(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160492
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】多液型容器詰め液状食品
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20241107BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20241107BHJP
A23L 2/385 20060101ALI20241107BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20241107BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241107BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20241107BHJP
A23L 23/00 20160101ALN20241107BHJP
【FI】
A23D9/00 514
A23L33/115
A23L2/385
A23L2/56
A23L2/52 101
A23L2/00 W
A23L23/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075545
(22)【出願日】2023-05-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】井川 幸枝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 周
(72)【発明者】
【氏名】浅野 悠
(72)【発明者】
【氏名】武藤 麻里
【テーマコード(参考)】
4B018
4B026
4B036
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB07
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4B117LL04
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、手軽に美味しく継続的な摂取が容易な容器詰め液状食品を提供することである。
【解決手段】本発明によって、(a)70重量%超の油脂を含む液状組成物、(b)粘度が1~2000mPa・sであり、上記aの液状組成物とは異なる液状組成物、がそれぞれ個包装された多液型液状食品が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)70重量%超の油脂を含む液状組成物と、
(b)粘度が1~2000mPa・sであり、上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と、
がそれぞれ個包装されている容器詰め液状食品。
【請求項2】
前記食品が飲料である、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記食品が希釈して飲用する濃縮飲料である、請求項1または2に記載の食品。
【請求項4】
前記食品が1回使い切りである、請求項1または2に記載の食品。
【請求項5】
前記容器が、(a)と(b)の液状組成物を容器から同時に放出できるものである、請求項1または2に記載の食品。
【請求項6】
前記容器が、(a)と(b)の液状組成物を収容するための、少なくとも2つ以上の液体収容部を備えている、請求項1または2に記載の食品。
【請求項7】
液体収容部の容量がいずれも50mL以下である、請求項6に記載の食品。
【請求項8】
(a)/(b)の液比が0.1~10である、請求項1または2に記載の食品。
【請求項9】
(a)が、ベニバナ油、ヒマワリ油、MCTオイルを含む、請求項1または2に記載の食品。
【請求項10】
(a)が、グリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1または2に記載の食品。
【請求項11】
(a)の粘度が、1~2000mPa・sである、請求項1または2に記載の食品。
【請求項12】
(a)の過酸化物価が10以下である、請求項1または2に記載の食品。
【請求項13】
(b)の液状組成物が、香料および/または果汁を含む、請求項1または2に記載の食品。
【請求項14】
(b)のpHが4以下である、請求項1または2に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多液型の容器詰め液状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の液状組成物がそれぞれ個包装されている容器詰食品として、例えば、ディスペンパックジャパン社の小容量のポーションパックに、ケチャップとマスタードをそれぞれ充填したような商品が市販されている。また、特許文献1~3には、複数の液状組成物がそれぞれ個包装されている容器詰食品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-051733号公報
【特許文献2】国際公開2019/131996
