IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160535
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】照明装置及びシステム天井
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20241107BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20241107BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241107BHJP
【FI】
F21S8/02 420
F21V21/04 210
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075643
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大屋 智嗣
(57)【要約】
【課題】支持部材から落下することを抑制しつつ、多種類の支持部材に対応する照明装置及びシステム天井を提供する。
【解決手段】照明器具は、被取付部に設けられた支持部材に取り付けられる器具と、器具に取り付けられ、光源を有する灯具と、を備え、器具は、器具本体部と、支持部材の断面形状に沿った形状をなしており、器具本体部に取り付けられ、器具本体部が支持部材に取り付けられた状態で支持部材の上方に配置されて器具本体部を保持する第1保持部材と、器具本体部と第1保持部材との間に介在して器具本体部を保持し、先端が支持部材に向いている第2保持部材と、器具本体部の内部に設けられ、第2保持部材を支持部材に押圧させる固定部材と、を有する。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に設けられた支持部材に取り付けられる器具と、
前記器具に取り付けられ、光源を有する灯具と、を備え、
前記器具は、
器具本体部と、
前記支持部材の断面形状に沿った形状をなしており、前記器具本体部に取り付けられ、前記器具本体部が前記支持部材に取り付けられた状態で前記支持部材の上方に配置されて前記器具本体部を保持する第1保持部材と、
前記器具本体部と前記第1保持部材との間に介在して前記器具本体部を保持し、先端が前記支持部材に向いている第2保持部材と、
前記器具本体部の内部に設けられ、前記第2保持部材を前記支持部材に押圧させる固定部材と、を有する
照明装置。
【請求項2】
複数の前記支持部材が異なる断面形状をなしている
請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
複数の前記支持部材が異なる高さ寸法を有している
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記固定部材は、
前記器具本体部の内部に移動自在に設けられ、移動することによって、前記第2保持部材を前記支持部材に押圧させる
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項5】
前記固定部材は、
上下方向に沿って移動することによって、前記第2保持部材が前記支持部材を押圧又は押圧解除する
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項6】
前記固定部材は、
前記支持部材と平行の方向に沿って移動することによって、前記第2保持部材における前記支持部材の押圧解除をする方向への移動を規制する
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項7】
前記固定部材は、
前記第1保持部材が取り付けられる位置が変更されることによって、前記支持部材の長手方向への移動が規制される
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項8】
前記支持部材と、
請求項1又は2記載の照明装置と、
を備えるシステム天井。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被取付部に設けられた支持部材に取り付けられる照明装置及びシステム天井に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被取付部に設けられた支持部材に取り付けられる照明装置が知られている。特許文献1には、支持部材の凹部に対応する位置に、浮き防止部の凸部が配置された照明装置が開示されている。特許文献1は、これにより、上方に向かって振動が加わった際の揺れを抑制して、照明装置が支持部材から落下することを抑制しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-308723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、バー部材といった支持部材は、多種多様な断面形状を有している。