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  • 特開-通信装置及び空気調和システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160486
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】通信装置及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/58 20180101AFI20241107BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20241107BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20241107BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20241107BHJP
【FI】
F24F11/58
F24F11/63
F24F11/61
F24F11/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075535
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木幡 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】日下部 智秋
(72)【発明者】
【氏名】福田 修
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA61
3L260BA64
3L260CB01
3L260CB86
3L260FA12
3L260FA20
3L260HA06
3L260JA08
3L260JA12
(57)【要約】
【課題】本開示は、適切なタイミングでファームウェアを更新することができる通信装置及び空気調和システムを提供する。
【解決手段】本開示におけるWLANアダプタ1は、ファームウェア存在判定部112、延期時間判定部113と、延期時間決定部114とを備える。ファームウェア存在判定部112は、WLANアダプタ1の最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。延期時間判定部113は、予め決められた予定に従って空気調和装置2を制御するタイマー機能の設定に基づいて、ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する。延期時間決定部114は、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定された場合に、ファームウェアの更新をどれだけ延期するかを設定する延期時間を複数の候補の中から決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と室内機とを備えた空気調和装置に接続され、前記空気調和装置を管理する管理装置と通信ネットワークを介して通信可能に構成された通信装置であって、
前記通信装置の最新のファームウェアが存在するか否かを判定する第一判定部と、
前記最新のファームウェアが存在すると判定された場合に、予め決められた予定に従って前記空気調和装置を制御するタイマー機能の設定に基づいて、ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する第二判定部と、
前記ファームウェアの更新を延期する必要があると判定された場合に、前記ファームウェアの更新をどれだけ延期するかを設定する延期時間を複数の候補の中から決定する決定部と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記ファームウェアの更新を延期する必要がないと判定された場合に、前記ファームウェアを更新するファームウェア更新部を備える
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記複数の候補の中から前記延期時間をランダムに決定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第二判定部は、現時点から第一時間前に前記タイマー機能を実行済み又は前記現時点から第二時間後に前記タイマー機能の実行予定がある場合に、前記ファームウェアの更新を延期する必要があると判定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第一判定部は、所定周期で前記最新のファームウェアが存在するか否かを判定し、
前記決定部は、前記所定周期の一周期よりも短くなるように前記延期時間を決定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第二判定部は、前記延期時間に到達した場合に前記ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを再判定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記第二判定部によって前記ファームウェアの更新を延期する必要があると再判定された場合、前記延期時間を再決定する
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記決定部が前記延期時間を決定した回数が所定回数に到達した場合には、前記第一判定部が前記最新のファームウェアが存在すると次に判定するまで前記ファームウェアを更新しない
請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の通信装置と、
前記通信装置と接続された前記室内機、前記室内機と接続された前記室外機、及び前記室内機を操作する操作装置を有する空気調和装置と、
前記通信ネットワークを介して前記通信装置に接続されて前記室外機及び前記室内機を管理する前記管理装置と
