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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160466
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】キノコの微粒子分散体
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20241107BHJP
【FI】
A23L19/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075483
(22)【出願日】2023-05-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510001582
【氏名又は名称】株式会社天真堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 眞人
(72)【発明者】
【氏名】荒河 純
【テーマコード(参考)】
4B016
【Fターム(参考)】
4B016LC06
4B016LC07
4B016LE02
4B016LG14
4B016LK05
4B016LK09
4B016LK10
4B016LP01
4B016LP13
(57)【要約】
【課題】キノコの子実体を利用した微粉子分散体を提供する。
【解決手段】キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子と、界面活性剤とを含有する微粒子分散体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子と、界面活性剤とを含有する微粒子分散体。
【請求項2】
界面活性剤がノニオン系界面活性剤である請求項1に記載の微粒子分散体。
【請求項3】
前記ノニオン系界面活性剤が、ポリオール脂肪酸エステルである請求項2に記載の微粒子分散体。
【請求項4】
前記ポリオール脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである請求項3に記載の微粒子分散体。
【請求項5】
界面活性剤の含有量が0.01~30質量%である請求項1に記載の微粒子分散体。
【請求項6】
安定剤をさらに含有する請求項1に記載の微粒子分散体。
【請求項7】
前記安定剤が、アラビアガム、ジェランガム、寒天、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、セルロース、ガティガム、ペクチン、グアーガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸エステル、グルコノデルタラクトン、コラーゲン、ウェランガム、カラヤガム、プルラン、ゼラチン、タラガム、アクロバクテリウムスクシノグルカン、カードラン、ダイズ多糖類、及び加工デンプンから成る群より選択される1種以上の安定剤である請求項6に記載の微粒子分散体。
【請求項8】
食品である、請求項1~7のいずれか一項に記載の微粒子分散体。
【請求項9】
粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、化学的に処理することを含む、平均粒径が1μm以下である微粒子を含む微粒子分散体の製造方法。
【請求項10】
粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、物理的に処理することを含む、平均粒径が1μm以下である微粒子を含む微粒子分散体の製造方法。
【請求項11】
粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、化学的に処理すること及び物理的に処理することを含む、平均粒径が1μm以下である微粒子を含む微粒子分散体の製造方法。
【請求項12】
前記化学的に処理することが、酵素処理することを含む請求項9又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記化学的に処理する前、最中、又は後に、粉砕されたキノコの子実体と界面活性剤を混合することを含む、請求項9又は11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコの微粒子分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
キノコ由来の成分又はキノコの子実体又は粉末化して食品又は飲料に使用する技術が知られている。
【0003】
特許文献1は、きのこ由来のβ-グルカンを、当該きのこ由来のβ-グルカンを含む水溶液に分散化剤を混合して、平均粒径が10μm以下となるように超微粒子化したことを特徴とする、経粘膜又は経口投与用の超微粒子化体について開示している。
【0004】
