(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160568
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/165 20060101AFI20241107BHJP
B65G 47/86 20060101ALN20241107BHJP
【FI】
G01D5/165 A
B65G47/86 H
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075708
(22)【出願日】2023-05-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】591048070
【氏名又は名称】上野精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝慶
【テーマコード(参考)】
2F077
3F072
【Fターム(参考)】
2F077CC02
2F077NN12
2F077PP03
2F077VV02
3F072AA15
3F072GA02
3F072GE05
3F072KC02
3F072KC07
3F072KD03
(57)【要約】
【課題】電子部品を許容範囲内に停止させるために、一時停止した支持部材の位置を検出する位置検出装置を提供する。
【解決手段】接触部を接触させて電子部品を支持する支持部材12が一時停止した際の接触部の位置を検出する位置検出装置であって、一時停止した支持部材12まで距離を有する位置に配された通電ユニット34と、一時停止した支持部材12の接触部と通電ユニット34の間で通電ユニット34まで距離を有する位置に配され、通電ユニット34に非接触で通電ユニット34を非通電状態にし、通電ユニット34に接触して通電ユニット34を通電状態にする導電体35と、支持部材12を移動させ、支持部材12の接触部及び通電ユニット34に導電体35を挟ませる移動手段と、非通電状態の通電ユニット34が通電状態となるまでの支持部材12の移動距離を基に一時停止した支持部材12の接触部の位置を導出する位置導出手段とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品に接触部を接触させて該電子部品を支持した状態で、一時停止位置まで移動する支持部材に対して、一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を検出する位置検出装置であって、
一時停止した前記支持部材まで距離を有する位置に配された通電状態及び非通電状態が切り替わる通電ユニットと、
一時停止した前記支持部材の前記接触部と前記通電ユニットの間で該通電ユニットまで距離を有する位置に配され、該通電ユニットに非接触で該通電ユニットを非通電状態にし、該通電ユニットに接触して該通電ユニットを通電状態にする導電体と、
一時停止した前記支持部材を前記通電ユニットに対し相対的に移動させ、該支持部材の前記接触部及び該通電ユニットに前記導電体を挟ませる移動手段と、
前記通電ユニットの非通電状態及び通電状態を検出する検出手段と、
非通電状態の前記通電ユニットが通電状態となるまでの前記支持部材の前記通電ユニットに対する相対的な移動距離を基に一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を導出する位置導出手段とを備え、
前記通電ユニットは互いに非接触な正極部及び負極部を有し、前記通電ユニットは、該正極部及び該負極部が前記導電体に接触し該導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
電子部品に接触部を接触させて該電子部品を支持した状態で、一時停止位置まで移動する支持部材に対して、一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を検出する位置検出装置であって、
一時停止した前記支持部材まで距離を有する位置に配された導電体と、
一時停止した前記支持部材の前記接触部と前記導電体の間で該導電体まで距離を有する位置に非通電状態で配され、該導電体に接触して通電状態となる通電ユニットと、
一時停止した前記支持部材を前記導電体に対し相対的に移動させ、該支持部材の前記接触部及び該導電体に前記通電ユニットを挟ませる移動手段と、
前記通電ユニットの非通電状態及び通電状態を検出する検出手段と、
非通電状態の前記通電ユニットが通電状態となるまでの前記支持部材の前記導電体に対する相対的な移動距離を基に一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を導出する位置導出手段とを備え、
