(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160508
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075592
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511216318
【氏名又は名称】廣東雅思電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG ACE-TEC CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.420, Jinxing Road Xixi Industrial Park, Liaobu Town DongGuan, Guangdong, 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴三代
(72)【発明者】
【氏名】楊 暁川
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ24
4C053JJ36
(57)【要約】
【課題】 3個の略半球状体の最適な配置方法を創出することにより、従来よりも優れた美容効果を奏する美容器を提供すること。
【解決手段】 本体に3個の略半球状体を1組とする半球状体群を少なくとも1つ以上備える美容器であって、該半球状体群は、使用者の肌面から見て第1の辺長の底辺と、該第1の辺長と異なる第2の辺長の等辺とを有する略二等辺三角形の頂点上に該略半球状体を配置し、該略半球状体を肌面に接触させて使用する美容器を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に3個の略半球状体を1組とする半球状体群を少なくとも1つ以上備える美容器であって、
該半球状体群は、使用者の肌面から見て第1の辺長の底辺と、該第1の辺長と異なる第2の辺長の等辺とを有する略二等辺三角形の頂点上に該略半球状体を配置し、
該略半球状体を肌面に接触させて使用する
ことを特徴とする美容器。
【請求項2】
前記略二等辺三角形の頂角が25度ないし45度である
請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
前記略二等辺三角形の頂角が80度ないし120度である
請求項1に記載の美容器。
【請求項4】
1つの前記半球状体群に属する前記略半球状体のうち少なくとも2個の略半球状体の表面に電極領域を設け、
該略半球状体間の肌面に対して通電する
請求項1ないし3のいずれかに記載の美容器。
【請求項5】
1つの前記半球状体群に属する前記略半球状体の3個の略半球状体の表面に電極領域を設け、
頂点を含む2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する
請求項4に記載の美容器。
【請求項6】
1つの前記半球状体群に属する前記略半球状体の3個の略半球状体の表面に電極領域を設け、
2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する構成であって、その組合せを時間により変化させる
請求項4に記載の美容器。
【請求項7】
前記電極からの通電が、
少なくとも2種類以上の周波数に変化させながら流す通電パターンを用いる
請求項4に記載の美容器。
【請求項8】
前記略二等辺三角形の底辺の両端に位置する前記略半球状体がそれぞれ外側に傾斜させて設けられる、
請求項4に記載の美容器。
【請求項9】
本体と、該本体に着脱可能なアタッチメントとからなる美容器であって、
該アタッチメントは、
本体に3個の略半球状体を1組とする半球状体群を少なくとも1つ以上備え、
該半球状体群は、使用者の肌面から見て第1の辺長の底辺と、該第1の辺長と異なる第2の辺長の等辺とを有する略二等辺三角形の頂点上に該略半球状体を配置し、
該略半球状体を肌面に接触させて使用する
ことを特徴とする美容器。
【請求項10】
1つの前記半球状体群に属する前記略半球状体のうち少なくとも2個の略半球状体の表面に電極領域を設け、
該略半球状体間の肌面に対して通電する
請求項9に記載の美容器。
【請求項11】
1つの前記半球状体群に属する前記略半球状体の3個の略半球状体の表面に電極領域を設け、
頂点を含む2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する