特許文献2は、キノコの子実体及び/または菌糸体を水または水/エタノール混液で抽出処理し、抽出残渣を除去して得られる水性抽出エキス液を分岐サイクロデキストリンで処理して分岐サイクロデキストリン分子内空洞にエキス成分を包接させ、次にこの混合物液を乾燥して乾燥固体粉末を得ることからなるキノコ類水性抽出物の粉末化方法について開示している。
【0005】
特許文献3は、きのこ由来の水溶性成分 (a)、水単独若しくは水と活性水素を1個以上有する水溶性OH基含有媒体 (b)及び水溶性ポリオール・脂肪酸エステル系界面活性剤 (c)を含み、前記きのこ由来の水溶性成分 (a)と水単独若しくは水と活性水素を1個以上有する水溶性OH基含有媒体 (b)との総量を100重量部としたときに、前記水溶性ポリオール・脂肪酸エステル系界面活性剤 (c)を0.01~25重量部含有することを特徴とする、きのこ食品組成物について開示している。
【0006】
特許文献4は、微粒子化することにより免疫賦活性を高めた担子菌を含有することを特徴とする健康食品、飼料ならびにペットフードについて開示している。担子菌を、抽出や濃縮を行うことなく直接微粒子化することによって免疫賦活性を高めており、微粒子化された担子菌の粒子が100μm以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4752233号
【特許文献2】特開平7-313089号公報
【特許文献3】特開平11-271976号公報
【特許文献4】特開2001-112436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1はキノコの水抽出により得られたβ-グルカンを超微粒子化処理したものである。特許文献2は、キノコの子実体及び/または菌糸体を水または水/エタノール混液で抽出処理し、水性抽出エキス液を分岐サイクロデキストリンで処理して分岐サイクロデキストリン内空洞にエキス成分を包接させ、乾燥固体粉末としたものである。特許文献3は、きのこ由来の水溶性成分 (a)のみを利用している。特許文献3は、担子菌の乾燥物をフードプロセッサにかけて直接微細化しているが、微粒子化された担子菌の粒子の大きさが100μm以下と大きい。
【0009】
本発明が解決すべき課題は、従来よりも微粒子の平均粒径が小さい、キノコの子実体を利用した微粉子分散体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子と、界面活性剤とを含有する微粒子分散体。
項2.界面活性剤がノニオン系界面活性剤である項1に記載の微粒子分散体。
項3.前記ノニオン系界面活性剤が、ポリオール脂肪酸エステルである項2に記載の微粒子分散体。
項4.前記ポリオール脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである項3に記載の微粒子分散体。
項5.界面活性剤の含有量が0.01~30質量%である項1~4のいずれか一項に記載の微粒子分散体。
項6.安定剤をさらに含有する項1~6のいずれか一項に記載の微粒子分散体。
項7.前記安定剤が、アラビアガム、ジェランガム、寒天、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、セルロース、ガティガム、ペクチン、グアーガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸エステル、グルコノデルタラクトン、コラーゲン、ウェランガム、カラヤガム、プルラン、ゼラチン、タラガム、アクロバクテリウムスクシノグルカン、カードラン、ダイズ多糖類、及び加工デンプンから成る群より選択される1種以上の安定剤である項6に記載の微粒子分散体。
項8.食品である、項1~7のいずれか一項に記載の微粒子分散体。
項9.粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、化学的に処理することを含む、平均粒径が1μm以下である微粒子を含む微粒子分散体の製造方法。
項10.粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、物理的に処理することを含む、平均粒径が1μm以下である微粒子を含む微粒子分散体の製造方法。
項11.粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、化学的に処理すること及び物理的に処理することを含む、平均粒径が1μm以下である微粒子を含む微粒子分散体の製造方法。
項12.前記化学的に処理することが、酵素処理することを含む項9又は11に記載の製造方法。