前記通電ユニットは互いに非接触な正極部及び負極部を有し、前記通電ユニットは、該正極部及び該負極部が前記導電体に接触し該導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となることを特徴とする位置検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の位置検出装置において、前記正極部及び前記負極部はそれぞれ複数あって、該正極部及び該負極部が交互に等ピッチで配されていることを特徴とする位置検出装置。
【請求項4】
請求項3記載の位置検出装置において、前記通電ユニットは、前記複数の正極部が直線状の正極基部材から櫛歯状に突出して形成され、前記複数の負極部が直線状の負極基部材から櫛歯状に突出して形成された櫛歯電極を具備し、前記導電体は、前記正極部及び前記負極部に接触する平面Aを有し、隣り合う前記正極部間の距離は前記導電体の平面Aの前記正極基部材の長手方向の長さより短く、隣り合う前記負極部間の距離は前記導電体の平面Aの前記負極基部材の長手方向の長さより短いことを特徴とする位置検出装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の位置検出装置において、前記正極部及び前記負極部はそれぞれ複数あって、該正極部及び該負極部が交互に異なるピッチで配されていることを特徴とする位置検出装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の位置検出装置において、前記通電ユニットは、異方性導電シート並びに互いに非接触でそれぞれ該異方性導電シートに接した正極部及び負極部を有し、前記通電ユニットは、前記異方性導電シートが前記導電体に接触し前記正極部及び前記負極部が該異方性導電シート及び該導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となることを特徴とする位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を支持する支持部材の位置を検出する位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品は、搬送ユニットが備える支持部材に支持された状態で支持部材と共に一時停止位置まで移動して外観検査や電気特性検査等の各種検査やレーザによるマーキング等、所定の処理がなされた後に出荷される(特許文献1、2参照)。また、設備によっては、一の搬送ユニットの支持部材に支持されていた電子部品が一時停止位置で他の搬送ユニットの支持部材に引き渡される。
【0003】
一時停止した電子部品はその電子部品に所定の処理を行う処理ユニットやその電子部品が引き渡される支持部材に対して適切な位置に配される必要があるところ、一時停止した電子部品の位置はその電子部品を支持している支持部材によって決定される。この点、搬送ユニットが複数の支持部材を有する場合、全ての支持部材に同じ設計の製品が使用されることから、基本的に各支持部材は形状及び大きさが等しい。そのため、支持部材の一時停止位置として共通の位置を定めて設備全体の設計がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-098332号公報
【特許文献2】特開2021-004109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、電子部品の小型化等により、支持部材の一時停止位置を全ての支持部材について等しくした場合、支持部材の製造時に生じる個体差や搬送ユニットの組立て時に生じる出来上がりの寸法誤差のため、電子部品を許容範囲内に一時停止させることができないという課題があった。これにより、例えば、電子部品を受け渡す2つの支持部材間の間隔が一定にならず、電子部品の受け渡しを行う際に電子部品が落下する等のトラブルが招来する。また、支持部材が一つの場合であっても、支持部材を交換した際には同様の課題が生じ得る。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、電子部品を許容範囲内に停止させるために、一時停止した支持部材の位置を検出する位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る位置検出装置は、電子部品に接触部を接触させて該電子部品を支持した状態で、一時停止位置まで移動する支持部材に対して、一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を検出する位置検出装置であって、一時停止した前記支持部材まで距離を有する位置に配された通電状態及び非通電状態が切り替わる通電ユニットと、一時停止した前記支持部材の前記接触部と前記通電ユニットの間で該通電ユニットまで距離を有する位置に配され、該通電ユニットに非接触で該通電ユニットを非通電状態にし、該通電ユニットに接触して