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特開2024-160571回答生成支援システム、回答生成支援方法および、回答生成支援プログラム
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  • 特開-回答生成支援システム、回答生成支援方法および、回答生成支援プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160571
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】回答生成支援システム、回答生成支援方法および、回答生成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/56 20200101AFI20241107BHJP
【FI】
G06F40/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075714
(22)【出願日】2023-05-01
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523136499
【氏名又は名称】株式会社AI tech
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】秦 涼一郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長文の回答を生成することが可能な回答生成支援システム、回答生成支援方法および、回答生成支援プログラムを提供する。
【解決手段】生成支援装置2と、利用者端末3と、回答生成装置4と、を備え、これらが、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている回答生成支援システム1であって、要望データを取得する要望取得手段と、要望データに基づいて指示データを生成する第1生成手段と、指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する指示手段と、回答生成手段が取得する複数の回答データに基づいて出力を生成する第2生成手段とを、備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要望データを取得する要望取得手段と、
前記要望データに基づいて指示データを生成する第1生成手段と、
前記指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する指示手段と、
前記回答生成手段より取得される複数の回答データに基づいて出力を生成する第2生成手段と、を備える、回答生成支援システム。
【請求項2】
前記回答生成手段は、大規模言語モデルである、請求項1に記載の回答生成支援システム。
【請求項3】
前記要望データは、生成される出力のカテゴリを含み、
前記第1生成手段は、前記カテゴリに対応するテンプレートを取得し、該テンプレートに基づいて前記指示データを生成する、請求項1又は請求項2に記載の回答生成支援システム。
【請求項4】
前記要望データは、カテゴリに応じた例文データを更に有し、
前記第1生成手段は、前記例文データを前記テンプレートの所定箇所に入力することで、前記指示データを生成する、請求項3に記載の回答生成支援システム。
【請求項5】
前記テンプレートは、前記カテゴリに対応する分割ルールが定義され、
前記指示手段は、前記分割ルールに定義される分割回数に従って、前記回答生成手段に回答生成依頼を送信する、請求項3に記載の回答生成支援システム。
【請求項6】
前記分割ルールは、前記回答生成依頼に含まれる文字数を所定以下に制限するルールであることを特徴とする、請求項5に記載の回答生成支援システム。
【請求項7】
前記指示データは、共通領域と、前記共通領域を所定回数に分割した分割領域と、を有し、
前記指示手段は、前記指示データを異なる前記分割領域となるように分割して回答生成手段に送信する、請求項1又は請求項2に記載の回答生成支援システム。
【請求項8】
前記第2生成手段は、1の前記指示データおよび1の前記回答データからなる複数の対話データに含まれる複数の回答データに基づいて前記出力を生成する、請求項1又は請求項2に記載の回答生成支援システム。
【請求項9】
要望データに基づいて指示データを生成する工程と、
前記指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する工程と、
前記回答生成手段より複数の回答データを取得する工程と、をコンピュータが実行する回答生成支援方法。
【請求項10】
前記要望データの入力を受け付ける工程と、
前記取得する工程において、前記複数の回答データに基づいて出力を生成する工程と、を更にコンピュータが実行する、請求項9に記載の回答生成支援方法。
【請求項11】
