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特開2024-160569車両方位角推定方法、プログラム、車両方位角推定装置、及び自律移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160569
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】車両方位角推定方法、プログラム、車両方位角推定装置、及び自律移動体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/28 20060101AFI20241107BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241107BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241107BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241107BHJP
【FI】
G01C21/28
G08G1/16 C
G06T7/70 B
G06T7/00 650A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075709
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 龍
(72)【発明者】
【氏名】米陀 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 直樹
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB37
2F129BB50
2F129BB66
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF07
5L096AA09
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA24
5L096FA33
5L096FA34
5L096FA67
5L096FA68
5L096FA69
5L096GA30
(57)【要約】
【課題】精度良く車両の方位角を推定できる車両方位角推定方法などを提供する。
【解決手段】車両方位角推定方法は、自車両の前後方向の方位角を推定する方法であって、自車両が走行する道路の画像である観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出ステップS20と、相関分布に基づいて、観測画像の地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出ステップS30とを含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前後方向の方位角を推定する車両方位角推定方法であって、
前記自車両が走行する道路の画像である観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、前記観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出ステップと、
前記相関分布に基づいて、前記観測画像の前記地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出ステップとを含む
車両方位角推定方法。
【請求項2】
過去に算出された前記観測確率分布に基づいて算出された前記方位角誤差の確率分布である事前確率分布を、最新の前記観測確率分布に基づいて、事後確率分布に更新する更新ステップをさらに含む
請求項1に記載の車両方位角推定方法。
【請求項3】
前記更新ステップにおいて、BBF(Binary Bayes Filter)を用いる
請求項2に記載の車両方位角推定方法。
【請求項4】
前記更新ステップにおいて、前記観測確率分布の分散が大きくなるにしたがって、前記観測確率分布の確率が0.5に近づくように、前記観測確率分布を変換する
請求項2又は3に記載の車両方位角推定方法。
【請求項5】
前記相関分布算出ステップにおいて、分割した前記観測画像をハフ変換する
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両方位角推定方法。
【請求項6】
前記相関分布算出ステップにおいて、前記自車両が走行する道路の曲率半径に基づいて決定された寸法に前記観測画像を分割する
請求項5に記載の車両方位角推定方法。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両方位角推定方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【請求項8】
自車両の前後方向の方位角を推定する車両方位角推定装置であって、
前記自車両において取得した観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出部と、
前記相関分布に基づいて、前記観測画像の前記地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出部とを備える
車両方位角推定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両方位角推定装置と、
前記観測画像を取得する取得部とを備える
自律移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両方位角推定方法、プログラム、車両方位角推定装置、及び自律移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車等の移動体の自動運転に関する研究が活発に進められている(特許文献1等参照)。移動体の自動運転において、移動体の前後方向の方位角を推定する必要がある。例えば、特許文献1には、自車両の周辺の構造物を含む周辺環境に基づく周辺画像と、自車両の周辺の地図とに基づいて、自車両の位置情報、及び方位角情報を補正する発明が記載されている。特許文献1に記載された発明においては、周辺画像と地図とを重畳して表示し、当該表示に対する自車両のユーザの補正指示に基づいて、自車両の位置情報及び方位角情報を補正しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6669059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、補正精度がユーザの指示内容に依存するため、十分な補正精度を得られるとは限らない。