を備える空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空気調和機に通信アダプタを接続し、空気調和機を遠隔操作する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-085599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、適切なタイミングでファームウェアを更新することができる通信装置及び空気調和システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における通信装置は、室外機と室内機とを備えた空気調和装置の前記室内機に接続され、前記室外機及び前記室内機を管理する管理装置と通信ネットワークを介して通信可能に構成され、第一判定部と、第二判定部と、決定部とを備える。前記第一判定部は、前記通信装置の最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。前記第二判定部は、前記最新のファームウェアが存在すると判定された場合に、予め決められた予定に従って前記空気調和装置を制御するタイマー機能の設定に基づいて、前記ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する。前記決定部は、前記ファームウェアの更新を延期する必要があると判定された場合に、前記ファームウェアの更新をどれだけ延期するかを設定する延期時間を複数の候補の中から決定する。
【0006】
本開示における空気調和システムは、通信装置と、空気調和装置と、管理装置とを備える。前記通信装置は、上記本開示における通信装置である。前記空気調和装置は、前記通信装置と接続された室内機、前記室内機と接続された室外機、及び前記室内機を操作する操作装置を有する。前記監視装置は、前記通信ネットワークを介して前記通信装置に接続されて前記室外機及び前記室内機を管理する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における通信装置及び空気調和システムは、ファームウェアの更新タイミングを必要に応じて延期することができる。そのため、適切なタイミングでファームウェアを更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における通信装置及び空気調和システムのブロック図
図2】実施の形態1における通信装置でのファームウェアの更新処理を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気調和装置に接続された通信装置によって空気調和装置を遠隔操作する技術があった。
しかしながら、通信装置は、ファームウェアの更新(アップデート)を求められることがある。通信装置は、予め決められた予定に従って空気調和装置を制御するタイマー機能の実行タイミングがファームウェアを更新している最中に到来しても、当該タイマー機能に基づいて空気調和装置を制御できないという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、ファームウェアの更新タイミングとタイマー機能の実行タイミングとが衝突(すなわち一致)した場合には、ファームウェアの更新タイミングを延期する通信装置及び空気調和システムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
以下、図1及び図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.空気調和システムの構成]
図1において、本実施の形態における空気調和システムACSは、本実施の形態における無線ローカルエリアネットワークアダプタ(通信装置の一例)1と、空気調和装置2と、サーバ(管理装置の一例)5とを備える。以下、「無線ローカルエリアネットワーク」を「WLAM(Wireless Local Area Network)」と略記する。空気調和装置2及びWLANアダプタ1の詳細については後述する。
【0013】
サーバ5は、通信ネットワーク4を介してWLANアダプタ1に接続されて室外機21及び室内機22を管理する。サーバ5は、通信ネットワーク4に接続されている。通信ネットワーク4は、例えばインターネットである。通信ネットワーク4には、ルータ3が接続されている。WLANアダプタ1は、例えばWi-Fi(登録商標)などの無線によってルータ3と接続されているが、有線によってルータ3と接続されていてもよい。WLANアダプタ1は、ルータ3を介して通信ネットワーク4と接続される。これにより、サーバ5は、通信ネットワーク4及びルータ3を介してWLANアダプタ1に接続される。
【0014】
サーバ5は、空気調和装置2に備えられた室外機21及び室内機22の動作状態などを含む運転データを通信ネットワーク4及びWLANアダプタ1を介して空気調和装置2から取得し、当該運転データを用いて室外機21及び室内機22を管理する。サーバ5は例えば、当該運転データに基づいて、室外機21及び室内機22の少なくとも一方における冷媒の漏洩の有無を判定する。また、サーバ5は、WLANアダプタ1を制御するソフトウェアを更新(アップデート)するためのファームウェアを保持する。サーバ5は、WLANアダプタ1からの最新のファームウェアの取得要求に応じて、保持している最新のファームウェアをWLANアダプタ1に送信する。
【0015】
[1-1-2.空気調和装置の構成]
図1に示すように、空気調和装置2は、WLANアダプタ1と接続された室内機22と、室内機22と接続された室外機21と、室内機22を操作する遠隔操作装置(操作装置の一例)23とを備えている。
【0016】
室内機22は、室内機22が取り付けられた室内の空気を取り込み、室外機21との間で流通する冷媒と取り込んだ空気との間で熱交換し、熱交換した後の空気を当該室内に送風するように構成されている。
室外機21は、室外機21に設けられた外気温センサ及び冷媒圧力センサ(いずれも不図示)による検出値及び室内機22から送られる運転制御信号に基づいて動作し、室内機22との間で流通する冷媒と外気との間で熱交換し、熱交換した後の冷媒を室内機22に送出するように構成されている。
【0017】
遠隔操作装置23は、入力インタフェースとして例えば空気調和装置2の使用者が操作可能な操作パネル(不図示)を有し、室内の壁面などに設置されている。遠隔操作装置23は、例えばケーブルによって室内機22と接続されている。当該使用者は、遠隔操作装置23の操作パネルを操作して、室内機22を動作させることができる。また、当該使用者は、遠隔操作装置23の操作パネルを操作して、室内機22に実行させる種々の動作を設定することができる。室内機22に実行させる種々の動作の一例として、予め決められた予定に従って空気調和装置2(例えば室内機22)を制御するタイマー機能による動作がある。タイマー機能の一例として例えば、1週間の空調の運転スケジュールを設定するウィークリータイマーや、指定した時間帯での室内機22の運転量を抑える時間帯デマンドがある。遠隔操作装置23は、使用者により設定された設定情報を室内機22を介してWLANアダプタ1に送信する。
【0018】
また、遠隔操作装置23は、出力インタフェースとして例えば、スピーカや表示装置を有していてもよい。遠隔操作装置23は、例えば、表示装置としては、セグメント式の表示装置、液晶表示装置、有機EL表示装置などを使用できる。遠隔操作装置23は、これらの出力インタフェースを有することにより、音声による動作状況の通知、表示による動作状況や室温の通知などを行うことができる。