要望データを取得する要望取得手段と、
前記要望データに基づいて指示データを生成する第1生成手段と、
前記指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する指示手段と、
前記回答生成手段より取得される複数の回答データに基づいて出力を生成する第2生成手段と、としてコンピュータを機能させる回答生成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、望み通りの回答を生成することを支援する回答生成支援システム、回答生成支援方法および、回答生成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自然言語処理技術の発展に伴い、ヒューマンマシンインターフェイスによる対話の精度が向上している。
【0003】
非特許文献1では、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を基に構築された人工知能チャットボットを開示する。非特許文献1に記載の人工知能チャットボットは、人間が入力した質問、依頼、呼びかけなどに対して、人間が自然と感じる回答を生成することを特徴としている。特に、あらゆる入力に対する回答の精度が高いことから、情報収集、文章要約、記事や台本など含む文章作成、ウェブサイトなどを介した自動回答システムなどへの活用が進んでいる。
【0004】
非特許文献2では、大規模言語モデルを基に構築された記事や台本、キャッチコピーなどの生成を支援する生成支援サービスを開示する。非特許文献2に記載の生成支援サービスは、生成する文章に関する必要項目の入力に対応する大規模言語モデルからの生成結果を取得できるというものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「Introducing ChatGPT」、[2023年4月20日検索]、インターネット<URL:https://openai.com/blog/chatgpt>
【非特許文献2】「Catchy Writing Assistant」、[2023年4月20日検索]、インターネット<URL:https://lp.ai-copywriter.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大規模言語モデルは、高い精度の回答を生成できる一方で、どのような入力を与えるかが回答の精度に大きな影響を及ぼす。したがって、利用者は、望み通りの回答を得るために、大規模言語モデルの特性をある程度理解したうえで、どのような入力を与えるかを検討する必要が生じることが課題であった。
【0007】
また、通常、大規模言語モデルは、トークンに制限が設けられている。トークンとは、自然言語を処理する際の単位を示すものである。トークン制限は、大規模言語モデルのモデル構造(例えば、ニューラルネットワーク構造)により一度に入力可能なデータ量が制限されるというものである。また、大規模言語モデルへのアクセス過多による処理負荷の増大、処理速度の遅延などの観点から一度に通信可能なデータ量に制限が設けられることも考え得る。そのため、特に、利用者は、長文の回答を得ようとした場合、入力内容や入力方法に工夫が求められることが課題であった。
【0008】
本発明は、望み通りの回答を生成することを支援する技術を提供することを解決すべき課題とする。また、本発明は、特に長文の回答を生成することを好適に支援する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、要望データに基づいて指示データを生成する工程と、前記指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する工程と、前記回答生成手段より複数の回答データを取得する工程と、をコンピュータが実行する方法である。
【0010】
このような構成とすることで、指示データを分割して回答生成手段よりそれらの回答を取得することができる。特に、トークン制限を受けることなく回答生成手段の結果を取得することができる。
【0011】
また、本発明は、前記要望データの入力を受け付ける工程と、前記取得する工程において、前記複数の回答データに基づいて出力を生成する工程と、を更にコンピュータが実行する方法である。
【0012】
また、本発明は、システムであって、要望データを取得する要望取得手段と、前記要望データに基づいて指示データを生成する第1生成手段と、前記指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する指示手段と、前記回答生成手段より取得される複数の回答データに基づいて出力を生成する第2生成手段と、を備える。
【0013】
また、本発明は、プログラムであって、要望データを取得する要望取得手段と、前記要望データに基づいて指示データを生成する第1生成手段と、前記指示データを所定回数に分割して回答生成手段に送信する指示手段と、前記回答生成手段より取得される複数の回答データに基づいて出力を生成する第2生成手段と、としてコンピュータを機能させる。