【0005】
そこで、本発明は、精度良く車両の方位角を推定できる車両方位角推定方法などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る車両方位角推定方法は、自車両の前後方向の方位角を推定する方法であって、前記自車両が走行する道路の画像である観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、前記観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出ステップと、前記相関分布に基づいて、前記観測画像の前記地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出ステップとを含む。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るプログラムは、上記車両方位角推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る車両方位角推定装置は、自車両の前後方向の方位角を推定する装置であって、前記自車両において取得した観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出部と、前記相関分布に基づいて、前記観測画像の前記地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出部とを備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る自律移動体は、上記車両方位角推定装置と、前記観測画像を取得する取得部とを備える。
【0010】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は非一時的なコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、精度良く車両の方位角を推定できる車両方位角推定方法などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る車両方位角推定装置及び自律移動体の構成の一例を示すブロック図
図2】実施の形態に係る観測画像の一例を示す図
図3】実施の形態に係る第一ハフスペクトラムの一例を示すグラフ
図4】実施の形態に係る観測画像に対応する地図画像の一例を示す図
図5】実施の形態に係る第二ハフスペクトラムの一例を示すグラフ
図6】実施の形態に係る第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムとの相関分布の一例を示すグラフ
図7】実施の形態に係る観測確率分布を示す模式的なグラフ
図8】実施の形態に係る事前確率分布を示す模式的なグラフ
図9】実施の形態に係る事後確率分布を示す模式的なグラフ
図10】実施の形態に係る観測確率分布の変換方法、及び、観測確率分布の確率の幅を説明する模式的なグラフ
図11】実施の形態に係る観測確率分布の分散と観測確率分布の確率の幅との関係の一例を示すグラフ
図12】実施の形態に係る車両方位角推定方法の流れを示すフローチャート
図13】実施の形態に係る車両方位角推定装置の実験を行った道路を示す写真
図14】比較例の車両方位角推定装置によって取得した観測画像の一例を示す図
図15】実施の形態に係る車両方位角推定装置、及び比較例の車両方位角推定装置を用いた場合の自車両位置の推定結果を示す図
図16】変形例に係る観測画像の分割態様の一例を示す図
図17】変形例に係る分割後の観測画像の寸法と、自車両が走行する道路の曲率半径との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0015】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0016】
(実施の形態)
実施の形態に係る車両方位角推定方法、車両方位角推定装置、及び自律移動体について説明する。
【0017】
[1.車両方位角推定装置及び自律移動体の構成]
まず、本実施の形態に係る車両方位角推定装置及び自律移動体の構成について図1を用いて説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る車両方位角推定装置100及び自律移動体V10の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
自律移動体V10は、車両方位角推定装置100と、取得部10とを備え、自動運転を行う移動体である。自律移動体V10は、移動体であれば、特に限定されない。本実施の形態では、自律移動体V10は、自動運転を行う車両である。
【0020】
取得部10は、自車両が走行する道路の画像である観測画像を取得する。自車両とは、車両方位角推定装置100によって、前後方向の方位角を推定する対象の車両である。本実施の形態では、自車両は、自律移動体V10である。以下では、自律移動体V10のことを自車両とも称する。また、本実施の形態では、自車両の周辺の物体の位置情報を取得する。取得部10が位置情報を取得する物体には、自車両の周辺の移動体、及び静止物体が含まれる。例えば、移動体には、車両、歩行者等が含まれ、静止物体には、停止車両、建造物、標識等が含まれる。本実施の形態では、取得部10は、取得部10の設置位置を基準として、周辺の物体が位置する方向、物体の表面まで距離、及び高さの3次元情報を取得する。取得部10として、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、ステレオカメラ等の3次元情報取得装置を用いることができる。また、取得部10として、単眼カメラとAI(Artificial Intelligence)と組み合わせたシステムを用いることができる。このようなシステムでは、単眼カメラで撮影した画像からAIを用いて3次元情報を抽出することができる。本実施の形態では、取得部10は、LiDARを含む。
