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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160485
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ペプチドの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/02 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
C07K1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075533
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩永 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】小竹 佑磨
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA40
4H045BA10
4H045FA30
4H045FA58
4H045FA80
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少ない工程数及び短時間でペプチドを製造する手段を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチドと、C末端活性化剤とをフローリアクターに導入してN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させる、C末端活性化工程;N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体と、C末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドとをフローリアクターに導入し、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させる、縮合工程;N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドと、N末端保護基の脱保護剤とをフローリアクターに導入し、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させる、N末端脱保護工程;及び抽出工程;を含む、ペプチドの製造方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチドと、C末端活性化剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中で該N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させる、C末端活性化工程;
N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体と、C末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドとをフローリアクターに導入し、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させる、縮合工程;
N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドと、N末端保護基の脱保護剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中でN末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させる、N末端脱保護工程;及び
N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを有機相側に抽出する、抽出工程;
を含む、ペプチドの製造方法。
【請求項2】
C末端活性化剤が、ハロゲン化ギ酸エチル、ハロゲン化ギ酸イソプロピル、ハロゲン化ギ酸イソブチル、カルボン酸ハロゲン化物、ホスゲン及びホスゲン等価体、カルボジイミド系縮合剤、ホスホニウム系縮合剤、ウロニウム系縮合剤、ハロウロニウム系縮合剤、イミダゾール系縮合剤、トリアジン系縮合剤、並びに縮合添加剤からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タグ保護基が、下記
(i)式(I):
【化1】
[式中、
環Aは芳香族環を示し;Yはヒドロキシル基、ブロモ基又はクロロ基であり;Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を有する有機基、水素原子又は電子吸引性基を示し、且つRa、Rb及びRcの少なくとも1つは脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;環A、B及びCはそれぞれ独立して電子吸引性基を有していてもよく;
ここで、脂肪族炭化水素基を有する有機基は、
式(b):
【化2】
(式中、
*は結合位置を示し;X1が-O-であり;R1が炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;m1が1である)
で表される基、
式(c):
【化3】
(式中、
*は結合位置を示し;X2、X2'、X2''及びX2'''が-O-であり;R2及びR4はそれぞれ独立して炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数5~60の脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;n1、n2、n3及びn4が1であり;m2が1である)
で表される基、及び
式(d):
【化4】
(式中、
*は結合位置を示し;X8が-O-を示し;m3が2又は3であり;n5が1であり;n6が3であり;X7が-O-であり;m3個のR12がそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基である)
で表される基
からなる群より選ばれる1種以上の基であって、該脂肪族炭化水素基を有する有機基は、フルオレン化合物の2位及び/又は7位に存在する]
で表されるフルオレン化合物、
(ii)式(II):
【化5】
[式中、
環Aは芳香族環を示し;Yはヒドロキシル基、ブロモ基又はクロロ基であり;nは1~19の整数を表し;Rc'は脂肪族炭化水素基を有する2価の有機基であり;環A、B及びCはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を有する有機基及び電子吸引性基から選ばれる1種以上を有してもよく;環Aが複数存在する場合の各環Aはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Yが複数存在する場合の各Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rc'が複数存在する場合の各Rc'はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;
ここで、脂肪族炭化水素基を有する2価の有機基は、
式(a):
【化6】
(式中、
Xaは存在しないか、又は-O-、-S-、-NHCO-或いは-CONH-を示し;Rdは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;k1は1~10の整数を示し;Rdが複数存在する場合の各Rdはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Xaが複数存在する場合の各Xaはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)
で表される基であり、
脂肪族炭化水素基を有する有機基は、
式(b):
【化7】
(式中、
*は結合位置を示し;X1が-O-であり;R1が炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;m1が1である)
で表される基、
式(c):
【化8】
(式中、
*は結合位置を示し;X2、X2'、X2''及びX2'''が-O-であり;R2及びR4はそれぞれ独立して炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数5~60の脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;n1、n2、n3及びn4が1であり;m2が1である)
で表される基、及び
式(d):
【化9】
(式中、
*は結合位置を示し;X8が-O-を示し;m3が2又は3であり;n5が1であり;n6が3であり;X7が-O-であり;m3個のR12がそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基である)
で表される基
からなる群より選ばれる1種以上の基であって、該脂肪族炭化水素基を有する有機基は、フルオレン化合物の2位及び/又は7位に存在する]
で表されるフルオレン化合物、
(iii)式(III):
【化10】
[式中、
Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;
Raは、
式(a):
【化11】
[式中、
*は、結合位置を示し;m1は、1~10の整数を示し;m1個のX1は、独立してそれぞれ、単結合を示すか、あるいは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;R1及びm1個のR2は、それぞれ独立して、炭素数5以上の2価の脂肪族炭化水素基を示し;且つR3は、水素原子、又は
式(III'):
【化12】
(式中、
Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;*は、結合位置を示し;n個のRbは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は1個以上のハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基を示し;且つnは、0~4の整数を示す)
で表される基である]
で表される基;
式(b):
【化13】
(式中、
*は結合位置を示し;m2は、1又は2を示し;n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0~2の整数を示し;m2個のX2、m2個のX2'及びm2個のX2''は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;m2個のR4及びm2個のR6は、それぞれ独立して、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;R5は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基;
式(c):
【化14】
(式中、
*は結合位置を示し;m3は、0~15の整数を示し;n5は0~11の整数を示し;n6は0~5の整数を示し;m3個のX3は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;且つm3個のR7は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基;及び
式(d):
【化15】
(式中、
*は、結合位置を示し;n7個のX4は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;R8は、2価の脂肪族炭化水素基を示し;n7個のR9は、それぞれ独立して、1価の脂肪族炭化水素基を示し;n7は、1~5の整数を示し;且つArは、アリーレン基を示す)
で表される基
からなる群より選ばれる脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し、当該有機基中の総炭素数が30以上であり;
n個のRbは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基を示し;且つnは、0~4の整数を示す]
で表されるベンジル化合物、
(iv)式(IV):
【化16】
[式中、
Yは、ヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;k及びlは、それぞれ独立して、0~5の整数を示し、ただし、k+lは0ではなく;k個のRa及びl個のRbは、それぞれ独立して、
式(a):
【化17】
(式中、
*は結合位置を示し;m1は、1~10の整数を示し;m1個のX1は、独立してそれぞれ、存在しないか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-又は-CONH-を示し;m1個のR1は、それぞれ独立して、炭素数5以上の2価の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基、
式(b):
【化18】
(式中、
*は結合位置を示し;m2は、1~2の整数を示し;m2個のn1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0~2の整数を示し;m2個のX2、m2個のX2'、m2個のX2'''及びm2個のX2''は、それぞれ独立して、存在しないか、あるいは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-又は-CONH-を示し;m2個のR2及びR4は、独立してそれぞれ、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;R3は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基、及び
式(e):
【化19】
(式中、
*は結合位置を示し;m3は、0~15の整数を示し;n5は0~11の整数を示し;n6は0~5の整数を示し;X2は存在しないか、或いは-O-、-S-、-NHCO-若しくは-CONH-を示し;m3個のX7は、それぞれ独立して、存在しないか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;m3個のR12は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基
からなる群より選ばれる炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し、ここで、
k+l個の脂肪族炭化水素基を有する有機基における、全脂肪族炭化水素基の合計の炭 素数が16以上であり;環AはRaに加えてさらに置換基を有していてもよく;環BはRbに加えてさらに置換基を有していてもよい]
で表される化合物、
(v)式(V):
【化20】
[式中、
k個のQは、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-又は-NH-を示し;k個のRaは、独立してそれぞれ、分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基を示し;kは、1~4の整数を示し;R1は、水素原子であるか、或いはZが下記式(a)で表される基である場合には、R2と一緒になって単結合を示して、環Bとともにフルオレン環を形成していてもよく;環Aは、R1、k個のQRa、及びC(X)(Y)Zに加えて、さらにハロゲン原子、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基、及び1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;Xは、水素原子又はフェニル基を示し;Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;且つZは、水素原子又は
式(a):
【化21】
(式中、
*は結合位置を示し;mは、0~4の整数を示し;m個のQは、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-又は-NH-を示し;m個のRbは、それぞれ独立して、分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基を示し;R2は、水素原子を示すか、又はR1と一緒になって単結合を示して、環Aと共にフルオレン環を形成してもよく;且つ環Bは、m個のQRb、及びR2に加えて、さらにハロゲン原子、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基、及び1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい)
で表される基
を示し;
前記Ra及びRbにおける分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基が、
式(b):
【化22】
(式中、
*は、隣接原子との結合位置を示し;R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基を示し;X1は、単結合、C1-4アルキレン基又は酸素原子を示し、但し、R3及びR4がともに水素原子であることはない)
で表される同一又は異なる2価の基を3以上有する基である]
で表される分岐鎖含有芳香族化合物、
(vi)式(VI):
【化23】
[式中、
R1及びR5は、水素原子であり;R2、R3及びR4は、炭素数が8~30のアルコキシ基であり;RXは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(vii)式(VII):
【化24】
[式中、
R2、R4及びR5は、水素原子であり、R1及びR3は、炭素数が12~30のアルコキシ基であり;RYは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(viii)式(VIII):
【化25】
[式中、
R1、R3及びR5は、水素原子であり、R2及びR4は、炭素数が12~30のアルコキシ基であり;RZは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(ix)式(IX):
【化26】
[式中、
Xは、-CH2ORa(ここで、Raは、水素原子、ハロゲノカルボニル基又は活性エステル型保護基を示す)、―CH2NHRb(ここで、Rbは、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、ハロゲノメチル基、アジ化メチル基、ホルミル基、又はオキシムを示し、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基であり;R1、R2、R3、R4、及びR5のうち少なくとも1つは、以下の式:-O-R6-Xa-Aで表される基を示し、残余の基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示し;R6は、炭素数1から16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xaは、O又はCONRc(ここで、Rcは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す)を示し;Aは、
式(1)~式(11)
【化27】
(ここで、R7、R8及びR9は、同じでも異なってもよく、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、R10は、単結合又は炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R11、R12及びR13は、同じでも異なってもよく、炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)
のいずれかを表す]
で表される化合物
からなる群から選択される化合物に由来する一価基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
N末端保護基が、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc基)、tert-ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、及びアリルオキシカルボニル基(Alloc基)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
縮合工程の後に、
