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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160539
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】ミシン用補助テーブル
(51)【国際特許分類】
   D05B 73/04 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
D05B73/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075653
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】原茂 帆乃夏
(72)【発明者】
【氏名】尾家 武志
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA01
3B150CE23
3B150GA03
3B150GA15
3B150GA22
3B150GA26
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上させたミシン用補助テーブルを提供する。
【解決手段】ミシン本体部10に装着可能であり、作業エリアを拡大する補助テーブル部110を備えるミシン用補助テーブル100であって、補助テーブル部110に固定されている固定部200と、補助テーブル部110に開閉可能に設けられる蓋部300と、固定部200と蓋部300とを回動可能に連結する連結部400と、を備え、固定部200と連結部400とは、第1のヒンジ部HG1において回動可能に連結され、蓋部300と連結部400とは、第2のヒンジ部HG2において回動可能に連結され、第1のヒンジ部HG1における第1の回転軸RC1と第2のヒンジ部HG2における第2の回転軸RC2とが相互に平行かつ補助テーブル部110の上面と平行を成し、蓋部300を全開にしたときには、第2のヒンジ部HG2における第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110の上面よりも上側に位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン本体部に装着可能であり、作業エリアを拡大する補助テーブル部を備えるミシン用補助テーブルであって、
前記補助テーブル部に固定されている固定部と、
前記補助テーブル部に開閉可能に設けられる蓋部と、
前記固定部と前記蓋部とを回動可能に連結する連結部と、
を備え、
前記固定部と前記連結部とは、第1のヒンジ部において回動可能に連結され、
前記蓋部と前記連結部とは、第2のヒンジ部において回動可能に連結され、
前記第1のヒンジ部における第1の回転軸と前記第2のヒンジ部における第2の回転軸とが相互に平行かつ前記補助テーブル部の上面と平行を成し、
前記蓋部を全開にしたときには、前記第2のヒンジ部における前記第2の回転軸は、前記補助テーブル部の上面よりも上側に位置することを特徴とするミシン用補助テーブル。
【請求項2】
前記蓋部を全開にしたときには、前記補助テーブル部の上面と前記蓋部との上面とが面接触することを特徴とする請求項1に記載のミシン用補助テーブル。
【請求項3】
前記連結部における前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との距離は、
前記補助テーブル部の上面と前記第1の回転軸との距離と、
前記蓋部の上面と前記第2の回転軸との距離と、
を加算した距離と等しいことを特徴とする請求項2に記載のミシン用補助テーブル。
【請求項4】
前記蓋部が閉じているときには、前記固定部に設けられている第1の回転防止部と、前記連結部に設けられている第1の当接部と、が当接することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のミシン用補助テーブル。
【請求項5】
前記蓋部が閉じているときには、前記蓋部に設けられている第2の回転防止部と、前記連結部に設けられている第2の当接部と、が当接することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のミシン用補助テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン用補助テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンは、上糸の糸輪を形成し、上糸の糸輪に下糸を挿通することで、上糸と下糸を交絡させて縫い目を形成する。上糸は、糸駒から針に挿通され、下糸は、ボビンに巻かれた状態でボビンが収容される釜部に収容されている。
下糸は、布面下側から糸を通す必要があるため、釜部は、ミシンの作業テーブルの下側に設けられている場合がある。
