(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160489
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】生体信号取得モジュール、生体信号取得装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61B5/00 102A
A61B5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075539
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安野 裕貴
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB01
4C117XC03
4C117XC06
4C117XC26
4C117XE13
4C117XE24
4C117XE26
4C117XE29
4C117XE30
4C117XE56
4C117XJ16
(57)【要約】
【課題】被測定者への負荷が小さく、生体信号より強いノイズであっても低減することが可能な生体信号取得モジュールを提供する。
【解決手段】被測定者HMの背中HBに接する物品30に設けられる生体信号取得モジュール11であって、被測定者の生体信号に対応する振動BSを検出するための複数のセンサ部1,2を備える。各センサ部は、振動を検出する振動センサ41,42と、センサ部における背中側の端部から振動センサまでの間に設けられた少なくとも1種の媒質からなる信号伝播経路と、を有する。複数のセンサ部のうち少なくとも一つのセンサ部1は、他のセンサ部2と信号伝播経路の構成が異なることにより、同一の生体信号が複数のセンサ部に入力したときに、当該センサ部の振動センサに伝播される生体信号の振幅が、他のセンサ部の振動センサに伝播される生体信号の振幅と異なるように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者(HM)の背中(HB)に接する物品(30)に設けられる生体信号取得モジュールであって、
前記被測定者の生体信号に対応する振動(BS)を検出するための複数のセンサ部(1,2)を備え、
前記各センサ部は、
前記振動を検出する振動センサ(41,42,43,44)と、
前記センサ部における前記背中側の端部から前記振動センサまでの間に設けられた少なくとも1種の媒質からなる信号伝播経路と、
を有し、
前記複数のセンサ部のうち少なくとも一つのセンサ部(1)は、他のセンサ部(2)と前記信号伝播経路の構成が異なることにより、同一の前記生体信号が前記複数のセンサ部に入力したときに、当該センサ部の前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅が、前記他のセンサ部の前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅と異なるように構成されている、生体信号取得モジュール。
【請求項2】
前記生体信号は、心音または心弾道である、請求項1に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項3】
前記複数のセンサ部の各信号伝播経路において、前記振動センサに接する前記媒質の三態を示す状態は、同じである、請求項1または請求項2に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項4】
前記複数のセンサ部のうち少なくとも一つのセンサ部は、他のセンサ部と比べて、前記媒質の種類が異なることにより、前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅が異なるように構成されている、請求項1に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項5】
前記複数のセンサ部のうち少なくとも一つのセンサ部は、他のセンサ部と比べて、前記媒質の音響インピーダンスが異なることにより、前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅が異なるように構成されている、請求項1に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項6】
前記複数のセンサ部を収容する単一の筐体(50)をさらに備える、請求項1に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項7】
前記筐体の内部には、区画された複数の収容室(53,54)が形成され、
前記各センサ部は、前記収容室に対応してそれぞれ一つ設けられている、請求項6に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項8】
複数の筐体(57,58)をさらに備え、
