(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160483
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241107BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241107BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20241107BHJP
B60L 53/50 20190101ALI20241107BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301C
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075526
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】本間 友基
(72)【発明者】
【氏名】増田 学
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 領太
(72)【発明者】
【氏名】市川 勝崇
(72)【発明者】
【氏名】市川 敦士
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA02
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コストの増加を抑制しつつ、第1充電口及び第2充電口の何れからでもバッテリを充電する充電制御装置を提供する。
【解決手段】車両1の充電制御装置10は、外部電源50の充電プラグ52の接続状態を検出する検出装置及び外部電源から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリに供給するコンバータを含む車載充電器20と、第1充電口11及び第2充電口12の何れか一方とコンバータとを選択的に接続可能なリレー装置24、リレー装置の動作を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、第1充電口と充電プラグとの接続が検出されたときに、第1充電口がコンバータに電気的に接続され、第2充電口がコンバータに電気的に非接続になるようにリレー装置を制御し、第2充電口と充電プラグとの接続が検出されたときに、第1充電口がコンバータに電気的に非接続になり、第2充電口がコンバータに電気的に接続されるようにリレー装置を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1充電口、第2充電口及びバッテリを備える車両に搭載される充電制御装置であって、
前記第1充電口及び前記第2充電口に対する外部電源の充電プラグの接続状態を検出する検出装置と、
前記外部電源から供給された交流電力を直流電力に変換して前記バッテリに供給するコンバータと、
前記第1充電口及び前記第2充電口の何れか一方と前記コンバータとを選択的に接続可能なリレー装置と、
前記リレー装置の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1充電口と前記充電プラグとの接続が検出されたときに、前記第1充電口が前記コンバータに電気的に接続され、前記第2充電口が前記コンバータに電気的に非接続になるように前記リレー装置を制御し、
前記第2充電口と前記充電プラグとの接続が検出されたときに、前記第1充電口が前記コンバータに電気的に非接続になり、前記第2充電口が前記コンバータに電気的に接続されるように前記リレー装置を制御する、
充電制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記充電プラグが前記第1充電口及び前記第2充電口の双方に接続されたことを検出したときに、前記第1充電口及び前記第2充電口の一方が前記コンバータに電気的に接続され、前記第1充電口及び前記第2充電口の他方が前記コンバータに電気的に非接続になるように前記リレー装置を制御する、請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記充電プラグが前記第1充電口及び前記第2充電口の双方に接続されたことを検出したときに、前記第1充電口及び前記第2充電口の双方が前記コンバータに電気的に非接続になるように前記リレー装置を制御する、請求項1に記載の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部電源からバッテリに電力を供給するための充電口を備えた電動車両が知られている。例えば、特許文献1には、第1組電池及び第2組電池を含む電池パックと、第1組電池及び第2組電池にそれぞれ接続する急速充電用の第1充電口及び第2充電口と、第1充電口と第2充電口との電気的接続を切り替える切替リレーとを備える車両について記載されている。この車両は、急速充電設備の充電プラグが第1充電口及び第2充電口の双方に接続されたときに、第1充電口と第2充電口とを電気的に切り離し、第1充電口に接続された充電プラグからの電力で第1組電池を充電し、第2充電口に接続された充電プラグからの電力で第2組電池を充電して、電池パックを高速に充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の充電口を車両に設けることには様々なメリットがある。例えば、充電ステーションで車両を充電する際には、充電プラグを充電口に接続可能な位置に車両を駐車することが求められるが、複数の充電口が設けられていれば、車両の駐車位置の制限を軽減することが可能となる。また、車両が貨物車である場合には、荷役作業の邪魔にならないように充電ケーブルの経路を選択することが可能となり、荷役の作業性の向上に繋がる。