該通電ユニットを通電状態にする導電体と、一時停止した前記支持部材を前記通電ユニットに対し相対的に移動させ、該支持部材の前記接触部及び該通電ユニットに前記導電体を挟ませる移動手段と、前記通電ユニットの非通電状態及び通電状態を検出する検出手段と、非通電状態の前記通電ユニットが通電状態となるまでの前記支持部材の前記通電ユニットに対する相対的な移動距離を基に一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を導出する位置導出手段とを備え、前記通電ユニットは互いに非接触な正極部及び負極部を有し、前記通電ユニットは、該正極部及び該負極部が前記導電体に接触し該導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となる。
【0007】
前記目的に沿う第2の発明に係る位置検出装置は、電子部品に接触部を接触させて該電子部品を支持した状態で、一時停止位置まで移動する支持部材に対して、一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を検出する位置検出装置であって、一時停止した前記支持部材まで距離を有する位置に配された導電体と、一時停止した前記支持部材の前記接触部と前記導電体の間で該導電体まで距離を有する位置に非通電状態で配され、該導電体に接触して通電状態となる通電ユニットと、一時停止した前記支持部材を前記導電体に対し相対的に移動させ、該支持部材の前記接触部及び該導電体に前記通電ユニットを挟ませる移動手段と、前記通電ユニットの非通電状態及び通電状態を検出する検出手段と、非通電状態の前記通電ユニットが通電状態となるまでの前記支持部材の前記導電体に対する相対的な移動距離を基に一時停止した該支持部材の前記接触部の位置を導出する位置導出手段とを備え、前記通電ユニットは互いに非接触な正極部及び負極部を有し、前記通電ユニットは、該正極部及び該負極部が前記導電体に接触し該導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となる。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明に係る位置検出装置は、一時停止した支持部材まで距離を有する位置に配された通電状態及び非通電状態が切り替わる通電ユニットと、一時停止した支持部材の接触部と通電ユニットの間で通電ユニットまで距離を有する位置に配され、通電ユニットに非接触で通電ユニットを非通電状態にし、通電ユニットに接触して通電ユニットを通電状態にする導電体と、一時停止した支持部材を通電ユニットに対し相対的に移動させ、支持部材の接触部及び通電ユニットに導電体を挟ませる移動手段と、通電ユニットの非通電状態及び通電状態を検出する検出手段と、非通電状態の通電ユニットが通電状態となるまでの支持部材の通電ユニットに対する相対的な移動距離を基に一時停止した支持部材の接触部の位置を導出する位置導出手段とを備え、通電ユニットは互いに非接触な正極部及び負極部を有し、通電ユニットは、正極部及び負極部が導電体に接触し導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となるので、一時停止した支持部材の位置を検出可能である。
【0009】
また、第2の発明に係る位置検出装置は、一時停止した支持部材まで距離を有する位置に配された導電体と、一時停止した支持部材の接触部と導電体の間で導電体まで距離を有する位置に非通電状態で配され、導電体に接触して通電状態となる通電ユニットと、一時停止した支持部材を導電体に対し相対的に移動させ、支持部材の接触部及び導電体に通電ユニットを挟ませる移動手段と、通電ユニットの非通電状態及び通電状態を検出する検出手段と、非通電状態の通電ユニットが通電状態となるまでの支持部材の導電体に対する相対的な移動距離を基に一時停止した支持部材の接触部の位置を導出する位置導出手段とを備え、通電ユニットは互いに非接触な正極部及び負極部を有し、通電ユニットは、正極部及び負極部が導電体に接触し導電体経由で電気的に接続されて、通電状態となるので、一時停止した支持部材の位置を検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る位置検出装置を使用する対象の部品処理設備の説明図である。
【
図2】検出手段、通電ユニット及び位置導出手段の接続を示すブロック図である。
【
図4】導電体を通電ユニットに接触させる様子を示す説明図である。
【
図5】第1の変形例に係る通電ユニットの説明図である。
【
図6】第2の変形例に係る通電ユニットの説明図である。
【
図7】第3の変形例に係る通電ユニットの説明図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係る位置検出装置の説明図である。