前記各センサ部は、前記筐体に対応してそれぞれ一つ設けられている、請求項1に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項9】
前記物品は、移動体内に配置される、請求項1に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項10】
前記移動体は、車両である、請求項9に記載の生体信号取得モジュール。
【請求項11】
生体信号取得装置であって、
被測定者(HM)の背中(HB)に接する物品(30)に設けられる生体信号取得モジュールであって、前記被測定者の生体信号に対応する振動(BS)を検出するための複数のセンサ部(1,2)を備え、前記各センサ部は、前記振動を検出する振動センサ(41,42,43,44)と、前記センサ部における前記背中側の端部から前記振動センサまでの間に設けられた少なくとも1種の媒質からなる信号伝播経路と、を有し、前記複数のセンサ部のうち少なくとも一つのセンサ部(1)は、他のセンサ部(2)と前記信号伝播経路の構成が異なることにより、同一の前記生体信号が前記複数のセンサ部に入力したときに、当該センサ部の前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅が、前記他のセンサ部の前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅と異なるように構成される生体信号取得モジュール(11,12,13)と、
前記複数のセンサ部からの信号出力の差を検出することにより、前記生体信号を検出する信号処理部(21)と、
を備える、生体信号取得装置。
【請求項12】
前記信号処理部は、
前記複数のセンサ部からの信号出力のうち、少なくとも一つの信号出力について、振幅と位相とのうち少なくとも一方を補正し、補正した前記信号出力を用いて前記複数のセンサ部からの信号出力の差を検出する、請求項11に記載の生体信号取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体信号取得モジュール、生体信号取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、周期性を有する生体信号を検出する生体信号検出装置が記載されている。この生体信号検出装置では、心音がある程度周期的に発生する特徴を活かして、生体信号の他に重畳するノイズを2つのセンサの差動検出によって打ち消し合い、ノイズを低減する手法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記構成では、装着型の心拍センサが必要であり、被測定者への負荷が大きい。また、心音の周期性を使ってノイズを低減するが、心音と同じ周期性を有し、心音より強いノイズが定常的にある環境下では、心音検出が困難である。被測定者への負荷が小さく、生体信号より強いノイズであっても低減することが可能な生体信号取得モジュールおよび生体信号取得装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、生体信号取得モジュールが提供される。この生体信号取得モジュールは、被測定者(HM)の背中(HB)に接する物品(30)に設けられる生体信号取得モジュールであって、前記被測定者の生体信号に対応する振動(BS)を検出するための複数のセンサ部(1,2)を備え、前記各センサ部は、前記振動を検出する振動センサ(41,42,43,44)と、前記センサ部における前記背中側の端部から前記振動センサまでの間に設けられた少なくとも1種の媒質からなる信号伝播経路と、を有し、前記複数のセンサ部のうち少なくとも一つのセンサ部(1)は、他のセンサ部(2)と前記信号伝播経路の構成が異なることにより、同一の前記生体信号が前記複数のセンサ部に入力したときに、当該センサ部の前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅が、前記他のセンサ部の前記振動センサに伝播される前記生体信号の振幅と異なるように構成されている。
この構成によれば、複数の振動センサのうち少なくとも一つの振動センサに伝播される生体信号の振幅は、他の振動センサに伝播される生体信号の振幅とは異なるため、複数のセンサ部における信号出力の差を検出する差動検出が可能となる。このため、生体信号取得モジュールに、生体信号とは異なる外部ノイズとしての振動が作用する環境下においても、生体信号を検出できる。さらに、被測定者の背中に接する物品に生体信号取得モジュールが配置される構成であり、被測定者を拘束することなく被測定者への負荷が小さい状態で、生体信号を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態における生体信号取得装置の概略構成を示す説明図である。
【
図2】生体信号取得装置の内部機能構成を示すブロック図である。
【
図3】生体信号取得モジュールの概略構成を示す断面図である。
【
図4】被測定者から媒質への減衰量と媒質の音響インピーダンスとの関係を示す図である。
【
図5】第2実施形態における生体信号取得モジュールの概略構成を示す断面図である。