N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、アミノ基を有するキャッピング剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、該C末端活性化誘導体を不活性化する、キャッピング工程;
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アミノ基を有するキャッピング剤が、2-(2-アミノエトキシエタノール)(AEE)、及び硫酸水素2-アミノエチル(AEHS)からなる群から選択される化合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
フローリアクターと、N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチド、及びC末端活性化剤を該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中で該N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させる、C末端活性化手段;
フローリアクターと、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体、及びC末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドを該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させる、縮合手段;
フローリアクターと、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチド、及びN末端保護基の脱保護剤を該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中でN末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させる、N末端脱保護手段;及び
N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物及び水相を混合する混合部材を有する、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを有機相側に抽出する、抽出手段;
を含む、ペプチドの製造装置。
【請求項8】
フローリアクターと、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物、及びアミノ基を有するキャッピング剤をフローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、該C末端活性化誘導体を不活性化する、キャッピング手段;
をさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
C末端活性化手段、縮合手段及びN末端脱保護手段が、2個以上の流入用流路と、該2個以上の流入用流路から流入する反応液を混合するミキサーと、該ミキサーで混合された反応液を流出させる1個以上の流出用流路と、原料を送液するためのポンプと、該流入用流路、流出用流路、ミキサー及びポンプの流路の温度を調節する温度調節装置とを有する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
抽出手段が、2個以上の流入用流路と、該2個以上の流入用流路から流入するN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応液及び水相を混合するミキサーと、該ミキサーで混合されたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応液及び水相の混相を有機相及び水相に分離する相分離部材と、相分離部材で分離された有機相を流出させる1個以上の流出用流路と、水相を送液するためのポンプとを有する、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
C末端活性化手段、縮合手段及びN末端脱保護手段の少なくともいずれかが、流入用流路及び/又は流出用流路の途中に、圧力計、流量計及び温度計からなる群より選択される少なくとも1個の物性検出部材を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
抽出手段が、流入用流路及び/又は流出用流路の途中に、圧力計、流量計及び温度計からなる群より選択される少なくとも1個の物性検出部材を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
C末端活性化手段、縮合手段、N末端脱保護手段及び抽出手段の少なくともいずれかが、原料及び反応液に含まれる化合物を検出するための少なくとも1個の化合物検出部材を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1個の化合物検出部材が、紫外可視分光検出器、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、示差屈折率検出器、電気伝導度検出器、蒸発光散乱検出器、赤外分光器、近赤外分光器、核磁気共鳴装置及び質量分析計からなる群より選択される少なくとも1個の部材である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
原料及び反応液等の流路において化合物検出部材の手前側に、化合物検出部材で検出される化合物を分離するための化合物分離部材をさらに有する、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
C末端活性化手段、縮合手段、N末端脱保護手段及び抽出手段の少なくともいずれかが、反応液をサンプリングするための少なくとも1個の取り出し口をさらに有する、請求項7に記載の装置。
【請求項17】
抽出手段で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを、縮合工程の原料導入部材に循環流入させる、循環流入手段をさらに含む、請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドの製造方法及び製造装置に関する。特に、本発明は、フローリアクターを用いるペプチドの連続的な製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは、医薬品及び食品等の成分として広く用いられている。ペプチド合成は、100年以上に亘って研究開発が行われている。現在では、液相法及び固相法が一般的である。
【0003】
固相法は、通常は、アミノ酸又はペプチドのC末端を固相支持体に結合しておき、N末端側にペプチド鎖の伸長反応を行う。固相法の場合、固相支持体を洗浄することにより、未反応の原料及び反応剤、並びに副生成物を容易に除去できる。他方、固相法は、固相支持体上で伸長反応を行うため、反応性が低く、結果としてペプチドの製造に時間を要する。
【0004】
液相法は、原料及び反応剤を含む反応溶液中でペプチド鎖の伸長反応を行うことから、反応性が高く、製造規模の調整も容易である。しかしながら、液相法は、縮合反応及び脱保護反応ごとに生成物の分離及び精製を非連続的な処理(バッチ処理)で行うため、製造工程が煩雑となり、結果としてペプチドの製造に時間を要する。
【0005】
液相法における縮合反応及び脱保護反応を連続的に実施する方法として、フローリアクターを用いるフロー合成法が開発された。フロー合成法は、内径数mm以下の微細な流路を反応場(フローリアクター)として用いる方法である。フロー合成法の場合、反応溶液の混合を瞬時に行うことができるため、反応時間を数秒単位で厳密に制御し得る。また、フロー合成法の場合、通常のバッチ処理の液相法と比較して、反応溶液の単位体積に対する比表面積が顕著に大きいため、反応系の加熱又は冷却を瞬時に行うことができる。このような特徴から、フロー合成法は、ペプチドの製造に要する時間及びエネルギーコストを低減し得る(非特許文献1及び2)。
【0006】
フロー合成法は、ペプチド鎖の伸長反応に要する時間及びエネルギーコストを低減し得るものの、液相法と同様に、縮合反応及び脱保護反応ごとに生成物の分離及び精製をバッチ処理で行う必要がある。液相法及びフロー合成法におけるこの問題に対して、固相法のような固液分離を行うことなく、有機相及び水相の二相分離によって生成物の分離及び精製を行い得る保護基(以下、「疑似固相保護基」又は「タグ保護基」とも記載する)が開発された。
【0007】
例えば、特許文献1は、このような保護基として使用し得るベンジル化合物を記載する。
【0008】
特許文献2は、フローリアクター及び疑似固相保護基を用いる、ペプチドの製造方法を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2017/038650号
【特許文献2】国際公開第2020/218497号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Otake, Y.ら, Angew. Chem. Int. Ed., 2020年, 第59巻, p. 12925-12930
【非特許文献2】Fuse, S.ら, Nature Communications, 2016年, 第7巻, p. 13491
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のように、フローリアクターを用いるペプチドの製造方法が開発されている。しかしながら、従来技術の方法にはいくつかの課題が存在した。例えば、非特許文献1及び2に記載の方法の場合、縮合反応及び脱保護反応ごとに生成物の分離及び精製をバッチ処理で行う必要がある。このため、全体としてペプチドの製造に長時間を要するという課題が存在した。
【0012】
それ故、本発明は、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、フローリアクターを用いるペプチドの製造方法において、有機相及び水相の二相分離によって生成物の分離及び精製を行い得るタグ保護基をC末端保護基に用いることにより、縮合反応後にペプチドの精製を行うことなく連続的にN末端保護基の脱保護反応を行い、短時間でペプチドを製造し得ることを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(実施形態1)
N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチドと、C末端活性化剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中で該N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させる、C末端活性化工程;
N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体と、C末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドとをフローリアクターに導入し、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させる、縮合工程;
N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドと、N末端保護基の脱保護剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中でN末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させる、N末端脱保護工程;及び
N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを有機相側に抽出する、抽出工程;
を含む、ペプチドの製造方法。
(実施形態2)
C末端活性化剤が、ハロゲン化ギ酸エチル、ハロゲン化ギ酸イソプロピル、ハロゲン化ギ酸イソブチル、カルボン酸ハロゲン化物、ホスゲン及びホスゲン等価体、カルボジイミド系縮合剤、ホスホニウム系縮合剤、ウロニウム系縮合剤、ハロウロニウム系縮合剤、イミダゾール系縮合剤、トリアジン系縮合剤、並びに縮合添加剤からなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
(実施形態3)
タグ保護基が、下記
(i)式(I):
【化1】
[式中、
環Aは芳香族環を示し;Yはヒドロキシル基、ブロモ基又はクロロ基であり;Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を有する有機基、水素原子又は電子吸引性基を示し、且つRa、Rb及びRcの少なくとも1つは脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;環A、B及びCはそれぞれ独立して電子吸引性基を有していてもよく;
ここで、脂肪族炭化水素基を有する有機基は、
式(b):
【化2】
(式中、
*は結合位置を示し;X1が-O-であり;R1が炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;m1が1である)
で表される基、
式(c):
【化3】
(式中、
*は結合位置を示し;X2、X2'、X2''及びX2'''が-O-であり;R2及びR4はそれぞれ独立して炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数5~60の脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;n1、n2、n3及びn4が1であり;m2が1である)
で表される基、及び
式(d):
【化4】
(式中、
*は結合位置を示し;X8が-O-を示し;m3が2又は3であり;n5が1であり;n6が3であり;X7が-O-であり;m3個のR12がそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基である)
で表される基
からなる群より選ばれる1種以上の基であって、該脂肪族炭化水素基を有する有機基は、フルオレン化合物の2位及び/又は7位に存在する]
で表されるフルオレン化合物、
(ii)式(II):
【化5】
[式中、
環Aは芳香族環を示し;Yはヒドロキシル基、ブロモ基又はクロロ基であり;nは1~19の整数を表し;Rc'は脂肪族炭化水素基を有する2価の有機基であり;環A、B及びCはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を有する有機基及び電子吸引性基から選ばれる1種以上を有してもよく;環Aが複数存在する場合の各環Aはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Yが複数存在する場合の各Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rc'が複数存在する場合の各Rc'はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;
ここで、脂肪族炭化水素基を有する2価の有機基は、
式(a):
【化6】
(式中、
Xaは存在しないか、又は-O-、-S-、-NHCO-或いは-CONH-を示し;Rdは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;k1は1~10の整数を示し;Rdが複数存在する場合の各Rdはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Xaが複数存在する場合の各Xaはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)
で表される基であり、
脂肪族炭化水素基を有する有機基は、
式(b):
【化7】
(式中、
*は結合位置を示し;X1が-O-であり;R1が炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;m1が1である)
で表される基、
式(c):
【化8】
(式中、
*は結合位置を示し;X2、X2'、X2''及びX2'''が-O-であり;R2及びR4はそれぞれ独立して炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数5~60の脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;n1、n2、n3及びn4が1であり;m2が1である)
で表される基、及び
式(d):
【化9】
(式中、
*は結合位置を示し;X8が-O-を示し;m3が2又は3であり;n5が1であり;n6が3であり;X7が-O-であり;m3個のR12がそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基である)
で表される基
からなる群より選ばれる1種以上の基であって、該脂肪族炭化水素基を有する有機基は、フルオレン化合物の2位及び/又は7位に存在する]
で表されるフルオレン化合物、
(iii)式(III):
【化10】
[式中、
Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;
Raは、
式(a):
【化11】
[式中、
*は、結合位置を示し;m1は、1~10の整数を示し;m1個のX1は、独立してそれぞれ、単結合を示すか、あるいは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;R1及びm1個のR2は、それぞれ独立して、炭素数5以上の2価の脂肪族炭化水素基を示し;且つR3は、水素原子、又は
式(III'):
【化12】
(式中、
Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;*は、結合位置を示し;n個のRbは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は1個以上のハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基を示し;且つnは、0~4の整数を示す)
で表される基である]
で表される基;
式(b):
【化13】
(式中、
*は結合位置を示し;m2は、1又は2を示し;n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0~2の整数を示し;m2個のX2、m2個のX2'及びm2個のX2''は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;m2個のR4及びm2個のR6は、それぞれ独立して、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;R5は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基;
式(c):
【化14】
(式中、
*は結合位置を示し;m3は、0~15の整数を示し;n5は0~11の整数を示し;n6は0~5の整数を示し;m3個のX3は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;且つm3個のR7は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基;及び
式(d):
【化15】
(式中、
*は、結合位置を示し;n7個のX4は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;R8は、2価の脂肪族炭化水素基を示し;n7個のR9は、それぞれ独立して、1価の脂肪族炭化水素基を示し;n7は、1~5の整数を示し;且つArは、アリーレン基を示す)
で表される基
からなる群より選ばれる脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し、当該有機基中の総炭素数が30以上であり;
n個のRbは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基を示し;且つnは、0~4の整数を示す]
で表されるベンジル化合物、
(iv)式(IV):
【化16】
[式中、
Yは、ヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;k及びlは、それぞれ独立して、0~5の整数を示し、ただし、k+lは0ではなく;k個のRa及びl個のRbは、それぞれ独立して、
式(a):
【化17】
(式中、
*は結合位置を示し;m1は、1~10の整数を示し;m1個のX1は、独立してそれぞれ、存在しないか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-又は-CONH-を示し;m1個のR1は、それぞれ独立して、炭素数5以上の2価の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基、