【0003】
また、作業性を向上させるために、作業テーブルの面積を拡大するミシン用補助テーブルをミシン本体に装着させる場合がある。
ミシン用補助テーブルには、ボビン交換作業用の開閉蓋がミシン本体側の釜部に近接させて設けられている。
【0004】
上記のように構成されているミシン、あるいはミシン用補助テーブルが装着されているミシンにおいては、ミシン本体のボビン交換を行う際には、釜部上部あるいは開閉蓋を開く必要がある。そのため、作業性を向上させるためにボビン交換が容易な開閉蓋が求められている。
【0005】
このような要求に応じて、特許文献1においては、ミシンのカバーヒンジ装置は、滑り板(開閉蓋)が、ベッド(作業テーブル)に摺動自在な滑り板本体と、該滑り板本体の摺動方向に隣接して配置され、ベッドの段面上に載置されるとともに、該滑り板本体にヒンジ装置によって開閉可能に支持される開閉板とを有することによって、縫製作業およびボビン交換作業の効率を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-299674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、開閉蓋を開閉するためのヒンジ部が開閉蓋の下面側に設けられているため、開閉蓋を開いたときに開閉蓋上部面側が作業テーブルと干渉することによって、開閉蓋が作業テーブルに対して立ち上がった状態になる。
そのため、ボビン交換作業のときに、作業テーブルに対して立ち上がった状態の開閉蓋がユーザの手や袖に干渉することによって、ボビン交換の作業性が低下する虞があるという課題があった。
また、開閉蓋が樹脂によって成型されている場合には、作業テーブルと開閉蓋とが繰り返し当接し、開閉蓋に折り曲げ方向の応力が加わることによって、開閉蓋の一部が疲労破断してしまう虞があるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、耐久性を向上させたミシン用補助テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
形態1:本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、ミシン本体部に装着可能であり、作業エリアを拡大する補助テーブル部を備えるミシン用補助テーブルであって、前記補助テーブル部に固定されている固定部と、前記補助テーブル部に開閉可能に設けられる蓋部と、前記固定部と前記蓋部とを回動可能に連結する連結部と、を備え、前記固定部と前記連結部とは、第1のヒンジ部において回動可能に連結され、前記蓋部と前記連結部とは、第2のヒンジ部において回動可能に連結され、前記第1のヒンジ部における第1の回転軸と前記第2のヒンジ部における第2の回転軸とが相互に平行かつ前記補助テーブル部の上面と平行を成し、前記蓋部を全開にしたときには、前記第2のヒンジ部における前記第2の回転軸は、前記補助テーブル部の上面よりも上側に位置するミシン用補助テーブルである。
【0010】
形態2:本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、前記蓋部を全開にしたときには、前記補助テーブル部の上面と前記蓋部との上面とが面接触するミシン用補助テーブルである。
【0011】
形態3:本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、前記連結部における前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との距離は、前記補助テーブル部の上面と前記第1の回転軸との距離と、前記蓋部の上面と前記第2の回転軸との距離と、を加算した距離と等しいミシン用補助テーブルである。
【0012】
形態4:本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、前記蓋部が閉じているときには、前記固定部に設けられている第1の回転防止部と、前記連結部に設けられている第1の当接部と、が当接するミシン用補助テーブルである。
【0013】
形態5:本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、前記蓋部が閉じているときには、前記蓋部に設けられている第2の回転防止部と、前記連結部に設けられている第2の当接部と、が当接するミシン用補助テーブルである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、耐久性を向上させたミシン用補助テーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係るミシン用補助テーブルが装着されたミシン本体を示す上側から見た斜視図である。
図2】本実施の形態に係るミシン用補助テーブルの蓋部を全開させた状態において、図1に示すAA部を拡大した図であり、(a)は上側から見た平面図であり、(b)は前側からみた正面図であり、(c)は右側から見た側面図である。