【
図6】第3実施形態における生体信号取得モジュールの概略構成を示す断面図である。
【
図7】他の実施形態における生体信号取得モジュールの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
A.第1実施形態:
A1.生体信号取得装置100の構成:
第1実施形態の構成について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
図1に示すように、第1実施形態の生体信号取得装置100は、生体信号取得モジュール11と、制御装置20と、を備えている。生体信号取得装置100は、生体信号取得モジュール11を用いて生体信号を取得する。「生体信号」とは、生体現象によって体から発せられる信号を意味する。
【0009】
生体信号取得装置100は、生体信号のうち、例えば、呼吸、脈拍、心弾道、心音、臓器の動作、胎動、身体の動作(体動)など、生体から発生した振動を示す信号(以下、「生体信号に対応する振動」とも呼ぶ)を取得し、取得した生体信号を用いて人の身体的状態あるいは心理的状態(疲労や眠気、ストレス、覚醒、自律神経状態)を推定することができる。なお、生体信号取得装置100は、測定時の被測定者HMにおける衣類の着用の有無を問わない。本実施形態では、生体信号として心音を取得する。
【0010】
生体信号取得モジュール11は、生体信号に対応する振動を検出する。以下、生体信号取得モジュール11のことを、単に「センサモジュール11」ともいう。本実施形態では、生体信号取得モジュール11は、車両の座席30の背もたれに配置されており、座席30に腰掛けた状態の被測定者HMの背中HBから、例えば、被測定者HMの心臓HHにおける機械的振動または音響振動を含む心臓HHの心音情報を、生体信号に対応する振動として取得する。心臓HH内における機械的振動または音響振動は、心臓HHの弁の開閉によりもたらされる。または、心臓HH内における機械的振動または音響振動は、心臓HH内へ流入する、もしくは心臓HHから流出する血液の移動によりもたらされる。
【0011】
被測定者HMは、例えば、運転席としての座席30に座るドライバである。座席30は、「物品」の一例に相当する。センサモジュール11は、座席30を利用する被測定者HMの心臓HH近くの部位に位置するように座席30の表面31に設けられ、被測定者HMを拘束することなく生体信号を測定可能である。なお、「座席30の表面31」とは、座席30に腰掛ける被測定者HMの背中HBと接する面を意味し、「背面32」とは、表面31の逆側の面を意味する。
【0012】
生体信号取得装置100は、被測定者HMの生体振動信号の一種である第一心音および第二心音から、心拍間隔を検出する。一般的に、心拍計測において心電図法が最も信頼性があるとされるが、心電図法では、体表面に直接電極を貼り付ける必要があり、測定中はケーブルで拘束されてしまう。医療目的などで心拍の状態を測定することが主目的であれば信頼性を優先して拘束されることを容認できると考えられる。しかし、心拍の信号から感情やストレス状態などを測定し、例えば自動車運転中のドライバを被測定者HMとするときなど、より広い用途に展開する場合には、ケーブル等に拘束されるということは好ましくない。
【0013】
本開示の生体信号取得装置100は、被測定者HMにおける測定機器による拘束のストレスの増加を抑えつつ、被測定者HMの疲労や眠気、ストレス、覚醒状況、自立神経状態等をモニタリングするために、取得された心音から心拍間隔を検出するまでを行う。以下、生体信号取得装置100の詳細構成について説明する。
【0014】
図2に示すように、センサモジュール11は、第1振動センサ41と、第2振動センサ42と、を備えている。各振動センサ41,42は、生体信号として取得可能な心音、呼吸、心弾道、脈などを測定する。振動センサ41,42は、取得した信号を信号処理部21に送信する。振動センサ41,42は、生体信号を検出するために非常に微小な信号(例えばμVの電圧)についても検出できる高感度のものを採用することが好ましい。
【0015】
各振動センサ41,42は、心臓HH内における機械的振動または音響振動を含む心臓HHの心音情報を検出する。各振動センサ41,42は、具体的には、加速度計、マイクロフォン、ダイヤフラム、AE(Acoustic Emission)センサ等のセンサを含むことができる。第1実施形態では、各振動センサ41,42は、水中の音を拾うことが可能なハイドロフォンで構成されている。
【0016】
振動センサ41,42により取得された生体信号に対応する振動は、アナログ電圧信号として図示しないAD変換器などに入力され、デジタル信号へと変換されて、有線通信あるいは無線通信により制御装置20に出力される。無線通信は、たとえば、IEEE802.11規格に準拠した無線ローカルネットワーク(LAN)を通じた無線接続やBluetooth(登録商標)を用いた無線通信などによって実現され得る。
【0017】
