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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160497
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】液滴分注装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075561
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】福井 聡
(72)【発明者】
【氏名】酒井 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】梶原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 穣
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058ED16
2G058GB10
(57)【要約】
【課題】透明液滴の吐出位置を精度良く調整できる液滴分注装置を提供する。
【解決手段】液滴分注装置2は、調整用プレート12と、調整用プレート12の上面に配置され、表面に付着した透明液滴の位置を検出する第1のセンサ26と、ウェルプレート10又は調整用プレート12が載置されるトレイ18と、透明液滴を吐出するヘッド部48と、ウェルプレート10がトレイ18に載置された状態で、ウェルプレート10に向けてヘッド部48から透明液滴を吐出する第1のモード、及び、調整用プレート12がトレイ18に載置された状態で、第1のセンサ26に向けてヘッド部48から透明液滴を吐出する第2のモードの一方から他方に切り替えるCPU66とを備える。CPU66は、第2のモードにおいて第1のセンサ26により検出された透明液滴の位置に基づいて、第1のモードにおいてヘッド部48から透明液滴が吐出されるウェルプレート10上の位置を調整する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にウェルが形成されたウェルプレートに透明液滴を分注するための液滴分注装置であって、
調整用プレートと、
前記調整用プレートの上面に配置され、表面に付着した前記透明液滴の位置を検出するセンサと、
前記ウェルプレート及び前記調整用プレートの一方が着脱可能に載置される載置部と、
前記透明液滴を吐出する吐出部と、
前記載置部及び前記吐出部を互いに相対的に移動させる駆動部と、
前記吐出部及び前記駆動部を制御する制御部であって、前記吐出部及び前記駆動部の動作モードを、(i)前記ウェルプレートが前記載置部に載置された状態で、前記ウェルプレートの前記ウェルに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出する第1のモード、(ii)前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記センサに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出する第2のモードの一方から他方に切り替える制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記センサにより検出された前記透明液滴の位置に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整する
液滴分注装置。
【請求項2】
前記調整用プレートは、前記センサと電気的に接続された第1の端子を有し、
前記載置部は、前記制御部と電気的に接続された第2の端子を有し、
前記第2のモードにおいて前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記第1の端子と前記第2の端子とが電気的に接続されることにより、前記センサからの検出信号が前記第1の端子及び前記第2の端子を介して前記制御部に出力される
請求項1に記載の液滴分注装置。
【請求項3】
前記液滴分注装置は、さらに、前記調整用プレートに配置され且つ前記第1の端子と電気的に接続された記憶部であって、前記センサに関するセンサ情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第1の端子及び前記第2の端子を介して前記記憶部から前記センサ情報を読み出し、前記センサにより検出された前記透明液滴の位置及び前記センサ情報に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整する
請求項2に記載の液滴分注装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記センサにおける基準位置を目標位置として前記透明液滴を吐出するように前記吐出部及び前記駆動部を制御し、
前記センサの前記基準位置と、前記センサにより検出された前記透明液滴の位置とのずれ量に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整する
請求項1~3のいずれか1項に記載の液滴分注装置。
【請求項5】
前記吐出部は、第1の方向に沿って間隔を置いて配置された複数のノズルであって、第1のノズル及び第2のノズルを含む複数のノズルを有し、
前記制御部は、
前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記第1のノズル及び前記第2のノズルの各々から前記センサに向けて前記透明液滴を吐出するように前記吐出部及び前記駆動部を制御し、
(a)前記センサにおける第1の基準位置と、前記センサにより検出された前記第1のノズルからの前記透明液滴の位置との、前記第1の方向と交差する第2の方向におけるずれ量、及び、(b)前記センサにおける第2の基準位置と、前記センサにより検出された前記第2のノズルからの前記透明液滴の位置との、前記第2の方向におけるずれ量に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整する
請求項1~3のいずれか1項に記載の液滴分注装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記吐出部に対して前記載置部を第1の方向に移動させ、
前記センサは、前記調整用プレートの前記上面において前記第1の方向に沿って間隔を置いて配置された第1のセンサ及び第2のセンサを含み、
前記制御部は、
前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記吐出部に対して前記載置部を前記第1の方向に移動させながら、前記吐出部から前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの各々に向けて前記透明液滴を吐出するように前記吐出部及び前記駆動部を制御し、
