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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160578
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】高炉用冷却構造体
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/00 20060101AFI20241107BHJP
   F27B 1/24 20060101ALI20241107BHJP
   F27D 1/12 20060101ALI20241107BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20241107BHJP
【FI】
C21B7/00 302
F27B1/24
F27D1/12 F
F27D9/00
C21B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075729
(22)【出願日】2023-05-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100120499
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 淳
(72)【発明者】
【氏名】竹下 博喜
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中馬 俊之
(72)【発明者】
【氏名】本田 基樹
【テーマコード(参考)】
4K045
4K051
4K063
【Fターム(参考)】
4K045AA02
4K045BA02
4K045DA09
4K045MA04
4K051AA01
4K051AB03
4K051HA03
4K051HA08
4K063AA02
4K063BA02
4K063CA05
4K063EA02
(57)【要約】
【課題】炉体鉄皮の保護と、高炉内の耐火物の高寿命化との両方を達成することができる高炉用冷却構造体及びそれを備えた高炉を提供する。
【解決手段】高炉用冷却構造体30は、炉体鉄皮3の炉内側に高炉20の周方向に連なるように配置された複数の冷却体7と、冷却体7に接触又は近接して配置された耐火物9と、を備え、冷却体7は、高炉20の周方向に水平に延在する第1冷却体7aと、第1冷却体7aから上方向又は下方向に延在するし、高炉20の周方向の長さが第1冷却体7aよりも短い少なくとも1つの第2冷却体7bと、を有し、第2冷却体7bの高炉20の周方向の長さは、第1冷却体7aの高炉20の周方向の長さよりも短く、耐火物9は、第1冷却体7aの上又は下に配置され、高炉20の周方向に隣接する2つの第2冷却体7bの間に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体鉄皮の炉内側に高炉の周方向に連なるように配置された複数の冷却体と、
前記冷却体に接触又は近接して配置された耐火物と、
を備え、
前記冷却体は、高炉の周方向に水平に延在する第1冷却体と、前記第1冷却体から上方向又は下方向に延在する少なくとも1つの第2冷却体と、を有し、
前記第2冷却体の高炉の周方向の長さは、前記第1冷却体の高炉の周方向の長さよりも短く、
前記耐火物は、前記第1冷却体の上又は下に配置され、高炉の周方向に隣接する2つの前記第2冷却体の間に配置されている、
高炉用冷却構造体。
【請求項2】
前記冷却体は、2つ以上の前記第2冷却体を有し、2つ以上の前記第2冷却体は、高炉の周方向に隣接して配置されている、請求項1に記載の高炉用冷却構造体。
【請求項3】
前記炉体鉄皮の炉内側に配置されるステーブを更に備え、
前記冷却体は前記ステーブの更に炉内側に配置される、請求項1又は2に記載の高炉用冷却構造体。
【請求項4】
前記冷却体に対向する前記ステーブの炉内側の内壁は、内径が下から上に向かって縮小するテーパー面であり、
前記ステーブの内壁と対向する前記第2冷却体の対向面は、前記ステーブの前記テーパー面に沿った面であり、該テーパー面に接触または近接している、請求項3に記載の高炉用冷却構造体。
【請求項5】
前記冷却体が、上下方向に離間する少なくとも2箇所で前記炉体鉄皮に対してボルトにより固定された、請求項4に記載の高炉用冷却構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高炉用冷却構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の炉体鉄皮を高炉内の内容物の熱から保護する方法として一般的に冷却盤方式とステーブ方式とが知られている。冷却盤方式では炉体鉄皮内周に沿って設置された耐火物で壁を構成し、これを冷却盤で冷却することで、高炉内の高温ガス等の内容物と炉体鉄皮が直接的に接触することを防ぎ、炉体鉄皮を保護している。ステーブ方式では、内部に水路を持つ銅や鋳鉄製の板状部材で壁を構成し、これを炉体鉄皮内周に沿って設置することで、炉体鉄皮を保護している。また、例えば朝顔部のような高温領域でステーブを使用する場合は、冷却盤と同様に、ステーブを耐火物と共に使用することが一般的である。
【0003】
いずれの方式においても耐火物は炉体形状の一部を構成しており、耐火物が高炉内の高温環境下で時間の経過とともに損耗すると、炉体形状が経時的に変化し、設計当初に意図していた生産パフォーマンスを得られなくなる場合がある。これに関連して、ステーブ方式では冷却対象がステーブ自身であるのに対し、冷却盤方式では冷却対象が耐火物であるため、冷却盤方式では高温環境下で損耗が進行しやすい耐火物の寿命の向上が可能となる。
【0004】
一般的には、高炉内の高温領域において、上述した冷却盤及びステーブのどちらか一方が使用されることが多いが、冷却盤とステーブとの両方を高さ方向で組み合わせて配置して炉体鉄皮を保護する態様についても、当技術分野では公知である。
【0005】
例えば、特許文献1では、ステーブクーラー背面への裏風をブロックする幅広且つ厚型の形状を持つ高炉冷却盤が教示されており、高炉の鉄皮上に、ステーブクーラーと、上記高炉冷却盤であって、ステーブクーラーの下面に炉内の耐火物を冷却するため千鳥状に配設した高炉冷却盤とを組み合わせて使用した態様が開示されている。また、特許文献1では、冷却盤の形状を幅広且つ厚型にしたことで、ステーブクーラー背面への裏風を当該冷却盤により阻止してステーブクーラーの損耗及び鉄皮の変形を防止できると記載されている。
【0006】
また、特許文献2では、高炉炉体に挿入する先端部分を水平面内で右側又は左側に屈曲させ、水平断面形状をL字型とした高炉炉体冷却体が教示されており、高炉の炉体鉄皮上に、当該高炉炉体冷却体を、ステーブクーラーの下端部と高炉炉体の羽口との境界部に設置した高炉炉体冷却装置の態様が開示されている。
【0007】
