(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016046
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】低CTEガラス層を含む多層断熱ガラスユニット
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20240130BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20240130BHJP
B32B 17/06 20060101ALI20240130BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20240130BHJP
B32B 3/26 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
C03C27/06 101D
C03C27/06 101J
C03C27/06 101H
E06B3/66 E
B32B17/06
B32B7/027
B32B3/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177419
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2020534250の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/609,069
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】トマ ベルタン-ムーロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス グレゴリー クイヤール
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アーロン マクドナルド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】質量、厚さ、および/または製造原価の減少を含む、他の設計制約も満足させることのできる、熱的および/または断熱特性が改善された断熱ガラスユニットを提供する。
【解決手段】少なくとも第1のガラス層10、第2のガラス層20およびそれらの間に配置された第3のガラス層30を備える。第3のガラス層は、第1と第2の密閉ギャップ間隔によって、第1のガラス層および第2のガラス層から隔てられている。第3のガラス層は、第1および/または第2のガラス層のCTEと比べて、低いCTEを有する。ある場合には、第3のガラス層は、0~300℃の温度範囲に亘り70×10
-7/℃未満のCTEを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張係数CTE1を有する第1のガラス層、
熱膨張係数CTE2を有する第2のガラス層、
前記第1と第2のガラス層の間に配置され、熱膨張係数CTE3を有する第3のガラス層、
前記第1のガラス層と前記第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および
前記第2のガラス層と前記第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔、
を含む断熱ガラスユニットであって、
0~300℃の温度範囲に亘り測定して、CTE1>CTE3またはCTE2>CTE3の少なくとも一方が成り立ち、
前記第3のガラス層が、70×10-7/℃未満のCTE3および0.3mmから1.2mmの厚さを有する、断熱ガラスユニット。
【請求項2】
前記第3のガラス層が、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスまたは無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスを含む、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項3】
前記第3のガラス層が、約0.5mmから約1mmの厚さを有する、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項4】
前記第3のガラス層が、約0.6mmから約0.9mmの厚さを有する、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項5】
前記第1と第2のガラス層の少なくとも一方が、約2mm超の厚さを有する、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項6】
前記第1と第2のガラス層の少なくとも一方が、4mmから7mmの厚さを有する、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項7】
前記第1、第2、および第3のガラス層の内の少なくとも1つが、化学強化または熱的テンパリングされている、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項8】
前記第1、第2、および第3のガラス層の内の少なくとも1つが、ガラス積層体である、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項9】
前記第1のガラス層の内面、前記第2のガラス層の内面、または前記第3のガラス層の主面の内の少なくとも1つが、少なくとも1つの低放射率コーティングで被覆されている、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項10】
前記第1の密封ギャップ間隔および前記第2の密封ギャップ間隔の少なくとも一方に、少なくとも1種類の断熱ガスまたは空気とのその混合物が充填されている、請求項1に記載の断熱ガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容がここに全て引用される、2017年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/609069号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