(a)前記第1のセンサにおける第1の基準位置と、前記第1のセンサにより検出された前記透明液滴の位置との、前記第1の方向と交差する第2の方向におけるずれ量、及び、(b)前記第2のセンサにおける第2の基準位置と、前記第2のセンサにより検出された前記透明液滴の位置との、前記第2の方向におけるずれ量に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整する
請求項1~3のいずれか1項に記載の液滴分注装置。
【請求項7】
前記吐出部は、複数のノズルを有し、
前記制御部は、
前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記複数のノズルの各々からそれぞれ1つのノズル毎に前記センサにおける異なる複数の位置に向けて前記透明液滴を吐出するように、前記吐出部及び前記駆動部を制御し、
前記センサにより前記複数のノズルのうち特定のノズルからの前記透明液滴の位置が検出されない場合に、前記特定のノズルの詰まりが発生したと判定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の液滴分注装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記センサにより前記特定のノズルからの前記透明液滴の位置が検出されない場合において、前記特定のノズルから再度前記透明液滴を吐出するように前記吐出部を制御し、その結果前記センサにより前記特定のノズルからの前記透明液滴の位置が再度検出されない場合に、前記特定のノズルの詰まりが発生したと判定する
請求項7に記載の液滴分注装置。
【請求項9】
上面にウェルが形成されたウェルプレートに透明液滴を分注するための液滴分注装置の制御方法であって、
前記液滴分注装置は、
調整用プレートと、
前記調整用プレートの上面に配置され、表面に付着した前記透明液滴の位置を検出するセンサと、
前記ウェルプレート及び前記調整用プレートの一方が着脱可能に載置される載置部と、
前記透明液滴を吐出する吐出部と、
前記載置部及び前記吐出部を互いに相対的に移動させる駆動部と、を備え、
前記制御方法は、
前記吐出部及び前記駆動部の動作モードが第1のモードに切り替えられた際に、前記ウェルプレートが前記載置部に載置された状態で、前記ウェルプレートの前記ウェルに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出させるステップと、
前記吐出部及び前記駆動部の動作モードが第2のモードに切り替えられた際に、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記センサに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出させるステップと、
前記第2のモードにおいて前記センサにより検出された前記透明液滴の位置に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整するステップと、を含む
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェルプレートに透明液滴を分注する液滴分注装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェルプレートに試料又は検体等の無色透明の透明液滴を分注する液滴分注装置が知られている。この液滴分注装置では、ウェルプレートの上面に形成された複数のウェルの各々に向けて、インクジェットヘッドから所定量の透明液滴が吐出される。
【0003】
また、ノズルヘッドから吐出された有色不透明のインクにより対象物に印刷を施すインクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタでは、ノズルヘッドから吐出された有色のインクにより対象物にアライメントマークを印刷し、このアライメントマークをカメラで撮像することにより、ノズルヘッドとカメラとの相対位置を算出し、ノズルヘッドからのインクの吐出位置を調整(キャリブレーション)する技術が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-122304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の液滴分注装置において、特許文献1に開示された技術を適用した場合、透明液滴で印刷されたアライメントマークをカメラで認識することが難しいため、透明液滴の吐出位置を精度良く調整することができないという課題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、透明液滴の吐出位置を精度良く調整することができる液滴分注装置及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る液滴分注装置は、上面にウェルが形成されたウェルプレートに透明液滴を分注するための液滴分注装置であって、調整用プレートと、前記調整用プレートの上面に配置され、表面に付着した前記透明液滴の位置を検出するセンサと、前記ウェルプレート及び前記調整用プレートの一方が着脱可能に載置される載置部と、前記透明液滴を吐出する吐出部と、前記載置部及び前記吐出部を互いに相対的に移動させる駆動部と、前記吐出部及び前記駆動部を制御する制御部であって、前記吐出部及び前記駆動部の動作モードを、(i)前記ウェルプレートが前記載置部に載置された状態で、前記ウェルプレートの前記ウェルに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出する第1のモード、(ii)前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記センサに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出する第2のモードの一方から他方に切り替える制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記センサにより検出された前記透明液滴の位置に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整する。
【0008】
本態様によれば、制御部は、第2のモードにおいてセンサにより検出された透明液滴の位置に基づいて、第1のモードにおいて吐出部から透明液滴が吐出されるウェルプレート上の位置を調整する。これにより、透明液滴が無色透明である場合であっても、第1のモードにおける透明液滴の吐出位置を精度良く調整することができる。