図3】本実施の形態に係るミシン用補助テーブルの蓋部と連結部とをはずした状態で、固定部を上側から見た斜視図である。
図4】本実施の形態に係るミシン用補助テーブルにおける蓋部および連結部を上側から見た斜視図であり、(a)は蓋部を全開させた状態において上側から見た斜視図であり、(b)は連結部を上側から見た斜視図である。
図5】本実施の形態に係るミシン用補助テーブルにおいて蓋部を開閉させた状態を右側から見た側面図である。
図6図5に示すBB部の拡大図であり、(a)は蓋部を閉じた状態を示し、(b)は蓋部を立ち上がらせた状態を示し、(c)は蓋部を全開させた状態を示す。
図7図5に示すBB部の拡大図であり、(a)はD2>Dst>0において蓋部を全開させた状態を示し、(b)はDst>D2において蓋部を全開させた状態を示し、(c)はDst=D2において蓋部を全開させた状態を示す。
図8図2(c)に示すCC線を右側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図8を用いて、ミシン本体部10に装着される本実施の形態に係るミシン用補助テーブル100について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FR、矢印UPおよび矢印LHは、図1に示すミシン本体部10およびミシン用補助テーブル100の前側(正面側)、上側および左側(幅方向一方側)を示している。また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明する場合は、ミシン本体部10およびミシン用補助テーブル100の上下、前後、左右を示すものとする。
【0017】
<実施形態>
図1から図7を用いて、ミシン本体部10に装着される本実施形態に係るミシン用補助テーブル100の構成について説明する。
【0018】
図1に示されるように、ミシン本体部10は、前側から見た正面視で、左側へ開放された略U字状に形成されている。ミシン本体部10は、左端側に縫製針部SNが設けられ、その下側に設けられたすべり板11の下側内部に図示しない下糸用縫製装置、ボビン等が収容されている。
また、すべり板11の周囲および右側には、すべり板11と同一の平面を成すミシン本体部10における作業台12が設けられている。
【0019】
<ミシン用補助テーブル100について>
ミシン用補助テーブル100は、図1のドットハッチング部に示すように、ミシン本体部10の周囲を取り囲むように装着され、ユーザの作業エリアを拡大する補助テーブルである。
ミシン用補助テーブル100は、補助テーブル部110と、脚部120と、開閉蓋部AAと、を含んで構成されている。
【0020】
補助テーブル部110は、ミシン本体部10の後側、左側および前側を取り囲むように装着されている。
補助テーブル部110は、樹脂等の部材によって形成された平板であり、上側から見て略U字状に形成されている。補助テーブル部110におけるU字形状の凹部には、ミシン本体部10が装着されている。
補助テーブル部110の外周部には、下側に向かう壁面111が形成されている。
また、補助テーブル部110には、補助テーブル部110の上面とミシン本体部10における作業台12の上面とが同一の高さになるように脚部120が設けられている。換言すると、補助テーブル部110の上面は、すべり板11の上面およびミシン本体部10における作業台12の上面と略同一平面を成している。
【0021】
開閉蓋部AAは、例えば、ミシン本体部10におけるすべり板11の左側に設けられている。
以下に開閉蓋部AAについて記述する。
【0022】
<開閉蓋部AAについて>
開閉蓋部AAは、図2に示すように、固定部200と、蓋部300と、連結部400と、を含んで構成されている。開閉蓋部AAは、例えば、ミシン本体部10のすべり板11に隣接して設けられている。
【0023】
(固定部200について)
固定部200は、図3に示すように、樹脂等の部材によって形成され、前側から見て、左右方向を長手方向、上下方向を短手方向とする略長方形状を有し、板厚方向を前後方向として設けられている。また、固定部200には、前側下部において前側に階段状に突出した、第1の回転防止部としての回転防止受部220が形成されている。回転防止受部220の上側面には、平面が形成されている。
また、固定部200は、補助テーブル部110に固定されている。
具体的には、固定部200には、回転防止受部220における左右両側下側に、前後方向に貫通しているねじ孔SHが設けられている。そして、固定部200は、ねじ孔SHを貫通させてねじ等によって補助テーブル部110の壁面111に固定されている。
【0024】
固定部200の左右両側面部には、略円柱状の凹部として形成された第1のヒンジ受け部210が設けられている。第1のヒンジ受け部210は、左右対称の位置に左右同形状を有している。