項13.前記化学的に処理する前、最中、又は後に、粉砕されたキノコの子実体と界面活性剤を混合することを含む、項9又は11に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来よりも微粒子の平均粒径が小さい、キノコの子実体を利用した微粉子分散体を提供することができる。本発明の微粒子分散体は、キノコの子実体の栄養を摂取できると共に、微粒子の平均粒径が小さいため、保存安定性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「含有する(comprise)」は、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」も包含する概念である。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。更に、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0013】
本明細書において「食品」とは、経口摂取し得るものを広く包含する概念であり、飲料も含まれる。食品には、健康食品を含む一般食品の他、経腸栄養食品、特別用途食品、特定保健用食品を含む保健機能食品、栄養機能食品、機能性表示食品、ペットフードなどが包含される。健康食品には、栄養補助食品、健康補助食品、サプリメントなどの名称で提供される食品が含まれる。
【0014】
本発明の実施形態の微粒子分散体は、キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子と、界面活性剤とを含有する。
キノコは、子実体を形成する特定の菌類を指し、担子菌門及び子嚢菌門に属する菌類を含む。担子菌門に含まれるキノコとしては、ハラタケ目(キシメジ科、タマバリタケ科、ヒラタケ科、シメジ科、モエギタケ科など)、タマチョレイタケ目(トンビマイタケ科、マンネンタケ科など)、ヒダナシタケ目(サルノコシカケ科など)、タバコウロコタケ目(タバコウロコタケ科など)、キクラゲ目(キクラゲ科など)、ベニタケ目(サンゴハリタケ科など)、シロキクラゲ目(シロキクラゲ科など)、キヌガサタケスッポンタケ目(スッポンタケ科など)などのキノコが挙げられる。具体例としては、例えばシイタケ(ハラタケ目キシメジ科)、エノキタケ(ハラタケ目タマバリタケ科)、ヒラタケ(ハラタケ目ヒラタケ科)、マイタケ(タマチョレイタケ目トンビマイタケ科)、ホンシメジ(ハラタケ目シメジ科)、ブナシメジ(ハラタケ目シメジ科)、ナメコ(ハラタケ目モエギタケ科)、エリンギ(ハラタケ目ヒラタケ科、マッシュルーム(ハラタケ目ハラタケ科)、霊芝(タマチョレイタケ目マンネンタケ科)、アガリクス(ハラタケ目ハラタケ科)、ブクリョウ(ヒダナシタケ目サルノコシカケ科)、チャーガ(タバコウロコタケ目タバコウロコタケ科)、キクラゲ(キクラゲ目キクラゲ科)、ヤマブシタケ(ベニタケ目サンゴハリタケ科)、シロキクラゲ(シロキクラゲ目シロキクラゲ科)、キヌガサタケ(スッポンタケ目スッポンタケ科)に属するキノコなどが挙げられる。子嚢菌門に含まれるキノコとしては、冬虫夏草、アミガサタケ、トリュフなどが挙げられる。
【0015】
キノコの子実体を含む部分は、キノコの子実体のみであってもよいし、キノコの子実体以外の部分をさらに含んでもよい。例えば、キノコの子実体を含む部分としては、例えば菌糸体、寄生先の宿主などが挙げられる。
【0016】
例えば冬虫夏草は、ニイニイゼミの幼虫に寄生するセミタケ又はガの幼虫に寄生するサナギタケ(特にはオオコウモリガの幼虫に寄生するOphiocordyceps sinensis)を指すが、子実体の部分と宿主である幼虫の部分を両方微粒子化することにより、冬虫夏草の栄養成分をより無駄なく摂取することができる。
【0017】
微粒子の平均粒径が1μm以下であると、微粒子分散体の経時安定性が優れている。微粒子の平均粒子は、動的光散乱粒子径測定装置を用いて測定される体積平均径である。
【0018】
キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子は、後述のように、キノコの子実体を含む部分を粉砕し、次に化学的処理及び/又は物理的処理によりさらに微細化又は微粒子化することにより得ることができる。
【0019】
微粒子分散体における、キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子の量は特に限定されないが、0.001~20質量%であることが好ましい。
【0020】
界面活性剤は特に限定されないが、キノコの子実体を含む部分の微粒子化、微粒子分散体の経時安定性、及び透明性の向上の点で、ノニオン系界面活性剤であることが好ましい。ノニオン系界面活性剤の中でも、ポリオール脂肪酸エステルは、乳化剤として食品添加物として認められているものもあり、キノコの繊維素部分を柔軟化させ、かつミセルの沈殿を防止させる点で好ましい。
【0021】