【0021】
LiDARは、対象物体に対してレーザ光を照射し、対象物体から反射したレーザ光を取得することで、対象物体とLiDARを搭載した観測体との距離を計測する。取得部10は、計測された距離、LiDARの位置、及びレーザ光の照射の向きから、道路の路面の水平方向位置と高さとの関係を示す高さ情報として、3次元点群データを取得する。
【0022】
LiDARは、例えば、128本のレーザ光を垂直方向(つまり、鉛直方向)に互いに異なる照射角度で照射する。LiDARの垂直方向視野角は、水平方向(つまり、鉛直方向に対して垂直な方向)を0degとして、例えば、-25deg以上、15deg以下である。LiDARは、これらのレーザ光の照射の向きを水平方向に360deg回転させることで全方位の3次元点群データを取得できる。レーザ光によるスキャンレートは、例えば、5Hz以上、20Hz以下である。本実施の形態では、スキャンレートは、10Hzに設定される。つまり、本実施の形態では、LiDARは、1秒間に10フレームの3次元点群データを取得する。
【0023】
取得部10は、3次元点群データから観測画像を取得する。以下、観測画像の一例について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る観測画像の一例を示す図である。なお、図2には、方位角方向の角度を表す角度θ1が示されている。図2に示されるように観測画像には、例えば、道路の路面標示、道路の横方向の端の位置、路側帯の位置などの情報が含まれる。これにより、観測画像から、自車両が走行する道路の方向(つまり、道路が延在する方向)に関する情報などを得られる。取得部10の観測の方向と、自車両の前後方向との相対的な関係は、特定できるため、観測画像と、自車両の前後方向との相対的な関係を特定できる。
【0024】
取得部10は、自車両の位置、姿勢、速度、加速度などを取得してもよい。取得部10は、これらの情報を検出するために、例えば、GNSS/INS(Global Navigation Satellite System/Inertial Navigation System)を用いる。本実施の形態では、GNSS/INSにより、人工衛星を観測することによって得られる位置情報と、IMU(Inertial Measurement Unit)の計測情報とを統合することで、自車両の位置、姿勢、速度、加速度などの情報を例えば100Hzの周期で検出する。なお、IMUは、ジャイロセンサ、加速度センサなどの複合システムである。
【0025】
車両方位角推定装置100は、自車両の前後方向の方位角を推定する装置である。車両方位角推定装置100は、図1に示されるように、相関分布算出部20と、確率分布算出部30とを備える。本実施の形態では、車両方位角推定装置100は、更新部40と、走行制御部70と、記憶部80とをさらに備える。
【0026】
相関分布算出部20は、自車両において取得した観測画像と、地図画像とを比較する処理部である。本実施の形態では、相関分布算出部20は、取得部10によって取得した観測画像をハフ(Hough)変換する。ハフ変換とは、画像の中から直線などの図形要素を抽出するための処理方法の一種である。本実施の形態では、相関分布算出部20は、観測画像をハフ変換することによって第一ハフスペクトラムを得る。
【0027】
ここで、第一ハフスペクトラムについて、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る第一ハフスペクトラムの一例を示すグラフである。第一ハフスペクトラムは、角度θ1と、観測画像内の角度θ1方向における直線成分の強度との関係を示すグラフである。図3の横軸は方位角方向の角度を表す角度θ1を示し、縦軸は、観測画像内の角度θ1方向における直線成分の強度を示す。このような第一ハフスペクトラムにより、道路の路面標示、道路の横方向の端、路側帯などに含まれる直線成分が多く含まれる角度θ1を検出できる。このような直線成分が多く含まれる角度θ1は、道路の方向に対応する場合が多い。したがって、第一ハフスペクトラムから、道路の方向を推定できる。
【0028】
また、本実施の形態では、相関分布算出部20は、観測画像に対応する地図画像をハフ変換する。以下、地図画像の一例について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る観測画像に対応する地図画像の一例を示す図である。なお、図4には、方位角方向の角度を表す角度θ2が示されている。地図画像とは、自車両の位置及びその周辺における実際の地図を示す画像である。地図画像は、例えば、事前に取得された高精度3次元地図データ(HDマップ)、ダイナミックマップなどから抽出される。高精度3次元地図データ、ダイナミックマップなどは、予め各位置で計測することによって取得される。高精度3次元地図データ、ダイナミックマップなどは、自車両の記憶部80などに予め保存されていてもよいし、通信によって自車両へ送られてもよい。また、観測画像に対応する地図画像とは、観測画像が示す領域と同一の領域の地図を含む地図画像である。本実施の形態では、相関分布算出部20は、取得部10によって取得された自車両の位置情報などに基づいて、地図画像を記憶部80から取得する。
【0029】
図4に示されるように、地図画像には、観測画像と同様に、道路の路面標示、道路の横方向の端の位置、路側帯の位置などの情報が含まれる。地図画像は、例えば、記憶部80によって記憶されている。本実施の形態では、相関分布算出部20は、地図画像をハフ変換することによって第二ハフスペクトラムを得る。
【0030】