【特許文献3】国際公開2019/131997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に飲食品は水系で用いられることが多く、食品に油脂を高濃度で含有させると、他の食品と混合しにくくなる場合がある。特に容器詰食品においては、迅速かつ手軽に使用できることが重要な商品価値となるところ、高濃度の油脂を含有させることによって商品価値が損なわれてしまう場合がある。
【0005】
このような状況に鑑み、本発明の課題は、高濃度で油脂を含有しながらも、迅速かつ手軽に使用することができる容器詰め液状食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、液状組成物に油脂を高濃度で含有させた場合であっても、特定の粘度に調整した液状組成物とともに使用することによって、優れた容器詰め液状食品を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
[1] (a)70重量%超の油脂を含む液状組成物と、(b)粘度が1~2000mPa・sであり、上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と、がそれぞれ個包装されている容器詰め液状食品。
[2] 前記食品が飲料である、[1]に記載の食品。
[3] 前記食品が希釈して飲用する濃縮飲料である、[1]または2に記載の食品。
[4] 前記食品が1回使い切りである、[1]~[3]のいずれかに記載の食品。
[5] 前記容器が、(a)と(b)の液状組成物を容器から同時に放出できるものである、[1]~[4]のいずれかに記載の食品。
[6] 前記容器が、(a)と(b)の液状組成物を収容するための、少なくとも2つ以上の液体収容部を備えている、[1]~[5]のいずれかに記載の食品。
[7] 液体収容部の容量がいずれも50mL以下である、[6]に記載の食品。
[8] (a)/(b)の液比が0.1~10である、[1]~[7]のいずれかに記載の食品。
[9] (a)が、ベニバナ油、ヒマワリ油、MCTオイルを含む、[1]~[8]のいずれかに記載の食品。
[10] (a)が、グリセリン脂肪酸エステルを含む、[1]~[9]のいずれかに記載の食品。
[11] (a)の粘度が、1~2000mPa・sである、[1]~[10]のいずれかに記載の食品。
[12] (a)の過酸化物価が10以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の食品。
[13] (b)の液状組成物が、香料および/または果汁を含む、[1]~[12]のいずれかに記載の食品。
[14] (b)のpHが4以下である、[1]~[13]のいずれかに記載の食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液状組成物に油脂を高濃度で含有させた場合であっても、特定の粘度に調整した液状組成物とともに使用することによって、優れた容器詰め液状食品とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、複数の液状組成物を含む容器詰め液状食品に関しており、(a)70重量%超の油脂を含む液状組成物と、(b)粘度が1~2000であり、上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と、を含む。
【0010】
本発明における容器詰め液状食品は、複数の液状組成物を備えており、(a)70重量%超の油脂を含む液状組成物が、(b)上記aの液状組成物とは異なる液状組成物と混ざり合わないよう、それぞれ別個の液体収容部に個包装されており、好ましい態様において、個包装された複数の液状組成物が1つのパッケージに収容される。一般に油脂の含有量が高くなると混合しにくくなる場合があるが、本発明のように多液型の容器詰め食品とし、特定の粘度に調整した液状組成物とともに使用することによって、迅速かつ手軽に使用可能な容器詰め食品とすることが容易になる。
【0011】
例えば、本発明のように多液型の容器詰め食品にすることで、水に不安定な成分を油脂を多く含む液状組成物に配合したり、また、液状組成物の基材として油脂を用いれば加熱殺菌を不要とすることができるため、熱による成分劣化や香味変化、水分が存在することによる加水分解などの抑制が可能となる。
【0012】
また、本発明のように多液型の容器詰め食品にすることによって、例えば、特定の成分が他成分と反応し、物性が変化することを防ぐことができる。物性の変化としては、例えば、鉄と果汁中のポリフェノールや、アントシアニンと水酸化物イオンが反応して、物性変化を起こし沈殿が発生することや、カルシウムとペクチンが反応してゲル化することが挙げられる。このように同じ収容部に存在することで物性変化を起こしやすい組み合わせは、それぞれの成分を分けて容器詰めにすることで、それぞれの液状組成物について、成分、物性、香味を安定的に保存することができる。
【0013】
本発明において(a)の液状組成物は、70重量%超の油脂を含み、油脂の含有量は75重量%以上であってもよく、80重量%以上や85重量%以上、90質量%以上としてもよい。
【0014】
本発明において使用する油脂は、食用油脂を制限なく使用することができ、例えば、ベニバナ油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、小麦胚芽油などの植物油脂を好適に使用することでき、加工油脂を使用してもよい。本発明の好ましい態様において、食用油脂はベニバナ油、ヒマワリ油またはMCTオイルを含有する。MCTオイルは中鎖脂肪酸油とも呼ばれ、一般的な油脂と比較してすばやく消化・吸収されるため体内に蓄積されにくい特徴を有する。