制御装置20は、信号処理部21と、出力部22と、を備えている。信号処理部21は、第1振動センサ41に対応して設けられる帯域フィルタ23と、第2振動センサ42に対応して設けられる帯域フィルタ24と、振幅・位相補正部25と、心音波形抽出部26と、心拍間隔抽出部27と、を備えている。信号処理部21は、
図1に示す中央処理装置(CPU28)や、RAM、ROMなどのメモリ29を有して構成されたマイクロコンピュータ等からなり、予めインストールされたプログラムを中央処理装置が実行することによって、上記各部の機能を実現する。ただし、これらの各部の機能の一部又は全部をハードウェア回路で実現してもよい。
【0018】
帯域フィルタ23,24は、振動センサ41,42から取得した信号から、心音の帯域の周波数成分だけを通すフィルタである。振幅・位相補正部25は、第2振動センサ42から帯域フィルタ24を通過させた信号の振幅および位相を適宜補正する。振幅・位相補正部25は、例えば適応フィルタを用いてもよい。心音波形抽出部26は、生体信号から心音の音波に基づく心音波形を抽出する。
【0019】
心音は、心臓HHの拍動に伴って発生する音であり、媒質を介して伝播する弾性波である。正常時では、心音は、心室収縮期の初めに左右の房室弁が閉鎖することにより発生する第一心音と、心室収縮期の直後に大動脈弁と肺動脈弁が閉鎖することにより発生する第二心音とからなる周期信号である。一般的には、第一心音は低調で長く、第二心音は高調で短い。第一心音から第二心音までの期間が心臓HHの収縮期であり、第二心音から次の周期の第一心音までの期間が心臓HHの拡張期である。第一心音から次の第一心音までの期間又は第二心音から次の第二心音までの期間が心拍間隔(HRI:Heart Rate Interval)に相当し、1分間の第一心音の数又は第二心音の数が心拍数に相当する。
【0020】
心拍間隔抽出部27は、心音波形抽出部26において抽出された心音波形から心拍間隔を抽出する。心拍間隔抽出部27により取得された心拍間隔の情報は、出力部22に出力される。出力部22は、心拍間隔の情報を保管および適宜更新する。また、出力部22を、画像表示や音声出力が可能な装置を含んで構成し、心拍間隔の情報を画像表示したり、異常な心拍間隔を検知したときに音声出力したりしてもよい。なお、心音、呼吸、心弾道、および脈は、それぞれ周波数帯域が異なるため、単一の振動センサ41,42で全ての情報を取得することができる。
【0021】
A2.生体信号取得モジュール11の構成:
図3に示すように、本実施形態の生体信号取得モジュール11は、筐体50と、第1センサ部1と、第2センサ部2と、を備えている。第1センサ部1は、第1媒質61と、第2媒質62と、第1振動センサ41と、を備えている。第2センサ部2は、第3媒質63と、第4媒質64と、第2振動センサ42と、を備えている。生体信号取得モジュール11は、座席30に設けられた凹部に筐体50ごと埋め込まれ、座席30を構成する材料との摩擦力などにより固定されている。なお、生体信号取得モジュール11は、座席30に埋め込むのではなく、座席30の表面31上に配置してもよいし、生体信号を取得可能であれば、座席30の背面32側に配置してもよい。
【0022】
図3には、技術の理解を容易にするために被測定者HMの心臓HHと背中HB、ならびに心臓HHから発せされる振動BSが模式的に示されている。振動BSは、生体信号に対応する振動の一例である。振動BSには、心臓HH内における機械的振動または音響振動が含まれる。振動BSは、心臓HHの内部の弁の開閉によりもたらされ、あるいは心臓HH内へ流入もしくは心臓HHから流出する血液の移動によりもたらされる。
図3において、振動BSが伝播する過程において振幅が減衰する様子を模式的に波線で図示している。
【0023】
筐体50は、例えば、その外形が四角柱形状や円柱形状をなしており、内部に各媒質61,62,63,64および各振動センサ41,42を収容する。筐体50は、内部空間を規定する凹形状に成形されている。筐体50は、開口部51を備えている。開口部51は、被測定者HMの背中HBに近くなるように、座席30の表面31に近い位置に配置される。筐体50の内部には、内部空間を略均等に2分割する仕切り板52が設けられている。仕切り板52は、座席30の表面31と概ね垂直をなす方向(
図3における左右方向)に延びて形成されている。この仕切り板52を境界にして、筐体50内部には、第1収容室53と第2収容室54とが区画形成されている。第1収容室53は、第2収容室54よりも、座席30の表面31においてより上側に位置している。筐体50は、仕切り板52を含め鉄等の金属で形成されている。
【0024】
第1収容室53の内部には、開口部51側から順に、第1媒質61と、第2媒質62と、第1振動センサ41と、が設けられている。第1振動センサ41は、第2媒質62と接していることを前提に、例えば貼付などにより筐体50の内底面55に設けられている。第1媒質61は、シリコンゴムを用いて形成されている。第1媒質61は、開口部51に固定され、第1振動センサ41および第2媒質62を第1収容室53内に密閉している。第2媒質62には水が用いられ、空気などの気体が概ね除去された状態かつ第1振動センサ41に接した状態で第1収容室53に収容されている。第1媒質61および第2媒質62は、第1センサ部1における背中HB側の端部から第1振動センサ41までの間に設けられ、振動BSの信号伝播経路として機能する。この、第1収容室53を振動BSが通過する伝播経路を、「第1経路」とする。
