(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160506
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理システム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/63 20140101AFI20241107BHJP
A63F 13/533 20140101ALI20241107BHJP
【FI】
A63F13/63
A63F13/533
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075580
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 敦史
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させることが可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】ゲームシステム1は、ゲーム実行手段561と、第1取得手段564と、要求手段563と、第2取得手段565と、を備える。第1取得手段564は、第1プレイヤルールおよびゲームの基本ルールを入力としてAI装置3により生成されるサブコードPC20を取得する。ゲーム実行手段561は、サブコードPC20が適用されたゲームプログラムGPにおいて実現されない非実現制御処理を特定する。要求手段563は、非実現制御処理が特定されたことに応じて、第2プレイヤルールの入力をプレイヤに要求するメッセージを出力する。第1取得手段564は、メッセージに基づいてプレイヤにより入力される第2プレイヤルールを取得する。第2取得手段565は、第2プレイヤルールおよびゲームの基本ルールを入力としてAI装置3により生成されるサブコードPC21を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
所定のルールが適用される仮想空間において所定の制御パラメータに基づいて制御処理を行う制御プログラムを実行する制御手段と、
プレイヤから対話型人工知能に対して入力される入力情報を取得する第1取得手段と、
前記プレイヤに前記対話型人工知能に対する前記入力情報の入力を要求する要求情報を出力する要求手段と、
前記対話型人工知能により生成される生成情報を取得する第2取得手段と、として機能させ、
前記第1取得手段は、前記入力情報としての第1入力情報を取得するとともに、前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記生成情報としての第1生成情報を取得し、
前記制御手段は、前記第1生成情報が適用された前記制御プログラムにより実現されない前記制御処理である非実現制御処理を特定し、
前記要求手段は、前記非実現制御処理が特定されたことに応じて、前記生成情報である第2生成情報を生成するための前記入力情報である第2入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力し、
前記第1取得手段は、前記要求情報に基づいて前記プレイヤにより入力された前記第2入力情報を取得し、
前記第2取得手段は、前記第2入力情報および/または前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記制御プログラムに適用されることで前記非実現制御処理を実現可能とする前記第2生成情報を取得し、
前記制御手段は、前記第1生成情報と前記第2生成情報とが適用された前記制御プログラムを実行する
プログラム。
【請求項2】
前記第1生成情報、および前記第2生成情報の少なくとも一方は、前記第1生成情報が適用される前の前記制御プログラムにおいて、予め設定されている候補の中から前記制御パラメータを指定する情報である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第1生成情報、および前記第2生成情報の少なくとも一方は、前記第1生成情報が適用される前の前記制御プログラムにおいて、予め設定されていない制御パラメータを追加する情報である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記制御プログラムは、前記制御処理の制御態様を制限する制限情報を含み、
前記制御手段は、前記生成情報に基づく前記制御処理が前記制限情報を逸脱する場合には、逸脱の要因となる前記制御処理を実行させる前記生成情報を前記制御プログラムに適用しない
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記制御手段は、逸脱の要因となる前記制御処理を実行させる前記生成情報を特定し、
前記要求手段は、特定された前記生成情報が前記制限情報を逸脱しないようにするための前記生成情報である第3生成情報を前記対話型人工知能に生成させるための前記入力情報である第3入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力する
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記プレイヤによる入力操作に基づいて、複数の設定情報のそれぞれに前記生成情報を関連付け、
前記制御処理が実行される所定の制御単位を開始する際に、前記プレイヤによる入力操作に基づいていずれかの前記設定情報の指定を受け付け、指定された前記設定情報に関連付けられた前記生成情報に基づいて前記仮想空間において前記制御処理を実行する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、表示手段としてさらに機能させ、
前記制御手段は、指定された前記設定情報に基づいて前記制御単位を進行し、
前記第1取得手段は、前記制御単位を実行するために指定された前記設定情報に関連付けられた前記生成情報を修正するための前記生成情報を出力させる前記入力情報を取得し、
前記表示手段は、前記入力情報を前記プレイヤが入力する際に、前記制御単位に含まれる前記制御処理の結果を表示する
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記制御処理が実行される所定の制御単位の進行を開始し、
前記第1取得手段は、前記制御単位を進行させている間に、前記入力情報を取得し、
前記第2取得手段は、前記制御単位を進行させている間に、前記入力情報に基づく前記生成情報を取得し、
前記制御手段は、前記制御単位を進行させている間に、前記生成情報が適用された前記制御プログラムに基づいて前記制御処理を実行する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
所定のルールが適用される仮想空間において所定の制御パラメータに基づいて制御処理を行う制御プログラムを実行する制御部と、
プレイヤから対話型人工知能に対して入力される入力情報を取得する第1取得部と、
前記プレイヤに前記対話型人工知能に対する前記入力情報の入力を要求する要求情報を出力する要求部と、
前記対話型人工知能により生成される生成情報を取得する第2取得部と、を備え、
前記第1取得部は、
前記入力情報としての第1入力情報を取得するとともに、前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記生成情報としての第1生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報が適用された前記制御プログラムにより実現されない前記制御処理である非実現制御処理を特定し、
前記要求部は、前記非実現制御処理が特定されたことに応じて、前記生成情報である第2生成情報を生成するための前記入力情報である第2入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力し、
前記第1取得部は、前記要求情報に基づいて前記プレイヤにより入力された前記第2入力情報を取得し、
前記第2取得部は、前記第2入力情報および/または前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記制御プログラムに適用されることで前記非実現制御処理を実現可能とする前記第2生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報と前記第2生成情報とが適用された前記制御プログラムを実行する
情報処理システム。
【請求項10】
所定のルールが適用される仮想空間において所定の制御パラメータに基づいて制御処理を行う制御プログラムを実行する制御部と、
プレイヤから対話型人工知能に対して入力される入力情報を取得する第1取得部と、
前記プレイヤに前記対話型人工知能に対する前記入力情報の入力を要求する要求情報を出力する要求部と、
前記対話型人工知能により生成される生成情報を取得する第2取得部と、を備え、
前記第1取得部は、
前記入力情報としての第1入力情報を取得するとともに、前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記生成情報としての第1生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報が適用された前記制御プログラムにより実現されない前記制御処理である非実現制御処理を特定し、
前記要求部は、前記非実現制御処理が特定されたことに応じて、前記生成情報である第2生成情報を生成するための前記入力情報である第2入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力し、
前記第1取得部は、前記要求情報に基づいて前記プレイヤにより入力された前記第2入力情報を取得し、
前記第2取得部は、前記第2入力情報および/または前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記制御プログラムに適用されることで前記非実現制御処理を実現可能とする前記第2生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報と前記第2生成情報とが適用された前記制御プログラムを実行する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理システム、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に記載のゲーム装置では、ゲーム内のキャラクタがAI(人工知能)により操作されることで、ゲームが自動で進行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のゲームでは、その利便性に関して改善の余地がある。
本開示の目的は、利便性を向上させることが可能なプログラム、情報処理システム、および情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面は、コンピュータを、
所定のルールが適用される仮想空間において所定の制御パラメータに基づいて制御処理を行う制御プログラムを実行する制御手段と、
プレイヤから対話型人工知能に対して入力される入力情報を取得する第1取得手段と、
前記プレイヤに前記対話型人工知能に対する前記入力情報の入力を要求する要求情報を出力する要求手段と、
前記対話型人工知能により生成される生成情報を取得する第2取得手段と、として機能させ、