【0009】
例えば、本発明の第2の態様に係る液滴分注装置では、第1の態様において、前記調整用プレートは、前記センサと電気的に接続された第1の端子を有し、前記載置部は、前記制御部と電気的に接続された第2の端子を有し、前記第2のモードにおいて前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記第1の端子と前記第2の端子とが電気的に接続されることにより、前記センサからの検出信号が前記第1の端子及び前記第2の端子を介して前記制御部に出力されるように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、センサと制御部との電気的接続を容易に行うことができる。
【0011】
例えば、本発明の第3の態様に係る液滴分注装置では、第2の態様において、前記液滴分注装置は、さらに、前記調整用プレートに配置され且つ前記第1の端子と電気的に接続された記憶部であって、前記センサに関するセンサ情報を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第1の端子及び前記第2の端子を介して前記記憶部から前記センサ情報を読み出し、前記センサにより検出された前記透明液滴の位置及び前記センサ情報に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整するように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、制御部は、調整用プレートに配置された記憶部からセンサ情報を容易に取得することができる。
【0013】
例えば、本発明の第4の態様に係る液滴分注装置では、第1の態様~第3の態様のいずれか一態様において、前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記センサにおける基準位置を目標位置として前記透明液滴を吐出するように前記吐出部及び前記駆動部を制御し、前記センサの前記基準位置と、前記センサにより検出された前記透明液滴の位置とのずれ量に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、第1のモードにおける吐出部からの透明液滴の吐出位置のずれ量を容易に補正することができる。
【0015】
例えば、本発明の第5の態様に係る液滴分注装置では、第1の態様~第4の態様のいずれか一態様において、前記吐出部は、第1の方向に沿って間隔を置いて配置された複数のノズルであって、第1のノズル及び第2のノズルを含む複数のノズルを有し、前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記第1のノズル及び前記第2のノズルの各々から前記センサに向けて前記透明液滴を吐出するように前記吐出部及び前記駆動部を制御し、(a)前記センサにおける第1の基準位置と、前記センサにより検出された前記第1のノズルからの前記透明液滴の位置との、前記第1の方向と交差する第2の方向におけるずれ量、及び、(b)前記センサにおける第2の基準位置と、前記センサにより検出された前記第2のノズルからの前記透明液滴の位置との、前記第2の方向におけるずれ量に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整するように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、吐出部の取り付け位置の誤差に起因する、第1のモードにおける吐出部からの透明液滴の吐出位置のずれ量を容易に補正することができる。
【0017】
例えば、本発明の第6の態様に係る液滴分注装置では、第1の態様~第5の態様のいずれか一態様において、前記駆動部は、前記吐出部に対して前記載置部を第1の方向に移動させ、前記センサは、前記調整用プレートの前記上面において前記第1の方向に沿って間隔を置いて配置された第1のセンサ及び第2のセンサを含み、前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記吐出部に対して前記載置部を前記第1の方向に移動させながら、前記吐出部から前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの各々に向けて前記透明液滴を吐出するように前記吐出部及び前記駆動部を制御し、(a)前記第1のセンサにおける第1の基準位置と、前記第1のセンサにより検出された前記透明液滴の位置との、前記第1の方向と交差する第2の方向におけるずれ量、及び、(b)前記第2のセンサにおける第2の基準位置と、前記第2のセンサにより検出された前記透明液滴の位置との、前記第2の方向におけるずれ量に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整するように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、載置部の移動方向の歪みに起因する、第1のモードにおける吐出部からの透明液滴の吐出位置のずれ量を容易に補正することができる。
【0019】
例えば、本発明の第7の態様に係る液滴分注装置では、第1の態様~第6の態様のいずれか一態様において、前記吐出部は、複数のノズルを有し、前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記複数のノズルの各々からそれぞれ1つのノズル毎に前記センサにおける異なる複数の位置に向けて前記透明液滴を吐出するように、前記吐出部及び前記駆動部を制御し、前記センサにより前記複数のノズルのうち特定のノズルからの前記透明液滴の位置が検出されない場合に、前記特定のノズルの詰まりが発生したと判定するように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、特定のノズルの詰まりの発生を容易に判定することができる。
【0021】
例えば、本発明の第8の態様に係る液滴分注装置では、第7の態様において、前記制御部は、前記センサにより前記特定のノズルからの前記透明液滴の位置が検出されない場合において、前記特定のノズルから再度前記透明液滴を吐出するように前記吐出部を制御し、その結果前記センサにより前記特定のノズルからの前記透明液滴の位置が再度検出されない場合に、前記特定のノズルの詰まりが発生したと判定するように構成してもよい。
【0022】
本態様によれば、特定のノズルの詰まりの発生をより精度良く判定することができる。
【0023】