また、本願は、2018年12月20日に出願された、特願2020-534250号の分割出願である。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、少なくとも1つの低CTEガラス層を含む断熱ガラスユニットに関する。より詳しくは、本開示は、マルチペイン窓(multi-pane windows)として使用できる、70×10-7/℃未満のCTEを有する少なくとも1つのガラス層を含む多層断熱ガラスユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
断熱ガラスユニット(IGU)は、建築、自動車、ディスプレイ、および電気器具の部材を含む多種多様の用途における部材として有用である。IGUは、外部環境温度からの断熱特性を提供するために、建物または自動車におけるマルチペイン窓として使用されることがある。IGUは、典型的に、シールにより周辺端部で密封された2枚以上のガラスシートを含む。それらのガラスシートは間隔が空けられ、各ガラスシートの間の空間には、一旦密閉されたら、アルゴンやクリプトンなどの不活性ガス、または不活性ガス混合物を充填することができる。そうすることで、IGUの断熱または熱的性能を改善することができる。熱的および断熱性能に加え、IGUは、典型的に、質量の減少、厚さの減少、光透過率の改善、機械的強度の改善、および/または製造原価の減少を含む他の設計制約を満たす必要があるであろう。
【0004】
三重IGU(例えば、2つの空気腔を有する3つの板ガラス)は、日射熱取得率(SHGC)および/または断熱U値の20~30%以上の改善で示されるように、二重IGU(例えば、1つの空気腔を有する2つの板ガラス)と比べて、改善された熱的および断熱性能を示す。しかしながら、三重IGUは、質量、厚さおよび/または製造原価の減少などの他の設計制約を満たさないことがある。追加のガラス層に関連する質量、厚さ、および/または製造原価の追加は、特定の用途の設計要件を満たさないようにIGUに悪影響を及ぼすであろう。
【0005】
それに加え、中心のガラス層は両面で断熱されているので、内側に面するガラス層と外側に面するガラス層よりも、ずっと高い温度に、したがって、より高い応力レベルに到達し得る。破損の可能性を減少させるために、中心のガラス層は、多くの場合、その機械的強度を改善するために、熱的にテンパリングまたは熱強化される。しかしながら、熱強化過程は、より厚いガラス基板、例えば、少なくとも約2~3mmの厚さのガラス基板を必要とし得る。上述したように、この厚さのガラス層は、望ましからずに、IGUの全厚および/または全質量を増加させ得、追加のテンパリング工程は、IGUの製造原価を増加させ得る。さらに、熱的テンパリングは、中心のガラス層を反らせおよび/またはその複屈折を生じさせ、それによって、IGUの光学的品質を低下させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、以下に限られないが、質量、厚さ、および/または製造原価の減少を含む、他の設計制約も満足させることのできる、熱的および/または断熱特性が改善されたIGUを提供することが都合よいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、様々な実施の形態において、第1のガラス層、第2のガラス層、および第1と第2のガラス層の間に配置された第3のガラス層、第1と第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および第2と第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔を含む断熱ガラスユニットであって、第3のガラス層が、70×10-7/℃未満の温度範囲0~300℃に亘る熱膨張係数(CTE)を有する、断熱ガラスユニットに関する。
【0008】
本開示は、熱膨張係数CTE1を有する第1のガラス層、熱膨張係数CTE2を有する第2のガラス層、および第1と第2のガラス層の間に配置され、熱膨張係数CTE3を有する第3のガラス層、第1と第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および第2と第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔を含む断熱ガラスユニットであって、0~300℃の温度範囲に亘り測定して、CTE1>CTE3またはCTE2>CTE3の少なくとも一方が成り立つ、断熱ガラスユニットにも関する。
【0009】
様々な実施の形態によれば、第1と第2のガラス層の少なくとも一方は、約2mm超の厚さを有し得る。第1、第2、および第3のガラス層の内の少なくとも1つは、化学強化または熱的テンパリングされ得る。特定の実施の形態において、第1のガラス層の内面、第2のガラス層の内面、または第3のガラス層の主面の内の少なくとも1つは、少なくとも1つの低放射率コーティングで被覆され得る。さらなる実施の形態によれば、第3のガラス層の少なくとも一方の主面は、インクまたは光散乱特徴で少なくとも部分的にパターン化され得る。またさらなる実施の形態において、少なくとも1種類の断熱ガスまたは空気とのその混合物を使用して、第1および/または第2の密閉ギャップ間隔を充填することができる。
【0010】
ここに開示された断熱ガラスユニットは、特定の実施の形態において、第1と第2のガラス層の間に配置された第4のガラス層、および第3のガラス層と第4のガラス層との間に画成された第3の密封ギャップ間隔を備えることがある。いくつかの実施の形態において、第4のガラス層は、70×10-7/℃未満の温度範囲0~300℃に亘る熱膨張係数(CTE)を有し得る。第3および/または第4のガラス層は、様々な実施の形態において、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスまたは無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスなどのアルミノホウケイ酸塩ガラスから作られることがある。非限定的実施の形態によれば、第3および/または第4のガラス層は、フロート成形されたガラスから作ることができる。第3および/または第4のガラス層の厚さは、約2mm未満、または代わりの実施の形態において、約1.5mm超であり得る。
【0011】
本開示の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載されたように方法を実施することによって、認識されるであろう。