【0015】
また、(a)の液状組成物は、油脂の他に、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、賦形剤などを含んでいてよい。増粘、分散、乳化の役割をする添加物として、例えば、ミツロウ、二酸化ケイ素、グリセリン脂肪酸エステルなどを液状組成物に配合してもよい。
【0016】
(a)の液状組成物は油脂を多く含むため、その過酸化物価を10以下にすることが好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましく、4以下や2以下としてもよい。(a)の液状組成物の過酸化物価を低くすることによって油の酸化劣化臭が低減するという利点が得られる。
【0017】
油脂を含む液状組成物は、油脂の他に、乳化剤、増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、賦形剤などを含んでいてよい。基材が油脂でない場合は、糖類などを多く配合することにより、ブリックス値(Bx)を上げて水分活性を下げて、殺菌を不要とすることも可能である。その場合、液状組成物のブリックス値は、例えば、10~50や60~90とすることができる。
【0018】
本発明に係る液状組成物は、成分を安定的に分散させ、さらに、容器から抽出後に食品にかけたり、飲料に混ぜ合わせたりするのに最適な粘度を付与するため、(a)の液状組成物の粘度を1~2000Pa・sに調整する。一方、(b)の液状組成物の粘度は特に制限されず、用途に応じて適宜調整すればよいが、1~2000Pa・sに調整することが好ましい。本発明に係る液状組成物の粘度は21℃においてSV型(音叉振動式)粘度計で測定することができ、例えば、2mPa・s以上とすることができ、3mPa・s以上、4mPa・s以上、5mPa・s以上、6mPa・s以上、10mPa・s以上、1700mPa・s以下、1600mPa・s以下、1500mPa・s以下、1400mPa・s以下、1200mPa・s以下、1000mPa・s以下、800mPa・s以下、500mPa・s以下、400mPa・s以下、300mPa・s以下とすることができる。本発明に係る液状組成物の粘度は、好ましくは4~1700mPa・s、さらに好ましくは5~1600mPa・s、よりさらに好ましくは6~1500mPa・sの範囲である。粘度が低すぎると、用途によっては、容器から抽出後に食品にかけたり、飲料に混ぜ合わせるのに適度なとろみが得られない場合がある。また、粘度が高すぎると、用途によっては満足のいく食感や風味が得られなくなったり、液状組成物が容器の底や壁面に残ってしまい使い切ることが難しくなったりすることがある。また、複数の液状組成物の粘度は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、例えば、一方の液状組成物の粘度を150mPa・s未満として、もう一方の液状組成物の粘度を150mPa・s以上としてもよい。複数の液状組成物の粘度差は、大きすぎると、使用時に液状組成物同士が混合されにくいため、例えば、1400Pa・s未満とすることができ、1200Pa・s未満、1000Pa・s未満、700Pa・s未満、500Pa・s未満、250Pa・s未満、200Pa・s未満、150Pa・s未満、100Pa・s未満、50Pa・s未満、20Pa・s未満とすることができる。
【0019】
液状組成物の粘度は公知の方法で適宜調整すればよいが、界面活性剤などの粘度調整剤や増粘剤を使用することができ、例えば、LMペクチンやHMペクチンなどのペクチン、κ-カラギナン、λ-カラギナン、ι-カラギナンなどのカラギナン、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ローカストビーンガム、マンナン、イヌリン、アラビアガム、アラビノガラクタン、ガティーガム、カラヤガム、グァーガム、サイリウムシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、α化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉などを好適に使用できる。水や牛乳、アルコールなどの液体と混ぜ合わせて飲料を調製する場合は、希釈液の成分を踏まえて液状組成物の粘度や成分を調整することによって最適な粘度を有する飲料を調製すればよい。
【0020】
本発明に係る液状組成物は、食品に香味を付与する成分を含有することができる。好ましい態様において、液状組成物、特に(b)の液状組成物は、例えば、香料や果汁、焙煎植物抽出物などを含有する。香料としては、公知の香料を制限なく使用することができる(例えば、特許庁「周知・慣用技術集(香料)」第II部の食品用香料を参照)。一つ態様において本発明に係る液状組成物、特に(a)の液状組成物は香料や果汁を含まないことにすることができ、油性香料を含まないことにしてもよい。ここで、油性香料とは、フレーバーベースを植物油などで溶解した液体香料であり、例えば、天然の精油などが挙げられる。使用する香料のフレーバーとしては、例えば、下記が挙げられる。
(1)シトラス系: オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ユズフレーバー、スダチフレーバーなど
(2)ベリー類系: ストロベリーフレーバー、ラズベリーフレーバー、ブルーベリーフレーバーなど