また、本発明の第9の態様に係る制御方法は、上面にウェルが形成されたウェルプレートに透明液滴を分注するための液滴分注装置の制御方法であって、前記液滴分注装置は、調整用プレートと、前記調整用プレートの上面に配置され、表面に付着した前記透明液滴の位置を検出するセンサと、前記ウェルプレート及び前記調整用プレートの一方が着脱可能に載置される載置部と、前記透明液滴を吐出する吐出部と、前記載置部及び前記吐出部を互いに相対的に移動させる駆動部と、を備え、前記制御方法は、前記吐出部及び前記駆動部の動作モードが第1のモードに切り替えられた際に、前記ウェルプレートが前記載置部に載置された状態で、前記ウェルプレートの前記ウェルに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出させるステップと、前記吐出部及び前記駆動部の動作モードが第2のモードに切り替えられた際に、前記調整用プレートが前記載置部に載置された状態で、前記センサに向けて前記吐出部から前記透明液滴を吐出させるステップと、前記第2のモードにおいて前記センサにより検出された前記透明液滴の位置に基づいて、前記第1のモードにおいて前記吐出部から前記透明液滴が吐出される前記ウェルプレート上の位置を調整するステップと、を含む。
【0024】
本態様によれば、第2のモードにおいてセンサにより検出された透明液滴の位置に基づいて、第1のモードにおいて吐出部から透明液滴が吐出されるウェルプレート上の位置を調整する。これにより、透明液滴が無色透明である場合であっても、第1のモードにおける透明液滴の吐出位置を精度良く調整することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係る液滴分注装置によれば、透明液滴の吐出位置を精度良く調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態に係る液滴分注装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る液滴分注装置の内部構造を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係る液滴分注装置の調整用プレートを示す斜視図である。
図4図3のIV-IV線による、実施の形態に係る調整用プレートの要部断面図である。
図5】実施の形態に係る液滴分注装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態に係る液滴分注装置における第2のモードの全体動作の流れを示すフローチャートである。
図7図6のフローチャートのステップS101の内容を具体的に示すフローチャートである。
図8図6のフローチャートのステップS101の内容を説明するための図である。
図9図6のフローチャートのステップS102の内容を具体的に示すフローチャートである。
図10図6のフローチャートのステップS102の内容を説明するための図である。
図11図6のフローチャートのステップS103の内容を具体的に示すフローチャートである。
図12図6のフローチャートのステップS103の内容を説明するための図である。
図13】実施の形態に係る液滴分注装置におけるノズルの詰まりの判定動作の流れを示すフローチャートである。
図14】実施の形態に係る液滴分注装置におけるノズルの詰まりの判定動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0028】
(実施の形態)
[1.液滴分注装置の全体構成]
まず、図1図4を参照しながら、実施の形態に係る液滴分注装置2の全体構成について説明する。図1は、実施の形態に係る液滴分注装置2の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る液滴分注装置2の内部構造を示す斜視図である。図3は、実施の形態に係る液滴分注装置2の調整用プレート12を示す斜視図である。図4は、図3のIV-IV線による、実施の形態に係る調整用プレート12の要部断面図である。
【0029】
なお、図1図4において、液滴分注装置2の左右方向をX軸方向、液滴分注装置2の前後方向をY軸方向、液滴分注装置2の上下方向をZ軸方向として説明する。また、X軸方向のプラス側を「右」、X軸方向のマイナス側を「左」Y軸方向のプラス側を「後」、Y軸方向のマイナス側を「前」、Z軸方向のプラス側を「上」、Z軸方向のマイナス側を「下」として説明する。
【0030】
図1及び図2に示すように、液滴分注装置2は、筐体4と、トレイユニット6と、吐出ユニット8と、ウェルプレート10と、調整用プレート12とを備えている。本実施の形態では、液滴分注装置2は、透明液滴をウェルプレート10に分注するための装置である。透明液滴は、例えば医療分野や理化学分野における試験等で用いられる、無色透明の液体試薬又は液体試料等である。なお、本明細書において、「透明」とは、透過率100%未満で且つ比較的高い透過率(例えば、透過率80~90%程度)を示す透明度を含む概念である。
【0031】
図1に示すように、筐体4は、中空状の箱形に形成されている。筐体4の前面には、ウェルプレート10及び調整用プレート12を出し入れするための開口部14が形成されている。また、図2に示すように、筐体4の内部には、液滴分注装置2の各部品を支持するためのベースプレート16が配置されている。
【0032】
トレイユニット6は、トレイ18(載置部の一例)と、トレイモータ20(後述する図5参照)(駆動部の一例)とを有している。なお、説明の都合上、図2では、トレイモータ20の図示を省略してある。
【0033】
トレイ18は、ウェルプレート10及び調整用プレート12の一方を着脱可能に載置するためのものである。すなわち、トレイ18の上面には、ウェルプレート10及び調整用プレート12のいずれかが択一的に着脱可能に載置される。トレイ18は、筐体4の内部に配置されたガイドプレート22に、前後方向(Y軸方向)に移動可能に支持されている。これにより、トレイ18は、ガイドプレート22に沿って前後方向(第1の方向の一例)に、筐体4の内部に収納される収納位置(図1に示すトレイ18の位置)と、少なくとも一部が筐体4の開口部14を通して手前側(Y軸方向のマイナス側)に引き出される引き出し位置(図2に示すトレイ18の位置)との間を移動可能である。また、トレイ18の内側面には、接続端子23(第2の端子の一例)が配置されている。
【0034】
トレイモータ20は、例えばサーボモータで構成され、筐体4の内部のベースプレート16に支持されている。トレイモータ20は、ヘッド部48(後述する)に対して、トレイ18を前後方向に相対的に移動させる。具体的には、トレイモータ20の駆動力がラック・ピニオン機構(図示せず)を介してトレイ18に伝達されることにより、トレイ18が収納位置と引き出し位置との間を移動する。トレイ18が引き出し位置にある状態で、ウェルプレート10及び調整用プレート12の一方をトレイ18に対して着脱することができる。
【0035】
