(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160528
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241107BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
H04N5/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075625
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】519043143
【氏名又は名称】株式会社シーズ
(71)【出願人】
【識別番号】321001436
【氏名又は名称】株式会社ボーグテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 久雄
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054GB02
5C054GB05
5C054GB15
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】複数のカメラにより撮像された画像のデータをより好適に処理するシステムを提供すること。
【解決手段】情報処理システムSYSは、カメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータに対して所定の情報処理を実行する複数のカメラ装置1を有する。顔認識処理部52は、カメラからの撮像画像のデータを用いて、顔認識処理を実行する。分析情報生成部53は、顔認識処理の実行結果を示す情報を、実行結果情報として生成する。記憶制御部55は、ブロックチェーン技術を用いて、実行結果情報を記憶させる制御を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータに対して所定の情報処理を実行する複数の情報処理装置を有する情報処理システムにおいて、
前記複数の情報処理装置の夫々は、
前記カメラから前記撮像画像のデータを用いる第1情報処理を実行する第1処理実行手段と、
前記第1情報処理の実行結果を示す情報を、実行結果情報として生成する実行結果情報生成手段と、
ブロックチェーン技術又は分散型台帳技術を用いた第1手法で、前記実行結果情報を記憶させる制御を実行する記憶制御手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記第1処理実行手段は、前記第1情報処理として、前記撮像画像に含まれる顔を検出し、検出した当該顔に対する所定の処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶制御手段は、さらに、前記実行結果情報の生成の元になった前記撮像画像のデータを、当該実行結果情報と対応付けて、前記第1手法とは異なる第2手法で記憶させる制御を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理システムは、前記複数の情報処理装置を周辺装置として夫々通信する中央装置をさらに有し、
前記中央装置は、
前記複数の周辺装置の夫々により生成された前記実行結果情報の夫々を入力データとして取得して、当該入力データを用いる第2情報処理を実行する第2処理実行手段、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
カメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータに対して所定の情報処理を実行する複数の情報処理装置を有する情報処理システムにおける、前記複数の情報処理装置の夫々が実行する情報処理方法であって、
前記カメラから前記撮像画像のデータを用いる第1情報処理を実行する第1処理実行ステップと、
前記第1情報処理の実行結果を示す情報を、実行結果情報として生成する実行結果情報生成ステップと、
ブロックチェーン技術又は分散型台帳技術を用いた第1手法で、前記実行結果情報を記憶させる制御を実行する記憶制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
カメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータに対して所定の情報処理を実行する複数の情報処理装置を有する情報処理システムにおける、前記複数の情報処理装置の夫々を制御するコンピュータに、
前記カメラから前記撮像画像のデータを用いる第1情報処理を実行する第1処理実行ステップと、
前記第1情報処理の実行結果を示す情報を、実行結果情報として生成する実行結果情報生成ステップと、
ブロックチェーン技術又は分散型台帳技術を用いた第1手法で、前記実行結果情報を記憶させる制御を実行する記憶制御ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定区域内に配置された複数の監視カメラにおいて撮像された画像データを記録する監視カメラシステムに関する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、人工知能(Artificial Intelligence、以下、「AI」と呼ぶ)に関する技術が発達している。具体的には例えば、不審者の検出や特徴を検出する技術も発達してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1を含む従来技術では、複数の監視カメラにより撮像された画像データは、情報処理装置に集積され、当該情報処理装置内で分析や記録されるものであった。