特許文献1に開示された照明装置は、多種類の支持部材毎に、個別に対応した寸法の部材を設計して製作しなければならない。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、支持部材から落下することを抑制しつつ、多種類の支持部材に対応する照明装置及びシステム天井を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、被取付部に設けられた支持部材に取り付けられる器具と、器具に取り付けられ、光源を有する灯具と、を備え、器具は、器具本体部と、支持部材の断面形状に沿った形状をなしており、器具本体部に取り付けられ、器具本体部が支持部材に取り付けられた状態で支持部材の上方に配置されて器具本体部を保持する第1保持部材と、器具本体部と第1保持部材との間に介在して器具本体部を保持し、先端が支持部材に向いている第2保持部材と、器具本体部の内部に設けられ、第2保持部材を支持部材に押圧させる固定部材と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、支持部材の上方に配置されて器具を保持する第1保持部材が支持部材の断面形状に沿った形状をなしている。このため、多種類の支持部材毎に、個別に対応する必要がない。従って、支持部材から落下することを抑制しつつ、多種類の支持部材に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明装置を上面からみた斜視図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置を下面からみた斜視図である。
図3】実施の形態1に係る灯具を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る器具を上面からみた分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係る器具を上面からみた分解斜視図である。
図6】実施の形態1に係る器具の一端部を拡大して上面からみた斜視図である。
図7】実施の形態1に係る器具の他端部を拡大して上面からみた斜視図である。
図8】実施の形態1に係る器具の一端部を拡大して下面からみた斜視図である。
図9】実施の形態1に係る器具の他端部を拡大して下面からみた斜視図である。
図10】実施の形態1に係る器具端部を示す斜視図である。
図11】実施の形態1に係る第1保持部材を示す斜視図である。
図12】実施の形態1に係る第2保持部材を示す斜視図である。
図13】実施の形態1に係る固定部材を下面からみた斜視図である。
図14】実施の形態1に係る固定部材を上面からみた斜視図である。
図15】実施の形態1に係る固定部材の操作が開始される状態を示す図である。
図16】実施の形態1に係る固定部材の操作が開始される状態を示す図である。
図17】実施の形態1に係る固定部材の操作が行われる途中の状態を示す図である。
図18】実施の形態1に係る固定部材の操作が行われる途中の状態を示す図である。
図19】実施の形態1に係る固定部材の操作が完了される状態を示す図である。
図20】実施の形態1に係る固定部材の操作が完了される状態を示す図である。
図21】実施の形態1に係る第1保持部材の移動状態を示す図である。
図22】実施の形態1に係る第1保持部材の移動状態を示す図である。
図23】実施の形態1に係る照明装置が支持部材に取り付けられる状態を示す図である。
図24】実施の形態1に係る照明装置が支持部材に取り付けられる状態を示す図である。
図25】実施の形態1に係る照明装置が支持部材に取り付けられる状態を示す図である。
図26】実施の形態1に係る突出部の作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る照明装置及びシステム天井の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材或いは各構成部分の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本開示を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置1を上面からみた斜視図であり、図2は、実施の形態1に係る照明装置1を下面からみた斜視図である。図1及び図2に示すように、照明装置1は、器具2と、器具2に対して着脱自在に取り付けられる灯具3とを備えている。器具2は、被取付部に取り付けられた支持部材9に取り付けられるものである。被取付部は、例えば天井である。天井には、複数の支持部材9が格子状に並べられており、複数の支持部材9同士の間に、照明装置1が嵌め込まれる。これにより、システム天井100が構成されている。支持部材9は、Tバーと呼称されるバー部材でもよいし、チャンネル部材でもよい。
【0011】
(灯具3)