(3)トロピカルフルーツ系: マンゴーフレーバー、パパイヤフレーバー、グァバフレーバー、パッションフルーツフレーバー、ライチフレーバーなど
(4)フルーツ系: アップルフレーバー、グレープフレーバー、パイナップルフレーバー、バナナフレーバー、ピーチフレーバー、メロンフレーバー、アンズフレーバー、ウメフレーバー、チェリー(サクランボ)フレーバーなど
(5)茶・コーヒー系: 緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、コーヒーフレーバーなど
(6)乳系: ミルクフレーバー、クリームフレーバー、バターフレーバー、チーズフレーバー、ヨーグルトフレーバーなど
(7)ミート系: ビーフフレーバー、ポークフレーバー、チキンフレーバーなど
(8)ハーブ・スパイス系: アサフェチダフレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー、アンゼリカフレーバー、ウイキョウフレーバー、オールスパイスフレーバー,シナモンフレーバー、カッシャフレーバー、カモミールフレーバー、カラシナフレーバー、カルダモンフレーバー、キャラウェイフレーバー、クミンフレーバー、クローブフレーバー、コショウフレーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレーバー、セイボリーフレーバー、サンショウフレーバー、シソフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジャーフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワサビフレーバー、セージフレーバー、タイムフレーバー、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシフレーバー,ナツメフレーバー、ナツメグフレーバー、バジルフレーバー,パセリフレーバー、マジョラムフレーバー、ローズマリーフレーバー、ローレルフレーバー、ワサビフレーバーなど
(9)ミント系: ペパーミントフレーバー、スペアミントフレーバー、和種ハッカフレーバーなど
(10)ナッツ系: アーモンドフレーバー、カシューナッツフレーバー、ピーナッツフレーバー、ヘーゼルナッツフレーバー、ウォルナッツフレーバー、チェスナッツフレーバー、マカデミアナッツフレーバー、ぺカンナッツフレーバー、ピスタチオフレーバー、ブラジルナッツフレーバー、ココナッツフレーバーなど
(11)洋酒系: ワインフレーバー、ウイスキーフレーバー、ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバー、リキュールフレーバーなど
(12)穀物系: ゴマフレーバー、コーンフレーバー、ポテトフレーバー,スイートポテトフレーバー、米飯フレーバー、ブレッドフレーバーなど
(13)シュガー系: ハネーフレーバー、メープルシロップフレーバー,シュガーフレーバー、黒糖フレーバー、モラセスフレーバーなど
(14)その他: ココアフレーバー、バニラフレーバーなど
果汁としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、などのシトラス系果汁、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリーなどのベリー類系果汁、マンゴー、パパイヤ、グァバ、パッションフルーツ、ライチなどのトロピカルフルーツ系果汁、アップル、グレープ、パイナップル、バナナ、ピーチ、メロン、アンズ、ウメ、チェリー(サクランボ)の果汁などが挙げられる。
【0021】
焙煎植物抽出物とは、原料植物に焙煎処理及び抽出処理を行って得られるものを意味する。焙煎植物(植物の焙煎物)の原料となる植物としては、緑茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶などのカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)に属する茶葉類;ハトムギ、玄米、大麦、ソバなどのイネ科植物、マメ科植物、タデ科植物に属する穀物類;アカネ科コフィア属に属するコーヒー豆類が例示される。1種類の焙煎植物抽出物を含んでいても、複数の焙煎植物抽出物を含んでいてもよい。
【0022】
本発明に係る液状組成物は、甘味料、酸味料、pH調整剤、保存料、着色料など、飲食品に用いられる一般的な原料を含んでいてよい。一つ態様において本発明に係る液状組成物、特に(a)の液状組成物は香辛料抽出物を含まないことにしてもよい。ここで、香辛料抽出物とは、各種香辛料から水蒸気蒸留などを用いて香味・辛味成分を抽出したものであり、例えば、ジンジャー抽出物、シナモン抽出物などが挙げられる。
【0023】
本発明に係る液状組成物のpHは特に限定されないが、(b)の液状組成物については、例えば、1.0~7.0とすることができ、好ましくは2.0~5.0や2.5~4.0とすることができる。pHの調整方法は特に制限されず、例えば、公知の酸味料やpH調整剤を用いることができ、それぞれの液状組成物について、それぞれ最適なpHとすることができる。なお、液状組成物のpHは、21℃においてpHメーターなどを用いて測定することができる。
【0024】
本発明に係る液状組成物の食塩相当濃度は、飲料や食品ソースにおける香味適性という観点から1%未満であることが好ましく、0.01~0.9%や0.1~0.8%としてもよい。
【0025】