ここで、第二ハフスペクトラムについて、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る第二ハフスペクトラムの一例を示すグラフである。第二ハフスペクトラムは、角度θ2と、地図画像内の角度θ2方向における直線成分の強度との関係を示すグラフである。図5の横軸は方位角方向の角度を表す角度θ2を示し、縦軸は、地図画像内の角度θ2方向における直線成分の強度を示す。このような第二ハフスペクトラムにより、第一ハフスペクトラムと同様に、道路の方向を推定できる。
【0031】
相関分布算出部20は、第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する。このような相関分布について図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムとの相関分布の一例を示すグラフである。相関分布は、観測画像の方向と地図画像の方向との角度のずれ量である方位角誤差Δθと、第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムとの相関値との関係を示す分布である。第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムとの相関値とは、第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムと一致度を示す値である。相関値が大きいほど、各スペクトラムを示すグラフの一致度が高くなる。つまり、相関値が最も大きくなる方位角誤差Δθだけ、観測画像を方位角方向に回転させた画像の方向が、地図画像の方向と一致する可能性が高いと推定される。つまり、相関値が最も大きくなる方位角誤差Δθは、地図画像の方向に対する観測画像の方向の真の方位角オフセット(観測画像の方向の地図画像の方向に対する方位角方向の正確なオフセット角度)である可能性が高いと推定される。
【0032】
上述したとおり、観測画像の方向と自車両の前後方向との関係は特定できるため、観測画像の方向と、地図画像の方向との関係を推定することで、自車両の前後方向と地図画像の方向との関係を推定できる。つまり、自車両の前後方向の方位角を精度良く推定できる。自動車など車両は高速で移動するため、方位角の推定精度が低下すると、自車両の位置の推定精度も大幅に低下する。このため、本実施の形態に係る車両方位角推定装置100の効果は、特に自動車などの車両に適用する場合に顕著である。
【0033】
確率分布算出部30は、相関分布算出部20が算出した相関分布に基づいて、観測画像の地図画像に対する方位角誤差Δθの確率分布である観測確率分布を算出する処理部である。観測確率分布は、方位角誤差Δθの確からしさを示す確率の分布であり、相関分布に対応する。方位角誤差Δθにおける相関分布における相関値が大きいほど、確率は高くなる。観測確率分布について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る観測確率分布を示す模式的なグラフである。図7の横軸は方位角誤差Δθを示し、縦軸は時刻tにおける観測画像から得られる、各方位角誤差Δθの確率p(Δθ|z)を示す。図7に示されるp(Δθ|z)が最大となる方位角誤差Δθが、地図画像の方向に対する観測画像の方向の真の方位角オフセットである確率が高いと推定される。
【0034】
更新部40は、過去に算出された観測確率分布に基づいて算出された方位角誤差Δθの確率分布である事前確率分布を、最新の観測確率分布に基づいて、事後確率分布に更新する処理部である。以下、事前確率分布、及び事後確率分布について、図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、それぞれ、本実施の形態に係る事前確率分布及び事後確率分布を示す模式的なグラフである。図8及び図9の横軸は方位角誤差Δθを示す。図8の縦軸は、時刻t-1までの観測画像から得られる、各方位角誤差Δθの確率p(Δθ|z1:t-1)を示す。図9の縦軸は、時刻tまでの観測画像から得られる、各方位角誤差Δθの確率p(Δθ|z1:t)を示す。なお、更新部40は、車両方位角推定装置100の必須の構成要素ではない。車両方位角推定装置100は、更新部40を用いることなく、確率分布算出部30によって求められた方位角オフセットに基づいて、方位角を推定してもよい。車両方位角推定装置100が更新部40を備えることにより、より一層精度良く方位角を推定することができる。
【0035】
本実施の形態では、取得部10によって取得される観測画像が取得される毎に(つまり、0.1秒毎に)、相関分布算出部20によって、相関分布が算出され、当該観測画像に基づいて観測確率分布が算出される。本実施の形態に係る更新部40は、時刻tに算出された最新の観測確率分布が算出される直前の時刻t-1(本実施の形態では、時刻tの0.1秒前)までに算出された観測確率分布に基づいて算出された事前確率分布を、最新の観測確率分布に基づいて、事後確率分布に更新する。
【0036】
本実施の形態では、更新部40は、確率分布の更新において、BBF(Binary Bayes Filter)を用いる。BBFから、以下の式(1)を導出できる。
【0037】
【数1】
【0038】
式(1)において、p(Δθ|z)は、時刻tにおける観測確率分布における方位角誤差Δθが真の方位角オフセットである確率を表す。p(Δθ|z1:t-1)は、時刻t-1までの事前確率分布における方位角誤差Δθが真の方位角オフセットである確率を表す。p(Δθ|z1:t)は、時刻tまでの事後確率分布における方位角誤差Δθが真の方位角オフセットである確率を表す。p(Δθ)は、観測画像がない場合の方位角誤差Δθが真の方位角オフセットである確率を表す。ここで、確率p(Δθ)は、通常、0.5とみなすことができることから、式(1)を用いて、事前確率分布(確率p(Δθ|z1:t-1))を、最新の観測確率分布(確率p(Δθ|z))を用いて、事後確率分布(確率p(Δθ|z1:t))に更新することができる。
【0039】