【0012】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、本開示の様々な実施の形態を示しており、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されているが理解されよう。添付図面は、本開示のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施の形態を示しており、説明と共に、本開示の原理および作動を説明する働きをする。
【0013】
以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読んだときに、さらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施の形態による3層IGUの断面図
【
図2】本開示の実施の形態による4層IGUの断面図
【
図3】本開示の実施の形態によるIGUの例示の中心ガラス層の正面図
【
図4】+60℃での3層IGUにおけるEAGLE XG(登録商標)ガラスの中心層での最大主応力を示す図
【
図5】-40℃での3層IGUにおける「EAGLE XG」ガラスの中心層の撓みを示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本開示の様々な実施の形態を、
図1~5を参照して論じる。これらの図は、IGUの例示の実施の形態、およびそれらの部材、特徴、または性質を示す。先の一般的な説明は、請求項に記載されたデバイスの概要を提供する目的であり、様々な態様が、非限定的に示された実施の形態に関連して、本開示の全体に亘りより具体的に論じられ、これらの実施の形態は、本開示の脈絡の中で互いに交換可能である。
【0016】
第1のガラス層、第2のガラス層、および第1と第2のガラス層の間に配置された第3のガラス層、第1と第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および第2と第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔を含む断熱ガラスユニットであって、第3のガラス層が、70×10-7/℃未満の温度範囲0~300℃に亘る熱膨張係数(CTE)を有する、断熱ガラスユニットが、ここに開示されている。
【0017】
熱膨張係数CTE1を有する第1のガラス層、熱膨張係数CTE2を有する第2のガラス層、および第1と第2のガラス層の間に配置され、熱膨張係数CTE3を有する第3のガラス層、第1と第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および第2と第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔を含む断熱ガラスユニットであって、0~300℃の温度範囲に亘り測定して、CTE1>CTE3またはCTE2>CTE3の少なくとも一方が成り立つ、断熱ガラスユニットも、ここに開示されている。
【0018】
例示のIGU100が
図1に示されており、このIGUは、3つのガラス層10、20、および30を含む。第1の(外側)ガラス層10は、その外面12が周囲外部環境に面するように位置付けることができる。第2の(内側)ガラス層20は、その外面22が内部、例えば、建物、自動車、電気器具の内部に面するように位置付けることができる。第3の(中心)ガラス層30は、ガラス層10、20の間に、それらから間隔を空けて配置することができる。第3のガラス層30は、第1と第2のガラス層10、20に対して実質的に平行に位置付けることができる。ガラス層10、20、30は全て、光学的に透明であり得る、もしくはそれらの層の1つ以上、またはその1つ以上の部分は、半透明、不透明、または半不透明(semi-opaque)であり得る。
【0019】
様々な実施の形態によれば、第1と第2のガラス層10、20は、第3のガラス層30よりも厚いことがある。いくつかの実施の形態において、ガラス層10、20は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約3mmから約8mm、約4mmから約7mm、または約5mmから約6mmなど、約2mmから約10mmに及ぶ厚さを有し得る。非限定的実施の形態において、第1と第2のガラス層10、20はソーダ石灰ガラスから作ることができるが、制限なく、アルミノケイ酸塩およびアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、または他の同様のガラスなど、他のガラスタイプも使用することができる。第1および/または第2のガラス層10、20の熱膨張係数(CTE)は、様々な実施の形態において、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約75×10-7/℃超、約80×10-7/℃超、約85×10-7/℃超、約90×10-7/℃超、約95×10-7/℃超、または約10×10-6/℃超など、約70×10-7/℃超である、例えば、約70×10-7/℃から約15×10-6/℃に及ぶことがある。
【0020】
様々な実施の形態によれば、第1と第2のガラス層10、20の一方または両方は、これらの層の一方または両方の機械的強度を改善するために、例えば、熱的テンパリング、化学強化、または他の同様の過程によって、強化することができる。第1と第2のガラス層10、20は、いくつかの実施の形態において、フロートまたはフュージョンドロー製造過程によって、製造することができる。
【0021】
本開示の特定の実施の形態において、第1のガラス層10の内面14は、熱的性能を改善するための低放射率コーティングなど、少なくとも1つの第1のコーティング16で部分的にまたは完全に被覆することができる。低放射率コーティングは、当該技術分野において公知であり、制限なく、例えば、いくつか例を挙げると、銀、チタン、およびフッ素ドープ酸化スズなどの、1種類以上の金属および/または金属酸化物を含む、スパッタリング被覆熱分解コーティングを含むことがある。それに代えて、またはそれに加え、第2のガラス層20の内面24は、少なくとも1つの第2のコーティング26で部分的にまたは完全に被覆することができる。第1と第2のコーティング16および26は、IGUの所望の性質および/または最終用途に応じて、同じであっても、異なっても差し支えない。コーティングの組合せも使用してよい。様々な実施の形態において、コーティング16、26の一方または両方は、光学的に透明であり得る。