本発明に係る容器詰め液状食品は、少なくとも1つの液状組成物に機能性成分を含ませてもよい。本発明において「機能性成分」とは、生体内に吸収されて種々の栄養的又は健康上の利益を提供する成分を意味する。このような機能性成分としては、例えば、特別用途食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)、機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメントなどに有効成分として用いられる成分を挙げることができる。一つの態様において、機能性成分を食品中に配合した場合は、栄養成分表示として、成分名と食品単位当たりの含有量を表示したり、機能性関与成分として、成分名と一日当たりの摂取目安量当たりの含有量を表示したりしてよい。そのため、機能性成分は、果汁などの食品中の成分として含まれていてもよいが、製剤などとして別途配合してもよい。
【0026】
本発明に係る機能性成分は、脂溶性であっても水溶性であってもよく、脂溶性の機能性成分と水溶性の機能性成分を組み合わせて使用することもできる。
【0027】
脂溶性の機能性成分としては、例えば、コエンザイムQ10、クルクミン、トコトリエノール、テストステロン、メントール、脂肪酸、カロテノイド、レスベラトロール、脂溶性ビタミン、セサミン、α-リポ酸、ノコギリヤシエキス、セントジョーンズワート(ヒペリシン)、ロイヤルゼリー(デセン酸)、ヘスペリジン、ノビレチン、ケルセチン、ケンフェロール、ミリシトリン、ダイゼイン、グリシテイン、ゲニステイン、ミリセチン、スチルベン、および、これらの2種以上の組合せなどを挙げることができる。脂肪酸としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸(PUFA)はもちろん、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リノール酸、パルミチン酸などが挙げられる。カロテノイドとしては、例えば、α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、フコキサンチン、キサントフィルなど、脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンKなどが挙げられる。
【0028】
水溶性の機能性成分としては、例えば、アントシアニン、グルコサミン、コラーゲン、水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンCなど)、ミネラル、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、カフェイン、カテキン、カテキン以外のフラボノイド類、ポリフェノール類、および、これらの2種類以上の組み合わせなどを挙げることができる。また、水に不溶性の機能性成分を使用することもでき、例えば、鉄、カルシウム、乳酸菌、ビフィズス菌、および、これらの2種類以上の組み合わせを挙げることができる。
【0029】
機能性成分を含む液状組成物における機能性成分の含有量は特に限定されないが、機能性成分を含む液状組成物全体量に対して、例えば、0.001~100重量%とすることができ、好ましくは0.01~67重量%、より好ましくは0.1~35重量%であり、1~20重量%としてもよい。液状組成物における機能性成分の含有量は、機能性成分の種類によるが、例えば、3重量%以上や5重量%以上、さらには10重量%以上としてもよい。
【0030】
容器詰め液状食品
本発明に係る食品は、多液型の容器詰め液状食品であり、本発明においては、複数の液状組成物が、他の液状組成物と混合しないように個包装(個別包装)できる容器を使用する。本発明においては、複数の液状組成物をそれぞれ個包装できればどのような容器でもよいが、例えば、2つ以上の収容部を備えた容器を使用することが好ましい。収容部は2つ以上あれば特に制限されないが、収容部の数は好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2つである。それぞれの収容部の容量は特に制限されないが、例えば、1~50mlとすることができ、好ましくは1.5~40ml、より好ましくは2~20mlとすることができる。それぞれの収容部の容量は、同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
本発明の容器詰め液状食品は、好ましい態様において1回使い切りであり、食品収容部に充填された2種以上の液状組成物を混合してから食される。容器詰め液状食品を直接食すこともできるが、好ましい態様において、本発明に係る容器詰液状食品は、収容部に充填された2種以上の液状組成物を食品に掛けてから摂取され、この場合、収容部に充填される液状組成物は典型的には食用ソースである。容器詰め液状食品を掛ける食品としては、食品であれば特に制限はないが、例えば、ヨーグルト、アイスクリーム、かき氷、プリン、ゼリー、ホットケーキ、クレープ、餅、クラッカー、チーズ、パン、サラダ、マリネ、パスタ等が挙げられる。
【0032】