高炉内で使用される冷却盤は、高炉操業をしているうちに高温による損傷や機械的損耗を受け破損することがある。冷却盤が破損すると、特許文献1及び2に記載されるような冷却盤では、炉体鉄皮を保護するという本質的な役割を果たすことができなくなる。高炉操業をする上では炉体鉄皮の保護は必須であるため、冷却盤が破損した場合は、一般的に、高炉操業を停止し、破損した冷却盤を高炉の外側から取り出して新しい別の冷却盤に交換する必要が生じる。よって、炉体鉄皮上には冷却盤交換用の大きな開口部を必要とする。一方で、炉体鉄皮は高炉の最外面に位置し、炉体形状を構成して、高炉の機械的強度を担保する重要な要素である。したがって、炉体鉄皮上に上述した冷却盤交換用の開口部を設けることで高炉の強度が低下しないように、冷却盤の配置を設計する必要がある。例えば、高炉の強度を担保して冷却盤を配置する1つの方法として、冷却盤を高炉の炉体鉄皮上に、千鳥状(すなわち2段以上)に配置する方法が知られている。したがって、冷却盤を使用して炉体鉄皮を保護している高炉においては、一般的に、高炉の強度を保ちつつ耐火物の冷却効率等を向上するように冷却盤を配置する必要がある。よって、冷却盤の配置は、その交換用開口部の配置による高炉の強度への影響を考慮して決定されるため、耐火物の冷却のためには必ずしも最適化されておらず、耐火物の冷却が十分でなく、したがって耐火物の寿命の向上に改善の余地を残している。
【0008】
このため、特許文献3には、炉体鉄皮を保護することと、炉体鉄皮の強度を十分に保ちながら、高炉内の耐火物を高寿命化することとを同時に達成するためには、炉体鉄皮の炉内側に配置されるステーブと、そのステーブの炉内側に配置された冷却体とを備えた高炉用冷却構造体を使用することが有効であることが記載されている。このような配置にすることで、炉体鉄皮を保護するという役割はステーブによって果たされるため、冷却体の役割を、その周囲に配置される耐火物の高寿命化を意図した冷却に特化することが可能となる。この場合には、たとえ仮に冷却体が高炉操業中に破損したとしても、炉体鉄皮の保護はステーブが行っているため、冷却体の交換作業が必須ではなくなり、したがって、炉体鉄皮上に冷却体の交換作業用の大きな開口部を設ける必要がなくなる。そのため、炉体鉄皮の強度を確保するために冷却体を千鳥状に配置するなど、冷却体同士を離間した状態、例えば2段以上で配置する必要がなくなる。よって、複数の冷却体を略水平面上に連続して配置させることができ、冷却体が高炉内の耐火物を高効率かつ均一に冷却することが可能となる。それによって、耐火物の高寿命化が達成され、長期にわたる安定的な高炉操業が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08-199211号公報
【特許文献2】特開2005-248209号公報
【特許文献3】特許第7147463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献3に記載された技術において、冷却体と耐火物との位置関係に応じて耐火物が冷却体から離れた位置にあると、耐火物の冷却が不十分となる場合がある。この場合、経年により耐火物が損傷し、高炉の炉内側のプロフィールが凸凹となる。そして、高炉の炉内側のプロフィールが凸凹になると、高炉内の装入物の降下挙動が不安定になり、高炉の安定操業を維持するうえで問題となる。
【0011】
本開示は、上記問題点に鑑み、炉体鉄皮の保護と、高炉内の耐火物の高寿命化との両方を達成することができる高炉用冷却構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、上記知見を基になされたものであり、その主旨は以下のとおりである。
【0013】
(1)炉体鉄皮の炉内側に高炉の周方向に連なるように配置された複数の冷却体と、
前記冷却体に接触又は近接して配置された耐火物と、
を備え、
前記冷却体は、高炉の周方向に水平に延在する第1冷却体と、前記第1冷却体から上方向又は下方向に延在する少なくとも1つの第2冷却体と、を有し、
前記第2冷却体の高炉の周方向の長さは、前記第1冷却体の高炉の周方向の長さよりも短く、
前記耐火物は、前記第1冷却体の上又は下に配置され、高炉の周方向に隣接する2つの前記第2冷却体の間に配置されている、
高炉用冷却構造体。
【0014】
(2) 前記冷却体は、2つ以上の前記第2冷却体を有し、2つ以上の前記第2冷却体は、高炉の周方向に隣接して配置されている、上記(1)に記載の高炉用冷却構造体。
【0015】
(3) 炉体鉄皮の炉内側に配置されるステーブを更に備え、
前記冷却体は前記ステーブの更に炉内側に配置される、上記(1)又は(2)に記載の高炉用冷却構造体。
【0016】
(4) 前記冷却体に対向する前記ステーブの炉内側の内壁は、内径が下から上に向かって縮小するテーパー面であり、
前記ステーブの内壁と対向する前記第2冷却体の対向面は、前記ステーブの前記テーパー面に沿った面であり、該テーパー面に接触または近接している、上記(3)に記載の高炉用冷却構造体。
【0017】
(5)前記冷却体が、上下方向に離間する少なくとも2箇所で前記炉体鉄皮に対してボルトにより固定された、上記(4)に記載の高炉用冷却構造体。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、炉体鉄皮の保護と、高炉内の耐火物の高寿命化との両方を達成することができる高炉用冷却構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態に係る高炉用冷却構造体が適用される高炉と、その周辺の構成を示す模式図である。
図2】本開示の一実施形態に係る高炉用冷却構造体およびその周辺を示す図であって、高炉用冷却構造体を備えた高炉を上下方向に切断した場合の概略断面図である。
図3図2中の一点鎖線I-I’に沿って切断した場合の概略断面図である。
図4図3の矢印A1方向から冷却体を見た図である。
図5】第2冷却体が設けられていない冷却体によって耐火物が冷却される場合に、高炉の炉内側のプロフィールが凸凹になる様子を示す図である。
図6】本実施形態に係る冷却体により耐火物が冷却された場合に、経年による耐火物の消失範囲を示す図である。
図7】第2冷却体が設けられていない冷却体において、耐火物が上方向に膨張した結果、冷却体の給排水の配管に負荷がかかる様子を示す断面図である。
図8】朝顔部Z1のテーパーを活用して耐火物の膨張による影響を抑制する具体例を示す図である。
図9】朝顔部Z1のテーパーを活用して耐火物の膨張による影響を抑制する具体例を示す図である。
図10】冷却体の構成のバリエーションを示す模式図である。
図11】冷却体の構成のバリエーションを示す模式図である。
図12】冷却体の構成のバリエーションを示す模式図である。
図13】冷却体の構成のバリエーションを示す模式図である。