【0005】
車両の充電設備としては、車両に直流電力を供給する急速充電設備と車両に交流電力を供給する普通充電設備とが存在する。普通充電設備を用いて車両のバッテリを充電する場合には、普通充電設備から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータを車両側に搭載することが必要となる。しかしながら、充電口の数に応じた数のコンバータを搭載することは、車両のコスト増加に繋がる。
【0006】
そこで本開示は、コストの増加を抑制しつつ、第1充電口及び第2充電口の何れからでもバッテリを充電できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る充電制御装置は、第1充電口、第2充電口及びバッテリを備える車両に搭載される。この充電制御装置は、第1充電口及び第2充電口に対する外部電源の充電プラグの接続状態を検出する検出装置と、外部電源から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリに供給するコンバータと、第1充電口及び第2充電口の何れか一方とコンバータとを選択的に接続可能なリレー装置と、リレー装置の動作を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、第1充電口と充電プラグとの接続が検出されたときに、第1充電口がコンバータに電気的に接続され、第2充電口がコンバータに電気的に非接続になるようにリレー装置を制御し、第2充電口と充電プラグとの接続が検出されたときに、第1充電口がコンバータに電気的に非接続になり、第2充電口がコンバータに電気的に接続されるようにリレー装置を制御する。
【0008】
本態様に係る充電制御装置では、第1充電口と充電プラグとの接続が検出されたときに、第1充電口がコンバータに電気的に接続され、第2充電口がコンバータに電気的に非接続になるようにリレー装置が制御されるので、コンバータを用いて第1充電口から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリを充電することができる。一方、第2充電口と充電プラグとの接続が検出されたときには、第1充電口がコンバータに電気的に非接続になり、第2充電口がコンバータに電気的に接続されるようにリレー装置が制御されるので、コンバータを用いて第2充電口から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリを充電することができる。したがって、一つのコンバータで第1充電口及び第2充電口の何れからでもバッテリを充電することが可能となる。
【0009】
一態様では、制御装置は、充電プラグが第1充電口及び第2充電口の双方に接続されたことを検出したときに、第1充電口及び第2充電口の一方がコンバータに電気的に接続され、第1充電口及び第2充電口の他方がコンバータに電気的に非接続になるように、リレー装置を制御してもよい。本態様では、一つのコンバータに第1充電口及び第2充電口の双方が接続されることを防止しつつ、バッテリを充電することができる。
【0010】
一態様では、制御装置は、充電プラグが第1充電口及び第2充電口の双方に接続されたことを検出したときに、第1充電口及び第2充電口の双方がコンバータに電気的に非接続になるようにリレー装置を制御してもよい。本態様では、第1充電口及び第2充電口の双方がコンバータに非接続になることにより、バッテリの充電が停止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の種々の態様によれば、コストの増加を抑制しつつ、第1充電口及び第2充電口の何れからでもバッテリを充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る充電制御装置を搭載する車両の概略的な平面図である。
【
図2】第1充電口、第2充電口及び充電制御装置の間の電気的な接続関係を示す図である。
【
図3】充電制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】充電プラグが第1充電口に接続されたときの第1充電口、第2充電口及び充電制御装置の間の電気的な接続関係を示す図である。
【
図5】充電プラグが第2充電口に接続されたときの第1充電口、第2充電口及び充電制御装置の間の電気的な接続関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合がある。