【0019】
WLANアダプタ1は、室内の壁、天井、天井裏又は室内機22等の筐体のいずれかに取り付けられている。室内機22が天井にはめ込まれて設置される構造を有している場合、WLANアダプタ1は、室内機22の筐体のうちの天井裏側に配置される部分である土台部分に取り付けられてもよい。本実施の形態では、WLANアダプタ1は、例えばケーブルで室内機22に接続されているが、室外機21と室内機22とを接続する通信線に接続されていてもよい。このように、WLANアダプタ1は、室内機22に内蔵されておらず、室内機22とは独立した形態を有している。WLANアダプタ1は、設置場所に室内機22を取り付ける際又は設置場所に室内機22を取り付けた後で、室内機22に後付けで接続される。WLANアダプタ1は例えば、室外機21及び室内機22の少なくとも一方の運転データを収集してサーバ5に送信するように構成されている。WLANアダプタ1は例えば、記憶している設定情報やサーバ5から送信される制御情報に基づいて室内機22を制御するように構成されている。WLANアダプタ1は例えば、緊急時などの特定の場合を除いて、遠隔操作装置23によって制御されて動作している室内機22に対して他の動作を実行させないように構成されている。WLANアダプタ1は例えば、ファームウェアのアップデート(詳細は後述する)の実行中に室内機22や室外機21の運転データを取得できないように構成されている。
【0020】
[1-1-3.通信装置の構成]
本実施の形態における通信装置の一例に相当するWLANアダプタ1の具体的な構成について説明する。WLANアダプタ1は、室外機21と室内機22とを備えた空気調和装置2の室内機22に接続され、室外機21及び室内機22を管理するサーバ5と通信ネットワーク4を介して通信可能に構成されている。WLANアダプタ1は、空気調和装置2に含まれず、空気調和装置2に外付けして設けられている。
【0021】
図1に示すように、WLANアダプタ1は、コントローラ11、記憶部12及び通信部13を備えている。コントローラ11及び記憶部12は、別個独立してWLANアダプタ1に設けられているが、一体化された集積回路(IC)で構成されてもよい。
【0022】
コントローラ11として例えば、プロセッサが用いられてもよい。コントローラ11としてプロセッサを用いれば、プログラムを格納している記憶部12(詳細は後述する)からプログラムをプロセッサに読み込ませ、プロセッサによりプログラムを実行することで、各種処理を実行することが可能となる。このため、記憶部12に格納されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。コントローラ11は、プロセッサとして例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロコントローラ(Micro Controller Unit:MCU)、マイクロプロセッサ(Micro Processor Unit:MPU)等により構成される。
【0023】
コントローラ11は、記憶部12に保存されたWLANアダプタ1の制御用プログラムを読み込んで実行することにより、例えば制御部111、ファームウェア存在判定部112、延期時間判定部113、延期時間決定部114及びファームウェア更新部115、並びにその他の機能ブロック(不図示)として機能する。制御用プログラムは、例えばサーバ5からダウンロードされて記憶部12に保存されてもよく、記録媒体(磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ等)から読み出されて記憶部12に保存されてもよい。
【0024】
詳細は後述するが、制御部111は、ファームウェア存在判定部112、延期時間判定部113、延期時間決定部114及びファームウェア更新部115を統括的に制御することにより、タイマー機能の実行タイミングでファームウェアを更新しないようにWLANアダプタ1を制御する。
【0025】
ファームウェア存在判定部(第一判定部の一例)112は、WLANアダプタ1の最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。本実施の形態では、ファームウェア存在判定部112は、通信ネットワーク4を介して接続されたサーバ5に最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。ファームウェア存在判定部112は、サーバ5から取得した最新のファームウェアを記憶部12に記憶する。延期時間判定部(第二判定部の一例)113は、最新のファームウェアが存在すると判定された場合に、予め決められた予定に従って空気調和装置2を制御するタイマー機能の設定に基づいて、ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する。当該タイマー機能では、予め決められた予定に従ってWLANアダプタ1が室内機22に制御信号を送信することにより、空気調和装置2が当該タイマー機能に基づいて制御される。延期時間決定部(決定部の一例)114は、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定された場合に、ファームウェアの更新をどれだけ延期するかを設定する延期時間を複数の候補の中から決定する。ファームウェア更新部115は、ファームウェアの更新を延期する必要がないと判定された場合に、ファームウェアを更新する。ファームウェア更新部115は、ファームウェアを例えば即時に更新する。さらに、ファームウェア更新部115は、延期時間決定部114において決定された延期時間に到達した場合に、ファームウェアを更新する。
【0026】
通信部13は、無線部131及び有線部132を備えている。無線部131は例えば、IEEE 802.16対応のワイファイ(WiFi(登録商標))、又は、IEEE 802.16対応のワイマックス(WiMax(登録商標))などによって、ルータ3と無線LAN接続による無線通信を可能に構成されている。無線部131は、通信ネットワーク4及びルータ3を介してサーバ5から送信されるファームウェアやその他の情報を受信するように構成されている。無線部131は、WLANアダプタ1が収集した運転データや漏洩検知データなどをルータ3に送信するように構成されている。
【0027】
有線部132は、例えば室内機22と有線接続されている。有線接続のコミュニケータとしては、例えば、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))規格に基づく有線LAN、または、光ファイバーケーブルを用いた有線接続などがある。有線部132は、室外機21及び室内機22の少なくとも一方から送信される運転データや遠隔操作装置23で設定された設定情報を受信するように構成されている。有線部132は、当該設定情報に基づいて室内機22を動作させるための制御信号を室内機22に送信するように構成されている。