ポリオール脂肪酸エステルの例としては、グリセリン脂肪酸エステル(蒸留モノグリセライド、蒸留ジグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート)、有機酸モノグリセライド(酢酸モノグリセライド、クエン酸モノグリセライド、ジアセチル酒石酸モノグリセライド、コハク酸モノグリセライド、乳酸モノグリセリド)、モノ・ジグリセリド)、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(プロピレングリコールモノステアレート)、ポリグリセリン縮合(ポリ)リシノール酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20、Tween20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80、Tween80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60、Tween60)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(ポリソルベート65、Tween65))などが挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、キノコの子実体を含む部分との親和性が高く、キノコの子実体を含む部分の微粒子の分散性が向上する点でポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがより好ましい。ノニオン系界面活性剤は、1種類でもよいし、または2種類以上を組み合わせてもよい。
【0022】
微粒子分散体における界面活性剤の含有量は、平均粒径が1μm以下である上記微粒子の乳化の点で、0.01~30質量%であることが好ましく、0.1~30質量%であることがより好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%がさらに好ましい。このような範囲にあると、食品である食品中に微粒子が良好に分散し、安定性が保たれる。
【0023】
本発明の実施形態の微粒子分散体は、酵素をさらに含有してもよい。酵素はキノコの子実体を含む部分の微粒子化を促進するために使用される。酵素としては、例えばプロテアーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ、キチナーゼなどが挙げられ、セルラーゼが好ましい。追加の酵素としてプロテアーゼ及び/又はリパーゼをさらに使用してもよい。
【0024】
酵素は、粉砕されたキノコの子実体を含む部分に対して、粉砕されたキノコの子実体を含む部分:酵素の質量比で、1000:1~1:10で添加されることが好ましく、100:1~1:1で添加されることがより好ましい。
【0025】
本発明の実施形態の微粒子分散体は、安定剤をさらに含有してもよい。安定剤の例としては、アラビアガム、ジェランガム、寒天、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、セルロース、ガティガム、ペクチン、グアーガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸エステル、グルコノデルタラクトン、コラーゲン、ウェランガム、カラヤガム、プルラン、ゼラチン、タラガム、アクロバクテリウムスクシノグルカン、カードラン、ダイズ多糖類、及び加工デンプンから成る群より選択される1種又は2種以上の安定剤が挙げられる。
本発明の実施形態の微粒子分散体が安定剤を含む場合、微粒子分散体における安定剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましい。
【0026】
本発明の実施形態の微粒子分散体は、キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる微粒子の平均粒径が1μm以下であるため、保存安定性に優れている。また、微粒子の平均粒径が1μm以下であるため、飲料に使用された場合には飲料を透明にすることができる。
【0027】
本発明は、食品である上記微粒子分散体をさらに提供する。
食品の形態は、食用に適した形態、例えば、固形状、液状、顆粒状、粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状、ペースト状のいずれであってもよい。特に、サプリメントを含む健康食品などの場合の形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状( シロップ状、乳状、懸濁状を含む) などが好ましい。
食品の種類としては、パン類、麺類、菓子類、乳製品、水産・畜産加工食品、油脂および油脂加工食品、調味料、各種飲料(清涼飲料、炭酸飲料、美容ドリンク、栄養飲料、果実飲料、乳飲料など) および該飲料の濃縮原液および調整用粉末などが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0028】
一つの実施形態では、冬虫夏草の子実体及び宿主を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子と、界面活性剤とを含有する微粒子分散体である飲料が提供される。
【0029】