【0022】
非限定的実施の形態において、第3のガラス層30は、第1と第2のガラス層10、20より薄いことがある。いくつかの実施の形態において、第3のガラス層30は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.1mmから約1.5m、約0.3mmから約1.2m、約0.5mmから約1m、約0.6mmから約0.9m、または約0.7mmから約0.8mなど、約2mm未満の厚さを有し得る。さらなる実施の形態によれば、第3のガラス層30は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約1.5mmから約4mm、または約2mmから約3.5mm、または約2.5mmから約3mmに及ぶなど、1.5mm超、またさらには2mm超の厚さを有することがある。
【0023】
非限定的実施の形態において、第3のガラス層30は、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラス、または無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、または他の類似のガラスタイプなど、アルミノホウケイ酸塩ガラスから作ることができる。例示の市販のガラス製品としては、以下に限られないが、Corning(登録商標)Willow(登録商標)、「EAGLE XG」、およびLotus(登録商標)ガラスが挙げられる。様々な実施の形態によれば、第3のガラス層30は、この層の機械的強度を改善するために、例えば、熱的テンパリング、化学強化、または他の同様の過程によって、強化することができる。第3のガラス層30は、いくつかの実施の形態において、フロートまたはフュージョンドロー製造過程によって、製造することができる。
【0024】
様々な実施の形態によれば、第3のガラス層30は、第1および/または第2のガラス層10、20のCTEと比べて、低いCTEを有し得る。ここに用いられているように、CTEは、0~300℃の温度範囲に亘り、例えば、約20℃の温度で測定された、特定されたガラス層の熱膨張係数を称する。特定の実施の形態において、第3のガラス層のCTE(CTE3)は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約60×10-7/℃未満、約50×10-7/℃未満、約45×10-7/℃未満、約40×10-7/℃未満、約35×10-7/℃未満、約30×10-7/℃未満、または約25×10-7/℃未満など、約70×10-7/℃未満であり得る、例えば、約10×10-7/℃から約70×10-7/℃に及び得る。追加の実施の形態において、第1のガラス層のCTE(CTE1)および/または第2のガラス層のCTE(CTE2)は、CTE1>CTE3および/またはCTE2>CTE3、またはCTE1≧2*CTE3および/またはCTE2≧2*CTE3、またはCTE1≧2.5*CTE3および/またはCTE2≧2.5*CTE3、またはCTE1≧3*CTE3および/またはCTE2≧3*CTE3など、CTE3より大きいことがあり得る。
【0025】
図1に示されていないが、第3のガラス層30の一方または両方の主面は、コーティング16、26に関して先に述べた低放射率コーティングなど、少なくとも1つのコーティングで部分的にまたは完全に被覆されることがある。それに代えて、またはそれに加え、第3のガラス層30の一方または両方の主面は、インクおよび/または表面特徴、例えば、装飾インク、光散乱インク、および/または光散乱表面特徴で部分的にまたは完全にパターン化することができる。表面下のガラス基質内に位置するバルク散乱特徴も、例えば、レーザパターン形成によって、第3のガラス層30内に設けられることがある。表面散乱特徴も、レーザパターン形成によって製造されることがある。第3のガラス層30の両方の主面上にコーティングおよび/またはパターンが設けられる場合、これらのコーティングおよび/またはパターンは、IGUの所望の性質および/または最終用途に応じて、同じであっても、異なっても差し支えない。コーティングの組合せおよび表面パターンの組合せも使用してよい。追加の実施の形態において、第3のガラス層30は、少なくとも1つのコーティングと、インク、表面特徴、および/またはバルク特徴の内の少なくとも1つとを含み得る。もちろん、第1と第2のガラス層10、20に、そのようなコーティング、パターン、および/または特徴を同様に設けることもできる。
【0026】
再び
図1を参照すると、第3のガラス層30および外側ガラス層10は、間隔を空けることができ、それらの間に第1のギャップ間隔15を画成することができ、第3のガラス層30および第2のガラス層20は、間隔を開けることができ、それらの間に第2のギャップ間隔25を画成することができる。両方のギャップ間隔15、25は、シーラントアセンブリ18、28により密封することができ、それらのアセンブリは同じであっても、異なってもよい。例示のシーラントアセンブリは、シリコーンゴムなどの高分子系シールまたは他のシーリング材から形成することができる。ギャップ間隔15、25に不活性ガスを充填することができ、これにより、IGUの熱的性能がさらに改善されるであろう。適切な不活性ガスとしては、以下に限られないが、アルゴン、クリプトン、キセノン、およびそれらの組合せが挙げられる。不活性ガスの混合物または1種類以上の不活性ガスと空気との混合物も使用できる。例示の非限定的不活性ガス混合物に、90/10または95/5アルゴン/空気混合物、95/5クリプトン/空気混合物、または22/66/12アルゴン/クリプトン/空気混合物がある。IGUの所望の熱的性能および/または最終用途に応じて、他の比率の不活性ガスまたは不活性ガスと空気も使用することができる。様々な実施の形態によれば、ギャップ間隔15、25を充填するために使用される気体は、同じであっても、異なってもよい。
【0027】