図3は、実施の形態1に係る灯具3を示す斜視図である。灯具3は、長手方向に沿って延びる長尺形状をなしており、器具2の器具本体部20の収容部20eに収容されている。灯具3は、外部電源(図示せず)から供給された電力によって、照射対象領域に光を照射する光源ユニットである。灯具3は、台座30と、光源部33と、カバー34と、電源部32と、灯具側連結具31と、灯具側電線37とを有している。
【0012】
台座30は、長手方向に沿って延びる板状の金属製の部材である。光源部33は、例えば光を出射する光源であるLEDが長手方向に並んで基板に実装されたものであり、台座30の一面に取り付けられている。なお、光源は、LEDに限らず、半導体レーザ、有機EL又は無機EL等としてもよい。カバー34は、台座30に取り付けられており、光源部33を覆うものである。カバー34は、例えば、光源部33から照射された光を拡散する樹脂製の部材である。カバー34は、長手方向に延びて光源部33の全面を覆うカバー本体部35と、カバー本体部35の両端部に設けられ、カバー本体部35の蓋となるカバー端部36とを有している。電源部32は、台座30の他面に取り付けられており、外部電源から供給された電力を変換して、光源部33を点灯させるものである。灯具側連結具31は、台座30の他面に取り付けられており、器具2の器具側連結具21が引っ掛けられるばね受け金具である。灯具側電線37は、電源部32と光源部33とを接続し、電源部32から光源部33に電力を供給するものである。灯具3は、灯具側連結具31に器具側連結具21が引っ掛けられることによって、器具2に取り付けられる。
【0013】
(器具2)
図4は、実施の形態1に係る器具2を上面からみた分解斜視図であり、図5は、実施の形態1に係る器具2を上面からみた分解斜視図である。図4及び図5に示すように、器具2は、器具本体部20と、器具端部26と、器具側連結具21と、端子台22と、器具側電線23と、第1保持部材4と、第2保持部材5と、固定部材6とを有している。
【0014】
(器具本体部20)
器具本体部20は、長手方向に沿って延びる部材であり、器具2の幅方向の長さが支持部材9同士の間隔とほぼ同じである。器具本体部20は、全体として断面略台形状に形成されているが、これに限らず種々の形状に形成されてもよいし、例えば断面略長方形状に形成されてもよい。器具本体部20は、金属製である。器具本体部20は、天壁部20aと、側壁部20bと、接続部20cと、傾斜部20dとを有している。
【0015】
(天壁部20a)
天壁部20aは、長手方向に沿って延びる板状の部分であり、隣り合った支持部材9同士の中間部に位置している。天壁部20aの被取付部と反対側の面には、2つの器具側連結具21と、端子台22とが設けられている。2つの器具側連結具21は、それぞれ天壁部20aの両端部に設けられている。端子台22は、天壁部20aの中央から若干端部側に寄った位置に設けられている。
【0016】
(側壁部20b)
側壁部20bは、天壁部20aの器具2の幅方向の両端部から照射領域側に垂直に延びる一対の板状の部分である。器具本体部20において、天壁部20aと側壁部20bとに囲まれた空間は、灯具3が収容される直方体状の収容部20eとなっている。側壁部20bの高さは、灯具3の高さとほぼ同じである。
【0017】
(接続部20c)
接続部20cは、側壁部20bの先端から器具2の幅方向の外側に向かって延びる部分である。接続部20cは、側壁部20bと傾斜部20dとを接続するものである。接続部20cは、傾斜部20dとは異なる傾斜角度で傾斜してもよいし、天壁部20aと平行な平面でもよいし、曲面でもよい。
【0018】
(傾斜部20d)
傾斜部20dは、接続部20cの先端から照射領域側且つ器具2の幅方向の外側に向かって傾斜して延びる部分である。傾斜部20dには、光を反射させる反射膜等が形成されている。これにより、収容部20eに収容された灯具3から照射された光の一部が、傾斜部20dに当たって照射領域側に反射する。傾斜部20dは、装着された灯具3の全体を収容する形状をなしている。灯具3は、器具本体部20に装着された状態で全体が器具本体部20に収容されている。なお、器具本体部20は、装着された灯具3の一部を収容する形状をなしているものでもよい。
【0019】
ここで、器具本体部20は、金属製である。器具本体部20と灯具3の台座30とは、いずれも金属製であるため、長手方向に沿った伸縮量の差が小さい。このため、器具本体部20の突出部63と樹脂製のカバー34とが接触する場合と比較して、突出部63と台座30に追従する灯具側連結具31とが接触する場合の異音の発生リスクが極めて低い。
【0020】
図6は、実施の形態1に係る器具2の一端部を拡大して上面からみた斜視図であり、図7は、実施の形態1に係る器具2の他端部を拡大して上面からみた斜視図である。図8は、実施の形態1に係る器具2の一端部を拡大して下面からみた斜視図であり、図9は、実施の形態1に係る器具2の他端部を拡大して下面からみた斜視図である。図6図9に示すように、器具端部26、第1保持部材4、第2保持部材5及び固定部材6は、器具本体部20における長手方向の両端部に設けられている。
【0021】
(器具端部26)