食品は、その種類に応じて通常使用される添加物を含んでいてもよい。添加物としては、本発明の実施形態の微粒子分散体に対して好ましくない相互作用を生じない限り、食品衛生法上許容されうる添加物であればいずれも使用でき、例えば、ブドウ糖、ショ糖、果糖、異性化液糖、アスパルテーム、ステビアなどの甘味料;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料;デキストリン、デンプンなどの賦形剤;結合剤、希釈剤、香料、着色料、緩衝剤、増粘剤、ゲル化剤、安定剤、保存剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤などが挙げられる。
【0030】
食品はさらに、サプリメントとして通常使用される任意の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、アミノ酸、ペプチド;ビタミンE、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、葉酸等のビタミン類;ミネラル類、糖類、無機塩類、クエン酸またはその塩、茶エキス、油脂;プロポリス、ローヤルゼリー、タウリン等の滋養強壮成分;ショウガエキス、高麗人参エキス等の生薬エキス;ハーブ類:コラーゲン等が挙げられる。
【0031】
特定の実施形態において、微粒子分散体中のキノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子が0.01~10質量%、酵素が0~10質量%、界面活性剤が0.1~10質量%、安定剤が0.01~10質量%、水が80~99質量%である。酵素はセルラーゼを含むことが好ましく、界面活性剤はポリオール脂肪酸エステルを含むことが好ましく、及び/又は安定剤は多糖類を含むことが好ましい。微粒子分散体は飲料であることが好ましい。
さらなる特定の実施形態において、微粒子分散体中のキノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子は0.1~5質量%、酵素が0.1~5質量%、界面活性剤が0.1~5質量%、安定剤が0.01~5質量%、水が85~99質量%である。酵素はセルラーゼを含むことが好ましく、界面活性剤はポリオール脂肪酸エステルを含むことが好ましく、及び/又は安定剤は多糖類を含むことが好ましい。微粒子分散体は飲料であることが好ましい。
【0032】
次に、本発明の実施形態の微粒子分散体の製造方法について説明する。
まず、キノコの子実体を含む部分を、公知の方法で粉砕する。キノコの子実体を含む部分は、生の状態であってもよいし、生のキノコの子実体を含む部分を水溶液に保存したものであってもよいし、乾燥物であってもよいし、冷凍品であってもよい。乾燥物の場合、乾燥は、熱風乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法のいずれでも良い。
【0033】
粉砕には、フードプロセッサー、ミル、クラッシャー、グラインダー、ミキサー等の粉砕機で粉砕する方法が挙げられる。粉砕の程度は、粉砕前の物が収穫時よりも小さいサイズに破砕されていれば特に限定されないが、例えば粉末状に破砕される。
【0034】
粉砕されたキノコの子実体を含む部分は、ふるいにかけることが好ましい。ふるいのメッシュの目開きは10μm~1mm程度であることが好ましい。これにより、粉末の粒径にばらつきが少ない、より均質な粉末が得られる。
【0035】
次に、粉砕されたキノコの子実体を含む部分を、化学的に処理するか、及び/又は物理的に処理する。これにより、キノコの子実体を含む部分の粉砕物が、さらに細かい微粒子となる。
【0036】
化学的処理には、例えば酵素処理、アルカリや酸などによる処理等が含まれる。本発明では酵素による処理が特に好ましく、酵素としては、例えばプロテアーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ、キチナーゼなどが挙げられる。酵素処理に際しては、水又は水性溶媒中に、キノコの子実体を含む部分の粉砕物と、酵素と、任意選択の上記界面界面活性剤と、任意選択で上記安定剤とを、一定期間撹拌して混合する。撹拌温度は特に限定されないが、4~50℃が好ましく、15~50℃が好ましい。撹拌時間は特に限定されないが、30分~50時間が好ましい。
【0037】
好ましくは、界面活性剤は、化学的に処理する前、最中、又は後に、粉砕されたキノコの子実体と混合される。界面活性剤は、酵素処理時に、粉砕されたキノコの子実体を含む部分を含有する混合液中に含まれていることがより好ましいが、酵素処理時には添加せず、物理的処理を行うときに酵素処理後の混合液中に添加してもよい。あるいは、化学的処理を行わず、物理的処理のみを行い、物理的処理を行うときに、粉砕されたキノコの子実体を含む部分を含有する混合液中に界面活性剤を添加してもよい。
【0038】
物理的処理には、公知の分散機を適宜選択して使用することができる。一般に用いられる固体分散機は、駆動部やメディアを使って分散粒子に直接剪断力を与えるトライポロジー剪断力型分散機と、分散粒子に液媒体を介して剪断力を与えるレオロジー剪断力型分散機がある。