請求項10に記載の美容器。
【請求項12】
前記美容器の前記アタッチメントと交換して着脱可能なブラシアタッチメントを備え、
該ブラシアタッチメントは、多数のピンを有するピン体を備えるブラシ状である
ことを特徴とする美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の作用部位に美容作用を及ぼす美容器に関し、特に美容器に備える半球状体群により美容作用を及ぼす技術に係る。
【背景技術】
【0002】
美容器において、略半球状の電極を少なくとも2個以上備えて、電極が肌を挟むように構成し、電極から肌に対して通電する構成とした美容器は従来提供されている。
特許文献1には、RF(Radio Frequency)電極とEMS(Electrical Muscle Stimulation)電極を含んで先端が丸い頭部を4個備え、頭部が皮膚と接触して刺激を与える美容装置が開示されている。4個の頭部の連結線は四角形に形成され、2個のRF電極は対角線上に位置し、2個のEMS電極は他の対角線上に位置することが示されている。
【0003】
特許文献2には、筐体と、筐体に形成された支軸部と、少なくとも一部が筐体の外側に露出した状態で支軸部に軸支され、肌面に当接可能な4つの施術部と、支軸部を当該支軸部に形成された中心軸に対する周方向に回転させる駆動部等を備え、支軸部の回転に応じて施術部が回転する美容器が開示されている。施術部は回転すると同時に、EMS発生回路を備えてマッサージ効果を高めることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、本体ケースと、肌面上を転動可能なローラを含む肌接触体を備え、少なくとも2個のローラが隣り合って配置される構成が開示されている。各ローラ109の回転軸は所定の交差角度を有して配置され、ローラが肌面に電流を供給する肌電極となっている。
【0005】
特許文献4には、ローラから身体の目的部位に電流を流し、マッサージするマッサージ器であって、マッサージ器本体の底面に設けられた複数のローラとから成る物品の意匠が開示されている。
【0006】
また、出願人であるヤーマン株式会社による2018年1月15日発売のアセチノリフトEMSは、3つのローラーを正三角形の各頂点に配置し、ローラで揉み出してEMSにより表情筋を刺激する美容器として提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】登実3226151
【特許文献2】特開2022-87853号公報
【特許文献3】特開2017-70674号公報
【特許文献4】意匠登録第1657147号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術によると、複数のローラーを備えて肌に接触させ美容効果を及ぼすための製品は多く提供されている。
一方、ローラーは等間隔で配置されており、ローラーの配置方法に特徴を有するものは提供されていない。
【0009】
本発明は、3個の略半球状体の最適な配置方法を創出することにより、従来よりも優れた美容効果を奏する美容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は次のような美容器を提供する。
すなわち、本発明の第1の実施態様によれば、本体に3個の略半球状体を1組とする半球状体群を少なくとも1つ以上備える美容器であって、半球状体群は、使用者の肌面から見て第1の辺長の底辺と、第1の辺長と異なる第2の辺長の等辺とを有する略二等辺三角形の頂点上に略半球状体を配置し、略半球状体を肌面に接触させて使用することを特徴とする美容器を提供する。
【0011】
本発明の第2の実施態様によれば、上記の略二等辺三角形の頂角が25度ないし45度であってもよい。
【0012】
本発明の第3の実施態様によれば、上記の略二等辺三角形の頂角が80度ないし120度であってもよい。
【0013】
本発明の第4の実施態様によれば、1つの上記の半球状体群に属する上記の略半球状体のうち少なくとも2個の略半球状体の表面に電極領域を設け、略半球状体間の肌面に対して通電する美容器を提供することができる。
【0014】
本発明の第5の実施態様によれば、1つの上記の半球状体群に属する上記の略半球状体の3個の略半球状体の表面に電極領域を設け、頂点を含む2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する構成でもよい。
【0015】