【0014】
このような構成とすることで、利用者の簡単な要望からトークン制限を受けることなく、複数の回答データに基づく出力を得ることができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記回答生成手段は、大規模言語モデルである。
このような構成とすることで、精度のよい自然言語処理による回答を得られる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記要望データは、生成される出力のカテゴリを含み、前記第1生成手段は、前記カテゴリに対応するテンプレートを取得し、該テンプレートに基づいて前記指示データを生成する。
このような構成とすることで、カテゴリに応じた指示データを簡単に生成し、望み通りの回答を得ることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記要望データは、カテゴリに応じた例文データを更に有し、前記第1生成手段は、前記例文データを前記テンプレートの所定箇所に入力することで、前記指示データを生成する。
このような構成とすることで、例文データに応じた指示データを簡単に生成し、例文の傾向に沿った回答を得ることができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記テンプレートは、前記カテゴリに対応する分割ルールが定義され、前記指示手段は、前記分割ルールに定義される分割回数に従って、前記回答生成手段に回答生成依頼を送信する。
本発明の好ましい形態では、前記分割ルールは、前記回答生成依頼に含まれる文字数を所定以下に制限するルールであることを特徴とする。
このような構成とすることで、トークン制限を受けることなく、回答を生成することができる。また、適切な分割とすることで、回答の精度を高めることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記指示データは、共通領域と、前記共通領域を所定回数に分割した分割領域と、を有し、前記指示手段は、前記指示データを異なる前記分割領域となるように分割して回答生成手段に送信する。
このような構成とすることで、共通領域中の分割領域の回答を生成することができ、回答の精度を高めることができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記第2生成手段は、1の前記指示データおよび1の前記回答データからなる複数の対話データに含まれる複数の回答データに基づいて前記出力を生成する。
このような構成とすることで、複数の回答を抽出して1の出力を生成し、簡単な要望の入力から、比較的長文となるような出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、望み通りの回答を生成することを支援することができる。また、本発明によれば、特に長文の回答を生成することを好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態のシステムのブロック図。
図2】本実施形態のハードウェア構成図。
図3】本実施形態の処理シーケンス図。
図4】本実施形態の要望データとその入力画面の一例。
図5】本実施形態の生成支援装置の処理フローチャート。
図6】本実施形態のテンプレートデータとその入力画面の一例。
図7】本実施形態の指示データの一例。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関する回答生成支援システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0024】
本実施形態では、回答生成支援システム、生成支援装置および、生成支援プログラムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを記録したプログラム記録媒体等も、同様の作用効果を奏する。プログラム記録媒体を用いれば、例えば、コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0025】
回答生成支援システムは、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置および記憶装置を有する。当該コンピュータ装置は、記憶装置に格納される生成支援プログラムを、演算装置により実行することで、当該コンピュータ装置を生成支援装置として機能させることができる。生成支援方法は、生成支援装置を含むコンピュータ装置の処理により実現される。
【0026】
本実施形態において、回答生成支援システムは、利用者による入力に対して、出力として回答を提供する。利用者による入力は、質問、依頼または、呼びかけなどを例示できるがこれらに限定されない。すなわち、利用者による入力は、複数のカテゴリに定義できる。回答生成支援システムは、そのカテゴリに応じた適切な回答を提供することができる。