第1のギャップ間隔15および第2のギャップ間隔25内のガス圧は、同じであっても、異なっても差し支えない。ガス圧差は、例えば、2つの間隔内の平均ガス温度の差によることがある、例えば、第1のギャップ間隔15内のガスは、相対周囲温度と内部温度に応じて、第2のギャップ間隔25内のガスより温かいことがある、またはその逆も同様であろう。2つのギャップ間隔15、25の間の差圧は、第3のガラス層30の厚さに応じて、この層を曲げるまたは湾曲させるのに十分であることがある。湾曲を防ぐために、いくつかの実施の形態において、第3のガラス層30に少なくとも1つのチャンネルまたは開口を設けて、ギャップ間隔15内のガスをギャップ間隔25内のガスに接触させることができる。開口は、例えば、第3のガラス層30に1つ以上のオリフィスまたは穴を開けることによって、設けてもよい。
【0028】
あるいは、
図3に示されるように、例えば、機械的罫書きと分割、またはレーザ切断により、第3のガラス層30の1つ以上の角を切り取ってもまたは切り抜いてもよい。それゆえ、第3のガラス層30の外周形状は、ガラス層が欠けるおよび/または割れる可能性が減少するように変えてもよい。第3のガラス層30をIGU内で密封するときに、切断角部55は、ギャップ間隔15、25からのガスがそこを通って互いに接触できるチャンネルを提供することができる。この接触により、2つのギャップ間隔間の差圧をなくし、または減少させ、それによって、第3のガラス層30の湾曲を減少させるまたはなくすことができる。
【0029】
ここで
図2を参照すると、4つのガラス層10、20、30、40を含む代わりのIGU200が示されている。図示された実施の形態は、IGU200が追加の第4の(中心)ガラス層40を含むことを除いて、
図1のものに似ている。中心ガラス層30、40は、第1と第2のガラス層10、20の間に配置されている。
【0030】
非限定的実施の形態において、第4のガラス層40は、第1と第2のガラス層10、20より薄いことがある。いくつかの実施の形態において、第4のガラス層40は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.1mmから約1.5m、約0.3mmから約1.2m、約0.5mmから約1m、約0.6mmから約0.9m、または約0.7mmから約0.8mなど、約2mm未満の厚さを有し得る。さらなる実施の形態によれば、第4のガラス層40は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約1.5mmから約4mm、または約2mmから約3.5mm、または約2.5mmから約3mmに及ぶなど、1.5mm超、またさらには2mm超の厚さを有することがある。第4のガラス層40の厚さは、第3のガラス層30の厚さと同じであっても、異なっても差し支えない。
【0031】
非限定的実施の形態において、第4のガラス層40は、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラス、または無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、もしくは他の同様のガラスタイプなどのアルミノホウケイ酸塩ガラスから作ることができる。例示の市販のガラス製品としては、以下に限られないが、「Corning」「Willow」、「EAGLE XG」、および「Lotus」ガラスが挙げられる。様々な実施の形態によれば、第4のガラス層40は、この層の機械的強度を改善するために、例えば、熱的テンパリング、化学強化、または他の同様の過程によって、強化することができる。第4のガラス層40は、いくつかの実施の形態において、フロートまたはフュージョンドロー製造過程によって、製造することができる。第4のガラス層40の組成は、第3のガラス層30の組成と同じであっても、異なっても差し支えない。第4のガラス層40の機械的性質、例えば、強化の程度は、同様に、第3のガラス層30の機械的性質と同じであっても、異なっても差し支えない。
【0032】
様々な実施の形態によれば、第4のガラス層40は、第1および/または第2のガラス層10、20のCTEと比べて、低いCTEを有し得る。特定の実施の形態において、第4のガラス層のCTE(CTE4)は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約60×10-7/℃未満、約50×10-7/℃未満、約45×10-7/℃未満、約40×10-7/℃未満、約35×10-7/℃未満、約30×10-7/℃未満、または約25×10-7/℃未満など、約70×10-7/℃未満であり得る、例えば、約10×10-7/℃から約70×10-7/℃に及び得る。追加の実施の形態において、第1のガラス層のCTE(CTE1)および/または第2のガラス層のCTE(CTE2)は、CTE1>CTE4および/またはCTE2>CTE4、またはCTE1≧2*CTE4および/またはCTE2≧2*CTE4、またはCTE1≧2.5*CTE4および/またはCTE2≧2.5*CTE4、またはCTE1≧3*CTE4および/またはCTE2≧3*CTE4など、CTE4より大きいことがあり得る。CTE3およびCTE4は、同一であっても、異なってもよい。非限定的実施の形態によれば、CTE3は、CTE4と実質的に等しい。
【0033】
図2に示されていないが、第3のガラス層30および/または第4のガラス層40の一方または両方の主面は、コーティング16、26(
図1参照)に関して先に述べた低放射率コーティングなど、少なくとも1つのコーティングで部分的にまたは完全に被覆されることがある。それに代えて、またはそれに加え、第3のガラス層30および/または第4のガラス層40の一方または両方の主面は、インクおよび/または表面特徴、例えば、装飾インク、光散乱インク、および/または光散乱表面特徴で部分的にまたは完全にパターン化することができる。表面下のガラス基質内に位置するバルク散乱特徴も、例えば、レーザパターン形成によって、第3のガラス層および/または第4のガラス層30、40内に設けられることがある。表面散乱特徴も、レーザパターン形成を使用して製造されることがある。第3のガラス層および/または第4のガラス層30、40の一方または両方の主面上のコーティングおよび/または表面パターンは、IGUの所望の性質および/または最終用途に応じて、同じであっても、異なっても差し支えない。コーティングの組合せおよび表面パターンの組合せも使用してよい。追加の実施の形態において、第3および/または第4のガラス層30、40は、少なくとも1つのコーティングと、インク、表面特徴、および/またはバルク特徴の内の少なくとも1つとを含み得る。
【0034】