【
図9】本発明の第3の実施の形態に係る位置検出装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1~
図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る位置検出装置10は、電子部品Wに接触部を接触させて電子部品Wを支持した状態で、一時停止位置まで移動する支持部材12に対して、一時停止した支持部材12の接触部の位置を検出する装置である。以下、詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態において、位置検出装置10が使用される対象は、
図1に示すように、外部から取得した電子部品Wに対し所定の処理を行い、電子部品Wをキャリアテープのポケット等に収容する部品処理設備13である。電子部品Wとして、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、IC(Integrated Circuit)等が挙げられる。本実施の形態では、電子部品Wが矩形の板状であるが、電子部品Wの形状はこれに限定されない。
【0013】
部品処理設備13は、それぞれ電子部品Wを吸着する複数の支持部材14が昇降可能(進退可能の一例)に取り付けられ、間欠的に所定角度回転する回転体15と、支持部材14を押して回転体15に対し支持部材14を電子部品Wと共に下降(前進の一例)させる押圧機構16と、下降した電子部品Wを支持部材12で取得して、電子部品Wに所定の処理を行う処理ユニット17に引き渡す部品搬送ユニット18を備えている。
【0014】
回転体15は水平配置された円盤であり、複数の支持部材14は回転体15の外周に等ピッチで取り付けられている。回転体15は回転体15に連結されたモータ19の間欠的な作動によって回転体15の中心を基準に間欠的に回転して、各支持部材14を移動させる。各支持部材14は回転体15の一度の回転によって、支持部材14の配置ピッチ分移動して一時停止する。本実施の形態において、各支持部材14は、鉛直方向に長く、下端部で電子部品Wを吸着(支持の一例)する吸着ノズルである。各支持部材14には、基準位置から下降した支持部材14に対し上向き(後退方向の一例)の力を作用させるコイルばね20が装着されている。
【0015】
押圧機構16は支持部材14の一部の一時停止位置の上側に配されている。押圧機構16は支持部材14の一時停止位置の真上に昇降(進退の一例)可能に設けられた可動部材21、可動部材21を下降(前進の一例)させる力を発生させるモータ22、及び、基準位置から下降した可動部材21に対して上向き(後退方向の一例)の力を作用させるコイルばね23を有している。可動部材21の下降長はモータ22によって制御される。
【0016】
部品搬送ユニット18は、可動部材21が真上に配された支持部材14の一時停止位置の下側に設けられ、下降した可動部材21から電子部品Wを取得する。部品搬送ユニット18は、
図2、
図3に示すように、図示しない部材に取り付けられた水平な回転軸25を中心に回転する円盤状の回転体26と、回転体26に固定された複数のアーム27にそれぞれ取り付けられた複数(本実施の形態では、8個)の支持部材12を備えている。各支持部材12は、回転体26の半径方向に長く、回転体26を中心に放射状に配置され、回転体26の半径方向に進退可能である。
【0017】
各支持部材12は、等ピッチで配置され、吸引力により一端部(回転体26の中心から遠い側の端部)で電子部品Wを吸着(支持の一例)することができる。本実施の形態では、支持部材12の一端部が電子部品Wに接触する接触部である。以下、支持部材12の一端部を接触部と記載することもある。
【0018】
回転体26は、
図2に示すモータ28の作動によって間欠的に回転し、各支持部材12は、回転体26の一度の回転により、支持部材12の配置ピッチ分移動して一時停止する。支持部材12は、12時の一時停止位置で、基準位置から下降した支持部材14から電子部品Wを取得し、6時の一時停止位置で、
図2に示すモータ29の駆動力を与えられて下降(前進の一例)し、処理ユニット17に電子部品Wを与える。なお、
図1、
図3では、モータ28、29の記載を省略している。
【0019】
下降した支持部材12は、部品搬送ユニット18が具備するコイルばね30の復元力によって上昇(後退の一例)する。6時位置で一時停止した支持部材12が下降する距離はモータ29によって制御される。モータ28、29には、
図2に示すように、モータ28を制御する制御部31及びモータ29を制御する制御部32がそれぞれ接続されている。
本実施の形態では、支持部材12が絶縁体によって形成されている。
【0020】