このように、更新部40によって、観測確率分布を用いて、事前確率分布を事後確率分布に更新することで、最新の観測確率分布に基づく方位角推定の精度が低い場合にも、事前確率分布の情報を用いて、精度が高い事後確率分布を得ることができる。つまり、方位角推定の精度のロバスト性を高めることができる。例えば、自車両が交差点付近に位置する場合、観測画像に含まれる道路の中央線が少なかったり、自車両が走行する道路の方向を示す直線成分の他に、当該道路に交差する他の道路の方向を示す直線成分が多く含まれたりする。このため、観測確率分布に基づく方位角推定の精度が低下し得る。しかしながら、本実施の形態では、更新部40において、事前確率分布の情報を用いることで、方位角推定の精度の低下を抑制できる。
【0040】
また、本実施の形態において、観測確率分布の分散に応じて、更新の仕方を変化させてもよい。このような更新の方法について、図10及び図11を用いて説明する。図10は、本実施の形態に係る観測確率分布の変換方法、及び、観測確率分布の確率の幅Wpを説明する模式的なグラフである。図11は、本実施の形態に係る観測確率分布の分散Vと観測確率分布の確率の幅Wpとの関係の一例を示すグラフである。
【0041】
例えば、上述したような自車両が交差点付近に位置する場合などに、観測画像に対応する観測確率分布の分散Vが大きくなる。つまり、観測画像の方位角誤差Δθの曖昧性が高くなる。このように曖昧性が高い、つまり、信頼性の低い観測確率分布を用いて事前確率分布を更新すると、事後確率分布の精度が低下するおそれがある。そこで、本実施の形態において、更新部40は、観測確率分布の分散Vが大きくなるにしたがって、観測確率分布の確率が0.5に近づくように、観測確率分布を変換してもよい。例えば、図10の破線で示されるような観測確率分布を、図10の実線で示されるような観測確率分布に変換してもよい。これにより、観測確率分布の確率が0.5に近づき、確率の幅Wp(観測確率分布の確率の最大値と最小値との差)が縮小される。ここで、観測確率分布の確率が0.5より高い場合、事後確率分布の確率は、事前確率分布の確率より高くなる。観測確率分布の確率が0.5より低い場合、事後確率分布の確率は、事前確率分布の確率より低くなる。観測確率分布の確率が0.5である場合、事後確率分布の確率は、事前確率分布の確率に対して変化しない。このため、観測確率分布の変換によって、確率が0.5に近づくことで、観測確率分布の事後確率分布への影響を抑制できる。したがって、分散Vが大きく、曖昧性が高い観測確率分布によって、事後確率分布の精度が低下することを抑制できる。
【0042】
本実施の形態に係る観測確率分布の変換方法は、観測確率分布の分散Vが大きくなるにしたがって、観測確率分布の確率が0.5に近づく(つまり、確率の幅Wpが低減される)変換方法であれば特に限定されない。例えば、図11に示されるように、分散Vに応じて確率の幅Wpが変換されてもよい。図11に示される例では、分散Vが4.5未満の場合には、確率の幅Wpは1であり、分散Vが4.5以上の場合には、確率の幅Wpが(9/V)-1となるように確率分布が変換される。なお、観測確率分布の分散が大きくなるにしたがって、観測確率分布の確率が0.5に近づく変換方法において、図11に示されるように、確率の幅Wpが一定である分散Vの範囲(図11に示される例では、分散Vが4.5未満の範囲)があってもよい。
【0043】
走行制御部70は、自車両の走行を制御する処理部である。本実施の形態では、走行制御部70は、更新部40に基づいて推定された自車両の前後方向の方位角に基づいて、走行を制御する。走行制御部70は、例えば、記憶部80に記憶される地図情報、自車両の位置、及び、自車両の前後方向の方位角に基づいて、自車両の進行方向などを制御する。
【0044】
記憶部80は、方位角推定のための情報を記憶する。例えば、記憶部80は、自車両が運転する道路の情報を含む地図情報等を記憶する。また、記憶部80は、自動運転のための情報を記憶してもよい。
【0045】
[2.車両方位角推定方法]
本実施の形態に係る車両方位角推定方法について図を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る車両方位角推定方法の流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、図12に示されるように、取得部10が、観測画像を取得する(取得ステップS10)。
【0047】
続いて、相関分布算出部20が、自車両が走行する道路の画像である観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する(相関分布算出ステップS20)。
【0048】
続いて、確率分布算出部30が、相関分布算出ステップS20において算出した相関分布に基づいて、観測画像の地図画像に対する方位角誤差Δθの確率分布である観測確率分布を算出する(確率分布算出ステップS30)。これにより得られた観測確率分布における確率が最大となる方位角誤差Δθに基づいて、観測画像の方向と、地図画像の方向との関係を精度良く推定できる。上述したとおり、観測画像の方向と自車両の前後方向との関係は特定できるため、観測画像の方向と、地図画像の方向との関係を推定することで、自車両の前後方向と地図画像の方向との関係を推定できる。つまり、自車両の前後方向の方位角を精度良く推定できる。
【0049】
続いて、更新部40が、過去に算出された観測確率分布に基づいて算出された方位角誤差Δθの確率分布である事前確率分布を、最新の観測確率分布に基づいて、事後確率分布に更新する(更新ステップS40)。このように、更新部40によって、観測確率分布を用いて、事前確率分布を事後確率分布に更新することで、最新の観測確率分布に基づく方位角推定の精度が低い場合にも、事前確率分布の情報を用いて、精度が高い事後確率分布を得ることができる。つまり、方位角推定の精度のロバスト性を高めることができる。また、更新ステップS40において、更新部40は、上述したようにBBFを用いてもよい。
【0050】
また、更新ステップS40において、更新部40は、上述したように、観測確率分布の分散Vが大きくなるにしたがって、観測確率分布の確率が0.5に近づくように、観測確率分布を変換してもよい。
【0051】