【0014】
図1は、一実施形態に係る充電制御装置10を搭載する車両1を概略的に示す平面図である。車両1は、トラック、貨物車又はバス車両等の商用車であり、電気自動車又はプラグインハイブリッド車等の電動車両である。
【0015】
図1に示すように、車両1は、モータ2、インバータ3、高電圧ボックス4、バッテリ5、充電制御装置10、第1充電口11及び第2充電口12を備えている。モータ2、インバータ3、高電圧ボックス4、バッテリ5、充電制御装置10は、車両1の車体フレーム6に搭載されている。
【0016】
モータ2は、バッテリ5からの電力を受けて、走行用の駆動力を発生させる。インバータ3は、バッテリ5の直流電力を交流電力に変換してモータ2に供給する。高電圧ボックス4は、モータ2、インバータ3及びバッテリ5の間の接続を制御する。
【0017】
バッテリ5は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、キャパシタ等の再充電可能な二次電池である。後述するように、バッテリ5は、外部電源50から供給された電力によって充電される。なお、車体フレーム6には、モータ2、インバータ3及びバッテリ5等を冷却する冷却装置が搭載されていてもよい。
【0018】
充電制御装置10は、車載充電器20、リレー装置24及び制御装置25を備えている。
図1に示すように、車載充電器20、リレー装置24及び制御装置25は、車両1の車体フレーム6に搭載されている。
図2は、第1充電口11、第2充電口12及び充電制御装置10の間の電気的な接続関係を示す図である。
図2に示すように、車載充電器20は、コンバータ21、検出装置22及び通信装置23を含んでいる。充電制御装置10は、第1充電口11及び第2充電口12の何れからでもバッテリを充電することができるように、第1充電口11と第2充電口12と車載充電器20との間の電気的な接続を制御する。充電制御装置10の詳細については、後述する。
【0019】
第1充電口11及び第2充電口12は、外部電源50の充電プラグ52を接続するためのソケットである。外部電源50は、車両1に交流電力を供給する普通充電設備である。
図1には、外部電源50として、2つの外部電源50a,50bが示されている。
【0020】
外部電源50a,50bには、充電ケーブル51を介して充電プラグ52が接続されている。充電プラグ52には、ロックスイッチ53が設けられている(
図2参照)。車両1の使用者が、充電プラグ52を第1充電口11又は第2充電口12に接続して、ロックスイッチ53をオンにすると、充電プラグ52が第1充電口11又は第2充電口12に固定される。一方、ロックスイッチ53をオフにすると、充電プラグ52が第1充電口11又は第2充電口12から取り外し可能となる。なお、以下の説明では、外部電源50a,50bを特に区別する必要がない場合には、外部電源50a,50bをまとめて外部電源50を称するものとする。
【0021】
一実施形態では、
図1に示すように、第1充電口11は車両1の前部に設けられ、第2充電口12は車両1の後部に設けられている。なお、第1充電口11及び第2充電口12は、車両1の左右に設けられていてもよい。車両1には、第1充電口11及び第2充電口12をそれぞれ覆う開閉式の蓋が設けられている。バッテリ5を充電する際には、蓋が開かれ、外部電源50の充電プラグ52が第1充電口11又は第2充電口12に接続される。そして、外部電源50から第1充電口11又は第2充電口12を介して車載充電器20に電力が供給され、バッテリ5が充電される。
【0022】
第1充電口11及び第2充電口12は、充電規格に対応したポートを有している。例えば、
図2に示すように、第1充電口11は、給電ポート11a、検出ポート11b及び通信ポート11cを有している。同様に、第2充電口12は、給電ポート12a、検出ポート12b及び通信ポート12cを有している。
【0023】
給電ポート11a,12aは、外部電源50から交流電力を受電する。
図2に示すように、給電ポート11aには、給電ライン31の一端が接続されている。給電ライン31の他端は、バッテリ5に接続されている。給電ポート11aとバッテリ5との間において、給電ライン31には高電圧ボックス4が接続されている。給電ライン31は、外部電源50aから供給された電力をバッテリ5に伝送する。
【0024】
給電ポート12aには、給電ライン41の一端が接続されている。給電ライン41の他端は、コンバータ21とリレー装置24との間で給電ライン31に接続されている。給電ライン41は、外部電源50bから供給された電力をバッテリ5に伝送する。
【0025】
検出ポート11b,12bは、第1充電口11及び第2充電口12に対する外部電源50の充電プラグ52の接続状態を示す信号を受信する。
図2に示すように、検出ポート11bには、検出ライン32の一端が接続されている。検出ライン32の他端は、検出装置22に接続されている。
図2に示すように、検出ライン32には、直流電源32vが接続されている。検出ライン32は、第1充電口11に対する充電プラグ52の接続状態を示す信号を検出装置22に伝送する。
【0026】