【0028】
記憶部12は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、コントローラ11が実行するプログラム及び室外機21及び室内機22の少なくとも一方の運転データや遠隔操作装置23によって設定された設定情報などを記憶する。記憶部12は、例えば、フラッシュROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Disk)等の半導体記憶デバイス、又は、磁気的記憶デバイスで構成される。記憶部12は、プログラム及びデータを一時的に記憶するためのワークエリアを形成するRAM(Random Access Memory)を備えてもよい。
【0029】
記憶部12は、制御部111が実行するプログラム及び通信部13において受信された運転データや設定情報などを記憶する。また、記憶部12は、サーバ5から送信されるファームウェアや延期時間決定部114で決定された延期時間を記憶する。
【0030】
[1-2.動作]
以上のように構成されたWLANアダプタ1、空気調和装置2及び空気調和システムACSにおいて実行される種々の動作のうち、WLANアダプタ1において実行されるファームウェアの更新(アップデート)処理の動作について説明する。
【0031】
図1を参照しつつ図2に基づいて、WLANアダプタ1において実行されるファームウェアの更新処理の動作を説明する。図2は、WLANアダプタ1(図1参照)において実行されるファームウェアの更新処理の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
WLANアダプタ1は、電源が投入されると、図2に示す動作を開始する。WLANアダプタ1では、コントローラ11に備えられた制御部111が、ファームウェア存在判定部112、延期時間判定部113、延期時間決定部114、ファームウェア更新部115(いずれも図1参照)を制御することによって、図2に示すファームウェアの更新処理が実行される。
【0032】
図2に示すように、WLANアダプタ1が動作を開始すると、ステップS11において、ファームウェア存在判定部112は、通信部13に設けられた無線部131、ルータ3及び通信ネットワーク4(いずれも図1参照)を介して、サーバ5(図2参照)に対して最新のファームウェアの取得を要求し、ステップS12の処理に移行する。WLANアダプタ1は少なくとも、WLANアダプタ1に電源が投入されてルータ3(図1参照)を介して初めて通信ネットワーク4に接続される時と、WLANアダプタ1のリセット処理が実行された時に、最新のファームウェアの取得要求をサーバ5に対して実行する。
【0033】
ステップS12において、ファームウェア存在判定部112は、ステップS11における取得要求に対してサーバ5から送信された信号に最新のファームウェアが存在するか否かを確認する。ファームウェア存在判定部112は、当該信号に最新のファームウェアが存在していると判定した場合(ステップS12:YES)、ステップS13の処理に移行する。一方、ファームウェア存在判定部112は、当該信号に最新のファームウェアが存在していないと判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS16の処理に移行する。
【0034】
ステップS13において、延期時間判定部113は、空気調和装置2(例えば室内機22(図1参照))において、現時点から第一時間前にタイマー機能が実行済みであるか否かを確認する。詳細は後述するが、第一時間は、タイマー機能に基づく動作に失敗した室内機22に対して当該タイマー機能に基づいて動作させるための制御信号を室内機22に再送信するための期間よりも長い時間に設定される。本実施の形態では、第一時間は、例えば1分間に設定される。延期時間判定部113は、記憶部12に記憶されている全てのタイマー機能が実行される時刻を確認する。延期時間判定部113は、室内機22において、現時点から第一時間前にタイマー機能が実行済みであると確認した場合(ステップS13:YES)、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定し、ステップS18の処理に移行する。一方、延期時間判定部113は、室内機22において、現時点から第一時間前にタイマー機能が実行済みでないと確認した場合(ステップS13:NO)、ファームウェアの更新を延期する必要がないと判定し、ステップS14の処理に移行する。
【0035】
ここで、タイマー機能が開始されてから終了されるまでの動作において、タイマー機能が開始される時刻又はタイマー機能が終了される時刻が、タイマー機能の実行タイミングの一例に相当する。したがって、ステップS13では、延期時間判定部113は、現時点から第一時間前に、タイマー機能が開始される時刻又はタイマー機能が終了される時刻が存在したか否かを判定する。タイマー機能として例えば、「所定の曜日の9時に設定温度28°で室内の冷房を開始し、かつ20時に当該冷房を停止する」というウィークリータイマーが設定されているとする。この場合、タイマー機能の実行タイミングは、9時及び20時となる。また、タイマー機能として例えば、「1日のうち、11時から13時まで及び16時から19時まで室内機22の運転量を抑える」という時間帯デマンドが設定されているとする。この場合、タイマー機能の実行タイミングは、11時、13時、16時及び19時となる。
【0036】
記憶部12(図1参照)に記憶されているタイマー機能に基づいて、WLANアダプタ1から室内機22に対して、室内の冷房を開始するための制御信号が送信された場合、室内機22から冷房を開始できないことを示すエラー信号がWLANアダプタ1に送信される可能性がある。この場合、WLANアダプタ1は、室内機22に冷房動作を開始させるために、室内の冷房開始を制御するための制御信号を室内機22に再送信する必要がある。このため、WLANアダプタ1では、第一時間は、この再送信のための期間を確保するために、当該期間よりも長い時間に設定される。
【0037】