別の好ましい態様において、本発明に係る容器詰液状食品は、収容部に充填された2種以上の液状組成物を他の液体と混合して飲用するような濃縮(型)飲料である。濃縮飲料を希釈する希釈液は特に制限されないが、水はもちろん、炭酸水やアルコール(エタノール)水溶液、牛乳などの乳、豆乳などを好適に使用することができる。特に牛乳は、栄養素を豊富に含み、機能性成分由来の異味をまろやかにし、飲みやすくする効果があるため、牛乳で希釈することによって、より美味しく健康的な飲料を提供することができる。本発明に係る容器詰め液状食品を希釈液で希釈する際の希釈倍率は特に限定されないが、2.0~20.0倍希釈が好ましく、3.0~15.0倍希釈がより好ましく、4.0~12.0倍希釈がさらに好ましい。本発明に係る容器詰め液状食品から飲料を調製する場合、アルコール飲料であっても非アルコール飲料であってもよい。
【0033】
本発明においては、希釈液に応じた成分を液状組成物に配合し、液状食品と希釈液を混合した際に飲料の性状を調整することができる。例えば、LMペクチンをカルシウムなどの2価金属イオンとゲルを形成するため、LMペクチンを液状組成物に配合しておけば、牛乳と希釈された際に粘度が高くなり、スムージーのような食感とすることができる。また、HMペクチンは酸や糖の存在によりゲル化するため、HMペクチンを液状組成物に配合しておけば、酸や糖を含む液体を混合して飲料の粘度を変化させることができる。本発明に係る容器詰め液状食品を希釈液で希釈して調製した飲料について、その粘度は特に制限されず、低粘度の飲料としても、スムージーなどの高粘度の飲料としてもよい。飲用する際の飲料の粘度は、例えば、0.5~100mPa・sや1~60mPa・sとしてもよく、飲料の種類に応じて、0.5~10mPa・sや20~60mPa・sとしてもよい。
【0034】
本発明に用いる容器は、複数の液状組成物をそれぞれ個別に包装することができれば、材質や形状などは特に制限されない。容器の材質としては、アルミ缶、スチール缶などの金属製容器、PETボトルなどの樹脂製容器、ガラス瓶、紙容器など、飲料容器に通常用いられる材質のいずれも用いることができる。好ましい態様において、本発明に係る容器は樹脂製であり、例えば、小容量ポーションパック(ディスペンパックジャパン)、2室コスモパック(カナエ)、2室型用時調製包装(ジョイパックブリスタータイプ、カナエ)、隔壁破壊小袋包装袋(コマック)などが挙げられる。本発明に係る容器詰め液状食品は、好ましい態様において、ワンアクションで複数の液状組成物を同時に放出することができる。
【0035】
本発明に係る容器詰め液状食品は、加熱殺菌を要する液状組成物においては、加熱殺菌した後に容器に充填してもよいし、容器に充填した後に加熱殺菌してもよい。また、複数の液状組成物の一部のみを加熱殺菌してもよい。本発明においては、低温などで無菌充填を行う態様としてもよい。加熱殺菌する際の条件は特に制限されないが、例えば食品衛生法に定められた処理を行えばよく、具体的には、60~150℃、好ましくは90~150℃、より好ましくは110~150℃で、1秒間~60分間、好ましくは1秒間~30分間とすることができる。缶飲料の場合にはレトルト殺菌(例えば、適宜加圧しながら121℃で7分間加熱殺菌するなど)、樹脂製容器の場合にはUHT殺菌(例えば、飲料組成物を120~150℃で1秒~数十秒保持するなど)などを行うようにすればよいが、ホットパック、膜殺菌などを必要に応じて使用してもよい。例えば、レトルト殺菌の場合、110~130℃で10~30分程度、好ましくは120~125℃で10~20分間程度、UHT殺菌の場合、120~150℃で1~120秒間程度、好ましくは130~145℃で30~120秒間程度の条件で処理することができる。本発明の容器詰め食品を作る際の殺菌工程は、充填前の意図しない混合やコンタミネーションを防ぐため、それぞれの収容部に充填される液状組成物のそれぞれについて個別に行うことが好ましく、これによって、充填工程までの機能性成分及び香味劣化を極少化することができる。
【0036】
本発明の容器詰め液状食品は、例えば、2種以上の液状組成物を調製する工程、調製した2種以上の液状組成物をそれぞれ別々の収容部に充填する工程、を備えた製造工程によって製造することができる。また、各工程の順序を入れ替えたり、適宜新たな工程を入れたりすることも可能で、例えば、殺菌工程を設けることもできるし、濾過などによって残渣などを取り除く工程を挿入することもできる。
【0037】
本発明に係る容器詰め液状食品に充填される液状組成物は少なくとも2つあり、それぞれの組成は互いに異なるものである。本発明に係る液状組成物とは、食用を目的として調整された液状組成物を指す。液状組成物を調製する際は、例えば、パドルミキサーやホモミキサー、必要であれば高圧ホモミキサーなど、公知の混合装置を自由に用いることができる。
【0038】
以下、具体例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、濃度などは質量(重量)基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【実施例0039】
評価方法
(1)pH
液状組成物のpHを21℃において測定した。
(2)食塩濃度
希酸抽出法で得られたサンプルについて、原子吸光法でナトリウム含量を測定し、所定の係数(2.54)を乗じて食塩濃度を算出した。
(3)過酸化物価
酢酸-クロロホルム法で測定をした。まず、クロロホルムと酢酸の混合液(2:3)に液状組成物を溶解し、窒素置換を行った。次いで、飽和ヨウ化カリウム溶液を添加して室温暗所で反応させた後、さらに水を加えて浸透させ、1%デンプン溶液を指示薬としてチオ硫酸ナトリウム標準液(0.01mol/L)で滴定を行った。
【0040】