第3のガラス層30および外側ガラス層10は、間隔を空けることができ、それらの間に第1のギャップ間隔15を画成することができ、第3のガラス層30および第4のガラス層40は、間隔を空けることができ、それらの間に第3のギャップ間隔35を画成することができ、第4のガラス層40および内側ガラス層20は、間隔を開けることができ、それらの間に第4のギャップ間隔45を画成することができる。ギャップ間隔15、35、45は、シーラントアセンブリ18、38、48により密封することができ、それらのアセンブリは同じであっても、異なってもよい。例示のシーラントアセンブリは、先に述べられており、ギャップ間隔を充填するための例示の不活性ガスおよび不活性ガス混合物は、
図1を参照して先に開示されている。様々な実施の形態によれば、ギャップ間隔15、35、45を充填するために使用される気体は、同じであっても、異なってもよい。第4のガラス層40は、1つ以上の切断角部(
図3参照)も含んでよい。
【0035】
図1~2を参照すると、ギャップ間隔15、25、35、45の厚さは、IGU構造に応じて様々であり得、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約7mmから約16mm、約8mmから約14mm、または約10mmから約12mmなど、約6mmから約18mmに及ぶことがある。ギャップ間隔15、25(
図1)またはギャップ間隔15、35、45(
図2)の厚さは、同じであっても、異なってもよい。IGU100の全厚は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約36mm以下、約32mm以下、約30mm以下、約28mm以下、または約26mm以下など、約40mm以下であり得る。いくつかの実施の形態において、ギャップ間隔の厚さが約14mmから約16mmに及び、IGU100の全厚が約36mmから約40mmに及ぶときに、断熱特性の改善を表す、低U値が得られる。IGU200の全厚は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約56mm以下、約54mm以下、約50mm以下、約40mm以下、約30mm以下、または約26mm以下など、約60mm以下であり得る。いくつかの実施の形態において、ギャップ間隔の厚さが約16mmから約18mmに及び、IGU200の全厚が約54mmから約60mmに及ぶときに、断熱特性の改善を表す、低U値が得られる。
【0036】
図1~3のガラス層は、単一ガラスシートとしてここに称されているが、それらのガラス層は、ガラス-高分子積層体構造またはガラス-ガラス積層体構造を含むガラス積層体構造を含み得るので、ここに付随の特許請求の範囲はそのように限定されるべきではないことを留意すべきである。適切なガラス-高分子積層体構造としては、高分子フイルムに積層されたガラスの単一シート、中間高分子フイルムを有する2枚のガラスシートなどが挙げられる。適切なガラス-ガラス積層体構造としては、内側ガラスコアおよび1つまたは2つの外側ガラスクラッド層を有する構造が挙げられる。いくつかの実施の形態において、その積層体は、3つ以上のガラス層など、2つ以上のガラス層を含み得、それらのガラス層は、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラス、無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、およびソーダ石灰ガラスから選択される。例示のガラス-ガラス積層体構造およびその製造方法は、その全てがここに引用される、共同所有の米国特許第8007913号明細書、米国特許出願公開第2013/0015180号および同第2013/312459号の各明細書、および国際公開第14/018838号に記載されている。
【0037】
ここに開示されたIGUは、いくつか例を挙げると、建物および他の建築用途における窓、ドア、および天窓、自動車および他の車両用途における窓、電気器具における窓または表示パネル、および電子機器における表示パネルなど、様々な用途に使用されることがある。様々な実施の形態によれば、IGUの1つ以上の領域に亘る照明を与えるために、IGUの少なくとも1つのエッジに1つ以上のLEDが光学的に結合されることがある。エッジ照明は、例えば、太陽光に似た照明を与えることができ、これは、様々な建築および自動車用途において、例えば、天窓およびサンルーフとして有用であり得る。先に述べたように、IGUにおける1つ以上のガラス層にバルクまたは表面光散乱特徴を設けることができ、このことは、IGUを透過する光の均一性を促進することができる。低CTEガラスは、いくつかの実施の形態において、レーザパターン形成中にひびが入ったり、他の欠陥を生じたりする、CTEがより高いガラスと比べて、そのような光散乱特徴を生じるのにより容易にレーザ加工されるであろう。
【0038】
様々な非限定的実施の形態において、中心ガラス層、例えば、第3および/または第4のガラス層に低CTEガラスを使用すると、従来のIGUを上回るいくつかの利点を提供することができる。例えば、低CTE中心ガラス層は、IGUに亘る温度勾配により生じる熱応力および/または破損に対して改善された抵抗性を有し得る。それゆえ、そうでなければ、ソーダ石灰ガラスなどの、CTEがより高い従来のガラスから作られた中心ガラス層を強化するために、使用されるであろう熱的テンパリング工程をなくすことによって、製造原価が低下するであろう。
【0039】
中心ガラス層の熱的テンパリングを避けることができるので、IGUの光学的性能は、例えば、そのような処理工程により生じる歪みまたは複屈折がないために、改善されるであろう。熱的テンパリング工程がないことにより、より薄い中心ガラス層も可能になり、IGU全体の厚さおよび/または質量の減少をもたらすことができる。IGUの質量の減少により、製造、輸送、設置、メンテナンス、および/または操作中の費用を節約することができる。IGUの厚さの減少は、そうしなければ設計制約により限定されるであろうIGUの用途の範囲を拡張することができる。
【0040】
より薄い低CTE中心層により、ガラス層の間の密封ギャップ間隔をより幅広くすることもできる。密封ギャップ間隔中の断熱ガスの体積がより大きいと、IGUのエネルギー効率を改善することができる。密封ギャップ間隔が狭いIGUは、ギャップ間隔内のガスの収縮により湾曲する虞が増加するであろう。その湾曲は、外側ガラス層と中心ガラス層との間の接触をもたらし得る。そのような接触は、外見上望ましくなく、ガラス層間の直接的な熱伝導も可能にし、このことは、エネルギーの観点からも許容できない。より薄い低CTE中心ガラス層を使用すると、ギャップを幅広くし、したがって、湾曲および/またはガラス層間の接触の潜在的な虞を減少させることができる。