本発明の第6の実施態様によれば、1つの上記の半球状体群に属する上記の略半球状体の3個の略半球状体の表面に電極領域を設け、2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する構成であって、その組合せを時間により変化させることもできる。
【0016】
本発明の第7の実施態様によれば、上記の電極からの通電が、少なくとも2種類以上の周波数に変化させながら流す通電パターンを用いることもできる。
【0017】
本発明の第8の実施態様によれば、上記の略二等辺三角形の底辺の両端に位置する略半球状体がそれぞれ外側に傾斜させて設けられる構成でもよい。
【0018】
本発明の第9の実施態様によれば、本体と、本体に着脱可能なアタッチメントとからなる美容器であって、アタッチメントは、本体に3個の略半球状体を1組とする半球状体群を少なくとも1つ以上備え、半球状体群は、使用者の肌面から見て第1の辺長の底辺と、第1の辺長と異なる第2の辺長の等辺とを有する略二等辺三角形の頂点上に略半球状体を配置し、略半球状体を肌面に接触させて使用することを特徴とする美容器を提供することができる。
【0019】
本発明の第10の実施態様によれば、第9の実施態様において、1つの上記の半球状体群に属する上記の略半球状体のうち少なくとも2個の略半球状体の表面に電極領域を設け、略半球状体間の肌面に対して通電する構成でもよい。
【0020】
さらに本発明の第11の実施態様によれば、1つの上記の半球状体群に属する略半球状体の3個の略半球状体の表面に電極領域を設け、頂点を含む2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する構成でもよい。
【0021】
本発明の第12の実施態様によれば、第9の実施態様における美容器のアタッチメントと交換して着脱可能なブラシアタッチメントを備え、ブラシアタッチメントは、多数のピンを有するピン体を備えるブラシ状であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成により次のような効果を奏する。
美容器に設ける半球状体群について、使用者の肌面から見て第1の辺長の底辺と、第1の辺長と異なる第2の辺長の等辺とを有する略二等辺三角形の頂点上に略半球状体を配置することによって、異なる距離の半球状体に挟まれる肌面に対して強弱や範囲に差が生じさせ多様な美容効果を奏することができる。
【0023】
また、略半球状体を電極とする構成では、電極間の距離が異なることによって電気的な美容作用も変化し、異なる体感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】本発明に係る半球状体群の配置を説明する正面図。
【
図4】本発明に係る半球状体群の配置を説明する左側面図。
【
図5】本発明に係る半球状体群の配置を説明する平面図。
【
図10】ブラシアタッチメントの態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
図1は本発明に係る美容器(1)の正面側斜視図、
図2は同、背面側斜視図である。美容器は略棒状の本体(10)の一方が使用者が把持する把持部(11)、他方が美容作用を及ぼすアプリケータ部(12)から構成される。
【0026】
本体(10)には操作スイッチ(13)(14)と共に、給電手段である充電池、制御手段である制御回路などが内蔵され、図示しない充電端子から充電して携行使用が可能である。操作スイッチ(13)(14)は電源のオンオフの他、通電する電流のレベル調整、モード調整などの機能を付与しうる。また背面側にはLEDによる点灯部(15)を設け、使用状態により発光色を変えることで、作用中の美容効果が直感的に把握できるようにしている。
【0027】
本実施例は、アプリケータ部(12)に3個の略半球状体の第1ボール(21)、第2ボール(22)、第3ボール(23)を1組とする半球状体群を備えたアタッチメント(20)が着脱自在に構成されており、美容作用の種類や作用部位に応じてブラシアタッチメントを随意に交換することができる。
【0028】
なお、本発明におけるアプリケータ部(12)には第1ないし第3ボール(21)(22)(23)を直接備えてもよく、必ずしも着脱可能とした構成に限定されない。以下において説明するアタッチメント(20)は、いずれもアプリケータ部(12)に固設、あるいは一体的な構成でもよい。
【0029】
図3は、本発明に係る半球状体群の配置を説明する正面図、