製造例1:スムージー(バナナ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、高度不飽和脂肪酸の一種であり、抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されている機能性成分(DHA)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂としてベニバナ油(日清オイリオ、日清一番搾りべに花油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した(食塩濃度:0.1%)。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した(A液の過酸化物価:1.2meq/kg)。なお、21℃におけるB液の粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ約240mPa・sであった。
【0041】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。DHAは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい飲料を手軽に得ることができた。
【0042】
【0043】
製造例2:スムージー(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、高度不飽和脂肪酸の一種であり、抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されている機能性成分(DHAおよびEPA)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂としてヒマワリ油(昭和産業、オレインリッチプレミアムな健康ひまわり油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した(食塩濃度:0.6%)。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。なお、21℃におけるA液の粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ約70mPa・sであった。
【0044】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。DHAやEPAは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい飲料を手軽に得ることができた。
【0045】
【0046】
製造例3:スムージー(ブルーベリー風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、乳酸菌の一種であり、善玉菌として整腸作用などが報告されている機能性成分(ビフィズス菌)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂として小麦胚芽油(サミット製油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(LMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。なお、21℃におけるA液の粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ約90mPa・sであった。
【0047】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。一般にビフィズス菌は熱や酸素に対して不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0048】
【0049】
製造例4:スムージー(ブドウ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、摂取不足になりやすい機能性成分である鉄分(ピロリン酸第二鉄)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂として小麦胚芽油(サミット製油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0050】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージーのような飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。一般にピロリン酸第二鉄は水に溶けにくく、また、果汁中のポリフェノールと沈殿を生じやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0051】
【0052】
製造例5:スムージー(黒ゴマ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、摂取不足になりやすい機能性成分であるカルシウム(塩化カルシウム)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂として小麦胚芽油(サミット製油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した(食塩濃度:0.1%)。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。