検出ポート12bには、検出ライン42の一端が接続されている。検出ライン42の他端は、検出装置22とリレー装置24との間で検出ライン32に接続されている。検出ライン42は、第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を示す信号を検出装置22に伝送する。
【0027】
通信ポート11c,12cは、外部電源50と通信装置23との間で送受信される通信データを伝送する。外部電源50と通信装置23との間で送受信される通信データは、充電規格によって定められた電力制御や充電進捗等に関する情報である。通信ポート11cには、通信ライン33の一端が接続されている。通信ライン33の他端は、通信装置23に接続されている。通信ライン33は、外部電源50aと通信装置23との間で通信データを伝送する。
【0028】
通信ポート12cには、通信ライン43の一端が接続されている。通信ライン43の他端は、通信装置23とリレー装置24との間で通信ライン33に接続されている。通信ライン43は、外部電源50bと通信装置23との間で通信データを伝送する。
【0029】
以下、
図2を参照して、充電制御装置10についてより詳細に説明する。上記のように、充電制御装置10は、車載充電器20、リレー装置24及び制御装置25を備えている。車載充電器20のコンバータ21は、高電圧ボックス4と、給電ライン31,41の接続点C1との間で給電ライン31に接続されている。コンバータ21は、交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータである。コンバータ21は、外部電源50から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリ5に供給する。
【0030】
検出装置22は、第1充電口11及び第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を検出する。検出装置22は、当該検出装置22で測定された電圧値に基づいて、第1充電口11及び第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を検出する。
【0031】
例えば第1充電口11に充電プラグ52が接続されていない場合には、第1充電口11と充電プラグ52との間の電気抵抗が大きいため、検出装置22で測定される電圧は増加する。一方、第1充電口11に充電プラグ52が接続された場合には、第1充電口11と充電プラグ52との間の電気抵抗が減少するため、検出装置22で測定される電圧は減少する。そこで、検出装置22は、当該検出装置22で測定された電圧が基準値以上であるときに充電プラグ52が第1充電口11に接続されていないと判定し、検出装置22で測定された電圧が基準値未満であるときに充電プラグ52が第1充電口11に接続されていると判定する。同様に、検出装置22は、第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を検出する。
【0032】
また、検出装置22は、充電プラグ52のロックスイッチ53の状態を判定する。例えば、第1充電口11に接続された充電プラグ52のロックスイッチ53をオンにすると、第1充電口11と充電プラグ52との間の電気抵抗が変化し、検出装置22で測定される電圧が変化する。検出装置22は、検出装置22で測定された電圧に基づいて、ロックスイッチ53がオン又はオフの何れであるかを判定する。すなわち、検出装置22は、充電プラグ52が第1充電口11又は第2充電口12に接続されているか否かの判定と、充電プラグ52のロックスイッチ53がオンであるかオフであるかの判定とを行うことが可能である。
【0033】
通信装置23は、充電規格に対応した通信プロトコルに従って、電力制御や充電進捗等に関する通信データを外部電源50と送受信する。例えば、通信装置23は、外部電源50の最大供給電力量を示す情報、バッテリ5の容量、充電状態及び充電速度を示す情報、充電の開始又は停止を制御する情報等を外部電源50と送受信する。
【0034】
リレー装置24は、第1充電口11及び第2充電口12の何れか一方とコンバータ21とを選択的に接続する機能を有する。
図2に示すように、リレー装置24は、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6を有している。スイッチSW1は、第1充電口11と給電ライン31,41の接続点C1との間で給電ライン31に接続されている。スイッチSW1は、第1充電口11とコンバータ21との電気的な接続を制御する。例えば、スイッチSW1がオンになると、第1充電口11とコンバータ21とが電気的に接続され、外部電源50aから供給された交流電力がコンバータ21に供給される。一方、スイッチSW1がオフになると、第1充電口11とコンバータ21とが電気的に非接続になり、外部電源50aからコンバータ21への交流電力の供給が行われなくなる。
【0035】