【0025】
第2収容室54の内部には、開口部51側から順に、第3媒質63と、第4媒質64と、第2振動センサ42と、が設けられている。第2振動センサ42は、第4媒質64と接していることを前提に、例えば貼付などにより筐体50の内底面55に設けられている。第3媒質63は、鉄を用いて形成されている。第3媒質63は、開口部51に固定され、第2振動センサ42および第4媒質64を第2収容室54内に密閉している。第4媒質64には水が用いられ、空気などの気体が概ね除去された状態かつ第2振動センサ42に接した状態で第2収容室54に収容されている。第3媒質63および第4媒質64は、第2センサ部2における背中HB側の端部から第2振動センサ42までの間に設けられ、振動BSの信号伝播経路として機能する。この、第2収容室54を振動BSが通過する伝播経路を、「第2経路」とする。本実施形態では、第1経路および第2経路の長さは同一である。
【0026】
上記したように、第1振動センサ41に接する第2媒質62と、第2振動センサ42に接する第4媒質64は共に水である。すなわち、各振動センサ41,42は共に液体に接しており、各振動センサ41,42が接する媒質の三態を示す状態は同じである。また、第1経路に設けられる媒質の音響インピーダンスと、第2経路に設けられる媒質の音響インピーダンスとは、異なる。このため、第1振動センサ41に伝播される生体信号の振幅は、第2振動センサ42に伝播される生体信号の振幅とは異なる。
【0027】
第1媒質61および第3媒質63の開口部51側となる表面は、座席30の表面31と面一となるように配置されている。第1媒質61および第3媒質63が表面31と面一とされることにより、生体信号取得モジュール11を座席30と一体的に構成することができる。したがって、被測定者HMが座席30を利用するにあたり、背中HBに生体信号取得モジュール11が接触することによる違和感を抑制することができる。なお、第3媒質63は金属であるため、被測定者HMの背中HBに当たる感触をより緩和するために、開口部51側となる表面に柔らかい物質を介在させてもよい。
【0028】
生体信号を用いて被測定者HMの身体的、心理的状態を推定するにあたり、測定器の装着や体勢の固定などの被測定者HMの拘束、被測定者HMによる測定器の視認などは、被測定者HMに対してストレスを与える。この結果、推定精度が低下することとなり得る。したがって、生体信号の検出のためには、被測定者HMにストレスを与えないことが望ましい。例えば、一般的な心電図法による心拍計測では、体表面に直接電極を貼り付けるため、被測定者HMは、ケーブルで拘束され得る。これに対して、本実施形態の生体信号取得装置100は、被測定者HMの背中HBから生体信号を検出することにより、非拘束で生体信号を検出することができる。また、被測定者HMが測定器を視認することを抑制または防止でき、前面HFから生体信号を検出する場合よりも被測定者HMにストレスを与えることを抑制または防止することができる。
【0029】
次に、
図4を用いて、生体信号取得モジュール11における媒質の選定方法について説明する。
図4には、理論値に基づくシミュレーション結果が示されている。グラフの縦軸は、人体と媒質との界面における音波の減衰量(単位:dB)を示し、横軸は、媒質の音響インピーダンス「単位:kg/(s・m
2)」を示している。なお、音響インピーダンスは、密度と音速とを乗じることで得られるパラメータである。人体と媒質との界面における音波の減衰量AAは、以下の式(1)によって求めることができる。
【0030】
減衰量AA=|Z1-Z2|/|Z1+Z2| ・・・式(1)
Z1:人体の音響インピーダンス
Z2:媒質の音響インピーダンス
【0031】
人体の音響インピーダンスZ1には、水の音響インピーダンスである1.44×10
6kg/(s・m
2)を用いた。上記式(1)により、
図4に示すグラフG1を得ることができる。ここで、第1媒質61に用いられるシリコンゴムの音響インピーダンスを1.44×10
6kg/(s・m
2)に近い値とし、第3媒質63に用いられる鉄の音響インピーダンスを4.64×10
7kg/(s・m
2)とする。
【0032】
式(1)より、第1経路での減衰量は概ね0に近い値である。第2経路では、被測定者HM(人体)と第3媒質63との界面、および、第3媒質63と第4媒質64との界面において、それぞれ24dBの減衰量が発生するため、第2経路全体として48dBの減衰量となる。予め行った実験によれば、ノイズ除去の観点からは、第1経路での減衰量はなるべく0に近い値であり、第2経路での減衰量は15dB以上であることが好ましい。よって、各経路における減衰量が上記所定の数値を満たすように、各経路での各媒質を選定することが好ましい。
【0033】
A3.心音抽出処理:
上記媒質の選定について詳述したように、シリコンゴム(第1媒質61)と水(第2媒質62)とで構成される第1経路での音響インピーダンスは、人間の軟組織に近似しており、第1経路においては、心音の振動BSを、減衰を抑えた状態で第1振動センサ41まで伝播させることができる。他方、金属(第3媒質63)と水(第4媒質64)とで構成される第2経路での音響インピーダンスは、人間の軟組織に近似しておらず、心音の振動BSを意図的に減衰させて第2振動センサ42まで伝播させることができる。
【0034】
例えば、車両の走行に伴う外部からの振動によって筐体50に生じる揺れは、各振動センサ41,42に等しく入力される。これは、各振動センサ41,42が同一の筐体50に固定されており、筐体50に生じる揺れは筐体50から直接各振動センサ41,42に入力されるためである。便宜上、第1経路を伝播する心音の大きさを「S1」とし、第2経路を伝播する心音の大きさを「S2」とする。第1振動センサ41に伝播される上記外部振動の大きさを「N1」とする。第2振動センサ42に伝播される上記外部振動の大きさを「N2」とする。このとき、振動全体として、第1振動センサ41には「S1+N1」(以下、これを「第1信号」ともいう)が作用し、第2振動センサ42には「S2+N2」(以下、これを「第2信号」ともいう)が作用する。ここで、筐体50には同一の外部振動が作用すると考えられるので、N1=N2である。第1信号から第2信号を引き算することで、N1,N2が消去され、心音として「S1ーS2」が抽出される。
【0035】
すなわち、各センサ部1,2からの信号出力の差を検出する差動検出により、振幅が同じ外部振動のみをキャンセルすることができ、「S1-S2」が得られる。そして、S2は、第2経路を伝播し減衰された信号であり、その振幅はS1に比べてかなり小さく0に近い。よって、「(S1-S2)≒S1」と近似できる。以上により、被測定者HMの心音S1が抽出される。
【0036】
なお、上記の説明では、N1=N2としたが、例えば、第1経路と第2経路とで経路長が異なる場合や、第2媒質62および第4媒質64において水圧による負荷が異なる場合、各振動センサ41,42の個体差が大きい場合等には、N1=N2とはならず、N1=αN2の関係となることがある。この際には、予め導出されたαを用いて、振幅・位相補正部25によりN2を補正した上で差動検出を行う。なお、振幅または位相の補正を行わず、N1=N2に近づける観点からは、各振動センサ41,42の個体差が小さいことが好ましく、各振動センサ41,42は、同一種類、同一型式であって、略同一の周波数や応答特性をもつことが好ましい。なお、振幅と位相とのうち少なくとも一方を補正するのでもよい。
【0037】
A4.効果:
上記第1実施形態の生体信号取得モジュール11によれば、第1振動センサ41に伝播される生体信号の振幅は、第2振動センサ42に伝播される生体信号の振幅とは異なるため、各センサ部1,2からの信号出力の差を検出することが可能となる。そして、第1振動センサ41には、第1経路での減衰量を極力抑えて、心音S1をそのままの振幅で伝播させるようにしている。他方、第2振動センサ42には、第2経路での減衰量を大きくすることで、心音S2をなるべく小さい振幅で伝播させ、ノイズとして外部振動のみが入力されるようになっている。
【0038】
このため、生体信号取得モジュール11が車載され、車両走行時のように外部から受ける振動が生体信号よりも大きい環境下においても、生体信号を検出できる。また、ノイズを除去できるため、精度良く生体信号を検出できる。さらに、被測定者HMの背中HB側に生体信号取得モジュール11が配置される構成であり、被測定者HMを測定器により拘束することなく被測定者HMへの負荷が小さい状態で、心音を検出できる。
【0039】
上記第1実施形態の生体信号取得モジュール11によれば、生体信号は心音であるため、被測定者HMの背中HBから心音を精度良く取得することができる測定器を得ることができる。ひいては、精度良い心拍間隔を抽出できる。
【0040】
上記第1実施形態の生体信号取得モジュール11によれば、第1経路と第2経路とに介在する媒質を異ならせているため、音響インピーダンスを異ならせることができ、第1振動センサ41と第2振動センサ42とに入力する信号の心音の振幅差を容易に発生させることができる。
【0041】
上記第1実施形態の生体信号取得モジュール11によれば、第1振動センサ41および第2振動センサ42は、単一の筐体50内に固定されている。このため、各振動センサ41,42に一様の振動を印加できる。
【0042】
上記第1実施形態の生体信号取得装置100によれば、振幅・位相補正部25を備えるため、各振動センサ41,42で得られるノイズに関わる振動を適切に補正することができ、ノイズ低減量を向上させることができる。
【0043】
B.第2実施形態:
次に、本開示の第2実施形態の生体信号取得モジュール12について、