このような情報処理装置が行うべき処理は、監視カメラが増えれば増えるほど負荷が増大する。さらに言えば、AIを利用した比較的高度な画像分析等を行う場合、それはより顕著になる。即ち、このような情報処理を行うためには、大きな中央集権システムをサーバ室等に用意する必要があった。
画像処理等の比較的高負荷な処理を実行し、中央集権システムを構築せずとも利用可能な監視カメラシステムが望まれていた。
【0005】
本発明は、複数のカメラにより撮像された画像のデータをより好適に処理するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
カメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータに対して所定の情報処理を実行する複数の情報処理装置を有する情報処理システムにおいて、
前記複数の情報処理装置の夫々は、
前記カメラから前記撮像画像のデータを用いる第1情報処理を実行する第1処理実行手段と、
前記第1情報処理の実行結果を示す情報を、実行結果情報として生成する実行結果情報生成手段と、
ブロックチェーン技術又は分散型台帳技術を用いた第1手法で、前記実行結果情報を記憶させる制御を実行する記憶制御手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムは、上述の本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のカメラにより撮像された画像のデータをより好適に処理するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるサービスの概要の一例を説明する模式図である。
【
図2】
図1に示すサービスを提供する際に適用される本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図2に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のハードウェア構成のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
なお、以下において、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画像」との両方を含むものとする。
また、「動画像」には、次の第1処理乃至第3処理の夫々により表示される画像を含むものとする。
第1処理とは、平面画像(2D画像)におけるオブジェクト(例えば撮像の対象となる人や物の像)の夫々の動作に対して、複数枚からなる一連の静止画像を時間経過と共に連続的に切り替えて表示させる処理をいう。具体的には例えば、2次元アニメーション、いわゆるパラパラ漫画的な処理が第1処理に該当する。
第2処理とは、立体画像(3Dモデルの画像)におけるオブジェクト(例えば撮像の対象となる人や物の像)の夫々の動作に対応するモーションを設定しておき、時間経過と共に当該モーションを変化させて表示させる処理をいう。具体的には例えば、3次元アニメーションが第2処理に該当する。
第3処理とは、オブジェクト(例えば自然人の像)の夫々の動作に対応した映像(即ち動画像)を準備しておき、時間経過と共に当該映像を流していく処理をいう。
ここで、「映像(即ち動画像)」は、複数のフレームやフィールド等の画像(以下、「単位画像」と呼ぶ)から構成される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要の一例を説明する模式図である。
本サービスは、
図1に示す情報処理システムが適用されることで、複数のカメラにより撮像された画像(以下、「撮像画像」と呼ぶ)のデータに基づいて、複数のカメラの夫々において撮像画像のデータの分析処理が行われ、記録されるシステムを提供するものである。また、本サービスでは、撮像画像のデータの分析結果のデータは、ブロックチェーンを用いて管理される。
【0013】
ここで、一般に、ブロックチェーンという単語は、分散型台帳技術や分散型ネットワークを意味し得る。即ち、ブロックチェーンの単語は、ブロックと呼ばれるデータがチェーンのように連結した一連のデータそのものや、それに関する技術及びネットワークを含んだ多義的な単語である。
そこで、以下、ブロックチェーンを管理する分散型ネットワークを「ブロックチェーンネットワーク」と呼び、ブロックがチェーンのように連結した一連のデータである「ブロックチェーン」と区別して呼ぶ。
即ち、「ブロックチェーン」とは、本サービスを利用して管理される1以上のデータ(例えばカメラにより撮像画像のデータやその処理結果のデータ)に関する各種情報(データそのものやメタデータ、ハッシュ値といった健全性の検証に係るデータ等)が含まれた「ブロック」がチェーンのように連結した一連のデータである。
また、上述のように、ブロックチェーンを用いたデータの管理技術を「ブロックチェーン技術」と呼ぶ。
【0014】
図1に示す本サービスの情報処理システムは、カメラ装置1-1乃至1-nと、ブロックチェーンフルノード2-1乃至2-4(以下、
図1に示すように「BCフルノード」と呼ぶ)と、分散ファイルシステム3と、サーバ4と、確認端末5とが含まれて構成されている。
【0015】
カメラ装置1-1乃至1-nは、カメラ(例えば
図4の撮像部41)を備えるとともに、情報処理装置として機能するための各種ハードウェアを夫々備え、カメラにより撮像された撮像画像のデータを、情報処理装置において分析処理した結果のデータを、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。なお、以下、カメラ装置1-1乃至1-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「カメラ装置1」と呼ぶ。ここで、