【0041】
IGUのガラスの破損をもたらす熱応力が、例えば、IGUのある領域の、IGUの別の領域に対する急な温度変化により生じ得る。例えば、内部温度と比べた外部(周囲)温度の急上昇、またはその逆の急上昇により、IGUの1つ以上の領域に熱応力が生じることがある。寒い朝に、窓に入射する太陽光は、その太陽光に暴露されたIGUの領域の温度を急激に上昇させ得る一方で、例えば、窓枠の下に配置された、IGUの周囲は、冷たいままである。有限要素解析(FEA)モデル化は、中心ガラス層に生じた熱応力は、従来のソーダ石灰ガラスについて、約0.62MPa/℃の温度差に到達し得ることを示す。夏季の条件(例えば、約28℃)下で、中心ガラス層は、60℃の高温に到達し、中心ガラス層と外側ガラス層との間に40℃の大きい温度差を生じ得る。それゆえ、ソーダ石灰ガラスから作られた中心層に生じる熱応力は、約25MPa以上であり得る。
【0042】
ソーダ石灰ガラスは、約90×10-7/℃のCTEを有する。比較して、「Corning」「EAGLE XG」ガラスは、ソーダ石灰ガラスのCTEの約1/3である、31.7×10-7/℃のCTEを有する。上述した同じ40℃の温度勾配下で、「EAGLE XG」ガラスから作られた中心層は、たった8.7MPaの熱応力しか経験せず、熱的テンパリングまたは化学強化がなくても、破損の虞が低くなるであろう。
【0043】
IGUにおけるCTEがより高い2つのガラス層の間の中心ガラス層としての低CTEガラスの使用を評価するために、モデル化を行った。モデルは、ソーダ石灰ガラスから作られた外側ガラス層(厚さ=4mm)、ソーダ石灰ガラスから作られた内側ガラス層(厚さ=6mm)、および「EAGLE XG」ガラスから作られた中心ガラス層(厚さ=0.7mm)を備えた3層IGU(長さ=1265mm、幅=989mm)とした。中心ガラス層と、内側および外側ガラス層との間のギャップは、12mm幅であり、アルゴンガスが充填されており、シリコーンゴム周辺シールで密封された。
【0044】
図4を参照すると、「EAGLE XG」中心ガラス層上の引張応力を+60℃でモデル化して、ソーダ石灰ガラス層が高温のために膨張する状況をシミュレーションした。
図5は、ソーダ石灰ガラス層が低温のために収縮する状況をシミュレーションするための-40℃での「EAGLE XG」中心ガラス層上の圧縮応力のモデルである。
図4は、+60℃での「EAGLE XG」中心ガラス層上の最大主応力が1MPa未満であることを示し、
図5は、「EAGLE XG」中心ガラス層の撓みが1mm未満であることを示し、モデル化IGUが、高温と低温の勾配の両方により誘発した熱応力による破損、歪み、および/または座屈に適切に耐えられることを示している。
【0045】
様々な開示の実施の形態は、特定の実施の形態に関して記載された特定の特徴、要素または工程を含んでもよいことが認識されよう。特定の特徴、要素または工程は、1つの特定の実施の形態に関して記載されているが、様々な図示されていない組合せまたは順序で、代わりの実施の形態と交換されても、または組み合わされてもよいことも認識されよう。
【0046】
名詞は、「少なくとも1つ」の対象を指し、それとは反対であると明白に示されていない限り、「ただ1つ」に限定されるべきではないことも理解されよう。それゆえ、例えば、「要素」への言及は、文脈が別なふうに明確に示していない限り、そのような「要素」を1つまたはそのような「要素」を2つ以上有する例を含む。同様に、「複数」または「一連」は、2つ以上を示す意図があり、よって、「一連の要素」または「複数の要素」は、そのような要素の2つ以上を示す。
【0047】
範囲は、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値まで、とここに表すことができる。そのような範囲が表されている場合、例は、その1つの特定の値から、および/または他方の特定値まで、を含む。同様に、値が、「約」という先行詞を使用して、近似として表されている場合、その特定値は別の態様を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点に関係なくの両方で、有意であることがさらに理解されよう。
【0048】
ここに表された全ての数値は、他に明白に示されていない限り、そのように述べられていてもいなくても、「約」を含むと解釈すべきである。しかしながら、列挙された各数値は、「約」その値として表現されているか否かにかかわらず、 同様に、正確に考えられることがさらに理解されよう。それゆえ、「100nm未満の寸法」および「約100nm未満の寸法」の両方は、「約100nm未満の寸法」並びに「100nm未満の寸法」の実施の形態を含む。
【0049】
他に明白に示されていない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることは、決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に列挙していない場合、またはその工程が特定の順序に限定されるべきであることが、請求項または説明に他に具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も暗示されることは、決して意図されていない。
【0050】
特定の実施の形態の様々な特徴、要素または工程が、「含む」という移行句を使用して開示されることがあるが、「からなる」または「から実質的になる」という移行句を使用して記載されることのある実施の形態を含む、代わりの実施の形態が暗示されることが理解されよう。それゆえ、例えば、A+B+Cを含む装置に暗示される代わりの実施の形態は、装置がA+B+Cからなる実施の形態、および装置がA+B+Cから実質的になる実施の形態を含む。
【0051】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、本開示に様々な改変および変更を行えることが当業者に明白であろう。本開示の精神および実体を含む開示された実施の形態の改変、組合せ、部分的組合せおよび変種が、当業者に想起されるであろうから、本開示は、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に全てを含むと考えるべきである。
