(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160577
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】レジスタ誤書き込み防止回路、マイクロコントローラ、および、レジスタ誤書き込み防止方法
(51)【国際特許分類】
G06F 12/14 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G06F12/14 510D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075728
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和也
【テーマコード(参考)】
5B017
【Fターム(参考)】
5B017AA02
5B017BA01
5B017BB03
5B017CA02
(57)【要約】
【課題】ユーザーの設定に応じて選択された、誤書き込みを防止する任意のレジスタへの誤書き込みを防止できるレジスタ誤書き込み防止回路2を提供する。
【解決手段】レジスタ誤書き込み防止回路2は、複数のレジスタ40のうちの誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタ40Xを選択する選択部22と、前記第1のレジスタ40Xの第1のアドレスを記憶するメモリ26と、前記複数のレジスタ40のうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力するアドレス比較部25と、前記アドレス比較部25から前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しない書き込み制御部30と、を具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレジスタのうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタを選択する選択部と、
前記第1のレジスタの第1のアドレスを記憶するメモリと、
前記複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力するアドレス比較部と、
前記アドレス比較部から前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しない書き込み制御部と、を具備することを特徴とするレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項2】
前記第1のレジスタは、ユーザーの設定に応じて選択されることを特徴とする請求項1に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項3】
前記書き込み制御部に前記書き込み信号が連続して入力される、複数の所定回数を設定する設定部をさらに具備し、
前記書き込み制御部は、前記書き込み信号および前記一致信号が、前記複数の所定回数、連続して入力されると、前記書き込み信号を出力することを特徴とする請求項2に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項4】
前記所定回数は、ユーザーの設定に応じて設定されることを特徴とする請求項3に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項5】
前記所定回数は、予め設定されている信頼性レベルに応じて、自動的に設定されることを特徴とする請求項3に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項6】
前記複数の所定回数の前記書き込み信号が、第1の時間の間隔で連続して入力され、
前記書き込み制御部は、所定の第2の時間内に、前記複数の所定回数の、前記書き込み信号および前記一致信号、が連続して入力されると、前記書き込み信号を出力することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項7】
前記第2の時間は、ユーザーの設定に応じて設定されることを特徴とする請求項6に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項8】
前記第2の時間は、予め設定されている信頼性レベルに応じて、自動的に設定されることを特徴とする請求項7に記載のレジスタ誤書き込み防止回路。
【請求項9】
複数のレジスタと、レジスタ誤書き込み防止回路と、を有し、
前記レジスタ誤書き込み防止回路が、
前記複数のレジスタのうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタを選択する選択部と、
前記第1のレジスタの第1のアドレスを記憶するメモリと、
前記複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力するアドレス比較部と、
前記アドレス比較部から前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しない書き込み制御部と、を具備することを特徴とするマイクロコントローラ。
【請求項10】
複数のレジスタのうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタがユーザーの設定に応じて選択され、
前記第1のレジスタの第1のアドレスがメモリに記憶され、