式(b):
【化18】
(式中、
*は結合位置を示し;m2は、1~2の整数を示し;m2個のn1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0~2の整数を示し;m2個のX2、m2個のX2'、m2個のX2'''及びm2個のX2''は、それぞれ独立して、存在しないか、あるいは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-又は-CONH-を示し;m2個のR2及びR4は、独立してそれぞれ、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;R3は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基、及び
式(e):
【化19】
(式中、
*は結合位置を示し;m3は、0~15の整数を示し;n5は0~11の整数を示し;n6は0~5の整数を示し;X2は存在しないか、或いは-O-、-S-、-NHCO-若しくは-CONH-を示し;m3個のX7は、それぞれ独立して、存在しないか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;m3個のR12は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基
からなる群より選ばれる炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し、ここで、
k+l個の脂肪族炭化水素基を有する有機基における、全脂肪族炭化水素基の合計の炭 素数が16以上であり;環AはRaに加えてさらに置換基を有していてもよく;環BはRbに加えてさらに置換基を有していてもよい]
で表される化合物、
(v)式(V):
【化20】
[式中、
k個のQは、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-又は-NH-を示し;k個のRaは、独立してそれぞれ、分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基を示し;kは、1~4の整数を示し;R1は、水素原子であるか、或いはZが下記式(a)で表される基である場合には、R2と一緒になって単結合を示して、環Bとともにフルオレン環を形成していてもよく;環Aは、R1、k個のQRa、及びC(X)(Y)Zに加えて、さらにハロゲン原子、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基、及び1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;Xは、水素原子又はフェニル基を示し;Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;且つZは、水素原子又は
式(a):
【化21】
(式中、
*は結合位置を示し;mは、0~4の整数を示し;m個のQは、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-又は-NH-を示し;m個のRbは、それぞれ独立して、分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基を示し;R2は、水素原子を示すか、又はR1と一緒になって単結合を示して、環Aと共にフルオレン環を形成してもよく;且つ環Bは、m個のQRb、及びR2に加えて、さらにハロゲン原子、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基、及び1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい)
で表される基
を示し;
前記Ra及びRbにおける分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基が、
式(b):
【化22】
(式中、
*は、隣接原子との結合位置を示し;R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基を示し;X1は、単結合、C1-4アルキレン基又は酸素原子を示し、但し、R3及びR4がともに水素原子であることはない)
で表される同一又は異なる2価の基を3以上有する基である]
で表される分岐鎖含有芳香族化合物、
(vi)式(VI):
【化23】
[式中、
R1及びR5は、水素原子であり;R2、R3及びR4は、炭素数が8~30のアルコキシ基であり;RXは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(vii)式(VII):
【化24】
[式中、
R2、R4及びR5は、水素原子であり、R1及びR3は、炭素数が12~30のアルコキシ基であり;RYは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(viii)式(VIII):
【化25】
[式中、
R1、R3及びR5は、水素原子であり、R2及びR4は、炭素数が12~30のアルコキシ基であり;RZは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(ix)式(IX):
【化26】
[式中、
Xは、-CH2ORa(ここで、Raは、水素原子、ハロゲノカルボニル基又は活性エステル型保護基を示す)、―CH2NHRb(ここで、Rbは、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、ハロゲノメチル基、アジ化メチル基、ホルミル基、又はオキシムを示し、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基であり;R1、R2、R3、R4、及びR5のうち少なくとも1つは、以下の式:-O-R6-Xa-Aで表される基を示し、残余の基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示し;R6は、炭素数1から16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xaは、O又はCONRc(ここで、Rcは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す)を示し;Aは、
式(1)~式(11)
【化27】
(ここで、R7、R8及びR9は、同じでも異なってもよく、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、R10は、単結合又は炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R11、R12及びR13は、同じでも異なってもよく、炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)
のいずれかを表す]
で表される化合物
からなる群から選択される化合物に由来する一価基である、実施形態1又は2に記載の方法。
(実施形態4)
N末端保護基が、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc基)、tert-ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、及びアリルオキシカルボニル基(Alloc基)からなる群から選択される、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
(実施形態5)
縮合工程の後に、
N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、アミノ基を有するキャッピング剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、該C末端活性化誘導体を不活性化する、キャッピング工程;
をさらに含む、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
(実施形態6)
アミノ基を有するキャッピング剤が、2-(2-アミノエトキシエタノール)(AEE)、及び硫酸水素2-アミノエチル(AEHS)からなる群から選択される化合物である、実施形態5に記載の方法。
(実施形態7)
フローリアクターと、N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチド、及びC末端活性化剤を該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中で該N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させる、C末端活性化手段;
フローリアクターと、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体、及びC末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドを該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させる、縮合手段;
フローリアクターと、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチド、及びN末端保護基の脱保護剤を該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中でN末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させる、N末端脱保護手段;及び
N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物及び水相を混合する混合部材を有する、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを有機相側に抽出する、抽出手段;
を含む、ペプチドの製造装置。
(実施形態8)
フローリアクターと、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物、及びアミノ基を有するキャッピング剤をフローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、該C末端活性化誘導体を不活性化する、キャッピング手段;
をさらに含む、実施形態7に記載の装置。
(実施形態9)
C末端活性化手段、縮合手段及びN末端脱保護手段が、2個以上の流入用流路と、該2個以上の流入用流路から流入する反応液を混合するミキサーと、該ミキサーで混合された反応液を流出させる1個以上の流出用流路と、原料を送液するためのポンプと、該流入用流路、流出用流路、ミキサー及びポンプの流路の温度を調節する温度調節装置とを有する、実施形態7又は8に記載の装置。
(実施形態10)
抽出手段が、2個以上の流入用流路と、該2個以上の流入用流路から流入するN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応液及び水相を混合するミキサーと、該ミキサーで混合されたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応液及び水相の混相を有機相及び水相に分離する相分離部材と、相分離部材で分離された有機相を流出させる1個以上の流出用流路と、水相を送液するためのポンプとを有する、実施形態7~9のいずれかに記載の装置。
(実施形態11)
C末端活性化手段、縮合手段及びN末端脱保護手段の少なくともいずれかが、流入用流路及び/又は流出用流路の途中に、圧力計、流量計及び温度計からなる群より選択される少なくとも1個の物性検出部材を有する、実施形態9又は10に記載の装置。
(実施形態12)
抽出手段が、流入用流路及び/又は流出用流路の途中に、圧力計、流量計及び温度計からなる群より選択される少なくとも1個の物性検出部材を有する、実施形態10又は11に記載の装置。
(実施形態13)
C末端活性化手段、縮合手段、N末端脱保護手段及び抽出手段の少なくともいずれかが、原料及び反応液に含まれる化合物を検出するための少なくとも1個の化合物検出部材を有する、実施形態7~12のいずれかに記載の装置。
(実施形態14)
少なくとも1個の化合物検出部材が、紫外可視分光検出器、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、示差屈折率検出器、電気伝導度検出器、蒸発光散乱検出器、赤外分光器、近赤外分光器、核磁気共鳴装置及び質量分析計からなる群より選択される少なくとも1個の部材である、実施形態13に記載の装置。
(実施形態15)
原料及び反応液等の流路において化合物検出部材の手前側に、化合物検出部材で検出される化合物を分離するための化合物分離部材をさらに有する、実施形態13又は14に記載の装置。
(実施形態16)
C末端活性化手段、縮合手段、N末端脱保護手段及び抽出手段の少なくともいずれかが、反応液をサンプリングするための少なくとも1個の取り出し口をさらに有する、実施形態7~15のいずれかに記載の装置。
(実施形態17)
抽出手段で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを、縮合工程の原料導入部材に循環流入させる、循環流入手段をさらに含む、実施形態7~16のいずれかに記載の装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造する手段を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一態様のペプチドの製造方法の一実施形態における各工程を示すフローチャートである。
図2図2は、本発明の一態様のペプチドの製造装置の一実施形態を示す模式図である。
図3図3は、本発明の一態様のペプチドの製造装置の別の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0018】
<1. ペプチドの製造方法>
本発明者らは、フローリアクターを用いるペプチドの製造方法において、有機相及び水相の二相分離によって生成物の分離及び精製を行い得るタグ保護基をC末端保護基に用いることにより、縮合反応後にペプチドの精製を行うことなく連続的にN末端保護基の脱保護反応を行い、短時間でペプチドを製造し得ることを見出した。それ故、本発明の一態様は、ペプチドの製造方法に関する。
【0019】
本態様の方法の一実施形態における各工程を示すフローチャートを図1に示す。図1に示すように、本態様の方法は、C末端活性化工程S1、縮合工程S2、N末端脱保護工程S4、及び抽出工程S5を含む。本態様の方法は、所望により、キャッピング工程S3及びC末端脱保護工程S6を含んでもよい。各工程について、以下において詳細に説明する。
【0020】
[1-1. C末端活性化工程(S1)]
本工程は、N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチドと、C末端活性化剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中で該N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させることを含む。
【0021】
本工程において使用するN末端保護アミノ酸又はペプチドを構成するアミノ酸は、天然型及び非天然型アミノ酸のいずれであってもよい。これらのアミノ酸が側鎖官能基を有する場合、該官能基を保護する側鎖保護基を有することが好ましい。任意のアミノ酸及び2個以上の該アミノ酸がペプチド結合によって連結したペプチドを、本工程において使用することができる。本工程において使用するN末端保護ペプチドの鎖長は、通常は2個以上、例えば2~50個、特に2~30個の範囲である。
【0022】
本工程において使用するN末端保護アミノ酸又はペプチドは、N末端アミノ基、特にN末端αアミノ基がN末端保護基によって保護されている。N末端保護基としては、限定するものではないが、例えば、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc基)、tert-ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、及びアリルオキシカルボニル基(Alloc基)を挙げることができる。N末端保護基は、Fmoc基又はBoc基であることが好ましく、Fmoc基であることがより好ましい。Fmoc基又はBoc基は、塩基又は酸処理により脱保護し得る。このため、触媒金属粉末を用いる接触還元により脱保護反応を行う保護基(例えば、Cbz基)と比較して、Fmoc基又はBoc基の場合、以下において説明するN末端脱保護工程において、フローリアクター中で塩基又は酸処理により容易に脱保護反応を実施することができる。Boc基の場合、システイン又はメチオニンを含まないアミノ酸又はペプチドのN末端保護に適用することが好ましいこともある。しかしながら、種々のアミノ酸又はペプチドのN末端保護に適用し得ることから、Fmoc基をN末端保護基として用いることが特に好ましい。前記で例示したN末端保護基を用いて本態様の方法を実施することにより、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造することができる。
【0023】
本工程において使用するN末端保護アミノ酸又はペプチドは、市販品を購入等して準備してもよく、公知の方法に基づき自ら合成することによって準備してもよい。
【0024】
本工程において使用するC末端活性化剤は、アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基と反応して、高い求電子性の活性化誘導体を形成し得る化合物を意味する。C末端活性化剤は、通常は、ハロゲン化ギ酸アルキル、カルボン酸ハロゲン化物、ホスゲン及びホスゲン等価体、並びにC末端活性化型の縮合剤からなる群から選択される。C末端活性化剤は、ハロゲン化ギ酸エチル、ハロゲン化ギ酸イソプロピル、ハロゲン化ギ酸イソブチル、カルボン酸ハロゲン化物、ホスゲン及びホスゲン等価体、カルボジイミド系縮合剤、ホスホニウム系縮合剤、ウロニウム系縮合剤、ハロウロニウム系縮合剤、イミダゾール系縮合剤、トリアジン系縮合剤、並びに縮合添加剤からなる群から選択されることが好ましく、ハロゲン化ギ酸エチル、ハロゲン化ギ酸イソプロピル及びハロゲン化ギ酸イソブチル等のハロゲン化ギ酸アルキル;カルボン酸ハロゲン化物;ホスゲン及びホスゲン等価体;ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及びN-エチル-N'-3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド及びその塩酸塩(EDC・HCl)等のカルボジイミド系縮合剤;ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PyBop)等のホスホニウム系縮合剤;[O-(7-アゾベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート](HATU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、及び(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)等のウロニウム系縮合剤;2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウム ヘキサフルオロリン酸塩(CIP)及び1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウム ヘキサフルオロリン酸塩(PyCIU)等のハロウロニウム系縮合剤;N,N'-カルボニルジイミダゾール(CDI)、及び1,1'-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)(CDT)等のイミダゾール系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)等のトリアジン系縮合剤;並びに1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及び1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)等の縮合添加剤からなる群から選択されることがより好ましく、クロロギ酸イソブチル(IBCF)、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸エチル、ブロモギ酸イソブチル、ブロモギ酸イソプロピル、ブロモギ酸エチル、トリホスゲン、ジホスゲン、チオホスゲン、カルボニルジイミダゾール、塩化ピバロイル、アダマンタンカルボニルクロリド、イソステアリン酸クロリド、臭化ピバロイル、アダマンタンカルボニルブロミド、及びイソステアリン酸ブロミドからなる群から選択されることがさらに好ましく、IBCFであることが特に好ましい。前記で例示したC末端活性化剤は、単独で使用してもよく、2個以上を組み合わせて使用してもよい。C末端活性化剤と、例えばN,N-ジメチルアミノピリジン又はN-メチルイミダゾールのような求核性塩基触媒とを共存させて使用してもよい。当該技術分野において、アミノ酸又はペプチドの縮合には、通常はEDC・HClのようなC末端活性化型の縮合剤及びHOBtのような縮合添加剤を組み合わせて使用する。このようなC末端活性化型の縮合剤は、アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基と反応して、比較的穏やかな求電子性の活性化誘導体を形成し得る。このため、C末端活性化型の縮合剤を使用して縮合反応を実施する場合、ラセミ化を回避して立体選択的にペプチド結合を形成することができる。前記で例示したC末端活性化剤のうち、ハロゲン化ギ酸アルキル、カルボン酸ハロゲン化物、ホスゲン又はホスゲン等価体を使用して縮合反応を実施する場合、縮合反応後に生成する副生成物は二酸化炭素及び塩化水素等であり、反応液から生成物のペプチドを精製することなく、該ペプチドを含む反応液をそのままの状態で次の工程に使用することができる。また、前記で例示したC末端活性化剤は、高い求電子性の活性化誘導体を形成し得ることからラセミ化が進行する可能性が高い。しかしながら、本態様の方法では、以下において説明する縮合工程において、短時間で反応が進行し得るフローリアクター中で縮合反応を実施することから、ラセミ化を実質的に回避し得る。このため、前記で例示したC末端活性化剤を使用して本態様の方法を実施することにより、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造することができる。