【0052】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0053】
実施形態1
第1のガラス層、
第2のガラス層、
前記第1と第2のガラス層の間に配置された第3のガラス層、
前記第1のガラス層と前記第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および
前記第2のガラス層と前記第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔、
を含む断熱ガラスユニットであって、
前記第3のガラス層が、70×10-7/℃未満の温度範囲0~300℃に亘る熱膨張係数(CTE)、および約0.3mmから約1.2mmの厚さを有する、断熱ガラスユニット。
【0054】
実施形態2
前記第3のガラス層がアルミノホウケイ酸塩ガラスから作られている、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0055】
実施形態3
前記第3のガラス層がアルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスまたは無アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラスから作られている、実施形態2に記載の断熱ガラスユニット。
【0056】
実施形態4
前記第3のガラス層がフロート成形されたガラスから作られている、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0057】
実施形態5
前記第3のガラス層が、約0.5mmから約1mmの厚さを有する、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0058】
実施形態6
前記第3のガラス層が、約0.6mmから約0.9mmの厚さを有する、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0059】
実施形態7
前記第1と第2のガラス層の少なくとも一方が、約2mm超の厚さを有する、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0060】
実施形態8
前記第1、第2、および第3のガラス層の内の少なくとも1つが、化学強化または熱的テンパリングされている、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0061】
実施形態9
前記第1、第2、および第3のガラス層の内の少なくとも1つが、ガラス積層体である、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0062】
実施形態10
前記第1のガラス層の内面、前記第2のガラス層の内面、または前記第3のガラス層の主面の内の少なくとも1つが、少なくとも1つの低放射率コーティングで被覆されている、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0063】
実施形態11
前記第3のガラス層の少なくとも一方の主面が、インクまたは光散乱特徴で少なくとも部分的にパターン化されている、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0064】
実施形態12
前記第1の密封ギャップ間隔および前記第2の密封ギャップ間隔の少なくとも一方に、少なくとも1種類の断熱ガスまたは空気とのその混合物が充填されている、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0065】
実施形態13
前記第1のガラス層と前記第2のガラス層の間に配置された第4のガラス層、および前記第3のガラス層と前記第4のガラス層の間に画成された第3の密封ギャップ間隔をさらに含む、実施形態1に記載の断熱ガラスユニット。
【0066】
実施形態14
前記第4のガラス層が、70×10-7/℃未満の温度範囲0~300℃に亘る熱膨張係数(CTE)、および約0.3mmから約1.2mmの厚さを有する、実施形態13に記載の断熱ガラスユニット。
【0067】
実施形態15
前記第4のガラス層がアルミノホウケイ酸塩ガラスから作られている、実施形態14に記載の断熱ガラスユニット。
【0068】
実施形態16
前記第4のガラス層が約0.5mmから約1mmの厚さを有する、実施形態14に記載の断熱ガラスユニット。
【0069】
実施形態17
熱膨張係数CTE1を有する第1のガラス層、
熱膨張係数CTE2を有する第2のガラス層、
前記第1と第2のガラス層の間に配置され、熱膨張係数CTE3を有する第3のガラス層、
前記第1のガラス層と前記第3のガラス層の間に画成された第1の密封ギャップ間隔、および
前記第2のガラス層と前記第3のガラス層の間に画成された第2の密封ギャップ間隔、
を含む断熱ガラスユニットであって、
0~300℃の温度範囲に亘り測定して、CTE1>CTE3またはCTE2>CTE3の少なくとも一方が成り立つ、断熱ガラスユニット。
【0070】
実施形態18
前記第1のガラス層と前記第2のガラス層の間に配置された第4のガラス層、および前記第3のガラス層と前記第4のガラス層の間に画成された第3の密封ギャップ間隔をさらに含み、該第4のガラス層が熱膨張係数CTE4を有する、実施形態17に記載の断熱ガラスユニット。
【0071】
実施形態19
温度範囲0~300℃に亘るCTE3およびCTE4の少なくとも一方が、70×10-7/℃未満である、実施形態17または18に記載の断熱ガラスユニット。
【0072】
実施形態20
前記第3および第4のガラス層の少なくとも一方がアルミノホウケイ酸塩ガラスから作られている、実施形態17または18に記載の断熱ガラスユニット。
【0073】
実施形態21
前記第3および第4のガラス層の少なくとも一方が、約0.3mmから約1.2mmの厚さを有する、実施形態17または18に記載の断熱ガラスユニット。
【符号の説明】
【0074】
10 第1のガラス層
15 第1のギャップ間隔
16 第1のコーティング
18、28、38、48 シーラントアセンブリ
20 第2のガラス層
25 第2のギャップ間隔
26 第2のコーティング
30 第3のガラス層
35 第3のギャップ間隔
40 第4のガラス層
45 第4のギャップ間隔
55 切断角部
100、200 IGU