図14】冷却体の構成のバリエーションを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示に係る幾つかの実施形態について図を参照しながら説明する。しかしながら、これらの説明は、本開示の好ましい実施形態の単なる例示を意図するものであって、本開示をこのような特定の実施形態に限定することを意図するものではない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.高炉とその周辺の概略構成例
2.高炉用冷却構造体
2.1.冷却体
2.2.ステーブ
2.3.冷却体による冷却効果
2.4.冷却配管の破断抑制
2.5.冷却体の構成のバリエーション
3.高炉
3.1.炉体鉄皮
3.2.耐火物
【0021】
[1.高炉とその周辺の概略構成例]
図1は、本開示の一実施形態に係る高炉用冷却構造体が適用される高炉20と、その周辺の構成を示す模式図である。鉱石原料、コークスなどの高炉原料は、装入コンベア22により炉頂まで搬送され、炉頂装入装置24を介して高炉20内に装入される。なお、高炉原料には、一般的な鉱石原料、コークスの他、副原料、いわゆる非焼成含炭塊成鉱やフェロコークスなども含まれる。一般的な鉱石原料には、例えば焼結鉱、塊鉱石、ペレットといった種類がある。
【0022】
炉頂装入装置24は、高炉20内の装入物の最上面の高さ位置が所定位置を維持するように、装入物が降下した分を補充するように鉱石原料、コークスなどの装入物を高炉20内に装入する。この際、鉱石原料とコークスは、高炉20内で交互に層を作るように装入され、その層状態を維持して炉内を下降する。高炉20の下部10にある羽口11からは、空気(熱風)とコークスの補完還元材である微粉炭(Pulverized Coal: PC)などが吹き込まれる。この熱風で微粉炭やコークスが燃焼し、一酸化炭素や水素などの高温ガス(還元ガス)が発生する。
【0023】
還元ガスは上昇気流となって炉内を吹き昇り、炉内を下降する鉄鉱石を昇温させながら酸素を奪い取っていく。軟化溶融した酸化鉄はコークス層内を滴下しながらコークスの炭素と接触して更に還元され、溶銑となり炉底の湯溜まり部に溜まる。この溶銑は炉底横に設けられた出銑口26から取り出され、次の製鋼プロセスへと運ばれる。
【0024】
[2.高炉用冷却構造体]
図2は、本開示の一実施形態に係る高炉用冷却構造体30およびその周辺を示す図であって、高炉用冷却構造体30を備えた高炉20を上下方向に切断した場合の概略断面図である。本開示に係る高炉用冷却構造体30は、炉体鉄皮3の炉内側に配置された少なくとも1つの冷却体7と、冷却体7に接触又は近接して配置された耐火物9と、を備えている。
【0025】
本開示に係る高炉用冷却構造体30は、高炉20内の任意の領域に配置して使用することができるが、高炉20内でより高温になる領域、例えば図1に示す朝顔部Z1又は炉腹部Z2に配置されることが好ましく、特に、図2に示される実施形態のように朝顔部Z1に配置されることがより好ましい。高炉20の朝顔部Z1は、高炉内で最も高温になり、より耐火物9の損耗が生じやすい領域の1つであるため、本開示に係る高炉用冷却構造体30を朝顔部Z1で使用することで、冷却体7の周辺に配置される耐火物9をより高寿命化させることができる。
【0026】
また、高炉用冷却構造体30は、炉体鉄皮3の炉内側に配置されるステーブ5を更に備え、冷却体7はステーブ5の更に炉内側に配置される。炉体鉄皮3の炉内側に配置されるステーブ5のさらに炉内側に冷却体7を配置することで、炉体鉄皮3はステーブ5によって保護することができるため、冷却体7の役割を耐火物9の冷却に充てることができるようになる。
【0027】
本開示に係る高炉用冷却構造体30は高炉20の朝顔部Z1(図1参照)に設置されているが、このような配置は本開示の実施形態の1つの例に過ぎず、上述の通り本開示に係る高炉用冷却構造体30は高炉20内の任意の場所に設置することが可能である。図2を参照すると、高炉20はその最外面に炉体鉄皮3を備えており、この炉体鉄皮3によって高炉20の炉体形状の主な部分部が形成されている。すなわち、高炉20の炉体形状は主に炉体鉄皮3によって構成されている。高炉20の下部10には、羽口11と、その羽口11を高炉20内の高温の内容物から保護する羽口部煉瓦(耐火物9a)とが備えられる。炉体鉄皮3の炉内側(図2の左側)には、炉体鉄皮3の保護のためのステーブ5が配置されている。朝顔部Z1においては、ステーブ5の炉内側に、すなわち、炉体鉄皮3側とは反対側に複数の冷却体7が配置されている。さらに、冷却体7の周りには耐火物9が冷却体7に接触した状態で配置されている。このような配置にすることで、炉体鉄皮3を保護するという役割はステーブ5によって果たされるため、冷却体7の役割を、その周囲に隣接して配置される耐火物9の冷却に充てることが可能となる。
【0028】
(2.1.冷却体)
図3は、図2の一点鎖線I-I’に沿って切断した場合の断面図である。また、図4は、図3の矢印A1方向から冷却体7を見た図である。より具体的には、図4は、高炉20の中心から各冷却体7を見た状態を平面に展開した展開図を示している。なお、説明の便宜上、図3においては、隣接する冷却体7の間の耐火物9は図示を省略する。また、図4において、炉体鉄皮3およびステーブ5の図示は省略する。
【0029】
高炉20は、ステーブ5の炉内側に複数の冷却体7を備えている。図3では、3つの冷却体7がステーブ5の内壁に沿って配置されている様子が示されている。図3に示す範囲以外でもステーブ5の内壁に沿って複数の冷却体7が配置されている。このため、複数の冷却体7は、ステーブ5の内壁の全周に沿って高炉20の周方向(図3および図4中に矢印A2で示す方向)に連なるように配置されている。
【0030】
冷却体7は、内部に冷媒(例えば、水)を流すための冷媒流路15を有し、それは図2および図3において破線で示される。冷却体7の内部の冷媒流路15は任意の経路を選択することができ、図2および図3に示される経路は例示として示されている。冷却体7の内部の冷媒流路15の入口及び出口には、それぞれ、冷媒の給水用及び排水用の配管17を接続するための配管接続部19が備えられている。冷却体7は、配管接続部19において配管17と接続され、その配管17は、ステーブ5のステーブ開口部23及び炉体鉄皮3の鉄皮開口部21を貫通し、外部の冷媒源(図示せず)に接続されている。よって、冷媒は、その冷媒源から所定の量で供給され、給水用の配管17を通り、冷却体7の内部の冷媒流路15へ流れ、排水用の配管17へ戻る。このように、典型的には、1つの冷却体7には、冷媒の給水用及び排水用の2本の配管17が接続される。冷媒流路15に流す冷媒は、当技術分野で公知な如何なるものを使用できるが、好ましくは水である。
【0031】