スイッチSW2は、第1充電口11と検出ライン32,42の接続点C2との間で検出ライン32に接続されている。スイッチSW2は、第1充電口11と検出装置22との電気的な接続を制御する。例えば、スイッチSW2がオンになると、第1充電口11と検出装置22とが電気的に接続され、第1充電口11に対する充電プラグ52の接続状態を示す信号が検出装置22に送信される。一方、スイッチSW2がオフになると、第1充電口11と検出装置22とが電気的に非接続になり、第1充電口11に対する充電プラグ52の接続状態を示す信号が検出装置22に送信されなくなる。
【0036】
スイッチSW3は、第1充電口11と通信ライン33,43の接続点C3との間で通信ライン33に接続されている。スイッチSW3は、第1充電口11と通信装置23との電気的な接続を制御する。例えば、スイッチSW3がオンになると、第1充電口11と通信装置23とが電気的に接続され、外部電源50aからの通信データが通信装置23に送信される。一方、スイッチSW3がオフになると、第1充電口11と通信装置23とが電気的に非接続になり、外部電源50aからの通信データが通信装置23に送信されなくなる。
【0037】
スイッチSW4は、第2充電口12と接続点C1との間で給電ライン41に接続されている。スイッチSW4は、第2充電口12とコンバータ21との電気的な接続を制御する。例えば、スイッチSW4がオンになると、第2充電口12とコンバータ21とが電気的に接続され、外部電源50bから供給された交流電力がコンバータ21に供給される。一方、スイッチSW4がオフになると、第2充電口12とコンバータ21とが電気的に非接続になり、外部電源50bからコンバータ21への交流電力の供給が停止される。
【0038】
スイッチSW5は、第2充電口12と接続点C2との間で検出ライン42に接続されている。スイッチSW5は、第2充電口12と検出装置22との電気的な接続を制御する。例えば、スイッチSW5がオンになると、第2充電口12と検出装置22とが電気的に接続され、第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を示す信号が検出装置22に送信される。一方、スイッチSW5がオフになると、第2充電口12と検出装置22とが電気的に非接続になり、第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を示す信号が検出装置22に送信されなくなる。
【0039】
スイッチSW6は、第2充電口12と接続点C3との間で通信ライン43に接続されている。スイッチSW6は、第2充電口12と通信装置23との電気的な接続を制御する。例えば、スイッチSW6がオンになると、第2充電口12と通信装置23とが電気的に接続され、外部電源50bからの通信データが通信装置23に送信される。一方、スイッチSW6がオフになると、第2充電口12と通信装置23とが電気的に非接続になり、外部電源50bからの通信データが通信装置23に送信されなくなる。
【0040】
制御装置25は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CAN(Controller Area Network)通信回路などを有する電子制御ユニットである。制御装置25は、例えば、CPUが出力する信号に基づいて、CAN通信回路を動作させてデータを入出力し、データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行して、充電制御装置10を統括的に制御する。例えば、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態に応じて、リレー装置24のスイッチSW1~SW6のオン/オフを制御する。
【0041】
次に、
図3を参照して、充電制御装置10の動作について説明する。
図3は、充電制御装置10の動作を示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、まず検出装置22が第1充電口11及び第2充電口12に対する充電プラグ52の接続状態を検出する(ステップST1)。次に、制御装置25が、第1充電口11に外部電源50aの充電プラグ52が接続されているか否かを判定する(ステップST2)。次に、制御装置25が、第2充電口12に外部電源50bの充電プラグ52が接続されているか否かを判定する(ステップST3)。
【0043】
第1充電口11及び第2充電口12のうち第1充電口11のみに充電プラグ52が接続されている場合(ステップST2:YES、ステップST3:NO)には、制御装置25は、リレー装置24を制御して、スイッチSW1~SW3をオンにし、スイッチSW4~SW6をオフにする(ステップST4)。
図4は、第1充電口11のみに充電プラグ52が接続されたときの第1充電口11、第2充電口12及び充電制御装置10の間の電気的な接続関係を示す図である。なお、
図4において、実線は電気的に接続された配線を表しており、破線は電気的に非接続な配線を示している。
【0044】