【0039】
トライポロジー剪断力型分散機としては、固体状の被分散物を含むスラリーを、複数本のロール間を通過させることで分散するロールミル、スラリーに撹拌翼で剪断力を付与するニーダー、スラリー中にビーズ等のメディアを共存させ、メディアを介して剪断力を付与するメディアミル等が挙げられる。
レオロジー剪断力型分散機としては、各種撹拌型分散機、高圧分散機、超音波分散機等が挙げられる。
【0040】
本発明ではキノコの粒子をより安定に微細化するために、メディア分散機及び高圧分散機が好ましく用いられる。
メディア分散機を用いて分散物を調製する場合、キノコ含有混合物と、目的に応じて選択された素材と粒径を有するメディアとを混合して、メディア分散を行うことで、微細なキノコ微粒子を得ることができる。メディア分散機はキノコの子実体を含む部分の粉砕物をそのまま破砕する乾式ビーズミルであってもよいし、キノコの子実体を含む部分の粉砕物を含有する混合液(溶液又は懸濁液)を破砕する湿式ビーズミルであってもよい。
【0041】
分散に用いるメディアの材質としては、ジルコニア、アルミナ、ステアタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリカ、砂、メノー、鋼球、ステンレス、ガラス等の無機化合物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド等の高分子樹脂等が挙げられる。なかでも、分散力、耐久性、及びメディアに起因する不純物混入の懸念がないという観点から、ジルコニアビーズが好ましい。
【0042】
メディアに運動力を付加するメディア分散機には、撹拌方式、メディアの分離機構、縦型か横型か、冷却方式等によって種々の分散機が知られているが、特に0.1mmφ以下の微小ビーズの分離機構を備えたビーズミルが好ましい。0.1mmφ以下の如き微小ビーズ分離機構を有するビーズミル分散機の市販品としては、ウルトラアペックスミル(商品名:寿工業株式会社)、スターミル(商品名:アシザワファインテック株式会社)、パールミル(商品名:ビューラー)、OBミル(商品名:フロイント産業株式会社)、ダイノーミル(商品名:WAB)等が挙げられ、いずれも本発明の製造方法に使用することができるが、使用しうる分散装置はこれらに限定されない。
【0043】
また、ビーズの分離機構を備えていない分散装置であっても、分散処理後に、ビーズ濾過の後工程を加えることで本発明の製造方法に使用することができる。
【0044】
本発明を製造方法に使用しうるビーズの分離機構を備えていない分散機としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、遊星ボールミルがある。ボールミルの場合、回転台の上にスラリーとビーズを入れた磁製、ナイロン製、ポリマー製、ステンレス製等から選ばれる材料により形成されたポットを載せて回転させる装置である。また、サンドグラインダーミルとしては、スラリーの粘性に応じてアジテーターの形状をピン型、ディスク型に変えることができる形態の装置が多く、レディーミル(商品名:アイメックス)等が知られている。一方、遊星ボールミルはスラリーとボールを入れたベッセルが自転しながら公転する構造になっており、一般のボールミルより分散効率に優れている。遊星ボールミルの例としては、遊星型ボールミル(商品名:フリッチュ)、自転・公転ナノ粉砕機NP-100(商品名:シンキー)等が挙げられる。
【0045】
メディアミルを用いる場合の分散の条件は、分散液とメディアとの体積比率、メディアの種類、メディアの粒径、分散時間等を調整すること、或は、段階的に複数回の分散処理を行う複数段分散の場合の段数等を制御することで適宜、調節することができる。
ミルを用いて粒子の粉砕及び分散を行う場合の回転数は、使用する装置により適宜選択すればよい。例えば、ボールミルを用いる場合は、容器回転数を50rpm(回転/分)以上2000rpm以下とすることができ、100rpm以上400rpm以下とすることがより好ましく、100rpm以上250rpm以下とすることがさらに好ましい。なお、本明細書における容器回転数とは、容器外縁部の回転数を指す。
【0046】
高圧分散処理は、通常は、媒体に高圧力を付与して、粒子を分散させたり、被処理物を殺菌させたり、反応させたりする処理であり、本明細書における高圧分散処理とは50MPa以上の圧力を付与する処理を指す。
高圧分散処理は、公知の方法で行うことができる。
高圧分散処理するには、容器内に混合物又は分散物を投入し、50MPa~100MPaの静水圧を付加する高圧加工処理装置にて処理する。高圧分散処理は、好ましくは、液温50℃~90℃の温度条件にて、10時間~36時間かけて行うことが好ましい。