図5を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、各振動センサ41,42および、各収容室53,54内に設けられる媒質の構成が異なっている。筐体50、第1収容室53、および第2収容室54の形態については上記第1実施形態と同様である。
【0044】
第2実施形態における各振動センサ43,44は、ハイドロフォンではなく空気マイクとしてのMEMS(Micro-Electro-Mechanical System;微小電気機械システム)マイクロフォンである。第1収容室53の内部には、開口部51側から順に、第5媒質65と、第1振動センサ43と、が設けられている。第5媒質65には、空気が用いられている。第1収容室53の信号伝播経路は、1種の媒質からなる。
【0045】
第2収容室54の内部には、開口部51側から順に、第6媒質66と、第7媒質67と、第8媒質68と、第2振動センサ44と、が設けられている。第6媒質66および第8媒質68には、空気が用いられている。第7媒質67には、鉄が用いられている。第1振動センサ43に接する第5媒質65と、第2振動センサ44に接する第8媒質68は共に空気である。すなわち、各振動センサ43,44は共に気体に接しており、各振動センサ43,44が接する媒質の三態を示す状態は同じである。各振動センサ43,44は、上記第1実施形態と同様に、筐体50の内底面55に貼り付け等により固定されている。
【0046】
第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第2実施形態における第2経路では、被測定者HMと第6媒質66との界面、第6媒質66と第7媒質67との界面、および、第6媒質66と第7媒質67との界面において、それぞれ減衰量が発生する。第2経路では、音響インピーダンスの差が大きくなる、気体(第2実施形態では空気)と固体(第2実施形態では鉄)の組み合わせの媒質を用いることにより、生体信号の振幅を大きく減衰することができる。なお、第7媒質67は、鉄以外の固体金属であってもよい。さらに、気体と液体との組合わせにおいても、音響インピーダンスの差が大きく界面での減衰量が大きくなるため、上記第7媒質67を水等の液体により形成してもよい。さらに、振動センサ43,44としてMEMSマイクを用いることで、筐体50の小型化が可能である。
【0047】
C.第3実施形態:
次に、本開示の第3実施形態の生体信号取得モジュール13について、
図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、第2収容室54内に設けられる媒質の構成が異なっている。筐体50、第1収容室53、および第2収容室54の形態については上記第1実施形態と同様である。また、第1収容室53内の媒質の構成についても上記第1実施形態と同様である。
【0048】
第3実施形態の第2収容室54の内部には、開口部51側から順に、媒質積層部69と、第4媒質64と、第2振動センサ42と、が設けられている。媒質積層部69は、開口部51側から順に、金属と、水と、が交互に複数積層されて構成されている。
【0049】
第3実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、生体信号を減衰させる第2経路に媒質積層部69を設けており、音響インピーダンスの異なる複数の材料を交互に積層することで、減衰効果を大きくすることができる。なお、媒質積層部69において、水に代えて空気を用いてもよい。金属と水との間の音響インピーダンス差よりも、金属と空気との間の音響インピーダンス差の方が大きいため、さらに減衰効果を大きくすることができる。
【0050】
D.他の実施形態:
(D1)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13では、単一の筐体50を備えるものとしたが、複数の異なる筐体57,58を備えてもよい。例えば、
図7に示す生体信号取得モジュール14のように、第1筐体57と、第2筐体58と、を備え、第1筐体57の内部空間を上記第1実施形態の第1収容室53内と同様の構成とし、第2筐体58の内部空間を上記第1実施形態の第2収容室54内と同様の構成としてもよい。すなわち、第1センサ部1および第2センサ部2の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0051】
この形態において、外部振動については同様の信号が各筐体57,58へ作用するように、各筐体57,58は、土台部59により連結され一体化される。土台部59は、例えば、座席30の表面31と面一となるように座席30内に埋め込まれる。
図7の例では、土台部59は、座席30の表面31の上下方向に沿って設けられ、各筐体57,58の開口部51寄りの一部位を連結する。
【0052】
この形態によれば、上記第1実施形態のように1つの筐体50に2つの振動センサ41,42を設置するのに対し、個々の筐体57,58を小さくすることができる。また、外部からの振動ノイズは、1つの筐体50に比べ、類似性が劣る懸念はあるが、筐体57,58を独立にすることで心音のアイソレーションを向上させることができる。振動ノイズはコヒーレンスがあれば適応フィルタで低減することが可能である。