また、第1のヒンジ受け部210における第1の回転軸RC1は、左右両側の第1のヒンジ受け部210に共通であり、左右方向を向いている。第1の回転軸RC1は、補助テーブル部110における上面および壁面111と平行に設けられている。
そして、固定部200は、第1の回転軸RC1が補助テーブル部110の上面からD1の距離になる位置に配設されている。
【0025】
(蓋部300について)
蓋部300については、図2および図4(a)に示すように、蓋部300が全開された状態として説明する。換言すると、蓋部300については、図5において示す蓋部300(Open)の状態として説明する。そのため、図5における蓋部300(Close)において、補助テーブル部110の上面と面一になる面を、蓋部300における「上面」として説明する。
【0026】
蓋部300は、図2(b)に示すように補助テーブル部110の上面に開閉可能に設けられている。
蓋部300は、補助テーブル部110の上面に設けられた図示しない開口部を開閉可能に塞ぐように設けられている。蓋部300は、樹脂等の部材によって上側から見て略長方形に形成されている。
蓋部300には、図4(a)に示すように、天板310と、外壁320と、爪部330と、第2のヒンジ受け部340と、第2の回転防止部としての回転防止ブロック350とが形成されている。蓋部300の前側には、後側に向かって凹んだ凹部HLを有している。
【0027】
天板310は、蓋部300の上面側に略平板状に形成されている。
天板310の上面は、蓋部300が閉じられた状態のときには、補助テーブル部110の上面と面一を成す平面が形成されている。また、蓋部300を全開にしたときには、補助テーブル部110の上面と、蓋部300の上面としての天板310の上面とは当接する。
また、天板310には、井桁状の外壁320が上下方向に向かって立ち上がっている。外壁320は、蓋部300の外周を取り囲むように形成されている。外壁320は、爪部330の周辺部においては設けられていない。
【0028】
蓋部300の後側部には、図4(a)における上側に延在した平板状の爪部330が設けられている。爪部330は、例えば、蓋部300と一体に成型されている。また、爪部330の上側先端部には、後側に向かう凸部が形成されている。
爪部330に設けられた凸部は、図5に示すように、蓋部300が閉じられた状態のときに、補助テーブル部110に設けられた凹部RCと係合されている。
【0029】
第2のヒンジ受け部340は、図4(a)に示すように、蓋部300の前側における凹部HLの左右方向内側壁に形成されている。第2のヒンジ受け部340は、略円柱状の凹部として形成され、凹部HLにおいて左右対称の位置に左右同形状を有している。
また、第2のヒンジ受け部340の中心を通る第2の回転軸RC2は、左右両側の第2のヒンジ受け部340に共通であり、左右方向を向いている。第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110における上面および壁面111と平行に設けられている。
そして、第2の回転軸RC2は、蓋部300の上面からD2の距離において形成されている。
【0030】
回転防止ブロック350は、凹部HLの左右方向内側壁における前側上部に、左右方向内側に向かって突出して設けられている。回転防止ブロック350は、例えば、略角柱形状の凸部として形成され、凹部HLにおいて左右対称の位置に左右同形状を有している。回転防止ブロック350は、第2のヒンジ受け部340よりも前側かつ上側に設けられている。
図5および図6(a)における太実線に示すように、蓋部300が閉じられている場合(蓋部300(Close))には、回転防止ブロック350は、連結部400における当接部SE2と当接している。
蓋部300が立ち上がった状態から全開状態になっている場合には、回転防止ブロック350は、当接部SE2から離れた状態となる。
【0031】
(連結部400について)
連結部400は、固定部200と蓋部300とを回動可能に連結する。
具体的には、連結部400は、例えば、図2に示すように、固定部200に設けられた第1のヒンジ受け部210と連結部400に設けられた第1のヒンジ軸部410とを回動可能に連結する。また、連結部400は、蓋部300に設けられた第2のヒンジ受け部340と連結部400に設けられた第2のヒンジ軸部420とを回動可能に連結する。そして、固定部200と蓋部300とは、連結部400によって回動可能に連結されている。
【0032】
また、連結部400は、図4(b)に示すように、樹脂等の部材によって前側から見て下側に開口部を有する略U字形に形成されている。連結部400における前側面および後側面は、平面状に形成されている。
また、図5に示すように、蓋部300が閉じられている場合には、図5においては連結部400の上側面(図4においては後側面)は、蓋部300の上面と面一となる。
【0033】