図10は、実施の形態1に係る器具端部26を示す斜視図である。図6図9に示すように、器具端部26は、器具2の幅方向に沿って延びる部材であり、器具本体部20の天壁部20a、側壁部20b、接続部20c及び傾斜部20dの長手方向における両端部に設けられた一対の部材である。一対の器具端部26は、天壁部20a、側壁部20b、接続部20c及び傾斜部20dを接続し、それぞれを両側から支持している。図10に示すように、器具端部26は、端部本体部26aと、端部上部26bと、端部側部26cとを有している。
【0022】
端部本体部26aは、器具2の幅方向に延びる板状の部材であり、器具本体部20の天壁部20a、側壁部20b、接続部20c及び傾斜部20dの長手方向における両端部を塞ぐものである。端部本体部26aには、器具2の幅方向に延びる長方形状の挿通穴27が形成されている。挿通穴27には、固定部材6が挿入される。端部上部26bは、端部本体部26aの上端部から器具本体部20側に延びる板状の部材である。端部側部26cは、端部本体部26aの側部から器具本体部20側に延びる板状の部材である。端部側部26cには、端部穴26dが形成されており、端部穴26dが使用されて、ねじである取付具7によって、器具端部26、第1保持部材4及び第2保持部材5が共締めされる。
【0023】
(器具側連結具21)
器具側連結具21は、器具本体部20の天壁部20aに設けられ、灯具側連結具31に引っ掛かって、器具2に灯具3を固定する連結ばねである。器具側連結具21と灯具側連結具31とにおいて、灯具3は器具2に取り付けられる。なお、器具側連結具21と灯具側連結具31とは、それぞれ器具2と灯具3とのいずれに設けられていてもよい。
【0024】
(端子台22)
端子台22は、器具本体部20の天壁部20aに設けられており、各電線が接続される台である。端子台22から延びる器具側電線23は、外部電源から延びる電線に接続される。これにより、灯具3の光源部33に、外部電源から端子台22を介して電力が供給される。
【0025】
(器具側電線23)
器具側電線23は、外部電源と端子台22とを接続し、外部電源から端子台22に電力を供給するものである。
【0026】
(第1保持部材4)
図11は、実施の形態1に係る第1保持部材4を示す斜視図である。図6図9に示すように、第1保持部材4は、支持部材9の断面形状に沿った形状をなしており、器具2に取り付けられ、器具2が支持部材9に取り付けられた状態で支持部材9の上方に配置されて器具2を保持するものである。第1保持部材4は、器具本体部20の長手方向の両端部に一対設けられている。第1保持部材4は、支持部材9への載せ掛け部として機能する。図11に示すように、第1保持部材4は、第1取付部40と、第1上部41と、第1水平部42と、第1先端部43とを有している。
【0027】
第1取付部40は、矩形状をなす板状の部材であり、器具端部26の端部側部26cに対向する位置に配置される。第1取付部40には、水平方向に延びるスライド穴40aが形成されており、スライド穴40a及び端部穴26dが使用されて、ねじである取付具7によって、器具端部26、第1保持部材4及び第2保持部材5が共締めされる。スライド穴40aに取付具7が挿入される位置が変更されることによって、第1保持部材4が器具端部26に取り付けられる位置が変わる。これにより、支持部材9に付帯するチャンネル部材と第1保持部材4との干渉を回避することができる。
【0028】
第1上部41は、第1取付部40の上端部から器具端部26側に延びる板状の部材である。第1上部41は、器具端部26の端部上部26bに載置される。第1水平部42は、第1取付部40の下端部から器具端部26側とは反対側に延びる板状の部材である。第1水平部42は、支持部材9の上端部に載置されるものであり、これにより、照明装置1が支持部材9から落下することを抑制する。即ち、照明装置1が支持部材9に取り付けられる。第1先端部43は、第1水平部42の先端から下方に延びる板状の部材である。第1先端部43は、支持部材9の側面を覆うものである。これにより、照明装置1が支持部材9の長手方向に垂直の方向に振れることを抑制する。
【0029】
(第2保持部材5)
図12は、実施の形態1に係る第2保持部材5を示す斜視図である。図6図9に示すように、第2保持部材5は、器具2と第1保持部材4との間に介在して器具2を保持し、先端が支持部材9に向いているものである。第2保持部材5は、器具本体部20の長手方向の両端部に一対設けられている。第2保持部材5は、弾性材であり、板ばねでもよいし線ばねでもよい。第2保持部材5は、支持部材9の長手方向に直交する方向において支持部材9を押圧することによって、照明装置1が支持部材9から離れて浮くことを抑制する。図12に示すように、第2保持部材5は、第2取付部50と、第2押圧部51と、第2基部52と、第2先端部53とを有している。
【0030】