図1においては、カメラ装置1-1乃至1-nのうち、カメラ装置1-p(pは1以上n以下の整数値)及びカメラ装置1-q(qはpと独立したpとは異なる1以上n以下の整数値)に搭載された情報処理装置の概要を二点鎖線で示している。
また、詳しくは後述するが、カメラ装置1-1乃至1-nには、ブロックチェーンウルトラライトノード(以下、
図1に示すように「BCウルトラライトノード」と呼ぶ)としての機能が備えられている。
【0016】
ここで、「BCウルトラライトノード」とは、後述のBCフルノードと異なり、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能を提供せず、ブロックチェーンネットワークBCNとの間でのデータの授受機能といった極めて一部の機能を提供する情報処理装置(ノード)である。ウルトラライトノードは、実現するために必要な計算資源等が少ないため、上述の機能を提供するチップやプログラムの一部又は全部として実装される。しかしながら、ウルトラライトノードは、別個の情報処理装置として実装されてもよい。
【0017】
ブロックチェーンネットワークBCNは、複数のノードにより構成され、
図1の例では、クラウドC上の4つのBCフルノード2-1乃至2-4により構成されている。
図1の例において、4台のBCフルノード2-1乃至2-4の夫々が、クラウド上のフルノードとして夫々機能する。ここで、「フルノード」とは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能といったブロックチェーンにおけるノードとしての全機能を提供する情報処理装置(ノード)である。
BCフルノード2-1乃至2-4は、相互に通信を行うブロックチェーンネットワークBCNを形成している。
なお、
図1の例では、4台のBCフルノード2-1乃至2-4の4台が、ノードの夫々として機能することで、ブロックチェーンネットワークBCNが構成されているが、カメラ装置1に備えられたBCウルトラライトノードや、適宜図示せぬ他のノードがブロックチェーンネットワークBCNに属してもよい。
なお、以下、BCフルノード2-1乃至2-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「BCフルノード2」と呼ぶ。
【0018】
分散ファイルシステム3は、クラウドC上に存在する複数の情報処理装置(例えばHDD等のストレージデバイスを搭載したストレージサーバ)に分散してデータを保存するシステムである。詳しくは後述するが、分散ファイルシステム3は、カメラ装置1の撮像画像のデータやカメラ装置1で分析処理された結果のデータ(
図1に示す分析情報)、これらをサーバ4で分析処理された結果のデータの一部又は全部を記憶することが出来る。
【0019】
サーバ4は、中央AI81を備える情報処理装置である。詳しくは後述するが、サーバ4は、カメラ装置1-1乃至1-nにおける撮像画像のデータの処理結果を入力データとして取得し、入力データに基づいて所定処理を実行する。
【0020】
確認端末5は、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された情報や分散ファイルシステム3に記録されたデータを確認するための情報処理装置である。カメラで撮像する対象となる領域(例えば店舗)の管理者や事件・事故の調査をする警察の担当者は、確認端末5を用いて、改竄等のされていない分析結果や撮像画像を確認することができる。
【0021】
以下、
図1を用いて、本サービスにおける一連の分析の流れについて説明する。
以下の説明における前提として、カメラ装置1-1乃至1-nは、基本的に人物が立ち入らない領域の防犯用に配置されているものとして説明する。
そして、カメラ装置1-pの撮像部(例えば
図4の撮像部41)により撮像される領域内に、通常、人物は撮像されない不審者の像が含まれていたとする。
【0022】
カメラ装置1-pの撮像部により撮像された撮像画像のデータは、カメラ装置1-pのファームウェアの制御により取得され、処理される。具体的には、まず、ファームウェアの制御により、撮像画像は異常検知AIにより分析処理される。その結果、撮像画像には、人物の像が含まれていることが分析される。
ファームウェアの制御により、撮像画像に人物の像が含まれていると分析された場合、さらに、顔認識AIにより分析処理される。その結果、当該人物の顔は、当該領域の管理者等の顔ではない旨が分析される。これにより、当該人物は、不審者であると分析される。
【0023】
不審者の像が含まれていると分析された撮像画像のデータのうち、当該不審者が検知された部分(画像内の領域及び時間帯のうち少なくとも一方でカットされた部分)は、ファームウェアの制御により、暗号化されて分散ファイルシステム3に記録される。
この暗号化に対応する復号用の鍵は、ハードウェアキーIDHを用いてオフラインで保管される。
【0024】
ここで、詳しくは後述するが、ファームウェアの制御により、BCウルトラライトノードは、ブロックチェーンネットワークBCNにおいて、分析結果に相当する(あるいは疑わしい)情報がないかを確認する。以下、分析結果に相当する情報がない者として説明する。
【0025】
上述の分析結果の情報(以下、「分析情報」と呼ぶ)は、ファームウェアの制御により、ブロックチェーンネットワークBCNに、撮像時間や分析結果、これらを改竄困難に記録するための各種情報(以下、「メタ情報」と呼ぶ)とともに、記録して管理される。