前記第1取得手段は、前記入力情報としての第1入力情報を取得するとともに、前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記生成情報としての第1生成情報を取得し、
前記制御手段は、前記第1生成情報が適用された前記制御プログラムにより実現されない前記制御処理である非実現制御処理を特定し、
前記要求手段は、前記非実現制御処理が特定されたことに応じて、前記生成情報である第2生成情報を生成するための前記入力情報である第2入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力し、
前記第1取得手段は、前記要求情報に基づいて前記プレイヤにより入力された前記第2入力情報を取得し、
前記第2取得手段は、前記第2入力情報および/または前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記制御プログラムに適用されることで前記非実現制御処理を実現可能とする前記第2生成情報を取得し、
前記制御手段は、前記第1生成情報と前記第2生成情報とが適用された前記制御プログラムを実行する
プログラムである。
【0006】
第1の側面において、前記第1生成情報、および前記第2生成情報の少なくとも一方は、前記第1生成情報が適用される前の前記制御プログラムにおいて、予め設定されている候補の中から前記制御パラメータを指定する情報とすることができる。
第1の側面において、前記第1生成情報、および前記第2生成情報の少なくとも一方は、前記第1生成情報が適用される前の前記制御プログラムにおいて、予め設定されていない制御パラメータを追加する情報とすることができる。
【0007】
第1の側面において、前記制御プログラムは、前記制御処理の制御態様を制限する制限情報を含み、
前記制御手段は、前記生成情報に基づく前記制御処理が前記制限情報を逸脱する場合には、逸脱の要因となる前記制御処理を実行させる前記生成情報を前記制御プログラムに適用しないことができる。
【0008】
第1の側面において、前記制御手段は、逸脱の要因となる前記制御処理を実行させる前記生成情報を特定し、
前記要求手段は、特定された前記生成情報が前記制限情報を逸脱しないようにするための前記生成情報である第3生成情報を前記対話型人工知能に生成させるための前記入力情報である第3入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力することができる。
【0009】
第1の側面において、前記制御手段は、
前記プレイヤによる入力操作に基づいて、複数の設定情報のそれぞれに前記生成情報を関連付け、
前記制御処理が実行される所定の制御単位を開始する際に、前記プレイヤによる入力操作に基づいていずれかの前記設定情報の指定を受け付け、指定された前記設定情報に関連付けられた前記生成情報に基づいて前記仮想空間において前記制御処理を実行することができる。
【0010】
第1の側面において、前記コンピュータを、表示手段としてさらに機能させ、
前記制御手段は、指定された前記設定情報に基づいて前記制御単位を進行し、
前記第1取得手段は、前記制御単位を実行するために指定された前記設定情報に関連付けられた前記生成情報を修正するための前記生成情報を出力させる前記入力情報を取得し、
前記表示手段は、前記入力情報を前記プレイヤが入力する際に、前記制御単位に含まれる前記制御処理の結果を表示することができる。
【0011】
第1の側面において、前記制御手段は、前記制御処理が実行される所定の制御単位の進行を開始し、
前記第1取得手段は、前記制御単位を進行させている間に、前記入力情報を取得し、
前記第2取得手段は、前記制御単位を進行させている間に、前記入力情報に基づく前記生成情報を取得し、
前記制御手段は、前記制御単位を進行させている間に、前記生成情報が適用された前記制御プログラムに基づいて前記制御処理を実行することができる。
【0012】
第2の側面は、所定のルールが適用される仮想空間において所定の制御パラメータに基づいて制御処理を行う制御プログラムを実行する制御部と、
プレイヤから対話型人工知能に対して入力される入力情報を取得する第1取得部と、
前記プレイヤに前記対話型人工知能に対する前記入力情報の入力を要求する要求情報を出力する要求部と、
前記対話型人工知能により生成される生成情報を取得する第2取得部と、を備え、
前記第1取得部は、
前記入力情報としての第1入力情報を取得するとともに、前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記生成情報としての第1生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報が適用された前記制御プログラムにより実現されない前記制御処理である非実現制御処理を特定し、
前記要求部は、前記非実現制御処理が特定されたことに応じて、前記生成情報である第2生成情報を生成するための前記入力情報である第2入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力し、
前記第1取得部は、前記要求情報に基づいて前記プレイヤにより入力された前記第2入力情報を取得し、
前記第2取得部は、前記第2入力情報および/または前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記制御プログラムに適用されることで前記非実現制御処理を実現可能とする前記第2生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報と前記第2生成情報とが適用された前記制御プログラムを実行する
情報処理システムである。
【0013】
第3の側面は、所定のルールが適用される仮想空間において所定の制御パラメータに基づいて制御処理を行う制御プログラムを実行する制御部と、
プレイヤから対話型人工知能に対して入力される入力情報を取得する第1取得部と、
前記プレイヤに前記対話型人工知能に対する前記入力情報の入力を要求する要求情報を出力する要求部と、
前記対話型人工知能により生成される生成情報を取得する第2取得部と、を備え、
前記第1取得部は、
前記入力情報としての第1入力情報を取得するとともに、前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記生成情報としての第1生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報が適用された前記制御プログラムにより実現されない前記制御処理である非実現制御処理を特定し、
前記要求部は、前記非実現制御処理が特定されたことに応じて、前記生成情報である第2生成情報を生成するための前記入力情報である第2入力情報の入力を前記プレイヤに要求する前記要求情報を出力し、
前記第1取得部は、前記要求情報に基づいて前記プレイヤにより入力された前記第2入力情報を取得し、
前記第2取得部は、前記第2入力情報および/または前記第1入力情報、前記ルール、および前記制御パラメータを入力として、前記制御プログラムに適用されることで前記非実現制御処理を実現可能とする前記第2生成情報を取得し、
前記制御部は、前記第1生成情報と前記第2生成情報とが適用された前記制御プログラムを実行する
情報処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、利便性を向上させることが可能なプログラム、情報処理システム、および情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のゲームシステムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態のゲームの概要を模式的に示す図である。
【
図3】第1実施形態のゲームプログラムの概要を模式的に示す図である。
【
図4】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図5】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図6】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図7】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図8】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図9】第1実施形態のゲームシステムの処理の流れを模式的に示す図である。
【
図10】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図11】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図12】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図13】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図14】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図15】第1実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図16】第1実施形態のゲームシステムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【
図17】第2実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【
図18】第2実施形態のゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
本開示のゲームシステム1の第1実施形態について図面を参照して説明する。
<ゲームの説明>
図1に示されるゲームシステム1では、サーバ装置2、AI(人工知能)装置3、および複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続されており、サーバ装置2により提供されるゲームがゲーム装置5において実行される。本実施形態では、ゲームシステム1が情報処理システムに相当し、ゲーム装置5が情報処理装置に相当し、AI装置3が対話型人工知能に相当する。
【0017】
本実施形態のゲームは、ゲームシステム1において実行されるオンラインのゲームである。このゲームでは、ゲーム装置5のプレイヤがプレイヤキャラクタを仮想ゲーム空間で活動させる。プレイヤキャラクタはオブジェクトに相当する。
本実施形態のゲームは、プレイヤが操作を行うことなくプレイヤキャラクタが自動的に行動することでゲームが進行する、いわゆる放置型のゲームである。具体的には、自身のプレイヤキャラクタP10は、例えば
図2に示されるような仮想ゲーム空間であるゲームフィールドF10内で行動する。ゲームフィールドF10内には、自身のプレイヤキャラクタP10以外に敵キャラクタE20~E22などが存在する。敵キャラクタE20,E21は、例えばノンプレイヤキャラクタであり、敵キャラクタE22は、例えば他のプレイヤが操作する敵プレイヤキャラクタである。プレイヤキャラクタP10は、敵キャラクタE20~E22などと対戦しながら生き残ることを目的としてゲームフィールドF10内を行動する。なお、プレイヤキャラクタP10のゲーム内の目的は、最後の一人になるまで勝ち残ることを目的とする、いわゆるバトルロワイヤル方式のものであってもよいし、次々に発生する敵と対戦しながら生存するというものであってもよい。以下では、本実施形態のゲームの目的がバトルロワイヤル形式のものである場合を例に挙げて説明する。