高圧加工処理装置としては、株式会社東洋高圧製、超高圧加工処理装置(まるごとエキス)が挙げられる。高圧処理の他の態様として、高圧ホモジナイザー等を用いる高圧処理が挙げられる。高圧ホモジナイザー等を用いる高圧処理は、混合物又は分散物に高圧力を付与して、粒子をさらに微細に粉砕し、分散させたり、分散をさらに進行させたりする処理である。高圧ホモジナイザーは、撹拌方式と比べてより高い圧力を付与できるために、粒子のさらなる微細化が可能であり、種々の装置が市販されている。
【0047】
高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社製)、スターバースト(株式会社スギノマシン製)等のチャンバー型高圧ホモジナイザー、又は、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械株式会社製)、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等の均質バルブ型高圧ホモジナイザーが挙げられる。
【0048】
高圧ホモジナイザーを用いた分散条件としては、分散性の観点から、圧力は100MPa以上とし、より好ましくは150MPa以上であることが好ましい。高圧側の限界は市販の装置では耐圧性の観点から300MPa以下であることが好ましいが、温度上昇の観点からは、水性媒体中の粒子の分散においては400MPa以下にすることもできると推定される。
所望により実施される既述の各種高圧処理は1回のみ行なってもよく、2回以上の高圧処理を行ってもよい。
【0049】
当業者は、キノコの子実体を含む部分を平均粒径が1μm以下である微粒子へ微粒子化するために、分散機、分散方法、分散条件を適切に設定することができる。
【0050】
化学的処理と物理的処理は、一方のみ行ってもよいが、両方行うことが好ましい。化学的処理と物理的処理を両方行う場合、化学的処理を物理的処理より先に行うことが、キノコの子実体を含む部分のより効率的な微粒子化の点で好ましいが、物理的処理を化学的処理より先に行ってもよい。
【0051】
化学的処理及び/又は物理的処理の後、キノコの子実体を含む部分を微粒子化してなる平均粒径が1μm以下である微粒子を含有する微粒子分散体が生成される。微粒子の平均粒径は、電子顕微鏡、遠心沈降法、液体排除クロマト法、レーザー散乱回折法、動的光散乱法などの公知の方法で求めることができるが、平均粒径についてサブμmの領域で測定をする必要があるため、精度と測定の簡便さから、動的光散乱法を用いて測定することが好ましい。
種々の粒径測定法については、The Pharmaceutical Society of Japan, 139, 237-248 (2019)等に記載されている。
【0052】
得られた微粒子分散体は、その他の食品成分に配合し、微粒子分散体入りの食品を製造することができる。あるいは、得られた微粒子分散体は、その他の飲料成分に配合し、ボトリングし、微粒子分散体入りの飲料を製造することができる。
【0053】
本明細書中に引用されているすべての特許出願および文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
以下の実施例は、例示のみを意図したものであり、何ら本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。特に断らない限り、試薬は、市販されているか、又は当技術分野で慣用の手法、公知文献の手順に従って入手又は調製する。
【実施例0054】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1 分散組成物の調製および評価
1.分散組成物の調製
冬虫夏草(東陽光製)をミキサーにて粉砕し目開き90μmのふるいをかけ分散用原末を用意した。下記成分を混合し40℃にて8時間撹拌し酵素処理を行った。
冬虫夏草原末 2.0g
セルラーゼ Tアマノ4 *1 2.0g
ティキソガムS *2 0.5g
エマゾールL120V *3 4.0g
(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル ポリソルベート20)
精製水 50g
*1 天野エンザイム株式会社製
*2 キサンタンガムとアラビアガムの混合物、ネキシラ株式会社製
*3 花王株式会社製
【0055】
酵素処理終了後、酵素を失活させるため混合物に80℃30分加熱撹拌を行った。
上記にさらに下記成分を混合し、高圧ホモジナイザーを用いて1分間分散することで予備乳化物を得た。
ティキソガムS 1.0g
アラビアガム末HP *4 2.0g
精製水 38.5g
*4 三栄薬品貿易株式会社製
【0056】
上記分散混合液を25℃にて湿式微粒化装置 スターバースト HJP-25001(株式会社スギノマシン)を用いて、245MPaの圧力で高圧乳化を行った。実施例1の分散組成物を作成した。
【0057】
さらに酵素処理およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを変更し、実施例2~9及び比較例1~4の組成物を調製した。実施例2~9及び比較例1~4の組成物に使用した成分は以下の通りである。