図4に示すように、スイッチSW1をオンにし、スイッチSW4をオフにすることにより、第1充電口11とコンバータ21とが電気的に接続され、第2充電口12とコンバータ21とが電気的に非接続となる。また、スイッチSW2をオンにし、スイッチSW5にすることにより、第1充電口11と検出装置22とが電気的に接続され、第2充電口12と検出装置22とが電気的に非接続となる。さらに、スイッチSW3をオンにし、スイッチSW6をオフにすることにより、第1充電口11と通信装置23とが電気的に接続され、第2充電口12と通信装置23とが電気的に非接続になる。
【0045】
次に、制御装置25が、第1充電口11に接続された充電プラグ52のロックスイッチ53がオンになっているか否かを判定する(ステップST5)。ロックスイッチ53がオフである場合には、制御装置25はロックスイッチ53がオンになるまで待機する。一方、ロックスイッチ53がオンである場合には、バッテリ5の充電を開始する(ステップST6)。具体的には、外部電源50aから第1充電口11を介してコンバータ21に交流電力が供給され、コンバータ21によって供給された交流電力が直流電力に変換される。変換された直流電力は、高電圧ボックス4を介してバッテリ5に供給され、バッテリ5が充電される。
【0046】
一方、第1充電口11及び第2充電口12のうち第2充電口12のみに充電プラグ52が接続されている場合(ステップST2:NO、ステップST3:YES)には、制御装置25は、リレー装置24を制御して、スイッチSW1~SW3をオフにし、スイッチSW4~SW6をオンにする(ステップST7)。
図5は、第2充電口12のみに充電プラグ52が接続されたときの第1充電口11、第2充電口12及び充電制御装置10の間の電気的な接続関係を示す図である。
図5において、実線は電気的に接続された配線を表しており、破線は電気的に非接続な配線を示している。
【0047】
図5に示すように、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW4をオンにすることにより、第1充電口11とコンバータ21とが電気的に非接続になり、第2充電口12とコンバータ21とが電気的に接続される。また、スイッチSW2をオフにし、スイッチSW5をオンにすることにより、第1充電口11と検出装置22とが電気的に非接続になり、第2充電口12と検出装置22とが電気的に接続される。さらに、スイッチSW3をオフにし、スイッチSW6をオンにすることにより、第1充電口11と通信装置23とが電気的に非接続になり、第2充電口12と通信装置23とが電気的に接続される。
【0048】
次に、制御装置25が、第2充電口12に接続された充電プラグ52のロックスイッチ53がオンになっているか否かを判定する(ステップST8)。ロックスイッチ53がオフである場合には、制御装置25はロックスイッチ53がオンになるまで待機する。一方、ロックスイッチ53がオンである場合には、バッテリ5の充電を開始する(ステップST9)。具体的には、外部電源50bから第2充電口12を介してコンバータ21に交流電力が供給され、コンバータ21によって供給された交流電力が直流電力に変換される。交流電力から変換された直流電力は、高電圧ボックス4を介してバッテリ5に供給され、バッテリ5が充電される。
【0049】
また、第1充電口11及び第2充電口12の何れにも充電プラグ52が接続されていない場合(ステップST2:NO、ステップST3:NO)には、一連の処理を中止する。一方、第1充電口11及び第2充電口12の双方に充電プラグ52が接続されている場合には(ステップST2:YES、ステップST3:YES)には、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12のうち一方の充電口を選択する(ステップST10)。そして、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12のうち選択された充電口がコンバータ21に電気的に接続され、第1充電口11及び第2充電口12のうち選択されなかった充電口がコンバータ21に電気的に非接続になるように、リレー装置24を制御する(ステップST11)。
【0050】
ステップST10では、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12のうち先に接続された充電口をコンバータ21に接続する充電口として選択してもよい。例えば、第1充電口11に外部電源50aの充電プラグ52が接続された後に、第2充電口12に外部電源50bの充電プラグ52が接続された場合には、制御装置25は、リレー装置24のスイッチSW1~SW3をオンにし、スイッチSW4~SW6をオフにする。これにより、第1充電口11とコンバータ21とが電気的に接続され、第2充電口12とコンバータ21とが電気的に非接続になる。
【0051】
一実施形態では、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12のうち後に接続された充電口をコンバータ21に接続する充電口として選択してもよい。例えば、第1充電口11に外部電源50aの充電プラグ52が接続された後に、第2充電口12に外部電源50bの充電プラグ52が接続された場合には、制御装置25は、スイッチSW1~SW3をオフにし、リレー装置24のスイッチSW4~SW6をオンにする。これにより、第1充電口11とコンバータ21とが電気的に非接続になり、第2充電口12とコンバータ21とが電気的に接続される。なお、先に接続された充電口、及び、後に接続された充電口のどちらをコンバータ21に接続する充電口として選択するかを運転者が選択できるようにしてもよい。