図4(b)に示すように、連結部400の前側から見て下側の開口部において、左右両側の開口部内側面部には、第1のヒンジ軸部410が設けられている。
第1のヒンジ軸部410は、略円柱状の凸部として内側に向かって突出して形成され、左右対称の位置に左右同形状を有している。
また、第1のヒンジ軸部410における第1の回転軸RC1は、左右両側の第1のヒンジ軸部410に共通であり、左右方向を向いている。第1の回転軸RC1は、補助テーブル部110における上面および壁面111と平行に設けられている。
【0034】
また、連結部400の前側から見て上側左右両側の外側面部には、第2のヒンジ軸部420が設けられている。
第2のヒンジ軸部420は、略円柱状の凸部として外側に向かって突出して形成され、左右対称の位置に左右同形状を有している。
第2のヒンジ軸部420における第2の回転軸RC2は、左右両側の第2のヒンジ軸部420に共通であり、左右方向を向いている。第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110における上面および壁面111と平行に設けられている。
【0035】
連結部400には、図4(b)における2点鎖線で囲むクロスハッチングで示すように、前側面中央部には、第1の当接部としての当接部SE1が平面を成して設けられている。当接部SE1は、図5および図6(a)における太破線に示すように、蓋部300が閉じられている場合には、固定部200における回転防止受部220と当接している。
また、連結部400には、図4(b)における斜線ハッチングで示すように、左右両側の前側面には、当接部SE2が平面を成して設けられている。当接部SE2は、蓋部300が閉じられている場合には、蓋部300における回転防止ブロック350と当接している。蓋部300が立ち上がった状態から全開状態になっている場合には、当接部SE2は、回転防止ブロック350から離れた状態となる。
【0036】
(第1のヒンジ部HG1および第2のヒンジ部HG2について)
第1のヒンジ部HG1は、図2(c)において二点鎖線で囲って示すように、連結部400における第1のヒンジ軸部410が、固定部200における第1のヒンジ受け部210に回動可能に嵌合することによって構成されている。
また、第2のヒンジ部HG2は、連結部400における第2のヒンジ軸部420が、蓋部300における第2のヒンジ受け部340に回動可能に嵌合することによって構成されている。
換言すると、固定部200と連結部400とは、第1のヒンジ部HG1において回動可能に連結され、蓋部300と連結部400とは、第2のヒンジ部HG2において回動可能に連結されている。
また、図2図4に示すように、第1のヒンジ部HG1における第1の回転軸RC1と、第2のヒンジ部HG2における第2の回転軸RC2とは、相互に平行かつ補助テーブル部110の上面と平行を成している。また、第1の回転軸RC1と第2の回転軸RC2とは、補助テーブル部110の壁面111と平行を成している。
【0037】
また、第2のヒンジ部HG2が第1のヒンジ部HG1の上側に位置するまで回転した場合には、第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110の上面よりも上側に位置する。
具体的には、図5に示すように、例えば、蓋部300が閉じた状態にある蓋部300(Close)の状態から、蓋部300が立ち上がった状態にある蓋部300(Stand)の位置まで回転した場合には、連結部400が第1の回転軸RC1を中心として回転することによって、第2の回転軸RC2は矢印AR1に示す方向に回転する。そして、連結部400は、連結部400(Open)の状態になる。このとき、第2の回転軸RC2は、第2の回転軸RC2(Open)に位置し、補助テーブル部110の上面よりも上側に位置している。
【0038】
さらに具体的には、図6(b)に示すように、連結部400が連結部400(Open)の状態においては、例えば、補助テーブル部110の上面と第1の回転軸RC1との距離は、距離「D1」である。蓋部300の上面と第2の回転軸RC2との距離は、距離「D2」である。また、連結部400における第1の回転軸RC1と第2の回転軸RC2との距離は、距離「Dc」である。また、補助テーブル部110の上面と第2の回転軸RC2との距離「Dst」である。
【0039】
このとき、補助テーブル部110の上面と第2の回転軸RC2との距離「Dst」が第2の回転軸RC2が補助テーブル部110の上面よりも上側に位置しているため、以下数1に示すように、距離「Dc」は、距離「D1」と距離「Dst」を加算した距離になる。また、距離「Dc」は、距離「D1」以上の距離になる。
【数1】
そのため、以下数2に示すように、距離「Dst」は0以上になる。
【数2】
【0040】
また、以下数3に示すように、距離「Dst」が距離「D2」未満の距離である場合には、図7(a)に示すように、蓋部300が全開した状態(蓋部300(Open))においては、補助テーブル部110の上面における前側と蓋部300の上面とが当接する。