ステップS14において、延期時間判定部113は、室内機22において、現時点から第二時間後にタイマー機能の実行予定があるか否かを確認する。詳細は後述するが、第二時間は、ファームウェアの更新処理に要する時間よりも長い時間に設定される。本実施の形態では、第二時間は、例えば5分後に設定される。延期時間判定部113は、記憶部12に記憶されている全てのタイマー機能が実行される時刻を確認する。ステップS14では、延期時間判定部113は、現時点から第二時間後にタイマー機能が開始される時刻又はタイマー機能が終了される時刻が存在する場合に、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定する。延期時間判定部113は、空気調和装置2における例えば室内機22において、現時点から第二時間後にタイマー機能の実行予定があると確認した場合(ステップS14:YES)、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定し、ステップS18の処理に移行する。一方、延期時間判定部113は、室内機22において、現時点から第二時間後にタイマー機能の実行予定がないと確認した場合(ステップS14:NO)、ファームウェアの更新を延期する必要がないと判定し、ステップS15の処理に移行する。
【0038】
WLANアダプタ1のファームウェアの更新処理には、例えば数分間の時間が必要である。WLANアダプタ1は、ファームウェアの更新処理中にタイマー機能に基づいて室内機22を動作させることができない。このため、WLANアダプタ1は、ファームウェアの更新処理中に、ステップS13において説明したタイマー機能の実行タイミングにならないように、第二時間は、ファームウェアの更新処理に要する時間よりも長い時間に設定される。
【0039】
ステップS15において、ファームウェア更新部115は、ステップS12において取得した最新のファームウェアにファームウェアをアップデートし、WLANアダプタ1のファームウェアを更新する。ファームウェア更新部115は、ファームウェアの更新が終了したらステップS16の処理に移行する。
【0040】
ステップS16において、制御部111は、WLANアダプタ1を動作させるための電源をオフ状態とするための操作を受け付けたか否かを判定する。当該電源をオフ状態とするための操作は、例えば空気調和装置2の使用者によって実行される。制御部111は、当該操作を受け付けたと判定した場合(ステップS16:YES)には、WLANアダプタ1の電源をオフ状態とするための処理を実行してWLANアダプタ1の動作を終了する。一方、制御部111は、当該操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS16:NO)には、ステップS17の処理に移行する。
【0041】
ステップS17において、ファームウェア存在判定部112は、最新のファームウェアの取得タイミングであるか否かを判定する。記憶部12には、例えば1日に1回だけ所定の時刻に最新のファームウェアを取得するタイミング(すなわち時刻)が記憶されている。ファームウェア存在判定部112は、最新のファームウェアを取得するタイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、ステップS11の処理に移行する。一方、ファームウェア存在判定部112は、最新のファームウェアを取得するタイミングでないと判定した場合(ステップS17:NO)、ステップS16の処理に移行する。このように、WLANアダプタ1は、電源投入時の他に、最新のファームウェアの取得タイミングとなった場合に最新のファームウェアの取得を試みるように構成されている。また、WLANアダプタ1は、ステップS16及びステップS17の処理を繰り返し実行することにより、ファームウェアを取得するタイミングにならなくても、電源がオフ状態になった場合には、ファームウェアを取得せずに動作を終了する。
【0042】
ステップS18において、延期時間決定部114は、ファームウェアの更新を延期する延期時間の決定回数が上限に達しているか否かを判定する。延期時間決定部114は、延期時間の決定回数が上限に達していると判定した場合(ステップS18:YES)、ステップS16の処理に移行する。一方、延期時間決定部114は、延期時間の決定回数が上限に達していないと判定した場合(ステップS18:NO)、ステップS19の処理に移行する。
【0043】
ステップS19において、延期時間決定部114は、最新のファームウェアの更新を延期する延期時間を決定し、ステップS20の処理に移行する。上述のとおり、本実施の形態では、ステップS11の処理が実行されるタイミングが記憶部12に記憶されている。すなわち、本実施の形態では、ファームウェア存在判定部112は、所定周期で最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。延期時間決定部114は、当該所定周期の一周期よりも短くなるように延期時間を決定する。延期時間決定部114は、延期時間を決定したら、延期時間までの計測を開始する。
【0044】
例えば、延期時間決定部114は、当該所定周期の一周期の半分の期間の範囲の時間となるようにランダムに延期時間を決定する。当該所定周期が例えば1日の場合、延期時間決定部114は、例えば1時間から12時間の範囲内で1時間単位のランダムな時間を延期時間として決定する。延期時間決定部114は例えば、複数の候補の中から延期時間をランダムに決定する。延期時間決定部114は、例えば延期時間決定用の乱数によってランダムに延期時間を決定する。延期時間の設定方法として、記憶部12に記憶された全てのタイマー機能における全ての実行タイミングを検索し、検索された全ての実行タイミングと異なる時間に設定することも考えられる。しかしながら、この設定方法では、実行タイミングを検索するための処理負荷が大きくなる。そこで、本実施形態では、WLANアダプタ1は、タイマー機能の実行タイミングを検索せずに、延期時間決定部114によってランダムに延期時間を決定することにより、延期時間の決定処理の負荷を軽減することができる。
【0045】
タイマー機能の実行タイミングは、所定期間(例えば1日)において規則的に設定されている可能性が高い。このため、ファームウェア存在判定部112がサーバ5に対してファームウェアの取得を試みる所定周期の一周期と同じ期間に延期時間が決定されると、延期時間が経過した後のWLANアダプタ1のファームウェアの更新タイミングは、タイマー機能の実行タイミングと再び衝突(すなわち一致)してしまう可能性がある。つまり、ステップS13及びステップS14のいずれかの処理において肯定する判定(YES判定)となる可能性がある。そこで、延期時間の複数の候補は、いずれも所定周期の一周期よりも短い時間に設定されている。例えば、ファームウェアの取得を試みる所定周期の一周期が24時間の場合、延期時間の候補として、1時間から12時間までの時間が1時間の間隔で合計12個、設定されている。このため、延期時間決定部114は、ファームウェア存在判定部112がサーバ5に対してファームウェアの取得を試みる所定周期の一周期よりも短くなるように延期時間を決定することができる。これにより、WLANアダプタ1は、延期時間が経過した後のWLANアダプタ1のファームウェアの更新タイミングと、タイマー機能の実行タイミングとが再び衝突してしまうことを抑制できる。