ここで、各支持部材12には、支持部材12自体の形状や大きさに僅かではあるが個体差があり、更に、部品搬送ユニット18における支持部材12の取り付け位置にも僅かではあるが個体差がある。そのため、厳密には、6時位置で一時停止した支持部材12の接触部の高さ位置は支持部材12ごとに異なっている。6時位置で一時停止した支持部材12の接触部の高さ位置とは、6時位置に配された支持部材12の接触部の処理ユニット17に対する相対的な支持部材12の前進方向の位置を意味する。
【0021】
従って、仮に、6時位置で一時停止した全ての支持部材12の下降距離を統一した場合、支持部材12に吸着された電子部品Wが処理ユニット17まで届かなかったり、支持部材12と処理ユニット17に挟まれた電子部品Wに過度の力が生じたりする可能性がある。そこで、本実施の形態では、位置検出装置10を用いて、各支持部材12について6時位置に一時停止した際の接触部の高さ位置を事前に検出し、検出した高さ位置に応じた距離だけそれぞれの支持部材12を下降させて処理ユニット17に電子部品Wを引き渡すようにしている。
【0022】
位置検出装置10は、
図2、
図3に示すように、6時位置で一時停止した支持部材12まで距離を有する位置に配された通電状態及び非通電状態が切り替わる通電ユニット34と、6時位置で一時停止した支持部材12の接触部と通電ユニット34の間に配された導電体35と、6時位置で一時停止した支持部材12を通電ユニット34に対して相対的に移動させるモータ29(移動手段の一例)と、通電ユニット34の非通電状態及び通電状態を検出する検出手段36を備えている。なお、本実施の形態では、部品搬送ユニット18が具備するモータ29を位置検出装置10の一部としても利用しているが、モータ29とは別に独立した移動手段を設けて支持部材12を移動させるようにしてもよい。
【0023】
本実施の形態において、通電ユニット34は、
図3に示すように、複数(本実施の形態では3つ)の正極部37が直線状の正極基部材38から櫛歯状に突出して形成され、複数(本実施の形態では3つ)の負極部39が直線状の負極基部材40から櫛歯状に突出して形成された櫛歯電極41を具備している。櫛歯電極41は、絶縁板42の一側の面に固定され、
図2、
図3に示すように、平行に配された正極基部材38及び負極基部材40がそれぞれ検出手段36に接続されている。通電ユニット34は、
図3に示すように、櫛歯電極41が上側(6時位置で一時停止した支持部材12に対向する側)に配されるように図示しない部材によって固定される。
【0024】
各正極部37及び各負極部39は直線状の金属線であり、正極部37及び負極部39は交互に等ピッチで平行に配されている。正極基部材38及び負極基部材40もそれぞれ金属線である。正極基部材38及び複数の正極部37からなる金属線群と負極基部材40及び複数の負極部39からなる金属線群とは互いに接触していない。よって、各正極部37及び各負極部39は隣り合って配された正極部37及び負極部39が互いに非接触である。
【0025】
本実施の形態において、導電体35は支持部材12と同数(即ち複数)あって、それぞれ支持部材12の接触部に接触した状態で支持部材12に吸着されている。各導電体35は、導電性の素材からなり、形状及び大きさが等しい。本実施の形態では、導電体35の形状及び大きさが電子部品Wの形状及び大きさと同じであり、導電体35は矩形の板状物である。導電体35は、その導電体35を吸着した支持部材12が6時位置に配されて、通電ユニット34まで距離を有する位置に配される。
【0026】
導電体35は、支持部材12の接触部に接触する側とは反対側(支持部材12が6時位置に配された際、下側)に正極部37及び負極部39に接触する平面(平面Aの一例、以下、「平面A」と言う)を有し、隣り合う正極部37間の距離(隣り合う正極部37の一方の正極部37の幅方向中心と他方の正極部37の幅方向中心間の距離から正極部37の幅1つ分を引いた長さ)は、6時位置に配された支持部材12に吸着された導電体35の平面Aの正極基部材38の長手方向の長さより短く、隣り合う負極部39間の距離(隣り合う負極部39の一方の負極部39の幅方向中心と他方の負極部39の幅方向中心間の距離から負極部39の幅1つ分を引いた長さ)は、6時位置に配された支持部材12に吸着された導電体35の平面Aの負極基部材40の長手方向の長さより短い。
【0027】
本実施の形態では、6時位置に配された支持部材12に吸着されている導電体35の真下に複数の正極部37及び複数の負極部39が交互に配された領域が位置するように通電ユニット34が配置される。
検出手段36は、各種チップを含む電気回路を有し、
図2に示すように、制御部32に接続され制御部32との間で信号の送受信ができ、外部から印可された電圧を正極基部材38に印可できるように設計されている。
【0028】
6時位置に配された支持部材12の接触部の高さ位置を検出する際、正極基部材38には検出手段36から所定の電圧が印可される。モータ29は、制御部32から指令信号を送信され、