複数の冷却体7のそれぞれは、ステーブ5の炉内側において高炉20の周方向に水平に延在する第1冷却体(横型冷却体)7aと、第1冷却体7aから上方向又は下方向に延在する少なくとも1つの第2冷却体(縦型冷却体)7bと、を有する。第2冷却体7bの高炉20の周方向の長さは、第1冷却体7aの高炉20の周方向の長さよりも短い。冷却体7は、2つ以上の第2冷却体7bを有し、2つ以上の第2冷却体7bが、高炉の周方向に隣接して配置されていてもよい。例えば、各冷却体7は、周方向に配置される複数の羽口11の位置のそれぞれに対応して設けられている。図3および図4に示す例では、図中に示す3つの冷却体7のうち、中央の冷却体7は1つの第1冷却体7aと2つの第2冷却体7bを有している。また、その左右に配置された冷却体7は、1つの第1冷却体7aと1つの第2冷却体7bを有している。図2図4に示す例では、第2冷却体7bは、第1冷却体7aから上方向に向かって延在している。なお、後述するが、第2冷却体7bは、第1冷却体7aから下方向に向かって延在していてもよい。
【0032】
図4に示したように、第2冷却体7bの周方向の長さL2は、第1冷却体7aの周方向の長さL1よりも短くなっている。このような構成により、複数の冷却体7を周方向に配置した場合に、周方向に隣接する2つの第2冷却体7bの間に空間が形成される。耐火物9は、冷却体に接触又は近接して配置され、冷却体7と同様にステーブ5の内壁の全周に沿って連なるように配置されており、冷却体7が配置された高さ位置では、第1冷却体7aの上又は下に配置され、隣接する2つの第2冷却体7bの間に配置される。したがって、隣接する2つの第2冷却体7bの間の空間は耐火物9が配置される領域である。なお、周方向の長さとは、図4に示したような、高炉20の中心から見た各冷却体7を平面に展開した場合の長さであってよい。また、周方向の長さとは、図2に示す第1冷却体7aの内側の側面7a4の位置での円弧の長さであってもよい。
【0033】
図3および図4に示す例では、1つの第2冷却体7bを有する冷却体7と2つの第2冷却体7bを有する冷却体7がステーブ5の内壁に沿って交互に配置されているが、1つの第2冷却体7bを有する冷却体7がステーブ5の内壁に沿って複数配置されていてもよく、または2つの第2冷却体7bを有する複数の冷却体7がステーブ5の内壁に沿って複数配置されていてもよい。これらの配置は、ステーブ開口部23及び鉄皮開口部21の位置に応じて適宜選択される。特に、既存の高炉20を修復する場合は、予めステーブ開口部23及び鉄皮開口部21の位置が決まっている場合があるため、これらに適合するように冷却体7の構成(1つの冷却体7が有する第2冷却体7bの数)および配置が適宜定められる。
【0034】
冷媒流路15は、第1冷却体7aと第2冷却体7bの双方を通るように設けられている。これにより、第1冷却体7aと第2冷却体7bの双方が冷媒によって冷却されるように構成されている。図2および図3に示す例では、第2冷却体7bに対して冷媒の給水用及び排水用の2本の配管17が接続されている。よって、冷媒源から供給された冷媒は、給水用の配管17を通り、第2冷却体7bの内部の冷媒流路15から第1冷却体7aの内部の冷媒流路15へ流れ、第1冷却体7aの内部の冷媒流路15から第2冷却体7bの内部の冷媒流路15へ流れ、排水用の配管17へ戻る。
【0035】
第1冷却体7aと第2冷却体7bは一体のものとして製造されたものであってよく、または、第1冷却体7aと第2冷却体7bはそれぞれが別々に製造されて互いに結合されたものであってもよい。例えば、第1冷却体7aと第2冷却体7bが鋳物から構成される場合、両者を一体のものとして鋳造可能である。第1冷却体7aと第2冷却体7bがそれぞれ別々に製造され、その後に互いに結合される場合、第1冷却体7aの上面7a2または底面7a3に第2冷却体7bが接合される。
【0036】
また、第1冷却体7aと第2冷却体7bがそれぞれ別々に製造され、その後に互いに結合される場合、例えば施工時に第1冷却体7aを高炉20に組み付けてから第1冷却体7aに第2冷却体7bを組み付けてもよいし、第1冷却体7aと第2冷却体7bをそれぞれ高炉20に組み付けてもよい。この場合に、第1冷却体7aと第2冷却体7bの冷媒流路15は別系統であってもよい。
【0037】
前述したように、高炉の炉内側のプロフィールが凸凹になると、高炉内の装入物の降下挙動が不安定になり、高炉の安定操業を維持するうえで問題となる。朝顔部Z1の理想的な炉内稼働面のプロフィールとしては、図2中のP点(羽口冷却箱先端部)を起点にして、高炉20の内面の水平方向に対する角度θ1を70°~80°の範囲に長期期間安定して維持することが重要である。このため、第2冷却体7bの高炉20の炉内側の面は、P点を起点にして水平方向に対する角度θ1が70°~80°の範囲とされている。このように、第2冷却体7bの高炉20の炉内側の面の角度は、予め高炉20の安定操業に理想的な70°~80°の範囲に作り込んでおくことが好適である。
【0038】
冷却体7は、特に限定されないが、加工性、熱伝導性、価格等の観点から、銅又は銅合金からなることが好ましい。銅の融点は1100℃程度であり、冷媒流路15に冷媒を流すことによって高炉20の操業中に冷却体7が溶融してしまうことが抑止される。したがって、第2冷却体7bの高炉20炉内側の面の角度θ1は、70°~80°の範囲に長期期間(例えば、20~30年程度の間)において維持される。
【0039】
冷却体7は、高炉20内において、ステーブ5の炉内側、すなわち炉体鉄皮3側とは反対側に配置される。冷却体7は、ステーブ5の炉内側に1つ配置されていても、2つ以上配置されていてもよい。また、ある1つのステーブ5の炉内側に対して冷却体7の一部が配置(すなわち、1つの冷却体7が2つの隣接するステーブ5にまたがって配置)されていてもよい。このような配置により、冷却体7は炉体鉄皮3と直接的に接触しないように配置されるため、炉体鉄皮3を保護する機能をステーブ5に任せ、冷却体7は、周囲に配置される煉瓦などの耐火物9を冷却することができる。典型的には、冷却体7は、耐火物9を冷却するためのものであることができる。
【0040】
本開示における第1冷却体7aおよび第2冷却体7bとしては、任意の形状のものを使用することができるが、一般的には、板状であることができる。第1冷却体7aが板状である実施形態において、第1冷却体7aの外側の側面7a1が、ステーブ5の炉内側に配置される、すなわち、第1冷却体7aの側面7a1とステーブ5の炉内側の面とが対面していることが好ましい。第1冷却体7aの側面7a1が、ステーブ5の炉内側に配置される態様において、第1冷却体7aの上面7a2及び底面7a3が略水平となるように配置されることがより好ましい。このように配置することで、第1冷却体7aの最大面積を有する面を、周囲の耐火物9に接するように配置することが可能となる。したがって、より効率的に耐火物9を冷却でき、さらに耐火物9の高寿命化を達成することが可能となる。なお、ステーブ5に冷却体7を取り付けるために、ステーブ5と冷却体7との間に、取付け用フランジ(図示せず)のような部材を設けてもよい。
【0041】
本明細書内において、第1冷却体7aが板状である場合における冷却体7の「上面7a2」とは、第1冷却体7aの各面のうち最大面積を有する面を言うものである。そして、「底面7a3」とは、その上面7a2とは反対側の面を言うものである。また、第1冷却体7aの「側面7a1,7a4」とは、上面7a2に対して垂直又は略垂直な面を言うものである。また、冷却体7として、ステーブ5の形状及び寸法、冷却効率等の性能などに応じて、様々な寸法のものを選択することができる。