【0053】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージーのような飲料を調製した(SV粘度:約7mPa・s)。一般にカルシウムはペクチンなどの増粘剤と反応しやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0054】
【0055】
製造例6:スムージー(ゴマ・きなこ風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、脂溶性の機能性成分(セサミン)を他の原料と混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂としてMCTオイル(日清オイリオ、日清MCTオイル)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した(食塩濃度:0.1%)。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。なお、21℃におけるA液の粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ約100mPa・sであった。
【0056】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封してコップに入れ、そこに牛乳120mLを添加して撹拌し、スムージー様の飲料を調製した(SV粘度:約5mPa・s)。セサミンは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0057】
【0058】
製造例7:食用ソース(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、高度不飽和脂肪酸の一種であり、抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されている機能性成分(DHAおよびEPA)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂としてヒマワリ油(昭和産業、オレインリッチプレミアムな健康ひまわり油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した(食塩濃度:0.6%)。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。なお、21℃における粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ、A液は約70mPa・s、B液は約230mPa・sであった。
【0059】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、ヨーグルト200mLにかけて食用ソースとして使用した。DHAやEPAは脂溶性で酸化されやすいところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0060】
【0061】
製造例8:食用ソース(ブルーベリー風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、乳酸菌の一種であり、善玉菌として整腸作用などが報告されている機能性成分(ビフィズス菌)を他の原料を混ぜ合わせて1Lとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂として小麦胚芽油(サミット製油)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。なお、21℃におけるA液の粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ約90mPa・sであった。
【0062】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、ホットケーキにかけて食用ソースとして使用した。一般にビフィズス菌は熱や酸素に対して不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0063】
【0064】
製造例9:食用ソース(いちご風味)
下表に示す配合でA液とB液を調製した。A液は、脂溶性の機能性成分(ビタミンD)を他の原料と混ぜ合わせて1kgとなるように調整した。A液の基材となる食用油脂としてオレオゲル(ADEKA、ボックスオイルsp)を使用した。B液は、まず水に砂糖と増粘剤(HMペクチン)を加えて80℃で10分間加熱攪拌してから、残りの原料を加え、1Lとなるように調整した(食塩濃度:0.6%)。A液は殺菌をせず、B液は93℃30秒で殺菌をした上で、A液3mLとB液10mLを、2つの液体収容部を備えた樹脂製容器(各液体収容部の開口部間は1cm)に窒素置換をした上で充填して密封し、1回使い切りの容器詰め液状食品を製造した。なお、21℃における粘度をSV型粘度計を用いて測定したところ、A液は約1570mPa・s、B液は約230mPa・sであった。
【0065】
製造した容器詰め食品をワンアクションで開封して、ホットケーキにかけて食用ソースとして使用した。一般にビタミンDは熱や酸素に対して不安定であるところ、本発明のように2液型の容器詰め食品とすることによって、美味しい食品を手軽に得ることができた。
【0066】