15 37.481 2.89 2.00100 29.1 22.42
16 250.547 0.80 22.31
17 32.984 1.10 1.88300 40.8 22.15
18 20.601 5.92 1.48749 70.2 21.36
19 -79.896 3.10 21.02
20* -24.603 1.05 1.78880 28.4 20.40
21 46.293 2.86 1.49700 81.5 21.11
22 -206.809 (可変) 21.51
23 30.041 6.55 1.59522 67.7 22.87
24 -50.542 0.35 23.52
25 34.114 5.69 1.59522 67.7 23.82
26 -70.220 0.15 23.23
27* -3487.440 1.70 1.85400 40.4 22.89
28* 104.295 (可変) 22.48
29 108.171 0.90 1.80400 46.5 22.39
30 26.004 (可変) 22.06
31 -116.406 1.40 1.61340 44.3 30.03
32 37.527 5.58 1.84666 23.8 32.93
33 1518.207 (可変) 33.43
像面 ∞

非球面データ
第13面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.19979e-06 A 6=-3.92638e-09 A 8= 2.16253e-11
A10= 1.20024e-13 A12=-1.24115e-15

第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.02026e-05 A 6= 1.45605e-08 A 8=-4.60953e-11
A10= 3.55563e-13 A12=-1.81015e-15

第27面
K = 0.00000e+00 A 4=-3.27702e-05 A 6=-2.50635e-08 A 8= 7.81546e-10
A10=-4.86515e-12 A12= 1.11082e-14

第28面
K = 0.00000e+00 A 4=-3.94923e-06 A 6=-7.45729e-09 A 8= 8.07531e-10
A10=-5.29537e-12 A12= 1.24312e-14

各種データ
ズーム比 5.30
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 69.21 131.00
Fナンバー 4.08 4.08 4.12
半画角(°) 38.54 17.36 9.38
像高 19.69 21.64 21.64
レンズ全長 135.90 163.41 190.91
BF 13.40 32.85 47.26

d 5 0.80 29.34 48.34
d13 23.11 6.82 2.39
d22 6.67 2.47 0.99
d28 2.21 3.40 1.33
d30 16.63 15.44 17.51
d33 13.40 32.85 47.26

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 114.88
2 6 -20.42
3 14 92.65
4 23 21.29
5 29 -42.79
6 31 2402.87

[数値例5]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 244.959 2.10 1.85478 24.8 70.72
2 109.187 5.90 1.72916 54.7 66.85
3 859.737 0.15 65.79
4 66.220 7.47 1.59522 67.7 60.48
5 369.275 (可変) 59.38
6 89.150 1.30 1.88300 40.8 37.81
7 19.271 8.49 28.87
8 -133.903 1.10 1.59522 67.7 27.51
9 38.612 3.96 1.85478 24.8 25.45
10 -222.314 3.32 24.66
11 -41.614 5.26 1.65412 39.7 21.84
12 -15.847 1.05 1.76385 48.5 21.46
13* -84.865 (可変) 23.42
14(絞り) ∞ 0.40 25.25
15 35.646 3.20 2.00100 29.1 26.84
16 105.214 2.33 26.61
17 38.313 1.10 1.88300 40.8 26.32
18 20.483 7.35 1.59522 67.7 25.16
19 -114.739 3.20 24.73
20* -33.078 1.05 1.77047 29.7 23.99
21 35.275 3.89 1.49700 81.5 24.39
22 -458.384 1.76 24.74
23 28.726 6.88 1.59522 67.7 26.36
24 -89.764 0.35 25.83
25 35.115 5.00 1.59522 67.7 25.07
26 -79.121 0.15 24.74
27* -4026.920 1.70 1.85400 40.4 24.45
28* 118.939 (可変) 24.09
29 61.496 0.90 1.80400 46.5 24.12
30 25.279 (可変) 23.67
31 -88.401 1.40 1.61340 44.3 30.31
32 32.848 7.96 2.00330 28.3 34.13
33 198.042 (可変) 34.65
像面 ∞

非球面データ
第13面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.89290e-06 A 6= 7.20737e-10 A 8=-3.27030e-11
A10=-1.47230e-15 A12= 2.60321e-17

第20面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.85594e-06 A 6= 1.80550e-08 A 8=-2.20012e-11
A10=-2.64873e-13 A12= 7.24324e-16

第27面
K = 0.00000e+00 A 4=-3.06143e-05 A 6= 9.85581e-09 A 8= 3.30039e-10
A10=-6.90894e-13 A12=-9.71715e-16

第28面
K = 0.00000e+00 A 4=-6.70785e-06 A 6= 3.40841e-08 A 8= 1.61547e-10 A10=
4.28046e-13 A12=-3.68131e-15

各種データ
ズーム比 2.94
広角 中間 望遠
焦点距離 24.72 54.00 72.71
Fナンバー 2.88 2.89 2.91
半画角(°) 38.63 21.83 16.57
像高 19.75 21.64 21.64
レンズ全長 143.84 159.49 175.14
BF 13.38 30.66 36.76

d 5 0.80 19.98 32.04
d13 23.13 4.61 2.56
d28 1.33 3.15 1.28
d30 16.46 12.35 13.77
d33 13.38 30.66 36.76

レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 112.73
2 6 -21.43
3 14 27.72
4 29 -53.98
5 31 147910.83
【0055】
【表1】
【0056】
[撮像装置]
図16は、上記各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いた撮像装置としてのデジタルスチルカメラを示している。10はカメラ本体、11は実施例1~5のいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体10に内蔵され、撮像光学系11により形成された光学像(被写体像)を撮像するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子である。13は撮像素子12からの撮像信号を処理することで生成された画像データを記録する記録部であり、14は画像データを表示する背面ディスプレイである。
【0057】
各実施例のズームレンズを用いることで、小型で明るく良好な画質の画像を取得することが可能なカメラを得ることができる。
【0058】
なお、カメラは、クイックターンミラーを有する一眼レフカメラであってもよいし、クイックターンミラーを有さないミラーレスカメラであってもよい。さらに前述したようにビデオカメラ、放送用カメラおよび監視カメラ等の各種撮像装置に実施例1~5のズームレンズを用いることができる。
【0059】
以上の実施の形態は、以下の構成を含む。
【0060】
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、3つ以上のレンズ群を含み、全体として正の屈折力の後続群とを有し、ズーミングに際して全てのレンズ群が移動することで隣り合うレンズ群間の間隔が変化するズームレンズであって、
前記後続群における最も像側のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動し、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された1つの負レンズと2つの正レンズからなり、
前記第1レンズ群における最も像側のレンズ面の曲率半径をR1r、広角端での前記ズームレンズの焦点距離をfw、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第1レンズ群の移動量であって該第1レンズ群が広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときに正である移動量をmL1、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
10.0≦R1r/fw≦25.0
0.2≦mL1/f1≦0.7
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
(構成2)
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記全てのレンズ群が物体側へ移動することを特徴とする構成1に記載のズームレンズ。
(構成3)
前記第1レンズ群の前記2つの正レンズのd線における屈折率の平均値をnd1pとするとき、
1.55≦nd1p≦1.75
なる条件を満足することを特徴とする構成1または2に記載のズームレンズ。
(構成4)
前記第1レンズ群の前記負レンズのd線を基準とするアッベ数をνd1nとするとき、
20≦νd1n≦30
なる条件を満足することを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成5)
前記第2レンズ群は、最も物体側に負レンズを有し、
前記最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2r、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
0.8≦|R2r/f2|≦1.2
なる条件を満足することを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成6)
前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をftとするとき、
0.6≦f1/ft≦1.7
なる条件を満足することを特徴とする構成1から5のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成7)
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfwとするとき、
0.7≦|f2/fw|≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成8)
前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
4.4≦|f1/f2|≦6.0
なる条件を満足することを特徴とする構成1から7のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成9)
前記第1レンズ群の前記負レンズの焦点距離をf1n、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
1.2≦|f1n/f1|≦2.3
なる条件を満足することを特徴とする構成1から8のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成10)
前記第2レンズ群は、4つ以上のレンズを有することを特徴とする構成1から9のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成11)
前記第2レンズ群に含まれる1つ以上の負レンズのうちd線を基準とするアッベ数が最も大きい負レンズの前記アッベ数をνd2nとするとき、
60≦νd2n≦100
なる条件を満足することを特徴とする構成1から10のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成12)
前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記ズームレンズの広角端でのバックフォーカスをskwとするとき、
1.1≦|f2/skw|≦2.2
なる条件を満足することを特徴とする構成1から11のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成13)
前記ズームレンズの望遠端でのバックフォーカスをsktとするとき、
1.8≦f1/skt≦3.6
なる条件を満足することを特徴とする構成1から12のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成14)
前記第3レンズ群L3の広角端から望遠端までのズーミングにおける移動量であって該第3レンズ群が広角端に比べて望遠端において物体側に位置するときに正である移動量ををmL3とするとき、
1.2≦mL1/mL3≦2.2
なる条件を満足することを特徴とする構成1から13のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成15)
前記ズームレンズは、開口絞りを有し、
前記ズームレンズの望遠端でのFナンバーをFnot、望遠端での前記開口絞りの有効径をhsp、前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をftとするとき、
0.6≦fnot×hsp/ft≦1.1
なる条件を満足することを特徴とする構成1から14のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成16)
前記第1レンズ群において最も像側のレンズ面の曲率半径をR1r、前記第2レンズ群において最も物体側の負レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2rとするとき、
1.00≦(R1r+R2r)/(R1r-R2r)≦1.25
なる条件を満足することを特徴とする構成1から15のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成17)
広角端から望遠端へのズーミングにおいて、前記全てのレンズ群が物体側へ移動することを特徴とする構成1から16のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成18)
物体側から像側へ順に配置された、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群および負の屈折力の第7レンズ群からなることを特徴とする構成1から17のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成19)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群および正の屈折力の第7レンズ群からなることを特徴とする構成1から17のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成20)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群および正の屈折力の第6レンズ群からなることを特徴とする構成1から17のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成21)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群および正の屈折力の第5レンズ群からなることを特徴とする構成1から17のいずれか1つに記載のズームレンズ。
(構成22)
構成1から21のいずれか1つに記載のズームレンズと、
該ズームレンズを通して被写体を撮像する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【0061】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3~L7 第3から第7レンズ群(後続群)
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