図4に示すように、6時位置に配された支持部材12を吸着している導電体35と共に通電ユニット34に向けて移動させ、導電体35を櫛歯電極41(1つ以上の正極部37及び1つ以上の負極部39)に接触させて、支持部材12の接触部及び通電ユニット34に導電体35を挟ませる。
【0029】
ここで、本実施の形態では、隣り合う正極部37間の距離が6時位置に配された支持部材12に吸着された導電体35の平面Aの正極基部材38の長手方向の長さより短く、かつ、隣り合う負極部39間の距離が同導電体35の平面Aの負極基部材40の長手方向の長さより短いことから、6時位置に配された支持部材12に吸着された導電体35が基準位置から正極基部材38(負極基部材40)の長手方向に多少ずれていたとしても、導電体35を1つ以上の正極部37及び1つ以上の負極部39に確実に接触させることができる。
【0030】
本実施の形態では、隣り合う正極部37と負極部39の各組み合わせの間隔が全て等しいが、異なっていてもよい(即ち、正極部及び負極部がそれぞれ複数あって、交互に配された正極部及び負極部の配置ピッチが異なっていてもよい)。正極部及び負極部がそれぞれ3つ以上あって、交互に配された正極部及び負極部の配置ピッチが異なっている場合、隣り合う正極部間の距離が最も短い正極部間が6時位置に配された支持部材12に吸着された導電体の平面Aの正極基部材の長手方向の長さより短く、更に、隣り合う負極部間の距離が最も短い負極部間が同導電体35の平面Aの負極基部材の長手方向の長さより短ければ、導電体を1つ以上の正極部及び1つ以上の負極部に安定して接触させることができる。
【0031】
通電ユニット34は、導電体35が櫛歯電極41に接触するまで、正極基部材38に通電された電流が正極部37から負極部39及び負極基部材40に通電されることはなく(通電ユニット34は非通電状態であり)、導電体35が櫛歯電極41に接触することによって、正極基部材38に通電された電流が正極部37及び導電体35を介して負極部39及び負極基部材40に通電される(通電ユニット34は正極部37及び負極部39が導電体35に接触し導電体35経由で電気的に接続されて通電状態になる)。
【0032】
よって、導電体35は通電ユニット34に非接触で通電ユニット34を非通電状態にし、通電ユニット34に接触して通電ユニット34を通電状態にする。
検出手段36によって通電ユニット34が通電状態になったことが検出されると、制御部32はモータ29を停止させる。櫛歯電極41に接触した導電体35を吸着している支持部材12は、モータ29の停止により下降を停止し、コイルばね30の復元力により上昇して櫛歯電極41に非接触となる。
【0033】
また、検出手段36には、
図2に示すように、制御部31、32に接続された位置導出手段43が接続されている。位置導出手段43は、例えば、CPU及び記憶デバイス等によって構成され、検出手段36から取得する信号によって通電ユニット34が非通電状態であるか通電状態であるかを検知できる。更に、位置導出手段43は、制御部31から信号を取得して6時位置に配されている支持部材12を検知でき、制御部32から取得する信号を基にモータ29が6時位置の支持部材12を移動させた距離を検出できる。
【0034】
位置導出手段43は、非通電状態の通電ユニット34が通電状態になったことを検知すると、6時位置の支持部材12が非通電状態であった通電ユニット34を通電状態にするまでに下降した距離(支持部材12の通電ユニット34に対する相対的な移動距離)を検出し、検出した距離を基にして6時位置で一時停止した支持部材12が下降する前の支持部材12の接触部の高さ位置を導出して記憶する。
【0035】
位置導出手段43が一の支持部材12の6時位置における接触部の高さ位置を導出した後、制御部31はモータ28を作動させて回転体26を回転させて別の支持部材12を6時位置に一時停止させる。6時位置に一時停止した支持部材12に対しても同様の処理がなされて当該支持部材12の接触部の高さ位置が導出され、位置導出手段43に記憶される。同様の処理によって、全ての支持部材12について6時位置における接触部の高さ位置が導出され位置導出手段43に記憶される。
【0036】
本実施の形態では、6時位置で一時停止した支持部材12を下降させて支持部材12に吸着された導電体35を通電ユニット34に接触させるようにしているが、これに限定されない。例えば、6時位置に一時停止した部品搬送ユニット18の支持部材12の接触部に対向して処理ユニット17が配されている本設備において、9時位置に一時停止した支持部材12の接触部に対向する位置に通電ユニット34を配し、9時位置に一時停止した支持部材12を前進(移動)させて通電ユニット34に接触させ、9時位置における支持部材12の接触部の位置を検出し、検出した位置から6時位置における支持部材12の接触部の位置を算出するようにしてもよい。
