(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160512
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】包装用台紙
(51)【国際特許分類】
B65D 73/00 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
B65D73/00 D
B65D73/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075597
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】521378277
【氏名又は名称】黒川 弘康
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】黒川 弘康
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AA22
3E067AC01
3E067BA15A
3E067BA25A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BC04A
3E067CA01
3E067EA03
3E067EA04
3E067ED04
3E067EE15
3E067EE18
3E067FB01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】合成樹脂フィルムにより包装された物品を陳列するための包装用台紙において、該物品を取り外し難くした包装用台紙を提供する。
【解決手段】包装用台紙1は、物品Mを貼着する第1部分2と、第1部分2に重ねられる第2部分3とを備える。第2部分3が、第2部分3の一部を切り開いた窓部31と、窓部31の両側縁部に沿って起立する保護片33とを含む。物品Mの側面、特に、貼着根元付近が保護片33により遮蔽されるため、物品Mを掴み難くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を貼着する第1部分と、前記第1部分に重ねられる第2部分と、を備え、
前記第2部分が、前記第2部分の一部を切り開いた窓部と、前記窓部の両側縁部に沿って起立する保護片と、を含み、
前記保護片は、窓部内側方向に折り返されていることを特徴とする包装用台紙。
【請求項2】
前記保護片は、断面山形形状となるように折り返される、請求項1に記載の包装用台紙。
【請求項3】
前記保護片を、前記第2部分の一部を前記窓部の両側縁部に沿って起立させることにより形成した、請求項1に記載の包装用台紙。
【請求項4】
前記保護片は、前記両側縁部全体に沿って起立する、請求項1に記載の包装用台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合成樹脂フィルムにより包装された物品を陳列するための包装用台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を合成樹脂フィルムで包装し、フック孔を設けた台紙に貼着してフックに吊り下げて陳列したり、自立式の台紙に貼着して陳列棚に配置したりする包装用台紙が知られている。特許文献1には、商品受止面等を設け、商品を分散抱持可能な包装用台紙が提案されている。特許文献2には、おもて面側に張り出し可能な画成部分を設け、包装された物品と台紙との接着強度を確保可能な包装品用台紙が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭54-126981号公報
【特許文献2】特開2023-1268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4(a)に示すように、従来の包装用台紙1’では、物品Mの側面と包装用台紙1,との間に隙間Sがあるため、運搬中等に、他の商品の包装用台紙1’が隙間Sに入り込み、物品Mが包装用台紙1’から脱落する事故が起こるおそれがあった。また、隙間Sに指を差し入れて物品Mを容易に掴むことができるため、合成樹脂フィルムFを引き裂きつつ容易に包装用台紙1’から取り外され、万引きされてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、合成樹脂フィルムにより包装された物品を陳列するための包装用台紙において、該物品を取り外し難くした包装用台紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の包装用台紙は、以下の特徴を備える。
(1)物品を貼着する第1部分と、第1部分に重ねられる第2部分と、を備え、第2部分が、第2部分の一部を切り開いた窓部と、窓部の両側縁部に沿って起立する保護片と、を含み、保護片は、窓部内側方向に折り返されていること。
【0007】
(2)(1)の場合に、保護片は、断面が山形形状となるように折り返されること。
【0008】
(3)(1)又は(2)の場合に、前記保護片を、前記第2部分の一部を前記窓部の両側縁部に沿って起立させることにより形成したこと。
【0009】
(4)(1)~(3)の何れか一つの場合に、保護片は、両側縁部全体に沿って起立すること。
【発明の効果】
【0010】
本開示の包装用台紙によれば、窓部の両側縁部に沿って起立する保護片を設け、物品と包装用台紙との間の隙間を外部から遮蔽したため、物品を掴み難くなり、物品を包装用台紙から取り外すことが困難となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態を示す包装用台紙の斜視図である。
【
図2】包装用台紙の(a)展開図、(b)正面図である。
【
図3】包装用台紙を折り畳む様子を示すA-A線端面模式図である。
【
図4】(a)従来の包装用台紙、(b)本開示の包装用台紙において、物品を掴もうとする様子を示すA-A線端面模式図である。
【
図5】包装用台紙のバリエーションを示す展開図及び斜視図である。
【
図6】物品と包装用台紙の貼着位置の変更例を示すA-A線端面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を包装用台紙に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、物品M側を前方、包装用台紙1側を後方とする。
【0013】