なお、分析情報やメタ情報の一部又は全部は、分散ファイルシステム3を用いて管理されてもよい。この場合、適宜暗号化され、分散ファイルシステム3上のファイルの存在位置を示すURLやURIがブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理される。
【0026】
このようにして、分析情報、メタ情報、撮像画像のデータがブロックチェーンネットワークBCN(即ち、BCフルノード2)及び分散ファイルシステム3を用いて記録されて管理される。
【0027】
そして、その後、カメラ装置1-q撮像部(例えば
図4の撮像部41)により撮像される領域内に、上述の不審者の像が含まれていたとする。
【0028】
カメラ装置1-qの撮像部により撮像された撮像画像のデータは、カメラ装置1-qのファームウェアの制御により取得され、処理される。具体的には、まず、ファームウェアの制御により、撮像画像は異常検知AIにより分析される。その結果、撮像画像には、人物の像が含まれていることがされる。
ファームウェアの制御により、撮像画像に人物の像が含まれていると分析された場合、さらに、顔認識AIにより分析される。その結果、当該人物の顔は、当該領域の管理者等の顔ではない旨が分析される。これにより、当該人物は、不審者であると分析される。
【0029】
不審者の像が含まれていると分析された撮像画像のデータのうち、当該不審者が検知された部分(画像内の領域及び時間帯のうち少なくとも一方でカットされた部分)は、ファームウェアの制御により、暗号化されて分散ファイルシステム3に記録される。
【0030】
ここで、ファームウェアの制御により、BCウルトラライトノードは、ブロックチェーンネットワークBCNにおいて、分析結果に相当する(あるいは疑わしい)情報がないかを確認する。すると、ブロックチェーンネットワークBCNにおいて、カメラ装置1-pにおいて分析された結果が取得される。
そして、カメラ装置1-p及び1-qにおいて顔分析された結果によれば、夫々において撮像された不審者は同一人物であることが判定される。なお、同一人物である旨も分析情報として管理される。
【0031】
カメラ装置1-qの分析情報は、ファームウェアの制御により、ブロックチェーンネットワークBCNに、メタ情報とともに、記録して管理される。
【0032】
このようにして、分析情報、メタ情報、撮像画像のデータがブロックチェーンネットワークBCN(即ち、BCフルノード2)及び分散ファイルシステム3を用いて記録されて管理される。
【0033】
また、サーバ4は、中央AI81を用いた分析により、ブロックチェーンネットワークBCN及び分散ファイルシステム3に記録された各種情報に基づいて、複数のカメラ装置1により記録せれた分析情報、メタ情報、撮像画像のデータをさらに分析することが出来る。
これにより、複数の分析結果を用いた総合的な分析が可能となる。サーバ4において中央AI81を用いて分析された結果も、ブロックチェーンネットワークBCN上で管理される。
【0034】
また、カメラで撮像する対象となる領域(例えば店舗)の管理者や事件・事故の調査をする警察の担当者は、確認端末5にハードウェアキーIDHを接続することにより、ブロックチェーンネットワークBCN及び分散ファイルシステム3に記録された各種情報を複合して確認することが出来る。
【0035】
このように、本サービスでは、複数のカメラ装置1において夫々撮像画像の分析処理が実行される。即ち、撮像画像のデータの分析処理は、複数のカメラ装置1を用いて分散処理される。これにより、情報処理装置に集積され、当該情報処理装置内で分析や記録される場合と比較して中央集権的な大規模な情報処理システムをサーバ室等に用意せずとも、分析処理が可能となるのである。また、分析処理の時間を、より短時間とすることも可能となる。
【0036】
さらに言えば、上述したように、カメラ装置1は、ブロックチェーンネットワークBCNに記録された分析情報に基づいて、同一人物か否かの判定も行うことが出来る。これにより、さらに迅速な対応が可能となる。
また、不審者が検知された部分(画像内の領域及び時間帯のうち少なくとも一方でカットされた部分)は、ファームウェアの制御により、暗号化されて分散ファイルシステム3に記録される。
これにより、撮像画像のデータのサイズを削減することが出来る。また、不審者が検知された部分のみを暗号化して送れるため、より強度なセキュリティを保つことができる。
【0037】
以上、
図1を用いて、本サービスの概要を説明した。
以下、
図2乃至
図4を用いて、本サービスの
図1に示すサービスを提供する際に適用される情報処理システムについて説明する。
図2は、
図1に示すサービスを提供する際に適用される本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0038】
ここで、
図2に示す情報処理システムの構成例は、
図1の本サービスの情報処理装置と比較してより一般的な構成となっている。
【0039】
カメラ装置1-1乃至1-nは、サービス提供者により提供され、所定設備等の管理者により設置されて管理される、カメラ(例えば
図4の撮像部41)を有する情報処理装置である。カメラ装置1は、ブロックチェーンネットワークBCN上のBCフルノード2及び分散ファイルシステム3等と適宜通信しながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0040】
クラウドC上には、m(mはnとは独立した3以上の整数値)のBCフルノード2-1乃至2-mを含むブロックチェーンネットワークBCNと、分散ファイルシステム3とが配置されている。
【0041】