なお、更新ステップS40は、本実施の形態に係る車両方位角推定方法の必須の構成要素ではない。車両方位角推定方法は、更新ステップS40を含まず、確率分布算出ステップS30によって求められた方位角オフセットに基づいて、方位角を推定してもよい。車両方位角推定方法が更新ステップS40を含むことにより、より一層精度良く方位角を推定することができる。
【0052】
続いて、取得ステップS10に戻り、上述の各ステップを繰り返す。
【0053】
以上のような、車両方位角推定方法により、精度良く自車両の前後方向の方位角を推定できる。
【0054】
[3.実験結果]
本実施の形態に係る車両方位角推定装置100、及び車両方位角推定方法の実験結果について、比較例と比較しながら、図13図15を用いて説明する。図13は、本実施の形態に係る車両方位角推定装置100の実験を行った道路を示す写真である。図14は、比較例の車両方位角推定装置によって取得した観測画像の一例を示す図である。本比較例においては、観測画像などを用いた方位角推定を行わず、GNSS/INSによって取得した方位角情報及び位置情報を用いる。また、本比較例では、LiDARによって取得した観測画像と、地図画像との画像マッチングによって自車両の方位角情報及び位置情報を推定する。図15は、本実施の形態に係る車両方位角推定装置100、及び比較例の車両方位角推定装置を用いた場合の自車両位置の推定結果を示す図である。図15に示される点線L1は、実際に自車両が走行した軌道、及び本実施の形態に係る車両方位角推定装置100を用いて推定した自車両の軌道を示し、点線L2は、比較例の車両方位角推定装置を用いた場合の自車両推定軌道を示し、点線L3は、GNSS/INSによって取得された位置情報に基づく自車両の軌道を示す。
【0055】
図13に示されるように、実験は、高架(図13の破線楕円部参照)の下方に位置する道路において行った。このような高架の下方に位置する道路においては、取得部10がGNSS/INSによって取得する位置情報及び方位角情報の精度が低下する。具体的には、図15の点線L3に示されるように、自車両の位置情報及び方位角情報が、正しい自車両位置及び方位角(図15の点線L1参照)から大幅にずれる。このため、GNSS/INSのみによって自車両の方位角を推定する比較例の車両方位角推定装置では、図14に示されるように、観測画像において、白線(路面標示)のブレなどの問題が発生する(図14の矢印部など参照)。
【0056】
また、比較例の車両方位角推定装置によれば、画像マッチングによって自車両の位置を推定することで、GNSS/INSによって取得された自車両位置(図15の点線L3参照)よりは、精度良く自車両の位置を推定できるが(図15の点線L2参照)、実際の自車両の位置(図15の点線L1参照)からの誤差がある。また、図15に示されるように、その誤差は、高架の下方を走行する距離が長くなるにしたがって大きくなる。
【0057】
一方、本実施の形態に係る車両方位角推定装置100及び車両方位角推定方法を用いた場合には、図15に点線L1で示されるように、自車両の推定位置と、実際の自車両の位置とが一致している。このように、本実施の形態に係る車両方位角推定装置100及び車両方位角推定方法によれば、自車両の前後方向の方位角を精度良く推定できるため、自車両の位置を正確に推定できる。
【0058】
[4.変形例]
本実施の形態に係る車両方位角推定装置100及び車両方位角推定方法の変形例について説明する。本変形例は、相関分布算出部20、及び相関分布算出ステップS20の構成において、上記実施の形態と相違する。本変形例においては、相関分布算出部20は、分割した観測画像をハフ変換する点において、上記実施の形態と相違する。以下、本変形例に係る相関分布算出部20における相関分布算出方法について、図16及び図17を用いて説明する。図16は、本変形例に係る観測画像の分割態様の一例を示す図である。図17は、本変形例に係る分割後の観測画像の寸法Lと、自車両が走行する道路の曲率半径Rとの関係を示す図である。
【0059】
本実施の形態に係る車両方位角推定装置100及び車両方位角推定方法においては、上述したとおり、観測画像の直線成分を抽出することで、観測画像の方向を推定している。そのため、例えば、道路の曲率半径が小さい(つまり、曲率が大きい)場合には、方位角推定精度が低下するおそれがある。そこで、本変形例では、自車両が走行する道路の曲率半径が小さい場合には、図16に破線で示されるように、観測画像を分割する。図16に示される例では、観測画像を8個に分割している。なお、図示しないが、地図画像も分割された観測画像と同程度の寸法とする。本変形例において、地図画像も観測画像と同様に分割してもよい。本変形例に係る相関分布算出ステップS20において、相関分布算出部20は、分割された複数の観測画像の各々をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、分割された観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する。これにより、分割された観測画像に含まれる道路の長さを低減できるため、道路の曲率半径に起因する第一ハフスペクトラムと第二ハフスペクトラムとの相関のあいまいさ(つまり、広がり)を抑制できる。したがって、道路の曲率半径に起因する方位角推定精度の低下を抑制できる。
【0060】
なお、道路の曲率半径は、例えば、取得部10が有する加速度センサによって検出してもよいし、記憶部80に記憶された地図情報に含まれていてもよい。また、自動運転においては、道路の画像だけでなく、各道路のつながりなどの情報を用いるため、このような情報の一部に道路の曲率に関する情報が含まれてもよい。
【0061】
また、分割後の観測画像及び地図画像は、道路の曲率半径に基づいて決定されてもよい。これにより、道路の曲率半径に応じて適切な寸法に観測画像を分割できる。例えば、図17に示されるように、分割後の観測画像において曲線を含む領域の幅ΔRが画像の解像度以下となるように、観測画像を分割してもよい。ここで、図17に示されるような、一辺の長さがLである正方形である観測画像内において、曲率半径Rの曲線を含む領域の幅ΔRは、以下の式(2)で表される。
【0062】
【数2】