【0046】
詳細は後述するが、延期時間決定部114は、延期時間を複数回、決定する場合がある。延期時間決定部114は、複数回目の延期時間の決定の場合には、ファームウェアの取得を試みる所定周期の一周期から、それまで決定した延長時間の合計時間を減算した期間よりも短くなるように延期時間を決定する。延期時間決定部114は例えば、それまで決定した延期時間の合計が15時間である場合、当該所定周期の一周期である24時間から15時間を減算した9時間よりも短くなるように、延期時間の候補のうちの1時間から8時間までいずれかの時間を延期時間として決定する。これにより、WLANアダプタ1は、延期時間決定部114で決定される全ての延期時間がファームウェアの取得を試みる所定周期の一周期よりも長くなることを抑制できる。
【0047】
ステップS20において、延期時間決定部114は、ステップS19において決定した延期時間に到達したか否かを判定する。延期時間決定部114は、延期時間に到達したと判定した場合(ステップS20:YES)、ステップS13の処理に移行する。一方、延期時間決定部114は、延期時間に到達していないと判定した場合(ステップS20:NO)、ステップS21の処理に移行する。
【0048】
ステップS21において、制御部111は、ステップS16と同様の処理により、WLANアダプタ1を動作させるための電源をオフ状態とするための操作を受け付けたか否かを判定する。当該電源をオフ状態とするための操作は、例えば空気調和装置2の使用者によって実行される。制御部111は、当該操作を受け付けたと判定した場合(ステップS21:YES)には、WLANアダプタ1の電源をオフ状態とするための処理を実行してWLANアダプタ1の動作を終了する。一方、制御部111は、当該操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS21:NO)には、ステップS20の処理に戻る。このように、WLANアダプタ1は、延期時間に到達していなくても、電源をオフ状態とするための操作を受け付けた場合には、ファームウェアを更新せずに動作を終了する。
【0049】
本実施の形態では、延期時間の決定回数が上限(例えば3回)に達したと判定された場合(ステップS18:YES)、その後に最新のファームウェアの更新処理(ステップS15)が実行されるためには、少なくともステップS12の処理において、ファームウェア存在判定部112がサーバ5に最新のファームウェアが存在すると判定する(ステップS12:YES)必要がある。したがって、本実施の形態では、延期時間決定部114が延期時間を決定した回数が上限(所定回数の一例)に到達した場合(ステップS18:YES)には、ファームウェア存在判定部112が最新のファームウェアが存在すると次に判定するまでファームウェアを更新しない(ステップS18の後のステップS16:NO→ステップS17:YES→ステップS11→ステップS12:NO→ステップS16の流れ)。すなわち、延期時間の決定回数が上限に到達した場合には、WLANアダプタ1は、ファームウェアの更新処理を一旦、中断する。WLANアダプタ1では、延期時間の決定回数に上限が設けられることにより、最新のファームウェアを取得するための所定周期の一周期において永続的にファームウェアの更新処理が実行されることが抑制され、ファームウェアの更新処理の処理負荷の軽減が図られる。
【0050】
ステップS12において最新のファームウェアが取得された後に、延期時間の決定回数が上限に達したと判定され(ステップS18:YES)、その後に実行されるステップS12の処理においてファームウェア存在判定部112がファームウェアを取得したとする。ステップS18の処理を挟んで取得された2つのファームウェアが同じであったとしても、WLANアダプタ1は、当該ステップS18の前に取得されたファームウェアに更新されていない場合には、当該ステップS18の後に取得されたファームウェアを最新のファームウェアとして処理する。
【0051】
本実施の形態では、延期時間判定部113は、延期時間に到達した場合にファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを再判定する。具体的には、延期時間判定部113がファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定した後(ステップS13又はステップS14の後)に、延期時間決定部114によって決定された延期時間に到達した場合(ステップS20:YES)、延期時間判定部113は再び、ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する(ステップS20の後のステップS13及びステップS14への流れ)。これにより、WLANアダプタ1は、延期時間の到達時においてもファームウェアの更新タイミングとタイマー機能の実行タイミングとの衝突を抑制できる。
【0052】
本実施の形態では、延期時間決定部114は、延期時間判定部113によってファームウェアの更新を延期する必要があると再判定された場合、延期時間を再決定する。具体的には、延期時間判定部113がファームウェアの更新を延期する必要があると再判定した(ステップS20:YES→ステップS13:YESの流れ又はステップS20:YES→ステップS13:NO→ステップS14:YESの流れ)後に、延期時間決定部114は、延期時間を再決定する(ステップS13又はステップS14→ステップS18:NO→ステップS19の流れ)。これにより、WLANアダプタ1は、延期時間の決定回数が上限に達するまで、延期時間を繰り返し決定することができるので、ファームウェアの更新の機会を繰り返し設けることができる。
【0053】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、室外機21と室内機22とを備えた空気調和装置2の室内機22に接続され、室外機21及び室内機22を管理するサーバ5と通信ネットワーク4を介して通信可能に構成されている。WLANアダプタ1は、ファームウェア存在判定部112と、延期時間判定部113と、延期時間決定部114とを備える。ファームウェア存在判定部112は、WLANアダプタ1の最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。延期時間判定部113は、最新のファームウェアが存在すると判定された場合に、予め決められた予定に従って空気調和装置2を制御するタイマー機能の設定に基づいて、ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する。延期時間決定部114は、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定された場合に、ファームウェアの更新をどれだけ延期するかを設定する延期時間を複数の候補の中から決定する。