図4は同、左側面図、
図5は同、平面図である。
アタッチメント(20)は正面視において上下方向に長い略楕円形状であり、上縁と下縁にはアタッチメント(20)の着脱時に指を掛けやすくする膨出部(24)(24)がそれぞれ形成される。
【0030】
アタッチメント(20)の中央下側には第1ボール(21)、中央上側には第2ボール(22)と第3ボール(23)が左右に並列して配設される。第1ないし第3ボール(21)(22)(23)は正面視において略二等辺三角形の頂点上に配置され、第2ボール(22)と第3ボール(23)の間の第2の辺長である底辺が相対的に短く、第1ボール(21)と第2ボール(22)又は第3ボール(23)の間の第2の辺長である等辺が相対的に長く構成される。
【0031】
本実施例において、各ボールの中心を結んだ時の等辺の長さは約32mm、底辺の長さは約24mmであり、第1ボール(21)における頂角αは約45度である。またボールの直径は約15mm、アタッチメント(20)の基盤(25)からボールの最高点までの高さが約9.5mmである。
【0032】
大きさはあくまでも例でありこれに限定されないが、肌に対して有効な寸法としては、ボールの直径は8mmないし25mm、高さが5mmないし25mmの範囲が好ましい。
また、底辺と等辺はどちらが長くても良いが、両者は異なる辺長であることが必須であり、ボールとボールの間の離隔距離(ボール表面同士の最短距離)として相対的に短い方が6mmないし20mm、相対的に長い方が11mmないし25mmとし、少なくとも両者は5mm以上異なることが好ましい。
【0033】
本発明では、このように第1ないし第3ボール(21)(22)(23)を二等辺三角形の頂点上に配置することを特徴とするが、本実施例のように縦長に配置する場合の頂角αは25度ないし45度の範囲が好ましい。これ以上小さい場合には等辺の長さが長くなりすぎて十分な美容作用を得にくくなり、これ以上大きい場合は、等辺と底辺との長さの差が小さく、本発明による効果を感じにくくなる。
【0034】
一方、アタッチメントを横長に配置する場合の頂角αは80度ないし120度の範囲が好ましい。この範囲が好ましい臨界的意義も上記同様である。
【0035】
ところで本発明は、3個の略半球状体を1組とする半球状体群を少なくとも1つ以上備えれば良いので、半球状体群は1つだけでなく複数個備えてもよい。例えば半球状体群を横に2つ配列して6個の略半球状体で構成してもよい。このとき1つの略半球状体は隣り合う半球状体群で兼用してもよい。例えば本実施例の第3ボール(23)を右に隣接する半球状体群における第2ボールとして兼用し、計5個の略半球状体で形成してもよい。
【0036】
第2ボール(22)、第3ボール(23)はそれぞれ外側に傾斜させて設けることもできる。本実施例ではさらに第1ボール(21)も外側に傾斜させている。
図4及び
図5を用いて具体的に説明すると、第2ボール(22)及び第3ボール(23)はアタッチメント(20)の中央から上方外側にβ度傾斜させる一方、第1ボール(21)はアタッチメント(20)の中央から下方外側にγ度傾斜させている。
同時に、第2ボール(22)及び第3ボール(23)はアタッチメント(20)の中央から左右外側にもδ度、ε度それぞれ傾斜させている。
【0037】
傾斜のために第1ないし第3ボール(21)(22)(23)の基部には基盤(25)との間に台座(26)(27)(28)を設け、第1ないし第3ボール(21)(22)(23)自体は高さ方向に対して対称形としている。
このように外側に傾斜させることによってボールの頂点が正面から使用者の肌面に接して尖った感触を与えることを防ぎ、同時に肌面を摺動させたときに向きによって変化のある独特の感触を提供することができる。
【0038】
本実施例においてβ、γ、δ、εはいずれも約5度である。基盤(25)に対して直角方向からの傾斜角度は任意であるが、効果が有効であって、肌面との摺動がスムーズに行える範囲として3度ないし10度の範囲が好ましい。
また、特に略二等辺三角形の底辺の両端に位置する略半球状体を外側に傾斜することが好ましく、γのみ、あるいはδ及びεのみを傾斜させてもよい。
【0039】
本実施例の第1ないし第3ボール(21)(22)(23)は回転することがなく固定した状態で提供されるが、周知の軸構造になどによって各ボールは回転する構成でもよい。また、このときの回転軸を基盤に対して傾斜させることで回転時に各ボールの離隔距離が変化するように構成してもよい。
【0040】