BCフルノード2-1乃至2-mは、サービス提供者により管理されたブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能といったブロックチェーンにおけるノードとしての全機能を提供する情報処理装置(ノード)である。
本実施形態においては、BCフルノード2は、サービス提供者により管理されている。
【0042】
分散ファイルシステム3は、サービス提供者により管理された複数の情報処理装置(例えばHDD等のストレージデバイスを搭載したストレージサーバ)に分散してデータを保存するシステムである。
【0043】
サーバ4は、サービス提供者により管理される情報処理装置である。サーバ4は、ブロックチェーンネットワークBCN及び分散ファイルシステム3と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0044】
確認端末5は、カメラで撮像する対象となる領域(例えば店舗)の管理者や事件・事故の調査をする警察の担当者が、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された情報を確認するために操作する情報処理装置である。なお、
図1及び
図2において1台の確認端末5が図示されているが、確認端末5の台数は任意である。
【0045】
図3は、
図2に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
サーバ4は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0047】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0048】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0049】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(例えば
図2のBCフルノード2及び分散ファイルシステム3等)との間で通信を行う。
【0050】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0051】
なお、図示はしないが、
図2のカメラ装置1に含まれる情報処理装置(
図1のファームウェアや後述の
図4の各部に対応する処理を実行するハードウェア)、BCフルノード2及びサーバ4も、
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、カメラ装置1に含まれる情報処理装置、BCフルノード2及びサーバ4のハードウェア構成についての説明は省略する。
ただし、カメラ装置1は、
図1に示すように、入力部として、カメラを備えている。また、カメラ装置1に含まれるブロックチェーン技術に係る処理を実行する部(例えば
図1に示すBCウルトラライトノード)は、CPU、ROM、RAM等の一部又は全部を、個別のICチップとして有している。
【0052】
このような
図3のサーバ4の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、各種処理の実行が可能になる。その結果、上述の本サービスを提供することができる。
以下、
図2の情報処理システムのうち
図3のサーバ4を含む情報処理システムの機能的構成について説明する。
【0053】
図4は、
図3のハードウェア構成のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0054】
図4に示すように、カメラ装置1は、入力部として撮像部41を有している。
また、
図4に示すように、カメラ装置1のCPUにおいては、異常検知処理部51と、顔認識処理部52と、分析情報生成部53と、BC処理実行部54と、記憶制御部55とが機能する。
また、カメラ装置1の記憶部には、異常検知AI61と、顔認識AIモデル62とが記憶されている。
【0055】
また、
図4に示すように、サーバ4のCPU11においては、処理実行部71が機能する。
また、サーバ4の記憶部18には、中央AI81が記憶されている。
【0056】
異常検知処理部51は、撮像部41から取得された撮像画像のデータを、異常検知AIモデル61を用いて分析する情報処理をする。例えば、異常検知処理部51は、撮像画像に人物や不審者が撮像されている場合、異常ありと検知する。
【0057】
顔認識処理部52は、撮像部41から取得された撮像画像のデータを、顔認識AIモデル62を用いて分析する情報処理をする。例えば、顔認識処理部52は、撮像画像に含まれる顔を検出し、検出した当該顔が、通常撮像されるべき人物の顔であるか否かを認識する。
また、顔認識処理部52は、ブロックチェーンネットワークBCN上で管理された分析情報に基づいて、当該人物が同一人物であるか否かを認識することもできる。
【0058】
分析情報生成部53は、異常検知処理部51や顔認識処理部52の分析処理の実行結果を示す情報を、分析情報として生成する。例えば、分析情報には、異常検知処理部51により異常ありと検知された旨や、顔認識処理部52による顔認識の結果が含まれる。
【0059】
BC処理実行部54は、ブロックチェーンネットワークBCNとの各種情報の授受の処理を実行する。例えば、他のカメラ装置1による分析結果の取得や、分析結果をブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理する処理を実行する。
【0060】
記憶制御部55は、BC処理実行部54を介して、ブロックチェーン技術を用いて、分析情報を記憶させる制御を実行する。
また、記憶制御部55は、分析情報の生成の元になった撮像画像のデータを、分析情報と対応付けて、撮像画像の領域又は時間帯でカットして、暗号化して分散ファイルシステム3に記憶させる制御を実行する。