【0027】
図1は、回答生成支援システム1のブロック図を示す。回答生成支援システム1は、生成支援装置2と、利用者端末3と、回答生成装置4と、を備え、これらの構成部は、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。
【0028】
生成支援装置2は、機能構成要素として、要望データを取得する要望取得手段21と、指示データを生成する第1生成手段22と、回答生成依頼を送信する指示手段23と、回答生成依頼の結果に基づき出力を生成する第2生成手段24と、を備える。
【0029】
生成支援装置2は、利用者端末3よりデータを受信する。生成支援装置2は、受信したデータに基づき、回答生成依頼を回答生成装置4に送信する。生成支援装置2は、回答生成依頼の結果を回答生成装置4より受信する。生成支援装置2は、該結果に基づく出力を生成する。生成支援装置2は、生成した出力を利用者端末3に送信する。
【0030】
利用者端末3は、要望データを生成支援装置2に送信することができる。利用者端末3は、利用者より要望データの入力操作を受け付け、該要望データに基づく回答生成依頼を生成支援装置2に送信することができる。利用者端末3は、回答データを生成支援装置2より受信することができる。利用者端末3は、ディスプレイなどの表示部に回答生成依頼の結果である回答データに基づく画面を表示することができる。利用者端末3は、図1において、1つのみ示したが、複数存在してもよい。
【0031】
回答生成装置4は、機能構成要素として回答生成手段40を備える。回答生成手段40は、回答生成依頼に含まれる指示データに対する回答データを生成する処理を実行し、生成した回答データを回答生成依頼の送信元に送信する。本実施形態において、回答生成依頼の送信元は、生成支援装置2であるが、これに限定されず、利用者端末3とする態様を採用することもできる。
【0032】
本実施形態において、回答生成手段40は、自然言語処理モデル(NLP:Natural Language Processing)である。回答生成手段40は、好ましくは大規模言語モデル(LLM)である。自然言語処理モデルは、自然言語として入力されるデータをコンピュータで処理することを実現するものである。本実施形態において、採用される自然言語処理モデルの種類は、限定されない。
【0033】
自然言語処理モデルは、自然言語として入力されたデータを自然言語処理した結果として、テキスト分類、感情分析、文章要約、質問応答などを出力することができる。本実施形態では、回答生成手段40は、チャットボットとして機能し、自然言語として入力されたデータに対する処理結果を出力する。なお、自然言語として入力されるデータは、入力段階で自然言語であって、自然言語処理モデルにおける処理前または処理過程において自然言語ではなくなってもよい。例えば、自然言語として入力されるデータは、自然言語処理モデルで処理できる形式のデータに変換されて、処理されてもよい。
【0034】
回答生成手段40は、自然言語としての入力に対して処理結果として回答を出力できればよく、自然言語処理モデル以外の態様で実装されてもよい。
【0035】
回答生成手段40は、入力されるデータに画像データを含んでもよい。回答生成手段40は、例えば、分類モデルを更に有し、入力された画像データの特徴量に基づく分類結果を出力することができる。回答生成手段40は、例えば、画像データに含まれる特徴量に基づき、当該画像データに含まれる被写体を分類結果として出力できる。
【0036】
回答生成手段40は、自然言語および画像データを含むデータの入力に対する処理結果を出力することができる。例えば、回答生成手段40は、画像データに関する質問や処理などを自然言語として入力を受け付けることができ、それに対する処理結果を出力できる。
【0037】
図2(a)は、生成支援装置2のハードウェア構成図を示す。生成支援装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、生成支援装置2は、サーバ装置、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、生成支援装置2は、複数のコンピュータ装置により構成され、全体として上述の機能構成要素(21-24)を実現できればよく、図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0038】
制御部201は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、生成支援プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、生成支援装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、生成支援プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3および、回答生成装置4とのデータ通信を実現する。