【0042】
第1冷却体7aの水平断面の形状は、如何なる形状であってもよいが、冷却体7が耐火物9を効率よく冷却するために、図3に示したように長方形又は略長方形であることが好ましい。第1冷却体7aの水平断面の形状が長方形(又は略長方形)である場合、その長方形の長辺をステーブ5の炉内側に配置させることがより好ましい。これは、このように配置することで、複数の冷却体7を高炉20内に配置する実施形態において、高炉20内に設置する冷却体7の個数を少なくすることができ、それによって、後述する配管17のための炉体鉄皮上の鉄皮開口部21の個数を低減することが可能になるためである。さらにより好ましくは、炉体鉄皮3の内面に沿ったステーブ5の曲面形状に応じて、冷却体7をステーブ5の炉内側の面に接して並べることができるように、第1冷却体7aが例えば台形状又は扇形状の水平断面形状を有するように、第1冷却体7aの形状を決定することができる。
【0043】
(2.2.ステーブ)
本開示におけるステーブ5は、特に限定されず、当技術分野で公知のものを使用することができる。本開示において、ステーブ5は高炉20の炉体鉄皮3の炉内側に配置されている。炉体鉄皮3の炉内側に配置されたステーブ5は、典型的に、その内部の配管(図示せず)に水などの冷媒を流すことで冷却され、それによって、高炉内の高温反応から炉体鉄皮3を保護している。1つの実施形態において、ステーブ5は、ボルト締めによって炉体鉄皮3の内部に設置、固定される。このため、炉体鉄皮3にはこのボルトを挿通するための開口部が設けられている。また、炉内側の高圧ガスが吹き出ないように炉体鉄皮3の表側のボルトの頭部分はキャップで覆われ、高圧ガスの吹き抜けが抑制されている。図2においては、例として、朝顔部Z1と、朝顔部Z1の上部の領域とにステーブ5,5’が設置されている。好ましい実施形態において、複数のステーブ5が、炉体鉄皮3の内面に全周にわたって周設される。1つの実施形態において、このステーブ5の配管と上述した冷却体7の配管17とは、別系統である。このように冷却体7とステーブ5との配管をそれぞれ別系統とすることで、冷却体7が破損した場合でも、ステーブ5が炉体鉄皮3を保護しているため、そのまま高炉操業を継続することができるという利点を有する。本開示におけるステーブ5の材質は、特に限定されないが、例えば、加工性、熱伝導性、価格等の観点から、鉄鋳物、銅又は銅合金からなることが好ましい。
【0044】
また、本開示におけるステーブ5の形状は、特に限定されないが、一般的に、板状であることができる。また、本開示におけるステーブ5は、高炉20の形状、高炉内の設置位置、求める性能などに応じて、様々な寸法のものを選択することができる。
【0045】
本開示におけるステーブ5は、ステーブ開口部23を有することができる。そのステーブ開口部23の位置は、上述した冷却体7の内部の冷媒流路15に配管17を接続するための配管接続部19の位置に対応するように設置することが好ましい。
【0046】
1つの実施形態において、ステーブ5のステーブ開口部23の位置を、既設の冷却体7の配管接続部19の位置に対応するように決めることができる。別の実施形態において、特に既設の高炉20に本開示に係る高炉用冷却構造体30を設ける実施形態において、ステーブ5上に、ステーブ5の内部の冷媒用の配管等と干渉しないようにステーブ開口部23を設け、次いで、そのステーブ開口部23に対応するように冷却体7の配管接続部19の位置を決定するように冷却体7を作製することができる。したがって、本開示に係る高炉用冷却構造体30は、新規の高炉20で用いる場合だけでなく既設の高炉20に後付けで用いる場合でも、比較的容易に設置することができ、設計自由度が高いという利点を有する。
【0047】
また、ステーブ5のステーブ開口部23と配管17との間には幾らかの隙間が存在している場合がある。これは、一般的に、ステーブ5が曲面であり、配管17が直線であるためである。このような場合は、冷却体7を一定の位置で固定するために、ステーブ開口部23と配管17との間の隙間が、不定形耐火物で密封されていることが好ましい。このような不定形耐火物としては、限定されないが、例えば、キャスタブル耐火物や吹付材が挙げられる。
【0048】
(2.3.冷却体による冷却効果)
耐火物9は、冷却体7と同様にステーブ5の内壁の全周に沿って連なるように配置されている。図4に示すように、冷却体7が配置された高さ位置では、耐火物9は第1冷却体7aの上に配置され、隣接する耐火物9の間に第2冷却体7bが挿入されている。また、耐火物9の高炉20の炉内側の面は、第2冷却体7bの高炉20の炉内側の面と同様に、図2のP点を起点にして水平方向に対する角度θ1が70°~80°の範囲とされている。
【0049】
第1冷却体7aの上に耐火物9が配置されることで、耐火物9は第1冷却体7aによって下側から冷却される。また、隣接する耐火物9の間に第2冷却体7bが挿入されることで、耐火物9は第2冷却体7bによって左右から冷却される。このように、隣接する第2冷却体7bの間の耐火物9は、左右の2つの第2冷却体7bと、下部の第1冷却体7aとからなるコの字形の領域で冷却される。したがって、耐火物9の全域が第1冷却体7aと第2冷却体7bの双方によって確実に冷却される。
【0050】
上述した通り朝顔部Z1の理想的な炉内稼働面のプロフィールとしては、高炉20の内面の水平方向に対する角度θ1を70°~80°の範囲に長期期間安定して維持することが重要である。この角度範囲を維持できないと、冷却体7の上下の耐火物9が損傷してプロフィールが凸凹状になる。このため、高炉20内の装入物の降下挙動が不安定になり、高炉20の安定操業の維持、すなわち鉱石とコークスが高炉20内の最も反応が激しい活性化部分(羽口部分)に安定して供給されることを維持するうえで問題となる。高炉20の安定操業を実現するためには、朝顔部Z1のプロフィールが長期間にわたって安定して維持されることが必要である。
【0051】
しかし、第2冷却体7bが設けられておらず、水平型の冷却体(すなわち、第1冷却体7a)のみによって耐火物9が冷却される場合、水平型の冷却体は高炉20内で同じ高さ位置での冷却しかできないため、耐火物9の冷却が不十分となる場合がある。
【0052】
図5は、第2冷却体7bが設けられていない冷却体7によって耐火物9が冷却される場合に、高炉20の炉内側のプロフィールが凸凹になる様子を示す図である。図5に示す例では、冷却体7は、第2冷却体7bを有しておらず、水平方向に延在する冷却体7のみから構成され、冷却体7はステーブ5の内壁の全周に沿って連なるように配置されている。そして、耐火物9は、冷却体7の上に配置されている。図5に示す構成例は、例えば前述した特許文献3に記載された構成に対応する。
【0053】
図5に示すような構成の冷却体7の場合、耐火物9が十分に冷却されず、経年により耐火物9が損傷し、図中に示した消失範囲Rにて耐火物9が消失する。これにより、高炉20の炉内側のプロフィールが凸凹になり、装入物の降下挙動が不安定になる。