これにより、WLANアダプタ1は、ファームウェアの更新タイミングを必要に応じて延期することができる。そのため、WLANアダプタ1は、適切なタイミングでファームウェアを更新することができる。また、WLANアダプタ1は、タイマー機能の実行タイミングとファームウェアの更新タイミングとが衝突することを抑制しつつ、タイマー機能の実行を優先することができる。
【0054】
本実施の形態のように、WLANアダプタ1は、ファームウェア更新部115を備える。ファームウェア更新部115は、ファームウェアの更新を延期する必要がないと判定された場合に、ファームウェアを更新する。
これにより、WLANアダプタ1は、最新のファームウェアが存在すると判定した後にファームウェアの更新の延期が不要であると判定できる。そのため、WLANアダプタ1は、最新のファームウェアを取得した後に即時にファームウェアを更新できる。
【0055】
本実施の形態のように、延期時間決定部は、複数の候補の中から延期時間をランダムに決定する。
これにより、WLANアダプタ1は、記憶部12に記憶された全てのタイマー機能における全ての実行タイミングを検索する必要がなくなる。そのため、WLANアダプタ1は、延期時間の決定処理の負荷を軽減することができる。
【0056】
本実施の形態のように、延期時間判定部113は、現時点から第一時間前にタイマー機能を実行済み又は現時点から第二時間後にタイマー機能の実行予定がある場合に、ファームウェアの更新を延期する必要があると判定するようにしてもよい。
これにより、タイマー機能の実行に失敗したことを示すエラー信号が室内機22から送信される期間及びタイマー機能の開始前にファームウェアの更新を完了させるための期間が確保される。そのため、WLANアダプタ1は、室内機22によって実行されるタイマー機能に関連する一連の処理が、ファームウェアの更新処理によって阻害されることを抑制できる。
【0057】
本実施の形態のように、ファームウェア存在判定部112は、所定周期で最新のファームウェアが存在するか否かを判定してもよく、延期時間決定部114は、当該所定周期の一周期よりも短くなるように延期時間を決定するようにしてもよい。
これにより、延期時間決定部114は、ファームウェア存在判定部112が最新のファームウェアの存在を判定してから次に最新のファームウェアの存在を判定するまでの期間内に延期時間を決定できる。そのため、WLANアダプタ1は、最新のファームウェアの取得ごとに必要に応じて延期時間を決定できる。
【0058】
本実施の形態のように、延期時間判定部113は、延期時間に到達した場合にファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを再判定するようにしてもよい。
これにより、延期時間の到達時にファームウェアの更新が必要であるか否かを判定できる。そのため、WLANアダプタ1は、延期時間の到達時にタイマー機能の実行タイミングとファームウェアの更新タイミングとが衝突することを抑制することができる。
【0059】
本実施の形態にように、延期時間決定部114は、延期時間判定部113によってファームウェアの更新を延期する必要があると再判定された場合、延期時間を再決定するようにしてもよい。
これにより、延期時間決定部114は、延期時間を繰り返し決定できる。そのため、WLANアダプタ1は、タイマー機能の実行タイミングと衝突しなくなるまでファームウェアの更新を繰り返し試みることができる。
【0060】
本実施の形態のように、延期時間決定部114が延期時間を決定した回数が所定回数に到達した場合には、ファームウェア存在判定部112が最新のファームウェアが存在すると次に判定するまでファームウェアを更新しないようにしてもよい。
これにより、延期時間決定部114による延期時間の決定処理の回数を制限して延期時間を過剰に決定することを抑制することができる。そのため、WLANアダプタ1は、ファームウェアの更新処理に関連する処理の負荷を軽減することができる。
【0061】
本実施の形態において、空気調和システムACSは、WLANアダプタ1と、空気調和装置2と、サーバ5とを備える。WLANアダプタ1は、本実施の形態における通信装置の一例である。空気調和装置2は、WLANアダプタ1と接続された室内機22と、室内機22と接続された室外機21と、室内機22を操作する遠隔操作装置23とを有する。サーバ5は、通信ネットワーク4を介してWLANアダプタ1に接続されて室外機21及び室内機22を管理する。
これにより、空気調和システムACSは、本実施の形態におけるWLANアダプタ1と同様の作用・効果を得られる。
【0062】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0063】
上記実施の形態では、WLANアダプタ1は、ルータ3を介して通信ネットワーク4に接続されているが、これに限定されない。例えば、WLANアダプタ1がルータ3の機能も備え、WLANアダプタ1は、通信ネットワーク4に直接接続されるように構成されていてもよい。また、WLANアダプタ1は、例えばSIM(Subscriber Identity Module)カードを搭載し、ルータ3を介さずに、通信ネットワーク4を通してサーバ5に直接接続するように構成されていてもよい。
【0064】
上記実施の形態では、延期時間決定部114は、延期時間をランダムに決定しているが、これに限定されない。例えば、延期時間決定部114は、直近のタイマー機能を参照し、数時間後(例えば4時間後)にタイマー機能の予定が設定されていなければ、延期時間を当該数時間後の時間(例えば4時間)と決定するように構成されていてもよい。この場合、複数の候補の中から、当該数時間後の時間(例えば4時間)が選択されてもよい。また、当該数時間後の時間に一致する時間が複数の候補の中にない場合には、当該数時間後の時間に最も近い時間を複数の候補の中から選択してもよい。
【0065】
上記実施の形態では、サーバ5は、空気調和装置2に備えられた室外機21及び室内機22の動作状態などを含む運転データと、WLANアダプタ1を制御するソフトウェアを更新するためのファームウェアとを保持しているが、これに限定されない。例えば、空気調和システムは、室外機及び室内機の運転データを保持するサーバと、WLANアダプタのためのファームウェアを保持するサーバ(すなわちファームウェア保持装置)とを別個独立して備えていてもよい。この場合、WLANアダプタに備えられたファームウェア存在判定部(第一判定部の一例)は、通信ネットワークを介して接続された当該サーバ(すなわちファームウェア保持装置)に最新のファームウェアが存在するか否かを判定する。
【0066】