【0039】
回答生成装置4は、生成支援装置2と同様のハードウェア構成を備えるものであってよい。また、回答生成装置4は、生成支援装置2と同様のコンピュータ装置に実装されてもよい。更に言えば、回答生成手段40は、生成支援装置2の機能構成要素として実現されてもよい。
【0040】
図2(b)は、利用者端末3のハードウェア構成図を示す。利用者端末3は、ハードウェア構成として、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、入力部304と、表示部305と、を備える。本実施形態において、利用者端末3は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0041】
制御部301は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、利用者端末3における全体処理を制御する。記憶部302は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部303は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、少なくとも生成支援装置2とのデータ通信を実現する。入力部304は、利用者による入力操作を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。表示部305は、制御部301による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される。
【0042】
本実施形態において、利用者端末3は、ウェブブラウザを介して回答生成支援システム1にアクセスする態様を示すが、これに限定されない。例えば、利用者端末3は、端末用生成支援プログラムを記憶部302に記憶し、制御部301により当該プログラムを実行することで、アプリケーションを起動し、回答生成支援システム1にアクセスする態様としてもよい。また、利用者端末3は、生成支援装置2の機能構成(21―24)の一部を実現する構成としてもよい。
【0043】
図3は、回答生成支援システム1における処理シーケンスを例示する。
【0044】
はじめに、利用者端末3は、要望データを生成支援装置2に送信する(S110)。生成支援装置2は、要望データに基づいて指示データを生成し、該指示データを含む回答生成依頼を回答生成装置4に送信する(S121)。回答生成装置4は、受信した回答生成依頼に含まれる指示データにしたがって回答データを生成し、生成支援装置2に送信する(S122)。生成支援装置2は、受信した回答データに基づく出力を生成し、該出力を利用者端末3に送信する(S130)。
【0045】
生成支援装置2と回答生成装置4の間のやり取りであるステップS120は、ステップS121およびステップS122を1つのセットとして複数回実行することができる。ステップS120において、生成支援装置2は、複数の回答生成依頼を送信し、回答生成装置4は、それら複数の回答生成依頼に対応する複数の回答データを生成し、生成支援装置2に送信する。ステップS130において、生成支援装置2は、複数の回答データに基づいて1つの出力を生成し、利用者端末3に送信する。
【0046】
要望データは、利用者が要望する回答を得るための入力データである。本実施形態において、要望データは、カテゴリに応じて所定の項目が少なくとも1つ以上設けられている。カテゴリは、利用者の要望する回答の種類を示すものであり、例えば、記事作成、台本作成、物語作成、回答作成、キャッチコピーなどの名称作成、歌詞作成、メール作成、投稿文作成、規約等作成などを含むものである。カテゴリは、これらに限定されない。
【0047】
カテゴリは、例えば、記事作成の場合、ブログ記事、新聞記事、ニュース記事など具体的な記事の種類に応じて設けることができる。また、カテゴリは、ブログ記事の場合、健康に関するブログ、グルメに関するブログ、動物に関するブログなど具体的なブログの内容に応じて設けることができる。カテゴリの粒度は、広いものから狭いものまで幅広く設けることができる。
【0048】
図4(a)は、要望データの構成例を示す。要望データは、管理者による設定データに対応し、利用者により入力されるデータにより構成される。
【0049】
管理者による設定データは、生成される出力のカテゴリの識別情報であるカテゴリIDと、カテゴリに対応するカテゴリ別項目と、を有する。図4(a)において、要望データのカテゴリは、「クリニック口コミ返信」であり、利用者はクリニックのスタッフなどであり、当該クリニックのホームページや口コミサイトなどに投稿された口コミに対する返信メッセージを作成するのに用いられる。
【0050】