ウェルプレート10は、例えばXY平面視で略矩形状の平板状に形成されており、トレイ18の上面に着脱可能に載置される。図2に示すように、ウェルプレート10の上面には、複数のウェル24が行列状に配置されている。複数のウェル24の各々は、ヘッド部48から吐出された透明液滴を溜めるための凹部である。トレイ18が収納位置にある状態で、ウェルプレート10の複数のウェル24は、ヘッド部48の下方に配置される。
【0036】
調整用プレート12は、例えばXY平面視で略矩形状の平板状に形成されており、トレイ18の上面に着脱可能に載置される。図3に示すように、調整用プレート12の上面における四隅にはそれぞれ、第1のセンサ26(センサの一例)、第2のセンサ28(センサの一例)、第3のセンサ30(センサの一例)及び第4のセンサ32(センサの一例)が配置されている。第1のセンサ26及び第2のセンサ28は、調整用プレート12の右側端部において前後方向に間隔を置いて配置され、第3のセンサ30及び第4のセンサ32は、調整用プレート12の左側端部において前後方向に間隔を置いて配置されている。第1のセンサ26及び第3のセンサ30は、調整用プレート12の前側端部において左右方向(X軸方向)に間隔を置いて配置され、第2のセンサ28及び第4のセンサ32は、調整用プレート12の後側端部において左右方向に間隔を置いて配置されている。
【0037】
また、調整用プレート12の側面には、第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々と電気的に接続された接続端子34(第1の端子の一例)が配置されている。調整用プレート12がトレイ18の上面に載置された状態では、トレイ18の接続端子23と調整用プレート12の接続端子34とが電気的に接続される。
【0038】
第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々は、その表面(後述する透光パネル36の表面36a)に付着した透明液滴の位置を検出するための光学式センサであり、検出した透明液滴の位置を示す検出信号を出力する。第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々は同一の構成を有しているので、以下、第1のセンサ26の構成についてのみ説明する。
【0039】
図4に示すように、第1のセンサ26は、透光パネル36と、光源38と、対物レンズ40と、撮像素子42とを有している。透光パネル36は、XY平面視で略矩形状の透光性を有するパネルであり、調整用プレート12の上面に露出されている。光源38は、例えばLED(Light Emitting Diode)等で構成され、調整用プレート12の内部に配置されている。光源38からの光は、透光パネル36の裏面36b(ヘッド部48から遠い側の面)に入射して透光パネル36を透過し、透光パネル36の表面36a(ヘッド部48に近い側の面)で反射した後に透光パネル36を再度透過し、透光パネル36の裏面36bから出射する。対物レンズ40は、調整用プレート12の内部に配置され、透光パネル36の裏面36bから出射した光を集光する。撮像素子42は、調整用プレート12の内部に配置され、対物レンズ40により集光された光を撮像する。
【0040】
ヘッド部48から吐出された透明液滴が透光パネル36の表面36aの一部に付着した場合、光源38からの光の一部は、図4において矢印44で示すように、透光パネル36の表面36aのうち透明液滴が付着された領域(以下、「付着領域」という)で乱反射する。付着領域で乱反射した光の強度は、比較的弱くなる。一方、光源38からの光の他の一部は、図4において矢印46で示すように、透光パネル36の表面36aのうち透明液滴が付着されていない領域(以下、「非付着領域」という)で全反射する。非付着領域で全反射した光の強度は、比較的強くなる。したがって、撮像素子42で撮像した光の強度分布を解析することにより、透光パネル36の表面36aに付着した透明液滴の位置(すなわち、透光パネル36の表面36aにおけるXY平面座標)を検出することができる。なお、説明の都合上、図4では、透明液滴の大きさを誇張して図示してある。
【0041】
吐出ユニット8は、透明液滴を吐出するためのユニットであり、筐体4の内部に配置されている。吐出ユニット8による透明液滴の吐出方式は、ミスト状の透明液滴を吐出する、いわゆるインクジェット方式である。図2に示すように、吐出ユニット8は、ヘッド部48(吐出部の一例)と、ヘッド部48を駆動するための駆動機構50とを有している。
【0042】
ヘッド部48は、キャリッジ52と、キャリッジ52に着脱可能に取り付けられたカートリッジ54とを有している。カートリッジ54の内部には、透明液滴が充填されている。後述する図8の(b)に示すように、カートリッジ54の下面には、微細な複数のノズル56が配置されている。複数のノズル56は、カートリッジ54の前後方向(第1の方向の一例)に沿って間隔を置いて配置されている。カートリッジ54がキャリッジ52に取り付けられた状態では、複数のノズル56は、キャリッジ52の下端部から露出される。ヘッド部48は、カートリッジ54の複数のノズル56から供給された透明液滴を、収納位置にあるトレイ18に載置されたウェルプレート10又は調整用プレート12に向けて下方に吐出する。なお、説明の都合上、図8の(b)では、ノズル56の大きさを誇張して図示してある。
【0043】
駆動機構50は、ヘッド部48を所定の走査方向(X軸方向)に往復移動させるための機構である。図2に示すように、駆動機構50は、ガイドシャフト58と、キャリアモータ60(駆動部の一例)と、タイミングベルト62とを有している。
【0044】
ガイドシャフト58は、筐体4の内部のベースプレート16に支持されており、所定の走査方向に沿って長尺状に延びている。ガイドシャフト58には、ヘッド部48のキャリッジ52が移動可能に支持されている。キャリアモータ60は、例えばサーボモータで構成され、筐体4の内部のベースプレート16に支持されている。キャリアモータ60の駆動力は、タイミングベルト62を介してヘッド部48に伝達される。これにより、ヘッド部48は、収納位置にあるトレイ18に載置されたウェルプレート10又は調整用プレート12に対して、ガイドシャフト58に沿って所定の走査方向に往復移動する。すなわち、キャリアモータ60は、トレイ18に対して、ヘッド部48を左右方向に相対的に移動させる。
【0045】
液滴分注装置2の動作モード(すなわち、トレイモータ20、ヘッド部48及びキャリアモータ60の動作モード)は、第1のモード及び第2のモードの一方から他方に切り替えられる。
【0046】