更に、全体が導電性物質から形成された導電体35を支持部材12に吸着させる代わりに、一部が導電体で残りが非導電性の物質からなる部材を支持部材12に吸着させるようにしてもよい。その場合、当該部材は、導電体が通電ユニット34に接触する側に配されるように、支持部材12に吸着させる。
【0037】
ここで、位置検出装置10と同様の位置検出装置を用いて、各支持部材14の接触部(電子部Wに接触する部分)の高さ位置(即ち、各支持部材14の位置)を検出できることは言うまでもない。よって、2つの部品搬送ユニット間で電子部品を受け渡す設備において、それぞれの部品搬送ユニットの各支持部材の接触部の位置も位置検出装置10と同様の位置検出装置によって検出できる。
【0038】
また、支持部材を移動させる代わりに、通電ユニットを一時停止している支持部材に向けて移動させて支持部材に支持されている導電体に接触させ、通電ユニットの移動距離を基に一時停止位置における支持部材の接触部の位置を導出するようにしてもよい。
更に、櫛歯電極を有さない通電ユニットを採用することができる。例えば、
図5に示すように、渦巻き状の正極部45及び同じく渦巻き状の負極部46が絶縁板47上に設けられた通電ユニット48を用いてもよい。
【0039】
正極部45及び負極部46はお互いに非接触であり、正極部45と負極部46の間の距離は導電体35の幅(導電体35が長方形の板状物であれば、短手方向の長さ)より短く、導電体35を安定して正極部45及び負極部46の双方に接触させることができる。導電体35が正極部45及び負極部46に接触することによって、非通電状態であった通電ユニット48は、正極部45及び負極部46が導電体35経由で電気的に接続されて通電状態となる。
【0040】
また、
図6に示すように、異方性導電シート49を有する通電ユニット50を採用してもよい。通電ユニット50は、異方性導電シート49及び異方性導電シート49が固定された板状の電極部材51を備え、電極部材51は検出手段52に固定されている。異方性導電シート49は多数の導電粒子53が内側に分布した板状の樹脂54を具備し、樹脂54は外部から力を与えられて変形する。なお、電極部材51、樹脂54及び検出手段52はそれぞれ板状でなくてもよく、電極部材51及び検出手段52が一つとなった基板を設けてもよい。
【0041】
電極部材51は互いに非接触で異方性導電シート49に接した正極部及び負極部を有している。なお、電極部材51の正極部及び負極部の図示は省略する。検出手段52は電極部材51の正極部に電圧を印可でき、電極部材51の正極部及び負極部が通電されているか否かを検出可能である。通電ユニット50と共に使用される導電体55は、支持部材56の接触部に接触する側とは反対側に複数の突出部57を具備している。支持部材56は支持部材56が支持している導電体55と共に所定位置に一時停止し、導電体55を異方性導電シート49まで距離を有する位置に配する。
【0042】
一時停止した導電体55は、支持部材56と一体となって前進(異方性導電シート49に向けて移動)し、各突出部57が異方性導電シート49に接触して、異方性導電シート49を厚み方向に収縮させる。異方性導電シート49は厚み方向に収縮して、電極部材51の正極部及び負極部を複数の導電粒子53及び導電体55経由で電気的に接続し、電極部材51を正極部及び負極部が通電した状態にする(非通電状態であった通電ユニット50を通電状態にする)。
【0043】
更に、
図7に示すように、正極部58及び負極部58aがそれぞれプローブ型(針状)の通電ユニット59を使用することもできる。正極部58及び負極部58aは、それぞれ一端が、通電ユニット59に向けて移動する導電体59aに接触する位置に配される。通電ユニット59は導電体59aが正極部58の一端及び負極部58aの一端に接触することによって、通電状態となる。なお、
図7では、導電体59aを支持している支持部材の記載を省略している。正極部及び負極部としてフラット型や積層型等も採用できることは言うまでもない。
【0044】
ここまで説明した形態は全て導電体が支持部材に支持されていたが、これに限定されない。
本発明の第2の実施の形態に係る位置検出装置60は、
図8に示すように、導電体61が電子部品を吸着(支持)する支持部材62には支持されていない。位置検出装置60は所定位置に一時停止した支持部材62まで距離を有する位置で導電体61を支持する導電体支持ユニット63及び導電体61を基準として支持部材62の反対側に配された通電ユニット64を備えている。通電ユニット64は、導電体61に接触していない位置で検出手段65に固定されている。
【0045】