カテゴリ別項目は、カテゴリ別に任意に設定される少なくとも1以上の基本項目を含む。図4(a)の例では、カテゴリ別項目は、口コミ、クリニック名、クリニック地域、過去の口コミ返信などを有する。カテゴリ別項目は、システム管理者により任意に設定することができる。
【0051】
カテゴリ別項目は、更に、例文データを有してもよい。例文データは、利用者が過去に作成した文章などを例文として提示するものである。回答生成手段40は、例文データを併せて入力されることで、当該例文の特徴や傾向などを反映させた回答を生成することができる。図4(a)の例では、「過去の口コミ返信」は、例文データに相当する。
【0052】
図4(b)は、利用者端末3に表示され、利用者による要望データを入力する要望入力画面W10の画面表示例を示す。要望入力画面W10は、アイコンW11と、基本項目入力部W12と、例文入力部W13と、送信ボタンW14と、を備える。アイコンW11は、カテゴリに対応し設定されるキャラクター等のアイコンを表示する。アイコンW11は、カテゴリ別に異なる表示とし、一見してカテゴリを判別可能なものとすることが好ましい。基本項目入力部W12、例文入力部W13は、カテゴリ別項目の数や内容に応じて設けられる。
【0053】
基本項目入力部W12は、基本項目の入力をテキストデータ、絵文字、画像データなどにより受け付ける。例文入力部W13は、例文データの入力をテキストデータ、絵文字、画像データなどにより受け付ける。送信ボタンW14は、押下されると、基本項目入力部W12および例文入力部W13に入力されたデータを要望データとして生成支援装置2に送信する。送信される要望データは、送信元である利用者のID等が付与されてもよい。
【0054】
図5は、生成支援装置2の処理フローチャートを例示する。
【0055】
要望取得手段21は、利用者端末3より送信された要望データを取得する(S201)。要望取得手段21は、取得した要望データを記憶部202に格納する。
【0056】
第1生成手段22は、取得した要望データに含まれるカテゴリに対応するテンプレートを取得する(S202)。テンプレートとは、指示データの生成元となるデータであって、所定箇所に要望データの基本項目や例文データを入力可能に構成されている。テンプレートは、カテゴリ別に記憶部202に格納されている。
【0057】
第1生成手段22は、取得した要望データおよびテンプレートに基づいて指示データを生成する(S203)。具体的には、第1生成手段22は、要望データをテンプレートの所定箇所に入力することで指示データを生成する。
【0058】
「クリニック口コミ返信」のカテゴリのテンプレートの例は、次段落の通りである。ここで、テンプレートは、自然言語によるテキストデータにより構成される。テンプレートにおける「%clinic%」、「%area%」、「%sankou%」、「%kutikomi%」などの変数は、それぞれ利用者により入力された要望データにおける「クリニック名」、「クリニック地域」、「過去の口コミ返信」、「口コミ」に対応する。これら変数は、利用者に入力された要望データの各項目が代入されることになる。
【0059】
クリニックへ口コミが投稿されました。
投稿された口コミに対しての感謝と次回の来店を促す返信メッセージを書いてください。
文章は自然言語で出力してください。
#口コミの情報
口コミ投稿者名:〇〇
#クリニックの情報
クリニック名:%clinic%
クリニックのエリア:%area%
口コミ返信参考:%sankou%
最初のリクエストは次のとおりです。
投稿された口コミ:%kutikomi%
<置換ルール>
口コミを入力してください: %kutikomi%
クリニック名: %clinic%
クリニックの地域名: %area%
実際に返信したことのある口コミ返信を入力: %sankou%
【0060】
図6(a)は、テンプレートデータのデータ構成例を示す。テンプレートデータは、カテゴリIDと、テンプレートと、を有し、カテゴリに対応する分割ルールが定義されている。テンプレートデータは、テンプレートを識別可能とするためテンプレートIDを更に有してもよい。
【0061】
分割ルールは、回答生成依頼の分割回数に関するルールを含む。回答生成手段40に対する回答生成依頼は、一度に送信できるデータ量、文字数が制限されている。本実施形態において、特に、長文生成が必要となるカテゴリは、一度の回答生成依頼により全ての回答を得ることが困難であることから、予め所定の分割回数が定義されている。すなわち、分割ルールは、回答生成依頼に含まれる文字数を所定以下に制限するルールであると換言される。指示手段23は、この分割回数に応じて分割された複数の回答生成依頼を回答生成手段40に送信することになる。なお、短文生成であれば、分割回数は0であってよく、回答生成依頼を分割せずに一度の回答生成依頼の送信によって、回答生成手段40より目的とする回答を得ることができる。
【0062】