【0063】
例えば、観測画像の解像度が、0.125mである場合、分割後の観測画像において曲率半径Rの曲線を含む領域の幅ΔRが画像の解像度以下となるためには、分割された観測画像の一辺の長さL[m]は以下の式(3)を満たせばよい。
【0064】
【数3】
【0065】
これにより、曲率半径Rの曲線を含む領域の幅ΔRが、観測画像の解像度以下となるため、分割された観測画像における曲率半径R[m]の曲線を実質的に直線とみなすことができる。したがって、観測画像の方向をハフ変換によって精度良く推定できるため、車両方位角の推定精度を高めることができる。
【0066】
[4.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る車両方位角推定方法は、自車両の前後方向の方位角を推定する方法であって、自車両が走行する道路の画像である観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出ステップS20と、相関分布に基づいて、観測画像の地図画像に対する方位角誤差Δθの確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出ステップS30とを含む。
【0067】
これにより得られた観測確率分布における確率が最大となる方位角誤差Δθに基づいて、観測画像の方向と、地図画像の方向との関係を精度良く推定できる。観測画像の方向と自車両の前後方向との関係は特定できるため、観測画像の方向と、地図画像の方向との関係を推定することで、自車両の前後方向と地図画像の方向との関係を推定できる。つまり、自車両の前後方向の方位角を精度良く推定できる。自動車など車両は高速で移動するため、方位角の推定精度が低下すると、自車両の位置の推定精度も大幅に低下する。このため、本実施の形態に係る車両方位角推定方法の効果は、特に自動車などの車両に適用する場合に顕著である。
【0068】
また、本実施の形態に係る車両方位角推定方法は、過去に算出された観測確率分布に基づいて算出された方位角誤差Δθの確率分布である事前確率分布を、最新の観測確率分布に基づいて、事後確率分布に更新する更新ステップS40をさらに含んでもよい。
【0069】
このように、観測確率分布を用いて、事前確率分布を事後確率分布に更新することで、最新の観測確率分布に基づく方位角推定の精度が低い場合にも、事前確率分布の情報を用いて、精度が高い事後確率分布を得ることができる。つまり、方位角推定の精度のロバスト性を高めることができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る車両方位角推定方法の更新ステップS40において、BBFを用いてもよい。
【0071】
このようにBBFを用いることで、上記式(1)を導出できるため、上記式(1)に基づいて、容易、かつ、正確に、観測確率分布を用いて事前確率分布を事後確率分布に更新できる。
【0072】
本実施の形態に係る車両方位角推定方法の更新ステップS40において、観測確率分布の分散Vが大きくなるにしたがって、観測確率分布の確率が0.5に近づくように、観測確率分布を変換してもよい。
【0073】
これにより、分散Vが大きく、曖昧性が高い観測確率分布によって、事後確率分布の精度が低下することを抑制できる。
【0074】
本実施の形態に係る車両方位角推定方法の相関分布算出ステップS20において、分割した観測画像をハフ変換してもよい。
【0075】
これにより、道路の曲率半径が、方位角推定精度に及ぼす影響を低減できる。
【0076】
本実施の形態に係る車両方位角推定方法の相関分布算出ステップS20において、自車両が走行する道路の曲率半径に基づいて決定された寸法に観測画像を分割してもよい。
【0077】
これにより、道路の曲率半径に応じて適切な寸法に観測画像を分割できる。例えば、分割後の観測画像において曲線を含む領域の幅ΔRが画像の解像度以下となるように、観測画像を分割してもよい。これにより、曲率半径Rの曲線を含む領域の幅ΔRが、観測画像の解像度以下となるため、分割された観測画像における曲率半径R[m]の曲線を実質的に直線とみなすことができる。したがって、観測画像の方向をハフ変換によって精度良く推定できるため、車両方位角の推定精度を高めることができる。
【0078】
本実施の形態に係るプログラムは、本実施の形態に係る車両方位角推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0079】
これにより、本実施の形態に係る車両方位角推定方法と同様の効果が奏される。
【0080】
本実施の形態に係る車両方位角推定装置100は、自車両の前後方向の方位角を推定する装置であって、自車両において取得した観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出部20と、相関分布に基づいて、観測画像の地図画像に対する方位角誤差Δθの確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出部30とを備える。
【0081】
これにより、本実施の形態に係る車両方位角推定方法と同様の効果が奏される。
【0082】
本実施の形態に係る自律移動体V10は、車両方位角推定装置100と、観測画像を取得する取得部10とを備える。
【0083】
これにより、本実施の形態に係る車両方位角推定方法と同様の効果が奏される。
【0084】
(変形例等)
以上、本発明の一態様に係る車両方位角推定方法等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれてもよい。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、車両方位角推定方法は、取得ステップS10、及び、更新ステップS40を含んだが、車両方位角推定方法は、これらのステップを含まなくてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、車両方位角推定装置100は、更新部40、走行制御部70、及び記憶部80を備えたが、車両方位角推定装置100は、これらの構成要素を備えなくてもよい。また、車両方位角推定装置100は、取得部10を備えてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、移動体の一例として自律移動体V10を用いる例を示したが、移動体は、自律移動体V10に限定されない。道路上を移動し得る、車両方位角推定装置100によって方位角を推定可能な物体であればよい。