第1のモードは、ウェルプレート10に透明液滴を分注する動作モードである。第1のモードでは、ウェルプレート10がトレイ18の上面に載置された状態で、トレイ18が収納位置から引き出し位置に向けて移動しながら、ヘッド部48が所定の走査方向に往復移動して、ヘッド部48からウェルプレート10に向けて透明液滴が吐出される。これにより、ウェルプレート10の複数のウェル24の各々に透明液滴が所定量ずつ溜められる。
【0047】
一方、第2のモードは、調整用プレート12を用いて、第1のモードにおいてヘッド部48から透明液滴が吐出されるウェルプレート10上の位置を調整する動作モードである。第2のモードでは、調整用プレート12がトレイ18の上面に載置された状態で、ヘッド部48から調整用プレート12に向けて透明液滴が吐出される。ウェルプレート10に透明液滴を分注する際には、まず第2のモードが実行され、その後に第1のモードが実行される。第2のモードの動作については後述する。
【0048】
[2.液滴分注装置の機能構成]
次に、図5を参照しながら、実施の形態に係る液滴分注装置2の機能構成について説明する。図5は、実施の形態に係る液滴分注装置2の機能構成を示すブロック図である。
【0049】
図5に示すように、液滴分注装置2の調整用プレート12は、機能構成として、第1のセンサ26と、第2のセンサ28と、第3のセンサ30と、第4のセンサ32と、接続端子34と、記憶部64とを備えている。
【0050】
第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々は、検出信号を、接続端子34及び接続端子23を介してCPU66(後述する)に出力する。
【0051】
記憶部64は、第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々(以下、「各センサ」ともいう)に関するセンサ情報を記憶する不揮発性メモリである。センサ情報は、例えば、(a)各センサのサイズ、(b)各センサの調整用プレート12における位置、(c)各センサの感度等を示す情報である。記憶部64は、接続端子34に電気的に接続されている。
【0052】
液滴分注装置2の筐体4は、機能構成として、接続端子23と、CPU(Central Processing Unit)66(制御部の一例)と、記憶部68と、トレイモータ制御部70と、トレイモータ20と、吐出制御部72と、ヘッド部48と、キャリアモータ制御部74と、キャリアモータ60と、通信部76とを備えている。
【0053】
接続端子34は、CPU66と電気的に接続されている。
【0054】
CPU66は、トレイモータ制御部70、吐出制御部72及びキャリアモータ制御部74を制御することにより、液滴分注装置2の動作モードを制御する。具体的には、CPU66は、液滴分注装置2の動作モードを、第1のモード及び第2のモードの一方から他方に切り替える。CPU66は、液滴分注装置2の動作モードを第2のモードに切り替えた際に、調整用プレート12の記憶部64に記憶されたセンサ情報を、接続端子34及び接続端子23を介して読み出す。また、CPU66は、トレイモータ制御部70、吐出制御部72及びキャリアモータ制御部74を制御することにより、第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の少なくとも一つからの検出信号に基づいて、ノズル56の詰まりの有無を判定する。ノズル56の詰まりの判定動作については後述する。なお、CPU66がメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、CPU66の各種機能が実行される。
【0055】
記憶部68は、CPU66により読み出されたセンサ情報等を記憶する不揮発性メモリである。
【0056】
トレイモータ制御部70は、CPU66からの制御信号に基づいて、トレイモータ20を駆動させる。
【0057】
吐出制御部72は、CPU66からの制御信号に基づいて、ヘッド部48を駆動させる。
【0058】
キャリアモータ制御部74は、CPU66からの制御信号に基づいて、キャリアモータ60を駆動させる。
【0059】
通信部76は、液滴分注装置2の外部の端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)との間で、有線又は無線で各種情報を送受信する。
【0060】
[3.第2のモードの動作]
[3-1.第2のモードの全体動作]
図6を参照しながら、第2のモードの全体動作について説明する。図6は、実施の形態に係る液滴分注装置2における第2のモードの全体動作の流れを示すフローチャートである。
【0061】
図6に示すように、液滴分注装置2のCPU66は、まず、カートリッジ取り付け位置補正を実行する(S101)。カートリッジ取り付け位置補正では、カートリッジ54のキャリッジ52に対する取り付け位置の誤差に起因する、第1のモードにおけるヘッド部48からの透明液滴の吐出位置のずれ量を補正(キャリブレーション)する。
【0062】
次いで、CPU66は、スキュー補正を実行する(S102)。スキュー補正では、トレイ18の移動方向の歪み(スキュー)に起因する、第1のモードにおけるヘッド部48からの透明液滴の吐出位置のずれ量を補正する。
【0063】
次いで、CPU66は、吐出位置補正を実行する(S103)。吐出位置補正では、上記以外の他の要因(例えば、トレイ18の原点位置の誤差等)に起因する、第1のモードにおけるヘッド部48からの透明液滴の吐出位置のずれ量を補正する。その後、図6のフローチャートの処理を終了する。
【0064】
[3-2.カートリッジ取り付け位置補正]
次に、図7及び図8を参照しながら、図6のフローチャートのステップS101、すなわちカートリッジ取り付け位置補正について具体的に説明する。図7は、図6のフローチャートのステップS101の内容を具体的に示すフローチャートである。図8は、図6のフローチャートのステップS101の内容を説明するための図である。
【0065】
図7に示すように、カートリッジ取り付け位置補正では、CPU66は、まず、トレイモータ制御部70及びキャリアモータ制御部74を制御することにより、ヘッド部48を第1のセンサ26の直上に移動させた後に、吐出制御部72を制御することにより、カートリッジ54の複数のノズル56のうち、第1のノズル56a及び第2のノズル56bの各々から第1のセンサ26に向けて透明液滴を吐出させる(S1011)。この時、CPU66は、第1のノズル56a及び第2のノズル56bの各々から、第1のセンサ26上の基準線78を目標位置として透明液滴を吐出させる。なお、図8の(a)に示すように、基準線78は、第1のセンサ26の中心を通り、且つ、前後方向に平行な直線である。
【0066】