【0025】
本工程において使用するC末端活性化剤は、市販品を購入等して準備してもよく、公知の方法に基づき自ら合成することによって準備してもよい。
【0026】
本工程において使用するC末端活性化剤は、通常は、塩基性条件下でカルボキシル基と反応する。このため、C末端活性化剤は、塩基存在下でN末端保護アミノ酸又はペプチドと反応させることが好ましい。塩基としては、限定するものではないが、例えば、トリアルキルアミン等の求核性の低い塩基を挙げることができる。塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、トリブチルアミン又はトリエチルアミン等であることが好ましく、DIEA又はトリブチルアミンであることがより好ましい。前記で例示した塩基は、N末端保護アミノ酸又はペプチド又はC末端活性化剤とともに、好ましくはN末端保護アミノ酸又はペプチドとともに、フローリアクターに導入する。或いは、N末端保護アミノ酸又はペプチド又はC末端活性化剤とともにフローリアクターに導入せず、それぞれ独立してフローリアクタ―に導入後、ミキサーで混合し、フローリアクタ―内部で溶液を調製してもよい。前記で例示した塩基存在下でC末端活性化剤とN末端保護アミノ酸又はペプチドとを反応させることにより、高効率で活性化誘導体を形成することができる。
【0027】
本工程は、N末端保護アミノ酸又はペプチドを溶媒中に含む溶液と、C末端活性化剤を溶媒中に含む溶液とを、所定の流速でフローリアクターに導入することにより、実施することができる。溶媒としては、限定するものではないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸イソプロピル及びアセトニトリル等の親水性有機溶媒、並びにシクロペンチルメチルエーテル(CPME)、2-メチルテトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP)、ジクロロメタン及びt-ブチルメチルエーテル(MTBE)等の疎水性有機溶媒を挙げることができる。N末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液は、前記で例示した親水性有機溶媒を溶媒として含むことが好ましく、DMFを溶媒として含むことがより好ましい。C末端活性化剤を含む溶液は、前記で例示した疎水性有機溶媒を溶媒として含むことが好ましく、CPME又はMTHPを溶媒として含むことがより好ましい。前記で例示した溶媒を用いることにより、N末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液及びC末端活性化剤を含む溶液を首尾よく調製することができる。
【0028】
本工程において使用する塩基及び溶媒は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0029】
本実施形態の場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液は、前記で例示した塩基を含むことが好ましい。N末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液において、N末端保護アミノ酸又はペプチドの量は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、1.0~5.0モル当量の範囲であることが好ましく、1.0~1.3モル当量の範囲であることがより好ましい。塩基の量は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、1.0~5.0モル当量の範囲であることが好ましく、1.0~1.3モル当量の範囲であることがより好ましい。C末端活性化剤を含む溶液において、C末端活性化剤の量は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、1.0~5.0モル当量の範囲であることが好ましく、1.0~1.3モル当量の範囲であることがより好ましい。前記成分の量が前記下限値未満の場合、活性化誘導体の形成率が低下する可能性がある。また、前記成分の量が前記上限値を超える場合、これらの成分が溶媒に十分に溶解せずフローリアクター中で析出する可能性がある。成分の析出が生じると、フローリアクターが目詰まりする可能性がある。前記範囲の量で本工程を実施することにより、高効率で活性化誘導体を形成し、且つフローリアクターの目詰まりを生じることなく短時間でペプチドを製造することができる。
【0030】
前記実施形態の場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.1~100 mL/分の範囲であることが好ましく、0.5~20 mL/分の範囲であることがより好ましい。C末端活性化剤を含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.1~100 mL/分の範囲であることが好ましく、0.5~20 mL/分の範囲であることがより好ましい。流速が前記下限値未満の場合、本態様の方法によるペプチドの製造時間が長くなる可能性がある。前記範囲の流速で本工程を実施することにより、高効率で活性化誘導体を形成し、且つ短時間でペプチドを製造することができる。
【0031】
本工程において、フローリアクター中での活性化誘導体の形成反応の温度は、0~100℃の範囲であることが好ましく、20~60℃の範囲であることがより好ましい。活性化反応の温度が前記下限値未満の場合、活性化誘導体の形成反応の収率が低下する可能性がある。また、活性化誘導体の形成反応の温度が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の温度で本工程を実施することにより、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を高収率で形成させることができる。
【0032】
本工程において、フローリアクター中での活性化誘導体の形成反応の時間は、0.05秒~30分の範囲であることが好ましく、0.1~30秒の範囲であることがより好ましい。活性化誘導体の形成反応の時間が前記下限値未満の場合、活性化誘導体の形成反応の収率が低下する可能性がある。また、活性化誘導体の形成反応の時間が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の時間で本工程を実施することにより、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を高収率で形成させることができる。
【0033】
前記条件で本工程を実施することにより、フローリアクター中でN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させることができる。
【0034】
[1-2. 縮合工程(S2)]
本工程は、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体と、C末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドとをフローリアクターに導入し、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させることを含む。
【0035】
本工程において使用するN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体は、前記で説明したC末端活性化工程で得られる。
【0036】
本工程において使用するC末端保護アミノ酸又はペプチドを構成するアミノ酸は、天然型及び非天然型アミノ酸のいずれであってもよい。これらのアミノ酸が側鎖官能基を有する場合、該官能基を保護する側鎖保護基を有することが好ましい。任意のアミノ酸及び2個以上の該アミノ酸がペプチド結合によって連結したペプチドを、本工程において使用することができる。本工程において使用するN末端保護ペプチドの鎖長は、通常は2個以上、例えば2~50個、特に2~30個の範囲である。
【0037】
本工程において使用するC末端保護アミノ酸又はペプチドは、C末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されている。本工程において使用するタグ保護基は、アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基の保護基であって、有機相及び水相の二相分離によって該アミノ酸又はペプチド、或いはその縮合生成物の分離及び精製を行い得るようにその極性を低下させる保護基を意味する。タグ保護基としては、限定するものではないが、例えば、特許文献1に記載のベンジル化合物からなる保護基及び特許文献2に記載の疑似固相保護基を挙げることができる。
【0038】
タグ保護基は、以下の式(I)~(IX)で表される化合物からなる群から選択される化合物に由来する一価基であることが好ましい。
(i)式(I):
【化28】
[式中、
環Aは芳香族環を示し;Yはヒドロキシル基、ブロモ基又はクロロ基であり;Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を有する有機基、水素原子又は電子吸引性基を示し、且つRa、Rb及びRcの少なくとも1つは脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;環A、B及びCはそれぞれ独立して電子吸引性基を有していてもよく;
ここで、脂肪族炭化水素基を有する有機基は、
式(b):
【化29】
(式中、
*は結合位置を示し;X1が-O-であり;R1が炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;m1が1である)
で表される基、
式(c):
【化30】
(式中、
*は結合位置を示し;X2、X2'、X2''及びX2'''が-O-であり;R2及びR4はそれぞれ独立して炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数5~60の脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;n1、n2、n3及びn4が1であり;m2が1である)
で表される基、及び
式(d):
【化31】
(式中、
*は結合位置を示し;X8が-O-を示し;m3が2又は3であり;n5が1であり;n6が3であり;X7が-O-であり;m3個のR12がそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基である)
で表される基
からなる群より選ばれる1種以上の基であって、該脂肪族炭化水素基を有する有機基は、フルオレン化合物の2位及び/又は7位に存在する]
で表されるフルオレン化合物、
(ii)式(II):
【化32】
[式中、
環Aは芳香族環を示し;Yはヒドロキシル基、ブロモ基又はクロロ基であり;nは1~19の整数を表し;Rc'は脂肪族炭化水素基を有する2価の有機基であり;環A、B及びCはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を有する有機基及び電子吸引性基から選ばれる1種以上を有してもよく;環Aが複数存在する場合の各環Aはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Yが複数存在する場合の各Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Rc'が複数存在する場合の各Rc'はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;
ここで、脂肪族炭化水素基を有する2価の有機基は、
式(a):
【化33】
(式中、
Xaは存在しないか、又は-O-、-S-、-NHCO-或いは-CONH-を示し;Rdは炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;k1は1~10の整数を示し;Rdが複数存在する場合の各Rdはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Xaが複数存在する場合の各Xaはそれぞれ同一でも異なっていてもよい)
で表される基であり、
脂肪族炭化水素基を有する有機基は、
式(b):
【化34】
(式中、
*は結合位置を示し;X1が-O-であり;R1が炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;m1が1である)
で表される基、
式(c):
【化35】
(式中、
*は結合位置を示し;X2、X2'、X2''及びX2'''が-O-であり;R2及びR4はそれぞれ独立して炭素数5~60の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数5~60の脂肪族炭化水素基を有する有機基であり;n1、n2、n3及びn4が1であり;m2が1である)
で表される基、及び
式(d):
【化36】
(式中、
*は結合位置を示し;X8が-O-を示し;m3が2又は3であり;n5が1であり;n6が3であり;X7が-O-であり;m3個のR12がそれぞれ独立して炭素数4~30のアルキル基である)
で表される基
からなる群より選ばれる1種以上の基であって、該脂肪族炭化水素基を有する有機基は、フルオレン化合物の2位及び/又は7位に存在する]
で表されるフルオレン化合物、
(iii)式(III):
【化37】
[式中、
Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;
Raは、
式(a):
【化38】
[式中、
*は、結合位置を示し;m1は、1~10の整数を示し;m1個のX1は、独立してそれぞれ、単結合を示すか、あるいは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;R1及びm1個のR2は、それぞれ独立して、炭素数5以上の2価の脂肪族炭化水素基を示し;且つR3は、水素原子、又は
式(III'):
【化39】
(式中、
Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;*は、結合位置を示し;n個のRbは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は1個以上のハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基を示し;且つnは、0~4の整数を示す)
で表される基である]
で表される基;
式(b):
【化40】
(式中、
*は結合位置を示し;m2は、1又は2を示し;n1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0~2の整数を示し;m2個のX2、m2個のX2'及びm2個のX2''は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;m2個のR4及びm2個のR6は、それぞれ独立して、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;R5は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基;
式(c):
【化41】
(式中、
*は結合位置を示し;m3は、0~15の整数を示し;n5は0~11の整数を示し;n6は0~5の整数を示し;m3個のX3は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;且つm3個のR7は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基;及び
式(d):
【化42】
(式中、
*は、結合位置を示し;n7個のX4は、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;R8は、2価の脂肪族炭化水素基を示し;n7個のR9は、それぞれ独立して、1価の脂肪族炭化水素基を示し;n7は、1~5の整数を示し;且つArは、アリーレン基を示す)
で表される基
からなる群より選ばれる脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し、当該有機基中の総炭素数が30以上であり;
n個のRbは、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基を示し;且つnは、0~4の整数を示す]
で表されるベンジル化合物、
(iv)式(IV):
【化43】
[式中、
Yは、ヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;k及びlは、それぞれ独立して、0~5の整数を示し、ただし、k+lは0ではなく;k個のRa及びl個のRbは、それぞれ独立して、
式(a):
【化44】
(式中、
*は結合位置を示し;m1は、1~10の整数を示し;m1個のX1は、独立してそれぞれ、存在しないか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-又は-CONH-を示し;m1個のR1は、それぞれ独立して、炭素数5以上の2価の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基、
式(b):
【化45】
(式中、
*は結合位置を示し;m2は、1~2の整数を示し;m2個のn1、n2、n3及びn4は、それぞれ独立して、0~2の整数を示し;m2個のX2、m2個のX2'、m2個のX2'''及びm2個のX2''は、それぞれ独立して、存在しないか、あるいは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-又は-CONH-を示し;m2個のR2及びR4は、独立してそれぞれ、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示し;R3は、炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基、及び
式(e):
【化46】
(式中、
*は結合位置を示し;m3は、0~15の整数を示し;n5は0~11の整数を示し;n6は0~5の整数を示し;X2は存在しないか、或いは-O-、-S-、-NHCO-若しくは-CONH-を示し;m3個のX7は、それぞれ独立して、存在しないか、或いは-O-、-S-、-COO-、-OCONH-、-NHCO-又は-CONH-を示し;m3個のR12は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を示す)
で表される基
からなる群より選ばれる炭素数5以上の脂肪族炭化水素基を有する有機基を示し、ここで、