第2取付部50は、矩形状をなす板状の部材であり、器具端部26の端部側部26cに対向する位置に配置される。第2取付部50には、第2穴50aが形成されており、第2穴50a、スライド穴40a及び端部穴26dが使用されて、ねじである取付具7によって、器具端部26、第1保持部材4及び第2保持部材5が共締めされる。第2押圧部51は、第2取付部50の下端部から器具端部26側に延びる板状の部材である。第2押圧部51は、固定部材6によって下方に押圧されることによって、第2基部52及び第2先端部53を支持部材9側に移動させる機能を有する。
【0031】
第2基部52は、第2押圧部51の下端部から斜め下方に延びる板状の部材である。第2基部52は、第2押圧部51が固定部材6によって押圧されることにより、支持部材9側に移動する。第2先端部53は、第2基部52の下端部から斜め上方に延びる板状の部材であり、第2保持部材5の先端に位置する。第2先端部53は、第2押圧部51が固定部材6によって押圧されることによって第2基部52が支持部材9側に移動すると、第2基部52と共に支持部材9側に移動する。
【0032】
(固定部材6)
図13は、実施の形態1に係る固定部材6を下面からみた斜視図であり、図14は、実施の形態1に係る固定部材6を上面からみた斜視図である。図6図9に示すように、固定部材6は、器具端部26の挿通穴27に挿入されるものであり、器具2の幅方向に延びる板状の部材である。固定部材6は、非弾性部材である。固定部材6は、支持部材9の長手方向に直交する方向において、器具端部26の挿通穴27の内部を移動することができる。このように、固定部材6は、挿通穴27によって、移動範囲が規制されている。固定部材6は、器具2の内部に移動自在に設けられ、移動することによって、第2保持部材5を支持部材9に押圧させるものである。図13及び図14に示すように、固定部材6は、固定上部60と、固定外側部62と、固定内側部61と、突出部63とを有している。
【0033】
固定上部60は、水平方向に平行な面を有する部材であり、器具端部26の挿通穴27の上端部に配置される。固定上部60は、器具2の幅方向に延びる部材である。固定外側部62は、固定上部60における器具2の長手方向の一端部から下方に延びる部材である。固定外側部62は、器具2の幅方向に延びる部材である。固定外側部62は、器具端部26の挿通穴27に取り付けられる際、器具2の外側を向く。固定内側部61は、固定上部60における器具2の長手方向の他端部から下方に延びる部材である。固定内側部61は、器具2の幅方向に延びる部材である。固定内側部61は、器具端部26の挿通穴27に取り付けられる際、器具2の内側を向く。固定部材6が下方に押されると、固定内側部61の両端部は、第2保持部材5の第2押圧部51を下方に押圧する(図18参照)。
【0034】
突出部63は、固定内側部61の中央から下方に突出する部材である。突出部63は、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、上下方向から見て灯具3と重なる位置に設けられている。突出部63は、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、灯具3の灯具側連結具31と当接することによって、灯具3の端部側における上方の器具本体部20側に移動することを規制する。灯具3は、器具側連結具21によって器具本体部20側に引き込まれても、突出部63によって移動が規制された状態において、器具端部26とカバー端部36との間に隙間が形成されている。これにより、器具2の器具端部26と灯具3のカバー端部36とが接触しない。従って、器具2とカバー34との間において、スティックスリップ現象による異音の発生リスクが低い。なお、突出部63は、器具本体部20の側面において、側面から内側に向かって直接設けられたものでもよい。
【0035】
突出部63の寸法、形状及び器具端部26とカバー端部36との隙間の寸法は、部品の製造ばらつき、組立ばらつき及び施工時の灯具3の取り付けばらつき等を勘案して設定される。器具端部26とカバー端部36との隙間の寸法は、概ね0.3mm以上であることが好ましい。なお、突出部63によって灯具3の移動が規制された状態で、器具端部26とカバー端部36とが互いに押圧しない状態であれば、器具2とカバー34とが接していてもよく、異物の侵入リスクを抑制することができる。
【0036】
(固定部材6の操作)
図15及び図16は、実施の形態1に係る固定部材6の操作が開始される状態を示す図である。次に、固定部材6の操作について説明する。照明装置1が支持部材9に取り付けられる施工時、図15及び図16に示すように、固定部材6の固定内側部61と第2保持部材5の第2押圧部51とは接触しているのみで、固定部材6は第2保持部材5を押圧していない。このとき、第2保持部材5の第2先端部53は、支持部材9を押圧しておらず、支持部材9に触れてもいない。
【0037】