ブクリヨウ末 株式会社ウチダ和漢薬性製
アガリクス子実体滅菌末 チハヤ株式会社製
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル エマゾールO120V ポリソルベート80 花王株式会社製
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル エマゾールS120V ポリソルベート60 花王株式会社製
ポリグリセリン脂肪酸エステル NIKKOL Decaglyn 1-OV 日光ケミカルズ株式会社製
【0058】
2.分散組成物の評価
上記で得られた各キノコ含有分散組成物組成物の、粒径、濁度、経時安定性を評価をした。詳細は以下の通りである。
【0059】
2-1.粒径評価
実施例及び比較例で得られた各分散物それぞれ純水にて100倍希釈したのち、マイクロトラック・ベル株式会社製動的光散乱粒子径測定装置Nanotrac WaveII(特定範囲0.8-6500nm)を用いて体積平均径及び90%累積平均粒子径を求めた。また、粒子径が大きく、上記動的光散乱装置での測定が困難な場合はHORIBA製レーザ-回折/散乱式粒子径分布測定装置LV-960V2(測定範囲~5000μm)を用いて粒径測定を行った。
【0060】
2-2.初期濁度の評価
実施例及び比較例の各分散組成物 1.0gを、それぞれ、9.0gの純水に添加して、マグネッチックスターラーを用いて、10分間攪拌を行い、水稀釈液を得た。
得られた各分散組成物の水希釈液を用い、調製直後の濁度の指標として600nmにおける吸光度を、分光光度計(V-750、株式会社日本分光株式会社製)を用いて、25℃にて測定した。同一のキノコを用いた場合、濁度は大きいほどサイズが大きいことを示す。
【0061】
2-3.経時安定性評価
(1)透明性の持続性
透明性の持続は、各分散組成物を50℃で1週間経時させた後における濁度を、初期濁度と同様にして測定し、初期濁度からの変化率A(%)及びB(%)を、下記式に基づき求め、下記基準で評価した。
変化率A(%)=50℃で1週間経時させた後の平均粒径/初期の平均粒径×100
変化率A(%)が100%に近い程、乳化組成物は経時安定性に優れることを示す。
評価基準
〇:125%未満
△:125%以上200%未満
×:200%以上
【0062】
(2)経時的沈降
また、組成物の沈降についても併せて評価を行った。組成物をガラス容器に入れて静置し、25℃での2週間経時後の沈降を、液面から清澄な部分と沈殿が生じている部分の境界までの高さA及び液面から底部までの高さBを測定し、AのBに対する割合(A/ B×100(%))に基づいて下記の基準で目視にて評価した。
評価基準
〇:10%未満
△:10%以上、30%未満
×:30%以上
【0063】
以上の結果を下記表1に示す。各成分の単位はgである。
本発明の分散物では粒径が小さく、透明性に優れ、さらに、経時後の濁度の変化や沈降なども少なく、優れた性能を示すことが分かった。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例10
さらに上記実施例の分散物2gにオルピン(登録商標)XG-30(キサンタンガム及びグアーガム含有、オルガノフードテック株式会社製)0.2g及び精製水を10g加えることで飲料を作成したところ、透明性及び経時性に優れることが分かった。
【0066】
実施例11
1.分散組成物の調製
下記成分を混合し45℃にて8時間撹拌することで、酵素処理を行った。
霊芝子実体滅菌末(チハヤ株式会社製) 4.0g
セルラーゼ Tアマノ4 4.0g
ティキソガムS 0.2g
ソルビタン脂肪酸エステル エマゾールL120V 4.0g
(ポリソルベート20)
精製水 104.8g
【0067】
酵素処理終了後、酵素を失活させるため80℃、30分加熱撹拌を行った。
ポリプロピレン(PP)製の1L(リットル)容器(外壁に目盛による凸有り)に上記組成物100gと0.1mmφのジルコニアビーズ600gと添加し、ボールミル(BMU-100、株式会社伊藤製作所製)にて容器回転数を200±10rpmに設定し、粒子の破砕と分散処理を48時間実施して、実施例9の分散物を得た。
さらにソルビタン脂肪酸エステルの有無、酵素処理の有無、及び酵素種を変更し実施例12,13及び比較例5,6の組成物を得た。
【0068】
得られた分散物について実施例1と同様に粒径、濁度、経時性の評価を行った。
但し、濁度について分散物1gに対して、精製水を99g添加して測定した。
以上の結果を表2に示す。
本発明の分散物では透明性に粒径が小さく、透明性に優れさらに、経時後の濁度の変化や沈降なども少なく、優れた性能を示すことが分かった。
【0069】
【表2】
【0070】
実施例14
さらに上記実施例の分散物1gにオルピンXG30(オルガノフードテック株式会社製)0.2g及び精製水を10g加えることで飲料を作成したところ、透明性及び経時性に優れることが分かった。