図1に示す包装用台紙1は、一枚のシート状部材から構成されている。シート状部材の素材は、所定の厚みや硬度を備えた厚紙や樹脂シート等を選択できる。物品Mは、円柱形状、楕円柱形状、角柱形状、多角柱形状等の外形を有し、シュリンクフィルム等の合成樹脂フィルムFにより包装されている。
【0014】
包装用台紙1は、物品Mを貼着する第1部分2と、第1部分2に折り畳まれる第2部分3と、第1部分2と第2部分3との内側に折り畳まれるフラップ5と、フラップ5に差し込まれる差込片6とを備える。
【0015】
第1部分2は、物品Mを貼着する貼着領域21と、陳列用のフックに吊り下げるために使用されるフック孔22とを有する。物品Mは、貼着領域21に接着剤G(
図3(d)参照)により貼着される。接着剤Gは、両面テープ等でも代用可能である。
【0016】
第2部分3は、第2部分3の一部を切り開いて設けた窓部31と、窓部31の両側縁部に沿って起立する保護片33とを有する。窓部31は、合成樹脂フィルムFにより包装された物品Mが通過できる大きさに設けられている。
【0017】
保護片33は、包装用台紙1の前方、即ち、物品Mを露出させる向きに起立している。また、保護片33は、窓部31の両側縁部全体に沿って起立し、保護片33の短手方向中心線(折線35)で、窓部31内側方向に折り返されている。また、保護片33は、A-A線による断面が山形形状となるように折り返されている。保護片33は、第2部分3の一部を窓部の両側縁部に沿って起立させることにより形成したものである。ここで、窓部31の両側縁部から突出する物品Mの突出高さh1、窓部31の両側縁部から起立する保護片33の起立高さh2とする(
図3(d)参照)。h2は低く設けることも可能であるが、例えば、h2をh1の1/3以上とすることも可能である。1/3以上とすると、隙間Sをより確実に遮蔽でき、物品Mを掴み難くすることができる。なお、物品Mが角柱形状や多角柱形状の場合には、h2をh1の1/5、1/4程度の高さに設けた場合でも、物品Mと包装用台紙1との隙間Sを十分に遮蔽できるため、物品Mを掴み難くすることができる。
【0018】
図2(a)に示すように、第1部分2と第2部分3との間には折線11、第1部分2とフラップ5との間には折線12、第2部分3と差込片6との間には折線13が設けられ、折線12には差込片6を差し込むためのスリット14が設けられている。
【0019】
第2部分3には、保護片33を起立させるための折線34、保護片33の短手方向中心線で折り返すための折線35、保護片33を折り開くための切れ込み36,37が設けられている。保護片33を起立させると、切れ込み36は窓部31の上下縁部となり、折線34は窓部31の両側縁部となる。
【0020】
展開状態の包装用台紙1を組み立てるには、
図3(a)に示すように、第2部分3を、貼着領域21が内側となるように第1部分2に向けて折り畳み、
図3(b)に示すように、フラップ5を、第1部分2と第2部分3との内側に折り畳みつつ、差込片6をスリット14に差し込む。その後、
図3(c)に示すように、保護片33を起立させて窓部31を開設し、最後に、
図3(d)に示すように、保護片33を折線35に沿って窓部31に向けて折り返す。なお、折り畳み順は、適宜変更可能である。
【0021】
続いて、包装用台紙1の作用について
図4に基づいて説明する。従来の包装用台紙1’では、
図4(a)に示すように、物品Mを貼着した根元付近まで外部に露出しているため、指を差し入れて、物品Mを強く掴み、容易に包装用台紙1’から取り外すことができる。一方、
図4(b)に示すように、本開示の包装用台紙1では、窓部31の両側縁部に保護片33を設けたため、隙間S、則ち、物品Mの側面の貼着根元付近を含む所定の領域が外部から遮蔽される。このため、指を差し入れ難くなり、ひいては、物品Mを掴み難くなり、包装用台紙1から物品Mを取り外し難くなる。
【0022】
以上の構成の包装用台紙1によれば、保護片33を、物品Mを露出させた窓部31の両側縁部に起立させたため、隙間Sに指を差し入れることが不可能となって、物品Mが掴み難くなり、包装用台紙1から物品Mを取り外し難くなる。また、本開示の包装用台紙1は、一枚のシート状部材から組み立てるため、複数のパーツを切り貼りする時間を削減でき、製造時間を短縮できる。さらに、窓部31から切り出しされた領域全体を保護片33として活用するため、製造時のゴミを削減できる。
【0023】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、下記に例示するように、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)
図5(a)に示すように、保護片33を折線35に沿って窓部31に向けて折り返さず、起立高さh2をより高く設けること。この場合には、物品Mの側面を広範囲にわたって外部から遮蔽できるため、物品Mの側面をさらに掴み難くすることができる。また、第1部分2に折り畳まれる第3部分4を設け、第3部分4の下部が第1部分2と第2部分3との内側に挟み込まれるように構成し、第3部分4にフック孔42を設けた。フック孔32,42が補強されるとともに、包装用台紙1の変形も防ぐことができるため、より重い物品Mを取り付けることも可能である。
(2)
図5(b)に示すように、窓部31の上下縁部に沿って第2の保護片34を起立させること。この場合には、隙間Sに加えて、窓部31の上下縁部と物品Mの上面及び底面との隙間を遮蔽できるため、物品Mをさらに掴み難くすることができる。
(3)
図5(c)に示すように、平坦な形状の物品Mを取り付ける場合には、保護片33を省略し、窓部31のみを開設することも選択できる。
(4)
図6に示すように、物品Mと保護片33との間を接着剤Gにより貼着することも可能である。
(5)その他、第1部分3と第2部分4を別体に設け、第1部分3と第2部分4とを互いの周縁部で貼り合わせて構成することも可能である。この場合、フラップ5及び差込片6は不要となる。
【符号の説明】
【0024】
1 包装用台紙
2 第1部分
3 第2部分
4 第3部分
5 フラップ
6 差込片
11 折線(第1部分と第2部分との間)
12 折線(第1部分とフラップとの間)
13 折線(第2部分と差込片との間)
14 スリット
21 貼着領域
22 フック孔
31 窓部
33 保護片
34 第2の保護片
34 折線(保護片起立用)
35 折線(保護片折り返し用)
36 切れ込み(水平方向)
37 切れ込み(鉛直方向)
G 接着剤
F 合成樹脂フィルム
M 物品
S 隙間