k+l個の脂肪族炭化水素基を有する有機基における、全脂肪族炭化水素基の合計の炭 素数が16以上であり;環AはRaに加えてさらに置換基を有していてもよく;環BはRbに加えてさらに置換基を有していてもよい]
で表される化合物、
(v)式(V):
【化47】
[式中、
k個のQは、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-又は-NH-を示し;k個のRaは、独立してそれぞれ、分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基を示し;kは、1~4の整数を示し;R1は、水素原子であるか、或いはZが下記式(a)で表される基である場合には、R2と一緒になって単結合を示して、環Bとともにフルオレン環を形成していてもよく;環Aは、R1、k個のQRa、及びC(X)(Y)Zに加えて、さらにハロゲン原子、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基、及び1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよく;Xは、水素原子又はフェニル基を示し;Yはヒドロキシル基又は-NHR基(Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示す)を示し;且つZは、水素原子又は
式(a):
【化48】
(式中、
*は結合位置を示し;mは、0~4の整数を示し;m個のQは、それぞれ独立して、単結合を示すか、或いは-O-、-S-、-C(=O)O-、-C(=O)NH-又は-NH-を示し;m個のRbは、それぞれ独立して、分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基を示し;R2は、水素原子を示すか、又はR1と一緒になって単結合を示して、環Aと共にフルオレン環を形成してもよく;且つ環Bは、m個のQRb、及びR2に加えて、さらにハロゲン原子、1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基、及び1個以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有していてもよい)
で表される基
を示し;
前記Ra及びRbにおける分岐鎖を1以上有する脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、総分岐鎖数が3以上であって、且つ総炭素数14以上300以下である有機基が、
式(b):
【化49】
(式中、
*は、隣接原子との結合位置を示し;R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子又はC1-4アルキル基を示し;X1は、単結合、C1-4アルキレン基又は酸素原子を示し、但し、R3及びR4がともに水素原子であることはない)
で表される同一又は異なる2価の基を3以上有する基である]
で表される分岐鎖含有芳香族化合物、
(vi)式(VI):
【化50】
[式中、
R1及びR5は、水素原子であり;R2、R3及びR4は、炭素数が8~30のアルコキシ基であり;RXは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(vii)式(VII):
【化51】
[式中、
R2、R4及びR5は、水素原子であり、R1及びR3は、炭素数が12~30のアルコキシ基であり;RYは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(viii)式(VIII):
【化52】
[式中、
R1、R3及びR5は、水素原子であり、R2及びR4は、炭素数が12~30のアルコキシ基であり;RZは、-CHO、-CH2OH、-CHR6-NHR7又はCH2SH(ここで、R7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ベンジル基、又はアルコキシ置換ベンジル基を表し、R6は水素原子、フェニル基又はアルコキシ置換フェニル基を表す)で表される、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基である]
で表される化合物、
(ix)式(IX):
【化53】
[式中、
Xは、-CH2ORa(ここで、Raは、水素原子、ハロゲノカルボニル基又は活性エステル型保護基を示す)、―CH2NHRb(ここで、Rbは、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基を示す)、ハロゲノメチル基、アジ化メチル基、ホルミル基、又はオキシムを示し、アミノ酸、ペプチド又はアミノ酸アミドのカルボキシル基、アミノ基又は水酸基、或いはリンカーに結合する基であり;R1、R2、R3、R4、及びR5のうち少なくとも1つは、以下の式:-O-R6-Xa-Aで表される基を示し、残余の基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示し;R6は、炭素数1から16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xaは、O又はCONRc(ここで、Rcは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す)を示し;Aは、
式(1)~式(11)
【化54】
(ここで、R7、R8及びR9は、同じでも異なってもよく、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、R10は、単結合又は炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、R11、R12及びR13は、同じでも異なってもよく、炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す)
のいずれかを表す]
で表される化合物。
【0039】
タグ保護基は、式TIPS2-OP、TIPS3-OMP、TIPS3-MMP、TIPS3-O、TIPS6-OP、TIPS6-MMP、TIPS9-OMP及びTBDPS2-OP:
【化55】
[式中、
X1は、-CH2OR1、又は-CH2NHR2であり、
R1は、水素原子、ハロゲノカルボニル基又は活性エステル型保護基であり、
R2は、水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又はアラルキル基であり、
R5bは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。]
で表される化合物からなる群から選択される化合物に由来する一価基であることがより好ましく、TIPS2-OPに由来する一価基であることがさらに好ましい。前記で例示した式において、X1は、-CH2OH又は-CH2NH2であることが好ましく、-CH2OHであることがより好ましい。R5bは、水素原子であることが好ましい。特に好ましくは、式TIPS2-OPにおいて、X1が、-CH2OHであり、R5bが、水素原子である化合物(TIPS2-OH)である。前記で例示した化合物は、特許文献1又は2に記載されている。
【0040】
前記で例示した一価基は、通常は、対応する化合物のヒドロキシル基の水素原子が脱離した遊離基である。前記で例示したタグ保護基を用いて本工程を実施することにより、縮合反応によって得られるN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドがフローリアクター中で析出することを実質的に回避することができる。また、以下において説明する抽出工程において、有機相及び水相の二相分離によって、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを容易に抽出することができる。それ故、本態様の方法により、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造することができる。
【0041】
本工程において使用するC末端保護アミノ酸又はペプチドは、市販品を購入等して準備してもよく、例えば特許文献1及び2等に記載の公知の方法に基づき自ら合成することによって準備してもよい。
【0042】
本工程は、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を溶媒中に含む溶液と、C末端保護アミノ酸又はペプチドを溶媒中に含む溶液とを、所定の流速でフローリアクターに導入することにより、実施することができる。溶媒は、C末端活性化工程に関する説明で例示した溶媒と同様のものを挙げることができる。N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む溶液は、通常は、C末端活性化工程で使用された溶媒を含む。C末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液は、前記で例示した親水性有機溶媒を溶媒として含むことが好ましく、DMFを溶媒として含むことがより好ましい。前記で例示した溶媒を用いることにより、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む溶液及びC末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液を首尾よく調製することができる。
【0043】
本工程において使用する溶媒は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0044】
本実施形態の場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む溶液としては、C末端活性化工程で得られたN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む反応混合物をそのままの状態で使用することが好ましい。C末端活性化工程で得られたN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む反応混合物をそのままの状態で本工程において使用することにより、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造することができる。
【0045】
前記実施形態の場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む溶液において、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体の量は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、1.0~5.0モル当量の範囲であることが好ましく、1.0~1.3モル当量の範囲であることがより好ましい。C末端活性化工程で得られたN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む反応混合物をそのままの状態で使用する場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体の量は、C末端活性化工程における反応収率に依存して前記範囲で変動し得る。C末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液において、C末端保護アミノ酸又はペプチドの濃度は、0.01~1.0 mol/Lの範囲であることが好ましく、0.05~0.3 mol/Lの範囲であることがより好ましい。前記成分の量又は濃度が前記下限値未満の場合、縮合反応の収率が低下する可能性がある。また、前記成分の量又は濃度が前記上限値を超える場合、これらの成分が溶媒に十分に溶解せずフローリアクター中で析出する可能性がある。成分の析出が生じると、フローリアクターが目詰まりする可能性がある。前記範囲の量又は濃度で本工程を実施することにより、高効率で活性化誘導体を形成し、且つフローリアクターの目詰まりを生じることなく短時間でペプチドを製造することができる。
【0046】
前記実施形態の場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.1~100 mL/分の範囲であることが好ましく、0.5~20 mL/分の範囲であることがより好ましい。C末端活性化工程で得られたN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む反応混合物をそのままの状態で使用する場合、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を含む溶液の流速は、C末端活性化工程における各溶液の流速に依存して前記範囲で変動し得る。C末端保護アミノ酸又はペプチドを含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.2~200 mL/分の範囲であることが好ましく、1~40 mL/分の範囲であることがより好ましい。流速が前記下限値未満の場合、本態様の方法によるペプチドの製造時間が長くなる可能性がある。また、流速が前記上限値を超える場合、縮合反応の収率が低下する可能性がある。前記範囲の流速で本工程を実施することにより、高収率でN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成し、且つ短時間でペプチドを製造することができる。
【0047】
本工程において、フローリアクター中でのC末端保護アミノ酸又はペプチドとN末端保護アミノ酸又はペプチドとの縮合反応の温度は、0~100℃の範囲であることが好ましく、20~60℃の範囲であることがより好ましい。縮合反応の温度が前記下限値未満の場合、縮合反応の収率が低下する可能性がある。また、縮合反応の温度が前記上限値を超える場合、ラセミ化が進行する可能性がある。前記範囲の温度で本工程を実施することにより、所望の絶対立体配置を有するペプチドを高収率で製造することができる。
【0048】
本工程において、フローリアクター中でのC末端保護アミノ酸又はペプチドとN末端保護アミノ酸又はペプチドとの縮合反応の時間は、1秒~60分の範囲であることが好ましく、10秒~5分の範囲であることがより好ましい。縮合反応の時間が前記下限値未満の場合、縮合反応の収率が低下する可能性がある。また、縮合反応の時間が前記上限値を超える場合、ラセミ化が進行する可能性がある。前記範囲の時間で本工程を実施することにより、所望の絶対立体配置を有するペプチドを高収率で製造することができる。
【0049】
前記条件で本工程を実施することにより、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させることができる。
【0050】
[1-3. キャッピング工程(S3)]
本工程は、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、アミノ基を有するキャッピング剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、該C末端活性化誘導体を不活性化することを含む。
【0051】
本工程は、縮合工程の後に実施することが好ましく、縮合工程の後に、縮合工程で得られたN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物を用いて実施することがより好ましい。
【0052】
本工程において使用するキャッピング剤は、アミノ基を有する化合物であって、該アミノ基が未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体と反応して、未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を不活性化し得る化合物を意味する。キャッピング剤は、アミノ基に加えて、ヒドロキシル基又は硫酸基等のさらなる親水性基を有することが好ましい。さらなる親水性基を有することにより、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体との反応生成物の水溶性を向上させることができる。これにより、以下において説明する抽出工程において、不活性化したキャッピング剤との反応生成物を水相に移行させることができる。キャッピング剤は、2-(2-アミノエトキシエタノール)(AEE)及び硫酸水素2-アミノエチル(AEHS)からなる群から選択されることが好ましく、AEEであることがより好ましい。前記で例示したキャッピング剤を用いることにより、未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を迅速に不活性化することができる。これにより、少ない工程数及び短時間でペプチドを製造することができる。
【0053】
本工程において使用するキャッピング剤は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0054】
本工程は、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、キャッピング剤を溶媒中に含む溶液とを、所定の流速でフローリアクターに導入することにより、実施することができる。溶媒は、C末端活性化工程に関する説明で例示した溶媒と同様のものを挙げることができる。N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物は、通常は、縮合工程で使用された溶媒を含む。キャッピング剤を含む溶液は、前記で例示した親水性有機溶媒を溶媒として含むことが好ましく、DMSOを溶媒として含むことがより好ましい。前記で例示した溶媒を用いることにより、キャッピング剤を含む溶液を首尾よく調製することができる。
【0055】
本工程において使用する溶媒は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0056】
本実施形態の場合、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物において、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドの濃度は、0.01~1.0 mol/Lの範囲であることが好ましく、0.05~0.3 mol/Lの範囲であることがより好ましい。N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドの濃度は、縮合工程における反応収率に依存して前記範囲で変動し得る。キャッピング剤を含む溶液において、キャッピング剤の量は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、0.5~20モル当量の範囲であることが好ましく、0.5~2.0モル当量の範囲であることがより好ましい。前記成分の量又は濃度が前記下限値未満の場合、キャッピング剤との反応の収率が低下する可能性がある。また、前記成分の量又は濃度が前記上限値を超える場合、これらの成分が溶媒に十分に溶解せずフローリアクター中で析出する可能性がある。成分の析出が生じると、フローリアクターが目詰まりする可能性がある。前記範囲の量又は濃度で本工程を実施することにより、高効率で活性化誘導体を形成し、且つフローリアクターの目詰まりを生じることなく短時間でペプチドを製造することができる。
【0057】
前記実施形態の場合、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物をフローリアクターに導入する流速は、0.3~300 mL/分の範囲であることが好ましく、1.5~60 mL/分の範囲であることがより好ましい。N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物の流速は、縮合工程における各溶液の流速に依存して前記範囲で変動し得る。キャッピング剤を含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.05~50 mL/分の範囲であることが好ましく、0.25~10 mL/分の範囲であることがより好ましい。流速が前記下限値未満の場合、本態様の方法によるペプチドの製造時間が長くなる可能性がある。また、流速が前記上限値を超える場合、キャッピング剤との反応の効率が低下する可能性がある。前記範囲の流速で本工程を実施することにより、短時間でペプチドを製造することができる。
【0058】
本工程において、フローリアクター中での未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤との反応の温度は、0~100℃の範囲であることが好ましく、20~60℃の範囲であることがより好ましい。反応の温度が前記下限値未満の場合、反応の効率が低下する可能性がある。また、反応の温度が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の温度で本工程を実施することにより、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0059】