【0053】
(D2)上記各実施形態の生体信号取得装置100では、心拍間隔を抽出するものとしたが、心拍間隔を抽出しなくてもよい。例えば、人物の心音波形を予め登録しておいて、被測定者HMから抽出された心音波形と登録された心音波形を比較することにより、座席30に座った人物を特定してもよい。この構成の場合、心拍間隔抽出部27の代わりに、心音波形特定部を有する生体信号取得装置100として構成できる。
【0054】
(D3)上記各実施形態の生体信号取得装置100において、生体信号として、心音でなく、心弾道、脈などを測定してもよい。
【0055】
(D4)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13において、各振動センサ41,42,43,44は、筐体50の内壁の一部を中央に突出させた突出部分へ設置してもよいし、筐体50の内壁からの吊り下げなどの方法により配置してもよい。また、筐体50に固定されて振動が入力可能であればよく、筐体50の外表面に固定されていてもよい。
【0056】
(D5)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13において、第2媒質62は、水には限らず、不凍液やオイルなどの液体、あるいはこれらの少なくともいずれかを任意に組み合わせた混合液であってもよい。また、各媒質の選定については、上記詳述した通りであり、第1経路と第2経路とにおいて、振動振幅が異なって伝播される構成であればよく、媒質の種類は適宜変更可能である。
【0057】
(D6)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13は、車両の座席30の背もたれに配置されており、被測定者HMは、運転席としての座席30に座るドライバであるとしたが、この形態に限られない。例えば、移動体としては、車両ではなく、飛行機や船舶等でもよい。また、生体信号取得モジュール11,12,13を、通常は移動体に配置されない単なる椅子やソファ等の物品の背もたれに配置してもよい。例えば、リビングのソファに生体信号取得モジュールを設ける構成では、ソファが外乱により振動を受けたときにノイズを除去できるので、ソファを利用する者の生体信号を好適に取得できる。
【0058】
(D7)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13では、第1経路と第2経路の長さは同じとしたが、異なっていてもよい。上記各実施形態では、各経路に介在する媒質を異ならせることで、各経路を伝播する信号振幅を異ならせる構成としたが、媒質は同じとし、距離を異ならせることにより、第1経路に設けられる振動センサ41,43と、第2経路に設けられる振動センサ42,44とにおいて、異なる信号振幅が入力するようにしてもよい。
【0059】
(D8)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13では、複数のセンサ部として2つのセンサ部1,2を備える構成としたが、3つ以上の複数のセンサ部を備える構成としてもよい。
【0060】
(D9)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13では、単一の筐体50を備えるものとしたが、筐体50を備えなくてもよい。例えば、単一のシリコンゴム内に複数の振動センサを固定して設け、各振動センサへ伝播される生体信号の振幅が異なるように構成できればよい。
【0061】
(D10)上記各実施形態の生体信号取得モジュール11,12,13では、各振動センサ41,42,43,44が接する媒質は同じであるとしたが、三態を示す状態は同じであって、媒質の種類は異なっていてもよい。例えば、第1実施形態において、第4媒質64はオイルであってもよい。さらに、各振動センサ41,42,43,44が接する媒質は、三態を示す状態が異なっていてもよい。例えば、第1実施形態において、第3媒質63を空気とし、第4媒質64を固体金属としてもよい。
【0062】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…第1センサ部、2…第2センサ部、11,12,13…生体信号取得モジュール、20…制御装置、21…信号処理部、22…出力部、23…帯域フィルタ、24…帯域フィルタ、25…振幅・位相補正部、26…心音波形抽出部、27…心拍間隔抽出部、28…CPU、29…メモリ、30…座席、31…表面、32…背面、41…第1振動センサ、42…第2振動センサ、43…第1振動センサ、44…第2振動センサ、50…筐体、51…開口部、52…仕切り板、53…第1収容室、54…第2収容室、55…内底面、57…第1筐体、58…第2筐体、59…土台部、61…第1媒質、62…第2媒質、63…第3媒質、64…第4媒質、65…第5媒質、66…第6媒質、67…第7媒質、68…第8媒質、69…媒質積層部、100…生体信号取得装置、BS…振動、HB…背中、HF…前面、HH…心臓、HM…被測定者