前記複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力し、
前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しないことを特徴とするレジスタ誤書き込み防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レジスタ誤書き込み防止回路、レジスタ誤書き込み防止回路を有するマイクロコントローラ、および、レジスタ誤書き込み防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モーター等の被制御部をリアルタイムで制御するマイクロコントローラは、外乱ノイズ等によってCPUが誤作動して、レジスタに、誤ったデータを書き込んでしまうおそれがある。
【0003】
それぞれのレジスタに、ライトプロテクト用レジスタを配設すると、レジスタへの誤書き込み防止をはかることができるが、回路規模が大きくなってしまう。
【0004】
メーカーが、設計時に、特定のレジスタだけに、ライトプロテクト用レジスタを配設することによって、回路規模の増大を防止できる。また、例えば、クロック発生回路に1つのライトプロテクト用レジスタが配設されたマイクロコントローラでは、アドレスを指定することによって、クロック発生回路の全てのレジスタ(レジスタ群)に対して、書き込みを許可したり、禁止したりできる。
【0005】
しかし、メーカーが想定した誤書き込みから保護すべきレジスタと、ユーザーが保護したいレジスタとが一致しないことがある。すなわち、ユーザーの使用形態によっては、ライトプロテクト用レジスタが配設されていないレジスタであっても、誤った信号が書き込まれると、重大な問題が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザーの設定に応じて選択された任意のレジスタへの誤書き込みを防止できるレジスタ誤書き込み防止回路、ユーザーの設定に応じて選択された任意のレジスタへの誤書き込みを防止できるレジスタ誤書き込み防止回路を有するマイクロコントローラ、および、ユーザーの設定に応じて選択された任意のレジスタへの誤書き込みを防止できるレジスタ誤書き込み防止方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のマイクロコントローラの構成図である。
【
図2】実施形態のレジスタ誤書き込み防止回路の構成図である。
【
図6】変形例2のマイクロコントローラのレジスタ誤書き込み防止方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態のレジスタ誤書き込み防止回路は、複数のレジスタのうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタを選択する選択部と、前複第1のレジスタの第1のアドレスを記憶するメモリと、前記複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力するアドレス比較部と、前記アドレス比較部から前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しない書き込み制御部と、を具備する。
【0010】
実施形態のマイクロコントローラは、複数のレジスタと、レジスタ誤書き込み防止回路と、を有し、前記レジスタ誤書き込み防止回路が、前記複数のレジスタのうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタを選択する選択部と、前記第1のレジスタの第1のアドレスを記憶するメモリと、前記複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力するアドレス比較部と、前記アドレス比較部から前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しない書き込み制御部と、を具備する。
【0011】
実施形態のレジスタ誤書き込み防止方法は、複数のレジスタのうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタがユーザーの設定に応じて選択され、前記第1のレジスタの第1のアドレスがメモリに記憶され、前記複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力し、前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタに出力しない。
【0012】
以下、図面を参照して実施形態のマイクロコントローラ1、および、レジスタ誤書き込み防止回路2について詳細に説明する。実施形態に基づく図面では、一部の構成要素の図示および符号の付与を省略する。
【0013】
図1に示すように、被制御部3を制御するマイクロコントローラ1は、CPU10と、ROM11と、RAM12と、入力ユニット14と、クロック回路15と、レジスタ誤書き込み防止回路2と、を有する。
【0014】
CPU10は、マイクロコントローラ1の全体の動作を制御する中央演算処理部である。ROM11には、プログラム等が記憶されている。RAM12は、ROM11から読み出されたプログラムを実行するとき等に使用される一時記憶部である。被制御部3は、例えば、モーターコントロール部である。入力ユニット14は、ユーザーがマイクロコントローラ1の設定を行ったり、被制御部3からのフィードバック信号が入力したりする。
【0015】