【数3】
また、以下数4に示すように、距離「Dst」が距離「D2」以上の距離である場合には、図7(b)に示すように、蓋部300が全開した状態(蓋部300(Open))においては、補助テーブル部110の上面と蓋部300の爪部330側における蓋部300の上面とが当接する。
【数4】
【0041】
また、以下数5に示すように、距離「Dst」が距離「D2」に等しい距離である場合には、図7(c)に示すように、蓋部300が全開した状態(蓋部300(Open))においては、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが面接触する。
【数5】
換言すると、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが面接触する場合には、以下数6に示すように、連結部400における第1の回転軸RC1と第2の回転軸RC2との距離「Dc」は、補助テーブル部110の上面と第1の回転軸RC1との距離「D1」と、蓋部300の上面と第2の回転軸RC2との距離「D2」と、を加算した距離と等しくなる。
【数6】
【0042】
なお、距離「Dst」および距離「D2」が数4を満たす条件において、図7(b)に示す連結部400(Open)が、第1の回転軸RC1を回転軸として前側に向かって倒れこんだ場合には、数5の条件を満たすことによって、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが面接触する場合がある。
【0043】
<作用・効果>
上記のように構成された本実施形態に係るミシン用補助テーブル100において、ユーザが開閉蓋部AAを開閉した場合について図5図8を用いて説明する。
【0044】
(開閉蓋部AAを開ける場合について)
例えば、ユーザがミシン本体部10のすべり板11の下側において、下糸の調整あるいはボビン交換等の作業を行う場合には、ユーザは、開閉蓋部AAを開けることによって作業を行う。
ユーザは、蓋部300における爪部330を補助テーブル部110からはずし、蓋部300を開ける。
【0045】
図5に示すように、蓋部300は、蓋部300(Close)の状態から、第1のヒンジ部HG1における第1の回転軸RC1を中心として、矢印AR1に示す方向に回転し、蓋部300(Stand)の状態になる。このとき、蓋部300に設けられている回転防止ブロック350が連結部400の当接部SE2に当接した状態で回転することによって、蓋部300と連結部400とは、矢印AR1に示す方向に向かって共に回転する。
【0046】
さらにユーザは、矢印AR2に示すように、蓋部300(Stand)の状態から蓋部300を全開にさせる蓋部300(Open)の位置まで回転させる。このとき、蓋部300(Stand)の状態において、連結部400は、補助テーブル部110の上面側と当接することによって、連結部400の矢印AR2に向かう回転が停止し、回転防止ブロック350が当接部SE2から離れる。また、連結部400の回転が停止することによって、蓋部300は、第1の回転軸RC1を中心とした回転から、第2のヒンジ部HG2における第2の回転軸RC2(Open)を中心とした回転に移行する。
【0047】
蓋部300(Stand)の状態においては、第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110の上面よりも上側に位置する。したがって、蓋部300は、補助テーブル部110の上面と干渉することなしに回転を継続させる。そして、蓋部300が補助テーブル部110の上面と当接する位置において、蓋部300は全開となる。
【0048】
図7(a)~図7(c)に示すように、蓋部300が全開した状態(蓋部300(Open))において、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが当接することによって、開閉蓋部AAは、ユーザによる接触、振動等の応力を印加されにくい静置させた状態になる。
【0049】
以上のように、開閉蓋部AAにおいて蓋部300を全開させた場合には、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが当接することによって、蓋部300は、ユーザによる接触、振動等の応力を印加されにくい静置させた状態となる。また、印加された応力は、開閉蓋部AAによって吸収されるとともに、補助テーブル部110に分散される。
また、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが面接触することによって、開閉蓋部AAは、さらに蓋部300がユーザの手あるいは袖等に接触しにくい状態になる。
また、開閉蓋部AAを開閉する際には、第1のヒンジ部HG1および第2のヒンジ部HG2が回転することによって、固定部200、蓋部300および連結部400における部材を折り曲げる応力を加えることなく開閉蓋部AAを開閉させる。