【0054】
また、冷却体7は、その下の耐火物9によって支持されているため、冷却体7の下の耐火物9が消失してしまうと、冷却体7は配管17によって片持ちで支持されることになり、配管17が破断するなどの問題も生じる。
【0055】
一方、図6は、本実施形態に係る冷却体7により耐火物9が冷却された場合に、経年による耐火物9の消失範囲R’を示す図である。図6では耐火物9の位置での断面(図3中に示す一点鎖線II-II’に沿った断面)を示している。図6に示すように、耐火物9の全域が第1冷却体7aと第2冷却体7bの双方によって冷却されることで、経年による耐火物9の消失が抑制され、消失範囲R’は図4に示した消失範囲Rよりも大幅に縮小される。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、高炉20の炉内側のプロフィールが凸凹になることが抑制され、高炉20内の装入物の降下挙動が安定する。これにより、鉱石とコークスが高炉20内の羽口部分に安定して供給され、高炉20の安定操業が可能となる。
【0057】
(2.4.冷却配管の破断抑制)
高炉20の朝顔部Z1の耐火物9は高炉20の底部から連続して積み上げられている。この耐火物9は高炉20の炉内の熱を受け、上方向に膨張する。高炉20内の冷却体7の高さ位置において、高炉20を稼働してからの経年により、耐火物9が上方向に30mm~50mm程度膨張する場合がある。
【0058】
図7は、第2冷却体7bが設けられていない冷却体7において、耐火物9が上方向に膨張した結果、冷却体7の給排水の配管17に負荷がかかる様子を示す断面図である。図5に示す構成例も、図5と同様、例えば前述した特許文献1に記載された構成に対応する。
【0059】
図7に示すように、耐火物9が上方向に膨張すると、冷却体7にせん断力F1や曲げモーメントF2が働き、図7中に示す部位A2において冷却体7の配管17が破断し、冷却体7の冷却機能が失われる。その結果、耐火物9の冷却能がなくなり、耐火物9の損耗が一気に進んで、上述したようなプロフィールの凸凹が更に助長され、高炉20の操業が更に不安定化する。
【0060】
更に、上述したような経年による耐火物9の消失が生じ、特に冷却体7の上部の耐火物9が消失してしまうと、せん断力F1や曲げモーメントF2に対する抗力が低下し、配管17がより破断し易くなる。なお、前述した特許文献3に記載された構成のように、朝顔部Z1のステーブ5に対して、その上部に配置されたステーブ5が炉内側に張り出している場合、上部に配置されたステーブ5の張り出した部分が膨張による上向きの力を受けることで、施工後の比較的短期間であれば、せん断力F1や曲げモーメントF2に対抗することは可能である。しかし、このような構造においても、経年により冷却体7の上部の耐火物9が消失してしまうと、せん断力F1や曲げモーメントF2に対する抗力が低下し、配管17がより破断し易くなる。
【0061】
本実施形態では、朝顔部Z1のテーパーを活用して耐火物9の膨張による影響を抑制する。図2に示すように、高炉20の朝顔部Z1では、冷却体7に対向するステーブ5の炉内側の内壁5aは、内径が下からに上に向かって縮小するテーパー面となっている。このため、ステーブ5の内壁5aは、図2中に示すθ2の角度で傾斜している。そして、ステーブ5の内壁5aと対向する第2冷却体7bの対向面7b1は、ステーブ5のテーパー面に沿った面であり、テーパー面に接触または近接しており、ステーブ5の内壁5aと平行となるようにθ2の角度で傾斜している。このような構成によれば、仮に耐火物9が膨張して下方から上方に向かって冷却体7を押し上げようとする力が働いたとしても、ステーブ5の内壁5aがθ2の角度で傾斜しているため、そのテーパー効果によって、冷却体7を押し上げようとする上昇力が消されてしまう。この結果、給排水の配管17には、図7に示したようなせん断力F1や曲げモーメントF2が働かないこととなる。したがって、耐火物9の膨張により冷却体7が上昇して配管17が損傷することが抑制される。
【0062】
図8および図9は、朝顔部Z1のテーパーを活用して耐火物9の膨張による影響を抑制する具体例を示す図である。図8に示す例では、ステーブ5の内壁5aと第2冷却体7bとの間にスペーサ8が挿入されている。また、図9に示す例では、ステーブ5の内壁5aと、第2冷却体7bのステーブ5に対向する対向面7b1が密着している。このような構成によれば、耐火物9が膨張して下方から上方に向かって冷却体7を押し上げようとする力が働いた場合に、冷却体7が上方に移動することが確実に抑制される。この結果、給排水の配管17に図7に示したようなせん断力F1や曲げモーメントF2が作用せず、耐火物9の膨張により冷却体7が上昇して配管17が損傷することが抑制される。なお、図8に示す例では、スペーサ8を挿入する代わりに、スペーサ8に相当する突起が冷却体7またはステーブ5から突出していてもよい。
【0063】
また、図2図8および図9に示したように、冷却体7は、上下方向に離間する少なくとも2箇所で炉体鉄皮3に対してボルト6により固定されており、上下2本のボルト6によって炉体鉄皮3に対して固定されている。より詳細には、下側のボルト6は第1冷却体7aに装着され、上側のボルト6は第2冷却体7bに装着されている。上下のボルト6は、ステーブ5のステーブ開口部23a及び炉体鉄皮3の鉄皮開口部21aを貫通し、炉体鉄皮3の外側に突出したボルト6にナットが締結される。または、炉体鉄皮3の外側から鉄皮開口部21aおよびステーブ開口部23aへ2本のボルト6を挿入し、第1冷却体7aおよび第2冷却体7bに設けられたネジ穴にボルト6を締結してもよい。このように、ボルト6により固定されるとは、冷却体7に予め装着されたボルト6にナットを締結して固定することと、冷却体7に設けられたネジ穴にボルト6を締結して固定することの双方を含む。これにより、冷却体7は、上下2箇所で炉体鉄皮3に対して安定的に固定される。したがって、給排水の配管17には、図7に示したようなせん断力F1や曲げモーメントF2が働かないこととなる。したがって、耐火物9の膨張により冷却体7が上昇して配管17が損傷することが抑制される。なお、炉内側の高圧ガスが吹き出ないように炉体鉄皮3の表側のナット、またはボルトの頭部分はキャップで覆われ、高圧ガスの吹き抜けが抑制されている。
【0064】
なお、図7に示したような第2冷却体7bが設けられていない水平型の冷却体7においても、ボルト6で同様に支持することは可能であるが、この場合、冷却体7は上下方向に延在していないため、上下方向に離れた複数箇所で冷却体7をボルト6で支持することはできない。このため、図7に示したようなせん断力F1や曲げモーメントF2を抑制する観点での効果を十分に得ることができず、特に曲げモーメントF2を抑制することに困難が生じる。本実施形態では、上下方向に延在する第2冷却体7bを設けたことで、上下方向に離れた複数箇所で冷却体7をボルト6で支持することができるため、せん断力F1や曲げモーメントF2が確実に抑制される。
【0065】