上記実施の形態では、遠隔操作装置23は、室内の壁面などに設置された構成を有しているが、これに限定されない。遠隔操作装置23は、例えば携帯型の構造を有し、例えば赤外線などの無線通信によって室内機22と双方向通信が可能な構成を有していてもよい。
【0067】
上記実施の形態では、WLANアダプタ1は、空気調和装置2に外付けされる構造を有しているが、これに限定されない。WLANアダプタは、空気調和装置の構成要素の1つであってもよい。この場合、WLANアダプタは、例えば室内機や室外機に内蔵されていてもよい。
【0068】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0069】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)室外機と室内機とを備えた空気調和装置の前記室内機に接続され、前記室外機及び前記室内機を管理する管理装置と通信ネットワークを介して通信可能に構成された通信装置であって、前記通信装置の最新のファームウェアが存在するか否かを判定する第一判定部と、前記最新のファームウェアが存在すると判定された場合に、予め決められた予定に従って前記空気調和装置を制御するタイマー機能の設定に基づいて、ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを判定する第二判定部と、前記ファームウェアの更新を延長する必要があると判定された場合に、前記ファームウェアの更新をどれだけ延期するかを設定する延期時間を複数の候補の中から決定する決定部とを備える通信装置。
この構成により、通信装置は、ファームウェアの更新タイミングを必要に応じて延期することができる。そのため、通信装置は、適切なタイミングでファームウェアを更新することができる。また、通信装置は、タイマー機能の実行タイミングとファームウェアの更新タイミングとが衝突することを抑制しつつ、タイマー機能の実行を優先することができる。
【0070】
(技術2)前記ファームウェアの更新を延期する必要がないと判定された場合に、前記ファームウェアを更新するファームウェア更新部を備える技術1に記載の通信装置。
この構成により、通信装置は、最新のファームウェアが存在すると判定した後にファームウェアの更新の延期が不要であると判定できる。そのため、通信装置は、最新のファームウェアを取得した後に即時にファームウェアを更新できる。
【0071】
(技術3)前記決定部は、前記複数の候補の中から前記延期時間をランダムに決定する技術1又は2に記載の通信装置。
この構成により、通信装置は、記憶部に記憶された全てのタイマー機能における全ての実行タイミングを検索する必要がなくなる。そのため、通信装置は、延期時間の決定処理の負荷を軽減することができる。
【0072】
(技術4)前記第二判定部は、現時点から第一時間前に前記タイマー機能を実行済み又は前記現時点から第二時間後に前記タイマー機能の実行予定がある場合に、前記ファームウェアの更新を延期する必要があると判定する技術1から3までのいずれか一項に記載の通信装置。
この構成により、タイマー機能の実行に失敗したことを示すエラー信号が室内機から送信される期間及びタイマー機能の開始前にファームウェアの更新を完了させるための期間が確保される。そのため、通信装置は、空気調和装置によって実行されるタイマー機能に関連する一連の処理が、ファームウェアの更新処理によって阻害されることを抑制できる。
【0073】
(技術5)前記第一判定部は、所定周期で前記最新のファームウェアが存在するか否かを判定し、前記決定部は、前記所定周期の一周期よりも短くなるように前記延期時間を決定する技術1から4までのいずれか一項に記載の通信装置。
この構成により、決定部は、第一判定部が最新のファームウェアの存在を判定してから次に最新のファームウェアの存在を判定するまでの期間内に延期時間を決定できる。そのため、通信装置は、最新のファームウェアの取得ごとに必要に応じて延期時間を決定できる。
【0074】
(技術6)前記第二判定部は、前記延期時間に到達した場合に前記ファームウェアの更新を延期する必要があるか否かを再判定する技術1から5までのいずれか一項に記載の通信装置。
この構成により、延期時間の到達時にファームウェアの更新が必要であるか否かを判定できる。そのため、通信装置は、延期時間の到達時にタイマー機能の実行タイミングとファームウェアの更新タイミングとが衝突することを抑制することができる。
【0075】
(技術7)前記決定部は、前記第二判定部によって前記ファームウェアの更新を延期する必要があると再判定された場合、前記延期時間を再決定する技術6に記載の通信装置。
この構成により、決定部は、延期時間を繰り返し決定できる。そのため、通信装置は、タイマー機能の実行タイミングと衝突しなくなるまでファームウェアの更新を繰り返し試みることができる。
【0076】
(技術8)前記決定部が前記延期時間を決定した回数が所定回数に到達した場合には、前記第一判定部が前記最新のファームウェアが存在すると次に判定するまで前記ファームウェアを更新しない技術7に記載の通信装置。
この構成により、決定部による延期時間の決定処理の回数を制限して延期時間を過剰に決定することを抑制することができる。そのため、通信装置は、ファームウェアの更新処理に関連する処理の負荷を軽減することができる。
【0077】
(技術9)技術1から8までのいずれか一項に記載の通信装置と、前記通信装置と接続された前記室内機、前記室内機と接続された前記室外機、及び前記室内機を操作する操作装置を有する空気調和装置と、前記通信ネットワークを介して前記通信装置に接続されて前記室外機及び前記室内機を管理する前記管理装置とを備える空気調和システム。
この構成により、空気調和システムは、技術1から8までのいずれか1つにおける通信装置と同様の作用・効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示は、室外機及び室内機を管理する管理装置に通信ネットワークを介して接続される通信装置と、当該通信装置、当該室外機及び当該室外機を有する空気調和装置及び当該管理装置を備える空気調和システムとに適用可能である。具体的には、無線や有線によって通信ネットワークに接続可能な通信装置、業務用空気調和システム、家庭用空気調和システムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 WLANアダプタ
2 空気調和装置
3 ルータ
4 通信ネットワーク
5 サーバ
11 コントローラ
12 記憶部
13 通信部
21 室外機
22 室内機
23 遠隔操作装置
111 制御部
112 ファームウェア存在判定部
113 延期時間判定部
114 延期時間決定部
115 ファームウェア更新部
131 無線部
132 有線部
ACS 空気調和システム
図1
図2