レジスタ誤書き込み防止回路2は、ユーザーが、選択した任意のレジスタへの誤書き込みを防止する。以下、選択された、誤書き込みを防止するレジスタを、第1のレジスタ40X(
図2)という。複数のレジスタ40は、CPU10、被制御部3、または、図示しない機能部の一時記憶部である。
【0016】
図2に示すように、レジスタ誤書き込み防止回路2は、選択回路22と、設定回路24と、レジスタテーブル26であるメモリ26と、アドレス比較器25と、書き込み制御回路30と、を具備する。
【0017】
選択回路22は、ユーザーの設定に応じて、複数のレジスタ40の中から、誤書き込みを防止する任意の1個以上の第1のレジスタ40Xを選択する選択部である。設定回路24は、ユーザーの設定に応じて、例えば、誤書き込み防止レベルを設定する設定部である。選択回路22および設定回路24は、例えば、入力ユニット14を介して入力されたユーザーの設定に応じて動作する。
【0018】
なお、予めユーザーによって設定された制御内容が、例えば、RAM12に記憶されている場合には、RAM12に記憶される設定に応じて、選択回路22、設定回路24が動作する。さらに、制御内容は、書き込み制御回路30の内部メモリに転送されていてもよい。この場合には、書き込み制御回路30の内部メモリに記憶される設定に応じて、選択回路22、設定回路24が動作する。
【0019】
ユーザーによって選択された制御内容が、RAM12、メモリ26、または、書き込み制御回路30の内部メモリに転送される場合には、選択回路22、設定回路24は、マイクロコントローラ1の必須構成要素ではない。
【0020】
第1のレジスタ40Xのアドレスである第1のアドレスを記憶するレジスタテーブルであるメモリ26は、RAM12の一部であってもよいし、その記憶データがRAM12に転送されていてもよい。例えば、32個のレジスタを第1のレジスタ40Xとして設定する場合、8ビットの第1のアドレスを32個記憶するために、例えば、RAM12の256ビットの領域が、メモリ26として使用される。
【0021】
アドレス比較器25は、複数のレジスタのうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、第1のアドレスと第2のアドレスとを比較し、第1のアドレスと第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力するアドレス比較部である。
【0022】
図3に示すように、書き込み制御回路30には、CPU10から書き込み信号が入力され、アドレス比較器23から一致信号が入力される。書き込み制御回路30は、一致信号が入力された場合には、書き込み信号を第1のレジスタ40Xに出力しないゲーティング回路31からなる書き込み制御部である。ゲーティング回路31は、一致信号の反転信号が入力されるAND回路である。
【0023】
レジスタ誤書き込み防止回路2は、CPU10がアクセスするアドレスとレジスタテーブル26に登録されたレジスタアドレスとの一致信号にもとづき、レジスタへの書き込みを禁止する。
【0024】
レジスタ誤書き込み防止方法は、複数のレジスタ40のうちの、誤書き込みを防止する任意の第1のレジスタ40Xがユーザーの設定に応じて選択され、前記第1のレジスタ40Xの第1のアドレスがメモリ26に記憶され、複数のレジスタ40のうちの第2のアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力されると、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとを比較し、前記第1のアドレスと前記第2のアドレスとが一致すると一致信号を出力し、前記一致信号が1回入力された場合には、前記書き込み信号を前記第1のレジスタ40Xに出力しない。
【0025】
CPU10が、誤動作により誤書き込みを防止する第1のレジスタ40Xに書き込み信号を出力しても、レジスタ誤書き込み防止回路2によって、第1のレジスタ40Xには書き込みが行われない。マイクロコントローラ1、レジスタ誤書き込み防止回路2は、回路規模を増大することなく、ユーザーの使用環境に応じて、任意のレジスタへの誤書き込みを防止できる。
【0026】
なお、誤書き込み防止が設定されていないレジスタ(例えば、レジスタ40A等)に対しては、アドレス比較器25から一致信号が出力されないため、通常の書き込み動作が行われることは言うまでもない。また、ユーザーは、第1のレジスタ40Xの抹消、再登録、別アドレスの登録が可能である。
【0027】
<変形例>
変形例1、2のマイクロコントローラ1A、1B、レジスタ誤書き込み防止回路2A、2Bは、実施形態のマイクロコントローラ1、レジスタ誤書き込み防止回路2と類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0028】
マイクロコントローラ1では、誤書き込み防止が設定された第1のレジスタ40Xには、誤書き込みだけでなく、正常動作による書き込みも行われない。言い替えれば、第1のレジスタ40Xは、書き込み禁止レジスタとして登録されていた。
【0029】
これに対して、変形例のマイクロコントローラ1A、1Bでは、第1のレジスタ40Xは、CPU10等の誤動作による誤書き込みは防止されているが、CPU10の正常動作による書き込みは行うことができる書き込み制限レジスタである。
【0030】
<変形例1>