本発明の第1ないし第3ボール(21)(22)(23)の表面は三角形の微小平面の組み合わせから形成され、摺動時に適度な凹凸を感じさせると共に、美匠性を向上させている。特に金属やメッキ等の反射性のある材料で形成することが好ましい。
【0041】
図6は、本発明に係る半球状体群の別実施例1である。別実施例1は上記実施例のように基部に向けて漸次直径が大きくなる末広がり形状ではなく、基盤(25)から略球状にボール(60)を突設して形成した形態である。
別実施例1のボール(60)は外側に傾斜せずに設けているが、上記実施例と同様に傾斜させてもよい。
【0042】
図7は、本発明に係る半球状体群の別実施例2である。別実施例2は上記実施例同様に末広がり形状としつつ、台座(26)(27)(28)を設けず外側に傾斜しない態様である。
【0043】
図8は、本発明に係る半球状体群の別実施例3である。別実施例3は第1ボール(81)は中央側、すなわち上方のみ基盤(25)に向けて末広状の曲面で形成し、その他の向きは略直線状の傾斜面で形成している。また第2ボール(82)(83)は本体(10)の長手方向の中心線側、すなわち右方及び左方のみ基盤(25)に向けて末広状の曲面で形成し、その他の向きは略直線状の傾斜面で形成している。
【0044】
第1ないし第3ボール(21)(22)(23)を導電性材料で形成して電極の機能を付与することもできる。以下、電気的美容作用を及ぼす構成について説明する。
すなわち、1つの半球状体群に属する略半球状体のうち少なくとも2個の略半球状体の表面に電極領域を設け、略半球状体間の肌面に対して通電することができる。
電極領域はボールの表面全体ではなく肌面に当接可能な一部の領域でもよい。
【0045】
本実施例ではすべてのボールの表面を電極領域とし、本体(10)に内蔵した充電池から給電し制御回路で制御された電流を電極領域に通電する。
例えば、第2ボール(22)を第1の電極とし、第1ボール(21)と第3ボール(23)を第2の電極として、第1の電極と第2の電極間で通電することができる。
【0046】
本発明の電気的美容作用は、ボールの摺動によるカッサマッサージ同様の作用と共に組み合わせて実施することが好ましく、EMSに適した電流のうち低周波の交流電流(例えば1Hzないし100Hz)を通電することが特に好ましい。ただし、本発明において電流の周波数や電圧は任意である。1kHzないし10KHzなどの中周波、EMSと合わせて、あるいはEMSの代わりにマイクロカレントを通電してもよい。
【0047】
第1ないし第3ボール(21)(22)(23)を上記のように二等辺三角形の頂点上に配置して底辺と等辺の長さが異なることによって、距離に応じて電気的作用の強弱、すなわち体感に変化が生じ、多様な美容作用を奏することができる。従来、2種類の電気的美容作用を感じさせるためには、電圧の異なる2つの制御が必要であったが、本発明のボール配置によれば、これをより簡易に実現することができる。
【0048】
上記第1の電極と第2の電極は時間的に変化させてもよい。すなわち、2個の略半球状体と、残る1個との間で肌面に対して通電する際に、その組合せを時間により変化させることができる。例えば、第1の電極を最初に第1ボール(21)、時間の経過に伴って第2ボール(22)、第3ボール(23)と順次変化させ、その他の2個のボールとの間で通電させてもよい。
【0049】
図9は本実施例に係る通電パターンを説明する図である。
図示されるように、第1の区間では徐々に電圧を高くしながら相対的に低い周波(5Hz)のパルス電流を1.8秒間流す。最大の電圧は67V程度である。第2の区間では高くなった電圧のまま相対的に高い周波(25Hz)のパルス電流を3秒間流し、第3の区間で0.5秒間休止する。この通電パターンを繰り返すことが好ましい。
【0050】
この他、本発明の通電パターンとしては、少なくとも2種類以上の周波数に変化させながら流すことができる。相対的に低い周波数から高い周波数に変化させるだけでなく、高い周波数から低い周波数に変化させる構成、高い電圧から徐々に電圧を低くする構成などでもよい。
交互に出力を切り替えることで、筋肉をポンプアップさせる作用を奏することができる。
【0051】
図10は、美容器(1)の上記アタッチメント(20)と交換して着脱可能なブラシアタッチメント(100)を装着した状態を示す斜視図である。ブラシアタッチメント(100)には多数のピンを有するピン体(110)を備え、使用者が把持して主に頭髪、頭皮に美容作用を及ぼすことができる。
【0052】