【0050】
(開閉蓋部AAを閉める場合について)
ユーザが開閉蓋部AAを開けて行う作業を終了させると、ユーザは、開閉蓋部AAを閉める。ユーザは、全開となっている蓋部300(Open)を、矢印AR3に示す方向に回転させる。
【0051】
第1のヒンジ部HG1あるいは第2のヒンジ部HG2が、ユーザが動かす蓋部300の動きにあわせて、回転を始める。蓋部300が前側に向かって移動する場合には、連結部400が第1の回転軸RC1を中心に回転することによって、蓋部300を前側に向かって移動させる。蓋部300が上側に向かって移動する場合には、蓋部300が第2の回転軸RC2を中心に回転することによって、蓋部300(Stand)の状態にさせる。
そして、ユーザは、蓋部300を矢印AR4の方向にさらに回転させ、蓋部300(Close)の状態に戻し、爪部330を補助テーブル部110の凹部RCにはめ込むことによって、蓋部300を閉める。
このとき、爪部330は、蓋部300が前側に向かって移動することを制限する。
【0052】
また、図8に示すように、蓋部300(Close)の状態においては、固定部200における回転防止受部220が図8の太破線に示す連結部400における当接部SE1に当接することによって、回転防止受部220は、連結部400が第1の回転軸RC1を中心に回転することを制限する。そして、回転防止受部220および当接部SE1は、連結部400がさらに下側に向かって移動することを制限する。
また、蓋部300における回転防止ブロック350は、図8の太実線に示す連結部400の当接部SE2に当接することによって、第2の回転防止部としての回転防止ブロック350は、連結部400が第2の回転軸RC2を中心に回転することを制限する。そして、回転防止ブロック350および当接部SE2は、連結部400がさらに回転することを制限する。
さらに、固定部200に設けられている第1のヒンジ部HG1は、蓋部300(Close)および連結部400が後側に向かって移動することを制限する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係るミシン用補助テーブル100は、ミシン本体部10に装着可能であり、作業エリアを拡大する補助テーブル部110を備えるミシン用補助テーブル100であって、補助テーブル部110に固定されている固定部200と、補助テーブル部110に開閉可能に設けられる蓋部300と、固定部200と蓋部300とを回動可能に連結する連結部400と、を備え、固定部200と連結部400とは、第1のヒンジ部HG1において回動可能に連結され、蓋部300と連結部400とは、第2のヒンジ部HG2において回動可能に連結され、第1のヒンジ部HG1における第1の回転軸RC1と第2のヒンジ部HG2における第2の回転軸RC2とが相互に平行かつ補助テーブル部110の上面と平行を成し、蓋部300を全開にしたときには、第2のヒンジ部HG2における第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110の上面よりも上側に位置している。
つまり、ミシン用補助テーブル100は、開閉可能な開閉蓋部AAを有し、開閉蓋部AAを構成する固定部200、蓋部300および連結部400を、相互に連結させる第1のヒンジ部HG1と第2のヒンジ部HG2とを構成している。
したがって、開閉蓋部AAを開閉する際には、第1のヒンジ部HG1および第2のヒンジ部HG2が回転することによって、固定部200、蓋部300および連結部400における部材に応力を加えることなく蓋部300を開閉させることができる。また、開閉蓋部AAは、第1のヒンジ部HG1と第2のヒンジ部HG2とによって固定部200と蓋部300と連結部400とを屈曲させる構成になっているため、開閉動作時に発生する応力を分散させるとともに減少させることができる。
また、蓋部300を全開にさせたときには、第2の回転軸RC2は、補助テーブル部110の上面よりも上側に位置しているため、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とが当接する。
したがって、開閉蓋部AAは、ユーザによる接触、振動等の応力を印加されにくい静置させた状態となるとともに、開閉蓋部AAに応力が印加された場合には、印加された応力は、開閉蓋部AAによって吸収されるとともに、補助テーブル部110に分散させることができる。そして、開閉蓋部AAは、固定部200、蓋部300および連結部400に加わる接触による応力を減少させることができる。
そのため、ミシン用補助テーブル100は、耐久性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係るミシン用補助テーブル100は、蓋部300を全開にしたときには、補助テーブル部110の上面と蓋部300との上面とが面接触する。