【0018】
プレイヤキャラクタP10はAIによる自動操作でゲームフィールドF10内を行動する。本実施形態のゲームは、プレイヤがプレイヤキャラクタP10のAIを自身の好みに合うように作り上げてプレイヤキャラクタP10のAIをより賢くしていくものである。プレイヤは、AI装置3により提供される対話型AIに対して言語入力でプレイヤキャラクタP10の行動を指示することにより、プレイヤキャラクタP10のAIの特性を作り上げることができる。プレイヤがゲームを開始すると、プレイヤキャラクタP10がゲームフィールドF10内をAIにより自動的に行動して、敵キャラクタE20~E22と戦闘したり、敵キャラクタE20~E22との戦闘を回避したりしながら、敵キャラクタE20~E22を討伐していく。敵キャラクタE20~E22を討伐することにより、プレイヤキャラクタP10は経験値を獲得したり、ゲーム媒体である各種素材などを獲得したりすることにより強化されて、より強い敵キャラクタを討伐することが可能となる。このゲームでは、ゲームを開始した後、プレイヤキャラクタP10が敵キャラクタにより倒されるか、あるいは最後の一人になるまで勝ち残ることで一つのターンが終了する。本実施形態では、このゲームの一つのターンが制御単位に相当する。一つのターンが終了すると、そのターンのゲーム結果をプレイヤはリザルト画面で確認することができる。プレイヤは、リザルト画面に表示されるゲーム結果を考慮しつつ、プレイヤキャラクタP10の生存性がより高められるように、対話型AIとの対話を通じてプレイヤキャラクタP10のAIを改善していくことになる。
【0019】
本実施形態のゲームでは、ユーザがゲーム媒体を取得することができる。ゲーム媒体とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、ユーザが仮想空間において操作するプレイヤキャラクタ、プレイヤキャラクタがゲームフィールドF10内で使用できる武器、防具、道具などのアイテム、並びにゲーム内で使用可能な各種仮想通貨を含む消費媒体などである。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による購入や、クエストのクリアや各種ゲーム内イベントの報酬、ガチャと呼ばれる抽選方法などにより入手することができる。
【0020】
仮想通貨は、有償の仮想通貨であってもよいし、無償の仮想通貨であってもよい。有償の仮想通貨は、課金により取得される仮想通貨である。無償の仮想通貨は、課金によらずに取得される仮想通貨である。無償の仮想通貨は、例えばゲームのログイン時にユーザに付与される特典(いわゆるログインボーナス)、あるいはクエストなどのゲームイベントのクリアによりユーザに付与される特典など、ゲームの進行に応じて取得可能であってもよい。クエストとは、ゲーム内で達成すべき課題や条件などが関連付けられたゲームコンテンツである。クエストには、そのクリア条件が設定されている。ユーザのゲーム行動によりクエストのクリア条件が達成されるとユーザに所定の報酬が付与される。
【0021】
ガチャとは、所定の選択割合に基づき任意のゲーム媒体を抽選により選択する方法である。選択された任意のゲーム媒体はユーザに付与される。ガチャを行うために消費されるゲーム媒体には、例えば課金操作によりユーザに付与される有償ゲーム媒体である「有償石」や、ゲーム行動を通じてユーザに付与される無償ゲーム媒体である「無償石」がある。なお、「ゲーム媒体をユーザに付与する」とは「ゲーム媒体を、ユーザを示す識別情報と関連付ける」と同義である。また、「ゲーム媒体をユーザが所有する」とは「ゲーム媒体が、ユーザを示す識別情報に関連付けられている」と同義である。
【0022】
このようなゲームは、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用ゲーム機、もしくはパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器であるゲーム装置5を用いて実行される。以下では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示する。
【0023】
<ゲームシステムの概要>
図1に示されるように、ゲームシステム1はサーバ装置2、AI装置3、および複数のゲーム装置5により構成される。
サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5のゲームデータの管理、より詳細にはアカウント毎のゲームデータの管理を行う。
【0024】
ゲーム装置5はユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は通信ネットワーク6を介してサーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータの受信、具体的にはダウンロードおよびインストールを行う。各ユーザには、ゲーム装置5に対応付けられてアカウント情報が割り当てられている。アカウント情報には識別情報およびパスワードなどが含まれている。アカウント情報は、ログイン時にゲーム装置5からサーバ装置2に送信されて、サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0025】
ユーザ認証を経てサーバ装置2とゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ、例えばゲーム進行状況に関するデータをサーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像および音声を出力しつつ、ゲームを進行させる。
【0026】
AI装置3は、対話型AIと称されるものであり、音声または文字により入力された入力情報に対して対話形式で回答する装置である。AI装置3としては、例えばChatGPTを用いることが可能である。
<ゲームシステムの構成>
以下、
図1を参照して、サーバ装置2、およびゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。
【0027】
<サーバ装置の構成>
サーバ装置2はゲームをゲーム装置5に提供する。
図1に示されるように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22、および制御部23を有している。ネットワークインターフェース21および記憶部22はバス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0028】
ネットワークインターフェース21はインターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して各ゲーム装置5と通信可能に接続されている。
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびSSD(Solid State Drive)などで構成されている。記憶部22には、本実施形態のゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザDB(Data Base)221などの各種データが記憶されている。
【0029】
ユーザDB221には、ゲームをプレイするユーザの識別番号毎に、ユーザ情報、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに関する情報、および仮想ゲーム空間内で使用可能な消費媒体の額などが対応付けられて記憶されている。ユーザ情報は、ユーザ名やユーザランクなどの情報を含む。プレイヤキャラクタに関する情報は、プレイヤキャラクタのレベルやステータス、当該プレイヤキャラクタに関連付けられた装備品やアイテムなどの情報を含む。
【0030】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、サーバ装置2の動作を制御する。制御部23は、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231、および照合手段232として機能する。本実施形態では、これらの手段231,232が情報処理部、および照合部にそれぞれ相当する。
【0031】
―情報処理手段―
情報処理手段231は各ゲーム装置5との間で各種データを送受信する。情報処理手段231が受信する主なデータとしては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、アカウント情報、ゲームデータなどが挙げられる。情報処理手段231が送信する主なデータとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報、ガチャで得られたゲーム媒体に関する情報などが挙げられる。
【0032】
―照合手段―
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したユーザの識別情報を用いてユーザアカウントの認証を行う。
<ゲーム装置5の構成>
図1に示されるように、ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62、およびタッチパッド63が外部接続または内蔵されている。また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55、および制御部56を有している。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、および記憶部55はバス59を介して制御部56と電気的に接続されている。複数のゲーム装置5のそれぞれのハードウェア構成は基本的に同一であるため、重複する説明は割愛する。
【0033】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間、およびゲーム装置5とAI装置3との間で各種データを送受信するために通信ネットワーク6に通信可能に接続されている。
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に基づいて動画形式でゲーム画像を描画する。ゲーム画像には、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトが含まれる。グラフィック処理部52は、例えば液晶型のディスプレイ61に接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像をゲーム画面としてディスプレイ61上に表示する。
【0034】
オーディオ処理部53は、スピーカ62に接続されており、制御部56の指示に基づいてゲーム音声を再生および合成するとともに、そのゲーム音声をスピーカ62から出力させる。
操作部54は、タッチパッド63に接続されており、操作および入力に関するデータをタッチパッド63との間で送受信する。ユーザはタッチパッド63をタッチ操作することでゲーム装置5に操作信号を入力することができる。
【0035】
記憶部55はHDD、SSD、RAM、およびROMなどで構成されている。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、およびゲーム装置5のアカウント情報などが格納されている。