例えば、マイクロコントローラ1AのCPU10は、誤書き込み防止が設定されている第1のレジスタ40Xに書き込みを行う場合には、第1のレジスタ40Xへの書き込み信号を、例えば、第1の時間T1の間隔で連続して、2回出力する。書き込み制御回路30Aは、誤書き込み防止設定されている第1のレジスタ40Xへの書き込み信号であっても、前記書き込み信号が連続して2回入力された場合には、第1のアドレスのレジスタ40Xに、書き込み信号を出力する。言い替えれば、書き込み制御回路30Aは、1回だけ入力された書き込み信号は誤動作と判断するが、連続して2回、同一アドレスを指定して入力された書き込み信号は正常動作と判断する。すなわち、誤動作であれば、同一アドレスのレジスタへの書き込み信号が連続して2回入力されることはないと、書き込み制御回路30Aは、判断する。
【0031】
マイクロコントローラ1Aの書き込み制御回路30Aは、ユーザーが誤書き込み防止を設定した任意のレジスタに対する、誤書き込みは防止するが、正常動作による書き込みは実行する。
【0032】
なお、マイクロコントローラ1Aのレジスタ誤書き込み防止回路2Aの設定回路24は、正常動作による書き込みを実行するための、同じレジスタへの書き込み信号が連続して入力される所定回数Nを、設定できることが好ましい。すなわち、所定回数Nは可変であることが好ましい。所定回数Nは、多いほど、誤書き込み防止性能が高いが、書き込み処理に時間を要する。このため、所定回数Nは、2以上5以下が好ましい。
【0033】
図4に示すように、書き込み制御回路30Aは、AND回路31A、第1カウンタ回路32と、RSフリップフロップ回路33と、AND回路34と、を有する。
【0034】
第1カウンタ回路32のカウントが設定値Aに達するとRSフリップフロップ回路33がセットされ、AND回路34が解除状態になる。解除状態とは、次の一致信号と書き込み信号の論理積信号が入力されるとレジスタに書き込み信号を出力可能な状態を意味する。このため、次の一致信号と書き込み信号の論理積信号がAND回路34からレジスタに入力されると、レジスタにデータが書き込まれる。すなわち、上述の例では、B値は(A値+1)に設定している。第1カウンタ回路32がB値に達するとRSフリップフロップ回路33がリセットされ、AND回路34は書き込み信号をゲーティングし、書き込み制御回路30Aは、書き込み禁止状態に初期化される。
【0035】
以上の説明のように、書き込み制御回路30Aは、一致信号とレジスタ書き込み信号の論理積をカウントし、第1の所定回数Aに到達したら書き込み禁止状態を解除し、所定回数Bでレジスタへ書き込み信号を出力(レジスタにデータが書き込まれる)した後、書き込み禁止状態に初期化する。
【0036】
例えば、A=2、B=3の場合、レジスタ書き込み信号と一致信号との論理積が2回で第1のレジスタ40Xへの書き込み禁止が解除され、レジスタ書き込み信号と一致信号との論理積が3回でレジスタ書き込み信号がレジスタへ入力される。
【0037】
所定回数Nは、ユーザーの設定に応じて設定されてもよいし、予め設定されている信頼性レベルに応じて、CPU10により自動的に設定されてもよい。信頼性レベルは、誤動作防止性能のレベルである。例えば、信頼性レベルがH(高)と設定されている場合には、信頼性レベルがL(低)と設定されている場合よりも、所定回数Nは、多く設定されてもよい。
【0038】
なお、例えば、(N=3)の場合、1回目の書き込み信号の入力から2回目の書き込み信号の入力までの第1の時間T1と、2回目の書き込み信号の入力から3回目の書き込み信号の入力までの第1の時間T1と、が異なっていてもよい。
【0039】
例えば、外乱ノイズの多い環境で使用される場合には、外乱ノイズの少ない環境で使用される場合よりも、所定回数Nは大きく設定される。また、誤動作が大きな故障、事故を招くおそれのあるレジスタに対しては、所定回数Nは大きく設定される。
【0040】
なお、誤書き込み防止が設定されていないレジスタ(例えば、レジスタ40A等)に対しては、一致信号が出力されないため、1回の書き込み信号で書き込み動作が行われることは言うまでもない。
【0041】
<変形例2>
変形例2のマイクロコントローラ1B、レジスタ誤書き込み防止回路2Bは、変形例1のマイクロコントローラ1A、レジスタ誤書き込み防止回路2Aと類似しているので、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0042】
マイクロコントローラ1Bのレジスタ誤書き込み防止回路2Bの設定回路24は、誤書き込み防止設定された第1のレジスタ40Xに書き込みを行うための、書き込み信号の入力の所定回数Nだけでなく、所定回数Nの入力が完了するまでの第2の時間T2を設定できる。
【0043】
図5に示すように、書き込み制御回路30Bは、AND回路31A、第1カウンタ回路32と、RSフリップフロップ回路33と、AND回路34と、第2カウンタ回路35と、OR回路36と、を有する。
【0044】
第2カウンタ回路35はクロック信号をもとに、時間を計測する。第2カウンタ回路35は、第2の時間T2までに連続してN回の信号が入力されないときは、レジスタ書き込み禁止状態に初期化する。
【0045】
カウントAにてレジスタ書き込み解除後、第2の時間T2内に、書き込み回数が、所定回数N(カウントB)に達すれば、第1のレジスタ40Xへ書き込み信号が出力される。制限時間(第2の時間T2)を過ぎても、書き込み回数がカウントB値に達しなければレジスタ書き込みは禁止される。すなわち、レジスタへ書き込み信号が出力されない。第2カウンタ回路35の任意に設定可なC値によって、第2の時間T2は、設定される。
【0046】