図17及び図18は、実施の形態1に係る固定部材6の操作が行われる途中の状態を示す図である。図15及び図16の状態から、固定部材6の操作が開始されて、固定部材6が下方に引き下ろされると、図17及び図18に示すように、固定部材6の固定内側部61が、第2保持部材5の第2押圧部51を下方に向って押圧する。これにより、第2押圧部51に接続する第2基部52は、支持部材9側に移動する。第2基部52が支持部材9側に移動することに伴って、第2先端部53も支持部材9側に移動する。これにより、第2保持部材5の第2先端部53は、支持部材9に干渉して押圧する。即ち、第2保持部材5の第2先端部53は、支持部材9に形成された括れ部である凹部90に干渉する位置に、変形した状態で配置される。第2先端部53が支持部材9の凹部90に干渉することによって、照明装置1が支持部材9から浮くことが抑制される。
【0038】
図19及び図20は、実施の形態1に係る固定部材6の操作が完了される状態を示す図である。図17及び図18の状態から、固定部材6が更に支持部材9に平行且つ器具2の外側に向かって押し込まれると、図19及び図20に示すように、固定部材6の固定上部60が挿通穴27の上部に当たり、固定部材6が上方に移動することが規制される。これにより、第2保持部材5の第2先端部53は、支持部材9に形成された括れ部である凹部90に干渉する位置に、変形した状態で配置された状態が維持される。この状態で、灯具3が器具2に取り付けられる。このとき、固定部材6が上方に移動することが阻止されているため、灯具3が取り付けられた後も、照明装置1が支持部材9から浮くことが抑制される状態が維持される。
【0039】
このように、固定部材6は、上下方向に沿って移動することによって、第2保持部材5が支持部材9を押圧又は押圧解除する。そして、固定部材6は、支持部材9と平行の方向に沿って移動することによって、第2保持部材5における支持部材9の押圧解除をする方向への移動を規制する。
【0040】
(第1保持部材4の移動)
図21及び図22は、実施の形態1に係る第1保持部材4の移動状態を示す図である。次に、第1保持部材4の移動について説明する。第1保持部材4が移動する際、図21に示すように、第1保持部材4のスライド穴40aに挿入されているねじが緩められる。ねじが緩められた後、図22に示すように、第1保持部材4が水平方向に16mm程度移動する。この状態で再びねじが締められる。これにより、固定部材6は、支持部材9における長手方向と平行の方向への移動が規制される。このように、固定部材6は、第1保持部材4が取り付けられる位置が変更されることによって、支持部材9における長手方向への移動が規制される。
【0041】
(照明装置1の支持部材9への取り付け)
図23図24及び図25は、実施の形態1に係る照明装置1が支持部材9に取り付けられる状態を示す図である。次に、形状が異なる支持部材9に照明装置1が取り付けられる態様について説明する。図23に示す支持部材9は、器具本体部20が載置される載置部と、載置部から立設する立設部と、立設部の上端に設けられ上部に第1保持部材4が載置される頭部とを有している。図24に示す支持部材9は、器具本体部20が載置される載置部と、載置部から立設する立設部と、立設部の途中から外側に延びる突設部と、立設部の上端に設けられ上部に第1保持部材4が載置される頭部とを有している。図25に示す支持部材9は、器具本体部20が載置される載置部と、載置部から立設する立設部と、立設部の上端に設けられ上部に第1保持部材4が載置される頭部とを有しており、図23に示す支持部材9よりも頭部が小さい。このように、複数の支持部材9が異なる断面形状をなしている。また、複数の支持部材9が異なる高さ寸法を有している。図23図24及び図25に示すいずれの支持部材9においても、本実施の形態1の照明装置1は、支持部材9に安定して固定される。
【0042】
(固定部材6の突出部63の作用)
図26は、実施の形態1に係る突出部63の作用を示す図である。図17に示すように、固定部材6が更に支持部材9に平行且つ器具2の外側に向かって押し込まれると、固定部材6の固定上部60が挿通穴27の上部に当たり、固定部材6が上方に移動することが規制される。その際、図26に示すように、突出部63の下端部が灯具3のカバー端部36の上端に引っ掛かる。これにより、灯具3のカバー端部36が上方に移動することが規制される。灯具3が器具2に装着された状態では、固定部材6は器具2から外れない。器具2が支持部材9から取り外されるためには、灯具3が器具2から取り外される必要がある。従って、灯具3が器具2に装着された状態において、照明装置1が支持部材9から脱落することが抑制される。このように、突出部63は、灯具3が上方に移動することを規制する。また、突出部63は、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、灯具3と接触していてもよい。
【0043】
本実施の形態1によれば、固定部材6が、器具2の内部を移動することによって、第2保持部材5を支持部材9に押圧させる。即ち、固定部材6が操作されることによって、第2保持部材5が支持部材9を押圧するか否かを制御することができる。従って、固定部材6が操作されるのみで、支持部材9から器具2を取り外すことができる。即ち、器具2を支持部材9に取り付けるための第1保持部材4及び第2保持部材5を取り外す必要がない。よって、設備の更新工事等の効率が向上する。このように、着脱の工程が簡素化されることによって、リニューアルを含む施工性の向上、及び点検口用途の活用の促進につながる。