制御部56は、CPUや半導体メモリを有するマイクロコンピュータで構成されており、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、各種プログラムを実行することにより、ゲーム実行手段561、通信手段562、要求手段563、第1取得手段564、第2取得手段565、音声手段566、および表示手段567として機能する。これらの手段561~567は、ゲーム実行部、通信部、要求部、第1取得部、第2取得部、音声部、および表示部にそれぞれ相当する。
【0036】
―ゲーム実行手段―
ゲーム実行手段561はゲーム装置5においてゲームを実行する。具体的には、ゲーム実行手段561は、ユーザによるタッチパッド63の操作に基づいて、ゲームのデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを記憶部55から読み込む、またはサーバ装置2から受信する。ゲーム実行手段561は、仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを用いてゲームプログラムを実行しつつ、2次元または3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52により処理されることで、その処理後のゲーム画像がディスプレイ61に逐次表示される。
【0037】
具体的には、ゲーム実行手段561は、AI制御により所定のルールに基づいてゲームフィールドF10内でプレイヤキャラクタP10を自動的に行動させる。所定のルールには基本ルールとプレイヤルールとが含まれている。基本ルールは本実施形態のゲームの基本的なルールである。本実施形態のゲームは上述の通りバトルロワイヤル形式のものであるため、基本ルールが、例えばプレイヤキャラクタP10をゲームフィールドF10内で巡回させつつ、ゲーム媒体であるアイテムを所定の索敵範囲内に発見した場合にはそのアイテムの獲得にプレイヤキャラクタP10を向かわせるとともに、所定の索敵範囲内に敵キャラクタを発見した場合には攻撃または撤退といった行動をプレイヤキャラクタP10に行わせるといった内容で設定される。なお、プレイヤキャラクタP10の攻撃には、通常攻撃の他に、所定のスキルポイントを消費することで発動するスキル攻撃などが存在していてもよい。スキルポイントはゲーム内の時間の経過に伴って自動的に回復する。
【0038】
ゲーム実行手段561は、プレイヤキャラクタP10を敵キャラクタと戦闘させるか否かに関して、例えば敵キャラクタの情報を取得した後、取得された敵キャラクタの情報とプレイヤキャラクタP10の情報とを比較することで判定する。敵キャラクタおよびプレイヤキャラクタP10のそれぞれの情報には、強さ、およびかしこさなどの各種のパラメータや、火属性や水属性などの属性などが含まれている。ゲーム実行手段561は、例えば敵キャラクタおよびプレイヤキャラクタP10のそれぞれのレベル差、属性相性、残りのヒットポイントなどのパラメータを用いて所定の演算式によりプレイヤキャラクタP10の生存確率SPを演算する。生存確率SPは0%から100%までの範囲の値を取り得るものであり、その値が大きいほど、プレイヤキャラクタP10の生存確率が高いことを示す。ゲーム実行手段561は、演算された生存確率SPが所定の条件を満たしている場合には、敵キャラクタと戦闘を開始するようにプレイヤキャラクタP10を制御する一方、生存確率SPが所定の条件を満たしていない場合には、撤退するようにプレイヤキャラクタP10を制御する。
【0039】
なお、敵キャラクタから取得可能な情報には、一部参照できないパラメータが存在していてもよい。例えば敵キャラクタの攻撃力の情報は取得可能であるが、敵キャラクタの武器の情報は取得できないという形である。あるいは、敵キャラクタの武器の種類の情報は取得できるが、敵キャラクタの武器の固有名称は取得できないという形である。
【0040】
生存確率SPに対して設定される所定の条件は、例えば生存確率SPが閾値SPthよりも高いか否かという条件である。ゲーム実行手段561は、例えば生存確率SPが閾値SPthよりも高い場合には敵キャラクタとの戦闘を開始し、生存確率SPが閾値SPth以下である場合にはプレイヤキャラクタP10を撤退させる。
【0041】
本実施形態のゲームには、このような生存確率SPに対して設定される閾値SPthの他、プレイヤキャラクタP10の自動行動を決定付けるゲームパラメータが複数存在する。
図3に示されるように、本実施形態のゲームプログラムGPには、ゲームの基本的なメインコードPC10の他、各種のゲームパラメータのそれぞれの設定値や設定範囲などが指定されたサブコードPC20が含まれている。したがって、サブコードPC20を書き換えることにより、ゲームフィールド内のプレイヤキャラクタP10の行動を自由に変更することが可能となっている。本実施形態では、ゲームプログラムGPが制御プログラムに相当する。
【0042】
サブコードPC20は、AI装置3とプレイヤとの対話を通じてAI装置3により作成されてゲームプログラムGPに組み込まれる。例えば、AI装置3は、ゲームの基本ルールと、プレイヤにより作成された第1プレイヤルールの情報とが入力されると、それらに対応したサブコードPC20を作成する。
【0043】
基本ルールには、上述の通り、本実施形態のゲームの基本ルール、およびプレイヤキャラクタP10の行動を決定付けるゲームパラメータの項目、ゲームプログラムGPのコーディングなどの情報が含まれている。ゲームパラメータの項目とは、例えば生存確率SPである。
【0044】
第1プレイヤルールは、プレイヤが望むゲーム中のプレイヤキャラクタP10の行動方針、例えば生存重視で行動するといった内容である。プレイヤがAI装置3との対話を通じて、プレイヤキャラクタP10の生存を重視することを第1プレイヤルールとして設定した場合、AI装置3は、ゲームの基本ルールを前提にプレイヤキャラクタP10が生存重視で行動することが可能な生存確率SPの閾値SPthをAIにより設定するとともに、閾値SPthをゲームプログラムGPに組み込むことが可能なサブコードPC20をAIにより作成する。本実施形態では、サブコードPC20に含まれている閾値SPthなどの各種ゲームパラメータが制御パラメータに相当する。
【0045】
なお、アイテム効率を重視することを第1プレイヤルールとしてプレイヤが設定した場合、AI装置3は、ゲームの基本ルールを前提にプレイヤキャラクタP10がアイテム効率を重視して行動するように、例えば敵キャラクタがドロップする可能性のあるアイテム情報に基づいて、プレイヤキャラクタP10が必要とするアイテムを敵キャラクタから取得できるか否かに基づいて閾値SPthを変更するようなサブコードPC20を作成する。例えば、AI装置3は、プレイヤキャラクタP10が必要とするアイテムを敵キャラクタから取得できる場合に閾値SPthを下げることによりプレイヤキャラクタP10が敵キャラクタと戦闘し易くなるようなサブコードPC20を作成する。また、対人戦を重視することを第1プレイヤルールとしてプレイヤが設定した場合、AI装置3は、他のプレイヤが操作する敵プレイヤキャラクタとの戦闘時に閾値SPthを変更するようなサブコードPC20を作成する。例えば、AI装置3は、敵プレイヤキャラクタとの戦闘時に閾値SPthを下げることによりプレイヤキャラクタP10が敵プレイヤキャラクタと戦闘し易くなるようなサブコードPC20を作成する。
【0046】
ところで、サブコードPC20がAI装置3により作成される場合、そのサブコードPC20にエラーが存在する可能性がある。ゲーム実行手段561は、例えばAI装置3により作成されたサブコードPC20をゲームプログラムGPに組み込んだ後、そのゲームプログラムGPをコンパイルする際に、ゲームプログラムGPにエラーが含まれているか否かを検証する。ゲーム実行手段561は、ゲームプログラムGPにエラーが含まれていない場合には、そのサブコードPC20を含むゲームプログラムGPをそのまま実行する。ゲーム実行手段561は、ゲームプログラムGPにエラーが含まれている場合であって、且つそのエラーが修正可能なもの、例えば変数の定義の誤りなどである場合には、ゲームプログラムGPに適合するようにサブコードPC20を適宜修正した後、修正後のサブコードPC20が組み込まれたゲームプログラムGPを実行する。
【0047】
ゲーム実行手段561は、ゲームプログラムGPにエラーが含まれている場合であって、且つそのエラーが修正不可能なものである場合、そのエラーを修正するための新たなプレイヤルールの作成を、AI装置3を介してプレイヤに要求する。例えば、そのエラーが、非実現制御処理が存在するというエラーである場合、ゲーム実行手段561は、その非実現制御処理の内容を特定する。非実現制御処理とは、実装後のゲームプログラムGPにおいて実現されないプレイヤキャラクタP10の制御処理である。例えば、サブコードPC20において、アイテムの生成に関する自動生成の内容が特定されていないような場合、プレイヤキャラクタP10はアイテムの生成に関する行動を一切行わない。このようなプレイヤキャラクタP10が行わない制御処理が非実現制御処理である。アイテムの生成に関する行動を更に自動化すれば、プレイヤキャラクタP10が何らかのアイテムを取得した際に即座にアイテムを自動で作成するようになるため、プレイヤの手間を削減することが可能である。よって、そのようなプレイヤキャラクタP10の制御処理を設定することは有益である。このような非実現制御処理が存在する場合、ゲーム実行手段561は、非実現制御処理を解消することが可能な新たな第2プレイヤルールの入力をプレイヤに対して要求するように要求手段563に対して指示する。
【0048】
これによりプレイヤが第2プレイヤルールを設定した場合、AI装置3は、ゲームの基本ルール、第1プレイヤルール、および第2プレイヤルールに対応する新たなサブコードPC21を作成する。ゲーム実行手段561は、このサブコードPC21をゲームプログラムGPに組み込んだ後、そのゲームプログラムGPにエラーが含まれていないか否かを検証する。ゲーム実行手段561は、ゲームプログラムGPにエラーが含まれていると判定した場合には、そのエラーを修正するか、あるいはそのエラーを修正するための新たなプレイヤルールの設定をプレイヤに対して要求する。このようにして、ゲームプログラムGPにエラーが存在しなくなるまで、プレイヤとAI装置3との対話を通じてサブコードの修正が継続される。そして、ゲームプログラムGPにエラーが存在しなくなると、ゲーム実行手段561は、そのゲームプログラムGPを実行する。
【0049】
本実施形態では、ゲーム実行手段561が、プレイヤキャラクタP10を制御する制御手段に相当する。
―通信手段―
通信手段562はネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2と通信を行う。通信手段562は、例えば操作部54がタッチパッド63から受信した各種操作信号に基づいてサーバ装置2が把握可能な情報を生成するとともに、その情報をサーバ装置2に送信する。例えば通信手段562はアカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報などをサーバ装置2に送信する。また、通信手段562は、ダウンロード要求情報に応じてサーバ装置2から送信される新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたゲーム媒体に関する情報などをサーバ装置2から受信する。
【0050】