本実施例では、ピン体(110)には細く髪を梳かすための細ピン(111)と、先端に球状の電極(113)を備えた電極ピン(112)との2種類のピンが配置されている。電極ピン(112)は12個が分散して配置され、所定の電極ピン(112)間で通電可能に構成している。なお、ピン体(110)に球状の電極(113)を備えることは任意であり、先細のピンの先端形状で電極を備えてもよい。
【0053】
このように電極ピン(112)の先端に球状の電極(113)を設けることによって、ピンを先細りの先端に形成する場合に比して接触面積を増やし、電気的美容作用をより効果的に及ぼすことができる。
【0054】
また、本ブラシアタッチメント(100)は、細ピン(111)及び電極ピン(112)の高さが上下方向において中央が低くなるように形成されている。このようにピンの高さを変化さえることで、頭皮により密着しやすく構成している。
【0055】
そして、
図11に示すように、ブラシアタッチメント(100)とアタッチメント(20)は着脱して交換が可能である。
本体(10)のアプリケータ部(12)は、略楕円形の凹部(120)であり、当該凹部(120)にアタッチメント基台(29)(114)が嵌着する。
凹部(120)とアタッチメント基台(29)(114)とが互いに磁着するように磁性体が設けられており、ある程度近接させるとブラシアタッチメントがカチッと装着される。
【0056】
さらに、凹部(120)には本体側電極(121)(122)(123)、アタッチメント基台(28)にアタッチメント側電極を備え、両者によって通電部を成す。
該通電部を通して、本体(10)からアタッチメント(20)やブラシアタッチメント(100)の電極領域に対して電力を供給する。
【0057】
凹部(120)の左右両側には発光ダイオードを備えることもできる。発光ダイオードによって例えば赤色を肌面に照射することにより、血行の促進などの美容効果を及ぼすことができる。
【0058】
さらに、本体(10)の凹部(120)は振動機構を備えることもできる。振動機構は一般的な振動モータを内装し、その振動を各アタッチメントに伝動する。
なお、振動機構は各アタッチメント側に設けてもよい。この場合、上記の通電部を通して電力を供給し、各アタッチメント内の振動モータを駆動する。
【0059】
本発明は、上記のようにアタッチメントやブラシアタッチメントを交換することで様々な美容作用を及ぼすことができる。
【0060】
本発明は、3個の略半球状体を1組とする半球状体群について説明したが、このような構成以外の実施態様を別実施例として説明する。上記アタッチメント(20)と交換可能に提供してもよいし、別実施例を単独で提供してもよい。
【0061】
図12は半球状体群の配置に係る別実施例を示す図である。
図12(a)は上記第2ボール(22)と第3ボール(23)と同様の2つのボール(201)(202)を備えた構成である。左右両側及び上方に向かって傾斜させているが、傾斜の有無や傾斜方向は任意に変更可能である。
【0062】
図12(b)は上記第2ボール(22)と第3ボール(23)と同様の2つのボール(203)(204)と、上下対称形で下段にも2つのボール(205)(206)も備えた構成である。上段は左右両側及び上方に向かって、下段は左右両側及び下方に向かってそれぞれ傾斜させているが、傾斜の有無や傾斜方向は任意に変更可能である。
【0063】
図12(c)は、(b)と同様の4つのボール(207)(208)(210)(211)の中央にさらに1つのボール(209)を備えた構成である。中央のボール(20)は傾斜させていない。傾斜の有無や傾斜方向は任意に変更可能である。本実施例は、本願特許請求の範囲に含まれ、例えばボール(207)(208)(209)からなる二等辺三角形に2つのボール(210)(211)を追加したものとして理解しうる。
【符号の説明】
【0064】
1 美容器
10 本体
11 把持部
12 アプリケータ部
13 操作スイッチ
14 操作スイッチ
15 点灯部
20 アタッチメント
21 第1ボール
22 第2ボール
23 第3ボール
24 膨出部
25 基盤
26 台座
27 台座
28 台座
29 アタッチメント基台
60 別実施例1のボール
70 別実施例2のボール
80 別実施例3のボール
100 ブラシアタッチメント
110 ピン体
111 細ピン
112 電極ピン
113 電極
114 アタッチメント基台
120 凹部
121 本体側電極
122 本体側電極
123 本体側電極
201~211 ボール