本工程において、フローリアクター中での未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤との反応の時間は、1秒~60分の範囲であることが好ましく、10~60秒の範囲であることがより好ましい。反応の時間が前記下限値未満の場合、反応の効率が低下する可能性がある。また、反応の時間が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の時間で本工程を実施することにより、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0060】
前記条件で本工程を実施することにより、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を不活性化することができる。これにより、未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体に起因する副生成物の形成を実質的に抑制して、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0061】
[1-4. N末端脱保護工程(S4)]
本工程は、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドと、N末端保護基の脱保護剤とをフローリアクターに導入し、フローリアクター中でN末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させることを含む。
【0062】
本工程において使用するN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドは、前記で説明した縮合工程又はキャッピング工程で得られる。
【0063】
本工程において使用するN末端保護基の脱保護剤は、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドのN末端保護基に応じて適宜選択することができる。例えば、N末端保護基がFmoc基等の塩基で脱保護される基の場合、脱保護剤は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)又はピペリジン等の有機塩基であることが好ましく、DBUであることがより好ましい。N末端保護基がBoc基等の酸で脱保護される基の場合、脱保護剤は、トリフルオロ酢酸(TFA)、又は有機溶媒に溶解させた塩化水素等の酸であることが好ましく、TFAであることがより好ましい。N末端保護基がCbz基等の接触還元で脱保護される基の場合、脱保護剤は、パラジウム/炭素(Pd/C)又はPd(OH)2/C等の触媒であることが好ましく、パラジウム/炭素であることがより好ましい。N末端保護基がAlloc基等のパラジウム触媒を用いる求核置換反応で脱保護される基の場合、脱保護剤は、パラジウム(0)触媒であることが好ましく、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)であることがより好ましい。前記で例示した脱保護剤を用いて本工程を実施することにより、迅速にN末端保護基を脱保護することができる。
【0064】
本工程において、N末端保護基の脱保護反応によって反応性の高い脱保護副生成物が形成される場合、該脱保護副生成物を捕捉する捕捉剤の存在下で脱保護反応を実施することが好ましい。捕捉剤は、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドのN末端保護基に応じて適宜選択することができる。例えば、N末端保護基がFmoc基の場合、捕捉剤は、脱保護副生成物であるジベンゾフルベンを捕捉し得るメルカプトアルカンスルホン酸塩、又はピペリジン等の塩基であることが好ましく、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム(3-MPSNa)であることがより好ましい。N末端保護基がBoc基の場合、捕捉剤は、アニソール、チオアニソール、ジメチルスルフィド又はチオフェノール等であることが好ましい。前記で例示した脱保護剤を用いて本工程を実施することにより、反応性の高い脱保護副生成物を捕捉して不活性化することができる。これにより、ペプチドを高収率で製造することができる。
【0065】
前記実施形態の場合、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチド及びN末端保護基の脱保護剤と一緒に又は別々に、捕捉剤をフローリアクターに導入すればよい。N末端保護基の脱保護剤と捕捉剤とを別々にフローリアクターに導入することが好ましく、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む溶液と捕捉剤を含む溶液とを一緒に又は別々にフローリアクターに導入し、その後にN末端保護基の脱保護剤を含む溶液をフローリアクターに導入することがより好ましく、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む溶液と捕捉剤を含む溶液とを別々にフローリアクターに導入し、その後にN末端保護基の脱保護剤を含む溶液をフローリアクターに導入することがさらに好ましい。前記順序で各溶液をフローリアクターに導入することにより、脱保護副生成物を効率的に捕捉することができる。
【0066】
本工程において使用する脱保護剤及び捕捉剤は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0067】
本工程は、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、脱保護剤を溶媒中に含む溶液とを、所望により捕捉剤を溶媒中に含む溶液とを、所定の流速でフローリアクターに導入することにより、実施することができる。溶媒は、C末端活性化工程に関する説明で例示した溶媒と同様のものを挙げることができる。N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物は、通常は、縮合工程又はキャッピング工程で使用された溶媒を含む。脱保護剤を含む溶液及び捕捉剤を含む溶液は、前記で例示した親水性有機溶媒を溶媒として含むことが好ましく、DMSOを溶媒として含むことがより好ましい。前記で例示した溶媒を用いることにより、脱保護剤を含む溶液及び捕捉剤を含む溶液を首尾よく調製することができる。
【0068】
本工程において使用する溶媒は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0069】
本実施形態の場合、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む溶液としては、縮合工程又はキャッピング工程で得られたN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物をそのままの状態で使用することが好ましく、キャッピング工程で得られたN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物をそのままの状態で使用することがより好ましい。キャッピング工程で得られたN末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物を使用することにより、未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体に起因する副生成物の形成を実質的に抑制して、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0070】
本実施形態の場合、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物において、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドの濃度は、0.01~1.0 mol/Lの範囲であることが好ましく、0.05~0.3 mol/Lの範囲であることがより好ましい。N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドの濃度は、縮合工程又はキャッピング工程における反応収率に依存して前記範囲で変動し得る。脱保護剤を含む溶液において、脱保護剤の量は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、1~100モル当量の範囲であることが好ましく、1~10モル当量の範囲であることがより好ましい。捕捉剤を含む溶液において、捕捉剤の濃度は、C末端保護アミノ酸又はペプチドに対して、1~10モル当量の範囲であることが好ましく、1~3モル当量の範囲であることがより好ましい。前記成分の量又は濃度が前記下限値未満の場合、脱保護反応の収率が低下する可能性がある。また、前記成分の量又は濃度が前記上限値を超える場合、これらの成分が溶媒に十分に溶解せずフローリアクター中で析出する可能性がある。成分の析出が生じると、フローリアクターが目詰まりする可能性がある。前記範囲の量又は濃度で本工程を実施することにより、高効率でN末端保護基を脱保護し、且つフローリアクターの目詰まりを生じることなく短時間でペプチドを製造することができる。
【0071】
前記実施形態の場合、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物をフローリアクターに導入する流速は、0.35~350 mL/分の範囲であることが好ましく、1.75~70 mL/分の範囲であることがより好ましい。N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物の流速は、縮合工程又はキャッピング工程における各溶液の流速に依存して前記範囲で変動し得る。脱保護剤を含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.1~100 mL/分の範囲であることが好ましく、0.5~20 mL/分の範囲であることがより好ましい。捕捉剤を含む溶液をフローリアクターに導入する流速は、0.05~50 mL/分の範囲であることが好ましく、0.25~10 mL/分の範囲であることがより好ましい。流速が前記下限値未満の場合、本態様の方法によるペプチドの製造時間が長くなる可能性がある。また、流速が前記上限値を超える場合、脱保護反応の効率が低下する可能性がある。前記範囲の流速で本工程を実施することにより、短時間でペプチドを製造することができる。
【0072】
本工程において、フローリアクター中での脱保護反応の温度は、0~100℃の範囲であることが好ましく、5~60℃の範囲であることがより好ましい。脱保護反応の温度が前記下限値未満の場合、反応の効率が低下する可能性がある。また、脱保護反応の温度が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の温度で本工程を実施することにより、迅速にN末端保護基を脱保護して、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0073】
本工程において、フローリアクター中での脱保護反応の時間は、1秒~60分の範囲であることが好ましく、10~60秒の範囲であることがより好ましい。脱保護反応の時間が前記下限値未満の場合、反応の効率が低下する可能性がある。また、脱保護反応の時間が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の時間で本工程を実施することにより、迅速にN末端保護基を脱保護して、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0074】
前記条件で本工程を実施することにより、フローリアクター中で、N末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させることができる。これにより、迅速にN末端保護基を脱保護して、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0075】
[1-5. 抽出工程(S5)]
本工程は、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを有機相側に抽出し、有機相と水相とを分離することを含む。
【0076】
前記で説明したように、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドは、有機相及び水相の二相分離によって該ペプチドの分離及び精製を行い得るようにその極性を低下させるタグ保護基をC末端カルボキシル基の保護基として有する。このため、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合することにより、混合物は、該ペプチドを含む有機相及び水相の二相に分離する。前記で説明した各工程によって使用された未反応の原料及び反応によって形成された副生成物は水相に移行するため、混合物から有機相を分離することにより、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを抽出することができる。
【0077】
本工程において使用する水相は、水に加えて、所望により、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム若しくは炭酸水素ナトリウム等の塩、又は塩酸若しくは硫酸等の酸を含んでもよい。また、水相は、所望により、前記で例示した親水性有機溶媒を含んでもよい。前記で例示した塩、酸及び/又は親水性有機溶媒を水相に含むことにより、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドの抽出効率を向上させることができる。
【0078】
本工程において使用する塩、酸及び親水性有機溶媒は、市販品を購入等して準備すればよい。
【0079】
本工程は、フロー合成法により実施してもよく、バッチ処理により実施してもよい。
【0080】
フロー合成法により本工程を実施する場合、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、水相とを、所定の流速でフローリアクターに導入して、該フローリアクター中でN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを抽出する。本実施形態の場合、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物をフローリアクターに導入する流速は、0.4~400 mL/分の範囲であることが好ましく、2.5~100 mL/分の範囲であることがより好ましい。N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物の流速は、脱保護工程における各溶液の流速に依存して前記範囲で変動し得る。水相をフローリアクターに導入する流速は、0.1~1600 mL/分の範囲であることが好ましく、1.25~200 mL/分の範囲であることがより好ましい。流速が前記下限値未満の場合、本態様の方法によるペプチドの製造時間が長くなる可能性がある。また、流速が前記上限値を超える場合、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドの抽出効率が低下する可能性がある。前記範囲の流速で本工程を実施することにより、短時間でペプチドを製造することができる。
【0081】
前記実施形態の場合、フローリアクター中での抽出の温度は、5~60℃の範囲であることが好ましく、10~30℃の範囲であることがより好ましい。抽出の温度が前記下限値未満の場合、抽出の効率が低下する可能性がある。また、抽出の温度が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の温度で本工程を実施することにより、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0082】
前記実施形態の場合、フローリアクター中での抽出の時間は、30秒~24時間の範囲であることが好ましく、30秒~30分の範囲であることがより好ましい。抽出の時間が前記下限値未満の場合、抽出の効率が低下する可能性がある。また、抽出の時間が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の時間で本工程を実施することにより、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0083】
バッチ処理により本工程を実施する場合、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物と、水相とを、容器に導入して、該容器中でN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを抽出する。
【0084】
前記実施形態の場合、容器中での抽出の温度は、5~60℃の範囲であることが好ましく、10~30℃の範囲であることがより好ましい。抽出の温度が前記下限値未満の場合、抽出の効率が低下する可能性がある。また、抽出の温度が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の温度で本工程を実施することにより、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0085】
前記実施形態の場合、容器中での抽出の時間は、0.5秒~24時間の範囲であることが好ましく、1秒~30分の範囲であることがより好ましい。抽出の時間が前記下限値未満の場合、抽出の効率が低下する可能性がある。また、抽出の時間が前記上限値を超える場合、副生成物が生成する可能性がある。前記範囲の時間で本工程を実施することにより、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0086】
前記条件で本工程を実施することにより、少ない工程数及び短時間で、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0087】
本工程で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む抽出物は、そのままの状態で又は濃縮した状態で、縮合工程におけるC末端保護アミノ酸又はペプチドとして使用することができる。これにより、ペプチド鎖を連続的に伸長して、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを製造することができる。
【0088】
[1-6. C末端脱保護工程(S6)]
本工程は、抽出工程で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドと、C末端脱保護剤とを反応させて、C末端のタグ保護基を脱保護して、N末端側に伸長したペプチドを形成させることを含む。
【0089】
本工程は、抽出工程で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む抽出物を、そのままの状態で又は濃縮した状態で、C末端のタグ保護基の脱保護剤及び所望により側鎖保護基の脱保護剤と反応させることにより、実施することができる。本実施形態の場合、C末端のタグ保護基の脱保護剤及び側鎖保護基の脱保護剤は、使用したC末端のタグ保護基及び側鎖保護基に応じて適宜選択することができる。
【0090】
前記条件で本工程を実施することにより、C末端のタグ保護基及び側鎖保護基を脱保護して、所望のペプチドを遊離形態で得ることができる。これにより、少ない工程数及び短時間で、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0091】
<2. ペプチドの製造装置>
本発明の別の一態様は、ペプチドの製造装置に関する。本態様の装置を用いることにより、少ない工程数及び短時間で、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【0092】
本態様の装置は、
フローリアクターと、N末端アミノ基がN末端保護基によって保護されたN末端保護アミノ酸又はペプチド、及びC末端活性化剤を該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中で該N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端カルボキシル基を活性化して、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体を形成させる、C末端活性化手段;