また、通信手段562はネットワークインターフェース51を介してAI装置3と通信を行う。通信手段562は、例えばAI装置3がゲームの基本ルールや、プレイヤにより入力されたプレイヤルールなどの情報をAI装置3に送信する。
―要求手段―
要求手段563は、通信手段562を介してAI装置3と通信を行うことにより、AI装置3からの指示をプレイヤに対して要求する。要求手段563は、例えばAI装置3に対して何らかの指示を入力するようにプレイヤに要求する。また、要求手段563は、非実現制御処理を解消することが可能な新たな第2プレイヤルールの入力をゲーム実行手段561から要求された場合、要求された内容をプレイヤにAI装置3を介して通知する。例えば、アイテムの生成に関する自動操作が非実現制御処理である場合、要求手段563は、アイテムの生成に関する自動操作の内容を指示するようにAI装置3を介してプレイヤに通知する。
【0051】
―第1取得手段―
第1取得手段564は、プレイヤが操作部54を操作することにより入力された入力情報を取得する。例えば、第1取得手段564は、プレイヤがAI装置3に対して入力した情報を取得する。
【0052】
―第2取得手段―
第2取得手段565は、AI装置3により生成される各種情報を取得する。例えば、第2取得手段565は、AI装置3により生成されるサブコードPC20,PC21を取得する。
【0053】
なお、第2取得手段565は、サブコードPC20,PC21をAI装置3から通信手段562を介して取得してもよい。また、AI装置3により作成されたサブコードPC20,PC21をプレイヤが操作部54を操作して手入力した場合には、第2取得手段565は、操作部54からサブコードPC20,PC21の情報を取得してもよい。
【0054】
―音声手段―
音声手段566は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作などに基づいてスピーカ62の音声出力を制御する。
―表示手段―
表示手段567は、ゲームの実行にあたり、ゲーム装置5に対するユーザの操作などに基づいてディスプレイ61の表示出力を制御する。
【0055】
次に、表示手段567によりディスプレイ61に表示される画面の例を説明する。
表示手段567は、ユーザがゲームを開始した際に、
図4に示されるトップ画面70を表示させる。トップ画面70にはガチャボタン700、アイテムボタン701、編成ボタン702、AI設定ボタン703、およびクエストボタン704が設けられている。
【0056】
ガチャボタン700は、有償石または無償石を消費してガチャの実施を要求するためのボタンである。ユーザがガチャボタン700を操作した後、複数種類のガチャのうちのいずれかを選択すると、ユーザに関連付けられた有償石または無償石が消費されて、選択されたガチャが実施される。
【0057】
アイテムボタン701は、プレイヤキャラクタP10が所持しているゲーム媒体であるアイテムを確認する際に操作するボタンである。アイテムボタン701がプレイヤにより操作された場合、表示手段567は、
図5に示されるようなアイテム表示画面71をディスプレイ61に表示する。
図5に示されるように、アイテム表示画面71には、武器ボタン710、防具ボタン711、アイテムボタン712、および表示領域713が設けられている。
【0058】
プレイヤは武器ボタン710を操作することにより、プレイヤキャラクタP10が所持している武器アイテムWA11~WA13を確認することができる。本実施形態において、武器アイテムWA11~WA13は、プレイヤキャラクタP10の攻撃力を上昇させることが可能なゲーム媒体である。プレイヤが武器ボタン710を操作した場合、
図5に示されるように、表示領域713に、プレイヤが所持している武器アイテムが一覧で表示される。
【0059】
表示領域713では、表示されている武器アイテムWA11~WA13のうちのいずれかを選択する操作をプレイヤが行うことにより、選択された武器アイテムから進化させることが可能なアイテムを更に表示することができる。
図5には、武器アイテムWA11が選択されるとともに、武器アイテムWA11の進化先の武器アイテムWA14が表示された状態が示されている。
【0060】
武器アイテムを進化させるためには、単数または複数の所定の素材アイテムが必要となる。表示領域713の右下には、必要な素材アイテムが表示される。
図5のアイテム表示画面71には、武器アイテムWA11を武器アイテムWA14に進化させるために必要な素材アイテムI10~I12が表示されている。このとき、必要な素材アイテムをプレイヤキャラクタP10が所持していない場合、あるいは素材アイテムを必要な個数だけ所持していない場合には、例えば素材アイテムI10のように、アイコンの下側に「不足」などのメッセージが表示される。素材アイテムは、ガチャを実行することにより、あるいはプレイヤキャラクタP10のゲームフィールド内での行動により獲得可能である。プレイヤキャラクタP10は、ゲームフィールド内を探索したり、敵キャラクタを倒したりすることにより素材アイテムを獲得すること可能である。
【0061】
プレイヤは、同様に、防具ボタン711を操作することにより、プレイヤキャラクタP10が所持している防具アイテムを確認することができる。また、プレイヤは、アイテムボタン712を操作することにより、プレイヤキャラクタP10が所持している消費アイテムを確認することができる。本実施形態において、防具アイテムは、プレイヤキャラクタP10の防御力を上昇させることが可能なゲーム媒体である。消費アイテムは、プレイヤキャラクタP10の使用により消費されるアイテムであり、例えば使用によりプレイヤキャラクタP10のライフを回復することが可能なアイテムである。
【0062】
図4に示される編成ボタン702は、プレイヤキャラクタP10が装備するアイテムなどを切り替える際に操作するボタンである。編成ボタン702がプレイヤにより操作された場合、表示手段567は、
図6に示されるような編成画面72をディスプレイ61に表示する。
図6に示されるように、編成画面72には、武器ボタン720、防具ボタン721と、アイテムボタン722と、表示領域723とが設けられている。
【0063】
武器ボタン720は、プレイヤキャラクタP10が所持している武器アイテムの中から、プレイヤキャラクタP10が装備する武器アイテムを選択する際に操作するボタンである。プレイヤキャラクタP10が所持している武器アイテムは、
図6に示されるように表示領域723に一覧で表示される。プレイヤは、表示領域723に表示される複数の武器アイテムWA11~WA13のうちのいずれかを選択する操作を行うことにより、選択された武器をプレイヤキャラクタP10に装備させることができる。
【0064】
プレイヤは、同様に、防具ボタン721を操作することにより、プレイヤキャラクタP10に装備させる防具アイテムを選択することができる。また、プレイヤは、アイテムボタン712を操作することにより、プレイヤキャラクタP10に所持させる消費アイテムを選択することができる。
【0065】
図4に示されるAI設定ボタン703は、プレイヤキャラクタP10のAIを設定する際に操作するボタンである。AI設定ボタン703がプレイヤにより操作された場合、表示手段567は、
図7に示されるようなAI設定画面73をディスプレイ61に表示する。
図7に示されるように、AI設定画面73には、複数の設定ボタン730a~730dと、複数のメモ領域731a~731dと、複数の指示ボタン732a~732dとが設けられている。
【0066】
設定ボタン730a~730dは、プレイヤキャラクタP10のAIを選択するためのボタンである。本実施形態のゲームでは、プレイヤキャラクタP10のAIを4種類設定することが可能となっている。なお、AIの設定数に関しては任意に変更可能である。例えば
図7に示されるように、設定ボタン730aが選択されている場合、設定ボタン703aに対応したAIがプレイヤキャラクタP10に適用される。
【0067】
メモ領域731a~731dは、設定ボタン730a~730dにそれぞれ対応したAIの内容をユーザが任意に文字で入力することが可能な領域である。例えば、設定ボタン730aに対応したAIの内容が「生存重視」である場合、その文字をプレイヤがメモ領域731aに入力する。これにより、プレイヤは、メモ領域731aの文字を見ることにより、設定ボタン730aを選択した際のAIの内容を容易に認識することができるようになる。
【0068】
指示ボタン732a~732dは、プレイヤキャラクタP10のAIを指示する際に操作するボタンである。例えばプレイヤが指示ボタン732aを操作した場合、表示手段567は、
図8に示されるようなチャット画面74をディスプレイ61に表示する。
図8に示されるように、チャット画面74には、AI装置3とプレイヤとのやりとりが対話形式で表示される。このような対話を通じてプレイヤキャラクタP10のAIが構築される。なお、ここではAI装置3とプレイヤとの対話が文字により行われる場合を例に挙げて説明するが、AI装置3とプレイヤとの対話は音声などの任意の言語入力により行われてもよい。
【0069】
図8に示されるように、AI装置3は、まず、「指示を入力して下さい。」というメッセージM10を表示することにより、プレイヤに対して何らかの指示を入力するように要求する。これに対してプレイヤが、メッセージM11のように、ゲームの基本ルールの読み込みを要求すると、AI装置3によりゲームの基本ルールの読み込みが行われる。ゲームの基本ルールの読み込みは、例えば
図4に示されるゲームプログラムGPのメインコードPC10をAI装置3に読み込ませることにより行われる。なお、AI装置3に対してメインコードPC10を読み込ませる方法としては、チャット画面74にプレイヤがメインコードPC10を直接入力してもよいし、メインコードPC10に対応したファイルをゲーム装置5からAI装置3に通信手段562を介して送信してもよい。AI装置3にメインコードPC10を読み込ませることにより、AI装置3が、ゲームの基本ルールを理解した状態となるため、プレイヤキャラクタP10のAIを作成する準備が完了する。AI装置3によるメインコードPC10の読み込みが完了すると、「完了しました。」というようなメッセージM12がチャット画面74に表示される。
【0070】
続いて、プレイヤが「生存重視で立ち回るオートプレイAIのコードを作成してください。」というメッセージM13を入力すると、AI装置3は、その指示内容に基づいたサブコードPC20を作成する。この場合、「生存重視で立ち回る」という内容が、プレイヤにより作成される第1プレイヤルールおよび第1入力情報に相当する。
【0071】
AI装置3は、メインコードPC10から読み取ったゲームの基本ルール、並びに「生存重視」という第1プレイヤルールに対応したサブコードPC20を作成する。例えば、AI装置3は、ゲームの基本ルールを前提にプレイヤキャラクタP10が生存重視で行動することが可能な生存確率SPの閾値SPthを設定するとともに、閾値SPthをゲームプログラムGPに組み込むことが可能なサブコードPC20を作成する。そして、AI装置3は、作成したサブコードPC20をチャット画面74に表示する。本実施形態では、サブコードPC20が第1生成情報に相当する。
【0072】
なお、サブコードPC20は、プレイヤにより閲覧可能なものであってもよいし、プレイヤにより閲覧不可能なものであってもよい。サブコードPC20がプレイヤにより閲覧可能なものである場合、サブコードPC20がチャット画面74に表示された際にプレイヤがAI装置3に指示することでサブコードPC20の修正が可能であってもよい。