つまり、蓋部300を全開にしたときに補助テーブル部110の上面と蓋部300との上面とが面接触することによって、蓋部300は、補助テーブル部110の上面側に突出することなく安定して静置される。
したがって、開閉蓋部AAは、蓋部300をさらにユーザの手あるいは袖等に接触しにくくすることができる。また、開閉蓋部AAは、ユーザによる接触、振動等の応力をさらに印加されにくい静置させた状態になるとともに、開閉蓋部AAに応力が印加された場合には、印加された応力は、開閉蓋部AAによって吸収されるとともに、補助テーブル部110にさらに分散させることができる。そして、開閉蓋部AAは、固定部200、蓋部300および連結部400に加わる接触による応力をさらに減少させることができる。
そのため、ミシン用補助テーブル100は、耐久性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態に係るミシン用補助テーブル100は、連結部400における第1の回転軸RC1と第2の回転軸RC2との距離Dcは、補助テーブル部110の上面と第1の回転軸RC1との距離D1と、蓋部300の上面と第2の回転軸RC2との距離D2と、を加算した距離と等しい。
つまり、連結部400における第1の回転軸RC1と第2の回転軸RC2との距離「Dc」が、距離「D1」と距離「D2」とを加算した距離と等しい場合には、補助テーブル部110の上面と第2の回転軸RC2との距離「Dst」は、距離「D2」となっている。そして、補助テーブル部110の上面と第2の回転軸RC2との距離と、補助テーブル部110の上面と第2の回転軸RC2との距離とが、距離「D2」となり等しくなる。
したがって、蓋部300が全開した状態(蓋部300(Open))においては、補助テーブル部110の上面と蓋部300の上面とを面接触させることができる。そして、蓋部300が、さらにユーザの手あるいは袖等に接触しにくくすることによって、開閉蓋部AAは、固定部200、蓋部300および連結部400に加わる接触による応力をさらに減少させることができる。
そのため、ミシン用補助テーブル100は、耐久性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係るミシン用補助テーブル100は、蓋部300が閉じているときには、第1の回転軸RC1に対して固定部200に設けられている第1の回転防止部としての回転防止受部220と、連結部400に設けられている第1の当接部としての当接部SE1と、が当接する。
つまり、蓋部300が閉じられている状態において、固定部200に設けられた回転防止受部220を連結部400における当接部SE1に当接させることによって、回転防止受部220は、第1の回転軸RC1を中心とした蓋部300および連結部400が下側あるいは後側に向かって移動あるいは変形することを制限することができる。
したがって、回転防止ブロック350は、固定部200、蓋部300および連結部400における移動および変形を制限することによって、固定部200、蓋部300および連結部400に印加される応力による疲労破断を減少させることができる。
そのため、ミシン用補助テーブル100は、耐久性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るミシン用補助テーブル100は、蓋部300が閉じているときには、第2の回転軸RC2に対して蓋部300に設けられている第2の回転防止部としての回転防止ブロック350と、連結部400に設けられている第2の当接部としての当接部SE2と、が当接する。
つまり、蓋部300が閉じられている状態において、蓋部300に設けられた回転防止ブロック350を連結部400における当接部SE2に当接させることによって、回転防止ブロック350は、第2の回転軸RC2を中心とした蓋部300および連結部400が下側あるいは後側に向かって移動あるいは変形することを制限することができる。
したがって、回転防止ブロック350は、固定部200、蓋部300および連結部400における移動および変形を制限することによって、固定部200、蓋部300および連結部400に印加される応力による疲労破断を減少させることができる。
そのため、ミシン用補助テーブル100は、耐久性を向上させることができる。
【0058】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0059】
10;ミシン本体部
100;ミシン用補助テーブル
110;補助テーブル部
200;固定部
210;第1のヒンジ受け部
220;回転防止受部
300;蓋部
340;第2のヒンジ受け部
350;回転防止ブロック
400;連結部
410;第1のヒンジ軸部
420;第2のヒンジ軸部
AA;開閉蓋部
HG1;第1のヒンジ部
HG2;第2のヒンジ部
RC1;第1の回転軸
RC2;第2の回転軸
SE1;当接部
SE2;当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8