フローリアクターと、N末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体、及びC末端カルボキシル基がタグ保護基によって保護されたC末端保護アミノ酸又はペプチドを該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中でC末端保護アミノ酸又はペプチドのN末端側にN末端保護アミノ酸又はペプチドを縮合して、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを形成させる、縮合手段;
フローリアクターと、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチド、及びN末端保護基の脱保護剤を該フローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中でN末端保護基を脱保護して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを形成させる、N末端脱保護手段;及び
N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物及び水相を混合する混合部材を有する、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物を水相と混合して、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを有機相側に抽出する、抽出手段;
を含む。
【0093】
本態様の装置は、所望により、
フローリアクターと、N末端側に伸長したN末端及びC末端保護ペプチドを含む反応混合物、及びアミノ基を有するキャッピング剤をフローリアクターに導入する原料導入部材とを有する、フローリアクター中で未反応のN末端保護アミノ酸又はペプチドのC末端活性化誘導体とキャッピング剤とを反応させて、該C末端活性化誘導体を不活性化する、キャッピング手段;
をさらに含んでもよい。
【0094】
本態様の装置の一実施形態を示す模式図を図2に示す。図2に示すように、本態様の装置において、C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段及びN末端脱保護手段は、それぞれ、フローリアクターと、原料導入部材とを有する。フローリアクターは、通常は、2個以上の流入用流路11、21、31、41a、41bと、該2個以上の流入用流路11、21、31、41a、41bから流入する反応液を混合するミキサー12、22、32、42a、42bと、該ミキサー12、22、32、42a、42bで混合された反応液を流出させる1個以上の流出用流路13、23、33、43a、43bとを少なくとも有する。流入用流路及び流出用流路は、以下において説明する材質の配管であることが好ましい。原料導入部材は、通常は、原料を送液するためのポンプ14a、14b、24、34、44a、44bを少なくとも有する。ポンプは、通常は、原料を貯留する貯槽、送液部材、並びに貯槽及び送液部材を接続する流路を有する。ポンプとしては、例えば、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、及び高速液体クロマトグラフ(HPLC)ポンプを挙げることができる。例えば、ポンプがシリンジポンプである場合、シリンジのシリンダー内に原料を貯留できることから、貯槽を別の部材として有する必要はない。縮合手段、キャッピング手段及びN末端脱保護手段においては、それより前の工程で得られた生成物を含む反応液を流出させる1個以上の流出用流路13、23、33、43a、43bを、該生成物を導入するための原料導入部材として用いることが好ましい。
【0095】
一実施形態において、抽出手段は、抽出部材と、原料導入部材と、水相導入部材とを有する。抽出部材は、通常は、2個以上の流入用流路43b、51と、該2個以上の流入用流路43b、51から流入する反応液及び水相を混合するミキサー52と、該ミキサー52で混合された反応液及び水相の混相を流出させる1個以上の流出用流路53と、該1個以上の流出用流路53から流入する反応液及び水相の混相を有機相及び水相に分離する相分離部材58と、相分離部材58で分離された有機相を流出させる1個以上の流出用流路63とを少なくとも有する。流入用流路及び流出用流路は、以下において説明する材質の配管であることが好ましい。水相導入部材は、通常は、水相を送液するためのポンプ54を少なくとも有する。ポンプは、通常は、原料を貯留する貯槽、送液部材、並びに貯槽及び送液部材を接続する流路を有する。ポンプとしては、例えば、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、及びHPLCポンプを挙げることができる。例えば、ポンプがシリンジポンプである場合、シリンジのシリンダー内に原料を貯留できることから、貯槽を別の部材として有する必要はない。抽出手段においては、それより前のN末端脱保護手段で得られた生成物を含む反応液を流出させる1個以上の流出用流路43bを、該生成物を導入するための原料導入部材として用いることが好ましい。その場合、N末端脱保護手段からの流出用流路43bの途中に、流出液の圧力を調整するための圧力調整手段を有することが好ましい。また、抽出手段は、前記で説明した抽出部材、原料導入部材及び水相導入部材の組み合わせを2個以上有していてもよい。
【0096】
本態様の装置は、所望により、
抽出手段で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを、縮合工程の原料導入部材に循環流入させる、循環流入手段:
をさらに含んでもよい。
【0097】
本実施形態において、循環流入手段は、抽出手段で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを、縮合工程の原料導入部材に循環流入させる循環流入用流路61と、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを送液するためのポンプ64とを少なくとも有する。循環流入用流路は、以下において説明する材質の配管であることが好ましい。ポンプは、通常は、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを貯留する貯槽、送液部材、並びに貯槽及び送液部材を接続する流路を有する。ポンプとしては、例えば、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、及びHPLCポンプを挙げることができる。例えば、ポンプがシリンジポンプである場合、シリンジのシリンダー内にN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを貯留できることから、貯槽を別の部材として有する必要はない。本態様の装置が循環流入手段を含むことにより、ペプチド鎖を連続的に伸長して、所望のアミノ酸配列を有するペプチドを製造することができる。
【0098】
本態様の装置において、C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段、抽出手段及び循環流入手段の少なくともいずれかは、フローリアクター、原料導入部材及び/又は水槽導入部材の温度を調節する温度調節装置を有することが好ましい。温度調節装置は、例えば、流入用流路、流出用流路、循環流入用流路、ミキサー、相分離部材、ポンプの貯槽及び/又はポンプの流路の温度を調節するために使用されることが好ましい。温度調節装置を有することにより、以下において説明する物性検出部材で検出された物性に基づき、フローリアクター、原料導入部材及び/又は水槽導入部材の温度を調節することができる。
【0099】
本態様の装置において、C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段、抽出手段及び循環流入手段の少なくともいずれかは、原料及び反応液の物性を検出するための少なくとも1個の物性検出部材を有することが好ましい。物性検出部材は、圧力計、流量計及び温度計からなる群より選択される少なくとも1個の部材であることが好ましい。物性検出部材は、流入用流路、流出用流路及び/又は循環流入用流路の途中に配置されることが好ましい。少なくとも1個の物性検出部材を有することにより、原料及び反応液の物性を検出して、反応の進行を確認するとともに、該物性に基づき反応条件を調整することができる。
【0100】
C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段、抽出手段及び循環流入手段の少なくともいずれかは、原料及び反応液に含まれる化合物を検出するための少なくとも1個の化合物検出部材を有することが好ましい。化合物検出部材は、紫外可視分光検出器、フォトダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、示差屈折率検出器、電気伝導度検出器、蒸発光散乱検出器、赤外分光器、近赤外分光器、核磁気共鳴装置及び質量分析計からなる群より選択される少なくとも1個の部材であることが好ましい。化合物検出部材は、流入用流路及び/又は流出用流路の途中に配置されることが好ましい。本実施形態において、C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段、抽出手段及び循環流入手段の少なくともいずれかは、化合物検出部材で検出される化合物を分離するための化合物分離部材をさらに有することが好ましい。この場合、化合物分離部材は、通常は、原料及び反応液等の流路において化合物検出部材の手前側(すなわち上流側)に配置される。少なくとも1個の化合物検出部材を有することにより、原料及び反応液に含まれる化合物を検出して、反応の進行を確認することができる。
【0101】
C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段、抽出手段及び循環流入手段の少なくともいずれかは、反応液等をサンプリングするための少なくとも1個の取り出し口を有することが好ましい。取り出し口は、少なくとも一つの前記手段において、少なくとも一つの流出用流路に配置されることが好ましい。少なくとも1個の取り出し口を有することにより、反応液等をサンプリングして反応の進行を確認することができる。
【0102】
本態様の装置の別の一実施形態を示す模式図を図3に示す。図3に示すように、本実施形態の装置は、C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段、2段階の抽出手段、及び循環流入手段を含んでもよい。C末端活性化手段は、N末端保護アミノ酸又はペプチドを送液するためのポンプ14aと、C末端活性化剤を送液するためのポンプ14bと、これらの原料を流入させるための2個の流入用流路11と、該2個の流入用流路11から流入する反応液を混合するミキサー12と、該ミキサー12で混合された反応液を流出させる流出用流路13とを少なくとも有する。縮合手段は、C末端保護アミノ酸又はペプチドを送液するためのポンプ24と、C末端保護アミノ酸又はペプチドを流入させるための流入用流路21と、C末端活性化手段からの流出用流路13及び流入用流路21から流入する反応液を混合するミキサー22と、該ミキサー22で混合された反応液を流出させる流出用流路23とを少なくとも有する。キャッピング手段は、キャッピング剤を送液するためのポンプ34と、キャッピング剤を流入させるための流入用流路31と、縮合手段からの流出用流路23及び流入用流路31から流入する反応液を混合するミキサー32と、該ミキサー32で混合された反応液を流出させる流出用流路33とを少なくとも有する。N末端脱保護手段は、N末端保護基の脱保護剤を送液するためのポンプ44bと、N末端保護基の脱保護剤を流入させるための流入用流路41bと、キャッピング手段からの流出用流路及び流入用流路41bから流入する反応液を混合するミキサー42bと、該ミキサー42bで混合された反応液を流出させる流出用流路43bとを少なくとも有する。N末端脱保護手段は、ミキサー42bの上流側に、脱保護副生成物を捕捉する捕捉剤を送液するためのポンプ44aと、捕捉剤を流入させるための流入用流路41aと、キャッピング手段からの流出用流路33及び流入用流路41aから流入する反応液を混合するミキサー42aと、該ミキサー42aで混合された反応液を流出させる流出用流路43aとを有することが好ましい。抽出手段は、水相を送液するためのポンプ54a, 54bと、水相を流入させるための流入用流路51a, 51bと、N末端脱保護手段からの流出用流路43bから流入する反応液及び流入用流路51a, 51bから流入する水相を混合するミキサー52a, 52bと、該ミキサー52a, 52bで混合された反応液及び水相の混相を流出させる流出用流路53a, 53bと、該ミキサー52a, 52bで混合された反応液及び水相の混相を有機相及び水相に分離する相分離部材58a, 58bと、相分離部材58a, 58bで分離された有機相を流出させる1個以上の流出用流路63とを有することが好ましい。また、抽出手段は、N末端脱保護手段からの流出用流路43bの途中に、流出液の圧力を調整するための圧力調整手段59を有することが好ましい。循環流入手段は、抽出手段で得られたN末端側に伸長したC末端保護ペプチドを、縮合工程の原料導入部材に循環流入させる循環流入用流路61と、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを送液するためのポンプ64とを少なくとも有する。C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段及びN末端脱保護手段は、フローリアクター、原料導入部材及び/又は水槽導入部材の温度を調節する温度調節装置を有することが好ましい。C末端活性化手段、縮合手段、キャッピング手段、N末端脱保護手段及び抽出手段の流入用流路の途中には、少なくとも1個の圧力計81及び少なくとも1個の流量計82を有することが好ましい。また、縮合手段の流出用流路及びN末端脱保護手段の流出用流路の途中には、少なくとも1個の温度計83を有することが好ましい。
【0103】
本態様の装置において、フローリアクター及び原料導入部材を構成する各部材の材質としては、限定するものではないが、例えば、金属、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)及びパーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ガラス、及びシリコンを挙げることができる。前記材質で構成されるフローリアクター及び原料導入部材を用いることにより、溶媒等による影響を実質的に回避することができる。流入用流路及び流出用流路は、当該技術分野で通常使用される前記材質のチューブであることが好ましく、PTFEチューブであることがより好ましい。ミキサー、シリンジ及びポンプは、当該技術分野で通常使用される前記材質のものであることが好ましい。流入用流路、流出用流路及びミキサーの内径は、5 mm以下であることが好ましく、0.25~2 mmの範囲であることがより好ましい。前記範囲の内径を有する部材で構成されるフローリアクターを用いることにより、本態様の装置をマイクロフロー系で実施する本発明の一態様のペプチドの製造方法に適用することができる。
【0104】
本態様の装置において、抽出手段は、N末端側に伸長したC末端保護ペプチドを含む反応混合物及び水相を混合する混合部材を有する。混合部材は、抽出の態様に応じて適宜選択することができる。例えば、フロー合成法で抽出を実施する場合、前記で説明したフローリアクターを混合部材として用いることができる。或いは、バッチ処理で抽出を実施する場合、当該技術分野で通常使用されるガラス、金属又はプラスチック製の種々の形状の容器を混合部材として用いることができる。
【0105】
以上、詳細に説明したように、本発明の一態様のペプチドの製造方法及び製造装置は、従来技術の方法及び装置と比較して、少ない工程数及び短時間で、所望のペプチドを高収率で製造することができる。
【実施例0106】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0107】
<I:ペプチドの製造装置>
図2に示すように、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ(内径0.8 mm、外径1.59 mm)、T字型ミキサー(内径0.25 mm、三幸精機社製)、シリンジポンプ(PHD ULTRA、ハーバード社製)及び10~50 ml容量のシリンジ(SGEシリンジ、TRAJAN社製)を用いて、複数のフローリアクターを有するペプチドの製造装置(以下、「製造装置1」とも記載する)を作製した。
【0108】
図3に示すように、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ(内径1.59 mm、外径1/8インチ)、T字型ミキサー(内径0.5 mm、Idex社製)、Y字型ミキサー(内径1.5 mm、Idex社製)、HPLCポンプ(PU-4086、日本分光社製)、ダイヤフラムポンプ(QI-30、タクミナ社製)及びバックプレッシャーレギュレーター(BPR-1000、Zaiput社製)を用いて、複数のフローリアクターを有するペプチドの製造装置(以下、「製造装置2」とも記載する)を作製した。各試薬を送液するポンプとT字型ミキサーとの間の流路には、流量計及び圧力計を設置し、合成中の流量及び圧力を計測した。縮合手段の流出用流路及びN末端脱保護手段の流出用流路には温度計を設置し、反応溶液の温度を計測した。本装置には、キャッピング手段及び/又はN末端脱保護手段等に近赤外分光器等の少なくとも1個の化合物検出部材を設置し、原料の消失及び/又は反応生成物の生成を検出することができる。また、本装置には、キャッピング手段の流出用流路及び/又はN末端脱保護手段の流出用流路に、反応液等をサンプリングするためのループ及びバルブを設置し、各反応液等をサンプリングし分析することもできる。
【0109】
<II:本発明の方法によるペプチドの製造>
[II-1:C末端保護アミノ酸の合成]
国際公開第2017/038650号に記載の方法に従い、以下の式で表される化合物(TIPS2-OH)に由来する一価基(ヒドロキシル基の水素原子が脱離した遊離基)のタグ保護基でFmoc-Arg(Pbf)-OHのC末端カルボキシル基を保護化して、C末端保護アミノ酸であるH-Arg(Pbf)-O-TIPS2を合成した。
【化56】
【0110】
[II-2:H-Arg(Pbf)-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成(実施例1)]
製造装置1を用いて以下の反応を実施した。溶液1(Fmoc-Arg(Pbf)-OHを0.433 mol/L、N,N,-ジメチルベンジルアミン(DMBA)を0.043 mol/L、DIEAを0.433 mol/L含むDMF溶液)を1.2 mL/分の流速で、溶液2(IBCFを0.255 mol/L含むシクロペンチルメチルエーテル(CPME)溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で5秒間反応させて、N末端保護アミノ酸のC末端活性化誘導体を生成させた(C末端活性化工程)。続いてこのC末端活性化誘導体を0.16 mol/L含む溶液を3.2 mL/分の流速で、溶液3(H-Arg(Pbf)-O-TIPS2を0.200 mol/L含むDMF及びCPMEの混合溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、縮合反応を行った(縮合工程)。続いてこの縮合反応溶液を5.2 mL/分の流速で、溶液4(AEEを1.04 mol/L含むDMSO溶液)を0.5 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、キャッピング反応を行った(キャッピング工程)。続いてこのキャッピング反応溶液を5.7 mL/分の流速で、溶液5(3-MPSNaを0.81 mol/L含むDMSO溶液)を1.2 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合した後、さらにこの混合液を6.9 mL/分の流速で、溶液6(DBUを4.86 mol/L含むDMSO溶液)を0.5 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、Fmoc基の脱保護反応を行った(N末端脱保護工程)。PTFEチューブから流出した反応溶液をサンプリングし、LCMSで分析した(LCMS分析結果:m/z=1611)。C末端活性化工程からN末端脱保護工程までは、60℃で行った。
【0111】
[II-3:H-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成(実施例2)]