また、冷却体7をボルト6で固定する代わりに、あるいは冷却体7をボルト6で固定することに加えて、第2冷却体7bの上面を朝顔部Z1の上部のステーブ5’の下面に当接させて、冷却体7を押し上げようとする力をステーブ5’で受けるようにしてもよい。このような構成によっても、せん断力F1や曲げモーメントF2が確実に抑制される。
【0066】
本開示によれば、上述した冷却効果と配管17の破断抑制に加え、炉体鉄皮3の冷却はステーブ5に任せ、冷却体7は耐火物(例えば、煉瓦)9の冷却をすることが可能となる。したがって、たとえ仮に高炉内の冷却体7の1つ又は複数が破損等した場合であっても、その冷却体7に接触している耐火物9は冷却されなくなるものの、破損した冷却体7を交換しなければならないという事態までには至らない。これは、炉体鉄皮3の保護がステーブ5により担保されているためである。よって、本開示に係る高炉用冷却構造体30を使用すると、冷却体交換用の大きな開口部を炉体鉄皮上に設ける必要がなくなる。例えば、本開示の1つの実施形態においては、炉体鉄皮上の開口部は、冷却体7に冷媒を送るための配管17を通すための開口部のみで十分である。そのため、複数の冷却体7を高炉内に配置する場合、高炉20の強度を保ったまま、複数の冷却体7を同一平面上(典型的には、略水平面上)に連なるように配置し、耐火物9を高効率かつ均一に冷却することが可能となる。したがって、本開示に係る高炉用冷却構造体30を用いることで、炉体鉄皮3の炉内側に配置されるステーブ5により炉体鉄皮3の保護を確実にしつつ、ステーブ5の炉内側に配置された冷却体7により耐火物9を高効率かつ均一に冷却でき、例えば朝顔部Z1のような高温環境下でも、耐火物9の高温環境に起因する損耗を十分に抑制することが可能となる。したがって、耐火物9の長寿命化が達成され、高炉操業の安定効果を得ることができる。
【0067】
さらに、炉体鉄皮上の開口部のサイズを大きく低減できる別の利点は、本開示に係る高炉用冷却構造体30を既設の高炉20に設置できることである。例えば、朝顔部Z1にステーブ5及び耐火物9を設置しているような既設の高炉20に対して、冷却体7を本開示に従って配置することで、既設の高炉20に本開示に係る高炉用冷却構造体30を設けることができる。このように既設の高炉20に本開示に係る高炉用冷却構造体30を設置できるのは、上述したように冷却体交換用の開口部を炉体鉄皮上に設ける必要がなく、1つの実施形態においては冷媒用の配管17のための開口部を炉体鉄皮上に設けるだけで十分であるためである。さらに、その冷媒用の配管17のための開口部の位置を、炉体鉄皮上に、既設のステーブ5の配管等に干渉しないように自由に決定できるためである。したがって、本開示に係る高炉用冷却構造体30を既設の高炉20に使用することで、修繕費の低減や設備の再利用などが可能になり、大幅に時間やコストを低減することが可能となる。
【0068】
(2.5.冷却体7の構成のバリエーション)
図10図14は、冷却体7の構成のバリエーションを示す模式図である。図10および図11は、個々の冷却体7が、1つの第1冷却体7aと1つの第2冷却体7bから構成された例を示している。このうち、図10は第2冷却体7bが第1冷却体7aの端に配置された例を示しており、図11は第2冷却体7bが第1冷却体7aの中央に配置された例を示している。なお、図11に示す構成例は、図3および図4に示した3つの冷却体7のうちの左右の冷却体7に相当する。
【0069】
図12は、個々の冷却体7が、1つの第1冷却体7aと2つの第2冷却体7bから構成された例を示している。図11に示す構成例では、第2冷却体7bが第1冷却体7aの両端に配置されている。
【0070】
図12に示す構成例では、2つの第2冷却体7bの間の間隔は設計値で規定されるため、予め規定された設計値に合わせて、図12に示す冷却体7と、2つの第2冷却体7bの間に挿入される耐火物9を並行して製造しておくことができる。これにより、高炉20を施工する際の工期が短縮されるとともに、施工時には2つの第2冷却体7bの間に設計値に基づいて製造された耐火物9を嵌め込んでいけばよいため、作業環境の良い場所でじっくり施工することが可能であり、施工精度の高い築炉工事が可能となる。また、この結果、冷却体7と耐火物9とのギャップを最小限に小さくすることができ、好適には両者を接触させることも可能であるので、耐火物9の冷却効果が上がる。これにより、耐火物9の寿命が延びて高炉20の安定操業に寄与できる。
【0071】
図13は、個々の冷却体7が、1つの第1冷却体7aとその上下にそれぞれ配置された2つの第2冷却体7b,7b’から構成された例を示している。第2冷却体7bは第1冷却体7aの上に配置され、第2冷却体7b’は第1冷却体7aの下に配置される。高炉20においては、第1冷却体7aの下方においても耐火物9が配置されており、第1冷却体7aの下に配置された第2冷却体7b’は、第1冷却体7aの下方において隣接する耐火物9の間に挿入される。
【0072】
図14は、個々の冷却体7が、1つの第1冷却体7aとその下に配置された2つの第2冷却体7b’から構成された例を示している。図14に示すように、冷却体7は、第1冷却体7aの下に配置された第2冷却体7b’のみを備えるものであってもよい。また、図13および図14に示す構成例において、図12と同様に、第1冷却体7aの下に2つの第2冷却体7b’が配置されていてもよい。
【0073】
[3.高炉]
本開示に係る高炉20は、炉体鉄皮3と、上で説明した本開示に係る高炉用冷却構造体30とを備えている。好ましい実施形態において、本開示に係る高炉20は、複数の冷却体7を備えた高炉用冷却構造体30を備えている。この場合、本開示に係る高炉20においては、複数の冷却体7を、炉体鉄皮3の炉内側において周方向に連なるように、間欠的に又は連続して配置することができる。すなわち、「連なるように配置」とは、間欠的(密着せず、冷却体の間には隙間があってもよい)に配置すること、又は連続して(隙間なく)配置することを意味する。本開示に係る高炉20の1つの実施形態では、例えば朝顔部Z1に、炉体鉄皮3の炉内側にステーブ5が周方向に間欠的に又は連続して配置され、各ステーブ5の炉内側に少なくとも1つの冷却体7が配置されており、さらに冷却体7に接触して耐火物9が配置されている。
【0074】
また、本開示に係る高炉20の1つの好ましい実施形態において、複数の冷却体7が、炉体鉄皮3の炉内側において周方向に略水平面上に配置されている。したがって、例えば、高炉内において、冷却体7を周方向において同一平面上、例えば略水平面上に間欠的に配置することができる。すなわち、冷却体7同士の間に意図的に隙間を設けることができる。さらに好ましくは、冷却体7を、略水平面上に連続して配置することができる。なお、ステーブ5の炉内側に配置された冷却体7の2つの配管接続部19について、両方が同一の1つのステーブ上に面していてもよく、1つずつが隣接する2つのステーブ上に面していてもよい。
【0075】