【0088】
また、本実施の形態に係る車両方位角推定方法等において、取得部10以外から取得した情報を用いてもよい。例えば、車両方位角推定装置100は、外部との通信を用いて、情報を取得してもよい。
【0089】
また、以下に示す形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0090】
(1)上記の車両方位角推定装置100に含まれる構成要素の一部は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウス等から構成されるコンピュータシステムであってもよい。前記RAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0091】
(2)上記の車両方位角推定装置100に含まれる構成要素の一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等を含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0092】
(3)上記の車両方位角推定装置100に含まれる構成要素の一部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0093】
(4)また、上記の車両方位角推定装置100に含まれる構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0094】
また、上記の車両方位角推定装置100に含まれる構成要素の一部は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0095】
(5)本発明は、上記に示す車両方位角推定方法であるとしてもよい。また、上記の車両方位角推定方法をコンピュータにより実現させるためのコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。さらに、本発明は、そのコンピュータプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現してもよい。
【0096】
(6)また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0097】
(7)また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0098】
(8)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0099】
(付記)
また、以上の記載により、下記の技術が開示される。
【0100】
(技術1)自車両の前後方向の方位角を推定する車両方位角推定方法であって、前記自車両が走行する道路の画像である観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、前記観測画像に対応する地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出ステップと、前記相関分布に基づいて、前記観測画像の前記地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出ステップとを含む車両方位角推定方法。
【0101】
(技術2)過去に算出された前記観測確率分布に基づいて算出された前記方位角誤差の確率分布である事前確率分布を、最新の前記観測確率分布に基づいて、事後確率分布に更新する更新ステップをさらに含む技術1に記載の車両方位角推定方法。
【0102】
(技術3)前記更新ステップにおいて、BBFを用いる技術2に記載の車両方位角推定方法。
【0103】
(技術4)前記更新ステップにおいて、前記観測確率分布の分散が大きくなるにしたがって、前記観測確率分布の確率が0.5に近づくように、前記観測確率分布を変換する技術2又は3に記載の車両方位角推定方法。
【0104】
(技術5)前記相関分布算出ステップにおいて、分割した前記観測画像をハフ変換する技術1~4のいずれか1つに記載の車両方位角推定方法。
【0105】
(技術6)前記相関分布算出ステップにおいて、前記自車両が走行する道路の曲率半径に基づいて決定された寸法に前記観測画像を分割する技術5に記載の車両方位角推定方法。
【0106】
(技術7)技術1~6のいずれか1つに記載の車両方位角推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0107】
(技術8)自車両の前後方向の方位角を推定する車両方位角推定装置であって、前記自車両において取得した観測画像をハフ変換することによって得られる第一ハフスペクトラムと、地図画像をハフ変換することによって得られる第二ハフスペクトラムとの相関分布を算出する相関分布算出部と、前記相関分布に基づいて、前記観測画像の前記地図画像に対する方位角誤差の確率分布である観測確率分布を算出する確率分布算出部とを備える車両方位角推定装置。
【0108】
(技術9)技術8に記載の車両方位角推定装置と、前記観測画像を取得する取得部とを備える自律移動体。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の一態様に係る車両方位角推定方法等は、例えば、自動運転のために車両等に適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
10 取得部
20 相関分布算出部
30 確率分布算出部
40 更新部
70 走行制御部
80 記憶部
100 車両方位角推定装置
V10 自律移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17