分割ルールは、生成する指示データの共通領域および分割領域に関するルールを含む。共通領域は、分割して送信される複数の指示データに共通する領域である。ここで、共通領域は、生成したい回答の全体像を示すものであることが好ましい。共通領域は、回答生成手段40に全体像を入力することで、回答生成の手順や段階などを認識させ、回答の精度を高める役割をもつ。
【0063】
分割領域は、分割して送信される複数の指示データにおいて、それぞれ異なる領域である。分割領域は、それぞれの回答生成依頼に対する回答生成手段40による回答を制御する役割をもつ。
【0064】
分割領域は、共通領域を所定回数に分割した領域とすることができる。具体的には、分割領域は、共通領域に含まれる全体像を部分像に分割した領域であることが好ましい。例えば、長文生成の例として、「物語」の生成が挙げられる。共通領域は、物語の全体像として1章~12章のタイトルなどが設定される。分割領域は、例えば、これらの部分像として「1章~4章」、「5章~8章」、「9章~12章」のように分割回数が3回に設定される。
【0065】
図6(b)は、テンプレートデータの登録、編集などを行うテンプレート設定画面W20の画面表示例を示す。テンプレート設定画面W20は、管理者の端末装置(図示せず)に表示される。テンプレート設定画面W20は、カテゴリ設定部W21と、要望データ設定部W22と、テンプレート設定部W23と、分割領域設定部W24と、制限設定部W25と、送信ボタンW26と、を備える。
【0066】
カテゴリ設定部W21は、カテゴリ名、アイコン、カテゴリの説明文、カテゴリの大分類を示す大カテゴリなどの設定入力を受け付ける。
【0067】
要望データ設定部W22は、要望データの置換ルールに関する設定入力を受け付ける。置換ルールは、利用者により入力される要望データを、テンプレートに反映させる変数などの定義の設定入力を受け付ける。
【0068】
テンプレート設定部W23は、テンプレートの本文に関する設定入力を受け付ける。テンプレートの本文は、指示データにおける共通領域に相当するものである。本実施形態において、テンプレート設定部W23は、本文として、全体像などを示す全体構成と、制約条件と、を含むように設定されている。
【0069】
分割領域設定部W24は、分割領域に関する設定入力を受け付ける。図示例では、第1の分割領域Aと第2の分割領域Bの2つの分割領域が設定入力されているが、分割領域の数(分割回数)は、任意の追加、削除が可能である。本実施形態において、分割回数は、分割領域の数により決定されるが、分割回数の設定入力により分割領域が追加される態様であってもよい。
【0070】
制限設定部W25は、利用者への公開・非公開を示す公開ステータスと、トークン数の上限である最大トークン数と、回答生成手段40が回答に用いる単語を調整するパラメータであるTemperatureと、を含む制限情報の設定入力を受け付ける。最大トークン数は、利用者により入力される要望データが該トークン数の上限を超える場合、文字数削減などの通知を利用者端末3に送信するために用いられる。
【0071】
図7は、ステップS203において、生成される指示データの一例を示す。図7では、「小説生成」のカテゴリの指示データI1~I7の例を示す。指示データI1~I7は、6分割されたそれぞれの指示データを示す。
【0072】
指示データI1は、共通領域I11と、分割領域I12と、を有する。変数I13は、要望データに基づきデータが代入される。変数は、共通領域I11に限定されず、分割領域I12に設定されてもよい。
【0073】
共通領域I11は、前提I111と、制約条件I112と、全体構成I113と、を有する。前提I111は、回答生成手段40に立場や回答形式、処理方法などの前提を指示する領域である。制約条件I112は、回答生成手段40の回答に与える制約を指示する領域である。ここで、制約は、回答における法律上遵守されるべき制約、回答の精度を向上させるための制約、回答の内容を面白くするための制約、回答生成手段40のキャラクター(口調、性格、人物、職業など)に関する制約、回答生成手段40に対するパラメータ設定(感情の度合、キャラクターの強さ)に関する制約など、を設けることができる。全体構成I113は、特に長文生成においてシナリオなどの全体像を指示する領域である。
【0074】
分割領域I12は、全体構成I113の部分構成を指示する領域である。分割領域I12は、回答生成手段40により生成される1の回答データが対応する領域となる。指示データI1~I7は、分割領域I12の内容がそれぞれ全体構成I113の異なる部分構成として生成されている。
【0075】
再び図5を参照すると、指示手段23は、回答生成手段40に回答生成依頼を送信する(S204)。指示手段23は、分割ルールに定義される分割回数にしたがって、回答生成手段40に対して該分割回数の回答生成依頼を送信する。ここで、指示手段23は、分割回数が1回以上である場合、指示データを異なる分割領域となるように分割して回答生成手段40に回答生成依頼を送信する。
【0076】