製造装置1を用いて以下の反応を実施した。溶液1(Fmoc-Phe-OHを0.433 mol/L、DMBAを0.043 mol/L、DIEAを0.433 mol/L含むDMF溶液)を1.2 mL/分の流速で、溶液2(IBCFを0.255 mol/L含むCPME溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で5秒間反応させて、N末端保護アミノ酸のC末端活性化誘導体を生成させた(C末端活性化工程)。続いてこのC末端活性化誘導体を0.16 mol/L含む溶液を3.2 mL/分の流速で、溶液3(H-Arg(Pbf)-O-TIPS2を0.200 mol/L含むDMF及びCPMEの混合溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、縮合反応を行った(縮合工程)。続いてこの縮合反応溶液を5.2 mL/分の流速で、溶液4(AEEを1.04 mol/L含むDMSO溶液)を0.5 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、キャッピング反応を行った(キャッピング工程)。続いてこのキャッピング反応溶液を5.7 mL/分の流速で、溶液5(3-MPSNaを0.81 mol/L含むDMSO溶液)を1.2 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合した後、さらにこの混合液を6.9 mL/分の流速で、溶液6(DBUを4.86 mol/L含むDMSO溶液)を0.5 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、Fmoc基の脱保護反応を行った(N末端脱保護工程)。C末端活性化工程からN末端脱保護工程までは、40℃で行った。N末端脱保護工程の反応溶液は、硫酸水溶液で反応停止させた後、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を回収した(抽出工程)。回収した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して、H-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2 0.8095 g(収率:定量的、m/z=1350)を得た。
【0112】
[II-4:H-Ser(tBu)-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成(実施例3)]
(1)H-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成
製造装置1を用いて、II-3に記載の手順において、N末端脱保護工程の反応時間を10秒間に、C末端活性化工程からN末端脱保護工程までの反応温度を60℃に、それぞれ変更した他は前記と同様の手順で合成反応を行い、H-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2 3.2491 g(収率:定量的)を得た。
【0113】
(2)H-Ser(tBu)-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成
溶液1(Fmoc-Ser(tBu)-OHを0.433 mol/L、DMBAを0.043 mol/L、DIEAを0.433 mol/L含むDMF溶液)を1.2 mL/分の流速で、溶液2(IBCFを0.255 mol/L含むCPME溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で5秒間反応させて、N末端保護アミノ酸のC末端活性化誘導体を生成させた(C末端活性化工程)。続いてこのC末端活性化誘導体を含む溶液を3.2 mL/分の流速で、溶液3((1)に記載の手順で合成したH-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2を0.200 mol/L含むDMF及びCPMEの混合溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、縮合反応を行った(縮合工程)。続いてこの縮合反応溶液を5.2 mL/分の流速で、溶液4(AEEを1.04 mol/L含むDMSO溶液)を0.5 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、キャッピング反応を行った(キャッピング工程)。続いてこのキャッピング反応溶液を5.7 mL/分の流速で、溶液5(3-MPSNaを0.81 mol/L含むDMSO溶液)を1.2 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合した後、さらにこの混合液を6.9 mL/分の流速で、溶液6(DBUを4.86 mol/L含むDMSO溶液)を0.5 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、Fmoc基の脱保護反応を行った(N末端脱保護工程)。C末端活性化工程からN末端脱保護工程までは、60℃で行った。N末端脱保護工程の反応溶液は、硫酸水溶液で反応停止させた後、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を回収した(抽出工程)。回収した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して、H-Ser(tBu)-Phe-Arg(Pbf)-O-TIPS2を得た。反応の完結は、UPLCを用いて原料の消失及び目的物の生成を確認することで確認した。
【0114】
[II-5:H-Glu(OtBu)-Ala-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2の合成(実施例4)]
(1)H-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2の合成
製造装置1を用いて以下の反応を実施した。溶液1(Fmoc-Glu(OtBu)-OHを0.433 mol/L、DMBAを0.043 mol/L、DIEAを0.433 mol/L含むDMF溶液)を1.2 mL/分の流速で、溶液2(IBCFを0.255 mol/L含むCPME溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で5秒間反応させて、N末端保護アミノ酸のC末端活性化誘導体を生成させた(C末端活性化工程)。続いてこのC末端活性化誘導体を0.16 mol/L含む溶液を3.2 mL/分の流速で、溶液3(H-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2を0.200 mol/L含むDMF及びCPMEの混合溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、縮合反応を行った(縮合工程)。続いてこの縮合反応溶液を5.2 mL/分の流速で、溶液4(AEEを0.65 mol/L含むDMSO溶液)を0.8 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、キャッピング反応を行った(キャッピング工程)。続いてこのキャッピング反応溶液を6.0 mL/分の流速で、溶液5(3-MPSNaを0.46 mol/L、及びDBUを1.16 mol/L含むDMSO溶液)を2.1 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、Fmoc基の脱保護反応を行った(N末端脱保護工程)。C末端活性化工程からN末端脱保護工程までは、40℃で行った。N末端脱保護工程の反応溶液は、硫酸水溶液で反応停止させた後、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を回収した(抽出工程)。回収した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して、H-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2(収率:定量的、m/z=1320)を得た。
【0115】
(2)H-Ala-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2の合成
II-5(1)に記載の手順において、溶液1に含まれるアミノ酸をFmoc-Ala-OHに、溶液3に含まれるペプチドをII-5(1)に記載の合成で得られたH-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2に変更した他は前記と同様の手順で合成反応を行い、H-Ala-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2(収率:95%、m/z=1391)を得た。
【0116】
(3)H-Glu(OtBu)-Ala-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2の合成
II-5(1)に記載の手順において、溶液1に含まれるアミノ酸をFmoc-Glu(OtBu)-OHに、溶液3に含まれるペプチドをII-5(2)に記載の合成で得られたH-Ala-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2に変更した他は前記と同様の手順で合成反応を行い、H-Glu(OtBu)-Ala-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2(収率:96%、m/z=1576)を得た。
【0117】
[II-6:H-D-Tic-Oic-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成(実施例5)]
(1)H-Oic-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成
製造装置2を用いて以下の反応を実施した。溶液1(DIEA 5.882 mol/L)を0.584 mL/分、溶液2(Fmoc-Oic-OHを0.520 mol/L含むDMF溶液)を3.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合した後、1.5 mL/分の流速で送液された溶液3(COMUを1.0 mol/L含むDMF溶液)とT字型ミキサーで混合後PTFEチューブ内で5秒間反応させてN末端保護アミノ酸のC末端活性化誘導体を生成させた(C末端活性化工程)。続いてこのC末端活性化誘導体を0.295mol/L含む溶液を5.084 mL/分の流速で、溶液4(H-Arg(Pbf)-O-TIPS2を0.1 mmol/L含むDFMとMTHPの混合溶液)を12.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合後、PTFEチューブ内で60秒間反応させて縮合反応を行った(縮合工程)。続いてこの縮合反応溶液を17.084 mL/分の流速で、溶液5(AEEを0.60 mol/L含むDMSO溶液)を2.4 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、キャッピング反応を行った(キャッピング工程)。続いてこのキャッピング反応溶液を19.484 mL/分の流速で、溶液6(3-MPSNaを0.446 mol/L、及びDBUを1.114 mol/L含むDMSO溶液)を6.3 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で60秒間反応させて、Fmoc基の脱保護反応を行った(N末端脱保護工程)。続いてこのN末端脱保護反応溶液を25.785 mL/分の流速で、溶液7(5% KHCO3水溶液)を25.8 mL/分の流速で送液し、Y字型ミキサーで混合後さらにPTFEチューブ内で1秒間混合した後、セトラー内で有機相と水相とを分離した(抽出工程1)。続いてこの有機相を12.0 mL/分の流速で送液された溶液8(20% NaCl水溶液)とY字型ミキサーで混合後さらにPTFFチューブ内で1秒間混合した後、セトラー内で有機相と水相を分離した(抽出工程2)。C末端活性化工程からN末端脱保護工程までは40℃で、抽出工程は室温で、それぞれ行った。反応の完結は、UPLCを用いて原料の消失及び目的物の生成を確認することで確認した。
【0118】
(2)H-D-Tic-Oic-Arg(Pbf)-O-TIPS2の合成
製造装置2を用いて、II-6(1)に記載の手順において、溶液2に含まれるアミノ酸をFmoc-D-Tic-OHに、溶液4に含まれるペプチドをII-6(1)に記載の合成で得られたH-Oic-Arg(Pbf)-O-TIPS2に変更した他は前記と同様の手順で合成反応を行い、H-D-Tic-Oic-Arg(Pbf)-O-TIPS2(収率:定量的)を得た。目的物が得られていることは質量分析計で確認した。
【0119】
<III:本発明の方法によるペプチドの製造と従来技術の方法によるペプチドの製造との比較>
【0120】
[III-1:本発明の方法によるH-Gly-Glu(OtBu)-O-TIPS2の合成(実施例6)]
製造装置1を用いて以下の反応を実施した。溶液1(Fmoc-Gly-OHを0.433 mol/L、DMBAを0.043 mol/L、DIEAを0.433 mol/L含むDMF溶液)を1.2 mL/分の流速で、溶液2(IBCFを0.255 mol/L含むCPME溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で5秒間反応させて、N末端保護アミノ酸のC末端活性化誘導体を生成させた(C末端活性化工程)。続いてこのC末端活性化誘導体を0.16 mol/L含む溶液を3.2 mL/分の流速で、溶液3(H-Glu(OtBu)-O-TIPS2を0.200 mol/L含むDMF及びCPMEの混合溶液)を2.0 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、縮合反応を行った(縮合工程)。続いてこの縮合反応溶液を5.2 mL/分の流速で、溶液4(AEEを0.65 mol/L含むDMSO溶液)を0.8 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、キャッピング反応を行った(キャッピング工程)。続いてこのキャッピング反応溶液を6.0 mL/分の流速で、溶液5(3-MPSNaを0.46 mol/L、及びDBUを1.16 mol/L含むDMSO溶液)を2.1 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサーで混合し、PTFEチューブ内で30秒間反応させて、Fmoc基の脱保護反応を行った(N末端脱保護工程)。C末端活性化工程からN末端脱保護工程までは、40℃で行った。N末端脱保護工程の反応溶液は、硫酸水溶液で反応停止させた後、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、有機相を回収した(抽出工程)。回収した有機相は、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去して、H-Glu(OtBu)-Lys(Boc)-Leu-O-TIPS2を得た。
【0121】
[III-2:従来技術の方法によるH-Gly-Glu(OtBu)-O-TIPS2の合成(比較例1)]
比較例として、国際公開第2020/218497に記載の実施例9と同様の手順でペプチドを合成した。
【0122】
(1)縮合反応及び縮合反応後の抽出
0.06 mmol/mLのH-Glu(OtBu)-O-TIPS2を含むクロロホルム溶液(溶液C1)と、0.21 mmol/mLのFmoc-Gly-OH及び0.05 mmol/mLのHOBtを含むDMF溶液(溶液C2)とを、シリンジポンプを用いてそれぞれ0.500 mL/分及び0.21 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサー(ユニオンティSS-100-3、外径1/16インチ)を用いて混合した。0.32 mmol/mLのEDC・HClを含むクロロホルム溶液(溶液C3)を0.13 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサー(ユニオンティSS-100-3、外径1/16インチ)を用いて溶液C1及びC2の混合溶液と混合した後、PFAチューブ(内径1.0 mm、長さ10.0 m)中で9分間反応させた。続いて20質量%のNaCl水溶液(溶液C4)を、シリンジポンプを用いて0.56 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサー(ユニオンティSS-200-3、外径1/8インチ)を用いて溶液C1、C2及びC3の混合溶液と混合した。混合後の溶液を、PFAチューブ(内径1.6mm、長さ5.0m)中で7分間通液させた。通液後の溶液を分液漏斗で分離して、Fmoc-Gly-Glu(OtBu)-O-TIPS2を含む有機相を回収した。
【0123】
(2)Fmoc基の脱保護反応及び脱保護反応後の有機相の炭酸ナトリウム水溶液による洗浄
III-2(1)に記載の手順で得られたFmoc-Gly-Glu(OtBu)-O-TIPS2を0.05 mmol/mL含む溶液(溶液C1)と、0.52 mmol/mLのチオリンゴ酸及び1.57 mmol/mLのDBUを含むDMF溶液(溶液C2)とを、シリンジポンプを用いてそれぞれ0.73 mL/分及び0.35 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサー(ユニオンティSS-100-3、外径1/16インチ)を用いて混合した後、PFAチューブ(内径1.0 mm、長さ10.0 m)中で7分間反応させた。この脱保護反応溶液に、5.0質量%のNa2CO3水溶液(溶液C3)を、シリンジポンプを用いて0.80 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサー(ユニオンティSS-100-3、外径1/16インチ)を用いて混合した。混合後の溶液を、PFAチューブ(内径 1.6mm、長さ 5.0m)中を5分間通液させた。通液後の溶液を分液漏斗で分離して、有機相を回収した。
【0124】
(3)炭酸ナトリウム水溶液洗浄後の有機相の塩化ナトリウム水溶液による洗浄
III-2(2)に記載の手順で得られた有機相(溶液C1)と、20.0質量%のNaCl水溶液及びDMFを容量比6:4で混合した溶液(溶液C2)とを、シリンジポンプを用いてそれぞれ1.50 mL/分の流速で送液し、T字型ミキサー(ユニオンティSS-200-3、外径1/8インチ)を用いて混合した後、PFAチューブ(内径1.6 mm、長さ5.0 m)中を3分間通液させた。通液後の溶液を分液漏斗で分離して、H-Gly-Glu(OtBu)-O-TIPS2を含む有機相を回収した。
【0125】
[III-3:本発明の方法による合成と従来技術の方法による合成との反応時間の比較]
III-1に記載の本発明の方法による合成(実施例5)における各反応時間と、III-2に記載の従来技術の方法(国際公開第2020/218497に記載の実施例9)による合成(比較例1)における各反応時間とを比較した結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
表1に示すように、本発明の方法による合成(実施例6)では、縮合反応に要する時間及び脱保護反応に要する時間は、いずれも30秒であったのに対し、従来技術の方法による合成(比較例1)では、縮合反応に要する時間及び脱保護反応に要する時間は、いずれも数分であった。比較例1の場合、縮合反応及び脱保護反応の間に抽出及び分液処理を実施するため、合成全体の工程を実施して目的物を得るためには、さらに時間を要する。
【0128】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0129】
S1…C末端活性化工程、S2…縮合工程、S3…キャッピング工程、S4…N末端脱保護工程、S5…抽出工程、S6…C末端脱保護工程、11、21、31、41a、41b、51、51a、51b…流入用流路、12、22、32、42a、42b、52、52a、52b…ミキサー、13、23、33、43a、43b、53、53a、53b、63…流出用流路、14a、14b、24、34、44a、44b、54、54a、54b、64…ポンプ、58、58a、58b…相分離部材、59…圧力調整手段、61…循環流入用流路、81…圧力計、82…流量計、83…温度計
図1
図2
図3
【配列表】
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