一時停止位置に配された支持部材62は前進することによって導電体61に接触する。導電体61は支持部材62の更なる前進により通電ユニット64に接触して支持部材62と通電ユニット64に挟まれ、通電ユニット64が備える図示しない正極部及び負極部が導電体61経由で電気的に接続する。支持部材62と通電ユニット64に挟まれた導電体61は、支持部材62の後退に伴って、導電体支持ユニット63が有するばね66の復元力によって、通電ユニット64まで距離を有する位置に戻る。
本実施の形態において、導電体61の代わりに、通電ユニット64に接触する側に導電体を有し、導電体を除く部分(例えば、支持部材62に接触する側)が非導電体により形成された部材を導電体支持ユニット63に支持させるようにしてもよい。
【0046】
また、支持部材と通電ユニットによって導電体を挟む代わりに、支持部材と導電体によって通電ユニットを挟んで非通電状態の通電ユニットを通電状態にすることもできる。
本発明の第3の実施の形態に係る位置検出装置70は、
図9に示すように、それぞれ電子部品に接触部を接触させて電子部品を支持した状態で順次所定の一時停止位置まで移動する複数の支持部材71に対して使用され、一時停止した支持部材71の接触部の位置を検出する。
【0047】
位置検出装置70は、所定位置に一時停止した支持部材71まで距離を有する位置に配された導電体72と、所定位置に一時停止した支持部材71の接触部と導電体72の間で導電体72まで距離を有する位置に非通電状態で配された通電ユニット73と、所定位置に一時停止した支持部材71を導電体72に対し相対的に移動させ、支持部材71の接触部及び導電体72に通電ユニット73を挟ませる図示しないモータ(移動手段の一例)と、通電ユニット73の非通電状態及び通電状態を検出する図示しない検出手段と、非通電状態の通電ユニット73が通電状態となるまでの支持部材71の導電体72に対する相対的な移動距離を基に所定位置に一時停止した支持部材71の接触部の位置を導出する図示しない位置導出手段とを備える。
【0048】
本実施の形態では、導電体72が図示しない部材に支持された搭載ステージ74に固定されている。導電体72は所定位置で一時停止した支持部材71が前進して導電体72に接触する位置(本実施の形態では、所定位置で一時停止した支持部材71の下方)に配されている。各支持部材71は回転体75に進退自在に取り付けられ、回転体75の間欠的な回転により一時停止及び移動を繰り返しながら所定位置まで移動する。各支持部材71には一端部が通電ユニット73に接続された導電線が取り付けられ、通電ユニット73は正極部及び負極部を有し、正極部にはスリップリング、回転体75及び導電線を経由して外部から電圧が印可される。
【0049】
正極部に電圧を印可されている通電ユニット73は、導電体72に接触することで、正極部及び負極部が導電体72経由で電気的に接続されて通電状態となる。なお、本実施の形態では、通電ユニット73が支持部材71の接触部に接触しているが、通電ユニット73を所定位置で一時停止した支持部材71まで距離を有する位置で当該支持部材71と導電体72との間に通電ユニット73を配するようにしてもよく、その場合、外部からの電圧は回転体75を経由せず、直接、通電ユニット73に印可される。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、支持部材を一つだけ有する部品処理設備に対して位置検出手段を用いることができる。当該部品処理設備は支持部材が交換等された際に、一時停止位置に配された支持部材の接触部の位置が位置検出装置によって検出され、その検出された位置に応じて支持部材の一時停止位置での前進長が決定される。
また、支持部材として、電子部品を吸着以外の方法、例えば、把持によって電子部品を支持する部材を採用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10:位置検出装置、12:支持部材、13:部品処理設備、14:支持部材、15:回転体、16:押圧機構、17:処理ユニット、18:部品搬送ユニット、19:モータ、20:コイルばね、21:可動部材、22:モータ、23:コイルばね、25:回転軸、26:回転体、27:アーム、28、29:モータ、30:コイルばね、31、32:制御部、34:通電ユニット、35:導電体、36:検出手段、37:正極部、38:正極基部材、39:負極部、40:負極基部材、41:櫛歯電極、42:絶縁板、43:位置導出手段、45:正極部、46:負極部、47:絶縁板、48:通電ユニット、49:異方性導電シート、50:通電ユニット、51:電極部材、52:検出手段、53:導電粒子、54:樹脂、55:導電体、56:支持部材、57:突出部、58:正極部、58a:負極部、59:通電ユニット、59a:導電体、60:位置検出装置、61:導電体、62:支持部材、63:導電体支持ユニット、64:通電ユニット、65:検出手段、66:ばね、70:位置検出装置、71:支持部材、72:導電体、73:通電ユニット、74:搭載ステージ、75:回転体、W:電子部品