【0073】
続いて、AI装置3からの「ゲーム△△△に実装しますか?」の問いかけのメッセージM14に対して、プレイヤが「はい。設定1に上書きして下さい。」というメッセージM15を入力したとすると、AI装置3により作成されたサブコードPC20がゲームプログラムGPに組み込まれる。
【0074】
具体的には、
図9に示されるように、AI装置3により作成されたサブコードPC20はゲーム装置5の第1取得手段564により取得される(ステップS10)。そして、ゲーム装置5のゲーム実行手段561が、メインコードPC10にサブコードPC20を組み込むことによりゲームプログラムGPを構築する。その後、ゲーム実行手段561は、作成されたゲームプログラムGPにエラーが含まれているか否かを検証する(ステップS11)。ゲーム実行手段561は、エラーが存在しない場合には、ゲームプログラムGPをそのまま実行する。このとき、ゲーム実行手段561は、実装が完了したことを通信手段562に通知する(ステップS12)。この場合、通信手段562は、ゲームプログラムGPの実装が完了したことをプレイヤに通知するようにAI装置3に対して要求する(ステップS13)。これにより、
図8に示されるように、ゲームプログラムGPへのサブコードPC20の実装が完了したことを示すメッセージM16をAI装置3がチャット画面74に表示するため、プレイヤは、ゲームプログラムGPの実装が完了したことを認知することができる。
【0075】
一方、ゲーム実行手段561は、作成されたゲームプログラムGPにエラーが含まれている場合であって、且つそのエラーを修正可能な場合には、ゲームプログラムGPのエラーを修正する処理を行った後、ゲームプログラムGPを実行する。この場合、ゲーム実行手段561は、
図9のステップS12において、AI装置3が作成したサブコードPC20に含まれたエラーを修正した後にゲームプログラムGPの実装が完了したことを通信手段562に通知する。通信手段562は、エラーを修正した後にゲームプログラムGPの実装が完了したことをプレイヤに通知するようにAI装置3に対して要求する(ステップS13)。これにより、
図10に示されるようなメッセージM17をAI装置3がチャット画面74に表示するため、プレイヤは、ゲームプログラムGPの実装が完了したことを認知することができる。
【0076】
また、ゲーム実行手段561は、作成されたゲームプログラムGPにエラーが含まれている場合であって、且つそのエラーが修正不可能な場合、AI装置3が作成したサブコードPC20をゲームプログラムGPに実装することができなかったことを通信手段562に通知する(ステップS12)。この場合、通信手段562は、AI装置3が作成したサブコードPC20にエラーが含まれていることをプレイヤに通知するようにAI装置3に対して要求する(ステップS13)。これにより、
図11に示されるようなメッセージM18をAI装置3がチャット画面74に表示するため、プレイヤは、サブコードPC20にエラーが含まれていることを認知することができる。この場合、プレイヤは、AI装置3との対話を通じて第1プレイヤルールを変更するなどしてサブコードPC20を再度作成することになる。
【0077】
さらに、ゲーム実行手段561は、作成されたゲームプログラムGPにエラーが含まれている場合であって、且つそのエラーが非実現制御処理に該当する場合、非実現制御処理を特定する。この場合、ゲーム実行手段561は、非実現制御処理を解消することが可能な新たな第2プレイヤルールの入力が必要であることを要求手段563に通知する(ステップS12)。要求手段563は、非実現制御処理の内容、およびそれを解消するための第2プレイヤルールの追加の入力が必要であることをプレイヤに通知するようにAI装置3に対して要求する(ステップS13)。これにより、
図12に示されるようなメッセージM19をAI装置3がチャット画面74に表示するため、プレイヤは、新たなプレイヤルールの入力が必要であることを認知できる。本実施形態では、メッセージM19が、第2入力情報の入力をプレイヤに要求する要求情報に相当する。
【0078】
この場合、
図12に示されるように、メッセージM19に対して、プレイヤが、非実現制御処理を解消することが可能なメッセージM20、具体的には「はい、現在のキャラクタレベルに適した武器を優先してください。」というような指示を入力したとすると、AI装置3は、その指示内容に基づいた新たなサブコードPC21を作成する。この場合、「現在のキャラクタレベルに適した武器を優先する」という内容が、プレイヤにより作成される第2プレイヤルールおよび第2入力情報に相当する。
【0079】
なお、「武器を優先する」という内容に関しては、例えば、「現在のレベルに合った武器の進化素材が揃ったらすぐに合成する。一方、防具は最低限とする。合成すると武器の進化に必要な素材数を下回るような場合には、防具の合成は保留とし、武器の進化素材が揃うのを待つ」というような、より具体的な指示であってもよい。
【0080】
AI装置3は、メインコードPC10から読み取ったゲームの基本ルール、並びに第1プレイヤルールおよび第2プレイヤルールに対応した新たなサブコードPC21を作成する。そして、AI装置3は、新たに作成したサブコードPC21をチャット画面74に表示する。本実施形態では、サブコードPC21が第2生成情報に相当する。
【0081】
なお、サブコードPC21は、サブコードPC20と同様に、プレイヤにより閲覧可能なものであってもよいし、プレイヤにより閲覧不可能なものであってもよい。サブコードPC21がプレイヤにより閲覧可能なものである場合、この時点でプレイヤはサブコードPC21の修正をAI装置3に指示することも可能である。
【0082】
続いて、AI装置3からの「ゲーム△△△に実装しますか?」の問いかけのメッセージM21に対して、プレイヤが「はい。」というメッセージM22を入力したとすると、AI装置3により作成されたサブコードPC21がゲームプログラムGPに組み込まれる。この場合にも、ゲーム実行手段561により、新たなゲームプログラムGPの検証が
図9に示されるようなフローを通じて行われる。このようにしてチャット画面74においてプレイヤとAI装置3とが対話を繰り返すことにより、プレイヤの意図に沿ったAIを含み、且つゲームプログラムGPに実装可能なサブコードを作り上げることができる。
【0083】
このようにしてゲームプログラムGPへのサブコードPC21の実装が完了すると、そのサブコードPC21は、
図7に示される設定ボタン730aと紐付けられる。すなわち、プレイヤが設定ボタン730aを選択した場合には、プレイヤキャラクタP10は、サブコードPC21に対応した行動、例えば生存を重視し、且つ現在のキャラクタレベルに適した武器を優先的に使用するといった行動を自動的に行う。
【0084】
プレイヤは、他の設定ボタン730bに対応した指示ボタン732bを操作することにより、AI装置3との対話を通じて別のサブコードをゲームプログラムGPに実装することができる。別のサブコードとは、例えば育成効率を重視するような行動をプレイヤキャラクタP10に行わせることが可能なものである。プレイヤが設定ボタン730bを選択した場合には、プレイヤキャラクタP10は、育成効率を重視するような行動を自動的に行う。
【0085】
以上のように、プレイヤは、設定ボタン730a~730dのそれぞれに対して異なるサブコードを、換言すれば異なるAIを紐付けることが可能である。以下では、
図7に示されるAI設定画面73においてプレイヤが設定ボタン730aを選択した場合を例に挙げて説明する。本実施形態では、設定ボタン730a~730dが設定情報に相当し、設定ボタン730a~730dのいずれかを選択する操作が、設定情報を指定する操作に相当する。
【0086】
図4に示されるクエストボタン704は、プレイヤキャラクタP10を実際にAIで動作させるゲームを開始する際に操作するボタンである。クエストボタン704がプレイヤにより操作された場合、表示手段567は、
図13に示されるような実戦画面75をディスプレイ61に表示する。実戦画面75には、仮想ゲーム空間であるゲームフィールドF10が表示されるとともに、そのゲームフィールドF10に、プレイヤキャラクタP10の他、敵キャラクタE20~E22などが表示される。プレイヤキャラクタP10は、ゲームが開始されるとAIにより自動的に行動する。すなわち、プレイヤキャラクタP10は、生存を重視し、且つ現在のキャラクタレベルに適した武器を優先的に使用するといった行動を自動で行いつつ、敵キャラクタE20~E22との戦闘を繰り返しながら生き残ることを目的として行動する。なお、実戦画面75の左上には、プレイヤキャラクタP10の情報、例えばプレイヤキャラクタP10が有しているライフポイントやスキルポイントなどの情報が表示されていてもよい。
【0087】
なお、ゲームが一旦開始された場合、
図13に示される実戦画面75を表示し続けることなく、AIに任せてゲームからログアウト可能であってもよい。なお、プレイヤがログアウトした場合、生存確率SPに対して設定されている閾値SPthを実際の設定値よりも低くしてもよい。閾値SPthを低く設定することにより、プレイヤキャラクタP10の生存性が低くなるため、プレイヤキャラクタP10が苦戦する状況が多くなり、消費アイテムの消費数が増加することになる。また、プレイヤキャラクタP10の攻撃時に通常攻撃をより多く採用するようにする一方、スキル攻撃の消費頻度を低くしてもよい。
【0088】
その後、プレイヤキャラクタP10が最後の一人となるまで残るか、あるいはプレイヤキャラクタP10が敵キャラクタに倒されると、その時点でゲームが一旦終了する。この場合、表示手段567は、
図14に示されるようなリザルト画面76をディスプレイ61に表示する。リザルト画面76では、プレイヤキャラクタP10が獲得した経験値やアイテム、倒したノンプレイヤキャラクタや他のプレイヤキャラクタの数、回復アイテムの使用回数、プレイヤの順位などが表示される。プレイヤは、リザルト画面76の内容を確認しながら、より良い結果を残せるように、AI設定画面73を通じてプレイヤキャラクタP10のAIをAI装置3との対話を通じて改善していく。
【0089】
なお、設定ボタン730aに対応するゲームが一旦行われた場合には、
図15に示されるように、AI設定画面73には、設定ボタン730aに対応する指示ボタン732aの横にリザルトボタン733が新たに表示される。プレイヤはリザルトボタン733を操作することにより、設定ボタン730aに対応した前回のゲームのリザルト画面を確認することが可能である。これにより、プレイヤは、例えばリザルトボタン733を操作すれば、
図14に示されるようなリザルト画面76を直ぐに確認することができるため、プレイヤキャラクタP10のAIをより効率的に調整することが可能である。なお、設定ボタン730b~730dに関しても同様にリザルトボタンが表示される。
【0090】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
次に、
図16を参照して、ゲームシステム1の動作例について説明する。
図16に示されるように、本実施形態のゲームシステム1では、まず、プレイヤが、ゲーム装置5を操作してAI装置3との対話によりゲームの基本ルールの読み込みを要求すると(ステップS10)、AI装置3がゲームの基本ルールを読み込む(ステップS30)。続いて、プレイヤが、ゲーム装置5を操作してAI装置3との対話を通じて第1プレイヤルールを入力すると、ゲーム装置5の第1取得手段564が、入力された第1プレイヤルールを取得するとともに(ステップS11)、取得した第1プレイヤルールをAI装置3に送信する。これにより、AI装置3が、ゲームの基本ルール、第1プレイヤルール、および第1プレイヤルールを実現可能なゲームパラメータに対応したサブコードPC20を作成する(ステップS31)。