【0061】
サーバ4の処理実行部71は、複数のカメラ装置1の夫々により生成された分析果情報の夫々を入力データとして取得して、当該入力データを用いて、各カメラの撮像画像を用いた総合的な異常検知の処理を実行する。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
このような機能的構成により、本サービスの情報処理システムは、
図1等を用いて説明した各処理を実行することができる。
【0063】
上述の実施形態では、カメラ装置1における分析処理において、異常検知や顔認識が行われるものとしたが特にこれに限定されない。カメラ装置1における分析処理は各種各様なものが採用されてもよい。
具体的には例えば、顔認識の代わりに、顔や体型、姿勢等の特徴量を抽出する処理が実行されてもよい。
【0064】
また例えば、ウルトラライトノードは、実現するために必要な計算資源等が少ないため、上述の機能を提供するチップやプログラムの一部又は全部として実装される。しかしながら、ウルトラライトノードは、別個の情報処理装置として実装されてもよい。
【0065】
例えば、
図2に示すシステム構成、及び
図3に示すサーバ4のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0066】
また、
図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が
図2の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図4の例に限定されない。
【0067】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5に限定されず、任意でよい。
例えばサーバ4側に配置された機能ブロックの少なくとも一部を、他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0068】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0069】
具体的には例えば、
図4の例においては、BC処理実行部54は、カメラ装置1のCPUとして図示されているが、特に限定されない。即ち例えば、ウルトラライトノードとしての機能を発揮するチップがCPUとは別にカメラ装置1内に実装され、BC処理実行部54として機能する構成としてもよい。
【0070】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0071】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0072】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0073】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
【0074】
即ち、本発明の情報処理システムは、
カメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータに対して所定の情報処理を実行する複数の情報処理装置を有する情報処理システム(例えば
図4の情報処理システムSYS)において、
前記複数の情報処理装置(例えば
図4のカメラ装置1)の夫々は、
前記カメラから前記撮像画像のデータを用いる第1情報処理を実行する第1処理実行手段(例えば
図4の異常検知処理部51や、
図4の顔認識処理部52)と、
前記第1情報処理の実行結果を示す情報(例えば異常検知AIや顔認識AIを用いた処理結果の情報)を、実行結果情報として生成する実行結果情報生成手段(例えば
図4の分析情報生成部53)と、
ブロックチェーン技術又は分散型台帳技術を用いた第1手法で、前記実行結果情報を記憶させる制御を実行する記憶制御手段(例えば
図4の記憶制御部55)と、
を備える。
【0075】
これにより、撮像画像のデータの分析処理は、複数の情報処理装置を用いて分散処理される。即ち、複数のカメラにより撮像された結果得られる撮像画像のデータをより好適に処理することができる。
【0076】
前記第1処理実行手段は、前記第1情報処理として、前記撮像画像に含まれる顔を検出し、検出した当該顔に対する所定の処理(例えば、不審者の判定や不審者が同一人物であるか否かの判定)を実行する、
ことができる。
【0077】
前記記憶制御手段は、さらに、前記実行結果情報の生成の元になった前記撮像画像のデータを、当該実行結果情報と対応付けて、前記第1手法とは異なる第2手法(例えば撮像画像の領域又は時間帯でカットして、暗号化して記憶する手法)で記憶させる制御を実行する、
ことができる。
【0078】
前記情報処理システムは、前記複数の情報処理装置を周辺装置として夫々通信する中央装置をさらに有し、
前記中央装置は、
前記複数の周辺装置の夫々により生成された前記実行結果情報の夫々を入力データとして取得して、当該入力データを用いる第2情報処理(例えば、各カメラの撮像画像や実行結果情報を用いた総合的な異常検知の処理)を実行する第2処理実行手段、
を備えることができる。
【符号の説明】
【0079】
1,1-1乃至1-n・・・カメラ装置、2,2-1乃至2-m・・・BCフルノード、3・・・分散ファイルシステム、4・・・サーバ、5・・・確認端末、11・・・CPU、18・・・記憶部、41・・・撮像部、51・・・異常検知処理部、52・・・顔認識処理部、53・・・実行結果生成部、54・・・BC処理実行部、55・・・記憶制御部、61・・・異常検知AIモデル、62・・・顔認識AIモデル、71・・・処理実行部、81・・・中央AI