第2の時間T2は短いほど、誤書き込み防止性能が高いが、逆に書き込むべき書き込み信号が出力されないおそれがある。このため、第2の時間T2は、例えば、N回の書き込み信号が入力されるために必要な最短時間TS以上、最短時間TSの2倍以下が好ましい。
【0047】
第2の時間T2は、所定回数Nと同じように、ユーザーの設定に応じて設定されてもよいし、予め設定されている信頼性レベルに応じて、自動的に設定されてもよい。
【0048】
以上の説明のように、マイクロコントローラ1Bのレジスタ誤書き込み防止回路2は、所定回数Nの書き込み信号が、第1の時間T1の間隔で複数回入力され、かつ、所定の第2の時間T2内に複数回数の書き込み信号が入力されないと、書き込み信号を出力しない。
【0049】
図6に変形例2のマイクロコントローラ1Bのレジスタ誤書き込み防止方法のフローチャートを示す。なお、変形例2のマイクロコントローラのレジスタ誤書き込み防止方法は、実施形態、および、変形例1のマイクロコントローラのレジスタ誤書き込み防止方法の工程を含んでいる。
【0050】
<ステップS10>
ユーザーによって誤書き込み防止を設定するレジスタが選択される。なお、メーカーによって出荷時に、誤書き込み禁止を設定するレジスタが、さらに、設定されていてもよい。メーカーによる誤書き込み禁止を設定するレジスタは、ユーザーが変更できない不揮発性記憶部、例えば、ROMに記憶されている。これに対して、製品を入手したユーザーが任意に設定するレジスタは、ユーザーが書き替え可能な不揮発性記憶部、例えば、フラッシュメモリ、EPROM等に記憶される。逆に言えば、ユーザーが書き替え可能な不揮発性記憶部であるメモリ26に書き込み防止を設定するレジスタが記憶されているマイクロコントローラは、ユーザーによって誤書き込み防止を設定するレジスタが選択されていると見なすことができる。
【0051】
ユーザーは、メモリ26に、選択した誤書き込み防止を設定するレジスタを登録する。さらに、誤書き込み防止設定されたレジスタにデータを書き込むための所定回数N、第2の時間T2も、書き込み制御回路30Bに登録される。
【0052】
<ステップS20>
いずれかのレジスタ40への書き込み信号および書き込むレジスタのアドレス(第2のアドレス)が入力される。
【0053】
<ステップS30>
アドレス比較器25は、レジスタテーブル26に登録されている誤書き込み防止設定されているレジスタのアドレス(第1のアドレス)と書き込み信号のアドレス(第2のアドレス)と、を、比較する。
【0054】
<ステップS40>
アドレスが一致しない場合(NO)、ステップS70において、書き込み制御回路30Bは、書き込み信号を、第2のアドレスのレジスタに出力する。
【0055】
<ステップS50>
アドレスが一致した場合(S40:YES)、すなわち、誤書き込み防止設定されている、第1のアドレスのレジスタへの書き込み信号だった場合には、書き込み制御回路30Bは、当該レジスタへの連続した書き込み回数が、所定回数Nであるかを判定する。書き込み回数が、N回であった場合(YES)には、ステップS70において、書き込み制御回路30Bは、第2のアドレスのレジスタ、すなわち、誤書き込み防止設定されている第1のアドレスのレジスタであっても、書き込み信号を出力する。
【0056】
<ステップS60>
書き込み回数がN回未満の場合(S50:NO)、書き込み制御回路30Bは、最初の書き込みからの時間が、所定の第2の時間T2を経過したかを判定する。
【0057】
書き込み制御回路30Bは、第2の時間T2を経過していた場合(YES)には、この書き込みは正常な書き込みではないと判断し、この書き込みのための一連の処理を終了する。そして、新たな別のアドレスのレジスタへの書き込み処理が、ステップS20から繰り返される。
【0058】
書き込み制御回路30Bは、第2の時間T2を経過していない場合(NO)には、再び同じアドレスのレジスタへの書き込み信号の入力ステップ(S20)に移行する。なお、S20においても、書き込み制御回路30Bは、第2の時間T2を経過した場合(ステップS65:YES)には、この書き込みはユーザーの意図による正常な書き込みではないと判断し、この書き込みのための一連の処理を終了する。
【0059】
また、図示しないが、ステップS20において、書き込み回数をカウントしていたアドレスと異なるアドレスのレジスタへの書き込み信号が入力した場合にも、書き込み制御回路30Bは、書き込み回数をカウントしていたアドレスのレジスタへの書き込みを終了する。
【0060】
なお、各実施形態におけるマイクロコントローラ1等の機能部の少なくともいずれかは、ソフトウエアにより動作するプロセッサの内部回路によって構成されていてもよいし、専用のハードウエア回路によって構成されていてもよい。
【0061】
また、被制御部3は、モーターコントロール部に限られるものではなく、その用途に制限はない。
【0062】
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1、1A、1B… マイクロコントローラ
2、2A、2B… 誤書き込み防止回路
3… 被制御部
10… CPU
11… ROM
12… RAM
14… 入力ユニット
22… 選択回路
24、24A、24B… 設定回路
25… アドレス比較器
26… メモリ(レジスタテーブル)
30、30A、30B… 書き込み制御回路
31… ゲーティング回路
31A… AND回路
32… 第1カウンタ回路
33… RSフリップフロップ回路
34… AND回路
35… 第2カウンタ回路
36… NOR回路
40… レジスタ
40X… 第1のレジスタ