図8の(b)に示すように、第1のノズル56aは、前後方向における最も後端に配置されたノズルであり、第2のノズル56bは、前後方向における最も前端に配置されたノズルである。この時、カートリッジ54のキャリッジ52に対する取り付け位置に誤差がある場合(すなわち、複数のノズル56の配列方向が前後方向に対して僅かに傾いている場合)には、図8の(a)に示すように、第1のノズル56aからの透明液滴の吐出位置と第2のノズル56bからの透明液滴の吐出位置との間に、左右方向(第2の方向の一例)におけるずれ量が生じる。なお、説明の都合上、図8の(a)では、透明液滴の大きさを誇張して図示してある。
【0067】
次いで、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、第1のセンサ26における第1の基準位置P1と、第1のセンサ26により検出された第1のノズル56aからの透明液滴の位置との、左右方向におけるずれ量dX1を算出する(S1012)。また、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、第1のセンサ26における第2の基準位置P2と、第1のセンサ26により検出された第2のノズル56bからの透明液滴の位置との、左右方向におけるずれ量dX2を算出する(S1012)。なお、第1の基準位置P1及び第2の基準位置P2は、基準線78上の位置である。
【0068】
次いで、CPU66は、ずれ量dX1とずれ量dX2との中間値(dX1+dX2)/2を算出する(S1013)。
【0069】
次いで、CPU66は、記憶部64から読み出したセンサ情報に基づいて、第1のモードにおけるヘッド部48からの透明液滴の吐出位置を、上述した中間値(dX1+dX2)/2だけ左右方向(例えば、X軸方向のプラス側)に調整するようにオフセットを設定する(S1014)。その後、図6のフローチャートのステップS102に進む。
【0070】
なお、本実施の形態では、カートリッジ取り付け位置補正において第1のセンサ26に透明液滴を吐出したが、これに限定されず、他のセンサ(第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32のいずれか)に透明液滴を吐出してもよい。
【0071】
[3-3.スキュー補正]
次に、図9及び図10を参照しながら、図6のフローチャートのステップS102、すなわちスキュー補正について具体的に説明する。図9は、図6のフローチャートのステップS102の内容を具体的に示すフローチャートである。図10は、図6のフローチャートのステップS102の内容を説明するための図である。
【0072】
図9に示すように、スキュー補正では、CPU66は、まず、トレイモータ制御部70を制御することにより、トレイ18を収納位置から引き出し位置に向けて移動させる。次いで、CPU66は、トレイ18を移動させながら、吐出制御部72を制御することにより、カートリッジ54の複数のノズル56のうち特定のノズル56(例えば、上述した第1のノズル56a)から第1のセンサ26に向けて透明液滴を吐出させる(S1021)。この時、CPU66は、特定のノズル56から、第1のセンサ26上の基準線80を目標位置として透明液滴を吐出させる。なお、図10に示すように、基準線80は、第1のセンサ26の中心を通り、且つ、前後方向に平行な直線である。
【0073】
次いで、CPU66は、トレイ18を移動させながら、吐出制御部72を制御することにより、特定のノズル56から第2のセンサ28に向けて透明液滴を吐出させる(S1022)。この時、CPU66は、特定のノズル56から、第2のセンサ28上の基準線80を目標位置として透明液滴を吐出させる。なお、図10に示すように、基準線80は、第2のセンサ28の中心を通り、且つ、前後方向に平行な直線である。
【0074】
トレイ18の移動方向に歪みがある場合には、図10に示すように、第1のセンサ26における透明液滴の吐出位置と第2のセンサ28における透明液滴の吐出位置との間に、左右方向(第2の方向の一例)におけるずれ量が生じる。なお、説明の都合上、図10では、透明液滴の大きさを誇張して図示してある。
【0075】
次いで、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、第1のセンサ26における第3の基準位置P3と、第1のセンサ26により検出された透明液滴の位置との、左右方向におけるずれ量dX3を算出する(S1023)。また、CPU66は、第2のセンサ28からの検出信号に基づいて、第2のセンサ28における第4の基準位置P4と、第2のセンサ28により検出された透明液滴の位置との、左右方向におけるずれ量dX4を算出する(S1023)。なお、第3の基準位置P3及び第4の基準位置P4は、基準線80上の位置である。
【0076】
次いで、CPU66は、ずれ量dX3とずれ量dX4との中間値(dX3+dX4)/2を算出する(S1024)。
【0077】
次いで、CPU66は、記憶部64から読み出したセンサ情報に基づいて、第1のモードにおけるヘッド部48からの透明液滴の吐出位置を、上述した中間値(dX3+dX4)/2だけ左右方向(例えば、X軸方向のプラス側)に調整するようにオフセットを設定する(S1025)。その後、図6のフローチャートのステップS103に進む。
【0078】
なお、本実施の形態では、スキュー補正において第1のセンサ26及び第2のセンサ28の各々に透明液滴を吐出したが、これに限定されず、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々に透明液滴を吐出してもよい。
【0079】
[3-4.吐出位置補正]
次に、図11及び図12を参照しながら、図6のフローチャートのステップS103、すなわち吐出位置補正について具体的に説明する。図11は、図6のフローチャートのステップS103の内容を具体的に示すフローチャートである。図12は、図6のフローチャートのステップS103の内容を説明するための図である。
【0080】
図11に示すように、吐出位置補正では、CPU66は、まず、トレイモータ制御部70及びキャリアモータ制御部74を制御することにより、ヘッド部48を第1のセンサ26の直上に移動させた後に、吐出制御部72を制御することにより、カートリッジ54の複数のノズル56のうち特定のノズル56(例えば、第1のノズル56a)から第1のセンサ26に向けて透明液滴を吐出させる(S1031)。この時、CPU66は、特定のノズル56から、第1のセンサ26上の第5の基準位置P5を目標位置として透明液滴を吐出させる。なお、第5の基準位置P5は、第1のセンサ26の中心の位置である。
【0081】
上述したカートリッジ54のキャリッジ52に対する取り付け位置の誤差、及び、トレイ18の移動方向の歪み以外の他の要因(例えば、トレイ18の原点位置の誤差等)がある場合には、図12に示すように、特定のノズル56からの透明液滴の吐出位置と第5の基準位置P5との間に、左右方向及び/又は前後方向におけるずれ量が生じる。なお、説明の都合上、図12では、透明液滴の大きさを誇張して図示してある。