【0091】
続いて、ゲーム装置5の第2取得手段565が、AI装置3により作成されたサブコードPC20を取得すると(ステップS12)、ゲーム装置5のゲーム実行手段561が、サブコードPC20をゲームプログラムGPに組み込んだ後(ステップS13)、ゲームプログラムGPを検証する(ステップS14)。そして、ゲーム実行手段561は、ゲームプログラムGPにエラーが含まれているか否かを判定して(ステップS15)、エラーが含まれていない場合には(ステップS15:NO)、サブコードPC20が適用されたゲームプログラムGPを実行する(ステップS22)。
【0092】
ゲームプログラムGPにエラーが含まれている場合には(ステップS15:YES)、ゲーム実行手段561は、例えばエラーの一つである、ゲームプログラムGPにおいて実現されない制御処理である非実現制御処理を特定する(ステップS16)。そして、ゲーム装置5の要求手段563は、非実現制御処理を解消するための第2プレイヤルールの入力をプレイヤに要求するようにAI装置3に対して指示する(ステップS17)。続いて、AI装置3が、第2プレイヤルールの入力をプレイヤに対して要求した後(ステップS32)、その要求に基づいてプレイヤが第2プレイヤルールを入力すると、ゲーム装置5の第1取得手段564が、第2プレイヤルールを取得するとともに(ステップS18)、取得した第2プレイヤルールをAI装置3に送信する。これにより、AI装置3が、ゲームの基本ルール、第1プレイヤルール、第2プレイヤルール、および各プレイヤルールを実現可能なゲームパラメータに対応したサブコードPC20を作成する(ステップS33)。
【0093】
続いて、ゲーム装置5の第2取得手段565が、AI装置3により作成されたサブコードPC21を取得すると(ステップS19)、ゲーム装置5のゲーム実行手段561が、サブコードPC21をゲームプログラムGPに組み込んだ後(ステップS20)、ゲームプログラムGPにエラーが含まれているか否かを検証する(ステップS21)。そして、ゲーム実行手段561は、ゲームプログラムGPにエラーが含まれていない場合には、サブコードPC21が適用されたゲームプログラムGPを実行する(ステップS22)。
【0094】
以上をまとめると、本実施形態のゲームシステム1では、ゲーム装置5の制御部56(コンピュータ)を、ゲーム実行手段561(制御手段)と、第1取得手段564と、第2取得手段565と、要求手段563と、として機能させる。ゲーム実行手段561は、ゲームの基本ルール(所定のルール)が適用される仮想空間において所定のゲームパラメータ(制御パラメータ)に基づいて制御処理を実行するゲームプログラムGP(制御プログラム)を実行する。第1取得手段564は、プレイヤからAI装置3に対して入力される入力情報を取得する。要求手段563は、プレイヤにAI装置3に対する入力情報の入力を要求する。第2取得手段565は、AI装置3により生成されるサブコードPC20,PC21を取得する。第1取得手段564は、プレイヤにより入力される第1プレイヤルール(第1入力情報)を取得するとともに、第1プレイヤルール、ゲームの基本ルール、おびゲームパラメータを入力としてAI装置3により生成されるサブコードPC20を取得する。ゲーム実行手段561は、サブコードPC20が適用されたゲームプログラムGPにより実現されない制御処理である非実現制御処理を特定する。要求手段563は、非実現制御処理が特定されたことに応じて、第2プレイヤルール(第2生成情報)を生成するための第2プレイヤルール(第2入力情報)の入力をプレイヤに対して要求するメッセージ(要求情報)を出力する。第1取得手段564は、メッセージに基づいてプレイヤにより入力された第2プレイヤルールを取得する。第2取得手段565は、第2プレイヤルールおよび/または第1プレイヤルール、基本ルール、およびゲームパラメータを入力として、ゲームプログラムGPに適用されることで非実現制御処理を実現可能とするサブコードPC21(第2生成情報)を取得する。ゲーム実行手段561は、サブコードPC21が適用されたゲームプログラムGPを実行する。
【0095】
<効果>
上記のゲームシステム1では、プレイヤはAI装置3との対話を通じてプレイヤキャラクタP10のAIを作り上げることができるため、より容易にAIを作成することが可能となる。また、AIに非実現制御処理が含まれている場合には、AI装置3との対話を通じて非実現制御処理を解消することができるようにゲームプログラムGPを修正することができる。よって、プレイヤの利便性を向上させることができる。
【0096】
上記のゲームシステム1では、第1プレイヤルールおよび第2プレイヤルールが、第1プレイヤルールが適用される前のゲームプログラムGPにおいて、予め設定されているプレイヤキャラクタP10の生存確率SPの範囲(候補)の中から閾値SPth(制御パラメータ)を指定する情報である。
【0097】
このように第1プレイヤルールおよび第2プレイヤルールを設定すれば、プレイヤキャラクタP10のAIを容易に設定することが可能となる。
上記のゲームシステム1では、ゲーム実行手段561は、プレイヤによる入力操作に基づいて、
図7に示される設定ボタン730a~730dのそれぞれに、AI装置3により生成されるサブコードPC20,PC21を関連付ける。ゲーム実行手段561は、プレイヤキャラクタP10の自動制御が実行される一つのターンのゲームを開始する際に、プレイヤによる入力操作に基づいて設定ボタン730a~730dのいずれかの指定を受け付け、指定された設定ボタンに関連付けられたサブコードPC20,PC21に基づいて仮想ゲーム空間においてプレイヤキャラクタP10の自動制御を実行する。
【0098】
この構成によれば、プレイヤは設定ボタン730a~730dのいずれかを指定することにより、プレイヤ自身が望むAIによりプレイヤキャラクタP10を行動させることが可能となる。
ゲーム実行手段561は、プレイヤにより指定された設定ボタンに基づいて一つのターンのゲームを実行する。第1取得手段564は、例えばサブコードPC20を修正するための新たなサブコードをAI装置3に出力させるためのプレイヤルールをプレイヤから取得する。サブコードPC20を修正するためのプレイヤルールをプレイヤが入力するために、
図15に示されるAI設定画面73においてリザルトボタン733をプレイヤが操作した際に、表示手段567は、一つのターンのゲームに含まれるプレイヤキャラクタP10の自動制御の結果を、
図14に示されるようなリザルト画面76に表示する。
【0099】
この構成によれば、リザルト画面76を見ながらプレイヤキャラクタP10のAIを修正することが可能となるため、より効率的にAIを修正することが可能となる。
<変形例>
次に、第1実施形態のゲームシステム1の変形例について説明する。
【0100】
上記実施形態では、ゲームパラメータとして、プレイヤキャラクタP10の生存確率SPに対して設定される閾値SPthを例示したが、ゲームパラメータはこれに限定されない。例えばゲームパラメータは、予め定められている複数種類のプログラムモジュールのうちの単数または複数を指定するものであってもよい。プログラムモジュールは、プレイヤキャラクタP10のモーションを定義するものである。プレイヤキャラクタP10のモーションとは、例えば敵キャラクタを倒したときに決めポーズを行うというものである。
【0101】
また、ゲームパラメータは、プレイヤルールを適用する前のゲームプログラムGPにおいて設定されていない新たなゲームパラメータを追加するものであってもよい。例えば、ゲームパラメータは、プレイヤルールを適用する前のゲームプログラムGPにおいて定義されていない新たなモーションをプレイヤキャラクタP10に行わせるプログラムモジュールであってもよい。したがって、プレイヤが設定する第1プレイヤルールおよび第2プレイヤルールは、各プレイヤルールが適用される前のゲームプログラムGPにおいて、予め設定されていないゲームパラメータ(制御パラメータ)を追加する情報であってもよい。
【0102】
[第2実施形態]
次に、本開示のゲームシステム1の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態のゲームシステム1との相違点を中心に説明する。
AI装置3により作成されるサブコードPC20,PC21をゲームプログラムGPに実装した場合、プレイヤキャラクタP10の行動が、ゲーム運営側が許容している行動を逸脱する可能性がある。例えば生存確率SPに対して設定される閾値SPthが高すぎるようなサブコードPC20がAI装置3により作成された場合、そのようなサブコードPC20をゲームプログラムGPに実装すると、プレイヤキャラクタP10が退却の行動ばかりを行ってゲームプレイが成立しない可能性がある。
【0103】
そこで、本実施形態のゲームプログラムGPには、プレイヤキャラクタP10の制御処理の制御態様を制限する制限情報が含まれている。制限情報は、例えば生存確率SPが0%から100%までの値を取り得る場合、その閾値SPthは10%から90%までの範囲の値に制限するという情報である。ゲーム実行手段561は、
図9に示されるステップS11の処理において、サブコードPC20またはサブコードPC21が実装されたゲームプログラムGPを検証する際に、そのゲームプログラムGPに、ゲーム運営側が許容している行動を逸脱するような情報が含まれているか否かを判断する。例えば、ゲーム実行手段561は、閾値SPthが10%から90%までの範囲であるか否かを判断し、その範囲に閾値SPthが入っていない場合には、プレイヤキャラクタP10の行動が、ゲーム運営側が許容している行動を逸脱する可能性があると判断する。この場合、ゲーム実行手段561は、サブコードPC20またはサブコードPC21が適用されたゲームプログラムGPを実行せずに、閾値SPthを10%から90%までの範囲に制限する。例えば閾値SPthが95%に設定されている場合、ゲーム実行手段561は閾値SPthを90%に調整する。
【0104】
<効果>
このように、本実施形態のゲームシステム1では、ゲーム実行手段561が、サブコードPC20またはサブコードPC21に基づくプレイヤキャラクタP10の制御処理が制限情報を逸脱する場合には、逸脱の要因となる制御処理を実行させるサブコードPC20またはサブコードPC21をゲームプログラムGPに適用しない。
【0105】
この構成によれば、制限情報を逸脱するような行動をプレイヤキャラクタP10が行わなくなるため、ゲーム運営側が望むようなゲームを実現し易くなる。
<第1変形例>
次に、第2実施形態のゲームシステム1の第1変形例について説明する。
【0106】
ゲーム実行手段561が閾値SPthを調整するという方法に代えて、AI装置3が、プレイヤに対して閾値SPthの調整を促すようなメッセージをチャット画面74に表示してもよい。例えば、ゲーム実行手段561が、逸脱の要因となる制限処理を実行するサブコードPC20を特定した場合、ゲーム装置5の要求手段563は、特定されたサブコードPC20が制限情報を逸脱しないようにするための第3プレイヤルール(第3入力情報)の入力をプレイヤに要求するメッセージ(要求情報)をチャット画面74にAI装置3を介して出力する。第3プレイヤルールは、サブコードPC20が制限情報を逸脱しないようにするための新たなサブコードPC22(第3生成情報)をAI装置3に生成させるためのものである。例えばサブコードPC20において閾値SPthが95%に設定されているような場合、第3プレイヤルールの入力をプレイヤに要求するメッセージとは、具体的には、「プレイヤキャラクタの生存性を重視し過ぎています。もう少しプレイヤキャラクタにリスクを伴う行動をさせて下さい。」というような内容である。