冷却体7の第1冷却体7aが板状である実施形態において、高炉内で、第1冷却体7aの上面7a2が上方に面しているように配置されること好ましい。言い換えると、板状の第1冷却体7aが、ステーブ5から炉内部に向かって突き出るように配置されることが好ましい。このような配置にすることで、高炉内に複数の冷却体7が配置される実施形態において、本開示に係る高炉用冷却構造体30が設置された高炉20の領域、例えば朝顔部Z1において、高炉20の周方向に沿って冷却体7が同一平面上に連なるように配置され、周方向全周にわたって耐火物9を高効率かつ均一に冷却することができ、耐火物9の高寿命化、したがって長期にわたる高炉20の安定操業が可能となる。
【0076】
(3.1.炉体鉄皮)
本開示に係る高炉20において、炉体鉄皮3は、当技術分野において公知のものであることができる。本開示に係る高炉用冷却構造体30が設置される領域の炉体鉄皮3には、上述したように、冷却体7を交換するための開口部を設ける必要がない。炉体鉄皮3に冷却体7の交換用の開口部がないことで、高炉内に複数の冷却体7が配置される場合において、本開示に係る高炉用冷却構造体30、そして冷却体7を、炉体鉄皮3の炉内側に周方向に連なるように配置させることが可能となる。
【0077】
本開示における炉体鉄皮3は、典型的に、冷却体7の冷媒用の配管17を貫通させるための鉄皮開口部21を有する。この鉄皮開口部21の位置は、配管17を貫通させるために、ステーブ5のステーブ開口部23及び冷却体7の配管接続部19の位置と一致していることが好ましい。
【0078】
一般的に、炉体鉄皮3には様々な用途のための他の開口部が存在している。また、本開示に係る高炉用冷却構造体30を使用すると、上で説明したように、冷却体7の交換用の開口部を設ける必要がない。したがって、本開示に係る高炉用冷却構造体30を使用した高炉20においては、高炉全体に設ける開口部の配置を比較的自由に決定することができ、設計自由度が高いという利点を得ることができる。
【0079】
(3.2.耐火物)
本開示における耐火物9としては、定形耐火物及び不定形耐火物の一方又は両方を使用することができる。定形耐火物としては、限定されないが、例えば、コンクリート類又は煉瓦、例えば熱伝導率の高いグラファイト系やカーボン系のレンガ、または耐スラグ性が高い窒化ケイ素系の定型レンガを使用することができる。また、不定形耐火物としては、限定されないが、例えば、キャスタブル耐火物や吹付材を使用することができる。好ましくは、耐火物9は定形耐火物であり、より好ましくは煉瓦である。本開示に係る高炉20において、耐火物9は冷却体7の第1冷却体7a及び第2冷却体7bに接触又は近接して配置される。1つの実施形態においては、耐火物9は冷却体7の周囲を取り囲むように隙間なく配置される。隙間なく耐火物9を冷却体7の周りに配置することで、冷却体7が効率よく耐火物9を冷却することが可能となり、さらに冷却体7を耐火物9により保護することが可能となる。
【0080】
別の実施形態において、冷却体7は耐火物9により支持されている。耐火物9により冷却体7を支持することにより、冷却体7を炉体鉄皮3で支持する必要がなくなり、冷却体7を支持するための炉体鉄皮3への加工等が不要になり、炉体鉄皮3の開口部をさらに低減することが可能となり、さらに、既設の高炉20にも取り付けが容易になる。
【0081】
本開示における耐火物9の形状は、例えば、直方体又は略直方体の形状を有することができる。また、耐火物9は、限定されないが、一般的に、各辺30~500mmを持つ直方体又は略直方体であることができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、高炉用冷却構造体30についての「連続して配置」とは、高炉用冷却構造体30(すなわちステーブ5)が炉体鉄皮3の炉内側に、実質的に隙間なく配置されていることを言うものである。この場合の「実質的に隙間なく配置」とは、意図的に隙間を設けず、十分に近接して配置されていることを言うものであるが、例外的に、設置する上で不可避である隙間や他の目的のために設けた隙間は有していてもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合、冷却体7についての「略水平面上に連なるように配置」とは、水平面と略平行な面上において、高炉20の周方向にわたって耐火物9を十分に冷却できるように、複数の冷却体7がステーブ5の内壁に沿って配置されていることを言うものであり、上述したように、間欠的に又は連続して配置することをいう。より具体的には、略水平面上で隣接する冷却体7同士に隙間があってもよく、その隙間は周方向の冷却体7の長さ(ステーブ5に沿う長さ)以下であってもよい。
【0084】
本開示に係る高炉20においては、典型的に、複数の冷却体7の第1冷却体7aを略水平面上に連なるように1段で(すなわち、水平面と略平行な1つの面上に連なるように)配置することが好ましい。このように複数の第1冷却体7aを同一平面上に1段で連なるように配置することで、周囲の耐火物9を高効率かつ均一に冷却することが可能となる。別の実施形態において、複数の冷却体7を略水平面上に2段以上で連なるように配置することも可能である。例えば、耐火物9に対する冷却能力をさらに増強したい場合などに、本開示における冷却体7を複数段で配置することが可能である。このようにすることで、耐火物9の冷却が増強されるため、別材質の耐火物9、例えばより安価な耐火物9を使用することができる場合がある。
【0085】
以上説明したように本実施形態によれば、第1冷却体7aと第2冷却体7bを有する冷却体7により耐火物9が冷却される。これにより、高炉20の炉内側のプロフィールが凸凹になることが抑制され、高炉20内の装入物の降下挙動が安定する。したがって、鉱石とコークスが高炉20内の羽口部分に安定して供給されるので、高炉20の安定操業が可能となり、高炉20の高寿命化が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示によれば、新規な構成である本開示に係る高炉用冷却構造体を用いることで、より具体的には、炉体鉄皮の炉内側に配置されるステーブのさらに炉内側に少なくとも1つの冷却体を配置することで、炉体鉄皮の保護と、高炉内の耐火物の高寿命化との両方を同時に達成することが可能となる。これにより、特に朝顔部のような高温領域において、高炉内の煉瓦などの耐火物を高寿命化させることができ、長期にわたる安定した高炉操業が可能となり、したがって、本開示は産業上の価値が極めて高い発明といえるものである。
【符号の説明】
【0087】
3 炉体鉄皮
5 ステーブ
7 冷却体
7a 第1冷却体
7a1,7a4 側面
7a2 上面
7a3 底面
7b 第2冷却体
6 ボルト
9 耐火物
9a 耐火物(羽口部煉瓦)
11 羽口
15 冷媒流路
17 配管
19 配管接続部
20 高炉
21,21a 鉄皮開口部
23,23a ステーブ開口部
30 高炉用冷却構造体
Z1 朝顔部
Z2 炉腹部
図1
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