【0082】
次いで、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、第1のセンサ26における第5の基準位置P5と、第1のセンサ26により検出された透明液滴の位置との、左右方向におけるずれ量dX5、及び、前後方向におけるずれ量dY5を算出する(S1032)。
【0083】
次いで、CPU66は、記憶部64から読み出したセンサ情報に基づいて、第1のモードにおけるヘッド部48からの透明液滴の吐出位置を、上述したずれ量dX5だけ左右方向(例えば、X軸方向のプラス側)に調整し、且つ、上述したずれ量dY5だけ前後方向(例えば、Y軸方向のプラス側)に調整するようにオフセットを設定する(S1033)。その後、図6のフローチャートの処理を終了する。
【0084】
なお、本実施の形態では、吐出位置補正において第1のセンサ26に透明液滴を吐出したが、これに限定されず、他のセンサ(第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32のいずれか)に透明液滴を吐出してもよい。
【0085】
[4.ノズルの詰まりの判定動作]
次に、図13及び図14を参照しながら、ノズル56の詰まりの判定動作について具体的に説明する。図13は、実施の形態に係る液滴分注装置2におけるノズル56の詰まりの判定動作の流れを示すフローチャートである。図14は、実施の形態に係る液滴分注装置2におけるノズル56の詰まりの判定動作を説明するための図である。
【0086】
図13に示すように、CPU66は、まず、ノズル56の詰まりの判定動作において、1つのノズル56から透明液滴を吐出する規定量を決定する(S201)。次いで、CPU66は、複数のノズル56の全てに対して、例えば「1」から順に連続番号を付与する(S202)。なお、本実施の形態では、複数のノズル56は、行列状(例えば、10×13)に配置されている。
【0087】
次いで、CPU66は、トレイモータ制御部70及びキャリアモータ制御部74を制御することにより、ヘッド部48を第1のセンサ26の直上に移動させた後に、吐出制御部72を制御することにより、カートリッジ54の複数のノズル56の各々からそれぞれ1つのノズル56毎に、第1のセンサ26における異なる複数の位置に向けて透明液滴を吐出させる。
【0088】
具体的には、CPU66は、番号「n」(nは1以上の整数)が付与されたノズル56から、第1のセンサ26における当該ノズル56に対応する位置に向けて、規定量の透明液滴を吐出させる(S204)。第1のセンサ26が透明液滴の位置を検出した場合には(S205でYES)、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、番号「n」が付与されたノズル56の詰まりが発生していないと判定する(S206)。
【0089】
ステップS205に戻り、第1のセンサ26が透明液滴の位置を検出しなかった場合には(S205でNO)、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、番号「n」が付与されたノズル56から、第1のセンサ26における当該ノズル56に対応する位置に向けて、再度規定量の透明液滴を吐出させる(S207)。
【0090】
その結果、第1のセンサ26が透明液滴の位置を検出した場合には(S208でYES)、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、番号「n」が付与されたノズル56の詰まりが発生していないと判定する(S206)。
【0091】
一方、ステップS208において、第1のセンサ26が透明液滴の位置を再度検出しなかった場合には(S208でNO)、CPU66は、第1のセンサ26からの検出信号に基づいて、番号「n」が付与されたノズル56の詰まりが発生したと判定する(S209)。この時、図14において破線の円で示すように、第1のセンサ26における、番号「n」が付与されたノズル56に対応する位置には透明液滴が付着していない。
【0092】
複数のノズル56の全てについてノズル56の詰まりの有無を判定するまで、上述したステップS204~S209が繰り返し実行される(S203,S210)。その後、図13のフローチャートの処理を終了する。
【0093】
[5.効果]
上述したように、本実施の形態では、CPU66は、第2のモードにおいて例えば第1のセンサ26により検出された透明液滴の位置に基づいて、第1のモードにおいてヘッド部48から透明液滴が吐出されるウェルプレート10上の位置を調整する。
【0094】
これにより、透明液滴が無色透明である場合であっても、第1のモードにおける透明液滴の吐出位置を精度良く調整することができる。
【0095】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態に係る液滴分注装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0096】
上記実施の形態では、第1のセンサ26、第2のセンサ28、第3のセンサ30及び第4のセンサ32の各々を光学式センサで構成したが、これに限定されず、例えば静電容量式センサ等、他の方式のセンサで構成してもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、液滴分注装置2が透明液滴を分注する場合について説明したが、これに限定されず、液滴分注装置2は透明でない液滴(例えば、透過率80%未満の液滴)を分注することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、例えばウェルプレートに試薬等の透明液滴を分注するための液滴分注装置等として適用することができる。
【符号の説明】
【0099】
2 液滴分注装置
4 筐体
6 トレイユニット
8 吐出ユニット
10 ウェルプレート
12 調整用プレート
14 開口部
16 ベースプレート
18 トレイ
20 トレイモータ
22 ガイドプレート
23,34 接続端子
24 ウェル
26 第1のセンサ
28 第2のセンサ
30 第3のセンサ
32 第4のセンサ
36 透光パネル
36a 表面
36b 裏面
38 光源
40 対物レンズ
42 撮像素子
44,46 矢印
48 ヘッド部
50 駆動機構
52 キャリッジ
54 カートリッジ
56 ノズル
58 ガイドシャフト
60 キャリアモータ
62 タイミングベルト
64,68 記憶部
66 CPU
70 トレイモータ制御部
72 吐出制御部
74 キャリアモータ制御部
76 通信部
78,80 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14