【0052】
次に、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12のうち、ステップST10で選択されなかった充電口から充電プラグ52を取り外すことを促す警報を出力する(ステップST12)。例えば、制御装置25は、メータパネルに警告を表示して、又は、音や光を発して充電プラグ52の取り外しを運転者に促す。
【0053】
次に、制御装置25が、ステップST10で選択された充電口に接続された充電プラグ52のロックスイッチ53がオンになっているか否かを判定する(ステップST13)。ロックスイッチ53がオンである場合には、バッテリ5の充電を開始する(ステップST14)。
【0054】
バッテリ5の充電が完了すると、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12から全ての充電プラグ52が取り外されたか否かを判定する(ステップST15)。第1充電口11及び第2充電口12から全ての充電プラグ52が取り外された場合には、制御装置25は、車両1の走行を許可する(ステップST16)。
【0055】
一方、第1充電口11及び第2充電口12の一方又は双方に充電プラグ52が接続されている場合には、制御装置25は、車両1の走行を禁止する制御を行う(ステップST17)。車両1の走行を禁止することにより、車両1に充電プラグ52が接続されたまま車両1が走行することが防止される。
【0056】
以上説明したように、充電制御装置10では、第1充電口11と充電プラグ52との接続が検出されたときに、第1充電口11がコンバータ21に電気的に接続され、第2充電口12がコンバータ21に電気的に非接続になるようにリレー装置24が制御されるので、第1充電口11から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリ5を充電することができる。一方、第2充電口12と充電プラグ52との接続が検出されたときには、第1充電口11がコンバータ21に電気的に非接続になり、第2充電口12がコンバータ21に電気的に接続されるようにリレー装置24が制御されるので、第2充電口12から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリ5を充電することができる。したがって、一つのコンバータ21を用いて第1充電口11及び第2充電口12の何れからでもバッテリ5を充電することが可能となる。したがって、車両1のコストの増加を抑制することができる。
【0057】
また、充電制御装置10によれば、第1充電口11及び第2充電口12の何れからでもバッテリ5を充電可能であるので、充電ステーションで車両1を駐車方向や駐車位置の制限を軽減することができる。また、車両の充電口の位置に合わせて外部電源50を改修する必要もなくなる。さらに、車両1が貨物車である場合には、荷役作業の邪魔にならないように充電ケーブル51の経路を選択することが可能となるので、荷役の作業性を向上させることができる。
【0058】
また、充電制御装置10では、第1充電口11及び第2充電口12の双方に充電プラグ52が接続された場合には、第1充電口11及び第2充電口12の一方のみがコンバータ21に接続されるので、第1充電口11及び第2充電口12から同時にコンバータ21に交流電力が供給されることを防止することができる。
【0059】
以上、種々の実施形態に係る充電制御装置について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した実施形態では、第1充電口11及び第2充電口12の双方に充電プラグ52が接続されている場合には、第1充電口11及び第2充電口12のうち一方の充電口とコンバータ21とが電気的に接続され、第1充電口11及び第2充電口12のうち他方の充電口とコンバータ21との電気的な接続が切断されるようにリレー装置24を制御しているが、制御装置25は、第1充電口11及び第2充電口12の双方がコンバータ21に対して電気的に非接続になるようにリレー装置24を制御してもよい。この場合には、第1充電口11及び第2充電口12の双方に充電プラグ52が接続されたときに、バッテリ5の充電は行われない。
【0060】
なお、第1充電口11及び第2充電口12の一方のみをコンバータ21に接続するか、第1充電口11及び第2充電口12の双方をコンバータ21に電気的に非接続にするかを運転者が選択できるようにしてもよい。上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で任意に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…車両、5…バッテリ、10…充電制御装置、11…第1充電口、12…第2充電口、21…コンバータ、22…検出装置、24…リレー装置、25…制御装置、50,50a,50b…外部電源、52…充電プラグ。