【0107】
このような構成によれば、プレイヤとAI装置3との対話を通じてプレイヤルールを改善することが可能であるため、より理想的なAIを作成することが可能となる。
<第2変形例>
次に、第2実施形態のゲームシステム1の第2変形例について説明する。
【0108】
上記実施形態では、ゲームパラメータとして、プレイヤキャラクタP10の生存確率SPに対して設定される閾値SPthを例示したが、ゲームパラメータは、第1実施形態の変形例と同様に、新たなモーションをプレイヤキャラクタP10に行わせるプログラムモジュールであってもよい。例えば他のプレイヤが操作する敵プレイヤキャラクタP10を倒した後に、その敵キャラクタの上に自身のプレイヤキャラクタP10が乗って攻撃ポーズを繰り返す煽り行動などが、ゲーム運営側が許容している行動を逸脱する行動となる。このようなプログラムモジュールに対して、上記の第2実施形態およびその第1変形例と同様の処理を適用してもよい。
【0109】
[第2実施形態]
次に、本開示のゲームシステム1の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態のゲームシステム1との相違点を中心に説明する。
本実施形態のゲームシステム1では、プレイヤキャラクタP10が敵キャラクタE20~E22と実際に戦闘を行う実戦モードだけでなく、プレイヤキャラクタP10に模擬的な戦闘を行う模擬戦モードが実装されている。模擬戦モードでは、プレイヤキャラクタP10の戦闘内容を見ながらプレイヤキャラクタP10にリアルタイムで指示を出すことにより、プレイヤキャラクタP10のAIを調整することが可能である。
【0110】
具体的には、
図4に示されるトップ画面70においてクエストボタン704がプレイヤにより操作された場合、表示手段567は、
図17に示されるような選択画面77をディスプレイ61に表示する。
図17に示されるように、選択画面77には、模擬戦ボタン770と、実戦ボタン771とが設けられている。
【0111】
模擬戦ボタン770は、プレイヤキャラクタP10に模擬戦を行わせるためのボタンである。模擬戦ボタン770がプレイヤにより操作された場合、表示手段567は、
図18に示されるような模擬戦画面78をディスプレイ61に表示する。
図18に示されるように、模擬戦画面78は、
図13に示される実戦画面75と同様に、ゲームフィールドF10、プレイヤキャラクタP10、および敵キャラクタE20,E21などが表示される。また、模擬戦画面78の右側部分には、表示領域780と、入力領域781とが設けられている。
【0112】
図17に示される選択画面77から、
図18に示される模擬戦画面78に遷移すると、例えば設定ボタン730aに対応したAIでプレイヤキャラクタP10が自動的に一つのターンの模擬戦を開始する。模擬戦モードは、プレイヤキャラクタP10の行動を見ながらAI挙動を調整するためのモードである。模擬戦モードでは、プレイヤが設定したゲームパラメータが適切であるか否かを効率的に判定することができるように、実戦モードよりも速いペースでノンプレイヤキャラクタが次々に出現する。また、ゲームパラメータが適切であるか否かをプレイヤが判断し易くするために、ノンプレイヤキャラクタの各種パラメータは実戦モードから調整されている。
【0113】
プレイヤは、プレイヤキャラクタP10の行動を見ながら、プレイヤキャラクタP10に対する各種指示を入力領域781に文字で入力することができる。プレイヤにより入力された各種指示は表示領域780に順次表示される。例えば、模擬戦モードでは、非常に弱い敵から非常に強い敵まで順次出現するため、敵の強さに応じてゲームパラメータを徐々に変化させるような設定することが可能である。また、逃げるべき敵キャラクタとプレイヤキャラクタP10が戦ってしまったような場合には、その時点で、敵キャラクタとの戦闘を回避するといった指示をプレイヤが入力領域781に入力すると、その指示内容がプレイヤキャラクタP10のAIに反映される。
【0114】
具体的には、プレイヤが入力領域781に指示内容を入力すると、その指示内容をプレイヤルールとしてゲーム装置5の第1取得手段564が取得する。第1取得手段564は、取得したプレイヤルールをAI装置3に送信する。AI装置3は、第1取得手段564から送信されたプレイヤルールを受信すると、受信したプレイヤルール、ゲームの基本ルール、およびプレイヤルールに対応したゲームパラメータに基づいてサブコードを作成する。AI装置3により作成されたサブコードはゲーム装置5の第2取得手段565により取得される。ゲーム実行手段561は、第2取得手段565により取得されたサブコードをゲームプログラムGPに実行することにより、プレイヤの指示内容をプレイヤキャラクタP10のAIに反映させる。
【0115】
このように模擬戦モードでは、プレイヤが、模擬戦におけるプレイヤキャラクタP10の実際の行動を見ながら、プレイヤキャラクタP10のAIを調整することが可能である。
図17に示される実戦ボタン771がプレイヤにより操作された場合、
図13に示されるような実戦画面75が表示されて、プレイヤキャラクタP10とキャラクタE20~E22との戦闘が開始される。
【0116】
<効果>
本実施形態のゲームシステム1では、ゲーム実行手段561が、プレイヤキャラクタP10の自動制御が実行される一つのターンのゲームの進行を開始する。第1取得手段564は、一つのターンのゲームを進行させている間に、プレイヤルールを取得する。第2取得手段565は、一つのターンのゲームを進行させている間に、プレイヤルールに基づくサブコードをAI装置3から取得する。ゲーム実行手段561は、一つのターンのゲームを進行させている間に、サブコードが適用されたゲームプログラムGPに基づいてプレイヤキャラクタP10の自動制御を実行する。
【0117】
この構成によれば、プレイヤはプレイヤキャラクタP10の実際の行動を見ながらリアルタイムでAIを調整することができるため、利便性を更に向上させることができる。
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であり、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0118】
例えば、第1実施形態の要求手段563は、サブコードPC20に非実現制御処理が含まれている場合、それを解消することが可能な第2プレイヤルールの入力をプレイヤにAI装置3を介して要求するものであった。これに代えて、例えば、ゲーム実行手段561は、非実現制御処理が、過去の設定と比較して複数回共通している制御処理である場合には、非実現制御処理を解消することが可能なサブコードとして過去の設定内容を流用してもよい。例えば、アイテムの自動生成に関する処理が非実現制御処理である場合であっても、且つ過去の設定においてプレイヤがアイテムの自動生成を常にオンしている場合、ゲーム実行手段561は、アイテムを自動で作成するサブコードをゲームプログラムGPに自動で組み込んでもよい。あるいは、ゲーム実行手段561は、ゲーム内のランキングが同レベルの他のプレイヤが設定している設定内容を取得して、それをデフォルト設定とするサブコードをゲームプログラムGPに自動で組み込んでもよい。これにより、非実現制御処理に対応するプレイヤルールを設定する手間を省略することが可能である。
【0119】
上記実施形態のゲームは、プレイヤ自身の操作を基本としつつも、プレイヤキャラクタP10の一部の行動が自動制御されるというゲームであってもよい。
上記実施形態のゲームは、プレイヤキャラクタP10を自動で制御するものであったが、仮想空間自体を自動で制御するものであってもよい。例えば、プレイヤがAI装置3との対話を通じて「ここに川を作って」と指示したときに、AI装置3が「その場合、村が洪水になる可能性があります。堤防を作りますか?」と回答した後、プレイヤがAI装置3に対して「堤防を作って」と回答すると、仮想空間に川および堤防を作るサブコードをAI装置3が作成する。このような構成を例えば第2実施形態のゲームシステム1に適用すれば、模擬戦モードの際にプレイヤがAI装置3に対して指示することにより、自身の好みに合ったゲームフィールドで模擬戦を実行することが可能である。
【0120】
上記のゲームは、バトルロワイヤル形式のゲームに限らず、例えば次々に発生する新たな敵を倒し続けて、ひたすら生存し続けることを目指すゲームであってもよい。この場合、そのゲームのルールが基本ルールに相当する。また、このような生存を目指すゲームは、例えばプレイヤキャラクタP10のライフが零になって戦闘不能になったら一定時間だけ動けなくなるとともに、一定時間が経過した時点でスタート地点から復活できるような内容であってもよい。このようなゲームでは、プレイヤルールとして、例えばライフを回復させることが可能な回復アイテムを適宜使用して戦闘不能にならないようなルールや、戦闘不能になることを覚悟して回復アイテムを可能な限り消費しないようなルールなどを設定可能である。
【0121】
上記の実施形態では、ゲーム装置5とAI装置3とが別々に設けられている場合について例示したが、例えばAI装置3に対応するAIプログラムがゲームプログラムに実装されていてもよい。すなわち、AI装置3の機能がゲーム装置5に一体化されていてもよい。
上記の実施形態では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示したが、ゲーム装置5は、ゲームセンターなどに提供されるアミューズメント機器であってもよい。
【0122】
上記のゲームは、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、およびパズルゲームなどであってもよく、様々な種類のゲームに適用することができる。
上記の実施形態では、オブジェクトがプレイヤキャラクタP10である場合を例示したが、これに限定されない。例えば、オブジェクトは、仮想ゲーム空間内で使用されるカードやアイテム(武器、防具などの装備品)などであってもよい。
【0123】
上記の実施形態では、サーバ装置2および複数のゲーム装置5が一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。ゲームプログラムのすべての手段が、サーバ装置2単体、ゲーム装置5単体、サーバ装置2およびゲーム装置5とは別の通信端末単体、これらのうちの組み合わせ可能な2つの装置(例えばサーバ装置2とゲーム装置5での分散処理など)に備えられていてもよい。また、サーバ装置2、ゲーム装置5、および通信端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかに関しても適宜変更が可能である。
【0124】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0125】
56:制御部(コンピュータ)、561:ゲーム実行手段(制御手段、制御部)、563:要求手段(要求部)、564:第1取得手段(第1取得部)、565:第2取得手段(第2取得部)、567:表示手段(表示部)。