【0044】
また、本実施の形態1によれば、支持部材9の上方に配置されて器具2を保持する第1保持部材4が支持部材9の断面形状に沿った形状をなしている。このため、多種類の支持部材9毎に、個別に対応する必要がない。従って、支持部材9から落下することを抑制しつつ、多種類の支持部材9に対応することができる。
【0045】
従来、第2保持部材5といった浮き防止部材は、通常、支持部材9の形状によって、寸法が変更されて製作される。本実施の形態1は、第2先端部53が支持部材9の凹部90に干渉することによって、照明装置1が支持部材9から浮くことを抑制している。従って、支持部材9の寸法にかかわらず、照明装置1が支持部材9に安定して固定される。よって、第2保持部材5は、異なる断面形状の支持部材9において幅広く対応することができるため、部品を共通化することができる。
【0046】
更に、本実施の形態1によれば、固定部材6が、灯具3が器具2に取り付けられた状態で、上下方向から見て灯具3と重なる位置に設けられた突出部63を有している。即ち、器具2と灯具3とは、突出部63の部分以外接触していない。よって、突出部63を小さくすれば、その分だけ器具2と灯具3との接触箇所は小さくなる。従って、器具2と灯具3との接触箇所に、高い寸法精度が求められないため、品質の管理が容易である。また、これにより、スティックスリップ現象を回避することもできる。
【0047】
なお、照明装置1は、実施の形態1の構成に限定されない。実施の形態1の構成は一例であり、他の構成を含んでもよい。照明装置1は、技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に実施する設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含む。
【0048】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0049】
[付記1]
被取付部に設けられた支持部材に取り付けられる器具と、
前記器具に取り付けられ、光源を有する灯具と、を備え、
前記器具は、
器具本体部と、
前記支持部材の断面形状に沿った形状をなしており、前記器具本体部に取り付けられ、前記器具本体部が前記支持部材に取り付けられた状態で前記支持部材の上方に配置されて前記器具本体部を保持する第1保持部材と、
前記器具本体部と前記第1保持部材との間に介在して前記器具本体部を保持し、先端が前記支持部材に向いている第2保持部材と、
前記器具本体部の内部に設けられ、前記第2保持部材を前記支持部材に押圧させる固定部材と、を有する
照明装置。
[付記2]
複数の前記支持部材が異なる断面形状をなしている
付記1記載の照明装置。
[付記3]
複数の前記支持部材が異なる高さ寸法を有している
付記1又は2記載の照明装置。
[付記4]
前記固定部材は、
前記器具本体部の内部に移動自在に設けられ、移動することによって、前記第2保持部材を前記支持部材に押圧させる
付記1~3のいずれか1つに記載の照明装置。
[付記5]
前記固定部材は、
上下方向に沿って移動することによって、前記第2保持部材が前記支持部材を押圧又は押圧解除する
付記1~4のいずれか1つに記載の照明装置。
[付記6]
前記固定部材は、
前記支持部材と平行の方向に沿って移動することによって、前記第2保持部材における前記支持部材の押圧解除をする方向への移動を規制する
付記1~5のいずれか1つに記載の照明装置。
[付記7]
前記固定部材は、
前記第1保持部材が取り付けられる位置が変更されることによって、前記支持部材の長手方向への移動が規制される
付記1~6のいずれか1つに記載の照明装置。
[付記8]
前記支持部材と、
付記1~7のいずれか1つに記載の照明装置と、
を備えるシステム天井。
【符号の説明】
【0050】
1 照明装置、2 器具、3 灯具、4 第1保持部材、5 第2保持部材、6 固定部材、7 取付具、9 支持部材、20 器具本体部、20a 天壁部、20b 側壁部、20c 接続部、20d 傾斜部、20e 収容部、21 器具側連結具、22 端子台、23 器具側電線、26 器具端部、26a 端部本体部、26b 端部上部、26c 端部側部、26d 端部穴、27 挿通穴、30 台座、31 灯具側連結具、32 電源部、33 光源部、34 カバー、35 カバー本体部、36 カバー端部、37 灯具側電線、40 第1取付部、40a スライド穴、41 第1上部、42 第1水平部、43 第1先端部、50 第2取付部、50a 第2穴、51 第2押圧部、52 第2基部、53 第2先端部、60 固定上部、61 固定内側部、62 固定外側部、63 突出部、90 凹部、100 システム天井。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26