指示手段23は、回答生成手段40より回答生成依頼に対応する回答データを取得する(ステップS205)。指示手段23は、取得した回答データを回答生成依頼に関連付けて記憶部202に格納する。回答生成依頼は、1の指示データを含む。本実施形態において、指示データは、分割の有無を問わず、回答生成手段40に送信されるデータを指す。指示データは、分割された場合、分割領域がそれぞれ異なる複数のデータとなる。
【0077】
指示手段23は、分割ルールを参照し、所定回数の分割された指示データの全ての回答生成依頼を完了したか判定する(ステップS206)。完了したと判定される場合(S206でYES)、指示手段23は、続くS207を実行する処理命令を出力する。完了していないと判定される場合(S206でNO)、指示手段23は、分割ルールにしたがって、S204に戻り、先のS204で送信した回答生成依頼に続く分割領域を有する指示データを含む回答生成依頼を送信する。なお、複数の指示データを含む回答生成依頼を送信する際に、異なる分割領域を有するそれぞれの指示データを送信する順序は限定されない。
【0078】
第2生成手段24は、回答生成手段40より取得される1または複数の回答データに基づいて出力を生成する(ステップS207)。複数の回答データが取得されている場合、第2生成手段24は、1の指示データおよび該指示データに対応する回答データからなる複数の対話データに含まれる複数の回答データに基づいて出力を生成する。ここで、出力とは、1の回答データであれば、該回答データであってよく、また、該回答データに含まれる1または複数の所定領域を抽出して生成されるものであってもよい。また、出力は、複数の回答データであれば、該複数の回答データを組み合わせたものであって、また、該複数の回答データのそれぞれに含まれる1または複数の所定領域を抽出して組み合わせて生成されるものであってもよい。
【0079】
第2生成手段24は、生成した出力を要望データの送信元となる利用者端末3に送信することで処理を完了とする。利用者端末3は、受信した出力に基づき、入力した要望データに対する回答結果を表示部305に表示することができる。なお、利用者端末3は、受信した出力に基づき回答結果を音声として出力してもよい。出力は、利用者が回答結果を認識できる態様であれば、特に限定されない。これによって、利用者は、比較的容易な要望データの入力により、精度のよい望み通りの回答結果を得ることができる。
【0080】
回答生成手段40は、回答生成依頼による入力に対して回答データを生成し、依頼元に応答することができるが、入力データや回答データにはトークンによる文字数制限が設けられている。このような文字数制限は、回答生成手段40の自然言語処理モデルの構造に起因して設けられるものである。また、文字数制限は、回答生成手段40に同時期に多数の依頼が集中することによって、処理負荷が増大すること、応答に遅延が生じること、などを緩和するために設けられることも想定される。また、1つの入力の文字数制限を設けることは、1つの回答生成依頼に含まれる質問、依頼、呼びかけなどのスコープを制限することにより回答の精度を向上させる観点でも効果があると考えられる。このような文字数制限は、利用者にとって、入力内容および送信手順などに工夫が求められることから、望ましい回答を得られない要因となっていた。本発明は、かかる要因について、特に長文の回答に関する回答生成依頼を分割して送信する手段を提供することで回答生成支援を行うことができる。
【0081】
<実施形態2>
実施形態2では、生成支援装置2は、更に、回答生成手段40を備える。実施形態2では、指示手段23は、指示データを回答生成手段40に入力し、回答生成手段40より回答データを出力として取得する。
【0082】
<実施形態3>
実施形態3では、利用者端末3は、第1生成手段22、指示手段23および、第2生成手段24を備える。利用者は、利用者端末3を介して、要望データに基づく指示データを生成する。利用者は、利用者端末3を介して、指示データを所定回数に分割して回答生成手段40に送信する。利用者は、利用者端末3を介して、回答生成手段40よりそれぞれの分割した指示データに対する回答データを取得する。
【0083】
実施形態3では、利用者端末3は、更に、要望取得手段21を備えてもよい。要望取得手段21は、利用者端末3を介して入力される要望データを取得する。第1生成手段22は、要望データに基づいて指示データを生成する。指示手段23は、指示データを所定回数に分割して回答生成手段40に送信する。第2生成手段24は、回答生成手段40より複数の回答データを取得し、それら回答データに基づいて出力を生成する。利用者端末3は、生成した出力に基づいて出力インターフェイス(表示部305やスピーカなど)を介して出力する。
【符号の説明】
【0084】
1 回答生成支援システム
2 生成支援装置
21 要望取得手段
22 第1生成手段
23 指示手段
24 第2生成手段
3 利用者端末
4 回答生成装置
40 回答生成手段
NW 通信ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7